JP2008540005A - 滅菌保護部を有するランセットシステム - Google Patents

Abstract

本発明は、ランセット尖端（２）を含むランセットシステム（１）に関する。ランセット尖端（２）は、少なくとも部分的に脆性破壊し得る材料からなる滅菌保護部（５）によって取り囲まれている。滅菌保護部（５）は脆性破壊し得る材料に所定の破壊部（１８）を有し、かつランセット尖端（２）による穿刺過程において所定の破壊部（１８）でランセット尖端（２）の解放のために破壊し易い。本発明は、さらに穿刺補助具と、マガジンとして設けるランセットシステムに関する。

Description

本発明は、滅菌保護部の中に埋め込まれたランセット尖端を有する少なくとも１つのランセットを含むランセットシステムに関する。特に本発明は少なくとも２本のランセット用のマガジンとして用いるランセットシステムに関する。さらに本発明は少なくとも１つの本発明に係るランセットシステムを有する穿刺補助具に関する。

体液、特に血液の採取は、特にそれに続く分析の目的によって患者の診断または患者の代謝状態の監視を可能にするために実施される。特にこのような採取は血糖濃度を決定するために糖尿病患者によって実施される。診断目的に対して少量の血液のみの採取を行うために通常たとえば病院職員または患者自身によって患者の指頭または他の身体部位にわずかに穿刺される無菌の鋭利なランセットが使用される。とりわけ、いわゆる「ホームモニタリング」において医学的非専門家自身が血液の簡単な分析を実施する分野でランセットシステムと、それに適合する器具（いわゆる採血器、血液ランセット装置または以下に挙げるとおりの穿刺補助具）が提供されており、これらが可能な限り痛みの少ないかつ再現可能の採血を可能にする。

典型的には、採血に使用するランセットのランセット尖端は、あらかじめ滅菌され、かつ、たとえばキャップまたはポケットの形態の滅菌保護部によって、ランセット尖端が環境によって汚染されないようにするために、該ランセットは穿刺過程に使用される前に無菌状態に保持される。さらにしばしば、ランセット尖端が実施された穿刺過程後に新たに遮蔽（必要であれば前記キャップまたはポケットによる遮蔽）がなされ、その結果、意図しない負傷とそれに伴って現れるランセット尖端に付着する血液による感染が回避される。

個別ランセットの場合、たとえば滅菌保護部は、ランセットの尖端がランセット本体の製造による作業工程において合成樹脂で射出成形されることによって製造することができる。使用する前に利用者はこの部分をたいてい穿刺補助具の中へ差し込むときに手で取り除く。マガジン化されたランセットの場合、類似の無菌保護装置、たとえばランセットが後方へ滅菌保護部から引き抜かれ、それを受けて滅菌保護部がバネ力を介して穿刺路から運び出される装置が用いられる。そのために比較的費用のかかる機構、特に消費材の中に組み込まれるバネが必要である。

国際特許出願公開第０１／６６０１０号において、滅菌保護部が簡単に穿刺されることによって前記機構の煩雑さが回避されている。国際特許出願公開第０１／６６０１０号は、尖端を有するランセット針と、ランセット針を少なくとも尖端の領域で完全に取り囲むランセット本体とを含むランセットに関する。ランセット本体は少なくともランセット針の尖端の領域で弾性材料からなり、該弾性材料の中にランセット針の尖端が埋め込まれている。さらに尖端を有するランセット針と、少なくともランセット針の尖端を取り囲む中空体とを含むランセットが記載されている。ランセット針はその尖端の領域で中空体内で移動可能であり、かつ中空体は少なくとも部分的に弾性材料からなり、該弾性材料は穿刺過程でランセット針の尖端によって穿刺することができ、かつ必要であればランセット針の尖端の引き戻し後に再び中空体の中へ密閉される。この場合の欠点は、弾性包囲体が全穿刺路で摩耗を生じることである。従って使用する穿刺補助具の駆動部は対応して寸法指定されていなければならない。しかし使用するランセット尖端の前記包囲体は、多くがマガジン化または個別化されてあるランセットの場合、ランセット尖端がたとえば剛性の中空体の中に引き戻され、それによって環境の汚染の危険と負傷の危険とが無いために不要である。

米国特許第５，３０４，１９２号明細書は、その尖端が取り外し可能のキャップによって取り囲まれたランセット針を有するランセット装置に関する。このキャップは利用するまでランセット針の無菌性を保証する。該キャップは破壊し易い連結具を介してランセット装置の構成要素に連結されており、前記構成要素から取り除くために手で回し取られる。

米国特許第５，５５４，１６６号は未使用状態で滅菌保護部キャップを具備したランセット針を有する血液ランセット装置に関する。この滅菌保護部キャップは、取り除くために該キャップが所定の破壊部で折り取られるように回される。

穿刺過程のためにランセット針を解除するキャップの手動の回し取りは、このようなランセットのハンドリングが費用のかかる工程になるので、体液を採取する方法においては回避されるべき工程である。

本発明の課題は従来の技術の欠点を取り除くことである。特に本発明の課題は、少なくともランセット針が未使用状態で初回利用の直前まで無菌に保持され、かつ環境の汚染および利用者の意図しない負傷が回避されるように前記利用後にランセットが保管されるランセットシステムまたはランセットマガジンを提供することである。さらに本発明の課題は、穿刺過程時および穿刺過程後のランセット針の引き戻し時に滅菌保護部とランセット針、特にランセット尖端の可能な限り少ない摩耗を保証し、その結果、使用する穿刺補助具の駆動部が従来の技術よりも弱く選択され、穿刺補助具の全可動部分での摩耗が低減され、かつ穿刺補助具の寿命を拡大できることである。

この課題は本発明によりランセット尖端を有する少なくとも１つのランセットを含むランセットシステムによって解決される。ランセット尖端は少なくとも部分的に脆性破壊し得る材料からなる滅菌保護部によって取り囲まれ、該滅菌保護部が脆性破壊し得る材料に所定の破壊部を有し、かつランセット尖端による穿刺過程において所定の破壊部でランセット尖端を解放するために破壊し易くなっている。

本発明に係るランセットシステムはランセット尖端を有する少なくとも１つのランセットを有する。本発明の好ましい実施形態にしたがって、ランセットシステムは多数のランセットを含む。この場合ランセットシステムはランセット用のマガジンとして穿刺補助具の中に挿入することができる。

ランセット尖端は規定どおりのランセットシステムの使用において体液、特に血液または組織間液の流出を生じるために組織の中に穿刺される。ランセット尖端は、たとえば回転対称に形成することができる。１つまたは複数の研磨面をランセット尖端に取り付けることもできる。そのために設けられるランセット尖端の縦軸に対して傾斜した、尖端に向かって流れる角部は穿刺時に鋭利な刃として用いられ、これが回転対称のランセット尖端に該当するよりも有利により痛みの少ない穿刺過程を形成する。

本発明に係るランセットシステムの滅菌保護部はランセット尖端を未使用状態で無菌に遮蔽し、その結果、菌が本発明に係るランセットシステムの使用直前までランセット尖端に到達できない。好適な滅菌後にランセット尖端が滅菌保護部で長期間にわたって無菌状態にとどまる。滅菌保護部は、たとえばランセット尖端を取り囲む中空体とすることができる。ランセット尖端は滅菌保護部の中に埋め込むことができ、その際に滅菌保護部は、たとえばランセット尖端の射出成形によって射出成形法を利用して製造することができる。

滅菌保護部は少なくとも部分的に脆性破壊し得る材料からなる。このような材料は、力作用時にその破壊前に本質的に残留する形状変化が現れない性質を有する。脆性破壊し得る材料の降伏点は、好ましくはほぼその破壊限界に等しい。約５００Ｎ／ｍｍ²の降伏点を有する鋼からなるランセット尖端の場合、脆性破壊し得る材料は、好ましくは５０Ｎ／ｍｍ²以下の降伏点を有するべきである。好ましくは、脆性破壊し得る材料は高い脆性と、小さい強度とを有し、その結果、所定の破壊部の領域で滅菌保護部を破壊するために少ないエネルギーを必要とする。特に脆性破壊し得る材料はランセット尖端／ランセット針の材料に比べて軟質にするべきであり、それによって該尖端は脆性破壊し得る材料の破壊時に損傷されない。たとえばビッカース硬さ約２５０を有する鋼からなるランセット尖端の場合、脆性破壊し得る材料のビッカース硬度は好ましくは２５以下とするべきである。

脆性破壊し得る材料は、本発明によるランセットシステムにおいて、材料が力作用時に破壊され、かつこのように穿刺過程を実施するランセット尖端を解放する所定の破壊部を有する。この本発明に係るランセットシステムの滅菌保護部の形成は、滅菌保護部が所定の破壊部によって破壊による大きな力作用なしに開放でき、かつランセット尖端が開放された滅菌保護部で広範囲に摩耗なしに（たとえば中空体または穿刺補助具から）移動できる長所を有する。それによって本発明に係るランセットシステムが収容される、穿刺過程に使用される穿刺補助具は強い駆動部を必要とせず、かつ摩耗が少ない。

本発明により滅菌保護部がランセット尖端または全ランセット針によって破壊される。それに対して脆性破壊し得る材料へのランセット針、特にランセット尖端の力作用が生じる。これは、滅菌保護部が労力をかけて手で開放しかつ取り除く必要がなく、ランセット針による穿刺過程の実施時に自動的に破壊される長所を有する。

本発明の好ましい実施形態にしたがって、滅菌保護部の脆性破壊し得る材料はフィラーを含有する熱可塑性樹脂、フィラーを含有する金属石鹸またはフィラーを含有するワックスである。熱可塑性樹脂はプレス成形法、押出成形法、射出成形法またはその他の成形法により軟化状態で成形部品に加工することができる。熱可塑性樹脂の性質は特にフィラーの状態によって変化させることができる。本発明において熱可塑性樹脂、ワックスまたは金属石鹸の脆性は、滅菌保護部またはその一部を製造できる脆性破壊し得る材料を得るために、好ましくはフィラーを利用して調整される。脆性破壊し得る材料の融点は、好ましくは７０℃以上にするべきであり、それによって滅菌保護部の保管が問題なく可能である。

フィラーは、好ましくはタルカム、グラファイトおよび二硫化モリブデンの群から選択される。ワックスは、好ましくはパラフィン、ステアリン、ＰＥワックスのような合成ワックスおよび蜜蝋のような天然ワックスの群から選択される。金属石鹸は、より高級の脂肪酸、尿酸またはナフテン酸（ステアリン酸塩、パルミチン酸塩、オレイン酸塩、リノール酸塩、ラウリン酸塩など）を有する金属Ａｌ、Ｂａ、Ｃａ、Ｃｄ、Ｃｏ、Ｃｒ、Ｃｕ、Ｆｅ、Ｍｇ、Ｍｎ、Ｎｉ、Ｐｂ、Ｓｎ、ＳｒおよびＺｎの塩である。金属石鹸は本発明において好ましくはステアリン酸アルミニウム、パルミチン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、パルミチン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、またはパルミチン酸亜鉛の群から選択され、特に好ましくはステアリン酸アルミニウム（それぞれのタイプに応じて、−モノ−、−ジ−または−トリステアリン酸）、ステアリン酸カルシウムまたはステアリン酸マグネシウムである。熱可塑性樹脂は、好ましくはポリエチレンおよびポリプロピレンの群から選択される。脆性破壊し得る材料に対しては特に高い割合のタルカムで充填される軟質熱可塑性樹脂（たとえばポリエチレン）が好適である。タルカムは脆性破壊し得る材料の破壊時に針尖端の針研磨部を損傷しない軟質材料である。タルカム粒子はこの場合、熱可塑性樹脂、ワックスまたは金属石鹸の内部強度を低下させるために良く適しており、その結果、粘弾性挙動が脆性の方向へシフトされ、合成樹脂、ワックスまたは金属石鹸の硬度が上昇する。熱可塑性樹脂内のフィラーの割合は、好ましくは２０体積％以上、特に好ましくは２０〜５０体積％のあいだにある。

本発明の好ましい実施形態にしたがって、所定の破壊部はランセット尖端と平行に伸長し、かつ少なくとも滅菌保護部の長さの一部にわたって延伸する。滅菌保護部は、たとえばランセット尖端上に載る円筒形のキャップとすることができる。所定の破壊部は、好ましくは円筒形のキャップの側面に沿った方向へ伸長する。該所定の破壊部はこの場合側面の全長に沿ってまたは側面の長さの一部（ランセット尖端の領域）に沿って伸長することができる。

本発明の好ましい実施形態にしたがって、所定の破壊部は、滅菌保護部の破壊後に所定の破壊部でランセット尖端から離れる滅菌保護部の部分領域を分割する。好ましくは破壊後に滅菌保護部の離れる部分領域がランセット尖端に付着し、その結果、該部分領域がコントロールされずにランセットシステムの中で周りに落ちない。ここで滅菌保護部は、たとえば所定の破壊部が前記部分領域を分割する部分で脆性破壊し得る材料から、かつそれに続く部分で塑性変化可能の材料から製造することができ、その結果、所定の破壊部で脆く破壊分離される塑性材料の領域でランセット尖端から離れて保持される。しかしまた滅菌保護部は完全に脆性破壊し得る材料から製造することもでき、所定の破壊部によって分割された領域は破壊時に互いに所定の破壊部で分離されるが、所定の破壊部をもたない滅菌保護部の部分に接続された状態にとどまり、その際に（必要であれば小さい角度）でランセット尖端から離れる。滅菌保護部の破壊後にランセット尖端から離れるような領域の具備は、これがランセット尖端の解放後に弛むことなく、たとえば中空体内または穿刺補助具内で周りに落ちず、かつランセット尖端の移動を妨害できる長所を有する。

本発明の好ましい実施形態にしたがって、ランセットシステムは、ランセット尖端と針本体とを包含するランセット針を含み、針本体は少なくとも部分的にランセット本体によって取り囲まれている。ランセット本体はここで固定して針本体に接続することができ、または針本体は（穿刺過程の実施のために）ランセット本体と相対的に移動することができる。ランセット本体は針本体を一部または全部を取り囲むことができる。本発明に係るランセットシステムのランセット針は、機械応力を穿刺過程中に、特に脆性破壊し得る材料の破壊中に、および加工工程中にまたは場合によりその他の応力を変形なしに克服するために充分硬い材料から製造される。さらに材料は、ランセット針から穿刺過程中に粒子が破壊または分離されないような性質をもたなければならない。最後にランセット針材料は、ランセット尖端が充分に鋭利であり、かつランセット尖端のエッジ部は必要であれば充分に鋭く研磨できるように加工可能にもしなければならない。ランセット針に良く適している材料は、特に金属類およびこれらの金属のうち特に特殊鋼である。しかしながらセラミックまたは合成樹脂からなる針も可能である。

本発明の好ましい実施形態にしたがって、本発明に係るランセットシステムは、少なくともランセット尖端を取り囲む中空体を含み、このランセット尖端は中空体の中で移動可能である。少なくともランセット尖端を取り囲む中空体は、ランセット尖端が再び中空体の中で戻るとき、特に実施された穿刺過程後にランセット尖端での利用者の意図しない負傷からの保護として利用される。ランセット尖端は中空体内で移動可能であり、それによって該ランセット尖端は穿刺過程の実施に対して中空体から離動することができる。好ましくは、中空体はランセット尖端を穿刺過程で出すことができる出口開口部を有し、ランセット尖端はこの出口開口部による穿刺過程後に中空体内へ戻すことができる。

本発明の好ましい実施形態にしたがって、中空体が管状に形成されており、該中空体の両端部が開放または閉鎖できる開口部を有する。たとえば、穿刺過程時に開放できる弾性材料または塑性材料からなる穿刺可能のフィルムで両端部を密閉することができる。両方の開口部の一方は穿刺過程時にランセット尖端用の出口開口部として用いられる。他方の開口部は、穿刺過程時のランセット尖端の移動のために設けた操作手段（たとえば押棒または鉤状体）の挿入に用いることができる。

ランセット本体は中空体と相対的に移動可能にまたは前記中空体に固定して連結することができる。第１の場合においてランセット針は、好ましくは固定してランセット本体に連結されており、第２の場合において該ランセット針はランセット本体と相対的に中空体の中で移動可能である。ランセット本体はランセット針用のガイド部材として利用できる。

好ましい実施形態において、中空体はランセット本体およびランセット尖端を完全に取り囲み、ランセット本体およびランセット尖端は中空体内で一緒に移動可能である。この場合、ランセット本体およびランセット尖端は、好ましくはランセット尖端を基準にして長手方向に移動可能である。

ランセット尖端およびランセット本体の分離されたまたは一緒の移動に対しては、本発明に係るランセットシステムが使用される穿刺補助具の中に好適な設計上の措置（たとえば操作手段、駆動要素または保持要素）を設けることができる。

本発明の好ましい実施形態にしたがって、滅菌保護部は所定の破壊部での破壊後にランセット針上でランセット尖端から離れて移動可能である。ここで滅菌保護部は穿刺過程用のランセット尖端を解放するためにその所定の破壊部でのランセット尖端の領域で破壊するが、他方の領域で無傷の状態にとどまり、かつ破壊された部分に連結され、ランセット針上でランセット尖端から離れて移動する。本発明に係るランセットシステムの前記構成は、滅菌保護部が穿刺過程中に弛くたとえば中空体または穿刺補助具内で周りに落ちず、かつ穿刺過程を妨害できない長所を有する。

ランセット針またはランセット尖端が所定の破壊部で滅菌保護部の破壊を生ぜしめることができるように、該ランセット針は所定の破壊部の領域で力を脆性破壊し得る材料にかけなければならない。一つの可能性は、滅菌保護部が中空体の内側に固定されており、かつランセット針またはランセット尖端が、脆性破壊し得る材料を有する滅菌保護部によって押されることである。それに対して、好ましくは滅菌保護部を有するランセット尖端は、所定の破壊部で破壊する滅菌保護部を物体（たとえば中空体または穿刺補助具）の平面、特に内面に対して衝突し、その際にランセット尖端を穿刺補助具によって突き通すことができるように物体（たとえば中空体または穿刺補助具）内で移動可能である。この場合、ランセット尖端を有する（たとえば円筒形のキャップとして形成された）滅菌保護部が中空体または穿刺補助具の平面、特に内面に衝突するまで該滅菌保護部が移動され、かつそこで破壊されおよび／または内面によって制動され、その結果ランセット尖端が滅菌保護部を通して突き通される。ランセット尖端は次に穿刺過程を実施するために、中空体または穿刺補助具内の出口開口部を通して出ることができる。

本発明は、さらにそれぞれ１つのランセット尖端を有し、かつそれぞれ互いに独立したランセットシステムの個々のチャンバの中に含まれている少なくとも２本のランセットを有するマガジンとして形成されたランセットシステムに係り、このランセット尖端は前記チャンバ内で移動可能である。ランセット尖端は、この場合チャンバ内で少なくとも部分的に脆性破壊し得る材料からなる滅菌保護部によって取り囲まれており、滅菌保護部は所定の破壊部を有し、かつ所定の破壊部でのランセット尖端による穿刺過程でランセット尖端の解放のために破壊し易い。

マガジンとして設けられたランセットシステムは未使用および使用済のランセットの保管に用いられる。マガジンのチャンバは上記の本発明に係るランセットシステムの必要に応じて設けた中空体の機能を引き受ける。チャンバは、好ましくはマガジンの中に規則的に幾何学的に配置されており、隣接するチャンバは共通の壁を有することができる。マガジンは、たとえば積層状、円板状またはドラム状に構成することができる。

利用する直前までランセット尖端はその各滅菌保護部に無菌に保管されている。穿刺過程において滅菌保護部の脆性破壊し得る材料はランセット針を用いて、特にランセット尖端を用いて所定の破壊部で破壊され、その結果、ランセット尖端は穿刺過程に対して解放される。そのためにランセット尖端は出口開口部を通してそのチャンバから出る。穿刺過程後にランセット尖端が再び出口開口部を通してそのチャンバの中に戻され、その結果、ランセット尖端での意図しない負傷および環境の汚染が除外される。マガジンとして利用される本発明に係る少なくとも２本のランセットを有するランセットシステムによって生じる長所は、特にすでに本発明に係るランセットシステムに対して挙げたものに相当する。

本発明は、さらに少なくとも１つの本発明に係るランセットシステムを含む穿刺補助具と、たとえば中空体、穿刺補助具またはチャンバ内のランセット尖端の移動用のランセットシステムに作用できる操作手段とに係り、その結果、穿刺過程を実施するランセット尖端が滅菌保護部を所定の破壊部で破壊し、かつ中空体、穿刺補助具またはチャンバから出すことができる。穿刺補助具の中に本発明に係るランセットシステムが、手で利用者により個々に挿入される。たとえば多数のランセット（マガジンとして用いられる本発明に係るランセットシステムの中に保管）を穿刺補助具の中に準備することができる。穿刺補助具の中に含まれる操作手段（たとえば一種の押棒または鉤状体）は、ランセット尖端を所定の破壊部で脆性破壊し得る材料の破壊および穿刺過程の実施のために移動するために穿刺補助具の中でランセットに作用する。操作手段は、さらにランセット尖端を穿刺過程後に中空体の中、穿刺補助具の中もしくはそのチャンバの中に戻ることに利用できる。しかしながらそのために穿刺補助具の中にもう１つの部材（たとえばバネ）を設けることができる。

以下、図面を利用して本発明をより詳しく説明する。

図１からのランセットシステム１はランセット尖端２、ランセット本体３および中空体４を有する。図１ａ）に使用前のランセットシステム１が示されている。ランセット尖端２は中空体４の中に滅菌保護部５によって無菌に取り囲まれており、この滅菌保護部は少なくとも部分的に脆性破壊し得る材料からなる。滅菌保護部５は（図１に示さない）所定の破壊部を有するランセット尖端２に載る円筒形のキャップである。

ランセットシステム１はランセット尖端２および針本体７を含むランセット針６を含み、針本体７は部分的にランセット本体３によって取り囲まれている。ランセット本体３は中空体４の中に移動可能に配置されたランセット針６用のガイド部材として用いられる。中空体４は、ランセット尖端２から離れる第１端部８に形成された第１開口部９と、ランセット尖端２に向けられた第２端部１０に形成された第２開口部１１とを有し管状に形成されている。中空体４はランセット本体３、ランセット針６および滅菌保護部５を完全に取り囲み、これら３つの要素は一緒に中空体４の中で長手方向に移動可能である。操作手段１２は、たとえばランセットシステム１を穿刺過程の実施で操作するために本発明に係る穿刺補助具の中に設けられている。

図１ｂ）は本発明に係るランセットシステムによって実施される穿刺過程を示す。操作手段１２はそのために第１開口部９を通して中空体４の中で移動される。操作手段１２によって、ランセット本体３、ランセット針６および滅菌保護部５に穿刺方向１３の力が付与される。それによって滅菌保護部５が第２開口部１１を取り囲む中空体４の内面１４に衝突し、かつランセット尖端２が滅菌保護部５を通して突き通されるまで、ランセットシステム１の前記要素が中空体４の第２開口部１１に向かって移動する。ここで滅菌保護部５の脆性破壊し得る材料は所定の破壊部で破壊し、ランセット尖端２を解放する。これは出口開口部として用いられる第２開口部１１を通して中空体４から出て、たとえば利用者の指の中へ穿刺される。滅菌保護部５はその際にランセット針６上でランセット尖端２から離れて移動される。所定の破壊部を有する領域１５で該滅菌保護部が破壊され、所定の破壊部の無い領域１６で該滅菌保護部は無傷であり、さらにランセット針６を取り囲み、該滅菌保護部が前記ランセット針上で移動可能である。従って滅菌保護部５のバラの断片は中空体４の中にない。

図１ｃ）は出口開口部１１を通る穿刺過程後に中空体４の中に引き戻るランセット尖端２を示す。この引き戻しは、たとえばランセット本体３に付着（たとえば前記ランセット本体に係留）し、引戻方向１７へ引く操作手段１２によって生ぜしめることができる。ここで新たに保護してランセット尖端２を取り囲む中空体４によって使用したランセット尖端２による負傷の危険が回避され、同様にランセット尖端２に付着する体液残渣による環境の汚染も回避される。

図２は、使用前の図１からのランセット本体３、ランセット針６およびランセットシステム１の滅菌保護部５を示す（図１ａ）。分かり易く示すためにランセットシステム１の前記要素は該要素を取り囲む中空体４なしに示されている。滅菌保護部５は（図示しない）ランセット尖端２を無菌に取り囲む。滅菌保護部はランセット尖端２と平行に伸長し、かつ滅菌保護部５の長さの約３分の２にわたってのみ延伸する所定の破壊部１８を有する。少なくとも所定の破壊部１８を有する滅菌保護部５の領域１５は脆性破壊し得る材料から、特に高い割合のタルカムを充填したポリエチレンからなる。所定の破壊部１８は、所定の破壊部１８での滅菌保護部５の破壊後にランセット尖端２から離れる滅菌保護部５の部分領域を分割する（図１ｂ））。所定の破壊部なしの滅菌保護部５の領域１６はその際に破壊されず、さらに滅菌保護部５が次にランセット尖端２から離れてランセット本体３方向へ移動できるランセット針６を取り囲む（図１ｂ）参照）。

本発明に係るランセットシステムの模式断面図および前記ランセットシステムを有する穿刺過程の流れ図である。 図１記載のランセットシステムのランセット本体、ランセット針および滅菌保護部である。

符号の説明

１ ランセットシステム
２ ランセット尖端
３ ランセット本体
４ 中空体
５ 滅菌保護部
６ ランセット針
７ 針本体
８ 中空体の第１端部
９ 第１開口部
１０ 中空体の第２端部
１１ 第２開口部、出口開口部
１２ 操作手段
１３ 穿刺方向
１４ 内面
１５ 所定の破壊部を有する滅菌保護部の領域
１６ 所定の破壊部の無い滅菌保護部の領域
１７ 引戻方向
１８ 所定の破壊部
１９ 部分領域

Claims (15)

1. ランセット尖端（２）を有する少なくとも１つのランセットを含み、
   該ランセット尖端（２）が少なくとも部分的に脆性破壊し得る材料からなる滅菌保護部（５）によって取り囲まれ、この滅菌保護部（５）が脆性破壊し得る材料に所定の破壊部（１８）を有し、かつランセット尖端（２）による穿刺過程において所定の破壊部（１８）でランセット尖端（２）の解放のために破壊し易いことを特徴とするランセットシステム（１）。
2. ランセット尖端（２）が中空体（４）の中で移動可能であるランセット尖端（２）を取り囲む中空体（４）を特徴とする請求項１記載のランセットシステム。
3. 中空体（４）がランセット尖端（２）を穿刺過程で出すことができる出口開口部（１１）を有し、ランセット尖端（２）が出口開口部（１１）による穿刺過程後に中空体（４）の中に引き戻すことができることを特徴とする請求項２記載のランセットシステム。
4. 滅菌保護部（５）が所定の破壊部（１８）で破壊するために中空体（４）または他の物体の内面（４）に対して衝突され、その際にランセット尖端（２）を滅菌保護部（５）を通して突き通すことができるようにランセット尖端（２）が中空体（４）または他の物体内で移動可能であることを特徴とする請求項１〜３のいずれか１項に記載のランセットシステム。
5. 滅菌保護部（５）の脆性破壊し得る材料がフィラーを含有する熱可塑性樹脂、ワックスまたは金属石鹸であることを特徴とする請求項１〜４のいずれか１項に記載のランセットシステム。
6. フィラーがタルカム、グラファイトおよび二硫化モリブデンの群から選択される少なくとも１種類の物質であることを特徴とする請求項５記載のランセットシステム。
7. 熱可塑性樹脂がポリエチレンまたはポリプロピレンの群から選択される熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項５または６記載のランセットシステム。
8. 所定の破壊部（１８）がランセット尖端（２）と平行に伸長し、かつ少なくとも滅菌保護部（５）の長さの一部にわたって延伸することを特徴とする請求項１〜７のいずれか１項に記載のランセットシステム。
9. 所定の破壊部（１８）が滅菌保護部（５）の破壊後に所定の破壊部（１８）でランセット尖端（２）から離れる滅菌保護部（５）の部分領域（１９）を分割することを特徴とする請求項１〜８のいずれか１項に記載のランセットシステム。
10. 滅菌保護部（５）がランセット尖端（２）に載る円筒形のキャップであることを特徴とする請求項１〜９のいずれか１項に記載のランセットシステム。
11. 針本体（７）が少なくとも部分的にランセット本体（３）によって取り囲まれたランセット尖端（２）と針本体（７）とを包含するランセット針（６）を含む請求項１〜１０のいずれか１項に記載のランセットシステム。
12. ランセット本体（３）がランセット針（６）用のガイド部材として用いられることを特徴とする請求項１１記載のランセットシステム。
13. 滅菌保護部（５）が所定の破壊部（１８）での破壊後にランセット針（６）上でランセット尖端（２）から離れて移動可能であることを特徴とする請求項１１または１２記載のランセットシステム。
14. それぞれ１つのランセット尖端（２）を有し、かつそれぞれ互いに独立してランセットシステムの個々のチャンバの中に含まれている少なくとも２本のランセット（１）を有するランセットシステムにおいて、ランセット尖端（２）が前記チャンバ内で移動可能であるランセットシステムであって、ランセット尖端（２）がチャンバ内で少なくとも部分的に脆性破壊し得る材料からなる滅菌保護部（５）によって取り囲まれており、滅菌保護部（５）が所定の破壊部（１８）を有し、かつ所定の破壊部（１８）でのランセット尖端（２）による穿刺過程でランセット尖端（２）の解放のために破壊し易いことを特徴とするランセットシステム。
15. 請求項１〜１４のいずれか１項に記載の少なくとも１つのランセットシステム（１）と、ランセット尖端（２）の移動のためにランセットシステム（１）に作用することができ、その結果、穿刺過程を実施するランセット尖端（２）が滅菌保護部（５）を所定の破壊部（１８）で破壊することができる操作手段（１２）とを含む穿刺補助具。

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