JP2008539412A - 癌の診断及びモニタリングのためのグリコシル化マーカー - Google Patents

癌の診断及びモニタリングのためのグリコシル化マーカー Download PDF

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レイモンド, エー. ドウェック,
ラファエル デロレンス,
ローザ ペラコーラ,
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ルイーズ ロイル,
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レイモンド, エー. ドウェック,
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Abstract

癌の1つ又は複数のグリコシル化マーカーを決定する方法は、疾患試料及び対照試料を得るステップ(ここで、疾患試料は癌を有すると診断された対象由来の試料であり、対照試料は健康対照由来の試料である)と;疾患試料から総糖タンパク質の疾患グリカンプールを、及び対照試料から総糖タンパク質の対照グリカンプールを、その糖タンパク質を精製せずに、かつ疾患試料及び対照試料にヒドラジン分解を受けさせずに放出させるステップと;クロマトグラフィー、質量分析、又はその組合せを使用して、疾患グリカンプールの疾患糖プロファイル及び対照グリカンプールの対照糖プロファイルを測定するステップと;疾患糖プロファイルと対象糖プロファイルを比較して、癌の前記1つ又は複数のグリコシル化マーカーを決定するステップとを含む。対象における癌を診断及びモニタリングする方法は、対象の体液又は身体組織の試料を得るステップと;その試料から総糖タンパク質のグリカンプールを、その糖タンパク質を精製せずに放出させるステップと;そのグリカンプールの糖プロファイルを測定するステップとを含む。
【選択図】 図1

Description

発明の詳細な説明
本出願は、2005年4月26日に提出されたDwekらの米国特許仮出願第60/674723号明細書「癌の診断及びモニタリングのためのグリコシル化マーカー」に対して優先権を主張するものであり、その仮特許出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
[発明の背景]
本発明は、一般に癌を診断及びモニタリングする方法、特に、詳細なグリコシル化分析に基づいて癌を診断及びモニタリングする方法に関する。
初期の癌を検出するための発症前スクリーニングは、癌に関連する死亡率及び治療に関連する罹患率を減らす。腫瘍がまだ限局性の間に癌が診断されるならば、多くの癌は治療及び治癒することができるが、大部分の癌は、周囲の組織に浸潤するか、又は離れた部位に転移して初めて検出される。例えば、乳癌の50%、前立腺癌の56%、及び結腸直腸癌の35%だけが診断時に限局性である。Watkins,B., Szaro,R., Ball,S., Knubovets,T.,Briggman,J., Hlavaty,J.J., Kusinitz,F., Stieg,A. and Wu,Y.(2001)「Detection of early-stage cancer by serum protein analysis」American Laboratory、6月、32〜36を参照されたい。この文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。その他のあまり治療できない種類の癌では状況はずっと悪い。例えば、膵臓癌の約80%は診断時にすでに転移しており、その結果として、診断1年後の生存率は約19%及び5年生存率は約4%となっている。同様の5年生存率(<5%)が肝細胞癌について報告された。癌の治療のための治療選択肢が増加していることから、癌の早期検出は予後の改善に重要となっている。
近年、ある種の癌のためにいくつかの血清タンパク質マーカーが開発された。例えば、前立腺の病態で血清中にみられる、前立腺細胞により分泌される糖タンパク質である前立腺特異抗原(PSA)は、現在は前立腺癌用の腫瘍マーカーとして使用されている。癌の診断及びモニタリングのためのその他のタンパク質マーカーは、肝細胞癌及び精巣癌のためのα−フェトプロテイン、膀胱癌のためのNMP22、神経芽細胞腫のためのカテコールアミン、多発性骨髄腫のための免疫グロブリン、結腸直腸癌のための癌胎児性抗原(CEA)、乳癌のためのHER-2、CA15-3、及びCA27-29、卵巣癌のためのCA125、膵臓癌のためのCA19-9である。Keeseeら、Crit.Rev. Eukaryotic Gene Expr,1996, 6(2及び3):189〜214; Diamandis, Clin. Lab. News 1996, 22: 235〜239,Steinら、J. Urol 1998, 160(3,第1部): 645〜659を参照されたい。血清マーカーの開発は、ある種の癌の臨床管理を容易にしたが、これらのバイオマーカーのアッセイは、癌の診断のための唯一のスクリーニング法として使用するに足るほど高感度でも特異的でもない。したがって、癌の進行の診断及びモニタリングを行うために、早期により高感度でより特異的に再発及び転移を検出するであろう新しい癌関連バイオマーカーを開発することが大いに望ましい。
癌患者及び健康対照由来の糖タンパク質におけるグリコシル化の差に基づいて、新しい癌関連バイオマーカーを開発する方法が示唆された。例えば、Blockらは、癌関連バイオマーカーとしてグリコシル化変化を有する特定の糖タンパク質を同定するために、肝細胞癌を有するB型肝炎ウイルス感染対象(ヒト及びウッドチャック)由来の免疫グロブリンG(IgG)枯渇血清におけるグリコシル化プロファイルと、それぞれの健康対照由来の免疫グロブリンG(IgG)枯渇血清におけるグリコシル化プロファイルを比較した。参照により本明細書に組み込まれているBlock,T.M.、Comunale,M.A.、Lowman,M.、Steel,L.F.、Romano,P.R.、Fimmel,C.、Tennant,B.C.、London,W.T.、Evans,A.A.、Blumberg,B.S.、Dwek,R.A.、Mattu,T.S.、及びMehta,A.S.(2005)「Use of targeted glycoproteomics to identify serum glycoproteins that correlate with liver cancer in woodchucks and humans」Proc Natl Acad Sci USA 102: 779〜84を参照されたい。
疾患患者と健康対照との間での精製糖タンパク質のグリコシル化プロファイルの特定の差は、疾患のマーカーとして役立つことができる。例えば、リウマチ性関節炎と、精製免疫グロブリンG(IgG)から放出されたN−グリカン上のガラクトシル化の率との間の明らかな相関は、Parekhらにおいて確立された(「Association of Rheumatoid Arthritis and Primary Osteoarthritis with Changes in the Glycosylation Pattern of Total Serum IgG」Nature、316、452〜457頁、1985参照。その全体が参照により本明細書に組み込まれている)。ある種の癌については、精製糖タンパク質のグリコシル化プロファイルの改変もまた報告された。例えば、精漿由来の精製PSAから放出されるグリカン、及び腫瘍性前立腺細胞系LNCaPにより分泌される精製PSAから放出されるグリカンについて、グリコシル化が異なることが見出された。その全体が参照により本明細書に組み込まれているPeracaula R、TabaresG、Royle L、Harvey DJ、DwekRA、Rudd,PM、deLlorens R.(2003)「Altered glycosylation pattern allows the distinction between Prostate Specific Antigen (PSA)from normal and tumor origins」Glycobiology、13、457〜470を参照されたい。健康な膵臓及び膵臓腺癌腫瘍細胞(Capan-1及びMDA Panc-3)から単離された膵臓リボヌクレアーゼ(RNアーゼ1)について、完全に異なるグリコシル化プロファイルが見出された。その全体が参照により本明細書に組み込まれているPeracaula R, Royle L ,TabaresG, Mallorqui−Fernandez G, Barrabes S, Harvey D, Dwek RA, Rudd, PM, de Llorens R.(2003)「Glycosylation of human pancreatic ribonuclease: differences between normal and tumour states」Glycobiology、13、227〜244を参照されたい。したがって、グリコシル化分析は癌関連バイオマーカーを同定する強力なツールでありうるが、現在使用されている方法は糖タンパク質を精製するステップを伴い、それは、時間がかかることがあり、患者からの大量の試料材料を必要とすることがあるステップである。したがって、糖タンパク質を精製するステップを含まないであろう、癌関連グリコシル化マーカーを同定する方法、並びに癌を診断及びモニタリングする関連方法を開発することが大いに望ましい。試料全体、すなわち枯渇しておらず精製されていない試料にグリコシル化分析を行うことは、癌の診断及びモニタリングに特に有益でありうる。グリコシル化プロファイルの差は、癌患者の試料中のαフェトプロテインなどの、癌と特異的に関連する糖タンパク質の存在と関連することがある(例えばJohnson, P.J., T.C.Poonら(2000)「Structures of disease-specific serum alpha-fetoprotein isoforms」Br J Cancer 83(10):1330〜7及びChan, M. H., M. M. Shingら(2000)「Alpha-fetoprotein variants in a case of pancreatoblastoma」Ann Clin Biochem 37(第5部):681〜5参照)が、グリコシル化経路が普通は腫瘍細胞において撹乱されていることから、多数のその他の腫瘍糖タンパク質、すなわち癌の特異的炎症マーカーではない糖タンパク質が、改変したグリコシル化を有すると期待することができる。例えば、共にその全体が本明細書に組み込まれている「Effects of N-Glycosylation on in vitro Activity of Bowes Melanoma and Human Colon Fibroblast Derived Tissue Plasminogen Activator」Art Wittwer, Susan Howard, Linda S.Carr, Nikos K. Harakas, Joseph Feder Raj B. Parekh, Pauline M. Rudd, Raymond A. Dwek and Thomas W. Rademacher, Biochemistry、1989、28、7660〜7669;「N-Glycosylation and in vitro Enzymatic Activity of Human Recombinant Tissue Plasminogen Activator Expressed in Chinese Hamster Ovary Cells and a Murine Cell line」RajB.Parekh, Raymond A.Dwek, Pauline M.Rudd, Jerry R.Thomas、T.W.Rademacher,T.Warren, T.C.Wun, B.Herbert, B.Reitz, M.Palmier, T.Ramabhadran and D.C.Teimeir,Biochemistry 1989、28、7670〜7679を参照されたい。上記に基づき、特異的糖タンパク質を単離も精製もせずに全体液又は身体組織の試料に詳細なグリコシル化分析を行うことにより、精製糖タンパク質のグリコシル化分析に比べて増幅された、癌のグリコシル化マーカーが同定されると期待することができる。
[発明の概要]
本発明の一実施形態は、癌の1つ又は複数のグリコシル化マーカーを決定する方法であり、その方法は、疾患試料及び対照試料を得るステップ(ここで、疾患試料は癌を有すると診断された対象由来の試料であり、対照試料は健康対照由来の試料である)と;疾患試料から総糖タンパク質の疾患グリカンプールを、及び対照試料から総糖タンパク質の対照グリカンプールを、その糖タンパク質を精製せずに、かつ疾患試料及び対照試料にヒドラジン分解を受けさせずに放出させるステップと;クロマトグラフィー、質量分析、又はその組合せにより疾患グリカンプールの疾患糖プロファイル及び対照グリカンプールの対照糖プロファイルを測定するステップと;疾患糖プロファイルと対照糖プロファイルを比較して、癌の1つ又は複数のグリコシル化マーカーを決定するステップとを含む。
本発明の別の実施形態は、対象における癌を診断及びモニタリングする方法であり、その方法は、対象の試料を得るステップと;試料から総糖タンパク質のグリカンプールを、その糖タンパク質を精製せずに放出させるステップと;グリカンの糖プロファイルを測定するステップとを含む。
本発明のなお別の実施形態は、癌に対する現存する治療剤の薬用量を最適化する方法であり、その方法は、癌患者に治療剤を投与する前に、その患者由来の体液又は身体組織の第1試料を得るステップと;その癌患者に治療剤を投与した後で、その患者由来の体液又は身体組織の第2試料を得るステップと;その第1及び第2試料から糖タンパク質のグリカンを、その糖タンパク質を精製せずに放出させるステップと;第1試料由来のグリカンの第1糖プロファイル及び第2試料由来のグリカンの第2糖プロファイルを測定するステップと;第1糖プロファイルと第2糖プロファイルにおける癌のグリコシル化マーカーのレベルを比較するステップとを含む。
本発明のなお別の実施形態は、癌を治療するための新しい治療法又は新しい治療剤を試験する方法であり、その方法は、癌患者に新しい治療法又は新しい治療剤を受けさせる前に、その患者由来の体液又は身体組織の第1試料を得るステップと;その癌患者に新しい治療法又は新しい治療剤を受けさせた後で、その患者から体液又は身体組織の第2試料を得るステップと;その第1及び第2試料から糖タンパク質のグリカンを、その糖タンパク質を精製せずに放出させるステップと;第1試料由来のグリカンの第1糖プロファイル及び第2試料由来のグリカンの第2糖プロファイルを測定するステップと;第1糖プロファイルと第2糖プロファイルにおける癌のグリコシル化マーカーのレベルを比較するステップとを含む。
[好ましい実施形態の詳細な説明]
本発明は、癌を診断及びモニタリングする方法、特に詳細なグリコシル化分析に基づいて癌を診断及びモニタリングする方法に関する。
本出願は、2005年4月26日に提出されたDwekらの米国特許仮出願第60/674724号明細書「自動化糖フィンガープリンティング戦略」及び2005年4月26日に提出されたDwekらの米国特許仮出願第60/674722号明細書「リウマチ性関節炎及びその他の自己免疫性疾患を診断及びモニタリングするためのハイスループットグリカン分析」を、それらの全体の参照により組み込んでいる。
特に規定しない限り、「a」又は「an」は「1つ又は複数」を意味する。
「糖プロファイル」又は「グリコシル化プロファイル」は、グリカンのプールに存在するグリカン構造(オリゴ糖)の提示を意味する。糖プロファイルは、例えばグリカンのプールに存在するグリカン構造に対応する複数のピークとして提示されうる。
「グリコシル化マーカー」は、癌又は癌状態を有すると診断された対象の試料と健康対照由来の試料との間のグリコシル化における特定の差を意味する。
本発明者らは、癌腫瘍細胞においてグリコシル化が1つでも少数でもなく多数の糖タンパク質について改変されていることがあるため、特異的糖タンパク質を単離も精製もせずに、全体液又は全身体組織の試料について詳細なグリコシル化分析を行うことにより、単離された糖タンパク質のグリコシル化分析と比べて増幅された、癌のグリコシル化マーカーが同定されるであろうと認識した。本発明者らは、1つ又は複数のエキソグリコシダーゼ酵素を用いて総糖タンパク質のグリカンを処理することは、グリコシル化マーカーを有さないグリカン構造を、測定された糖プロファイル領域から移動させることにより、癌のグリコシル化マーカーを分離させることができることもまた認識した。さらに、本発明者らは、グリコシル化マーカーが総グリカンプール中の1つを超えるグリカン構造に存在しうることを認識した。したがって、1つ又は複数のエキソグリコシダーゼ酵素を用いてグリカンを処理することは、マーカーオリゴ糖のいくつかに結合しているが、そのマーカーの不可欠な特徴ではない1つ又は複数の単糖を消化して離すことにより、グリコシル化マーカーを増幅することもまたできる。したがって、癌の1つ又は複数のグリコシル化マーカーを決定する方法及び癌を診断及びモニタリングする関連方法が提供される。
本発明の一実施形態は、癌の1つ又は複数のグリコシル化マーカーを決定する方法であり、その方法は、疾患試料及び対照試料を得るステップ(ここで、疾患試料は癌を有すると診断された患者由来の体液又は身体組織の試料であり、対照試料は健康対照由来の体液又は身体組織の試料である)と;疾患試料から総糖タンパク質の疾患グリカンプールを、及び対照試料から総糖タンパク質の対照グリカンプールを、疾患試料及び対照試料中の糖タンパク質を精製せずに放出させるステップと;クロマトグラフィー、質量分析、又はその組合せにより疾患グリカンプールの疾患糖プロファイル及び対照グリカンプールの対照糖プロファイルを測定するステップと;疾患糖プロファイルと対照糖プロファイルとを比較して、癌の1つ又は複数のグリコシル化マーカーを決定するステップとを含む。いくつかの実施形態では、疾患糖プロファイルと対照糖プロファイルとを比較するステップは、疾患糖プロファイルと対照糖プロファイルにおけるピーク比を比較するステップを含むことがある。いくつかの実施形態では、癌の1つ又は複数のグリコシル化マーカーを決定する方法は、さらに癌の1つ又は複数のグリコシル化マーカーから癌の最良のグリコシル化マーカーを選択するステップを含むことがあり、ここで、その最良のグリコシル化マーカーは、癌を有すると診断された対象の1つ又は複数のパラメーターと最高の相関を有する。癌を有すると診断された対象のパラメーターは、例えば診断、年齢、性別、癌の病期、治療に対する応答、病歴、又はその任意の組合せのことがある。いくつかの実施形態では、疾患糖プロファイルと対照糖プロファイルを比較するステップは、1つ又は複数のエキソグリコシダーゼ酵素を任意の組合せで用いた、疾患グリカンプール及び対照グリカンプールの消化後に実施することができる。例えば、疾患グリカンプール及び対照グリカンプールの消化は、逐次消化、又は1つ若しくは複数のエキソグリコシダーゼ酵素を含むアレイを用いたもののことがある。1つ又は複数のグリコシダーゼを任意の組合せで用いた疾患グリカンプール及び対照グリカンプールの消化は、癌のグリコシル化マーカーを増幅及び/又は分離するために使用することもできる。決定された、癌のグリコシル化マーカーは、クロマトグラフィー、質量分析、又はその組合せを使用した詳細なグリコシル化分析に基づいて対象における癌を診断、モニタリング、及び/又は予後判定するために使用することができる。決定されたグリコシル化マーカーは、癌の特異的バイオマーカーである1つ又は複数の糖タンパク質を、体液又は身体組織において単離するためにもまた使用することができる。決定されたグリコシル化マーカーは、癌のグリコシル化マーカーを決定するために使用された技法以外の分析技法を使用して、癌を診断、モニタリング、及び/又は予後判定するためにもまた使用することができる。これらのその他の分析技法は、例えばキャピラリー電気泳動又はレクチンクロマトグラフィーのことがある。
本発明の別の実施形態は、対象における癌を診断及びモニタリングする方法であり、その方法は、ヒトなどの対象の体液又は身体組織の試料を得るステップと;その試料から糖タンパク質のグリカンを、その糖タンパク質を精製せずに放出させるステップと;そのグリカンの糖プロファイルを測定するステップとを含む。診断及びモニタリングの方法は、さらに糖プロファイルにおける癌のグリコシル化マーカーのレベルから対象の臨床状態を決定するステップを含みうる。グリコシル化マーカーは、例えば上記方法により決定されたマーカーのことがある。グリコシル化マーカーが決定された場合には、任意の適切な技法により、すなわち必ずしもグリコシル化マーカーを決定するために使用された技法によらずに、糖プロファイルを測定するステップを実施することができる。例えば、糖プロファイルを測定するステップは、キャピラリー電気泳動又はレクチンクロマトグラフィーにより実施することができる。対象の臨床状態は、例えば、癌、前癌状態、良性状態、又は状態無しからなる群から選択することができる。臨床状態は、腫瘍、リンパ節、又は転移などの癌の特定の病期のことがある。臨床状態は、腫瘍、リンパ節、又は転移期の特定の下位病期のこともまたある。
本発明のなお別の実施形態は、癌に対する現存する治療剤の薬用量を最適化する方法であり、その方法は、癌患者に治療剤を投与する前に、その患者由来の体液又は身体組織の第1試料を得るステップと;その癌患者に治療剤を投与した後で、その患者から体液又は身体組織の第2試料を得るステップと;第1及び第2試料から糖タンパク質のグリカンを、その糖タンパク質を精製せずに放出させるステップと;第1試料由来のグリカンの第1糖プロファイル及び第2試料由来のグリカンの第2糖プロファイルを測定するステップと;第1糖プロファイルと第2糖プロファイル中の癌のグリコシル化マーカーのレベルを比較するステップとを含む。
本発明のなお別の実施形態は、癌を治療するための新しい治療法又は新しい治療剤を試験する方法であり、その方法は、癌患者に新しい治療法又は新しい治療剤を受けさせる前に、その患者由来の体液又は身体組織から第1試料を得るステップと;その癌患者に新しい治療法又は新しい治療剤を受けさせた後で、その患者由来の体液又は身体組織の第2試料を得るステップと;第1及び第2試料から糖タンパク質のグリカンを、その糖タンパク質を精製せずに放出させるステップと;第1試料由来のグリカンの第1糖プロファイル及び第2試料由来のグリカンの第2糖プロファイルを測定するステップと;第1糖プロファイルと第2糖プロファイル中の癌のグリコシル化マーカーのレベルを比較するステップとを含む。
本発明の方法は、前立腺癌、膵臓癌、乳癌、膀胱癌、腎臓癌、結腸癌、卵巣癌、肝細胞癌、胃癌、肺癌などの癌に適用することができる。
体液又は身体組織の試料は、例えば全血清、血漿、尿、精液、精漿、便、又は唾液の試料のことがある。使用される体液又は身体組織の特定の種類は、癌の種類に依存する。いくつかの実施形態では、体液又は身体組織の試料は腫瘍細胞から得ることができる。
グリカンの放出
グリカンは、全血清、血漿、尿、精液、精漿、便、又は唾液の試料などの、体液又は身体組織の試料から放出させることができる。放出されたグリカンは、N−グリカン又はO−グリカンのことがある。いくつかの実施形態では、体液又は身体組織の試料から糖タンパク質のグリカンプールを放出させるステップは、その糖タンパク質を精製せずに実施することができる。言い換えれば、放出されたグリカンは、1つ又は複数の精製及び単離された糖タンパク質のグリカンよりはむしろ、体液又は身体組織の試料中に存在する全て又は実質的に全ての糖タンパク質のグリカンである。いくつかの実施形態では、実質的に全ての糖タンパク質は、回収された糖タンパク質の全てを意味することがあり、さらにいくつかの実施形態では、実質的に全ての糖タンパク質は、特異的に除去された糖タンパク質以外の全ての糖タンパク質を意味することができる。グリカンを放出させるステップは、体液又は身体組織の試料にヒドラジン分解を受けさせずに実施することができる。いくつかの実施形態では、グリカンを放出させるステップは、非常に少量の体液から実施することができる。いくつかの実施形態では、体液試料は、100μl未満、なお好ましくは50μl未満、なおさらに好ましくは20μl未満、なおさらに好ましくは10μl未満、なお最も好ましくは5μl未満のことがある。この放出方法は、1μl未満の体液試料を用いて作業するために最適化することができる。
いくつかの実施形態では、グリカンを放出させるステップは溶液状態の体液又は身体組織の総糖タンパク質からグリカンを放出させるステップを含むことがある。なおいくつかの実施形態では、グリカンを放出させるステップは、例えばタンパク質結合性膜上又はゲル中に体液又は身体組織の総糖タンパク質を固定化するステップを含むことがある。タンパク質結合性膜は、任意のタンパク質結合性膜、例えばポリフッ化ビニリデン(PVDF)膜、ナイロン膜、又はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)膜でありうる。いくつかの実施形態では、グリカンを放出させるステップは、さらにタンパク質結合性膜上又はゲル中に固定化された総糖タンパク質からグリカンを放出させるステップを含むことがある。放出されたグリカンがN−結合グリカンである場合には、固定化糖タンパク質からグリカンを放出させるステップは、例えばペプチドN−グリコシダーゼFを用いた酵素的放出を使用して実施することができる。糖タンパク質がゲル中に固定化される場合には、グリカンを放出させるステップは、ゲルを複数のバンドに分離するステップと、その複数のバンドから1つ又は複数のバンドを選択し、そのバンドからグリカンを続いて放出させるステップとを含むことがある(ゲル内バンド(in gel band)法)。いくつかの実施形態では、ゲルからグリカンを放出させるステップは、総ゲルから、すなわちゲルをバンドに分離せずに実施することができる。いくつかの実施形態では、グリカンを放出させるステップは、β−脱離又はアンモニア性β−脱離などの化学放出法により実施され、この方法は、溶液中の糖タンパク質又はタンパク質結合性膜上に固定化された糖タンパク質からN−結合又はO−結合グリカンを放出させるために使用することができる。本発明の方法をハイスループット形式で使用するためには、より少量の体液又は身体組織試料の使用を可能にできることから、ゲル内又はタンパク質結合性膜上に固定化された総糖タンパク質からグリカンプールを放出させることが好ましいことがある。
放出方法並びにN−グリカン及びO−グリカン両方へのその適用性のいくつかの詳細を下に論じるが、本発明は下に論じる放出方法に限定されないことを了解すべきである。
ゲル内バンド:この方法は、ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS PAGE)ゲルのバンド中の単一糖ペプチドからのN−グリカン放出に使用することができ、その全体が参照により本明細書に組み込まれているKuster,B., Wheeler, S.F.,Hunter,A.P., Dwek,R.A. and Harvey, D.J.(1997)「Sequencing of N-linked oligosaccharides directly from protein gels: in-gel deglycosylation followed by matrix-assisted laser desorption/ionization mass spectrometry and normal-phase high-performance liquid chromatography」Anal-Biochem 250: 82〜101に記載されている方法に基づくものである。5×試料緩衝液(5×試料緩衝液:水2.875ml中にブロモフェノールブルー0.04g、HClを用いてpH6.6に調整した0.5M Tris(100mlに対して6g)0.625ml、10% SDS 1ml、グリセロール0.5ml)4μl、0.5Mジチオトレイトール(DTT)2μl、及び水を添加して合計20μlに合わせることにより、試料を還元及びアルキル化し、70℃で10分間インキュベートし、次に100mMヨードアセトアミドの添加によりアルキル化し、暗条件で室温で30分間インキュベートすることができる。次に、試料をSDS-PAGEゲル上で分離することができ、その後にクマシーブリリアントブルーを用いてタンパク質を染色し、関心対象のバンドを切り出し脱色する。続いて、ゲルのバンドを1mm3片に切り、2時間以上凍結させることができる(これはゲルマトリックスの崩壊を助けることができる)。次に、このゲルのバンドをアセトニトリル1ml、次に消化緩衝液(20mM NaHCO3、pH7)1mlを用いて交互に洗浄することができ、これを2回繰り返すことができ、それからゲルプラグを乾燥することができる。PNGアーゼF緩衝溶液(100U/mlを30μl)を添加する(これは10〜15mm3のゲルに十分である)が、より大きいゲルのバンドを使用することができるならば、より多量の酵素溶液を添加する。PNGアーゼF及びゲル片は、37℃で一晩インキュベートすることができる。上清は、3×200μlの(ゲル片と共にそれぞれ30分間超音波処理した)水洗浄、(ゲルを圧搾するための)アセトニトリル洗浄、別の水洗浄、及び最終アセトニトリル洗浄の後、回収することができる。試料は、例えば活性化AG-50(H+)50μlを使用して脱塩し、0.45μmのLH Milliporeフィルターを通して濾過し、蛍光標識のために乾燥してもよいし、しなくてもよい。
ゲル内ブロック:溶液相酵素的グリカン放出に続く試料の浄化に伴う問題を避けるために、タンパク質混合物からのゲル内ブロック放出を使用することができる。簡潔には、全タンパク質混合物(例えば血清又は血漿)を上記のゲル内オリゴ糖放出の場合のように還元及びアルキル化し、次にブロモフェノールブルーを有さない15% SDS-ゲル混合物にセットする。総体積185μlのゲルを100U/mlのPNGアーゼF300μlと共に使用することができる(最初48穴プレートにセットし、次に切断するために取り出す)。洗浄手順は、ゲル内バンド放出に使用するものと同様でありうる。自動グリカン放出には、溶液内PNGアーゼF放出よりもこの手順が適することがあり、ハイスループットグリカン分析の好ましい方法のことがある。96穴プレートにセットしたさらに少量のゲルを用いて作業するために、この系を容易にさらに変更することができる。
PVDF膜からのN−グリカンの酵素的放出
還元血清試料及び変性血清試料中の糖タンパク質は、単純な濾過により96穴プレート中の疎水性PVDF膜に付着させることができる。次に、試料を洗浄して混入物を除き、共にその全体が参照により本明細書に組み込まれているPapac, D.I.ら、Glycobiology 8: 445〜54、1998、及びCallewaert,N.ら、Electrophoresis 25:3128〜31、2004に記載されている方法に基づいて、PNGアーゼFと共にインキュベートしてグリカンを放出させることができる。次に、結合したタンパク質からN−グリカンを洗浄し、収集し、乾燥させて、蛍光標識の準備を整えることができる。N−グリカンはPNGアーゼFを用いたインキュベーションにより、及び化学的手段により、糖タンパク質からin situ放出させることができる。
N−グリカン及びO−グリカンの化学的放出
N−グリカンの酵素的放出がN−グリカン分析に与える利点とは対照的に、構造的に無傷のO−グリカンの放出のための酵素法は現在のところ存在しない。分解(ピーリング)を防止するために、還元性β−脱離による化学的放出は、放出されたオリゴ糖からそのアルジトール誘導体への同時還元を必要とすることがある(Amano, J.ら、Methods Enzymol 179: 261〜70、1989)。この還元は、いかなる放出後標識も妨げることから、検出は質量分析、パルスアンペロメトリック検出、及び/又は放射能に限定される。
アンモニア性β−脱離は、古典的β−脱離の変更によりN−グリカン及びO−グリカンの両方を放出させるために使用することができ(Huang,Y.ら、Analytical Chemistry 73: 6063〜6069、2001)、これは溶液中又はPVDF膜上の糖タンパク質に適用することができる。アンモニア性β−脱離はPVDF膜から行うことができる。この戦略は、ハイスループット用に最適化することができ、正確なモル比で、そして放出後標識に適切な開環形態でN−グリカン及びO−グリカンの両方を放出させるための有力なアプローチとなることができる。
アンモニア性β−脱離によるタンパク質結合性PVDF膜からのN−グリカン及びO−グリカンの放出
糖タンパク質、糖タンパク質混合物、全血清、又はその他の体液の試料は、5×試料緩衝液(5×試料緩衝液:水2.875ml中にHClを用いてpH6.6に調整した0.5Mトリス(100mlに対して6g)0.625ml、10% SDS 1ml、グリセロール0.5ml)、0.5Mジチオトレイトール(DTT)、及び水を添加して合計20μlに合わせることにより還元及びアルキル化し、70℃で10分間インキュベートし、次に100mMヨードアセトアミド2μlの添加によりアルキル化し、暗条件で室温で30分間インキュベートする。Swinnexフィルターホルダーに置いた(Millipore)タンパク質結合性PVDF膜(Durapore 13mm×0.45μm HVHP、Millipore)は、全てポリプロピレン製の2.5mlシリンジ(Sigma)を使用して水2.5ml×2回を用いて予備洗浄し、続いて空気を満たしたシリンジにより膜から大部分の液体を除去する。次に、還元及びアルキル化された試料を膜に直接適用し、5分間放置して結合させてから、シリンジを用いて徐々に水2.5ml×2回を押し出すことにより、続いて膜から大部分の液体を除去するために空気を満たしたシリンジにより、洗浄する。次に、結合した糖タンパク試料を有するフィルターをフィルターホルダーから注意深く取り出し、成形PTFEキャップを有する1.5mlスクリューキャップ付きポリプロピレン管に入れる。その管に炭酸アンモニウム飽和29.2%水性水酸化アンモニウム1ml及び炭酸アンモニウム100mgを加える。これを60℃で40時間インキュベートし、次に冷蔵庫で冷却する。次に、この液体をきれいな管に移し、乾燥するまで蒸発させる。放出されたグリカンを水に再溶解させ、大部分の塩が除去されるまで再乾燥させる。0.5Mホウ酸100μlをグリカンに加え、37℃で30分間インキュベートする。次に、このグリカンを真空下で乾燥させ、メタノール1mlを添加し、再乾燥させ、さらにメタノール1mlを加え、再乾燥させてホウ酸を除去する。
グリカンの定量分析
グリカンの標識
いくつかの実施形態では、グリカンは、放出されたときに、例えば蛍光標識又は放射性標識を用いて標識することができる。蛍光標識は、例えば2−アミノピリジン(2-AP)、2−アミノベンズアミド(2-AB)、2−アミノアントラニル酸(2-AA)、2−アミノアクリドン(AMAC)、又は8−アミノナフタレン−1,3,6−トリスルホン酸(ANTS)でありうる。蛍光標識を用いたグリカンの標識は、例えばその全体が参照により本明細書に組み込まれているBigge,J.Cら、「Nonselective and efficient fluorescent labeling of glycans using 2-amino benzamide and anthranilic acid」Anal Biochem 230:229〜38、1995及びその全体が参照により組み込まれているAnumula,K.R.(2000)「High-sensitivity and high-resolution methods for glycoprotein analysis」Analytical Biochemistry 283:17〜26に記載されている。蛍光標識は、全てのグリカンを効率的かつ非選択的に標識することができ、ピコモル下の範囲のグリカンの検出及び定量を可能にすることができる。蛍光標識の選択は使用する分離技法に依存する。例えば、荷電標識は特異的にキャピラリー電気泳動に必要である。特に、2-AB標識はクロマトグラフィー、酵素、及び質量分析のプロセス及び分析に好ましいことがあるが、2-AA標識は電気泳動分析に好ましいことがある。未標識のグリカンは、例えば質量分析によっても検出することができるが、蛍光標識がグリカンのイオン化を助けることがある。例えばHarvey, D.J.(1999)「Matrix-assisted laser desorption/ionization mass spectrometry of carbohydrates」Mass Spectrom Rev 18: 349〜450; Harvey,D.J.(2000)「Electrospray mass spectrometry and fragmentation of N-linked carbohydrates derivatized at the reducing terminus」J Am Soc Mass Spectrom 11: 900〜915を参照されたい。
放出されたグリカンの糖プロファイルの測定
グリカンの糖プロファイルは、グリカン中の特定のグリカン構造の提示を意味する。グリカンの糖プロファイルの測定は、クロマトグラフィー、質量分析、電気泳動、又はその組合せなどの定量分析技法により実施することができる。特に、クロマトグラフィー技法は高速陰イオン交換クロマトグラフィー(HPAEC)、弱イオン交換クロマトグラフィー(WAX)、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、順相高速液体クロマトグラフィー(NP-HPLC)、逆相HPLC(RP-HPLC)、又は多孔質グラファイトカーボンHPLC(PGC-HPLC)のことがある。質量分析技法は、例えばマトリックス介助レーザ脱離/イオン化飛行時間型質量分析(MALDI-TOF-MS)、エレクトロスプレーイオン化飛行時間型質量分析(ESI-TOF-MS)、正イオン若しくは負イオン質量分析、又は液体クロマトグラフィー質量分析(LC-MS)のことがある。電気泳動技法は、例えばゲル電気泳動又はキャピラリー電気泳動のことがある。グリカンを分析するためのこれらの定量分析技法の使用は、例えば以下の刊行物に記載されている:
1)Guile, G. R., Wong, S. Y. and Dwek, R. A. (1994). "Analytical and preparative separation of anionic oligosaccharides by weak anion-exchange high-performance liquid chromatography on an inert polymer column."Analytical Biochemistry 222: 231-5 (HPLCに関し、その全体が参照により本明細書に組み込まれている)
2)Butler, M., Quelhas, D., Critchley, A. J., Carehon, H., Hebestreit, H. F.,Hibbert, R. G., Vilarinho, L., Teles, E., Matthijs, G., Schollen, E., Argibay,P., Harvey, D. J., Dwek, R. A., Jaeken, J. and Rudd, P. M. (2003)."Detailed glycan analysis of serum glycoproteins of patients with congenital disorders of glycosylation indicates the specific defective glycan processing step and provides an insight into pathogenesis." Glycobiology 13: 601-22, (MALDI-MS、NP-HPLC、及びESI−液体クロマトグラフィー/MSに関し、その全体が参照により本明細書に組み込まれている);
3)Jackson, P., Pluskal, M. G. and Skea, W. (1994). "The use of polyacrylamide gel electrophoresis for the analysis of acidic glycans labeled with the fluorophore 2-aminoacridone." Electrophoresis 15: 896-902, for polyacrylamide gel electrophoresis (PAGE), ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)に関し、その全体が参照により本明細書に組み込まれている);
4)Hardy, M. R. and Townsend, R. R. (1994). "High-pH anion-exchange chromatography of glycoprotein-derived carbohydrates." Methods Enzymol230: 208-25., (パルスアンペロメトリック検出を使用したHPAECに関し、その全体が参照により本明細書に組み込まれている); 5) Callewaert, N.,Contreras, R., Mitnik-Gankin, L., Carey, L., Matsudaira, P. and Ehrlich, D.(2004). "Total serum protein N-glycome profiling on a capillary electrophoresis-microfluidics platform." Electrophoresis 25: 3128-31 (キャピラリー電気泳動に関し、その全体が参照により本明細書に組み込まれている);
6)Guile, G. R., Rudd, P. M., Wing, D. R., Prime, S. B. and Dwek, R. A. (1996)."A rapid high-resolution high-performance liquid chromatographic method for separating glycan mixtures and analyzing oligosaccharide profiles."Anal Biochem 240: 210-26, (HPLCに関し、その全体が参照により本明細書に組み込まれている);
7)Caesar, J. P., Jr., Sheeley, D. M. and Reinhold, V. N. (1990). "Femtomole oligosaccharide detection using a reducing-end derivative and chemical ionization mass spectrometry," Anal Biochem 191: 247-52, for LC-MS(LC-MSに関し、その全体が参照により本明細書に組み込まれている);
8)Mattu, T. S., Royle, L., Langridge, J., Wormald, M. R., Van den Steen, P. E.,Van Damme, J., Opdenakker, G., Harvey, D. J., Dwek, R. A. and Rudd, P. M.(2000). "0-glycan analysis of natural human neutrophil gelatinase B using a combination of normal phase-HPLC and online tandem mass spectrometry:implications for the domain organization of the enzyme." Biochemistry 39:15695-704, (NP-HPLC及びMSに関し、その全体が参照により本明細書に組み込まれている);
9)Royle, L., Mattu, T. S., Hart, E., Langridge, J. L, Merry; A. H., Murphy, N., Harvey, D. J., Dwek, R. A. and Rudd,P. M. (2002). "An analytical and structural database provides a strategy for sequencing O-glycans from microgram quantities of glycoproteins." Anal Biochem 304: 70-90, (NP-HPLC及びMSに関し、その全体が参照により本明細書に組み込まれている);
10)Anumula, K. R. and Du, P. (1999). "Characterization of carbohydrates using highly fluorescent 2- aminobenzoic acid tag following gel electrophoresis of glycoproteins." Anal Biochem 275: 236-42, (ゲル電気泳動に関し、その全体が参照により本明細書に組み込まれている);
11)Huang, Y. and Mechref, Y. (2001). "Microscale nonproductive release of 0-linked glycans for subsequent analysis through MALDI mass spectrometry and capillary electrophoresis." Analytical Chemistry 73: 6063-6069, (MALDI-MS及びキャピラリー電気泳動の組合せに関し、その全体が参照により本明細書に組み込まれている);
12)Burlingame, A. L. (1996). "Characterization of protein glycosylation by mass spectrometry." Curr Opin Biotechnol 7: 4-10, (質量分析に関し、その全体が参照により本明細書に組み込まれている);
13) Costello,C. E. (1999). "Bioanalytic applications of mass spectrometry." Curr Opin Biotechnol 10: 22-8, (質量分析に関し、その全体が参照により本明細書に組み込まれている);
14)Davies, M. J. and Hounsell, E. F. (1996). "Comparison of separation modes of high-performance liquid chromatography for the analysis of glycoprotein- and proteoglycan-derived oligosaccharides." J Chromatogr A 720: 227-33, (HPLCに関し、その全体が参照により本明細書に組み込まれている);
15)El Rassi, Z. (1999). "Recent developments in capillary electrophoresis and capillary electrochromatography of carbohydrate species." Electrophoresis 20: 3134-44, (キャピラリー電気泳動及びキャピラリー電気クロマトグラフィーに関し、その全体が参照により本明細書に組み込まれている);
16)Kuster, B., 'Wheeler, S. F., Hunter, A. P., Dwek, R. A. and Harvey, D. J.(1997). "Sequencing of N-linked oligosaccharides directly from protein gels: in-gel deglycosylation followed by matrix-assisted laser desorption/ionization mass spectrometry and, normal-phase high-performance liquid chromatography." Anal-Biochem 250: 82-101, (NP-HPLC及びMALDI-MSに関し、その全体が参照により本明細書に組み込まれている);
17)Reinhold, V. N,, Reinhold, B. B. and Chan, S. (1996). "Carbohydrate sequence analysis by electrospray ionization-mass spectrometry." Methods Enzymol 271: 377-402, (ESI-MSに関し、その全体が参照により本明細書に組み込まれている);
18)Mattu, T. S., Pleass, R. J., Willis, A. C., Kilian, M., Wounald, M. R.,Lellouch, A. C., Rudd, P. M., Woof, J. M. and Dwek, R. A. (1998). "The glycosylation and structure of human serum IgAl, Fab, and Fc regions and the role of N-glycosylation on Fe alpha receptor interactions." Journal of Biological Chemistry 273: 2260-72, (WAX及びNP-HPLCに関し、その全体が参照により本明細書に組み込まれている).
19)Callewaert, N., Schollen, E., Vanhecke, A., Jaeken, J., Matthijs, G., and Contreras, R. (2003). Increased fucosylation and reduced branching of serum glycoprotein N-glycans in all known subtypes of congenital disorder of glycosylation I. Glycobiology 13: 367-375(その全体が参照により本明細書に組み込まれている).
20)Block, T.M. Comunale, M.A., Lowman, M., Steel, L.F., Romano, P.R., Fimmel, C.,Tennant, B.C. London, A.A. Evans, B.S. Blumberg, R.A. Dwek, T.S. Mattu and A.S. Mehta, "Use of targeted glycoproteomics to identify serum glycoproteins that correlate with liver cancer in woodchucks and humans." PNAS USA(2005) 102, 779-784(その全体が参照により本明細書に組み込まれている).
21)D. J. Harvey, Fragmentation of negative ions from carbohydrates: Part 1; Use of nitrate and other anionic adducts for the production of negative ion electrospray spectra from N-linked carbohydrates, J. Am. soc. Mass Spectrom.,2005, 16, 622-630, (その全体が参照により本明細書に組み込まれている).
22)D. J. Harvey, Fragmentation of negative ions from carbohydrates: Part 2, Fragmentation of high-mannose N-linked glycans, J. Am. Soc. Mass Spectrom.,2005, 16, 631-646, (その全体が参照により本明細書に組み込まれている);
23)D. J Harvey, Fragmentation of negative ions from carbohydrates: Part 3, Fragmentation of hybrid and complex N-linked glycans, J. Am. Soc. Mass Spectrom., 2005, 16, 647-659, (その全体が参照により本明細書に組み込まれている).
糖プロファイルの測定に多数の技法を使用することができるが、いくつかの実施形態では、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)(例えば順相)を単独で、又は質量分析と組み合わせることにより糖プロファイルを測定することが好ましいことがある。HPLCで測定された糖プロファイルは、グリカンプールに存在する全てのグリカン構造を正確なモル比で追跡することができる。HPLCの固定相の極性官能基は、特定の方式で結合した特定の単糖について再現的な方法で、グリカンのヒドロキシル基と相互作用することができる。例えば、外側アームのフコース付加の寄与はコアフコース残基の付加よりもずっと大きく、コアフコース残基は常に全溶離位置に0.5グルコース単位(gu)貢献する。異なる単糖付加に関連する特徴的な増分値は、糖プロファイルに存在する特定のピークに予測された構造を割り付けさせることができる。次に、エキソグリコシダーゼアレイを用いた消化及び/又は質量分析によりこの構造を確認することができる。キャピラリー電気泳動などのその他の技法は、HPLCほど予測することができない。CE泳動時間は標準を用いて較正することができるが、未知構造の泳動時間を予測することはできない。HPLCによる糖プロファイルの測定は、以下の理由からも好ましいことがある。1つ又は複数のエキソグリコシダーゼを用いたグリカンプールの消化は、単糖残基を除去するため、HPLCにより測定された糖プロファイルにおける保持時間又は関連するgu値は減少する。いくつかの実施形態では、これは、糖プロファイルの測定された領域からグリコシル化変化に関係しないピークを離すことにより、1つ又は複数のグリコシル化マーカーに関連するピークを分離することができることがある。
いくつかの実施形態では、糖プロファイルはグリカンにおけるグリカン構造に対応する複数のピークとして提示することができる。グリコシル化マーカーを決定する方法では、ピーク比は、任意の1つ又は複数のピークと、同じグリコシル化プロファイル内の他の任意の1つ又は複数のピークとの間の比を意味する。グリコシル化マーカーを決定する方法において、ピーク比を比較するステップは、ピーク強度を比較するステップ又はピーク下の積分面積を比較するステップを意味する。グリコシル化マーカーを決定する方法のいくつかの実施形態では、ピーク比を比較するステップは、エキソグリコシダーゼを用いて消化されなかった疾患試料及び対照試料のグリカンについて実施することができる。いくつかの実施形態では、ピーク比を比較するステップは、エキソグリコシダーゼを用いて消化されたグリカンに関して実施することができる。いくつかの実施形態では、ピーク比を比較するステップは、エキソグリコシダーゼを用いて消化されなかったグリカンについて、及びエキソグリコシダーゼを用いて消化されたグリカンについて実施することができる。
上記方法を用いてグリカンの糖プロファイルを測定することは、サブピコモルレベルでグリカン中に存在する特定のグリカン構造の検出を可能にすることができる。したがって、いくつかの実施形態では、グリカンの糖プロファイルを測定するステップは、1ピコモル、好ましくは0.1ピコモル、なおさらに好ましくは0.01ピコモルの量でグリカン中に存在するグリカン構造を検出することができる技法を使用して実施される。
グリカンの糖プロファイルを測定するステップは、グリカンのグリカン構造のデータベースを構築するステップを含むことがある。このデータベースのパラメーターは、例えばグリカン構造と共に以下のもののことがある:(HPLCデータからの)溶出時間;(MSデータからの)質量及び組成;エキソグリコシダーゼ酵素を用いた処理後に実験的に決定及び/又は予測されたグリカン構造、溶出時間、質量、及び組成;MSのフラグメンテーション後に実験的に決定及び/又は予測されたグリカン構造、溶出時間、質量、及び組成。このデータベースは、例えばグリカン構造の予備的及び最終的な割り付けを行うことができ、さらに予備的割り付けを確認するために適切なエキソグリコシダーゼアレイを推奨することができる。糖プロファイルの測定へのデータベースの使用は、以下の参考文献に記載されている:
1)Mattu, T. S., Royle, L., Langridge, J., Wormald, M. R., Van den Steen, P. E.,Van Damme, J., Opdenakker, G., Harvey, D. H., Dwek, R. A. and Rudd, P. M.(2000). "The O-glycan analysis of natural human neutrophil gelatinase Busing a novel strategy combining normal phase- HPLC and on-line tandem mass spectrometry: implications for the domain organization of the enzyme."Biochemistry 39: 15695-704.," (その全体が参照により本明細書に組み込まれている)
2)Royle, L., Mattu, T. S., Hart, E., Langridge, J. I., Merry, A. H., Murphy, N.,Harvey, D. J., Dwek, R. A. and Rudd, P. M. (2002). "An analytical and structural database provides a strategy for sequencing 0-glycans from microgram quantities of glycoproteins."Anal Biochem 304: 70-90, (その全体が参照により本明細書に組み込まれている);
3)Butler, M., Quelhas, D., Critchley, A. J,, Carchon, H., Hebestreit, H, F.,Hibbert, R. G., Vilarinho, L., Teles, E., Matthijs, G., Schollen, E., Argibay,P., Harvey, D. J., Dwek, R. A., Jaeken, J. and Rudd, P. M. (2003)."Detailed glycan analysis of serum glycoproteins of patients with congenital disorders of glycosylation indicates the specific defective glycan processing step and provides an insight into pathogenesis." Glycobiology13: 601-22, (その全体が参照により本明細書に組み込まれている)
4)Peracaula, R., Royle, L., Tabares, G., Mallorqui-Fernandez, G., Barrabes, S., Harvey, D. J., Dwek, R. A., Rudd, P.M. and de Llorens, R. (2003). "Glycosylation of human pancreatic ribonuclease: differences between normal and tumor states." Glycobiology 13: 227-44, (その全体が参照により本明細書に組み込まれている);
5)Peracaula, R., Tabares, G., Royle, L., Harvey, D. J., Dwek, R. A., Rudd, P. M.and de Llorens, R. (2003). "Altered glycosylation pattern allows the distinction between prostate-specific antigen (PSA) from normal and tumor origins."Glycobiology 13: 457-70.
グリコシル化マーカーを増幅/分離するためのエキソグリコシダーゼ消化
いくつかの実施形態では、放出されたグリカンは、1つ又は複数の酵素を用いたさらなる酵素消化に供することができる。酵素消化は、グリコシダーゼなどの任意の適切な酵素を使用して行うことができる。適切なグリコシダーゼの例には、N−グリコシダーゼF(PNGアーゼF)、シアリダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、フコシダーゼα1−6,2>>3,4、α1−3,4フコシダーゼ、α1−2フコシダーゼ、α−アミラーゼ、β−アミラーゼ、グルカン1,4−α−グルコシダーゼ、セルラーゼ、エンド−1,3(4)−β−グルカナーゼ、イヌリナーゼ、エンド−1,4−β−キシラナーゼ、オリゴ糖α−1,6−グルコシダーゼ、デキストラナーゼ、キチナーゼ、ポリガラクツロナーゼ、リゾチーム、エキソ−α−シアリダーゼ、α−グルコシダーゼ、β−グルコシダーゼ、α−ガラクトシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、α−マンノシダーゼ、β−マンノシダーゼ、β−フルクトフラノシダーゼ、α,α−トレハラーゼ、β−グルクロニダーゼ、キシランエンド−1,3−β−キシロシダーゼ、アミロ−α−1,6−グルコシダーゼ、ヒアルロノグルコサミニダーゼ、ヒアルロノグルクロニダーゼ、キシラン1,4−β−キシロシダーゼ、β−D−フコシダーゼ、グルカンエンド−1,3−β−D−グルコシダーゼ、α−L−ラムノシダーゼ、プルラナーゼ、GDP−グルコシダーゼ、β−L−ラムノシダーゼ、フコイダナーゼ、グルコシルセラミダーゼ、ガラクトシルセラミダーゼ、ガラクトシルガラクトシルグルコシルセラミダーゼ、スクロースα−グルコシダーゼ、α−N−アセチルガラクトサミニダーゼ、α−N−アセチルグルコサミニダーゼ、α−L−フコシダーゼ、β−N−アセチルヘキソサミニダーゼ、β−N−アセチルガラクトサミニダーゼ、シクロマルトデキストリナーゼ、α−L−アラビノフラノシダーゼ、グルクロノシル−ジスルホグルコサミングルクロニダーゼ、イソプルラナーゼ、グルカン1,3−β−グルコシダーゼ、グルカンエンド−1,3−α−グルコシダーゼ、グルカン1,4−α−マルトテトラヒドロラーゼ、ミコデキストラナーゼ、グリコシルセラミダーゼ、1,2−α−L−フコシダーゼ、2,6−β−フルクタン6−レバンビオヒドロラーゼ、レバナーゼ、クエルシトリナーゼ、ガラクツラン1,4−α−ガラクツロニダーゼ、イソアミラーゼ、グルカン1,6−α−グルコシダーゼ、グルカンエンド−1,2−β−グルコシダーゼ、キシラン1,3−β−キシロシダーゼ、リケニナーゼ、グルカン1,4−β−グルコシダーゼ、グルカンエンド−1,6−β−グルコシダーゼ、L−イズロニダーゼ、マンナン1,2−(1,3)−α−マンノシダーゼ、マンナンエンド−1,4−β−マンノシダーゼ、フルクタンβ−フルクトシダーゼ、アガラーゼ、エキソ−ポリ−α−ガラクツロノシダーゼ、κ−カラギナーゼ、グルカン1,3−α−グルコシダーゼ、6−ホスホ−β−ガラクトシダーゼ、6−ホスホ−β−グルコシダーゼ、莢膜多糖エンド−1,3−α−ガラクトシダーゼ、β−L−アラビノシダーゼ、アラビノガラクタンエンド−1,4−β−ガラクトシダーゼ、セルロース1,4−β−セロビオシダーゼ、ペプチドグリカンβ−N−アセチルムラミダーゼ、α,α−ホスホトレハラーゼ、グルカン1,6−α−イソマルトシダーゼ、デキストラン1,6−α−イソマルトトリオシダーゼ、マンノシル−糖タンパク質エンド−β−N−アセチルグルコサミダーゼ、糖ペプチドα−N−アセチルガラクトサミニダーゼ、グルカン1,4−α−マルトヘキサオシダーゼ(maltohexaosidase)、アラビナンエンド−1,5−α−L−アラビノシダーゼ、マンナン1,4−β−マンノビオシダーゼ、マンナンエンド−1,6−β−マンノシダーゼ、血液型物質エンド−1,4−β−ガラクトシダーゼ、ケラタン硫酸エンド−1,4−β−ガラクトシダーゼ、ステリル−β−グルコシダーゼ、ストリクトシジンβ−グルコシダーゼ、マンノシル−オリゴ糖グルコシダーゼ、タンパク質−グルコシルガラクトシルヒドロキシリシングルコシダーゼ、ラクターゼ、エンドガラクトサミニダーゼ、ムチンアミニルセリンムチナミニダーゼ(mucinaminylserine mucinaminidase)、1,3−α−L−フコシダーゼ、2−デオキシグルコシダーゼ、マンノシル−オリゴ糖1,2−α−マンノシダーゼ、マンノシル−オリゴ糖1,3−1,6−α−マンノシダーゼ、分岐デキストランエキソ−1,2−α−グルコシダーゼ、グルカン1,4−α−マルトトリオヒドロラーゼ、アミグダリンβ−グルコシダーゼ、プルナシンβ−グルコシダーゼ、ビシアニンβ−グルコシダーゼ、オリゴキシログルカンβ−グリコシダーゼ、ポリマンヌロン酸ヒドロラーゼ、マルトース−6’−リン酸グルコシダーゼ、エンドグリコシルセラミダーゼ、3−デオキシ−2−オクツロソニダーゼ(octulosonidase)、ラウカフリシン(raucaffricine)β−グルコシダーゼ、コニフェリンβ−グルコシダーゼ、1,6−α−L−フコシダーゼ、グリチルリチン酸β−グルクロニダーゼ、エンド−α−シアリダーゼ、糖タンパク質エンド−α−1,2−マンノシダーゼ、キシランα−1,2−グルクロノシダーゼ、キトサナーゼ、グルカン1,4−α−マルトヒドロラーゼ、ジフルクトース無水物シンターゼ、ネオプルラナーゼ、グルクロノアラビノキシランエンド−1,4−β−キシラナーゼ、マンナンエキソ−1,2−1,6−α−マンノシダーゼ、無水シアリダーゼ、α−グルコシドゥロナーゼ、ラクト−N−ビオシダーゼ、4−α−D−{(1→4)−α−D−グルカノ}トレハローストレハロヒドロラーゼ、限界デキストリナーゼ、ポリ(ADP−リボース)グリコヒドロラーゼ、3−デオキシオクツロソナーゼ(deoxyoctulosonase)、ガラクタン1,3−β−ガラクトシダーゼ、β−ガラクトフラノシダーゼ、チオグルコシダーゼ、リボシルホモシステイナーゼ、β−プリメベロシダーゼがあるが、それに限定されるわけではない。
最も好ましくは、酵素消化は、表1に挙げる1つ又は複数のエキソグリコシダーゼを用いて実施される。
Figure 2008539412
いくつかの実施形態では、酵素消化は逐次的のことがあるため、全ての単糖が一度に除去されるわけではない。消化されたグリカンは、各消化ステップの後で分析して、グリコシル化プロファイルを得ることができる。いくつかの実施形態では、酵素消化は、1つ又は複数のエキソグリコシダーゼを含むアレイを用いた消化のことがある。アレイを用いた消化は、グリカンプールに関して1回の消化に一団のエキソグリコシダーゼを一緒に使用することを意味する。各エキソグリコシダーゼ酵素は、確定した結合で結合した特異的な末端単糖を除去する。
任意の組合せで使用することができる1つ又は複数のエキソグリコシダーゼを用いたグリカンプールの消化は、2つの理由から重要である。まず、1つ又は複数のエキソグリコシダーゼを用いた消化は、マーカーを有さないグリカンを糖プロファイルの測定された領域から移動させることにより、グリコシル化マーカーを分離することができる。次に、1つ又は複数のエキソグリコシダーゼを用いた消化を使用して、マーカーオリゴ糖のいくつかに結合しているが、そのマーカーの必須の特徴ではない単糖を消化して除くことによりそのマーカーを増幅することができる。例えば、必須の部分がLeXエピトープからなるグリコシル化マーカーが、1つを超えるグリカン構造に存在してもよく、例えば、そのマーカーはコアフコースを有するオリゴ糖Aとコアフコースを有さないオリゴ糖Bとの両方に存在することがある。コアフコースを消化して除くことにより、構造A及びBは合併するため、グリコシル化マーカーに関連するシグナルが増幅する。
糖タンパク質を同定及び単離するための癌のグリコシル化マーカーの使用
いくつかの実施形態では、癌の決定されたグリコシル化マーカーは、1つ又は複数の糖タンパク質バイオマーカーを、すなわち特定の種類の癌に特異的な糖タンパク質を同定及び単離するために使用することができる。疾患の糖タンパク質バイオマーカーは、癌のグリコシル化マーカーを有する。癌の糖タンパク質バイオマーカーの単離は、レクチン又はモノクローナル抗体を使用して実施することができる。例えばレクチンは、「Use of targeted glycoproteomics to identify serum glycoproteins that correlate with liver cancer in woodchucks and humans」T.M.Block, A.Comunale, M.Lowman, L.F. Steel, P.R. Romano, C.Fimmel, B.C.Tennant, W.T.London, A.A.Evans, B.S.Blumberg, R.A.Dwek, T.S.Mattu, and A.S.Mehta(2005)Proc. Natl. Acad. Sci. USA、102、779〜784では、肝臓癌に関連するB型肝炎の糖タンパク質マーカーであるgp73を単離するために使用された。
癌を診断及びモニタリングする方法は、以下の実施例によりさらに詳細に例示することができるが、本発明はそれに限定されないことを了解すべきである。
[実施例1.乳癌]
乳癌は、1年に世界中で百万人の新しい症例が診断される、女性における癌の主な死亡原因である。例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれているMazor,Y., Keydar, I. and Benhar, I, Mol Immunol.2005年1月;42(1):55〜69を参照されたい。H23抗MUC1モノクローナル抗体のヒト化及びエピトープマッピングは、二重のエピトープ特異性を明らかにする。現在実用されている血清マーカーパネルは、CEA(癌胎児性抗原)と共に主にCA15-3及び/又はCA27.29から構成される。例えば、共に参照により本明細書に組み込まれているDuffy, M.J.(1999)「CA15.3 and related mucins as circulating markers in breast cancer」Ann.Clin. Biochem.、36、579〜586;Perkins,G.L.、Slater, E.D.、Sanders,G.K. and Prichard, J.G.(2003)「Serum tumor markers」American Family Physician、68、1075〜1082を参照されたい。CA15-3及びCA27.29は共にMUC1に対するものである。Klee, G.G. and Schreiber, W.E.(2004)「MUC1gene−derived glycoprotein assays for monitoring breast cancer(CA15-3),CA27.29, BR):Are They Measuring the Same Antigen?」Arch.Pathol. Lab. Med., 128、1131〜1135を参照されたい。MUC1は乳癌において過剰発現され異所性にグリコシル化されている。Taylor-Papadimitriou, J.、Burchell,J.、Miles, D.W. and Dalziel, M.(1999)「MUC1 and cancer」Biochem. Biophys. Acta. 1455、301〜313を参照されたい。
乳癌患者及び健康対照の全血清から放出されたグリカンのグリコシル化プロファイルの分析
対照及び乳癌患者の全血清から放出されたグリカンのグリコシル化プロファイルを、この2群を区別する潜在的なグリコシル化マーカーを検出するために比較した。それに加えて、唯1人の乳癌患者由来であるが、2つの異なる悪性期の総血清グリカングリコシル化を分析し、検出されたマーカーを乳癌の進行度と相関させた。
乳癌患者由来の血清試料は、1人のドナー(LD)から、乳房切除の前後にそのドナーの同意を受けて得た。健康対照の血清は血液バンクのプール血清から得た。
単純な濾過により、還元及び変性した血清試料中の糖タンパク質を96穴プレート中の疎水性PVDF膜(Multiscreen_IP、0.45μm疎水性高ポリフッ化ビニリデン(PVDF)膜、Millipore、ベッドフォード、マサチューセッツ州、米国)に付着させた。次に、試料を洗浄して混入物を除き、共にその全体が参照により本明細書に組み込まれているPapac, D.I.ら、Glycobiology 8:445〜54、1998及びCallewaert,N.ら、Electrophoresis 25:3128〜31、2004に記載されている方法に基づいて、PNGアーゼFと共にインキュベートしてグリカンを放出させた。次に、結合したタンパク質からN−グリカンを洗い取り、収集し、乾燥させて、蛍光標識の準備を整えた。その全体が参照により本明細書に組み込まれているBigge, J.C, Patel, T.P.,Bruce, J.A., Goulding, P.N., Charles, S.M. and Parekh, R.B.(1995)Nonselective and efficient fluorescent labeling of glycans using 2-amino benzamide and anthranilic acid」Analytical Biochemistry 230: 229〜238に記載されているように、市販のキット(例えばLudger Ltd、オックスフォード、英国)を使用して、又は使用せずに、放出されたグリカンを、2−アミノベンズアミド(2-AB)蛍光標識を用いて標識し、その全体が参照により本明細書に組み込まれているGuile, G.R, 、Rudd,P.M, Wing, D.R., Prime, S.B. and Dwek, R.A.(1996)「A rapid high-resolution high-performance liquid chromatographic method for separating glycan mixtures and analyzing oligosaccharide profiles」Analytical Biochemistry 240: 210〜226に記載されているように、Waters 2475 蛍光検出器(Waters、ミルフォード、マサチューセッツ州、米国)を備えるWaters 2695 分離モジュールを使用して、順相高速液体クロマトグラフィー(NP-HPLC)により4.6×250 mm TSK Amide-80 カラム(Anachem、ルートン、英国)に流した。NP-HPLC分析の前に、続いて一連のエキソグリコシダーゼを用いてグリカンを消化した。
図1Aは、健康対照及び乳癌患者の血清から放出された未消化グリカンのグリコシル化プロファイルを示す。乳癌患者の試料1は手術前に採取され、試料2は肝臓転移の手術後に採取される。乳癌試料からの両グリコシル化プロファイルは、対照試料からのグリコシル化プロファイルに比べて10.5グルコースユニット(GU)にピークの増加を示している(図1A)。シアリダーゼ、β1−3,4,6ガラクトシダーゼ及びα1−2結合特異的フコシダーゼを用いた消化後二10.5GUのピークは7.5GUに移動し、対照に比べて患者の試料の方が高い率を有する(図1B)。次に、対照及び患者の試料においてシアリアーゼ、β1−4ガラクトシダーゼ(β1−3,4,6ガラクトシダーゼの代わり)、及びα1−3/4結合特異的フコシダーゼの組合せにより、GU7.5のピークは完全に消化される。これは、外側アームのα1−3/4フコシル化の存在を示している。これは、この癌にルイスXエピトープの量が増加していることを実証している(図1C)。手術後に、マーカーは3.9%から3.3%に減少した。これは、予後不良のおそれがあることを示唆している。
結論:乳癌患者の全血清から放出されたグリカンと健康対照の全血清から放出されたグリカンのグリコシル化プロファイルを比較することにより、乳癌のグリコシル化マーカーを同定した。エキソグリコシダーゼを用いた消化は、乳癌のグリコシル化マーカーを増幅/分離させる。グリコシル化マーカーは疾患状態では上昇する。
[実施例2.膵臓癌]
膵臓癌は、毎年約3万人の死者を出している、米国における癌の死亡原因の5位である。ほぼ等しい数の膵臓癌の新しい症例が毎年診断され、それは10万人あたり約9例の新しい症例にあたる。治療の選択肢は進んだが、膵臓癌は高い死亡率が証明するように依然として治療が非常に困難である。具体的には、膵臓癌患者の1年生存率は19%であり、5年生存率は4%である。この高い死亡率は、約80%の膵臓癌が診断時にすでに転移しているという事実が一部の原因である。Yeoら、CURRENT PROBLEMS IN CANCER 26(4):(2002)を参照されたい。
多様な血清腫瘍マーカー、特にルイス血液型関連ムチンであるCA19-9がこの種類の腫瘍形成の診断及びモニタリングに提案されているが、それらの適用は実験的なままである。その全体が参照により本明細書に組み込まれているLillemoe, K.D.、Yeo,C.J. and Cameron, J.L.(2000)「Pancreatic cancer: state-of-the art care」Cancer J. Clin., 50、241〜268を参照されたい。
膵臓癌において、細胞表面糖タンパク質及び分泌された膵臓リボヌクレアーゼ(RNアーゼ1)は両方とも異所性にグリコシル化される。例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれているPeracaula R, Royle L, Tabares G, Mallorqui-Fernandez G, Barrabes S, Harvey D, Dwek RA, Rudd,PM, de Llorens R.(2003)「Glycosylation of human pancreatic ribonuclease:differences between normal andtumour states」Glycobiology、13、227〜244を参照されたい。特に、最も特有の特徴の1つは、樹立された腺癌膵臓細胞系であるCapan-1及びMDAPanc-3由来RNアーゼ1グリカンが、健常な膵臓由来RNアーゼ1には全く存在しなかったシアリル化構造を含有したことであった。これらの差は、糖質抗原に対するモノクローナル抗体を使用してはっきりと検出された別個のエピトープをもたらす。ルイスyに対するモノクローナル抗体は、正常な膵臓RNアーゼ1とのみ反応したが、対照的にシアリル−ルイスx及びシアリル−ルイスaに対するモノクローナル抗体は、腫瘍細胞から分泌されたRNアーゼ1とのみ反応した。
膵臓癌患者及び対応する健康対照の全血清から放出されたグリカンの分析
この実験では、対照と膵臓癌患者の全血清から放出されたグリカンのグリコシル化プロファイルを比較して、この2群を区別している潜在的グリコシル化マーカーを検出した。
膵臓癌患者由来の血清試料は、腫瘍性の癌、高クレアチニンレベル、及び血管の見せかけを有する患者から入手した。健康対照の血清試料は、従業員の慣例的な健康スクリーニングを受けている個人からの廃棄された臨床材料として得た。
単純な濾過により、還元及び変性した血清試料中の糖タンパク質を96穴プレート中の疎水性PVDF膜(Multiscreen_IP、0.45μm疎水性高ポリフッ化ビニリデン(PVDF)膜、Millipore、ベッドフォード、マサチューセッツ州、米国)に付着させた。次に、試料を洗浄して混入物を除き、共にその全体が参照により本明細書に組み込まれているPapac, D.I.ら、Glycobiology 8:445〜54、1998及びCallewaert,N.ら、Electrophoresis 25:3128〜31、2004に記載されている方法に基づいて、PNGアーゼFと共にインキュベートしてグリカンを放出させた。次に、結合したタンパク質からN−グリカンを洗い出し、収集し、乾燥させて、蛍光標識の準備を整えた。
その全体が参照により本明細書に組み込まれているBigge, J.C., Patel, T.P., Bruce,J.A.,Goulding, P.N., Charles, S.M. and Parekh, R.B.(1995)「Nonselective and efficient fluorescent labeling of glycans using 2-amino benzamide and anthranilic acid」Analytical Biochemistry 230:229〜238に記載されているように、市販のキット(例えばLudger Ltd、オックスフォード、英国からのもの)を用いて、又は用いずに、放出されたグリカンを、2−アミノベンズアミド(2-AB)蛍光標識を用いて標識し、その全体が参照により本明細書に組み込まれているGuile, G. R., Rudd, P.M.,Wing, D.R., Prime, S.B. and Dwek, R.A.(1996)「A rapid high-resolution high-performance liquid chromatographic method for separating glycan mixtures and analyzing oligosaccharide profiles」Analytical Biochemistry 240:210〜226に記載されているように、Waters 2475蛍光検出器(Waters、ミルフォード、マサチューセッツ州、米国)を備えるWaters 2695分離モジュールを使用した順相高速液体クロマトグラフィー(NP-HPLC)により、4.6×250mm TSK Amide-80カラム(Anachem、ルートン、英国)に流した。NP-HPLC分析の前に、続いて一連のエキソグリコシダーゼを用いてグリカンを消化した。結果として生じたグリコシル化プロファイルを図2に示す。特に、図2の左欄は、シアリダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、及びα1−6,2>>3,4のアーム特異性を有するフコシダーゼを用いて消化されたグリカンのグリコシル化プロファイルを示している。膵臓癌試料からのグリコシル化プロファイルは、対照試料に存在しない追加のピークを有する。このグリカンをさらにα1-3,4フコシダーゼを用いた消化に供した。この消化の結果を図2に右欄に示す。α1-3,4フコシダーゼを用いた消化は、対照試料ではなく、膵臓癌試料に以前に存在した追加的なピークを除去することから、膵臓癌患者の全血清から放出されたグリカンについて外側アームα1-3,4フコシル化の増加があることを実証している。
結論:膵臓癌患者の全血清から放出されたグリカンと健康対照の全血清から放出されたグリカンのグリコシル化プロファイルを比較することにより、膵臓癌のグリコシル化マーカーを同定した。膵臓癌のグリコシル化マーカーは、エキソグリコシダーゼのアレイを用いた消化により増幅/分離することができる。
[実施例3.前立腺癌]
前立腺癌は欧米諸国の男性に最もよくみられる癌であり、癌の死亡原因の2位である。実際に、前立腺癌は米国における男性全体についての死亡原因の6位である。2005年に232,090人の新しい前立癌症例が診断され、30,350人の死亡が前立腺癌によるものと推定されている。男性6人中1人は前立腺癌を有すると診断され、男性33人中1人がこの疾患が原因で死亡するであろう。
他の種類の癌と同様に、前立腺癌はどれほど癌が進行したかに基づき分類される。いくつかの尺度が存在するが、TNM(腫瘍、リンパ節、及び転移)尺度は医学文献に一般に参照されている標準的な尺度である。T1期では、腫瘍はスキャンで見ることができず、診察時に触ることもできない。これらの腫瘍は、典型的には異常なPSA検査の後で針生検を使用して検出され、これについて下記にさらに詳細に論じる。T2期では、腫瘍は見ることができるか、又は触ることができるが、前立腺内に留まっている。T3期の腫瘍は前立腺の被膜を破り貫き、T4期の腫瘍は、直腸又は膀胱などの他の身体器官に拡大している。N期は次のような類似の腫瘍拡大の分類に従う:(a)N0−いずれのリンパ節にも癌細胞はみられない;(b)N1−直径2cm未満の1個の陽性リンパ節;(c)N2−直径2から5cmの1個を超える陽性リンパ節又は腫瘍;及び(d)N3-直径5cmを超える任意の陽性リンパ節。最終的に、癌が骨盤外側に拡大していないならばM0であり、癌が骨盤外側に拡大しているならばM1である。
前立腺病態において血清中に見いだされる、前立腺細胞により分泌される糖タンパク質である前立腺特異抗原(PSA)は、前立腺癌の診断のために現在使用されている腫瘍マーカーである。例えば、参照により本明細書に組み込まれているDiamandis E.(1998)「Prostate-Specific antigen: Its Uselfulness in Clinical Medicine」TEM、9、310〜316を参照されたい。しかし、良性前立腺肥大(BPH)のような他の前立腺病態も血清PSAの上昇を示すことがあることから、PSAは前立腺癌を特定する診断にまだ十分ではない。異なるアプローチがこの状態を改善するために試されたが、今までのところ限られた成功しか収めていない。例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれているBrawer MK.(1999)「Prostate-specificantigen: current status」CA Cancer J Clin、49、264〜281を参照されたい。
精漿由来精製PSAと、腫瘍性前立腺細胞系LNCaPにより分泌された場合の精製PSAとの間で、グリコシル化が異なることが見いだされた。例えばPeracaula R、Tabares G、Royle L、Harvey DJ、Dwek RA、Rudd,PM、de Llorens R.(2003)「Altered glycosylation pattern allows the distinction between Prostate Specific Antigen (PSA)from normal and tumor origins」Glycobiology、13、457〜470を参照されたい。
前立腺癌患者及び対応する健康対照の全血清から放出されたグリカンの分析
この実験では、健康対照と前立腺癌患者の全血清から放出されたグリカンのグリコシル化プロファイルを比較して、この2群を区別している潜在的グリコシル化マーカーを検出した。
血清PSAのレベル上昇(1.8マイクログラム/ml)を有する前立腺癌の患者から腫瘍の血清試料を得た。血液バンクのプール血清から健康対照の血清を得た。
単純な濾過により、還元及び変性した血清試料中の糖タンパク質を96穴プレート中の疎水性PVDF膜(Multiscreen_IP、0.45μm疎水性高ポリフッ化ビニリデン(PVDF)膜、Millipore、ベッドフォード、マサチューセッツ州、米国)に付着させた。次に、試料を洗浄して混入物を除き、共にその全体が参照により本明細書に組み込まれているPapac, D.I.ら、Glycobiology 8: 445〜54、1998及びCallewaert,N.ら、Electrophoresis 25: 3128〜31、2004に記載されている方法に基づいて、グリカンを放出させるためにPNGアーゼFと共にインキュベートした。次に、結合したタンパク質からN−グリカンを洗い出し、収集し、乾燥させて、蛍光標識の準備を整えた。
その全体が参照により本明細書に組み込まれているBigge, J.C., Patel, T.P.,Bruce, J.A., Goulding, P.N., Charles, S.M. and Parekh, R.B.(1995)「Nonselective and efficient fluorescent labeling of glycans using 2-amino benzamide and anthranilic acid」Analytical Biochemistry 230: 229〜238に記載されているように、放出されたグリカンを、2−アミノベンズアミド(2-AB)蛍光標識(Ludger Ltd、オックスフォード、英国)を用いて標識し、その全体が参照により本明細書に組み込まれているGuile, G.R., Rudd, P. M.,Wing, D. R., Prime, S.B. and Dwek, R.A.(1996)「A rapid high-resolution high-performance liquid chromatographic method for separating glycan mixtures and analyzing oligosaccharide profiles」Analytical Biochemistry 240: 210〜226に記載されているように、Waters 2475蛍光検出器(Waters、ミルフォード、マサチューセッツ州、米国)を備えるWaters 2695分離モジュールを使用した順相高速液体クロマトグラフィー(NP-HPLC)により、4.6×250mm TSK Amide-80カラム(Anachem、ルートン、英国)に流した。NP-HPLC分析の前に、続いて一連のエキソグリコシダーゼを用いてグリカンを消化した。
結果として生じたグリコシル化プロファイルを図3に示す。特に、図3の左欄は未消化グリカンのグリコシル化プロファイルを示しており、図3の右上欄はシアリダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、及びα1−6,2>>3,4のアーム特異性を有するフコシダーゼのアレイを用いて消化されたグリカンのグリコシル化プロファイルを示しており、図3の右下欄は、α1−3,4フコシダーゼを用いてさらに消化されたグリカンのグリコシル化プロファイルを示す。未消化のグリカンについて、前立腺癌試料と健康対照試料との間のグリコシル化プロファイルの差が、約9.5から約11GUの領域に観察された(図3左欄)。シアリダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、及びフコシダーゼα1−6,2>>3,4を用いた消化後に、前立腺癌試料からのグリコシル化プロファイルは、約6.5GUに対照グリコシル化プロファイルよりも(強度及びピーク面積が)強いピークを示す。約6.5GUでのより強いピークは、前立腺癌試料中に4分岐型グリカン含量が高いことを示す。Α1−3,4−フコシダーゼを用いたさらなる消化は、前立腺癌試料のグリコシル化プロファイルにおける7〜7.5GUのピークを除去/低下するが、対照試料のピークはほとんど影響されない。これは、前立腺癌患者の全血清から放出されたグリカン中に外側アームのα1−3,4フコシル化の増加があることを示している。
結論:前立腺癌患者の全血清から放出されたグリカンと健康対照の全血清から放出されるグリカンのグリコシル化プロファイルを比較することにより、前立腺癌のグリコシル化マーカーを同定した。エキソグリコシダーゼを用いたグリカンの消化は、前立腺癌のグリコシル化マーカーを増幅/分離する。
[実施例4.C型肝炎ウイルス感染患者における肝細胞癌]
C型肝炎は、世界中で深刻な健康問題である。世界的に、推定1億7千万人がC型肝炎ウイルス(HCV)に感染している。慢性HCV感染は、線維症、硬変、肝細胞癌(HCC)、及び肝代償不全を生じるおそれがある。HCV関連末期肝疾患は、米国における肝移植の主要な適応である。HCVに対して利用できるワクチンはない。肝生検は、高価で、侵襲性で、解釈が変動する対象であるが、肝障害の評価及び治療の必要の決定のための判断基準と見なされる。HCVのための治療である6から12カ月のクールのPEG化インターフェロン及びリバビリンは、潜在的に重症の副作用を誘導し、約半数の患者のHCVを根絶するだけである。現行のサーベイランス技法は年間に硬変の1〜4%に存在するHCCの初期診断には十分とはいえない。非侵襲性の検査法、並びに予後マーカーの同定及びHCCの初期診断のためのより有効なスクリーニング法の必要に迫られている。
対照の全血清と肝細胞癌を有するC型肝炎ウイルス(HCV)感染患者から放出されたグリカンのグリコシル化プロファイルを、これら2群を区別している潜在的グリコシル化マーカーを検出するために比較した。プール血清及び個別の血清の両方を含む、健康対照からの2試料を分析した。シアリル化グリカン及び中性グリカンの両方についてのNP-HPLC血清グリカンプロファイルを有する特異的データベースは、38個を超えるグリカンを有する。同じ手順を患者の血清に適用し、HCV感染患者の全血清から放出されたグリカンのデータベースを、健康対照の全血清から放出されたグリカンのデータベースと比較することにより、HCV患者における肝細胞癌のグリコシル化マーカーを同定した。
肝細胞癌を有するHCV感染患者からの血清試料は、中等度から重症の線維症/硬変を有するHCV感染患者から得た。健康状態の慣例的なスクリーニングを受けている個人からの廃棄された臨床材料として健康対照の血清試料を得た。
単純な濾過により、還元及び変性した血清試料中の糖タンパク質を96穴プレート中の疎水性PVDF膜(Multiscreen_IP、0.45μm疎水性高ポリフッ化ビニリデン(PVDF)膜、Millipore、ベッドフォード、マサチューセッツ州、米国)に付着させた。次に、試料を洗浄して混入物を除き、共にその全体が参照により本明細書に組み込まれているPapac, D.I.ら、Glycobiology 8:445〜54、1998及びCallewaert, N.ら、Electrophoresis 25: 3128〜31、2004に記載されている方法に基づいて、PNGアーゼFと共にインキュベートしてグリカンを放出させた。次に、結合したタンパク質からN−グリカンを洗い出し、収集し、乾燥させて、蛍光標識の準備を整えた。
その全体が参照により本明細書に組み込まれているBigge, J.C., Patel, T.P.,Bruce, J.A., Goulding, P.N., Charles, S.M. and Parekh, R.B.(1995)「Nonselective and efficient fluorescent labeling of glycans using 2-amino benzamide and anthranilic acid」Analytical Biochemistry 230: 229〜238に記載されているように、市販のキット(例えば英国オックスフォードのLudger Ltdからのもの)を用いて、又は用いずに、放出されたグリカンを、2−アミノベンズアミド(2-AB)蛍光標識を用いて標識し、その全体が参照により本明細書に組み込まれているGuile, G.R., Rudd, P.M., Wing,D.R., Prime, S.B. and Dwek, R.A.(1996)「A rapid high-resolution high-performance liquid chromatographic method for separating glycan mixtures and analyzing oligosaccharide profiles」Analytical Biochemistry 240:210〜226に記載されているように、Waters 2475蛍光検出器(Waters、ミルフォード、マサチューセッツ州、米国)を備えるWaters 2695分離モジュールを使用した順相高速液体クロマトグラフィー(NP-HPLC)により、4.6×250mm TSK Amide-80カラム(Anachem、ルートン、英国)に流した。NP-HPLC分析の前に、続いて一連のエキソグリコシダーゼを用いてグリカンを消化した。
図4は、対照試料Con_9及び肝細胞癌を有するHCV感染患者の試料HCV_42から放出されたグリカンのNP-HPLCプロファイルを示す。図4で、欄(A)はエキソグリコシダーゼ消化を全く受けていない全血清グリカンの糖プロファイルに対応し、欄(B)はα2−3,6,8−シアリダーゼ、β1−4ガラクトシダーゼ、及びβ−N−アセチルグルコサミニダーゼのアレイを用いて消化後の糖プロファイルに対応する。図4の欄(C)は、HCV患者における肝細胞癌の診断と相関したマーカーが、α2−3,6,8−シアリダーゼ、β1−4ガラクトシダーゼ、及びβ−N−アセチルグルコサミニダーゼを用いた消化後に測定されたコアフコシル化グリカンの率であることを実証するものである。健康対照の血清はこれらのグリカンを15から17%含有し、肝細胞癌を有するHCV感染患者の血清はこれらのグリカンを19%超含有した。この疾患の病期と、α2−3,6,8−シアリダーゼ、β1−4ガラクトシダーゼ、及びβ−N−アセチルグルコサミニダーゼを用いた消化後に測定されたコアフコシル化グリカンの率との間にも相関が観察された。肝細胞癌中期のHCV感染患者は、α2−3,6,8−シアリダーゼ、β1−4ガラクトシダーゼ、及びβ−N−アセチルグルコサミニダーゼを用いた消化後に20〜22%のコアフコシル化グリカンの率を測定されたが、重症の線維症/硬変などの疾患の重症期の患者は、平均25%を超えるこのグリカンマーカーを有した。
結論:肝細胞癌を有するHCV患者の全血清から放出されたグリカンのグリコシル化プロファイルと健康対照の全血清から放出されたグリカンのグリコシル化プロファイルを比較することにより、HCV患者における肝細胞癌のグリコシル化マーカーを同定した。HCV患者における肝細胞癌のグリコシル化マーカーは、α2−3,6,8−シアリダーゼ、β1−4ガラクトシダーゼ、及びβ−N−アセチルグルコサミニダーゼを用いた消化後に測定されたコアフコシル化グリカンの率である。このマーカーは疾患の診断及び疾患の重症度と相関する。エキソグリコシダーゼを用いたグリカンの消化は、HCV患者における肝細胞癌のグリコシル化マーカーを増幅/分離する。
[実施例5.卵巣癌]
卵巣癌は米国における女性の癌関連死の原因の4位であり、婦人科癌の死亡原因の1位である。卵巣癌は、ほとんどない初期症状、進行した病期での症状出現、及び低い生存率を特徴とする。乳癌の10分の1の頻度であるが、卵巣癌は3倍致死的である。2005年には22220人の女性が新たに卵巣癌を有すると診断され、16210人がこの疾患により死亡するであろうと推定されている。その全体が参照により本明細書に組み込まれているJemal,A.、Murray,T., Ward, E., Samuels, A., Tiwari, R., Ghafoor, A., Feuer E.L. and Thun, M.J.(2005)CA Cancer J.Clin. 55、10〜30を参照されたい。高い死亡率は、卵巣癌をなかなか早期検出できないことが原因である。実際に、約80%の患者が現在のところ進行期の疾患を有すると診断されている。
他の種類の癌と同様に、卵巣癌は癌がどれほど進行したかに基づいて分類されている。いくつかのスケールが存在するが、TNM(腫瘍、リンパ節、及び転移)尺度は、医学文献で一般に参照されている標準的な尺度である。T1期では、癌は一方又は両方の卵巣に限定されている。T2期には癌は一方又は両方の卵巣にあり、骨盤組織内に伸展しつつあり、及び/又は骨盤内壁表面にもまた拡大している。T3期では、癌は一方又は両方の卵巣にあり、骨癌外側の腹腔内壁に拡大している。N分類は、癌が領域(局所)リンパ節に拡大しているか、していないか、そして拡大しているならば、どのくらいの数のリンパ節に波及しているかを示す。卵巣癌について、N0期はリンパ節への波及なしを意味し、N1期は腫瘍に近い領域リンパ節にみられる癌細胞を意味する。M分類は、癌が肝臓、肺、又は非領域リンパ節などの遠隔器官に拡大しているか、していないかを示す。卵巣癌については、M0期は遠隔拡大がみられないことを意味し、M1は遠隔拡大が存在することを意味する。卵巣癌は、第I期(最も進行していない)から第IV期(最も進行した病期)の病期であることもまた多い。卵巣癌及びその他の癌の病期分類のさらなる詳細は、例えばAmerican Cancer Societyのホームページ(www.cancer.org)に見出すことができる。
卵巣癌を有する女性において上昇する血清バイオマーカーには、癌胎児性抗原、卵巣嚢胞腺癌抗原、脂質関連シアル酸、NB/70、TAG72.3、CA−15.3、及びCA−125がある。例えばG. Morら、PNAS、v.102、pp.7677〜7682、2005を参照されたい。進行した卵巣癌を有する女性の82%ではCA 125が上昇しているが、初期の癌については的中率は低い。Kozakら、PNAS、v.100、pp.12343〜12348、2003を参照されたい。
前立腺癌患者及び対応する健康対照の全血清から放出されたグリカンの分析
この実験では、健康対照と卵巣癌患者の全血清から放出されたグリカンのグリコシル化プロファイルを比較して、これら2群を区別する潜在的グリコシル化マーカーを検出した。
腫瘍の血清試料は、進行悪性腫瘍を有する患者から得た。健康対照の血清は、血液バンクのプール血清から得た。
単純な濾過により、還元及び変性した血清試料中の糖タンパク質を96穴プレート中の疎水性PVDF膜(Multiscreen_IP、0.45μm疎水性高ポリフッ化ビニリデン(PVDF)膜、Millipore、ベッドフォード、マサチューセッツ州、米国)に付着させた。次に、試料を洗浄して混入物を除き、共にその全体が参照により本明細書に組み込まれているPapac, D.I.ら、Glycobiology 8:445〜54、1998及びCallewaert,N.ら、Electrophoresis 25: 3128〜31、2004に記載されている方法に基づいて、PNGアーゼFと共にインキュベートしてグリカンを放出させた。次に、結合したタンパク質からN−グリカンを洗い出し、収集し、乾燥させて、蛍光標識の準備を整えた。
その全体が参照により本明細書に組み込まれているBigge, J.C., Patel, T. P., Bruce,J.A.,Goulding, P.N., Charles, S.M. and Parekh, R.B.(1995)「Nonselective and efficient fluorescent labeling of glycans using 2-amino benzamide and anthranilic acid」Analytical Biochemistry 230: 229〜238に記載されているように、放出されたグリカンを、2−アミノベンズアミド(2-AB)蛍光標識(Ludger Ltd、オックスフォード、英国)を用いて標識し、その全体が参照により本明細書に組み込まれているGuile, G.R., Rudd,P.M.,Wing,D.R., Prime, S.B. and Dwek,R.A.(1996)「A rapid high-resolution high-performance liquid chromatographic method for separating glycan mixtures and analyzing oligosaccharide profiles」Analytical Biochemistry 240: 210〜226に記載されているように、Waters 2475蛍光検出器(Waters、ミルフォード、マサチューセッツ州、米国)を備えるWaters 2695分離モジュールを使用した順相高速液体クロマトグラフィー(NP-HPLC)により、4.6×250mm TSK Amide-80カラム(Anachem、ルートン、英国)に流した。NP-HPLC分析の前に、続いて一連のエキソグリコシダーゼを用いてグリカンを消化した。
結果として生じたグリコシル化プロファイルを図5に示す。図5Aは、未消化のグリカンのグリコシル化プロファイルを示し、図5Bはシアリダーゼ、β1−3,4,6ガラクトシダーゼ、及びα1−2結合特異的フコシダーゼを用いて消化されたグリカンのグリコシル化プロファイルを示し、図5Cはシアリダーゼ、β1−4ガラクトシダーゼ(β1−3,4,6ガラクトシダーゼの代わりに)、及びα1−3/4結合特異的フコシダーゼを用いてさらに消化されたグリカンのグリコシル化プロファイルを示す。未消化のグリカンについては、卵巣癌試料及び健康対照試料の間のグリコシル化プロファイルの差は、約9.5から約11GUの範囲に観察された(図5A)。特に、卵巣癌の患者では約10.5GUに強いピークが観察され、そのピークは対照試料では弱かった。シアリダーゼ、β1−3,4,6ガラクトシダーゼ、及びα1−2結合特異的フコシダーゼを用いて消化したときに、約10.5GUのピークは約7.5GUに移動した(図5B)。7.5GUのピークは、対照試料よりも卵巣癌試料で高い率(約11.8%)を有する。次に、患者の試料ではGU7.5のピークは、シアリダーゼ、β1−4ガラクトシダーゼ(β1−3,4,6ガラクトシダーゼの代わりに)、及びα1−3/4結合特異的フコシダーゼの組合せにより完全に消化される。これは、外側アームのα1−3フコース(すなわちルイスxエピトープ)の存在を示している(図5C)。
結論:卵巣癌患者の全血清から放出されたグリカンと健康対照の全血清から放出されるグリカンのグリコシル化プロファイルを比較することにより、卵巣癌のグリコシル化マーカーを同定した。エキソグリコシダーゼを用いた消化は、卵巣癌のグリコシル化マーカーを増幅/分離する。
前述は特に好ましい実施形態を参照しているが、本発明はそのように限定されないことが了解されているであろう。当業者は、開示された実施形態に様々な変形を加えることができること及び当該変形が本発明の範囲内に属すると意図されることに気づくであろう。
本明細書に引用した全ての刊行物、特許出願、及び特許は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
乳癌のためのグリコシル化マーカーの決定を説明する図である。 膵臓癌のためのグリコシル化マーカーの決定を説明する図である。 前立腺癌のためのグリコシル化マーカーの決定を説明する図である。 C型肝炎ウイルス(HCV)感染患者における肝細胞癌のためのグリコシル化マーカーの決定を説明する図である。 卵巣癌のためのグリコシル化マーカーの決定を説明する図である。

Claims (53)

  1. 癌の1つ又は複数のグリコシル化マーカーを決定する方法であって、
    疾患試料及び対照試料を得るステップ(ここで、前記疾患試料は癌を有すると診断された対象由来の試料であり、前記対照試料は健康対照由来の試料である)と;
    前記疾患試料から総糖タンパク質の疾患グリカンプールを、及び前記対照試料から総糖タンパク質の対照グリカンプールを、前記糖タンパク質を精製せずに、かつ前記疾患試料及び前記対照試料にヒドラジン分解を受けさせずに放出させるステップと;
    クロマトグラフィー、質量分析、又はその組合せを使用して、前記疾患グリカンプールの疾患糖プロファイル及び前記対照グリカンプールの対照糖プロファイルを測定するステップと;
    前記疾患糖プロファイルと前記対照糖プロファイルを比較して、癌の前記1つ又は複数のグリコシル化マーカーを決定するステップと
    を含む方法。
  2. 前記疾患糖プロファイルと前記対照糖プロファイルを比較するステップが、前記疾患糖プロファイルと前記対照糖プロファイルにおけるピーク比を比較するステップを含む、請求項1に記載の方法。
  3. 癌の前記1つ又は複数のグリコシル化マーカーから最良のグリコシル化マーカーを選択するステップをさらに含む方法であって、前記最良のグリコシル化マーカーが、癌を有すると診断された前記対象の1つ又は複数のパラメーターと最高の相関を有する、請求項1に記載の方法。
  4. 癌を有すると診断された前記対象の前記パラメーターが、診断、病期、疾患の重症度、年齢、性別、病歴、治療に対する応答、又はその組合せである、請求項3に記載の方法。
  5. 前記パラメーターが診断である、請求項3に記載の方法。
  6. 前記癌が、膵臓癌、前立腺癌、乳癌、肝細胞癌、卵巣癌、膀胱癌、腎臓癌、結腸癌、胃癌、又は肺癌である、請求項1に記載の方法。
  7. 前記癌が膵臓癌である、請求項1に記載の方法。
  8. 前記癌が前立腺癌である、請求項1に記載の方法。
  9. 前記癌が乳癌である、請求項1に記載の方法。
  10. 前記癌が肝細胞癌である、請求項1に記載の方法。
  11. 前記癌が卵巣癌である、請求項1に記載の方法。
  12. 1つ又は複数のエキソグリコシダーゼを用いて前記疾患グリカンプール及び前記対照グリカンプールを消化することにより前記グリコシル化マーカーを増幅及び分離するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  13. 1つ又は複数のエキソグリコシダーゼを用いて前記疾患グリカンプール及び前記対照グリカンプールを逐次消化することにより前記グリコシル化マーカーを増幅及び分離するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  14. 1つ又は複数のエキソグリコシダーゼを含むアレイを用いて前記疾患グリカンプール及び前記対照グリカンプールを消化することにより前記グリコシル化マーカーを増幅及び分離するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  15. 前記疾患グリカンプール及び前記対照グリカンプールがN−結合グリカンのプールである、請求項1に記載の方法。
  16. 前記放出させるステップが、ゲルからN−グリカンを放出させるステップである、請求項15に記載の方法。
  17. 前記疾患グリカンプール及び前記対照グリカンプールがO−結合グリカンのプールである、請求項1に記載の方法。
  18. 前記放出させるステップが、ポリフッ化ビニリデン膜に糖タンパク質を付着させるステップを含む、請求項1に記載の方法。
  19. 前記放出させるステップが、前記ポリフッ化ビニリデン膜からアンモニア性β−脱離により放出させるステップである、請求項18に記載の方法。
  20. 放射性標識又は蛍光標識を用いて、前記疾患グリカンプール及び前記対照グリカンプール中のグリカンを標識するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  21. 前記蛍光標識が、2−アミノピリジン、2−アミノベンズアミド、2−アミノアントラニル酸、2−アミノアクリドン、又は8−アミノナフタレン−1,3,6−トリスルホン酸である、請求項20に記載の方法。
  22. 前記蛍光標識が2−アミノベンズアミドである、請求項20に記載の方法。
  23. 前記疾患試料及び前記対照試料が体液の試料である、請求項1に記載の方法。
  24. 前記体液が全血清、血漿、尿、精漿、又は唾液である、請求項23に記載の方法。
  25. 前記体液が全血清である、請求項23に記載の方法。
  26. 対象における癌を診断及びモニタリングする方法であって、
    前記対象の体液又は身体組織の試料を得るステップと;
    前記試料から総糖タンパク質のグリカンプールを、前記糖タンパク質を精製せずに放出させるステップと;
    前記グリカンプールの糖プロファイルを測定するステップと
    を含む方法。
  27. 前記糖プロファイルにおける癌のグリコシル化マーカーのレベルから、前記対象の臨床状態を決定するステップをさらに含む、請求項26に記載の方法。
  28. 前記臨床状態が癌の病期である、請求項27に記載の方法。
  29. 前記臨床状態が、癌、前癌状態、良性状態、又は状態無しからなる群から選択される、請求項27に記載の方法。
  30. 癌が、膵臓癌、前立腺癌、乳癌、肝細胞癌、卵巣癌、膀胱癌、腎臓癌、結腸癌、胃癌、又は肺癌である、請求項26に記載の方法。
  31. 癌が肝細胞癌である、請求項26に記載の方法。
  32. 前記グリコシル化マーカーが、前記グリカン中でα2−3,6,8−シアリダーゼ、β1−4ガラクトシダーゼ、及びβ−N−アセチルグルコサミニダーゼを用いた消化後に測定された、コアフコシル化グリカンの率である、請求項31に記載の方法。
  33. 癌が前立腺癌である、請求項26に記載の方法。
  34. 癌が乳癌である、請求項26に記載の方法。
  35. 癌が卵巣癌である、請求項26に記載の方法。
  36. 癌が膵臓癌である、請求項26に記載の方法。
  37. 前記体液が、全血清、血漿、尿、精漿、又は唾液である、請求項26に記載の方法。
  38. 前記体液が血清である、請求項26に記載の方法。
  39. グリカンプールを放出させるステップが、前記試料からゲルを調製するステップを含む、請求項26に記載の方法。
  40. 前記グリカンプールがN−グリカンのプールであり、グリカンプールを放出させるステップが、PNGアーゼF酵素を使用して、前記ゲルからN−グリカンの前記プールを放出させるステップをさらに含む、請求項39に記載の方法。
  41. 前記グリカンプールを放出させるステップが、ポリフッ化ビニリデン膜に前記総糖タンパク質を付着させるステップを含む、請求項26に記載の方法。
  42. 前記グリカンプールがN−グリカンのプールであり、前記グリカンプールを放出させるステップが、PNGアーゼF酵素と共に前記ポリフッ化ビニリデン膜をインキュベートするステップをさらに含む、請求項41に記載の方法。
  43. 前記グリカンプールを放出させるステップが、β−脱離により前記グリカンプールを化学的に放出させるステップをさらに含む、請求項41に記載の方法。
  44. 前記グリカンプールを放出させるステップが、アンモニア性β−脱離により前記グリカンプールを放出させるステップをさらに含む、請求項41に記載の方法。
  45. 1つ又は複数のエキソグリコシダーゼを用いて前記グリカンを消化するステップをさらに含む、請求項26に記載の方法。
  46. 1つ又は複数のエキソグリコシダーゼを用いて前記グリカンを逐次消化するステップをさらに含む、請求項26に記載の方法。
  47. 1つを超えるエキソグリコシダーゼを含むアレイを用いて前記グリカンを消化するステップをさらに含む、請求項26に記載の方法。
  48. 前記糖プロファイルを測定するステップが、クロマトグラフィー、質量分析、又はその組合せにより実施される、請求項26に記載の方法。
  49. 癌に対する現存する治療剤の薬用量を最適化する方法であって、
    癌患者に前記治療剤を投与する前に、前記患者から体液又は身体組織の第1試料を得るステップと;
    前記癌患者に前記治療剤を投与した後に、前記患者から体液又は身体組織の第2試料を得るステップと;
    前記第1試料及び前記第2試料由来の糖タンパク質のグリカンを、前記糖タンパク質を精製せずに、かつ前記第1及び前記第2試料にヒドラジン分解を受けさせずに放出させるステップと;
    前記第1試料からの前記グリカンの第1糖プロファイル及び前記第2試料からの前記グリカンの第2糖プロファイルを測定するステップと;
    前記第1糖プロファイルと前記第2糖プロファイルにおける前記癌のグリコシル化マーカーのレベルを比較するステップと
    を含む方法。
  50. 癌を治療するための新しい治療法又は新しい治療剤を試験する方法であって、
    癌患者に前記新しい治療法又は前記新しい治療剤を受けさせる前に、前記患者から体液又は身体組織の第1試料を得るステップと;
    前記癌患者に前記新しい治療法又は前記新しい治療剤を受けさせた後に、前記患者から体液又は身体組織の第2試料を得るステップと;
    前記第1及び前記第2試料由来の糖タンパク質のグリカンを、前記糖タンパク質を精製せずに、かつ前記第1試料及び前記第2試料にヒドラジン分解を受けさせずに放出させるステップと;
    前記第1試料からの前記グリカンの第1糖プロファイル及び前記第2試料からの前記グリカンの第2糖プロファイルを測定するステップと;
    前記第1糖プロファイルと前記第2糖プロファイルにおける前記癌のグリコシル化マーカーのレベルを比較するステップと
    を含む方法。
  51. 糖タンパク質のグリカンのグリカン構造を含むデータベースであって、前記グリカンが、癌を有すると診断された対象の体液又は身体組織の試料から放出され、前記グリカンを放出させるステップが、前記糖タンパク質を精製せずに実施されるデータベース。
  52. 前記グリカンがN−グリカンである、請求項49に記載のデータベース。
  53. 前記グリカンがO−グリカンである、請求項49に記載のデータベース。
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