JP2008542288A - グリコpeg化エリスロポエチン製剤 - Google Patents

グリコpeg化エリスロポエチン製剤 Download PDF

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Abstract

本発明は、エリスロポエチンとPEG部分との接合体を提供する。接合体は、ペプチドと修飾基との間に挿入されかつそれらに共有結合される無傷グリコシル連結基を介して連結される。接合体は、グリコシル化ペプチドからグリコシルトランスフェラーゼの作用により形成される。グリコシルトランスフェラーゼは、修飾糖部分をペプチド上のグリコシル残基上にライゲートする。接合体を調製するための方法、様々な病状を接合体で治療するための方法、および接合体を含有する医薬製剤もまた提供される。

Description

関連出願に対する相互参照
本出願は、2005年5月25日出願の米国仮特許出願第60/684,637号明細書、2005年5月25日出願の米国仮特許出願第60/685,007号明細書、2005年6月2日出願の米国仮特許出願第60/687,548号明細書、2005年6月2日出願の米国仮特許出願第11/144,223号明細書、2006年2月1日出願の米国仮特許出願第60/764,625号明細書、2006年2月15日出願の米国仮特許出願第60/773,941号明細書および2006年2月15日出願の米国仮特許出願第60/774,088号明細書に対する優先権を主張するものであり、これらの各々はあらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書中に援用される。
発明の背景
エリスロポエチン(EPO)は、造血幹細胞に作用し赤血球の生成を刺激する腎臓および肝臓によって生成されるサイトカインである。該タンパク質は、2つの形態で、すなわち一方が165個のアミノ酸ペプチド、もう一方が166個のアミノ酸ペプチドとして存在する。166個のアミノ酸ペプチドは165個のアミノ酸と同じ配列を有するが、C末端位置に追加のアルギニンを有する。165個の成熟アミノ酸ペプチドは、3つのN−グリコシル化部位(Asn−24、Asn−38、およびAsn−83)および1つのO−グリコシル化部位(Ser−126)を含む34kDの糖タンパク質である。数種の変異体が5つのN−連結グリコシル化部位を含む「高グリコシル化」される。
エリスロポエチン合成が、動脈血酸素分圧の低下または血液の酸素親和性の増大などの組織低酸素症を有効に生じさせる状態により誘発される。ホメオスタシスの通常の条件下で、血液中のヘマトクリットおよびヘモグロンビン濃度は、赤血球生成が、骨髄、脾臓および肝臓内のマクロファージによる古い赤血球の恒常的破壊と平衡化することによって一定に維持される。定量的には、赤血球質量の約1%すなわち約2〜3×1011個の赤血球が日々更新される。しかし、失血または高所への移動(location to high altitudes)など、組織低酸素症を有効にもたらす状況では、EPOの誘導により、赤血球生成が正常レベルに比べて10倍またはそれより大きく刺激されうる。
EPOが赤血球生成を刺激することから、それはヘマトクリットの低下に関連した多数の疾患および症状に有効な治療である。末期腎不全を有する患者におけるヘマトクリットの回復を目的とした組換えヒトEPOを用いた補充療法の初期試験が約20年前に最初に報告された(例えば、ウィナールズ C.G.(Winearls C.G.)ら、(1986年) Lancet,2、1175〜1178頁、およびエシュバッハ J.W.(Eschbach J.W.)ら、(1987年) N.Engl.J.Med.、316、73〜78頁)。この研究は、EPOの病態生理学および薬理学へのさらなる研究に弾みをつけた(例えば、ジェルクマン W.(Jelkmann W.)およびグロス A.(Gross A.)(1989年) ERYTHROPOIETIN;シュプリンガー(Springer)、ベルリン(Berlin) ハイデルベルグ(Heidelberg) ニューヨーク(New York)を参照)。
それらの初期の研究以来、組換えヒトEPOは用いることで極めて多数の病状における治療が成功している。例えば、組換えヒトEPOの外科患者への薬理学的適用により、術後貧血の重症度が低下しかつ期間が短縮しうる。組換えヒトEPOの投与はまた、内因性EPOの相対的不足が貧血の発症に寄与する場合の、慢性炎症、悪性腫瘍およびAIDSなどのいくつかの非腎臓病に罹患した患者に対して有効な治療であることが判明している(例えば、ミーンズ R.T.(Means R.T.)およびクランツ S.B.(Krantz S.B.)(1992年) Blood,80、1639〜1647頁、ならびにジェルクマン W.(Jelkmann W.)(1998年)J.Interf.Cytokine Res.、18、555〜559頁を参照)。さらに、EPOが虚血性、外傷性、毒性および炎症性損傷において組織保護的であることが報告されている(例えば、ブリン M.(Brines M.)ら(2004年)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,101、14907〜14912頁およびブリン M.L.(Brines M.L.)ら(2000年).Proc.Natl.Acad.Sci.USA,97、10526〜10531頁を参照)。
かかる多種多様な原因から生じる貧血および他の症状の治療におけるEPOの有用性および有効性故に、組換えヒトEPOがおそらくは世界中で最も売れる薬剤となっている。推定売上高は実に年間50億米国ドル超に達する。
チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞系内で生成される組換えヒトEPOは、治療薬として幅広く用いられている。あらゆる哺乳類が類似構造のグリカンを生成することから、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)、ベイビーハムスター腎臓(BHK)、およびヒト胚性腎臓−293(HEK−293)は、糖タンパク質治療薬の生成において好ましい宿主細胞である。当該技術分野で既知のように、適切なグリコシル化は、インビボで治療用ペプチドの半減期および免疫原性に作用する極めて重要な因子である。グリコシル化が不十分なタンパク質は、肝臓により「古いもの」として認識されることにより、適切にグリコシル化されたタンパク質よりも速やかに身体から除去される。
治療用ペプチドの使用を妨げる別の現象は、これらのペプチドによって示される比較的短いインビボ半減期である。総じて短いインビボ半減期の問題は、治療用のグリコペプチドが高用量で頻回投与されなければならないことを意味し、これは最終的には、もしより長く持続させるためのより効率的な方法、より有効な糖タンパク質治療薬が利用可能であった場合と比べてより高いヘルスケアコストが必要でありうると解釈される。
費用効果的なグリコペプチド治療薬の提供に関する問題への1つの解決策は、ペプチドのインビボ半減期の増加である。例えば、改善された薬物動態特性を有するグリコペプチド治療薬が、合成高分子のペプチド骨格への付着により生成される。ペプチドに接合されている典型的な高分子はポリ(エチレングリコール)(「PEG」)である。ペプチド治療薬を誘導体化するためのPEGの使用によりペプチドの免疫原性が低下することが示されている。例えば、米国特許第4,179,337号明細書(デイビス(Davis)ら.)は、ポリエチレングリコール(PEG)またはポリプロピレングリコールに共役された酵素およびペプチドホルモンなどの非免疫原性ポリペプチドについて開示している。免疫原性の低下に加え、循環におけるクリアランス時間が、対象のポリペプチドのPEG−接合体の大きさの増大によって延長される。
PEGおよびその誘導体のペプチドに対する付着の主なモードは、ペプチドアミノ酸残基を介する非特異的な共有結合である(例えば、米国特許第4,088,538号明細書、米国特許第4,496,689号明細書、米国特許第4,414,147号明細書、米国特許第4,055,635号明細書、および国際公開第87/00056号パンフレットを参照)。PEGのペプチドに対する付着の別なモードは、グリコペプチド上でのグリコシル残基の非特異的な酸化を介するものであり(例えば国際公開第94/05332号パンフレットを参照)、その後、生成されるカルボニル部分のアミノ−PEG種との還元アミノ化がなされる。
これらの非特異的な方法では、ポリ(エチレングリコール)が無作為に非特異的な様式でペプチド骨格上の反応残基に付加される。PEG分子のランダム結合は、最終生成物における均質性の不足、およびペプチドの生物活性または酵素活性が低下するという可能性を含む欠点を有する。したがって、治療用ペプチドの生成においては、特異的に標識され、容易に特徴づけ可能で、本質的に均質なPEG化ペプチドの形成をもたらす誘導体化方法の方が優れている。本明細書に示されるように、かかる方法が開発されている。
特異的に標識された均質なペプチド治療薬が、酵素の作用によりインビトロで生成可能である。酵素に基づく合成は、合成高分子または他の標識をペプチドに付着させるための典型的な非特異的方法と異なり、位置選択性および立体選択性の利点を有する。標識ペプチドの合成において用いられる2つの主要なクラスの酵素が、グリコシルトランスフェラーゼ(例えばシアリルトランスフェラーゼ、オリゴサッカリルトランスフェラーゼ、N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ)およびグリコシダーゼである。これらの酵素を、後に治療部分を含むように修飾可能な糖類の特異的付着のために用いてもよい。あるいは、グリコシルトランスフェラーゼおよび修飾グリコシダーゼを用い、修飾糖をペプチド骨格に直接転移させてもよい(例えば、米国特許第6,399,336号明細書、ならびに米国特許出願公開第2003/0040037号明細書、米国特許出願公開第2004/0132640号明細書、米国特許出願公開第2004/0137557号明細書、米国特許出願公開第2004/0126838号明細書および米国特許出願公開第2004/0142856号明細書を参照。これら各々は参照により本明細書中に援用される)。化学的な合成因子と酵素的な合成因子の双方を組み合わせる方法もまた既知である(例えば、参照により本明細書中に援用される、ヤマモト(Yamamoto)ら、Carbohydr.Res.305:415〜422頁(1998年)および米国特許出願公開第2004/0137557号明細書を参照)。
上で考察のように、エリスロポエチン(EPO)は極めて価値の高い治療用ペプチドである。市販形態のEPOが今日用いられているが、これらペプチドは、生成コストを増大させる糖タンパク質生成物の微小不均一性、得られる糖タンパク質の単離生成物における良好でない薬物動態、またはそれら2つの組み合わせを含む要因により最大限有効というわけではない。したがって、当該技術分野では、改善された有効性およびより優れた薬物動態を有する長期持続性のEPOペプチドに対する需要が依然として存在する。さらに、それは最も多数の個人にとって有効であるように、何度となく容易に再生でき、予測可能で本質的に均質の構造を有し、改善された治療上の薬物動態を有するEPOペプチドを工業規模で生成することが可能でなければならない
幸いにも、現在では治療有効性が改善されたEPOペプチドおよびそれを作製するための方法が発見されている。本発明は、改善された薬物動態を有するEPOペプチドを提供する。本発明はまた、修飾EPOペプチドの生成において産業上実用的でかつ費用効果的な方法を提供する。本発明のEPOペプチドは、PEG部分、治療部分、生体分子などの修飾基を含む。それ故、本発明は、症状および疾患の治療において有効な治療法をもたらす、改善された治療有効性および改善された薬物動態を有するEPOペプチドに対する需要を満たすものである。
発明の概要
今では、1つまたは複数の高分子修飾部分、例えばポリ(エチレングリコール)を用いたエリスロポエチン(EPO)の修飾の制御により、改善された薬物動態特性を有する新規のEPO誘導体が得られることが発見されている。さらに、本発明の高分子修飾EPOペプチドの信頼性の高い、再生可能な生成における費用効果的な方法が発見され、開発されている。
高分子修飾部分は、EPOのグリコシル部分の任意の位置で付着されうる。さらに、高分子修飾部分は、野生型または変異EPOペプチドのアミノ酸配列における任意の位置でグリコシル残基に結合されうる。
典型的な実施形態では、本発明は、グリコシル連結基を介して高分子修飾部分に接合されるEPOペプチドを提供する。典型的なEPOペプチド接合体は、
Figure 2008542288
から選択される化学式を有するグリコシル連結基を含む。
化学式IおよびIIでは、RはH、CHOR、COORまたはORである(式中、RはH、置換もしくは非置換アルキルまたは置換もしくは非置換ヘテロアルキルを示す)。記号R、R、R、RおよびR6’はH、置換または非置換アルキル、OR、NHC(O)Rを独立して示す。指数dは0または1である。RおよびRは、H、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロアルキルまたはシアル酸から独立して選択される。R、R、R、RまたはR6’の少なくとも1つは、高分子修飾部分、例えばPEGを含む。典型的な実施形態では、RおよびR6’は、それらの付着対象である炭素とともにシアル酸の側鎖成分である。さらに典型的な実施形態では、この側鎖は高分子修飾部分で官能化される。
典型的な実施形態では、高分子部分は、一般にグリコシルコア(例えばN、O)上のヘテロ原子を介し、下記に示されるリンカーLを介し、グリコシル連結基に結合される。
Figure 2008542288
は高分子修飾部分であり、Lは結合および連結基から選択される。指数wは1〜6、好ましくは1〜3およびより好ましくは1〜2から選択される整数を示す。典型的な連結基は、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル部分およびシアル酸を含む。リンカーの典型的な成分はアシル部分である。別の典型的な連結基はアミノ酸残基である(例えば、システイン、セリン、リジン、および短いオリゴペプチド、例えばLys−Lys、Lys−Lys−Lys、Cys−Lys、Ser−Lysなど)。
Lが結合である場合、それはRの前駆体上の反応性官能基とグリコシル連結基の前駆体上の相補的反応性を有する反応性官能基の反応により形成される。Lが0級以外の連結基である場合、LはR前駆体との反応に先立ちグリコシル部分上に配置されうる。あるいは、LおよびRの前駆体は、後にグリコシル部分に付着される予備形成されたカセットに取り込まれうる。本明細書に示されるように、適切な反応性官能基を有する前駆体の選択および調製は当業者の能力の範囲内にある。さらに、当該技術分野で十分に理解されている化学反応により、前駆体の共役が進行する。
典型的な実施形態では、Lは修飾糖をもたらすアミノ酸または小ペプチド(例えば、1〜4個のアミノ酸残基)から形成される連結基であり、ここでは高分子修飾部分が置換アルキルリンカーを介して付着される。典型的なリンカーは、グリシン、リジン、セリンおよびシステインを含む。本明細書で定義されるアミノ酸類似体は、リンカー成分としても有用である。アミノ酸は、例えばアミノ酸残基のアミン部分を介して形成されるアミドまたはウレタンであるアシル結合を介して共有結合される、アルキル、ヘテロアルキルを例とするリンカーの追加成分で修飾されうる。
典型的な実施形態では、グリコシルリンカーは化学式Iに準じた構造を有し、かつRは高分子修飾部分を含む。別の典型的な実施形態では、Rは高分子修飾部分と、修飾部分をグリコシルコアに連結させるリンカーLの双方を含む。Lは線状または分岐構造でありうる。同様に、該高分子修飾は分岐状または線状でありうる。
高分子修飾部分は、水溶性または本質的に水不溶性でありうる、2つまたはそれより大きい反復単位を含む。本発明の化合物にて用いられる典型的な水溶性高分子は、PEG、例えばm−PEG、PPG、例えばm−PPG、ポリシアル酸、ポリグルタメート、ポリアスパルテート、ポリリシン、ポリエチレンイミン、生分解性高分子(例えば、ポリラクチド、ポリグリセリド)、および官能化PEG、例えば末端官能化PEGを含む。
本発明のEPO接合体にて用いられるグリコシル連結基のグリコシルコアは、天然および非天然のフラノースとピラノースの双方から選択される。非天然糖類は、場合により、アルキル化またはアシル化されたヒドロキシルおよび/またはアミン部分、例えば、環上のエーテル、エステルおよびアミド置換基を含む。他の非天然糖類は、天然糖類中に存在しない、環上の位置でのH、ヒドロキシル、エーテル、エステルまたはアミド置換基を含む。あるいは、炭水化物は、その名称の由来となる炭水化物の中に見出されると思われる置換基を失っている、例えばデオキシ糖である。さらに典型的な非天然糖類は、酸化された(例えば、−オン酸および−ウロン酸)炭水化物と還元された(糖アルコール)炭水化物の双方を含む。糖部分は単糖類、オリゴ糖類または多糖類でありうる。
本発明におけるグリコシル連結基の成分として用いられる典型的な天然糖類は、グルコース、グルコサミン、ガラクトース、ガラクトサミン、フコース、マンノース、マンノサミン、キシラノース(xylanose)、リボース、N−アセチルグルコース、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルガラクトース、N−アセチルガラクトサミン、およびシアル酸を含む。
一実施形態では、本発明は、部分
Figure 2008542288
(式中、Dは−OHおよびR−L−HN−から選択されるメンバーであり、GはHおよびR−L−および−C(O)(C−C)アルキルから選択されるメンバーであり、Rは直鎖または分岐ポリ(エチレングリコール)残基を含む部分であり、かつLはリンカー、例えば結合(「0級」)、置換または非置換アルキルおよび置換または非置換ヘテロアルキルである)を含むエリスロポエチンペプチドを提供する。典型的な実施形態では、DがOHの場合、GはR−L−であり、かつGが−C(O)(C−C)アルキルの場合、DはR−L−NH−である。
別の態様では、本発明は、化学式
Figure 2008542288
を有するグリコシル連結基を含むペプチドを提供する。
他の実施形態では、基は化学式
Figure 2008542288
(式中、tは0または1である)
を有する。
さらに別の実施形態では、基は化学式
Figure 2008542288
(式中、指数pは1〜10の整数を示し、かつaは0または1を示す)
を有する。
別の態様では、本発明は、本発明のPEG化エリスロポエチンを作製する方法を提供する。本方法は、(a)
Figure 2008542288
から選択されるグリコシル基を含む基質のエリスロポエチンペプチドを化学式
Figure 2008542288
を有するPEG−シアル酸ドナー、およびPEG−シアル酸を該ドナーから該グリコシル基のGalおよびSiaから選択されるメンバー上に該転移に適切な条件下で転移させる酵素と接触させるステップを含む。典型的な修飾シアル酸ドナーは、リンカー部分を介して高分子、例えば直鎖または分岐ポリ(エチレングリコール)部分で修飾されるCMP−シアル酸である。
ペプチドは本質的に任意のソースから取得可能であるが、一実施形態では、上で考察された修飾に先立ち、エリスロポエチンペプチドは適切な宿主内で発現される。哺乳類(例えばCHO)および昆虫細胞(例えばSf−9)は、本明細書に記載の組成物および方法で有用なEPOをもたらす典型的な発現系である。
別の態様では、本発明は、治療を必要とする被験者における症状を治療する方法を提供する。典型的な状態は、被験者における赤血球生成の障害として特徴づけられる状態を含む。本方法は、被験者における状態を改善するのに有効な量の本発明の高分子修飾エリスロポエチンペプチドを被験者に投与するステップを含む。
別の態様では、本発明は、哺乳動物における赤血球生成を高める方法を提供する。本方法は、哺乳動物における赤血球生成を高めるのに有効な量の本発明の高分子修飾エリスロポエチンペプチドを哺乳動物に投与するステップを含む。
別の態様では、本発明は、治療を必要とする被験者における組織損傷を治療する方法を提供する。典型的な損傷は、虚血、外傷、炎症または毒性物質との接触に起因する損傷として特徴づけられるものを含む。本方法は、被験者における組織障害を改善するのに有効な量の本発明の高分子修飾エリスロポエチンペプチドを被験者に投与するステップを含む。保護または治療における典型的なクラスは神経保護を含む(例えば、脳卒中、アルツハイマー病、パーキンソン病および他の変性神経疾患の治療)。本発明の修飾EPOはまた、腎機能障害、癌、および網膜症などの疾患を有する患者の治療も有用である。
別の態様では、本発明は、本発明の高分子修飾エリスロポエチンペプチドを含有する医薬製剤を提供し、かつ製剤は保存、処理、および/または治療適用において実質的に安定である。
別の態様では、本発明は、本発明の高分子修飾エリスロポエチンペプチドおよび医薬的に許容できる担体を含有する医薬製剤を提供する。
別の態様では、本発明は、本発明の高分子修飾エリスロポエチンペプチドと、例えば製剤に適するpH範囲をもたらす緩衝液を含有するエリスロポエチン製剤を提供する。
別の態様では、本発明は、本発明の高分子修飾エリスロポエチンペプチドおよび等張化剤(tonicity adjusting agent)を含有するエリスロポエチン製剤を提供する。
別の態様では、本発明は、本発明の高分子修飾エリスロポエチンペプチドおよび界面活性剤を含有するエリスロポエチン製剤を提供する。
別の態様では、本発明は、本発明の高分子修飾エリスロポエチンペプチドと、選択的水和により安定化する一般的な安定剤、および金属キレート剤、抗酸化剤または抗菌防腐剤などの特定の安定剤を含む(がこれらに限定されない)少なくとも1種の安定剤とを含有するエリスロポエチン製剤を提供する。
本発明の高分子修飾エリスロポエチン糖接合体では、高分子が結合している各アミノ酸残基は本質的に個々のペプチド分子の集団全体にわたり同じ構造を有する。例えば、もし1個のペプチド分子が高分子修飾部分に付着されるグリコシル連結基を含む、Serに連結されたグリコシル残基を含む場合、集団内の他のペプチドの少なくとも約70%、80%、90%、95%、97%、99%、99.2%、99.4%、99.6%、またはより好ましくは99.8%が、同じSer残基に共有結合した高分子修飾部分を有する同じグリコシル残基を有することになる。
本発明の他の目的および利点は、以下の詳細な説明から当業者には明らかであろう。
発明の詳細な説明および好ましい実施形態
略称
PEG、ポリ(エチレングリコール);PPG、ポリ(プロピレングリコール);Ara、アラビノシル;Fru、フルクトシル;Fuc、フコシル;Gal、ガラクトシル;GalNAc、N−アセチルガラクトサミニル;Glc、グルコシル;GlcNAc、N−アセチルグルコサミニル;Man、マンノシル;ManAc、マンノサミニルアセテート;Xyl、キシロシル;NeuAc(N−アセチルノイラミニル)、Sia(シアリル);M6P、マンノース−6−リン酸。
定義
他に定義されない限り、本明細書で用いられるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって共通に理解されているように一般に同じ意味を有する。一般に、本明細書で用いられる命名法および細胞培養、分子遺伝学、有機化学および核酸化学、ならびにハイブリダイゼーションにおける実験手順は周知のものであり、当該技術分野で共通に用いられる。標準技術は、核酸およびペプチド合成において用いられる。技術および手順は、一般に当該技術分野における従来の方法および様々な一般的な参考文献(一般には、サムブルック(Sambrook)ら、「MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL」、第2版(1989年) コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス(Cold Spring Harbor Laboratory Press)、コールドスプリングハーバー(Cold Spring Harbor)、ニューヨーク州を参照。これは参照により本明細書中に援用される)に従って実施され、この文書全体を通して提供される。本明細書で用いられる命名法および分析化学における実験手順ならびに下記の有機合成は周知のものであり、当該技術分野で共通に用いられる。標準技術またはその改良は、化学合成および化学分析において用いられる。
本明細書で記載のすべてのオリゴ糖は、非還元糖類についての名称または略称(すなわちGal)、次いでグリコシド結合(αまたはβ)、環結合(1または2)、結合に関与する還元糖類の環位置(2、3、4、6または8)の配置で記載され、次いで還元糖類の名称または略称(すなわちGlcNAc)で記載される。各糖類は、好ましくはピラノースである。標準のグリコバイオロジーの命名法に関するレビューとして、「Essentials of Glycobiology」 ヴァルキ(Varki)ら編 CSHLプレス(CSHL Press)(1999年)を参照のこと。
オリゴ糖は、還元末端の糖類が実際に還元糖である無しを問わず、還元末端および非還元末端を有すると考えられている。一般に認められた命名法に従い、オリゴ糖は、本明細書では左側に非還元末端および右側に還元末端で示される。
「シアル酸」という用語は、9炭素のカルボキシル化糖類のファミリーの任意のメンバーを示す。シアル酸ファミリーの最も共通のメンバーは、N−アセチル−ノイラミン酸(2−ケト−5−アセトアミド−3,5−ジデオキシ−D−グリセロ−D−ガラクトノヌロピラノース(galactononulopyranos)−1−オン酸(Neu5Ac、NeuAc、またはNANAと略記されることが多い))である。ファミリーの第2のメンバーはN−グリコリル−ノイラミン酸(Neu5GcまたはNeuGc)であり、ここでNeuAcのN−アセチル基は水酸化される。第3のシアル酸ファミリーメンバーは2−ケト−3−デオキシ−ノヌロソン酸(KDN)である(ナダノ(Nadano)ら、(1986年) J.Biol.Chem.261:11550〜11557頁;カナモリ(Kanamori)ら、J.Biol.Chem.265:21811〜21819頁(1990年))。9−O−ラクチル−Neu5Acまたは9−O−アセチル−Neu5Acのような9−O−C−Cアシル−Neu5Ac、9−デオキシ−9−フルオロ−Neu5Acおよび9−アジド−9−デオキシ−Neu5Acなどの9−置換シアル酸もまた含められる。シアル酸ファミリーに関するレビューとしては、例えば、ヴァルキ(Varki)、Glycobiology,2:25〜40頁(1992年);「Sialic Acids:Chemistry,Metabolism and Function」、R.シャウワー(R.Schauer)編(シュプリンガー・フェアラーク(Springer−Verlag)、ニューヨーク(New York)(1992年))を参照のこと。シアリル化手順でのシアル酸化合物の合成および使用は、1992年10月1日に公表された国際公開第92/16640号パンフレットにおいて開示されている。
「ペプチド」は、単量体がアミノ酸でありかつアミド結合を介して互いに連結される高分子を示し、別にポリペプチドと称される。さらに、非天然アミノ酸、例えば、β−アラニン、フェニルグリシンおよびホモアルギニンもまた含まれる。遺伝子でコードされていないアミノ酸もまた本発明にて使用可能である。さらに、本発明においては反応基、グリコシル化部位、高分子、治療部分、生体分子などを含むように修飾されているアミノ酸もまた使用可能である。本発明で用いられるすべてのアミノ酸はD−またはL−異性体でありうる。L−異性体が一般には好ましい。さらに、本発明では他のペプチド模倣体もまた有用である。本明細書で用いられる「ペプチド」は、グリコシル化ペプチドと非グリコシル化ペプチドの双方を示す。ペプチドを発現する系により不完全にグリコシル化されるペプチドもまた含まれる。一般的レビューとして、スパトラ A.F.(Spatola A.F.)、「CHEMISTRY AND BIOCHEMISTRY OF AMINO ACIDS,PEPTIDE AND PROTEINS」、B.ワインシュタイン(B.Weinstein)編、マーセル・デッカー(Marcel Dekker)、ニューヨーク(New York)、267頁(1983年)を参照のこと。
「ペプチド接合体」という用語は、ペプチドが本明細書にて示される修飾糖と接合される場合の本発明の種を示す。
「アミノ酸」という用語は、天然および合成アミノ酸、ならびにアミノ酸類似体および天然アミノ酸と同様に機能するアミノ酸模倣体を示す。天然アミノ酸は、遺伝子コードによってコードされるもの、ならびに後に修飾される該アミノ酸、例えばヒドロキシプロリン、γ−カルボキシグルタメート、およびO−ホスホセリンである。アミノ酸類似体は、天然アミノ酸と同じ基本的化学構造、すなわち水素、カルボキシル基、アミノ基、およびR基に結合されるα炭素を有する化合物、例えば、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウムを示す。かかる類似体は、修飾R基(例えばノルロイシン)または修飾ペプチド骨格を有するが、天然アミノ酸と同じ基本的化学構造を保持する。アミノ酸模倣体は、アミノ酸の一般化学構造と異なる構造を有するが天然アミノ酸と同様に機能する化合物を示す。
本明細書で用いられる「修飾糖」という用語は、本発明のプロセス内での、ペプチドのアミノ酸またはグリコシル残基上に酵素的に付加される天然または非天然炭水化物を示す。修飾糖は、糖ヌクレオチド(一リン酸塩、二リン酸塩、および三リン酸塩)、活性化糖類(例えば、ハロゲン化グリコシル、グリコシルメシレート)ならびに活性化物でもヌクレオチドでもない糖類を含むがこれらに限定されない酵素基質から選択される。「修飾糖」は、「修飾基」と共有結合的に官能化される。有用な修飾基は、PEG部分、治療部分、診断部分、生体分子などを含むがこれらに限定されない。修飾基は、好ましくは天然物でないか、または非修飾の炭水化物である。修飾基で官能化された座は、それが「修飾糖」におけるペプチドへの酵素的付加を阻止しないように選択される。
「水溶性」という用語は、ある程度検出可能な水への溶解度を有する部分を示す。水溶解度を検出および/または定量するための方法は当該技術分野で周知である。典型的な水溶性高分子は、ペプチド、糖類、ポリ(エーテル)、ポリ(アミン)、ポリ(カルボン酸)などを含む。ペプチドは、単一のアミノ酸、例えばポリ(リジン)からなる混合配列を有しうる。典型的な多糖類はポリ(シアル酸)である。典型的なポリ(エーテル)はポリ(エチレングリコール)である。ポリ(エチレンイミン)は典型的なポリアミンであり、かつポリ(アクリル)酸は代表的なポリ(カルボン酸)である。
水溶性高分子の高分子骨格は、ポリ(エチレングリコール)(すなわちPEG)でありうる。しかし、他の関連高分子も本発明の実施における使用に適し、かつPEGまたはポリ(エチレングリコール)という用語の使用がこの観点で包括的であり、排他的でないことは理解されるべきである。PEGという用語は、アルコキシPEG、二官能性PEG、マルチアームPEG、フォーク状PEG、分岐PEG、ペンダントPEG(すなわち、高分子骨格に対してペンダント状の1つまたは複数の官能基を有するPEGまたは関連高分子)、または分解性連結を内包するPEGを含む、その形態のいずれかにおけるポリ(エチレングリコール)を含む。
高分子骨格は線状または分岐状でありうる。分枝高分子骨格は一般に当該技術分野で既知である。典型的には、分枝高分子は中央分岐コア部分および中央分岐コアに連結された複数の線状高分子鎖を有する。PEGは、酸化エチレンのグリセロール、ペンタエリトリトールおよびソルビトールなどの様々なポリオールへの添加によって調製可能な分岐形態で一般に用いられる。中央分岐部分は、リジンなどの数種のアミノ酸からも誘導可能である。分岐ポリ(エチレングリコール)は、R(−PEG−OH)(式中、Rはグリセロールまたはペンタエリトリトールなどのコア部分を示し、mはアームの数を示す)としての一般形態で表現可能である。例えば米国特許第5,932,462号明細書(参照によりその全体が本明細書中に援用される)中に記載されたマルチ−アームPEG分子は、高分子骨格としても使用可能である。
多数の他の高分子についても本発明に適する。2〜約300の末端を有する、非ペプチド性および水溶性である高分子骨格は、本発明において特に有用である。適切な高分子の例として、ポリ(プロピレングリコール)(「PPG」)、エチレングリコールとプロピレングリコールの共重合体などの他のポリ(アルキレングリコール)、ポリ(オキシエチル化ポリオール)、ポリ(オレフィンアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ヒドロキシプロピルメタクリルアミド)、ポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリホスファゼン、ポリオキサゾリン、例えば米国特許第5,629,384号明細書(参照によりその全体が本明細書中に援用される)中に記載されたポリ(N−アクリロイルモルホリン)、ならびにこれらの共重合体、三元重合体、および混合物が挙げられるがこれらに限定されない。高分子骨格の各鎖の分子量は変化しうるが、それは典型的には約100Da〜約100,000Daの範囲内であり、約6,000Da〜約80,000Daである場合が多い。
ペプチド薬の患者への投与に関連する、本明細書で用いられる「曲線下面積」または「AUC」は、患者における全身循環での薬剤の濃度をゼロから無限に至る時間の関数として記述する曲線下の総面積として定義される。
ペプチド薬の患者への投与に関連する、本明細書で用いられる「半減期」または「t1/2」は、患者内での薬剤の血漿濃度が半分減少するのに必要な時間として定義される。複数のクリアランス機構、再分布、および当該技術分野で周知の他の機構に依存するペプチド薬剤に関連した2以上の半減期がありうる。通常、αおよびβ半減期は、α相が再分布に関連しかつβ相がクリアランスに関連するように定義される。しかし、大部分で血流に限定されるタンパク質薬剤の場合、少なくとも2つのクリアランス半減期がありうる。一部のグリコシル化ペプチドにおいては、急速なβ相クリアランスが、マクロファージ上の受容体、あるいは末端ガラクトース、N−アセチルガラクトサミン、N−アセチルグルコサミン、マンノース、またはフコースを認識する内皮細胞を介して媒介されうる。遅延したβ相クリアランスが、2nm未満の有効半径(約68kDa)を有する分子における腎臓糸球体濾過ならびに/あるいは組織内での特異的または非特異的な取り込みおよび代謝を介して生じうる。グリコPEG化は、末端糖類(例えばガラクトースまたはN−アセチルガラクトサミン)をキャッピングすることにより、これらの糖類を認識する受容体を介する急速なα相クリアランスを遮断しうる。それはまた、より大きな有効半径を与えることによって分布および組織取り込みの容量を減少させ、それにより遅いβ相を延長しうる。したがって、グリコPEG化のα相およびβ相の半減期に対する正確な影響は、当該技術分野で周知のように大きさ、グリコシル化の状態、および他のパラメータにより変化しうる。「半減期」についてのさらなる説明は、「Pharmaceutical Biotechnology」(1997年、DFA クロメリン(DFA Crommelin)およびRD シンデラー(RD Sindelar)編、ハーウッド・パブリッシャーズ(Harwood Publishers)、アムステルダム(Amsterdam)、101〜120頁)の中に見出される。
本明細書で用いられる「糖接合」という用語は、修飾糖種の、ポリペプチド、例えば本発明のエリスロポエチンペプチドのグリコシル残基またはアミノ酸への酵素に媒介された接合を示す。「糖接合」の亜属は、修飾糖の修飾基がポリ(エチレングリコール)およびそれらのアルキル誘導体(例えばm−PEG)または反応誘導体(例えばHN−PEG、HOOK−PEG)である場合の「グリコ−PEG化」である。
「大規模」および「工業規模」という用語は、同義的に用いられ、かつ単一の反応サイクルの完了時に少なくとも約250mg、好ましくは少なくとも約500mg、およびより好ましくは少なくとも約1gの糖接合体を生成する反応サイクルを示す。
本明細書で用いられる「グリコシル連結基」という用語は、修飾基(例えば、PEG部分、治療部分、生体分子)の共有結合対象のグリコシル残基を示し、グリコシル連結基は修飾基を接合体の残部に連結させる。本発明の方法においては、「グリコシル連結基」はグリコシル化ペプチドまたは非グリコシル化ペプチドに共有結合された状態になり、それにより該作用物質がペプチド上のアミノ酸残基および/またはグリコシル残基に連結される。「グリコシル連結基」は、一般に「修飾糖」のペプチドのアミノ酸残基および/またはグリコシル残基への酵素による付着によって「修飾糖」から誘導される。グリコシル連結基は修飾基−修飾糖カセットの形成の間(例えば、酸化→シッフ塩基形成→還元)に分解される糖類由来の構造でありうるか、またはグリコシル連結基は無傷でありうる。「無傷グリコシル連結基」は、修飾基を接合体の残部に連結する糖類単量体が、例えばメタ過ヨウ素酸ナトリウムによって、分解、例えば酸化されない場合の、グリコシル部分から誘導される連結基を示す。本発明の「無傷グリコシル連結基」は、グリコシル単位の付加または親糖類構造からの1つまたは複数のグリコシル単位の除去によって天然オリゴ糖から誘導されうる。
本明細書で用いられる「標的化部分」という用語は、身体の特定の組織内または領域内で選択的に局在化することになる種を示す。局在化は、分子決定基の特異的認識、標的化剤または接合体の分子サイズ、イオン相互作用、疎水性相互作用などにより媒介される。作用物質を特定の組織または領域に標的化する他の機構は当業者に既知である。典型的な標的化部分は、抗体、抗体断片、トランスフェリン、HS−糖タンパク質、凝固因子、血清タンパク質、β−糖タンパク質、G−CSF、GM−CSF、M−CSF、EPOなどを含む。
本明細書で用いられる「治療部分」は、抗生物質、抗炎症剤、抗腫瘍薬、細胞毒素、および放射活性物質を含むがこれらに限定されない、治療に有用な任意の作用物質を意味する。「治療部分」は、生体活性物質のプロドラッグ、2つ以上の治療部分が担体に結合される場合の作成物、例えば多価物質を含む。治療部分はまた、タンパク質およびタンパク質を含む作成物を含む。典型的なタンパク質は、顆粒球コロニー刺激因子(GCSF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GMCSF)、インターフェロン(例えば、インターフェロン−α,−β,−γ)、インターロイキン(例えば、インターロイキンII)、血清タンパク質(例えば、第VII、VIIa、VIII、IX、およびX因子)、ヒト絨毛膜ゴナドトロピン(HCG)、卵胞刺激ホルモン(FSH)および黄体形成ホルモン(LH)ならびに抗体融合タンパク質(例えば、腫瘍壊死因子受容体((TNFR)/Fcドメイン融合タンパク質))を含むがこれらに限定されない。
本明細書で用いられる「医薬的に許容できる担体」は、接合体と結合する場合に接合体の活性を保持しかつ被験者の免疫系と反応性を示さない任意の物質を含む。例として、リン酸塩緩衝生理食塩溶液、水、油/水エマルジョンなどのエマルジョン、および様々なタイプの浸潤剤などの標準医薬担体のいずれかが挙げられるがこれらに限定されない。他の担体には、無菌溶液、被覆タブレットを含むタブレットおよびカプセルも含まれうる。典型的には、かかる担体は、デンプン、ミルク、糖、特定のタイプの粘土、ゼラチン、ステアリン酸またはその塩、マグネシウムまたはカルシウムステアレート、タルク、植物性脂肪またはオイル、ガム、グリコールなどの賦形剤、あるいは他の既知の賦形剤を含有する。かかる担体は、フレーバーおよび着色添加剤または他の原料も含みうる。かかる担体を含有する組成物は、周知の従来の方法によって調合される。
本明細書で用いられる「投与」は、被験者に対する、経口投与、坐剤としての投与、局所接触、静脈内投与、腹腔内投与、筋肉内投与、病変内投与、鼻腔内投与または皮下投与、あるいは小型浸透ポンプを例とする徐放デバイスの移植を意味する。投与は非経口および経粘膜(例えば、経口、鼻、膣、直腸、または経皮)を含む任意の経路によるものである。非経口投与は、例えば静脈内、筋肉内、細動脈内、皮内、皮下、腹腔内、脳室内、および頭蓋内投与を含む。さらに、腫瘍を治療する、例えばアポトーシスを誘発するために注射がなされる場合、投与は、腫瘍および/または腫瘍を取り囲む組織内に直接的に行われうる。他の送達モードは、リポソーム製剤、静脈内注入、経皮パッチなどの使用を含むがこれらに限定されない。
「改善する(ameliorating)」または「改善する(ameliorate)」という用語は、徴候の軽減、寛解もしくは低減または患者の身体もしくは精神の健康における改善など、任意の客観的または主観的パラメータを含む、病理または症状の治療における奏功に関する任意の徴候を示す。徴候の改善は、身体検査および/または精神鑑定の結果を含む、客観的または主観的パラメータに基づくものでありうる。
「治療(therapy)」という用語は、疾患に罹患しやすいもののまだ疾患の徴候を経験したりまたは呈することがない動物において生じる疾患または症状の予防(予防治療)、疾患の阻害(その発症の遅延化または停止)、疾患の徴候または副作用の軽減を与えること(緩和治療を含む)、および疾患の緩和(疾患の退行を引き起こす)を含む、疾患または症状の「治療(treating)」または「治療(treatment)」を示す。
「有効量」または「に対する有効量」または「治療有効量」という用語あるいは任意の文法的に等価な用語は、疾患を治療するために動物に投与される場合における、その疾患に対して治療効果を発揮するための十分な量を意味する。
「組織保護性」という用語は、典型的には、虚血/低酸素症、外傷、毒性および/または炎症に関する組織または器官での経験に関連した細胞障害の作用に対する組織の防御を示す。細胞障害により、アポトーシスおよび/または壊死(すなわち毒性細胞死)が生じる場合がある。したがって、「組織保護性」作用は、所定の外傷性、炎症性、毒性または虚血性障害に通常関連したある程度のアポトーシスおよび/または毒性細胞死を経験することから組織を保護する。例えば、EPOは、齧歯類モデルにおいて中大脳動脈閉塞後の梗塞の領域を減少させる(サイレン A.L.(Siren A.L.)ら(2001年) Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.98、4044〜4049頁)。それ故、EPOは、かかる条件下で、虚血性障害(例えば虚血性脳卒中)に通常関連した壊死および/またはアポトーシスを有効に低下させることにより「組織保護性」作用をもたらす。「組織保護性」はまた、網膜症または神経変性疾患などの変性疾患に関連した細胞障害および続発する細胞死の作用に対する組織の防御を示す。
「単離された」という用語は、物質を生成するのに用いられる成分から実質的または本質的に遊離している物質を示す。本発明のペプチド接合体においては、「単離された」という用語は、ペプチド接合体を調製するのに用いられる混合物中に物質を通常伴う成分から実質的または本質的に遊離している物質を示す。「単離された」および「純粋な」は同義的に用いられる。典型的には、本発明の単離ペプチド接合体は、好ましくはある範囲で表される、あるレベルの純度を有する。ペプチド接合体における純度範囲の下限は約60%、約70%または約80%であり、かつ純度範囲の上限は約70%、約80%、約90%または約90%超である。
ペプチド接合体が約90%の純度を超える場合、それらの純度も好ましくはある範囲で表される。純度範囲の下限は約90%、約92%、約94%、約96%または約98%である。純度範囲の上限は約92%、約94%、約96%、約98%または約100%の純度である。
純度は、任意の当該技術分野で認められた分析方法(例えば、銀染色ゲル上の帯強度、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、HPLC、または類似の手段)により測定される。
本明細書で用いられる「集団の本質的に各々のメンバー」は、ペプチドに付加される選択された百分率の修飾糖類がペプチド上の複数の同一のアクセプタ部位に付加される場合の本発明のペプチド接合体の集団の特性を示す。「集団の本質的に各々のメンバー」は修飾糖に接合されるペプチド上の部位の「均質性」に言及したものであり、それらは少なくとも約80%、好ましくは少なくとも約90%およびより好ましくは少なくとも約95%均質である本発明の接合体を示す。
「均質性」は、修飾糖類の接合対象のアクセプタ部分の集団全体にわたる構造的一貫性を示す。したがって、各修飾糖部分がすべての他の修飾糖の接合対象のアクセプタ部位と同じ構造を有するアクセプタ部位に接合される場合の本発明のペプチド接合体では、ペプチド接合体は約100%均質であるといわれる。均質性は、典型的にはある範囲で表される。ペプチド接合体における均質性の範囲の下限は約60%、約70%または約80%であり、かつ純度の範囲の上限は約70%、約80%、約90%または約90%超である。
ペプチド接合体が約90%またはそれより大きい割合で均質である場合、それらの均質性についても好ましくはある範囲で表される。均質性の範囲の下限は、約90%、約92%、約94%、約96%または約98%である。純度の範囲の上限は約92%、約94%、約96%、約98%または約100%の均質性である。ペプチド接合体の純度は、典型的には、例えば液体クロマトグラフィー−質量分析(LC−MS)、マトリックス支援レーザー脱着飛行時間型質量分析(MALDITOF)、キャピラリー電気泳動など、当業者に既知の1つまたは複数の方法により測定される。
グリコペプチド種に言及する場合、「実質的に均一なグライコフォーム」または「実質的に均一なグリコシル化パターン」は、目的のグリコシルトランスフェラーゼ(例えばフコシルトランスフェラーゼ)によりグリコシル化されるアクセプタ部分の百分率を示す。例えばα1,2フコシルトランスフェラーゼの場合、もし本発明のペプチド接合体内でGalβ1,4−GlcNAc−Rおよびそのシアリル化類似体の実質的にすべて(下に定義)がフコシル化されると仮定すると、実質的に均一なフコシル化パターンが存在する。本明細書で示されるフコシル化構造においては、Fuc−GlcNAc連結は一般にα1,6またはα1,3であり、ここでは一般にα1,6が好ましい。出発原料がグリコシル化アクセプタ部分(例えばフコシル化Galβ1,4−GlcNAc−R部分)を有しうることは当業者により理解されるであろう。したがって、計算された百分率のグリコシル化は、本発明の方法によってグリコシル化されるアクセプタ部分、ならびに出発原料中で既にグリコシル化されたアクセプタ部分を含むことになる。
「実質的に均一な」の上記の定義における「実質的に」という用語は、一般に、特定のグリコシルトランスフェラーゼにおけるアクセプタ部分の少なくとも約40%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、またはより好ましくは少なくとも約90%、およびさらにより好ましくは少なくとも約95%がグリコシル化されることを意味する。
置換基が左から右に記載されたその従来の化学式によって特定される場合、それらは化学的に同一の置換基を等しく包含し、そうであれば該置換基は右から左への構造の記載から得られることになる。例えば−CHO−は−OCH−も挙げるように意図されている。
「アルキル」という用語は、それ自体でまたは別の置換基の一部として、特に明記しない限り、指定される炭素原子の数を有する(すなわちC〜C10は1〜10個の炭素を意味する)、直鎖または分岐鎖、または環状炭化水素ラジカル、あるいはそれらの組み合わせを意味し、それらは完全飽和、一価不飽和または多価不飽和の場合があり、かつジラジカルおよび多価ラジカルを含みうる。飽和炭化水素ラジカルの例として、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、シクロヘキシル、(シクロヘキシル)メチル、シクロプロピルメチル、例えばn−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチルなどの相同体および異性体が挙げられるがこれらに限定されない。不飽和アルキル基は、1つまたは複数の二重結合または三重結合を有するものである。不飽和アルキル基の例として、ビニル、2−プロペニル、クロチル、2−イソペンテニル、2−(ブタジエニル)、2,4−ペンタジエニル、3−(1,4−ペンタジエニル)、エチニル、1−および3−プロピニル、3−ブチニル、ならびにより高級の相同体および異性体が挙げられるがこれらに限定されない。「アルキル」という用語は、特に断りのない限り、「ヘテロアルキル」など、下記により詳細に定義されるアルキルの誘導体を含むことも意味する。炭化水素基に限定されるアルキル基は「ホモアルキル」と称される。
「アルキレン」という用語は、それ自体でまたは別の置換基の一部として、−CHCHCHCH−で例示される(がこれに限定されない)、アルカンから誘導されるジラジカルを意味し、かつ「ヘテロアルキレン」として下記に示される基をさらに含む。典型的には、アルキル(またはアルキレン)基は1〜24個の炭素原子を有することになり、ここで本発明では10個またはそれより少ない炭素原子を有する基が好ましい。「低級のアルキル」または「低級のアルキレン」は、鎖がより短いアルキル基またはアルキレン基であり、一般に8個またはそれより少ない炭素原子を有する。
「アルコキシ」、「アルキルアミノ」および「アルキルチオ」(またはチオアルコキシ)はそれらの従来の意味で用いられ、かつそれぞれ酸素原子、アミノ基、または硫黄原子を介する分子の残部に付着されるアルキル基を示す。
「ヘテロアルキル」という用語は、それ自体でまたは別の用語と組み合わせて、特に明記しない限り、記載された数の炭素原子とO、N、SiおよびSからなる群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子からなる、安定な直鎖もしくは分岐鎖、または環状炭化水素ラジカル、あるいはそれらの組み合わせを意味し、ここで窒素および硫黄原子は場合により酸化されかつ窒素ヘテロ原子は場合により四級化される可能性がある。ヘテロ原子O、N、SおよびSiは、ヘテロアルキル基の任意の内部位置またはアルキル基が分子の残部に付着される位置に配置される場合がある。例として、−CH−CH−O−CH、−CH−CH−NH−CH、−CH−CH−N(CH)−CH、−CH−S−CH−CH、−CH−CH、−S(O)−CH、−CH−CH−S(O)−CH、−CH=CH−O−CH、−Si(CH、−CH−CH=N−OCH、および−CH=CH−N(CH)−CHが挙げられるがこれらに限定されない。最大2つのヘテロ原子が連続する場合があり、例として−CH−NH−OCHおよび−CH−O−Si(CHなどが挙げられる。同様に「ヘテロアルキレン」という用語は、それ自体でまたは別の置換基の一部として−CH−CH−S−CH−CH−および−CH−S−CH−CH−NH−CH−で例示される(がこれらに限定されない)、ヘテロアルキルから誘導される二価ラジカルを意味する。ヘテロアルキレン基においては、ヘテロ原子は鎖の一末端または両末端を占有しうる(例えば、アルキレンオキシ、アルキレンジオキシ、アルキレンアミノ、アルキレンジアミノなど)。さらに、アルキレンおよびヘテロアルキレン連結基においては、連結基の化学式が記される場合の向きによっては、連結基の配向は示唆されない。例えば、化学式−C(O)R’−は−C(O)R’−と−R’C(O)−の双方を示す。
「シクロアルキル」および「ヘテロシクロアルキル」という用語は、それら自体でまたは別の用語と組み合わせ、特に明記しない限り、それぞれ「アルキル」および「ヘテロアルキル」の環状変形体を示す。さらに、ヘテロシクロアルキルにおいては、ヘテロ原子は複素環が分子の残部に付着される位置を占有しうる。シクロアルキルの例として、シクロペンチル、シクロヘキシル、1−シクロヘキセニル、3−シクロヘキセニル、シクロヘプチルなどが挙げられるがこれらに限定されない。ヘテロシクロアルキルの例として、1−(1,2,5,6−テトラヒドロピリジル)、1−ピペリジニル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニル、4−モルホリニル、3−モルホリニル、テトラヒドロフラン−2−イル、テトラヒドロフラン−3−イル、テトラヒドロチエン−2−イル、テトラヒドロチエン−3−イル、1−ピペラジニル、2−ピペラジニルなどが挙げられるがこれらに限定されない。
「ハロ」または「ハロゲン」という用語は、それら自体でまたは別の置換基の一部として、特に明記しない限り、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素原子を意味する。さらに、「ハロアルキル」などの用語は、モノハロアルキルおよびポリハロアルキルを含むことを意味する。例えば、「ハロ(C−C)アルキル」という用語は、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、4−クロロブチル、3−ブロモプロピルなどを含むがこれらに限定されないことを意味する。
「アリール」という用語は、特に明記しない限り、互いに融合されるかまたは共有結合される単環または複環(好ましくは1〜3つの環)でありうる多価不飽和の芳香族置換基を意味する。「ヘテロアリール」という用語は、N、O、およびSから選択される1〜4個のヘテロ原子を有するアリール基(または環)を示し、ここで窒素および硫黄原子は場合により酸化され、かつ窒素原子は場合により四級化される。ヘテロアリール基は、ヘテロ原子を介して分子の残部に付着されうる。アリール基およびヘテロアリール基の限定されない例として、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、4−ビフェニル、1−ピロリル、2−ピロリル、3−ピロリル、3−ピラゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、ピラジニル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、2−フェニル−4−オキサゾリル、5−オキサゾリル、3−イソキサゾリル、4−イソキサゾリル、5−イソキサゾリル、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル、2−フリル、3−フリル、2−チエニル、3−チエニル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、2−ピリミジル、4−ピリミジル、5−ベンゾチアゾリル、プリニル、2−ベンジミダゾリル、5−インドリル、1−イソキノリル、5−イソキノリル、2−キノキサリニル、5−キノキサリニル、3−キノリル、テトラゾリル、ベンゾ[b]フラニル、ベンゾ[b]チエニル、2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イル、ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イルおよび6−キノリルが挙げられる。上記のアリールおよびヘテロアリール環系の各々における置換基は、下記の許容可能な置換基の群から選択される。
簡潔のために、「アリール」という用語は、他の用語と併用される場合(例えば、アリールオキシ、アリールチオキシ、アリールアルキル)、上で定義されたようなアリール環とヘテロアリール環の双方を含む。したがって、「アリールアルキル」という用語は炭素原子(例えばメチレン基)が例えば酸素原子により置換されているアルキル基(例えば、フェノキシメチル、2−ピリジロキシメチル、3−(1−ナフチロキシ)プロピルなど)を含むアルキル基に付着されるアリール基(例えば、ベンジル、フェネチル、ピリジルメチルなど)のラジカルを含むことを意味する。
上記用語(例えば、「アルキル」、「ヘテロアルキル」、「アリール」および「ヘテロアリール」)の各々は、指定されるラジカルの置換形態と非置換形態の双方を含むことを意味する。ラジカルの各タイプにおいて好ましい置換基は下記に提供される。
アルキルおよびヘテロアルキルラジカル(アルキレン、アルケニル、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニル、およびヘテロシクロアルケニルと称されることが多いそれらの基を含む)における置換基は一般に「アルキル基置換基」と称され、かつそれらは、0〜(2m’+1)(m’はかかるラジカル中の炭素原子の総数である)の範囲の数内の、−OR’、=O、=NR’、=N−OR’、−NR’R’’、−SR’、−ハロゲン、−SiR’R’’R’’’、−OC(O)R’、−C(O)R’、−COR’、−CONR’R’’、−OC(O)NR’R’’、−NR’’C(O)R’、−NR’C(O)NR’’R’’’、−NR’’C(O)R’、−NR−C(NR’R’’R’’’)=NR’’’’、−NR−C(NR’R’’)=NR’’’、−S(O)R’、−S(O)R’、−S(O)NR’R’’、−NRSOR’、−CNおよび−NOから選択される(がこれらに限定されない)1つまたは複数の種々の基でありうる。R’、R’’、R’’’およびR’’’’の各々は、好ましくは独立して、水素、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換アリール、例えば1−3ハロゲン、置換もしくは非置換アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、またはアリールアルキル基で置換されたアリール基を示す。例えば、本発明の化合物が2つ以上のR基を含む場合、各R基は、R’、R’’、R’’’およびR’’’’基それぞれでも、2つ以上が存在する場合そうであるように、独立して選択される。R’およびR’’が同じ窒素原子に付着される場合、窒素原子との結合によって5−、6−、または7−員環が形成されうる。例えば、−NR’R’’は1−ピロリジニルおよび4−モルホリニルを含むがこれらに限定されないことを意味する。置換基に関する上の考察によると、当業者は、「アルキル」という用語がハロアルキル(例えば−CFおよび−CHCF)およびアシル(例えば−C(O)CH、−C(O)CF、−C(O)CHOCHなど)などのように、水素基以外の基に結合される炭素原子を含む基を含むことを意味することを理解するであろう。
アリール基およびヘテロアリール基における置換基は、アルキルラジカルにて示される置換基と同様、一般に「アリール基置換基」と称される。置換基は、0から芳香環系上の開放原始価(open valences)の総数の範囲の数内の、例えば、ハロゲン、OR’、=O、=NR’、=N−OR’、−NR’R’’、−SR’、−ハロゲン、−SiR’R’’R’’’、−OC(O)R’、−C(O)R’、−COR’、−CONR’R’’、−OC(O)NR’R’’、−NR’’C(O)R’、−NR’C(O)NR’’R’’’、−NR’’C(O)R’、−NR−C(NR’R’’R’’’)=NR’’’’、−NR−C(NR’R’’)=NR’’’、−S(O)R’、−S(O)R’、−S(O)NR’R’’、−NRSOR’、−CNおよび−NO、−R’、−N、−CH(Ph)、フルオロ(C−C)アルコキシ、ならびにフルオロ(C−C)アルキルから選択され、ここでR’、R’’、R’’’およびR’’’’は、好ましくは、水素、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換アリールおよび置換または非置換ヘテロアリールから独立して選択される。例えば、本発明の化合物が2つ以上のR基を含む場合、各R基は、R’、R’’、R’’’およびR’’’’基それぞれでも、2つ以上が存在する場合そうであるように、独立して選択される。以下のスキームでは、記号Xは上記のように「R」を示す。
アリール環またはヘテロアリール環の隣接原子上の置換基の2つは、場合により化学式−T−C(O)−(CRR’)−U−(式中、TおよびUは独立して−NR−、−O−、−CRR’−または単結合であり、uは0〜3の整数である)の置換基で置換されうる。あるいは、アリール環またはヘテロアリール環の隣接原子上の置換基の2つは、場合により化学式−A(CHB−(式中、AおよびBは独立して−CRR’−、−O−、−NR−、−S−、−S(O)−、S(O)−、−S(O)NR’−または単結合であり、rは1〜4の整数である)の置換基と置換されうる。そのようにして形成された新規の環の単結合の1つは、場合により二重結合と置換されうる。あるいは、アリール環またはヘテロアリール環の隣接原子上の置換基の2つは、場合により化学式−(CRR’)−X−(CR’’R’’’)−(式中、zおよびdは独立して0〜3の整数であり、Xは−O−、−NR’−、−S−、−S(O)−、−S(O)−、または−S(O)NR’−である)の置換基と置換されうる。置換基R、R’、R’’およびR’’’は、好ましくは水素または置換もしくは非置換(C−C)アルキルから独立して選択される。
本明細書で用いられる「ヘテロ原子」という用語は、酸素(O)、窒素(N)、硫黄(S)およびシリコン(Si)を含むことを意味する。
はじめに
エリスロポエチン(EPO)は、赤血球合成の主要な調節物質としての機能を果たす糖タンパク質である。エリスロポエチンは、前駆体細胞の成熟赤血球への分割および分化を引き起こす骨髄内で同細胞を刺激することにより作用する。EPOは165個または166個のアミノ酸糖タンパク質として存在しうる。166個のアミノ酸変異体は、タンパク質のC末端での追加のアルギニン残基の存在により165個のアミノ酸変異体と区別される。
組換えEPOはこれまで随時使用可能なものであり、かつ慢性腎不全に関連した貧血、ジドビジンで治療されるHIV感染患者、および化学療法中の癌患者を含む様々な形態の貧血の治療に有効な治療薬である。糖タンパク質は、非経口、すなわち静脈内(IV)または皮下(SC)注射として投与される。
治療目的に用いられる組換えエリスロポエチンの有効性を改善するため、本発明はグリコシル化エリスロポエチンペプチドおよび非グリコシル化エリスロポエチンペプチドの高分子接合体を提供する。接合体を、治療部分、診断部分、標的化部分などの多様な種とのさらなる接合によりさらに修飾することが可能である。
本発明の接合体は、高分子修飾部分を担持する修飾糖のグリコシル化ペプチドまたは非グリコシル化ペプチドへの酵素による付着により形成される。グリコシル化部位は、例えば糖接合により高分子性のおよび他の修飾基をペプチドに接合するための座を提供する。典型的な修飾基として、ポリ(エチレングリコール)、例えばメトキシ−ポリ(エチレングリコール)などの水溶性高分子が挙げられる。EPOペプチドの修飾により、患者の循環系における組換えEPOの安定性および保持時間を改善しかつ/または組換えEPOの抗原性を低下することが可能である。
本発明は、実質的に均質の誘導体化パターンを有するEPOペプチドおよびグリコペプチドを提供する。本発明は、かかるペプチドの調製方法も提供する。本発明の方法にて用いられる酵素は、一般に特定のアミノ酸残基、アミノ酸残基の組み合わせ、またはペプチドの特定のグリコシル残基に対して選択性を示す。本方法は、修飾ペプチドおよびグリコペプチドの大規模生成においても実用的である。したがって、本発明の方法は、予め選択された均一な誘導体化パターンを有するグリコペプチドを大規模に調製するための実用的手段を提供する。
本発明は、例えばクリアランス速度の低下あるいは免疫または細網内皮系(RES)による取り込み速度の低下に起因して治療における半減期が増加したグリコシル化および非グリコシル化ペプチドの接合体も提供する。さらに、本発明の方法は、ペプチド上の抗原決定基をマスクすることでペプチドに対する宿主免疫応答を低下または除去するための手段を提供する。標的化剤の選択的付着を用いることで、特定の標的化剤に特異的な特定の組織または細胞表面受容体に対してペプチドを標的化することも可能である。
接合体
第1の態様では、本発明は、選択された修飾基とEPOペプチドとの接合体を提供する。ペプチドと修飾部分の間の連結は、ペプチドと選択された部分との間に挿入されたグリコシル連結基を含む。本明細書で考察のように、選択された修飾部分は本質的に糖類単位に付着されうる任意の種であり、これから適切なトランスフェラーゼ酵素により認識される「修飾糖」が得られる。ここで該酵素は修飾糖をペプチドまたはそれに付着されるグリコシル残基上に付加する。修飾糖の糖類成分は、ペプチドと選択された部分との間に挿入される場合、「グリコシル連結基」、例えば「無傷グリコシル連結基」になる。グリコシル連結基は、修飾基での修飾後において修飾糖をペプチドのアミノ酸またはグリコシル残基に付加する酵素における基質である任意の単糖類またはオリゴ糖類から形成される。
グリコシル連結基は、修飾基の付加の前または間に分解的に修飾される糖類部分でありうるかまたはそれを含みうる。例えば、グリコシル連結基は、例えばメタ過ヨウ素酸塩の作用を介する、無傷糖類の対応するアルデヒドへの酸化的分解により生成され、次いで、適切なアミンを有するシッフ塩基に変換され、そして、対応するアミンに還元される糖類残基から誘導されうる。
本発明の接合体は、典型的には一般構造
Figure 2008542288
(式中、記号a、b、c、dおよびsは正のゼロでない整数を示し、tは0または正の整数である)に対応することになる。「作用物質」は、治療薬、生体活性物質、検出可能な標識、水溶性部分(例えば、PEG、m−PEG、PPG、およびm−PPG)または同種のものである。「作用物質」は、ペプチド、例えば酵素、抗体、抗原などでありうる。リンカーは、以下の多様な連結基のいずれかでありうる。あるいは、リンカーは単結合または「0級リンカー」でありうる。
典型的な実施形態では、選択された修飾基は水溶性高分子、例えばm−PEGである。水溶性高分子は、グリコシル連結基を介してペプチドに共有結合される。グリコシル連結基は、ペプチドのアミノ酸残基またはグリコシル残基に共有結合される。本発明は、アミノ酸残基およびグリコシル残基がグリコシル連結基で修飾される場合の接合体も提供する。
典型的な水溶性高分子は、ポリ(エチレングリコール)、例えばメトキシ−ポリ(エチレングリコール)である。本発明で用いられるポリ(エチレングリコール)は、ある特定の形態または分子量範囲に限定されない。非分岐ポリ(エチレングリコール)分子においては、分子量は好ましくは500〜100,000である。好ましくは2000〜60,000、および好ましくは約5,000〜約30,000の分子量が用いられる。
別の実施形態では、ポリ(エチレングリコール)は、2つ以上のPEG部分を付着させる分岐PEGである。分岐PEGの例が、米国特許第5,932,462号明細書;米国特許第5,342,940号明細書;米国特許第5,643,575号明細書;米国特許第5,919,455号明細書;米国特許第6,113,906号明細書;米国特許第5,183,660号明細書;国際公開第02/09766号パンフレット;コデラ Y.(Kodera Y.)、Bioconjugate Chemistry 5:283〜288頁(1994年);およびヤマサキ(Yamasaki)ら、Agric.Biol.Chem.、52:2125〜2127頁、1998年において記載されている。好ましい実施形態では、分岐PEGの各ポリ(エチレングリコール)の分子量は40,000ダルトン以下である。
本発明は、酵素的に付加されたグリコシル連結基を介して形成される接合体の提供に加え、それらの置換パターンにおいて高度に均質な接合体を提供する。本発明の方法を用い、本発明の接合体の集団全体にわたる本質的にすべての修飾糖部分が構造的に同一のアミノ酸またはグリコシル残基に付着される、ペプチド接合体を形成することが可能である。したがって、第2の態様では、本発明は、グリコシル連結基、例えば無傷グリコシル連結基を介してペプチドに共有結合される水溶性高分子部分の集団を有するペプチド接合体を提供する。好ましい本発明の接合体では、集団の本質的に各々のメンバーは、グリコシル連結基を介してペプチドのグリコシル残基に結合され、かつグリコシル連結基の付着対象のペプチドの各グリコシル残基は同じ構造を有する。
さらに、グリコシル連結基を介して共有結合された水溶性高分子部分の集団を有するペプチド接合体が提供される。好ましい実施形態では、水溶性高分子部分の集団の本質的にすべてのメンバーがグリコシル連結基を介してペプチドのアミノ酸残基に結合され、かつグリコシル連結基を付着させる各アミノ酸残基は同じ構造を有する。
本発明は、ペプチドが無傷グリコシル連結基を介して治療部分、診断部分、標的化部分、毒素部分または同種のものに接合する、上記のものに類似した接合体も提供する。上に挙げた部分の各々は、小分子、天然高分子(例えばポリペプチド)または合成高分子であってもよい。修飾部分がシアル酸に付着される場合、修飾部分が実質的に非蛍光であることが一般に好ましい。
任意の配列を有する本質的に任意のエリスロポエチンペプチドが本発明の接合体の成分として用いられる。典型的な実施形態では、ペプチドは、配列
Figure 2008542288
を有する。
別の典型的な実施形態では、ペプチドは、配列
Figure 2008542288
を有する。
好ましくは、EPOペプチドのアミノ末端もカルボキシ末端も高分子修飾部分で誘導体化されない。
本発明のペプチドは、少なくとも1つのN−連結またはO−連結グリコシル化部位を含み、それは高分子修飾部分、例えばPEG部分を含むグリコシル残基でグリコシル化される。典型的な実施形態では、PEGは無傷グリコシル連結基を介してペプチドに共有結合される。グリコシル連結基は、ペプチドのアミノ酸残基またはグリコシル残基に共有結合される。あるいは、グリコシル連結基は、グリコペプチドの1つまたは複数のグリコシル単位に付着される。本発明は、グリコシル連結基がアミノ酸残基とグリコシル残基の双方に付着される場合の接合体も提供する。
PEG部分は、無傷グリコシルリンカーに直接にまたは非グリコシルリンカー、例えば置換またはは非置換アルキル、置換またはは非置換ヘテロアルキルを介して付着される。
典型的な実施形態では、本発明では、化学式:
Figure 2008542288
(式中、Jはグリコシル部分、Lは結合またはリンカーであり、Rは修飾基、例えば高分子修飾基である)を有するグリコシル連結基が用いられる。典型的な結合は、グリコシル部分上のNH部分と修飾基上の相補的反応性を有する基の間に形成されるものである。例えば、Rがカルボン酸部分を含む場合、この部分は活性化され、かつNHC(O)R構造を有する結合を与えるグリコシル残基上のNH部分と結合されうる。Jは好ましくは「無傷」のグリコシル部分であり、ピラノースまたはフラノース構造を切断する条件、例えば過ヨウ素酸ナトリウム、例えば酸化状態への暴露によって分解されていない。
典型的なリンカーは、アルキルおよびヘテロアルキル部分を含む。リンカーは、連結基、例えばアシルに基づく連結基、例えば−C(O)NH−、−OC(O)NH−などを含む。連結基は、本発明の種の成分間、例えばグリコシル部分とリンカー(L)の間またはリンカーと修飾基(R)の間に形成される結合である。他の典型的な連結基は、エーテル、チオエーテルおよびアミンである。例えば、一実施形態では、リンカーは、グリシン残基などのアミノ酸残基である。グリシンのカルボン酸部分は、グリコシル残基上のアミンとの反応によって対応するアミドに変換され、かつグリシンのアミンは、修飾基の活性化カルボン酸または炭酸塩との反応によって対応するアミドまたはウレタンに変換される。
別の典型的なリンカーは、PEG部分、例えばアミノ酸残基で官能化されるPEG部分である。PEGリンカーは、一方のPEG末端のアミノ酸残基を介してグリコシル基に接合され、かつもう一方のPEG末端を介してRに結合される。あるいは、アミノ酸残基はRに結合され、およびアミノ酸に結合されないPEG末端がグリコシル基に結合される。
NH−L−Rの典型的な種は、化学式−NH{C(O)(CHNH}{C(O)(CH(OCHCHO(CHNH}(式中、指数sおよびtは独立して0または1である)を有する。指数a、bおよびdは独立して0〜20の整数であり、cは1〜2500の整数である。他の類似のリンカーは、−NH部分が別の基、例えば−S、−Oまたは−CHで置換される場合の種に基づく。当業者が理解するように、指数sおよびtに対応する1つまたは複数の括弧部分は、置換もしくは非置換アルキルまたはヘテロアルキル部分と置換可能である。
より詳細には、本発明では、NH−L−RがNHC(O)(CHNHC(O)(CH(OCHCHO(CHNHR、NHC(O)(CH(OCHCHO(CHNHR、NHC(O)O(CH(OCHCHO(CHNHR、NH(CHNHC(O)(CH(OCHCHO(CHNHR、NHC(O)(CHNHR、NH(CHNHR、およびNHRである場合の化合物が用いられる。これらの化学式では、指数a、bおよびdは独立して0〜20の整数、好ましくは1〜5の整数から選択される。指数cは1〜約2500の整数である。
典型的な実施形態では、cは、PEG部分が約1kDa、約5kDa、約10kDa、約15kDa、約20kDa、約25kDa、約30kDa、約35kDa、約40kDa、約45kDa、約50kDa、約55kDa、約60kDa、約65kDa、約70kDa、約75kDaまたは約80kDaであるように選択される。
便宜目的で、このセクションの残りの部分でのグリコシル連結基はシアリル部分に基づくことになる。しかし、当業者は、マンノシル、ガラクトシル、グルコシル、またはフコシルなどの別のグリコシル部分であればシアリル部分の代わりに使用可能であることを理解するであろう。
典型的な実施形態では、グリコシル連結基は無傷グリコシル連結基であり、ここでグリコシル部分または連結基を形成する部分は化学的(例えばメタ過ヨウ素酸ナトリウム)プロセスまたは酵素的(例えばオキシダーゼ)プロセスにより分解されない。本発明の選択された接合体は、アミノ−糖類、例えばマンノサミン、グルコサミン、ガラクトサミン、シアル酸などのアミン部分に付着される修飾基を含む。典型的な実施形態では、本発明は、
Figure 2008542288
から選択される化学式を有する無傷グリコシル連結基を含むペプチド接合体を提供する。化学式Iでは、RはH、CHOR、COORまたはOR(式中、RはH、置換もしくは非置換アルキルまたは置換もしくは非置換ヘテロアルキルを示す)である。COORがカルボン酸またはカルボン酸塩である場合、両形態は、単一の構造COOまたはCOOHを指定することにより示される。化学式IおよびIIでは、記号R、R、R、RおよびR6’は、独立してH、置換または非置換アルキル、OR、NHC(O)Rを示す。指数dは0または1である。RおよびRは、H、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、シアル酸またはポリシアル酸から独立して選択される。R、R、R、RまたはR6’の少なくとも1つは修飾基を含む。この修飾基は、結合または連結基を介して連結される高分子修飾部分、例えばPEGでありうる。典型的な実施形態では、RおよびR6’は、それらの付着対象の炭素とともにシアル酸のピルビル側鎖の成分である。さらなる典型的な実施形態では、ピルビル側鎖は高分子修飾基で官能化される。別の典型的な実施形態では、RおよびR6’はそれらの付着対象の炭素とともにシアル酸の側鎖成分であり、かつ高分子修飾基はRの成分である。
このモチーフに従う典型的な修飾基−無傷グリコシル連結基カセットは、例えば化学式
Figure 2008542288
を有するシアル酸構造に基づく。
上記化学式におけるRおよびLは上記のとおりである。典型的なR基の構造に関するさらなる詳細は下記に示される。
さらに典型的な実施形態では、接合体はペプチドと修飾糖の間で形成され、ここで修飾基は修飾糖の6−炭素位置でリンカーを介して付着される。それ故、この実施形態における具体的なグリコシル連結基は、化学式:
Figure 2008542288
を有し、ここで基は上で考察のとおりである。グリコシル連結基は、グルコース、グルコサミン、N−アセチル−グルコサミン、ガラクトース、ガラクトサミン、N−アセチル−ガラクトサミン、マンノース、マンノサミン、N−アセチル−マンノサミンなどを含むがこれらに限定されない。
一実施形態では、本発明は、
Figure 2008542288
(式中、Dは−OHおよびR−L−HN−から選択されるメンバーであり、GはHおよびR−L−および−C(O)(C〜C)アルキルから選択されるメンバーであり、Rは直鎖または分岐ポリ(エチレングリコール)残基を含む部分であり、ならびにLはリンカー、例えば結合(「0級」)、置換または非置換アルキルおよび置換または非置換ヘテロアルキルである)というグリコシル連結基を含むペプチド接合体を提供する。典型的な実施形態では、DがOHである場合、GはR−L−であり、かつGが−C(O)(C〜C)アルキルである場合、DはR−L−NH−である。
本発明は、化学式:
Figure 2008542288
を有するグリコシル連結基を含むペプチド接合体を提供する。
他の実施形態では、グリコシル連結基は、化学式:
Figure 2008542288
(式中、指数tは0または1である)を有する。
さらに典型的な実施形態では、グリコシル連結基は化学式:
Figure 2008542288
(式中、指数tは0または1である)
を有する。
さらに別の実施形態では、グリコシル連結基は、化学式:
Figure 2008542288
(式中、指数pは1〜10の整数を示し、aは0または1である)
を有する。
典型的な実施形態では、本発明のグリコPEG化ペプチド接合体は、
Figure 2008542288
の化学式から選択される。
上記化学式では、指数tは0〜1の整数であり、指数pは1〜10の整数である。記号R15’は、H、OH(例えばGal−OH)、シアリル部分、シアリル連結基(すなわちシアリル連結基−高分子修飾基(Sia−L−R)、または高分子修飾シアリル部分が結合しているシアリル部分(例えばSia−Sia−L−R)(「Sia−Sia」))を示す。典型的な高分子修飾サッカリル部分は、化学式IおよびIIに従う構造を有する。本発明の典型的なペプチド接合体は、化学式IまたはIIに従う構造を含むR15’を有する少なくとも1つのグリカンを含むことになる。化学式IおよびIIの開放原子価を有する酸素は、好ましくはグリコシド結合を介してGalまたはGalNAc部分の炭素に付着される。さらなる典型的な実施形態では、酸素はガラクトース残基の位置3で炭素に付着される。典型的な実施形態では、修飾シアル酸はガラクトース残基にα2,3−として連結される。別の典型的な実施形態では、シアル酸はガラクトース残基にα2,6−として連結される。
典型的な実施形態では、シアリル連結基は、高分子修飾シアリル部分の結合対象であるシアリル部分(例えばSia−Sia−L−R)(「Sia−Sia」)である。ここでグリコシル連結基は、シアリル部分を介してガラクトシル部分に連結される。
Figure 2008542288
このモチーフに従う典型的な種は、Sia−Sia結合を形成する酵素、例えばCST−II、ST8Sia−II、ST8Sia−IIIおよびST8Sia−IVを用いてSia−L−Rをグリカンの末端シアル酸に接合することにより調製される。一部の実施形態では、修飾グリカンは、Asn24、Asn38、Asn83および/またはSer126から選択される1つまたは複数の位置でEPOペプチドに結合される。
このモチーフに従う典型的な種は、Sia−Sia結合を形成する酵素、例えばCST−II、ST8Sia−II、ST8Sia−IIIおよびST8Sia−IVを用いてSia−L−RをAsn24でグリカンの末端シアル酸に接合することにより調製される。
別の典型的な実施形態では、ペプチド接合体上のグリカンは、基
Figure 2008542288
から選択される化学式およびその組み合わせを有する。
この基のグリカンは一般に昆虫細胞(例えばSf−9)によって生成されるEPOペプチド上に見出されるものに対応し、次いで本明細書に示される方法に従ってグリカンの再構築およびグリコPEG化が行われる。例えば、トリ−マンノシルコアを用いて発現される昆虫由来のEPOが、GlcNAcドナーおよびGlcNAcトランスフェラーゼならびにGalドナーおよびGalトランスフェラーゼと接触される。GlcNAcおよびGalのトリ−マンノシルコアへの付加が2つのステップまたは単一のステップで行われる。本明細書で考察のように、修飾シアル酸がグリコシル部分の少なくとも1つの分岐に付加される。修飾シアル酸で官能化されないGal部分は、場合によりシアリルトランスフェラーゼの存在下でのシアル酸ドナーとの反応により「キャッピングされる(capped)」。シアリルでキャッピングされたガラクトース残基、およびシアリルでキャッピングされたガラクトース残基とキャッピングされていないガラクトース残基の混合物を含むグリカンの典型的な構造については図2A、図2Bおよび図3を参照のこと。
上記の各化学式では、R15’は上で考察のとおりである。さらに、本発明の典型的なペプチド接合体は、化学式IまたはIIに従う構造を有するR15部分を有する少なくとも1つのグリカンを含むことになる。
典型的な実施形態では、ペプチドの集団内の少なくとも60%の末端Gal部分がシアル酸でキャッピングされ、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、さらにより好ましくは少なくとも90%およびさらに好ましくは少なくとも95%、96%、97%、98%または99%がシアル酸でキャッピングされる。
別の典型的な実施形態では、グリコシル連結基は、化学式
Figure 2008542288
(式中、R15は前記シアリル連結基であり、指数pは1〜10から選択される整数である)を有する少なくとも1つのグリコシル連結基を含む。
典型的な実施形態では、グリコシル連結部分は、化学式:
Figure 2008542288
(式中、bは0〜1の整数である。指数sは1〜10の整数を示し、指数fは1〜2500の整数を示す)を有する。
特定の実施形態では、EPOペプチドは、かかる3つの部分を含み、1つはAsn24、Asn38およびAsn83の各々にて付着される。別の実施形態では、ペプチドはこれらAsn部分のうちの2つの組み合わせた場所で付着されるかかる2つの部分を含む。これら2つの種(すなわちPEGおよびPEG)の混合物である組成物も提供される。混合物は、好ましくは、3つの修飾グリコシル残基を含む種の少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、さらにより好ましくは90%およびさらに好ましくは95%、96%、97%または98%を含む。非修飾末端Gal残基は、上で考察のように、場合によりSiaでキャッピングされる。典型的な実施形態では、ペプチドは、昆虫細胞内で発現され、再構築され、かつグリコPEG化される(図5)。
典型的な実施形態では、高分子修飾基はPEGである。別の典型的な実施形態では、PEG部分は約20kDa分子量を有する。別の典型的な実施形態では、PEG部分は約5kDaの分子量を有する。別の典型的な実施形態では、PEG部分は約10kDaの分子量を有する。別の典型的な実施形態では、PEG部分は約40kDaの分子量を有する。
典型的な実施形態では、グリコシル連結基は線状10kDa−PEG−シアリルであり、かつ1つまたは2つのこれらのグリコシル連結基はペプチドに共有結合される。典型的な実施形態では、グリコシル連結基は線状20kDa−PEG−シアリルであり、かつ1つまたは2つのこれらのグリコシル連結基はペプチドに共有結合される。典型的な実施形態では、グリコシル連結基は線状5kDa−PEG−シアリルであり、かつ1つ、2つまたは3つのこれらのグリコシル連結基はペプチドに共有結合される。典型的な実施形態では、グリコシル連結基は線状40kDa−PEG−シアリルであり、かつ1つまたは2つのこれらのグリコシル連結基はペプチドに共有結合される。
修飾基
本発明のペプチド接合体は修飾基を含む。この基は、アミノ酸またはグリコシル連結基を介してFGFペプチドに共有結合されうる。「修飾基」は、標的化部分、治療部分、生体分子を含む種々の構造を包含しうる。さらに「修飾基」は高分子修飾基を含み、それは身体内でのそのバイオアベイラビリティまたはその半減期など、ペプチドの特性を変更しうる高分子である。
典型的な実施形態では、修飾基は、接合体の成分としての標的化剤の存在に起因する、特定の組織内で選択的に局在化する標的化剤である。典型的な実施形態では、標的化剤はタンパク質である。典型的なタンパク質は、トランスフェリン(脳、血液プール)、HS−糖タンパク質(骨、脳、血液プール)、抗体(脳、抗体特異的な抗原を有する組織、血液プール)、凝固第V−XII因子(損傷組織、凝血塊、癌、血液プール)、血清タンパク質、例えばα−酸糖タンパク質、フェツイン(fetuin)、α−胎児タンパク質(脳、血液プール)、β2−糖タンパク質(肝臓、アテローム硬化症プラーク、脳、血液プール)、G−CSF、GM−CSF、M−CSF、およびEPO(免疫刺激、癌、血液プール、赤血球の過剰生成、神経防護)、アルブミン(半減期の増加)、およびリポタンパクEを含む。
便宜目的で、このセクションの残りの部分での修飾基は、主に水溶性および水不溶性高分子などの高分子修飾基に基づくことになる。しかし、当業者は標的化部分、治療部分および生体分子などの他の修飾基があれば高分子修飾基の代わりに用いられうることを理解するであろう。
修飾基のリンカー
修飾基のリンカーは、修飾基(すなわち高分子修飾基、標的化部分、治療部分および生体分子)をペプチドに付着させるという役割を果たす。典型的な実施形態では、高分子修飾基は、一般に、下記に示されるリンカーLを介し、コア上のヘテロ原子、例えば窒素を介してグリコシル連結基に結合される。
Figure 2008542288
は高分子部分であり、Lは結合および連結基から選択される。指数wは1〜6、好ましくは1〜3およびより好ましくは1〜2から選択される整数を示す。典型的な連結基は、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル部分およびシアル酸を含む。リンカーの典型的な成分はアシル部分である。
本発明に従う典型的な化合物は、上記の化学式IまたはIIに従う構造を有する(式中、R、R、R、R、RまたはR6’の少なくとも1つは化学式
Figure 2008542288
を有する)。
この実施形態に従う別の例では、R、R、R、R、RまたはR6’の少なくとも1つは化学式
Figure 2008542288
(式中、sは0〜20の整数であり、Rは線状高分子修飾部分である)
を有する。
典型的な実施形態では、高分子修飾基−リンカー作成物は、中央部分に付着される2つ以上の高分子鎖を含む分岐構造である。この実施形態では、作成物は、化学式
Figure 2008542288
(式中、RおよびLは上で考察のとおりであり、w’は2〜6の整数、好ましくは2〜4の整数およびより好ましくは2〜3の整数である)
を有する。
Lが結合である場合、それはRの前駆体上の反応性官能基とサッカリルコア上の相補的反応性を有する反応性官能基の間に形成される。Lが0級以外のリンカーである場合、Lの前駆体は、R前駆体との反応に先立ちグリコシル部分上に配置されうる。あるいは、RおよびLの前駆体は、グリコシル部分に結果的に付着される予備形成されたカセットに取り込まれうる。本明細書に示されるように、適切な反応性官能基を有する前駆体の選択および調製は、当業者の能力の範囲内で行われる。さらに、前駆体の共役は当該技術分野で十分に理解されている化学反応によって進行する。
典型的な実施形態では、Lは、高分子修飾基が置換アルキルリンカーを介して付着される場合の修飾糖をもたらすアミノ酸または小ペプチド(例えば1〜4個のアミノ酸残基)から形成される連結基である。典型的なリンカーは、グリシン、リジン、セリンおよびシステインを含む。PEG部分は、アミドまたはウレタン結合を介してリンカーのアミン部分に付着されうる。PEGは、システインおよびセリンの硫黄または酸素原子にそれぞれチオエーテルまたはエーテル結合を介して連結される。
典型的な実施形態では、Rは高分子修飾基を含む。別の典型的な実施形態では、Rは、高分子修飾基と修飾基を分子の残部に連結させるリンカーLとの双方を含む。上で考察のように、Lは線状または分岐構造でありうる。同様に、高分子修飾基は分岐状または線状でありうる。
水溶性高分子
多数の水溶性高分子は当業者に既知であり、かつ本発明の実施において有用である。水溶性高分子という用語は、糖類(例えば、デキストラン、アミロース、ヒアルロン酸、ポリ(シアル酸)、ヘパラン、ヘパリンなど);ポリ(アミノ酸)、例えばポリ(アスパラギン酸)およびポリ(グルタミン酸);核酸;合成高分子(例えば、ポリ(アクリル酸)、ポリ(エーテル)、例えばポリ(エチレングリコール));ペプチド、タンパク質などの種を包含する。本発明は、高分子が接合体の残部が付着されうる点を含まなければならないという唯一の制限を有する任意の水溶性高分子を用いて実施されうる。
高分子を活性化するための方法は、国際公開第94/17039号パンフレット、米国特許第5,324,844号明細書、国際公開第94/18247号パンフレット、国際公開第94/04193号パンフレット、米国特許第5,219,564号明細書、米国特許第5,122,614号明細書、国際公開第90/13540号パンフレット、米国特許第5,281,698号明細書、およびさらには国際公開第93/15189号パンフレットにおいても見られ、かつ活性化高分子とペプチドとの接合における方法は、例えば凝固第VIII因子(国際公開第94/15625号パンフレット)、ヘモグロンビン(国際公開第94/09027号パンフレット)、酸素運搬分子(米国特許第4,412,989号明細書)、リボヌクレアーゼおよびスーパーオキシドジスムターゼ(ヴェロネーゼ(Veronese)ら、App.Biochem.Biotech.11:141〜45頁(1985年))において見出されうる。
典型的な水溶性高分子は、高分子の試料中のかなりの割合の高分子がほぼ同じ分子量であり、かかる高分子は「ホモ分散性(homodisperse)」である。
本発明は、ポリ(エチレングリコール)接合体の参照によりさらに例示される。PEGの官能化および接合に関するいくつかのレビューおよびモノグラフが有効である。例えば、ハリス(Harris)、Macronol.Chem.Phys.C25:325〜373頁(1985年);スコウテン(Scouten)、Methods in Enzymology 135:30〜65頁(1987年);ウォン(Wong)ら、Enzyme Microb.Technol.14:866〜874頁(1992年);デルガド(Delgado)ら、「Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems」 9:249〜304頁(1992年);ザリプスキー(Zalipsky)、Bioconjugate Chem.6:150〜165頁(1995年);およびバードラ(Bhadra)ら、Pharmazie,57:5〜29頁(2002年)を参照のこと。反応性PEG分子を調製しかつ反応性分子を用いて接合体を形成するための手段は当該技術分野で既知である。例えば、米国特許第5,672,662号明細書は、線状または分岐状ポリ(アルキレンオキシド)、ポリ(オキシエチル化ポリオール)、ポリ(オレフィンアルコール)、およびポリ(アクリロモルホリン)から選択される高分子酸の活性エステルの水溶性でかつ分離可能な接合体を開示している。
米国特許第6,376,604号明細書は、高分子の末端ヒドロキシルを有機溶媒中のジ(1−ベンゾトリアゾリル)カーボネートと反応させることにより水溶性および非ペプチド性高分子の水溶性1−ベンゾトリアゾリルカーボネートエステルを調製するための方法を示している。活性エステルを用いることで、タンパク質またはペプチドなどの生物活性物質との接合体が形成される。
国際公開第99/45964号パンフレットは、生物活性物質と安定な結合を介して高分子骨格に連結される少なくとも1つの末端を有する高分子骨格を含む活性化水溶性高分子とを含む接合体について記載しており、ここで少なくとも1つの末端は分岐部分に連結される近接反応基(proximal reactive groups)を有する分岐部分を含み、ここで生物活性物質は少なくとも1つの近接反応基に連結される。他の分岐ポリ(エチレングリコール)が国際公開第96/21469号パンフレットに記載されており、米国特許第5,932,462号明細書は反応性官能基を含む分岐末端を含む分岐PEG分子と形成される接合体について記載している。遊離反応基はタンパク質またはペプチドなどの生物活性種と反応可能であり、これによりポリ(エチレングリコール)と生物活性種の間で接合体が形成される。米国特許第5,446,090号明細書は、二官能性PEGリンカーおよびPEGリンカーの各末端でペプチドを有する接合体の形成におけるその使用について記載している。
分解可能なPEG結合を含む接合体は、国際公開第99/34833号パンフレット、国際公開第99/14259号パンフレット、および米国特許第6,348,558号明細書にて記載されている。かかる分解可能な結合は本発明にて適用可能である。
上記の高分子活性化に関する当該技術分野で認められた方法は、本明細書に示される分枝高分子の形成における本発明と関連して、さらにこれらの分枝高分子の他の種、例えば糖類、糖ヌクレオチドなどに対する接合において用いられる。
典型的な水溶性高分子は、ポリ(エチレングリコール)、例えばメトキシ−ポリ(エチレングリコール)である。本発明で用いられるポリ(エチレングリコール)は、任意の特定の形態または分子量範囲に限定されない。非分岐ポリ(エチレングリコール)分子においては、分子量は好ましくは500〜100,000である。好ましくは2000〜60,000および好ましくは約5,000〜約40,000の分子量が用いられる。
他の典型的な実施形態では、ポリ(エチレングリコール)分子は、以下
Figure 2008542288
から選択される。
別の実施形態では、ポリ(エチレングリコール)は、2つ以上の付着されるPEG部分を有する分岐PEGである。分岐PEGの例が、米国特許第5,932,462号明細書;米国特許第5,342,940号明細書;米国特許第5,643,575号明細書;米国特許第5,919,455号明細書;米国特許第6,113,906号明細書;米国特許第5,183,660号明細書;国際公開第02/09766号パンフレット;コデラ Y.(Kodera Y.)、Bioconjugate Chemistry,5:283〜288頁(1994年);およびヤマサキ(Yamasaki)ら、Agric.Biol.Chem.52:2125〜2127頁、1998年にて記載されている。好ましい実施形態では、分岐PEGの各ポリ(エチレングリコール)の分子量は40,000ダルトン以下である。
代表的な高分子修飾部分は、側鎖を含有するアミノ酸、例えばセリン、システイン、リジン、および小ペプチド、例えばlys−lysに基づく構造を含む。典型的な構造は、
Figure 2008542288
を含む。当業者は、ジ−リジン構造内の遊離アミンもまたPEG部分を有するアミドまたはウレタン結合を介してPEG化可能であることを理解するであろう。
さらに別の実施形態では、高分子修飾部分は、トリ−リジンペプチドに基づく分岐PEG部分である。トリ−リジンは、モノ−、ジ−、トリ−、またはテトラ−PEG化可能である。この実施形態に従う典型的な種は、化学式
Figure 2008542288
(式中、指数e、fおよびf’は1〜2500の整数から独立して選択され、指数q、q’およびq’’は1〜20の整数から独立して選択される)
を有する。
当業者には明らかになるように、本発明で有用な分枝高分子は、上記趣旨に関する変異体を含む。例えば、上に示されるジ−リジン−PEG接合体は3種の高分子サブユニットを含む可能性があり、ここで3つ目は上記構造における非修飾として示されるα−アミンに結合する。同様に、所望の様式で高分子修飾部分で標識された3種または4種の高分子サブユニットで官能化されたトリ−リジンの使用は本発明の範囲内にある。
高分子修飾部分は、グリコシルコアとの反応において活性化されうる。活性化種(例えばカーボネートおよび活性エステル)の典型的な構造は、
Figure 2008542288
を含む。
本明細書に示される化合物の調製において用いられる線状および分岐状PEGの活性化に適する他の活性化基または離脱基は、
Figure 2008542288
の種を含むがこれらに限定されない。これらや他の種で活性化されるPEG分子および活性化PEGを作製する方法については、国際公開第04/083259号パンフレットにて示される。
当業者は、上に示される分枝高分子における1つまたは複数のm−PEGアームが異なる末端、例えばOH、COOH、NH、C〜C10−アルキルなどを有するPEG部分で置換されうることを理解するであろう。さらに、上記構造は、アルキルリンカーをα−炭素原子とアミノ酸側鎖の官能基の間に挿入する(または炭素原子を除去する)ことにより容易に修飾される。したがって、「ホモ」誘導体およびより高級な相同体、ならびにより低級の相同体は、本発明で有用な分岐PEGにおけるコアの範囲内にある。
本明細書に示される分岐PEG種は、
Figure 2008542288
(式中、XはOまたはS、rは1〜5の整数である。指数eおよびfは1〜2500の整数から独立して選択される)
のスキームに示されるなどの方法により容易に調製される。典型的な実施形態では、これらの指数の一方または双方は、高分子の分子量が約10kD、15kDまたは20kDであるように選択される。
したがって、このスキームに従い、天然または非天然アミノ酸を活性化m−PEG誘導体、この場合にはトシレートと接触させることで、側鎖ヘテロ原子Xのアルキル化により1が形成される。モノ−官能化m−PEGアミノ酸は、反応性m−PEG誘導体を有するN−アシル化状態に提示されることにより、分岐m−PEG2を構築する。当業者は、トシレート離脱基が任意の適切な離脱基、例えばハロゲン、メシレート、トリフレートなどと置換されうることを理解するであろう。同様に、アミンをアシル化するのに用いられる反応性カーボネートは活性エステル、例えばN−ヒドロキシサクシニミドなどと置換されうるか、または酸はジシクロヘキシルカルボジイミド、カルボニルジイミダゾールなどの脱水剤を用い、in situで活性化されうる。
他の典型的な実施形態では、尿素部分はアミドなどの基と置換される。
本明細書で考察のように、本発明の接合体で有用なPEGは線状または分岐状でありうる。本発明のこの実施形態に従うペプチド接合体を含有する分岐PEGを形成するのに用いられる典型的な前駆体は、化学式
Figure 2008542288
を有する。本発明のこの実施形態に従うペプチド接合体を含有する分岐PEGを形成するのに用いられる別の典型的な前駆体は、化学式
Figure 2008542288
(式中、指数mおよびnは0〜5000から独立して選択される整数である。A、A、A、A、A、A、A、A、A、A10およびA11はH、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、−NA1213、−OA12および−SiA1213から独立して選択されるメンバーである。A12およびA13は置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールから独立して選択されるメンバーである)
を有する。
この化学式に従う分枝高分子種は、本質的に純粋な水溶性高分子である。X3’はイオン性反応性官能基(例えばOH、COOH、HPO、HSO、NH、およびこれらの塩など)または例えば、以下の他の反応性官能基を含む部分である。Cは炭素である。X、R16およびR17は、非反応基(例えばH、非置換アルキル、非置換ヘテロアルキル)および高分子アーム(例えばPEG)から独立して選択される。XおよびXは、好ましくは生理的条件下で本質的に非反応性である結合断片であり、それらは同じかまたは異なる場合がある。典型的なリンカーは、芳香族性部分もエステル部分も含まない。あるいは、これらの結合は、例えばエステル、ジスルフィドなど、生理的に関連がある条件下で分解するように設計される1つまたは複数の部分を含みうる。XおよびXは、高分子アームR16およびR17をCに連結させる。X3’がリンカー、糖またはリンカー−糖カセット上で相補的反応性を有する反応性官能基と反応する場合、X3’は結合断片Xの成分に変換される。
、XおよびXにおいて典型的な結合断片は独立して選択され、かつS、SC(O)NH、HNC(O)S、SC(O)O、O、NH、NHC(O)、(O)CNHおよびNHC(O)O、ならびにOC(O)NH、CHS、CHO、CHCHO、CHCHS、(CHO、(CHSまたは(CHY’−PEG(式中、Y’はS、NH、NHC(O)、C(O)NH、NHC(O)O、OC(O)NH、またはOであり、oは1〜50の整数である)を含む。典型的な実施形態では、結合断片XおよびXは異なる結合断片である。
典型的な実施形態では、前駆体(化学式III)またはその活性化誘導体は、X3’と糖部分上で相補的反応性を有する基、例えばアミンの間での反応を介して糖、活性化糖または糖ヌクレオチドと反応することによりそれらに結合する。あるいは、X3’はリンカーLに対する前駆体上の反応性官能基と反応する。化学式IおよびIIのR、R、R、R、RまたはR6’の1つまたは複数は、分枝高分子の修飾部分、またはLを介して結合されるこの部分を含みうる。
典型的な実施形態では、部分
Figure 2008542288
はリンカーアームLである。この実施形態では、典型的なリンカーは、天然または非天然アミノ酸、アミノ酸類似体またはアミノ酸模倣体、あるいは1つまたは複数のかかる種から形成される小ペプチドから誘導される。例えば、本発明の化合物中に見出される特定の分枝高分子は、化学式
Figure 2008542288
を有する。
は、分枝高分子の修飾部分の前駆体上の反応性官能基、例えばX3’および糖部分、またはリンカーに対する前駆体上の反応性官能基の反応により形成される結合断片である。例えばX3’がカルボン酸である場合、それは活性化されかつアミノ−糖類(例えば、Sia、GalNH、GlcNH、ManNHなど)からのペンダント状のアミン基に直接結合される可能性があり、それによりアミドであるXが形成される。さらなる典型的な反応性官能基および活性化された前駆体が下記に記載される。指数cは1〜10の整数を示す。他の記号は、上で考察された記号と同じ同一性を有する。
別の典型的な実施形態では、Xは別のリンカー
Figure 2008542288
(式中、Xは第2の結合断片であり、Xとして示される基から独立して選択され、かつLはLと同様、結合、置換もしくは非置換アルキルまたは置換もしくは非置換ヘテロアルキルである)
で形成される連結部分である。
およびXにおける典型的な種は、S、SC(O)NH、HNC(O)S、SC(O)O、O、NH、NHC(O)、C(O)NHおよびNHC(O)O、ならびにOC(O)NHを含む。
別の典型的な実施形態では、XはR17に対するペプチド結合であり、それはアミノ酸、ジ−ペプチド(例えばLys−Lys)またはトリ−ペプチド(例えばLys−Lys−Lys)であり、α−アミン部分および/または側鎖ヘテロ原子は高分子修飾部分で修飾される。
さらに典型的な実施形態では、本発明のペプチド接合体は、例えば、
Figure 2008542288
(式中、様々な記号で示される基の同一性は上で考察された記号と同じである。LはLおよびLについて上で考察された結合またはリンカー、例えば置換もしくは非置換アルキルまたは置換もしくは非置換ヘテロアルキル部分である)から選択される化学式を有するR15部分である部分を含む。典型的な実施形態では、Lは、示されるように高分子修飾部分で官能化されるシアル酸の側鎖の部分である。典型的なL部分は、1つまたは複数のOHまたはNHを含む置換またはは非置換アルキル鎖を含む。
さらに別の典型的な実施形態では、本発明は、例えば、化学式
Figure 2008542288
を有するR15部分である部分を有するペプチド接合体を提供する。様々な記号で示される基の同一性は上で考察された記号と同じである。当業者が理解するように、化学式VIIおよびVIIIにおけるリンカーアームは、本明細書に示される他の修飾糖類に等しく適用可能である。典型的な実施形態では、化学式VIIおよびVIIIの種は、本明細書に示されるグリカン構造に付着されるR15部分である。
さらに別の典型的な実施形態では、EPOペプチド接合体は、
Figure 2008542288
(式中、基の同一性は上で考察のとおりである)から選択されるメンバーである化学式を有するR15部分を含む。Lにおける典型的な種は、−(CHC(O)NH(CHC(O)NH−(式中、指数hおよびjは0〜10の整数から独立して選択される)である。さらなる典型的な種は−C(O)NH−である。指数mおよびnは0〜5000から独立して選択される整数である。A、A、A、A、A、A、A、A、A、A10およびA11は、H、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、−NA1213、−OA12および−SiA1213から独立して選択されるメンバーである。A12およびA13は、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールから独立して選択されるメンバーである。
典型的な実施形態では、グリコシル連結基は、以下の化学式:
Figure 2008542288
に従う構造を有する。
上記の本発明の実施形態は、高分子が水溶性高分子、特にポリ(エチレングリコール)(「PEG」)、例えばメトキシ−ポリ(エチレングリコール)である場合の種を参照することによりさらに例示される。当業者は、以下のセクションでは例示を明確にすることに重点が置かれ、かつ典型的な高分子としてPEGを用いて示される様々なモチーフがPEG以外の高分子が用いられる場合の種に等しく適用可能であることを理解することになる。
任意の分子量、例えば1kDa、2kDa、5kDa、10kDa、15kDa、20kDa、25kDa、30kDa、35kDa、40kDa、45kDa、50kDa、55kDa、60kDa、65kDa、70kDa、75kDa、または80kDaのPEGが本発明で有用である。
典型的な実施形態では、R15部分は基
Figure 2008542288
から選択されるメンバーである化学式を有する。上記の各構造では、リンカー断片−NH(CH−は存在しても存在しなくてもよい。
他の典型的な実施形態では、ペプチド接合体は基
Figure 2008542288
から選択されるR15部分を含む。
上記の各化学式では、指数eおよびfは1〜2500の整数から独立して選択される。さらなる典型的な実施形態では、eおよびfを選択することで、約1kDa、2kDa、5kDa、10kDa、15kDa、20kDa、25kDa、30kDa、35kDa、40kDa、45kDa、50kDa、55kDa、60kDa、65kDa、70kDa、75kDa、または80kDaのPEG部分が提供される。記号Qは、置換もしくは非置換アルキル(例えばC〜Cアルキル、例えばメチル)、置換もしくは非置換ヘテロアルキルまたはHを示す。
他の分枝高分子は、ジ−リジン(Lys−Lys)ペプチド、例えば
Figure 2008542288
およびトリ−リジンペプチド(Lys−Lys−Lys)、例えば
Figure 2008542288
に基づく構造を有する。上記の各図面では、指数e、f、f’およびf’’は1〜2500から独立して選択される整数を示す。指数q、q’およびq’’は1〜20から独立して選択される整数を示す。
別の典型的な実施形態では、修飾基
Figure 2008542288
は、
Figure 2008542288
(式中、QはHおよび置換または非置換C〜Cアルキルから選択されるメンバーである。指数eおよびfは1〜2500から独立して選択される整数であり、指数qは0〜20から選択される整数である)
から選択されるメンバーである化学式を有する。
別の典型的な実施形態では、修飾基
Figure 2008542288
は、
Figure 2008542288
(式中、QはHおよび置換または非置換C〜Cアルキルから選択されるメンバーである。指数e、fおよびf’は1〜2500から独立して選択される整数であり、qおよびq’は1〜20から独立して選択される整数である)
から選択されるメンバーである化学式を有する。
別の典型的な実施形態では、分枝高分子は、以下の化学式
Figure 2008542288
(式中、指数mおよびnは0〜5000から独立して選択される整数である。A、A、A、A、A、A、A、A、A、A10およびA11は、H、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、−NA1213、−OA12および−SiA1213から独立して選択されるメンバーである。A12およびA13は、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールから独立して選択されるメンバーである)
に従う構造を有する。
化学式IIIaは化学式IIIのサブセットである。化学式IIIaで記載される構造はまた、化学式IIIにより包含される。
上記化学式に従う別の典型的な実施形態では、分枝高分子は、以下の化学式
Figure 2008542288
に従う構造を有する。典型的な実施形態では、AおよびAは各々−OCHまたはHである。
具体的な実施形態では、修飾糖はシアル酸であり、本発明で有用な選択された修飾糖化合物は、化学式
Figure 2008542288
指数a、bおよびdは0〜20の整数である。指数cは1〜2500の整数である。上記の構造はR15の成分でありうる。
を有する。
別の具体的な実施形態では、糖の1級ヒドロキシル部分は修飾基で官能化される。例えば、シアル酸の9−ヒドロキシルを対応するアミンに変換しかつ官能化することで、本発明に従う化合物がもたらされうる。この実施形態に従う化学式は、
Figure 2008542288
を含む。上記構造はR15の成分でありうる。
さらなる典型的な実施形態では、本発明は、修飾糖類を提供し、ここでは6−ヒドロキシル位置が、例えば上記のリンカー−修飾基カセットを担持する対応するアミン部分に変換される。これらの修飾糖類のコアとして使用可能な典型的なサッカリル基は、Gal、GalNAc、Glc、GlcNAc、Fuc、Xyl、Manなどを含む。この実施形態に従う代表的な修飾糖は、化学式
Figure 2008542288
(式中、R〜RおよびRはH、OH、C(O)CH、NH、およびNHC(O)CHから独立して選択されるメンバーである。RはOR、NHRまたはL−Rであり、上記のとおりである)
を有する。
本発明は、当業者が理解するように、PEGの参照により前セクションで例示されるが、多数の高分子修飾部分が本明細書で示される化合物および方法にて用いられる。
選択された実施形態では、RまたはL−Rは分岐PEG、例えば上記の種のうちの1種である。典型的な実施形態では、分岐PEG構造はシステインペプチドに基づく。この実施形態に従う具体的な修飾糖類は、
Figure 2008542288
(式中、Xは結合またはOである)を含む。上記の各構造では、アルキルアミンリンカー−(CHNH−は存在しても存在しなくてもよい。上記の構造は、R15/R15’の成分であってもよい。
本明細書で考察のように、本発明で有用な高分子−修飾シアル酸はまた線状構造でありうる。したがって、本発明は、
Figure 2008542288
(式中、指数qおよびeは上で考察のとおりである)などの構造から誘導されるシアル酸部分を含む接合体を提供する。
典型的な修飾糖類は、水溶性または水不溶性高分子で修飾される。有用な高分子の例が下記にさらに例示される。
別の典型的な実施形態では、ペプチドは、昆虫細胞から誘導され、マンノースコアにGlcNAcおよびGalを添加することにより再構築され、線状PEG部分を担持するシアル酸を用いてグリコPEGされて、それにより化学式:
Figure 2008542288
(式中、指数tは0〜1の整数であり、指数sは1〜10の整数を示し、かつ指数fは1〜2500の整数を示す)
を有する少なくとも1つの部分を含むEPOペプチドが得られる。
水不溶性高分子
別の実施形態では、修飾糖類は、上で考察されたものと同様、水溶性高分子ではなく水不溶性高分子を含む。本発明の接合体はまた、1種または複数種の水不溶性高分子を含みうる。本発明のこの実施形態は、接合体を賦形剤として使用することで例示され、その場合、治療用ペプチドが制御される様式で送達される。高分子薬剤送達系については当該技術分野で既知である。例えば、ダン(Dunn)ら編「POLYMERIC DRUGS AND DRUG DELIVERY SYSTEMS,ACS Symposium Series 第469巻、アメリカン・ケミカル・ソサイエティ(American Chemical Society)、ワシントンD.C.(Washington,D.C.)、1991年を参照のこと。当業者は、実質的に任意の既知の薬剤送達系が本発明の接合体に適用可能であることを理解するであろう。
、L−R、R15、R15’および他の基における上記モチーフは、水不溶性高分子に等しく適用可能であり、当業者にとって極めて身近な化学反応を最大限に用いることで線状および分岐状構造に取り込まれうる。
代表的な水不溶性高分子は、ポリホスファジン、ポリ(ビニルアルコール)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアルキレン、ポリアクリルアミド、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンオキシド、ポリアルキレンテレフタレート、ポリビニルエーテル、ポリビニルエステル、ポリハロゲン化ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリグリコライド、ポリシロキサン、ポリウレタン、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(イソブチルメタクリレート)、ポリ(ヘキシルメタクリレート)、ポリ(イソデシルメタクリレート)、ポリ(ラウリルメタクリレート)、ポリ(フェニルメタクリレート)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(イソプロピルアクリレート)、ポリ(イソブチルアクリレート)、ポリ(オクタデシルアクリレート)ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ塩化ビニール、ポリスチレン、ポリビニルピロリドン、プルロニックおよびポリビニルフェノールならびにこれらの共重合体を含むがこれらに限定されない。
本発明の接合体にて用いられる合成的に修飾された天然高分子は、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、およびニトロセルロースを含むがこれらに限定されない。合成的に修飾された天然高分子の広範なクラスの特に好ましいメンバーは、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、カルボキシメチルセルロース、三酢酸セルロース、硫酸セルロースナトリウム塩、ならびにアクリルおよびメタクリルエステルおよびアルギン酸の高分子を含むがこれらに限定されない。
本明細書で考察されるこれらや他の高分子は、シグマケミカル(Sigma Chemecal Co.)(セントルイス(St.Louis)、ミズーリ州)、ポリサイエンシーズ(Polysciences)(ワレントン(Warrenton)、ペンシルバニア州)、アルドリッチ(Aldrich)(ミルウォーキー(Milwaukee)、ワイオミング州)、フルカ(Fluka)(ロンコンコマ(Ronkonkoma)、ニューヨーク州)、およびバイオ・ラッド(BioRad)(リッチモンド(Richmond)、カリフォルニア州)などの商用ソースから容易に入手可能であり、それ以外でも標準技術を用いてこれらの供給元から入手された単量体から合成可能である。
本発明の接合体において用いられる代表的な生分解性高分子は、ポリラクチド、ポリグリコリドおよびその共重合体、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(酪酸)、ポリ(吉草酸)、ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、ポリアンヒドリド、ポリオルソエステル、これらの混合物および共重合体を含むがこれらに限定されない。例えばコラーゲン、プルロニックなどを含むゲルを形成する組成物が特に有用である。
本発明で有用な高分子は、少なくとも一部のそれらの構造内に生体再吸収性分子を有する水不溶性物質を含む「ハイブリッド」高分子を含む。かかる高分子の例として、水不溶性共重合体を含むものが挙げられ、高分子鎖ごとにそれは生体再吸収性領域、親水性領域および複数の架橋可能な官能基を有する。
本発明の目的のため、「水不溶性物質」は、実質的に水または水を含有する環境に不溶性の物質を含む。したがって、共重合体の特定の領域またはセグメントが親水性を示すかまたはさらに水溶性を示しうるが、総じて高分子は、任意の実質的測定によると水に溶解しない。
本発明の目的のため、「生体再吸収性分子」という用語は、身体により、代謝または分解可能であるとともに再吸収されかつ/または通常の排泄経路を介して除去されうる領域を含む。かかる代謝産物または分解産物は、好ましくは身体に対して実質的に非毒性である。
生体再吸収性領域は、総じて共重合体組成物に水溶性が与えられない限り、疎水性または親水性を示しうる。それ故、生体再吸収性領域は、高分子が総じて水不溶性を残すという優先度に基づいて選択される。したがって、相対的特性、すなわち含有される官能基の種類および生体再吸収性領域と親水性領域の相対比率が、有用な生体再吸収性組成物が確実に水不溶性であり続けるように選択される。
典型的な再吸収可能な高分子は、例えば、ポリ(α−ヒドロキシ−カルボン酸)/ポリ(オキシアルキレン)の合成的に生成される再吸収可能なブロック共重合体を含む(コーン(Cohn)ら、米国特許第4,826,945号明細書を参照)。これらの共重合体は架橋されることがなく、水溶性を示すので身体が分解されたブロック共重合体組成物を排泄しうる。ユネス(Younes)ら、J Biomed.Mater.Res.21:1301〜1316頁(1987年);およびコーン(Cohn)ら、J Biomed.Mater.Res.22:993−1009年(1988年)を参照のこと。
ここで好ましい生体再吸収性高分子は、ポリ(エステル)、ポリ(ヒドロキシ酸)、ポリ(ラクトン)、ポリ(アミド)、ポリ(エステル−アミド)、ポリ(アミノ酸)、ポリ(無水物)、ポリ(オルトエステル)、ポリ(カーボネート)、ポリ(ホスファジン)、ポリ(ホスホエステル)、ポリ(チオエステル)、多糖類およびこれらの混合物から選択される1つまたは複数の成分を含む。さらにより好ましくは、生体再吸収可能な高分子は、ポリ(ヒドロキシ)酸成分を含む。ポリ(ヒドロキシ)酸のうち、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロン酸、ポリ酪酸、ポリ吉草酸ならびにこれらの共重合体および混合物が好ましい。
インビボで吸収される(「生体再吸収される」)断片の形成に加え、本発明の方法で有用な好ましい高分子コーティングは、排泄可能な断片および/または代謝可能な断片も形成しうる。
より高級な共重合体も本発明において使用されうる。例えば、カセイ(Casey)ら、米国特許第4,438,253号明細書(1984年3月20日に交付)は、ポリ(グリコール酸)とヒドロキシル末端が付加したポリ(アルキレングリコール)のエステル交換から生成される三ブロック共重合体について開示している。かかる組成物は、再吸収可能なモノフィラメント糸としての使用において開示される。かかる組成物の可撓性は、テトラ−p−トリルオルトカーボネートなどの芳香族オルトカーボネートの共重合体構造への取り込みにより制御される。
乳酸および/またはグリコール酸に基づく他の高分子もまた利用可能である。例えば、スピニュ(Spinu)、米国特許第5,202,413号明細書(1993年4月13日に交付)は、ラクチドおよび/またはグリコリドのオリゴマージオール上またはジアミン残基上への開環重合、それに続くジイソシアネート、塩化ジアシルまたはジクロロシランなどの二官能性化合物での鎖伸長によって生成される規則正しく連続したブロック状のポリラクチドおよび/またはポリグリコリドを有する生分解性多重ブロック共重合体について開示している。
本発明に有用なコーティングの生体再吸収性領域を、加水分解的かつ/または酵素的に切断可能であるように設計可能である。本発明の目的のため、「加水分解的に切断可能な」とは、共重合体、特に生体再吸収性領域における水中または水を含有する環境内での加水分解に対する感受性を示す。同様に、本明細書で用いられる「酵素的に切断可能な」とは、共重合体、特に生体再吸収性領域における内因性または外因性酵素による切断に対する感受性を示す。
親水性領域は、身体内部に置かれる場合、排泄可能および/または代謝可能な断片になるまで処理可能である。したがって、親水性領域は、例えば、ポリエーテル、ポリアルキレンオキシド、ポリオール、ポリ(ビニルピロリジン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(アルキルオキサゾリン)、多糖類、炭水化物、ペプチド、タンパク質ならびにこれらの共重合体および混合物を含みうる。さらに、親水性領域はまた、例えばポリ(アルキレン)オキシドでありうる。かかるポリ(アルキレン)オキシドは、例えばポリ(エチレン)オキシド、ポリ(プロピレン)オキシドならびにこれらの混合物および共重合体を含みうる。
ヒドロゲルの成分である高分子もまた本発明において有用である。ヒドロゲルは、比較的大量の水を吸収可能な高分子物質である。ヒドロゲル形成化合物の例として、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリジン、ゼラチン、カラギーナンおよび他の多糖類、ヒドロキシエチレンメタクリル酸(HEMA)、ならびにこれらの誘導体などが挙げられるがこれらに限定されない。安定な生分解性および生体再吸収性を示すヒドロゲルの生成が可能である。さらに、ヒドロゲル組成物は、これらの特性のうちの1つまたは複数を示すサブユニットを含みうる。
完全性が架橋により制御可能な生体適合性ヒドロゲル組成物が知られており、ここでは本発明の方法における使用において好ましい。例えばハベル(Hubbell)ら、米国特許第5,410,016号明細書(1995年4月25日に交付)および米国特許第5,529,914号明細書(1996年6月25日に交付)は、2つの加水分解的に不安定な延在部(extensions)の間でサンドイッチされた水溶性の中央ブロックセグメントを有する架橋ブロック共重合体の水溶系について開示している。かかる共重合体は、光重合可能なアクリレートの機能性により、さらにエンドキャッピングされる。これらの系は、架橋される場合、ヒドロゲルになる。かかる共重合体の水溶性の中央ブロックがポリ(エチレングリコール)を含みうる一方、加水分解的に不安定な延在部はポリグリコール酸またはポリ乳酸などのポリ(α−ヒドロキシ酸)でありうる。ソーニー(Sawhney)ら、Macromolecules 26:581〜587頁(1993年)を参照のこと。
別の好ましい実施形態では、ゲルは熱可逆性ゲルである。ここでは、プルロニック、コラーゲン、ゼラチン、ヒアルロン酸、多糖類、ポリウレタンヒドロゲル、ポリウレタン−尿素ヒドロゲルおよびこれらの組み合わせなどの成分を含有する熱可逆性ゲルが好ましい。
さらに別の典型的な実施形態では、本発明の接合体はリポソームの成分を含有する。リポソームは、例えばエプスタイン(Eppstein)ら、米国特許第4,522,811号明細書に記載される、当業者に既知の方法に従って調製可能である。例えば、リポソーム製剤は、適切な脂質(ステアロイルホスファチジルエタノールアミン、ステアロイルホスファチジルコリン、アラカドイルホスファチジルコリン、およびコレステロールなど)を無機溶媒に溶解し、次いでそれを蒸発させて容器の表面上に乾燥脂質の薄膜を残存させることにより調製可能である。次いで、活性化合物の水溶液またはその医薬的に許容できる塩が容器に導入される。次いで、容器を手動で回転させ、脂質物質を容器の側面から遊離させ、かつ脂質凝集体を分散させることにより、リポソーム懸濁液が形成される。
上記の微粒子および微粒子を調製する方法は一例として提供されるものであり、それらは本発明で有用な微粒子の範囲を規定しようとするものではない。異なる方法により作製された多数の微粒子が本発明で有用であることは、当業者にとって明らかなことになろう。水溶性高分子と関連して上で考察された構造形式である直鎖および分岐鎖は、一般に水不溶性高分子に対しても同様に適用可能である。したがって、例えばシステイン、セリン、ジリシン、およびトリリシン分岐コアは、2つの水不溶性高分子部分で官能化されうる。これらの種を生成するのに用いられる方法は、一般に水溶性高分子の生成に用いられる方法に酷似している。
方法
上で考察された接合体に加え、本発明はこれらや他の接合体を調製するための方法を提供する。さらに、本発明は、疾患を発症するリスクがある被験者または疾患を有する被験者に本発明の接合体を投与することによって病状を予防、治療または改善する方法を提供する。
典型的な実施形態では、接合体は、高分子修飾部分、治療部分、標的化部分または生体分子とグリコシル化または非グリコシル化ペプチドの間に形成される。高分子は、グリコシル連結基を介してペプチドに接合され、同連結基はペプチド(またはグリコシル残基)と修飾基(例えば水溶性高分子)の双方の間に挿入され、かつそれらに共有結合される。本方法は、ペプチドを、修飾糖および修飾糖を基質に接合させる酵素、例えばグリコシルトランスフェラーゼを含有する混合物に接触させるステップを含む。反応は、修飾糖とペプチドの間の共有結合の形成に適する条件下で行われる。修飾糖の糖部分は、好ましくはヌクレオチド糖から選択される。
典型的な実施形態では、例えば上に示される修飾糖は、対応するヌクレオチド糖として活性化される。本発明で修飾形態で用いられる典型的な糖ヌクレオチドは、ヌクレオチド一リン酸塩、ヌクレオチド二リン酸塩もしくはヌクレオチド三リン酸塩またはそれらの類似体を含む。好ましい実施形態では、修飾糖ヌクレオチドは、UDP−グリコシド、CMP−グリコシド、またはGDP−グリコシドから選択される。さらにより好ましくは、修飾糖ヌクレオチドの糖ヌクレオチド部分は、UDP−ガラクトース、UDP−ガラクトサミン、UDP−グルコース、UDP−グルコサミン、GDP−マンノース、GDP−フコース、CMP−シアル酸、またはCMP−NeuAcから選択される。典型的な実施形態では、リン酸ヌクレオチドはC−1に付着される。
したがって、グリコシル部分がシアル酸であるという具体的な実施形態では、本発明の方法は、化学式
Figure 2008542288
(式中、L−Rは上で考察のとおりであり、L−Rは修飾基に結合されるリンカーを示す)を有する化合物を用いる。Lと同様、Lに従う典型的なリンカー種は、結合、アルキルまたはヘテロアルキル部分を含む。
さらに、上で考察のように、本発明は、直鎖状または分岐鎖状の水溶性高分子で修飾されるヌクレオチド糖の使用について提起する。例えば、下記に示される化学式を有する化合物は、本発明の範囲内で接合体を調製するのに有用である。
Figure 2008542288
(式中、XはOまたは結合である)
本発明はまた、6−炭素位置でのL−Rで修飾される糖ヌクレオチドの使用について提示する。この実施形態に従う典型的な種は、
Figure 2008542288
(式中、R基、およびLは上で考察された部分を示す。指数「y」は0、1または2である)を含む。典型的な実施形態では、LはNHとRの間の結合である。塩基は核酸塩基である。
6−位置での炭素が修飾される場合の本発明で有用な典型的なヌクレオチド糖は、GDPマンノース、例えば
Figure 2008542288
(式中、Xは結合またはOである。指数iは0または1を示す。指数aは1〜20の整数を示す。指数eおよびfは独立して1〜2500の整数を示す。上で考察されたように、Qは、Hまたは置換もしくは非置換C〜Cアルキルである)の立体化学構造を有する種を含む。当業者が理解するように、SがOと置換されたセリン誘導体はまた、この一般のモチーフの範囲内に含まれる。
さらなる典型的な実施形態では、本発明は、修飾糖がUDPガラクトースの立体化学構造に基づく場合の接合体を提供する。本発明で有用な典型的なヌクレオチド糖は、構造
Figure 2008542288
を有する。
別の典型的な実施形態では、ヌクレオチド糖はグルコースの立体化学構造に基づく。この実施形態に従う典型的な種は、化学式
Figure 2008542288
を有する。
一般に、糖部分または糖部分−リンカーカセットおよびPEGまたはPEG−リンカーカセット基は、反応基の使用を介して互いに連結され、ここで反応基は典型的にはプロセスを新規の有機官能基または非反応性の種に連結させることにより形質転換される。糖反応性官能基は、糖部分上の任意の位置に位置している。本発明の実施において有用な反応の反応基およびクラスは、一般にバイオコンジュゲート化学に関する当該技術分野で周知のものである。反応性糖部分の場合に得られる現行で好ましい反応のクラスは、比較的穏やかな条件下で進行するものである。これらは、求核置換(例えば、アミンおよびアルコールとハロゲン化アシル、活性エステルとの反応)、求電子置換(例えばエナミン反応)ならびに炭素−炭素および炭素−ヘテロ原子多重結合への付加(例えばマイケル反応、ディールス−アルダー付加)を含むがこれらに限定されない。これらや他の有用な反応は、例えば、マーチ(March)、ADVANCED ORGANIC CHEMISTRY、第3版、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ(John Wiley&Sons)ニューヨーク(New York)、1985年;ハーマンソン(Hermanson)、BIOCONJUGATE TECHNIQUES、アカデミック・プレス(Academic Press)、サンディエゴ(San Diego)、1996年;およびフィーネイ(Feeney)ら、MODIFICATION OF PROTEINS;Advances in Chemistry Series、第198巻、アメリカン・ケミカル・ソサイエティ(American Chemical Society)、ワシントンD.C.(Washington,D.C.)、1982年において考察されている。
糖核または修飾基からのペンダント状の有用な反応性官能基は、
(a)N−ヒドロキシサクシニミドエステル、N−ヒドロキシベンズトリアゾールエステル、酸ハロゲン化物、アシルイミダゾール、チオエステル、p−ニトロフェニルエステル、アルキル、アルケニル、アルキニルおよび芳香族エステルを含むがこれらに限定されないカルボキシル基およびその様々な誘導体、
(b)例えばエステル、エーテル、アルデヒドなどに変換可能な水酸基、
(c)ハロゲン化物が後に、例えばアミン、カルボン酸塩アニオン、チオールアニオン、カルボアニオン、またはアルコキシドイオンなどの求核基と置換され、それによりハロゲン原子の官能基で新たな基の共有結合をもたらしうる、ハロアルキル基、
(d)例えばマレイミド基などのディールス−アルダー反応に関与しうるジエノフィル基、
(e)後の誘導体化が、例えばイミン、ヒドラゾン、セミカルバゾンまたはオキシムなどのカルボニル誘導体の形成あるいはグリニャール付加またはアルキルリチウム付加などの機構を介して可能である、アルデヒド基またはケトン基、
(f)後のアミンとの反応により、例えばスルホンアミドを形成する、ハロゲン化スルホニル基、
(g)例えばジスルフィドに変換されうるかまたはハロゲン化アシルと反応されうるチオール基、
(h)例えばアシル化、アルキル化または酸化されうるアミンまたはスルフヒドリル基、
(i)例えばシクロ付加、アシル化、マイケル付加などを経ることが可能なアルケン、ならびに
(j)例えばアミンおよびヒドロキシル化合物と反応しうるエポキシド
を含むがこれらに限定されない。
反応性官能基を、反応性の糖核または修飾基を構築するのに必要な反応に関与またはそれと干渉しないように選択してもよい。あるいは、反応性官能基を、保護基の存在を介して反応への関与から保護してもよい。当業者は、特定の官能基を選択された反応条件一式と干渉しないように保護する方法について理解している。有用な保護基の例として、例えばグリーネ(Greene)ら、PROTECTIVE GROUPS IN ORGANIC SYNTHESIS、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ(John Wiley&Sons、)ニューヨーク(New York)、1991年を参照のこと。
修飾糖類
本発明では、修飾糖および修飾糖ヌクレオチドの使用により修飾糖類の接合体が形成される。本発明で有用な修飾糖化合物では、糖部分は、好ましくは糖類、デオキシ糖、アミノ−糖類、またはN−アシル糖類である。「糖類」およびその等価物である「サッカリル」、「糖」および「グリコシル」という用語は、単量体、二量体、オリゴマーおよび高分子を示す。糖部分はまた修飾基で官能化される。修飾基は、典型的には糖上でのアミン、スルフヒドリル部分またはヒドロキシル部分、例えば1級ヒドロキシル部分との接合を介して糖部分に接合される。典型的な実施形態では、修飾基はアミンと修飾基の反応誘導体との反応を介して形成される糖上のアミン部分、例えばアミド、ウレタンまたは尿素を介して付着される。
本発明の接合体のグリコシル連結基の糖コアとして、任意の糖を使用可能である。本発明の組成物の形成に有用な典型的な糖コアは、グルコース、ガラクトース、マンノース、フコース、およびシアル酸を含むがこれらに限定されない。他の有用な糖類は、グルコサミン、ガラクトサミン、マンノサミン、シアル酸の5−アミン類似体などのアミノ糖を含む。糖コアは天然に見出される構造であってよく、またはそれを修飾することで修飾基を接合するための部位を生成してもよい。
以下の考察においては、本発明の実施に有用な修飾糖類における多数の具体例が示される。典型的な実施形態では、シアル酸誘導体が修飾基の付着対象の糖核として用いられる。シアル酸誘導体についての考察では、あくまで例示を明確にすることに重点が置かれ、それが本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。当業者は、種々の他の糖部分が例としてシアル酸を用いて示されるものと同様に活性化および誘導体化されうることを理解するであろう。例えば、当該技術分野で認められた方法により容易に修飾される糖基質として挙げられるいくつかの例、ガラクトース、グルコース、N−アセチルガラクトサミンおよびフコースを修飾するのに、極めて多くの方法を用いることが可能である。例えば、エルハラビ(Elhalabi)ら、Curr.Med.Chem.6:93(1999年);およびシャファー(Schafer)ら、J.Org.Chem.65:24(2000年)を参照のこと。
典型的な実施形態では、修飾糖は6−アミノ−N−アセチル−グリコシル部分に基づく。N−アセチルガラクトサミンについて下記に示されるように、6−アミノ−糖部分は、標準の方法により容易に調製される。
Figure 2008542288
上記スキームにおいて、指数nは1〜2500の整数を示す。典型的な実施形態では、この指数は高分子の分子量が約10kDa、15kDa、20kDa、25kDa、30kDa、35kDa、40kDa、45kDa、50kDa、55kDa、60kDa、65kDa、70kDa、75kDaまたは80kDaであるように選択される。記号「A」は、活性化基、例えばハロ、活性化エステルの成分(例えばN−ヒドロキシサクシニミドエステル)、カーボネートの成分(例えばp−ニトロフェニルカーボネート)などを示す。当業者は、他のPEG−アミドヌクレオチド糖がこの方法や類似方法により容易に調製されることを理解するであろう。
アクセプタペプチドは、典型的には新たに合成されるか、あるいは原核細胞(例えば、大腸菌(E.coli)などの細菌細胞)内または哺乳類、酵母、昆虫、真菌もしくは植物細胞などの真核細胞内で組換え発現される。ペプチドは完全長のタンパク質または断片であってもよい。さらに、ペプチドは野生型または変異ペプチドであってもよい。典型的な実施形態では、ペプチドは1つもしくは複数のN−またはO−連結グリコシル化部位をペプチド配列に付加する変異を含む。
本発明の方法はまた、組換え生成される不完全にグリコシル化されたペプチドの修飾を提供する。多数の組換え生成された糖タンパク質は、不完全にグリコシル化されることで、望ましくない特性、例えば、免疫原性、RESによる認識を有しうる炭水化物残基が暴露される。本発明の方法における修飾糖を用いることで、ペプチドは、例えば水溶性高分子、治療薬、または同種のものにより、同時にさらにグリコシル化および誘導体化されうる。修飾糖の糖部分は、所望の特性を有する別の糖部分または完全にグリコシル化されたペプチド内のアクセプタに適切に接合されることになる残基でありうる。
当業者は、本発明を任意のソース由来の実質的に任意のペプチドまたはグリコペプチドを用いて実行可能であることを理解するであろう。本発明を実施可能にする典型的なペプチドは、国際公開第03/031464号パンフレット、およびその中に示される参考文献にて示されている。
本発明の方法により修飾されるペプチドは合成または野生型ペプチドであってよく、またはそれらは部位特異的変異誘発などの当該技術分野で既知の方法により生成される変異ペプチドであってもよい。ペプチドのグリコシル化は、典型的にはN−連結またはO−連結でありうる。典型的なN−連結は、修飾糖のアスパラギン残基の側鎖への付着である。トリペプチド配列のアスパラギン−X−セリンおよびアスパラギン−X−トレオニン(Xがプロリン以外の任意のアミノ酸である場合)は、炭水化物部分のアスパラギン側鎖への酵素による付着における認識配列である。したがって、ポリペプチド内でこれらのトリペプチド配列のいずれかが存在することにより、グリコシル化部位が生成される可能性がある。O−連結グリコシル化は、1種の糖(例えば、N−アセチルガラクトサミン、ガラクトース、マンノース、GlcNAc、グルコース、フコースまたはキシロース)のヒドロキシアミノ酸、好ましくはセリンまたはトレオニンのヒドロキシ側鎖への付着を示すが、異常アミノ酸または非天然アミノ酸、例えば5−ヒドロキシプロリンまたは5−ヒドロキシリジンもまた使用可能である。
さらに、ペプチドに加え、他の生物学的構造(グリコシル化部位を有する、例えば糖脂質、脂質、スフィンゴイド、セラミド、全細胞など)を用いて本発明の方法を実行してもよい。
グリコシル化部位のペプチドまたは他の構造への付加が、アミノ酸配列を1つまたは複数のグリコシル化部位を有するように改変することによって便宜的に行われる。付加は、−OH基を提示する1つまたは複数の種、好ましくはセリンまたはトレオニン残基を(O−連結グリコシル化部位における)ペプチドの配列内に取り込むことによってもなされうる。付加は、変異またはペプチドの完全な化学合成によりなされうる。ペプチドのアミノ酸配列は、好ましくは、DNAレベルでの変化により、特に所望のアミノ酸に翻訳することになるコドンが生成されるようにペプチドをコード化するDNAを予め選択された塩基で変異させることにより改変される。DNA変異は、好ましくは当該技術分野で既知の方法を用いて行われる。
典型的な実施形態では、グリコシル化部位はポリヌクレオチドのシャッフリングにより付加される。DNAシャッフリングプロトコルを用い、候補ペプチドをコード化するポリヌクレオチドを調節してもよい。DNAシャッフリングは、関連遺伝子プールのランダム断片化、それに続くポリメラーゼ鎖反応様プロセスによる断片の再構築によって行われる、反復組換えおよび変異のプロセスである。例えば、ステマー(Stemmer)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:10747〜10751頁(1994年);ステマー(Stemmer)、Nature 370:389〜391頁(1994年);および米国特許第5,605,793号明細書、米国特許第5,837,458号明細書、米国特許第5,830,721号明細書および米国特許第5,811,238号明細書を参照のこと。
本発明の実施に用いる典型的なペプチド、グリコシル化部位を付加または除去する方法、およびグリコシル構造または部分構造の付加または除去については、国際公開第03/031464号パンフレットならびに関連の米国およびPCT出願において詳細に記載されている。
本発明はまた、1つまたは複数の選択されたグリコシル残基のペプチドへの付加(またはそれからの除去)、その後の少なくとも1つの選択されたペプチドのグリコシル残基への修飾糖の接合を利用する。本実施形態は、例えば、ペプチド上に存在しないかまたは望ましい量で存在しない、選択されたグリコシル残基に修飾糖を接合するのに望ましい場合に有用である。それ故、選択されたグリコシル残基は、修飾糖のペプチドへの共役に先立ち、酵素共役または化学共役によりペプチドに接合される。別の実施形態では、グリコペプチドのグリコシル化パターンは、修飾糖の接合に先立ち、炭水化物残基のグリコペプチドからの除去により改変される。例えば国際公開第98/31826号パンフレットを参照のこと。
グリコペプチド上に存在する任意の炭水化物部分の付加または除去が化学的または酵素的に行われる。典型的な化学的脱グリコシル化が、ポリペプチド変異体のトリフルオロメタンスルホン酸化合物、または等価化合物への暴露によりもたらされる。この処理の結果、連結糖(N−アセチルグルコサミンまたはN−アセチルガラクトサミン)を除く大部分またはすべての糖類が切断される一方、ペプチドは無傷のままである。化学的脱グリコシル化については、ハキムジン(Hakimuddin)ら、Arch.Biochem.Biophys.259:52頁(1987年)およびエッジ(Edge)ら、Anal.Biochem.118:131頁(1981年)で記載されている。ポリペプチド変異体上での炭水化物部分の酵素的切断が、トタクラ(Thotakura)ら、Meth.Enzymol.138:350頁(1987年)で記載のように種々のエンドグリコシダーゼおよびエキソグリコシダーゼの使用により行われうる。
典型的な実施形態では、ペプチドは、ペプチド上での糖接合または再構築ステップの実施に先立ち、ノイラミニダーゼで本質的に完全に脱シアリル化される。ペプチドは、糖接合または再構築後、場合によりシアリルトランスフェラーゼを用いて再シアリル化される。典型的な実施形態では、再シアリル化は本質的にシアリルアクセプタの集団内の各々の(例えば、80%超、好ましくは85%超、90%超、好ましくは95%超およびより好ましくは96%超、97%超、98%超または99%超)末端サッカリルアクセプタにて生じる。好ましい実施形態では、糖類は実質的に均一なシアリル化パターン(すなわち実質的に均一なグリコシル化パターン)を有する。
グリコシル部分の化学的付加は任意の当該技術分野で認められた方法により行われる。糖部分の酵素的付加は、好ましくは本明細書に示される方法を改良したものを用いて行われ、それにより天然グリコシル単位が本発明で用いられる修飾糖に置換される。糖部分を付加する他の方法は、米国特許第5,876,980号明細書、米国特許第6,030,815号明細書、米国特許第5,728,554号明細書、および米国特許第5,922,577号明細書にて開示されている。
選択されたグリコシル残基における典型的な付着点は、(a)N−連結グリコシル化におけるコンセンサス部位およびO−連結グリコシル化における部位、(b)グリコシルトランスフェラーゼにおけるアクセプタである末端グリコシル部分、(c)アルギニン、アスパラギンおよびヒスチジン、(d)遊離カルボキシル基、(e)遊離スルフヒドリル基、例えばシステインのもの、(f)遊離水酸基、例えばセリン、トレオニンまたはヒドロキシプロリンのもの、(g)芳香族残基、例えばフェニルアラニン、チロシンまたはトリプトファンのもの、あるいは(h)グルタミンのアミド基を含むがこれらに限定されない。本発明で有用な典型的な方法は、1987年9月11日に公表された国際公開第87/05330号パンフレット、ならびにアプリン(Aplin)およびリストン(Wriston)、CRC CRIT.REV.BIOCHEM.、259〜306頁(1981年)に記載されている。
一実施形態では、本発明は2つ以上のペプチドを連結基を介して連結するための方法を提供する。連結基は任意の有用な構造を有し、直鎖および分岐鎖構造から選択されうる。好ましくは、ペプチドに付着されるリンカーの各末端は、修飾糖(すなわち初期の無傷グリコシル連結基)を含む。
典型的な本発明の方法では、2つのペプチドは、高分子(例えばPEGリンカー)を含むリンカー部分を介して互いに連結される。作成物は、上記の図面に示される一般構造に一致する。本明細書に記載のように、本発明の作成物は2つの無傷グリコシル連結基を含む(すなわちs+t=1)。2つのグリコシル基を含むPEGリンカーについては明確化することに重点が置かれ、それは本発明のこの実施形態で有用なリンカーアームの同一性を限定するものとして解釈されるべきではない。
したがって、PEG部分は、第1のグリコシル単位を有する第1の末端および第2のグリコシル単位を有する第2の末端で官能化される。第1および第2のグリコシル単位は、好ましくは異なるトランスフェラーゼに対する基質であり、それらは第1および第2のペプチドの各々の第1および第2のグリコシル単位への直交性の付着(orthogonal attachment)を可能にする。実際には、(グリコシル)−PEG−(グリコシル)リンカーは、第1のグリコシル単位は基質である場合の第1のペプチドおよび第1のトランスフェラーゼと接触され、それにより(ペプチド)−(グリコシル)−PEG−(グリコシル)が形成される。次いで、トランスフェラーゼおよび/または未処理のペプチドが、場合により反応混合物から除去される。第2のグリコシル単位が基質である場合の第2のペプチドおよび第2のトランスフェラーゼは(ペプチド)−(グリコシル)−PEG−(グリコシル)接合体に付加され、それにより(ペプチド)−(グリコシル)−PEG−(グリコシル)−(ペプチド)が形成され、少なくとも1つのグリコシル残基は直接的または間接的にO−連結である。当業者は、上で概説された方法が、例えば分岐PEG、デンドリマー、ポリ(アミノ酸)、多糖類または同種のものの使用による、3個以上のペプチド間の接合体の形成にも適用可能であることを理解するであろう。
典型的な実施形態では、本発明の方法により修飾されるペプチドは、哺乳類細胞(例えばCHO細胞)内またはトランスジェニック動物内で生成されるグリコペプチドであり、それ故、N−および/またはO−連結オリゴ糖鎖を有し、それらは不完全にシアリル化される。シアル酸が不足しかつ末端ガラクトース残基を有するグリコペプチドのオリゴ糖鎖を、PEG化するか、PPG化するかまたはそれ以外では修飾シアル酸で修飾することが可能である。
スキーム1では、アミノグリコシド1が保護されたアミノ酸(例えばグリシン)誘導体の活性エステルで処理されることで、糖アミン残基が対応する保護されたアミノ酸アミド付加体に変換される。付加体がアルドラーゼで処理されることで、α−ヒドロキシカルボン酸塩2が形成される。化合物2は、CMP−SAシンセターゼの活性により対応するCMP誘導体に変換され、その後、CMP誘導体の接触水素化により化合物3が生成される。グリシン付加体の形成を介して導入されるアミンは、化合物3を活性化PEGまたはPPG誘導体(例えばPEG−C(O)NHS、PEG−OC(O)O−p−ニトロフェニル)と反応させることによるPEG付着の座として用いられ、それによりそれぞれ4または5などの種が生成される。
Figure 2008542288
修飾糖類のペプチドへの接合
PEG修飾糖類は、接合を媒介するのに適する酵素を用いてグリコシル化または非グリコシル化ペプチドに接合される。好ましくは、修飾ドナーである糖、酵素およびアクセプタペプチドの濃度が、アクセプタが消費されるまでグリコシル化が進行するように選択される。以下で考察される検討事項は、シアリルトランスフェラーゼとの関連で示される一方、一般に他のグリコシルトランスフェラーゼ反応に適用可能である。
所望のオリゴ糖構造を合成するためのグリコシルトランスフェラーゼを用いる多数の方法は既知であり、一般に本発明に適用可能である。典型的な方法が、例えば、国際公開第96/32491号パンフレット、イトウ(Ito)ら、Pure Appl.Chem.65:753頁(1993年)、米国特許第5,352,670号明細書、米国特許第5,374,541号明細書、米国特許第5,545,553号明細書、公有の米国特許第6,399,336号明細書および米国特許第6,440,703号明細書、ならびに公有の公表されたPCT出願である国際公開第03/031464号パンフレット、国際公開第04/033651号パンフレット、国際公開第04/099231号パンフレットに記載され、これらは参照により本明細書中に援用される。
本発明は、グリコシルトランスフェラーゼの単独使用またはグリコシルトランスフェラーゼの併用により実施される。例えば、シアリルトランスフェラーゼとガラクトシルトランスフェラーゼの併用が可能である。2つ以上の酵素を用いる実施形態では、酵素および基質は好ましくは初期反応混合物中で結合されるか、または一旦第1の酵素反応が完了またはほぼ完了すると、第2の酵素反応における酵素および試薬は反応媒体に添加される。単一の容器内での2つの酵素反応を連続的に実施することにより、中間種が単離される手順よりも全収率が改善される。さらに、余分の溶媒および副産物の浄化および処分が削減される。
好ましい実施形態では、第1および第2の酵素の各々はグリコシルトランスフェラーゼである。別の好ましい実施形態では、一酵素としてエンドグリコシダーゼが挙げられる。さらなる好ましい実施形態では、3種以上の酵素を用いることで本発明の修飾糖タンパク質が構築される。それら酵素を用いることで、修飾糖のペプチドへの付加の前後にペプチド上の糖類構造があらゆる点で改変される。
別の実施形態では、方法は1つまたは複数のエキソグリコシダーゼまたはエンドグリコシダーゼを利用する。グリコシダーゼは、典型的にはグリコシル結合の破裂ではなく形成のために設計される変異体である。変異グリカナーゼは、典型的にはアミノ酸残基と活性部位の酸性アミノ酸残基との置換を含む。例えば、エンドグリカナーゼがエンド−Hである場合、置換された活性部位残基は、典型的には位置130のAsp、位置132のGluまたはそれらの組み合わせということになる。アミノ酸は、一般にセリン、アラニン、アスパラギン、またはグルタミンと置換される。
変異酵素は、通常エンドグリカナーゼ加水分解ステップの逆反応に類似する合成ステップにより反応を触媒する。これらの実施形態では、グリコシルドナー分子(例えば所望のオリゴ糖類または単糖類構造)は離脱基を有し、かつ反応はタンパク質上のGlcNAc残基へのドナー分子の付加に伴い進行する。例えば、離脱基はフッ化物などのハロゲンであってもよい。他の実施形態では、離脱基はAsnまたはAsn−ペプチド部分である。さらなる実施形態では、グリコシルドナー分子上のGlcNAc残基は修飾される。例えば、GlcNAc残基は1,2オキサゾリン部分を含みうる。
好ましい実施形態では、本発明の接合体を生成するのに用いられる各酵素は触媒量で存在する。特定の酵素の触媒量は、その酵素の基質の濃度ならびに温度、時間およびpH値などの反応条件に応じて変化する。予め選択された基質濃度および反応条件の下での所定の酵素における触媒量を決定するための手段は当業者に周知である。
上記プロセスが実施される温度は、凍結よりやや高温から最も高感度な酵素が変性する温度の範囲でありうる。好ましい温度範囲は約0℃〜約55℃、およびより好ましくは約20℃〜約37℃、例えば約30℃である。別の典型的な実施形態では、本方法の1つまたは複数の要素が好熱性酵素を用いて高温で実施される。
反応混合物は、アクセプタがグリコシル化され、それにより所望の接合体が形成されるのに十分な期間にわたり維持される。接合体の一部は数時間後に検出されうることが多く、通常は回収可能な量が得られるのは24時間以内の間である。当業者は、反応速度が多数の変動要因(例えば、酵素濃度、ドナー濃度、アクセプタ濃度、温度、溶媒容量)に依存し、それらは選択系において最適化されることを理解している。
本発明はまた、修飾ペプチドの工業規模の生成を提供する。本明細書で用いられる工業規模では、一般に少なくとも1グラムの最終精製接合体が生成される。
以下の考察では、本発明は修飾シアル酸部分のグリコシル化ペプチドに対する接合として例示される。典型的な修飾シアル酸はPEGで標識される。PEG修飾シアル酸およびグリコシル化ペプチドの使用に関する以下の考察は、例示を明確にすること、ならびに本発明がこれらの2つのパートナーの接合に限定されるように意味づけようとしないことに注目している。当業者は、その考察が一般にシアル酸以外の修飾グリコシル部分の付加に適用できることを理解している。さらに、同考察は他のPEG部分、治療部分、および生体分子を含むPEG以外の作用物質を用いたグリコシル単位の修飾に等しく適用可能である。
酵素的アプローチを、PEG化またはPPG化炭水化物のペプチドまたはグリコペプチド上への選択的導入において用いてもよい。その方法では、PEG、PPG、またはマスクされた反応性官能基を有する修飾糖類が用いられ、かつ適切なグリコシルトランスフェラーゼまたは糖合成酵素を併用する。所望の炭水化物結合を作ることになるグリコシルトランスフェラーゼを選択しかつ修飾糖をドナー基質として使用することにより、PEGまたはPPGをペプチド骨格上か、グリコペプチドの既存の糖残基上かまたはペプチドに付加されている糖残基上に直接導入してもよい。
典型的な実施形態では、シアリルトランスフェラーゼにおけるアクセプタは天然構造としていずれか修飾されることになるペプチド上に存在するか、または組換え的、酵素的または化学的にそこに配置される。適切なアクセプタは、例えば、Galβ1,4GlcNAc、Galβ1,4GalNAc、Galβ1,3GalNAc、ラクト−N−テトラオース、Galβ1,3GlcNAc、Galβ1,3Ara、Galβ1,6GlcNAc、Galβ1,4Glc(ラクトース)などのガラクトシルアクセプタ、および当業者に既知の他のアクセプタを含む(例えば、ポールソン(Paulson)ら、J.Biol.Chem.253:5617〜5624頁(1978年)を参照)。典型的なシアリルトランスフェラーゼが本明細書に示されており、例えば図9を参照のこと。
一実施形態では、シアリルトランスフェラーゼにおけるアクセプタがグリコペプチドのインビボ合成時に修飾されることになるグリコペプチド上に存在する。かかるグリコペプチドを、予めグリコペプチドのグリコシル化パターンの修飾を行うことなく、特許請求される方法を用いてシアリル化してもよい。あるいは、本発明の方法を用いて適切なアクセプタを含まないペプチドをシアリル化してもよく、まずペプチドを修飾することで、当業者に既知の方法によりアクセプタが含まれる。典型的な実施形態では、GalNAc残基がGalNAcトランスフェラーゼの作用により付加される。
典型的な実施形態では、ガラクトシルアクセプタは、ガラクトース残基をペプチドに連結される適切なアクセプタ、例えばGlcNAcに付着させることにより構築される。その方法は、修飾されるべきペプチドを、適量のガラクトシルトランスフェラーゼ(例えばGalβ1,3またはGalβ1,4)および適切なガラクトシルドナー(例えばUDP−ガラクトース)を含有する反応混合物とともにインキュベートするステップを含む。反応は実質的に完了するまでの進行が許容され、あるいは予め選択された量のガラクトース残基が付加される場合、反応は終結される。選択された糖類アクセプタを構築する他の方法は、当業者には明らかであろう。
さらに別の実施形態では、グリコペプチドと連結されたオリゴ糖の全部または一部をまず「トリミング」し、シアリルトランスフェラーゼにおけるアクセプタまたは1つまたは複数の適切な残基が適切なアクセプタが得られるように付加しうる部分が暴露される。。グリコシルトランスフェラーゼおよびエンドグリコシダーゼ(例えば米国特許第5,716,812号明細書を参照)などの酵素が反応物の付着およびトリミングにおいて有用である。この方法の別の実施形態では、ペプチドのシアル酸部分は本質的に完全に除去され(例えば、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも99%)、修飾シアル酸のアクセプタが暴露される。
以下の考察では、本発明の方法は、PEG部分を付着させる修飾糖類の使用により例示される。考察は例示を明確にすることに注目している。当業者は、同考察が同様に、修飾糖が治療部分、生体分子または同種のものを担持する場合の実施形態に関連することを理解するであろう。
修飾糖の付加に先立ち炭水化物残基が「トリミングされる」場合の本発明の典型的な実施形態では、高級マンノースが第一世代の二分岐構造に逆トリミングされる(trimmed back)。PEG部分を担持する修飾糖が、「逆トリミング」により暴露される1つまたは複数の糖残基に接合される。一例では、PEG部分がPEG部分に接合されたGlcNAc部分を介して付加される。修飾GlcNAcは、二分岐構造の末端マンノース残基の一方または両方に付着される。あるいは、非修飾GlcNAcを分岐種の末端の一方または両方に付着してもよい。
別の典型的な実施形態では、PEG部分が、ガラクトース残基を有する修飾糖を介して二分岐構造の末端マンノース残基の一方または両方に付加され、それは末端マンノース残基上に付加されたGlcNAc残基に接合される。あるいは、非修飾Galを一方または両方の末端GlcNAc残基に付加してもよい。
さらなる例では、PEG部分が、例えば上で考察された修飾シアル酸を用いてGal残基上に付加される。
別の典型的な実施形態では、高級マンノース構造が二分岐構造を分岐させるマンノースに「逆トリミングされる」。一例では、PEG部分が高分子で修飾されたGlcNAcを介して付加される。あるいは、非修飾GlcNAcがマンノースに付加された後、Galが付着されたPEG部分を有する。さらに別の実施形態では、非修飾のGlcNAcおよびGal残基がマンノースに連続的に付加された後、シアル酸部分がPEG部分で修飾される。
高級マンノース構造を基本のトリ−マンノシルコアに逆トリミングしてもよい。
さらなる典型的な実施形態では、高級マンノースは第1のマンノースの付着対象であるGlcNAcに「逆トリミングされる」。GlcNAcは、PEG部分を担持するGal残基に接合される。あるいは、非修飾GalがGlcNAcに付加された後、水溶性糖で修飾されたシアル酸が付加される。さらなる例では、末端GlcNAcはGalと接合され、次いでGlcNAcはPEG部分を担持する修飾フコースでフコシル化される。
高級マンノースはまた、ペプチドのAsnに付着された第1のGlcNAcに逆トリミングされうる。一例では、GlcNAc−(Fuc)残基のGlcNAcは水溶性高分子を担持するGlcNAcと接合される。別の例では、GlcNAc−(Fuc)残基のGlcNAcは水溶性高分子を担持するGalで修飾される。さらなる実施形態では、GlcNAcはGalで修飾された後、PEG部分で修飾されたシアル酸のGalに接合される。
他の典型的な実施形態は、公有の米国特許出願公開第20040132640号明細書;米国特許出願公開第20040063911号明細書;米国特許出願公開第20040137557号明細書;米国特許出願第10/369,979号明細書;米国特許出願第10/410,913号明細書;米国特許出願第10/360,770号明細書;米国特許出願第10/410,945号明細書およびPCT/US02/32263(これらの各々は参照により本明細書中に援用される)にて示される。
上記実施例は、本明細書に示される方法における能力を例示する。本明細書に記載の方法を用いることで、実質的に任意の所望の構造の炭水化物残基を「逆トリミング」しかつ構築することが可能である。修飾糖は上記の炭水化物部分の末端に付加されうるか、またはペプチドコアと炭水化物の末端の間の中間体でありうる。
典型的な実施形態では、既存のシアル酸がシアリダーゼを用いてグリコペプチドから除去され、それにより内在するガラクトシル残基のすべてまたは大部分がマスクされない。あるいは、ペプチドまたはグリコペプチドがガラクトース残基またはガラクトース単位にて終結するオリゴ糖残基で標識される。ガラクトース残基の暴露後または付加後、適切なシアリルトランスフェラーゼを用いることで修飾シアル酸が付加される。
別の典型的な実施形態では、シアル酸をシアル酸上に転移させる酵素が用いられる。この方法をシアリル化グリカンをシアリダーゼで処理せずに実施することで、グリカン残基がシアル酸下で暴露されうる。典型的な高分子で修飾されたシアル酸は、ポリ(エチレングリコール)で修飾されたシアル酸である。シアル酸および修飾シアル酸部分をグリカンのシアル酸残基上に付加するかまたはグリカン上の既存のシアル酸残基をこれらの種と交換する他の典型的な酵素は、ST3Gal3、CST−II、ST8Sia−II、ST8Sia−IIIおよびST8Sia−IVを含む。
さらなるアプローチでは、マスクされた反応官能性がシアル酸上に存在する。マスクされた反応基は、好ましくは修飾シアル酸のエリスロポエチンへの付着に用いられる条件により影響を受けない。修飾シアル酸のペプチドへの共有結合後、マスクは除去され、かつペプチドはPEGなどの作用物質と接合される。作用物質は、修飾糖残基上のマスクされていない反応基との反応により特定の様式でペプチドに接合される。
任意の修飾糖は、グリコペプチドのオリゴ糖側鎖の糖類末端に応じて、その適切なグリコシルトランスフェラーゼとともに使用可能である。上で考察のように、PEG化構造の導入に必要なグリコペプチドの末端糖は、発現の間に自然に導入されうるか、あるいは発現後に適切なグリコシダーゼ、グリコシルトランスフェラーゼまたはグリコシダーゼとグリコシルトランスフェラーゼの混合物を用いて生成可能である。
さらなる典型的な実施形態では、UDP−ガラクトース−PEGがβ1,4−ガラクトシルトランスフェラーゼと反応することで、修飾ガラクトースが適切な末端N−アセチルグルコサミン構造に転移する。グリコペプチド上の末端GlcNAc残基は、哺乳類、昆虫、植物または菌類などの発現系内で生じうるように発現の間に生成可能であるが、必要に応じてグリコペプチドをシアリダーゼおよび/またはグリコシダーゼおよび/またはグリコシルトランスフェラーゼで処理することによっても生成可能である。
別の典型的な実施形態では、GNT1−5などのGlcNAcトランスフェラーゼを用いることで、PEG化−GlcNAcがグリコペプチド上の末端マンノース残基に転移する。さらに典型的な実施形態では、N−および/またはO−連結グリカン構造がグリコペプチドから酵素的に除去されることで、アミノ酸または末端グリコシル残基が暴露され、後に修飾糖と接合される。例えば、エンドグリカナーゼを用いることで、グリコペプチドのN−連結構造が除去され、末端GlcNAcがグリコペプチド上でGlcNAcと連結されたAsnとして暴露される。UDP−Gal−PEGおよび適切なガラクトシルトランスフェラーゼを用いることで、PEG−ガラクトースの機能性が暴露されたGlcNAc上に導入される。
別の実施形態では、修飾糖は、糖残基をペプチド骨格に転移させるものとして知られるグリコシルトランスフェラーゼを用いてペプチド骨格に直接付加される。本発明の実施に有用である典型的なグリコシルトランスフェラーゼは、GalNAcトランスフェラーゼ(GalNAcT1−14)、GlcNAcトランスフェラーゼ、フコシルトランスフェラーゼ、グルコシルトランスフェラーゼ、キシロシルトランスフェラーゼ、マンノシルトランスフェラーゼなどを含むがこれらに限定されない。このアプローチの利用により、任意の炭水化物が不足しているペプチド上、あるいは既存のグリコペプチド上への修飾糖類の直接付加が可能になる。いずれの場合でも、修飾糖の付加は、グリコシルトランスフェラーゼの基質特異性で規定されるようにペプチド骨格上の特定の位置で生じ、化学的方法を用いたタンパク質のペプチド骨格の修飾の間に生じるようなランダムな様式では生じない。適切なアミノ酸配列のポリペプチド鎖内への設計により、多数の作用物質をグリコシルトランスフェラーゼの基質ペプチド配列が不足しているタンパク質またはグリコペプチドに挿入してもよい。
上記の典型的な実施形態の各々においては、修飾糖のペプチドへの接合後に1つまたは複数のさらなる化学的または酵素的修飾ステップを用いてもよい。典型的な実施形態では、酵素(例えばフコシルトランスフェラーゼ)を用いることで、グリコシル単位(例えばフコース)がペプチドに付着された末端修飾糖上に付加される。別の例では、酵素反応を用いることで、修飾糖における接合に失敗した対象の部位が「キャッピング」される。あるいは、化学反応を用いることで、接合された修飾糖の構造が改変される。例えば、接合された修飾糖は、その修飾糖が付着されらペプチド成分との連結を安定化または不安定化する作用物質と反応する。別の例では、修飾糖の成分がそのペプチドへの接合後に脱保護される。当業者は、修飾糖のペプチドへの接合後の段階で、本発明の方法において有用な酵素的および化学的手順が多数存在することを理解するであろう。さらに、修飾糖−ペプチド接合体については本発明の範囲内で詳述される。
本発明の接合体を調製するための酵素および反応条件が、本願の親特許ならびに共有の公表されたPCT特許出願の国際公開第03/031464号パンフレット、国際公開第04/033651号パンフレット、国際公開第04/099231号パンフレットにて詳細に考察されている。
実施例2で示される選択された実施形態では、昆虫細胞内で発現されるEPOペプチドが、再構築されたグリコペプチド上のグリカンがGlcNAc−Galグリコシル残基を含むように再構築される。GlcNAcおよびGalの付加は、単一の容器内で別々の反応としてまたは単一の反応として生じうる。この実施例では、GlcNAc−トランスフェラーゼIおよびGal−トランスフェラーゼIが用いられる。修飾シアリル部分はST3Gal−IIIを用いて付加される。
実施例3で例示される別の実施形態では、GlcNAc、Galおよび修飾Siaの付加もまた、上記の酵素を用いて単一の反応容器内で生じうる。実施例4は、酵素的再構築およびグリコPEG化の各ステップが個別に実施される場合の方法を示す。
ペプチドが哺乳類細胞内で発現される場合、異なる方法が用いられる。実施例5では、ペプチドはペプチド上のシアル酸を修飾シアル酸と交換してSia−L−Rを形成するかまたは修飾シアル酸をペプチド上のシアル酸上に直接転移させてSia−Sia−L−Rを形成するシアリルトランスフェラーゼとペプチドを接触させることにより、接合に先立つ再構築の必要性を伴わずに接合される。この方法で用いられる典型的な酵素はCST−IIである。シアル酸をシアル酸に付加する他の酵素は当業者に既知であり、かかる酵素の例が図9に示される。
本発明の接合体を調製する別の方法が実施例6に示される。哺乳類系にて発現されるペプチドは、シアリダーゼを用いて脱シアリル化される。暴露されたGal残基は、O−連結グリカンに特異的なシアリルトランスフェラーゼを用いて修飾シアル酸でシアリル化されることで、O−連結の修飾グリカンを有するEPOペプチドをもたらす。脱シアリル化された修飾EPOペプチドは、場合により、ST3GalIIIなどのシアリルトランスフェラーゼを用いて部分的または完全に再シアリル化される。
別の態様では、本発明は、本発明のPEG化エリスロポエチンを作製する方法を提供する。本方法は、(a)
Figure 2008542288
から選択されるグリコシル基を含む基質エリスロポエチンペプチドを化学式
Figure 2008542288
を有するPEG−シアル酸ドナーと前記ドナーからのPEG−シアル酸の前記グリコシル基のGalおよびSiaから選択されるメンバー上への前記転移に適する条件下で転移させる酵素とに接触させるステップを含む。典型的な修飾シアル酸ドナーは、リンカー部分を介して高分子、例えば直鎖または分岐ポリ(エチレングリコール)部分で修飾されるCMP−シアル酸である。
典型的な実施形態では、PEG−シアル酸ドナーは化学式
Figure 2008542288
を有する。
別の典型的な実施形態では、PEG−シアル酸ドナーは化学式
Figure 2008542288
を有する。
さらなる典型的な実施形態では、EPOペプチドはグリコPEG化または再構築に先立ち適切な発現系にて発現される。典型的な発現系はSf−9/バキュロウイルスおよびチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞を含む。
典型的な実施形態では、本発明は、pHが5.5〜8.0である場合のグリコPEG化EPOを作製する方法を提供する。別の典型的な実施形態では、本発明は、金属すなわちMnClまたはMgClが反応混合物中に存在しない場合のグリコPEG化EPOを作製する方法を提供する。さらに別の典型的な実施形態では、本発明は、反応物のヌクレオチド糖すなわちCMP、GDPが反応混合物中に存在しない場合のグリコPEG化EPOを作製する方法を提供する。さらに別の典型的な実施形態では、本発明は、キレート剤すなわちEDTAが反応混合物中に存在しない場合のグリコPEG化EPOを作製する方法を提供する。
さらなる典型的な実施形態では、全部のPEG化糖が反応混合物に一度に添加される。別の典型的な実施形態では、全部のPEG化糖が連続的に添加される。
エリスロポエチン接合体の精製
上記プロセスにより生成される生成物を精製せずに用いてもよい。しかし、通常は生成物ならびに1種または複数種の中間体、例えばヌクレオチド糖、分岐状および線状PEG種、修飾糖類および修飾ヌクレオチド糖を回収することが好ましい。薄層または厚層クロマトグラフィー、カラムクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、あるいは膜濾過などのグリコシル化糖類を回収するための標準の周知の技術を用いてもよい。以下に考察のように、また本明細書にて引用される文献によると、膜濾過を用いることが好ましく、回収を目的として逆浸透膜、または1つまたは複数のカラムクロマトグラフィー技術を用いることがより好ましい。例えば、膜が約3000〜約10,000の分子量カットオフを有する場合の膜濾過を用いることで、グリコシルトランスフェラーゼなどのタンパク質を除去することが可能である。次いで、ナノ濾過または逆浸透を用いることで、塩を除去しかつ/または糖類生成物を精製することが可能である(例えば、国際公開第98/15581号パンフレットを参照)。ナノフィルター膜は、一価塩を通過させるが多価塩、かつ用いられる膜による約100超〜約2,000ダルトンの非荷電溶質を保持する逆浸透膜のクラスである。したがって、典型的な応用では、本発明の方法により調製される糖類は膜内に保持され、かつ混入塩が通過することになる。
もし第1ステップとしてペプチドが細胞内で生成される場合、微粒子残渣である宿主細胞または溶解した断片が除去される。グリコPEG化後、PEG化ペプチドは当該技術分野で認められた方法、例えば遠心分離または限外濾過により精製され、場合により、タンパク質を市販のタンパク質濃縮フィルターで濃縮した後、免疫親和性クロマトグラフィー、イオン交換カラム分別(例えば、ジエチルアミノエチル(DEAE)上またはカルボキシメチル基もしくはスルホプロピル基を有するマトリックス上)、ブルー−セファロース、CMブルー−セファロース、モノ−Q、モノ−S、レンティルレクチン−セファロース、WGA−セファロース、ConA−セファロース、エーテルトーヨーパール(Toyopearl)、ブチルトーヨーパール、フェニルトーヨーパール、またはタンパク質Aセファロース上でのクロマトグラフィー、SDS−PAGEクロマトグラフィー、シリカクロマトグラフィー、クロマトフォーカシング、逆相HPLC(例えば、脂肪族基が付加されたシリカゲル)、例えばセファデックス(Sephadex)分子ふるいまたはサイズ排除クロマトグラフィーを用いたゲル濾過、ポリペプチドと選択的に結合するカラム上でのクロマトグラフィー、ならびにエタノール沈殿または硫酸アンモニウム沈殿から選択される1つまたは複数のステップにより、ポリペプチド変異体を他の不純物から分離することが可能である。
培養にて生成される修飾グリコペプチドは通常、細胞、酵素などからの初期抽出により単離された後、1つまたは複数の濃縮、塩析、水性イオン交換、またはサイズ排除クロマトグラフィーステップが行われる。さらに、修飾糖タンパク質を親和性クロマトグラフィーにより精製可能である。最後に、最終精製ステップにてHPLCを利用可能である。
タンパク質加水分解を阻害するためにプロテアーゼ阻害剤、例えばメチルスルホニルフッ化物(PMSF)を先行するステップのいずれかに含めることが可能であり、かつ外来の汚染物質の成長を阻止するために抗生物質または防腐剤を含めることが可能である。
別の実施形態の範囲内では、本発明の修飾グリコペプチドを生成する系からの上清が、まず市販のタンパク質濃縮フィルター、例えばアミコン(Amicon)製またはミリポア(Millipore)製のペリコン(Pellicon)限外濾過ユニットを用いて濃縮される。濃縮ステップ後、濃縮物を適切な精製マトリックスに適用可能である。例えば、適切な親和性マトリックスは、適切な支持体に結合されたペプチドに対するリガンド、レクチンまたは抗体分子を含有しうる。あるいは、アニオン交換樹脂、例えばペンダント状のDEAE基を有するマトリックスまたは基質を使用可能である。適切なマトリックスは、タンパク質精製にて一般に用いられるアクリルアミド、アガロース、デキストラン、セルロース、または他のタイプを含む。あるいは、カチオン交換ステップを利用可能である。適切な陽イオン交換体は、スルホプロピル基またはカルボキシメチル基を含む様々な不溶性マトリックスを含む。スルホプロピル基は特に好ましい。
精製に用いられる他の方法は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)、水酸化リン灰石クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィーおよびブルーセファロース上のクロマトグラフィーを含む。これらや他の有用な方法が共譲渡された米国仮特許番号(代理人整理番号40853−01−5168−P1、2005年5月6日に出願)に例示されている。
ポリペプチド接合体組成物をさらに精製するため、疎水性RP−HPLC媒体、例えばペンダント状のメチル基または他の脂肪族基を有するシリカゲルを用いる1つまたは複数のRP−HPLCステップを利用可能である。先行する精製ステップの一部または全部を様々に併用することで、均質または本質的に均質の修飾糖タンパク質を得ることも可能である。
大規模発酵から得られる本発明の修飾グリコペプチドを、ウルダル(Urdal)ら、J.Chromatog.296:171頁(1984年)で開示された方法に類似の方法により精製可能である。この参考文献は、分取HPLCカラム上での組換えヒトIL−2の精製における2つの連続的なRP−HPLCステップについて記載している。あるいは、修飾糖タンパク質を精製するため、親和性クロマトグラフィーなどの技術を利用可能である。
典型的な実施形態では、公有の共譲渡された米国仮特許番号(代理人整理番号40853−01−5168−P1、2005年5月6日に出願)に示された方法により精製がなされる。
医薬組成物
別の態様では、本発明は医薬組成物を提供する。医薬組成物は、医薬的に許容できる希釈剤および非天然のPEG部分、治療部分または生体分子とグリコシル化または非グリコシル化ペプチドの間の共有結合接合体を含む。高分子、治療部分または生体分子は、ペプチドと高分子、治療部分または生体分子の間に挿入されかつそれら双方に共有結合される無傷グリコシル連結基を介してペプチドに接合される。
本発明の医薬組成物は、種々の薬剤送達系における使用に適する。本発明で用いられる適切な製剤は、Remington’s Pharmaceutical Sciences、メイス・パブリッシング・カンパニー(Mace Publishing Company)、フィラデルフィア(Philadelphia)、ペンシルバニア州、第17版(1985年)の中に見出される。薬剤送達のための方法に関する短いレビューについては、ランガー(Langer)、Science 249:1527〜1533頁(1990年)を参照のこと。
医薬組成物を、例えば局所投与、経口投与、経鼻投与、静脈内投与、頭蓋内投与、腹腔内投与、皮下投与または筋肉内投与を含む、投与の任意の適切な様式に対して調合可能である。皮下注射などの非経口投与においては、担体は、好ましくは水、生理食塩水、アルコール、脂肪、ワックスまたは緩衝液を含有する。経口投与においては、任意の上記担体またはマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、ナトリウムサッカリン、滑石粉、セルロース、グルコース、スクロース、およびマグネシウムカーボネートなどの固体担体を使用可能である。生分解性ミクロスフィア(例えば、ポリ乳酸塩、ポリグリコール酸塩)を本発明の医薬組成物における担体としても使用可能である。適切な生分解性ミクロスフィアは、例えば米国特許第4,897,268号明細書および米国特許第5,075,109号明細書に開示されている。
一般に、医薬組成物は非経口投与、例えば静脈内投与される。したがって、本発明は、許容できる担体、好ましくは水性担体、例えば水、緩衝用水、生理食塩水、PBSなどの中に溶解または懸濁される化合物を含有する非経口投与用組成物を提供する。組成物は、pH調整剤および緩衝剤、等張化剤、浸潤剤、洗浄剤など、生理的条件に近づけるのに必要な医薬的に許容できる補助剤を含有しうる。
これらの組成物は、従来の滅菌技術により殺菌可能であるか、または無菌濾過可能である。得られる水溶液は、使用においてそのままパッケージング可能であるか、または凍結乾燥可能であり、ここで凍結乾燥された調製物は投与に先立ち無菌の水性担体と結合される。製剤のpHは、典型的には3〜11、より好ましくは5〜9および最も好ましくは7〜8ということになる。
一部の実施形態では、本発明のグリコペプチドを標準の小胞形成脂質から形成されるリポソームに取り込むことが可能である。リポソームを調製するため、例えばスゾカ(Szoka)ら、Ann.Rev.Biophys.Bioeng.9:467頁(1980年)、米国特許第4,235,871号明細書、米国特許第4,501,728号明細書および米国特許第4,837,028号明細書に記載のように種々の方法の利用が可能である。種々の標的化剤(例えば本発明のシアリルガラクトシド)を用いるリポソームの標的化は、当該技術分野で周知である(例えば、米国特許第4,957,773号明細書および米国特許第4,603,044号明細書を参照)。
標的化剤をリポソームに共役するための標準的方法を用いてもよい。これらの方法は、一般にホスファチジルエタノールアミンなどの脂質成分のリポソームへの取り込みを含み、同成分は標的化剤または本発明の脂質−誘導体化グリコペプチドなどの誘導体化された親油性化合物を付着するために活性化されうる。
標的化機構では、一般に、標的部分が標的、例えば細胞表面受容体との相互作用において使用可能な方法で標的化剤がリポソーム表面上に位置づけられる必要がある。本発明の炭水化物を、リポソームが当業者に既知の方法を用いて形成される前に脂質分子に付着させることが可能である(例えば、長鎖アルキルハロゲン化物または脂肪酸で炭水化物上に見られる水酸基の各アルキル化またはアシル化)。あるいは、リポソームを、コネクタ部分がまず膜の形成時に膜に取り込まれるような方法で構築することが可能である。コネクタ部分は親油性部分を有する必要があり、同部分は膜内に強固に埋め込まれるとともに固定される。それはまた反応性部分を有する必要があり、同部分はリポソームの水性表面上で化学的利用が可能である。反応性部分は、標的化剤または炭水化物と安定な化学結合を形成するのに化学的に適するように選択され、後に付加される。ある場合には、標的剤をコネクタ分子に直接付着することは可能であるが、たいていの場合、第3の分子を用いて化学的架橋として作用させることにより、膜に内在するコネクタ分子を小胞表面から外部に三次元的に延在した標的剤または炭水化物と連結することの方が適切である。
本発明の方法により調製される化合物には、診断試薬としての用途を見出すことも可能である。例えば、標識化合物を用いることで、炎症を有する疑いがある患者における炎症または腫瘍転移の領域の位置が示される。この用途においては、化合物を125I、14C、または三重水素で標識してもよい。
本発明の医薬組成物中で用いられる活性成分は、骨髄細胞における網状赤血球および赤血球の生成増大を誘発する生物学的特性を有するグリコPEG化エリスロポエチンおよびその誘導体である。
本発明の製剤は、慢性腎不全患者、ジドビジン(zidovidine)で治療されたHIV感染患者、および化学療法中の癌患者に関連した貧血を含む様々な形態の貧血など、赤血球生成の低さまたは欠陥により特徴づけられる血液疾患の治療における非経口製剤として有用である。それはまた、鎌型赤血球病、β−サラセミア、嚢胞性線維症、妊娠および月経不順、未熟児早期貧血、脊髄障害、宇宙飛行、急性失血、老化など、血液学的不整(hematologic irregularity)における種々の病状、障害および症状の治療における適用を有しうる。好ましくは、本発明のEPO組成物は非経口投与される(例えばIV、IM、SCまたはIP)。有効用量が、治療される症状および投与経路に応じて大幅に変化すると想定されるが、活性物質の約0.1(約7U)〜100(約7000U)μg/kg体重の範囲内であると想定される。貧血症状の治療における好ましい用量は、週に3回、約50〜約300単位/kgである。本発明がインビボで増大した滞留時間を有するエリスロポエチンを提供することから、本発明の組成物が投与される場合、上記用量は場合により低下する。
別の実施形態では、本発明は、治療を必要とする被験者における組織損傷を治療する方法を提供する。典型的な損傷は、虚血、外傷、炎症または毒性物質との接触に起因する損傷により特徴づけられるものを含む。本方法は、被験者における組織損傷を改善するのに有効な量の本発明の高分子修飾エリスロポエチンペプチドを被験者に投与するステップを含む。保護または治療の典型的なクラスは、神経保護(例えば、脳卒中、アルツハイマー病、パーキンソン病および他の変性神経障害の治療)を含む。組織保護においてEPOを用いる方法は当該技術分野で既知である。例えば、米国特許第6,531,121号明細書を参照のこと。本発明の修飾EPOは、腎機能障害、癌、および網膜症などの疾患を有する患者の治療においても用いられる。さらなる典型的な実施形態では、本方法で用いられるEPOペプチドは、赤血球を生成しないまたは本質的に赤血球を生成しない活性ペプチドである。
本発明の組成物の調製に用いられる種における調製方法が、一般に、様々な特許公報、例えば米国特許出願公開第2004/0137557号明細書、国際公開第04/083258号パンフレットおよび国際公開第04/033651号パンフレットにて示される。本発明の接合体および方法を例示するものの特許請求される発明を限定しないものとして、以下の例が提供される。
エリスロポエチン製剤
本発明の態様は、本発明の高分子修飾EPOペプチドを含有するエリスロポエチン(EPO)製剤を提供する。通常、本発明のEPO製剤は、例えばEPOペプチド濃度に基づき、約0.01mg/ml〜約100mg/ml、0.1mg/ml〜約10mg/ml、または0.1mg/ml〜約1mg/mlの本発明の高分子修飾EPOペプチドを含有する。あるいは、本発明のEPO製剤は、少なくとも約10単位、50単位、もしくは100単位/μgの本発明の高分子修飾EPOペプチドまたは少なくとも約1000単位、2000単位、もしくは5000単位/μgのEPOペプチドを含有する。
一実施形態では、本発明のEPO製剤は実質的に安定であり、例えばSDS−PAGEまたはサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)による測定によると、それが有する凝集は最小レベルまたは検出不能なレベルである。例えば、本発明のEPO製剤が有する凝集は、SECによる測定によると、5℃、18℃、または室温、例えば30℃までで1、2または3か月までにわたり全く検出可能なレベルではない。あるいは、本発明のEPO製剤が有する凝集は、SECによる測定によると40℃で3週、4週、または5週までにわたり25%、22%、20%、15%、10%、8%、5%、3%、2.5%、または1.5%未満である。
本発明によると、EPO製剤の安定性は、製剤中のトリ−+テトラ−PEG化EPOペプチド、すなわちPEG部分を含有する修飾シアル酸部分が製剤中のEPOペプチド上のグリコシル残基の3つまたは4つの分岐に付着される場合における分布によっても測定可能である。一実施形態では、本発明のEPO製剤が有するトリ−+テトラ−PEG−EPO含量は、RP−HPLCによる測定によると、5℃、18℃、または室温、例えば30℃までで3週、4週、5週、2か月、または3か月までにわたり20%、15%、10%、5%、2%、1%未満減少する。別の実施形態では、本発明のEPO製剤が有するトリ−+テトラ−PEG−EPO含量における減少は全く顕著なものではなく、例えばRP−HPLCによる測定によると5℃で3か月までにわたり1%、0.5%、0.1%、0.05%未満、または0%である。
通常、本発明のEPO製剤における安定性は、本発明の高分子修飾EPOペプチドの濃度に関連する。製剤中の高分子修飾EPOペプチドの濃度が上昇するにつれ、凝集のレベルが高くなる。高分子修飾EPOペプチドの凝集を、pHを例えば約6.5で制御することにより低下させてもよい。一実施形態では、製剤中のEPOペプチドの濃度が0.2mg/ml以下である場合、本発明のEPO製剤が有する凝集はSECによる測定によると5℃または室温まで、例えば30℃で3か月までにわたり全く検出可能なレベルではないか、あるいは本発明のEPO製剤が有する凝集はSECによる測定によると40℃で5週までにわたり3%、2.6%、1.6%または1.5%未満である。別の実施形態では、製剤中のEPOペプチドの濃度が0.2mg/ml以下である場合、本発明のEPO製剤が有するトリ−+テトラ−PEG−EPO含量は、RP−HPLCによる測定によると、5℃、室温、例えば30℃または40℃で5週または3か月までにわたり8%、6.8%、6%、5%、4%、2.7%、1.6%、1%、0.9%、0.5%、0.1%未満、または0%減少する。
さらに別の実施形態では、製剤中のEPOペプチドの濃度が0.5mg/ml以下である場合、本発明のEPO製剤が有する凝集はSECによる測定によると5℃で3か月までにわたり全く検出可能なレベルではないか、あるいは本発明のEPO製剤が有する凝集はSECによる測定によると40℃で5週までにわたり25%、22%、15%、10%、9%、または8%未満である。さらに別の実施形態では、製剤中のEPOペプチドの濃度が0.5g/ml以下である場合、本発明のEPO製剤が有するトリ−+テトラ−PEG−EPO含量は、RP−HPLCによる測定によると、5℃、室温、例えば30℃または40℃で5週または3か月までにわたり15%、12%、11.1%、5.8%、5.7%、6.2%、1.7%、1.2%、0.6%、0.1%未満、または0%減少する。
EPO製剤の安定性は、EPO製剤のpH範囲にも関連しうる。一実施形態では、本発明のEPO製剤が有する凝集は、EPO製剤のpHがそれぞれ5.5、6、または6.5である場合、SECによる測定によると40℃で5週までにわたり2.6%、1.6%、または1.5%未満である。別の実施形態では、本発明のEPO製剤が有する凝集は、EPO製剤のpHがそれぞれ5.5、6、または6.5である場合、SECによる測定によると30℃で3か月までにわたり4.6%、1.8%、または0.9%未満である。さらに別の実施形態では、本発明のEPO製剤が有する凝集は、EPO製剤のpHがそれぞれ5.5、6、または6.5である場合、SECによる測定によると40℃で5週までにわたり22.2%、9.8%、または8.1%未満である。さらに別の実施形態では、本発明のEPO製剤が有する凝集は、EPO製剤のpHが約5.5〜約6.5、例えばpHが5.5、6、または6.5である場合、SECによる測定によると5℃または室温、例えば30℃で3か月までにわたり検出不能なレベルである。
さらに別の実施形態では、本発明のEPO製剤が有するトリ−+テトラ−PEG−EPO含量は、EPO製剤のpHがそれぞれ5.5、6、または6.5である場合、RP−HPLCによる測定によると40℃で5週までにわたり6.8%、2.7%、または1.6%未満減少する。さらに別の実施形態では、本発明のEPO製剤が有するトリ−+テトラ−PEG−EPO含量は、EPO製剤のpHが約5.5〜約6.5、例えばpHが5.5、6、または6.5である場合、その減少は全く顕著なものではなく、例えばRP−HPLCによる測定によると5℃で3か月までにわたり1%、0.5%、0.1%、0.05%未満、または0%である。さらに別の実施形態では、本発明のEPO製剤が有するトリ−+テトラ−PEG−EPO含量は、EPO製剤のpHがそれぞれ5.5、6、または6.5である場合、RP−HPLCによる測定によると室温、例えば30℃で3か月までにわたり6%、0.9%未満、または0%減少する。
さらに別の実施形態では、本発明のEPO製剤が有するトリ−+テトラ−PEG−EPO含量は、EPO製剤のpHがそれぞれ5.5、6、または6.5である場合、RP−HPLCによる測定によると40℃で5週までにわたり11.1%、5.8%、または5.7%未満減少する。さらに別の実施形態では、本発明のEPO製剤が有するトリ−+テトラ−PEG−EPO含量は、EPO製剤のpHが約5.5〜約6.5、例えばpHが5.5、6、または6.5である場合、その減少は全く顕著なものではなく、例えばRP−HPLCによる測定によると5℃で3か月までにわたり1%、0.5%、0.1%、0.05%未満、または0%である。さらに別の実施形態では、本発明のEPO製剤が有するトリ−+テトラ−PEG−EPO含量は、EPO製剤のpHがそれぞれ5.5、6、または6.5である場合、RP−HPLCによる測定によると室温、例えば30℃で3か月までにわたり6.2%、1.7%、または1.2%未満減少する。
本発明の別の実施形態では、本発明のEPO製剤は約4〜約8、約5〜約7または約5.5〜約6.5のpH範囲を有する。一般に、本発明のEPO製剤のpH範囲は、製剤で用いられる緩衝液系に関連するが、後に考察のように、pH範囲は製剤中の種々の他の成分、例えば等張化剤によっても影響を受けることになる。一実施形態では、酢酸塩緩衝液が製剤にて用いられる場合、EPO製剤のpH範囲は約5.5である。別の実施形態では、クエン酸塩緩衝液が用いられる場合、EPO製剤のpH範囲は約6〜約6.5である。
本発明のさらに別の実施形態では、本発明のEPO製剤は、例えば約5mM〜約1M、約5mM〜約100mM、約5mM〜約50mM、約100mM〜約200mMまたは約5mM〜約20mMの緩衝液を含有する。一般に、本発明のEPO製剤の調製において選択される緩衝液は、酢酸塩、カーボネート、クエン酸塩、グルコン酸塩、ヒスチジン、乳酸塩、マレイン酸塩、リン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩およびトリスを含むがこれらに限定されない、1つまたは複数の任意の数の塩を含有しうる。特に、クエン酸塩緩衝液および界面活性剤を含有する製剤は、凝集や加水分解に対する優れた安定性などの所望の特性を有する。一部の実施形態では、本発明のEPO製剤は、約1mM〜約50mMのクエン酸塩緩衝液およびより好ましくは約5mM〜約25mMのクエン酸塩緩衝液を含有する。典型的なEPO製剤は、約10mMのクエン酸塩緩衝液を含有する。コハク酸塩を含有する製剤はクエン酸塩製剤よりも酸化される傾向があまり高くない点で有用である。
一実施形態では、EPO製剤の調製における緩衝液は、約4〜約8のpH範囲の、酢酸塩、クエン酸塩、リン酸塩またはコハク酸塩である。別の実施形態では、本発明のEPO製剤用の緩衝液は、約5.5〜約6.5のpH範囲の、酢酸塩、クエン酸塩、ヒスチジン、リン酸塩またはコハク酸塩である。さらに別の実施形態では、本発明のEPO製剤中の緩衝液は、約5mM〜約20mMの濃度の酢酸ナトリウムまたはクエン酸ナトリウムである。本明細書で開示される任意の緩衝液をEPO製剤中で単独使用または併用してもよい。
本発明のさらに別の実施形態では、本発明のEPO製剤は、例えば製剤の張力を等張性に調整する1種または複数種の等張化剤を含有する。一実施形態では、本発明のEPO製剤に適する等張化剤は、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、リン酸ナトリウム、スクロース、トレハロース、ソルビトール、マンニトール、ヒスチジン、アルギニン、およびグリシンを含むがこれらに限定されない任意の適切な作用物質でありうる。別の実施形態では、本発明のEPO製剤における等張化剤は、例えば約70mM〜約150mMの塩化ナトリウムである。さらに別の実施形態では、本発明のEPO製剤における等張化剤は、例えば0mM超〜約300mM、約65mM〜約120mMのスクロースである。本発明の典型的な実施形態では、塩化ナトリウムとスクロースの双方が、EPO製剤の安定性に対する相乗効果を意図して等張化剤として用いられる。
本発明のさらに別の実施形態では、本発明のEPO製剤は、例えば約0.001%〜1%、約0.01%〜約0.5%、または約0.005%〜約0.01%の1種または複数種の界面活性剤を含有する。一実施形態では、SDS、ポリソルベートまたはプルロニックなどの界面活性剤が本発明のEPO製剤中で用いられる。別の実施形態では、例えば約0.005%〜約0.01%のポリソルベート20(Tween−20としても知られる)が本発明のEPO製剤中で用いられる。Tween−20および緩衝液を含有する製剤は、特に望ましい特性を有し、その凝集および加水分解速度の観点で優れた安定性を示す。本発明の一部の実施形態では、約0.001%〜約0.1%のTween−20が用いられる。より好ましくは、約0.005%〜約0.05%のTween−20が本発明のEPO製剤中で用いられ、かつ典型的な実施形態では、約0.01%のTween−20が用いられる。さらに別の実施形態では、本発明のEPO製剤は、界面活性剤として約1%〜約20%の範囲の量のPEGまたはPEG誘導体を含有する。
本発明のさらに別の実施形態では、本発明のEPO製剤は少なくとも1種の安定剤を含有する。安定剤により、折り畳まれた状態のタンパク質が、当該技術分野で既知の種々の機構、例えば選択的水和、折り畳まれていない種の疎水性パッチのマスキング、分子間イオン相互作用の阻害、タンパク質分子への結合、または空気/液体界面への暴露の間におけるタンパク質分子の酸化の阻止により安定化しうる。本発明の実施形態にて使用可能な安定剤の例として、二糖類、アミノ酸、グリセロール、アルブミンまたはPEGが挙げられる。目的の典型的なアミノ酸には、グリシン、リジン、ヒスチジン、およびアルギニンが挙げられる。本発明の一部の実施形態では、約10mM〜約500mMのアミノ酸が用いられる。任意のこれらの安定剤をEPO製剤中で単独使用または併用してもよい。
本発明のさらに別の実施形態では、本発明のEPO製剤は、EDTAまたはペンテト酸などの金属キレート剤を含有する。EPO製剤中での金属キレート剤の存在は、タンパク質を金属イオンを含む酸化およびそれに起因する分解から保護しうる。
本発明のさらに別の実施形態では、本発明のEPO製剤は抗酸化剤を含有する。例えば、抗酸化剤の存在は、EPO製剤の酸化の度合いを低減し、その分解を低減しうる。本発明の実施形態にて使用可能な抗酸化剤の例として、アスコルビン酸塩、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、ブチル化ヒドロキシルトルエン(BHT)、システイン、メチオニン、チオグリセロールまたはチオグリコール酸が挙げられる。
本発明のさらに別の実施形態では、本発明のEPO製剤は、長期の保存および処理の期間における製剤中での微生物の成長を阻止する抗菌防腐剤を含有する。
本発明の接合体および方法を例示するために以下の実施例が提供されるが、特許請求される発明を限定するものではない。
実施例1
システイン−PEG(2)の調製
Figure 2008542288
1.1 化合物1の合成
水酸化カリウム(粉末として84.2mg、1.5mmol)を、アルゴン下で無水メタノール(20L)中のL−システイン(93.7mg、0.75mmol)の溶液に添加した。混合物を室温で30分間撹拌し、次いで分子量20キロダルトン(Ts;1.0g、0.05mmol)のmPEG−O−トシレートを数回に分けて2時間かけて添加した。混合物を室温で5日間撹拌し、回転蒸発により濃縮した。残留物を水(30mL)で希釈し、室温で2時間撹拌し、任意の過剰な20キロダルトンのmPEG−O−トシレートを破壊した。次いで、溶液を酢酸で中和し、pHをpH5.0に調整し、逆相クロマトグラフィー(C−18シリカ)カラム上に充填した。カラムをメタノール/水の勾配で溶出させ(約70%メタノールで生成物を溶出)、溶出生成物を蒸発光散乱により監視し、適切な画分を回収し、水(500mL)で希釈した。この溶液をクロマトグラフにかけ(イオン交換、XK50Q、BIGビーズ、300mL、水酸化物形態;水の勾配を水/酢酸−0.75N)、適切な画分のpHを酢酸を用いて6.0に低下させた。次いで、この溶液を逆相カラム(C−18シリカ)上で捕捉し、上記のメタノール/水の勾配で溶出した。生成物画分を貯蔵し、濃縮し、水中に再溶解し、凍結乾燥して453mg(44%)の白色固体(1)を得た。化合物における構造データは以下の通りであった。H−NMR(500MHz;DO)δ2.83(t、2H、O−C−CH−S)、3.05(q、1H、S−CHH−CHN)、3.18(q、1H、(q、1H、S−CHH−CHN)、3.38(s、3H、CHO)、3.7(t、OCHCHO)、3.95(q、1H、CHN)。生成物の純度をSDS PAGEにより確認した。
1.2 化合物2(システイン−PEG2)の合成
トリエチルアミン(約0.5mL)を、無水CHCl(30mL)中に溶解した化合物1(440mg、22μmol)の溶液に溶液が塩基性になるまで滴下添加した。CHCl(20mL)中の20キロダルトンのmPEG−O−p−ニトロフェニルカーボネート(660mg、33μmol)とN−ヒドロキシサクシニミド(3.6mg、30.8μmol)の溶液を数回に分けて室温で1時間かけて添加した。反応混合物を室温で24時間撹拌した。次いで、溶媒を回転蒸発により除去し、残留物を水(100mL)中に溶解し、pHを1.0N NaOHを用いて9.5に調整した。塩基性溶液を室温で2時間撹拌し、次いで酢酸を用いてpH7.0に中和した。次いで、溶液を逆相クロマトグラフィー(C−18シリカ)カラム上に充填した。カラムをメタノール/水の勾配で溶出させ(約70%メタノールで生成物を溶出)、溶出生成物を蒸発光散乱により監視し、適切な画分を回収し、水(500mL)で希釈した。この溶液をクロマトグラフにかけ(イオン交換、XK50Q、BIGビーズ、300mL、水酸化物形態;水の勾配を水/酢酸−0.75N)、適切な画分のpHを酢酸を用いて6.0に低下させた。次いで、この溶液を逆相カラム(C−18シリカ)上で捕捉し、上記のメタノール/水の勾配で溶出した。生成物画分を貯蔵し、濃縮し、水中に再溶解し、凍結乾燥して575mg(70%)の白色固体(2)を得た。化合物における構造データは以下の通りであった。H−NMR(500MHz;DO)δ2.83(t、2H、O−C−CH−S)、2.95(t、2H、O−C−CH−S)、3.12(q、1H、S−CHH−CHN)、3.39(s、3H、CHO)、3.71(t、OCHCHO)。生成物の純度をSDS PAGEにより確認した。
実施例2
以下の例は、昆虫細胞内で発現されるEPOペプチドを修飾する方法について詳述する。
1ポットでのGnT1およびGalT1反応
2.1 1ポットでの反応
1ポットでのGlcNAcトランスフェラーゼ−1およびガラクトーストランスフェラーゼ−1反応を、5mMのUDP−GlcNAc、5mM UDP−Gal、5mM MnCl、0.02%ナトリウムアジド、30mU/mLの精製GlcNAcトランスフェラーゼ−1、200mU/mLの精製ガラクトーストランスフェラーゼ−1および150mM NaClを含有する100mMトリスHCl pH7.5またはMES pH6.5の中で昆虫由来のEPO(1mg/mL)を32℃で16時間インキュベートすることにより実施した。
2.2 スーパーデックス(Superdex)75上でのEPOの精製
スーパーデックス75カラムを、流速5mL/分、150mM NaClを含有する100mMのMES緩衝液 pH6.5の中で平衡化した。ステップ2.1(上記)から得たEPO生成物をカラム上に充填し、平衡化緩衝液で溶出した。溶出液における280nmでの吸光度および伝導度について監視した。SDS−PAGEを用いてどの貯蔵されたピーク画分がEPOを含有するかを判定し、次の実験にてそれを用いた。
2.3 ST3Gal−III反応
ST3GalIII反応を、0.5mM CMP−N−アセチル−ノイラミン酸−20キロダルトン−PEG、0.02%ナトリウムアジド、200mU/mLの精製ST3Gal−IIIおよび150mM NaClを含有する100mMトリスHCl pH7.5またはMES pH6.5の中で1mg/mLのEPO−Gal(ステップ2.2から得たもの、上記)を32℃で16時間インキュベートすることにより実施した。
実施例3
1ポットでのGnT1、GalT1およびST3Gal−III(CMP−NAN−20KPEG使用)反応
昆虫細胞内で発現されたEPO(1mg/mL)を、100mM MES緩衝液 pH6.5の中の糖ヌクレオチドおよびCMP−N−アセチル−ノイラミン酸−20Kd PEGを有する30mU/mLのGlcNAcトランスフェラーゼ−1、200mU/mLのガラクトーストランスフェラーゼ−1および500mU/mLのST3GalIIIとともにインキュベートし、SDS−PAGEを用いて分析した。2ステップの酵素的再構築反応にて得られた結果と同様、3つのバンドのPEG化EPOが1ポットの3種の酵素製剤中に見られる。
実施例4
二分岐PEG−EPOの生成
4.1 GlcNAcのrEPOへの付加
pH7.2での0.1Mトリス、0.15M NaCl、5mM MnClおよび0.02%ナトリウムアジドの中の昆虫細胞(1mg/mL)内で発現された組換えEPOを、3mM USP−GlcNAc、50mU/mgのGlcNAcトランスフェラーゼ−1および50mU/mgのGlcNAcトランスフェラーゼ−IIとともに32℃で24時間インキュベートした。
4.2 ガラクトースの添加
ステップ8.1(上記)のGlcNAc標識ペプチドに、3mM UDP−Galおよび0.2U/mgのガラクトーストランスフェラーゼ−1を添加した。混合物を32℃で36時間インキュベートした。ガラクトシル化された生成物を、トリス−緩衝生理食塩水中、スーパーデックス75カラム上でゲル濾過クロマトグラフィーにより単離した。精製生成物を1mg/mLに濃縮した。
4.3 シアル酸またはシアル酸PEGの添加
pH7.2での0.1Mトリス、0.1M NaClの中のステップ4.2(上記)から得たガラクトシル化された生成物(1mg/mL)を、200mU/mgのST3GalIIIおよび0.5mMのCMP−シアル酸またはCMP−シアル酸−PEG(PEGが5kDa、10kDa、20kDaまたは30kDaの分子量を有する場合)とともに32℃で24時間インキュベートした。
実施例5
CST−IIによるN−連結の30KのPEG化
CHO(チャイニーズハムスター卵巣)細胞(5mg、0.166μmol、5mL)内で発現された、グリコシル化されたEPOを濃縮し、緩衝液をトリス緩衝液(50mMトリス、0.15M NaCl、0.001M CaCl+0.005% NaN)と交換して最終容量を5mLにした。次いで、CMP−シアル酸−PEG(30キロダルトン、25mg、0.833μmol;30KダルトンのCMP−シアル酸−PEGの構造については図3Bを参照)、0.25mL、100mM MnCl、0.25mL、およびカンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)由来の二官能性シアリルトランスフェラーゼ、CST−II(1.4U/mL、0.5mL、0.7U)を添加した。生成混合物を32℃で48時間振とうした。
反応終了時、混合物を限外濾過により1mLの最終容量にまで濃縮し、次いで緩衝液を25mM NaOAc+0.005% Tween−80(pH6.0)と交換して2.5mLにした。溶出剤として25mM NaOAc+2M NaCl+0.005% Tween−80(pH6.0)を用い、Q−セファロース(Q−Sepharose)IEXクロマトグラフィーを実施した。ピーク2を回収し、限外濾過により1.5mLにまで濃縮し、次いで溶出剤として1XPBS(pH5.5+0.005%Tween80)を用い、スーパーデックス−200での精製(カラム:スーパーデックス200、16/60GL、アマシャム(Amersham))を施した。ピーク2を回収し、1.5mLにまで濃縮した。この生成物質を無菌濾過し、10mM NaOAc(0.75%NaCl、pH5.5)を用いて2.5mLの最終容量になるまで調合した。タンパク質濃度264μg/mL;660μgのタンパク質を得た(BCA測定)。
実施例6
以下の実施例は、ST3GalIIIを用いてO−連結の40キロダルトンPEGに連結したEPOを調製するための方法を例示する。
6.1 脱シアリル化
このステップでは、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO細胞)内で成長したEPOを脱シアリル化した。GalNAc−Gal結合は、下記ステップ6.2では修飾シアル酸PEGの転移におけるアクセプタとしての役割を果たす。
CHO(チャイニーズハムスター卵巣)細胞内で発現された、グリコシル化されたEPO溶液10mL(10mg、0.33μmol)はトリス緩衝液(20mMトリス、50mM NaCl、5mM CaCl、0.02%NaN、pH7.2)で緩衝液交換し、10mLの最終容量を得た。次いで、アルスロバクター・ウレアファキエンス(Arthrobacter Ureafaciens)由来の750mUの2、3、6、8−ノイラミダーゼを溶液に添加した。生成混合物を32℃で48時間振とうした。このステップの生成物をプロトコルの次のステップにて直接用いた(下記参照)。
6.2 O−連結の40KのPEG化
このステップでは、ST3Gal2を用い、修飾シアル酸−PEG部分を上記ステップ6.1から得た脱シアリル化されたEPOに転移させる。
CMP−シアル酸−PEG(40キロダルトン、33mg、0.825μmol;40キロダルトンのCMP−SA−PEGの構造については図3Aを参照)、O−グリカンに特異的なシアリルトランスフェラーゼ(1.4U/mL、300mU)(ST3GalIまたはST3GalII)、および0.25mLの100mM MnClを上記混合物の半分に添加した。この混合物を32℃で48時間振とうした。48時間後、反応混合物を限外濾過(MWCO 5K)により2.8mLにまで濃縮し、次いで緩衝液を25mM NaOAc+0.001% Tween−80、pH6.0)と交換して最終容量を3mLにした。最終生成物をSP(5mL)上で3回(3回の注入、各々1mL)イオン交換精製した。PEG化EPO(ピーク2)を回収し、限外濾過により濃縮し、SEC精製において最終容量を2mLにした。スーパーデックス200上での精製により、反応の最終ステップにおいて所望のタンパク質:EPO−GlcNAc−Gal−SA−PEG(40K)の解像度が得られた。
6.3 CHO−EPO−GalNAc−Gal−SA−PEG(40K)の末端シアリル化
プロセスのこのステップでは、シアル酸を修飾シアル酸残基を担持しないグリコシル構造の末端に付加した。
結合されたPEG化EPO(上記ステップbにおける反応物から約2mg)を限外濾過(MWCO 5K)により濃縮し、次いで緩衝液をトリス緩衝液(0.05Mトリス、0.15M NaCl、0.001M CaCl+0.005%NaN)と交換し、最終容量を2mLにした。次いで、CMP−N−アセチルノイラミン酸(CMP−NANA;1.5mg、2.4μmol)、ST3GalIII(8.9U/mL、10μl、0.089U)および50μlの100mM MnClを添加した。生成混合物を32℃で24時間振とうし、次いで1mLの最終容量になるまで濃縮した。この溶液に、溶出剤として1XPBS(pH5.5+0.005% Tween−80)を用い、スーパーデックス200での精製を直接施した。ピーク1を回収し、10mLに希釈した。タンパク質濃度は52.8ug/mLであった(BCA)。全体で528μgのタンパク質を得た。
実施例7
この実施例では、静脈内投与した、CHOに由来するEPOとCHOに由来するEPOのグリコPEG化変異体の薬物動態特性をELISAアッセイを用いて比較した。
CHOに由来するEPOの2つの非PEG化バッチ、本発明の方法によって生成した30KのPEG化されたCHOに由来するエリスロポエチン、および本発明の方法によって生成した40KのPEG化されたCHOに由来するエリスロポエチンにおける薬物動態を、ラットへの単回で30μg/kgの静脈内投与後にELISAにより比較した。測定は、ユウロピウム検出を用いる一般に認められたELISA手順に従った。
7.1 結果
各プレート由来の標準タンパク質からのユウロピウムの計数値を用い、標準線形回帰曲線および方程式を生成した。方程式を用い、各試料ウェルにおいてユウロピウム計数値をそれに相当するEPO量に変換した。
結果を図6に示す。検出限界は、非PEG化EPOについては約0.4ng/mLおよび30キロダルトンおよび40キロダルトンのPEG化EPOの双方については約0.8ng/mLである。
実施例8
この実施例では、皮下投与した、CHOに由来するエリスロポエチン(EPO)、高グリコシル化された非グリコPEG化EPO、昆虫細胞で成長されたグリコPEG化EPO、およびCHO細胞に由来するグリコPEG化EPOの薬物動態特性をELISAアッセイを用いて測定した。
非グリコPEG化されたCHOに由来するEPO、非PEG化され高グリコシル化されたCHOに由来するEPO、グリコPEG化された昆虫細胞に由来するEPO;10KのN−連結のPEG化された昆虫細胞に由来するエリスロポエチン、および40キロダルトンのO−連結のPEG化されたCHOに由来するエリスロポエチンの薬物動態を、ラットへの単回で10μg/kgの皮下投与後にELISAにより比較した。
8.1薬物動態学的結果
これらの実験結果を図8に示し、EPOのng/mLでの平均量およびラット血清試料における各EPO変異体群に対する注射時間=0時間後の異なる時点での標準偏差を示す。非PEG化EPOおよびPEG化EPOにおける検出限界は約0.3ng/mLである。
実施例9
精製した10KのPEG−EPOおよび20KのPEG−EPOを、アミコン−ウルトラ(Amicon−ultra)−4限外濾過チューブを4℃、3,000gで用い、1mg/mlに回転濃縮(spin−concentrated)した。次いで、それらを10倍の20mMの万能緩衝液(4mMのグリシン、4mMのクエン酸、4mMのヘペス(N−[2−ヒドロキシエチル]ピペラジン−N’−[2−エタンスルホン酸])、4mMのMES(2−[N−モルホリン]エタンスルホン酸一水和物)および4mMのトリス塩酸塩(トリス[ヒドロキシメチル]−アミノメタンHCl)(フィッシャー(fisher)、ロット番号040665)をpH4〜pH8に調整)に希釈し、pH4〜pH8のpH範囲、各々0.5単位を有する0.1mgのPEG−EPOを取得した。
次いで、溶液を0.22μmのシリンジフィルタ(ミレックス(Millex)−GV)を通して濾過し、500μlの分割量を2mlのHPLCバイアル内に満たした。次いで、異なるpHを有するPEG−EPO試料を5℃および40℃インキュベーター内に入れた。2週目および4週目の時点で、PEG−EPOの安定性をUVスキャン、SDS−PAGE、RP−HPLC(逆相HPLC)、およびSEC−HPLC(サイズ排除クロマトグラフィーHPLC)により分析した。
吸収スペクトルを、10mmのキュベットおよび4626nm/分の走査速度を用い、アマシャム(Amersham)製ウルトラスペック4300プロスペクトロスコピー(Ultraspec 4300 pro spectroscopy)により取得した。PEG−EPOの濃度を、方程式
Figure 2008542288
を用い、UV280での吸収により判定した。
UVスキャン実験の結果は、5℃および40℃での2週間のインキュベーション後、タンパク質の欠損は全く有意でないことを示した。
実施例10
10Kおよび20KのEPO−PEG試料を40℃で0、2および4週間インキュベートし、インキュベートした試料をSDS−PAGEにより分析した。SDS−PAGE実験では、インヴィトロジェン(Invitrogen)から入手した4〜20%のトリス−グリシンポリアクリルアミドゲルを用いた。つまり、4Xローディング緩衝液10μlを30μlの試料と混合し、60℃で5分間加熱した。次いで、混合物を室温まで冷却し、短時間の遠心分離により遠沈させた後、混合物30μlをゲルに負荷した。低下した(reduced)SDS−PAGEにおいては、100mM DTTをローディング緩衝液に添加した。電気泳動を200Vで1時間実行し、ゲルをセイフブルー(Safeblue)クーマシー染色溶液で染色した。その後、ゲルを5% BaCl溶液に5分間漬けた後、1/10Nヨウ素溶液4mlを添加しヨウ素染色を行った。次いで、銀染色をワコ(WAKO)II銀染色キットを用いて行った。
インキュベーション前、インキュベーションに先立つクーマシー、ヨウ素または銀染色を伴うSDS−PAGEゲルにおいては分解されたバンドを全く観察できなかった。40℃で2週間後、10Kおよび20Kの双方のPEG−EPO試料において明確なpH依存性の分解パターンが出現した。より低いpH(4および5)では、64Kと36Kの間の明確なMWを有するバンドが観察された。10KのPEG−EPO試料では、約45Kの明確なMWを有するバンドが特に有意であった。ヨウ素染色では、それらのバンドでPEG分子の存在が示された。10KのPEG−EPO試料においては20Kの明確なMWを有するバンドおよび20KのPEG−EPO試料においては40Kの明確なMWを有するバンドがヨウ素染色ゲル中で観察された。それらがクーマシー染色または銀染色したゲル中に見られないという事実は、40℃でインキュベートしたpH4の試料中での遊離シアル酸−PEGの存在を示唆していた。異なる分解経路が、より高いpH(7以上)の試料において見出された。pH7、7.5および8の10Kの試料においては、凝集体バンドが明白であった。凝集体バンドが低下したゲル中で消失したことは、これらの凝集体バンドに関するジスルフィド結合の性質を示している。20Kの試料のいずれにおいても、観察された凝集体バンドは全く有意ではなかった。2週目の試料に関しては、4週目の試料の場合と同じ傾向が観察された。要するに、SDS−PAGEの結果は、10Kおよび20Kの双方の試料中では5以下のpHで加水分解が生じ、10Kの試料中では7以上のpHで凝集が生じることを示した。凝集については、20KのPEG−EPOは10KのPEG−EPOよりも安定であった。
実施例11
RP−HPLCをゾルバックス(Zorbax)C−3カラム上で実行した。SEC−HPLCを、0.5ml/分の流速を有する移動相としてpH5.5の100mM酢酸ナトリウム/150mM NaClを用い、TSK G5000PWxlカラム上で実行した。
RP−HPLC実験では、様々なpHでの10Kおよび20Kの試料全部が4℃で同じPEG化特性を示した。しかし、40℃でインキュベートした場合、より低pHの試料(pH4、5)で有意な分解が生じた。一部のトリ−PEG分子、すなわちPEG分子がグリコシル残基の3つの分岐に付着されるN−連結のPEG化アイソフォームが、保持時間が短縮したジ−PEG/モノ−PEGまたは他の種に変換され、それは40℃でインキュベートした低pHの試料の、SDS−PAGEによる遊離(非グリコシル化)PEGの観察結果と一致した。
SDS−PAGEによりpHが5以下または7以上の場合にPEG−EPOの不安定性が示されたことから、pH5.5、6および6.5の試料の結果を比較することに重点を置いた。
10Kおよび20Kの双方のPEG−EPOにおける4℃の試料中で凝集体は検出できなかった。pH5.5、6および6.5の試料中では、pH6およびpH6.5の試料が有する凝集体はpH5.5の試料の場合よりも少なかった。10KのPEG−EPOにおいては、pH6.5の試料中での凝集体のレベルはpH6の試料中でのレベルよりも低かった。
実施例12
10KのPEG−EPO製剤を、pH5.5、pH6.0および6.5の、NaClおよびTween20を有する酢酸塩緩衝液(pH5.5)およびクエン酸塩緩衝液(pH6.0および6.5)の中でさらに試験した。PEG−EPOの数種の製剤における安定性について、様々な濃度および緩衝液、いくつかの温度にて試験した。試験対象のPEG−EPO試料の濃度は0.2mg/mlおよび0.5mg/mlであった。PEG−EPO試料を、0.005%(w/v) Tween−20を有するpH5.5の10mM酢酸塩/150mM NaCl、0.01%(w/v) Tween−20を有するpH6の10mMクエン酸塩/136mM NaCl、および0.01%(w/v) Tween−20を有するpH6.5の10mMクエン酸塩/136mM NaClの3種のうちの1種の緩衝液中で試験した。PEG−EPO製剤(0.2mg/mlおよび0.5mg/ml)を、4℃、30℃で3か月までの間および40℃で5週までの間保存した。トリ+テトラ−PEG−EPOの分布を下記の表1および2に示す。
Figure 2008542288
Figure 2008542288
T=5℃およびT=30℃で、製剤のうちでSDS−PAGEにより検出可能な凝集体またはクリップ(分解生成物)を示したものは全くなかった。T=40℃でのpH6.5の製剤は、pH5.5およびpH6の製剤よりも多量の共有結合凝集体ならびにSDS−PAGEにより検出可能なクリップバンドを示した。
製剤中のSEC−HPLCで検出された凝集体含量を表6および7に示す。SEC−HPLCで分析した0.2mg/mlの製剤においては5℃または30℃で3か月後に凝集体が検出されなかった一方、40℃で5週間でのpH5.5、pH6およびpH6.5の製剤において各々2.6%、1.6%、1.5%の凝集体が測定された。
SEC−HPLCで分析した0.5mg/mlの製剤においては5℃で凝集体が検出されなかった一方、40℃で5週間でのpH5.5、pH6およびpH6.5の製剤において各々22.2%、9.8%、8.1%の凝集体が測定された。30℃で3か月間、0.5mg/mlの製剤について4.6%、1.8%および0.9%の凝集体が検出された。
Figure 2008542288
Figure 2008542288
実施例13
PEG−EPO製剤の凍結融解および撹拌の間での安定性を試験するため、0.005%(w/v) Tween−20(0.4および0.2mg/ml)を伴う場合または0.005%(w/v) Tween−20(0.58mg/ml)を伴わない場合でのpH5.5の10mM酢酸塩/150mM NaCl中でPEG−EPOを調製した。凍結融解サイクルを、試料を−20℃での凍結と4℃での3回の融解により実行した。撹拌実験を、4℃または30℃、200rpmで1日、2日および6日かけて実施した。
PEG−EPO製剤は、SEC−HPLCおよびSDS−PAGE実験により判定したところ、凍結融解法サイクルおよび撹拌を通じて安定であった。Tween−20を伴わない場合に調製した0.58mg/mlの試料の場合、6日間撹拌した結果、凝集体含量が0.4%増加した。他の試料においては全く分解が観察されなかった。
本明細書に記載の実施例および実施形態はあくまで図示目的であり、その観点での様々な改良または変化が、当業者に対して提示され、かつ本願の精神および範囲ならびに添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれることになると理解されている。本明細書で引用されるすべての出版物、特許および特許出願は、あらゆる目的でそれらの全体が参照により本明細書中に援用される。
図面の簡単な説明
本発明の実施において有用な典型的な修飾シアル酸ヌクレオチドを図示する。A.典型的な分岐状(例えば30kDa、40kDa)CMP−シアル酸−PEG糖ヌクレオチドの構造。B.線状CMP−シアル酸−PEG(例えば10kDa)の構造。 チャイニーズハムスター卵巣細胞から単離された典型的なグリコPEG化EPOアイソフォームを図示したものである。A.典型的なO−またはN−連結PEG化グライコフォーム。B.昆虫細胞から単離され、再構築され、グリコPEG化された典型的なEPOアイソフォームを図示したもの。図2Aおよび図2Bは、任意のグリコシル化EPO分子が1分岐、2分岐、または4分岐のN−連結グリコシル残基の任意の混合物を含む場合があり、かつ任意の1つまたは複数の分岐が修飾シアル酸部分をさらに含む場合がある点で典型的である。さらに、修飾グリカンを任意の1つまたは複数のN−またはO−連結グリコシル化部位に制限なく位置づけ可能である。各指数は0および1から独立して選択され、R15は本明細書に記載のとおりである。ペプチドは分岐状または線状PEG部分を含む少なくとも1つのR15部分を含む。記号
Figure 2008542288
が見られるこの図面や他の各図面では、それはペプチド鎖の表示において不連続であることを示し、図面の大きさに依存したものである。同表示はそれに続くライン上につながる。同記号はペプチド配列内での実際の切断を意味するものではない。
非グリコPEG化形態の典型的なCHOに由来するEPOペプチドを図示する。該図は、任意のグリコシル化EPO分子が1分岐、3分岐、または4分岐のN−連結グリコシル残基の任意の混合物を含む場合があり、かつ任意の1つまたは複数の分岐が本発明の修飾シアル酸部分をさらに含む場合がある点で典型的である。さらに、該図は、修飾グリカンを任意の1つまたは複数のN−またはO−連結グリコシル化部位に制限なく位置づけ可能であることを図示する。 2種のCHOに由来する非グリコPEG化EPO形態と2種の異なるCHOに由来するグリコPEG化EPO形態との薬物動態における比較実験の結果を示す。 本発明に記載の昆虫由来の、再構築され、グリコPEG化されたEPOペプチドを図示する。 CHOに由来する非グリコPEG化EPO形態、昆虫由来の非グリコPEG化EPO形態と、それらの対応するグリコPEG化形態との薬物動態における比較実験の結果を示す。 培養物中でのEPO受容体を担持するTF1細胞の増殖の刺激における、2種の形態の非グリコPEG化EPO(AおよびB)に対する2種のグリコPEG化変異体(図2Aおよび2Bにおける30キロダルトンおよび40キロダルトンの変異体)および高グリコシル化EPO変異体の相対活性を示す。 様々な濃度の2種の非PEG化EPO変異体(AおよびB)および2種のグリコPEG化変異体(図2Aおよび2Bにおける30キロダルトンおよび40キロダルトンの変異体)による、同位体標識されたEPOの組換えキメラEPO受容体に対する結合の阻害を示す。 修飾シアル酸を有するグリコPEG化ペプチドに対して用いられるシアリルトランスフェラーゼを示す表である。 本発明の典型的な実施形態でのCMP−SA−PEG−30kDaにおける生成プロセスの概略図である。活性化PEG試薬(mPEG−30kDa−ニトロフェニルカーボネート)と修飾EPOペプチド(CMP−SA−グリシン)との反応後、反応生成物は、後続する精製ステップのためにタンジェンシャルフローフィルトレーション(TFT)カスケードを用いた限外濾過により脱塩および調整がなされる。第2のステップでペプチドがQ−セファロース樹脂を用いたイオン交換クロマトグラフィーにより精製され、、次いで、追加の限外濾過ステップを実施することで脱塩されたEPO−ペプチド溶液が得られる。最終ステップでは、生成物は凍結乾燥され、CMP−SA−PEG−30kDaが得られる。

Claims (73)

  1. エリスロポエチンペプチドを含有するエリスロポエチン製剤であって、前記エリスロポエチンペプチドが前記ペプチドのアミノ酸残基に付着されるグリコシル連結基を含み、前記グリコシル連結基が、化学式
    Figure 2008542288
    (式中、
    はH、CHOR、COOR、COOまたはORであり、
    はH、置換もしくは非置換アルキルまたは置換もしくは非置換ヘテロアルキルを示し、
    およびRはH、置換または非置換アルキル、OR、NHC(O)Rから独立して選択されるメンバーであり、
    およびRはH、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロアルキルまたはシアル酸から独立して選択され、
    は結合、置換または非置換アルキルおよび置換または非置換ヘテロアルキルから選択されるリンカーであり、
    16およびR17は独立して選択される高分子アームであり、
    およびXは、高分子部分R16およびR17をCに連結する独立して選択される結合断片であり、
    は非反応基である)
    を有する修飾シアリル残基を含み、かつ
    前記エリスロポエチン製剤が、5℃以下の温度で3か月後にSEC−HPLCにより測定された前記エリスロポエチンペプチドの凝集の検出可能なレベルを全く示さないか、または
    前記エリスロポエチン製剤が、5℃以下の温度で3か月後にRP−HPLCにより測定されたトリ−およびテトラ−PEGエリスロポエチンペプチドの実質的な低下を全く示さない、エリスロポエチン製剤。
  2. 前記部分
    Figure 2008542288
    が、
    Figure 2008542288
    (式中、
    QはHおよび置換または非置換C〜Cアルキルから選択され、
    eおよびfは1〜2500から独立して選択される整数であり、かつ
    qは0〜20の整数である)
    から選択されるメンバーである化学式を有する請求項1に記載の製剤。
  3. 前記部分が、
    Figure 2008542288
    (式中、
    QはHおよび置換または非置換C〜Cアルキルから選択され、
    e、fおよびf’は1〜2500から独立して選択される整数であり、かつ
    qおよびq’は1〜20から独立して選択される整数である)
    から選択されるメンバーである化学式を有する請求項2に記載の製剤。
  4. 前記グリコシルリンカーが化学式
    Figure 2008542288
    を有するグリコシル基を含む請求項1に記載の製剤。
  5. 前記グリコシル基が化学式
    Figure 2008542288
    (式中、tは0または1である)
    を有する請求項4に記載の製剤。
  6. 前記アミノ酸残基に付着される前記グリコシル連結基が化学式
    Figure 2008542288
    (式中、AAは前記ペプチドのアミノ酸残基である)
    を有する請求項5に記載の製剤。
  7. 前記アミノ酸残基がセリンまたはトレオニンから選択されるメンバーである請求項6に記載の製剤。
  8. 前記ペプチドが配列番号1のアミノ酸配列を有する請求項7に記載の製剤。
  9. 前記アミノ酸残基が配列番号1の位置126のセリンである請求項8に記載の製剤。
  10. 前記ペプチドが、アミノ酸残基に付着される少なくとも1つの前記グリコシル連結基を含み、前記グリコシル連結基が
    Figure 2008542288
    (式中、
    15は前記修飾シアリル残基であり、かつ
    pは1〜10の整数である)
    から選択される化学式を有するグリコシル基を含む請求項1に記載の製剤。
  11. 前記ペプチドのアミノ酸残基に付着される前記少なくとも1つのグリコシル連結基が
    Figure 2008542288
    (式中、
    AAは前記ペプチドのアミノ酸残基であり、
    tは0または1に相当する整数であり、
    pは1〜10の整数であり、かつ
    各R15’はH、OH、シアル酸、前記修飾シアリル残基およびSia−Siaから独立して選択されるメンバーであり、ここで、
    Siaは前記修飾シアリル残基であり、
    少なくとも1つのR15’は前記修飾シアリル残基およびSia−Siaから選択されるメンバーである)
    およびこれらの組み合わせから選択される化学式を有する請求項10に記載の製剤。
  12. 前記アミノ酸残基がアスパラギン残基である請求項11に記載の製剤。
  13. 前記ペプチドが配列番号1のアミノ酸配列を有し、ここで前記アミノ酸残基がN24、N38、N83、およびこれらの組み合わせから選択されるメンバーのアスパラギン残基である請求項12に記載の製剤。
  14. 前記グリコシル連結基がN24に付着される請求項13に記載の製剤。
  15. 前記ペプチドがエリスロポエチン活性を示すエリスロポエチンペプチドである請求項1に記載の製剤。
  16. 前記ペプチドが本質的にエリスロポエチン活性を示さない請求項1に記載の製剤。
  17. 前記ペプチドが組織保護的である請求項16に記載の製剤。
  18. 緩衝液をさらに含有する請求項1に記載の製剤。
  19. 酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩、グリシン酸塩、ヒスチジン、乳酸塩、マレイン酸塩、リン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、およびトリスからなる群から選択される緩衝液をさらに含有する請求項1に記載の製剤。
  20. 前記緩衝液が酢酸塩、クエン酸塩、リン酸塩、またはコハク酸塩である請求項1に記載の製剤。
  21. 前記製剤のpHが約5〜約7である請求項1に記載の製剤。
  22. 前記製剤のpHが約5.5〜約6.5である請求項1に記載の製剤。
  23. 前記緩衝液が酢酸塩でありかつ前記製剤のpHが約5.5である請求項1に記載の製剤。
  24. 前記緩衝液がクエン酸塩でありかつ前記製剤のpHが約6〜約6.5である請求項1に記載の製剤。
  25. 前記緩衝液が約5mM〜約100mMである請求項1に記載の製剤。
  26. 前記緩衝液が約5mM〜約20mMである請求項1に記載の製剤。
  27. 前記製剤の張力を等張性に調整する等張化剤をさらに含有する請求項1に記載の製剤。
  28. 塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、スクロース、トレハロース、ソルビトール、マンニトール、ヒスチジン、アルギニン、およびグリシンからなる群から選択される等張化剤をさらに含有する請求項1に記載の製剤。
  29. 塩化ナトリウムをさらに含有する請求項1に記載の製剤。
  30. 界面活性剤をさらに含有する請求項1に記載の製剤。
  31. SDS、ポリソルベートおよびプルロニクスからなる群から選択される界面活性剤をさらに含有する請求項1に記載の製剤。
  32. ポリソルベート20をさらに含有する請求項1に記載の製剤。
  33. 約0.001%〜1%の範囲内の界面活性剤をさらに含有する請求項1に記載の製剤。
  34. 約0.005%〜約0.01%の範囲内の界面活性剤をさらに含有する請求項1に記載の製剤。
  35. 安定剤、金属キレート試薬、抗酸化剤、または抗菌防腐剤をさらに含有する請求項1に記載の製剤。
  36. 前記安定剤が二糖類、アミノ酸、グリセロール、アルブミン、およびPEGからなる群から選択される請求項35に記載の製剤。
  37. 前記金属キレート試薬がEDTAまたはペンテト酸である請求項35に記載の製剤。
  38. 前記抗酸化剤がアスコルビン酸塩、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、ブチル化ヒドロキシルトルエン、システイン、メチオニン、チオグリセロール、およびチオグリコール酸からなる群から選択される請求項35に記載の製剤。
  39. 約0.1mg/ml〜約1mg/mlの前記エリスロポエチンペプチド、約5mM〜約20mMの酢酸ナトリウムまたはクエン酸ナトリウム、約100mM〜200mMの塩化ナトリウム、および約0.005%〜約0.01%のポリソルベート20を含有する請求項1に記載の製剤。
  40. エリスロポエチンペプチドを含有するエリスロポエチン製剤であって、前記エリスロポエチンペプチドが前記ペプチドのアミノ酸残基に付着されるグリコシル連結基を含み、前記グリコシル連結基が化学式
    Figure 2008542288
    (式中、
    はH、CHOR、COOR、COOまたはORであり、
    はH、置換もしくは非置換アルキルまたは置換もしくは非置換ヘテロアルキルを示し、
    およびRはH、置換または非置換アルキル、OR、NHC(O)Rから独立して選択されるメンバーであり、
    およびRはH、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロアルキルまたはシアル酸から独立して選択され、
    sは1〜20の整数であり、
    fは1〜2500の整数であり、かつ
    QはHおよび置換または非置換C〜Cアルキルから選択されるメンバーである)
    を有する修飾シアリル残基を含み、かつ
    前記エリスロポエチン製剤が、5℃以下の温度で3か月後にSEC−HPLCにより測定された前記エリスロポエチンペプチドの凝集の検出可能なレベルを全く示さないか、または
    前記エリスロポエチン製剤が、5℃以下の温度で3か月後にRP−HPLCにより測定されたトリ−およびテトラ−PEGエリスロポエチンペプチドの実質的な低下を全く示さない、エリスロポエチン製剤。
  41. 前記修飾シアリル残基が化学式
    Figure 2008542288
    を有する請求項40に記載の製剤。
  42. QがHおよびCHから選択される請求項40に記載の製剤。
  43. 前記グリコシル連結基が化学式
    Figure 2008542288
    を有する請求項42に記載の製剤。
  44. sが1でありかつfが約200〜約300の整数である請求項43に記載の製剤。
  45. 前記アミノ酸残基がセリンまたはトレオニンから選択されるメンバーである請求項40に記載の製剤。
  46. 前記ペプチドが配列番号1のアミノ酸配列を有する請求項45に記載の製剤。
  47. 前記アミノ酸残基が配列番号1の位置126のセリンである請求項46に記載の製剤。
  48. 前記アミノ酸残基がアスパラギン残基である請求項40に記載の製剤。
  49. 前記ペプチドが配列番号1のアミノ酸配列を有し、かつ前記アミノ酸残基がAsn24、Asn38、Asn83、およびこれらの組み合わせから選択されるメンバーのアスパラギン残基である請求項48に記載の製剤。
  50. 前記グリコシル連結基がAsn24に付着される請求項49に記載の製剤。
  51. Asn24、Asn38およびAsn83の各々がそれに付着される前記グリコシル連結基を有する請求項49に記載の製剤。
  52. 緩衝液をさらに含有する請求項40に記載の製剤。
  53. 酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩、グリシン酸塩、ヒスチジン、乳酸塩、マレイン酸塩、リン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、およびトリスからなる群から選択される緩衝液をさらに含有する請求項40に記載の製剤。
  54. 前記緩衝液が酢酸塩、クエン酸塩、リン酸塩、またはコハク酸塩である請求項40に記載の製剤。
  55. 前記製剤のpHが約5〜約7である請求項40に記載の製剤。
  56. 前記製剤のpHが約5.5〜約6.5である請求項40に記載の製剤。
  57. 前記緩衝液が酢酸塩でありかつ前記製剤のpHが約5.5である請求項40に記載の製剤。
  58. 前記緩衝液がクエン酸塩でありかつ前記製剤のpHが約6〜約6.5である請求項40に記載の製剤。
  59. 前記緩衝液が約5mM〜約100mMである請求項40に記載の製剤。
  60. 前記緩衝液が約5mM〜約20mMである請求項40に記載の製剤。
  61. 前記製剤の張力を等張性に調整する等張化剤をさらに含有する請求項40に記載の製剤。
  62. 塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、スクロース、トレハロース、ソルビトール、マンニトール、ヒスチジン、アルギニン、およびグリシンからなる群から選択される等張化剤をさらに含有する請求項40に記載の製剤。
  63. 塩化ナトリウムをさらに含有する請求項40に記載の製剤。
  64. 界面活性剤をさらに含有する請求項40に記載の製剤。
  65. SDS、ポリソルベートおよびプルロニクスからなる群から選択される界面活性剤をさらに含有する請求項40に記載の製剤。
  66. ポリソルベート20をさらに含有する請求項40に記載の製剤。
  67. 約0.001%〜1%の範囲内の界面活性剤をさらに含有する請求項40に記載の製剤。
  68. 約0.005%〜約0.01%の範囲内の界面活性剤をさらに含有する請求項40に記載の製剤。
  69. 安定剤、金属キレート試薬、抗酸化剤、または抗菌防腐剤をさらに含有する請求項40に記載の製剤。
  70. 前記安定剤が二糖類、アミノ酸、グリセロール、アルブミン、およびPEGからなる群から選択される請求項69に記載の製剤。
  71. 前記金属キレート試薬がEDTAまたはペンテト酸である請求項69に記載の製剤。
  72. 前記抗酸化剤がアスコルビン酸塩、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、ブチル化ヒドロキシルトルエン、システイン、メチオニン、チオグリセロール、およびチオグリコール酸からなる群から選択される請求項69に記載の製剤。
  73. 約0.1mg/ml〜約1mg/mlの前記エリスロポエチンペプチド、約5mM〜約20mMの酢酸ナトリウムまたはクエン酸ナトリウム、約100mM〜200mMの塩化ナトリウム、および約0.005%〜約0.01%のポリソルベート20を含有する請求項40に記載の製剤。
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