上記本発明の特徴は、下記の詳細な説明を添付の図面とともに参照することでさらに容易に理解できる。
定義. 本説明および添付の請求項において、以下の用語は、文脈により特に必要とされる場合を除き、明示した意味を有するものとする。
「モバイル受信ユニット」は、セル方式テレビシステムのセル間を移動できるかまたは移動することが可能な受信ユニットである。例えば、モバイル受信ユニットは、携帯可能であるか、または自動車、オートバイ、ボート等の乗り物に設置されてもよい。
「マッピング情報」は、リモートのモバイル受信ユニットがセル方式テレビシステムにおいて効果的に動作できるようにするために、セル方式テレビシステムの各セルにおいて送信される情報である。マッピング情報は、典型的には、受信ユニットからサービスプロバイダーに戻る通信経路を必要とすることなく、かつ典型的には、セル方式電話システムで必要とされるような複雑なハンドオフを必要とすることなくモバイル受信ユニットがセル間を往来できるようにする隣接セル情報を含む。マッピング情報は、現在のセルについての情報(接続形態、出力、受信地域、CTR位置、オフセット、形状、利用に関する情報等)、およびサービス情報に関する情報(コンテンツ識別子およびストリーム識別子等)を含んでもよい。
本発明の実施形態では、複数のセルにセグメント化された無線通信テレビ放送システムを介して情報サービスが提供される。各セルは、典型的には、1つ以上の送信設備を含む。隣接セルの送信設備は、典型的には、所与のサービスプロバイダーに割り振られた一組の周波数から選ばれた同じテレビチャンネルおよび/または異なるテレビチャンネル上で動作可能である。異なるセルの対象エリアは、一例として、送信器の配置および出力に応じて、異なる有効サイズおよび形状を有するようにすることができる。
1つのセル内では、情報は、1人以上のユーザに、ブロードキャスト、マルチキャスト、および/またはユニキャスト送信可能である。本発明の実施形態では、実質的にあらゆるテレビチャンネル上での動作が可能であるが、特定の実施形態では、所与のサービスエリア内の占有されていないUHFテレビチャンネルを利用してもよい。UHFテレビチャンネルの中には、依然として従来の(NTSC)テレビ放送に用いられているものがあり、それ以外のものは、現在、HDTV放送、および地域のスポーツイベント用の無線マイクロフォンにも用いられているが、一般に、いずれの所与のサービスエリアにおいても、占有されていないUHFテレビチャンネルが多数存在する。UHFテレビチャンネルは、すでにFCCにより割り振られているため、UHFに基づくセル方式テレビシステムは、迅速に、かつ必要であったとしても、わずかなFCC承認プロセスだけで確立することが可能であると予想される。
図1は、当該分野で公知の単一のテレビチャンネルで動作するテレビシステムの対象エリアを図示した概略図である。送信設備1001は、指定されたテレビチャンネル上において指定された出力レベルで動作し、その内部において受信ユニット(テレビセット等)が特定の番組またはサービスを受信可能な有効な対象エリア1000を有する。
図2は、本発明の例示的な実施形態によるセル方式テレビシステムの対象エリアを図示する概略図である。この例では、セル方式テレビシステムは、3つのセル、すなわち、セルA 1002、セルB 1003、およびセルC 1004を含む。これらのセルは、既存の単チャンネル放送テレビシステム1000と実質的に同等の有効な対象エリアを有するように配置または構成することができる(例えば、特定の対象エリア内での運営許可を有する既存のテレビ放送会社は、当該対象エリア内での運営に限定されるセル方式テレビシステムに移行してもよい)か、またはこれらのセルは、利用可能な空域で許可される任意の方法で配置または構成することができる。
対象エリアを複数のセルにセグメント化することにより、システムのトラフィック容量が効果的に増加する。例えば、単一のNTSCテレビチャンネルで動作するシステムは、6MHzの総帯域幅を有するが、N個のセルを有するセル方式システム(それぞれが単一のテレビチャンネルを有する)は、N×6MHzの総帯域幅を有する。さらに、システムは、例えば、さらなる帯域幅要件を満たすより多くの送信器を追加することにより拡張/大規模化を容易に行なうことができる。そのようなセル方式システムを用いることにより、高出力送信器と比較して、一般に所有および運営にかかる費用が低く、かつ一般に電磁干渉が少ない低出力送信器の使用を含むさらなる利点を実現することができる。
セルへのテレビチャンネルの割り当ては種々の方法を用いて行なうことができ、本発明は、特定のチャンネル割当方式に限定されない。図3は、本発明の例示的な実施形態による隣接セルで異なるテレビチャンネルを利用するセル方式テレビシステムを図示する概略図である。この例では、セル方式テレビシステムは、3つのセル、すなわち、セルA 1006、セルB 1007、およびセルC 1008を含む。セルA 1006は、第1の個別テレビチャンネル(Ch1)上で動作するように構成され、セルB 1007は、第2の個別テレビチャンネル(Ch2)上で動作するように構成され、セルC 1008は、第3の個別テレビチャンネル(Ch3)上で動作するように構成される。
送信設備を追加することによりさらなる帯域幅を与えることができるが、さらなる帯域幅は、1つ以上のセルにおいて複数のテレビチャンネルを用いることによっても与えることができる。例えば、第2のテレビチャンネルを単一のセルまたは複数のセルに割り当ててもよく、または別のテレビチャンネルをある領域または対象エリア全体に重ねるようにしてもよい。さらなるテレビチャンネルを静的または動的に割り振って、帯域幅/サービスの要件を満たしてもよい。
よって、複数のテレビチャンネルを介してサービス情報を受信ユニットに配信してもよい。異なるテレビチャンネル上で重複情報を搬送するような場合もある。セグメント識別子または他の仕組みを用いて重複情報の検出を容易にしてもよい。例えば、重複MPEG2−TSデータを複数のテレビチャンネル上に送信する場合、異なるテレビチャンネル上で受信されたMPEG2パケットのパケット識別子を比較して重複情報を検出してもよい。
以下では、周波数を割り振る方法をいくつか説明し、4つのテレビチャンネル(Ch1、Ch2、Ch3、Ch4)がシステムで利用可能であると仮定している。
図4は、本発明の例示的な実施形態による1つのセル内で第2のテレビチャンネルを用いるセル方式テレビシステムを図示する概略図である。この例では、セル方式テレビシステムは、3つのセル、すなわち、セルA 1010、セルB 1012、およびセルC 1014を含む。セルA 1010は、テレビチャンネルCh1およびCh4上で動作するように構成され、セルB 1012は、テレビチャンネルCh2上で動作するように構成され、セルC 1014は、テレビチャンネルCh3上で動作するように構成される。
図5は、本発明の例示的な実施形態による2つの隣接セル内で第2のテレビチャンネルを用いるセル方式テレビシステムを図示する概略図である。この例では、セル方式テレビシステムは、3つのセル、すなわち、セルA 1016、セルB 1018、およびセルC 1020を含む。セルA 1016は、テレビチャンネルCh1およびCh4上で動作するように構成され、セルB 1018は、テレビチャンネルCh2およびCh4上で動作するように構成され、セルC 1020は、テレビチャンネルCh3上で動作するように構成される。一部の実施形態では、セル1およびセル2に対する干渉がごく僅かであれば、Ch4を他のセルグループに割り当ててもよい。システム内の全てのエンドユーザにブロードキャスト送信されるコンテンツがある場合には、Ch4を全てのセルに割り当てることができる。
図6は、本発明の例示的な実施形態による対象エリア全体と重なる別のテレビチャンネルを用いるセル方式テレビシステムを図示する概略図である。この例では、セル方式テレビシステムは、4つのセル、すなわち、セルA 1022、セルB 1024、およびセルC 1026、およびセルD 1028を含む。セルA 1022は、テレビチャンネルCh1上で動作するように構成され、セルB 1024は、テレビチャンネルCh2上で動作するように構成され、セルC 1026は、テレビチャンネルCh3上で動作するように構成され、セルD 1028は、セルD 1028の対象エリアがセルA、B、およびCの対象エリアと重なるように、テレビチャンネルCh4上で動作するように構成される。
図7は、本発明の例示的な実施形態による隣接セルの重複を防ぐために3つのテレビチャンネルを利用するセル方式テレビシステムを図示する概略図である。この例では、各基地局は、3つの個別チャンネル、すなわち、Ch30、Ch31、およびCh32上で動作する3つのセルを形成する3つの送信設備を含む。これらのセルは、2つの隣接セルが同じチャンネル上で動作しないように配置される。
図8は、本発明の例示的な実施形態による異なるサイズのセルを有するセル方式テレビシステムを図示する概略図である。この例では、システムは、大セル1つと、多数の小セルを有しており、マイクロセル、ピコセル、およびナノセルとして明示することによりそれら小セルの相対的な大きさを示している。各小セルの基地局は、3つの個別チャンネル、すなわち、Ch30、Ch31、およびCh32上で動作する3つのセルを形成する3つの送信設備を含む。これらのセルは、隣接する2つのセルが同じチャンネル上で動作しないように配置される。大区域の基地局は、第4の個別チャンネル、すなわち、Ch33上で動作する大セルを形成する送信設備を含む。大セルの対象エリアは、小セルの対象エリアを包含する。
図9は、本発明の例示的な実施形態による地理的に画定されたセルを含むセル方式テレビシステムを図示する概略図である。この例では、システムは、臨海放送セル902および山側放送セル904を含む。このような地理的なセグメントは、例えば、地理的な領域種別毎に関連ローカル情報を提供する際に有用であり得る。例えば、山側放送セル904に位置するユーザにとっては特に有用でないような情報である潮流スケジュール、洪水警報、およびサメの目撃等のローカル情報を臨海放送セル902で送信してもよい。特定のユーザが、例えば、山側地域の家から臨海地域のビーチに向かう場合、このユーザは、臨海放送セル902に入った時点で臨海情報を受信することが可能になる。
なお、隣接セルは同じテレビチャンネル上で動作可能であることに留意されたい。そのような実施形態では、異なるチャンネル間で地理的に異なるセルの境界を形成するように各チャンネルを異なる条件で送信することにより、隣接セル間の干渉を低減または除去することができる。例えば、隣接する3つのセルが同じテレビチャンネルCh1、Ch2、およびCh3上で動作するものと仮定すると、干渉を低減または除去するように各テレビチャンネルの対象エリアを調整するために、各セルにおいて各チャンネルを異なる条件で送信することができる(例えば、送信器の配置/方位により)。
本発明の特定の実施形態は、一方向(すなわち、サービスプロバイダーからユーザ)のブロードキャスト送信動作を許可するように設計されるが、例えば、双方向およびオンデマンドサービス等の高度なサービスを提供するために、任意のリターンパス(すなわち、ユーザからサービスプロバイダー)に対応することができる。一方向のブロードキャスト送信動作を許可するためには、典型的には、各セルは、一例として、モバイル受信ユニットがサービスプロバイダーに戻る通信経路を必要とすることなく、かつ携帯電話システムで通常必要とされるような複雑なハンドオフを必要とすることなくセル間を往来できるようにする隣接セル情報を少なくとも含むマッピング情報をブロードキャスト送信する。マッピング情報はまた、現在のセルについての情報(接続形態、出力、受信地域、CTR位置、オフセット、形状、利用等に関する情報等)、およびサービス情報に関する情報(コンテンツ識別子およびストリーム識別子等)を含んでもよい。
セルは、一般に、相互に独立して動作するため、異なるセルにおいて異なるコンテンツ(例えば、ローカルおよびリージョナルコンテンツを含む)を随意的に伝達することができるが、それらセルの動作は、一般に、特定の情報サービスを複数のセルに渡って提供するように調整される(すなわち、ユーザは、一般に、セル間を移動する際に同じサービスを継続して受信することができる)。よって、システムは、典型的には、送信設備と通信する1つ以上のコンテンツサーバを含む。単一のコンテンツサーバは、複数のセルのための情報(多数のセルそれぞれのためのローカルコンテンツを含む)を提供することができるか、または個々のコンテンツサーバを用いて別々のセルのためのコンテンツのいくつかまたは全てを提供することができる。ローカルコンテンツの例をいくつか挙げるとすれば、ローカル交通情報、ローカル気象情報、ローカルナビゲーション情報、ローカルニュース、ローカル企業およびアトラクションについての情報、ならびにローカル企業およびアトラクションのクーポン/広告等がある。リージョナルコンテンツは、1つの地域または多数のセルに関連する同種の情報を含んでもよい。グローバルコンテンツは、対象エリア全体に関連する同種の情報を含んでもよく、特に、対象エリア内の全てのユーザに関係する情報(例えば、数例を挙げるとすると、緊急通報および情報、国際/国内ニュース、いわゆる「誘拐事件速報システム」警報(”Amber” alerts)等の警報、および広域指名手配等)を提供するために用いられてもよい。特定のタイプのコンテンツをローカル、リージョナル、またはグローバルと位置づけることは任意であり、異なるサービスプロバイダー間では異なっていてもよい。いくつかの例示的な情報サービスついては後述する。
上述のとおり、情報は、個々のユーザにユニキャスト送信されてもよい。換言すれば、受信器がセル間をローミングする間、ユーザには同じ番組コンテンツ(例えば、放送局チャンネルまたはテレビ番組)が表示可能である。それゆえ、各受信ユニットは、典型的には、システム内で固有のアドレス(IPアドレス等)に関連づけられてもよい。アドレスは、静的または動的に割り当てられてもよい。サービスプロバイダーは、特定のサービスまたはコンテンツ(全てのユーザにブロードキャスト送信されるサービスまたはコンテンツを含む)を特定のユーザまたはユーザグループおよび/または特定のセルにマッピングするための配布表または他の仕組みを保持してもよい。配布表は、例えば、ブロードキャスト送信時刻、エンドユーザ位置、ブロードキャスト送信周波数帯等、さらなる情報を含んでいてもよい。
図10は、本発明の例示的な実施形態による特定のプログラミングを異なるセルに配信可能なセル方式テレビシステム100を図示する概略図である。システム100は、複数のセル102、104、106、108、110、112、114、116、および118を含む。各セルは、典型的には、送信設備を含むが、これは必要条件ではない。各セル内の送信設備は、電波塔として示されており、それが位置するセルに対応する参照番号を有するが、その参照番号は1ではなく2で始まる。すなわち、例えば、セル102内の送信設備は、参照番号202を有し、セル104内の送信設備は参照番号204を有する。
図10では、各セルは、六角形の対象エリアで表される。よって、各セルを囲む他のセルは6つまで存在する場合がある。本発明のある実施形態では、同じテレビチャンネル上で動作する送信設備を含む隣接セルは存在しない。よって、例えば、特定のセルがテレビチャンネルCh1上で動作する場合、テレビチャンネルCh1上では動作する隣接セルは存在しない。
図10に示すセグメントにより、例えば、サービスプロバイダーは、対象とするエリアにローカルコンテンツをブロードキャスト送信することができる。トラフィックは局所的に維持されるため、そのような適用を実施することにより周波数効率がさらに上がる。局所的なトラフィックの例としては、地元商店の広告、町内のお知らせ等がある。局所性についての地理的な定義づけは、局所性が一部のセルにより示されるものであるため柔軟であり、変更可能である。
図10では、例えば、2つのセル104および110に関しては、それら特定のセルにそれぞれ関連づけられた送信設備204および210を選択することにより、同一のコンテンツをそれら2つのセルだけにブロードキャスト送信することが可能である。それら送信設備の各々は、典型的には、1つのセル内に位置するエンドユーザにマルチメディアコンテンツを送信することが可能である。いくつかの実施形態では、コンテンツはテレビ放送である。
本発明のいくつかの実施形態では、各セルに関連づけられた送信設備は、固有のインターネットプロトコル(IP)アドレスを与えられてもよい。例えば、図10に示すように、送信局218には、IPアドレス123.456.712.100が割り当てられてもよく、送信局216には、IPアドレス送信123.456.712.101が割り当てられてもよく、送信局210には、IPアドレス123.456.712.102が割り当てられてもよく、送信局218には、IPアドレス123.456.712.103が割り当てられてもよい。各(または少なくとも1つ以上の)送信設備がIPアドレスを割り当てられる実施形態では、送信設備のいくつかまたは全てがIPネットワーク302に接続されてもよい。
上記の各種セル方式テレビシステム構成要素に加えて、図10に示すシステム等のセル方式テレビシステムは、例えば、制御局304、コンテンツサーバ306、およびIPネットワーク302等のさらなる構成要素を含んでもよい。一部の実施形態では、IPネットワークは、インターネット、または任意の他の公共もしくは専用ネットワークであってもよい。IPネットワークは、OSIレイヤ3ネットワーク層として動作しもよい。
図10の実施形態では、制御局304は、セル方式テレビシステム全体の制御センターであり、コンテンツサーバ306および配布表308を含んでもよい。コンテンツサーバ306は、適切な送信設備にコンテンツを配布可能な任意のサーバであってもよい。一部の実施形態では、コンテンツサーバ306は、インターネットにアクセス可能な任意のサーバであってもよい。一部の実施形態では、コンテンツサーバ306はまた、配布表308にアクセス可能である。配布表308を用いて、特定のコンテンツまたはサービスを選択した(または割り当てられた)ユーザまたはセルを判定してもよい。上述のとおり、配布表308は、例えば、ブロードキャスト送信時刻、エンドユーザ位置、ブロードキャスト送信周波数帯等のさらなる情報を含んでもよい。
なお、コンテンツサーバ306は制御局304内に位置しても位置していなくてもよく、実際には他のサービス事業者により制御されてもよいことは言うまでもない。典型的には、事業上の合意があり、適切に管理がなされている限り、任意の数のサービス事業者のコンテンツを1つの事業者のサーバから直接放送することができる。
本発明の一部の実施形態では、システムはまた、監視用受信器を含んでもよい。それらの監視用受信器は、送信設備または可能なセル境界(例えば、太線103で示すセル102とセル104の境界)に位置してもよい。また、監視用受信器は、エンドユーザの受信器(エンドユーザのテレビまたはコンピュータ)または任意の他の適切な場所に位置してもよい。監視用受信器は、所与のチャンネルについての干渉レベルを監視する。
本発明の一部の実施形態では、システムはまた、周波数割当コントローラを含んでもよい。周波数割当コントローラは、上記の監視用受信器に問い合わせを行なうことにより、信号強度および干渉レベルを監視する。そして、周波数割当コントローラは、干渉レベルおよびブロードキャストトラフィックの要求に応じてあるセルの周波数割当を変更してもよい。
一部の実施形態では、1つ以上の送信設備はまた、ブロードキャスト送信前にコンテンツを格納可能なキャッシュを含んでもよい。そのようなシステムでは、送信時間前にキャッシュに情報を転送し、これにより、IPネットワーク302上またはコンテンツサーバ306での混雑状態の緩和に役立ててもよい。これは、オンデマンドプログラミングを利用するシステムに特に有用であり得るが、それは、オンデマンド番組に対する要求が増加した際に、ある番組がサーバのキャッシュ内にすでに格納されている場合には、IPネットワーク302およびコンテンツサーバ306に対する要求を軽減できるためである。コンテンツの任意の部分またはコンテンツ全体の再送信を送信設備とエンドユーザ間において局所的に行なってもよい。他のユーザへのコンテンツの再送信も同様に局所的に行なってもよい。
上記の説明は図10に関するものである。一般に、図10のシステムは、IPネットワークを用いてマルチメディアコンテンツを特定の送信設備に配布するシステムに関する。システムの1つの用途は、テレビセットを利用するユーザにプログラミングを配信することである。当業者が容易に理解するように、例えば、無線電話またはコンピュータ等、ブロードキャスト送信上で受信可能な任意のデバイスに情報を配信することができる。
上述のとおり、個別のコンテンツサーバを用いて、個々のセルにコンテンツのいくつかまたは全てを提供することができる。よって、例えば、グローバルコンテンツサーバを用いて全てのセルにグローバル情報を提供することができ、個別のローカルコンテンツサーバを用いてそれぞれのセルにローカルコンテンツを提供することができる。図11は、本発明の例示的な実施形態による1つのグローバルコンテンツサーバおよび複数のローカルコンテンツサーバを有するシステムを図示する概略図である。このシステムは、3つの送信設備1112、1114、および1116を含む。グローバルコンテンツは、ネットワーク1102上でグローバルコンテンツサーバ1104から送信設備に提供される。ローカルコンテンツは、ローカルコンテンツサーバから送信設備の各々に提供される。詳細には、ローカルコンテンツサーバ1106から送信設備1112にローカルコンテンツが提供され、ローカルコンテンツサーバ1108から送信設備1114にローカルコンテンツが提供され、ローカルコンテンツサーバ1110から送信設備1116にローカルコンテンツが提供される。
ローカル/リージョナルコンテンツの配信に対応するために、所与のセルのコンテンツをコンテンツクラス(例えば、ローカル、リージョナル、グローバル)に論理的に分類することができる。例えば、異なるコンテンツクラスには異なるセグメントを用いるようにして通信をセグメント化する(例えば、スロット、パケット等に)ことができる。特定のセグメントを用いてマッピング情報を送信してもよい。セル内の送信には、例えば、第1の数のグローバルセグメントの後に第2の数のリージョナルセグメントが続き、その後に第3の数のローカルセグメントが続く等、所定パターンのセグメントを利用してもよい。例えば、連続したセグメントを一連のフレームとして繰り返してもよい。各セグメントは、受信ユニットがその特定のサービスクラスに応じて各セグメントを処理できるようにするサービスクラス表示を含んでもよい。
図12は、本発明の例示的な実施形態によるセグメント化した送信物を図示する概略図である。この例では、送信物は、グローバルデータセグメント1202、リージョナルデータセグメント1204、およびローカルデータセグメント1206を含む。特定のセグメント1208は、マッピング情報の送信に用いられる。
図13は、本発明の例示的な実施形態による送信セグメントのシーケンスを示す。この例では、送信されたコンテンツは、マッピングセグメント1302の後に2つのローカルセグメント1304および1306、2つのリージョナルセグメント1308および1310、ならびに2つのグローバルセグメント1312および1314を含むシーケンスによりプログラミングされてもよい。このシーケンスは、ブロードキャスト送信される番組シーケンスに応じて、マッピングセグメント1316から開始した後に2つのローカルセグメント1318および1320等が続くように繰り返してもよい。
図14は、本発明の例示的な実施形態によるマルチメディアコンテンツを含むIPパケットがエンドユーザに無線で送信されるセル方式テレビシステムを図示する概略図である。この例では、エンドユーザ受信器からの応答がなくても、例えば、物理的な媒体層およびデータリンク層上に接続性があるように見せかけることにより、送信設備にIPパケットを送信させることが可能である。IPパケットは、ブロードキャストまたはマルチキャスト送信してもよく、またはその送信前に利用可能なエンドユーザ受信器のIPアドレスにユニキャスト送信してもよい。
図14のシステムは、複数のセル402、404、および406を含み、これら各々は、それぞれ、送信設備502、504、および506を有し得る。また、このシステムは、制御局304、コンテンツサーバ306、および配布表308を含んでもよい。この例では、制御局304の配布表308はまた、エンドユーザの無線IPアドレスを含む。
図14のシステムはまた、個々のエンドユーザ602、603、604、および606を含む。これらエンドユーザのいくつかまたは全ては、個々のIPアドレスを有し得る。例えば、エンドユーザ602は、IPアドレス123.456.100.120を有してもよく、エンドユーザ603は、IPアドレス123.456.100.001を有してもよく、エンドユーザ604は、IPアドレス123.456.100.101を有してもよく、エンドユーザ606は、IPアドレス123.456.100.110を有してもよい。各エンドユーザは、IPアドレスにより一意に特定することができる受信デバイスを有してもよい。例としては、インターネット機能を有するセットトップボックスまたはコンピュータが挙げられる。
さらに、直接個々のエンドユーザにコンテンツを容易に送信するために、いくつかのまたは全ての送信設備内にルータを配置してもよい。ルータは、無線IPパケットを特定のエンドユーザに送信できるようにする。すなわち、送信局が、関連づけされた特定のアドレスを含むIPパケットをブロードキャスト送信する。これらのアドレスは、例えば、ブロードキャスト送信される各IPパケットのヘッダ内に存在させることができる。
図14を再度参照して、送信局502は、1つの実施形態では、エンドユーザ602のアドレスと相互に関連づけられたヘッダを有する第1のパケット、およびエンドユーザ603のアドレスと相互に関連づけられたヘッダを有する第2のパケットを送ることができる。この例では、第1のパケットは、エンドユーザ602によってのみ受信され、第2のパケットは、エンドユーザ603によってのみ受信される。
さらに、図14に示す送信設備はまた、IPトンネリングを行なう能力、またはエンドユーザのIPパケットを送信設備を介して転送する他の仕組みを有してもよい。IPトンネリングでは、エンドユーザのIPアドレスがトランスポートパケットにカプセル化される。いくつかの実施形態では、これによって、コンテンツサーバ306と特定の送信設備間の通信が可能となる。
一部の実施形態では、例えば、サービスプロバイダーにより送信されたダウンストリームメッセージに応答して承認を行い、かつ/または双方向もしくはオンデマンドサービスを可能にするために、エンドユーザ受信器からサービスプロバイダーへのアップストリームの接続性をシステムが含むことが必要であるか、または望ましい場合がある。各種のアップストリーム通信に対応することが可能である。例えば、サービスプロバイダーは、アップストリーム通信用の個別ネットワーク(例えば、個別無線ネットワーク)を運営してもよく、インターネットまたは電話網等の既存システムを介してアップストリームの接続性を与えてもよい。アップストリーム通信は、IP接続性に対応していてもよい。アップストリーム通信は、ダウンストリーム通信(例えば、コマンド/応答タイプのプロトコル)と連携するか、またはダウンストリーム通信とは完全に独立していてもよい(例えば、エンドユーザがサービスプロバイダーに電話をかけて特定のサービスを要求することが可能であってもよい)。システムは、複数のタイプのアップストリーム通信に対応していてもよく、異なるエンドユーザは、異なるタイプのアップストリーム通信を用いてサービスプロバイダーと通信してもよい。アップストリームの通信チャンネルがセルと対応する必要はなく、例えば、サービスプロバイドが単一の受信器設備を利用して複数のセルからアップストリーム通信を受信してもよい。
一部の実施形態では、アップストリーム通信に用いられる1つ以上の補助接続を用いてサービスプロバイダーからサービス情報を受信することもできる。例えば、ユーザは、無線通信テレビ接続に加えて補助接続を有してもよい。そのような場合、複数の接続を介して受信ユニットにサービス情報を配信してもよい。例えば、無線通信テレビチャンネルおよび補助接続の両方を介して特定の受信ユニットに重複情報を送信してもよい。一部の場合には、重複情報を異なる接続を介して搬送してもよい。セグメント識別子または他の仕組みを用いて重複情報の検出を容易にしてもよい。例えば、重複MPEG2−TSデータを複数の接続を介して送信する場合、異なる接続を介して受信されたMPEG2パケットのパケット識別子を比較して重複情報を検出してもよい。このように、無線通信トラフィックを補助接続上で分散可能にしてもよい。そのような分散化は、無線通信トラフィックを軽減し、セキュリティを増強する傾向がある。
図15は、本発明の例示的な実施形態による種々のアップストリーム通信を用いるセル方式テレビシステムを図示する概略図である。この例では、システムは、コンテンツサーバ1508および非対称サーバ1510から、それぞれ、アップリンクが無いテレビ、カーナビゲーションシステム、携帯電話、アップリンク付きテレビ、およびポータブルコンピュータであるエンドユーザ1513、1514、1516、1518、および1520に情報を送信するUHF送信設備1502および1504を含む。情報は、インターネット1506上でIP TVサーバ1512から非対称サーバ1510に提供されるIPテレビジョンを含んでもよい。非対称サーバ1510はまた、各種エンドユーザから、例えば、カーナビゲーションシステム1514および携帯電話1516のセル方式電話を介して、家庭用テレビ1518からADSLを介して、およびポータブルコンピュータ1520から公衆交換電話網(PSTN)を介してアップストリーム通信を受信してもよい。図15に描かれるタイプのアップストリーム通信は単なる例であり、他のタイプのアップストリーム通信(例えば、データオーバーケーブル(data−over−cable)、WIFI、FTTH等。)に対応できることは明白である。
図16は、本発明の例示的な実施形態によるセル方式アップストリーム通信を行なうセル方式テレビシステムを図示する概略図である。この例では、UHF送信設備1602が非対称サーバ1604からエンドユーザ1610および1614に情報を送信する。その情報は、インターネット1606上でコンテンツサーバ1608から非対称サーバ1604に提供することが可能である。エンドユーザは、それぞれの携帯電話1612および1616を用いて特定のサービスを要求することが可能である。
図17は、本発明の例示的な実施形態によるナビケーション等の移動通信用のセル方式テレビシステムを図示する概略図である。この例では、UHF送信設備1702が自動車1710および1714に設置または配置された移動局に情報を送信する。その情報は、インターネット1706上でコンテンツサーバ1708からUHF送信設備に提供することが可能である。移動局は、無線通信を利用してサービスプロバイダーと通信可能である。
図18は、本発明の例示的な実施形態による補助IP接続上でのアップストリーム通信を含むセル方式テレビシステムを図示する概略図である。この例では、システムが第1のエンドユーザ局702および第2のエンドユーザ局704を含むようにすることができる。これらのエンドユーザ局は、インターネットサービスプロバイダー(ISP)706を介してIPネットワーク302(例えばインターネット)に接続可能である。この例では、エンドユーザ局702が、ADSL接続を介してISP706に結合される一方、エンドユーザ局704は、ダイアルアップ接続を介してISP706に結合される。もちろん、他のタイプの接続性(例えば、データオーバーケーブル、無線)も可能であるが、本発明はいずれの特定のタイプのアップストリーム接続性にも限定されない。インターネットとのアップストリーム接続により、エンドユーザ局702および704は、例えば、双方向またはオンデマンドサービスのためのコンテンツサーバ306と通信できる。
セル方式テレビシステムにおいて情報サービスを受信するために、受信ユニットは、一般に、サービス情報を受信する1つ以上のダウンストリームテレビチャンネルを見つける必要がある。よって、各受信ユニットは、典型的には、1つ以上のチューナおよび1つのコントローラを含む。チューナは、一般に、コントローラの制御下で、システムが対応する各種テレビチャンネルのいずれかにチューニング可能である。受信ユニットの電源が投入されたとき(またはローミング等の他の適切なタイミングで)、サービス情報を受信する適切なチャンネルを見つけるために、コントローラは、チューナに特定のチャンネルにチューニングし、かつ/またはシステムに割り当てられた一組のチャンネルを走査するように指示する。コントローラは、信号強度、干渉レベル、ビット誤り率、フレーム(ブロック)誤り率、または各種チャンネルの他の品質を測定して適切なチャンネルを判定してもよい。アップストリームの通信チャンネルが利用可能な場合には、ダウンストリームチャンネルの選択(開始時およびローミング中の両方)に、サービスプロバイダーと受信ユニット間のアップストリームの通信チャンネルを介したより正式なハンドオフを伴ってもよい。
上述のとおり、セル方式テレビシステムは、1つ以上のコンテンツサーバによりコンテンツが供給される多数の送信設備を含んでもよい。コンテンツサーバは、インターネット等のネットワークを介して送信設備と通信してもよい。なお、送信設備を稼働するサービスプロバイダーは、1つ以上のコンテンツサーバを稼働させてもよいが、代替的にまたは付加的に、インターネット等を介してアクセス可能な各種第三者サーバからコンテンツを取得してもよいことに留意されたい。
図19は、本発明の例示的な実施形態によるサービスプロバイダーのヘッドエンドにおけるいくつかの実現可能な機器構成を示す概略図である。この例では、サービスプロバイダーは、3つの送信器1902、1904、および1906を稼働する。各送信器は、非対称サーバ1910および1912からデータを受信する受信器、OFDM変調器、およびUHF送信器を含む同様の構成要素を含む。送信器は、その送信器が送信用のコンテンツを受信する異なるタイプの通信リンク上でヘッドエンドの残りの構成要素と結合される。詳細には、送信器1902は、IPファイバーリンク上で結合され、送信器1904は、WDMファイバーリンク上で結合され、送信器1906は、無線リンク上で結合される。コンテンツは、インターネット上でアクセス可能なインターネットサーバ1914から、ローカルコンテンツサーバ1918から、または他のコンテンツサーバ1916から提供することができる。
図20は、本発明の実施形態による非対称サーバを図示する概略図である。非対称サーバは、非対称ルーティング、アカウンティングおよびプロビジョニング、サービス品質(QoS)およびチャンネルホッピング、ならびにローミングおよびハンドオーバー等の機能を提供可能である。
上述のとおり、セル方式テレビシステムは、放送専用システム(すなわち、サービスプロバイダーからユーザに対してのみ)として実現するか、または二方向システムとして実現してもよい。よって、受信ユニットは、受信専用デバイスとして実現するか、または受信器および送信器構成要素の両方を用いて実現してもよい。さらに、受信ユニットは、単一のテレビチューナまたは複数のテレビチューナを用いて実現してもよい。単一のチューナで実現した場合、単一のチューナは、コンテンツの受信およびローミングの両方に用いられる。例えば、単一のチューナは、コンテンツが現在のテレビチャンネル上で受信される「オンライン」状態と、チューナを用いて隣接セル内のテレビチャンネルをサンプリング(例えば、信号強度の測定)して、現在のテレビチャンネルのままにしておくべきか、または他のテレビチャンネルに切り替えるべきかを判定する「オフライン」状態とに切り替えることができる。複数のチューナにより実現される場合、1つのチューナのみを用いて現在のチャンネル上でコンテンツを受信する一方で、第2の他のチューナをローミングに用いてもよい。複数のチューナを用いることで、コンテンツの受信を中断することなくローミングを行なうことができる。
図21は、本発明の例示的な実施形態による単一のテレビチューナを有する受信ユニットの関連構成要素を示す概略図である。一例として、受信ユニットは、チューナ2102、ネットワークレイヤスタック2104、周辺制御2106、ホストCPU2108、符号器/復号器(コーデック)2110、グラフィックインタフェース2112、モニタ2114、およびローミング制御2118を含む。この例では、単一のチューナ2102は、典型的には、コンテンツの受信およびローミングの両方に用いられる。それゆえ、チューナ2102は、ローミング制御2118により、現在のテレビチャンネル上でコンテンツが受信される「オンライン」状態と、チューナを用いて隣接セル内のテレビチャンネルをサンプリング(例えば、信号強度を測定)して現在のテレビチャンネルのままにしておくべきか、または他のテレビチャンネルに切り替えるべきかを判定する「オフライン」状態とに切り替わるように制御されてもよい。ローミングコントローラは、CPU2108により制御される。
図22は、本発明の例示的な実施形態による2つのテレビチューナを有する受信ユニットの関連構成要素を示す概略図である。一例として、受信ユニットは、第1のチューナ2102、第2のチューナ2202、ネットワークレイヤスタック2104、周辺制御2106、ホストCPU2108、符号器/復号器(コーデック)2110、グラフィックインタフェース2112、モニタ2114、およびローミング制御2118を含む。この例では、チューナ2102が、典型的には、現在のテレビチャンネル上でコンテンツを受信するためだけに用いられる一方、受信器2202は、典型的には、隣接セル内のテレビチャンネルをサンプリングして現在のテレビチャンネルのままにしておくべきか、または他のテレビチャンネルに切り替えるべきかを判定するためだけに用いられる。ローミング制御2218は、チューナ2202によるサンプリング、およびチューナ2102によるチャンネルの切り換えを制御する。ローミングコントローラは、CPU2108により制御される。2つのチューナを用いることにより、サービスを中断することなくサンプリングおよびチャンネルの切り換えを行うことができる。
図23は、本発明の例示的な実施形態によるアップストリーム通信サポート(例えば、携帯電話、または無線送信器を備えた他のポータブルデバイス)を含む受信ユニットの関連構成要素を示す概念ブロック図である。受信ユニットは、ローミングUHFチューナ2302、ブロードバンドプロセッサ2304、MACレイヤ2306、リンクレイヤ(L2)2308、IPレイヤ2310、トランスポートレイヤ(L4)2312を含むプロトコルスタック、ユーザアプリケーション2314、ダウンリンク制御2316、アナログ−デジタル(A/D)コンバータ2318、ディスプレイ2320、ビデオメモリ2322、キーパッド2324、アップリンクプロセッサ2326、および3Gコア2328を含む。UHFチューナ2302は、単一のチューナまたは複数のチューナを含んでもよい。ローミングUHFチューナ2302は、UHFアンテナ2330およびセル方式アンテナ2332の両方から信号を受信可能である。それらの信号は、ブロードバンドプロセッサ2304および/またはA/Dコンバータ2318により処理し、ダウンリンク制御2316の制御下でプロトコルスタック2306〜2312からユーザアプリケーション2314まで通過させて処理してもよい。ユーザアプリケーション2314は、アップリンクプロセッサ2326および3Gコア2328を介してアップストリーム通信を発生させてもよい。アップストリーム通信は、数例を挙げるとすると、プロトコル承認、オンデマンドサービスの要求、双方向サービスの要求、およびダウンストリーム放送テレビチャンネルの品質に関する情報等を含んでもよい。処理の各段階のいずれかにおいて、特定の情報がビデオメモリ2322に格納され、かつ/またはディスプレイ2320上に表示されてもよい。また、ユーザは、キーパッド2324を介してユーザアプリケーション2314を操作してもよい。
なお、本発明の異なる実施形態では、本発明の範囲内で異なるセル方式放送プロトコルを用いることが可能であるため、本発明は、特定のプロトコルに限定されないことに留意されたい。図24は、当該分野で公知のISBD−Tプロトコル用のレイヤモデルを図示する。図25は、本発明の例示的な実施形態によるセル方式放送プロトコル用のレイヤモデルを図示する。
上述のとおり、本発明の実施形態を用いて多種多様な情報サービスのいずれも提供することができ、本発明は、特定の情報サービスには限定されない。本発明の実施形態はまた、特に、ローカル情報コンテンツの配信に有用であるが、本発明はローカルコンテンツの配信に限定されない。実際、上述のとおり、同じコンテンツを複数のセルに渡って送信してもよく、その場合には、セル方式テレビシステムでは、システムの一部または全体に渡ってサービスを継続させて、従来の放送テレビサービスの対象エリアを越えたり、従来の放送テレビサービスでは不可能であろう特定の地理的エリアをカバーすることができる(例えば、都市周辺の郊外をカバーするが、その都市自体はカバーしない)。
セル方式テレビシステムを用いて提供可能な情報サービスの一例としては、例えば、セル方式テレビサポートを備えたナビゲーションシステムのためのローカルナビゲーション情報のリアルタイム配信が挙げられる。詳細には、各セルは、数例を挙げるとすると、道路、店舗の位置、および交通機関等に関するローカルナビゲーション情報を送信してもよい。特に、各セルは、数例を挙げるとすると、道路の閉鎖、迂回路、事故、工事、および交通状況等を含む、そのセルの対象エリア内でのナビゲーションに影響する動的な出来事に関する詳細な最新情報を送信してもよい。そのような動的な出来事は一時的なものであり、頻繁に変化する可能性があるため、一般には、影響が及ぶ特定のエリア内またはその周辺のユーザだけの関心事である。
セル方式テレビシステムを用いて提供可能な情報サービスの他の例としては、対象を絞った広告である。詳細には、各セルは、例えば、携帯電話、PDA、ポータブルコンピュータ、またはセル方式テレビサポートを備えた他のデバイスにローカル広告情報を送信してもよい。ローカル広告は、地元企業のインセンティブ、提供品、クーポン、およびディスカウント等を含む。ユーザは特定のセル内には一時的にしかいない可能性があるため、広告は、時間を限定したものとすることができる(例えば、15分以内にX社を訪れて広告の提供品番号を提示した人は無料のギフトを獲得する)。このようなセル方式テレビシステムのための例示的なビジネスモデルは、個々のセル内における広告枠の販売を含んでもよい。このように、地元企業は、それらが営業する限られたエリア(広告を受信するあらゆるユーザが必ず位置し、それらユーザがそれらの企業に訪れる確率が高い)で宣伝することができるたるため、従来のテレビ放送システムでの広告(対象エリアがより広いためより高価な広告であるが、広告がその企業のすぐ近隣にいない多くのユーザに達するため成功率が低い)と比較して広告にお金を費やす傾向がより高い。このようなビジネスモデルでは、特定のユーザによって受信される一組の広告は、典型的には、ユーザがあるセルから他のセルに移動するにつれて変化する。
セル方式テレビシステムを用いて提供可能な情報サービスのさらに他の例としては、セル間で中断しないテレビサービスがある。現在、多くのテレビ放送会社は、本質的に同じ番組を異なるチャンネルで送信する送信設備を異なる都市で運営する。例えば、アメリカンブロードキャスティングカンパニー(American Broadcasting Company)は、マサチューセッツエリアのボストンでは5チャンネルを運営し、ロードアイランドエリアのプロヴィデンスでは6チャンネルを運営しており、これらのチャンネルの対象エリアは、相互に隣接しているだけでなく、特定のエリアのユーザが両方のチャンネルを受信可能なように部分的に重複している。しかしながら、一例として、モバイル受信ユニットがサービスを維持するためにセル間を往来できるようにするマッピング情報を送信設備が送信しないため、このようなテレビサービスは、本文脈における「セル方式」ではない。本発明の例示的な実施形態では、マッピング情報は、各セル内のテレビ番組とともに送信されるため、受信ユニット(例えば、セル方式テレビサポートを備えたテレビセット)は、セル間においてテレビ番組の視聴が本質的に中断しないようにするために、あるセル内のあるチャンネルから他のセル内の関連チャンネルに自動的に切り替えることができる。
図27は、本発明の例示的な実施形態によるマッピング情報を送信するセル方式テレビシステムを図示する概略図である。この例では、セル方式テレビシステムは、6つのセル、すなわち、セルA 2702、セルB 2704、セルC 2706、セルD 2708、セルE 2710、およびセルF 2712を含む。これらのセルは、それぞれ、UHFテレビチャンネル56、14、37、51、26、および69上で動作する。上述のとおり、各セルは、隣接セル情報を含み、随意的に、現在のセルについての情報(接続形態、出力、受信地域、CTR位置、オフセット、形状、利用に関する情報等)、およびサービス情報に関する情報(コンテンツ識別子、トランスポートストリーム(TS)識別子、およびストリームタイプ等)等のさらなる情報を含むマッピング情報を送信する。例えば、セルA 2702内の送信器2713は、以下のようなマッピング情報2716を送信してもよい:
マッピング情報2716はまた、隣接セルに関連する座標および/またはコンテンツ識別子を含んでもよい。セルA内のモバイル受信ユニット2714は、マッピング情報2716を用いて隣接セルに関連するチャンネル等の各種セルの属性を特定することができる。モバイル受信ユニット2714は、マッピング情報2716で示されるような隣接セルチャンネルのいくつかまたは全てを定期的にテストし、現在のセルのチャンネル品質および/または他の隣接セルチャンネルの品質に対する各隣接セルチャンネルの品質を評価してもよい。例えば、図28に示すように、モバイル受信ユニット2714は、各セル毎にベクトルを生成してもよい。これらのベクトルは、単一のパラメータ(例えば、受信信号強度)のみに基づくか、または複数のパラメータ(例えば、受信信号強度、送信出力、方向等)に基づくようにすることができる。モバイル受信ユニット2714は、数例を挙げるとすると、ローミングの決定、現在のセル内での位置の推定、進行方向の推定等のためにチャンネル解析を用いてもよい。
例えば、モバイル受信ユニット2714は、チャンネル解析により、例えば、隣接セルチャンネルの受信信号強度測定に基づいてある特定の隣接セル(例えば、隣接セルF 2712)に最も近いと判定する。それゆえ、モバイル受信ユニット2714は、現在のセルにおいてその隣接セルに最も近い部分(この場合、セルA 2702においてセルF 2712に最も近い南東の部分)に位置すると結論づける。
モバイル受信ユニット2714はまた、図29に示すように、チャンネル解析により、第1の隣接セルから離れつつあり(例えば、第1の隣接セルチャンネル、例えば、隣接セルF 2712と関連する69チャンネルと関連する受信信号強度が時間とともに弱くなっている)、第2の隣接セルに向かって移動している(例えば、第2の隣接セルチャンネル、例えば、隣接セルC 2706と関連するチャンネル37と関連する受信信号強度が時間とともに強くなっている)と判定可能である。それゆえ、モバイル受信ユニット2714は、第1の隣接セルから第2の隣接セルに向かう方向(この場合、セルF 2712からセルC 2706に向かう北西方向)に移動していると結論づける。
ある時点で、モバイル受信ユニット2714は、図30に示すように、チャンネル解析により、現在のセルから隣接セルに「ローミング」したと判定する(例えば、隣接セルチャンネル、例えば、セルC 2706と関連する37チャンネルの受信信号強度が、この例では、セルA 2702に関連する56チャンネルである現在のセル内のチャンネルの受信信号強度より強い)。この場合、モバイル受信ユニット2714は、一般に、隣接セル内で動作するチャンネル(この場合、セルC 2706に関連する37チャンネル)に移行して、コンテンツおよびマッピング情報を新たなセルから受信し始める。例えば、セルC 2706内の送信器は、以下のようなマッピング情報を送信してもよい:
マッピング情報は、上記各種セルの1つ以上の座標および/またはコンテンツ識別子を含むことができる。よって、モバイル受信ユニットがセル間をローミングし、セル方式テレビシステム内での位置を推定し、セル方式テレビシステム内での移動方向を推定することができるポジショニングシステムの一形態としてチャンネル解析を用いることができる。さらに、モバイル受信ユニットは、サービスプロバイダーに位置情報を返信することができる。サービスプロバイダーは、数例を挙げるとすると、リアルタイムでのモバイル受信ユニットの追跡、モバイル受信ユニットの位置決定(例えば、緊急事態における)、およびモバイル受信ユニットへの位置固有のコンテンツの提供を受信した位置情報を用いて行なうことができる。サービスプロバイダーは、ローミングしている受信器がその行き先セルからコンテンツのダウンロードを始める前にコンテンツを行き先セルに送ることができる。
モバイル受信器は、チャンネル測定値(例えば、受信信号強度)と方向または位置情報(例えば、GPS情報)とを相互に関連づけることができる。このような相互関連づけにより、モバイル受信器がローミングを決定することができるさらなる情報を提供することができる。
図26は、本発明の例示的な実施形態によるセル方式テレビシステムにおける情報サービスの提供方法を説明する論理流れ図である。ブロック2602において、サービスプロバイダーからのサービス情報が複数のセルの各々において少なくとも1つの無線放送テレビチャンネル上で送信される。ブロック2604では、隣接セル情報を含むマッピング情報が上記複数のセルの各々における少なくとも1つの無線放送テレビチャンネル上で送信される。ブロック2606では、現在のセル内での受信品質が測定される。ブロックでは、隣接セル内での受信品質が現在のセル内で受信されたマッピング情報に基づいて測定される。ブロック2610では、受信品質測定値が、随意的に(例えば、チャンネル解析またはGPS情報に基づいて)方向および/または位置情報と相互に関連づけられる。ブロック2612では、サービス情報の受信を継続するために、隣接セルに移るかどうかについて、受信品質測定値および任意の相互関連づけに基づいて判定を行なう。隣接セルに移ることが決定された場合、ブロック2614において、受信ユニットからサービスプロバイダーへの通信を必要とすることなく現在のセルから隣接セルに移る。
なお、マッピング情報に含まれる座標には絶対座標(例えば、経度/緯度またはGPS座標)または相対座標(例えば、セルB 2704はセルA 2702の南西である)を含むことができることに留意されたい。
また、レイヤ3ネットワーク(例えば、IPネットワーク)上で結合されるコンテンツサーバおよび送信設備に関する例示的な実施形態について上述したが、本発明はレイヤ3ネットワークに限定されないことにも留意されたい。例えば、上記少なくとも1つのコンテンツサーバおよび送信設備は、レイヤ2ネットワーク上で結合してもよい。
また、「ルータ」および「サーバ」という用語は、本明細書中では、通信システムにおいて使用可能な各種通信デバイスを説明するために用いられており、本発明を特定の通信デバイスのタイプに限定するためのものではないことにも留意されたい。よって、通信デバイスは、ブリッジ、ルータ、ブリッジ−ルータ(ブルータ)、スイッチ、ノード、サーバ、コンピュータ、または他の通信デバイスを含むがこれらに限定されない。
また、「パケット」という用語は、本明細書中では、通信デバイスによる使用(例えば、通信デバイスによる生成、送信、受信、格納、または処理)または通信媒体による伝送が可能な通信メッセージを説明するために用いられており、本発明を特定の通信メッセージのタイプ、通信メッセージ形式、または通信プロトコルに限定するためのものではないことにも留意されたい。よって、通信メッセージは、フレーム、パケット、データグラム、ユーザデータグラム、セル、または他のタイプの通信メッセージを含むがこれらに限定されない。
本発明は、プロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ、または汎用コンピュータ)で用いるコンピュータプログラムロジック、プログラム可能なロジックデバイス(例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)または他のPLD)で用いるプログラム可能なロジック、個別構成要素、集積回路(例えば、特定用途向け集積回路(ASIC))、またはそれらの任意の組み合わせを含む任意の他の手段を含むがこれらに限定されない多くの異なる形態で実施することができる。本発明の典型的な実施形態では、主に、上記特徴としてのサーバロジックの全てが、コンピュータによって実行可能な形態に変換される一組のコンピュータプログラム命令として実現され、そのままコンピュータによって読取可能な媒体に格納され、オペーレーティングシステムの制御下で、上記特徴としてのサーバモジュール内のマイクロプロセッサにより実行される。
本明細書中において先に述べた機能の全てまたは一部を実現するコンピュータプログラムロジックは、種々の形態で実施してもよいが、ソースコードの形態、コンピュータにより実行可能な形態、および各種中間的な形態(例えば、アセンブラ、コンパイラ、リンカー、またはロケータにより得られる形態)に限定されない。ソースコードは、各種オペーレーティングシステムまたは動作環境で用いられる各種プログラミング言語のいずれか(例えば、オブジェクトコード、アセンブリ言語、またはフォートラン、C、C++、JAVA(登録商標)、もしくはHTML等の高水準言語)により実現される一連のコンピュータプログラム命令を含んでもよい。ソースコードは、各種データ構造および通信メッセージを定義および使用してもよい。ソースコードは、(例えば、インタプリタを介して)コンピュータで実行可能な形態であってもよく、ソースコードは、(例えば、トランスレータ、アセンブラ、またはコンパイラを介して)コンピュータで実行可能な形態に変換されてもよい。
コンピュータプログラムは、半導体メモリデバイス(例えば、RAM、ROM、PROM、EEPROM、またはプログラム可能なフラッシュRAM)、磁気メモリデバイス(例えば、ディスケットまたは固定ディスク)、光メモリデバイス(例えば、CD−ROM)、PCカード(例えば、PCMCIAカード)、または他のメモリデバイス等、有形の媒体で永久的または一時的に任意の形態(例えば、ソースコードの形態、コンピュータで実行可能な形態、または中間的な形態)に固定されてもよい。コンピュータプログラムは、アナログ技術、デジタル技術、光技術、無線技術(例えば、Bluetooth(登録商標))、ネットワーキング技術、およびインターネットワーキング技術を含むがこれらに限定されない各種通信技術のいずれかを用いてコンピュータに送信可能な信号において任意の形態で固定されてもよい。コンピュータプログラムは、印刷または電子文書を伴う着脱可能な格納媒体(例えば、市販のソフトウェア)として任意の形態で配布されたり、(例えば、システムROMまたは固定ディスク上で)コンピュータシステムにプリインストールされたり、通信システム(例えば、インターネットまたはワールドワイドウェブ)上でサーバもしくは電子掲示板から配布されてもよい。
本明細書中において先に述べた機能の全てまたは一部を実現するハードウェアロジック(プログラム可能なロジックデバイスで使用されるプログラム可能なロジックを含む)は、従来の手動による方法を用いて設計するか、またはコンピュータ支援設計(CAD)、ハードウェア記述言語(例えば、VHDLまたはAHDL)、またはPLDプログラミング言語(例えば、PALASM、ABEL、またはCUPL)等の各種ツールを用いて、電子的に設計、キャプチャ、シミュレーションもしくは文書化してもよい。
プログラム可能なロジックは、半導体メモリデバイス(例えば、RAM、ROM、PROM、EEPROM、またはプログラム可能なフラッシュRAM)、磁気メモリデバイス(例えば、ディスケットまたは固定ディスク)、光メモリデバイス(例えば、CD−ROM)、または他のメモリデバイス等、有形の格納媒体に永久的または一時的に固定してもよい。プログラム可能なロジックは、アナログ技術、デジタル技術、光技術、無線技術(例えば、Bluetooth(登録商標))、ネットワーキング技術、およびインターネットワーキング技術を含むがこれらに限定されない各種通信技術のいずれかを用いてコンピュータに送信可能な信号に固定されてもよい。プログラム可能なロジックは、印刷または電子文書を伴う着脱可能な格納媒体(例えば、市販のソフトウェア)として配布されたり、(例えば、システムROMまたは固定ディスク上で)コンピュータシステムにプリインストールされたり、通信システム(例えば、インターネットまたはワールドワイドウェブ)上でサーバもしくは電子掲示板から配布されてもよい。
本発明は、発明の真の範囲を逸脱しない他の特定の形態で実施してもよい。上述した実施形態は、全ての点において、例示のみを目的とするものであり、限定のためのものではないことは言うまでもない。