JP2009001044A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】制御実施条件不成立時における回路保護と、正常状態への復帰時におけるステアリング挙動変化の抑制とを実現する電動パワーステアリング装置を提供する。
【解決手段】操舵系に付与する操舵補助トルクを発生する電動モータ12と、少なくとも操舵トルクに基づいて電流指令値Irを演算するトルク制御器と、当該電流指令値Irに基づいて電動モータ12を駆動制御する電流制御器とを備える電動パワーステアリング装置であって、操舵補助制御の実施条件が不成立であるとき、トルク制御器では正常時と同様に電流指令値Irの演算を継続し、電流制御器では電流指令値Irを零として制御を継続する。
【選択図】図1

Description

本発明は、操舵系に運転者の操舵負担を軽減する操舵補助力を付与する電動パワーステアリング装置に関するものである。
従来の電動パワーステアリング装置では、診断機能により回路の異常状態を検出したとき、トルク制御及び電流制御の制御演算を停止すると共に出力を停止することで、回路保護を実現している。また、このように操舵補助制御の実施条件が外れた場合には、制御内で使用している入出力値や中間変数などの初期化を実施している。
しかしながら、この場合、恒久的な故障・異常であれば上記のような処理で何ら問題は生じないが、電圧の急変など比較的短時間(数ms〜数百ms)で操舵補助制御の実施条件成立となる正常状態に復帰するような異常の場合にパラメータを初期化すると、正常状態への復帰時に、中立状態からのステップ状の大きなトルクが制御器に入力されることとなる。
このとき、トルク制御内の微分制御器において急激な入力があったと判断し、必要以上の出力が出る場合があり、ハンドルが取られるような感覚を与えるなど操舵感が悪化するばかりでなく、車両挙動が不安定となる。
そこで、制御実施条件不成立からの復帰時には、トルク徐変機能を用いて急激なステップ入力を抑制することが考えられている。
また、従来のパワーステアリング制御装置としては、イグニッションスイッチオン後の回路作動が不安定な状態となり、車速に応じた出力電圧を即座に得られないことの対策として、車載バッテリからの電源供給開始時に、初期値に設定された目標制御信号に基づいて操舵補助力を調整することで、直ちに所望の操舵補助力を得るようにするというものが知られている(例えば、特許文献1参照)。ここでは、車両の走行中に電源瞬断が生じた場合には上記のような初期化を禁止することで、操舵補助力の急変を防止している。
特開平7−329813号公報
しかしながら、制御実施条件不成立時に制御演算を停止すると共に初期化を行い、制御実施条件不成立からの復帰時にトルク徐変機能を用いて急激なトルク入力を抑制する場合、トルク徐変機能により徐々に出力を戻すことになるため、出力値が数秒間制限された状態となり、操舵補助制御が通常制御状態へ復帰するまでに時間を要するため、運転者に違和感を与える可能性がある。
また、上記特許文献1に記載のパワーステアリング制御装置にあっては、車載バッテリが瞬断状態にある場合即ちトルク制御及び電流制御が動作できない状態である場合にのみ、上記初期化を行うようにしており、例えば、マイコンは動作できるが回路保護や入力値の信頼性の問題(ノイズや接触不良によるトルク信号の急変など)によってモータ出力を停止すべき場合などの制御実施条件不成立時には対応することができない。
そこで、本発明は、制御実施条件不成立時における回路保護と、正常状態への復帰時におけるステアリング挙動変化の抑制とを実現する電動パワーステアリング装置を提供することを課題としている。
上記課題を解決するために、請求項1に係る電動パワーステアリング装置は、操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、操舵系に付与する操舵補助トルクを発生する電動モータと、少なくとも前記操舵トルク検出手段で検出した操舵トルクに基づいて前記電動モータを駆動制御する操舵補助制御を行う操舵補助制御手段とを備えた電動パワーステアリング装置であって、
前記操舵補助制御の実施条件が不成立であるとき、前記操舵補助制御の出力のみを停止し、制御演算を継続する演算継続手段を備えることを特徴としている。
また、請求項2に係る電動パワーステアリング装置は、請求項1に係る発明において、前記操舵補助制御手段は、前記操舵トルク検出手段で検出した操舵トルクに基づいて前記電動モータの電流指令値を演算するトルク制御手段と、該トルク制御手段から出力される電流指令値に基づいて前記電動モータを駆動制御する電流制御手段とを有し、前記演算継続手段は、前記トルク制御手段による前記操舵トルクに基づく電流指令値の演算を継続し、前記電流制御手段に対して出力する電流指令値を零とすることを特徴としている。
さらに、請求項3に係る電動パワーステアリング装置は、請求項2に係る発明において、前記演算継続手段は、前記電流指令値の演算に際し、当該電流指令値のゲインを零に向けて徐々に減少する漸減手段を備えることを特徴としている。
また、請求項4に係る電動パワーステアリング装置は、請求項2又は3に係る発明において、前記トルク制御手段は、前記操舵補助制御の実施条件不成立から当該実施条件成立へ移行したとき、前記電流指令値のゲインを通常時ゲインに向けて徐々に増加する漸増手段を備えることを特徴としている。
さらに、請求項5に係る電動パワーステアリング装置は、請求項1〜4の何れか1項に係る発明において、前記操舵補助制御の実施条件が不成立であるときに、当該操舵補助制御の実施条件不成立期間が所定期間以上であることを検出又は推定したとき、前記操舵補助制御の制御演算及び出力を停止し、当該操舵補助制御の制御演算値を初期化する初期化手段を備えることを特徴としている。
本発明に係る電動パワーステアリング装置によれば、操舵補助制御の実施条件不成立時に、操舵補助制御の制御演算を継続し出力のみを停止するので、即座にモータ出力が停止されて回路保護を適切に行うことができると共に、短時間で正常状態に復帰するときには、異常発生の前後で制御器の演算に継続性をもたせることができ、操舵感を向上させることができるという効果が得られる。また、これは、マイコンは動作できるが回路保護や入力値の信頼性の問題によりモータ出力を行うことができないような状態においても効果的である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る電動パワーステアリング装置の一実施形態を示す全体構成図である。
図中、符号1は、ステアリングホイールであり、このステアリングホイール1に運転者から作用される操舵力が入力軸2aと出力軸2bとを有するステアリングシャフト2に伝達される。このステアリングシャフト2は、入力軸2aの一端がステアリングホイール1に連結され、他端はトルクセンサ3を介して出力軸2bの一端に連結されている。
そして、出力軸2bに伝達された操舵力は、ユニバーサルジョイント4を介してロアシャフト5に伝達され、さらに、ユニバーサルジョイント6を介してピニオンシャフト7に伝達される。このピニオンシャフト7に伝達された操舵力はステアリングギヤ8を介してタイロッド9に伝達され、図示しない転舵輪を転舵させる。ここで、ステアリングギヤ8は、ピニオンシャフト7に連結されたピニオン8aとこのピニオン8aに噛合するラック8bとを有するラックアンドピニオン形式に構成され、ピニオン8aに伝達された回転運動をラック8bで直進運動に変換している。
ステアリングシャフト2の出力軸2bには、操舵補助力を出力軸2bに伝達する操舵補助機構10が連結されている。この操舵補助機構10は、出力軸2bに連結した減速ギヤ11と、この減速ギヤ11に連結されて操舵系に対して操舵補助力を発生する電動モータ12とを備えている。
トルクセンサ3は、ステアリングホイール1に付与されて入力軸2aに伝達された操舵トルクを検出するもので、操舵トルクを入力軸2a及び出力軸2b間に介装した図示しないトーションバーの捩れ角変位に変換し、この捩れ角変位を例えばポテンショメータで検出するように構成されている。このトルクセンサ3から出力されるトルク検出値Tは、操舵補助制御装置20に入力される。
この操舵補助制御装置20には、トルク検出値Tの他に、車速センサ16で検出した車速検出値Vも入力される。そして、操舵補助制御装置20は、入力されるトルク検出値T及び車速検出値Vに応じた操舵補助力を操舵系に付与するように電動モータ12を駆動制御する操舵補助制御を行う。
図2は、操舵補助制御装置20の構成を示すブロック図である。この図2に示すように、操舵補助制御装置20は、異常検出部21と、電流指令値演算部22と、徐変処理部23と、減算器24と、電流制御部25と、モータ駆動部26とを備えている。
ここで、スイッチAは、異常検出部21から論理値“0”の異常検出信号Sが出力されているときには実線で示す状態となっており、異常検出部21から論理値“1”の異常検出信号Sが出力されると破線で示す状態に切り換わるようになっている。
異常検出部21は、後述する異常検出処理を実行し、操舵補助制御の実施条件が成立している正常時には論理値“0”の異常検出信号Sを、操舵補助制御の実施条件が外れている異常発生時には論理値“1”の異常検出信号Sを、徐変処理部23及びスイッチAに出力する。
電流指令値演算部22は、トルクセンサ3で検出したトルク検出値T及び車速センサ16で検出した車速検出値Vに基づいて、図3に示す操舵補助電流指令値算出マップを参照し、電動モータ12の駆動制御を行うための電流指令値Itを演算し、徐変処理部23に出力する。
ここで、操舵補助電流指令値算出マップは、横軸に操舵トルクTをとり、縦軸に電流指令値Itをとると共に、車速検出値Vをパラメータとした放物線状の曲線で表される特性線図で構成され、操舵トルクTが“0”からその近傍の設定値Ts1までの間は電流指令値Itが“0”を維持し、操舵トルクTが設定値Ts1を超えると最初は電流指令値Itが操舵トルクTの増加に対して比較的緩やかに増加するが、さらに操舵トルクTが増加すると、その増加に対して電流指令値Itが急峻に増加するように設定され、この特性曲線が、車速が増加するに従って傾きが小さくなるように設定されている。
徐変処理部23は、異常検出部21から論理値“0”の異常検出信号Sが入力されているとき、電流指令値演算部22から入力される電流指令値Itに出力ゲインGをかけ、その結果を電流指令値Irとして出力する。具体的には、電流指令値Itの出力ゲインGを、通常時ゲイン(例えば、100%)を上限として徐々に増加することで、電流指令値Itを漸増する徐変処理を実行する。すなわち、出力ゲインG=100%であるときには、電流指令値演算部22から入力される電流指令値Itをそのまま電流指令値Irとして出力する。
また、徐変処理部23は、異常検出部21から論理値“1”の異常検出信号Sが入力されているときにも、同様に、電流指令値演算部22から入力される電流指令値Itに出力ゲインGをかけ、その結果を電流指令値Irとして出力する。この場合には、電流指令値Itの出力ゲインGを、異常時ゲイン(例えば、0%)を下限として徐々に減少することで、電流指令値Itを漸減する徐変処理を実行する。
減算器24は、スイッチAの切り換え位置に応じた電流指令値Ir(徐変処理部23から出力される電流指令値Ir又は電流指令値Ir=0)に、モータ電流検出器15で検出されたモータ電流Imをフィードバックし、電流指令値Irとモータ電流Imとの偏差(=Ir−Im)により電流フィードバック補正値Ioutを算出し、これを電流制御部25に出力する。
電流制御部25は、電流フィードバック補正値Ioutに基づいて、モータ駆動部25の半導体スイッチング素子を駆動するPWM信号のデューティ比Eを演算する。
モータ駆動部26は、電流制御部25から出力されるデューティ比Eに基づいて、半導体スイッチング素子で構成されたHブリッジ回路を作動させて電動モータ12を駆動する。
なお、この図2において、電流指令値演算部22及び徐変処理部23でトルク制御器を構成し、減算器24、電流制御部25及びモータ駆動部26で電流制御器を構成している。
次に、異常検出部21で実行される異常検出処理手順について図4のフローチャートをもとに説明する。この異常検出処理は所定時間毎に実行され、先ず、ステップS1で、異常検出部21は、操舵補助制御の実施条件が成立しているか否かを判定する。ここで、操舵補助制御の実施条件として、電圧状態、デバイス状態及びシステム状態を判定するものとし、バッテリ電圧が操舵アシスト可能な電圧範囲内にある場合や、リレー回路、モータ駆動回路及び操舵補助制御に用いる各種センサが正常に動作している場合、ソフトウェア状態として操舵アシスト許可中である場合に、操舵補助制御の実施条件が成立しているものとする。
そして、このステップS1で、操舵補助制御の実施条件が成立していると判定したときには、システムに異常が発生していないものと判断してステップS2に移行し、上記実施条件が不成立であると判定したときには後述するステップS3に移行する。
ステップS2では、異常検出部21は、論理値“0”の異常検出信号Sを徐変処理部23及びスイッチAに出力してから、異常検出処理を終了する。
ステップS3では、異常検出部21は、所定の特定条件が成立しているか否かを判定する。具体的には、瞬間的な異常であり直ぐに操舵補助制御の実施条件が成立した正常状態に復旧することが想定される場合や、前述した電流指令値Itの出力ゲインGが0%でない場合、制御実施条件不成立からの経過時間が所定時間(例えば、500ms)に達していない場合、さらにはアンチキックバック制御など特定条件下での不安定な挙動を抑えるために動作させた方が良い制御がある場合に、特定条件が成立していると判断する。
そして、このステップS3で、上記特定条件が成立していると判定したときには、操舵補助制御装置20におけるトルク制御及び電流制御を継続して行い、電動モータ12への出力のみを停止するものとしてステップS4に移行し、上記特定条件が不成立であると判定したときには後述するステップS5に移行する。
ステップS4では、異常検出部21は、論理値“1”の異常検出信号Sを徐変処理部23及びスイッチAに出力してから、異常検出処理を終了する。
また、ステップS5では、異常検出部21は、操舵補助制御装置20におけるトルク制御及び電流制御の制御演算を停止し、制御変数を初期化(リセット)してから異常検出処理を終了する。
次に、本実施形態の動作及び効果について説明する。
今、車両走行中に運転者がステアリングホイールを比較的大きく操作しているものとする。この場合には、先ず、電流指令値演算部22で、トルク検出値T及び車速検出値Vに基づいて、図3の操舵補助電流指令値算出マップから電流指令値Itが演算される。このとき、システムに異常が発生しておらず、操舵補助制御の実施条件が成立しているものとすると、異常検出部21は、図4のステップS1でYesと判定してステップS2に移行し、論理値“0”の異常検出信号Sを徐変処理部23及びスイッチAに出力する。これにより、スイッチAは図2の実線で示す状態となる。また、徐変処理部23では電流指令値Itの出力ゲインGが100%に設定されていることから、電流指令値Itを漸増する徐変処理が行われることはない。したがって、電流指令値演算部22で演算された電流指令値Itがそのまま電流指令値Irとして電流制御部25に出力されるため、この電流指令値Irに基づいて電動モータ12が駆動制御され、電動モータ12の発生トルクが減速ギヤ11を介してステアリングシャフト2の回転トルクに変換されて、運転者の操舵力がアシストされる。
このような正常状態から、図5の時刻t1で、バッテリ電圧が操舵アシスト可能な電圧範囲を超えるなどにより、操舵補助制御の実施条件が不成立となると、異常検出部21は、図4のステップS1でNoと判定してステップS3に移行する。このとき、瞬間的な異常であり直ぐに正常状態へ復旧すると想定されたものとすると、特定条件が成立してステップS3からステップS4に移行し、論理値“1”の異常検出信号Sが徐変処理部23及びスイッチAに出力される。これにより、スイッチAは図2の破線で示す状態となり、実際のトルク制御器の出力値は図5(b)に示すように“0”となる。このように、操舵補助制御の実施条件が不成立となったときには、操舵補助制御の出力を直ちに“0”とする。
図6は、制御演算器内の出力状態を示す図である。本実施形態では、操舵補助制御の実施条件が不成立となっても、特定条件が成立しているときには制御変数はリセットしない。制御には入力から出力までに所定の応答時間(数ms〜数10ms)があるため、トルク制御器から0入力を行っても出力は瞬間的に0とならず、図6の破線に示すように、時刻t1から徐々に0出力となる。
また、時刻t1で徐変処理部23に論理値“1”の異常検出信号Sが出力されることから、この時刻t1からは、徐変処理部23において、電流指令値Itの出力ゲインGが100%から徐々に0%まで減少される徐変処理が行われる(図5(a))。そのため、トルク制御器の演算値は、図5(b)の破線に示すように、出力ゲインGの減少に伴って徐々に“0”に向けて低下する。
一方、電流制御部25では、電流指令値Ir=0として制御演算が継続される。このように電流指令値を零として演算を継続することで、積分器に値が溜まることを抑えながら制御器を動作させることが可能となる。
そして、操舵補助制御の実施条件が不成立となった時刻t1から所定の短時間(数ms)が経過した時刻t2で正常状態に復帰して、操舵補助制御の実施条件が成立すると、異常検出部21は、図4のステップS1でYesと判定してステップS2に移行し、論理値“0”の異常検出信号Sを徐変処理部23及びスイッチAに出力する。これにより、スイッチAは図2の実線で示す状態となり、トルク制御器の演算値がそのまま実際のトルク制御器の出力値となる。
また、この時刻t2では、制御の応答遅れによって、図6に示すように制御演算器内部には値が残ったままとなっており、時刻t2以降はこの時点での制御演算器内の出力からの復帰となる。
このように、制御実施条件不成立時に特定条件が成立しているときには、トルク制御及び電流制御の制御演算を継続し、制御変数の初期化を行わないので、異常発生前後で演算に継続性をもたせることができ、初期化処理を行ったときと比較して操舵感を向上させることができる。
また、制御実施条件不成立時に特定条件が成立しているときには、電流指令値Itの出力ゲインGを徐々に減少する徐変処理を行うので、復帰時の急激な車両挙動を適切に低減することができより操舵感を向上させることができる。
そして、時刻t2で徐変処理部23に論理値“0”の異常検出信号Sが出力されることから、この時刻t2からは、徐変処理部23において、電流指令値Itの出力ゲインGが100%に向けて徐々に増加される徐変処理が行われる(図5(a))。そのため、トルク制御器の演算値(実際の出力値)も、図5(b)に示すように、出力ゲインGの増加に伴って徐々に増加する。このように、正常状態への復帰時には出力ゲインGを徐変して電流指令値Itを漸増するので、復帰時の急激なステップ入力を抑制して操舵感が悪化したり車両挙動が不安定となったりすることを防止することができる。その後、時刻t3で出力ゲインGが100%となると通常制御状態に復帰する。
すなわち、正常状態へ復帰した時刻t2から出力ゲインGが100%となる時刻t3までの間のモータ出力は、通常制御状態での出力と比較して出力ゲインGの低下分だけ制限された状態となる。
ところで、電動パワーステアリング装置として、操舵補助制御の実施条件が不成立となったとき、正常状態へ復帰するまでの時間にかかわらず、トルク制御及び電流制御の制御演算を停止して出力を停止すると共に、制御内で使用している入出力値や中間変数などの初期化を行うというものがある。
この場合、入力トルクが比較的大きい状態で異常が発生し、その後短時間で正常状態へ復帰すると、中立状態から大きなトルクがステップ状に制御器に入力されることになる。そのため、トルク制御内の微分制御器において急激な入力があったものと判断し、必要以上の出力を行ってしまうため、電圧の急変など比較的短時間(数ms〜数百ms)で正常状態に戻るような場合には、ハンドルが取られるような感覚を与えるなど操舵感が悪化するばかりでなく、著しい車両挙動変化が発生してしまう。
そこで、制御条件不成立からの復帰時には、トルク徐変機能を用いて急激なステップ入力を抑制することが考えられている。このときの動作を、図7及び図8をもとに説明する。
図7の時刻t11で操舵補助制御の実施条件が不成立となったものとすると、モータへの出力が停止される。このとき、トルク制御及び電流制御の制御演算が停止されると共に、制御内で使用している入出力値や中間変数などの初期化が行われる。そして、操舵補助制御の実施条件が不成立となってから比較的短時間が経過した時刻t12で、正常状態に復帰して操舵補助制御の実施条件が成立すると、徐変機能により0%から100%に向けて出力が徐々に増加する。そして、時刻t13で出力ゲインGが100%となると、通常制御状態に復帰する。
このように、正常状態への復帰時には0%からの復帰となるため、本実施形態(図7の破線)と比較して、通常制御状態に復帰するまでに長時間を要する。また、その間、出力値がゲイン低下分だけ制限された状態となるため、運転者の操舵負担が適切に軽減されず、運転者に違和感を与える可能性がある。
また、図8に示すように、時刻t11で操舵補助制御の実施条件が不成立となると、制御変数がリセットされるため、制御演算器内の出力はこの時点で瞬間的に“0”となる。そのため、操舵補助制御の実施条件が不成立となってから比較的短時間が経過した時刻t12で、正常状態に復帰して操舵補助制御の実施条件が成立すると、出力0からの復帰となり、異常発生の前後で連続性が悪い。
これに対して、本実施形態では、操舵補助制御の実施条件が不成立となっても、比較的短時間で正常状態に復帰することが想定される場合など、特定条件下ではトルク制御及び電流制御の演算を正常時と同様に継続し、出力のみを停止するので、制御実施条件不成立から直ぐに正常状態に復旧した場合には、比較的短時間で通常制御状態に復帰することができる。
また、操舵補助制御の実施条件が不成立となっても、比較的短時間で正常状態に復帰することが想定される場合など、特定条件下では制御変数をリセットしないため、異常発生の前後で制御器の演算に継続性を持たせることができる。
次に、比較的長時間の異常が発生した場合の動作を説明する。
図9の時刻t21で操舵補助制御の実施条件が不成立となると、異常検出部21は、図4のステップS1でNoと判定してステップS3に移行し、特定条件が成立しているときにはステップS3からステップS4に移行して、論理値“1”の異常検出信号Sが徐変処理部23及びスイッチAに出力され、スイッチAは図2の破線で示す状態となる。このとき、実際の出力値は図9(b)に示すように“0”となる。
この時刻t21で徐変処理部23に論理値“1”の異常検出信号Sが出力されることから、時刻t21からは、徐変処理部23において、電流指令値Itの出力ゲインGが100%から徐々に0%まで減少される徐変処理が行われる(図9(a))。そのため、トルク制御器の演算値は、図9(b)の破線に示すように、出力ゲインGの減少に伴って徐々に“0”に向けて低下する。
その後、時刻t22で出力ゲインGが0%となると、ステップS3で特定条件が不成立となってステップS5に移行し、トルク制御及び電流制御の制御演算を停止すると共に、制御内で使用している入出力値や中間変数などの初期化を行う。
そして、時刻t23で正常状態に復帰し、操舵補助制御の実施条件が成立すると、異常検出部21は、図4のステップS1でYesと判定してステップS2に移行し、論理値“0”の異常検出信号Sを徐変処理部23及びスイッチAに出力する。これにより、スイッチAは図2の実線で示す状態となり、トルク制御及び電流制御が再開される。
時刻t23で徐変処理部23に論理値“0”の異常検出信号Sが出力されることから、この時刻t23からは、徐変処理部23において、電流指令値Itの出力ゲインGが100%に向けて徐々に増加される徐変処理が行われる(図9(a))。このとき、出力ゲインGは0%からの復帰となる。そして、この出力ゲインGの増加に伴って、トルク制御器の演算値(実際の出力値)も、図9(b)に示すように徐々に増加する。その後、時刻t24で出力ゲインGが100%となると通常制御状態に復帰する。
このように、異常発生から正常状態への復帰に比較的長時間を要する場合には、復帰時に出力ゲインGを0%から復帰させることになる。これは、前述したように、正常状態へ復帰するまでの時間にかかわらず、トルク制御及び電流制御の制御演算を停止して出力を停止すると共に、制御内で使用している入出力値や中間変数などの初期化を行う場合と同様の動作となる。
したがって、操舵補助制御の実施条件が不成立となったとき、長時間(例えば、500ms)正常状態に復旧しないと想定される場合など、特定条件が不成立であるときには、トルク制御及び電流制御の演算を直ちに停止すると共に中間変数等の初期化を行うので、不必要にトルク制御及び電流制御を継続させることを防止することができる。
また、操舵補助制御の実施条件が不成立となった後、特定条件が成立している間は、トルク制御の出力のみを停止して演算を継続するので、その間に正常状態に復帰して操舵補助制御の実施条件が成立した場合には、通常制御状態への復帰を早く行うことができるなど、短時間で正常状態に復帰する可能性のある場合に適切に対応することができる。
このように、上記実施形態では、操舵補助制御の実施条件が不成立であるとき、操舵補助制御の出力のみを停止し、制御演算を継続するので、異常発生前後で制御器の演算に継続性をもたせることができ、制御実施条件不成立から制御実施条件成立へ復帰したときのステアリング挙動を抑制することができる。特に、マイコンが動作できるが回路保護や入力値の信頼性の問題によりモータ出力を行えない状態においても、制御演算を継続して行うことができ効果的である。
また、制御実施条件が不成立であるときに制御演算を継続するので、制御実施条件不成立から短時間で制御実施条件成立へ復帰し、徐変処理によって徐々に出力を戻す場合には、制御実施条件不成立時に制御演算を停止すると共に初期化を行う場合と比較して、比較的早い段階で通常制御状態での出力まで復帰させることができ、徐変処理中の出力が制限された期間を短縮させることができる。
さらに、操舵補助制御の実施条件が不成立であるとき、トルク制御器の演算は、故障前と同様にトルクセンサからの入力値を用いて行うため、故障の前後でトルク入力の変化を抑制することができ、電流指令値の出力の変化を抑制することができる。
また、電流制御器は、電流指令値を零にして演算を継続するので、積分器に値が溜まることを抑制しながら制御器を動作させることができる。これにより、異常発生から短時間で正常状態に復帰する場合には、積分器に値が残った状態となるため、制御の再開時に演算に継続性をもたせることができ、制御演算値を初期化(リセット)する場合と比較して操舵感を向上させることができる。
さらにまた、操舵補助制御の実施条件が不成立であるとき、電流指令値の演算に際し、電流指令値のゲインを零に向けて徐々に減少するので、電流指令値を急激に零とすることに起因する操舵感への影響を抑制することができる。
また、操舵補助制御の実施条件不成立から当該実施条件成立へ復帰したとき、電流指令値のゲインを通常時ゲイン(100%)に向けて徐々に増加するので、電流制御器へのステップ入力による制御器への悪影響を防止することができると共に、急激な車両挙動変化を低減して操舵感を向上させることができる。
さらに、操舵補助制御の実施条件が不成立であるときに、当該操舵補助制御の実施条件不成立期間が所定期間以上であることを検出又は推定したとき、操舵補助制御の制御演算及び出力を停止し、制御演算値の初期化を行うので、不必要に制御演算を継続することを防止することができる。
なお、上記実施形態においては、ブラシモータシステムを適用する場合について説明したが、電動モータとしてブラシレスモータを適用することもできる。
本発明の実施形態における車両の概略構成図である。 本実施形態における操舵補助制御装置の構成を示すブロック図である。 操舵補助電流指令値算出マップである。 異常検出処理部で実行される異常検出処理手順を示すフローチャートである。 短時間で正常状態に復帰する場合の動作を説明するための図である。 短時間で正常状態に復帰する場合の制御演算器内の出力状態を示す図である。 従来の動作を説明するための図である。 従来の動作を説明するための図である。 長時間異常状態が継続した場合の動作を説明するための図である。
符号の説明
1…ステアリングホイール、2…ステアリングシャフト、3…トルクセンサ、10…操舵補助機構、11…減速ギヤ、12…電動モータ、15…モータ電流検出器、16…車速センサ、20…操舵補助制御装置、21…異常検出部、22…電流指令値演算部、23…徐変処理部、24…減算器、25…電流制御部、26…モータ駆動部

Claims (5)

  1. 操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、操舵系に付与する操舵補助トルクを発生する電動モータと、少なくとも前記操舵トルク検出手段で検出した操舵トルクに基づいて前記電動モータを駆動制御する操舵補助制御を行う操舵補助制御手段とを備えた電動パワーステアリング装置であって、
    前記操舵補助制御の実施条件が不成立であるとき、前記操舵補助制御の出力のみを停止し、制御演算を継続する演算継続手段を備えることを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  2. 前記操舵補助制御手段は、前記操舵トルク検出手段で検出した操舵トルクに基づいて前記電動モータの電流指令値を演算するトルク制御手段と、該トルク制御手段から出力される電流指令値に基づいて前記電動モータを駆動制御する電流制御手段とを有し、前記演算継続手段は、前記トルク制御手段による前記操舵トルクに基づく電流指令値の演算を継続し、前記電流制御手段に対して出力する電流指令値を零とすることを特徴とする請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
  3. 前記演算継続手段は、前記電流指令値の演算に際し、当該電流指令値のゲインを零に向けて徐々に減少する漸減手段を備えることを特徴とする請求項2に記載の電動パワーステアリング装置。
  4. 前記トルク制御手段は、前記操舵補助制御の実施条件不成立から当該実施条件成立へ移行したとき、前記電流指令値のゲインを通常時ゲインに向けて徐々に増加する漸増手段を備えることを特徴とする請求項2又は3に記載の電動パワーステアリング装置。
  5. 前記操舵補助制御の実施条件が不成立であるときに、当該操舵補助制御の実施条件不成立期間が所定期間以上であることを検出又は推定したとき、前記操舵補助制御の制御演算及び出力を停止し、当該操舵補助制御の制御演算値を初期化する初期化手段を備えることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の電動パワーステアリング装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014136563A (ja) * 2013-01-18 2014-07-28 Toyota Motor Corp 車両制御システムおよび走行状態取得装置
JP2018058512A (ja) * 2016-10-06 2018-04-12 株式会社ジェイテクト 車両用操舵装置

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