JP2008541776A - 足場 - Google Patents

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Abstract

本発明は、挿入ペプチドのディスプレイのための足場タンパク質としてのステフィンA、特にステフィンAがヒトステフィンAである場合についての使用に関する。いくつかの変異が、足場として改良されるために野生型ステフィンA配列に導入され、ステフィンAは、Leu73部位に異種ペプチド挿入を含むことが好ましい。さらに、足場タンパク質は、V48D変異を含むことが好ましく、足場タンパク質はG4W変異を含むことが好ましい。足場タンパク質は、Leu73、V48D及びG4W変異を含むことが好ましい。本発明は、足場タンパク質それ自身、特に配列番号1に示されるようなLeu73、V48D及びG4W変異を有するステフィンAポリペプチドタンパク質に関する。本発明は、また、結合タンパク質を同定する方法、及びペプチドA(RLNKPLPSLPV)及びイースト菌感染の治療における使用に関する。

Description

本発明は、ペプチドアプタマー(peptide aptamers)などのペプチドのディスプレイのための足場タンパク質に関する。特に、本発明は、足場タンパク質としてのステフィンAの使用、及び足場タンパク質としての使用のためのポリペプチドである修飾されたステフィンAに関する。
タンパク質相互作用の研究は、インビボでの遺伝子産物の生物学的役割の理解の中核をなす。ポリペプチド相互作用を分析又は精査する方法は多数あり、最も有力なものの一つは、ペプチドアプタマーの使用とこれらの挙動(behaviour)の研究によるものである。ペプチドとペプチドアプタマーは、溶剤中では遊離して用いてもよい。しかしながら、小さいペプチドは、非拘束の場合は、限定された相互作用の表面を提示する構造を形成する傾向があるであろう。さらに、これらは標的分子との会合における立体構造的エントロピーを頻繁に失い、結合の遊離エネルギーを減少させ、結果的に遊離ペプチドが密接な非共有結合性の複合体を形成しないことが多くなることが問題となっている。
自由溶液(free solutions)において用いられるよりむしろ、所望のペプチドは、物理的な支持体に結合してもよいし、又はより大きいポリペプチドの関連においてディスプレイされてもよい。本発明において重要なのは、ポリペプチドの関連におけるディスプレイである。かかるディスプレイは、頻繁に足場タンパク質を用いることをもたらす。
分子認識のために設計されたタンパク質足場は、当該技術分野において作製され、用いられてきた。例えば、Skerra(2003 Curr Opin Chem Biol. Vol.7 pages 683-93)は、確定した特異性のある人工受容体タンパク質の産生のために用いられる足場について論じている。Skerraによると、一番優れた足場は、堅固な(robust)構造を有し、小さなサイズであり、単量体であり、タンパク質工学を受け入れる余地があり(例えば融合タンパク質)、翻訳後の修飾の程度が低いものでなければならない。さらに、最も有利な足場は、宿主(従来技術では通常原核細胞)において発現することが容易でなければならず、新規な結合部位を作出するアミノ酸の挿入又は置換を受け入れる領域を有していなければならず、かかる結合部位の挿入/置換は、足場の折りたたみ(folding)に影響を及ぼすものであってはならない。
通常用いられている足場は、免疫グロブリン又は「抗体」鎖のフレームワーク領域に基いている。特に、Igフレームワーク及び/又はその短縮した若しくは融合したバージョンが現在までに用いられ、当該技術分野において、幾何学的に拘束されるペプチドであった。しかしながら、抗体は大きく、組換えフラグメントでさえも考慮すべきサイズである(Fabフラグメントは約450aa、及びScFvフラグメントでさえも約270aaである)。このことは、インビトロ及びインビボにおける操作をやりにくくするものである。さらに、抗体は、2つの異なるポリペプチド鎖から構成されており、解離、オリゴマー化、及び大規模な凝集という意味では不安定で、これらの使用について関連するさらなる問題を表すものである。
従来の足場は、不活化されたブドウ球菌ヌクレアーゼ、緑色蛍光タンパク質(green fluorescent protein)、及びチオレドキシンA(TrxA)、並びにブドウ球菌プロテインAのZドメイン、「アフィボディ(affibodies)」、アンチカリン(anticalins)、及びアンキリン(ankyrin)反復などの単離されたタンパク質フォールディングを含むものであった。さらに従来の足場タンパク質は、フィブロネクチンタイプIIIドメイン(「Fn3」)、アンチカリンが由来するリポカリンファミリータンパク質、ビリン結合タンパク質(BBP)、その他を含む。
かかる技術は、バクテリアチオレドキシン(TrxA)を足場として用いて、最も活発に追求されてきた。しかしながら、TrxAに関連する問題がある。例えば、大腸菌TrxAは、細胞に基いているアッセイにおける交絡観察(confounding observations)を導くアポトーシスを阻害することができる。また、挿入されたペプチドに隣接し、TrxAにおける可逆的なジスルフィド結合を形成する2つのシステイン残基が、活性ペプチドの提示のための「正しい」状態に関する不確実性を導く場合もある。
本発明は従来技術に関連する問題を克服しようとするものである。
Curr Opin ChemBiol. Vol. 7 pages 683-93,2003
(発明の総説)
本発明は、ステフィンA(Stefin A)タンパク質(「シスタチンA」(Cystatin A)とも称されることもある)の分子生物学の詳細な理解に基いている。かかる理解により、野生型SteAタンパク質を、足場タンパク質として用いるために適当な形態にする修飾(modification)を可能とした。ステフィンAに基いている足場タンパク質は、従来技術の足場よりも有利な点を有している。
本発明によると、ステフィンAは、有利に生物学的に中性な状態であった。以下に詳述するように、合理的な変異(mutation)が、その生物学的に重要な相互作用と活性を切断するステフィンA内の部位に導入された。また、挿入部位が選択され、以下の実施例のいくつかに用いられたペプチドアプタマーなどの挿入されたペプチドを容認し、拘束することができることを実験的に実証した。さらに、本発明者らは、ステフィンAの表面に暴露している2つの別々の溶剤を、合理的に選択し、標的ペプチド(target peptide)について、親和力を増加させ及び/又は特異性を増加させるペプチド結合パートナーを選択する機会を有利に提供するものである。
それゆえ本発明は、足場タンパク質としてのステフィンAの使用を提供し、足場タンパク質として有用な、修飾されたステフィンAポリペプチドを提供する。ステフィンAはヒトステフィンAが好ましい。
別の態様では本発明は、ステフィンAが、Leu73部位において異種(heterologous)ペプチド挿入を含むことを特徴とする上述の使用に関する。
別の態様では本発明は、足場タンパク質が、V48D変異を含むことを特徴とする上述の使用に関する。
別の態様では本発明は、足場タンパク質が、G4W変異を含むことを特徴とする上述の使用に関する。
別の態様では本発明は、ステフィンAが、Leu73部位において異種ペプチド挿入を含み、かつV48D変異とG4W変異とをさらに含むことを特徴とする上述の使用に関する。
別の態様では本発明は、足場タンパク質が、配列番号1に示される配列を含むことを特徴とする上述の使用に関する。かかる配列は、好ましい三重変異体足場配列である。
別の態様では本発明は、足場タンパク質が、配列番号3に示される配列及び配列番号4に示される配列を含むことを特徴とする上述の使用に関する。かかる配列は、各側に好ましいLeu73挿入部位を有する好ましいSTM配列である。
別の態様では本発明は、配列番号1に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドに関する。この配列は、好ましい三重変異体足場配列である。かかる配列は、好ましい三重変異体STM配列である。
別の態様では本発明は、配列番号3に示されるアミノ酸配列及び配列番号4に示される配列を含むポリペプチドに関する。かかる配列は、各側に好ましいLeu73挿入部位を有する好ましいSTM配列である。
別の態様では本発明は、Leu73部位において異種ペプチドが挿入されていることを特徴とする、配列番号1に示されるアミノ酸配列又は配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドに関する。Leu73部位において挿入されている異種ペプチドは、Leu73アミノ酸残基を削除する。
異種ペプチドは36個以下のアミノ酸、好ましくは20以下のアミノ酸、さらに好ましくは12以下のアミノ酸を含むことが好ましい。
別の態様では本発明は、配列番号1、配列番号3、又は配列番号4のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸に関する。
別の態様では本発明は、ヌクレオチド配列がRsrII制限酵素認識部位を含むことを特徴とする、配列番号1のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸に関する。かかるRsrII部位が、アミノ酸残基72〜73においてGPをコードするコード配列における位置にあることが好ましい。
別の態様では本発明は、足場タンパク質又は上述のポリペプチドのアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸に関する。
別の態様では本発明は、標的ペプチドを含むステフィンA足場タンパク質を提供することを含む所望の構造に結合することができる標的ペプチドを同定する方法と、かかる足場タンパク質を所望の構造に接触させる方法と、足場と所望の構造との間の関連性を観察する方法とに関し、足場タンパク質と所望の構造との関連性は、前記構造に結合することができる候補標的ペプチドとして標的ペプチドを同定することに特徴がある。
別の態様では本発明は、アミノ酸配列RLNKPLPSLPV(「ペプチドA」)を含むポリペプチドに関する。ポリペプチドは、アミノ酸配列RLNKPLPSLPVからなることが好ましい。別の態様では本発明は、イースト菌感染症(yeast infection)の予防又は治療のための薬剤の製造における、アミノ酸配列RLNKPLPSLPVを含むペプチドの使用に関する。かかるペプチドは、本明細書中で「ペプチドA」と称される。ペプチドAは、アミノ酸配列RLNKPLPSLPVからなることが好ましい。ペプチドAは、イースト菌感染症の治療法の開発に有用である。ペプチドAは、イースト菌を高浸透圧に対して耐性であることを妨害することにより作用すると信じられている。それゆえ別の態様では本発明は、薬剤におけるペプチドAの使用に関する。それゆえ別の態様では本発明は、イースト菌感染症を予防又は治療するための薬剤の製造におけるペプチドAの使用に関する。別の態様では本発明は、イースト菌感染症の治療におけるペプチドAの使用に関する。別の態様では本発明は、有効量のペプチドAを被検者に投与することを含むイースト菌感染症を治療する方法に関する。イースト菌感染症は、カンジダ・アルビカンス感染症であることが好ましい。
発明の詳細な説明
(足場)
当該技術分野で周知であるが、「足場(scaffold)」なる用語は、標的ペプチドによりそれ自身の構造が変形(deform)されることなく、溶剤に標的ペプチドを提示できるタンパク質を意味する。
溶剤へのペプチドの提示に関しては、免疫沈降実験を用いて試験することができる。例えば、ペプチドが溶剤に提示されていることの示唆は、ペプチドを認識できる抗体に対するペプチドの利用可能性により得ることができる。それゆえ、足場タンパク質が溶剤にペプチドを提示する能力を試験するために、ペプチドを含む足場が発現され、ペプチドを認識する抗体が、足場ペプチド融合(scaffold-peptide fusion)を免疫沈降することを検討するために用いられる。このタンパク質が、免疫沈降でき、抗体に捉えられることができる場合、このことは、ペプチドが足場タンパク質により必要とされるように溶剤に提示されたことを示す。ペプチドが溶剤に提示されることについて別の、代替となる示唆は、リン酸化の研究より得ることができる。標的ペプチドにホスフェート受容体部位を組み入れることにより、そしてその後にリン酸化が可能な条件で同種の(cognate)キナーゼと足場ペプチド融合を接触させることにより、ペプチドの溶剤への提示を立証できる。ペプチドのリン酸化は、溶剤への正しい提示を示唆する。
足場タンパク質が有する標的ペプチドにより足場タンパク質が変形されることへの耐性に関しては、円偏光二色性分析(circular dichroism)又は熱安定性などの技術を用いて試験することができる。特に、標的ペプチドをその中に挿入されていない足場タンパク質の円偏光二色性分析が、実質的に標的ペプチドを有するときの足場タンパク質と同一でなければならない。この足場タンパク質における標的ペプチドの提示は、それを有する足場タンパク質を損なわず、変形していないことの論証を提供する。標的ペプチドによる変形へのかかる耐性を試験する別の方法は、挿入された標的ペプチドを伴う及び伴わない足場タンパク質の熱安定性を研究することによる。例えば、本発明のSTM足場タンパク質は、98℃まで加熱されることができ、それでも室温に冷却しなおすことで元の立体構造を取り戻す。この特性は、最高20アミノ酸長の標的ペプチドの挿入によっても影響を受けない。熱安定性については、STMの温度遷移点は約78℃であり、それに対してSteAは90.8℃である。ペプチド挿入したものについては、STMの温度遷移点は75℃である。足場タンパク質の構造は、ペプチドの挿入により変形されない別の論証である。
足場タンパク質は、ペプチド挿入を容認することができなければならない。好ましくは、ペプチド挿入は、36アミノ酸以下であって、20アミノ酸以下であることが好ましい。好ましくは、標的ペプチド挿入は、12アミノ酸以下である。
足場タンパク質は、公知の構造でなければならない。「公知の構造」なる用語は、結晶構造又は溶剤構造(NMR構造)が知られていなければならないということを意味する。
(本発明による足場タンパク質の好ましい特性)
足場タンパク質は標的ペプチドを拘束することが好ましい。足場タンパク質における拘束効果(constraint effect)の存在は、標的ペプチドが足場タンパク質内にある場合に標的ペプチドに結合する実体(entity)の親和性と、ペプチドが足場タンパク質内にない場合の親和性とを比較することにより論証できる。これら2つの親和性の相違は、足場タンパク質が特定の3次元の立体構造を推定させるようにペプチドを拘束していることを示唆している。おそらく足場タンパク質は、ペプチドを拘束し、足場タンパク質の関連で存在する場合に結合親和性の増加を論証する。言い換えれば、好ましくは足場タンパク質は、結合のエントロピー消費を減少させ、遊離ペプチド結合と比較して測定される親和性を増加させる。
いくつかの実施態様において、拘束は、N末端又はC末端による単一の標的ペプチドに対する融合により提供されてもよい。例えば、ペプチドは、STM1−73に対する融合、又はSTMのC末端部分に対する融合により拘束されてもよい。N末端又はC末端による単一の足場融合の態様にかかわらず、「拘束(constraint)」の意味するところは変更されず、標的ペプチドが拘束されているか否かは、本明細書中の記載により判断されなければならない。足場タンパク質配列が標的ペプチドに対してN末端及びC末端の両方に存在するように、標的ペプチドは本発明の足場タンパク質に挿入されることが好ましい。
好ましくは、足場タンパク質は、インビボで安定性が増加した標的タンパク質を提供する。かかる効果は、標的ペプチドが、足場タンパク質の関連における標的ペプチドの発現と標的ペプチドそれ自身の発現とを比較することにより論証してもよい。標的タンパク質は、足場タンパク質の関連において安定性の増加を示すことが好ましい。
足場タンパク質は、生物学的に中性であることが好ましい。「生物学的に中性(biologically neutral)」なる用語は、他の公知のタンパク質との相互作用が消滅(abolish)していることを意味する。さらに、タンパク質が保持しているシグナル伝達能力(signaling ability)は、排除されることが望ましい。それゆえ、本発明による好ましい足場タンパク質は、STM足場タンパク質である。
生物学的中性は、従来技術における足場タンパク質には存在しないものであるから、本発明の有利な点である。例えば、チオレドキシンA(thioredoxin A)は、細胞内のナチュラルレドックス経路のドミナントネガティブとして作用する。さらにP53を阻害することが公知であり、BCL6シグナル伝達経路(signalling pathways)を阻害することが公知である。有利な点としては、本発明の足場タンパク質は、自然発生的なシグナル伝達経路を妨害することはない。
足場タンパク質は、小さくなければならない。「小さい(small)」なる用語は、25kDa未満であって、13kDa未満が好ましい。最も好ましくは足場タンパク質が、100aa未満(標的ペプチド挿入を除外して)でなければならない。
本発明による足場タンパク質は、立体構造的に安定であることが好ましいであろう。「立体構造的に安定(conformationallystable)」なる用語は、いずれの立体構造変化(conformationally changes)も起こらないということを意味する。足場タンパク質は、ヒンジ領域を有さないことが好ましい。足場タンパク質は、PHドメインを有さないことが好ましい。足場タンパク質は、SH3ドメインを有さないことが好ましい。足場タンパク質は、SH2ドメインを有さないことが好ましい。足場タンパク質は、「WW」ドメインを有さないことが好ましい。足場タンパク質は、「WD」ドメインを有さないことが好ましい。足場タンパク質は、HEATリピートを有さないことが好ましい。足場タンパク質は、プロリンに富んだドメインを有さないことが好ましい。足場タンパク質は、細胞内で翻訳後修飾がないことが好ましい。足場タンパク質は、立体構造変化を促進する他の公知のドメインを有さないことが好ましい。
本発明による足場タンパク質は、タンパク質間相互作用(protein-protein interaction)ドメインを有さないことが好ましい。タンパク質は、機能を失わせるような変異がなされた場合に、タンパク質間相互作用を有さないとみなされるものである。
本発明による足場タンパク質は、翻訳後修飾がなされていないことが好ましい。それゆえ、本発明による足場タンパク質は、糖鎖付加部位を有さないことが好ましい。このことは、翻訳後修飾が相互作用を妨害し又は擬似相互作用を作出しうるので、ジストロフィン(dystrophin)などの従来の足場タンパク質よりも有利な点である。
上述のとおり、足場タンパク質は、ペプチド挿入により変形されることがあってはならない。この基準に基づくと、緑色蛍光タンパク質は、少なくとも三分の一の挿入標的ペプチドが、緑色蛍光タンパク質の蛍光を消滅させるので、足場タンパク質とはみなされない。このことは、標的ペプチド挿入が、タンパク質の構造を変形することを論証する。それゆえ、足場タンパク質が標的ペプチド挿入により変形されるべきではないことが好ましいので、緑色蛍光タンパク質は、本発明による足場タンパク質ではない。
チオレドキシンA(TrxA)は、従来の足場タンパク質である。TrxAは、小さく安定性がある。しかしながら、TrxAへの標的ペプチドの挿入は、2つのシステイン残基の間でおこなわれる。TrxA内のシステイン残基は、足場タンパク質の立体構造を変更でき、かつ提示された標的ペプチドの立体構造に影響を及ぼすことができる可逆的なジスルフィド結合を起こすことができるので、本発明による足場タンパク質は、かかる配置を有利に回避する。それゆえ、標的ペプチドの挿入部位は、足場タンパク質の2つのシステイン残基の間にはないことが好ましい。
(設計の検討)
足場タンパク質は、以下の特性のうち1又は複数を有することが好ましい:
1)足場は、ペプチド挿入又は置換のための部位のインフォームドチョイスを可能にする公知の構造でなければならない;
2)足場は、広範囲のペプチドの折りたたみを拘束するために十分に安定でなければならない;
3)足場は、その折りたたみが様々なペプチドの挿入により影響を及ぼされることがないように十分にフレキシブルでなければならない;
4)足場は、生物学的に中性でなければならない。すなわち、表現型に貢献することができる細胞内タンパク質の相互作用が欠如していなければならない;及び
5)足場は、同様に折りたたむことができなければならず、1つのシステムにおいて得られたデータを他のシステムで行われた実験に提供できるように、原核及び真核環境の両方において同一であることが好ましい。本発明は、ペプチドアプタマー技術の要求に適応した足場を提供する。STM足場は、上記に定義した5つすべての基準を保持していることが好ましい:母体となっているステフィンAの構造は公知である;設計された足場は安定であり、その生物物理的安定を失うことなく少なくとも1のペプチドの挿入を許容する;機能的相互作用のために広範囲のペプチドを提示することはでき、すべての公知の生物学的相互作用は、設計により取り除かれたばかりでなく、STMと、細胞の細胞質内の母体SteAを明らかにアンカーしている未知の細胞質タンパク質との相互作用も消滅させた。最後にそして重要なことに、STM足場が、うまく発現されており、インビトロからのバクテリア、イースト菌及び哺乳類の細胞への転写/翻訳というシステムの範囲において、生物学的に活性のあるペプチドを提示することができるということである。実施例の項目においては、AU1タグ標的ペプチドがペプチドアプタマーの発明を表現するために用いられている。3つの独立した設定(2つのハイブリッドイースト、プロテインキナーゼとの相互作用及び核移行機構との相互作用)におけるSTMのパフォーマンスの成功は、STMが、機能的相互作用のための広範囲のペプチド配列を提示することができることを示している。
マイクロアレイにおけるペプチドアプタマーの使用は、これらのアプタマーが本発明による足場タンパク質において提示される場合に特に有利であることが、当業者であれば理解されるであろう。従来技術のマイクロアレイ技術は、抗体に非常に依存する。しかしながら、抗体は、アレイに結合した場合に特異性を失うことがある。さらに、マイクロアレイにおいて用いられる組換えタンパク質は、タンパク質が提示されているという情報を提供することができるが、何がそれらに結合しているかについての情報を提供することはできない。対照的に、本発明による足場タンパク質においてディスプレイされているペプチドアプタマーを用いると、アレイが照合されている(interrogated)場合に、より多くの情報を有利に提供することができる。例えば、結合パートナーの観察において、文脈情報(contextual information)は、アプタマーをディスプレイしている足場タンパク質を用いた場合に有利に派生する。この利点は、未処理のライブラリーとインフォームドのライブラリーとの相違として特徴づけられる。それゆえ、別の態様では、本発明は、マイクロアレイにペプチドをディスプレイする足場タンパク質の使用に関する。
足場タンパク質は、ステフィンAに基いていることが好ましい。足場タンパク質は、STMを含んでいることがより好ましい。
本発明による足場タンパク質は、ステフィンAの配列に基いていることが好ましい。「ステフィンAの配列に基いている」なる用語は、足場タンパク質が、ステフィンAのアミノ酸配列の少なくとも70%、好ましくは80%、好ましくは85%、好ましくは90%、好ましくは95%、又はさらにそれ以上を保持しなければならないことを意味する。足場タンパク質は、ステフィンAの配列を有し、G4W、V48D、及びLeu73変異の一又は複数を含むことがより好ましい。
ペプチドアプタマーがインビボでのタンパク質間相互作用(protein-protein interactions)を破壊する能力によって、新規薬剤の迅速な同定が可能となりうる。さらに、タンパク質間相互作用を破壊する一又は複数の候補薬剤小分子の使用は、本発明により有利に促進される。
一又は複数のリン酸化部位などの翻訳後修飾部位を含むペプチド挿入の使用が、有利に用いられてもよい。このことは、標的ペプチドのリン酸化状態により変化する相互作用を精査すること(dissecting)において有益である。さらに、リン酸化依存的に結合する候補ペプチドアプタマーの同定をすることが可能となる。
いくつかの実施態様では、例えば、標的ペプチド挿入の各側のシステイン残基を設計することにより、標的ペプチド挿入のいずれかの側のジスルフィド結合を導入することが望ましいともいえる。このことは、足場が一つの設定で独占的に用いられている場合に有用である。この点で、ファミリーIIシスタチンは、STMにおける挿入が好ましい領域に対応する二次的な構造の要素を形成するためにジスルフィド結合を用いており、STMは、必要があれば、共有結合的に安定したペプチドを提示するために用いてもよいことを示している。本発明の関連では、このことは、例えば、足場ポリペプチドのC末端での、又は標的ペプチドのC末端部におけるような標的ペプチド内での、単一のシステインの付加により、及び、足場のN−末端におけるような2番目の位置において、又は、標的ペプチドのN−末端部で、挿入された2番目のシステイン残基の付加により、2つの間に架橋結合(cross-linking)ができることで達成できる。しかしながら、この状態において、ペプチドの共有結合的な拘束を回避することが好ましい。それゆえ、本発明の好ましい足場においては、標的ペプチドは、システイン残基に隣接しないことが好ましい。
概して、種々の足場は、足場が提示するペプチドにバイアスをかけてもよく、標的ペプチドの研究は、複数の足場で提示されているペプチド及び/又はライブラリーに有利に関与し、成功の見込み(likelihood)を最大限にするものである点で、評価されるものである。
STMなどの本発明の足場によって、研究者らがインビトロの観察を細胞内環境に拡張することやその逆も可能とし、さらに折りたたみパターン又はジスルフィド結合の酸化状態について懸念なく細胞内で用いることのできるツールの同定又は作出をインビトロで可能にする。
組換え型における、STM及びSTMに基いているペプチドアプタマーの発現の容易さ、並びに4℃におけるタンパク質の寿命は、STMに基いているペプチドアプタマーが、タンパク質マイクロアレイの適用に適当であることを示している。STMが熱安定性であることが、熱処理された大腸菌溶解物からSTMに基いているペプチドアプタマーの容易な精製を可能にすることにも注目している。
STMなどの本発明の足場に基いているペプチドアプタマーは、薬剤標的を検証する(validate)ために用いることができるツールであり、診断検査若しくは予後検査のための構成要素として用いることができ、ヒトの疾病の治療のため主要な化合物の基礎を形成さえすることができる。完全長のヒトタンパク質に有利に基いている本発明の足場は、生物学的療法(biological therapeutics)及び/又は遺伝子治療において有用であるかもしれない。
(標的ペプチド)
本明細書中で用いられている「標的ペプチド」なる用語は、所望のペプチドを意味する。標的ペプチドは、異種ペプチドであることが好ましい。異種ペプチドとは、通常の状況(context)からは排除され、足場タンパク質が、有し、運搬し、ディスプレイしている配列に通常見い出されない配列を有するペプチドが好ましい。ペプチドが、足場タンパク質の配列内のいずれかに起こる配列を有する場合、配列は文脈を外れるものであり、すなわち足場タンパク質ポリペプチド内の自然発生位置(アドレス)を占めていないということで、異種である。これに関連して、「位置(position)」なる用語は、三次元空間における他のアミノ酸残基との相対的な位置というよりも、アミノ酸直鎖における位置を意味する。標的ペプチドは、例えば、足場タンパク質に取り込まれたペプチドのライブラリーの構築により産生された人工でもよい。かかる実施態様において、人工ペプチドは本発明の目的において「異種」であるとみなされる。
(ペプチドアプタマー)
ペプチドアプタマーは、細胞内でタンパク質機能を研究するために用いられる足場タンパク質により拘束され、提示されるペプチドである。いくつかは、タンパク質間相互作用を破壊することができ、いくつかはタンパク質機能の細胞内分析のための分子ツールキットの作出を可能にする認識モジュールの構築をすることができる。
既知のタンパク質に高親和性をもって特異的に結合できる小分子をデザインし、又は同定できるか否かは、タンパク質マイクロアレイの開発と、生細胞との関連におけるタンパク質の分析と、候補薬剤標的の検証とを含む多くの実験における律速段階である。自然界では、タンパク質間相互作用は、折りたたまれたタンパク質の小さな表面によって介されうる。このことは足場と呼ばれるタンパク質認識モジュールとしての安定したタンパク質との関連で提示される小さなペプチド表面の使用を導いたものである。ペプチドアプタマーと本明細書で呼ばれるかかる試薬は、システムの範囲内で生物学的なタンパク質の活性を破壊するために用いられてきた。
ペプチドアプタマーは、遊離アミノ酸よりも容易に送達され、細胞内でより安定であり、その拘束される折りたたみは、結合におけるより低いエントロピー消費をもたらし、それゆえ標的タンパク質に対する親和性を増加させる。ペプチドアプタマーのタンパク質設計により、分子ツールキットのデザインにおける認識機能性を提供することが可能になったが、その潜在能力は未だ完全には解明されていない。ペプチドアプタマーのその標的に対する親和性は、10−6から5×10−9Mの範囲であり、それに対して、抗体/標的相互作用においては、K10−7から10−11Mである。それにもかかわらず、ペプチドアプタマーは、インビボでタンパク質相互作用を破壊できることが明らかである。ペプチドアプタマースクリーニングは、イースト菌内又はほ乳類細胞内で行われ、潜在的に誤って折りたたまれた原核生物により発現されたタンパク質に対して行われたペプチド又は抗体ライブラリーのファージディスプレイスクリーニングとは区別できる。
最も広く用いられる足場は、大腸菌タンパク質チオレドキシン(TrxA)であるが、他のタンパク質も多く用いられてきた。この技術の成功は、足場の堅固さが条件となっており、三分の一のペプチドは、GFPを不安定にするが、一方TrxAに基いているペプチドアプタマーの多くは培養ヒト細胞では安定して発現せず、この足場が、それ自身部分的にほどけていることがないペプチドを提示するために十分に固定されていなくてもよいことを示している。一つの足場の関連で取り出されたペプチドが別のところにおかれるとその標的タンパク質との相互作用する能力を失い、既知の標的との拘束される相互作用のためのスクリーニングが、適当な足場が用いられることがないと、機能しなくなる可能性をひきおこす。ついには、ペプチドを提示するために用いられる足場の生物学的活性が、従来は厳格に特徴づけられておらず、ペプチドアプタマーが発現した場合、少なくとも部分的には、挿入されたペプチドの効果ではなく足場の効果によるとされうる、任意の表現型が観察されるという懸念を導くこととなっていた。
それゆえ、拘束されるペプチドの提示のために堅固で、融通の利く、生物学的に中性な足場を産生した。広範囲の標的に機能的に相互作用できるペプチドを提示する一方、実験システムの範囲内で、安定に発現できるタンパク質を追求した。かかる足場は、堅固さを増加させることによりペプチドアプタマー技術を実質的に改良する。さらに、利用できる足場のレパートリーを拡張することにより、本発明は、各標的に対する同時スクリーニングにおいて多数の足場のライブラリーを用いることにより、より多くの数の標的タンパク質に対するスクリーニングにおいて、得ることができるヒットする見込みを有利に増加させる。
(ステフィンA)
本明細書では、ヒトステフィンA(SteA)に基いている、拘束されるペプチドの提示のため、厳格に試験され、生物学的に安定な足場の開発について述べる。SteAは、システインカテプシンのタンパク質阻害剤のカテプシンファミリーの創立メンバー(founder member)であり、パパインファミリーのリソソームのペプチダーゼである。シスタチンファミリーのステフィンサブグループは、比較的小さい(約100アミノ酸)単一ドメインのタンパク質である。公知の翻訳後修飾は受けず、ジスルフィド結合を欠いており、細胞外及び細胞内の環境の広い範囲において、同一に折りたたむことができることを示している。SteAそれ自身は、単量体で、一本鎖で、98アミノ酸の単一ドメインタンパク質である。SteAの構造は、解明されており(Martin et al. 1995 J Mol Biol. Vol246 pp331-43; Tate et atl 1995 Biochemistry vol 34 pp14637-48;Jenko et al 2003 J Mol Biol vol 326 pp875-85)、SteAのSTM足場への合理的な変異を促進するものである。シスタチンの唯一公知の生物学的活性は、カテプシン活性の阻害であり、本発明者らが設計したタンパク質の未解決の生物学的活性のための徹底的な試験を可能とした。それゆえ、天然SteAのタンパク質設計が、ペプチドアプタマー足場としての有用な変異型を産生することができることを明らかにする。SteAが、インビトロで及び細胞内の関連で、その生物学的活性を失うように設計でき、好ましい実施形態において、いわゆるSTM(ステフィンA三重変異体;Stefin A Triple Mutant)を作出することを示す。生物物理学的方法では、ペプチドが挿入されたSTM足場は、折りたたみと親タンパク質の熱安定性とを保有する。さらにSTMがヒト細胞の細胞質と細胞核の両方にアクセスすることができ、ヒトタンパク質の生物学の追求のための多目的に使用できるツールとなることを示す。設計された足場は、インビトロ及び、バクテリア細胞、イースト菌細胞、ほ乳類細胞の両方におけるペプチドの相互作用を容易に提示する。最終的に、STMが、公知の標的と相互作用を行うことが成功できるデザインされた一連のペプチドを提示することができることを示す。従来のペプチドアプタマーは、細胞に基いているアッセイにおいて生物活性を同定することの困難さによって阻まれていた。それらは、存在する様々な足場の次善のパフォーマンスによって少なくとも部分的にひき起こされていた。インビトロとインビボでタンパク質間相互作用の研究を追求する者にとって非常に有利になるであろう有用な足場を作製した。
(ステフィンA配列)
ステフィンA「に基いている」足場は、ステフィンAに由来する配列を有する。好ましくは、ステフィンAに由来する配列は、野生型ステフィンA配列を含み、一又は複数の本明細書中に記載の修飾(変異)を含むことが好ましく、STM配列を含むことが好ましく、Leu73部位において挿入された標的ペプチドを有するSTM配列を含むことが好ましい。
当業者にとっては、本発明から逸脱することなく、足場配列に軽微な修飾を行ってもよいことが明らかであろう。特に、本発明は、本明細書中に示される対応配列と少なくとも60%の同一性、好ましくは少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、好ましくは少なくとも92%、好ましくは少なくとも94%、好ましくは少なくとも95%、好ましくは少なくとも96%、好ましくは少なくとも97%、好ましくは少なくとも98%、好ましくは少なくとも99%、又はさらにそれ以上の同一性を有するアミノ酸配列及び/又はヌクレオチド配列に関する。各例において、配列のばらつきは、足場が標的ペプチドを溶剤へ提示する能力に悪影響を及ぼすことがない限り、「軽微」であると認められ、G4W、Leu73、及びV48D変異体において無効にされる野生型ステフィンAにより保持されている生物学的機能を再構築又は作製することはなく、好ましくはSTM三重変異体により消滅される生物学的機能を再構築することもない。
さらに、軽微な修飾は、ステフィンAに由来するポリペプチドへの10以下のアミノ酸の付加又は欠失などの、本明細書中に記載のステフィンA又はステフィンAに由来する配列への欠失又は付加を含んでもよい。それゆえ、本発明は、ステフィンA、又は本明細書に記載のSTM配列に、40アミノ酸以下、好ましくは30アミノ酸以下、好ましくは20アミノ酸以下、好ましくは15アミノ酸以下、好ましくは10アミノ酸以下、好ましくは9アミノ酸以下、好ましくは8アミノ酸以下、好ましくは7アミノ酸以下、好ましくは6アミノ酸以下、好ましくは5アミノ酸以下、好ましくは4アミノ酸以下、好ましくは3アミノ酸以下、好ましくは2アミノ酸以下、若しくは好ましくは1アミノ酸が完全に付加又は欠失したアミノ酸配列に関する。完全な付加又は欠失とは、重要なファクターであり、9以下の相違とは、9アミノ酸の欠失;それぞれ3アミノ酸の3つの欠失、3個のアミノ酸の2つの付加、3個のアミノ酸の1個の付加等、を意味することができる。本発明は、対応する核酸変異型にも関する。各例において、配列のばらつきは、溶剤へ標的ペプチドを提示する足場の能力に悪影響を及ぼさず、野生型ステフィンAが保持しているが、G4W、Leu73、及びV48D変異体において消滅しているような生物学的機能を再構築又は産生せず、好ましくはSTM三重変異体により消滅している生物額的機能を再構築しない限り「軽微」な修飾と認められる。
(ステフィンA変異)
好ましいステフィンA変異は以下のとおりである。
変異部位について論じるに関して、「近接の(close to)」とは、7アミノ酸以内を意味し、5アミノ酸以内が好ましく、3アミノ酸以内が好ましく、2アミノ酸以内が好ましく、所定のアミノ酸におけるものが好ましく、若しくは2つの隣接したアミノ酸のうちの1つであることが好ましい。
挿入に関連して、一又は複数の核酸レベルの制限酵素認識部位に、好ましくは一又は複数の特有(unique)の制限酵素認識部位が、将来的な導入を促進するために導入されることが好ましい。この点についてはLeu73部位に関連して詳しく述べる。組換え核酸技術のこれらの教示と当業界の周知技術により、当業者は、足場タンパク質の主な特徴を保存しながら当業者は、関連性のある制限酵素部位(1又は複数)を導入することが可能である。「特有」なる用語は、足場タンパク質のコード配列における特有性を意味する。非特有(non-unique)な部位は用いてもよいが、特有な部位が、構築物の挿入と操作の容易さのために好まれる。2つ以上の部位が、例えばLeu73−80ループをコードする配列の排除と置換を促進するために用いられる場合に、2以上の部位のそれぞれが特有であることが好ましい。しかしながら、2以上の部位が同一であるならば、排除及び置換作業を、例えば唯一つの制限酵素処理と関連させることにより、簡素化することができる。その選択は発明を実施する当業者であればできることである。好ましい態様では、2つの同一の部位は、Leu73−80ループの排除及び置換用に導入されている。操作の簡便化のためにコード配列におけるかかる3つの部位それぞれにおける挿入又は修飾を異なる制限酵素を用いて行えるように、Leu73mG4及びV48領域をコードする配列で用いられる制限部位は異なることが好ましい。
(G4W変異)
「G4W変異」なる用語は、ステフィンA又はステフィンAに由来するポリペプチドのG4部位の周辺の、好ましくは近接の、又は好ましくはその位置での変異を表現するために本明細書中で用いられる。より広範な実施態様では、G4W変異は、SteAのアミノ末端の一又は複数のアミノ末端アミノ酸残基に対する一又は複数の付加、一又は複数の挿入、一又は複数の置換を意味する。好ましくは、かかる変異は、Pro14に近位(proximal)で、好ましくはG4に近位である。かかる変異は、好ましくは、ヒトSteAのPro14の近接、又は好ましくはPro14においてである。特に、G4W変異は、STM配列により論証されるものが好ましい。G4のWとの置換が最も好ましい。
好ましい実施態様では、G4W部位は、Leu73部位に追加する二次的な挿入部位として用いられ、又は、Leu73部位とV48D部位との両方に追加する三次的な挿入部位としてさえも用いられる。
(V48D変異)
「V48D変異」なる用語は、SteAのVAG部位の周辺、好ましくは近接、又は好ましくはその位置での変異を表現するために本明細書中で用いられる。VAG部位は、QVVAG部位の48〜50残基であって、QVVAG部位はヒトSteAの46〜50残基である。
好ましくはこのことは、ヒトSteAの48、49、50残基のVAG部位の周辺、好ましくはその位置での一又は複数の付加、一又は複数の挿入、一又は複数の置換を意味する。VAG部位(ヒトステフィンAの48、49、50残基)への、好ましくは、この配列のV残基の近接への、最も好ましくはV残基への付加又は挿入を意味することが好ましい。
好ましい実施態様では、V48D部位は、Leu73部位に追加する二次的な挿入部位として用いられる。
(Leu73変異)
Leu73部位は、本発明による標的ペプチドの好ましい挿入部位を表す。Leu73部位は、ステフィンAタンパク質の溶剤に露呈したループを表し、溶剤にアクセスできる方法での標的ペプチドのディスプレイに対してそれゆえ影響を受けやすい(amenable)。この特質は、かかる部位の変異によって保存されることが好ましい。
「Leu73変異」なる用語は、ヒトSteAのL73〜L80ループの周辺、好ましくは近接、又は好ましくはその位置での変異を表現するために本明細書中で用いられる。
かかる用語は、ヒトステフィンAのLeu80の一又は複数の付加、一又は複数の挿入、又は一又は複数の置換を意味することもある。かかる用語は、ヒトステフィンAのLeu73の一又は複数の付加、一又は複数の挿入、又は一又は複数の置換を意味することが好ましい。
一実施態様では、Leu73変異は、L73とL80の間の全体のループと任意のペプチド配列、好ましくは異なる標的ペプチド配列(好ましくはステフィン足場分子あたり一のみの)、すなわちライブラリーとの置換を含んでもよい。
核酸レベルでは、好ましい変異は、L73〜L80ループ内の挿入のための制限酵素部位(restriction site)をもたらす変異であり、このループをコードする配列の置換のための2つの制限酵素部位がより好ましい。ステフィンA足場コード配列にユニークな制限酵素部位が特に好ましい。RsrII制限酵素部位が最も好ましい。
特に好ましい実施態様では、Leu73変異は、STMタンパク質に示される変異に対応し、対応するRsrII核酸配列は、STMタンパク質をコードする核酸に存在することが好ましい。それゆえ、好ましい実施態様では、SteAのKSLアミノ酸配列は71〜73残基(すなわちLeu73)で、STM配列における同じ位置(71〜73残基)でNGPアミノ酸配列により置換される。STM配列は、好ましくはSteA配列に比べて拡張しないことが好ましく、98アミノ酸にとどまることが好ましい。
これらの実施態様では、RsrII部位を用いるペプチドの挿入は、さらに2つのアミノ酸の導入を導く(すなわち、RsrII部位のヌクレオチド配列がGPをコードする)。これはライゲーションの後にRsrII部位が複製される(duplicated)ことによる。本明細書中の「特有な」RsrII部位への言及は、ペプチド挿入なしの足場をコードする核酸を意味する。それゆえ誤解を避けるために、ペプチド挿入の長さに対する言及は、所望の異種アミノ酸配列を意味し、RsrII部位によって導入された追加の2つのアミノ酸(GP)を含まない。それゆえ、20merペプチドの導入は、120aa(98aa(足場)+20aa(標的ペプチド)+aa(GP)=120aa)の足場−ペプチド融合を導く。好ましくは、標的ペプチドは、それゆえ、このNGPX−XGP**部位において導入されることが好ましく、配列中「」と「**」とは足場配列の残り(remainder)の配列であり、「X−X」は標的ペプチドである。好ましくは、X−Xは、20以下のアミノ酸を含み、12以下のアミノ酸を含むことが好ましい。
(組合せ変異)
本発明による足場タンパク質は、ステフィンAに基づくものであり、少なくとも一つの上述の変異を含むことが好ましい。足場タンパク質は、Leu73変異を含むことが好ましい。足場タンパク質は、Leu73部位において挿入された標的ペプチドを含むことが好ましい。
足場タンパク質は、少なくとも二つの上述の変異を含むことが好ましい。本発明の足場タンパク質が2つしか変異を含まない場合、それらは、まさにG4WとLeu73変異ではないことが好ましい。本発明の足場タンパク質が2つしか変異を含まない場合、それらがV48DとLeu73の変異であることが好ましい。
本発明による足場タンパク質は、上述の3つのすべての変異を保持することが好ましい。それゆえ、本発明による足場タンパク質は、G4W、V48D、及びLeu73変異を組み合わせて有することが好ましい。
G4W変異に関しては、足場タンパク質のLeu73部位及び/又はV48部位において挿入される標的ペプチドに結合する実体の親和性及び/又は特異性を増大(enhance)させる使用において特に有利である。
V48D変異に関しては、ステフィンA構造における別の溶剤に露呈したループを表す。このことは、足場タンパク質のLeu73部位及び/又はG4W部位に挿入される標的ペプチドに結合する実体の親和性及び/又は特異性を増大させる使用において特に有利である。それゆえ、本発明は、ステフィンAに基づく足場タンパク質における二次的又は三次的な挿入部位としてのV48Dの使用を包含するものである。
標的ペプチドは、3つの好ましい変異部位であるG4W、V48D、及びLeu73から選ばれるいずれかにおいて有利に挿入されてもよい。V48D及び/又はLeu73に挿入されるのが好ましい。Leu73に挿入されるのが好ましい。
特に好ましい実施態様では、足場タンパク質に基いているステフィンAは、全体で3つの表面(surface)の使用を可能にする。これらは、Leu73ループ、V48Dループ、及びG4Wループにより定義される表面である。これらのループは、図1bにおいて三次元形態で示されている。従来技術では、足場タンパク質は単一の表面のみを使用し、それゆえ単一の足場タンパク質において、複数の表面を用いることができるのは本発明の有利な点である。複数の表面を用いることを可能にする従来技術のタンパク質は、ジストロフィンドメインのリピートから構成される。しかしながら、ほ乳類の構造タンパク質は多くの類縁体及びパートナータンパク質を有し、生物学的に中性になりにくいので、ほ乳類細胞においては用いることができない。
[固相とマイクロアレイ]
上述のとおり、本発明はマイクロアレイにおける適用を見い出すものである。マイクロアレイでの実施態様のような固相での実施態様では、足場タンパク質は、アッセイのための固相基質への会合又は吸着を促進するように設計されるのが好ましい。好ましくは、このことは金メッキへの固着(sticking)又はビオチンとの会合による。金メッキへの固着のための足場を設計するために、一又は複数のCys残基が、足場タンパク質のC又はN末端に導入される。ビオチンの結合による固定化のために足場タンパク質を設計するために、該足場には、8つのアミノ酸ビオチン結合ドメイン(「ストレプトタグ」)が導入されることが好ましい。固定化は、これらの一若しくは複数、又は別のいずれかの適当な手段によってもよい。本発明の足場タンパク質は、固定されることが好ましい。本発明の足場タンパク質は、固定化のために設計されることが好ましい。本発明による相互作用試験は、固定化足場タンパク質を用いて行われることが好ましい。
[本発明のさらに有利な点]
ステフィンAに基いている足場タンパク質は、インビボで用いることができるので、ペプチドを用いるよりも優れている。さらに、組換えシステムを用いることで、合成ペプチドで実施するよりも安価である。さらに、ライブラリーの構築は、同様の理由で、また核酸操作を用いて合理的にデザインすることができるという理由で、合成ライブラリーを用いるよりも安価である。このことは、ペプチド合成のための複雑な化学への依存を減少させる。
ファージディスプレイは、細胞外相互作用に依存しているのに対し、ステフィンAに基いている足場タンパク質は細胞内であるから、ファージディスプレイなどの従来技術よりも優れている。一方さらに、本発明の足場タンパク質は、組換え標的よりもむしろ天然標的で作用させるために用いることができる。このことは、インビボでは正しくリン酸化若しくはグリコシル化、さもなければ翻訳後に修飾されるが、インビトロで作製された場合はおそらく正しく形成されることはないであろう翻訳後修飾タンパク質の検査を可能にする点でさらに有利である。
本発明による足場タンパク質のさらに有利な点は、これらのそれぞれをここに製造する必要もなく、アレイする必要もなく、または分析のために区分する必要もなく、インビボで作製されたスプライス変異型と翻訳後修飾変異型の天然由来のスペクトラムの照合を可能にすることである。
本発明の別の適用は、足場タンパク質に基いているステフィンAとの相互作用を読み出すためにマイクロカンチレバーの使用によるものである。さらに、本発明の足場タンパク質は、薄膜トランジスタ型読出し器(thin film transistor type readouts)を用いるために特に適切である。
本発明は、一例として、添付図面を参照して本明細書に記載される。
[実施例]
実施例は、以下の技術と手段をもって利用することができる。
pcDNA3SteAは、サイトメガロウイルスプロモーター(J.P. Waltho, University of Sheffield, UK)の制御下で、SteAオープンリーディングフレームを有する。ほ乳類細胞内でのヘキサヒスチジンタグタンパク質の構築のためのpcDNA3.1、HisA及びpcDNA3.1、His/MycBはInvitrogen社(Paisley,UK)より、pGILDAはOrigene社(Rockville,Maryland,USA)より購入した。バクテリアにおけるヘキサヒスチジンタグタンパク質の発現のためのpET30a(+)は、Novagen社(Nottingham,UK)より、pGFP−C2は、PerkinElmer(Boston, MA, USA)社より購入した。イースト菌の2つのハイブリッドプラスミド(pEG202、pJG4−5及びpJM−1を含む)及び菌株は、Molecular Sciences Institute,Berkeley,California,USA社製である。pRS306GFP−Sho1pは、Dana−Farber癌研究所(Cancer Institute)、Boston,MA,USAより得た。DNA操作は、NEB社(MA, USA)より購入した酵素を用いて、SambrookとRussell(2001 ‘Molecular Cloning, a Laboratory Manual’ Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York)記載の方法により行われた。オリゴヌクレオチドは、Sigma−Genosys(Pampisford, UK)社製であり、配列表に記載されている。部位特異的変異誘発は、マルチサイト部位特異的変異誘発キット(Stratagene社製, Cedar Creek, Texas, USA)を用いて行われた。DNA操作はすべて配列決定により確認された。
(ほ乳類細胞内での発現のためのプラスミド)
SteAオープンリーディングフレームをpcDNA3SteA由来のプライマーP1とP2(配列表参照)とを用いてPCRで増幅し、SteApcDNA3.1HisAを作出して、pcDNA3.1HisAのEcoRIとEcoRV部位の間でクローンした。RsrII部位が、オリゴヌクレオチドP3を用いて部位特異的突然変異誘発法によりかかるコンストラクトに導入され、RSpcDNA3.1HisAを作出し、ORFのコドン71〜73を変更して、タンパク質配列をKSLからNGPに変化させた。RSORFを、プライマーP4とP5とを用いて、及びRSpJG4−5(下記参照)をテンプレートとして増幅し、pcDNA3.1His/MycBのEcoRIとXbaI部位の間をクローンして、RSpcDNA3.1His/MycBを作出した。DSオープンリーディングフレームを、DSpJG4−5(下記参照)由来のプライマーP6とP7とを用いて、コドン4のコードをグリシンからトリプトファンに変化させて、PCR増幅した。PCR産物は、pcDNA3.1His/MycBにEcoRI−XbaIでクローンして、STMpcDNA3.1His/MycBを作出した。DSオープンリーディングフレームは、DSpJG4−5からプライマーP8とP9とを用いて、別途PCR増殖し、3回目のG4W変異、及びN末端のNLSを導入し、PCR産物は、EcoRI−XbaIでクローンして、NLS STMpcDNA3.1His/MycBを作出した。STMは、STMpJG4−5からEcoRI−EcoRIで、pGFP-C2にサブクローンされ、STMpGFP−C2を作出した。これは、STMオープンリーディングフレームのRsrII部位にAvaII制限酵素部位に隣接するSV40TNLS(PKKKRKV)をコードするオリゴヌクレオチドP10とP11をアニールすることにより作出したdsDNAカセットを導入することによりSTM1×NLSpGFP−C2に変換した(converted)。2つのカセットのRsrII部位への鎖状(Concatameric)ライゲーションにより、STM2×NLSpGFP−C2を作出した。
(サッカロマイセス・セルビシアエにおける発現プラスミド)
RSを、RSpcDNA3.1HisAから、プライマーP12とP13とを用いて、PCR増幅し、EcoRI−EcoRIで、pJG4−5(Gyuris et al, 1993)にB42活性化ドメインのフレーム内にクローンして、RSpJG4−5を作出した。かかるプラスミドにおける比較的弱い転写活性ドメインの使用が、標的タンパク質に対する高親和性を有するペプチドアプタマーの選択を可能にすることが示される。オリゴヌクレオチドP14を用いたRSの部位特異的突然変異誘発法は、V48D変異を導入し、DSpJG4−5を作出した。オリゴヌクレオチドP15は、トリプトファンをコードするコドン4を変更してSTMpJG4−5を作出した。その後STMpJG4−5は、プライマーP26を用いて、部位特異的突然変異誘発法によってRsrII部位を取り囲む配列が、TrxAの配列にマッチするように変更された。本明細書記載の以下の操作はすべて、かかる変更した形態のSTMを用いた。STMは、STMpJG4−5から、pGILDAに隣接するEcoRI部位を用いてサブクローンして、STMpGILDAを作出した。Colas(1996 Nature vol 380 pp548-50)により同定された14すべてのCDK2インタラクターのペプチド配列をコードするオリゴヌクレオチドを、イーストツーハイブリッド相互作用アッセイのためにSTMpJG4−5にクローンした。Sho1pのSH3ドメインを、プライマーP24とP25とを用いて、pRS306GFP−Sho1pからPCRで増幅した。消化したPCR産物は、EcoRI/NotIで消化したpEG202にクローンされ、PEG202−Sho1−SH3を作製した。
(大腸菌内で発現するためのプラスミド)
SteAのORFを、プライマーP16とP17を用いて、SteApcDNA3.1 HisAをテンプレートとして増幅し、EcoRI−XhoIを用いてPET30a(+)にクローンして、SteApET30a(+)を作出した。前項に記載のオリゴヌクレオチドによる部位特異的突然変異誘発法は、RSpET30a(+)とSTMpET30a(+)とを作出するために用いられた。AU1エピトープタグDTYRYIをコードするAvaIIのオーバーハングに隣接した二本鎖のオリゴヌクレオチドカセットを、オリゴヌクレオチドP18とP19とをアニールすることにより作製した。dsDNA AU1挿入を、STMpET30a(+)のRsrII部位にライゲートし、STMAU1pET30a(+)を作出した。
[STMペプチドアプタマーの構築:ライブラリーDNAの調製]
イーストツーハイブリッドSH3スクリーニングのための縮合一本鎖ヌクレオチドP21が、P20を用いて反応を開始するためにPCRにより二本鎖とされ、AvaIIで消化したカセットを、Colas(1996 Nature vol 380 pp548-50)とGeyer,C.R. (2000 Current Protocols in Molecular Biology F.M. Ausubel et al, Eds. 24.4.1-24.4.25.)の方法にしたがって、STMpJG4−5のRsrII部位にライゲートした。
オリゴヌクレオチドのお互いへの、及びベクターへの偶発的ライゲーションが、一つの足場における多重ペプチドの発現を導く。ライゲートされたDNAは、大腸菌XL10ゴールドセル(Stratagene社製)を形質転換するために用いられ、そこからミディプレップDNAを単離し(Qiagen社製)、イースト菌に形質転換した。ライブラリーの品質は、引き続き行われたスクリーニングの前又はスクリーニングの間において、30の異なるクローンから単離されたプラスミドの配列決定により試験した。
[イースト菌ライブラリーの調製]
イースト菌についての手法のすべてはRose et al(Eds)(1990 Methods in Yeast Genetics: a Lab course manual. Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York.)に記載されている。ライブラリーDNAのイースト菌への形質転換は、1μgあたり約5000コロニーをもたらした。形質転換したイーストを回収し、選択培地で4時間30℃にて振盪培養した(250rpm)。細胞は、1000×gにて遠心分離によって回収し、超純水で洗浄し、25%グリセロールに再懸濁して−80℃にてアリコートごとに凍結した。アリコートあたりのコロニー形成単位数は、選択培地上で融解したアリコートを連続希釈することにより決定した。
[イースト菌内のタンパク質の発現と検出]
pJG4−5−STMを有する単一のイースト菌コロニーを一晩培養した細胞を、適当な炭素源(2%v/vのグルコース又はガラクトース)を含む10mLの培地において、タンパク質抑制(repression)とタンパク質発現それぞれのために生育させた。細胞は、前述のとおり遠心分離によって回収し、超純水で洗浄し、1mLのタンパク質抽出バッファー(50mMTrisClpH7.4、2mMEDTA、100mMNaClと完全タンパク質阻害剤(complete protease inhibitors)(ロッシュ社製))に再懸濁した。400/600ミクロンガラスビーズ(シグマ社製)とともに10分間4℃にて激しくボルテックスして溶解した。ビーズと細胞残屑は、エッペンドルフ5415微量遠心管で1分間に13000rpmで遠心分離することによりペレット状にし、10μLの上清がSDS−PAGEと免疫ブロット分析に用いられた。
[大腸菌内のSteA及びSteA変異型組換えタンパク質の産生]
大腸菌BL21(DE3)細胞に形質転換したpET30a(+)SteA及びSteA変異型は、2×TYブロス内でA600=0.6まで生育し、0.4mMIPTGでタンパク質発現を2時間誘導した。細胞を集菌し、15mMのイミダゾールで補完したBugbusterタンパク質抽出試薬(Novagen社製)に再懸濁した。細胞は、VibraCellソニケーター(Sonics and Materials Inc社製)を用いて3×30秒間80Vにてソニケーションすることにより溶解した。6つのHisタグタンパク質を、Ni−NTAカラム(Qiagen社製)を用いて精製し、500mMのイミダゾールを用いてTBS300(300mMの塩化ナトリウムで補完したトリス緩衝生理食塩水)に溶出した。タンパク質はその後一晩4℃にて1×TBSに透析した。
[熱安定性アッセイ]
組換えSteAと変異型を20分間75℃にて又は氷上でインキュベートし、変性タンパク質は、エッペンドルフ5415微量遠心管で、1分間13000rpmで遠心分離することによりペレット状にした。熱処理した及び処理していない溶解性タンパク質が、変性SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動して分離され、クーマシー染色により可視化された。
[STM AU1免疫沈降]
SteAタンパク質調製物は、1時間4Cにて100ngの組換えSteA又はとSteA変異型と20μLのSephadexタンパク質A/Gビーズ(Amersham Pharmacia社製)とを500μLの1×TBSと1mg/mLのBSAにおいてインキュベートすることで前もって除去した。ビーズは遠心分離で回収され、廃棄され、前もって除去した上清を保存した。免疫沈降のために、0.1、1又は10μgの抗AU1抗体(Babco社製)を20μLのタンパク質A/Gビーズ(Sigma社製)に、1時間4Cにて500μLの1×TBSと1mg/mLのBSAにおいて結合させた。ビーズを3×1分間1mLの1×TBSと1mg/mLのBSAで洗浄し、過剰な抗体を除去するために1.8Krpmで遠心分離によって回収した。前もって除去した上清を抗AU1ビーズに添加し、90分間4Cにてインキュベートした。ビーズは前述のとおり回収し、洗浄した。サンプルバッファー(Laemmli,1970)を添加し、サンプルを3分間沸騰させ、12%SDS−PAGE及び抗steAC5/2モノクローナル抗体(Maryland Biosciences社製)のウェスタンブロッティングにより分析した。
[ゲルろ過]
25μLの約2.5mg/mLの精製組換えSteA又はSteA変異型を、スーパーローズ(Superose)12ゲルろ過カラムで、アクタプライム(Akta Prime)(Pharmacia社製)を用いて0.04mL/分の速度で流出させた。SteA変異体を0.5mg/mLの濃度で負荷した溶出体積較正基準と比較した。
[円偏光二色性]
組換えSteA、SteA変異型又はSTM含有ペプチドのアリコートは、NiNTAクロマトグラフィーにより精製し、一晩4℃にて25mMカリウムリン酸バッファーで透析した。不溶性の粒子状物質を25μmフィルターで除去した。円偏光二色性分析は、JascoJ8−10システムを用いて0.5mm路長の150μL石英キュベットでA280=0.2にて行った。折りたたみスペクトラは、190nmから250nmで収集し、温度差によるベータシートの存在の有無は、215nmでモニターした。各SteA変異型と条件について10スペクトラが採取され、平均し、最終カーブを作成するためにバッファーのみのスペクトラが差し引かれた。
[ほ乳類細胞内のSteAと変異型の発現及び免疫蛍光検出]
6ウェルディッシュあたり5×10細胞の密度にてカバースリップ上で生育したヒトU2OS骨肉腫(osteosarcoma)(ATCC HTB-96)細胞を、1μgのプラスミドDNAと3μLのジーンジュース(Genejuice)(Novagen社製)でトランスフェクトした。トランスフェクションした48時間後にカバースリップをPBSで3回洗浄し、1×PBSにおいて新たに調製した4%パラホルムアルデヒド(BDH社製、Poole, Dorset)で、10分間室温にて細胞を固定した。1×PBSによる3回の洗浄後、細胞は、1×PBSと0.1%Triton−X−100において10分間室温にて透過処理され(permeabilized)、ブロッキング溶剤(4.5mLのPBS、500μLのウシ胎仔血清(HyClone社製, Cramlington, Northumberland)、50mgのウシ血清アルブミン、及び0.1%Triton−X−100)内で30分間インキュベートし、その後抗ステフィンA抗体(1:100ブロッキング溶剤)内で一晩4℃にてインキュベートした。細胞をPBSで3×5分間で洗浄し、ブロッキング溶剤内で1:200の抗マウスアレクサ(Alexa)488nm二次抗体(Molecular Probes, Inc社製)に1時間インキュベートし、その後PBSで3×5分間洗浄した。カバースリップは、DAPIを伴うベクタシールド(Vector Laboratories社製)を用いてスライドの上にマウントした。pGFPC2発現変異型については、細胞を上述の通りトランスフェクトし、24時間後細胞を、1×PBSで3回洗浄し、その後4分間室温にて、PBSで1:250に希釈したPKH26蛍光膜染色(Sigma社製)でインキュベートした。細胞をPBSで3×5分間洗浄し、1×PBSで新たに調製した4%パラホルムアルデヒドで、10分間室温にて固定した。細胞をPBSで3×5分間で洗浄し、最後にカバースリップをDAPIを含むベクタシールド(Vector Laboratories社製)を用いてスライドの上にマウントした。すべてのスライドは、その後ツァイスLSM510メタコンフォーカル(Metaconfocal)とツァイスソフトウェアを用いて共焦点顕微鏡(confocalmicroscopy)により分析された。
[イースト菌SH3ドメイン結合ペプチドアプタマーのスクリーニング]
縮重(degenerate)オリゴヌクレオチドカセットは、Sho1pのSH3ドメインと相互作用するPbs2pのプロリンに富んだ配列(NKPLPPLPLV)の周辺で設計されたバイアスライブラリーをコードするP20とP21をアニーリングし、増幅することによって作製した。カセットの翻訳によりX(L/V/P/A)N(K/R)PLP(P/S/A)LP(L/V/P/A)Xを得た。DNAレベルでは、かかるオリゴヌクレオチドは、理論上の複雑性として98,304を有するライブラリーを生じる。カセットは、STMpJG4−5にライゲートされ、XL10ゴールドセル(Stratagene社製)内で生育した。ミディプレップ(Qiagen社製)DNAを用いてEGY48内で6×10細胞のイースト菌ライブラリーを作出し、理論上ライブラリーによりコードされる配列の60%をカバーする。かかる細胞は、上述のとおり作出したpEG202−Sho1−SH3を有するEGY42細胞と交配した。インタラクターは、−UHTL/X−Gal/Gal−Raffプレートで4日間選択し、採取して、プラスミドは、大腸菌KC8細胞内でレスキューした。プラスミドは、EGY48に再び形質転換され、相互作用交配マトリックスを用いてEGY42内のSho1pのSH3ドメインとの相互作用を確認した。
[パパイン結合アッセイ]
カルボキシメチル化されたパパイン(Calbiochem社製)を保有する(carry)アガロースは、EB(平衡バッファー:50mMのリン酸ナトリウム、pH6.5、0.5MNaCl、0.1%非界面活性剤スルホベタイン)で、3回洗浄した。ビーズは、30分間4℃にてEBの1mg/mLBSAでブロックし、EBでさらに3回洗浄した。1×TBSバッファーの300μgの組換えSteA又はSTM AU1をEBに希釈して500μLの総容量を作製し、90分間4℃にてビーズを回転させて培養した。ビーズはその後EBで3回洗浄し、50μLのサンプルバッファーに再懸濁し、12%SDS−PAGEゲルと抗steAモノクローナル抗体(C5/2、Maryland Biosciences社製)を用いたウェスタンブロッティングによって分析した。
[カテプシンBとカテプシンHの活性アッセイ]
組換えカテプシンB(cathepsin B)(Innozyme社製)の活性は、カテプシンB活性アッセイキット(Innozyme社製)を用いて測定した。SteAと変異型との阻害活性は、この反応に滴定することにより測定した。アッセイは、別段の指示がなければ、製造者の指示通りに行われた。同一の条件を用いて、L−アルギニン−7−アミド−4−メチルクマリン塩酸塩(Sigma社製)を基質として、ヒト肝臓カテプシンH(Calbiochem社製)に対するSteAと変異型の阻害活性を測定した。フュージョンアルファプレートリーダー(Perkin Elmer社製)を用いて蛍光発光を測定した。
(足場タンパク質としてのステフィンAの使用)
図1はステフィンAの各部の一次アミノ酸構造とそのホモログを示す。図1bは、ステフィンAの三次元構造を示す。さらに図1bは、足場タンパク質の使用を促進するために変異させたステフィンAにおける3つの部位を示す。図1bには、G4W、V48DとLeu73がペプチド挿入のための部位として示されている。
足場タンパク質としての使用のためのステフィンAポリペプチドは、記載のとおりステフィンAの配列を変異させることにより作製する。ステフィンAに基づくが、かかる3つの変異を保持するようにもたらされたタンパク質は、STMと称される。STMの配列は、添付の配列表に記載されている。
図2aは、STMの熱安定性を示す。図2aに示されるように、STMは、70℃までは安定であるが、70℃でアンフォールディングが開始される。アンフォールディングは98℃で完了するが、STMは、20アミノ酸標的ペプチド挿入されている状態でも25度に冷却することにより正しい形態にリフォールディングする。
図2bは、足場タンパク質STMが、溶剤に標的タンパク質を提示することを示している。このことは、抗ペプチド抗体(抗AU1)が、発現するためにSTM足場に挿入される場合に、標的ペプチドにアクセスすることができることを論証する免疫沈降実験によって論証された。
(STMは生物学的に中性である。)
ステフィンAは二量体を形成することが知られている。足場タンパク質としてのステフィンAの使用は、有利に二量体形成を無効にする。図3よりわかるように、STM足場タンパク質は、二量体形成が消滅し、モノマーであることが示されている。
二量体形成の消滅の原因となっているのは、V48D変異体である。いくつかの実施態様では、二量体形成能力を保有することは有利である。例えば、システムに熱ショックを与え、本発明による足場タンパク質の二量体形成を誘導することができることは有用であるかもしれない。この実施例では、V48アミノ酸を変異をさせてはならない。それゆえこの実施例では、本発明はLeu73とG4Wとの二重変異体に関する。かかる足場タンパク質でも、二重表面(dual surface)アプローチが可能であり、熱誘導性二量体形成という付加的な利益を提供する。かかる足場タンパク質の適用の一つとしては、シグナル伝達経路内の作用機序を調査することにおけるものである。例えば、2つの異なる標的ペプチドを2つの別個の足場タンパク質分子に挿入すると、これらの両方を含む細胞に熱ショックを与えることにより結集し、2つの標的ペプチドの二量化と会合とをもたらす。このことは、ペプチドに結合する細胞タンパク質を結集させるという有利な点をさらに有する。
生物学的中性は、従来技術の足場タンパク質には存在しなかったものであるから、本発明の有利な点の一つである。本発明によるステフィンAの生物学的中性の一態様は、ステフィンAのパパイン結合を消滅させることである。パパインは、カテプシンファミリーの創立メンバーである。図4に示すように、ステフィンAに基いている足場タンパク質STMは、カテプシン活性を妨害するものではない。
ステフィンAは、細胞質内のアンカー/核外輸送配列を有する。それゆえ、ステフィンAは、通常核にアクセスすることはできない。このステフィンAの生物学的特質は、STMなどの本発明によるステフィンAに基いている足場タンパク質において消滅している。このことは図5において、STMが、核局在化シグナルを有する場合に、核内に入ることができる一方、ステフィンAはできないことを示すことで示されている。
(足場タンパク質としてのステフィンAの使用の論証)
当該技術では、多数の公知のCDK2結合ペプチドアプタマーがある。これらのペプチドアプタマーのいくつかは、CDK2活性を阻害することが知られている。本発明の有用性を論証するために、これらのペプチドアプタマーのうちのいくつかを、本発明によるステフィンAに基いている足場タンパク質の設定(setting)とチオレドキシンAなどの従来技術の足場タンパク質の設定とを比較した。
図6よりわかるように、ステフィンAで得られた結果は、従来技術の足場チオレドキシンAで得られた結果と相違することがある。このことは、三次元ペプチド空間は、ステフィンAに基いている足場を用いて調査することができるが、TrxAに基づく足場を用いては調査できないことを論証した。
(足場タンパク質の作製)
ここで、新規のペプチドアプタマー足場の設計についての合理的なアプローチについて述べる。理想的な足場は、インビトロとインビボの研究のために広く有用である品質を保持する必要があり、STMの好ましい例示である、新規の足場のデザインについてのかかる基準を適用するために必要な理想的な足場の品質の概要を述べる。
小さな、安定した細胞内プロテアーゼ阻害剤であるステフィンAから、親タンパク質の安定した構造を保有する生物学的に中性な足場が設計された。STMは、公知のインタラクターの関連においても、ライブラリースクリーニングにおいても、所望の標的に結合するペプチドを提示することができることを示す。足場に基いている分子ツールは、生物学的経路の研究の幅広い範囲における、及び薬剤標的の検証における適用を見い出すものである。
[新規足場のための親タンパク質としてのヒトステフィンA]
8つの候補タンパク質のパネルが選択された。スルフォロブス・ソルファタリクスTBP(Sulfolobussolfataricus TBP);ジスコソマ類の赤色蛍光タンパク質(Discosoma spp.)、dsRED2及びウミシイタケ(Renilla reniformis)由来のヒト化緑色蛍光タンパク質;サッカロマイセス・セルビシアエGcn4p、及びヒトステフィンA(H. sapiens StefinA)、又はタンパク質ドメイン(ロイシンジッパーとDNA結合領域を含むGcn4pコア;及びヒトのユートロフィン(utrophin)とジストロフィン(dystrophin)に由来する三重らせんコイル状コイルリピート)。これらは、発現ベクターにクローンされ、CMVプロモーターの制御下で、組織培養細胞(tissue culture cells)において発現する。これらの候補のうちヒトステフィンA(SteA)のみが、ウェスタンブロッティングで容易に検出でき、ヒト細胞内で毒性が欠如しており、すぐれた足場を設計することができるかもしれないことを示唆している。SteAは単量体で、98アミノ酸の単一ドメインタンパク質であり、翻訳後修飾を受けることは知られておらず、ジスルフィド結合が欠如している、98アミノ酸の単一ドメインタンパク質である。SteAは、98.8℃にて観察される可逆転移を伴う顕著な熱安定性を示し、折りたたみエンタルピーは490KJ/モルを示し、SteAに基いている足場の重要な特性となっている。
[ペプチド挿入部位の選択]
ヒトSteA、SteB、シスタチンC前駆体、シスタチンD前駆体、シスタチンM前駆体と、ラット、ウシ、及びニワトリのシスタチンをGCGスイートのclustalWを用いてアラインし、位相特徴(topological features)を配慮してアラインメントを手入力で調整した(図1A参照)。不十分に(poorly)保存されている領域は、タンパク質の折りたたみに貢献しそうなものではない一方、高度に保存されている領域は、生物相互作用を介するものであってよい。SteA構造(図1B参照)が、どの残基が標的プロテアーゼ結合に関与しており、どの残基がSteAの親水性コアを構成しているかを同定した。73部位のロイシン残基が、SteAとその標的プロテアーゼの間の相互作用の一部を介している。シスタチンファミリーの多様なメンバーが、かかる領域(図1A参照)に近接した挿入を有している。具体的には、挿入は、ファミリーIメンバー(ヒトステフィンAもメンバーである)においては短いか、又は欠如しているが、ニワトリシスタチンA(ファミリーIIメンバー)においては存在し、同様に例えば、シスタチンMは、SteAがかかる部位でペプチドの挿入を受け入れてもよいことを示唆している。ニワトリシスタチンAの構造は、ここに挿入されたペプチドが、うまく拘束を受けやすく、しかしながらαへリックスとβストランドを含む様々な立体構造を採用し、Leu73及びその周囲の残基がSteAの構造的折りたたみに何の役割も果たしていないことを示している。それゆえ、この部位のペプチドの導入は、足場の折りたたみを崩壊させることなく挿入された配列の拘束を可能にすべきことと、溶剤へのペプチドの提示を確実にすることとを結論づけた。RsrIIエンドヌクレアーゼ制限酵素部位が、SteAのオープンリーディングフレームの72、73、及び74残基に対応するコドンにおいて導入され、足場により拘束されるペプチドをコードするオリゴヌクレオチドのオープンリーディングフレーム(ORF)に引き続き挿入が可能となるようにした。変異体ORFによりコードされているタンパク質をRS(RsrII SteA)と称する。また、公知のタンパク質間相互作用を排除しようとした。標的プロテアーゼに対するステフィンAの結合の構造的デターミナントであるグリシン4(図1でハイライトされている)が、トリプトファンに変異させられ、バリン48をアスパラギン酸に変異させられた。後者の変化は、標的プロテアーゼとの相互作用を減少させ、足場の、ドメイン交換(domain swapping)を通じての二量体化への性向を軽減させるものである。これらすべての変異体の設計タンパク質についてSTM(ステフィンA三重変異体;配列表参照)と称する。ヒトステフィンAとアラインするモデル配列での変異タンパク質の配列(AU1ペプチド、以下参照)の説明は図1Cに示されている。
(ほ乳類細胞内のSteA足場の発現)
野生型ステフィンAは、大部分が細胞質性であり、新規の足場の有用性を限定しうる。細胞質内局在は、(サイズにより又は能動核外輸送により)核排除(exclusion)、又は細胞質アンカーの結果としてもたらされるものであり、タンパク質は、堅固な相互作用により細胞質内局在に物理的に限定されている。SteA配列の調査は公知の核外輸送配列のいずれのホモロジーを同定することはなかった。タンパク質相互作用の欠如をひきおこすことによる変異が、かかる局在化に影響を及ぼすかが検討された。U20S骨肉腫細胞にトランスフェクトされた場合、RSもまた、以下の表に示されるように大部分は細胞質に局在する:
Figure 2008541776
STMの追加的な設計は、核局在及び細胞質局在を導き(表参照)、SteAにおいて未同定の核外輸送シグナル(nuclear export signal)があることを示唆するものであるが、設計により作用不能になった(disabled)。STMのアミノ末端に単一のSV40ラージT NLS(PKKKRKV)を付加することで、STMの完全な核局在がもたらされた(表参照)が、RSタンパク質ではそうではなかった。同時にこれらのデータは、(i)小分子の(small)SteAタンパク質が核膜孔複合体により課せられるサイズ排除限界によっても核から排除されない;(ii)活発な核外輸送は作動しにくく、それゆえ(iii)SteAの優勢な細胞質局在が、STMにおいて無効にした細胞質相互作用により少なくとも部分的により介される。ゆえにSTMは、ヒト細胞において安定して発現でき、SteAの通常の相互作用を消滅させたのである。
(SteAに基づく足場は安定である)
タンパク質としての安定性に影響を及ぼすことなく、STMにペプチドを挿入することができるかどうかが解明されようとした。設計されたループ内に6残基「AU1」エピトープタグ(DTYRYI)を導入することでペプチドアプタマーをモデル化した。SteAの熱安定性を保有させ、加熱により増進されるドメイン交換による二量体化を消滅させようとした。組換えSteA、STM及びSTMAU1を20分間75℃にて又は氷上でインキュベートし、いずれの変性タンパク質も遠心分離で除去した。基本的に、加熱したSteAと設計されたSTMタンパク質のすべてを回収し、STMがSteAの熱安定性を保有していたことと(図2、パネルA参照)、足場の折りたたみが悪影響を与えることがない少なくとも1ペプチドを提示できるということを示唆し、STMは少なくとも部分的に二番目の基準に当てはまった。野生型SteAの二量体形態は、非加熱サンプルで観察され(図2A、左側のパネルのアスタリスク)、加熱処理をうけて顕著に増加している(図2A、右側のパネル)。予想どおり、かかる二量体形態は、STMとSTMAU1の両方において完全に消滅している(図2A参照)。
STMにおいて、AU1ペプチドが相互作用のために利用できるものであるかどうかが検討された。抗AU1抗体は、細胞溶解物由来の組換えSTMAU1を特異的に免疫沈降できた(図2B参照)。飽和レベルの抗AU1抗体は、投入したすべてのSTMを免疫沈降でき(レーン6と7を比較のこと)、検出可能なSTMAU1のすべてが、相互作用のために挿入されたAU1エピトープを提示していることを示唆している。STMが、同種の抗体により特異的に認識されることができる線状のエピトープ配列を提示する能力は、本発明による足場の鍵となる特徴である。
(ステフィンA変異体の生物物理学的特徴づけ)
設計された足場が正しく折りたたまれたかどうかを検討するために、ゲルろ過クロマトグラフィーを用いて、変性した又は二量体化したSTMのいずれかが、その天然の形態において検出できるかどうかを確認した。組換えSTMAU1は、野生型ステフィンA同様の、その予想されたサイズ近くに移動した(図3、パネルA参照)。タンパク質調製物が、ゲルろ過の前に75℃に加熱された場合は、一部のステフィンAは、二量体として移動する。重要なことは、予想されたように、STM AU1が、二量体として移動しなかったということである。STMとステフィンAが類似の円偏光二色性(CD)による折りたたみパターンを有し、折りたたみポリペプチドのαへリックスとβシートの内容を決定できることも確認した。25℃及び50℃での天然のステフィンAと、25℃及び50℃での天然のSTMAU1のCDスペクトラ(図3参照)は、すべて非常に類似しており、97℃において得られて変性したSTMAU1のコントロールスペクトラとは有意に相違する。216nmにおける共通のより低い変曲点(inflexion point)(βシートに特徴的であり、SteAは、5つの逆平行βストランドを有する)、及び全般的なカーブの類似性は、STM/AU1が正しく折りたたまれている証拠を提供するものであり、STMがペプチドアプタマー足場のように行動する傾向があることを、さらに示すものである。
(中性アッセイ)
[プロテアーゼ効果]
野生型ステフィンは、パパインがその創立メンバーであるカテプシンファミリーのプロテアーゼ活性の阻害剤である。設計された変異体が、生物活性を欠いていることを確認するために、STMが、パパインに結合できるか、又はカテプシン活性を阻害することができるかを検討した。固定化されたパパインは、濃度依存的にSteAをアフィニティ精製(affinity purify)することはできたが、STMを精製することはできなかった(図4A参照)。さらにカテプシンB(図4B参照)とカテプシンH(図4C参照)の活性が、SteAの添加により阻害されるのに対して、高濃度であってもSTMは、かかる活性を阻害しなかった(図4参照)。
[核内輸送]
実験をヒト細胞に拡大し、核内輸送機構との相互作用について検討した。1又は2の連続したNLS配列を足場の設計されたペプチド挿入部位に挿入した(NLSがアミノ末端に配置された実施例5記載の実験とは対照的に)。STM−GFPは、細胞のいたるところに局在したのに対して(実施例5の表及び図5参照)、明確で独占的な核局在が一重及び二重NLS STM変異型の両方に観察することができた。このことは、STMが、ヒト細胞において、核内輸送機構に結合できる6又は14残基長のペプチドを提示できることの明確な証拠となる。
(確定した標的とのペプチドアプタマーインタラクター)
第一のペプチドアプタマースクリーニングにより、14ペプチド配列を同定し、従来の大腸菌チオレドキシン足場の枠内で、すべてがヒトCDK2に結合した。STMが相互作用のために任意の同一のペプチドを提示することができるかどうかについて検討が試みられた。相互作用マトリックスは、スタンダードコントロールの一式を含み、実験間での比較を可能にするものである。レポーター遺伝子活性とプレートパーフォーマンスをコントロールする天然の転写活性化因子であるアンドロゲン受容体;イースト菌交配とツーハイブリッド相互作用とをコントロールする天然の対相互作用ペアであるCDK4とサイクリンD;及び細胞内で頑強な表現型(phenotype)を産生することができないペプチドアプタマーである弱い相互作用ペアであるCDK4と10T3である。試験された14CDK12相互作用ペプチドのうち、2つのみ(Pep2とPep6、図6参照)が、STMにより提示されている場合にCDK2を認識することができた。
これらのうちPep2は、その細胞が、チオレドキシンにおいてPep2を発現する細胞よりも速く青色を発色しており、STMの関連におけるCDK2のアッセイにおいてより高い親和性を有していた。このことは、単に、STMに基いているペプチドアプタマーの安定性が増加することによるものであってもよく、又はSTMにおけるペプチドの変更された立体構造によるものであってもよい。対照的に、Pep6は、TrxAよりもSTMにおいてCDK2に対して非常に低い親和性を明確に示した。STMにおけるペプチドアプタマーで、CDK4に対して親和性を獲得していたものはなかった。これらのデータにより、STMは、いくつかの重複はあるものの、相互作用に対して、チオレドキシンとは異なる幅のペプチドを提示することができるものであることを示唆するものである。
(所望の構造に結合できる標的ペプチドの同定)
最後に、所望の確定した(defined)構造、本明細書においてはライブラリー形式の標的タンパク質、と結合することができる拘束されるペプチドを提示できることを示すことで、新規足場の検証を完了させようと試みた。SH3ドメインは広く研究されており、パートナータンパク質のPxxPモチーフと結合することが知られている。理論的サイズが38400の異なるペプチド配列である縮重ペプチドアプタマーライブラリーについて、Sho1p SH3ドメインに結合する配列をスクリーニングした。14の異なる縮重ペプチドが、このスクリーニングにおいて同定され、以下の表に参照されるように、そのいくつかについては複数回同定された。
[表]
イースト菌Sho1pのSH3ドメインと相互作用するSTM内のペプチドアプタマー
かかるSH3ドメインと天然で相互作用する野生型Pbs2p配列は、「NKPLPPLPLV」であり、ライブラリーペプチドは、「gpX(L/V/P/A)N(K/R)PLP(P/S/A)LP(L/V/P/A)Xgp」として設計され、後者の場合、残基は、ペプチドをコードするオリゴヌクレオチドをクローンするために用いられるRsrII/AvaII部位により提供され、Xは、任意のアミノ酸である。
配列 同定回数

01: GPVPNKPLPALPVIGPGVNKPLPALPAHGPIRNKPLPSLPASGP 3
02: GPVLNKPLPSLPVMGPTPNKPLPPLPAAGP 4
03: GPDLNKPLPALPVHGP 1
04: GPYLNRPLPSLPAYGPWVNRPLPSLPLSGP 3
05: GPNLNKPLPALPVLGP 1
06: GPVVNKPLPSLPVKGPDVNKPLPSLPAVGP 1
07: GPPNVKPLPALPLMGPLLNKPLPALPLDGP 1
08: GPDPNRPLPSLPVTGPYLNKPLPALPVSGP 1
09: GPMLNKPLPSLPVGGPGLNKPLPSLPAAGP 3
10: GPILNKPLPALPLRGPDPNRPLPALPVTGP 2
11: GPFPNKPLPALPLTGPVLNRPLPPLPRNGP 3
13: GPYLNKPLPSLPLCGPSVNRPLPALPDVGP 2
17: GPEPNKPLPALPLTGPVLNRPLPPLPRNGP 2
20: GPRMNKPLPSLPLGGPAMNKPLPALPLQGP 1
これらのデータは、STMが、12〜36残基長の範囲にわたるペプチドの提示のために足場として機能でき、将来の適用に対してさらに範囲を広げることを示している。
(ドメイン−リガンド相互作用を破壊するペプチドアプタマーの使用)
ペプチドアプタマーがSH3ドメイン相互作用のマッピングに使用されるように試みた。図7に示されるように、第一のモデルとして、推定イースト菌浸透圧センサー(osmo‐sensor)Sho1p(黄色)のSH3ドメインが選択された。例えば、SH3ドメインに結合するペプチドアプタマーは、イースト菌細胞内のシグナル伝達を干渉すると期待してもよい。例えば、イースト菌内のSH3ドメインとのペプチドアプタマー(赤)の相互作用は、それ自身MAPKKKSte11からMAPKHog1への特異性足場指向シグナルとしての役目を果たすMAPキナーゼキナーゼPbs2Pとの会合を阻害してもよい。
[ペプチドアプタマーは出芽酵母において浸透圧感受性をひきおこす。]
Hog1経路を通じたシグナルは、1MNaCl又は1Mソルビトールを含む高浸透圧培地でイースト菌細胞が生育することが要求される。PepA、32、34、124及び201は、Sho1pのSH3ドメインに結合するようなペプチドアプタマーのためのイーストツーハイブリッドスクリーニングからすべて単離された。これらのうちPepAのみが、その発現がガラクトースで補完された培地で誘導されている場合、イースト菌細胞に対する浸透圧感受性を付与することができる。グルコースで生育した細胞は、ペプチドアプタマーを発現せず、浸透圧耐性である(図7B参照のこと)。
[Hog1活性化は、pepAを発現するイースト菌内で障害を受ける。]
PepAがイースト菌の浸透圧感受性を付与されるための最も可能性のあるメカニズムは、Hog1へのPbs2経由のSho1pからのシグナルを遮断することによるものである。このメカニズムが生じるか否かを検討するにあたり、抗ホスホチロシン抗体が、Hog1p活性をモニターするために用いられた。細胞が高浸透圧培地で生育している場合、Hog1pはリン酸化されている(コントロール、−及び+ガラクトース)。浸透圧感受性を付与しないペプチドアプタマーの発現は、Hog1のリン酸化(Pep32)に影響を及ぼさないが、一方でガラクトースによるPepAの誘導は、細胞内でHog1のリン酸化と活性化をほとんど完全に消滅させ、ハイパー浸透圧に対する感受性を説明するものとなっている。図7Cを参照のこと。
[PepAは、Sho1pとPbs2/Hog1複合体との間の物理的会合を破壊する。]
PepAは、Las17(Sho1との相互作用に関係するアクチン細胞骨格の形成体(organiser))と、MAPKKと足場タンパク質であって、Hoglpをリン酸化、活性化するPbs2との両方と顕著な同一性を示す。原則として、それゆえ示されているモデルスキーマのいずれかのアーム経由のシグナルを妨害することができる。しかしながら、Sho1SH3を用いるGSTプルダウンは、PepAが存在していない場合に、Sho1とHog1の間の相互作用を示し、PepAがSho1とPbs2との間の相互作用を実際に遮断することを示している。図7Dを参照のこと。
それゆえ、本発明の足場タンパク質は、正しい生物学的立体構造のペプチドを提示する。
(標的ペプチドの溶剤への提示)
本発明の足場の機能の追加試験として、本発明による足場がプロテインキナーゼによりリン酸化されることができる形態で、ペプチドを溶剤に提示できるかどうかを検討が行われた。本実施例において、足場はSTMである。
c−RafのPKA/PKBリン酸化部位をコードするオリゴヌクレオチドは、STM(図8参照)のRsrII部位にクローンされた。その結果得られるペプチドアプタマーは、本明細書中ではSTM−pRafと称されるが、イースト菌とヒトの細胞においてよく発現し、PKA/PKB部位においてリン酸化c−Rafに特異的な抗体を用いて検出することができる。
図8に関しては、パネルは、c−RafのPKA/PKBリン酸化部位をコードするオリゴヌクレオチドが、STMのRsrII部位にクローンされ、STMpRAFを作出したことを示している。リン酸化セリンは、下線が付されている。パネルb:リン酸化c−Rafが、全細胞溶解物(whole cell lysates)(WCL)、及びmyc−タグSTMpRafを発現するイースト菌(y)又はヒト(h)細胞由来の抗myc免疫沈降物(IP)のウエスタンブロットをプローブするために用いられた。100ユニットのλホスファターゼでの免疫沈澱タンパク質の処理は、シグナルの消失をひきおこす。パネルC:ホスファターゼ処理は、STMpRafタンパク質の分解よりも、STMpRafの脱リン酸化を特異的にひきおこす。
myc−タグSTMpRafの免疫沈降により、c−Rafのコンタミネーションよりも、STM−pRafとしてのバンドの同定を確認した。抗cRaf抗体により作製されたシグナルが、足場により誘導されたペプチドの変形(deformation)よりも、タンパク質のリン酸化によるものであることを確認するために、免疫沈降物をλホスファターゼで処理した。シグナルは、脱リン酸化後に消失し、抗mycウエスタンブロットにより、これは、タンパク質分解によるものではなく、c−Rafペプチドが、イースト菌とヒト細胞内部の同種のタンパク質キナーゼによるリン酸化のためにSTMにより実際に提示されていることが確認された。
それゆえ、本発明の足場は、その同種のシグナルパートナーにより認識される態様でペプチドが有利に提示されている。
(人工SH3ドメインリガンドを用いたシグナルネットワークのリワイヤリング(Re-wiring))
本実施例は、人工シグナルモジュールとしての本発明によるペプチドアプタマーの使用を示すものである。
(総説)
ゲノム規模の遺伝子発現マイクロアレイは、その変化した発現が疾病と関連があるが、その遺伝子産物が候補薬剤標的ではない遺伝子を同定する。RNAiにより、それらのサブセットの検証を可能にできる一方、「ノックアウト」技術により、特異的タンパク質間相互作用の貢献を見渡すものである。細胞内のタンパク質間相互作用と直接競争できるペプチドアプタマーなどの設計されたタンパク質の入手しやすさは、薬剤標的検証を一段と促進するものであろう。本明細書では、どのようにペプチドアプタマーを細胞内のタンパク質間相互作用の精査に用いられることができることを示すため、堅固で高度な独自技術について論ずる。非必須な経路における必須タンパク質についてのこれまで確認されていなかった役割が明らかにされ、かかる技術が薬剤標的検証の取組みにおいて、RNAiを有用に補完してもよいことを示唆するものである。
(序論)
ヒトゲノム配列決定と、その後のゲノム規模のスクリーニング(RNAi又はマイクロアレイのいずれかを用いる)の使用は、多様な疾病との多数の遺伝子産物の関連を導いてきた。大きな課題は、かかる遺伝子産物のいずれが、有効な薬剤標的であるかを決定することである。細胞内で機能するタンパク質の場合は、病的な状態と健全な状態との両方におけるタンパク質の行動を理解することが必要である。この問題に対する一つの解決策は、細胞状況における各タンパク質の研究に適合できる分子ツールキットを考案することであろう。ペプチドアプタマーを特有な認識ドメインとして用いる、設計されたタンパク質のツールキットを作出できることを提案する。ペプチドアプタマーは、所望のタンパク質に結合するためのイーストツーハイブリッドスクリーニングにおいて選択された。一定の割合のバインダーは、タンパク質相互作用のためにインビボで競合してもよく、量的表現型(measurable phenotypes)を導くものである。表現型が疾病表現型の裏返しである場合、ペプチドアプタマーは、共結晶構造から構造に基いている薬剤送達、又は薬剤置換スクリーニングのいずれかにより、薬剤標的を検証し、薬剤同定の根拠を提供してきた。さらに、各ペプチドアプタマーは、設計されたタンパク質の認識ドメインとなりうるものであり、このことは、細胞内で発現している場合ペプチドアプタマーそれ自身が表現型を導かない場合に、最も有用なものとなろう。各認識ドメインは、GFP、又はプロテアーゼ若しくはユビキチンリガーゼ等の酵素の触媒部分などのエフェクター部分のいくつかのうち一つと遺伝子的に融合するであろう。後者は、設計されたF−ボックスタンパク質で論証されてきたように、標的タンパク質全体を除去してもよいが、GFPへの融合は、FRETによる細胞内の特異的タンパク質相互作用をモニターするための潜在性が追加されると共に、タンパク質の細胞内の取引(trafficking)をモニターすることを可能にする。細胞生物学の域を超えて、GSTへのペプチドアプタマーの融合は、任意の与えられたタンパク質の生物化学的又は構造的分析による細胞生物学を用いて獲得される情報の統合を可能とするものとなろう。ペプチドアプタマーは、認識部分の有用なソースを表すものであるが、代替テクノロジー(ブドウ球菌ヌクレアーゼ又はGFP、あるいはいわゆるアフィボディ、モノボディ(monobodies)、アンチカリン、アンキリン反復タンパク質に基いているもの)が有用であることも証明できる。
これらのゴールへの進行は、インビボでの特異性を論証する必要性があることから部分的に阻止されてきた。近年、シグナル変換(signal transduction)事象のリエンジニア、又は新規のシグナル伝達経路を作出するための追求のいずれかにおいて、分子スイッチをデザインすることにいく分かの興味がもたれてきた。今までかかる研究では、天然タンパク質由来のタンパク質ドメインが通常用いられてきた。本明細書では、人工標的モジュールが、特異的経路を切断及び再接続の両方に用いることができることを示す。このことは、ペプチドアプタマーの作用の特異性を定義するための新しいスタンダードを設定するものである。ペプチドアプタマーの標的が公知の場合、ペプチドアプタマーを発現する細胞からの標的タンパク質、又はネガティブコントロールの精製は、ペプチドアプタマーによる複合体から競合するタンパク質の同定を可能にするものでなければならない。本明細書では、初めてこの概念が実行に移されることを示す。イースト菌におけるシグナル変換カスケード、すなわちHOG(Hyper-OsmolarityGlycerol:ハイパー浸透圧グリセロール)浸透圧耐性経路のインビボ分析への、STM足場のはじめての適用について論じられる。ペプチドアプタマー、AptAが浸透圧感受性タンパク質Sho1のSH3ドメインに結合する能力により選択され、Sho1の機能を阻害できることを示す。このことは、Sho1のSH3ドメインと通常相互作用するMAPキナーゼキナーゼであるPb2との天然の相互作用を模倣することにより達成されることが示される。最初にAptAは、イースト菌細胞内で他の27のSH3ドメインのいずれとも結合しないことを示し、二番目にAptAへの融合が、それがなければSho1に結合できない変異体Pbs2に機能を回復させる(restore)ことができることを示すことで相互作用の特異性が論証される。分子ツールキットの基礎を形成するための特異性と柔軟性という必要な特徴を有するペプチドアプタマーを提供されることに加えて、AptAの特徴づけは、消耗的な遺伝子スクリーニングからは生じることのなかった浸透圧感受性経路の関連におけるWASpホモログのLas17に関連することを導くものである。それゆえ、本発明は、MAPキナーゼシグナル伝達経路の、特にHogMAPキナーゼ経路の調節において、WASPポリペプチド、好ましくはLas17の使用を提供するものである。本発明は、ウィスコット・アルドリッチ症候群の治療におけるAptAの使用にも関する。結果によれば、Sho1とSte11との間の相互作用が、従前に提案されたように、Pbs2の非存在下では、シグナル伝達のためには十分ではないことが示されている。
(結果)
イースト膜貫通タンパク質Sho1は、MAPKKPbs2とのSH3ドメイン介在相互作用を通じた浸透圧ストレスシグナル伝達の制御において重要であることが示されてきた。Sho1−Sho3ドメインに結合するペプチドアプタマーは、浸透圧ストレス反応を阻害するかもしれないことを予測された。遊離(free)ペプチドを用いたインビトロでの研究では、SH3リガンドは、SH3ドメインの範囲への結合が不規則な(promiscuous)左巻きのポリプロリンタイプIIへリックスを含むことを示してきた。かかる研究は、それゆえ高い特異性のあるペプチドを提示する新規にデザインされた足場(本実施例ではSTM)の能力を試験するためにデザインされたものであった。
ペプチドアプタマーをSho1−SH3ドメインへ効果的に標的にするために、Sho1−SH3リガンドであることが既に公知であるPbs2MAPKKのプロリンに富んだ配列が、小さな縮合ペプチドライブラリーをデザインするためのテンプレートとして用いられた。10残基長のPbs2のプロリンに富んだ配列「VNKPLPLV」(鍵となるプロリンには下線を付している)が、部分的に任意抽出された(randomized)(表1参照)。SH3ドメインへの結合を確実にするために、アンカープロリンが保有される一方、追加の残基が、12merペプチドのライブラリーを作出するためにPb2配列のいずれかの末端に付加された。正に荷電したリジン残基は、SH3ドメイン結合ペプチドにおいて広範に見い出されるアルギニンに変更することができた。他の部位は、Pbs2の突然変異研究に基づいて変更することが可能であり、Pb2に由来する10merの各末端に付加された残基は、変更をすることが完全に自由にできた。比較のために、SH3と相互作用する他のペプチドの配列も表1に掲げられている。かかるペプチドをコードするオリゴヌクレオチドは、理論的なペプチド複雑性が6×10であるライブラリーを作出するために、本発明による好ましい足場であるSTMのオープンリーディングフレームにライゲートされた。かかるライブラリーのスクリーニングは、Sho1−SH3バインダー(上述の通り、及び表2参照)としての28のペプチドアプタマーの同定を可能にした。これらのうち、2のみ(Apt03と05)が足場内で拘束されている予測されていた12merペプチドであった。他の3つは、オリゴヌクレオチドがフレーム内のストップコドン(AptA、Apt32、及びApt124)をコードする11merペプチドであり、一方別の3つは、STM ORF内でフレーム外のストップコドンと遭遇するまでリーディングフレームを変更させる(Apt34、40及び94)、コードしているオリゴヌクレオチド内のフレームシフトの結果として非拘束であった。興味深いことに、ペプチドアプタマーは、挿入サイズに係らず同じようにうまく発現する(図13参照)。スクリーニングにおいて選択された非拘束、又は長くてうまく拘束されていないペプチドの大部分は、ライブラリーの品質管理により、33のうち27のオリゴヌクレオチドが、予想された長さの拘束されるペプチドをコードされていると決定されている配列であることを考慮すると特筆すべきことである。かかるスクリーニングにおける淘汰圧(selection pressure)は、SH3ドメインが、厳格に構築されていないペプチドに対する強い好みを示すという従前の観察と一致し、SH3ドメインが、パートナータンパク質内のしなやかなヒンジのような非拘束ストレッチと相互作用してもよいことを示唆している。
[浸透圧感受性を付与するペプチドアプタマーの同定]
Sho1と相互作用するペプチドアプタマーが、浸透圧感受性機構(Posas F, Saito H. 1997. Osmotic activation of the HOG MAPK pathway via Ste11p MAPKKK: 足場 role of Pbs2p MAPKK.Science. 276: 1702-5)のSho1ブランチに依存しているイースト菌細胞内の浸透圧耐性をブロックすることができるかについて試験がされた。28のSHO1−SH3バインダーのうち1つのみが、AptAと指摘されたペプチドであり、細胞が1MのNaClを含む培地で平板培養された場合に浸透圧感受性をひきおこした(図9、パネルA参照)。AptAは、高浸透圧培地でHog1のチロシンリン酸化の活性化を妨害したが、Apt32などのコントロールペプチドアプタマーはしなかった(図9、パネルB参照)。Apt32を含む他のペプチドアプタマーも同様に、浸透圧耐性を阻害しない(図9、パネルA参照)。かかるペプチドアプタマーはどれも通常の浸透圧の培地でのイースト菌の生育には影響を与えなかった。かかる観察により、ペプチドアプタマーが、真核細胞におけるタンパク質相互作用を阻害することができるということを確認するものである。
[AptAはSho1SH3ドメインに高い特異性を示す]
特異性は、インビボにおいて維持されているようにみえるが、インビトロにおいては、複数のSH3ドメインと多数のPxxPリガンドが交差反応しているので、Sho1SH3レベルでAptAが作用していることを示すことが重要であった。
例えば、イースト菌プロテオームの28のSH3ドメインのうち、Pbs2は、Sho1にのみ相互作用する。さらに、Pbs2のコアPLPPLP配列がPLPALP又はPLPSLPに変化した場合、不規則性が増加することが観察された。AptAはコアPLPSLPを含んでいるので、かかるデータは、AptAが、イースト菌内の複数のSH3ドメインと結合しているかもしれないことを示すものであった。AptAとイースト菌の28すべてのSH3ドメインとの間の系統的なY2H相互作用マトリックスを行った。プロテオームのSH3マトリックスによると、AptAは、Sho1SH3に対して特異性が高く、一方最初のスクリーニングで単離された他のペプチドアプタマーは、幾分かの交差反応性を示した(図10参照)。例えば、ポジション−5にロイシンを含むAptAとPep05の両方が、Sho1SH3に対する特異性が高い。対照的に、ポジション−5にロイシンの代わりにプロリンを有するPep32は、他の2つのイースト菌SH3ドメイン(Lsb1とCdc25)に弱い親和性を示す。Sho1SH3ドメインに対するAptAの特異性の高さは、AptA依存性浸透圧感受性表現型が、Sho1依存性及び特異的であることを示唆するものである。
興味深いことに、イースト菌ゲノムに対するAptAのBLASTサーチによると、アクチン細胞骨格の集合(assembly)と制御に関係するヒトウィスコット・アルドリッチ症候群タンパク質Las17のイースト菌ホモログに有意に相同であることが明らかになった。Las17は、Sho1−SH3ドメインと物理的に相互作用することを示されてきたが、HOG経路には置かれていない。Las17p−Sho1相互作用を破壊することで、AptAがその効果を発揮することができるかどうかを検査するため、Las17の過剰発現が、AptAの発現の効果を乗りこえる(overcome)か否かが検討された。驚くべきことに、Las17のみを過剰発現しているコントロールのΔssk2/Δssk22イースト菌細胞は、浸透圧ストレスの存在下では生存できなかった。対照的に、Las17を過剰発現している野生型のイースト菌は、生存できた。このことは、Las17は、機能的にSho1経路に相互作用していることを示すものである。Δssk2/Δssk22GAL1/10::LAS17細胞の浸透圧感受性は、過剰発現したLas17が、AptAのように、Sho1−SH3結合のために内因性PB2と競合して誘導されたものであるのかもしれない。他の可能性としては、Las17は、浸透圧センサーSho1の負の調節因子であるのかもしれない。あるいは、Las17は、Sho1/Pbs2複合体の集合に対する反応の早期に要求される可能性もある。それゆえ、データは、AptAが、Sho1のPbs2とSH3ドメインとの間のPxxP介在相互作用を阻害するとする仮説と一致している。おそらくはLas17とSho1の間についても同様であろう。この問題については後述する。
[AptA機能の配列決定因子のプロービング]
AptAとApt32は、可変ループ内でポジション−6、−5、及び+4の3残基のみ相違する(表2参照)。コアプロリンに富んだモチーフの外側の残基は、プロリンに富んだペプチドのSH3ドメインへ結合する特異性及び/又は強度を決定する重要な役割を果たしていることが示されてきた。Apt32の3つの特有な残基がAptAの対応する残基に変異した(表3参照)。6つの可能な変異の組合せの分析により、AptA内のポジション−5のロイシン残基が、浸透圧感受性アッセイにおいて、阻害活性の唯一の決定因子であることが明らかになった。Apt32内のポジション−5がロイシンに置換された場合、ペプチドアプタマーは、阻害性になる(表3、変異番号2参照)。Apt32の他の残基へのかかるロイシン付加は、AptAによるSho1シグナル伝達の阻害を妨害するものではなく、ポジション−6と+4の残基は、活性にそれほど重要ではないことを示唆した。Schreiberとその同僚は、PPII/SH3ドメイン相互作用の親和性と特異性を決定する側鎖残基の役割の構造的基礎をすでに確立してきた。データによると、−6における残基の同一性が他のポリプロリンIIへリックス/SH3ドメイン相互作用における特異性に貢献している一方、Pbs2/Sho1SH3相互作用の場合は、鍵となる役割を果たしているのはおそらくポジション−5であることを示唆している。このことは、Feng et al(Feng S, Kasahara C, RicklesRJ, Schreiber SL. 1995. Specific interactions outside the proline-rich core of two classes of Src homology 3 ligands. Proc Natl Acad SciU S A. 92: 12408-15)により研究された局面(situation)とは逆であり、高度な配列保存性にもかかわらず、PPII/SH3ドメイン相互作用の機構の詳細は相違してもよいことを示すものである。このことは、SrcのSH3ドメインがポジション−7及び−6の特異的残基を選択し、一方でFynのSH3は、ポジション−6及び−5を選択するという観察と一致する。実際、Sho1SH3は、ポジション−5及び−6において以下のジペプチドを容認したので、ポジション−6では選択を観察しなかった:RL(AptA);LP(Pep32);SV(Apt34);VE(Apt40);PA(Apt94);RG(Apt124);DL(Apt03)及びNL(Apt05)、の3ペプチド(AptA、Apt03及びApt05)において同じポジションのロイシン残基と、別の2ペプチド(AptAとApt124)においてアルギニン残基の出現が保存されているだけである。
−5でロイシンを含む他のペプチド(Apt03と05)は、阻害的でなかったことに留意した。AptAと異なり、かかる2つのペプチドアプタマーは、拘束されていた。拘束が、Sho1SH3との生産性の高い相互作用からApt03と05などのペプチドアプタマーのPPIIへリックスを妨害するというアイデアを試験するために、AptAのC末端のストップコドンを、STMにおいて拘束されるAptAを完全長のペプチドアプタマーにするような各アミノ酸残基をコードするコドンに置換した。再拘束の後+5のP、V、C、D、H、F及びWの7つのアミノ酸残基のうち1のみが、拘束されるタンパク質の関連において、Sho1SH3に結合が可能である(表IV)。このことは、Feng et al[Feng S, Chen JK, Yu H, Simon JA, Schreiber SL. 1994. Two binding orientations for peptides to the Src SH3 domain: development of a general model for SH3-ligand interactions.Science. 266: 1241-7]と遊離ペプチドの関連で係るポジションの傾向がある脂肪族残基(A, S, P, V, L, R 又はY;表Iに要約されている)についてのRickles et al[Rickles RJ, BotfieldMC, Zhou XM, Henry PA, Brugge JS, ZollerMJ. 1995. Phage display selection of ligand residues important for Src homology 3 domain binding specificity. Proc Natl Acad Sci U S A. 92: 10909-13]の発見と対照的である。さらに、拘束されるAptA変異型が、Pbs2−Hog1活性化を阻害することが可能であることを示すものはない(表4参照)。これらのデータは、PPIIへリックスが強い結合をおこすために立体配置的に非拘束であることが必要であるというアイデアと再び一致する。これらは、STMとの関連において、ポジション+5の7つの共用される残基のうち1つの存在により、左巻きのタイプIIポリプロリンへリックスの形成を可能にするか、SH3ドメインとは異なるSho1の表面での相互作用を可能にするかのいずれであることをさらに示唆している。
(ペプチドアプタマーモジュールによるシグナル伝達経路の回復)
細胞シグナル伝達経路は、シグナル伝達構成要素を配線又は接続するドメインモジュールによりリレーされる。例えば、Sho1により感知される浸透圧ストレスシグナルは、PxxPモチーフを経由したSH3ドメインへのPbs2の動員(recruitment)によりリレーされる。PBS2は、MAPKKKSte11からSho1へ動員する足場としてと、及びHog1MAPKを活性化するMAPKKというシグナルの伝達物質(transmitter)としての両方に供する。Pbs2が足場として機能する証拠は、Pbs2AxxAを作出するPbs2のPxxPモチーフの変異が、細胞を高浸透圧培地で、接合MAPK経路(Ste11と浸透圧感受性経路を共有する)を活性化するように導くということである。モデルは、Ste11の活性化が、浸透圧ストレスによるものであろうが、又は接合フェロモンによるものであろうが、HOG又は接合経路を活性する潜在性を有し、シグナル伝達特異性は、適当な足場であるHOG経路におけるPbs2及び接合経路におけるSte5により付与される。AptAの効果についての一番簡単な説明は、Pbs2からSho1への動員について競合し、Pbs2を含むPxxPの結合と活性化を妨害するということであった。もしこれが本当であったならば、そして簡単な足場モデルが正しいならば、1)AptAを発現している細胞は、浸透圧ショックに反応して接合カスケードを活性してもよい、及び2)Ste11とPbs2がお互いに恒常的に結合しているのであれば、Ste11は直接Sho1を拘束することによりSho1へのPbs2の動員を迂回することが可能であってもよい。しかしながら、AptAを発現する細胞内で、接合MAPキナーゼであるFus3又はKss1のいずれの活性化を論証することはできなかった。さらに、Ste11へのAptAの融合を用いてSho1に対してSte11を標的にすることは、AxxA変異体pbs2を発現している細胞内でHog1活性化を回復することができなかった:pbsAxxAを発現しているΔssk2/Δssk2/Δpbs22イースト菌とSte11−AptA融合は、高浸透圧プレートでは生存できず(図14A参照)、Hog1は、これらの細胞内では活性化されなかった(図14C参照)。このことは、Ste11−AptAキメラは、NaCl処理により活性化されることができないか、かかる融合がPbs2MAPKKとの機能的な複合体を形成することができないかのいずれかであることを示すものである。経路におけるLas17についての推測により明らかとなった別の説明としては、Ste11−AptA融合は、Pbs2/Sho1複合体を回復するが、Las17との相互作用と置換できるものではないということである。次に、AptAがSho1から、pbs2AxxAへのSho1結合については不備のあるシグナル伝達を回復することができたかどうかが検討された。実際、AptAのPbs2の二重AxxA変異体への融合は、シグナル伝達を回復させ、イースト菌細胞は、浸透圧ストレスから救出された(図11参照)。この結果は、AptAがAxxA変異体Pbs2とSho1−SH3との間の相互作用を解することができることと一致する。逆に、AptAにAxxA変異を導入することは、Sho1−SH3とのその相互作用を無効にしたものであり(図10A*参照)、AptAがこの実験においてSho1 SH3ドメインに結合することを強く示唆するものである。これらのデータにより、Las17により果たされる任意の役割が、AptA−pbs2AxxA融合がシグナル変換経路の細胞質セクションを保存するのに十分であるので、Pbs2/Sho1相互作用の形成の上流、概して原形質膜においてでなければならないことをさらに論証する。
最終的にAptAの作用のメカニズムを確認するために、AptA発現が浸透圧ストレスを受けた細胞内のシグナル伝達複合体の形成を破壊できるかどうかが検討された。これらの条件において、Sho1とPbs2との間の複合体は、Hog1を動員する。したがって、AptA又はSTM(空の足場)を発現するストレスを受けたイースト菌細胞からの全細胞溶解物を、精製されたGST−Sho1SH3で培養した。AptAの存在下で、Sho1−SH3プルダウンにおけるHog1のレベルは減少した(図12参照)。これらの観察は、AptAによるPbs2−Sho1相互作用の摂動(perturbation)が複合体へのHog1の動員を減少させる場合に、AptAの作用のメカニズムと一致する。
要約すると、実験において、シグナル伝達経路が、ペプチドアプタマーモジュールによる切断及び再接続ができることが示されている。さらに、Sho1とSte11との間の相互作用による簡単な方法で置換することができないHOG経路におけるSho1とPbs2との間の直接相互作用の重要性を示すものでもある。しかしながら、Zarrinpar et al(Zarrinpar A, Bhattacharyya RP, Nittler MP, Lim WA. 2004. Sho1 and Pbs2 act as co足場s linking components in the yeast high osmolarity MAP kinase pathway. Mol Cell. 14: 825-32)は、近年Sho1とSte11との間の相互作用が、浸透圧感受性経路というよりも、接合にもかかわらず、Pbs2の非存在下にシグナル変換を起こすことを可能にすることを示した。それゆえ、データとZarrinpar et alのデータは、Sho1とSte11のお互いに対する、及びおそらく複合体における付帯キナーゼSte20に対する非常に正確な方向性が、シグナル変換が起こるために必要とされるモデルを支持するものである。
(考察)
ペプチドアプタマーは、健康であるか病気であるかといった、細胞間の状況においてタンパク質を研究するためのツールとしての適用ができる。かかる可能性を満たすために、堅固で、生物学的に中性な足場を必要とし、標的タンパク質への効果によりひき起こされるペプチドアプタマーを発現する細胞内で観察される任意の表現型を疑いの余地なく論証することができる能力を必要とする。かかる研究のゴールは、細胞内のタンパク質機能との相互作用をする特異性の高いペプチドアプタマーの提示のために、好ましい足場であるSTMの有用性を論証することであった。まず、SH3ドメインに結合するファージディスプレイにより同定されていたポリプロリンIIへリックスペプチドを含むペプチドアプタマーの機能的ライブラリーを作出することができるかどうかが検討された。密接な関係のあるSH3ドメイン間で区別できる必要な特異性をペプチドに提示できる足場の能力を検証するため、および完全長タンパク質の関連においてSH3ドメイン/PxxP相互作用の特異性と親和性の決定因子を追求することができるようにデザインした。二番目に、どの程度ペプチドアプタマーが細胞内の状況におけるタンパク質の生物学を追求することが可能となるかが検討された。
[PxxP/SH3ドメイン相互作用を追求するためのペプチドアプタマー]
SH3ドメインの従前の研究で、左巻きのタイプIIポリプロリンへリックスを形成することができるPxxPモチーフ(xは任意の残基)を含むリガンドペプチドが認識されることが示された。かかる研究は、10〜12残基長の遊離ペプチドのライブラリーのファージディスプレイを典型的に使用したものであるが、結合特異性と結合親和性を決定するために重要なリガンドコンセンサスモチーフと残基の両方を定義するものである。Yu et al(Yu H, Chen JK, Feng S, Dalgarno DC, Brauer AW, Schreiber SL. 1994. Structural basis for the binding of proline-rich peptides to SH3 domains. Cell. 76: 933-45)のナンバリングシステムを用いて、PxxPモチーフの最初のプロリンに番号「0」を与え、先行する残基を「−1」とし、次に来る残基を「+1」とすると、ポジション−2のアルギニン又はリジン残基が重要であったことと、親和性と特異性を決定するためにはポジション−5の残基の同定が重要であることとが示された。構造分析により、ポジション−1と0の残基は、SH3ドメインの1つのポケットに適合し、+2と+3の残基は、別のポケットに適合することが示された。3番目のポケットは、SH3ドメインの間によく保存されておらず、結合の特異性と親和性を決定しやすく、−6、−5、−4、及び−3の残基と接触する。好ましい足場タンパク質STMが提示し、理論上拘束しているプロリンがアンカーしているペプチドの12残基長のライブラリーを用いて、拘束ペプチドに対する強い淘汰圧が見い出された。バインダーは、成熟する前に切断された足場タンパク質のC末端において存在するペプチド、又は、オリジナルの12merよりも少なく拘束していると合理的に推測することができる24残基長よりも大きいペプチドのいずれかを含む。ペプチドの両方のクラスがもたらされることはめったにない。多量体(multimeric)ペプチドは、宿主プラスミドへのライゲーション前に、コードしているオリゴヌクレオチドのセルフライゲーションからもたらされる。切断されたペプチドは、コードしているオリゴヌクレオチドにおけるストップコドンの存在、又はペプチドライブラリーをコードするための用いられるオリゴヌクレオチドの合成の誤りのいずれかの結果である。ライブラリーのオリゴヌクレオチドは、「NNK」コドンを用いて構築され、Nは、任意のヌクレオチドであり、Kは、G又はTである。このライブラリーは、30のコードしているコドンを用いてすべての可能なアミノ酸をコードする(F、I、M、Y、H、Q、N、K、D、E及びCについては各1、V、S、P、T、Aについては各2、並びにLとRについては各3)、そしてストップコドンは、一つのみである。言い換えれば、任意に与えられた部位のフレーム内のストップコドンの見込みは、1/31であり、ペプチドのコード領域の末端のストップコドンを得る確率は、0.0312= 5×10−8である。データは、足場がポリプロリンIIへリックスの形成を妨害するか、又は、側鎖残基のすべてを標的SH3ドメインと適当に接触させることを可能にする拡張した立体配置のかかるヘリックスにより採用を妨害するための12merペプチドを立体配置的に拘束することができる場合に、一致する。このことは、なぜApt32などのペプチドアプタマーがSho1SH3に結合できるが、結合を阻害するほど十分に強いものではないのかを説明するものとなろう。それゆえデータによって、プロリンに富んだリガンドのSH3ドメインとの相互作用は、リガンドが比較的非拘束であることを必要とするという仮説についての強い支持が提供される。
(タンパク質相互作用ネットワークを精査するためのツールとしてのペプチドアプタマー)
細胞内シグナル伝達(Cellular signaling)は、タンパク質相互作用によって制御されている。各シグナル伝達経路の忠実性を維持するために、シグナル伝達タンパク質間の相互作用は、高度に制御される必要がある。各線形経路の「コアメンバー」に加え、足場タンパク質又は細胞間トランスポータータンパク質などの他の多数のタンパク質がシグナル変換の特異性を確実するために、空間的にそして動的に関連するものである。それゆえ、タンパク質相互作用ネットワークを詳細に精査することは、どの様に細胞のふるまいが制御されているかを理解することの助けになるであろう。
ペプチドアプタマーは、イースト菌遺伝学から特異的タンパク質相互作用の理解へと研究を拡張する有用なツールとなりうることが示される。例えば、AptAがシグナル伝達経路を切断することと、Sho1に変異体Pbs2を標的に戻すことで機能不全の経路を接続することとの両方をすることができることが示される(図9及び11参照)。AptAからSte11への融合が、変異体Pbs2を発現する細胞内のシグナル変換を回復しなかったということは興味深いことであり(図14参照)、他のものはPbs2との相互作用にとって必要とされないSho1の領域を同定していたので、シグナル伝達の特異性を維持するために必要であるが、Ste11と相互作用しているかもしれないことを示唆している。データによれば、Sho1のこの領域は、非直接的にのみ、おそらくSte20を経由して、Ste11と相互作用しているか、又はAptAが、細胞内のSho1SH3ドメインにおいて複数のタンパク質相互作用を阻害していることが示されている。二番目の部位の相互作用の一番強い候補はLas17であり、データではおそらく細胞骨格を経由して、浸透圧ストレスシグナルを伝達する鍵となる役割を果たしうることが示されている。Las17はそれ自身の過剰発現により浸透圧感受性を与えられので、AptAがLas17の機能にも影響を与えるという仮説は、この表現型が該仮説と一致するという事実により裏付けられる。
Las17は、浸透圧感受性を付与する遺伝子をスクリーニングにおいて単離しなかったことは留意される。このことは、細胞状況におけるタンパク質機能を妨げる試薬が遺伝子スクリーニングに影響を持つこと、すなわち、試薬がタンパク質相互作用のいくつかのうち一のみと相互作用する場合であれば、条件付きの表現型が本質的遺伝子について同定することができ、タンパク質の一つの機能(浸透圧センシング)が他の機能(細胞骨格統合性(integrity)の維持など)から単離できるという有利な点を際立たせるものである。
ペプチドアプタマーはタンパク質レベルでその効果を示すので、標的タンパク質のタンパク質相互作用を同定するためにペプチドアプタマーを用いることが可能でなければならない。実際に可能であることを示すために、ペプチドアプタマーがタンパク質複合体を破壊する能力を検査するための能力の予備試験として、GSTプルダウン戦略を用いた。原形質膜におけるHOG1/Pbs2/Ste11複合体の形成を妨害すると提案されているペプチドアプタマーの発現は、Sho1pの細胞質ドメインにおけるHog1タンパク質の存在下で減少を実際導くものであった(図12参照)。それゆえ、かかるデータは、物理的タンパク質相互作用ネットワークを精査するためペプチドアプタマーを用いる可能性を確認するものである。特にこれらの高い特異性と組み合わせて、本明細書で論証されているのは、SH3ドメインと縮合ポリプロリンIIペプチドライブラリーとの間の潜在的な不規則な相互作用についてであって、この作用が、ペプチドアプタマーが本発明による細胞ネットワークの関連でタンパク質機能の精査のためのツールキットの基礎を有利に形成することができるということが示されている。
(重要性)
発現マイクロアレイは、疾病において差動的に発現される多数の遺伝子産物を明らかにしてきた。疾病の設定において、ユニークに発現し、また時には単に過剰発現するタンパク質は、潜在的な治療標的である。RNAiは、現時点で、かかる候補薬剤標的の検証のために選択される技術である。しかしながら、タンパク質は、細胞内の多重相互作用のセットに参加するものである。実際このことは、RNAiなどの「ノックダウン」技術が複数の経路に影響を与えるかもしれず、誤解を招くような結果を導く可能性を提起する。このことは、多数の有効な治療標的が、RNAi表現型が予測とマッチしない場合に、誤って退けられるかもしれないことを意味する。従来技術において明らかに欠如していたものは、生細胞との関連でタンパク質のパートナーシップを精査する能力である。
ペプチドアプタマーは、順々に細胞内のタンパク質の相互作用のそれぞれについての微妙な問題に解答する可能性を有しており、この問題について解決を有利に提供することをここに示す。まず、ペプチドアプタマーは優れた特異性があり、3つの関連するペプチドアプタマーが28の密接な関係があるSH3ドメイン間を区別することができることを示していることを論証する。二番目に、ペプチドアプタマーの結合親和性は、タンパク質相互作用についてインビボで競合しうるものであることも見い出す。それゆえ、エフェクター複合体へのシグナル伝達を妨害したイースト菌におけるストレスセンシング経路の阻害剤を同定し、かかる阻害剤が、前記複合体の集合を妨害することも示した。3番目に、データより、ペプチドアプタマーが、細胞の生存に必要な本質的相互作用(細胞骨格統合性の制御などの)からタンパク質の非本質的機能(ストレスシグナルの産生又は伝達などの)を明らかにすることができることも示されている。本発明は、ヒト細胞に関連する適用も見い出すものである。
材料と方法(実施例13)
(Sho1 SH3ドメインスクリーニング)
本スクリーニングは、公知である(Woodman R, YehJT-H, Laurenson S, Ko Ferrigno P. 2005. Design and validation of a neutral protein 足場 for the presentation of peptide aptamers J Mol Biol. 352: 1118-33)。手短にいえば、Pbs2に基いているミニライブラリーを、縮重オリゴヌクレオチド「NNK SYG AAT AAG CCC CTA CCC BCT CTA CCC SYG NNK」(N=A、T、C又はG;K=G又はT;S=C又はG;Y=C又はT;B=C、G又はT)をRsrIIで消化したpJG4.5STMベクターにライゲートして構築した。部分的に任意抽出したかかるオリゴヌクレオチドカセットは、ペプチド配列X(L/V/P/A)N(K/R)PLP(P/s/A)LP(L/V/P/A)Xをコードし、Xは、任意のアミノ酸である。タンパク質レベルでの理論上のライブラリーの複雑性は、38400である。ライブラリースクリーニングとヒットの確認は、Woodman et al(同上)に記載がある。
(イースト菌浸透圧抵抗アッセイ)
イースト菌細胞を、多様なSho1−SH3ペプチドアプタマー構築物で形質転換した。スポットアッセイとして、形質転換体ごとに10000細胞が、1MのNaClが添加又は無添加の、グルコース又はガラクトース/ラフィノーズにより補完されている選択プレートにスポットされた。イースト菌細胞は、1Mの塩化ナトリウムが添加又は無添加のプレートに直接播種もされた。細胞の生育は、3〜5日後に記録された。
[イースト菌細胞溶解物とウェスタンブロッティングの調製]
イースト菌細胞は、1×SDSサンプルバッファーで溶解し、80μLのガラスビーズとともに1分間ボルテックスした。サンプルは、95℃の加熱ブロック内で5分間インキュベートし、その後氷上で急冷した。サンプルは、簡単に遠心器で沈降させ、上清を無菌の1.5mL遠心分離管に集め、4℃にて保存した。ウェスタンブロットを標準プロトコールにより行い、ウサギポリクローナルパン(pan)Hog1抗体Y−118(Santa Cruz社製)、又はNEB抗リン(anti-phospho)p38(クローン28B10)をプローブとして行わった。リン酸化を検出するためには、活性Hog1を用いた。
[27イースト菌SH3ドメインのクローニング]
27推定イースト菌SH3ドメインは、イースト菌ゲノムDNAからPCRで増幅し、イースト菌pEG202ベクターのEcoRIとXhoI部位にクローンした。PCRのためのオリゴヌクレオチドプライマー配列は、要請に応じてPKFより入手できる。各SH3ドメインは、NCBIデータベース(www.ncbi.nlm.nih.gov)内で与えられている定義により選択される。
Figure 2008541776
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[配列表]
SEQ ID NO:1
STM三重変異体アミノ酸配列
MIPWGLSEAKPATPEIQEIVDKVKPQLEEKTNETYGKLEAVQYKTQVDAGTNYYIKVRAGDNKYMHLKVFNGPPGQNEDLVLTGYQVDKNKDDELTGF

SEQ ID NO:2
野生型ステフィンA配列(ヒトCysA)
MIPGGLSEAKPATPEIQEIVDKVKPQLEEKTNETYGKLEAVQYKTQVVAGTNYYIKVRAGDNKYMHLKVFKSLPGQNEDLVLTGYQVDKNKDDELTGF

SEQ ID NO: 3
STM up to Leu73, without Leu73/NGP
MIPWGLSEAKPATPEIQEIVDKVKPQLEEKTNETYGKLEAVQYKTQVDAGTNYYIKVRAGDNKYMHLKVF

SEQ ID NO: 4
STM from Leu73 to end, without Leu 73/NGP
PGQNEDLVLTGYQVDKNKDDELTGF

SEQ ID NO: 4
標的ペプチドAU1エピトープを含むSTM
MIPWGLSEAKPATPEIQEIVDKVKPQLEEKTNETYGKLEAVQYKTQVDAGTNYYIKVRAGDNKYMHLKVFNGPDTYRYIGPPGQNEDLVLTGYQVDKNKDDELTGF

PCR:
P1 EcoRI 5’-ccggaattcccatgatacctggaggc-3’
P2 EcoRV 5’-atctcaaaagcccgtcagctcg-3’
P4 EcoRI 5’-ggaattccaccatgatacctggaggcttatct-3’
P5 XbaI 5’-gctctagagcaaagcccgtcagctcgtcat-3’
P6 EcoRI 5’-ggaattccaccatgataccttggcttatctgaggcca-
aacc-3’
P7 XbaI 5’-gctctagagcaaagcccgtcagctcgtcat-3’
P8 EcoRI 5’-ggaattcaccatgccaaaaaagaagaaaggtagata-
taccttggggc-3’
P9 XbaI 5’-gctctagagcaaagcccgtcagctcgtcat-3’
P12 EcoRI 5’-ccggaattcatgatacctggaggcttatc-3’
P13 EcoRI 5’-ccggaattcctaaaagcccgtcagctcgtc-3’
P16 EcoRI 5’-ccggaattcatgatacctggaggcttatc-3’
P17 XhoI 5’-ccgctcgagctaaaagcccgtcagctcg-3’

部位特異的突然変異誘発法:
P3 KSL/NGP 5’-cttgaaagtattcaacggaccgcccggacaaaatga-
gg-3’
P14 V48D 5’-cagtataaaactcaagttgatgctggaacaaattac-3’
P15 G4W 5’-ggcctcagataagccccaaggtatcat-3’

挿入:
P10 NLS For 5’-gactgactggtccgccaaagaagaagagaaaggtag-
gtcctcagtcagtcag-3’
P11 NLS Rev 5’-ctgactgactgaggacc-3’
P18 AU1 Forward 5’-gtccggacacctaccgctacatcg-3’
P19 AU1 Reverse 5’-gtccgatgtagcggtaggtgtccg-3’

SH3ドメインスクリーニング;
P20 Amplifier; 5’-ctgactgactgaggacc-3’
P21 ライブラリー挿入 5’-gactgactggtccgnnksygaatargcccctacccbc-
tctacccsygnnkggtcctcagtcagtcag-3’ (Nは、任意のヌクレオチドK = G or T, R = A or G, S = C or G, Y = C or T and B = C, G or T)
P22 SH3 bait for 5’ CGAATTCCCGGGTGATATCGGTGATGATAATTTCATT-
TAC-3’
P23 SH3 bait rev 5’-ATAAGAATGCGGCCGCTTAACGATGCATTTCTTCTGG-
ACCATC-3’
P24 Unifier 5’-gaaagtattcaacggtccgcccggacaaaatg-3’.

ペプチドA:
RLNKPLPSLPV
パネルAは、ステフィンAの分子構造の説明を表す。パネルA:進化を横切るステフィンファミリーメンバーの配列は、構造的、機能的に重要な領域に対応しうる高い又は不十分な保存領域を同定する。ファミリーメンバーに存在する付加的なアミノ酸残基は、金色で示されている。タンパク質相互作用のために重要であることが知られている保存されている残基は、赤色にハイライトされており、一方、ペプチド挿入部位は、青で示されている。NCBI配列NP_005204(ヒトシスタチンA) 、NP_000091(ヒトシスタチンB) 、P01034(ヒトシスタチンC前駆体) 、NP001891(ヒトシスタチンD前駆体)、NP_001314(ヒトシスタチンM前駆体)、及びニワトリ(NP990831)、ラット(XP213617)、ウシ(P80416)のシスタチンAの配列が、GCGスイートのclustalWを用いてアラインされた。パネルB:Cn3DソフトウェアとPDB座標1DVD(Martin et al. 1995 ‘The three-dimensional solution structure of human stefin A.’ J Mol Biol. vol 246 pp331-43)、とを用いて作出されたステフィンAのNMR溶剤構造が表されている。STMを作製するために変異した領域は、黄色にハイライトされている。 組換えSTMは、野生型タンパク質の特徴を保有し、溶剤にペプチドを提示できることを論証しているブロットを示す。パネルA:野生型ステフィンA、STM変異型、及び6アミノ酸ペプチド(DTYRYI)が挿入されたSTMは、20分間75℃にて培養した後も溶解したままである。さらに、加熱処理により形成が促進された野生型SteAのドメイン交換二量体形態は、STM形態に存在しない。パネルB:STMを運んでいるAU1エピトープタグは、量的に、そして特異的に抗AU1抗体を有する大腸菌溶解物から失われている。 STMの生物化学的及び生物物理的な特徴を例証するグラフである。このグラフによると、STMの折りたたみは、SteAの折りたたみとほぼ平行であることを示している。パネルA:組換えSTM(実線)とSteA(点線)のゲルろ過クロマトグラフィーで、加熱前処理をした(赤)としない(青)ものが、ゲルろ過カラムで流された。野生型SteAは、2つのピークで溶出し、単量体と熱によって促進された二量体ドメイン交換形態であることを示唆するものであり、一方STMは、加熱処理後であっても単量体で溶出した。パネルB:円偏光二色性は、SteAの高度に構築されている性質、特にベータシートにより構成されているSteAの割合が高いことを示唆する。パネルC:CDにより検出されるSTMの折りたたみ要素は、野生型SteAの折りたたみ要素と同一であり、2つの変異型タンパク質は、実質的に類似、又は同一の方法で折りたたまれていることを示唆するものである。 STMは、(SteAと異なり)カテプシン又はパパインといった従前のパートナーとは、結合することができないことを示すグラフとブロットを示す。パネルA:精製された組換えSteA又はAU1挿入(矢印で示されている)のあるSTMの同量が、パパイン−アガロースビーズと培養された。ビーズに結合しているタンパク質は、SDS−PAGEで分離され、SteA変異型は、抗SteA抗体で検出された。ビーズに由来する交差反応タンパク質は、レーンに等しくロードした。SteAは、ビーズに結合できる。対照的に、STMは、二つのからのレーンに示されるように、ビーズと一緒に精製されることはない。パネルB:カテプシンBのプロテアーゼ活性を阻害するSteAの能力は、SteAが希釈されると減少する。最も高いレベルのSTM/AU1であっても効果はない。パネルCは、プロテアーゼとしてSteAによる濃度依存的流儀において阻害されることができるカテプシンHを用いることで、パネルBと同じ効果を示すが、その活性化は、最も高いレベルのSTM/AU1によっても影響を及ぼされることはない。 細胞の顕微鏡写真を示す。STMは、ほ乳類細胞の関連で生物学的に機能的なペプチドを提示することができる。GFPに融合したSTMは、細胞質とU2OS細胞の核のいたるところに局在した(左側のカラム)。しかしながら、いったん1(中央のカラム)又は2(右側のカラム)NLSペプチドが、STM内に設計されたペプチド受入れ部に挿入されると、ペプチドアプタマーGFP融合は、独占的に核に局在する。細胞は、核を明確にするためDAPI(1行目)で原形質膜を示すため膜染色PKH26(2行目)で対比染色された。NLSペプチドなしの、およびNLSペプチドありのSTM−GFP融合が図の3行目に示されており、3つの画像のすべては最終行に重ねられている。 開発された細胞パッチの写真を示す。CDK2が相互作用するペプチドは、チオレドキシンからSTMへ移動することができる。CDK2に結合することができ、チオレドキシン(Trx)により拘束されるペプチドアプタマーのためのスクリーニングにおいて同定された14のペプチドアプタマーが、TrxからSTMへシャッフルされた。このうち2のみ(Pep2とPep6)が、なおCDK2を認識できた。Pep11は、STMではなくTrxにより提示された場合にCDK2に結合するペプチドの例として示されている。 ダイアグラム(7A)、細胞パッチの写真(7B)、ブロットの写真(7C)、3つのブロットの写真(7D)を示す。 キナーゼアッセイの写真を示す。 浸透圧感受性をひきおこすペプチドアプタマーの同定を示す。A Sho1SH3ドメインと相互作用するペプチドアプタマーが、イースト菌株TMY182(W303Δssk2/Δssk22バックグラウンド)内でGal1プロモーターの制御下で発現した一方で、浸透圧耐性は、1MNaClの存在下で、HOG経路のSho1アームの統合性に依存する。ペプチドアプタマーの発現が、培地のガラクトースにより誘導された場合、他のペプチドアプタマーを発現している細胞は生存可能であるのに対し、AptAを発現しているイースト菌細胞は、浸透圧に感受性がある。B リン酸化活性Hog1を認識する抗体とイースト菌溶解物のウェスタンブロットは、AptAが、Hog1活性化を阻害することにより浸透圧性致死をもたらすことを確認する。 28のイースト菌のSH3ドメインのプロテオームの幅の特異性アレイを示す。イースト菌のゲノムは、間に28のSH3ドメインを含む25タンパク質をコードする。各ドメイン又はドメインの組合せは、イーストツーハイブリッドベイトとしてクローンされ、AptAを認識するための能力をみるために相互作用により接合させて検査した。AptA*を作出するためのAptAのPxxPモチーフにおける2つのプロリンのアラニン残基との置換は、Sho1SH3への結合を無効にし、AptAが真正なSH3リガンドであることを示唆するものである。Bud14のSH3ドメインは、自己活性化ベイトであり、空の餌のプラスミドに接合した場合でさえも青色を発色する。05と32は、スクリーニングから単離された2つのペプチドアプタマーであるが、シグナル伝達を阻害しない。PxxPモチーフの2つのプロリン残基がアラニン(PP/AA)に変更した場合に、AptA*は、AptAの変異体バージョンとなる。STMは、空の足場である。 AptAによりPbs2の膜再束縛は、シグナル伝達経路を再構築する。パネルA:AptAへの融合により機能が損なわれたSho1へのPbs2のSH3結合を再束縛するための戦略の概略図である。Pbs2のアラニンへのプロリン96と99の変異はPbs2がSho1−SH3に結合する能力を無効にする(19)。Pbs2へのAptAの融合は、Pbs2(Ste11、Hog1その他との相互作用)の機能と繰り返してSho1と結合する能力を有するキメラタンパク質を作出しなければならない。対照的に、STMへの変異体Pbs2の融合は、機能的キメラを作出してはならない。パネルB:野生型Pbs2に類似する方法で組換えPbs2(AA)−Aptが機能し、シグナル伝達を可能にすることを示すイーストスポットアッセイ。従前同様、AptAを発現するイーストは、浸透圧感受性である。この実験は、AptAは、Pbs2(P96A/P99A)をSho1受容体に動員することができることを示唆し、AptAの浸透圧感受性表現型は、Sho1との相互作用によるものであることを確認する。 AptAがSho1シグナル伝達複合体の通常の集合を妨害することを示す。A イースト菌細胞溶解物は、GST−Sho1SH3Aビーズと培養し、グルタチオンーアガロースカラムを通した。広範囲で洗浄したあと、ビーズが結合したタンパク質は、還元グルタチオンで溶出した。ウエスタンブロットは、AptAの存在下でSho1−SH3相互作用複合体と会合しているHog1の量の減少を示し、その物理的相互作用は、コントロールペプチドアプタマーではなく、AptAにより妨げられていることを示唆している。B 本研究とその関連を概説するモデルスキームである。 STMペプチドアプタマーの発現と精製を示す。組換えGST−STM又は−STMペプチドアプタマーは、BL21 DES3 pLys細胞内で発現し、グルタチオンビーズでアフィにティークロマトグラフに供された。異なる長さの挿入を有するペプチドアプタマー(Apt05:12アミノ酸さん残基;Apt206:26残基;Apt201:40残基)がSDS−PAGEに供された。クーマシー染色で可視化される。レーン1〜3:細胞溶解物の全ての溶解画分の0.01%インプットである(1:GST−STM、2: GST−Apt05、3:GST−Apt206)。レーン4〜7:タンパク質が結合したグルタチオンビーズ画分である(4:GST−STM、5:GST−Apt05、6:GST−Apt206、7:GST−Apt201)。レーン8〜10:プレシジョン(PreScission)プロテアーゼによりGST融合から開裂したSTMペプチドアプタマー(8:STM;9:Apt05;10:Apt206;11:Apt201)。 AptAのSte11への融合は、浸透圧耐性を付与しないことを示す。パネルA:発現した構築物は、STM若しくはAptA単独、又はSTMへのSte11の融合であり、Ste11機能、又はSho1へ構造的にSte11を標的としなければならないAptAの機能を妨げるものであってはならない。パネルB:パネルC〜Fに示されるプレートの配置図である。パネルC:ガラクトースに誘導されるAptAの発現、又はAptA−Ste11融合は、それ自身においてイースト菌に対して毒性はないことを示すコントロールプレート。パネルD:浸透圧ショック反応を誘導させるために培地が1MNaClで補完されていることを除き、パネルCと同様である。1MNaClの存在下では、AptA又はSte11へのAptAの融合を発現している細胞は、生育することはできない。STM又はSte11へのSTMの融合を発現している細胞は、浸透圧ストレスに耐性である。パネルE及びF:パネルAに示される融合タンパク質の発現を抑制するグルコースを含むコントロールプレートが、高塩濃度では生育できないことは、AptAの発現に依存することを示す。パネルG:ウエスタンブロットにより、細胞がAptA又はAptA−Ste11融合のいずれかを発現している場合、Hog1MAPKはリン酸化していないことを示す。Ste11−Aptが、Hog1活性化を回復することができないということは、AptAは、いまだにかかるキメラにおいて機能するが、Ste11はしないことを示唆する。

Claims (19)

  1. 足場タンパク質としてのステフィンAの使用であって、該ステフィンAが、ヒトステフィンAであり、Leu73部位において異種ペプチド挿入を含むことを特徴とするステフィンAの使用。
  2. 足場タンパク質が、V48D変異を含むことを特徴とする請求項1記載の使用。
  3. 足場タンパク質が、G4W変異を含むことを特徴とする請求項1又は2記載の使用。
  4. 足場タンパク質が、V48D及びG4W変異をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の使用。
  5. 足場タンパク質が、配列番号1に示される配列を含むことを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の使用。
  6. 足場タンパク質が、配列番号3に示される配列と配列番号4に示される配列とを含むことを特徴とする請求項1〜5いずれか記載の使用。
  7. 配列番号1に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチド。
  8. 配列番号3に示されるアミノ酸配列と配列番号4に示される配列とを含むポリペプチド。
  9. (i)配列番号1に示されるアミノ酸配列、又は
    (ii)配列番号2に示されるアミノ酸配列
    を含む、ポリペプチドであって、
    異種ペプチドがLeu73部位において挿入されていることを特徴とするポリペプチド。
  10. Leu73部位において挿入されている異種ペプチドが、Leu73アミノ酸残基を欠失させていることを特徴とする請求項9記載のポリペプチド。
  11. 異種ペプチドが、20以下のアミノ酸を含むことを特徴とする請求項9又は10記載のポリペプチド。
  12. 配列番号1、配列番号3、又は配列番号4のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む単離核酸。
  13. 配列番号1のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む単離核酸であって、ヌクレオチド配列がRsrII制限酵素部位を含むことを特徴とする単離核酸。
  14. 請求項1〜12いずれか記載の足場タンパク質又はポリペプチドのアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含むことを特徴とする単離核酸。
  15. (i)標的ペプチドを含むステフィンA足場タンパク質を提供するステップ;
    (ii)足場タンパク質を所望の構造に接触させるステップ;及び
    (iii)足場と所望の構造との間の会合をモニターするステップ
    を含む、所望の構造に結合することのできる標的ペプチドを同定する方法であって、
    所望の構造と足場タンパク質との会合により、標的ペプチドを前記構造に結合することができる候補標的ペプチドとして同定する方法。
  16. 医薬におけるアミノ酸配列RLNKPLPSLPVを含むペプチドの使用。
  17. イースト菌感染症の治療における、アミノ酸配列RLNKPLPSLPVを含むペプチドの使用。
  18. イースト菌感染症の予防又は治療のための薬剤の製造における、アミノ酸配列RLNKPLPSLPVを含むペプチドの使用。
  19. アミノ酸配列RLNKPLPSLPVを含むペプチド。
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