JP2008543524A - 外科システムのテスト方法 - Google Patents

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Abstract

潅注/吸入がバランスしたシステム(流入流量 流出流量)において、ポンプが停止した直後から吸引圧力が潅注流体源の圧力に回復するまでの期間が、ポンプの稼動時間に依存しない、という利点を有する、外科システムのテスティング方法。この方法は、外科的に厄介な問題(たとえば、閉塞破壊後のサージによるチャンバー破損)を潜在的に引き起こす可能性のある、たとえば、限界的な(マージナルな)潅注流の場合のような、現行システムでは検出できない、制限された潅注流をもたらす種々の構成を検出するより信頼性の高い方法を提供する。

Description

本発明は、一般に、白内障外科の分野に関し、特に、水晶体吸引治療法と共に使用する術中の圧力監視方法、眼科用の小型外科手術システム吸引制御に関する。
人の眼は、最も簡単に言うと、光を角膜と呼ばれる透明な外部部位を通して水晶体によって網膜に像の焦点を合わせることによって視力を提供している。焦点を結んだ像の質は、眼の大きさと形状、および、角膜と水晶体の透明性を含む多くの因子に依存する。
年齢や病気によって水晶体の透明性が低下した場合、網膜に到達する光が減少することにより視力が低下する。このような眼の水晶体の欠陥は、医学的には、白内障として知られている。外科的に水晶体を取除き、人工眼球内レンズ(IOL)で水晶体の機能を置き換えることは、白内障でよく行われる処置である。
米国において、白内障になった水晶体の大半は、水晶体吸引治療法と呼ばれる外科処置によって取除かれている。この処置の過程で、薄く小さな水晶体吸引治療用のカッター片が、病気にかかった水晶体の中に挿入されて超音波振動する。振動しているカッター片は、水晶体が眼の外に吸引されるように、水晶体を液状化、あるいは、乳化する。病気にかかった水晶体は、一旦、取除かれると人工レンズに置き換えられる。
眼科処置に適する典型的な超音波装置は、超音波駆動されるハンドピース、装着されたカッター片、および、潅注スリーブと電気的制御コンソールからなっている。ハンドピース・アセンブリは、この制御コンソールに電気的なケーブルと柔軟性のあるチューブで取付けられている。この電気的なケーブルを通して、コンソールは、ハンドピースから装着されたカッター片へ伝達するパワーレベルを変える。一方、柔軟性を持ったチューブは、ハンドピース・アセンブリを通して、潅注流体を眼に供給し吸引流体を眼から吸引する。
ハンドピースの処置部は中央に位置し、中空の共鳴バー、あるいは、ホーンは、直接、強誘電体結晶セットに装着されている。結晶は、コンソールから制御され、水晶体吸引治療中、ホーンと装着されたカッター片との双方を駆動するのに必要な超音波振動を提供する。結晶/ホーン・アセンブリは、柔軟性をもって装着され、中空の本体の中、あるいは、ハンドピースの殻に吊るされている。ハンドピースの本体は、細まった直径を持つ部分、あるいは、本体の末端にあるノーズコーンで終端している。ノーズコーンは、潅注スリーブを受け入れられるように、外側に螺子が切ってある。同様に、ホーンの内腔は、その末端で内側に螺子が切られ、カッター片の外側の螺子山を受ける。潅注スリーブもまた、ノーズコーンの外側の螺子山に噛み合う螺子が切られた内腔を内側に備えている。カッター片は、先端が潅注スリーブの開放端を通過して所定量のみ突出するように調整されている。特許文献1−12に、超音波ハンドピースとカッター片は、さらに詳しく記載されている。
使用時、カッター片の端と潅注スリーブは、角膜、強膜、あるいは、その他の場所の中で所定の幅を持った小さな切り口に挿入される。カッター片は、結晶に超音波駆動されたホーンによって、潅注スリーブの中でその長手軸方向に沿って超音波振動し、これにより、選択した組織をその本来の場所で乳化する。カッター片の中空の内腔は、ホーン内の内腔と連通し、ホーン内の内腔は、ハンドピースからコンソールへの吸引ラインと連通している。コンソールの中の減圧、あるいは、真空源は、乳化した組織を眼から、カッター片の開放端、カッター片の内腔、ホーンの内腔、および、吸引ラインを通して、収集装置へ吸引する。潅注スリーブの内側表面とカッター片との間の小さな円環状のギャップを通して、外科処置部位に注入される、洗浄用の食塩水、あるいは、潅注によって、乳化した組織の吸引は補助されている。
外科処置に先立って、多様なハンドピース、チューブ、および、流体管理カセットは、すべて空気を押し出して、前準備しておく必要がある。この前準備段階で、現行の水晶体吸引システムは、吸引システムのリーク、あるいは、閉塞をテストする、吸引システムの診断工程も作動している。この診断工程中に、システムポンプは作動して、吸引ラインに真空を発生する。システムが所望の真空レベルに達することができない場合、このことは、吸引システムのどこかにリークがあることを、水晶体吸引システムに対して示しており、水晶体吸引システムは操作者に対して警告音を鳴らす。反対に、既に引いた真空レベルを開放できない場合は、吸引システムに、たとえば、チューブの折れのような閉塞があることを示している。
前準備工程に引き続き、特に、ハンドピースを流れる十分な流量を確認するという目的で、流量チェックが行われる。現行の水晶体吸引システムは、カッター片とスリーブを覆う、小さいゴム製のテストチャンバーを使用している。テストチャンバ−は、潅注流体で満たされ、ハンドピースに接して置かれた時、閉じたコンプライアンスを持った吸引システムを構成する。このテスト中、所定のポンプ回転数に対する超過した真空レベルは、流体経路の流量が制限されていることを示している。テストチャンバーが満たされ、テスト完了まで圧力がかけられたことを確認する、ユーザーによるマニュアルのチェックも実行できる。収縮したテストチャンバーは、潅注流が制限されていることを示している。
この前準備工程と診断工程が有効に機能している間は、現行の水晶体吸引システムでもいくつかの問題を解決することができる。たとえば、水晶体吸引チップテクノロジーがここ数年来進化して来ているが、多くの異なった型と直径を持つチップを入手することができる。当業者に理解できるように、小さい直径、あるいは、小さい内腔を持った吸引チップは、大きな内腔を持ったチップよりも、本来的に、流れに対して高抵抗を持っている。したがって、どのポンプ回転数においても、小さな内腔を持ったチップは、大きな内腔を持ったチップよりも、吸引ラインに高真空を作り出すことができる。この結果、小さな内腔を持ったチップでの真空レベルを使用した診断設定条件は、大きな内腔を持ったチップを使用した場合には、適当ではない等々の問題がある。これによって、システムの精度が下がり、誤って警報を発することが起こり得る。同様に、チューブやハンドピースのサイズが異なる場合にも、精度が下がることが起こり得る。診断工程終了後に引き続く適当なテストチャンバーの状態の確認をユーザーに頼ると、主観的になり、また、ヒューマンエラーを受けやすくなる。
以上のように、多様なハンドピース、チューブ、および、チップの使用している、水晶体吸引システムを、測定精度よく、前準備してテストする方法に対するニーズは引き続き存在している。
米国特許第3,589,363号明細書 米国特許第4,223,676号明細書 米国特許第4,246,902号明細書 米国特許第4,493,694号明細書 米国特許第4,515,583号明細書 米国特許第4,589,415号明細書 米国特許第4,609,368号明細書 米国特許第4,869,715号明細書 米国特許第4,922,902号明細書 米国特許第4,989,583号明細書 米国特許第5,154,694号明細書 米国特許第5,359,996号明細書 米国特許第5,267,956号明細書 米国特許第5,364,342号明細書 米国特許第5,499,969号明細書 米国特許第5,899,674号明細書 米国特許第6,293,926号明細書 米国特許出願第2003/0190244号明細書
本発明は、下記の外科システムのテスト方法を供給することで従来技術を改良する。そのテスト方法は、潅注/吸入がバランスしたシステム(流入流量 流出流量)において、ポンプが停止した直後から吸引圧力が潅注流体源の圧力に回復するまでの期間がポンプの稼動時間に依存しない、という利点を有する外科システムのテスト方法である。この方法は、外科的に厄介な問題(たとえば、閉塞破壊後のサージによるチャンバー破損)を潜在的に引き起こす可能性のある、たとえば、限界的な(マージナルな)潅注流の場合のような、現行システムでは検出できない、制限された潅注流をもたらす種々の構成を検出する、より信頼性の高い方法を提供する。
したがって、本発明の一つの目的は、外科コンソール制御システムを供給することである。
本発明の別の目的は、外科システムを前準備する方法を持つ、外科コンソール制御システムを供給することである。
本発明の別の目的は、より信頼性の高い、現行システムでは検出できない、制限された潅注流をもたらす種々の構成を検出することができる、外科システムを前準備する方法を供給することである。
本発明のこれら、あるいは、この他の利点と目的は、以下の詳細な記載と請求項明らかになるであろう。
潅注/吸入(“I/A”)がバランスしたシステム(流入流量 流出流量)において、(ポンプが停止した直後から)吸引圧力がボトル圧力に回復するまでの期間がポンプの稼動時間に依存しないこと、を発明者は発見した。実際、圧力回復プロファイルは、指数関数的に平衡に向かう次式で近似できる形状を有している。
P(t)=PSRC−(PTEST+PSRC)×et/τ
ここで、
SRC:潅注源圧力、
TEST:ポンプ停止後の初期システム圧力、
τ:ある設定における時定数、
この近似では、回復時間は初期真空に依存しない。その代りに、時定数だけの関数であり、その回復時間は5τに等しい。この時定数は、たとえば、注入スリーブ、チューブの直径、注入セットドリップチャンバーなどの、システム構成に依存する。この本発明の方法では、回復時間、あるいは、時定数を正確に知る必要はなく、むしろ、回復時間が一定であるという事実を活用する。さらに、不均衡システムにおいて、注入が制限されることでテストチャンバーの回復が遅くなると共に、テストチャンバーの欠乏を再充填するのに付加的な時間が必要となるため、ポンプ稼働中のテストチャンバーの流体の欠乏は回復時間を長くする。この結果、テストチャンバーを再充填する時間は、直接、ポンプの稼動時間に比例する。このように、ポンプの稼働時間を延長することで、正確な測定のために、テストチャンバーの欠乏の効果を増幅することができる。
図1から最もよくわかるように、概ね、本発明のシステム10は、外科用コンソール12、カセット14を備えている。コンソール12は、たとえば、テキサス、フォート ウォース(Fort Worth, Texas)のアルコン研究所社から入手可能な、SERIES TWENTY THOUSAND LEGACY(商標),INFINITI(商標),あるいは、ACCURUS(商標)外科システムのような、適当な入手可能な商用コンソールなら何でも良い。カセット14は、たとえば、特許文献13−15(ボイハット他)、16(ユング他)、17(ゾレンセン他)、18(デービス他)に記載されているような、適当な入手可能な商用カセットなら何でも良い。これらの記載を、ここで参照して取込む。この分野でよく知られた方法で、カセット14は、コンソール12に作動可能に保持されている。
コンソール12は、概ね、業界で広く知られているポンプのような、適当な、フロー、あるいは、バキューム・ベースのポンプである、吸引ポンプ機構16を備えている。たとえば、吸引ポンプ機構16は、吸引ライン20と吸引排気ライン34で形成された蠕動ポンプのチューブと連通している、蠕動ポンプローラヘッドであってもよい。吸引ライン20は、一方の端が外科用ハンドピース22に接続され、もう一方の端が吸引ポンプ機構16に接続されて、ハンドピース22を通して流体を引いている。業界でよく知られた多くの侵入、あるいは、非侵入圧力センサの中の一つである、圧力センサ26は、吸引ライン20と流体的に連通している。吸引ライン20は、ハンドピース22と吸引ポンプ機構16の間で、吸引換気ライン24によって交差されている。
カセット14は、概ね、換気弁30を通して吸引換気ライン24に流体的に接続し、吸引ポンプ機構16を通して吸引ライン20に接続している、吸引排気ライン34を備えている。吸引ポンプ機構16からの、吸引物、あるいは、排気物は、吸引排気ライン34を通して排液袋29の中へと向かう。
本発明のシステム10は、ライン36を通して圧縮空気源38に接続された潅注流体コンテナ32も備えている。代替例として、潅注流体コンテナ32は、業界でよく知られた重力送りであってもよい。潅注流体コンテナ32は、流体的にライン40と弁42を通してハンドピース22と、および、潅注換気ライン44と弁46を通して吸引排気ライン34と流体的に連通している。
上述したように、吸引ポンプ機構16は、蠕動ローラヘッドと吸引ライン20であり、吸引排気ライン34が一つの連続した長さを持って形成されて、吸引ポンプ機構16と協働する蠕動ポンプチューブを形成するのが好ましいが、当業者は、吸引ライン20と吸引排気ライン34が独立の部品を形成することもでき、あるいは、カセット14と一体的に形成することもでき、また、リニア蠕動ポンプのように、蠕動ローラヘッド以外に吸引ポンプ機構16を使用することができることを理解するであろう。
加えて、圧力センサ26は、コンソール12の中に含まれているように描かれている。当業者には、圧力隔壁(図示しない)のような、圧力センサ26の一部分がカセット14の中、あるいは、接触して含まれ、また、コンソール12の中に含まれる、力変換機、あるいは、その他の手段と協働することがわかるであろう。
図2から最もよくわかるように、システム10のような、制限のない注入を持つ、I/Aシステムにとって、フローチェックサイクル(ポンプ16が、たとえば、60cc/minのような、あるレートで作動した後で停止する)の終わりで、吸引ライン20内の圧力の平衡に達するまでの時間(T)(吸引圧力センサ26の読み値、“APS”)が、ポンプ16の稼働時間にかかわらず、一定である(たとえば、t60は3秒)。システム10のような、制限のある注入を持つ、I/Aシステムにとって、全体の平衡に達するまでの時間(tSR)は、制限のない注入を持つシステムのそれより大きい。そして、次のように表すことができる。
SR = t′ + t
ここで、
t′:スローダウンした平衡到達時間(t′>T)、
:テストチャンバー再充填時間、
ある制限では、スローダウンした平衡到達時間(t′)もまた、一定のままである間、テストチャンバー再充填時間(適用できるならば)は、制限の程度に依存し、さらに重要なのは、ポンプ16の稼働時間(t60)に依存することである。テストチャンバー28再充填時間が適用できるか否かは、ポンプ16が稼動している間にテストチャンバー28が空になっているか否かに依る。制限があるにもかかわらず、ライン40を通って、テストチャンバー28に流れ込む注入流量が、ポンプ16によるライン20を通る吸引流量に追従できるなら、この時、t=0となる。この場合は、治療的観点からは、安全であるとみなせる。より制限的な場合(たとえば、ポンプ16が稼働中にテストチャンバー28が空になった時)は、危険である。このような場合、テストチャンバー28の再充填時間は、次のように見積もることができる。
= VStarved/FInfusion
= (FAspiration−FInfusion)・tTest/FInfusion
ここで、
Starved:ポンプ稼動中のテストチャンバー体積減少分、
Aspiration:テスト中の吸引流量率、
Infusion:注入流量率、
Test:ポンプ稼動時間、すなわち、テスト時間、
図3から最もよくわかるように、制限注入流では、全体的な平衡に至る時間(tSR)は、非制限流注入流のそれより大であり、以下の式で表される。
SR = t′ + t
ここで、
SR:スローダウンした平衡到達時間(t′>T)、
:テストチャンバー再充填時間、
この情報に基づいて、本発明の方法は図4に示すように作動する。ステップ(工程)1では、吸引圧力センサ26によって読み取られた注入流体コンテナ32の圧力は、将来の使用(tSRC)のために記録される。この値は、潅注弁42が開いてポンプ16が停止した状態で測定される。テスト中、潅注弁42は開いたままで、換気弁46は閉じたままである。測定値は、本質的に、吸引圧力センサ26によって読み取られた潅注流体コンテナ32の圧力であり、また、ポンプ16が停止時の吸引圧力の回復圧力でもある。このとき、“伝統的な”真空制限テストは、依然、事前の全体的なエラー検出(たとえば、吸引側の目詰まり)に使用されている。
本発明のテスト方法のステップ2では、ポンプ16が、ある程度高速に、数秒間回転している必要がある。たとえば、“高速”は、60cc/minのような、ユーザーが構成することができる閉塞しない最高速値であってもよい。ポンプ16の稼働時間は、制限された潅注流が測定可能な効果(たとえば、テストチャンバー28の部分的破壊)を奏するのに十分であるべきである。稼働時間が長くなれば、より精度が上がって、不良検出の信頼性が増す。他方、フェイルしない設定の場合、延長されたポンプの稼働時間が潅注流を浪費して、ユーザーを待たせることになる。したがって、この2つの間で妥当な時間は、2秒から6秒までの間とすることができる。ステップ2の終わりに、ポンプ16は停止して潅注弁42は開いたままで、システム10の吸引圧力は、潅注流体コンテナ32の圧力まで元通りに回復することができる。
ステップ3では、ポンプ16が停止してから吸引圧力が0mmHgをよぎるまでの時間(t01)が測定される。都合上、値として0mmHgを選択したが、他の値を使用することもできる。この点については、システム10で、テストチャンバー28が回復/(もしあれば)再充填して、かつ、圧力回復していることが、この値に要請される。テストチャンバー28が再充填されている時、テストチャンバー20は、ほぼ、0mmHgであり、この時、吸引圧力の読み値は負の値である。引き続き、吸引圧力の読み値が0mmHgである時、テストチャンバー28(上流)の圧力は、0より大、すなわち、正の値であり、このことは、テストチャンバー28が完全に膨張していることを意味している。したがって、吸引圧力の負でない読み値はテストを行うのに適当である。先行する工程中(ポンプ16稼動中)においても、吸引圧力の読み値は、通常、0mmHg(すなわち、真空)より十分低く、潅注流体コンテナ32の圧力は正の値をとり、したがって、システム10の圧力は、回復中のある時点で、必然的に、0mmHgをよぎることになる。
ステップ4では、所定の時間が経過した後、回復した吸引圧力は、期待値PSRSと比較される。回復時間の妥当な値は、通常、0.5秒から1.5秒であることができ、商用製品(カセット、チップ、スリーブ他)の組合せが最悪の場合に対して実験的に決定されることができる。実際の回復値と期待される回復値との許容できる差異は、センサ26の精度、ボトルスパイク、潅注流体コンテナ26の中の流体のレベル、その他に依存する。しかしながら、実際の値は、大体、10−15mmHgの範囲である。回復圧力が許容値の範囲内にあれば、システム10は、フローチェックテストをパスし、それ以上の流体的な設定は不要である。
ステップ5にみられるように、ステップ4で回復吸引圧力がフェイルした場合には、その回復値の差異は、実験的に決定された閾値と比較される。この閾値を超える回復は、マージナル(限界的)に許容可能な潅注設定をあらわしている。閾値それ自身は、システム10が不適切な設定を検出する能力の制御には使用されない。その代わり、この値によって、システム10は、ステップ(工程)を追加せずに、悪い設定を即座に拒絶することができる。この値が低すぎると、システム10は明らかに悪い設定を拒絶するために追加の工程を実行することが必要になり、一方、この値が高すぎると、誤った正の値を引き起こす原因となる。実際の値は、潅注流体コンテナ32の圧力の、ほぼ、50%であることができる。許容できる最悪の潅注制限をシミュレートして、この値の実用性を決定することができる。回復吸引圧力がステップ5のテストをパスすると、ある指数関数的に決定された閾値と比較した回復値の差異が潜在的に許容できることを表示して、次に、ポンプ16は、ステップ2の最後の部分を再度繰返し始めるか、あるいは、再度“標準的なフローチェック”をし始める。
このステップ6では、テストチャンバー28をさらに欠乏させることによる不均衡“流入流量<流出流量”の効果を増幅するため、ポンプ16の稼働時間はステップ2で使用される稼働時間とは相当に異なり、引き続き、ポンプ16が停止した後、期待値PSRSと比較される回復した吸引圧力を長くする。例として、ポンプ16の稼働時間を倍の6秒にすると、不適当な設定に対して、はっきりと見分けられる差異を生み出す。意味のある回復時間の比較を可能にするため、ポンプ16の回転数は、ステップ2の回転数とまったく同一に設定すべきである。
ステップ7では、ステップ3と類似の0mmHgまで回復する時間(t02)が測定される。
ステップ8では、双方の回復時間(t01とt02)が比較される。この2つの時間の著しい差異は、より長いテストチャンバーの回復/再充填時間、すなわち、著しい不均衡“流入流量<流出流量”を示している。全体的な回復時間が二つの因子(1)システム(チューブ、カセット他)の回復、(2)テストチャンバー28の回復、あるいは、再充填とを持っていると仮定すると、このシステムの因子は、あるシステム構成の下では、ほぼ一定値を保っており、一方、テストチャンバー28の回復は、テストチャンバー28の事前の破壊状態で決定される変数である。このテストチャンバー28の回復時間は、大雑把に、潅注自由流が、不均衡“入力流<出力流”によって事前に作られた欠乏分を満たす時間として近似される。ポンプ16の稼働時間を倍にすると、この不均衡を見積もる計算式が次のように単純になる:
01=tSystem+tTestChamber1
=tSystem+(FAspiration−FInfusion)×t/FInfusion
02=tSystem+tTestChamber2
=tSystem+(FAspiration−FInfusion)×2t/FInfusion

Δt=t02−t01
=(FAspiration−FInfusion)×t/FInfusion

Infusion/FAspiration=t/(t+Δt)
理想的には、適当な設定では、Δtが0であるべきで、比FInfusion/FAspirationは、1であるべきである。如何なる圧力と時間測定の不正確さの外では、如何なるΔtもある程度潅注流制限を示している。たとえば、流量60cc/minで3秒と6秒のフローチャックが実行されると、0.5秒の回復時間差が発生し、比FInfusion/FAspirationは、約86%、すなわち、潅注流制限は、約14%、と見積もられることができる。与えられた圧力センサ26の精度、時間測定精度、その他の入手可能な商用システムの因子、ほぼ15%(すなわち、ほぼ0.5秒のΔt)、は、実用的なパス/フェイルの判定基準として使用することができる。ステップ8のテストをパスすると、システム10の圧力が最低閾値よりも高いことを保証するために、ステップ5と同一のテストが行われる。
図5のフローチャートは、代替実施形態、あるいは、本発明の方法の第二の実施形態を示している。この方法と図4の方法との主な違いは、第二の実施形態が、すべて時間のみに基づいていることである。図5の方法は、テストの早い段階で(前の方の工程で)、パス・フェイル判断基準として期待回復値TとTを利用している。
カセット、チップ、潅注スリーブ、ハンドピース、および、流体工学的なモジュールを備えた、適当な(非制限)設定では、ポンプ16が停止に引き続く、システム10の吸引圧力回復が一定であるという原理に基づいていることが、当業者にはわかるであろう。圧力回復は近似することができ、潅注流体コンテナ32の圧力に指数関数的にアプローチする。すなわち:
P(t)=PSRC−(PTEST+PSRC)×et/τ
ここで、
SRC:潅注源圧力、
TEST:ポンプ停止後の初期システム圧力、
τ:ある設定における時定数、
この近似では、制限設定の回復を、同様な指数関数に、ポンプ16の稼働時間にリニアに比例する“テストチャンバー再充填”因子を加算したモデルとすることができる。2つの設定を比較しないので、制限システムの指数項は、非制限システムの指数項よりも大きな時定数τを持つ(すなわち、反応が遅い)という事実は、本方法では問題にならない。指数項が何であれ、設定が決まれば、指数項は一定値のままで、それゆえ、2つの異なる稼働時間後の2つの回復時間を比較したとき、一定値の部分は相殺されて、このように、残ったリニア項をチェックできる。
この記載の目的は、例示と説明である。当業者には、本発明の範囲と思想から逸脱せずに、上述した本発明を変更することができることは明らかである。
本発明の方法と共に使用することができる一つの制御システムの一つの実施形態のブロック図である。 一つの典型的な吸引圧力システムの、制限のない注入の場合の、一つの波形図である。 一つの典型的な吸引圧力システムの、制限のある注入の場合の、一つの波形図である。 本発明の第一の実施形態の工程を示したフローチャートである。 本発明の第二の実施形態の工程を示したフローチャートである。

Claims (6)

  1. 外科用の潅注/吸引システムのテストにおいて、流体的なバランスの指標としてハンドピース・テストチャンバーの充填状態を使用する工程を含む、吸引ポンプを備えた、前記潅注/吸引システムをテストする自動化された方法。
  2. 請求項1に記載の方法において、さらに、
    (a)既知の時間に既知の流量を吸引した後に続く、システム圧力回復を監視する工程と、
    (b)特性テストチャンバーの再充填セグメントの有無を決定する工程と、
    (c)決定された前記特性テストチャンバーの再充填セグメントに基づいて、前記潅注/吸引システムの流体的バランス状態を決定する工程と、
    を有すること、を特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 請求項1に記載の方法において、さらに、
    (a)第一の既知の時間に第一の既知の流量を吸引した後に続く、第一のシステム圧力回復プロファイルを監視する工程と、
    (b)第二の既知の時間に第二の既知の流量を吸引した後に続く、第二のシステム圧力回復プロファイルを監視する工程と、
    (c)前記第一のシステム圧力回復時間と前記第二のシステム圧力回復時間との比較に基づいて、前記回復時間の吸引量に対する依存性を決定する工程と、
    (d)決定された前記依存性に基づいて、前記回復プロファイルの中にある特性テストチャンバーの再充填セグメントの有無を決定する工程と、
    を有すること、を特徴とする請求項1に記載の方法。
  4. 外科用の潅注/吸引システムをテストする方法であって、
    (a)外科用コンソールの管理下にある潅注流体源を、前記外科用コンソールの管理下にある外科用ハンドピースに接続する工程と、
    (b)前記外科用コンソールの管理下にある吸引源を、前記外科用ハンドピースに接続する工程と、
    (c)前記潅注流体源から前記吸引源への流体的に閉じた経路を構成するように、前記外科用ハンドピースにテストチャンバーを装着する工程と、
    (d)前記テストチャンバーを前記吸引源によって発生した真空に、第一の時間の間、さらす工程と、
    (e)前記テストチャンバーを前記吸引源から、前記第一の時間の間、隔離する工程と、
    (f)前記第一の時間に引き続いた、前記潅注流体源が前記テストチャンバーの中の圧力を負でない圧力まで回復する、第一の時間を前記潅注ラインと前記吸引ラインのうちの一つの圧力回復プロファイルを監視する工程と、
    (g)前記テストチャンバーを前記吸引源によって発生した真空に、第二の時間の間、さらす工程と、
    (h)前記テストチャンバーを前記吸引源から、前記第二の時間の間、隔離する工程と、
    (i)前記第二の時間に引き続いた、前記潅注流体源が前記テストチャンバーの中の圧力を負でない圧力まで回復する、第二の時間を前記潅注ラインと前記吸引ラインのうちの一つの圧力回復プロファイルを監視する工程と、
    (j)前記第一の時間と前記第二の時間を比較する工程と、
    (k)前記第一の時間と前記第二の時間の前記比較に基づいて、前記外科用のシステムの状態を決定する工程と、
    を含むこと、を特徴とする外科用の潅注/吸引システムをテストする方法。
  5. 外科用潅注/吸引システムのテスト方法であって、
    前記外科用システムは、外科用ハンドピースを備え、
    前記ハンドピースは、潅注弁と潅注ラインを通して潅注流体供給源に接続され、前記ハンドピースは、さらに、吸引ラインを通して吸引ポンプに接続され、
    前記吸引ラインは、圧力センサを備え、
    前記テスト方法は、
    (a)潅注流体が前記潅注コンテナから前記外科用ハンドピースへ流れることができるように、前記潅注弁を開く工程、
    (b)前記ポンプを止めた状態で、前記吸引圧力センサで圧力(PSRC)を測定する工程と、
    (c)前記吸引圧力センサを備えた場所に真空を発生させるに十分な一定期間、ポンプを作動させる工程と、
    (d)前記ポンプを停止する工程と、
    (e)前記圧力が前記吸引圧力センサを備えた場所で、ポンプを停止してから前記圧力(PSRC)に到達するまでの時間を測定する工程と、
    (f)前記圧力が前記吸引圧力センサを備えた場所で、ポンプを停止してから前記圧力(PSRC)に到達するまでの前記時間を、所定の時間と比較する工程と、
    (g)前記圧力が前記吸引圧力センサを備えた場所で、ポンプを停止してから前記圧力(PSRC)に到達するまでの前記時間を、前記所定の時間と比較した前記比較に基づいて、前記システムのパス、あるいは、フェイルを判定する工程と、
    を含むことを、特徴とする外科用潅注/吸引システムのテスト方法。
  6. 外科用潅注/吸引システムテスト方法であって、
    前記外科用システムは、外科用ハンドピースを備え、
    前記ハンドピースは、潅注弁と潅注ラインを通して潅注流体供給源に接続され、前記ハンドピースは、さらに、吸引ラインを通して吸引ポンプに接続され、
    前記吸引ラインは、圧力センサを備え、
    前記テスト方法は、
    (a)潅注流体が前記潅注コンテナから前記外科用ハンドピースへ流れることができるように、前記潅注弁を開く工程、
    (b)前記ポンプを止めた状態で、前記吸引圧力センサで圧力(PSRC)を測定する工程と、
    (c)前記吸引圧力センサを備えた場所に真空を発生させるに十分な第一の一定時間、ポンプを作動させる工程と、
    (d)前記ポンプを停止する工程と、
    (e)前記圧力が前記吸引圧力センサを備えた場所で、ポンプを停止してから前記圧力(PSRC)に到達するまでの第一の時間を測定する工程と、
    (f)前記圧力が前記吸引圧力センサを備えた場所で、ポンプを停止してから前記圧力(PSRC)に到達するまでの前記第一の時間を、所定の時間と比較する工程と、
    (g)前記圧力が前記吸引圧力センサを備えた場所で、ポンプを停止してから前記圧力(PSRC)に到達するまでの前記時間が、前記所定の時間よりも長い場合、
    (h)第一の一定時間より長い第二の一定時間、ポンプを作動させる工程と、
    (i)前記ポンプを停止する工程と、
    (j)前記圧力が前記吸引圧力センサを備えた場所で、ポンプを停止してから前記圧力(PSRC)に到達するまでの第二の時間を測定する工程と、
    (k)前記圧力が前記吸引圧力センサを備えた場所で、ポンプを停止してから前記圧力(PSRC)に到達するまでの前記第一の時間と、前記圧力が前記吸引圧力センサを備えた場所で、ポンプを停止してから前記圧力(PSRC)に到達するまでの、前記第二の時間とを比較する工程と、
    (l)前記圧力が前記吸引圧力センサを備えた場所で、ポンプを停止してから前記圧力(PSRC)に到達するまでの前記第一の時間と、前記圧力が前記吸引圧力センサを備えた場所で、ポンプを停止してから前記圧力(PSRC)に到達するまでの、前記第二の時間とを比較した前記比較に基づいて、前記システムのパス、あるいは、フェイルを判定する工程と、
    を含むことを、特徴とする外科用の潅注/吸引システムのテスト方法。
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