JP2008545759A - コレステリルエステル転送タンパク質(cetp)活性の調節 - Google Patents

コレステリルエステル転送タンパク質(cetp)活性の調節 Download PDF

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Abstract

本発明は、コレステリルエステル転送タンパク質(CETP)のN末端に由来するB細胞エピトープ部分と連結されたユニバーサルヘルパーT細胞エピトープ部分を含む自己抗原性ワクチンペプチドに関する。このワクチンペプチドは、ワクチン接種した個体に自己免疫反応を誘発するのに、すなわち、個体の内在性CETPに対する抗体を上昇させるのに有用である。これは、ひいては循環CETP活性を調節し、LDL−コレステロールレベルを減少させ、かつHDL−コレステロールレベルを増加させ、つまるところ、アテローム性動脈硬化のような心血管疾患を治療するのに役立つ。
【選択図】図5

Description

本発明は、ヘルパーT細胞エピトープタンパク質とコレステリルエステル転送タンパク質(CETP)のN末端領域に由来するB細胞エピトープタンパク質を含むハイブリッドワクチンペプチドに関する。このワクチンペプチドは、当該ペプチドを投与された個体において内在性CETP活性に対する自己免疫反応を誘発させるのに有用である。CETP活性の制御は、アテローム性動脈硬化のような心血管疾患を予防又は治療するのに役立つ。
心血管疾患の治療及び予防、特にコレステリルエステル転送タンパク質(cholesteryl ester transfer protein:CETP)の活性を直接制御することによるアテローム性動脈硬化の予防及び治療の領域で、有望な新しい研究分野が開かれた。ヒトCETPは、476アミノ酸で、かつ約66,000〜74,000ダルトンの分子量を有する疎水性糖タンパク質である(Heslerら, J. Biol. Chem., 262: 2275-2282 (1987))。CETPは、高密度リポタンパク質(high density lipoproteins:HDL)から低密度リポタンパク質(low density lipoproteins:LDL)及び超低密度リポタンパク質(very low density lipoproteins:VLDL)のようなトリグリセリド(TG)リッチなリポタンパク質へのコレステリルエステルの転送や、またVLDLからHDLへのTGの相互交換を仲介する(Hesler ら、同上)。CETPの領域は、カルボキシ末端の26アミノ酸によって定義され、とりわけ470〜475番のアミノ酸は、中性脂肪輸送に関与する中性脂肪結合に特に重要であることがわかっている(Heslerら, J. Biol. Chem., 263: 5020-5023 (1988))。CETPは、コレステリルエステル及びリポタンパク質の様々な種類と関連するTGのレベルを調節するのに関与し得る。高いCETPコレステリルエステル転送活性は、LDLに結合したコレステロール及びVLDLに結合したコレステロールのレベルの増加と相関関係があった。これは、ひいては、心血管疾患のリスクの増加と関係する(例えば、Tatoら, Arterioscler. Thromb. Vascular Biol., 15: 112-120 (1995)を参照されたい)。
アテローム性動脈硬化のような心血管疾患に対する罹患性の減少は、一般に循環HDL-コレステロール(又はHDLc、いわゆる「善玉コレステロール」)の絶対レベルの増加、またLDL-コレステロール(LDLc、いわゆる「悪玉コレステロール」)の循環レベルに対する相対的なHDLcのレベルの増加と相関している。例えば、Castelliら, J. Am. Med. Assoc., 256: 2835-2838 (1986)を参照されたい。
したがって、内在性CETP活性の抑制は、リポタンパク質の相対レベルを調節する魅力的な治療方法である。これは、ひいては、血流中の循環HDLc:LDLc比を増加することによって、アテローム性動脈硬化のような心血管疾患の進行を妨げ、又はその退縮を誘導するのに有効である。
米国特許第6,410,022号及び米国特許第6,284,533号には、アテローム性動脈硬化の治療又は予防用にCETP活性の調節又は抑制に使用するための抗原性ワクチンペプチド及びプラスミドベースワクチンがそれぞれ記載されている。開示されたワクチンペプチドは、B細胞エピトープを含むCETP由来のペプチドに連結されたユニバーサルヘルパーT細胞エピトープペプチドから成る。哺乳動物に投与した場合、当該ワクチンペプチドは、哺乳動物自身の内在性CETPを認識する在来の抗体をもたらす抗体反応を生じる。これは、ひいては、CETP活性の減少を引き起こす。これらの特許で示されたデータは、CETPのC末端部分に由来するB細胞エピトープ(すなわち、ヒトCETPの461〜476番のアミノ酸)を含むワクチンペプチドの使用が抗在来CETP抗体を産生する自己免疫反応、HDL対LDL/VLDL比の増加、循環コレステロールレベルの低下、及び当該ワクチンペプチドでワクチン接種された実験動物の動脈におけるアテローム性動脈硬化症の発症の著しい減少をもたらすことを示している。
前述の開発は、コレステロール代謝を調節するための及び心血管疾患に治療的措置を施すためのスタチン薬に代わるアプローチの開発として非常に有望である。ヒトCETPのC末端16アミノ酸の上流にあるその他のB細胞エピトープは、様々な研究で示されている(例えばSwensonら, J. Biol. Chem., 264(24): 14318-14326 (1989)を参照されたい)。しかし、ワクチン接種した個体に、個体に在来する内在性CETPの脂質転送活性を中和することのできる抗体の産生をもたらす免疫反応を誘発する効果がある他のハイブリッドCETP B細胞エピトープ/ユニバーサルヘルパーT細胞エピトープワクチンペプチドについてのデータは、示されていないようである。したがって、改善されたワクチンペプチド、あるいはCETP活性を標的とする以前に報告されたワクチンペプチドに対する非応答者又は低応答者の治療のための代替的若しくは補足的ワクチンとして使用することのできるワクチンペプチドの開発の必要性がまだ残っている。
発明の概要
本願において開示されたように、CETP分子のN末端部分に由来するB細胞エピトープを含むワクチンぺプチドは、ユニバーサルヘルパーT細胞エピトープに連結されると、抗内在性CETP反応を引き起こす自己抗原性ワクチンペプチドを提供し、該ワクチンペプチドを接種した哺乳動物被験体のCETP活性の減少をもたらすという驚くべき知見が得られた。本発明のワクチンペプチドは、哺乳動物に投与すると、血流中のCETPの活性レベルを減少させ、また循環HDL-コレステロールのレベルを増加させる効果がある。したがって、心血管疾患、特にアテローム性動脈硬化の治療にも有用である。本発明のワクチンペプチドは、CETPのN末端領域に由来するB細胞エピトープ部分を利用しており、これまでに報告されたCETPのC末端領域のB細胞エピトープ部分を利用したワクチンペプチドに匹敵するか、若しくはより優れた自己免疫活性を有する。この事実は、CETPを介した中性脂肪の結合及び転送におけるC末端領域の重要性が証明されていた(Heslerら, J. Biol. Chem., 263: 5020-5023 (1988)を参照されたい)だけに、いささか驚くべきことである。
本発明は、コレステリルエステル転送タンパク質(CETP)活性の抑制に有用な組成物及び方法を提供する。特に、哺乳動物に投与した際に、その哺乳動物自身の内在性CETPに対する抗体反応を上昇させ、結果的にワクチンを投与した被験体における全体的なCETP活性の減少、及び/又は血清HDLcレベルの上昇、及び/又は血中コレステロールのレベルの減少、及び/又は血清LDLc若しくはVLDLcレベルの減少をもたらすワクチンペプチドが記載されている。これらのワクチンペプチドは、当該ワクチンペプチドでワクチン接種された被験体の動脈におけるアテローム性動脈硬化症の発症を抑制すると考えられることから、アテローム性動脈硬化の治療に役立つ。
前記ワクチンペプチドは、CETP B細胞エピトープ部分とユニバーサル(又は「広範囲」)ヘルパーT細胞エピトープ部分を含んでいる。B細胞エピトープ部分は、CETP(好ましくはヒトCETP)のN末端21アミノ酸のうち6〜21個連続したアミノ酸を含んでおり、ユニバーサルヘルパーT細胞エピトープ部分は、多数のクラスII主要組織適合性複合体(MHC)分子の抗原提示部位に結合するユニバーサルな免疫原性ヘルパーT細胞エピトープを含んでいる。B細胞エピトープ及びユニバーサルヘルパーT細胞エピトープ部分はお互いに連結され(好ましくは共有結合的に連結され、最も好ましくはペプチド若しくはアミド結合により連結され)、融合ペプチドを形成している。好ましい融合ペプチドは、ユニバーサルヘルパーT細胞エピトープ部分の上流(N末端側)に連結されたB細胞エピトープであろう。しかし、その逆の配置も考えられる。本発明のワクチンペプチドの多量体、特に二量体も想定されている。
好ましい実施形態において、本発明のワクチンペプチドのユニバーサルヘルパーT細胞エピトープ部分は、破傷風毒素若しくはジフテリア毒素の短いセグメントのようなアミノ酸の免疫原性セグメント、又は百日咳ワクチン、カルメット・ゲラン桿菌(BCG)、ポリオワクチン、麻疹ワクチン、おたふく風邪ワクチン、風疹ワクチン、及びツベルクリンの精製タンパク質誘導体(PPD)に由来する公知の免疫原性ペプチドである。キーホールリンペットヘモシアニン(KHH)のような免疫原性担体タンパク質も使用することができる。さらに、様々なユニバーサルヘルパーT細胞エピトープをお互いに連結して本発明のワクチンペプチドの複合ユニバーサルヘルパーT細胞エピトープを形成することができる。野生型のユニバーサルヘルパーT細胞エピトープに加えて、完全に天然のアミノ酸か、又は天然のアミノ酸と非天然若しくは合成的に改変されたアミノ酸残基の組み合わせからなるペプチドで構成された設計ペプチドエピトープが使用されてもよい。前記非天然ユニバーサルヘルパーT細胞エピトープは、例えば、PADRETM designationで知られるようなpan-DRエピトープペプチド(Alexanderら, Immunity, 1:751-762 (1994)を参照されたい)を含む。
本発明のワクチンペプチドの好ましい実施形態において、配列QYIKANSKFIGITE(配列番号1)を有する破傷風毒素由来のユニバーサルヘルパーT細胞エピトープは、B細胞エピトープ部分のC末端に共有結合的に連結されている。このB細胞エピトープ部分は、ヒトCETPのアミノ末端21個のアミノ酸の配列、すなわちCSKGTSHEAGIVCRITKPALL(配列番号2)を有するペプチドを含む。破傷風毒素のセグメントは、ペプチドの二量体化を可能にする末端システイン残基を含んでいてもよい。より好ましくは、本発明のワクチンペプチドは、CETPタンパク質のN末端に由来する2〜21番アミノ酸、すなわちSKGTSHEAGIVCRITKPALL(配列番号3)(ここでは、ヒトCETPのN末端システイン残基が除去されている)に(好ましくは、共有結合的に)連結された破傷風毒素由来のアミノ酸配列QYIKANSKFIGITE(配列番号1)を含む。本発明のペプチドの最も好ましい実施形態は、以下の配列、すなわち、CSKGTSHEAGIVCRITKPALLQYIKANSKFIGITE(配列番号4)及びSKGTSHEAGIVCRITKPALLQYIKANSKFIGITE(配列番号5)のいずれか一方からなるB細胞エピトープ部分とユニバーサルヘルパーT細胞エピトープ部分を含む融合ペプチドである。他の実施形態は、CETP N末端の21アミノ酸(配列番号2)のうち6〜8個連続したアミノ酸のような、より短い長さのものを使用することができる。他のユニバーサルヘルパーT細胞エピトープ部分を利用する別の実施形態は、例えば、X1KX2VAAWTLKAX1(配列番号42)、X1KX2VAAWTLKAAX1(配列番号48)又はAKX2VAAWTLKAAA(配列番号49)(配列中、X1はD-Alaであり、X2はシクロヘキシルアラニンである)のような前記PADRETMペプチドを取り込んだワクチンペプチドを包含し得る。
本発明のワクチンペプチドはCETP活性のレベルを減少させ、かつ血清HDLcのレベルを上昇させることが、ペプチドを投与したウサギ及びヒトCETPトランスジェニックマウスの双方で実証された。したがって、本発明のワクチンペプチドは、アテローム性動脈硬化のような心血管疾患の治療に有用である。
本発明のワクチンペプチドは、哺乳動物への投与に関して単独で又は製薬上許容可能なアジュバントと組み合わせて使用することができる。最初の免疫後、本発明のワクチンペプチドの追加投与又は「ブースター」投与が、例えば、有益な抗内在性CETP抗体力価をもたらし又は維持する上で有利であり得る。本明細書で開示されたワクチンペプチドは、ユニバーサルヘルパーT細胞エピトープ部分とCEPP B細胞エピトープ部分とを含み、ここでB細胞エピトープ部分がCETPのN末端領域以外(例えば、中性脂肪結合に関与するC末端領域;米国特許第6,410,022号参照)のCETPセグメントに相当する、類似の構造をもったワクチンペプチドと共に投与することもできる。
本発明は、哺乳動物(好ましくはヒト)に投与されたときに、その被験体の内在性CETPと特異的に反応する自己抗体の産生を誘導し得る自己抗原性融合ポリペプチドをコードするDNA配列を含んだプラスミドDNA分子を含むDNAプラスミドベースのワクチンも意図されている。このような自己抗体は、内在性のCETP活性を抑制し、若しくは血液循環からCETPを除去し、抗動脈硬化性の血清リポタンパク質プロファイル(例えば、HDLcレベルの増加、LDLcレベルの減少、又は血中コレステロールレベルの減少)の形成及び維持を促進し、及び/又はワクチン接種された被験体のアテローム性動脈硬化症の発症を抑制する。
本発明のDNAプラスミドベースワクチンは、ワクチンペプチド融合タンパク質をコードする合成遺伝子からなる。ここでは、少なくとも1つのCETP B細胞エピトープ部分をコードするDNAセグメントは、ユニバーサルヘルパーT細胞エピトープ部分をコードするDNAセグメントとインフレームで連結されている。合成遺伝子は、哺乳動物細胞において合成遺伝子産物の発現に適切なDNA発現制御配列に対して機能し得るように連結されている。
本発明のDNAプラスミドベースワクチンの合成遺伝子においてB細胞エピトープ部分をコードするセグメントは、CETP(好ましくは、ヒトCETP)のアミノ末端21アミノ酸のうち6〜21個連続したアミノ酸をコードするDNA配列からなる。好ましい実施形態において、合成遺伝子のB細胞エピトープ部分をコードするセグメントは、成熟ヒトCETPのN末端21アミノ酸をコードする、又は成熟ヒトCETPのN末端21アミノ酸の2〜21番アミノ酸をコードするヌクレオチド配列からなる。
本発明の好ましいDNAプラスミドベースワクチンは、ユニバーサルヘルパーT細胞エピトープ部分をコードする以下のヌクレオチド配列:5'-CAGTACATCAAGGCCAATAGCAAGTTCATCGGCATTACCGAG-3'(配列番号6)を含む。
好ましいDNAプラスミドベースワクチンは、本発明において有用なCETP B細胞エピトープをコードする以下のヌクレオチド配列:5'-TGTAGCAAGGGCACCTCTCACGAGGCCGGCATCGTGTGCCGGATCACCAAAC CTGCCCTCCTG-3'(配列番号45)を含む。下線を引いた塩基は、野生型の成熟ヒトCETPヌクレオチド配列(配列番号43)と比較したときにサイレントヌクレオチド置換(すなわち、コードされたアミノ酸が不変)を示す。置換はインビボでヒト細胞において最適な発現レベルをもたらすヒトコドン使用用に最適化されている。
本発明の他の好ましいDNAプラスミドベースワクチンは、成熟ヒトCETPの2〜21番アミノ酸(配列番号3)を含むCETP B細胞エピトープをコードするヌクレオチド配列5'-AGCAAGGGCACCTCTCACGAGGCCGGCATCGTGTGCCGGATCACCAAACCTGCCCTCCTG-3'(配列番号46)を包含する。下線を引いた塩基は、野生型の成熟ヒトCETPヌクレオチド配列(配列番号43)と比較したときにサイレントなヌクレオチド置換(すなわち、コードされたアミノ酸が不変)を示す。置換は、ヒトコドン使用用に最適化されている。
本発明のDNAプラスミドベースワクチンに使用するためのユニバーサルヘルパーT細胞エピトープとCETP B細胞エピトープの融合ペプチドをコードする好ましいヌクレオチド配列は、配列5'-TGTAGCAAGGGCACCTCTCACGAGGCCGGCATCGTGTGCCGGATCACCAAACCTGCCCTCCTGCAGTACATCAAGGCCAATAGCAAGTTCATCGGCATTACCGAG-3'(配列番号9)を含む。下線を引いた塩基は、野生型の成熟ヒトCETPヌクレオチド配列(配列番号43)と比較したときのサイレントヌクレオチド置換(すなわち、コードされたアミノ酸が不変)を示す。置換は、ヒトコドン使用用に最適化されている。
本発明のDNAプラスミドベースワクチンで使用するためのユニバーサルヘルパーT細胞エピトープとCETP B細胞エピトープの融合ペプチドをコードするさらに好ましいヌクレオチド配列は、全長成熟ヒトCETPタンパク質のN末端領域に由来する2〜21番アミノ酸をコードするヌクレオチド配列5'-AGCAAGGGCACCTCTCACGAGGCCGGCATCGTGTGCCGGATCACCAAACCTGCCCTCCTGCAGTACATCAAGGCCAATAGCAAGTTCATCGGCATTACCGAG-3'(配列番号47)を含む。下線を引いた塩基は、野生型の成熟ヒトCETPヌクレオチド配列(配列番号43)と比較したときのサイレントヌクレオチド置換(すなわち、コードされたアミノ酸が不変)を示す。置換はヒトコドン使用用に最適化されている。
細胞に取り込まれた本発明のプラスミドベースワクチンは、インビボで転写され、かつ翻訳されて、自己抗原性融合ペプチドを産生する。十分なレベル、かつ十分な期間の発現は、自己抗原性融合ペプチドを曝露して、宿主免疫システムに宿主の内在性CETPと特異的に反応し、かつCETPを仲介した高コレステロール血症を抑制する自己抗体の産生を誘発する。これは、ひいては、抗動脈硬化性血清リポタンパク質プロファイルを促進し、かつ血管内腔の動脈硬化プラークの沈着を阻害する。
図面の説明
図1A及び1Bは、30個のウサギCETP 21mer断片と1種のC末端16mer断片(配列番号10〜40)のそれぞれについてのドットブロット解析のウサギ抗ヒトCETP抗体結合データを示している。全長ヒトCETP(配列番号7)で免疫した11羽のニュージーランドホワイト種のウサギから回収された抗huCETP血清を用いてテストした。
図1Aは、CETP活性の変化率(%)及びHDL-コレステロール(HDLc)の総コレステロールに対する割合を示している。これらは、接種前の−1週目にワクチン接種された各ウサギから回収された血清と接種後12週目でワクチン接種された各ウサギから回収された血清について測定された。ヒトCETPで免疫したウサギのCETP活性における変化及びHDLc/総コレステロール比は、免疫化したウサギで産生された抗huCETP抗体がそれらの在来の(内在性)CETPと交差反応することを示した。
図1Bの結合データは、左から右に向かって、成熟ウサギCETPのN末端の21mer(ペプチド番号1、配列番号10)のデータで始まり、順次連続して(5アミノ酸の重複を有しながら)それぞれ21merでウサギCETPアミノ酸配列長に沿って、16アミノ酸の長さをもつ最もC末端側のペプチド、すなわちペプチド番号31(配列番号40)の方向に向かって配置されている。図1Bで明らかなように、B細胞エピトープとして機能する上で全長CETPタンパク質のどの領域に可能性があるかが、結合データから直ちに決定できる。各ペプチドについて図1Bで示された結果を、ドットプロットのシグナルの強さで示した。この強さは、シグナルなし(−)、弱いシグナル(±)、陽性シグナル(+)、強いシグナル(++)、又は非常に強いシグナル(3+若しくは4+)として等級分けされた。シグナルが接種後19週目では存在したが、接種前−1週目では存在しなかった場合は、値を普通のタイプで記録した。シグナルが19週目と−1週目の両方に存在するが、19週目の方が著しく高い場合は、値を丸カッコ( )で記録した。最後に、シグナルが19週目と−1週目の両方に存在するが、シグナル強度に有意な差異が見られない場合は、値を角カッコ[ ]で記録した。
図1A及び1Bのデータは、接種前−1週と接種後12週の間でCETP活性の最も大きな増加を示したウサギ(すなわち、ウサギ#1の+85%)から、接種前−1週と接種後12週の間でCETP活性パーセントの最も大きな減少を示したウサギ(すなわち、ウサギ#11の−77%)までを垂直に並べている。図1Aで、経時的なCETP活性率(%)の全体的減少と、CETP活性の減少を反映するHDLc/総コレステロール比の全体的増加率(%)との間に相関関係がみられる。ウサギ#1で見られたCETP活性率の増加とHDLc/総コレステロール率の増加は、血清回収時の当該ウサギにウイルス又は細菌感染の徴候があり得た特異な結果又は特定のウサギの遺伝的体質の結果であると考えられる。これらはいずれも、当該動物においてHDLcレベルの増加を引き起こす因子が知られている。
図1A及び1Bは、まとめて考えると、CETP活性の変化を伴うCETPの特定領域についての免疫反応のパターンとワクチン接種後のHDLc/総コレステロール比レベルとの間の相関関係を示している。
図2は、それぞれpep-1-KLH、pep-22-KLH、pep-30-KLH及びpep-31-KLHで表されたコンジュゲートであるKLH結合ヒトCETPペプチド1、22、30又は31(表2参照)の1回の初回接種及び2回のブースター接種を受けた野生型BALB-cマウスの1:10希釈における抗体力価を示している。初回接種はフロイント完全アジュバント(CFA)で、又はブースター接種はフロイント不完全アジュバント(IFA)で調合されている。コントロールマウスは、CFA若しくはIFAでKLHを単独投与された。各グループは、5匹のマウスを含む。
図3は、ヒトCETPトランスジェニックマウスの1:100又は1:10,000希釈における抗体力価を示している。これらのマウスは、それぞれpep-1-KLH、pep-30-KLH及びpep-31-KLHで表されたコンジュゲートである、KLH結合ヒトCETPペプチド1、30、31(表2参照)、又は3つのペプチドコンジュゲート全ての組み合わせの初回接種1回とブースター接種2回を受けている。初回接種はフロイント完全アジュバントで調合され、ブースター接種はフロイント不完全アジュバントで調合された。コントロールマウスは、CFA若しくはIFAでKLHを単独投与された。各グループは、9又は10匹のトランスフェニックを包含する。
図4A及び4Bは、フロイント完全アジュバントで調合されたKLH結合ヒトCETPペプチド1、30、又は31(表2参照)の初回接種1回と、フロント不完全アジュバントで調合されたKLH結合ペプチドの1回目のブースター接種(図4A;初回接種後1週目)又は2回目のブースター接種(図4B;初回接種後13週目)を受けた後のヒトCETPトランスジェニックマウスのCETP活性における変化率(%)を示している。コントロールマウスは、CFA若しくはIFAでKLHを単独投与された。CETPレベルは、前採血(ワクチン接種前)レベルに対して相対的に算出された。図4Aは、1回目のブースター投与後5週目(2回目のブースター前)のCETP活性における変化を示している。KLH結合ペプチド1、30及び31は、CETP活性のレベルをKLH単独で接種したコントロールマウスに対して相対的にそれぞれ約67%、70%及び56%まで減少させた。3つのコンジュゲートの組み合わせは、トランスジェニックマウスにおけるCETP活性をKLH単独で接種したコントロールマウスに対して相対的に約82%まで減少させた。
図4Bは、KLH結合ペプチド1、30、又は31の2回目のブースター接種を受けた後のヒトCETPトランスジェニックマウスにおけるCETP活性の変化率(%)を示している。KLH単独接種がコントロールとして使用された。KLH及びKLHペプチドは、CFA又はIFAを用いて(皮下注射によって)投与された。CETPレベルは、前採血レベルに対して相対的に示されている。図4Bで見られるように、ペプチド1コンジュゲートは、CETP活性をKLH単独で接種したマウスに対して相対的に約65%まで減少させた。一方、ペプチド30及び31コンジュゲートは、当該活性をKLH単独で接種したマウスに対して、それぞれ約52%及び22%まで減少させた。
図5は、選択されたCETPペプチドと連結された破傷風毒素に由来する広範囲ヘルパーT細胞エピトープを有する融合タンパク質、すなわちCETi-1(配列番号41)で表される融合タンパク質、CETi-N2(配列番号4)で表される融合タンパク質、及びCETi-N2.1(配列番号5)で表される融合タンパク質の初回接種1回とブースター接種2回を受けた後のヒトCETPトランスジェニックマウスの抗体力価を示している。CETi-1とCETi-N2の組み合わせは、グループの1つに投与された。コントロールマウスは、CFA(初回接種)若しくはIFA(ブースター接種)のいずれかを単独で皮下に接種された。水平バーは、各マウスグループの抗体レベルの全平均を示している。
図6は、ポジティブコントロールワクチンペプチドCETi-1(配列番号41)、本発明のワクチンペプチドCETi-N2(配列番号4)、本発明のワクチンペプチドCETi-N2.1(配列番号5)又はCETi-1とCETi-N2の組み合わせを、CFAで調合した初回接種1回とIFAで調合したブースター接種2回を受けた後のヒトCETPトランスジェニックマウスにおけるCETP活性の変化率(%)を示している。コントロールマウスは、CFA(初回)若しくはIFA(ブースター)のいずれかを単独で皮下に接種された。全CETPレベルは、前採血のレベルに対して相対的に算出された。血清サンプルは、図5で示された同一の実験に由来する。図6で見られるように、CETi-N2.1は、トランスジェニックマウスのCETP活性レベルをコントロールレベルに対して相対的に約60%まで減少させた。
図7は、ポジティブコントロールワクチンペプチドCETi-1(配列番号41)、本発明のワクチンペプチドCETi-N2(配列番号4)、本発明のワクチンペプチドCETi-N2.1(配列番号5)又はCETi-1とCETi-N2の組み合わせ(CETi-1+2)を、CFAで調合した1回の初回接種とIFAで調合した2回のブースター接種を受けた後のヒトCETPトランスジェニックマウスにおけるHDLcレベルの変化率(%)を示している。コントロールマウスは、CFA(初回)若しくはIFA(ブースター)のいずれかを単独で皮下に接種された。血清サンプルは、図5で示めされた同一実験に由来する。各グループの全マウスの平均値を示している。図7で見られるように、CETi-N2.1の投与は、コントロールに対して相対的に約40%のHDLcレベルの増加をもたらした。
図8A〜Cは、成熟ウサギCETP(配列番号8)と成熟ヒトCETP(配列番号7)のアミノ酸配列の整列を示している。ウサギCETPは、整列したヒトCETP配列の上部に示している。ウサギの配列は、ヒトの配列よりも20アミノ酸残基多く含み、ヒトの配列は、マッチする残基(垂直線「|」で示される)をより明確に示すために1アミノ酸と19アミノ酸のギャップ(ヒトの配列においてダッシュ「---」で示される)を示す。
CETPは、HDL‐コレステロールのレベルを上昇させ、HDL‐コレステロール対LDL‐コレステロール比を上昇させるための、かつアテローム性動脈硬化を治療するための治療標的として確認された(Davidsonら, Atherosclerosis, 169(1): 113-117 (July 2003);米国特許第6,410,022号)。本発明は、タンパク質のN末端に由来するCETPワクチンペプチド、又は個体中でそれ自身の内在性CETPに対する免疫反応、すなわち自己抗体を誘導するのに有用なペプチドであるN末端CETPペプチドをコードするDNAベースプラスミドワクチンを提供することにより内在性CETP活性の調節を対象とし、それによって、血清リポタンパク質プロファイルの改善(例えば、血流中のCETPのレベルを減少させること、循環HDLcのレベルを増加させること、又は循環LDLc/VLDLcのレベルを減少させること、これらは全て心血管疾患リスクの減少と相関関係がある)を促進する。
本発明は、ワクチン接種された哺乳動物において抗内在性CETP抗体の産生を誘発するCETPワクチンペプチドを提供する。当該ワクチンペプチドは、合成(非天然)ワクチンペプチドであり、ユニバーサルヘルパーT細胞エピトープ部分のアミノ酸配列(例えば配列番号1を参照されたい)を含むヘルパーT細胞エピトープ部分、及びCETPのアミノ末端領域由来、特にCETPのアミノ末端21アミノ酸由来のアミノ酸配列(例えば、成熟全長ヒトCETPタンパク質由来のN末端21アミノ酸を示す配列番号2を参照されたい)を含むB細胞エピトープ部分を含んでいる。前記CETPワクチンペプチドは、「自己抗原性」である。つまり、哺乳動物被験体に投与された場合に、それらは、該ペプチド(抗原)に対して特異的であり、哺乳動物の内在性CETP、すなわちその哺乳動物生来のタンパクにも結合する抗体の産生を誘発する。したがって、本発明のワクチンペプチドは、当該ハイブリッドペプチド若しくは前記ハイブリッドペプチドのインビボ発現を指令できるDNAベースプラスミドワクチンでワクチン接種した哺乳動物において、内在性CETPに特異的に結合する自己抗体の形成を促進する能力及び/又は内在性CETP活性を抑制する能力を有するハイブリッド(ユニバーサルヘルパーT細胞エピトープペプチド+CETP B細胞エピトープペプチド)免疫原性部分である。
ユニバーサルヘルパーT細胞エピトープ部分
本発明のワクチンペプチドのユニバーサルヘルパーT細胞エピトープ部分は、普遍的な免疫原性の若しくは「広範囲」のヘルパーT細胞エピトープのアミノ酸配列を含む。当該エピトープ部分は、多数の主要組織適合性複合体(MHC)ハプロタイプによって提示されることが可能で、それによってヘルパーT細胞を活性化し、ひいてはB細胞の成長と分化を促すペプチドとして定義される。ヒトワクチン接種用に使用されている「ユニバーサル」又は「広範囲」ヘルパーT細胞エピトープと呼ばれる多数の例が当該分野で知られており、このような例には、例えば、破傷風毒素(tt)及びジフテリア毒素(dt)が含まれる(例えば、Panina-Bordignonら, Eur. J. Immunol., 19: 2237-2242 (1989); Etlinger, H.M., Immunol. Today, 13: 52-55 (1992);Valmoriら, J. Immunol., 149: 717-721 (1992);Talwarら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 91: 8532-8536 (1994)を参照されたい)。
tt及びdtの短いセグメントに加えて、破傷風トキソイド(すなわち、ホルムアルデヒドで無毒化された破傷風毒素)又はジフテリアトキソイドを広範囲ヘルパーT細胞エピトープ部分として使用することができる。本発明に有用な他の広範囲ヘルパーエピトープ配列は、百日咳ワクチン、カルメット・ゲラン桿菌(BCG)、ポリオワクチン、麻疹ワクチン、おたふく風邪ワクチン、風疹ワクチン、及びツベルクリンの精製タンパク質誘導体(PPD)由来の公知の免疫原性ペプチドを含む(例えば、Etlinger, H.M., Immunol. Today, 13: 52-55 (1992))を参照されたい;本文献は参照により本願明細書に組み込まれる)。さらなるユニバーサルT細胞エピトープは、化学式:X1KX2VWANTLKAAX1 (配列番号42)(式中、X1 = D-alanine、X2 = シクロヘキシルアラニン)を有するペプチドのようなpan-DR-結合エピトープ(PADRETM)ペプチドとして知られる合成化合物を含む(Alexanderら,Immunity, 1: 751-761 (1994))。さらに、同一若しくは様々な異なるユニバーサル又は広範囲ヘルパーT細胞エピトープの二以上のコピーをお互いに連結して、本発明のワクチンペプチドの複合又は多価ヘルパーT細胞エピトープ部分を形成することができる。例えば、本発明のワクチンペプチドは、ttヘルパーT細胞エピトープセグメント及びdtヘルパーT細胞エピトープセグメントのアミノ酸配列を含む複合又は多価ヘルパーT細胞エピトープ部分を包含するように合成することができる。
免疫原性担体タンパク質も、ワクチンペプチドのユニバーサルヘルパーT細胞エピトープ部分として使用することができる。このような担体タンパク質は、いくつかのヘルパーT細胞エピトープ部位の存在から恐らくは免疫賦活性を有していることから選択され、また一以上のCETP B細胞エピトープ部分の共有結合用にうってつけの結合部位も含んでいる。このような免疫原性担体タンパク質の一つは、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)である。KLHは多数のリジン残基をそのアミノ酸配列中に含んでおり、それらのリジンのそれぞれが、B細胞エピトープペプチド又は本明細書中で記載されたワクチンペプチド全部と連結できる(例えば、マレイミドで活性化されたKLHを用いて、Catalog No. 77106, Pierce Chemical Co., Rockford, Ill.)可能性を持った部位となる。本発明に有用な他の免疫原性担体タンパク質は、Mycobacterium tuberculosis由来の熱ショックタンパク質HSP70及びHSP65を含む。
具体的な実施形態において、補体タンパク質C3dの配列をユニバーサルT細胞エピトープに加えて使用し、B細胞応答の大きさを増強することで、高い抗体力価をもたらすことができる。
本発明の実施形態では、ユニバーサルヘルパーT細胞エピトープ部分は、CETPのセグメントではない。個体の免疫システムは、成熟期間中に、通常、個体自身の(自己の)タンパク質(CETPを含む)を認識するあらゆるT細胞をT細胞レパートリーから排除してしまう。そうでなければ、自己タンパク質は免疫システムに出くわしてしまい、免疫反応が開始されてしまうだろう。自己免疫反応は、通常、不適切かつ有害なものとみなされており、有害な若しくは致命的な結果を伴う可能性をもった病状を発症させ得る。内在性CETPエピトープを認識できるヘルパーT細胞は、通常、個体の免疫システムから排除されているので、CETPがいずれかのユニバーサルヘルパーT細胞エピトープの起源になるとは期待できない。また、本発明の実施には、CETP以外の起源由来のユニバーサルヘルパーT細胞エピトープ部分の選択が必要とされるであろう。したがって、ユニバーサルヘルパーT細胞エピトープ部分を、本明細書中で時々本発明のワクチンペプチドの「非CETP関連」成分と呼ぶ。これは、必然的に、CETPそれ自身又はその断片が、さらなる改変(すなわち、ユニバーサルヘルパーT細胞エピトープと連結することによること)なしに、本発明の実施形態とはならないことを意味している。また、本発明のワクチンペプチドの成分は、CETP関連成分及び非CETP関連成分を含んでいるので、ワクチンペプチドは、少なくとも2つの異なる起源を含むハイブリッドポリペプチドとして適切にみなされる。
本発明のワクチンペプチドで使用するための好ましいユニバーサルヘルパーT細胞エピトープ部分は、破傷風毒素又はジフテリア毒素のユニバーサル免疫原性ペプチド断片を含む。より好ましい実施形態において、本発明のペプチドは、アミノ酸配列QYIKANSKFIGITE (配列番号1)若しくはFNNFTVSFWLRVPKVSASHLE(配列番号50)、又はそれらの反復若しくは組み合わせを有する破傷風毒素セグメントを用いる。最も好ましくは、本発明のワクチンペプチドがアミノ酸配列QYIKANSKFIGITE(配列番号1)を有する破傷風毒素由来のユニバーサルヘルパーT細胞エピトープを利用することである。上記で論じたユニバーサルヘルパーT細胞エピトープの様々な例に加えて、さらなるユニバーサルヘルパーT細胞エピトープを、MHCクラスII(ヘルパー)T細胞エピトープの標準的な増殖アッセイを用いて決定することができる(例えば、Current Protocols in Immunology, Vol. 1、Coliganら編、John Wiley & Sons, Inc., New York, N.Y., 1994、pages 3.12.9-3.12.14を参照されたい)。
CETP B細胞エピトープ部分
本発明に記載のワクチンペプチドのB細胞エピトープ部分は、CETPのアミノ末端領域に由来するアミノ酸配列を含む。特に、B細胞エピトープ部分は、CETPのN末端アミノ酸21個のうち少なくとも6つ連続したアミノ酸のペプチドを含む。好ましい実施形態において、本発明のワクチンペプチドのB細胞エピトープ部分は、成熟ヒトCETPタンパク質のアミノ末端21アミノ酸を含む。成熟ヒトCETPの全長アミノ酸配列を配列番号7で示し、成熟ヒトCETPのアミノ末端21アミノ酸を配列番号2で示し、ウサギCETPの全長アミノ酸配列を配列番号8で示す。
より好ましくは、本発明のワクチンペプチドのB細胞エピトープ部分(又は「CETP関連」部分)を、CETPのアミノ末端の21アミノ酸のうち少なくとも6つ、好ましくは少なくとも8つ連続したアミノ酸であるCETPのアミノ末端領域のいずれかの断片とすることができる。
好ましい実施形態において、本発明のワクチンペプチドのCETP B細胞エピトープ部分は、ヒトCETPの2〜21番アミノ酸からなる。すなわち、CETP配列のアミノ酸第1位に位置するシステイン残基のないN末端アミノ酸配列(配列番号3参照)である。
B細胞エピトープ部分には、どの哺乳動物CETP N末端領域に由来する少なくとも6つ連続するアミノ酸のセグメントも利用することができる。しかしながら、ワクチンペプチドの対象となる種と同一種のCETP由来のセグメントを利用することが好ましい。例えば、ワクチンペプチドで自己免疫化される被験体がヒトである場合、内在性ヒトCETPが免疫調節の標的であり、ワクチンペプチドB細胞エピトープ部分は、成熟ヒトCETPのN末端21アミノ酸(配列番号2)から選択されるセグメントであることが好ましい。しかし、あまり好ましくはないものの、ワクチン接種された被験体の内在性CETPと交差反応する抗体の誘発に有効であるのならば、異種N末端CETPセグメントも使用することができる。
ワクチンペプチドの調製
本発明のCETPワクチンペプチドのユニバーサルヘルパーT細胞エピトープ(非CETP関連)部分及びB細胞エピトープ(CETP関連)部分は、自己抗原性部分を形成するためにお互いに連結されている。ユニバーサルヘルパーT細胞エピトープ部分とB細胞エピトープ部分は、ペプチド結合により直接、又はクロスリンカー分子を介して共有結合的に連結することができる。クロスリンカー分子が用いられる場合、それらは、ワクチン接種した被験体に有毒となるペプチドを生じさせないように、又はワクチンペプチドの全体的な免疫原性を著しく妨げること若しくは減少することのないようにして、ワクチンペプチドのユニバーサル若しくは広範囲ヘルパーT細胞エピトープ部分とB細胞エピトープ部分とをお互いにつなぎ合わせなければならない。適切なクロスリンク剤及びクロスリンカー分子は、アミノ酸(例えば、一以上のグリシン残基を用いて、本発明のワクチンペプチドのユニバーサルヘルパーT細胞エピトープ部分とB細胞エピトープ部分との間で「グリシン架橋」を形成すること)、ユニバーサルヘルパーT細胞エピトープ部分とB細胞エピトープ部分に存在するシステイン残基間のジスフフィド結合、グルタルアルデヒドのようなクロスリンカー分子(Kornら, J. Mol. Biol., 65: 525-529 (1972))、及びユニバーサルヘルパーT細胞エピトープ部分と本発明で使用するのに適したB細胞エピトープ部分とを連結するための他の二機能性クロスリンカー分子を含む。二機能性クロスリンカー分子は、二つの異なる結合部位を有する。当該部位の一方は、ユニバーサルヘルパーT細胞エピトープ部分上の反応部位と共有結合を形成することができ、また、他方のクロスリンカー結合部位は、B細胞エピトープ部分上の反応部位と共有結合を形成することができる。クロスリンクする分子の一般的使用方法は、Means and Feeney, Bioconjugate Chem., 1: 2-12 (1990)に概説されている。
本発明のワクチンペプチドのユニバーサルヘルパーT細胞エピトープ部分とCETP B細胞エピトープ部分は、連続した融合ペプチドを形成するために両末端で共有結合によって連結されることが好ましい。例えば、CETi-N2及びCETi-N2.1(それぞれ、配列番号4及び5)と名付けた合成ペプチドを参照されたい。選択されたユニバーサルヘルパーT細胞エピトープ部分がワクチンペプチドのカルボキシル末端部分を形成し、そのアミノ末端のアミノ酸残基で、本ワクチンペプチドの選択されたCETP関連アミノ酸配列(B細胞エピトープ部分)のカルボキシル末端のアミノ酸と、ペプチド結合で共有結合的に連結していることが最も好ましい(例えば、配列番号4及び5を参照されたい)。
本発明のペプチドは、定められたアミノ酸配列のペプチドを合成するために、当該分野で公知の利用可能なあらゆる方法で作製することができる。本発明のペプチドの直接的な合成は、固相ペプチド合成法、液相合成法等を含む従来技術を使用して達成することができる。固相合成法が好ましい。Stewartら, Solid-Phase Peptide Synthesis (1989), W. H. Freeman Co., San Francisco;Merrifield, J. Am. Chem. Soc., 85:2149-2154 (1963); Bodanszky and Bodanszky, The Practice of Peptide Synthesis (Springer-Verlag, New York 1984)を参照されたい。これらの文献は、参照により本願明細書に組み込まれる。
本発明のペプチドは、ペプチド合成サービスを提供する会社(例えば、BACHEM Bioscience, Inc., King of Prussia, PA; Quality Controlled Biochemicals, Inc., Hopkinton, MA)によって商業的に調製されてもよい。
Perkin-Elmer Applied Biosystemsから市販されているような自動ペプチド合成機も利用できる。
あるいは、本発明のペプチドは、合成及び組換え核酸技術を用いて作製することもできる。例えば、当業者は、公知の遺伝コードから本発明のワクチンペプチドをコードする5'〜3'の核酸配列を設計することができる。ユニバーサルヘルパーT細胞エピトープ部分とCETP B細胞エピトープ部分(及び、所望であれば、ポリグリシンのようないずれかの連結ペプチド、又はC末端若しくはN末端システインのような他の付加的な残基)のコード配列を含むDNA分子は、自動DNA合成機を用いるか又は市販のDNA合成サービスによって簡単に合成することができる。合成されたDNA分子は、その後、様々な利用可能な遺伝子発現システム(例えば、細菌プラスミド、バクテリオファージ発現ベクター、レトロウイルス発現ベクター、バキュロウイルス発現ベクター)のいずれかの中に、当該分野で利用可能な標準的方法(例えば、Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Vols. 1-3, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring harbor, N.Y.,1989)を用いて導入することができる。発現したペプチドは、その後、発現システムからペプチドを精製するための標準的方法を用いて単離される。
ポリペプチド化合物は、それが化学技術若しくは組換え技術のどちらかで単離又は合成された時点で精製されることが好ましい。精製目的のために使用することのできる多数の標準方法がある。例えば、C4-、C8-又はC18-シリカのようなアルキル化したシリカカラムを用いた逆相高速液体クロマトグラフィー(reversed-phase high-pressure liquid chromatography:RP-HPLC)を含めて使用することができる。一般に、有機含有量を増加させる勾配移動相を使用して、精製(例えば、少量のトリフルオロ酢酸を通常、含有する水性バッファ中のアセトニトリル)が達成される。イオン交換カラムクロマトグラフィーもペプチドをそれらの電荷に基づいて分離するのに利用することができる。本発明のワクチンペプチドの精製は、アフィニティークロマトグラフィー又は免疫沈降を(例えば、精製のためにワクチンペプチドの特定のユニバーサルヘルパーT細胞エピトープ部分若しくはB細胞エピトープ部分を認識する抗体又は他のリガンドの使用に基づいて)使用することにより迅速に処理することができる。ポリペプチドの精製度は、HPLCにおける主要な大ピークの同定を含む様々な方法で測定することができる。HPLCカラムにおいて流入物質の少なくとも95%を占める単一ピークを生じるポリペプチドであることが好ましい。より一層好ましいのは、ポリペプチドがHPLCカラムの流入物質の少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、若しくはさらに99.5%、又はそれ以上を占める単一ピークを生じることである。
ワクチンペプチドの使用
本発明のペプチドは、免疫した被験体の内在性CETPに特異的に結合する、及び/又は免疫した被験体の内在性CETP活性を調節する(すなわち、減少させるか抑制する)内在性自己抗体の産生を誘発する自己免疫原性組成物として使用される。本発明の一以上のワクチンペプチドを含むワクチン組成物を使用することができる。例えば、異なるユニバーサルヘルパーT細胞エピトープ部分(例えば、異なるユニバーサルヘルパーT細胞エピトープ)及び/又は異なるCETP B細胞エピトープ部分(例えば、CETPのアミノ末端21アミノ酸、又は6個以上のアミノ酸に及ぶその断片からなる異なるCETP関連部分)を有するペプチドを組み合わせて、単一のワクチン組成物として投与することができる。さらに、本発明のワクチンペプチドは、例えば、米国特許第6,410,022号で開示されたような他のCETPワクチンペプチドと組み合わせることができる。
ミョウバン(alum)のような製薬上許容可能なアジュバントを、本発明のワクチンペプチドと混合することができる。ミョウバンは、現在、ヒトへのワクチン投与において使用が認可されている唯一のアジュバントである(Eldridgeら, In Immunobiology of Proteins and Peptides V: Vaccines: Mechanisms, Design, and Applications, Atassi, M.Z.,編 (Plenum Press, New York, 1989), page 192を参照されたい)。最近、ミョウバンは、ヒト絨毛性ゴナドトロピンに対する有効性を示すワクチンをヒトに投与するのにリポ多糖体のフタリルナトリウム誘導体と組み合わせて使用された(Talwarら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 91: 8532-8536 (1994))。
他の通常アジュバントが特定の使用に関して認可されたときは、それらを使用してもよい。例えば、poly(DL-lactide-co-glycolide)からなる生分解性ミクロスフェアが、ワクチン組成物の経口若しくは非経口投与用アジュバントとして研究されている(Eldridgeら, In Immunobiology of Proteins and Peptides V: Vaccines: Mechanisms, Design, and Applications, Atassi, M.Z., ed. (Plenum Press, New York, 1989), page 192)。
ヒト以外の哺乳動物にワクチンを投与するのには、他のアジュバントが使用されている。例えば、フロイント完全アジュバント(Complete Freund's Adjuvant;Sigma Chemical Co., St. Louis, Mo)、フロイント不完全アジュバント(Incomplete Freund’s Adjuvant;Sigma Chemical Co., St. Louis, Mo)、並びにCorixa Corp. (Seattle, Wash.)から入手できるMPL、RC-259及びRibiアジュバントシステム(RAS)は、哺乳動物被験体に抗体を投与するのに日常的に使用されるよく知られたアジュバントであり、いずれはヒトにおける使用も認可されるかもしれない。さらに、アジュバント構造物を、本発明のペプチドと混合すること、又は、好ましくは本発明のペプチド中に(例えば、ペプチドのアミノ末端若しくはカルボキシル末端アミノ酸残基に)共有結合によって組み込むこともできる。前記組み込まれるアジュバントは、脂溶性N-パルミトイル-S-[2,3-ビス(パルミトイルオキシ)プロピル)]-システイン (“Pam3-Cys-OH”);N-アセチル-グルコサミニル-N-アセチルムラミル-アラニル-D-イソグルタミン(“GMDP”)、ムラミルジペプチド及びアラニル-N-アダマンチル-D-グルタミンのような糖ペプチド;並びにインビトロ化学合成中にペプチドに容易に付着するポリアミドゲルベースのアジュバントを含む(Synthetic Vaccines, Nicholson, B.H.,編(Blackwell Scientific Publication, Cambridge, Mass., 1994), pp. 236-238を参照されたい)。
さらに、本発明のワクチンペプチドは、ペプチドの免疫原性を増強することのできる他の分子と連結することができる。例えば、本発明のペプチドを血清アルブミンのような巨大分子の表面に連結することで免疫原性を増強することができる。なぜなら、ワクチンペプチドのエピトープが個体の免疫システムにアジュバント多重反復コピーとして提示されるからである(例えば、Tam, J.P., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 85: 5409-5413 (1988); Wang, C.Y.ら, Science, 254: 285-288 (1991); Marguerite, M.ら., Mol. Immunol., 29: 793-800 (1992)を参照されたい)。本発明のワクチンペプチドの前記「多重」又は「多価」配置は、クロスリンカー分子を用いて調製することができる。例えば、二官能性クロスリンカー分子は、二つの反応部位を有する。一方の部位は、当該リンカーを本発明のワクチンペプチドに取り付けることができ、また他方の部位は異なる分子(例えば、血清アルブミンのような巨大タンパク質、又は樹脂、又は高分子ビーズ)との反応に利用することができる。したがって、共有結合性クロスリンカー分子を用いて、ワクチンペプチドを他のタンパク質又は基質に連結し、ペプチドの多コピー配置(多コピーペプチドアッセンブリ)を形成することができる。本発明のワクチンペプチドを他の分子又は表面に連結する際は、当該ワクチンペプチドの自己免疫原性の特性を著しく壊したり、減少したりしない方法で行うように留意する。好ましくは、このようなリンカー分子の使用により、本発明のワクチンペプチドの免疫原性が、例えば、抗CETP抗体力価のより急速な上昇及び/又はより高い親和性抗CETP抗体の産生によって証明されるように、連結していないワクチンペプチドを個体に投与したときよりも強化されることである。このようなクロスリンカー分子を使用して、本発明のペプチドを、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)のような「免疫原性エンハンサー」分子に取り付けることができる。GM-CSFは、特定の抗腫瘍抗体の産生をもたらす効果的な免疫原性強化物質として役立つことが示されている(例えば、Tao, M. H.ら, Nature, 362: 7
55-758 (1993))。
本発明のワクチンペプチドは、単独で、又は一以上の製薬上許容される担体若しくはアジュバントと共に、例えば、破傷風ワクチンのような従来のワクチンと同じ方法で投与することができる。適当な方法は、例えば、皮下、筋肉内又は静脈内注射を含む。しかし、例えば、破傷風毒素のような非内在性の「外来」抗原に対する免疫反応を誘発する従来のワクチンに対して、本願発明のワクチンペプチドは、ワクチン受容者の内在性CETPに対する自己抗体反応を誘発する。本発明のいくつかの実施形態において、ワクチンペプチドは、他の疾患又は障害用のワクチンと組み合わせて投与することもできる。
内在性CETPに対して誘発された免疫反応は、内在性CETPの機能、特にHDLからLDL/VLDLへのコレステリルエステルの転送を著しく抑制するはずである。それによって、LDLc及び/又はVLDLc及び/又はHDLcの循環(血中)レベルの変化、好ましくは血中HDLcのレベルの増加、HDLc/LDLc比の増加、及び/又は血中LDLc/VLDLcレベルの減少が生じる。
したがって、本発明のワクチンペプチドを投与することで求められる治療効果は、内在性のCETPに結合する及び/若しくはCETP活性を抑制する個体中の自己抗体が誘発されることによって、又はHDLcレベルと比べたLDLc及び/若しくはVLDLcレベルの相対的減少によって、又は血中HDLcの絶対レベルの上昇によって証明される。本発明のワクチンペプチドは、これらの治療に有用な効果を生じることから、心血管疾患、特にアテローム性動脈硬化の治療に役立つ。「治療」とは、疾患進行の抑制、又は病気の症状の改善若しくは減少を意味する。本発明のワクチンペプチドの投与によりワクチン接種された被験体において動脈硬化プラークの蓄積が抑制若しくは遅延されること、動脈硬化プラークの積層が止まること、又は治療した被験体のアテローム性動脈硬化症の退行までもがもたらされ得ることが期待される。
本発明のCETPワクチンペプチドは、ワクチン接種で用いられるどんな経路によって投与されてもよい。例えば、腹腔内、腹腔間、経皮、皮下、筋肉内若しくは静脈内のような非経口的投与、又は経口的投与を含む。ワクチンペプチドの経口投与を望むのであれば、例えば、セービン経口ポリオワクチンで使用が認可されている溶液のような製薬上許容できる経口賦形剤を本発明のワクチンペプチドと組み合わせてもよい。
「ブースター」投与としても知られる最初の刺激投与に続くワクチンペプチドの反復投与もまた、所望の血中抗CETP抗体力価レベルを上昇させ、又はそれを維持するために意図されている。poly(DL-lactide-co-glycolide)からなるような生分解性ミクロスフェアは、経口又は非経口経路を介した効率的なワクチン送達及び免疫化に有用であることがわかっている(Eldridgeら, in Immunobiology of Proteins and Peptides V: Vaccines: Mechanisms, Design, and Applications, Atassi, M.Z.編 (Plenum Press, New York, 1989), pp. 191-202))。内在性CETPはヘルパーT細胞エピトープを欠いているので、内在性CETPが本発明のワクチンペプチドによって誘発される自己抗体反応を高めることは期待できない。この点が、ワクチン標的による再曝露又は攻撃で免疫反応を高めることができる(例えば、抗体力価の上昇をもたらす)外因性抗原を標的とした従来のワクチンとは異なる。本発明では、ブースター免疫が内在性CETPを抑制することのできる自己抗体反応を維持するのに必要であろうことが予想される。
本発明のペプチドワクチンの適当な投薬量は、過敏症反応、紅斑、硬結、圧痛のような潜在的禁忌をモニターすることを含む、当該ワクチンの影響を示すための測定可能なパラメータに基づいて、当該分野で用いられる一般的なワクチン方法によって定められる (例えば、Physicians’ Desk Reference, 49th ed., (Medical Economics Data Production Co., Mont Vale, N.J., 1995), pp. 1628, 2371 (B型肝炎ウイルスに関する), pp. 1501, 1573及び1575 (麻疹、おたふく風邪及び/又は風疹ワクチンに関する), pp. 904, 919, 1247, 1257, 1289, 1293及び 2363 (ジフテリア、破傷風及び/又は百日咳ワクチンに関する)を参照されたい)。ヒトにワクチン接種するための一般的かつ従来のやり方は、特定のワクチンの最初の投与量を投与し、免疫システムを感作(「初回:prime」)すること、その後、ワクチンの1回以上の「ブースター:booster」投与でフォローアップし、ワクチンの最初の投与(ワクチン接種)によって感作された免疫システムで既往の反応を高めることである。このような「初回及びブースター」投与方法は公知であり、例えば、麻疹、ポリオ、破傷風、ジフテリア、及びB型肝炎のワクチンを開発して用いるときに、当該分野で普通に使用されている。
最初に、個体に投与されるワクチンペプチドの量は、ワクチン接種前に個体中に存在する内在性CETP活性のおおよそのレベルを、個体から得た血清又は血漿サンプル中のCETP活性を測定することで決定できる場合(例えば、市販のCETPアッセイを用いて測定されるとき)、それを中和するのに必要とされる量であってもよい。ワクチン接種された個体から得た血漿又は血清をモニターして、HDL-コレステロールのレベルの測定可能な増加がワクチンペプチドの投与後に見られるかどうかを市販のアッセイ法を用いて測定することもできる。血中抗CETP抗体の濃度(力価)の上昇は、例えばELISAアッセイを用いることで、血漿又は血清サンプルで測定することができる。
したがって、最初に、抗CETP抗体の上昇がHDL−コレステロール(すなわち、コレステリルエステル及び非エステル化コレステロールを含み、高密度リポタンパク質と結合する総コレステロール)レベルの増加、又はCETP活性の減少と相関するかどうかを確証しておくことが可能であり、またそうすることが推奨される。その後は、ワクチンペプチドの十分な投薬量が投与されたかどうか、又は「ブースター」投与が抗CETP抗体の上昇レベルを誘発したかどうかを測定するために抗CETP抗体の力価における上昇をモニターすることだけが必要となる。これは、B型肝炎ウイルスに対するワクチン接種のように様々な確立されたワクチン接種で共通の方法である。
DNAベースワクチン
本発明は、in situで本発明の自己抗原性ぺプチドを発現することのできるDNAプラスミドベースワクチンも意図されている。このようなDNAワクチンは、被験体への投与(例えば、筋肉内注射による等)のためにプラスミド形態で調製される。その後、本発明のワクチンペプチドをコードするプラスミド部分のインビボでの転写と翻訳がワクチンペプチドの産生をもたらし、ひいては上記所望の自己免疫反応を誘発する。本発明のプラスミドベースワクチンは、少なくとも1つのユニバーサルヘルパーT細胞エピトープをコードするDNA配列と上記のようなCETPのN末端に由来する少なくとも一つのB細胞エピトープをコードするDNA配列とを含む自己抗原性融合ポリペプチドの構造コード配列を含む。構造コード配列は、哺乳動物被験体の細胞内で構造コード配列の転写を指令できるプロモーター配列又はプロモーター/エンハンサー配列に、機能し得るように連結されている。細菌の複製起点、及び選択可能なマーカー(例えば、細菌培地中でプラスミドワクチンの大量生産に役立つマーカー)を含むことも望ましい。
本発明で用いられるユニバーサルヘルパーT細胞エピトープをコードする好ましいヌクレオチド配列は、配列番号1で示される14アミノ酸の破傷風毒素断片をコードする配列を含む。この破傷風毒素セグメントをコードする好ましいヌクレオチド配列は、以下に記載の通りである。すなわち、5'-CAGTACATCAAGGCCAATAGCAAGTTCATCGGCATTACCGAG-3'(配列番号6)である。
本発明で用いられるCETP B細胞エピトープをコードする好ましいヌクレオチド配列は、配列番号2で示される成熟ヒトCETPのN末端21アミノ酸をコードするヌクレオチド配列を含む。前記N末端ペプチドの好ましいコード配列を以下に示す。すなわち、5'-TGTAGCAAGGGCACCTCTCACGAGGCCGGCATCGTGTGCCGGATCACCAAACCTGCCCTCCTG-3'(配列番号45)である。下線を引いた塩基は、野生型の成熟ヒトCETPヌクレオチド配列(配列番号43)と比較したときにサイレントなヌクレオチド置換(すなわち、コードされたアミノ酸が不変)を示す。置換は、ヒトコドンの使用に最適化されている。
本発明で用いられるCETP B細胞エピトープをコードする他の好ましいヌクレオチド配列は、ヒトCETPのCETP N末端2〜21番アミノ酸(配列番号3)をコードするヌクレオチド配列、5'-AGCAAGGGCACCTCTCACGAGGCCGGCATCGTGTGCCGGATCACCAAACCTGCCCTCCTG-3' (配列番号46)を含む。下線を引いた塩基は、野生型のCETPヌクレオチド配列(配列番号43)と比較したときにサイレントなヌクレオチド置換を示している。置換は、ヒトコドンの使用に最適化されている。
本発明のDNAプラスミドベースワクチンで用いられるハイブリッドペプチドをコードする好ましいヌクレオチド配列は、成熟ヒトCETPのN末端21アミノ酸をコードするヌクレオチド配列をインフレームで破傷風毒素に由来するユニバーサルヘルパーT細胞エピトープをコードするヌクレオチド配列に連結した配列5'-TGTAGCAAGGGCACCTCTCACGAGGCCGGCATCGTGTGCCGGATCACCAAACCTGCCCTCCTGCAGTACATCAAGGCCAATAGCAAGTTCATCGGCATTACCGAG -3'(配列番号9)を含むプラスミド挿入物を含む。B細胞エピトープ部分をコードするヌクレオチド配列内で下線を引いた塩基は、野生型のCETPヌクレオチド配列(配列番号43)と比較したときにサイレントなヌクレオチド置換を示している。置換は、ヒトコドンの使用に最適化されている。
本発明のDNAプラスミドベースワクチンで用いられる他の好ましいヌクレオチド配列は、連結された成熟ヒトCETPのN末端由来の2〜21番アミノ酸をコードするヌクレオチド配列をインフレームで破傷風毒素に由来するユニバーサルヘルパーT細胞エピトープをコードするヌクレオチド配列に連結した配列、5'-AGCAAGGGCACCTCTCACGAGGCCGGCATCGTGTGCCGGATCACCAAACCTGCCCTCCTGCAGTACATCAAGGCCAATAGCAAGTTCATCGGCATTACCGAG-3'(配列番号47)を含むプラスミド挿入物を含む。B細胞エピトープ部分をコードするヌクレオチド配列内で下線を引いた塩基は、野生型のCETPヌクレオチド配列(配列番号43)と比較したときにサイレントなヌクレオチド置換を示している。置換は、ヒトコドンの使用に最適化されている。
本発明のDNAプラスミドワクチンは、コードされた自己抗原性融合ポリペプチドのインビボ発現に必要なヌクレオチド配列を、ワクチン接種された被験体の内在性CETPに対する自己抗体の産生を誘発するのに十分なレベルで含んでいる。自己抗原性融合タンパク質をコードする遺伝子の転写は、プロモーター/エンハンサー配列の制御下にある。様々なプロモーター及びエンハンサー配列が当該分野で知られており、本発明での使用にも適する。本発明のプラスミドで使用することのできる好ましいプロモーター/エンハンサー配列は、限定はしないが、CMVプロモーター/エンハンサー配列、アデノウイルスプロモーター/エンハンサー配列、及びβアクチンプロモーター/エンハンサー配列を含む。本発明のプラスミドにおいて特定のプロモーター/エンハンサーが多かれ少なかれ他のプロモーター/エンハンサー配列よりも有用であるかどうかは、ウサギ若しくはマウスのような遺伝子発現の動物モデルにおいて、ルシフェラーゼ若しくはβガラクトシダーゼのような標準レポーター遺伝子の発現を引き起こす、又は標準レポーター遺伝子の発現レベル及び発現したレポーターと反応する抗体の産生レベルを増加させるプロモーター/エンハンサーの能力を評価することによって、測定することができる。
一般的に、レポーター遺伝子産物の発現レベルは高ければ高いほど、及び/又は発現したレポーター遺伝子産物と反応する抗体の産生レベルは高ければ高いほど、その特定のプロモーター/エンハンサーが、本発明のプラスミドベースワクチンにおける自己抗原性融合タンパク質の構造コード配列の転写を指令する上において好都合となる。
本発明のプラスミドベースワクチンは、プラスミドにコードされたワクチンペプチドのインビボ発現がワクチン接種された被験体によってもたらされることが予測されるいずれの方法においても投与することができる。適切な投与方法は、例えば、筋肉内注射、皮内注射又はDNAで被覆されたミクロプロジェクタイルを介したプラスミドDNAの直接投与を含む。投与されるワクチンの量は、投与方法、ワクチンが投与される組織(例えば、骨格筋対皮膚)、抗CETP抗体の所望の力価、免疫される被験体の特定の治療必要性等により大きく変化するであろう。DNAワクチンの膨大な量を、被験体の体重のkgあたり10mgオーダーで筋肉組織内に注射を用いて投与することができる。一方、被覆されたミクロプロジェクタイルは、はるかに少ないワクチンの投与量で所望の免疫反応を誘発する効果がある。
ワクチンの投与量及び免疫プロトコルは、様々な方法で測定することができる有益な反応を得るために調整されるべきであり、それは臨床設定(例えば、抗CETP抗体力価を測定すること、リポタンパク質プロファイルの変化(例えば、HDLcレベルの増加、LDLcレベルの減少、HDLc/LDLc比の増加)、血清CETP濃度、CETP活性の変化(すなわち、減少)等による)に依存する。このような力価、リポタンパク質レベル及びCETP活性を評価するための方法と材料は、当該分野で周知である。
以下の実施例は、本明細書で記載した本発明を説明するために提供される。これらの実施例は、本発明の範囲を限定することは全く目的としていない。
<潜在性をもつCETP B細胞エピトープの1次スクリーニング>
CETP B細胞自己エピトープについて網羅的スクリーニングを行った。11匹のニュージーランドホワイト種のウサギをフロイント完全アジュバント(CFA)にて0.2mgの全長ヒトCETP(huCETP)でそれぞれ免疫した。huCETPは、huCETPで形質転換したCHO細胞株の培養液より得られた条件培地から精製された(New York Columbia大学のDr. Alan Tallより入手)。ウサギに2回のブースター免疫(フロイント不完全アジュバント(IFA)にて0.2mgのhuCETP)を、最初のワクチン接種後5週目及び10週目に行った。最初の接種後19週目に回収した血清サンプルは、全長ウサギCETP(配列番号8)の離散セグメントを認識する能力についてテストされた。全長ウサギCETPアミノ酸配列を、31個のペプチド(表1、配列番号10〜40)に分割した。これらのペプチドは、21mer30個とC末端16mer1個で構成され、隣接するペプチド間で5アミノ酸の重複をN末端とC末端に有し、またウサギCETP配列の全体に及んでいる。表1(下記)は、本実施例で調製されたペプチド1〜31番のそれぞれのアミノ酸配列を示している(配列番号10〜40)。
ヒトCETPで免疫したウサギから回収された血清を、ペプチドアレイの各ウサギCETPペプチド(表1)を認識する(すなわち各ペプチドに結合する抗体を示す)能力について、類似のウサギCETPペプチドとヒトCETPペプチドに対するウサギ抗ヒト血清の交差反応性のテストとして解析した。つまり、自己反応抗体を誘出するためのテストである。
Figure 2008545759
各ペプチドは、改変ポリプロピレン膜(ResGen, Inc.)上で割り当てられた場所にN末端を介して共有結合で連結されており、ラビットCETPペプチドの全アレイが膜の単一シート上に存在する。非特異的結合、及び既存の抗体による結合を説明するために、膜上のペプチドを、初回接種の1週間前のウサギから得られた血清(ベースラインサンプル用の「−1週目」における「前採血」)で調べた。一方、同一のペプチドアレイを担持するもう一つの膜をワクチン接種後の血清で調べた。ドットブロット技術を、ペプチドが結合した固相の探索に用いた。西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)を結合した二次抗体(ロバ抗ウサギIgG)を用いて結合したウサギ抗体を精査した。そして、化学ルミネッセンス試薬(Boehringer Mannheim Corp.)で発色した。
本解析結果を図1Bに要約する。スコアリングは、19週目のサンプルから得られたシグナルの相対的強度と免疫前サンプルの免疫認識力の有無の両方に基づいて行われた。図1Bにおけるシグナルの等級付けは、以下の通りである:シグナルなし(−)、弱いシグナル(±)、陽性シグナル(+)、強いシグナル(++)、又は非常に強いシグナル(3+若しくは4+)。免疫後(19週目)の血清を用いてときのみシグナルが検出され、免疫前(−1週目)の血清では検出されなかった場合は、値を通常の囲み無しのタイプで記録した。シグナルが免疫前、免疫後の両方の血清で見られたが、後者で著しく高い場合は、値を丸カッコ( )で記録した。シグナルが免疫前、免疫後の両方の血清で見られたが、両者の強度に有意な差異がない場合は、値を角カッコ[ ]で記録した。
図1A及び1Bにおけるウサギは、番号付けされ、全ヒトCETPを用いた最初の接種後12週目に検出された内在性血清CETP活性レベルの変化(−1週目の血清CETP活性との比較)の減少順に並べられている。極端な2つのケースは、ワクチン接種後CETP活性の85%上昇をもつウサギ#1、及び同一処理後にCETP活性の77%の減少をもつウサギ#11である。図1Bの結果は、内在性CETP活性におけるエピトープの使用と免疫効果の間の相関関係を示している。特に、ペプチド1、22、30、31に対する免疫反応は、CETP活性の減少と関連するようである。さらに、CETP活性の減少は、HDL-コレステロール(HDLc)の増加と関連するように思われる。図1Aを参照されたい。
これらの結果に基づいて、4つのペプチド、すなわち、ペプチド1(配列番号10)、ペプチド22(配列番号31)、ペプチド30(配列番号39)、及び16merのペプチド31(配列番号40)を、CETPペプチドワクチン構築物においてCETP B細胞エピトープとして機能する潜在力をさらに解析するために選択した。
本発明者らの主な興味は、ヒトCETPを認識する抗体を誘発するためのCETPワクチンを開発することにあるので、以下の実験は、ウサギのペプチド1、22、30、及び31に相当するヒトCETPの配列を用いて行われた。
<KLH結合ペプチドを接種した野生株マウスにおける抗CETP抗体の産生>
実施例1のエピトープ使用結果に基づいて、ペプチド1(配列番号10)、22(配列番号31)、30(配列番号39)、及び31(配列番号40)をワクチンペプチド構築物においてCETP B細胞エピトープとして機能する能力をさらにテストするために選択した。これらのウサギペプチドに相当するヒト配列を配列比較によって決定した。図8A、8B及び8Cは、ウサギCETP(配列番号8)とヒトCETP(配列番号7)のそれぞれのアミノ酸配列を並べて示している。図8A〜8Cを参照すると、これら二つの哺乳動物CETPの構造は、類似しているように見え、ヒトCETPでは80%が同一アミノ酸を有している。ウサギCETP(配列番号8)はヒトCETP(配列番号7)よりも20アミノ酸長い。また図8A〜8Cにおける2つのタンパク質の配置は、ダッシュ(---)で表示される2つのセグメントを示している。この場所では、タンパク質が構造的に一致しない。2つのタンパク質間でアミノ酸がマッチする位置は、垂直線(|)で表示されている。
実施例1で使用したウサギのペプチドに相当するヒトCETPペプチド配列は、表2に記載のように決定された。
Figure 2008545759
図8Aを参照すると、ヒトとウサギのCETPのN末端部分において、ウサギとヒトのアミノ酸配列のそれぞれで3箇所のみ相違があることに気づく。すなわちヒトCETPのSer2に対応するウサギCETPのPro2、ヒトCETPのThr5に対応するウサギCETPのAla5、そしてヒトCETPのHis7に対応するウサギCETPのTyr7である。
図8B及び8Cを参照すると、ペプチド22に関して、ウサギとヒトのアミノ酸配列のそれぞれで、7箇所のみ相違があることに気づく。すなわち、ヒトCETPのLys336に対応するウサギCETPのArg337、ヒトCETPのAsn341に対応するウサギCETPのSer342、ヒトCETPのMet345に対応するウサギCETPのAla346、ヒトCETPのLys347に対応するウサギCETPのThr348ヒトCETPのLue349に対応するウサギCETPのArg350、ヒトCETPのGln355に対応するウサギCETPのGly356、そしてヒトCETPのGln356に対応するウサギCETPのArg357である。
図8Cを参照すると、ペプチド30に関して、ウサギとヒトのアミノ酸配列のそれぞれで、3箇所のみ相違があることに気づく。すなわち、ヒトCETPのArg451に対応するウサギCETPのLeu471、ヒトCETPのPhe454に対応するウサギCETPのCys474、そしてヒトCETPのGlu465に対応するウサギCETPのLys485である。
図8Cを参照すると、ヒトとウサギのCETPのC末端16mer(ペプチド31)において、ウサギとヒトのアミノ酸配列のそれぞれで1箇所のみ相違があることに気づく。すなわち、ヒトCETPのGlu465に対応するウサギCETPのLys485である。
ヒトCETPペプチド1、22、30及び31(表2)を、免疫原性担体タンパク質であるキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)と結合させた。ペプチド1、22、30は、それらのC末端を介して結合されており、ペプチド31はN末端を介して結合されている。ペプチドKLHコンジュゲートを野生型BALB/cマウスに1回の初回皮下注射及び2回のブースター皮下注射で投与した。初回免疫では、各マウスにPBS/フロイント完全アジュバント(CFA)1:1エマルジョンにて0.1mgのペプチドの1つを投与した。3週間後、マウスにPBS/フロイント不完全アジュバント(IFA)1:1エマルジョンにて0.1mgペプチドのブースター接種を施した。各ペプチドコンジュゲートが、1グループ5匹のマウスを免疫するのに用いられた。マウスの第5グループ(コントロール)は、KLHのみ(PBS/CFA又はPBS/IFAエマルジョンで)が投与された。
図2は、ヒトペプチド-KLHコンジュゲート(図中のpep-1-KLH、pep-22-KLH、pep-30-KLH、pep-31-KLH)の2回目のブースター接種後5週目に採血された血清をELISAで測定したときの全長ヒトCRTPに対する抗体力価を示している。このアッセイでは、連続希釈した血清サンプル100μlを0.05μgの組換えヒトCETPで前被覆処理した96穴プレートの各ウェルに加えた。公知のマウス抗ヒトCETPモノクローナル抗体TP2(Columbia大学のDr. Alan Tallより入手)をポジティブコントロールとして用いた。免疫複合体を、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)と結合されたヒツジ抗マウスIgGで探索した。比色検出をTMBペルオキシダーゼ基質(Kirkegard & Perry Laboratories, Inc. (KPL), Gaithersburg)を用いて行った。図2で明らかにされた結果に基づいて、ぺプチド1及び30をさらなる研究のために選択した。KLHと結合したこれらのペプチドで免疫された野生型BALB/cマウスは、ペプチド22/KLHコンジュゲート又はKLHコントロールに対する反応と比較して、高レベルのヒトCETP交差反応性抗ペプチド抗体を産生することがわかった。公知のCETP B細胞エピトープ(米国特許第6,410,022号参照)を含むペプチド31/KLHコンジュゲートを、コントロールとして以降の研究に用いた。
<KLH結合ペプチド1、30若しくは31、又は3つ全てを組み合わたペプチドを導入されたhuCETPトランスジェニックマウスにおける抗huCETP抗体の産生>
ヒトと異なり、マウスは元々、内在性血清CETPを発現しないので、野生型マウスに存在するいずれのCETPエピトープもマウス免疫システムにとって外来物となると考えられる。したがって、CETPワクチンを自己抗原に方向付ける場合には、野生型マウスモデルは、ヒトの患者に類似する状態を呈さない。「自己」の内在性免疫認識の問題を打開するのに必要となる哺乳動物システムにおけるCETPワクチンをテストするために、以降の実験は、ヒトCETPを発現するトランスジェニックマウス(Taconic, Germantown, NY)を用いて行われた。
ヒトCETPトランスジェニックマウスを、実施例2で使用したのと同じプロトコルで、KLH結合ヒトCETPペプチド1、30及び31を用いて皮下注射により免疫した。コンジュゲートを3グループ(1ペプチドコンジュゲート/グループ;9〜10匹のマウス/グループ)のマウスに接種した(1回の投与につき1匹のマウスあたり0.2mlのPBS/CFAエマルジョンで0.1mgのペプチド)。第4のグループは、3つのペプチドコンジュゲート全ての混合物を投与(1回の投与につき1匹のマウスにPBS/CFAエマルジョンの総量0.2mlで各ペプチド0.1mg)して、相加反応の可能性をテストした。ブースターワクチン接種(IFAで)を10週後に行った。マウスの第5グループは、PBS/CFA又はPBS/IFAエマルジョンのみを投与され、ネガティブコントロールとして扱われた。血清サンプルを免疫接種後10週目及び13週目に回収し、抗CETP力価を実施例2に記載したようにして測定した。結果を図3に示す。
図3で見られるように、ペプチド1−KLHに対する応答レベルは、野生型マウスモデルよりもトランスジェニックマウスモデルにおいてかなり高かった(図2)。両モデルで、100%のマウスがペプチド1(CETP N末端領域)コンジュゲートに応答した。ペプチド30−KLHは、9匹のトランスジェニックマウスのうち1匹のみで抗体力価を上げた。これと似た結果が以前に非トランスジェニックマウスで得られている。トランスジェニックマウスは、ペプチド31−KLHに対して免疫反応を示さなかった。しかし、この結果は説明できないことから、恐らくは操作上若しくは測定上のエラー(例えば、試薬を添加しなかったこと、ペプチド31のKLH基質への結合をしなかったこと等)が原因と思われる。
なぜなら、同一ペプチドとマウス株を用いた以前の実験では、高い抗CETP力価を生じているからである。3つ全てのペプチドコンジュゲートの混合物を投与したグループでは、9匹のマウスのうち8匹が、抗huCETP力価に関して陽性であった。これらの力価は、ペプチド1−KLH単独で免疫したときよりも幾分低かった。これは、相加免疫反応性がないことを示唆し、さらにこれらのペプチドによって提示されるエピトープに対する免疫反応の干渉を示している。
<KLH結合ペプチド1、30、又は31の導入後のhuCETPトランスジェニックマウスのCETP活性における変化>
実施例3の実験で回収された血清を用いて、血清CETP活性におけるKLH結合ペプチドワクチンを用いた抗CETP免疫反応を促進する効果をテストした。血清CETP活性を測定するのに使用した方法は、C. BisgaierらのJ. Lipid Res., 34:1625 (1993)に記載されたアッセイ法を基にした。サンプル中のCETP活性は、反応期間の開始時に反応混合物に添加される供与体合成脂質ミクロエマルジョンから受容体合成脂質ミクロエマルジョンへの、蛍光標識されたコレステリルエステルのCETPを介した転送によって生じる脱消光した蛍光度として測定された。合成供与体ミクロエマルジョンは、1-パルミトイル-2-オレオイル-ホスファチジルコリン(POPC, Avanti Polar-Lipids, Inc., Alabaster, AL)、トリオレイン、オレイン酸コレステリル及びBODIPY-FL-コレステリル(蛍光標識されたコレステリルエステル; Molecular Probes, Inc., Eugene, OR)からなる。BODIPY-FL-コレステリルは、受容体ミクロエマルジョン調製物中に含まれていない。そうでないと、供与体ミクロエマルジョンのものと全く同一のものとなってしまうからである。テスト用サンプル(全血清)からなる混合物、並びに供与体及び受容体ミクロエマルジョンを96穴黒色プレートのウェル内で、37℃にて20時間インキュベートした。インキュベーション期間終了時に、蛍光プレートリーダー(CytoFluorTM II Microplate, Millipore, Inc., Billerica, MA; 励起フィルター485nm;発光フィルター530nm)を用いて読み取りを行った。
CETP活性解析の結果を図4A及び4Bに示す。図4Aは、2回のワクチン投与(初回およびブースター1回)を施し、初回免疫後13週目に回収したhuCETPトランスジェニックマウス由来の血清におけるCETP活性の平均変化を示している。図4Bは、初回免疫後19週目(及び、2回目のブースター接種後6週目)に回収された同一マウス由来の血清におけるCETP活性の平均変化を示している。データは、各マウスについて免疫前血清で見られたCETP活性に対して相対的な免疫後血清におけるCETP活性の変化率(%)として表されている。KLHのみを導入したコントロールマウスは、「免疫後」血清において血清CETP活性の著しい増加(150〜450%)を示した。この増加の理由は定かではないが、当該増加がこの動物モデルを用いた他の実験でも観察された(データ示さず)ことから、huCETPトランスジェニックマウスでは自然な加齢現象なのかもしれない。
図4A(最初のブースター接種後5週目に採血された血清)は、ヒトCETPペプチド1コンジュゲート(pep-1-KLH)又はペプチド30コンジュゲート(pep-30-KLH)のいずれかを用いたヒトCETPトランスジェニックマウスのワクチン接種が、KLH単独で接種したコントロールマウスのCETP活性と比べて、それぞれCETP活性で約67%及び70%の減少をもたらしたことを示している。この減少は、CETP活性の56%の減少をもたらしたペプチド31コンジュゲート(pep-31-KLH)で見られたものよりも大きい。3つのコンジュゲートpep-1-KLH、pep-30-KLH及びpep-31-KLHの組み合わせを用いたワクチン接種は、KLHコントロールと比べてCETP活性で約82%の減少をもたらした。これは、複合免疫の効果が相加的であり得ることを示している。このグループのマウスは、個別のペプチドで免疫したグループよりもCETPに対する抗体力価が低かったことから(実施例3参照)、この結果は意外であった。
図4Bは、KLH結合ペプチド1、30又は31の2回目のブースター接種を施した後のヒトCETPトランスジェニックマウスの血清CETP活性レベルの変化を描いている。KLH単独接種したものをコントロールとして用いた。データは、免疫前血清に対する免疫後に検出されたCETP活性の変化率(%)として示されている。図4Bで見られるように、pep-1-KLHでのワクチン接種は、KLH単独で接種されたマウスと比べてCETP活性を約65%まで減少させた。一方、pep-30-KLH及びpep-31-KLHでのワクチン接種は、KLH単独で接種されたトランスジェニックマウスに対して相対的に、それぞれ約52%及び22%のCETP活性の減少をもたらした。
<CETPワクチンペプチドを導入されたhuCETPトランスジェニックマウスにおける総CETP活性及びHDLcレベルの変化>
ヒトCETPトランスジェニックマウスを皮下注射によって、破傷風毒素に由来する14merのユニバーサル(広範囲)ヘルパーT細胞エピトープQYIKANSKFIGITE(配列番号1)と共有結合で連結されたヒトCETPペプチド1(配列番号51)からなる本発明のCETPワクチンペプチドで免疫化した。CETPペプチドにおける機能的エピトープのマスキングを最小限に抑えるため破傷風毒素14merをN末端でペプチド1と連結して、CSKGTSHEAGIVCRITKPALLQYIKANSKFIGITE(配列番号4)をもつワクチンペプチドを生じさせた。このペプチドをCETi-N2とした。
比較のために、ポジティブコントロールワクチンペプチドを、C末端CETPペプチド(すなわち、ヒトCETPペプチド31、配列番号54)を利用して、同じ破傷風毒素ユニバーサルヘルパーT細胞エピトープに連結して(ここでは、破傷風毒素由来のペプチドのC末端を介して)合成した。このペプチドは、CETi-1とされ、以下のアミノ酸配列CQYIKANSKFIGITEFGFPEHLLVDFLQSLS(配列番号41)を有する。CETi-1ワクチンペプチドは、米国特許第6,410,022号に記載のワクチンペプチドCETi-1と同一である。このペプチドは、付加的な(非天然の)アミノ末端のシステインを担持し、二量体形成を補助している。
本発明のさらなるワクチンを合成した。当該ワクチンは、野生型のN末端システイン残基を欠いていること以外は、上記CETi-N2と同一である。ヒトCETPのN末端領域は、システイン残基を2つ(1位及び13位に)含んでいる。当該残基は、分子内及び分子間ジスルフィド結合の形成を促進し、それによって複雑な構造をもつ意図しない物質をもたらし得る。本発明者らは、第1システインの欠如により、溶液中においてペプチドの構造的複雑性が著しく減少することを見出した(データ示さず)。このペプチドは、C末端のユニバーサルヘルパーT細胞エピトープ(配列番号1)に連結されたヒトCETPの2〜21番アミノ酸を含み、アミノ酸配列SKGTSHEAGIVCRITKPALLQYIKANSKFIGITE(配列番号5)を有し、CETi-N2.1と呼ばれる。
3つのペプチドCETi-1、CETi-N2及びCETi-N2.1のそれぞれを使用して、8〜10匹からなるhuCETPトランスジェニックマウスのグループを免疫した。マウスの第4のグループは、CETi-1とCETi-N2の混合物で免疫した。初回ワクチン接種では、PBS/CFAエマルジョンでワクチンペプチド0.1mgを各マウスに投与した。一方、2回のブースターワクチン接種(5及び10週後)では、IFAをCFAに置き換えた。第5のグループは、ネガティブコントロールとし、PBS/CFAエマルジョン又はPBS/IFAエマルジョンのみを投与した。接種は、全て尾基部における皮下注射とした。
血清サンプルを、評価用に3回目の接種(2回目のブースターワクチン接種)後3週間で回収した。図5は、個々のマウスの抗huCETP力価、及び各グループのマウスで測定された平均値(バーで示す)を示している。似たような免疫反応の平均レベルがCETi-N2とCETi-1(1:1000希釈でのOD〜0.750)のワクチン接種で得られた。CETi-N2.1のみ、又はCETi-1とCETi-N2の混合物を投与したグループの力価は、前記2つのグループのものよりも低かった(約30%)。
各マウスの血清CETP活性レベルとそれらの平均値(バー)を図6に示す。実施例4のように、非処理のコントロールマウスは、実験を通してCETP活性において約300%の上昇を示した。CETi-N2は平均では効果がなかった。一方、CETi-1は、(予想通り、ペプチド1−KLHコンジュゲートを用いた実施例4で見られたように、減少する代わりに)CETP活性を上昇させるように思われた。対照的に、CETP活性の(〜15%までの)減少がCETi-1とCETi-N2を共に投与したグループで観察され、またCETP活性の(〜60%までの)劇的な減少がCETi-N2.1を単独でワクチン接種したグループで観察された。
最後に、図7は、血清HDL-コレステロール(HDLc)解析の結果を示している。ベースライン(非処理コントロールグループ)HDLcレベルは、実験を通して増加するように思われた。これは、これらのトランスジェニックマウスの自然な加齢現象なのかもしれない。コントロールグループとは対照的に、CETi-1、CETi-N2、又はCETi-1とCETi-N2の両方の混合物は、血清HDLcレベルの減少を示した(両方のワクチンペプチドを投与されたグループで最も顕著であった)。反対に、血清HDLcレベルの著しい増加(コントロールと比較して48%まで)がCETi-N2.1ワクチンペプチドを投与したマウスのグループで見られた。これらの結果は、同一サンプルで得られたCETP活性の結果(図6)と、よく相関している。これは、ワクチン接種で誘導されるCETP活性の減少が、HDLc若しくは「善玉コレステロール」の増加という望ましい結果をもたらすことを示唆している。
これらの結果は、抗CETPワクチンペプチドによって上昇した抗体力価のレベルと血清CETP活性又はHDLcレベルを制御する効果との間の密接した相関関係の欠如を証明している。したがって、内在性CETPで誘導される自己抗体の相互作用部位が、より重要であるかもしれない。CETi-N2とCETi-N2.1とで得られた非常に異なる効果は、それらの一次構造が実質的に同一であることから、二次構造の違いが最も考えられ得る原因であろう。2つのCys残基をペプチドの1位と13位に有するCETi-N2.1は、酸化により自然発生的に環状化又は重合し、複雑な構造を形成する。一方1位のCys残基を失っているCETi-N2.1は、酸化されたとしてもぜいぜいワクチンペプチド二量体を形成する程度であろう。
<高コレステロールな食餌を取らせ、CETPワクチンペプチドを導入したhuCETPトランスジェニックマウスにおける抗ヒトCETP抗体反応>
実施例5に記載した実験は、ヒトCETPトランスジェニックマウス12〜13匹からなる4つのグループで繰り返された。ただし、本実験では、マウスに高コレステロール食餌を取らせ、初回免疫後ブースターワクチンを24日目と42日目に施されている。
血清サンプルを、最初のワクチン接種後42日目(2回目のブースターを投与する前)及び64日目に回収した。抗huCETP抗体力価のデータを上述のようにして得た。コントロールマウス(バッファ+アジュバントのみ)、ポジティブコントロールマウス(CETi-1)並びにCETi-N2及びCETi-N2.1でワクチン接種されたマウスの平均抗体力価データを、表3に示している。
Figure 2008545759
表3に見られるように、コントロールグループは、実質的な免疫性の抗CETP免疫反応を示さなかった。しかし、ポジティブコントロールとN末端CETPエピトープワクチンCETi-N2及びCETi-N2.1は、全て著しい抗CETP抗体反応を示した。似たような抗体の平均レベルが、CETi-N2.1とCETi-1ワクチン接種で得られた。CETi-N2を施したグループの抗体力価は、CETi-N2.1及びCETi-1グループと比べて約3倍高かった。
前述の記載から、コレステリルエステル転送タンパク質のN末端部分を利用した自己抗原性ワクチンペプチドがワクチン接種した個体に抗体反応を誘発させ、また同時に血清CETP活性を制御し(減少させ)かつ血清HDLcレベルを増加させるための、予想外の効果的な自己免疫原を与えることが明らかである。
多数の実施形態が上に記載されているが、本発明の開示又は添付の請求項の範囲を逸脱することなく、記載された組成物や方法の改変及び変動を行うことが可能であることは、当業者であれば理解できるであろう。上記で引用した論文と刊行物は、本明細書参照によって組み込まれる。
Figure 2008545759
図1Aは、30個のウサギCETP 21mer断片と1種のC末端16mer断片(配列番号10〜40)のそれぞれについてのドットブロット解析のウサギ抗ヒトCETP抗体結合データを示している。全長ヒトCETP(配列番号7)で免疫した11羽のニュージーランドホワイト種のウサギから回収された抗huCETP血清を用いてテストした。この図は、CETP活性の変化率(%)及びHDL-コレステロール(HDLc)の総コレステロールに対する割合を示している。図1Aは、まとめて考えると、CETP活性の変化を伴うCETPの特定領域についての免疫反応のパターンとワクチン接種後のHDLc/総コレステロール比レベルとの間の相関関係を示している。 図1Bは、30個のウサギCETP 21mer断片と1種のC末端16mer断片(配列番号10〜40)のそれぞれについてのドットブロット解析のウサギ抗ヒトCETP抗体結合データを示している。全長ヒトCETP(配列番号7)で免疫した11羽のニュージーランドホワイト種のウサギから回収された抗huCETP血清を用いてテストした。図1Bの結合データは、左から右に向かって、成熟ウサギCETPのN末端の21mer(ペプチド番号1、配列番号10)のデータで始まり、順次連続して(5アミノ酸の重複を有しながら)それぞれ21merでウサギCETPアミノ酸配列長に沿って、16アミノ酸の長さをもつ最もC末端側のペプチド、すなわちペプチド番号31(配列番号40)の方向に向かって配置されている。図1Bで明らかなように、B細胞エピトープとして機能する上で全長CETPタンパク質のどの領域に可能性があるかが、結合データから直ちに決定できる。各ペプチドについて図1Bで示された結果を、ドットプロットのシグナルの強さで示した。この強さは、シグナルなし(−)、弱いシグナル(±)、陽性シグナル(+)、強いシグナル(++)、又は非常に強いシグナル(3+若しくは4+)として等級分けされた。シグナルが接種後19週目では存在したが、接種前−1週目では存在しなかった場合は、値を普通のタイプで記録した。シグナルが19週目と−1週目の両方に存在するが、19週目の方が著しく高い場合は、値を丸カッコ( )で記録した。最後に、シグナルが19週目と−1週目の両方に存在するが、シグナル強度に有意な差異が見られない場合は、値を角カッコ[ ]で記録した。図1Bは、まとめて考えると、CETP活性の変化を伴うCETPの特定領域についての免疫反応のパターンとワクチン接種後のHDLc/総コレステロール比レベルとの間の相関関係を示している。 図1B-2は、図1B-1の表の続きである。 図2は、それぞれpep-1-KLH、pep-22-KLH、pep-30-KLH及びpep-31-KLHで表されたコンジュゲートであるKLH結合ヒトCETPペプチド1、22、30又は31(上記、表2参照)の1回の初回接種及び2回のブースター接種を受けた野生型BALB-cマウスの1:10希釈における抗体力価を示している。初回接種はフロイント完全アジュバント(CFA)で、又はブースター接種はフロイント不完全アジュバント(IFA)で調合されている。コントロールマウスは、CFA若しくはIFAでKLHを単独投与された。各グループは、5匹のマウスを含む。 図3は、ヒトCETPトランスジェニックマウスの1:100又は1:10,000希釈における抗体力価を示している。これらのマウスは、それぞれpep-1-KLH、pep-30-KLH及びpep-31-KLHで表されたコンジュゲートである、KLH結合ヒトCETPペプチド1、30、31(上記、表2参照)、又は3つのペプチドコンジュゲート全ての組み合わせの初回接種1回とブースター接種2回を受けている。初回接種はフロイント完全アジュバントで調合され、ブースター接種はフロイント不完全アジュバントで調合された。コントロールマウスは、CFA若しくはIFAでKLHを単独投与された。各グループは、9又は10匹のトランスフェニックを包含する。 図4Aは、フロイント完全アジュバントで調合されたKLH結合ヒトCETPペプチド1、30、又は31(上記、表2参照)の初回接種1回と、フロント不完全アジュバントで調合されたKLH結合ペプチドの1回目のブースター接種(図4A;初回接種後1週目)を受けた後のヒトCETPトランスジェニックマウスのCETP活性における変化率(%)を示している。コントロールマウスは、CFA若しくはIFAでKLHを単独投与された。CETPレベルは、前採血(ワクチン接種前)レベルに対して相対的に算出された。図4Aは、1回目のブースター投与後5週目(2回目のブースター前)のCETP活性における変化を示している。 図4Bは、フロイント完全アジュバントで調合されたKLH結合ヒトCETPペプチド1、30、又は31(上記、表2参照)の初回接種1回と、フロント不完全アジュバントで調合されたKLH結合ペプチドの2回目のブースター接種(図4B;初回接種後13週目)を受けた後のヒトCETPトランスジェニックマウスのCETP活性における変化率(%)を示しているKLH単独接種がコントロールとして使用された。KLH及びKLHペプチドは、CFA又はIFAを用いて(皮下注射によって)投与された。CETPレベルは、前採血レベルに対して相対的に示されている。 図5は、選択されたCETPペプチドと連結された破傷風毒素に由来する広範囲ヘルパーT細胞エピトープを有する融合タンパク質、すなわちCETi-1(配列番号41)で表される融合タンパク質、CETi-N2(配列番号4)で表される融合タンパク質、及びCETi-N2.1(配列番号5)で表される融合タンパク質の初回接種1回とブースター接種2回を受けた後のヒトCETPトランスジェニックマウスの抗体力価を示している。CETi-1とCETi-N2の組み合わせは、グループの1つに投与された。コントロールマウスは、CFA(初回接種)若しくはIFA(ブースター接種)のいずれかを単独で皮下に接種された。水平バーは、各マウスグループの抗体レベルの全平均を示している。 図6は、ポジティブコントロールワクチンペプチドCETi-1(配列番号41)、本発明のワクチンペプチドCETi-N2(配列番号4)、本発明のワクチンペプチドCETi-N2.1(配列番号5)又はCETi-1とCETi-N2の組み合わせを、CFAで調合した初回接種1回とIFAで調合したブースター接種2回を受けた後のヒトCETPトランスジェニックマウスにおけるCETP活性の変化率(%)を示している。コントロールマウスは、CFA(初回)若しくはIFA(ブースター)のいずれかを単独で皮下に接種された。全CETPレベルは、前採血のレベルに対して相対的に算出された。血清サンプルは、図5で示された同一の実験に由来する。 図7は、ポジティブコントロールワクチンペプチドCETi-1(配列番号41)、本発明のワクチンペプチドCETi-N2(配列番号4)、本発明のワクチンペプチドCETi-N2.1(配列番号5)又はCETi-1とCETi-N2の組み合わせ(CETi-1+2)を、CFAで調合した1回の初回接種とIFAで調合した2回のブースター接種を受けた後のヒトCETPトランスジェニックマウスにおけるHDLcレベルの変化率(%)を示している。コントロールマウスは、CFA(初回)若しくはIFA(ブースター)のいずれかを単独で皮下に接種された。血清サンプルは、図5で示めされた同一実験に由来する。各グループの全マウスの平均値を示している。 図8(A〜C)は、成熟ウサギCETP(配列番号8)と成熟ヒトCETP(配列番号7)のアミノ酸配列の整列を示している。ウサギCETPは、整列したヒトCETP配列の上部に示している。ウサギの配列は、ヒトの配列よりも20アミノ酸残基多く含み、ヒトの配列は、マッチする残基(垂直線「|」で示される)をより明確に示すために1アミノ酸と19アミノ酸のギャップ(ヒトの配列においてダッシュ「---」で示される)を示す。 図8Bは図8Aの配列の続きである。 図8Cは図8Bの配列の続きである。

Claims (66)

  1. コレステリルエステル転送タンパク質(CETP)B細胞エピトープ部分に連結されたユニバーサルヘルパーT細胞エピトープ部分を含む単離された自己抗原性ハイブリッドペプチドであって、該B細胞エピトープ部分が、コレステリルエステル転送タンパク質のアミノ末端21アミノ酸のうち6〜21個連続したアミノ酸を含む前記自己抗原性ハイブリッドペプチド。
  2. 前記B細胞エピトープ部分が、ヒトコレステリルエステル転送タンパク質(配列番号7)のアミノ末端21アミノ酸(配列番号2)のうち6〜21個連続したアミノ酸からなる、請求項1に記載の自己抗原性ハイブリッドペプチド。
  3. 前記ハイブリッドペプチドのB細胞エピトープ部分が、配列番号2のアミノ酸配列及び配列番号3のアミノ酸配列からなる群より選択される、請求項2に記載の自己抗原性ハイブリッドペプチド。
  4. ユニバーサルヘルパーT細胞エピトープが破傷風毒素、ジフテリア毒素、百日咳ワクチン、カルメット・ゲラン桿菌(BCG)、ポリオワクチン、麻疹ワクチン、おたふく風邪ワクチン、風疹ワクチン、ツベルクリンの精製タンパク質誘導体、キーホールリンペットヘモシアニン、M. tuberculosis由来の熱ショックタンパク質HSP65若しくはHSP70、合成pan-DRエピトープペプチドのユニバーサルヘルパーT細胞エピトープアミノ酸配列、及びそれらの組み合わせ若しくは反復からなる群より選択される、請求項2に記載の自己抗原性ハイブリッドペプチド。
  5. ユニバーサルヘルパーT細胞エピトープ部分が、QYIKANSKFIGITE(配列番号1);FNNFTVSFWLRVPKVSASHLE(配列番号50);X1KX2VAAWTLKAX1(配列番号42)、X1KX2VAAWTLKAAX1(配列番号48)又はAKX2VAAWTLKAAA(配列番号49)(配列中、X1はD-Alaであり、X2はシクロヘキシルアラニンである);それらの組み合わせ;及びそれらの反復からなる群のメンバーを含む、請求項2に記載の自己抗原性ハイブリッドペプチド。
  6. 配列番号4のアミノ酸配列を含む自己抗原性ハイブリッドペプチド。
  7. 配列番号5のアミノ酸配列を含む自己抗原性ハイブリッドペプチド。
  8. 配列番号4のアミノ酸配列からなる、請求項6に記載の自己抗原性ハイブリッドペプチド。
  9. 配列番号5のアミノ酸配列からなる、請求項7に記載の自己抗原性ハイブリッドペプチド。
  10. 前記ハイブリッドペプチドが配列番号4の単量体、二量体、三量体若しくは四量体、又はそれらの混合物である、請求項6に記載の自己抗原性ハイブリッドペプチド。
  11. 前記ハイブリッドペプチドが配列番号5の単量体、二量体、三量体若しくは四量体、又はそれらの混合物である、請求項7に記載の自己抗原性ハイブリッドペプチド。
  12. 製薬上許容できる担体中に分散された請求項1〜11のいずれか1項に記載の自己抗原性ハイブリッドペプチド又はそのようなペプチドの混合物を含む医薬組成物。
  13. 哺乳動物被験体における循環HDLcの、循環LDLc、VLDLc又は総コレステロールに対する比を上昇させる方法であって、ユニバーサルヘルパーT細胞エピトープ部分及びCETP B細胞エピトープ部分を含む自己抗原性ハイブリッドペプチドを哺乳動物に投与することを含み、前記B細胞エピトープ部分がコレステリルエステル転送タンパク質(CETP)のアミノ末端21アミノ酸のうち6〜21個連続したアミノ酸を含む前記方法。
  14. B細胞エピトープ部分が、前記哺乳動物の内在性CETPと一致するアミノ末端21アミノ酸のうち6〜21個連続したアミノ酸を含む、請求項13に記載の方法。
  15. ユニバーサルヘルパーT細胞エピトープが破傷風毒素、ジフテリア毒素、百日咳ワクチン、カルメット・ゲラン桿菌(BCG)、ポリオワクチン、麻疹ワクチン、おたふく風邪ワクチン、風疹ワクチン、ツベルクリンの精製タンパク質誘導体、キーホールリンペットヘモシアニン、M. tuberculosis由来の熱ショックタンパク質HSP65若しくはHSP70、合成pan-DRエピトープペプチドのユニバーサルヘルパーT細胞エピトープアミノ酸配列、及びそれらの組み合わせ若しくは反復からなる群より選択される、請求項13に記載の方法。
  16. ユニバーサルヘルパーT細胞エピトープ部分がQYIKANSKFIGITE(配列番号1);FNNFTVSFWLRVPKVSASHLE(配列番号50);X1KX2VAAWTLKAX1(配列番号42)、X1KX2VAAWTLKAAX1(配列番号48)又はAKX2VAAWTLKAAA(配列番号49)(配列中、X1はD-Alaであり、X2はシクロヘキシルアラニンである);それらの組み合わせ;及びそれらの反復からなる群のメンバーを含む、請求項13に記載の方法。
  17. ハイブリッドペプチドのユニバーサルヘルパーT細胞エピトープ部分が破傷風毒素タンパク質の830〜843番アミノ酸(配列番号1)、又は破傷風毒素タンパク質の947〜967番アミノ酸のアミノ酸配列(配列番号50)からなる群より選択される、請求項13に記載の方法。
  18. 前記ハイブリッドペプチドが配列番号4のアミノ酸配列を含む、請求項13に記載の方法。
  19. 前記ハイブリッドペプチドが配列番号5のアミノ酸配列を含む、請求項13に記載の方法。
  20. 前記ハイブリッドペプチドが配列番号4のアミノ酸配列からなる、請求項18に記載の方法。
  21. 前記ハイブリッドペプチドが配列番号5のアミノ酸配列からなる、請求項19に記載の方法。
  22. 前記自己抗原性ハイブリッドペプチドが、配列番号4の単量体、二量体、三量体若しくは四量体、又はそれらの混合物である、請求項18に記載の方法。
  23. 前記自己抗原性ハイブリッドペプチドが、配列番号5の単量体、二量体、三量体若しくは四量体、又はそれらの混合物である、請求項19に記載の方法。
  24. 前記投与ステップを1回以上繰り返すさらなるステップを含む、請求項13に記載の方法。
  25. 前記自己抗原性ハイブリッドペプチドが一以上の異なる自己抗原性ハイブリッドペプチドと組み合わせて投与される、請求項13に記載の方法。
  26. 前記一以上の異なる自己抗原性ハイブリッドペプチドが配列番号41の配列を有するペプチドを含む、請求項25に記載の方法。
  27. 哺乳動物被験体におけるCETP活性のレベルを減少させる方法であって、CETP B細胞エピトープ部分に連結されたユニバーサルヘルパーT細胞エピトープ部分を含む自己抗原性ハイブリッドぺプチドを哺乳動物に投与することを含み、前記B細胞エピトープ部分がコレステリルエステル転送タンパク質(CETP)のアミノ末端21アミノ酸のうち6〜21個連続したアミノ酸を含む前記方法。
  28. B細胞エピトープ部分が、前記哺乳動物の内在性CETPと一致するアミノ末端21アミノ酸のうち6〜21個連続したアミノ酸を含む、請求項27に記載の方法。
  29. ユニバーサルヘルパーT細胞エピトープが破傷風毒素、ジフテリア毒素、百日咳ワクチン、カルメット・ゲラン桿菌(BCG)、ポリオワクチン、麻疹ワクチン、おたふく風邪ワクチン、風疹ワクチン、ツベルクリンの精製タンパク質誘導体、キーホールリンペットヘモシアニン、M. tuberculosis由来の熱ショックタンパク質HSP65若しくはHSP70、合成pan-DRエピトープペプチドのユニバーサルヘルパーT細胞エピトープアミノ酸配列、及びそれらの組み合わせ若しくは反復からなる群より選択される、請求項27に記載の方法。
  30. ユニバーサルヘルパーT細胞エピトープ部分がQYIKANSKFIGITE(配列番号1);FNNFTVSFWLRVP KVSASHLE(配列番号50);X1KX2VAAWTLKAX1(配列番号42)、X1KX2VAAWTLKAAX1(配列番号48)又はAKX2VAAWTLKAAA(配列番号49)(配列中、X1はD-Alaであり、X2はシクロヘキシルアラニンである);それらの組み合わせ;及びそれらの反復からなる群のメンバーを含む、請求項27に記載の方法。
  31. ハイブリッドぺプチドのユニバーサルヘルパーT細胞エピトープ部分が破傷風毒素タンパク質の830〜843番アミノ酸(配列番号1)、又は破傷風毒素タンパク質の947〜967番アミノ酸のアミノ酸配列(配列番号50)からなる群より選択される、請求項27に記載の方法。
  32. 前記ハイブリッドペプチドが配列番号4のアミノ酸配列を含む、請求項27に記載の方法。
  33. 前記ハイブリッドペプチドが配列番号5のアミノ酸配列を含む、請求項27に記載の方法。
  34. 前記ハイブリッドペプチドが配列番号4のアミノ酸配列からなる、請求項32に記載の方法。
  35. 前記ハイブリッドペプチドが配列番号5のアミノ酸配列からなる、請求項33に記載の方法。
  36. 前記自己抗原性ハイブリッドペプチドが配列番号4の単量体、二量体、三量体若しくは四量体、又はそれらの混合物である、請求項32に記載の方法。
  37. 前記自己抗原性ハイブリッドペプチドが配列番号5の単量体、二量体、三量体若しくは四量体、又はそれらの混合物である、請求項33に記載の方法。
  38. 前記投与ステップを1回以上繰り返すさらなるステップを含む、請求項27に記載の方法。
  39. 前記自己抗原性ハイブリッドペプチドが一以上の異なる自己抗原性ハイブリッドペプチドと組み合わせて投与される、請求項27に記載の方法。
  40. 前記一以上の異なる自己抗原性ハイブリッドペプチドが配列番号41の配列を有するペプチドを含む、請求項39に記載の方法。
  41. 哺乳動物被験体における循環HDLcのレベルを上昇させる方法であって、ユニバーサルヘルパーT細胞エピトープ部分及びCETP B細胞エピトープ部分を含む自己抗原性ハイブリッドペプチドを哺乳動物に投与することを含み、前記B細胞エピトープ部分がコレステリルエステル転送タンパク質(CETP)のアミノ末端21アミノ酸のうち6〜21個連続したアミノ酸を含む前記方法。
  42. B細胞エピトープ部分が、前記哺乳動物の内在性CETPと一致するアミノ末端21アミノ酸のうち6〜21個連続したアミノ酸を含む、請求項41に記載の方法。
  43. ユニバーサルヘルパーT細胞エピトープが破傷風毒素、ジフテリア毒素、百日咳ワクチン、カルメット・ゲラン桿菌(BCG)、ポリオワクチン、麻疹ワクチン、おたふく風邪ワクチン、風疹ワクチン、ツベルクリンの精製タンパク質誘導体、キーホールリンペットヘモシアニン、M. tuberculosis由来の熱ショックタンパク質HSP65若しくはHSP70、合成pan-DRエピトープペプチドのユニバーサルヘルパーT細胞エピトープアミノ酸配列及びそれらの組み合わせ若しくは反復からなる群より選択される、請求項41に記載の方法。
  44. ユニバーサルヘルパーT細胞エピトープ部分がQYIKANSKFIGITE(配列番号1);FNNFTVSFWLRVP KVSASHLE(配列番号50);X1KX2VAAWTLKAX1(配列番号42)、X1KX2VAAWTLKAAX1(配列番号48)又はAKX2VAAWTLKAAA(配列番号49)(配列中、X1はD-Alaであり、X2はシクロヘキシルアラニンである);それらの組み合わせ;及びそれらの反復からなる群のメンバーを含む、請求項41に記載の方法。
  45. ハイブリッドペプチドのユニバーサルヘルパーT細胞エピトープ部分が破傷風毒素タンパク質の830〜843番アミノ酸(配列番号1)、又は破傷風毒素タンパク質の947〜967番アミノ酸のアミノ酸配列(配列番号50)からなる群より選択される、請求項41に記載の方法。
  46. 前記ハイブリッドペプチドが配列番号4のアミノ酸配列を含む、請求項41に記載の方法。
  47. 前記ハイブリッドペプチドが配列番号5のアミノ酸配列を含む、請求項41に記載の方法。
  48. 前記ハイブリッドペプチドが配列番号4のアミノ酸配列からなる、請求項46に記載の方法。
  49. 前記ハイブリッドペプチドが配列番号5のアミノ酸配列からなる、請求項47に記載の方法。
  50. 前記自己抗原性ハイブリッドペプチドが配列番号4の単量体、二量体、三量体若しくは四量体、又はそれらの混合物である、請求項48に記載の方法。
  51. 前記自己抗原性ハイブリッドペプチドが配列番号5の単量体、二量体、三量体若しくは四量体、又はそれらの混合物である、請求項47に記載の方法。
  52. 前記投与ステップを1回以上繰り返すさらなるステップを含む、請求項41に記載の方法。
  53. 前記自己抗原性ハイブリッドペプチドが一以上の異なる自己抗原性ハイブリッドペプチドと組み合わせて投与される、請求項41に記載の方法。
  54. 前記一以上の異なる自己抗原性ハイブリッドペプチドが配列番号41の配列を有するペプチドを包含する、請求項53に記載の方法。
  55. 抗コレステリルエステル転送タンパク質(CETP)ワクチンペプチドを作製する方法であって、
    a)CETPのN末端21アミノ酸のうち6〜21個連続したアミノ酸を含むB細胞エピトープ部分を選択するステップ、
    b)ユニバーサルヘルパーT細胞エピトープを含むユニバーサルヘルパーT細胞エピトープ部分を選択するステップ、及び
    c)前記B細胞エピトープ部分と前記ユニバーサルヘルパーT細胞エピトープ部分とを連結し、1つの自己抗原性部分を形成するステップ
    を含む前記方法。
  56. 前記B細胞エピトープ部分が前記ユニバーサルヘルパーT細胞エピトープ部分と共有結合的に連結されている、請求項55に記載の方法。
  57. 前記B細胞エピトープ部分が前記ユニバーサルヘルパーT細胞エピトープ部分にペプチド結合及びジスルフィド結合からなる群より選択される共有結合を介して共有結合的に連結されている、請求項56に記載の方法。
  58. 前記B細胞エピトープ部分が前記ユニバーサルヘルパーT細胞エピトープ部分にクロスリンカー分子を介して連結されている、請求項55に記載の方法。
  59. 前記B細胞エピトープ部分が前記ユニバーサルヘルパーT細胞エピトープ部分にアミノ酸の架橋を介して連結されている、請求項55に記載の方法。
  60. 前記B細胞エピトープ部分と前記ユニバーサルヘルパーT細胞エピトープ部分が共通の担体分子に連結されている、請求項55に記載の方法。
  61. 前記B細胞エピトープ部分を前記ユニバーサルヘルパーT細胞エピトープ部分に連結してワクチンペプチドを形成させ、かつ前記ワクチンペプチドを担体分子に連結するステップをさらに含む、請求項55に記載の方法。
  62. 自己抗原性ハイブリッドペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを含んでなるプラスミドをベースとした自己抗原性組成物であって、ヌクレオチド配列がユニバーサルヘルパーT細胞エピトープをコードする少なくとも1つのセグメントとインフレームで連結されたコレステリルエステル転送タンパク質(CETP)のN末端21アミノ酸のうち6〜21個連続したアミノ酸をコードする少なくとも1つのセグメントを含み、ヌクレオチド配列が哺乳動物細胞内でヌクレオチド配列の転写を指令するのに適したプロモーター配列に機能し得るように連結されている前記組成物。
  63. 前記CETPがヒトCETPであり、かつ前記プロモーター配列がヒトの細胞内でヌクレオチド配列の転写を指令するのに適している、請求項62に記載のプラスミドをベースとした自己抗原性組成物
  64. 前記アミノ末端21アミノ酸が配列番号2の配列を有する、請求項63に記載のプラスミドをベースとした自己抗原性組成物
  65. ユニバーサルヘルパーT細胞エピトープが破傷風毒素、ジフテリア毒素、百日咳ワクチン、カルメット・ゲラン桿菌(BCG)、ポリオワクチン、麻疹ワクチン、おたふく風邪ワクチン、風疹ワクチン、ツベルクリンの精製タンパク質誘導体、キーホールリンペットヘモシアニン、M. tuberculosis由来の熱ショックタンパク質HSP65若しくはHSP70、合成pan-DRエピトープペプチドのユニバーサルヘルパーT細胞エピトープアミノ酸配列、及びそれらの組み合わせ若しくは反復からなる群より選択される、請求項64に記載のプラスミドをベースとした自己抗原性組成物。
  66. 前記ヌクレオチド配列が配列番号4又は配列番号5の配列を有するポリペプチドをコードする、請求項62に記載のプラスミドをベースとした自己抗原性組成物。
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