JP2008537749A - Lps解毒のためのポリミキシンbアナログ - Google Patents

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Abstract

本発明は、特にグラム陰性細菌のリポ多糖(LPS)と高い親和性で非共有結合する能力およびポリミキシンBと同様にLPSを解毒する能力においてポリミキシンBを摸倣するSAEP IIペプチドダイマーに関する。17アミノ酸を超えず、陽イオン性疎水性アミノ酸残基を本質的に含むペプチド配列中に存在する2つのシステイン残基が関与する一組のジスルフィド結合によってダイマー構造が維持される。本発明のダイマーにおいて、ペプチドは、平行または逆平行配向を有することができる。一例として、本発明のダイマーは、平行または逆平行ダイマー形態の、式:NH2−Lys−Thr−Lys−Cys1−Lys−Phe−Leu−Leu−Leu−Cys2−COOHで示されるペプチドによって構成される。SAEP IIダイマーは、グラム陰性細菌感染によって生じる敗血症性ショックおよび関連障害の治療または予防に有用である。本発明また、LPSおよびSAEP IIダイマーが一緒に非共有結合しているLPS−ペプチド複合体に関する。これらの複合体は、グラム陰性細菌感染に対するワクチン剤として有用である。

Description

本発明は、LPS解毒に有用なポリミキシンBのペプチドアナログに関する。医薬の技術分野では、それらは、(i)とりわけグラム陰性細菌感染症によって引き起こされる敗血症性ショックのような致死性障害を治療するために、そのままで使用できるか;または(ii)LPSと非共有結合させて使用してLPSを解毒することができる;その複合体は、グラム陰性細菌感染症に対するワクチン剤として有用である。
リポ多糖(LPS)は、グラム陰性細菌の細胞壁の外膜の主要構成成分である。LPSは、哺乳動物、特に、ヒトに非常に有毒であり、その生物活性に関しては、内毒素と呼ばれている。それは、グラム陰性細菌による急性感染症(敗血症)により生じる生命にかかわる事象である敗血症性ショックにおける内毒素中毒症に由来する作用に関与している。
LPS構造は、多糖部分と共有結合したリピドAと呼ばれる脂質部分によって構成される。
リピドAは、特にB細胞およびマクロファージとの相互作用を介して、LPSの毒性作用に関与している。この相互作用は炎症誘発性サイトカインの分泌を誘発する。該炎症症状は致死性の内毒素ショック状態に達することがある。
リピドAは、非常に疎水性であり、細菌細胞壁の外層においてLPSをしっかりと固定する。リピドAは、(i)保存二リン酸化二糖領域(最も頻繁には、N,O−アシルβ−1,6−D−グルコサミン1,4'−二リン酸)および(ii)二糖ヒドロキシルにある様々な水素原子を置換する脂肪酸からなる。脂肪酸の数およびそれらの組成は、種間変数である。一例として、ナイセリア・メニンジティディス(Neisseria meningitidis)リピドAの2つの対称的なグルコサミン(GlcN1およびGlcN2)はそれぞれ以下の脂肪酸を有している:2N−C14,3OH;C12;および3O−C12,3OH。
LPS多糖部分は、抗原性に関与している糖鎖によって構成されている。該糖鎖構造は、自体、(i)リピドAと結合したKDO(2−ケト,3−デオキシオクツロソン酸)領域と呼ばれる保存内部コアおよび(ii)KDO領域と結合した、一般的に様々な糖類を含むと定義されている可変外部コア、ならびに(iii)外部O特異的鎖の第1反復単位(糖類10個までを含むことができる)からなっている。
ナイセリア類(Neisserias)、ボルデテラ類(Bordetellas)、ヘモフィルス類(Haemophilus)およびモラクセラ類(Moraxellas)のようなグラム陰性非腸内細菌には、O特異的鎖は存在しない(第1反復単位であると定義されているものは実際には反復していない)。したがって、これらの細菌のLPSは、しばしば、リポオリゴ糖(LOS)と称される。
LPSは、有毒であるだけではなく、免疫原性が高い。哺乳動物では、感染および保菌の間に抗−LPS抗体が誘発され、保護することができる。この点から、LPSを解毒し、グラム陰性細菌感染症および関連疾患の予防においてその解毒された形態を使用することが既に提案されている。
すでにいくつかの解毒方法が知られている。特に、ポリミキシンBまたはより適切にはそのペプチドアナログを使用してLPSを解毒することができる。
ポリミキシンBは、LPSが有意に解毒されるように高親和性でリピドAと結合する分子である。ポリミキシンBは、動物モデルにおいて治療的に投与された場合に敗血症性ショックを予防することができる。しかしながら、ポリミキシンBは、その生分解性および結果として生じる腎臓へ蓄積する傾向のためにヒトにとって多少有毒である可能性のあるポリカチオン性抗体である。したがって、予防薬または治療薬における使用には推奨されていない。
この制限を克服するために、ポリミキシンBのペプチドアナログが開発された。それらは、ポリミキシンB毒性を保持しないが、単にポリミキシンBの一次および二次構造を摸倣しており、LPS−ペプチド複合体が形成されるようにポリミキシンBと同一の部位でリピドAと結合する。結果として、LPSは解毒される。ペプチドアナログは、特に、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5および特許文献6に記載されている。それらのうちの1つである、式KTKCKFLKKCで示される環状モノマーSAEP2(合成抗内毒素ペプチド2)は、より詳しく研究されている(非特許文献1および非特許文献2)。
米国特許第5,358,933号 WO 93/14115 WO 95/03327 WO 96/38163 EP 842 666 EP 976 402 Rustici et al, 1993, Science 259:361 Velucchi et al, 1997, J. Endotox. Res. 4(4): 261
SAEP2ペプチド、および2つの隣接するシステイン残基によって囲まれており、陽イオン性アミノ酸から作られた短い外部尾部によって平衡している多数の非荷電性極性アミノ酸をそれらの配列に含む類似ペプチド(以下、総称的にSAEP IIペプチドと称する)が、それらがダイマー形態である場合に特に興味深いものであることが見出された;該ダイマーは、システイン残基間の一組のジスルフィド結合によって立体構造的に形成され維持されている。実際に、SAEP IIペプチドダイマーは、対応するモノマーよりも強い解毒特性を示す。
したがって、本発明は、式(I):
Figure 2008537749
[式中、2個のCys1残基は、ジスルフィド結合を介して結合し合っており、2個のCys2残基は、ジスルフィド結合を介して結合し合っている]
または式(II):
Figure 2008537749
[式中、Cys1残基は、ジスルフィド結合を介してCys2残基と結合している]
(ここで、AおよびA'は、独立して、少なくとも2個のアミノ酸残基が独立してLys、Hyl(ヒドロキシ−リジン)、ArgおよびHisから選択されるアミノ酸残基2〜5個、好ましくは、3または4個のペプチド部分である;
ここで、BおよびB'は、独立して、Val、Leu、Ile、Phe、TyrおよびTrpから独立して選択されるアミノ酸残基を少なくとも2個、好ましくは3個含むアミノ酸残基3〜7個、好ましくは4または5個のペプチド部分である;
ここで、CおよびC'は、任意であり(これらの位置は、空であってもそうでなくてもよい)、独立して、アミノ酸残基であるかまたはアミノ酸残基2〜3個のペプチド部分である;
ただし、陽イオン性アミノ酸残基/疎水性アミノ酸残基比(陽イオン性/疎水性比)は、0.4〜2、有利には0.5から1.2または1.5まで、好ましくは0.6〜1;最も好ましくは0.6〜0.8;例えば、0.75である)
で示されるSAEP IIペプチドダイマーに関する。
有利には、AおよびA'は、独立して、少なくとも1個、好ましくは2個のアミノ酸残基が独立してLys、Hyl、ArgおよびHisから選択されるアミノ酸残基2〜5個、好ましくは3または4個のペプチド部分である;Lys、Hyl、ArgおよびHisから選択されないもの(「残りのアミノ酸残基」)は、存在する場合には、非荷電性極性または非極性アミノ酸残基(好ましくは、Thr、SerおよびGly;最も好ましくはThr)からなる群から選択される。
AおよびA'ペプチド部分がアミノ酸残基3個を含む場合、それらは各々陽イオン性残基であり得るか;または別法として、残基3個のうち2個は陽イオン性アミノ酸であり、残りの残基は、非荷電性極性または非極性アミノ酸残基(好ましくは、Thr、SerおよびGly;最も好ましくは、Thr)からなる群から選択される。
AおよびA'ペプチド部分がアミノ酸残基4個を含む場合、残基4個のうち2個または3個は上記定義の陽イオン性アミノ酸残基からなる群から選択され、残りの残基は上記定義の非荷電性極性または非極性アミノ酸残基からなる群から選択されるのが好ましい。
AおよびA'ペプチド部分がアミノ酸残基5個を含む場合、残基5個のうち3個または4個は上記定義の陽イオン性アミノ酸残基から選択され、残り残基は上記定義の非荷電性極性または非極性アミノ酸残基からなる群から選択されるのが好ましい。
有利には、BおよびB'は、独立して、Val、Leu、Ile、Phe、TyrおよびTrp(好ましくは、Leu、IleおよびPhe)から独立して選択されるアミノ酸残基を少なくとも2個、好ましくは3個含むアミノ酸残基3〜7個、好ましくは4個または5個のペプチド部分である;Val、Leu、Ile、Phe、TyrおよびTrpから選択されないもの(「残りのアミノ酸残基」)は、存在する場合には、Lys、Hyl、ArgおよびHisからなる群から独立して選択される。容易に理解されるように、BおよびB'ペプチド部分は、Val、Leu、Ile、Phe、TyrおよびTrpから独立して選択されるアミノ酸残基を7個まで含むことができる。
有利には、BおよびB'ペプチド部分は、配列−X1−X2−X3−を含む(ここで、X1およびX2;X2およびX3;またはX1、X2およびX3は、独立して、Val、Leu、Ile、Phe、TyrおよびTrpから選択され;好ましくは、Leu、IleおよびPheから選択される。好ましい実施態様では、配列−X1−X2−X3−は、Phe−Leuモチーフを含む。
ペプチド部分BおよびB'の特定の実施態様としては、
(i)−X1−X2−X3−配列(ここで、
X1はLys、Hyl、HisまたはArgであり、好ましくはLysまたはArgであり;より好ましくはLysであり;
X2はPhe、Leu、Ile、Tyr、TrpまたはValであり;好ましくはPheまたはLeuであり;より好ましくはPheであり;
X3はPhe、Leu、Ile、Tyr、TrpまたはValであり;好ましくはPheまたはLeuであり;より好ましくはLeuである);および
(ii)存在するとすれば、各々、Val、Leu、Ile、Phe、Tyr、Trp、Lys、Hyl、ArgおよびHisからなる群;好ましくはVal、Leu、Ile、Phe、TyrおよびTrpからなる群;より好ましくはLeu、IleおよびPheからなる群から選択されるアミノ酸残基
が挙げられる。
BおよびB'が4個を超える非極性アミノ酸残基を含む場合、AおよびA'は、好ましくは、正に荷電されたアミノ酸残基を少なくとも3個含む。
CおよびC'ペプチド部分では、アミノ酸残基は、いずれものアミノ酸残基であり得るが、ただし、陽イオン性アミノ酸残基/疎水性アミノ酸残基比は所定の範囲内である。有利には、それらは、独立して、極性または非極性の非荷電性アミノ酸残基から選択され、これらの後者が好ましい。しかしながら、好ましくは、CおよびC'は空の位置である。
したがって、好ましいクラスのダイマーは、式(III):
Figure 2008537749
または式(IV):
Figure 2008537749
[式中、A、A'、BおよびB'は上記のとおりである;ただし、陽イオン性アミノ酸残基/疎水性アミノ酸残基比は、0.4〜2、有利には、0.5から1.2または1.5まで、好ましくは0.6〜1;最も好ましくは0.6〜0.8;例えば0.75である]
で示されるものである。
平行配向のペプチドを有する式(I)または(III)で示されるダイマーは、平行ダイマーと称される。逆平行配向のペプチドを有する式(II)または(IV)で示されるダイマーは、逆平行ダイマーと称される。
式(I)〜(IV)では、AとA'は好ましくは同一である。BとB';およびCとC'についても同じことが言える。AとA';BとB';およびCとC'が2つずつ同一である式(I)、(II)、(III)または(IV)で示されるペプチドダイマーは、同種ダイマーと称される。実際に、この場合、該ダイマーに含まれるペプチドサブユニットは同一である。
一例として、本発明のダイマーにおいて用いるのに適しているものとして以下のペプチドが挙げられる:
Figure 2008537749
対応する同種ダイマーの個々の陽イオン性/疎水性比は、2.00、0.50、0.75および0.67である。
上記ダイマーの特定の例は、式(V)NH2−Lys−Thr−Lys−Cys1−Lys−Phe−Leu−Leu−Leu−Cys2−COOHで示されるペプチドによって構成される。このペプチドは、以下、SAEP2−L2ペプチドと称される。上記のとおり、それはまた、平行または逆平行ダイマー形態であり得る。
本発明に含まれるペプチドまたは本発明のダイマーに含まれるペプチドは、例えばコンピューターによる自動合成装置を用いるような古典的方法によって合成され得る。特定のペプチドが得られるような手順を設計する方法を知ることはペプチド合成の技術分野における当業者の技能の範囲内である。合成期の間、システインのチオール基を保護することができるのは当然である。合成が完了すると、それらは脱保護され、環状モノマー、平行または逆平行ダイマーを生成させるために該チオール基の酸化が行われる。
ペプチド中に存在する両方のシステイン残基が同時に脱保護された場合、酸化により理論的には3つの形態の各々を生成することができる。次いで、3つの形態の各々は、慣用的な生化学的精製方法によってお互いに分離され得る。適当な例として、分取逆相高速液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)が挙げられる。実際に、3つの形態の各々は、異なる保持時間で溶出すると考えられる。したがって、精製した環状モノマー、または精製した平行および逆平行ダイマーを含有する調製物は、個々のピークフラクションを一緒にプールすることによって簡単に得ることができる。
酸化により生じた3つの形態の各々の個々の割合は、とりわけ特定のアミノ酸配列、および、重要なことには、該ペプチドの濃度に依存する。偶然に3つの形態のうち1つまたは2つが優位に生じることがあり得る;そして、実際に、1つまたは2つの形態の優位さは、他のものが全く形成されないようなものであり得る。
一例として、SAEP2−L2ペプチドは自然発生的に酸化して、溶液中の該ペプチドの濃度に依存する割合で環状モノマーおよび逆平行ダイマーとなる。逆平行ダイマーの「側鎖」(NH2−Lys−Thr−Lys−部分)の内部立体障害は、平行ダイマーのものよりも明らかに低く、平行ダイマーと比べて低い最小エネルギーが水性溶媒中での逆平行ダイマーの優先的形成の原因であると考えられ得る。この濃度主導型方法の直接的な結果として、逆平行ダイマーおよびそれほどではないにせよ環状モノマーの形成は、平衡状態から平行ダイマーの排除に至るまで好ましい。
酸化により平行ダイマーが自然発生的に生じることができない場合、平行配向でペプチドを会合させるために特定の処置を取ることが必要である。これらの処置は、ペプチド合成の技術分野における当業者の技能の範囲内である。それにもかかわらず、単なる一例として、Cys1およびCys2アミノ酸の差動保護に次ぐ選択的脱保護が平行配向をもってダイマー化を行うための好都合な方法であることが示される。次いで、ダイマーは、RP−HPLCを含む慣用方法によって精製することができる。
化学合成し、精製したペプチドは、化学合成工程および精製工程の間に酸および塩が用いられるために、一般に塩形態で得られる。一般に用いられる塩は酢酸塩である。したがって、本明細書で用いる「ペプチド」なる用語は塩形態も包含すると理解すべきである。
本発明のダイマーで用いるためのペプチドは、とりわけ、イオン・サイクロトロン共鳴(ICR)、マトリックス支援レーザー脱離イオン化−飛行時間型(MALDI−ToF)質量分析法および核磁気共鳴(NMR)分光測定法を包含する様々な技術によって特徴付けることができる。特に、NMR分析法により3つの形態(環状モノマー、平行および逆平行ダイマー)の各々を識別することができる。MALDI−ToF質量分析法は、単にモノマーとダイマーとを識別することができる。
本発明の化合物の純度は、RP−HPLCによって評価することができる。すなわち、化合物の調製物をRP−HPLCにかける。ピーク面を積分することによって相対的な純度を算出する。それは、化合物のピーク面/全ピーク面として表される。通常、それぞれ少なくとも95%、しばしば少なくとも97%の純度を示す本発明の化合物が製造される。
本発明はまた、
− ペプチドが本質的に平行ダイマー形態である、SAEP IIペプチド;
− ペプチドが本質的に逆平行ダイマー形態である、SAEP IIペプチド;または
− その混合物
を含む組成物に関する。
「本質的に」とは、組成物において特定の形態が少なくとも95%、好ましくは少なくとも97%、より好ましくは98%の純度であることを意味する。
SAEP IIペプチドがいくつかの形態(平行ダイマー形態、逆平行ダイマー形態および/またはモノマー形態)で存在する混合組成物は、一定の期間にわたって適当な温度で維持された単一の実体(例えば、平行ダイマー形態)を含む組成物の進展により自然発生的に生じる。これは、例えばRP−HPLC分析により、明らかにすることができる。同様に、種々のペプチド形態の個々の量を定量化することができる。
SAEP IIダイマーは、インビトロおよびインビボで、そのままでグラム陰性細菌性LPSの解毒剤として有用である。したがって、それらは、グラム陰性細菌感染症の結果としてのLPSの全身循環中(例えば、血液中)への放出に起因する病的状態を予防または治療するために使用することができる。これらの状態としては、とりわけ、内毒素中毒症、細菌性敗血症および敗血症性ショックが挙げられる。
したがって、本発明は、以下のことを包含する:
− 本発明の化合物または組成物の医薬用途;
− 本発明の化合物または組成物を医薬上許容される希釈剤または担体と一緒に含む医薬組成物;
− 敗血症性ショックの治療または予防のための薬物の製造における本発明の化合物または組成物の使用;および
− 敗血症性ショックの治療または予防方法であって、必要とする個体に本発明の化合物または組成物の治療上または予防上有効量を投与することを含む方法。
本発明の化合物または組成物は、内毒素中毒症、細菌性敗血症および/または敗血症性ショックを引き起こす可能性があるグラム陰性細菌感染症が診断された場合、哺乳動物、すなわちヒトに投与することができる。これらの致死性障害の原因となり得るグラム陰性細菌としては、とりわけ、ナイセリア・メニンジティディス(N. meningitidis)、イー・コリ(E. coli)、サルモネラ・ティフィ(Salmonella typhi)、ボルデテラ・ペルツッシス(Bordetella pertussis)およびシュードモナス・エルジノーザ(Pseudomonas aeruginosa)が挙げられる。本発明の化合物または組成物は、必要とする個体に全身経路、好ましくは静脈内経路によって投与することができる。投与量は、とりわけ、患者の年齢、体重および生理学的状態ならびに感染状態を包含する種々の因子に依存する。致命的事象のリスクが回避されるまで1回または数回投与することができる。
SAEP IIダイマーおよびSAEP2−L2ペプチドはまたインビトロでLPSを解毒することができるので、本発明はまた、(i)グラム陰性細菌のLPS部分、および(ii)SAEP IIペプチドダイマーまたはSAEP2−L2ペプチドを含むLPS−ペプチド複合体に関する;ここで、LPS部分とSAEP IIペプチドダイマーまたはSAEP2−L2ペプチドとはお互いに非共有結合し合っている。
LPS解毒は、欧州薬局方において言及されている多数のアッセイで評価することができる。それらは、Limulusアメーバー様細胞ライセート(LAL)アッセイ、ウサギにおける発熱物質試験およびD−ガラクトサミン感作マウスにおける急性毒性アッセイを包含する。これらのアッセイは、以下の実施例で例示する。各アッセイでは、LPSの作用およびLPS−ペプチド複合体の作用を平行して測定して、解毒比を確立する。
LALアッセイでは、解毒比は、LPS/LPS−ペプチド複合体比によって表される。発熱物質試験および急性毒性アッセイでは、解毒比は、LPS−ペプチド複合体/LPS比によって表される。
以下の場合に有意な解毒が得られる:
(i) LALアッセイで測定された解毒比が少なくとも100、好ましくは500、より好ましくは1000である場合;
(ii) 発熱物質試験で測定された解毒比が少なくとも50、好ましくは100、より好ましくは500である場合;または
(iii) D−ガラクトサミンマウスで測定された解毒比が少なくとも50、好ましくは100、より好ましくは200である場合。
解毒はまた、インビトロまたはインビボアッセイで、IL6、IL8およびTNFαのような炎症誘発性サイトカインの放出に対するLPSおよびLPS−ペプチド複合体の効果を比較して評価することもできる。これらのアッセイは、以下の実施例に例示する。LPS−ペプチド複合体が実施例のセクション5.4.1に記載するインビボアッセイでIL6分泌を少なくとも25倍、好ましくは少なくとも50倍、より好ましくは少なくとも75倍、最も好ましくは少なくとも100倍減少させる場合に有意な解毒が達成される。
本発明のLPS−ペプチド複合体は、有利には、1:1.5〜1:0.5、好ましくは1:1.2〜1:0.8、より好ましくは1:1.1〜1:0.9、最も好ましくは1:1のLPS:ペプチドモル比によって特徴付けられる。
本発明の複合体における使用については、LPSは、有利には、ナイセリア・メニンジティディス;イー・コリ;サルモネラ・ティフィ;サルモネラ・パラティフィ(Salmonella paratyphi);シゲラ・フレクスネリ(Shigella flexneri);ヘモフィルス・インフルエンゼ(Haemophilus influenzae);ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori);クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis);ボルデテラ・ペルツッシス;ブルセラ(Brucella);レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophia);ビブリオ・コレラ(Vibrio cholera);モラクセラ・カタラーリス(Moraxella catharralis);シュードモナス・エルジノーザ;エルシニア(Yersinia);およびクレブシエラ・ニューモニア(Kiebsiella pneumonia)のLPSである。
序論に記載したように、解毒されたLPSは、グラム陰性細菌感染症に対するワクチン剤として有用であり得る。
髄膜炎は、ウイルス起源または細菌起源の生命にかかわる疾患である。ヘモフィルス・インフルエンゼ(H. influenzae)およびナイセリア・メニンジティディスは、それぞれ、細菌性髄膜炎の約40および50%に関与している。ヘモフィルス・インフルエンゼに対するワクチン剤は10年以上もの間市販されているが、ナイセリア・メニンジティディスに対するワクチンは依然として必要とされている。
髄膜炎菌性侵襲性疾患は、脳および脊髄の髄膜の炎症(髄膜炎)または血液の全身感染(髄膜炎菌性敗血症または髄膜炎菌血症)のいずれかとして発現することがある。
髄膜炎菌は多糖類莢膜の構造に基づいて血清学的方法を用いて分類される。抗原的におよび化学的に異なる13種類の多糖類莢膜が記載されている。ほとんど全ての侵襲性髄膜炎菌性疾患は、5つの血清型:A、B、C、YおよびW−135によって引き起こされる。各血清型の相対的な重要さは、地理的位置に依存する。血清型Bは、温暖な国における髄膜炎菌性疾患の大部分に関与している。
血清型A、C、YおよびW−135に対する複合多糖類ワクチンは既に存在しているが、現在のところ、アメリカ合衆国およびヨーロッパにおいて蔓延している血清型に対するワクチンはない。実際には、menB疾患を予防するためのワクチン剤としての莢膜多糖の使用は問題を含んでいる。
したがって、完全に抗原性の特別に解毒された形態でのワクチン剤としてのナイセリア・メニンジティディスLPSの使用は、特に血清型Bに対する、望ましいワクチン接種率を提供することができる有望な代替物である。
上記序論に記載したように、ナイセリア類、ボルデテラ類、ヘモフィルス類およびモラクセラ類のようなグラム陰性非腸内細菌の細胞壁の主な構成成分は、真のLPSではなくてリポオリゴ糖(LOS)である。それにもかかわらず、この用途の目的で、LPSなる用語は、LOSを包含すると理解されるべきである。LOSは、LPSの特定のサブクラスを構成する。「髄膜炎菌性LPS」なる用語および「髄膜炎菌性LOS」なる用語は、同じ意味で用いられる。
図1は、ナイセリア・メニンジティディスLOSの構造の図式を示す。LOSは、KDOによってリピドAと結合している5〜10個の単糖類からなる分枝オリゴ糖によって構成されている。リピドA、ならびに2つのKDO、2つのヘプトース(HepIおよびII)およびN−アセチル化グルコサミン(GlcNAc)によって構成されている内部コアは、種内で保存されている。外部コアを構成するオリゴ糖鎖の残部(HepIに結合しているα−鎖;HepIIの3位に結合しているβ−鎖;およびHepIIの2位に結合しているγ−鎖)は、免疫型(IT)に従って可変である。
ナイセリア・メニンジティディスLPSは、一連のモノクローナル抗体との反応性に基づいて13種類の免疫型に分類することができる(Achtman et al, 1992, J Infect. Dis. 165: 53-68)。免疫型間の差異は、オリゴ糖鎖の組成および立体構造の違いによるものである。これは、下記表に見ることができる。
Figure 2008537749
上記表に示したように、ホスホエタノールアミン(PEA)は、LOS L1、L3、L7およびL8においてHepIIの3位でβ−鎖のGlcを置換する。PEAは、LOS L2、L4およびL6において6位または7位にて結合されている。LOS L2、L3、L4、L5、L5、L7はまた、α−鎖の末端ガラクトース(Gal)にてN−アセチルノイラミン酸でシアリル化することもできる。
免疫型L1〜L8は、血清型BおよびCと本質的に結合するが、免疫型L9〜L12は、主に血清型A内で見つけられる。
いずれのLOSも同等に解毒することができるが、これら後者はさらにワクチン用とすることを目的とするので本発明の複合体においてLOS L8を用いるのが有利である。実際には、LOS L8 α−鎖の完全な構造は、該構造がこれまでのところ同定された免疫型全てに共通している(Kahler & Stephens, 1988, Crit. Rev. Microbiol. 24:281)。
髄膜炎菌株は、しばしばいくつかの免疫型を発現するが、その存在は培養条件によって影響を受ける可能性がある。LOS L8に特別に関心があれば、主にL8免疫型を発現するか、またはより好ましくは排他的にそれを発現することが知られている株からこのLOSを抽出するのが望ましい。この目的を達成するために、血清型Aの株A1(2Eとも称される)、血清型Bの株M978(Mandrell & Zollinger, 1977, Infect. Immun. 16:471;Gu et al, 1992, J. Clin. Microbiol. 30:2047-2053;Zhu et al, 2001, FEMS Microbiol. Lett. 203:173)、血清型Bの株8680(Dominique Caugeant collection)および株8532(米国特許第6,476,201号)が適している。これらの株は、科学コミュニティーから入手できる(米国特許第6,531,131)。
LOS L8に対して特異的なモノクローナル抗体としては、Mab 2−1−18(Moran et al, 1994 Infect Immun. 62: 5290-5295;Mandrell et al, 1986, Infect Immun. 54: 63-69)、Mab 6E7−10(Braun et al, 2004, Vaccine 22: 898-908)、Mab 4387A5および4385G7(Andersen et al, 1995, Microb. Pathog. 19: 159-168;Gu et al(上記を参照))が挙げられる。
本発明の複合体における使用のために、LPSは慣用的な手段によって得ることができる;特に、グラム陰性細菌培養物から抽出することができ、次いで、古典的な方法に従って精製することができる。このような方法の多くの記載を文献中に見ることができる。この文献としては、とりわけ、Gu & Tsai, 1993, Infect. Immun. 61(5): 1873、Wu et al, 1987, Anal. Biochem.160:281および米国特許第6,531,131号が挙げられる(全て単に例示として挙げられる)。LPS調製物はまた、当該技術分野で周知の方法に従って定量化され得る。好都合な方法は、高速陽イオン交換クロマトグラフィー(HPAEC)PADを用いるKDO投与である。
LPSは、そのまままたは抱合した形態で本発明の化合物と複合体を形成することができる。LPS抱合体は、LPSを担体分子、例えば、ポリペプチドまたはペプチドに、直接共有結合を介してまたは化学的スペーサー/リンカー分子を使用して共有結合させることによって慣用的に製造することができる。担体分子の例としては、百日咳、ジフテリアまたは破傷風のトキソイド、およびナイセリア・メニンジティディスのOMP1またはOMP2/3のような外膜タンパク質(OMP)が挙げられる。このような抱合方法の記載は文献中に多く見ることができる。単に例示として米国特許第6,531,131が挙げられる。
抱合した形態で使用される場合、LPSは、有利には、本発明の化合物と複合体を形成する前に抱合される。いわゆる非抱合LPSも同様に適している。
本発明はまた、
− (i)グラム陰性細菌のLPSおよび(ii)本発明の化合物を混合することを含む、グラム陰性細菌LPSを解毒する方法;および
− (i)グラム陰性細菌のLPSおよび(ii)本発明の化合物を混合することを含む、LPS−ペプチド複合体の製造方法
に関する。
本発明の方法において使用するために、両方の成分は、有利には、液体媒体(適当には、水)中に存在する。LPS溶液および化合物溶液は、有利には、混合前に滅菌される。製造方法は、有利には、滅菌条件下で行われる。混合すると、該複合体を含有する沈殿物が形成される。それは、とりわけ、遠心分離によって回収することができ、必要に応じて1回または数回の洗浄工程を施すことができる。
上記のとおり、本発明のLPS−ペプチド複合体は、それらが哺乳動物に安全に投与され得る点で有用である。実際に、LPSは、投与後に副作用が生じなくなるほどまでに解毒される。一例として、ウサギの発熱物質アッセイにおいて1ng/mL/kg IV投与量を超える、好ましくは、10ng/mL/kg IV投与量の発熱閾値を示すLPS−ペプチド複合体が適している。別法として、または、加えて、LALアッセイに言及することができる。すでに、3,000〜5,000のLAL内毒素単位となるLPSを含有するワクチンがヒト投与について認可されているので(Frederiksen et al, 1991, NIPH Annals 14(2): 67)、本発明のワクチンの投与量は、安全には、5,000 LAL内毒素単位またはそれ以下、例えば、3,000未満、2,000未満、1,000未満または500未満のLAL内毒素単位未満を示すことができることを予想することができる。
一例として、LALアッセイにおいて例えば100内毒素単位(EU)/μgを示す複合体は、したがって、20μgの投与量での投与に対して受け入れられる。本発明の複合体は、50EU/μgよりも低い、しばしば、20EU/μgよりも低いLAL活性を示すことができるので、このことは本発明の複合体を用いて達成できる。
また、本発明のLPS−ペプチド複合体は、生理学的条件下であっても、安定である。「安定した」とは、複合体におけるLPSの解毒状態が、長期間、少なくとも3、6、12または18ヶ月間、一定のままであることを意味する。これは、すなわち上記アッセイのうちの少なくとも1つにおいて、間隔を置いて解毒比を評価することによってモニターすることができる。長期間、解毒比の有意な差異は観察されない。
本発明のLPS−ペプチド複合体はまた、それらがグラム陰性細菌に対する免疫応答を誘発することができる点で有用である。これは、哺乳動物、例えば、ウサギ、マウスまたはヒトへの複合体の投与、次いで、LPSに対して特異的な抗体(とりわけ、免疫グロブリンGまたはM)の存在を明らかにするための血清のELISA分析により示すことができる。有利には、該免疫応答(誘発された抗体)は、殺菌活性および/またはオプソニン活性を有することができる。
グラム陰性細菌感染症から保護することができる本発明の複合体によって誘発される免疫応答の能力は、現在のところ細菌種または疾患に対して特異的である適当な動物モデルにおいて評価することができる。特定の細菌または疾患に関する公知の動物モデルを選択することはワクチンの技術分野における当業者の技能の範囲内である。
一例として、ナイセリア・メニンジティディスから保護することができる本発明の複合体によって誘発される免疫応答の能力は、マウスの腹腔内感染モデルにおいて評価することができる(Schryvers et al, 1989, Infect. Immun. 57(8): 2425およびDanve et al, 1993, Vaccine 11(12): 1214)。複合体を投与した後のヒト血清の殺菌活性を測定することによってヒトにおいて評価することもできる。実際に、この試験は、少なくともナイセリア・メニンジティディス血清型Bからの保護の代用試験としての役割を果たすために提案された(Holst et al, 2003, Vaccine, 21:734)。4よりも高いかまたはそれと同等のヒト血清殺菌活性(SBA)力価は、保護と相関関係にあることを示した。
これに関連して、本発明はまた、
(i) グラム陰性細菌感染症の治療または予防のための、本発明のLPS−ペプチド複合体の使用;
(ii) 本発明のLPS−ペプチド複合体および医薬上許容される希釈剤または担体を含む医薬(ワクチン)組成物;
(iii) グラム陰性細菌感染症の治療または予防のための薬物の製造における本発明のLPS−ペプチド複合体の使用;
(iv) 哺乳動物に本発明のLPS−ペプチド複合体の有効量を投与することを含む、グラム陰性細菌LPSまたはグラム陰性細菌に対して哺乳動物における免疫応答を誘発させる方法;および
(v) 必要とする個体に本発明のLPS−ペプチド複合体の治療上有効量を投与することを含む、グラム陰性細菌感染症の治療または予防方法
に関する。
本発明のワクチン組成物は、慣用的な経路により、特に全身または筋肉内経路により、単回投与として、または1回または数回の反復投与として、例えば間隔を置いて2または3回、例えば1、2、3、6、10、12ヶ月間隔で投与することができる。本発明のワクチン組成物は、有利には液体形態で、慣用的に製剤化され得る。必要に応じて、本発明のワクチン組成物にアジュバントを加えることができる;しかしながら、本発明の複合体は、ワクチン組成物中のアジュバントの存在を必要としないように十分に免疫原性を示し得ることが示される。
適当な投与量は、当業者によって決定され得るように、種々のパラメーター、例えば、処置される個体(大人または子供)、投与の様式および頻度、ならびにLPS解毒状態に依存する。一般に、ヒトの大人への投与量は、10,000 LAL内毒素単位を超えるべきではない;有利には、8,000 LAL内毒素単位を超えるべきではない;好ましくは、5,000 LAL内毒素単位を超えるべきではない;より好ましくは、1,000 LAL内毒素単位を超えるべきではない;最も好ましくは、500 LAL内毒素単位を超えるべきではないことが示される。LALアッセイでは、本発明の複合体についての測定値は、一般に、10〜20EU/μgという低い値であり得る。したがって、投与量は、1〜500、有利には2.5〜100、好ましくは10〜50、より好ましくは15〜30μgを含有することができる。
慣例により、複合体の量は常にLPS含量として表される。したがって、例示として、「複合体50μg」とは、実際には、複合体調製物中のLPS 50μgを意味する。
以下に記載する実施例は、添付の図面を参照して本発明をさらに例示するものである。
図1Aは、ナイセリア・メニンジティディスのLPS L8の構造を示す。Kdoは、2−ケト,3−デオキシオクツロソン酸の略である;Hepは、ヘプトースの略である;Glcは、グルコースの略である;Galはガラクトースの略である;GlcNAcは、N−アセチル化グルコサミンの略である。
図1Bは、酢酸でのLPS処理後に生じる反応を示す。
図2A〜2Cは、本質的に、モノマー形態(2A)、平行ダイマー形態(2B)および逆平行ダイマー形態(2C)のSAEP2−L2ペプチドを含む組成物を用いて214nmで得たHPLCクロマトグラムを示す。軸は、時間(分)および吸光度単位(AU)である。
図3は、モノマー形態、平行ダイマー形態および逆平行ダイマー形態のSAEP2−L2ペプチドを含む組成物を用いて214nmで得たHPLCクロマトグラムを示す。
図4A〜4Cは、本質的に、モノマー形態(4A)、平行ダイマー形態(4B)および逆平行ダイマー形態(3C)のSAEP2−L2ペプチドを含む組成物を用いて得た1H NMRスペクトルを示す。それらの全てにおいて、1.9ppmでのピークは、該ペプチドが酢酸塩形態であることを示している。
図5A〜5Cは、図4A〜4Cの1H NMRスペクトルの6.5〜7.5ppmで構成される範囲の拡大図である。
図6は、モノマー形態、平行ダイマー形態および逆平行ダイマー形態のSAEP2−L2ペプチドを含む組成物を用いて得た1H NMRスペクトルの6.5〜7.5ppm領域を示す。
図7A〜7Cは、較正基準(7A)、平行ダイマー(7B)および逆平行ダイマー(7C)のMALDI−ToFスペクトルを示す。
図8は、酢酸処理により加水分解されたLPSのHPEAC−PADクロマトグラムを示す。
実施例1: SAEP2−L2平行ダイマーの製造
1.1. 合成
対応する線状モノマーの合成は、Atheron & Shepard: in Solid phase peptide synthesis, 1989, IRL press, Oxford U.によって報告された選択されたペプチド配列の最初のアミノ酸の選択に従って適当に活性化されている樹脂支持体(例えば、ポリオキシエチレングリコール活性化ポリスチレン、または活性化ポリアクリルアミド)を含有するカラムを用いて操作するコンピューターによる自動合成装置Milligen 9050(Millipore Inc.)を使用して固相上にて行われる。
合成サイクルは、報告された線状配列に従って段階的に進む。それは、純粋な溶媒ジメチルホルムアミド(DMF)中にて行われる。端が保護されている活性化アミノ酸を使用する。
10位のCys残基(Cys−10)のチオール基を酸不安定性基トリチル(トリフェニル−メチル誘導体、Trt)で保護する。4位のCys残基(Cys−10)のチオール基を酸耐性基S−アセトアミド−メチル(Acm)で保護する。
アミノ酸は全てO−ペンタ−フルオロフェニル−リン酸エステル(O−Pfp−誘導体)によって−COOH側にて活性化される。それらは、9−フルオレニル−メチルオキシ−カルボニルエステル(Fmoc−誘導体)によって−NH2側にて一時的に保護される。
合成した後、2〜5%(v/v)のスカベンジャーエタンジチオールの存在下にてTFA 95%を使用して保護ペプチドを樹脂支持体から開裂する。これらの条件下で、Cys−10のチオール基は脱保護されるが、一方、Cys−4のチオール基はAcm保護されたままである。遊離Acm保護ペプチドを真空蒸発により濃縮し、次いで、最終濃度80%(v/v)でエーテルを用いて沈殿させることにより回収する。
Cys−4保護、Cys−10脱保護ペプチドを真空乾燥させ、次いで、1〜10mg/mLの濃度で水に溶解し、0.1Mアンモニア水を用いてpH7.50に調整する。Cys 10残基を介するダイマー化を行うために、次に、1気圧下にて4℃で18〜24時間、該水溶液を強く撹拌することによって酸化が行われる。チオール基の完全な酸化は、エルマン比色分析によって測定される。
次いで、1〜10mg/mLの濃度の溶液中の部分酸化ペプチドを、残存するCys−4 S−Acm官能基の脱保護のために処理する。この目的を達成するために、スカベンジャーとして2〜5%(v/v)のフェノールを使用して該ペプチド溶液を0.1Mの最終濃度で酢酸第二水銀と一緒に加える。該溶液を再度1気圧下にて20℃で18〜24時間強く撹拌する。チオール基の完全な酸化は、エルマン比色分析によって測定する。
1.2. 精製
ペプチド調製物に含まれる低分子量分子(スカベンジャー、酢酸第二水銀など)を除去するために、該ペプチド調製物を1気圧下にて操作される逆相カラムSep−Pack(Millipore)に適用する。水性溶媒中、該ペプチドは疎水力によりカラム上に保持されるが、一方、水溶性の低分子量分子は全て流水と共に流れる。次いで、50〜70%(v/v)のメタノール−水混合液によって該ペプチドを溶離する。アルコール性溶媒中の溶離したペプチドを真空濃縮により回収し、再度、所望の濃度で水に溶解する。
HPLC操作型逆相C18カラム(寸法=250×4mm)にて溶媒A(水中0.1%TFA(トリフルオロ酢酸))および溶媒B(水中80%酢酸ニトリル)の0〜100%直線勾配液を使用して最終精製を行う。これらの条件下で、平行ダイマーは単一の鋭いピークとして溶出する。ピークフラクションを回収する。
該調製物を凍結乾燥形態で、中性ガス、アルゴンまたは窒素下で、+2〜+6℃にて保持する。
1.3. 精製ペプチドの特徴付け
1.3.1. アミノ酸組成物
Pico−Tag法(Millipore)によりアミノ酸組成物を分析する。結果を下記表に示す。
Figure 2008537749
1.3.2. 分子量
イオンサイクロトロン共鳴(ICR)により分子量を測定する。測定値は2,387.33±0.3AMUであり、該ペプチドの元素構造C11019024264と一致する値である。
実施例2: SAEP2−L2モノマーおよび逆平行ダイマーの調製
2.1. 合成
システイン残基のチオール基を保護するために別の方法を使用する以外は実施例1と同様に線状モノマーの合成を行う:Cys−4および−10の両方をそれらの−SH基のところで酸不安定性基トリチル(トリフェニル−メチル、Trt)により保護する。
2〜5%(v/v)のスカベンジャーエタンジチオールの存在下にてTFA 95%により保護ペプチドを樹脂支持体から開裂する。これらの条件で、Cys−4および−10の両方の残基のチオール基を脱保護する。次いで、開裂され脱保護されたペプチドを真空蒸発により濃縮し、80%(v/v)エーテルを用いて沈殿させることにより回収する。
脱保護ペプチドを1〜10mg/mLの濃度で水に溶解し、0.1Mアンモニア水を用いてpHを7.50に調整する。
次いで、1気圧下にて4℃で18〜24時間、該水溶液を強く撹拌することにより酸化を行う。チオール基の完全な酸化はエルマン比色分析によって測定される。
2.2. ペプチドの精製
溶液中の該ペプチドは、実際に、環状モノマー(約40%)および逆平行ダイマー(約60%)の混合物を構成する。各形態を分取逆相HPLCクロマトグラフィーによって精製する。実際に、これらの形態はそれぞれ単一の鋭いピークとして異なる保持時間で溶出するので環状モノマーと逆平行ダイマーを分離することができる。逆平行ダイマーは短い保持時間で溶出する。これは、2つのダイマーの異なる分子対称と一致する。逆平行ペプチドは、いずれもの他の異性体の「トランス」対「シス」立体構造と同様に、側鎖の低い内部立体障害によって水性溶媒中で低い最小エネルギーを呈することができる。
全ての調製物を凍結乾燥形態で、中性ガス、アルゴンまたは窒素下で、+2〜+6℃にて保持する。
2.3. 逆平行ダイマーの特徴付け
2.3.1. アミノ酸組成物
Pico−Tag法(Millipore)によりアミノ酸組成物を分析する。結果を下記表に示す。
Figure 2008537749
2.3.2. 分子量
イオンサイクロトロン共鳴(ICR)により分子量を測定する。測定値は2,387.30±0.3AMUであり、該ペプチドの元素構造C11019024264と一致する値である。
実施例3: HPLC−逆相、NMRおよびMALDI−ToF質量分析によるモノマー、平行および逆平行ダイマーのさらなる特徴付け
HPLC−逆相(図2A〜2C)およびNMR(図4A〜4Cおよび5A〜5C)によって、実施例1で調製した平行ダイマーペプチドならびに実施例2で調製したモノマーペプチドおよび逆平行ダイマーペプチドを特徴付ける。
3.1. HPLC−逆相による特徴付け
実験条件
この技術は、データ収集のためにMilleniumソフトウェア32 V30501(WatersTM)を使用してHPLCチェーン(WatersTM)にて行う。分析カラムMacherey NagelTM ref 720014.6(Nucleosil 5μm C18 100Å 250×4.6mm)を25℃で操作する。
各凍結乾燥ペプチド30〜40μgをまず水30μlで希釈し;それに水中0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)30μlを添加する。
各ペプチドの粉末調製物40μgを水60μl中にて混合し、それに水中0.1%TFA60μlを添加することによってモノマー、平行ダイマーおよび逆平行ダイマーペプチドの混合物もまた調製する。
20%移動相B(水中0.1%のTFA、80%のCH3CN)を使用してカラムを平衡させる。試料を平衡カラムに加えた後、該相Bを1mL/分の流速で40分間以内に20%から60%へ(1%B/分)勾配させる。
214nmで検出を行う。結果を図2A〜2Cに示す。
結果
各ペプチドは異なる保持時間で溶出する。上記実験条件下で、溶出は以下の保持時間(RT)で生じる:
− モノマー:RT=28.283分
− 平行ダイマー:RT=29.708分
− 逆平行ダイマー:RT=22.059分
各ペプチド調製物の純度を確認するためにHPLC−RP技術を使用する。ピーク面を積分することにより各ペプチドの相対的な純度を算出する。それは、ペプチドピーク面/全ピーク面として表される。
図2A〜2Cには、モノマーならびに平行および逆平行ダイマー調製物がそれぞれ98、96.9および97%の純度を示すことが示される。
図3は、混合物のHPLCクロマトグラムを示す。
3.2. NMRによる特徴付け
実験条件
2O/D2O混合物(90/10 v/v)で希釈したペプチドの試料を使用して、1H NMR分析(500MHz、25℃、HOD予備飽和)を行う。BrukerTM DRX500分光計および付随のデータ収集用ソフトウェアを使用する。
さらに詳しくは、−70℃に保持されたペプチド調製物を分析に用いる。1.33gをH2O 1mLで希釈して0.5mMのダイマーペプチド溶液を調製する。3mm NMR管中にて、該溶液144μlをD2O 99.9% D 16μlと混合する。較正のために、H2O/D2O混合液(90/10 v/v)中0.075%(w/w)TSP−d4(3−(トリメチルシリル)プロピオン酸ナトリウム塩−2,2,3,3−d4;Aldrich ref 29304−0)の外部溶液を使用する。TSP−d4の固有の共鳴シグナルが0ppmとなるように分光計を較正する。
結果
使用した実験条件下で、モノマーおよびダイマーの1H NMRスペクトルは、0〜9.5ppmの範囲を網羅しており、3つの主要な領域:
− 6.5〜7.5ppm;
− 5.5〜2.5ppm;および
− 2〜0.3ppm
からなる。これは図4A〜4Cに示される。
モノマーの1H NMRスペクトルは、上記実験条件下で、7.25〜7.45ppmの間に予想される5つの芳香族プロトンのNMRパターンを特徴とする。図5Aに示される実験では、このNMRパターンは、それ自体、3Hに対応する積分曲線をもつ7.25から7.35ppmまでの最初の多重線および2Hの積分曲線をもつ7.39ppmに中心がある2番目の多重線(偽三重線)からなる。この後者のシグナルは、モノマーだけの特徴である。
平行ダイマーの1H NMRスペクトルは、4つの芳香族プロトンに対応する7.10〜7.25ppmの間の二重線シグナルおよび6Hの積分曲線をもつ7.25〜7.40ppmの間の多重線を特徴とする。図5Bに示される実験では、4H二重線は、7.185ppmに中心があることが判明する(図は7.18および7.19ppm)。
逆平行ダイマーの1H NMRスペクトルは、6.95〜7.10ppmの間の4つの芳香族プロトンの二重線シグナルおよび6Hの積分曲線をもつ7.10〜7.30ppmの間の多重線を特徴とする。図5Cに示される実験では、4H二重線は、7.025ppmに中心があることが判明する(図は7.02および7.03ppm)。
図4Cに示されるように、逆平行ダイマーの1H NMRスペクトルは、また、(i)0.40〜0.65の間(二重線)および(ii)0.70〜0.85ppmの間(二重線)で予想される2つの高磁場メチル性共鳴を特徴とする。一の実験では、これらの二重線は、0.42および0.68ppmに中心があることが判明する。それらは、モノマーでも平行ダイマーでも観察されない。
3.3. MALDI−ToF質量分析による同定
MALDI−ToF(マトリックス支援レーザー脱離イオン化−飛行時間型)質量分析による分析により、ペプチドのモノアイソトピック質量を測定することができる。この技術は、逆平行ダイマーと平行ダイマーとを識別しない。
実験条件
ポジティブレフレクターモードでBiflex III質量分析計(BrukerTM)および付随のソフトウェアを使用してMALDI−ToF分析を行う。ペプチドを、レーザーエネルギーを吸収するマトリックス(αシアノ−4−ヒドロキシ桂皮酸)と混合する。
分光計は、合成ペプチド(ACTH 18−39(副腎皮質刺激ホルモンフラグメント18−39)、ボンベシンおよびソマトスタチン28)の混合物を用いて外部から較正する。
HCCA 50mgを水中70%ACN(アセトニトリル)0.1%TFA(トリフルオロ酢酸)300μlで希釈して飽和HCCAマトリックス溶液を調製する。
また、水中30%ACN、0.1%TFAでvol:vol希釈してHCCA半飽和溶液を調製する。
較正のために、まず、一次標準溶液を0.1%TFA中にて調製する。それらは以下のとおりである:
− 副腎皮質刺激ホルモンフラグメント18−39(ACTH 18−39): 100ピコモル/μl(0.247mg/mL);
− ボンベシン: 100ピコモル/μl(0.160mg/mL);および
− ソマトスタチン28: 100ピコモル/μl(0.31mg/mL)。
二次標準溶液を以下のとおり調製する:
− ACTH(100ピコモル/μl) 2μl
− ボンベシン(100ピコモル/μl) 4μl
− ソマトスタチン(100ピコモル/μl) 4μl
− ACN30%、TFA0.1% 50μl
水中1mg/mLのペプチド溶液を水中30%ACN、0.1%TFAで0.02mg/mLに希釈する。
較正およびペプチド試料をHCCA半飽和溶液でvol:vol希釈する。約1μlの液滴をスチール製ターゲット(BrukerTM)上に置き、蒸発により乾燥させる。
結果
結果は図7A〜7Cに示される。
アミノ酸配列に基づいてソフトウェアにより算出された理論的モノアイソトロピック質量は以下のとおりである:
ACTH 28 M+H+=2465.199Da
ボンベシン M+H+=1619.823Da
ソマトスタチン28 M+H+=3147.471Da
SAEP2−L2 M+H+=2388.35Da。
対照に対して保持される標準は、理論的質量の±2Daで確立した。
図7Aに示されるように、較正ペプチドに対して得られた実験値は、それぞれ、2465.225、1619.814および3147.454Daである。したがって、内部測定偏差は、(0.026+0.009+0.017)/7232.493=7.2ppmである(認可<50ppm)。
図7Bおよび7Cに示されるように、平行および逆平行ダイマー調製物について得られた実験値は、2388.449および2388.532 Daである。これらの値は、理論値の範囲の中央にある同一性域(+2Da)内である。これは、試料が予想されるものを含んでいることを意味する。
実施例4: LPS L8/ペプチドI”複合体/凝集体の調製
4.1. LPS L8の調製
4.1.1. 髄膜培養物
前培養: L8フォーム下で排他的にLPSを発現することが知られているナイセリア・メニンジティディスA株からの実験用種子の凍結試料2mLを使用して、グルコース水溶液(500g/l)4mLを加えたMueller−Hintonブロス(Merck)200mLを含有する2リットルのエルレンマイヤーフラスコに播種する。この操作を4回繰り返す。エルレンマイヤーフラスコを撹拌しながら(100rpm)36±1℃で10±1時間インキュベートする。
培養: エルレンマイヤーフラスコ内容物を一緒に集め、前培養物にグルコース水溶液(500g/l)400mLおよびアミノ酸溶液800mLを加える。この調製物を使用して、約0.05の初期OD600nmで30リットルの発酵槽(B.BraunTM)中にてMueller−Hintonブロスを播種する。発酵は、36℃、pH6.8±0.2、100rpm、pO2 30%、および培養物1Lあたり0.75リットル/分の空気の初期流速で一夜行われる。7±1時間後(OD600nm約3へ)、該培養物にMHブロスを440g/時の流速で供給する。グルコース濃度が5g/lよりも低くなると、発酵は止まる。通常、最終OD600nmは、20から40の間である。4℃で7000gにて1時間30分の遠心分離により細胞を回収する。ペレットを−35℃で冷凍し続ける。
4.1.2. LPSの精製
一次フェノール抽出
ペレットを解凍し、3倍容量の4.5%(v/v)フェノールで懸濁し、約5℃で最低4時間、強く撹拌する。
細菌懸濁液を65℃で加熱し、次いで、65℃で90%フェノールとv/v混合する。懸濁液を65℃で50〜70分間、強く撹拌し、次いで、約20℃に冷却する。
懸濁液を約20℃で11000gにて20分間遠心分離する。水性相を回収し、保持する。フェノール相および中間相を回収し、二次抽出にかける。
二次フェノール抽出
フェノール相および中間相を65℃で加熱し、先に回収した水性相の容量と同量の水と混合する。該混合物を65℃で50〜70分間、強く撹拌し、次いで、約20℃に冷却する。該混合物を約20℃で11000gにて20分間遠心分離する。水性相を回収し、保持する。フェノール相および中間相を回収し、三次抽出にかける。
三次フェノール抽出: 二次抽出の方法を繰り返す。
透析
3つの水性相を別々に水40リットルに対して一夜透析する。該透析液を一緒にプールする。透析液プールをTris 20mM、MgCl2 2mM(透析液プール9容量あたり1容量)で調整する。4N NaOHでpHを8.0±0.2に調整する。
DNAse処理
処理した細菌ペレット1g(湿重量)あたり250UIのDNAseを加える。該調製物を37±2℃で55〜65分間撹拌する。pHを6.8±0.2に調整する。該調製物を0.22μm膜で濾過する。
ゲル濾過: 調製物をSephacryl S−300カラム(5.0×90cm;PharmaciaTM)で精製する。
一次アルコール沈殿
一緒にプールしたLPS含有フラクションにMgCl2・6H2O粉末を加えて、MgCl2を0.5Mの濃度にし、撹拌しながら溶解する。
5±3℃で撹拌しながら、無水アルコールを加えて最終濃度55%(v/v)にする。5±3℃で一夜撹拌を行い、次いで、5±3℃で5,000gにて30分間遠心分離する。上清を廃棄し、ペレットを二次抽出にかける。
二次アルコール沈殿
ペレットを撹拌しながら少なくとも100mLの0.5M MgCl2で再懸濁する。
先の手順を繰り返す。ペレットを少なくとも150mLの水で再懸濁させる。
最終工程: ゲル濾過を繰り返し、一緒にプールしたLPS含有フラクションを最後に濾過(0.8〜0.22μm)により滅菌し、5+3℃で保持する。
予備対照として、LPS調製物をSDS−PAGE電気泳動により分析する。硝酸銀染色により、単一の大きいバンドが示される。これは、少なくとも、該調製物がLPS L8以外のものを含有していないことを示している。
記載した精製工程により、培養物1リットルにつき約150mgのLPS L8が得られる(収率:約50%)。
4.1.3. LPS L8定量化: HPAEC−PADを用いるKDO量
この技術の参考文献は、Kiang et al, (1997) Determination of 2-keto-3-deoxyoctulosonic acid (KDO) with high performance anion exchange chromatography (HPAEC): Survey of stability of KDO and optimal hydrolytic conditions, Anal. Biochem. 245:7である。
図1A〜1Bに示すように、LPSは、その構造中に2つのKDO単位を含んでおり、1つは、側部にある。
LPS定量化は、軟らかい酸加水分解で遊離した側部KDO単位の量を介して行われる(図1Bを参照)。
酸加水分解
セクション4.1.2.の最後のダイアフィルトレーション後に得られたLPS調製物の試料を回収し、DionexTM 1.5mLフラスコ中にて最終容量400μlとなるように水で希釈して、該試料のLPS濃度を較正範囲(1.4〜72.1μg/mL)下とする。
定量しようとしている試料およびKDO較正範囲は、以下のとおり処理される:加水分解溶液(酢酸5%;グルクロン酸(GlcA)20μg/mL)100μlを加える。加水分解を100℃で1時間行う。次いで、フラスコを窒素下にて40℃で乾燥させ、水400μlで満たす。

この技術は、データ収集のためにChromeleon DionexTMソフトウェアを用いてHPAECチェーン(DionexTM)にて行われる。分析用カラムCarbopac PA1 4×250mm(DionexTM)を30℃で操作する。
該カラムを溶離溶液(75mM NaOH、90mM AcONa)で平衡させる。試料100μlをカラムに注入する。次いで、該カラムを1mL/分の溶離流速で22分間処理する。
LPS試料のクロマトグラムは図8に示される。試料中に存在するKDOの量は、KDOピークの積分により測定される。加水分解により遊離した1つのKDO分子が1つのLPS分子に対応するので、初期調製物のLPS濃度を測定することができる。
4.2. ペプチドの調製: 上記実施例1および2に記載の方法に従ってペプチドを調製する。
4.3. LPS L8/ペプチドI”複合体/凝集体の調製
精製したLPSを、滅菌発熱物質不含水(Milli Q品質、pH7.2に調整、Limulus陰性)中1mg/mLで偽溶液として使用する。半透明の偽溶液を0.22μm膜を用いる濾過により滅菌する。
滅菌発熱物質不含水(Milli Q品質、pH7.2に調整、Limulus陰性)中1mg/mLのペプチドSAEP2−L2の溶液もまた0.22μm膜による濾過により滅菌する。
次工程は全て、滅菌条件下にて行われる。
LPS偽溶液1容量をペプチドSAEP2−L2の溶液1容量に加える。沈殿物(エンドトキソイド複合体)がすぐに出現する。室温で5分間、撹拌を行う。沈殿物を+4℃で一夜放置する。
次いで、3000rpmで10分間遠心分離することにより沈殿物(エンドトキソイド)を回収する。上清を廃棄する。
該ペレットを滅菌発熱物質不含水(Milli Q品質、pH7.2に調整、Limulus陰性)1容量で洗浄する。遠心分離/洗浄工程を5回繰り返す。
最後に、該ペレットを、沈殿物の湿重量に基づいて約1mg/mLの濃度でpH=7.2の滅菌発熱物質不含水(Milli Q品質)に再懸濁させる。懸濁液を+4℃で貯蔵する。KDO量からLPS含量を測定し、懸濁液を、例えば、複合体0.50mg/mL(LPS含量として表した)に調整する。
以下の実施例で試験したLPS−ペプチド複合体は、別の指示がない限りセクション4.3で得られたLPS−逆平行ダイマー複合体である。したがって、この特定の複合体を単にLPS−ペプチド複合体と称する。
同様に、セクション4.2で得られたLPSを単にLPSと称する。
LPSおよびLPS−ペプチド複合体の比較は、該複合体の調製にも使用されるLPSロットを使用して行われる。
実施例5: LPS−ペプチド複合体の解毒の評価
解毒を評価するためにいくつかのアッセイを用いる。
5.1. Limulusアメーバー様細胞ライセート(LAL)アッセイ
このアッセイでは、SAEP2−L2逆平行および平行ダイマーならびにSAEP2−L2環状モノマーのLPSを解毒する能力を比較する。そのために、LPS−逆平行ペプチド複合体について実施例4で報告されているように、平行ダイマーまたはモノマーを含むLPS−ペプチド複合体を正確に調製する。
LALは、グラム陰性細菌の内毒素を検出し定量化するために用いられる非常に感度が高い試験である。該試験は、内毒素の存在下で凝集を誘発するカブトガニ(Limulus polyphemus)由来のアメーバー様細胞ライセートタンパク質の性質に基づいている。
LPS内毒素活性の評価は、欧州薬局方に従って、エンドポイント発色技術[欧州薬局方技術(5.0版、パラグラフ2.6.14)に記載されている]を用いることによって行われる。そのために、キットQCL−1000 ref 50−647U(Cambrex−BioWhittakerTM)(キットの直線ゾーン: 0.1〜1UI/mL)および正の対照(イー・コリ(E. coli)内毒素、4 103 EU/mL、Sigma)を使用する。
希釈バッファー(Cambrex−BioWhittakerTM)を用いて(i)被験試料、(ii)標準および(iii)正の対照の希釈を行って、個々の範囲:1/10〜1/105;0.5〜0.031EU/mLおよび1/104〜1.8 104を網羅する。
96平底ウェルELISAプレートのウェル1個あたり50μlの試料、標準および正の対照希釈液を配る。37℃で10分間、インキュベーションを行う。次いで、p−ニトロアニリン発色基質100μlを加える。37℃で6分間インキュベーションを行う。水中25%の氷酢酸100μlを加えて発色反応を停止させる。405nmでの分光測定によりプレートを測定する。
結果を複合体1μgあたりの内毒素単位(EU)で表す。それらを下記表に示す。LPS/LPS−ペプチド複合体比によって解毒比を確立し、対数単位で表すことができる。
Figure 2008537749
SAEP2−L2ペプチドのダイマー形態は、LPSの解毒において環状モノマー形態よりも有効であることが判明する。
5.2. ウサギにおける発熱物質試験
ウサギは、ヒトと等価なLPSの発熱作用に対する感受性をもつ動物種であることが知られている。発熱物質試験は、被験物質の滅菌溶液の静脈(IV)注射によってウサギ3羽に生じた体温の上昇を測定することからなる。欧州薬局方(5.0版、パラグラフ2.6.8)に従って試験、測定および算出を行う。温度上昇は、温度の総応答に応じて解明される:総応答が1.15℃を超えない場合には適合であり;総応答が2.65℃を超える場合には不適合である。このケースでは、以下、発熱閾値を1.15℃〜2.65℃に設定する。
判明するように、ウサギにおける限界発熱物質投与量(IV)は、0.025ng/kg(LPS)および10〜25ng/kg(LPS−ペプチド複合体)に相当する。これらの結果は、静脈内経路によって投与された場合には、LPS−ペプチド複合体はLPSよりも弱い発熱物質であることを示している。この試験で測定されたように、解毒比(LPS−ペプチド複合体/LPS)は、400〜1,000である。
5.3. 急性毒性アッセイ: D−ガラクトサミン感作マウスにおけるLD50
このアッセイの参考文献としては、とりわけ、Galanos et al, 1979, PNAS 76: 5939;Baumgartner et al, 1990, J. Exp. Med. 171(3): 889および米国特許第6,531,131号が挙げられる。
8週齢の雌性近交系マウスのグループに、腹腔内(IP)経路によってD−ガラクトサミン(15mg/0.2mL)で処置した直後に(LPSの毒性は、モデルの感受性を非常に高くするD−ガラクトサミン処置で約1,000倍高くなる)、LPSまたはLPS−ペプチド複合体の投与量を漸増させながらIP経路(0.5mL)によって注射する。次いで、4日間の間、死亡率を追跡する。
LPSを用いて観察されたLD50はマウス1匹あたり3.6ng(マウス1匹あたり1.91〜6.70ng)である;一方、LPS−ペプチド複合体を用いて観察されたLD50はマウス1匹あたり1μg(マウス1匹あたり0.2〜5μg)であり、これは、解毒比(LPS−ペプチド複合体/LPS)が約250(100〜1000)であることを示している。
5.4. ペプチドと複合体形成した場合のLPSの炎症誘発作用の減弱化
LPS−ペプチド複合体がLPS誘発毒性作用を減弱することができる程度を評価するために、LPS−ペプチド複合体の炎症誘発性サイトカインの放出に対する効果をインビトロアッセイおよびインビボアッセイにてモニター(評価)する。
インビボ: LPSまたはLPS−ペプチド複合体で免疫化したマウスの血清中でのサイトカイン(IL6およびTNFα)放出をELISAで比較する。これらのサイトカインの放出の最適時期であるSC免疫化の90分後に血液試料を採取する。C3H/HeOuJ、TLR4−−/−−、C3H/HeNおよびCD1マウス系統を試験する。最初の2つは、LPSにもLPS−ペプチド複合体にも感受性を示さない。3つ目と4つ目は、共にLPS感受性があることが判明している。CD1マウスは、他のものよりもLPS−ペプチド複合体感受性が高いことが判明しており、したがって、最も過酷な条件を維持するさらなる実験のために選択される。
インビトロ: 様々な濃度のLPSまたはLPS−ペプチド複合体を用いて37℃で24時間刺激したヒト全血球細胞培養物からのサイトカイン(IL6、IL8およびTNFα)放出を比較する。
5.4.1. インビボアッセイ
CD1マウスに、(i)LPS 10μgまたは(ii)LPS−ペプチド複合体10μgを、皮下(SC)投与する。注射の90分後に採血する。ELISAにより血清中にてIL6およびTNFα放出を測定する。
サイトカイン分泌のELISA検出
それぞれ捕捉抗体(抗マウスサイトカイン)、検出抗体(ビオチン化抗マウスサイトカイン)、アビジン−西洋ワサビペルオキシダーゼ複合体および標準(組換えサイトカイン)(いずれもPharmingenから)を含んでいるOptEIAマウスIL6およびTNFαセット(Pharmingen)を用いてELISAを行う。
抗マウスIL6およびTNFα抗体を0.1M炭酸塩バッファーpH9.5(Sigma)で1/250に希釈する。各アッセイについて、Maxisorp NUNC 96平底ウェルELISAプレートのウェル1個につき抗体希釈液100μlを分配する。プレートを+4℃で一夜インキュベートする。
プレートをPBS 0.05% Tween 20中で洗浄する。次いで、ウェル1個につき200μlのPBS、0.5%ウシ血清アルブミン(BSA)飽和バッファーを加える。室温で1時間インキュベートする。プレートをPBS 0.05% Tween 20で洗浄する。
(i)4,000pg/mL〜62.5pg/mLの範囲内でRPMI培地1% FCS 10%で組換えIL6またはTNFαサイトカイン希釈液を調製する(標準)。ウェル1個につき各希釈液100μlを分配して、標準曲線を作成する。
RPMI培地P.S. glu 1% FCS 10%で血清希釈液を調製する。LPSを注射したマウスの血清を1/25および1/125に希釈する。LPS−ペプチド複合体を注射したマウスの血清を1/5および1/25に希釈する。ウェル1個につき各希釈液100μlを分配する。
室温で2時間インキュベートする。
プレートをPBS 0.05% Tween 20で洗浄する。ビオチン化抗マウスサイトカイン抗体および酵素をそれぞれPBS 10%ウシ胎仔血清で1/250に希釈する。ウェル1個につき各希釈液100μlを加える。室温で1時間インキュベートする。
プレートをPBS 0.05% Tween 20で洗浄する。テトラメチルベンジジン(TMB)基質(vol/vol混合したTMB溶液AおよびB(KPL))100μlをウェルに分配する。室温で10〜30分間インキュベートする。
ウェル1個につき1M H3PO4 100μlを加えることによって反応を停止させる。プレートを450nmで測定する。結果は下記表に示される。
Figure 2008537749
ペプチド単独は、IL6もTNFαも誘発しない。LPS−ペプチド複合体は、約100倍の解毒が可能である(IL6分泌を100倍減少させる)。
5.4.2. インビトロアッセイ
試験物質の調製
LPS調製物(1mg/mL)およびLPS−ペプチド複合体(500μg/mL)をそれぞれ10mM Tris、NaCl 150mM、0.05% Tween 20、5%シュークロースで50μg/mLの濃度に希釈する。それらをさらに生理食塩水で5μg/mLの濃度に希釈する。
各試験物質についてAIM−V培地(Gibco(Invitrogen))で2.56 10-3pg/mLの濃度まで段階1/5希釈を行う。
刺激
ヘパリンナトリウム(25,000U/5mL;sanofi-synthelabo)上に回収したヒト血液をAIM−V培地で1:4(vol:vol)に希釈し、MicronicsTM管中に分配する(400μl/管)。試験物質の希釈液100μlを加える。ペプチドおよびバッファー対照を1/20希釈液で試験する。管を5%CO2の湿雰囲気中にて37℃で24時間インキュベートする。
血清回収
次いで、管を500gで10分間遠心分離する。各管から少なくとも200μlの上清を回収し、滴定するまで−80℃で冷凍し続ける。
サイトカイン分泌のELISA検出
それぞれ捕捉抗体(マウス抗ヒトサイトカイン)、検出抗体(ビオチン化マウス抗ヒトサイトカトイン)、アビジン−西洋ワサビペルオキシダーゼ複合体および標準(組換えサイトカイン)を含んでいるPharmingenからのOptEIAヒトIL6、IL8およびTNFαセットを使用してELISAを行う、
抗ヒトIL6、IL8およびTNFα抗体を0.1M炭酸塩バッファーpH9.5(Sigma)で1/250に希釈する。各アッセイについて、Maxisorp NUNC 96平底ウェルELISAプレートのウェル1個につき抗体希釈液100μlを分配する。プレートを+4℃で一夜インキュベートする。
プレートをPBS 0.05% Tween 20で洗浄する。次いで、ウェル1個につき200μlのPBS、0.5%ウシ血清アルブミン(BSA)飽和バッファーを加える。室温で1時間インキュベートする。プレートをPBS 0.05% Tween 20で洗浄する。
(i)1,200pg/mL〜18.75pg/mL;(ii)800pg/mL〜12.5pg/mL;および(iii)1,000pg/mL〜15.87pg/mLの各範囲内でAIM−V培地で組換えIL6、IL8またはTNFαサイトカイン希釈液を調製する(標準)。ウェル1個につき各希釈液100μlを分配して、標準曲線を作成する。
AIM−Vで血清希釈液を調製する。LPSで刺激した血液から回収した血清を1/25および1/125に希釈する。LPS−ペプチド複合体と接触させた血液から回収したものを1/5および1/25に希釈する。ウェル1個につき各希釈液100μlを分配する。
室温で2時間インキュベートする。
プレートをPBS 0.05% Tween 20で洗浄する。ビオチン化抗ヒトサイトカイン抗体および酵素をそれぞれPBS 10%ウシ胎仔血清で1/250に希釈する。ウェル1個につき各希釈液100μlを加える。室温で1時間インキュベートする。
プレートをPBS 0.05% Tween 20で洗浄する。テトラメチルベンジジン(TMB)基質(vol/vol混合したTMB溶液AおよびB(KPL))100μlをウェルに分配する。室温で10〜30分間インキュベートする。
ウェル1個につき1M H3PO4 100μlを添加することにより反応を停止させる。450nmでプレートを測定する。
結果
生の結果およびサイトカイン放出曲線=f(LPSまたは複合体の濃度)では、異なる試料の比較はできない。解毒比の算出は、血液ドナー間および試験間の変動を排除することができる。解毒比の算出には該曲線の直線部分だけを考慮する。超えた場合に直線的な進行がもはや観察されなくなるIL6最大放出を測定し、次いで、この最大値の50%を誘発するのに必要な物質の量が直線回帰によって算出される。
解毒比は、IL6最大放出の50%を誘発するLPS−ペプチド複合体の濃度(pg/mLで表すED50)のLPSを用いて観察されたものに対する比率として表される。比率が高いほど、解毒は強い。解毒比は、いくつかの独立したドナーの全血を使用して統計学的に測定されるので、結果の平均を出す。
LPS−ペプチド複合体を用いて観察された解毒比を数回測定する。IL6放出アッセイにおいて得られた6つの値からの平均データ:64±20。
IL6放出は、TNFαおよびIL8分泌と相関関係にある。したがって、LPS−ペプチド複合体を用いて観察される炎症減少を慣用手段で評価するためにIL6放出アッセイを選択する。
5.5. 結論
解毒比は、試験に応じて102から103の間で測定される。解毒値を下記表に要約して示す。
Figure 2008537749
実施例6: LPSペプチド複合体安定性試験
LPS−ペプチド複合体の安定性を6ヶ月間試験し、2つのアッセイ(LALおよびhuPBMCによるインビトロIL−6放出)で解毒比を測定することによって評価する。ウサギにおける発熱物質試験を行うこともできる。
6.1. 処方LPSペプチド複合体のインビトロ安定性
処方LPS−ペプチド複合体の安定性を5℃で6ヶ月間追跡する。測定は、0日目、90日目および180日目(6ヶ月目)に行う。結果は以下のとおりである。
Figure 2008537749
IL6放出試験における解毒比は、3ヶ月後および6ヶ月後は有意に異ならず、これは、LPS−ペプチド複合体(ペプチドと複合体形成したLPS)の安定性が5℃で6ヶ月後に解毒され続けていることを示している。
6.2. 生理学的液体中のLPSペプチド複合体のインビトロ安定性
実験の目的は、複合体を投与した場合にLPSが放出されないこと、および解毒比が生理学的液体との接触後に減少しないことを立証することである。
ヒト血清1mLと混合したLPS−ペプチド複合体1mLを37℃でインキュベートする。1時間後および24時間後に解毒比を評価する。ヒト血清およびセクション4.3.で製造したLPS−ペプチド複合体を平行して試験する。
37℃でLPS−ペプチド複合体とヒト血清との接触の1時間後および24時間後の両アッセイによって評価された解毒の有意な差異は観察されず、結果は、LPS−ペプチド複合体対照と同様である。
実施例7: LPS−ペプチド複合体の免疫原性
7.1. LPS−ペプチド複合体によりウサギにおいて誘発される抗LPS抗体の殺菌活性
アジュバントの存在下で筋肉内(IM)および皮下(SC)経路(それぞれ、2×0.5mLおよび5×0.2mL)によりLPS−ペプチド複合体100μgを用いて、ニュージーランドウサギ成体3羽の免疫化を行う。それらは3週間間隔で3回の注射を受ける;1回目は、フロイント完全アジュバント(FA)を注射し、2回目および3回目は、フロイント不完全アジュバントを注射する。最後の注射から2週間後にそれらから採血する。対照グループは、同一のプロトコールを使用してアジュバントと一緒にペプチド(71μg、LPS−ペプチド複合体100μg中のペプチドの量と等しい)で免疫化する。
血清(SBA)試料の殺菌活性を、外因性補体源として仔ウサギ血清の存在下で実施例5に記載したLPS生成のために使用したナイセリア・メニンジティディス株に対して評価する。
SBAアッセイ
56℃で30分間の間、血清を加熱不活化する。次いで、96ウェルマイクロプレートのウェル中で、加熱不活化血清を、Ca++およびMg++を含有するダルベッコのリン酸塩緩衝生理食塩水(ウェル1個あたりの容量:50μl)で2倍段階希釈する(10回)。
Mueller−Hintonブロス(4.103CFU/mL)中で増殖したナイセリア・メニンジティディスの対数期培養物25μlおよび仔ウサギ血清25μlを各ウェルに加える。プレートを振盪させながら37℃で1時間インキュベートする。
各ウェルからの混合物50μlをMueller−Hinton寒天上にプレーティングする。ペトリ皿を10%CO2雰囲気下にて+37℃で一夜インキュベートする。
各実験で、対照としては、(i)細菌および抗体不含補体源(補体対照)、(ii)細菌および加熱不活化補体、および(iii)抗体の存在下での細菌および加熱不活化補体が挙げられる。
殺菌力価は、補体対照と比較して細菌の≧50%死滅が観察される最高の血清希釈逆数として報告される。
SBA結果
結果は下記表に示される。複合体に関して高いSBA力価が得られる。SBA応答の特異性は、血清(3回投与後)がLPSに吸着された場合の応答の消失について確認する。
Figure 2008537749
7.2. LPS−ペプチド複合体を用いてマウスにおいて誘発された免疫応答
6週齢の雌性非近交系CD1マウス10匹を、皮下経路(0.2mL)により投与量10μgのLPS−ペプチド複合体で免疫化する。それらは、3週間間隔で2回の注射を受ける。各注射の前にそれらから採血し、最後の注射から14日後に失血させる。対照グループにはバッファーを注射する。
第1の実験では、ELISAにより抗体応答を評価し、実施例4に記載されているLPS生成に使用したナイセリア・メニンジティディス株(同種株)および異種ナイセリア・メニンジティディス株[ナイセリア・メニンジティディス・グループB株RH873(L4、7、8免疫型)]に対する2回投与後血清試料の殺菌活性を評価する。
第2の実験では、ELISAにより抗体応答を評価し、FACSにより2回投与後血清試料のオプソニン活性を評価する。
7.2.1. マウスにおけるLPS−ペプチド複合体の免疫原性
抗LPS抗体のELISA滴定
バッファー1(PBS+10mM MgCl2)中10μg/mLのLPS溶液100μlを96ウェルマイクロプレートのウェルに塗布する。該プレートを+37℃で2時間、次いで、+5℃で一夜インキュベートする。
プレートからLPS溶液を取り出し、バッファー2(PBS+1%乳+0.05%Tween 20)150μlでウェルを飽和する。該プレートを37℃で1時間インキュベートし;次いで、バッファー3(PBS+0.05%Tween 20)で洗浄する。
ウェル中で直接、バッファー2(容量:ウェル1個につき100μl)を使用して血清を12倍段階希釈する。該プレートを+37℃で90分間インキュベートし;次いで、バッファー3で洗浄する。
希釈したヤギ抗マウスIgG(γ鎖特異的)またはIgM(μ鎖特異的)ペルオキシダーゼ複合体100μlを各ウェルに加える。該プレートを37℃で90分間インキュベートし、次いで、バッファー3で洗浄する。
各ウェルにテトラメチルベンジジン基質溶液100μlを加えることによって反応を展開させる。該プレートを37℃で20分間インキュベートする。1M HClを加えることによって反応を停止させ、450nmで吸光度を測定する。
ELISA結果
結果は、参照血清との比較によって任意のELISA単位/mL(EU/mL)で表される。
予備免疫化実験で、ELISAアッセイは、血清10個のプールを使用して行われる。下記表に示されるように、LPS−ペプチド複合体は、1回の注射後、マウスにおける高い抗LPS IgG力価および抗LPS IgMを誘発することができる(ELISA)。2回目の注射後に有意なIgGブースターが観察されるが、一方、有意なIgM増加は観察されない。
Figure 2008537749
さらなる免疫化実験では、ELISAアッセイを個別に行う。2回目の注射の後、マウス10匹のうち7匹が高いIgGおよびIgM力価を示す。対数で表した全体的な平均力価はそれぞれ約3.7および2.8である。
7.2.2. マウス血清の殺菌活性
殺菌活性は、セクション7.1.に記載したように測定される。
2回投与後血清の40%は、同種ナイセリア・メニンジティディス株に対して殺菌活性(SBA力価≧16)を示す。4つが異種株に対して殺菌性を示す。
7.2.3. マウス血清のオプソニン活性
オプソニン化アッセイ
エフェクターとしてヒト前骨髄球分化HL60細胞を使用し、標的としてLPS被覆ラテックス蛍光ビーズを使用して、フローサイトメトリー技術(FACS)によってオプソニン活性を測定する。
エフェクター細胞は、100mMジメチルホルムアミドで処理した後、顆粒球に分化される。得られた細胞を洗浄し、ハンクス平衡塩類溶液に再懸濁し、それらの濃度を2.5×107細胞/mLに調整する。
56℃で30分間の間、血清を加熱不活化する。96ディープウェルマイクロプレート中にて、加熱不活化血清をCa++およびMg++含有ハンクス平衡塩類バッファー(ウェルあたりの容量:300μl)で5倍段階希釈(3回)を行う。
LPS被覆ラテックス蛍光ビーズ20μlおよび外因性補体源としての仔ウサギ血清10μlを各ウェルに加える。該プレートを振盪させながら+37℃で30分間インキュベートする。
各ウェルにエフェタクター細胞懸濁液50μlを加える。該プレートを振盪させながら+37℃で30分間インキュベートする。
各ウェルからの150μlを別のディープウェルに移し、400μlのPBS+0.02%EDTAを加えることによって反応を停止させる。該プレートを遠心分離し、PBS+BSAバッファーで2回洗浄する。
抗血清および異種補体源の存在下でのLPS被覆ビーズのエフェクター細胞による食作用をFACSにより測定する。
オプソニン活性は、食作用生成物(PP)=200である場合の血清希釈の逆数として表される。PPは、ビーズ/食作用細胞の数の比×蛍光細胞の数として測定される。
抗血清を欠く対照ウェルおよび正のモノクローナル抗血清が各実験に含まれる。
オプソニン化結果
マウス10匹のうち8匹が高いオプソニン活性(≧350)を示す。
図1Aは、ナイセリア・メニンジティディスのLPS L8の構造を示す。Kdoは、2−ケト,3−デオキシオクツロソン酸の略である;Hepは、ヘプトースの略である;Glcは、グルコースの略である;Galはガラクトースの略である;GlcNAcは、N−アセチル化グルコサミンの略である。 図1Bは、酢酸でのLPS処理後に生じる反応を示す。 図2A〜2Cは、本質的に、モノマー形態(2A)、平行ダイマー形態(2B)および逆平行ダイマー形態(2C)のSAEP2−L2ペプチドを含む組成物を用いて214nmで得たHPLCクロマトグラムを示す。軸は、時間(分)および吸光度単位(AU)である。 図3は、モノマー形態、平行ダイマー形態および逆平行ダイマー形態のSAEP2−L2ペプチドを含む組成物を用いて214nmで得たHPLCクロマトグラムを示す。 図4A〜4Cは、本質的に、モノマー形態(4A)、平行ダイマー形態(4B)および逆平行ダイマー形態(3C)のSAEP2−L2ペプチドを含む組成物を用いて得た1H NMRスペクトルを示す。それらの全てにおいて、1.9ppmでのピークは、該ペプチドが酢酸塩形態であることを示している。 図5A〜5Cは、図4A〜4Cの1H NMRスペクトルの6.5〜7.5ppmで構成される範囲の拡大図を示す。 図6は、モノマー形態、平行ダイマー形態および逆平行ダイマー形態のSAEP2−L2ペプチドを含む組成物を用いて得た1H NMRスペクトルの6.5〜7.5ppm領域を示す。 図7A〜7Cは、較正基準(7A)、平行ダイマー(7B)および逆平行ダイマー(7C)のMALDI−ToFスペクトルを示す。 図8は、酢酸処理により加水分解されたLPSのHPEAC−PADクロマトグラムを示す。

Claims (32)

  1. 式(I):
    Figure 2008537749
    [式中、2個のCys1残基はジスルフィド結合を介して結合し合っており、2個のCys2残基はジスルフィド結合を介して結合し合っている]
    または式(II):
    Figure 2008537749
    [式中、Cys1残基はジスルフィド結合を介してCys2残基と結合している]
    (ここで、AおよびA'は、独立して、少なくとも2個のアミノ酸残基が独立してLys、Hyl(ヒドロキシ−リジン)、ArgおよびHisから選択されるアミノ酸残基2〜5個、好ましくは、3または4個のペプチド部分である;
    ここで、BおよびB'は、独立して、Val、Leu、Ile、Phe、TyrおよびTrpから独立して選択されるアミノ酸残基を少なくとも2個、好ましくは3個含むアミノ酸残基3〜7個、好ましくは4または5個のペプチド部分である;
    ここで、CおよびC'は、任意であり、独立して、アミノ酸残基であるかまたはアミノ酸残基2〜3個のペプチド部分である;
    ただし、陽イオン性アミノ酸残基/疎水性アミノ酸残基比(陽イオン性/疎水性比)は、0.4〜2である)
    で示されるSAEP IIペプチドダイマー。
  2. 陽イオン性/疎水性比が0.5から1.2または1.5までである、式(I)または(II)で示される、請求項1記載のSAEP IIペプチドダイマー。
  3. 陽イオン性/疎水性比が0.6〜1である、式(I)または(II)で示される、請求項2記載のSAEP IIペプチドダイマー。
  4. 陽イオン性/疎水性比が0.6〜0.8である、式(I)または(II)で示される、請求項3記載のSAEP IIペプチドダイマー。
  5. BおよびB'ペプチド部分が配列−X1−X2−X3−を含む(ここで、X1およびX2;X2およびX3;またはX1、X2およびX3は、独立して、Val、Leu、Ile、Phe、TyrおよびTrpから選択され;好ましくは、Leu、IleおよびPheから選択される)、式(I)または(II)で示される、請求項1〜4いずれか1項記載のSAEP IIペプチドダイマー。
  6. BおよびB'ペプチド部分が
    (i)配列−X1−X2−X3−(ここで、
    X1は、Lys、Hyl、HisまたはArgであり、好ましくは、LysまたはArgであり;より好ましくは、Lysであり;
    X2は、Phe、Leu、Ile、Tyr、TrpまたはValであり;好ましくは、PheまたはLeuであり;より好ましくは、Pheであり;
    X3は、Phe、Leu、Ile、Tyr、TrpまたはValであり;好ましくは、PheまたはLeuであり;より好ましくは、Leuである);および
    (ii)存在するとすれば、各々、独立して、Val、Leu、Ile、Phe、Tyr、Trp、Lys、Hyl、ArgおよびHisからなる群;好ましくは、Val、Leu、Ile、Phe、TyrおよびTrpからなる群;より好ましくは、Leu、IleおよびPheからなる群から選択されるアミノ酸残基
    を含む、式(I)または(II)で示される、請求項5記載のSAEP IIペプチドダイマー。
  7. 式(III):
    Figure 2008537749
    [ここで、2個のCys1残基はジスルフィド結合を介して結合し合っており、2個のCys2残基はジスルフィド結合を介して結合し合っている]
    または式(IV):
    Figure 2008537749
    [式中、Cys1残基は、ジスルフィド結合を介してCys2と結合している]
    (ここで、A、A'、BおよびB'は、上記請求項における定義と同じである)
    で示される、請求項1〜6いずれか1項記載のSAEP IIペプチドダイマー。
  8. 同種ペプチドダイマーである、請求項1〜7いずれか1項記載のSAEP IIペプチドダイマー。
  9. 式(VI):
    Figure 2008537749
    [式中、Cys1残基は、ジスルフィド結合を介してCys2残基と結合している]
    で示される逆平行ダイマーである、請求項1〜8いずれか1項記載のSAEP IIペプチドダイマー。
  10. 式(VII):
    Figure 2008537749
    [式中、2個のCys1残基はジスルフィド結合を介して結合し合っており、2個のCys2残基はジスルフィド結合を介して結合し合っている]
    で示される平行ダイマーである、請求項1〜8いずれか1項記載のSAEP IIペプチドダイマー。
  11. ペプチドが本質的に平行ダイマー形態である請求項1〜10いずれか1項記載のペプチドダイマーを含む組成物。
  12. ペプチドが本質的に逆平行ダイマー形態である請求項1〜10いずれか1項記載のペプチドダイマーを含む組成物。
  13. グラム陰性細菌性リポ多糖(LPS)の解毒剤としての請求項1〜10いずれか1項記載のペプチドダイマーの使用。
  14. (i)請求項1〜10いずれか1項記載のペプチドダイマーまたは請求項11もしくは12記載の組成物および(ii)医薬上許容される希釈剤または担体を含む、医薬組成物。
  15. 敗血症性ショックの治療または予防のための薬物の製造における請求項1〜10いずれか1項記載のペプチドダイマーまたは請求項11もしくは12記載の組成物の使用。
  16. 敗血症性ショックの治療または予防方法であって、必要とする個体に請求項1〜10いずれか1項記載のペプチドダイマーまたは請求項11もしくは12記載の組成物の治療上有効量を投与することを含む方法。
  17. (i)グラム陰性細菌のLPS実体(部分)および(ii)請求項1〜10いずれか1項記載のSAEP IIペプチドダイマーを含むLPS−ペプチド複合体(ここで、LPS部分およびSAEP IIペプチドダイマーはお互いに非共有結合し合っている)。
  18. LPSが、ナイセリア・メニンジティディス(N. meningitidis);イー・コリ(E. coli);サルモネラ・ティフィ(Salmonella typhi);サルモネラ・パラティフィ(Salmonella paratyphi);シゲラ・フレクスネリ(Shigella flexneri);ヘモフィルス・インフルエンゼ(Haemophilus influenzae);ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori);クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis);ボルデテラ・ペルツッシス(Bordetella pertussis);ブルセラ(Brucella);レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophia);ビブリオ・コレラ(Vibrio cholera);モラクセラ・カタラーリス(Moraxella catharralis);シュードモナス・エルジノーザ(Pseudomonas aeruginosa);およびクレブシエラ・ニューモニア(Kiebsiella pneumonia)のLPSである、請求項17記載のLPS−ペプチド複合体。
  19. LPSが、ナイセリア・メニンジティディス(Neisseria meningitidis)のLPSである、請求項18記載のLPS−ペプチド複合体。
  20. LPSがLPS L8である、請求項19記載のLPS−ペプチド複合体。
  21. 1:1.5〜1:0.5、好ましくは1:1.2〜1:0.8のLPS:ペプチドモル比を特徴とする、請求項17〜20いずれか1項記載のLPS−ペプチド複合体。
  22. 1:1のLPS:ペプチドモル比を特徴とする、請求項21記載のLPS−ペプチド複合体。
  23. グラム陰性細菌感染症の治療または予防のための請求項17〜22いずれか1項記載のLPS−ペプチド複合体の使用。
  24. 請求項17〜22いずれか1項記載のLPS−ペプチド複合体および医薬上許容される希釈剤または担体を含む医薬組成物。
  25. グラム陰性細菌感染症の治療または予防のための医薬の製造における請求項17〜22いずれか1項記載のLPS−ペプチド複合体の使用。
  26. グラム陰性細菌感染症の治療または予防方法であって、必要とする個体に請求項17〜22いずれか1項記載のLPS−ペプチド複合体の治療上有効量を投与することを含む方法。
  27. (i)グラム陰性細菌のLPSおよび(ii)請求項1〜10いずれか1項記載のペプチドダイマーを混合することを含む、LPS/ペプチド複合体の製造方法
  28. LPSおよびペプチドまたはその塩が1:1.2〜1:0.8のLPS:ペプチドモル比で混合される、請求項27記載の方法。
  29. LPSおよびペプチドまたはその塩が1:1のLPS:ペプチドモル比で混合される、請求項29記載の方法。
  30. (i)LPSおよび(ii)請求項1〜10いずれか1項記載のペプチドダイマーを混合することを含む、グラム陰性細菌のLPSを解毒する方法。
  31. LPSおよびペプチドまたはその塩が1:1.2〜1:0.8のLPS:ペプチドモル比で混合される、請求項30記載の方法。
  32. LPSおよびペプチドまたはその塩が1:1のLPS:ペプチドモル比で混合される、請求項31記載の方法。
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