JP2008536803A - 精子タンパク質に対する新規卵受容体 - Google Patents

精子タンパク質に対する新規卵受容体 Download PDF

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Abstract

本発明は新規な卵膜タンパク質受容体および精子タンパク質と卵タンパク質との相互作用を阻害する方法に関する。本発明はさらに、精子-卵結合、精子-卵融合、および受精を防止および阻害する方法に関する。本発明はさらに卵膜タンパク質METおよびZEPに関する。

Description

関連出願とのクロスリファレンス
本出願は35 U.S.C. § 119(e)にしたがって、2005年2月23日出願の米国仮出願第60/655,562号および2005年6月10日出願の米国仮出願第60/689,181号からの優先権を主張し、それらの開示内容全体を引用により本出願に含める。
米国政府の権利
本発明は一部、国立衛生研究所により与えられた認可番号U54HD29099およびD43TW/HD00654の支援によりなされた。米国政府はそれゆえ本発明における一定の権利を有しうる。
発明の分野
本発明は、精子タンパク質SLLP1およびSLLP2、ならびに相同タンパク質に特異的である、卵上の新規受容体、METおよびZEPの調製および使用方法に関する。本発明はまた、新規卵タンパク質にも関する。本発明はまた、精子タンパク質と卵タンパク質との相互作用を阻害することによる避妊方法にも関する。
SLLP1は、ヒト精子から最近単離された、独特の非溶菌性、c-リゾチーム-様タンパク質である(2001年1月19日出願のPCT出願第PCT/US01/01716号および2004年1月16日出願のPCT出願第PCT/US04/01240参照、それらの開示内容は引用により全体を本明細書に含める)。それは座17q11.2における遺伝子SPACA3によってコードされ、タンパク質はヒト精子の先体に局在する。SLLP1に対する抗血清はハムスター卵透過アッセイにおいて結合を阻害し、SLLP1が精子-卵接着に関与していることが示唆される。
リゾチームは多くの生物、例えば無脊椎動物、植物、魚類、鳥類、および哺乳類においてみられる強力な抗菌性タンパク質として知られている。動物門において、3つの主なリゾチームタイプが認識されている: ニワトリ-タイプ (c)、ガチョウ-タイプ、および無脊椎動物タイプである。リゾチームは、特定のグラム陽性細菌の細胞壁を細菌細胞壁ペプチドグリカンにおけるN-アセチルムラミン酸とN-アセチルグルコサミンとのベータ-1,4-グリコシド結合の加水分解を触媒することによって溶解する酵素のクラスに属する(ムラミダーゼ、EC 3.2.1.17) 。リゾチームは侵入微生物からの感染に対して宿主を保護するだけでなく、消化管におけるある種の細菌からの栄養の放出において役割を果たすことが示唆されている。ヒトおよびマウスにおける多くの組織および体液に存在する強力な溶菌性リゾチームは、c-タイプリゾチームであり、これはヒトにおいては12q14.3に位置し、マウスにおいては染色体 10にある遺伝子によってコードされている。古典的なc リゾチームは、N-アセチルグルコサミンのオリゴ糖およびN-アセチルムラミン酸とN-アセチルグルコサミンとの交互の(alternating)ポリマーを収容する基質結合ドメインを有する。
哺乳類における受精の際、受精能を獲得した精子のみが卵母細胞を透過することができる。透明帯に到達した精子は、精子の透明帯への結合を促進するようである酵素を放出するエキソサイトーシス現象である、先体反応を経るようシグナルを受け取る。先体の酵素は透明帯を介する受精チャンネルの加水分解を促進するとも考えられてきたが、最近の分析によると透明帯(zona)透過は振動する精子の切断攻撃にも基づいている可能性があると示唆されている。透明帯から出ると、先体反応した精子は囲卵マトリックス (空間)を横切り、卵細胞膜と結合し、融合する。先体反応した精子のみが囲卵マトリックスにみられ、先体反応した精子のみが膜融合し、赤道セグメント(equatorial segment)に横たわる原形質膜ドメインが卵細胞膜結合と融合現象を媒介していると考えられる。したがって、受精は精子と卵母細胞表面タンパク質との直接の相互作用を介して完了する。
哺乳類の受精において広く議論されているモデルは、精子 ADAM (A Disintegrin And Metalloprotease) の卵インテグリンへの精子-卵膜融合に要求される工程としての結合であるとされてきた。しかし、マウスにおけるADAM2 (ファーティリンβ)およびADAM3 (cyritestin) の標的化欠失により、インビボでは受精しないが、インビトロでは正常に卵と融合できる精子が生じ、その他の受容体-リガンド相互作用が精子-卵結合および融合を媒介しうるということが示唆された。卵において、マウス卵をPI-PLC 処理し精子は処理しない場合、精子-卵細胞膜結合および融合が防止されるという観察は、卵細胞膜のGPIにアンカーされるタンパク質の卵細胞膜での現象における重要性を確認する。同様に、GPI アンカー生合成に関与する酵素をコードするPig-a遺伝子のコンディショナルノックアウトの結果、不妊の雌性マウスが生じた。さらに、卵表面テトラスパニン、CD9に対する抗体は、受精を阻害し、CD9 ノックアウトマウスは不妊である。CD9またはGPIにアンカーされる卵受容体のクラスと相互作用する精子リガンドは現在知られていない。最近の研究によると、免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバーである妊娠-特異的糖タンパク質、PSG17がCD9についてのリガンドであることが示されている。しかし、さらなる研究により 、この特異的リガンドが精子の表面に検出されるかどうかを明らかにしなければならない。
精子と卵との結合および受精を阻害する方法が当該技術分野において長く要求されている。本発明はかかる要求を満たす。
概要
本発明は、卵上に位置する、精子 SLLP タンパク質、または類似のタンパク質に特異的な受容体に関する。本発明はまた避妊方法のためのSLLP1、SLLP2、および類似のタンパク質、ならびにそれらの受容体の標的化も含む。本発明はまた、精子-卵結合、精子-卵融合、および受精を阻害または防止するための本明細書に開示する卵膜タンパク質の標的化も提供する。一つの態様において、卵タンパク質はZEPおよびMETである。
本発明は、精子-卵結合、精子-卵融合、および受精を阻害または防止するための組成物および方法を提供する。一つの側面において、本発明は、SLLP1およびSLLP2の卵との結合または卵との相互作用を阻害する組成物および方法を提供する。一つの側面において、SLLP1およびSLLP2の卵タンパク質との結合または相互作用を防止または阻害するための組成物および方法を提供する。一つの態様において、卵タンパク質はZEPである。別の態様において、卵タンパク質はMETである。
一つの態様において、SLLP タンパク質は抗体の使用により卵との相互作用を防止または阻害される。一つの側面において、抗体はSLLP タンパク質に対するものである。別の側面において、抗体は卵タンパク質に対するものである。
別の態様において、SLLP タンパク質は、精子または卵と有効量のタンパク質および医薬上許容される担体を含む医薬組成物とを接触させることによって、卵と相互作用することを防止または阻害される。一つの側面において、タンパク質はSLLP タンパク質である。一つの側面において、SLLP タンパク質はSLLP1またはSLLP2、またはその両方、またはそのホモログ、断片、誘導体、または修飾である。一つの側面において、タンパク質は組換えタンパク質である。別の側面において、SLLP タンパク質と卵との相互作用を防止または阻害するタンパク質は単離卵タンパク質である。一つの側面において、卵タンパク質は METまたはZEP、またはその両方、またはそのホモログ、断片、誘導体、または修飾である。別の側面において、単離卵タンパク質は組換えタンパク質である。
一つの態様において、METまたはZEPは、精子または卵と有効量のかかる相互作用を防止または阻害する化合物、および医薬上許容される担体を含む医薬組成物とを接触させることにより、精子との相互作用から防止または阻害される。一つの側面において、化合物は、METまたはZEP、またはそのホモログ、断片、誘導体、または修飾である。別の側面において、化合物は、METまたはZEPに対する抗体、または、METまたはZEPと相互作用する精子タンパク質に対する抗体である。一つの側面において、化合物は、METまたはZEPの合成、発現、または機能の阻害剤である。
一つの態様において、精子および卵はヒトのものである。
本発明は、SLLP1、SLLP、METおよびZEP タンパク質、およびその変異体、ホモログ、断片、誘導体、および修飾(modification)をコードする核酸配列を含む単離核酸を提供する。
本発明は、SLLP1、SLLP2、METおよびZEP タンパク質、およびその変異体、ホモログ、断片、誘導体、および修飾についてのアミノ酸配列を提供する。一つの側面において、その変異体、ホモログ、断片、誘導体、および修飾は生物学的に活性である。
本発明は、少なくとも1つの本発明の単離核酸および医薬上許容される担体を含む医薬組成物を提供する。本発明はさらに、少なくとも1つのタンパク質、およびその変異体、ホモログ、断片、誘導体、および修飾、および医薬上許容される担体を含む医薬組成物を提供する。
一つの側面において、本発明は、インビトロで受精を防止するための組成物および方法を提供する。別の側面において、本発明は、インビボで受精を防止および阻害するための組成物および方法を提供する。
一つの態様において、本発明は、避妊に有用な組成物および方法を提供する。一つの側面において、組成物および方法はヒトにおける避妊に有用である。
別の態様において、本発明は、避妊ワクチンとして有用な組成物および方法を提供する。一つの側面において、本発明は、避妊ワクチンを提供し、該ワクチンは本発明の医薬組成物を含む。
本発明は、以下のマウスおよびヒト SLLP1、SLLP2、METおよびZEPの核酸およびアミノ酸配列を提供する: 配列番号1- マウス MET 正常核酸配列; 配列番号2- マウス MET 正常アミノ酸配列; 配列番号3- マウス MET 変異体核酸配列; 配列番号4- マウス MET 変異体アミノ酸配列; 配列番号5- マウス ZEP 正常核酸配列; 配列番号6- マウス ZEP 正常アミノ酸配列; 配列番号7- マウス ZEP 変異体 1 核酸配列; 配列番号8- マウス ZEP 変異体 1 アミノ酸配列; 配列番号9- マウス ZEP 変異体 2 核酸配列; 配列番号10- マウス ZEP 変異体 2 アミノ酸配列; 配列番号11- マウス SLLP1 核酸配列; 配列番号12- マウス SLLP1 アミノ酸配列; 配列番号13- ヒト SLLP1 核酸配列; 配列番号14- ヒト SLLP1 アミノ酸配列; 配列番号15- マウス SLLP2 核酸配列; 配列番号16- マウス SLLP2 成熟タンパク質アミノ酸配列; 配列番号17- ヒト SLLP2 核酸配列;および配列番号18- ヒト SLLP2 アミノ酸配列。
図面の簡単な説明
本発明を例示する目的で、本発明の特定の態様を図面において記載する。しかし、本発明は図面に記載の態様の正確な配置および装置に限定されるものではない。
図1:全長 mSLLP1の推定アミノ酸配列。推定膜貫通ドメイン (71 〜92 aa) および推定プロテアーゼ切断部位をそれぞれ長方形の箱および下向きの矢印で示す。アルファ-ラクトアルブミン/リゾチーム C 特徴的配列の存在を下線で示す。c リゾチームの触媒ポケットに必須であると考えられるSLLP1において変化している残基を太字および下線で示し、3つの推定ミリストイル化部位を丸で示す。複数の推定リン酸化部位を箱で示す。この配列のGenBank 受入番号はAK006357である。配列の左側および右側の番号は翻訳開始部位で開始する残基位置およびプロテアーゼ切断部位の後の残基位置をそれぞれ示す。
図2:成熟 SLLP1 (マウスおよびヒト)とヒト、マウスおよびニワトリ c-タイプ リゾチームの複数アミノ酸配列アラインメント。同一の残基には影を付しており、c リゾチームの20の不変の残基はコンセンサス配列において太字で示した。mSLLP1の4つの非保存の不変の残基はコンセンサス配列において下線で示した。箱で示した残基のコドンはイントロンにより分断されていた。菱形で示す残基はc-タイプリゾチームにおける推定リガンド結合ドメインの一部を形成し、これら6残基のうち5つはマウスおよびヒト SLLP1の両方で保存されている。矢頭は、マウスおよびヒト SLLP1において突然変異しているニワトリリゾチームの触媒活性に必要な2つの重要な残基(E35 およびD52)を示す。最上列の配列の上の番号は、第一残基に対するアミノ酸位置を示す。mSLLP1とhSLLP1およびc-タイプ リゾチームのパーセント同一性および類似性は各配列の最後に示す。Lz: リゾチーム; mSLLP1: マウス精子 リゾチーム-様タンパク質 (AAT07446); hSLLP1: ヒト精子 リゾチーム-様タンパク質 1 (AAK01478); hLZ: ヒト リゾチーム (P00695); mLz: マウス リゾチーム (P08905); cLz: ニワトリ 卵白 リゾチーム (LZCH)。
図3:精製 recmSLLP1のプロファイルおよびその抗血清の特異性。(A)銀 (左側パネル)または抗-his 抗体 (右側パネル)で染色したBL21-DE3細胞におけるhisタグ付加 成熟 recmSLLP1 (〜15 kDa)の発現および精製。左側パネル: レーン1: 分子量マーカー、レーン2:非誘導細胞からの抽出物、レーン3: IPTGによる3時間の誘導後の抽出物、レーン4: 1μgの アフィニティー精製 recmSLLP1。右側パネル: レーン1: 1 μg アフィニティー 精製 recmSLLP1、レーン2: 3時間誘導した抽出物、レーン3: 非誘導抽出物、レーン4: 分子量マーカー。(B)精製組換え成熟 mSLLP1 (左側パネル) および精巣上体尾部(cauda epididymal)マウス精子抽出物 (右側パネル)に対する雌性モルモットにて作成した抗血清の特異性 。左側パネル: レーン1:アジュバント注射対照からの血清(1:2,000)、レーン2: 免疫前 (1:2,000)、レーン3: 免疫 1:15,000、レーン4: 免疫 1:30,000。右側パネル: レーン1:アジュバント注射対照からの血清(1:2,000)、レーン2: 免疫前 (1:2,000)、レーン3: 免疫 1:5,000、レーン4: 免疫 1:10,000。免疫前血清とアジュバントのみを注射された動物からの血清のいずれも組換えタンパク質 (0.1 μg/レーン、左側パネル)またはマウス精子タンパク質(10 μg/レーン、右側パネル)と反応しなかったが、抗-recmSLLP1 血清はrecmSLLP1および〜14 kDa マウス精子タンパク質と反応性であった。矢印は〜15 kDaにおける反応性の組換えタンパク質および〜30 kDaにて形成した二量体を示す。
図4:先体がインタクトなマウス精子上のmSLLP1 の間接的免疫蛍光局在化。位相差 (A、C、G)、抗-mSLLP1 (B、D、H)、ピーナッツアグルチニン (PNA) レクチンによる先体染色(E)および先体がインタクトな 精子の PNAと抗-recmSLLP1 血清による二重染色(F)。(A)および(B)はそれぞれ(C)および(D)の挿入図である。SLLP1は主に前側先体(矢頭)に局在しており、いくつかの精子は赤道セグメント(矢印)において染色を示す。先体上のPNA染色の存在により規定される先体がインタクトな精子(E)はrecmSLLP1 抗体 (F)による染色を示し、mSLLP1 は受精能を獲得していない マウス精子の先体に位置することが示される。免疫前血清による免疫染色は観察されなかった(H)。
図5:イオノフォア-誘導により先体反応した精子におけるmSLLP1の局在化 。位相差像 (B)は、抗-recmSLLP1による免疫蛍光(A)およびPNA 蛍光の非存在により同定される先体反応した精子(C)と比較することが出来る。SLLP1は 先体反応したマウス精子の大部分において赤道セグメント (矢頭)において同定された。Aにおける挿入図は矢頭で示す精子の拡大図である。
図6:マウス卵細胞膜に堅固に結合した精子上のマウス SLLP1の共焦点免疫蛍光局在化。受精能を獲得した精子により授精させた透明帯-非含有卵を固定し、抗-recmSLLP1 血清で染色し、核染色の検出のためSytox とインキュベートし、Zeiss 410 Axiovert 100 マイクロシステムで調べた。(A) 位相差; (B) 核 DNA 染色; (C) 抗-recmSLLP1 免疫および(D) BとCのオーバーレイ。免疫血清は、卵に結合した精子においてmSLLP1 染色を明らかにした(矢印)。精子をそれぞれの焦点面において撮像した場合(3 卵から32 精子)、卵に堅固に結合したすべての精子はmSLLP1 染色を示した。パネル Dにおける挿入は卵細胞膜に結合した1つの精子の拡大図である(Dにおいて矢印で示す)。
図7:抗-SLLP1 抗体 (A)またはrecmSLLP1 (B)の精子-卵結合および融合に対する効果。成熟マウス卵からの透明帯をキモトリプシン中での短いインキュベーション、次いで機械的剪断により除去した。 (A) 様々な濃度の 抗-recmSLLP1 血清とプレ-インキュベートした受精能を獲得したマウス精子(黒いバー)を透明帯-非含有マウス卵と共インキュベートした。 (B) 透明帯-非含有卵を示した濃度 (μg/ml)のrecmSLLP1とプレ-インキュベートし、受精能を獲得したマウス精子と授精させた。すべての場合において、血清または組換えタンパク質は配偶子相互作用の間に存在していた。卵を処理し、精子結合および融合について分析した。データは5つの別の実験からの平均± SEを表す。(*) P ≦0.05; (**) P ≦0.01。バーの上の数は群当たりの卵の数を表す。抗-recmSLLP1 血清およびrecmSLLP1 タンパク質は、精子-卵結合および卵細胞膜に対する融合を濃度依存的に有意に阻害した。対照: (A) 免疫前血清、白いバー; (B) 無タンパク質バッファー (対照)。
図8:卵表面上のmSLLP1 相補結合部位の間接的免疫蛍光。透明帯を有する( i )または有さない( ii )、(A) 受精していないまたは(B) 受精した成熟マウス卵を、100 μg/ml recmSLLP1と45分間インキュベートし、洗浄し、抗-recmSLLP1 血清 次いでヤギ抗-モルモット/FITC 抗血清に曝した。核 DNA を可視化するため、卵を1 μM Hoechst 33342で10 分間処理し、洗浄した。マウス SLLP1 結合部位は受精していない卵母細胞の囲卵空間および微絨毛領域に局在していた。透明帯がインタクトなおよび透明帯非含有の受精していないマウス卵に対しても同様の結合パターンが200、50、10、1.0および0.1 μg/mlのmSLLP1最終濃度にて観察された(データ示さず)。受精した卵において、染色は、透明帯非含有および透明帯がインタクトな卵母細胞の両方の原形質膜の全体に沿って観察された。 矢印は特異的蛍光染色を示す。中期染色 (A-i、ii、下側パネル、紫色)および前核染色 (B-i、ii、下側パネル)に注意されたい。 (C) 対照群: 透明帯を有するか、有しない、受精していない卵母細胞を、recmSLLP1 の非存在下で(i)、またはrecmSLLP1の存在下で免疫前血清と共に(ii)、または200 μg/ml recePAD の存在下で( iii )インキュベートした。 (ZP): 透明帯; (PVS): 囲卵空間。
図9: 100 μg/ml recmSLLP1、次いで 抗-recmSLLP1 免疫血清およびロバ 抗-モルモット/テキサスレッド二次抗体とインキュベートした中期 II 卵母細胞(A) および前核段階の胚 (B)の共焦点分析の走査によるSLLP1 局在化。緑色蛍光は核 Sytox DNA 染色に対応する。強い赤色免疫蛍光が受精していない卵母細胞の囲卵空間にわたってSLLP1 に局在した(A)。強いがしかし非連続的分布の免疫蛍光が受精した卵の全表面にわたって検出された(B、白色矢頭)。SLLP1は中期 IIおよび受精した卵の両方の透明帯にも局在していたが(星印)、蛍光シグナルは囲卵空間または卵細胞膜においてみられたものよりもかなり低減していたことに注意されたい(A、B)。免疫染色は recmSLLP1 + 免疫前血清 (C) またはrecmSLLP1 + 二次抗体のみ (D)では観察されなかった。
図10:マウス卵に対する従来型の c リゾチームとのマウスおよびヒト SLLP1の結合の比較。(A)ニワトリおよびヒト c リゾチームの精子-卵結合および融合に対する効果。透明帯-非含有卵をニワトリまたはヒトリゾチーム (50または100 μg/ml)あるいはマウス (50 μg/ml) またはヒト (25 μg/ml) SLLP1とプレ-インキュベートし、次いで受精能を獲得したマウス精子と授精させた。両方のリゾチームおよびSLLP1が受精の際に存在していたということに注意されたい。卵を処理し、精子結合および融合について分析した。 データは3つの異なる実験からの平均± SEを表す。(**) P ≦0.01。バーの上の数は群当たりの卵母細胞数を表す。ニワトリリゾチームもヒトリゾチームも精子-卵結合または融合を阻害することが出来なかった。対照: タンパク質非添加; 50 μg/ml recmSLLP1; 25 μg/ml rechSLLP1 (陽性対照)。(B)従来型のリゾチームがSLLP1に匹敵するように卵表面に結合しうるかを判定するためにcリゾチームとインキュベートしたマウス 卵の間接的免疫蛍光。透明帯を有するまたは有さない受精していないマウス卵を100 μg/ml ニワトリ (a)またはヒト (b) リゾチームとインキュベートし、洗浄し、それぞれ抗-ニワトリリゾチーム (1:400)抗体および抗-ヒト リゾチーム (1:25) 抗体、次いで FITC-結合二次抗体 (1:200) に曝した。一方、従来型のリゾチームのいずれの卵結合も中期 II マウス卵において検出されなかった。(c) 100 μg/ml recmSLLP1 + 抗-recmSLLP1 免疫血清 (1:50) を陽性対照として用い、ここでmSLLP1は微絨毛領域および囲卵空間に対する特徴的結合を示した。
図11は図11AおよびBからなり、精子の卵への結合(A)および精子と卵との融合 (B)に対する組換えマウス SLLP1 タンパク質の効果をグラフ表示する。
図12は、ヒトおよびマウス SLLP1およびSLLP2 ペプチドを模式的に示す。
図13は、ヒト SLLP2 cDNAおよび推定アミノ酸配列を模式的に示す。
図14は図14Aおよび14Bからなり、ヒト SLLP2が精巣 (精子)において特異的に発現していることを示す分析の像を示す。
図15は、図15A (免疫前)およびB (免疫)からなり、ヒト SLLP2 の発現を、射精されたヒト精子の先体領域に局在化する免疫電子顕微鏡分析の像を表す。
図16は、ヒト SLLP2 タンパク質配列をリゾチームおよびヒト SLLP1を含むホモログのタンパク質配列と比較およびアラインする模式的表示である。
図17はA-Fからなり、ヒト SLLP2がマウス卵に結合することを示す写真像を表す。上側パネル (A-C)- + hSLLP2; 下側パネル (D-F)- hSLLP2無し。
図18は8つの写真からなり (左側パネル- A-D、SLLP2無し; 右側パネル- A-D、+SLLP2)、マウス SLLP2が 透明帯がインタクトなマウス卵に結合することを示す。
図19は8つの写真からなり(左側パネル- A-D、SLLP2無し; 右側パネル- A-D、+SLLP2)、マウス SLLP2が透明帯-非含有マウス卵に結合することを示す。
図20は、組換えマウス SLLP2がマウス精子のマウス卵との結合を阻害することを示す実験結果のグラフ表示である。
図21は、組換えマウス SLLP2が マウス精子のマウス卵との融合を阻害することを示す実験結果のグラフ表示である。
図22は、組換えマウス SLLP2 がマウス精子がマウス 卵と受精するのを阻害することを示す実験結果のグラフ表示である。6つの群は、左から右の順に、200、100、50、および25 μg/ml 組換えマウス SLLP2、200 μg/ml BSA、およびPBSである。縦軸は受精のパーセンテージを表す。
図23は、哺乳類におけるヒト SLLP2の配列の保存の模式的表示である。
図24は、ヒト SLLP2のイヌ オルソログおよび配列の保存の模式的表示である。
図25は、ヒト MET タンパク質およびその欠失変異体の模式的表示およびアラインメントである。
図26は左側および右側パネルからなり、大腸菌における組換え MET 変異体の電気泳動 分析の像を表す。A- MET; B-MET-V。
図27は、誘導METのHis-結合アフィニティーカラムでの精製の電気泳動分析の像を表す。 U- 非誘導; I- 誘導。
図28は、アラニンリッチ ドメイン (下線)を示すMET タンパク質配列の模式的表示である。
図29は、50,000 希釈の免疫血清と反応した組換え METのウェスタンブロット 分析の像を表す。 PI- 免疫前; I- 免疫。
図30は、50 ngの細菌組換え METを用いる免疫血清スクリーニング分析の像を表す。
図31は6つの顕微鏡写真像からなり、卵巣切片におけるMETの免疫-局在化の像を表す。 上側パネル (IM- 免疫); 下側パネル (PI- 免疫前)。
図32は、6つの顕微鏡写真像からなり、透明帯がインタクトな生卵上のMETの免疫-局在化の像を表す。上側パネルはIM- 免疫を表し、下側パネルはPIを表す。
図33は28の顕微鏡写真像からなり、様々な胚発生段階におけるMET の免疫-局在化の像を表す。上側パネル (上の2列)はI- 免疫処理群を表し;下側パネル (下の2列) は免疫前血清処理群を表す。
図34は像 AおよびBからなり、MET とSLLP1とのタンパク質相互作用を示すファーウエスタン 分析 (A およびB)の像を示す。METを電気泳動し、ゲルをニトロセルロースにトランスファーし、次いで組換え SLLP1をオーバーレイした(OL)。 U- 非誘導; I- 誘導; P- 精製; +OL- オーバーレイ; -OL- 非オーバーレイ。
図35は、亜鉛エンドペプチダーゼ、ZEP タンパク質のアミノ酸配列、およびその変異体、ZEP-V1およびZEP-V2とのアラインメントの模式的表示である。N- 正常; V1- 変異体 1; V2- 変異体 2。
図36はA-Cからなり、ZEP タンパク質 (ZP)およびその2つの変異体(ZP-V1およびZP-V2)を比較する電気泳動分析の像を表す。ZP- 正常 ZEP; ZP-V1- ZEPの変異体 1; ZP-V2- ZEPの変異体 2。
図37は、His-結合アフィニティーカラムで精製した誘導した亜鉛エンドペプチダーゼ (ZEP) の電気泳動 分析の像を表す レーン1- 標準マーカー; レーン2- 非誘導細胞 (U); レーン3- 誘導細胞 (I); レーン4- 誘導細胞からの精製 ZEP (P)。
図38は、ZEPのアミノ酸配列の模式的表示であり、予測膜貫通ドメイン、切断部位、および亜鉛結合サインを示す。
図39は、50,000 希釈の免疫血清と反応した組換え ZEP (50 ng) のウェスタンブロットの像を表す(レーン3)。
図40は、電気泳動分析の像を表し、ここでZEPに対する免疫血清を、透明帯がインタクトなマウス卵(ZIE)および透明帯-非含有マウス卵(ZFE)におけるZEPの検出のためのウェスタンブロットに用いた。左側パネルは免疫前血清 (PI)を示し、右側パネルは免疫血清 (I)を示す。
図41は6つのパネルからなり、卵巣切片におけるZEPの免疫局在化研究において撮影した写真像を表す。上の列- 免疫血清 (IM);下の列- 免疫前血清 (PI)。
図42は図42a および42bからなり、透明帯がインタクトな卵(42a)および透明帯-非含有卵(42b)上のZEPの免疫局在化研究の像を表す。各図は4つの像からなる。それぞれの上の2つの像は免疫血清 (IM)に供し、それぞれの下の像は免疫前血清(PI)に供した。
図43は28の像からなり、初期胚期におけるZEP の免疫局在化 分析の像を表す。段階は、左から右の順に、胚胞 (GV)、M2、PN、2 細胞、4 細胞、桑実胚、および胚盤胞を含む。位相差 (上の像)および蛍光 (下の像)は、免疫 または免疫前血清に供した群について一致している。
図44は4つの像からなり、共焦点像を表し、ここで、ZEPおよび精子タンパク質 SLLP1 は精製 SLLP1に曝されたマウス卵において共局在している。左の像は処理卵の顕微鏡写真を表し、第二の像は ZEPの局在化を示し、第三の像は卵に結合したSLLP1の局在化を示し、第四の像はZEPおよびSLLP1 像を重ねた複合像である。
図45はAおよびBからなり、精子タンパク質 SLLP1が卵タンパク質 ZEPに結合することを示すファーウエスタン 分析を示す。パネル A は非誘導(U)、誘導 (I) 状態におけるZEPを含む細胞、および誘導細胞からの精製 ZEP タンパク質 (P)の電気泳動分析の像を表す。パネル Aの左レーンは標準/分子量マーカーを示す。パネル Bは、精製卵 ZEPを電気泳動し、ニトロセルロースにトランスファーし、組換え 精子 SLLP1をオーバーレイして(OL) またはせずに(-OL)、抗-SLLP1 モノクローナル抗体でプローブした像を表す。
本発明のその他の側面および利点を本明細書に記載し、そして以下の好適な態様の詳細な説明に記載する。
発明の詳細な説明
略語およびアクロニム-
BSA はウシ血清アルブミンを意味する。
GV は胚胞を意味する。
h はヒトを意味する。
I は誘導または免疫を意味する。
IM は免疫を意味する。
m はマウスを意味する。
MET はマウス卵特異的TolAを意味する (仮出願においてコリシン様取り込みタンパク質またはコリシン取り込みタンパク質として称される) 。
OL はオーバーレイを意味する。
P は精製を意味する。
PI は免疫前を意味する。
PBS はリン酸緩衝食塩水を意味する。
rec および「r」は組換えを意味する。
SLLP は精子リゾチーム-様タンパク質を意味する。
U は非誘導を意味する。
ZEP は亜鉛エンドペプチダーゼを意味する(仮出願において亜鉛ペプチダーゼ、またはZPとして称される)。
ZFE は透明帯-非含有卵を意味する。
ZIE は透明帯がインタクトな卵を意味する。
配列番号:
配列番号1- マウス MET 正常核酸配列
配列番号2- マウス MET 正常アミノ酸配列
配列番号3- マウス MET 変異体核酸配列
配列番号4- マウス MET 変異体アミノ酸配列
配列番号5- マウス ZEP 正常核酸配列
配列番号6- マウス ZEP 正常アミノ酸配列
配列番号7- マウス ZEP 変異体 1 核酸配列
配列番号8- マウス ZEP 変異体 1 アミノ酸配列
配列番号9- マウス ZEP 変異体 2 核酸配列
配列番号10- マウス ZEP 変異体 2 アミノ酸配列
配列番号11- マウス SLLP1 核酸配列
配列番号12- マウス SLLP1 アミノ酸配列
配列番号13- ヒト SLLP1 核酸配列
配列番号14- ヒト SLLP1 アミノ酸配列
配列番号15- マウス SLLP2 核酸配列
配列番号16- マウス SLLP2 成熟タンパク質 アミノ酸配列
配列番号17- ヒト SLLP2 核酸配列
配列番号18- ヒト SLLP2 アミノ酸配列
定義-
特に断りのない限り、本明細書において用いるすべての技術および科学用語は、本発明の属する分野の当業者によって通常理解されている意味と同じ意味を有する。本明細書に記載される方法および材料と類似または同等のあらゆる方法と材料が本発明の実施または試験において利用できるが、好ましい方法および材料は本明細書に記載されるものである。本明細書において用いる場合、以下の用語は以下に示す定義にしたがって用いられる。
本明細書において用いる「1の」および「1つの」という語は、それらの語が文法的に修飾するものの1つまたは2以上(即ち少なくとも1つ)を意味する。例えば、「1つの要素」は、1またはそれ以上の要素を意味する。
疾患、障害、または症状が「緩和」されるとは、疾患または障害の症候の重篤度、患者により経験されるかかる症候の頻度、またはそれらの両方が低下する場合をいう。
本明細書において用いる場合、「アミノ酸」は、その正式名、それに対応する3文字コードまたはそれに対応する1文字コードによって以下の表に示されるように表される。
Figure 2008536803
本明細書において用いる場合「アミノ酸」という表現は、天然および合成アミノ酸の両方、そしてDおよびLアミノ酸の両方を含む意味である。「標準アミノ酸」とは、天然ペプチドにおいて通常みられる20の標準L-アミノ酸のいずれをも意味する。「非標準アミノ酸残基」とは、合成により調製されたか天然源由来であるかにかかわらず、標準アミノ酸以外のあらゆるアミノ酸を意味する。本明細書において用いる場合、「合成アミノ酸」はまた、化学修飾されたアミノ酸も含み、これらに限定されないが、塩、アミノ酸誘導体(例えば、アミド)、および置換体が含まれる。本発明のペプチドに含まれるアミノ酸は、特にカルボキシ末端またはアミノ末端において、メチル化、アミド化、アセチル化またはペプチドの循環半減期をその活性に悪影響を及ぼすことなく変化させることが出来るその他の化学基による置換によって修飾されていてもよい。さらに、ジスルフィド結合は本発明のペプチドにおいて存在してもよいし存在しなくてもよい。
「アミノ酸」という用語は「アミノ酸残基」と互換的に用いられ、遊離アミノ酸およびペプチドのアミノ酸残基を指しうる。遊離アミノ酸またはペプチドの残基のいずれを指すために該用語が用いられているかは文脈から明らかであろう。
アミノ酸は以下の一般構造を有する。
Figure 2008536803
アミノ酸は側鎖Rに基づいて7つの群に分類することが出来る:(1) 脂肪族側鎖、(2)ヒドロキシル (OH) 基を含む側鎖、(3) 硫黄原子を含む側鎖、(4)酸性基またはアミド基を含む側鎖、(5) 塩基性基を含む側鎖、(6) 芳香環を含む側鎖、および(7)側鎖がアミノ基に融合しているイミノ酸であるプロリン。
本発明のペプチド化合物の記載に用いられる命名法は、アミノ基が各アミノ酸残基の左に、カルボキシ基が右に位置する常套の慣行に従う。本発明の選択された特定の態様を表す式において、アミノ末端基およびカルボキシ末端基は、具体的には示さないが、特に断りのない限り、生理的pH値でとると考えられる形態にあると理解されたい。
本明細書において用いる場合、化合物の「アナログ」は、例えば、構造的に別のものに類似しているが、異性体である必要はない化合物である(例えば、5-フルオロウラシルはチミンのアナログである)。
本明細書において用いる場合、「抗体」という用語は、抗原上の特定のエピトープに特異的に結合することが出来る免疫グロブリン分子を指す。抗体は、天然源または組換え源由来のインタクトな免疫グロブリンであってもよいし、インタクトな免疫グロブリンの免疫反応性部分であってもよい。抗体は典型的には免疫グロブリン分子の四量体である。本発明における抗体は様々な形態で存在し得、例えば、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、Fv、FabおよびF(ab)2、ならびに一本鎖抗体およびヒト化抗体が挙げられる(Harlow et al.、1999、Using Antibodies: A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory Press、NY; Harlow et al.、1989、Antibodies: A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor、New York; Houston et al.、1988、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879-5883; Bird et al.、1988、Science 242:423-426)。
本明細書において用いる場合、「合成抗体」という用語は、組換え DNA技術を用いて作成した抗体を意味し、例えば、本明細書に記載するバクテリオファージによって発現した抗体をいう。該用語は抗体をコードするDNA 分子の合成によって作成された抗体も意味するよう解釈すべきであり、ここでDNA 分子は抗体タンパク質、または抗体を特定するアミノ酸配列を発現するものであり、DNAまたはアミノ酸配列は当該技術分野において入手可能で周知の合成DNAまたはアミノ酸配列技術を用いて得られる。
本明細書において用いる場合、「アンチセンスオリゴヌクレオチド」という用語は、正常細胞または疾患細胞に存在する核酸に相補的な核酸ポリマー、少なくともその部分を意味する。本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、これらに限定されないが、ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチドのその他の修飾を含む。オリゴヌクレオチド、ホスホロチオエートオリゴヌクレオチド、および他の修飾オリゴヌクレオチドの合成方法は当該技術分野において周知である(米国特許第5,034,506号; Nielsen et al.、1991、Science 254: 1497)。「アンチセンス」とは、特にタンパク質をコードする二本鎖 DNA 分子の非コード鎖の核酸配列、または非コード鎖に実質的に相同性の配列をいう。本明細書において定義するように、アンチセンス配列はタンパク質をコードする二本鎖 DNA 分子の配列に相補的である。アンチセンス配列はDNA 分子のコード鎖のコード部分にのみ相補的である必要はない。アンチセンス配列はタンパク質をコードするDNA 分子のコード鎖上に規定される調節配列に相補的であってもよく、調節配列はコード配列の発現を制御する。
本明細書において用いる場合、「塩基性」または「正に荷電した」アミノ酸という用語は、R基がpH 7.0にて正味の正の電荷を有するアミノ酸を指し、これらに限定されないが、標準アミノ酸である、リジン、アルギニン、およびヒスチジンが含まれる。
本明細書において用いる場合「生体適合性」という用語は、宿主において実質的な有害応答を誘発しない材料を言う。
本明細書において用いる場合、ポリペプチドの「生理的に活性な断片」または「生物活性断片」という用語は、その天然リガンドに特異的に結合することが出来るかまたはタンパク質の機能を実行できる全長タンパク質の天然または合成部分を含む。
「C19」および「C23」は、「SLLP1」および「SLLP2」についてもそれぞれ用いられる名称である。
本明細書において用いる場合、「細胞」、「細胞株」および「細胞培養」という用語は互換的に用いられる。これらの用語はすべて、いずれかおよびすべての次の世代であるその子孫も含む。すべての子孫は計画的または偶発的突然変異により同一でなくてもよいことを理解されたい。
「相補的」とは、2つの核酸鎖の領域の間、または同じ核酸鎖の2つの領域の間の配列相補性の広い概念を意味する。第一の核酸領域のアデニン残基は、該第一の領域に逆平行である第二の核酸領域の残基がチミンまたはウラシルである場合、該残基と特異的水素結合を形成(「塩基対形成」)することが出来ることが知られている。本明細書において用いる場合、「相補的」または「相補性」という用語は塩基対形成則により関連するポリヌクレオチド(即ち、ヌクレオチドの配列) をいうのに用いられる。例えば、配列「A-G-T」は配列「T-C-A」に相補的である。
同様に、第一の核酸鎖のシトシン残基は、該第一の鎖と逆平行である第二の核酸鎖の残基がグアニンである場合、第二の核酸鎖の該残基と塩基対形成することが出来ることが知られている。核酸の第一の領域は、同一または異なる核酸の第二の領域と、それら2つの領域が逆平行に配置しており、第一の領域の少なくとも1つのヌクレオチド残基が第二の領域の残基と塩基対形成出来る場合、相補的である。好ましくは、該第一の領域は第一の部分を含み、該第二の領域は第二の部分を含み、それによって、該第一および第二の部分が逆平行に配置する場合、第一の部分のヌクレオチド残基の少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約75%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%が第二の部分のヌクレオチド残基と塩基対形成できる。より好ましくは、第一の部分のすべてのヌクレオチド残基が第二の部分におけるヌクレオチド残基と塩基対形成できる。
本明細書において用いる場合、「化合物」は、タンパク質、ポリペプチド、単離核酸、または本発明の方法に用いられるその他の物質をいう。
本明細書において用いる場合、「保存的アミノ酸置換」という用語は、以下の5群のうち1つの中でのアミノ酸交換として定義される:
I. 小さい脂肪族であって、非極性またはわずかに極性の残基:Ala、Ser、Thr、Pro、Gly;
II. 極性であって、負に荷電した残基およびそれらのアミド:Asp、Asn、Glu、Gln;
III. 極性であって、正に荷電した残基:His、Arg、Lys;
IV. 大きい脂肪族であって、非極性の残基:Met Leu、Ile、Val、Cys
V. 大きい芳香族残基:Phe、Tyr、Trp。
本明細書において用いる場合、「避妊」とは、受胎の可能性を減少させるかまたは防止する、物質、化合物、または方法をいう。
「対照」細胞、組織、サンプル、または対象は、被験細胞、組織、サンプル、または対象と同一のタイプである細胞、組織、サンプル、または 対象である。対照は、例えば、被験細胞、組織、サンプル、または対象が調べられるのと全くまたはほとんど同時に調べることができる。対照はまた、例えば、被験細胞、組織、サンプル、または対象が調べられるのと異なる時点で調べてもよく、そして対照の調査結果を、記録される結果が被験細胞、組織、サンプル、または対象の調査によって得られた結果と比較できるように記録するとよい。対照は、被験群または被験対象以外の別の源または類似の源から得たものであってもよく、ここで被験サンプルは試験が行われる疾患または障害を有すると疑われる対象から得られる。
「被験」細胞、組織、サンプルまたは対象は調査または処理されるものである。
「疾患指標」細胞、組織またはサンプルは、 存在する場合、細胞、組織、またはサンプルが位置している(または組織の由来である) 動物が疾患または障害に罹患していることの指標となるものである。例えば、動物の肺組織における1以上の乳房細胞の存在は、動物が転移性乳癌に罹患していることの指標である。
1以上の細胞が疾患または障害に罹患していない動物における組織に存在している場合、組織は「正常に」細胞を含む。
「検出」という用語およびその文法的変異の使用は定量を行わずに種(species)を測定することを意味し、一方「判定する」または「測定する」という用語およびその文法的変異の使用は、定量を行って種を測定することを意味する。「検出する」および「同定する」という用語は本明細書において互換的に用いられる。
本明細書において用いる場合、「検出可能なマーカー」または「レポーター分子」は、マーカーを含まない類似の化合物の存在下にてマーカーを含む化合物の特異的検出を可能とする原子または分子である。検出可能なマーカーまたはレポーター分子としては、例えば、放射性同位体、抗原決定基、酵素、ハイブリダイゼーションのために使用可能な核酸、発色団、フルオロフォア、化学発光分子、電気化学的に検出可能な分子、および蛍光偏光または光散乱を変化させる分子が挙げられる。
「疾患」は、動物が恒常性を維持できない動物の健康状態であって、疾患が寛解しなければ動物の健康は悪化し続ける状態である。
一方、動物における「障害」は、動物が恒常性を維持できるが、動物の健康状態が障害の非存在下よりも好ましくない健康状態である。処置しないでおいても、障害は動物の健康状態のさらなる悪化を必ずしも引き起こすわけではない。
本明細書において用いる場合、「卵タンパク質」または「卵-特異的タンパク質」という用語は、卵または卵巣に独占的または優勢に発現するタンパク質をいう。タンパク質は卵または卵巣の発達のすべての段階に発現する必要はない。
「コードする」とは、ポリヌクレオチド、例えば、遺伝子、cDNA、またはmRNAにおけるヌクレオチドの特定の配列の、生物学的工程において規定の配列のヌクレオチド(即ち、rRNA、tRNAおよびmRNA)または規定の配列のアミノ酸のいずれかを有するその他のポリマーおよび高分子の合成のためのテンプレートとして働く固有の性質およびその結果としての生物学的性質をいう。したがって、遺伝子は、その遺伝子に対応するmRNAの転写および翻訳によって、細胞またはその他の生物学的系においてタンパク質を産生する場合、そのタンパク質をコードする。遺伝子またはcDNAの転写のためのテンプレートとして使用される、コード鎖、即ちmRNA 配列と同一であって、通常配列表に提供されるヌクレオチド配列と、非コード鎖との両方が、遺伝子またはcDNAのタンパク質またはその他の産物をコードすると称されうる。
特に断りのない限り、「アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列」は互いの縮重版であって同じアミノ酸配列をコードするすべてのヌクレオチド配列を含む。タンパク質をコードするヌクレオチド配列およびRNAはイントロンを含みうる。
「エンハンサー」は、転写開始部位との相対的なエンハンサーの距離または配向にかかわらず、転写の効率を上昇させうるDNA 調節要素である。
本明細書において用いる場合、「実質的に純粋な」特定のタンパク質またはペプチドの調製物は、調製物中の少なくとも約 95重量%、好ましくは少なくとも約 99重量%のタンパク質またはペプチドが特定のタンパク質またはペプチドである調製物である。
「断片」または「セグメント」は、少なくとも1つのアミノ酸を含むアミノ酸配列の部分、または少なくとも1つのヌクレオチドを含む核酸配列の部分である。「断片」および「セグメント」という用語は本明細書において互換的に用いられる。
本明細書において用いる場合、「機能的な」生物学的分子は、それが特徴づけられる性質または活性を示す形態における生物学的分子である。機能的な酵素は、例えば、酵素が特徴づけられる特徴的触媒活性を示すものである。
本明細書において用いる場合、「相同的」とは、2つのポリマー分子間、例えば2つの核酸分子間、例えば2つのDNA分子間または2つのRNA分子間、あるいは2つのポリペプチド分子間のサブユニット配列類似性を指す。2つの分子の両方におけるサブユニット位置が同一のモノマーサブユニットによって占められている場合、例えば、2つのDNA分子のそれぞれにおけるある位置がアデニンによって占められている場合、それらはその位置において相同的である。2つの配列間の相同性は同一または相同的な位置の数の直接的関数であり、例えば、2つの化合物配列における位置の半分(例えば、10サブユニット長のポリマーにおける5つの位置)が相同的である場合、その2つの配列は50%相同的であり、位置の90%、例えば、10のうち9が同一または相同的である場合、その2つの配列は90%の相同性を共有する。例えば、DNA 配列、3'ATTGCC5' と 3'TATGGC とは50%の相同性を共有する。
本明細書において用いる場合、「相同性」は「同一性」と同一の意味で用いられる。
本明細書において用いる場合、「ハイブリダイゼーション」という用語は相補的核酸の対形成をいうのに用いられる。ハイブリダイゼーションおよびハイブリダイゼーション強度(即ち、核酸の間の結合の強さ)は、核酸の間の相補性の程度、用いる条件のストリンジェンシー 、形成されるハイブリッドの長さ、および核酸内のG:C 比などの因子によって影響を受ける。
2つのヌクレオチドまたはアミノ酸配列の間のパーセント同一性の決定は、数学アルゴリズムを用いて達成できる。例えば、2つの配列の比較に有用な数学アルゴリズムは、Karlin and Altschul (1993、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:5873-5877)によって改変された、Karlin and Altschulアルゴリズム(1990、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:2264-2268)である。このアルゴリズムは、Altschul、et al. (1990、J. Mol. Biol. 215:403-410)のNBLASTおよびXBLAST プログラムに導入されており、例えば、全米バイオテクノロジー情報センター (NCBI) ワールドワイドウェブサイトにてアクセス可能である。本明細書に記載される核酸に対して相同的なヌクレオチド配列を得るためのBLASTヌクレオチドサーチは以下のパラメーターを用いてNBLAST プログラム (NCBIウェブサイトにて「blastn」と称されている)を用いて実行可能である:ギャップペナルティー = 5; ギャップ伸長ペナルティ = 2; ミスマッチペナルティー = 3; マッチリワード = 1; 期待値 10.0;およびワードサイズ = 11。本明細書に記載されるタンパク質分子と相同的なアミノ酸配列を得るための、BLASTタンパク質サーチは以下のパラメーターを用いてXBLAST プログラム(NCBIウェブサイトにて「blastn」と称されている)またはNCBI「blastp」プログラムによって実行可能である:期待値 10.0、BLOSUM62 スコアリングマトリックス。比較の目的でギャップ付きアラインメントを得るためには、Gapped BLASTがAltschul et al. (1997、Nucleic Acids Res. 25:3389-3402)に記載のようにして利用できる。あるいは、PSI-BlastまたはPHI-Blastを用いて、分子間の遠い関係(前掲)および共通パターンを共有する分子間の関係を検出する重複(iterated)サーチを実行することが出来る。BLAST、Gapped BLAST、PSI-Blast、およびPHI-Blast プログラムを用いる場合、それぞれのプログラム(例えば、XBLASTおよびNBLAST)のデフォールトパラメーターを用いればよい。
2つの配列間のパーセント同一性は上記と同様の技術を用いて、ギャップを許容して、または許容せずに決定することが出来る。パーセント同一性の計算において、典型的には完全な一致が数えられる。
「抗原に対して対象を免疫する」という用語は、対象に、組成物、タンパク質複合体、タンパク質複合体をコードするDNA、抗体または抗体をコードするDNAであって対象における免疫応答を誘発するものを投与することをいい、ここで免疫応答は抗原によって起こるまたは抗原の存在に関連する症状に対して対象に保護を提供する。
本明細書において用いる場合、「阻害する」という用語は、所望の機能を抑制または妨害する本発明の化合物の能力を意味する。好ましくは阻害は、少なくとも 10%、より好ましくは少なくとも 25%、さらにより好ましくは少なくとも 50%、もっとも好ましくは、少なくとも 75%、機能を阻害する。
本明細書において用いる場合、「受胎を阻害する」という用語は、その機構にかかわらず、直接的および間接的の両方の受胎または精子進入の阻害をいう。該用語は受胎率を低下させることも含み、受胎が100%阻害されることを必ずしも意味するわけではない。
本明細書において用いる場合、「説明材料」には、それに記載される様々な疾患または障害の緩和のためのキットにおける本発明のペプチドの有用性を知らせるために用いられ得る刊行物、記録、図表またはその他のあらゆる表現媒体が含まれる。所望により、またはそれの代わりに、説明材料は哺乳類の細胞または組織における疾患または障害の1以上の緩和方法を説明するものであってもよい。本発明のキットの説明材料は、例えば、見いだした本発明の化合物を含む容器に添付してもよいし、見いだした化合物を含む容器とともに出荷してもよい。あるいは説明材料は、説明材料と化合物とがレシピエントによって一緒に用いられるべきであるという注意を付した容器から離れて出荷してもよい。
精子タンパク質と卵タンパク質との「相互作用」は、精子-卵結合、融合、または受精といった現象または工程が起こるのに必要な結合などの相互作用を意味する。一つの側面において、「相互作用」は、受容体-リガンドタイプの結合または相互作用と類似し得る。
「単離核酸」とは、天然状態においてそれと隣接している配列から分離されている核酸セグメントまたは断片をいい、例えば、DNA断片に通常隣接する配列、例えば、天然にそれが存在するゲノムにおいて該断片に隣接する配列から取り出された該DNA 断片をいう。この用語は、核酸に天然に付随するその他の成分、例えば、細胞においてそれに天然に付随するRNAまたはDNAまたはタンパク質から実質的に精製された核酸にも適用される。この用語にはそれゆえ、例えば、ベクター、自己複製プラスミドまたはウイルス、または原核または真核生物のゲノムDNAに組み込まれた組換えDNA、あるいはその他の配列と独立して、分離した分子として(例えば、PCRまたは制限酵素消化によって生じたcDNAまたはゲノムまたはcDNA 断片として)存在する組換えDNAが含まれる。それにはまた、さらなるポリペプチド配列をコードするハイブリッド遺伝子の一部である組換えDNAも含まれる。
特に断りのない限り、「アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列」には、互いに縮重版であって同一のアミノ酸配列をコードするすべてのヌクレオチド配列が含まれる。タンパク質およびRNAをコードするヌクレオチド配列にはイントロンも含まれうる。
本明細書において用いる場合、「リガンド」は、標的化合物に特異的に結合する化合物である。リガンド (例えば、抗体)は、不均一な化合物のサンプルにおける化合物の存在を同定する結合反応においてリガンドが機能する場合、化合物「に特異的に結合する」または化合物「と特異的に免疫反応性」である。したがって、所定のアッセイ (例えば、イムノアッセイ)条件下で、リガンドは優先的に特定の化合物に結合し、サンプル中に存在するその他の化合物には有意な程度で結合しない。例えば、抗体は、抗体の作成対象であるエピトープを担持する抗原に対してイムノアッセイ条件下で特異的に結合する。様々なイムノアッセイ形式を、特定の抗原と特異的に免疫反応性の抗体の選択に使用することができる。例えば、固相ELISAイムノアッセイが抗原と特異的に免疫反応性のモノクローナル抗体の選択に常套的に用いられる。特異的免疫反応性の判定に用いうるイムノアッセイ形式および条件の説明については、Harlow and Lane、1988、 Antibodies、A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Publications、New Yorkを参照されたい。
本明細書において用いる場合、「結合」という用語は、2つの基の間の連結を意味する。連結は共有結合または非共有結合のいずれであってもよく、これらに限定されないが イオン結合、水素結合、および疎水性/親水性相互作用が挙げられる。
本明細書において用いる場合、「リンカー」という用語は、2つの別の分子を共有結合または非共有結合によって、例えば、イオン結合または水素結合あるいはファンデルワールス相互作用によって連結させる分子をいう。
「核酸」とは、デオキシリボヌクレオシドまたはリボヌクレオシドから構成されているかにかかわらず、そしてホスホジエステル結合または以下のような修飾結合により構成されているかにかかわらず、あらゆる核酸を意味する: ホスホトリエステル、ホスホラミダート、シロキサン、カーボネート、カルボキシメチルエステル、アセトアミデート、カルバメート、チオエーテル、架橋ホスホラミダート、架橋メチレンホスホネート、架橋ホスホラミダート、架橋ホスホラミダート、架橋メチレンホスホネート、ホスホロチオエート、メチルホスホネート、ホスホロジチオエート、架橋ホスホロチオエートまたはスルホン結合およびかかる結合の組合せ。核酸という用語はまた、5つの生物に存在する塩基(アデニン、グアニン、チミン、シトシンおよびウラシル)以外の塩基から構成される核酸も特に含む。従来型の表示法をポリヌクレオチド配列を記載するのに本明細書において用いる:一本鎖ポリヌクレオチド配列の左側末端は5'-末端;二本鎖ポリヌクレオチド配列の左側方向を5'-方向という。 5'から 3'への方向のヌクレオチドの新生 RNA 転写産物への付加は転写方向と称される。mRNAと同じ配列を有するDNA 鎖は「コード鎖」と称される; DNAの参照点の5'に位置するDNA 鎖上の配列は「上流配列」と称される; DNAの参照点の3'のDNA 鎖上の配列は「下流配列」と称される。
「オリゴヌクレオチド」という用語は典型的には短いポリヌクレオチドをいい、一般的には約 50 ヌクレオチド以下である。ヌクレオチド配列がDNA 配列 (即ち、A、T、G、C)によって表される場合、これは「U」が「T」を置換するRNA 配列 (即ち、A、U、G、C) も含むことを理解されたい。
「作動可能に連結した」とは、成分がそれらの通常の機能を実行するために構成される並置を意味する。したがって、コード配列に作動可能に連結した制御配列またはプロモーターはコード配列の発現の実行を可能とする。2つのポリヌクレオチドが「作動可能に連結した」とは、2つのポリヌクレオチドのうち少なくとも1つがそれが他方から特徴づけられる生理効果を発揮することが出来るように核酸部分内に配置した2つのポリヌクレオチドを含む一本鎖または二本鎖核酸部分を意味する。例えば、遺伝子のコード領域に作動可能に連結したプロモーターはコード領域の転写を促進することが出来る。
本明細書において用いる場合、「ペプチド」という用語は、アミノ酸が天然または合成(非天然)アミノ酸である2以上のアミノ酸残基の配列であってアミノ酸がペプチド結合により共有結合したものを含む。タンパク質またはペプチドの配列を含みうるアミノ酸残基の数には制限はない。本明細書において用いる場合、「ペプチド」、「ポリペプチド」および「タンパク質」という用語は互換的に用いられる。ペプチド疑似体には以下の1以上の修飾を有するペプチドが含まれる:
1.1以上のペプチジル--C(O)NR--連結(結合)が以下のような非ペプチジル結合に置換されているペプチド: 例えば、--CH2--カルバメート結合(--CH2OC(O)NR--)、ホスホネート結合、--CH2--スルホンアミド(--CH2--S(O)2NR--)結合、尿素(--NHC(O)NH--)結合、--CH2--二級アミン結合、またはアルキル化ペプチジル結合(--C(O)NR--)、ここで、RはC1-C4アルキルである;
2. N末端が--NRR1基、--NRC(O)R 基、--NRC(O)OR 基、--NRS(O)2R 基、--NHC(O)NHR 基へと誘導体化されているペプチド、ここで、RおよびR1は水素またはC1-C4 アルキルであるがただし、RおよびR1が両方水素であることはない;
3. C末端が--C(O)R2へと誘導体化されているペプチド、ここで、R2はC1-C4 アルコキシ、および--NR3R4 からなる群から選択され、ここでR3およびR4 は独立に水素およびC1-C4アルキルからなる群から選択される。
合成または非天然アミノ酸とは、天然にはインビボで存在しないが、にもかかわらず、本明細書に記載されるペプチド構造中に組み込まれうるアミノ酸をいう。その結果得られる「合成ペプチド」は、20の天然の遺伝子によりコードされるアミノ酸以外のアミノ酸をペプチドの1、2またはそれ以上の位置にて含む。例えば、ナフチルアラニンは合成を容易にするためにトリプトファンを置換してもよい。ペプチド中に置換されうるその他の合成アミノ酸には、L-ヒドロキシプロピル、L-3,4-ジヒドロキシフェニルアラニル、アルファアミノ酸、例えば、L-アルファヒドロキシリジルおよびD-アルファメチルアラニル、L-アルファ-メチルアラニル、ベータ-アミノ酸、およびイソキノリルが挙げられる。D-アミノ酸および非天然合成アミノ酸もまた、ペプチドに導入することが出来る。その他の誘導体には、20の遺伝子にコードされるアミノ酸(即ちLまたはD-アミノ酸のいずれか)の天然側鎖をその他の側鎖により置換したものが含まれる。
本明細書において用いる場合、「医薬上許容される担体」という用語はあらゆる標準的な医薬の担体を含み、例えば、リン酸緩衝食塩水、水、乳濁液、例えば、油/水または水/油乳濁液、および様々なタイプの湿潤剤が挙げられる。この用語はまた、US 連邦政府の規制当局によって認可されているか、またはヒトを含む動物に使用するために US 薬局方に挙げられているあらゆる剤を含む。
「ポリリンカー」は一連の3種以上の狭い間隔で並んだ制限エンドヌクレアーゼ認識配列を含む核酸配列である(即ち、各部位の間が10 ヌクレオチド未満である)。
「ポリヌクレオチド」は核酸の一本鎖または並行および逆並行鎖をいう。したがって、ポリヌクレオチドは一本鎖または二本鎖核酸のいずれでもよい。
「ポリペプチド」は、アミノ酸残基、関連する天然の構造的変異体、および合成の非天然のそのアナログがペプチド結合、関連する天然の構造的変異体および合成の非天然のそのアナログを介して結合して構成されるポリマーをいう。合成ポリペプチドは、例えば、自動ポリペプチド合成機を用いて合成することが出来る。
「タンパク質」という用語は、典型的には長いポリペプチドをいう。
「ペプチド」という用語は、典型的には短いポリペプチドをいう。
本明細書において用いる場合、「プロモーター/調節配列」という用語は、プロモーター/調節配列に作動可能に連結した遺伝子産物の発現に必要な核酸配列を意味する。いくつかの例において、この配列はコアプロモーター配列であり得、別の例において、この配列はまた、エンハンサー配列およびその他の遺伝子産物の発現に必要な調節要素も含みうる。プロモーター/調節配列は、例えば、組織特異的に遺伝子産物を発現させるものであってよい。
本明細書において用いる場合、「外来プロモーター」という用語は、コード配列とプロモーターとが天然では連結していないコード配列に作動可能に連結したあらゆるプロモーターをいう(即ち、組換えプロモーター/コード配列コンストラクト)。
「組織特異的」プロモーターは、遺伝子産物をコードまたは特定するポリヌクレオチドに作動可能に連結した場合、細胞がプロモーターに対応する組織タイプの細胞である場合にのみ実質的に生細胞における遺伝子産物の産生をもたらすヌクレオチド配列である。
特に断りのない限り、「アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列」は互いの縮重版であり同じアミノ酸配列をコードするすべてのヌクレオチド配列を含む。タンパク質およびRNAをコードするヌクレオチド配列はイントロンを含みうる。
「複数」は、少なくとも2を意味する。
本明細書において用いる場合、末端アミノ基に関する「保護基」とは、末端アミノ基がペプチド合成において常套に用いられる様々なアミノ末端保護基のいずれかと結合しているペプチドの末端アミノ基を指す。かかる保護基としては、例えば、アシル保護基、例えば、ホルミル、アセチル、ベンゾイル、トリフルオロアセチル、スクシニル、およびメトキシスクシニル; 芳香族ウレタン保護基、例えば、ベンジルオキシカルボニル;および脂肪族ウレタン保護基、例えば、tert-ブトキシカルボニルまたはアダマンチルオキシカルボニルが挙げられる。好適な保護基については、Gross and Mienhofer、eds.、The Peptides、vol. 3、pp. 3-88 (Academic Press、New York、1981)を参照されたい。
本明細書において用いる場合、末端カルボキシ基に関する「保護基」とは、末端カルボキシル基が様々なカルボキシル-末端保護基のいずれかと結合しているペプチドの末端カルボキシル基をいう。かかる保護基としては、例えば、tert-ブチル、ベンジル、またはエステルまたはエーテル結合により末端カルボキシル基に連結したその他の許容される基が挙げられる。
本明細書において用いる場合、「精製」という用語および同様の用語は、天然環境において分子または化合物と通常結合しているその他の成分に対するその分子または化合物の濃縮をいう。「精製」という用語は必ずしも特定の分子の完全な純粋性が工程において達成されたことを示すわけではない。本明細書において用いる場合、「高度に精製された」化合物は、純度が90%を超える化合物をいう。特に、精製精子細胞 DNA は精製精子細胞 DNAのPCR 増幅および続く増幅DNAの分析の際に有意な検出可能なレベルの非-精子細胞 DNAを生じないDNAをいう。
「組換えポリヌクレオチド」は天然には互いに結合していない配列を有するポリヌクレオチドをいう。増幅またはアセンブルした組換えポリヌクレオチドは好適なベクターに含めるとよく、ベクターは好適な宿主細胞の形質転換に用いることが出来る。組換えポリヌクレオチドは非コード機能 (例えば、プロモーター、複製起点、リボゾーム-結合部位等)も発揮しうる。
組換えポリヌクレオチドを含む「宿主細胞」は、「組換え宿主細胞」と称される。遺伝子が組換えポリヌクレオチドを含む組換え宿主細胞において発現した遺伝子は、「組換えポリペプチド」を産生する。
「組換えポリペプチド」は、組換えポリヌクレオチドの発現によって産生されるものである。
「可逆的に移植可能な」装置は動物の体に挿入でき(例えば外科的に、または動物の天然開口部への挿入により)、その後動物の健康に大きな害を与えずに除くことが出来るものである。
本明細書において用いる場合、「サンプル」とは、好ましくは対象からの生物学的サンプルをいい、例えばこれらに限定されないが、正常組織サンプル、疾患組織サンプル、組織診、血液、唾液、便、精液、涙および尿である。サンプルは目的の細胞、組織、または体液を含む対象から得られる物質のあらゆるその他の源であってもよい。サンプルは細胞または組織培養からも得ることが出来る。
本明細書において用いる場合、「二次抗体」という用語は、別の抗体 (一次抗体)の定常領域に結合する抗体をいう。
「シグナル配列」という用語は、細胞内でポリペプチドがたどる経路に向かわせる、即ちそれは細胞におけるポリペプチドの細胞内プロセッシング、例えば限定的ではないが、ポリペプチドの細胞からの最終的な分泌を起こす、ペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を意味する。シグナル配列は、典型的には、これらに限定されないが、ポリペプチドの合成を小胞体に向かわせるポリペプチドのアミノ末端にみられるアミノ酸の配列である。場合によっては、シグナルペプチドはポリペプチドからタンパク質分解により除去され、したがって成熟タンパク質には存在しない。
「SLLP1」および「SLLP2」はそれぞれ「C19」および「C23」とも称される。
本明細書において用いる場合、「固体支持体」という用語は、溶媒に不溶性の物質であって、結合(好ましくは共有結合)を様々な化合物と形成することが出来る物質を言う。支持体は生物学的性質のもの、例えばこれらに限定されないが、細胞またはバクテリオファージ粒子であってもよいし、合成のもの、例えばこれらに限定されないが、アクリルアミド誘導体、アガロース、セルロース、ナイロン、シリカ、または磁性粒子であってもよい。
本明細書において用いる場合、「特異的に結合する」という用語は、目的の分子 (例えば、本発明のポリペプチドに対する抗体)を認識し結合するが、サンプル中のその他の分子は実質的に認識も結合もしない抗体または化合物をいう。
本明細書において用いる場合、「標準」という用語は比較のために用いられるものをいう。例えば、標準は、対照サンプルに投与または添加され、被験サンプル中の該化合物の測定の際に結果を比較するために用いられる既知の標準物質または化合物であり得る。標準は「内部標準」をいうこともあり、例えば、既知量にてサンプルに添加される物質または化合物であって、サンプルが処理されるか精製または抽出手順に供された後、目的のマーカーが測定される場合の精製または回収率などの判定に有用なものである。
分析、診断、または治療の「対象」は動物である。かかる動物には哺乳類が含まれる。
本明細書において用いる場合、「実質的に相同性のアミノ酸配列」とは、参照抗体鎖のアミノ酸配列に対して少なくとも約 95% 相同性、好ましくは 少なくとも約 96% 相同性、より好ましくは 少なくとも約 97% 相同性、さらにより好ましくは 少なくとも約 98% 相同性、そしてもっとも好ましくは 少なくとも約 99%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含む。アミノ酸配列類似性または同一性は、BLAST (basic local alignment search tool) 2.0.14 アルゴリズムを用いるBLASTPおよびTBLASTN プログラムを用いて算出することが出来る。これらプログラムに用いられるデフォールト設定は本発明の目的のために実質的に類似のアミノ酸配列を同定するのに好適なものである。
「実質的に相同性の核酸配列」は、対応する配列が参照核酸配列によってコードされるペプチドと実質的に同一の構造および機能を有するペプチドをコードする参照核酸配列に対応する核酸配列を意味する; 例えばそれはペプチド機能に対する有意な影響を与えないアミノ酸変化のみを有するものである。好ましくは、実質的に同一の核酸配列は参照核酸配列によってコードされるペプチドをコードするものである。実質的に類似の核酸配列と参照核酸配列との同一性のパーセンテージは少なくとも約 50%、65%、75%、85%、95%、99%またはそれ以上である。核酸配列の実質的同一性は2つの配列の配列同一性を例えば物理的/化学的方法(即ち、ハイブリダイゼーション)、または、コンピュータアルゴリズムを用いた配列アラインメントによって比較することによって決定できる。参照ヌクレオチド配列に対してヌクレオチド配列が実質的に類似であるかを判定するために好適な核酸ハイブリダイゼーション条件は以下の通りである: 7%ドデシル硫酸ナトリウムSDS、0.5 M NaPO4、1 mM EDTA中、50℃でのハイブリダイゼーション、2X 標準クエン酸塩溶液 (SSC)、0.1% SDS、50℃での洗浄; 好ましくは、7% (SDS)、0.5 M NaPO4、1 mM EDTA中、50℃でのハイブリダイゼーション、1X SSC、0.1% SDS、50℃での洗浄; 好ましくは7% SDS、0.5 M NaPO4、1 mM EDTA中、50℃でのハイブリダイゼーション、0.5X SSC、0.1% SDS、50℃での洗浄;より好ましくは、7% SDS、0.5 M NaPO4、1 mM EDTA中、50℃でのハイブリダイゼーション、0.1X SSC、0.1% SDS、65℃での洗浄。2つの核酸配列の間の実質的な類似性を判定するのに好適なコンピュータアルゴリズムとしては、GCS プログラムパッケージ (Devereux et al. (1984)、Nucl. Acids Res. 12:387)、およびBLASTNまたはFASTA プログラム (Altschul et al. 1990 Proc. Natl. Acad. Sci. USA.1990 87:14:5509-13;Altschul et al., J. Mol. Biol. 1990 215:3:403-10;Altschul et al., 1997 Nucleic Acids Res. 25:3389-3402)が挙げられる。これらのプログラムのデフォールト設定は本発明の目的の核酸配列の実質的な類似性の判定に好適なものである。
「実質的に純粋な」という用語は、天然にそれに付随する成分から分離された化合物、例えばタンパク質またはポリペプチドをいう。典型的には、化合物は(体積、水含有または乾燥重量またはモルパーセントまたはモル分率により)サンプル中の全材料の少なくとも 10%、より好ましくは 少なくとも 20%、より好ましくは 少なくとも 50%、より好ましくは 少なくとも 60%、より好ましくは 少なくとも 75%、より好ましくは 少なくとも 90%、そしてもっとも好ましくは 少なくとも 99%が目的化合物である場合に実質的に純粋である。純度はいずれの適当な方法によっても測定することができ、例えば、ポリペプチドの場合は、カラムクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、またはHPLC 分析による。化合物、例えば、タンパク質は、それが実質的に天然に付随する成分を含まない場合または天然状態で付随するネイティブな汚染物から分離されている場合に実質的に精製されている。
「治療的」処置は、病気の徴候を示す対象に施される、かかる徴候を減少または除去する目的の処置である。
化合物の「治療上有効量」は化合物が投与される対象に有益な効果を与えるのに十分な化合物の量である。
本明細書において用いる場合、「導入遺伝子」という用語は、アミノ酸配列をコードする核酸に作動可能に連結したプロモーター/調節配列をコードする核酸を含む外来核酸配列であって、ここで外来核酸はトランスジェニック哺乳類によってコードされる。
本明細書において用いる場合、「トランスジェニック哺乳類」という用語は、生殖細胞が外来核酸を含む哺乳類をいう。
本明細書において用いる場合、「トランスジェニック細胞」は、導入される核酸配列によってコードされる遺伝子の発現を可能とするように細胞に導入された核酸配列を含むあらゆる細胞をいう。
本明細書において用いる場合、「治療する」という用語は、特定の障害または症状の予防または特定の障害または症状に関連する症候の軽減および/または該症候の防止または排除をいう。「予防的」処置は疾患の徴候を示さないか疾患の初期徴候のみを示す対象に、疾患に関連する病状の発達の危険を低下させるために施される処置である。本明細書において用いる場合、「治療する」という用語は特定の疾患、障害または症状に関連する症候の軽減および/または該症候の防止または排除を含む。
本明細書において用いる場合、「ワクチン」という用語は、対象に接種された場合に対象における免疫応答を刺激する効果を有し、症状、疾患またはその症候に対して対象を完全にまたは部分的に保護する役割を果たす組成物をいう。一つの側面において、症状は受胎である。ワクチンという用語は予防的および治療的ワクチンを含む。組合せワクチンは2以上のワクチンまたは2以上の化合物または物質を組み合わせたものである。
「ベクター」は、単離核酸を含み、かつ、細胞の内部へ単離核酸を送達するのに用いられる組成物である。当該技術分野で知られている様々なベクターとしては、これらに限定されないが、直鎖状ポリヌクレオチド、イオン性または両親媒性化合物と結合しているポリヌクレオチド、プラスミドおよびウイルスが挙げられる。したがって、「ベクター」という用語は、自己複製プラスミドまたはウイルスを含む。この用語はまた、核酸の細胞への輸送を促進する非プラスミドおよび非ウイルス性化合物、例えば、ポリリジン化合物、リポソーム等も含むと考えるべきである。ウイルス性ベクターの例としては、これらに限定されないが、アデノウイルス性ベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レトロウイルスベクター、プラスミド、コスミド、ラムダファージベクター等が挙げられる。
「発現ベクター」とは、発現させるべきヌクレオチド配列に作動可能に連結した発現制御配列を含む組換えポリヌクレオチドを含むベクターをいう。発現ベクターは発現に十分なシス作動性の要素を含む; 発現のためのその他の要素は宿主細胞によって、またはインビトロ発現系によって供給されうる。発現ベクターには当該技術分野において公知のあらゆるものが含まれ、例えば、組換えポリヌクレオチドを組み込んだ、コスミド、プラスミド(例えば、裸の(naked)ものまたはリポソームに含まれたもの)およびウイルスが挙げられる。
一つの態様において、本発明は、医薬上許容される担体および少なくとも1つの 卵タンパク質、またはそのホモログ、断片または誘導体を含む医薬組成物を提供し、ここで該タンパク質は、対象における受胎の阻害に有用な免疫応答を誘発することが出来る。一つの側面において、本発明は、医薬組成物を提供し、ここで該卵タンパク質は 配列番号2、4、6、8、10からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。別の側面において、本発明は、さらに少なくとも1つのさらなる卵タンパク質を含む医薬組成物を提供し、ここで該既知の卵タンパク質は避妊に有用な免疫応答を誘発することが出来る。
一つの態様において、本発明は、医薬組成物を提供し、ここで該医薬組成物は少なくとも2つの異なるタンパク質、またはそれらのホモログ、断片または誘導体を含み、ここで該少なくとも2つの異なるタンパク質は配列番号2、4、6、8、10からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
一つの態様において、本発明は、避妊ワクチンを提供し、該ワクチンは、配列番号2、4、6、8、および10からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む1以上のタンパク質、またはその変異体、ホモログまたは断片、および少なくとも1つのその他の卵タンパク質、またはその変異体、断片またはホモログを含む本発明の医薬組成物を含む。
一つの態様において、本発明は、対象における受胎を阻害する方法を提供し、該方法は該対象に、医薬上許容される担体および少なくとも1つの卵タンパク質、またはそのホモログ、断片または誘導体を含む医薬組成物を投与することを含み、ここで該タンパク質は対象における受胎を阻害するのに有用な免疫応答を誘発することが出来る。一つの側面において、卵タンパク質は配列番号2、4、6、8、10からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
もちろん、本発明のタンパク質またはペプチドは活性に影響を与えずに修飾されたアミノ酸 残基を含んでいてもよいということを理解されたい。例えば、末端を誘導体化して保護基、即ち、「望ましくない分解」からN-およびC-末端を保護および/または安定化するのに好適な化学的置換基を含むようにしてもよく、ここで「望ましくない分解」とは、化合物の機能に影響を与えるであろうその末端における化合物の酵素的、化学的または生化学的なあらゆるタイプの分解、即ち、あらゆるその末端における化合物の逐次分解を含む意味である。
保護基には、ペプチド化学技術分野において常套に用いられ、ペプチドのインビボ活性に有害作用をもたらさない保護基が含まれる。例えば、好適なN-末端保護基はN末端のアルキル化またはアシル化により導入することが出来る。好適なN-末端保護基の例としては、C1-C5 分枝または非分枝アルキル基、アシル基、例えば、ホルミルおよびアセチル基、ならびにそれらの置換形態、例えば、アセトアミドメチル(Acm)基が挙げられる。アミノ酸のデスアミノアナログも有用なN-末端保護基であり、ペプチドのN末端に結合したものでもよいし、N-末端残基の代わりに用いてもよい。C末端のカルボキシル基が組み込まれていても組み込まれていなくてもよい好適なC-末端保護基としては、エステル、ケトンまたはアミドが挙げられる。エステルまたはケトン形成アルキル基、特に低級アルキル基、例えば、メチル、エチルおよびプロピル、およびアミド-形成アミノ基、例えば、一級アミン(-NH2)、およびモノ-およびジ-アルキルアミノ基、例えば、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルエチルアミノ等がC-末端保護基の例である。デスカルボキシル化アミノ酸アナログ、例えば、アグマチンも有用なC-末端保護基であり、ペプチドのC-末端残基に結合させてもよいし、その代わりに用いてもよい。さらに、末端の遊離アミノおよびカルボキシル基をすべてペプチドから除いてペプチド活性に影響を与えずにそのデスアミノおよびデスカルボキシル化形態を作ることも可能であるということが理解される。
その他の修飾も活性に悪影響を与えることなく組み込むことができ、例えば、これに限定されないが、天然L-異性体形態の1以上のアミノ酸のD-異性体形態のアミノ酸による置換が挙げられる。したがって、ペプチドは1以上のD-アミノ酸残基を含んでいてもよく、あるいはすべてがD-形態であるアミノ酸から構成されるものでもよい。レトロ-インベルソ(retro-inverso)形態の本発明によるペプチドもまた包含され、例えば、すべてのアミノ酸がD-アミノ酸形態により置換された逆(inverted)ペプチドも含まれる。
本発明の酸付加塩もまた機能的同等物として含まれる。したがって、ペプチドの水溶性塩を与えるよう、無機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等、あるいは、有機酸、例えば、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸等で処理された本発明によるペプチドは本発明における使用に好適である。
修飾(通常は一次配列を変化させない修飾)には、ポリペプチドのインビボ、またはインビトロの化学的誘導体化、例えば、アセチル化、またはカルボキシル化が含まれる。グリコシル化の修飾、例えば、その合成およびプロセシングまたはさらなるプロセシング工程におけるポリペプチドのグリコシル化パターンの、例えば、グリコシル化に影響を与える酵素、例えば、哺乳類グリコシル化または脱グリコシル化酵素へのポリペプチドの曝露による修飾によるものも含まれる。ホスホリル化アミノ酸残基、例えば、ホスホチロシン、ホスホセリン、またはホスホスレオニンを有する配列もまた含まれる。
タンパク分解に対するその耐性を向上させるため、または溶解性を最適化するため、あるいは治療薬としてより好適なものとするために、通常の分子生物学的技術を用いて修飾されたポリペプチドもまた含まれる。かかるポリペプチドのアナログとしては、天然L-アミノ酸以外の残基、例えば、D-アミノ酸または非天然合成アミノ酸を含むものが挙げられる。本発明のペプチドは本明細書に例示された特定の例示的な工程のいかなる産物にも限定されない。
本発明に有用な核酸としては、例えば限定的ではないが、以下が挙げられる:オリゴヌクレオチドおよびポリヌクレオチド、例えば、 アンチセンス DNAおよび/または RNA; リボザイム; 遺伝子治療用のDNA; ウイルス DNA および/または RNAを含むウイルス断片; DNA および/または RNA キメラ; mRNA; プラスミド; コスミド; ゲノム DNA; cDNA; 遺伝子断片; 様々な構造的形態の DNA、例えば、一本鎖 DNA、二本鎖 DNA、スーパーコイル DNA および/または 三重らせん DNA; Z-DNA;等。核酸は大量に核酸を調製するのに典型的に用いられるいずれの従来型の手段により調製してもよい。例えば、DNAおよびRNAは市販の試薬および合成機を用いて、当該技術分野において周知の方法により化学合成することができる (例えばGait、1985、OLIGONUCLEOTIDE SYNTHESIS: A PRACTICAL APPROACH (IRL Press、Oxford、England)を参照されたい)。RNAはプラスミド、例えば、 SP65 (Promega Corporation、Madison、WI)を用いてインビトロ転写により高収率で産生することが出来る。
本発明のペプチドは、標準的な、よく確立された技術、例えば、Stewart et al、Solid Peptide Synthesis、2nd Edition、1984、Pierce Chemical Company、Rockford、Illinois;および Bodanszky and Bodanszky、The Practice of Peptide Synthesis、1984、Springer-Verlag、New Yorkに記載の固相ペプチド合成 (SPPS)により容易に調製することができる。最初に、好適に保護されたアミノ酸残基をそのカルボキシル基を介して誘導体化された不溶性ポリマー支持体、例えば、架橋ポリスチレンまたはポリアミド樹脂に結合させる。「好適に保護された」とは、アミノ酸のα-アミノ基、およびあらゆる側鎖官能基の両方の上に保護基が存在することをいう。側鎖保護基は一般に合成に際して用いられる溶媒、試薬および反応条件に対して安定であり、最終ペプチド産物に影響しない条件下で除去可能なものである。オリゴペプチドの段階的合成は所望のペプチドの配列の最初のアミノ酸からのN-保護基の除去、および次のアミノ酸のカルボキシル末端のそれに対する結合によって行われる。このアミノ酸もまた好適に保護されている。入ってくるアミノ酸のカルボキシルは支持体に結合したアミノ酸のN末端との反応のために、反応性基の形成、例えば、カルボジイミド、対称的酸無水物または「活性エステル」基、例えば、ヒドロキシベンゾトリアゾールまたはペンタフルオロフェニルエステルの形成により活性化することが出来る。
固相ペプチド合成方法の例としては、α-アミノ保護基としてtert-ブチルオキシカルボニルを用いるBOC 方法、およびアミノ酸残基のα-アミノの保護に9-フルオレニルメチルオキシカルボニルを用いるFMOC 方法が挙げられ、これら両方法は当業者に周知である。
N-および/またはC-保護基の組込みはまた、固相ペプチド合成方法に常套のプロトコールを用いて達成することが出来る。C-末端保護基の組込み、例えば、所望のペプチドの合成は典型的には、固相として、樹脂からの切断により所望のC-末端保護基を有するペプチドが生じるように化学的に修飾された支持樹脂を用いて行われる。C末端が一級アミノ保護基を有するペプチドの提供のためには、例えば、合成は、ペプチド合成が完了した際に、フッ化水素酸処理により所望のC-末端アミド化ペプチドが遊離するように、p-メチルベンズヒドリルアミン (MBHA) 樹脂を用いて行われる。同様に、C末端へのN-メチルアミン保護基の組込みは、HF処理によりN-メチルアミド化C末端を有するペプチドが遊離する、N-メチルアミノエチル-誘導体化DVB樹脂を用いて達成される。C末端のエステル化による保護も常套の手順により達成できる。これは、所望のアルコールとの次の反応を可能とし、エステル官能基の形成させるために、樹脂からの側鎖ペプチドの遊離を可能とする樹脂/保護基の組合せの使用を必要とする。メトキシアルコキシベンジルアルコールまたは同等のリンカーにより誘導体化したDVB 樹脂と組み合わせたFMOC 保護基は、この目的のために利用でき、支持体からの切断はジクロロメタン中のTFAにより行われる。例えばDCCにより好適に活性化されたカルボキシル官能基のエステル化は、所望のアルコールの添加、次いでエステル化ペプチド産物の脱保護および単離によって進行させることが出来る。
合成ペプチドが樹脂に結合したままでも、例えば、好適な無水物およびニトリルでの処理によりN-末端保護基の組込みを達成することが出来る。アセチル-保護基をN末端に組み込むためには、例えば、樹脂-結合ペプチドをアセトニトリル中の20% 無水酢酸で処理するとよい。N-保護ペプチド産物を次いで樹脂から切断し、脱保護し、次いで、単離することができる。
化学または生物学的合成技術のいずれかから得られるタンパク質またはペプチドが所望のペプチドであることを確認するためには、ペプチド組成分析を行うべきである。かかるアミノ酸組成分析は、高分解能質量分析を用いてペプチドの分子量を決定することにより行うことができる。あるいは、またはそれに加えて、ペプチドのアミノ酸含有物は、ペプチドを酸水溶液中で加水分解し、分離し、混合物の成分をHPLCを用いて同定および定量するか、またはアミノ酸分析器によって確認することが出来る。ペプチドを経時的に分解し、アミノ酸の順序を同定するタンパク質配列決定装置を用いて、ペプチドの配列を明確に決定することも可能である。
その使用に先立って、ペプチドは混入物を除くよう精製する。この点に関して、ペプチドは適当な規制機関により設定された標準に適合するよう精製されるということが理解される。多数の常套の精製手順のいずれも所望の純度レベルの達成に用いることが出来、例えばアルキル化シリカカラム、例えば、C4 -、C8-またはC18- シリカを用いる逆相高圧液体クロマトグラフィー (HPLC)が挙げられる。有機物質が増加する勾配移動相が一般に精製を達成するために用いられ、例えば、通常少量のトリフルオロ酢酸を含む水性バッファー中のアセトニトリルが挙げられる。イオン交換クロマトグラフィーも電荷に基づいてペプチドを分離するのに用いることが出来る。
本明細書に記載されるようにして得られた実質的に純粋なペプチドは、タンパク質精製の以下のような公知の手順によって精製され得、ここで、免疫学的、酵素的またはその他のアッセイがその手順の各段階における精製をモニターするのに使用される。タンパク質精製方法は当該技術分野において周知であり、例えば、Deutscher et al. (ed.、1990、Guide to Protein Purification、Harcourt Brace Jovanovich、San Diego)に記載されている。
本発明はまた、本発明の化合物を含む医薬組成物にも関する。より具体的には、かかる化合物は、当業者に知られた標準的な医薬上許容される担体、充填剤、可溶化剤および安定化剤を用いて医薬組成物として製剤することが出来る。
本発明は、対象に本発明の化合物を投与する方法にも関する。一つの態様において、本発明は、本発明に記載の方法を用いて同定された化合物を投与することによって対象を治療する方法を提供する。本発明の化合物を含む医薬組成物は必要とする対象にあらゆる経路で投与され、経路としてはこれらに限定されないが、局所、経口、静脈内、筋肉内、動脈内、髄内、くも膜下腔内、脳室内、経皮、皮下、腹腔内、鼻腔内、腸内、局所、舌下、または直腸手段が挙げられる。
一つの態様によると、かかる治療を必要とする対象を治療する方法が提供される。該方法は少なくとも1つの本発明の化合物を含む医薬組成物を必要とする対象に投与することを含む。本発明の方法によって同定された化合物は既知の化合物またはその他の薬物と共に投与することが出来る。
本発明はまた、適当な化合物、およびそのホモログ、断片、アナログまたは誘導体の医薬組成物の本発明の方法の実施のための使用も含み、該組成物は少なくとも1つの適当な化合物、およびそのホモログ、断片、アナログ、または誘導体ならびに医薬上許容される担体を含む。
本発明の実施に有用な医薬組成物は1 ng/kg/日 〜 100 mg/kg/日の用量を送達するよう投与するとよい。
本発明は本明細書に開示する疾患の治療に有用な化合物を活性成分として含む医薬組成物の調製および使用を含む。かかる医薬組成物は対象への投与に好適な形態において活性成分のみからなるものであってもよいし、あるいは、医薬組成物は活性成分と1以上の医薬上許容される担体、1以上の付加的成分またはそれらの組合せを含むものであってもよい。活性成分は、例えば、当該技術分野において知られている生理的に許容されるカチオンまたはアニオンとともに生理的に許容されるエステルまたは塩の形態において医薬組成物中に存在してもよい。
本明細書において用いる場合、「生理的に許容される」エステルまたは塩という用語は、医薬組成物のその他のいずれの成分とも適合性であって、組成物が投与された対象にとって有害でない活性成分のエステルまたは塩形態をいう。
本明細書に記載される医薬組成物の剤形は公知方法または薬学技術分野において今後開発される方法のいずれによって調製されたものでもよい。一般に、かかる調製方法には、活性成分を担体または1以上のその他の副成分と混合させる工程、そして、必要または所望であれば、生成物を所望の単一または複数用量単位に成形または包装する工程が含まれる。
かかる医薬組成物は一般にあらゆる種の動物への投与に好適であることを当業者であれば理解している。本発明の医薬組成物の投与が考えられる対象としては、これらに限定されないが、ヒトおよびその他の霊長類、哺乳類、例えば、産業に関連する哺乳類、例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ネコ、およびイヌ、鳥類、例えば、産業に関連する鳥類、例えば、ニワトリ、アヒル、ガチョウ、およびシチメンチョウが挙げられる。本発明はまた有害動物、例えば、げっ歯類の避妊における使用も考慮する。
本発明の医薬組成物は単一単位用量として、または複数の単一単位用量として大量に調製、包装または販売されうる。本明細書において用いる場合、「単位用量」とはあらかじめ決定された量の活性成分を含む医薬組成物の決められた量をいう。活性成分の量は一般に対象に投与されうる活性成分の用量と同じであるか、かかる用量の便利な分画、例えば、かかる用量の1/2または1/3などである。
活性成分、医薬上許容される担体、およびあらゆる付加的成分の本発明の医薬組成物における相対量は治療される対象の実体、大きさ、および症状に依存して変動し、さらに、組成物が投与される経路にも依存するであろう。例えば、組成物は0.1%〜100% (w/w)の活性成分を含みうる。
活性成分に加えて、本発明の医薬組成物はさらに1以上のさらなる薬理活性薬を含みうる。特に考えられるさらなる薬剤としては、制吐薬および捕捉剤、例えば、シアン化物およびシアン酸捕捉剤が挙げられる。
本発明の医薬組成物の制御または徐放剤形は、常套の技術を用いて作ることが出来る。
本明細書において用いる場合、「さらなる成分」としてはこれらに限定されないが、以下の1以上が挙げられる: 賦形剤; 表面活性剤; 分散剤; 不活性希釈剤; 顆粒化剤および 崩壊剤; 結合剤; 滑沢剤; 甘味料; 香味料; 着色料; 保存料; 生理的に分解可能な組成物、例えば、 ゼラチン; 水性媒体および溶媒; 油性媒体および溶媒; 懸濁剤; 分散剤または湿潤剤; 乳化剤、粘滑剤; 緩衝剤; 塩類; 増粘剤; 充填剤; 乳化剤; 抗酸化剤; 抗生物質; 抗真菌剤; 安定化剤;および医薬上許容されるポリマー性または疎水性物質。本発明の医薬組成物に含めることが出来るその他の「さらなる成分」は当該技術分野において知られており、例えばGenaro、ed.、1985、Remington's Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Co.、Easton、PAに記載されており、これは引用により本明細書に含める。
典型的には、動物、好ましくはヒトに投与しうる本発明の化合物の用量は、1 μg〜約 100 g /kg/動物体重の量の範囲である。投与される正確な用量は多数の因子、例えばこれらに限定されないが、動物のタイプ、治療すべき疾患状態のタイプ、動物の年齢および投与経路に依存して変動するであろう。好ましくは、化合物の用量は 約 1 mg〜約 10 g /kg/動物体重の範囲であるであろう。より好ましくは、用量は約 10 mg〜約 1 g /kg/動物体重の範囲であるであろう。
化合物は動物に一日数回の頻度で投与することが出来、あるいはそれはより低い頻度で投与してもよく、例えば、1日1回、1週間に1回、2週間に1回、1ヶ月に1回、またはさらに低い頻度で投与してもよく、例えば、数ヶ月に1回または1年に1回あるいはそれ未満であり得る。投与頻度は当業者に明らかであり、多数の因子、例えば、これらに限定されないが、治療すべき疾患のタイプおよび重篤度、動物のタイプおよび年齢等に依存するであろう。
本発明はまた、本発明の組成物および組成物の哺乳類の細胞または組織への外膜(adventitially)投与を説明する説明材料を含むキットも含む。別の態様において、このキットは、化合物の哺乳類への投与の前の本発明の組成物の溶解または懸濁に好適な(好ましくは無菌の)溶媒を含む。
本明細書において用いる場合、「説明材料」には、刊行物、記録、図表、またはその他のあらゆる表現媒体が含まれ、これは、本明細書で言及する様々な疾患または障害の軽減に有効であるキットにおける本発明のペプチドの有用性を伝達するのに用いられ得る。所望により、あるいは代替的に、説明材料は哺乳類の細胞または組織における疾患または障害の1以上の軽減方法を説明するものであり得る。本発明のキットの説明材料は、例えば、本発明のペプチドを含む容器に添付してもよいし、あるいは本発明のペプチドを含む容器とともに輸送してもよい。あるいは、説明材料は、説明材料と化合物とが使用者により共に用いられるよう注意を付して容器とは別々に輸送してもよい。
本発明を以下の実施例および態様に言及して記載する。さらに説明しないが、当業者であれば上記の記載および以下の例示的実施例を用いることにより、本発明を製造および使用することができ、特許請求の範囲に記載の方法を実施することが出来ると考えられる。以下の具体的実施例はそれゆえ例示の目的で提供されるものであり、本発明の好ましい態様を具体的に挙げるものであって、その他の開示部分のいずれも限定するよう解釈してはならない。それゆえ、実施例は本明細書に記載する開示の結果明らかとなるあらゆるすべての改変を包含するよう解釈すべきである。
実施例 1- SLLP1およびその卵への結合における役割
材料および方法
マウス SLLP1 (mSLLP1)のクローニングおよび発現
ヒト SLLP1およびSLLP2 核酸およびタンパク質は本発明者らによって以前に同定されており配列決定されている (2002年7月18日出願米国特許出願第10/181,611号参照、これはその内容全体を引用により本明細書に含める)。これらタンパク質は本発明者らによってさらに特徴決定され、ファミリーのその他のメンバーが同定された(2005年7月13日出願米国特許出願第10/542,038号参照、これはその内容全体を引用により本明細書に含める; Mandal et al.、2003、Biology of Reproduction、68:1525-1537も参照、これはその内容全体を引用により本明細書に含める)。両方のSLLP タンパク質はその発現において精子特異的である。
Blast サーチツール (Altschul、1990)を用いて、ヒト SLLP1のマウスオルソログをNCBI GenBank データベース中にて探索し、候補遺伝子を同定した。NcoIおよびXhoI 制限部位を有する単一遺伝子特異的フォワードおよびリバースプライマーをそれぞれ設計し、マウス SLLP1の予測プロセッシング後形態 (128 アミノ酸、94〜221) を増幅した。プライマーはInvitrogen (Carlsbad、CA)から得た。cDNAをマウス精巣 cDNA ライブラリー (Clontech、Palo Alto、CA)からPCRにより増幅した。用いたサイクリングパラメーターは、94℃、2分; 94℃、30秒; 51℃、1分; および68℃、1.5分を40サイクルであった。PCR 反応産物をアガロースゲルで分離し、〜400 bpのバンドを単離し、再増幅し、pCR2.1 TOPO ベクター (Invitrogen)にサブクローニングした。複数のcDNA クローンを両方向について、Perkin-Elmer Applied Biosystems DNA シーケンサー (Biomolecular Research Facility、Univ. of Verginia Health System、VA)でベクター由来プライマーを用いて配列決定した。クローニングしたマウス SLLP1のcDNA 配列をGenBankに登録した(受入番号、AY601763)。インサートを次いで制限消化し、ゲル精製し、あらかじめ消化しておいた pET28b+ ベクターにラーゲーションし、コンピテント BL21DE3細胞 (Novagen、Madison、WI)の形質転換に用いた。最終コンストラクトにはN-末端に2アミノ酸およびC-末端に8残基を付加し、C末端には6ヒスチジンタグを含めた。シングルコロニーからの7.0 ml 培養物を600 nmでの吸光度が~ 0.8となるまで37℃にて Luria broth (LB)にて50 μg/mlのカナマイシンの存在下で培養した。イソプロピル-β-D-チオガラクトピラノシド (IPTG) (Sigma、St. Louis、MO)を終濃度1 mMとなるように添加して発現を誘導した。3時間の誘導後、細菌を遠心分離により収集した。組換えタンパク質を大腸菌の不溶性画分から単離し、結合バッファー (20 mM tris-HCl、pH 7.9、5 mM イミダゾールおよび0.5 M NaCl)中の8 M 尿素に溶解し、His 結合 Ni2+ キレート化 アフィニティー 樹脂カラムで製造業者の手順 (Novagen)を改変して精製した。溶出液を次いでPBSに対して一晩透析し、PBSを3回交換した。透析したタンパク質を-20℃で使用時まで保存した。タンパク質濃度はCoomassie Plus-200 (Pierce、Rockford、IL)によりウシ血清アルブミン (BSA) を標準として測定した。
ポリクローナル抗体産生およびウェスタンブロット分析
5匹の成体未交尾雌性モルモットを精製 recmSLLP1に対する抗体産生に用いた。免疫前血清を心臓穿刺により収集し、次いで、各動物に完全フロイントアジュバント中の200 μgの精製 recmSLLP1を注射し、14 日間隔で2回不完全フロイント アジュバント中の同じ量のタンパク質で追加免疫した。すべての免疫について、抗原乳濁液の半分を脚に筋肉内注射し、残りの半分を背中の2部位に皮下注射した。すべての動物を最後の免疫の9 日後に心臓穿刺により失血させた。血液を血清分離チューブ (Becton Dickinson、Franklin Lakes、NJ)に収集した。1750 g で10分間の遠心分離の後、血清を取り出し、アリコットとし、必要時まで凍結した。
抗血清の特異性を recmSLLP1およびマウス精子抽出物に対して1D SDS-PAGE ウェスタンブロッティングにより試験した。RecmSLLP1 (0.1 μg/レーン)または精巣上体尾部マウス精子(10 μg/レーン)をLaemmli バッファー (2x)に可溶化し、タンパク質を15% SDS-PAGEゲルで分解し、20 mAで分離した。タンパク質を次いでニトロセルロースにブロッティングし、Ponceauで染色した。すべてのブロットをPBS中の5% 脱脂粉乳および0.05% Tween 20 (PBS-T)で 30分間室温でブロッキングした。精製 recmSLLP1のイムノブロッティングのために、1:15,000または1:30,000 希釈の抗-recmSLLP1 モルモット血清を試験し、一方、マウス精子タンパク質については、1:5,000または1:10,000 希釈の血清を用いた。ブロットを3回10分間 PBS-T中で洗浄し、1:5000 希釈のペルオキシダーゼ結合ヤギ 抗-モルモット IgG 二次抗体とともに1時間インキュベートし、2回10分間 PBS-T中で洗浄した。ブロットをTMB ペルオキシダーゼ基質 (3,3',5,5'-テトラメチルベンジジン、KPL、Gaithersburg、MD)またはECL 試薬 (Amersham Corp.、Buckinghamshire、UK)のいずれかで現像した。
インビトロ受精アッセイのための培地および試薬
インビトロ受精アッセイに用いた培地は、3% BSAを補充し、培養グレードH2Oと分析用試薬とを用いて調製したWhittingham培地のFraserによる改変培地 (Fraser and Drury、1975) であった。TYH (Toyoda、1971) 培地を精子-卵細胞膜結合アッセイに用いた。妊馬血清ゴナドトロフィン (PMSG)、ヒト絨毛性ゴナドトロフィン (hCG)、BSA、培養グレードH2O、ヒアルロニダーゼ、キモトリプシン、Hoechst 色素 33342 およびその他の試薬はSigmaから得た。
インビトロアッセイのための配偶子の調製
雑種 F1 マウス (C57BL/6J x CBA)をすべての実験に用いた。性的に成熟した雄性マウスからの精巣上体精子の懸濁液を単離卵母細胞の精子注入のために調製した。卵母細胞を48時間間隔で腹腔内注射した10 IU PMSGおよび10 IU hCGにより過排卵させた28日齢雌性マウスから得た。雌性マウスを hCG 注射の16時間後に屠殺し、両方の卵管をすぐに取り出し、ミネラルオイル中に入れた。
卵丘-卵母細胞複合体とのインビトロ受精
卵丘がインタクトな卵母細胞とのインビトロ受精を200 μl滴の受精培地中、パラフィン油の下に5分間入れた精巣上体尾部から分散した精子を用いて行った。精子懸濁液を200 μl体積中濃度 106 精子/mlに希釈し、加湿組織培養インキュベーター (37℃、空気中5% CO2)で120分間インキュベートして、受精能を獲得させた。抗-recmSLLP1 血清を試験する実験においては、精子を様々な濃度のデコンプリメントした(decomplemented) (56℃、30分間)免疫または免疫前血清と受精能獲得の最後の45 分間インキュベートした。 recmSLLP1を評価する実験においては、精子は標準受精能獲得条件下でインキュベートした。
卵丘塊(mass)をパラフィン油下の135 μl滴の受精培地 (1滴当たり1塊)に入れ、免疫または免疫前血清とともに、精子注入前にrecmSLLP1の存在下または非存在下で45分間インキュベートした。15μlの精子懸濁液 (終濃度: 105 精子/ml)を次いで各卵丘塊の滴に添加した。したがって、血清または組換えタンパク質が配偶子相互作用の際にインキュベーション滴中に存在した。精子注入の6時間後、卵母細胞をミネラルオイル下の100 μl 滴の受精培地に再び入れた。一晩のインキュベーションの後、卵を Hoechst 色素 (10 μg/ml)中で10分間染色し、3回受精培地で洗浄した。卵を顕微鏡スライドと上にある(elevated)カバーグラスの間の5μl 滴の受精培地に入れ、光学および蛍光顕微鏡 (Zeiss Axioplan)を用いて160X で可視化した。二細胞胚を受精したものとスコアし、一細胞卵母細胞を未受精のものとスコアした。
透明帯を有さない卵とのインビトロ受精
精子-卵細胞膜結合アッセイのために、2つの精巣上体尾部をパラフィン油下の900 μl 滴の受精培地に入れ、精子の濃密な塊を ~15分間自由に遊走させ、次いで1 x 106/mlに希釈して3時間受精能を獲得させた。卵丘卵母細胞複合体をパラフィン油下の200 μl 滴の TYH 培地に入れた。卵丘細胞を卵母細胞を3分間 TYH 培地 中の1 mg/ml ヒアルロニダーゼで処理することにより除き、 50 μl滴中で8回洗浄した。透明帯を卵母細胞をTYH培地中10 μg/ml キモトリプシンで1分間処理することによりゆるめ、ゆるんだ透明帯をプラーで作成した(pulled) パスツールピペットを用いた機械的撹拌により除いた。卵母細胞を次いで10 回洗浄し、TYH培地中で3時間インキュベートすることによりキモトリプシン処理から回復させ、その後、それらを10 μg/ml Hoechst 色素で10分間染色し、次いで穏やかに洗浄した。
抗-recmSLLP1 抗体の効果を試験するために、精子を様々な濃度のデコンプリメントした(decomplemented)免疫または免疫前血清と受精能獲得の最後の30分間インキュベートした。非処理卵母細胞を処理した精子を含むインキュベーション滴に添加し終濃度2.5 x 104 精子/mlとした。
recmSLLP1の効果をヒトおよびニワトリ c リゾチームと比較するために、精子をまず標準受精能獲得条件下でインキュベートした。卵母細胞を精子注入の前45分間 recmSLLP1 (0.1 〜200 μg/ml)またはhSLLP1 (25 μg/ml) またはニワトリまたはヒト リゾチーム (50 μg/ml、100 μg/ml)とプレ-インキュベートした。受精能を獲得した非処理精子を処理卵を含むインキュベーション滴に添加し、最終精子濃度を2.5 x 104/mlとした。したがって、行ったすべての実験において、血清、組換えタンパク質、またはリゾチームが配偶子相互作用の間にインキュベーション滴中に存在していた。配偶子共-インキュベーションの30分後、卵母細胞を5回TYH 培地で穏やかに洗浄し、顕微鏡スライドと上にある(elevated)カバーグラスの間に入れ、 160Xで可視化した。卵母細胞への結合を位相差を用いて卵母細胞当たりに結合した精子の数を数えることによってスコアした。卵との融合は蛍光顕微鏡を用いて各卵母細胞内の脱凝縮した精子の頭部の数を数えることによってスコアした。
マウス精子および卵母細胞の間接的免疫蛍光研究
固定した精子の上でのmSLLP1の局在化
精巣上体尾部マウス精子を0.9 ml 滴のカルシウムを含まないリン酸緩衝食塩水(PBS; pH 7.4)に入れ (1滴当たり2精巣上体)、5% CO2雰囲気中で5分間37℃でインキュベートした。先体反応を誘導するため、精子をTYH培地中で90分間インキュベートし受精能獲得させ (Visconti et al、1995) 、5 μM カルシウム イオノフォア A23187 をさらに15分間添加し、先体反応を起こらせた。各滴を回収し、10分間 500 gで遠心分離し、PBSに再懸濁した; この洗浄手順を3回繰り返した。PBS中のマウス精子の最終懸濁液のスメア(smear)を顕微鏡スライド上で室温で風乾し、PBS 中の2% w/v パラホルムアルデヒドで10分間固定した。PBS 中で6回洗浄した後、精子を正常ヤギ血清 (NGS) (PBS 中5% v/v) とともに37℃ で30分間インキュベートし、次いで1時間抗-recmSLLP1 血清 (1:25)とともにインキュベートした。スライドをPBS 中で3回洗浄し、精子を37℃で1時間ロバ由来テキサスレッド-結合ポリクローナル抗体 (1:200、Jackson Laboratories)とともにインキュベートした。スライドを洗浄し、室温で30分間 FITCと結合したピーナッツアグルチニン レクチン (PNA) (1:50) (Molecular Probes)とインキュベートし、洗浄し、Slowfade(登録商標)(Molecular Probes、Eugene、OR)にマウントし、Zeiss 標準 18 紫外線顕微鏡下で可視化した。像をMrGrab (Carl Zeiss Vision GmbH、Germany)を用いて得た。
卵標識:
中期 II 卵を以前に記載のようにして得 (Coonrod et al、1999)、5% NGS/培地とともに30分間インキュベートした。卵母細胞を5回TYH 培地中で洗浄し、100 μg/ml recmSLLP1または100 μg/ml リゾチームとともに45分間37℃、5% CO2でインキュベートした。卵母細胞を5回洗浄し、5% NGS/培地中のモルモット 抗-recmSLLP1 ポリクローナル抗体 (1:50)、ヒツジ 抗-ヒト リゾチーム (1:25)またはウサギ 抗-ニワトリ リゾチーム (1:400)ともに1時間37℃、5% CO2でインキュベートした。卵母細胞を5回洗浄し、5% NGS/培地中のロバ 抗-モルモット/テキサスレッド 抗体 (1:200)またはヤギ抗-モルモット/FITC 抗血清 (1:200)、ロバ 抗-ヒツジおよびヤギ抗-ウサギ FITC-標識二次抗体 (1:200) (Jackson ImmunoResearch)とともにそれぞれ1時間室温および37℃、5% CO2でインキュベートした。 卵母細胞を洗浄し、培地中でスライドガラスにマウントしZeiss 標準 18 紫外線 顕微鏡下で可視化した。像をMrGrab 1.0 (Carl Zeiss Vision GmbH、Germany)を用いて得た。
走査型共焦点顕微鏡
免疫蛍光研究 (上記)に用いた中期 II 卵を走査型共焦点顕微鏡に使用した。染色した卵を1% BSAを含有するPBS (PBS/BSA)中で3回洗浄し、PBS-ポリビニルアルコール (PVA)中の 4% パラホルムアルデヒド中で20分間室温で固定した。固定の後、卵を5回PBS/BSA中で洗浄し、PBS中の0.5% Triton X-100を用いて20分間室温で透過処理した。卵を次いでPBS/BSA中で5回洗浄し、PBS/BSA 中の0.4 mg/ml RNaseに30分間入れ、 20 nM Sytox (Molecular Probes)で10分間染色した。卵を次いで丁寧に洗浄し、スローフェード(slow fade) (Molecular Probes) 平衡化培地におよそ 1分間入れ、次いでスローフェードマウンティング(slow fade mounting)培地中でスライドにマウントした。像をZeiss 410 Axiovert 100 マイクロシステム LSM 共焦点顕微鏡で得た。各パネルについて、減弱、コントラスト、明るさおよびピンホール口径を一定に維持した。各パネルについて、ズーム比が2の63X油レンズを用いて4秒のスキャンを線当たり4回平均した。
中期 II 卵に対する結合の際の精子標識
上記インビトロ受精研究からの受精能を獲得した精子と授精させた透明帯-非含有卵を2% パラホルムアルデヒドで10分間室温で固定した。配偶子をPBS-BSA中で洗浄し、5% NGS/PBS-BSAとともに30分間 37℃でインキュベートし、次いで 1時間抗-recmSLLP1 血清 (1:25)とともにインキュベートした。スライドをPBS中で3回洗浄し、配偶子を1時間 37℃でロバ 抗-モルモット テキサスレッド-結合ポリクローナル抗体 (1:200、Jackson Laboratories)とともにインキュベートした。配偶子を次いでPBS/BSA中で5回洗浄し、PBS/BSA 中の0.4 mg/ml RNaseに30分間入れ、20 nM Sytox (Molecular Probes)で10分間核染色のために染色した。配偶子を丁寧に洗浄し、スローフェード (Molecular Probes) 平衡化 培地におよそ 1分間入れ、スローフェードマウンティング培地中でスライドにマウントした。像をZeiss 410 Axiovert 100 マイクロシステム LSM 共焦点 顕微鏡で上記のようにして得た。
統計的分析
すべてのインビトロアッセイは少なくとも3回以上繰り返した。実験群および対照群の値を平均± 標準平均誤差として報告した。群をマッチドペア t-検定を用いて比較し等分散性とし、P< 0.05と報告された差を有意レベルとみなした (Bowers、D. Medical Statistics from Scratch. John Wiley & Sons; West Sussex、UK、2002、pp. 129-132)。
結果
マウス SLLP1はhSLLP1の真のオルソログであり、c リゾチームと類似の特徴を共有する
mSLLP1の全推定アミノ酸配列を図1に示す (推定分子量 25 kDa、pI - 6.2)。mSLLP1のN 末端は推定膜貫通ドメイン、すぐ次に潜在的プロテアーゼ切断部位をアラニン93とリジン94 結合の間に含む。全長 hSLLP1と mSLLP1 配列とを Accelrys Gap (Seq/Web version 2) アルゴリズムを用いて比較したところ、mSLLP1 がhSLLP1と64.2% 類似であり58.8% 同一であることが判明した。プロテアーゼ切断部位 (128 アミノ酸)の後から開始するmSLLP1 プロセッシング後形態は、hSLLP1のそれと82.8% 類似性および75.8% 同一性を共有する。推定mSLLP1 配列は3つの推定ミリストイル化部位(G2、G41 およびG142)、カゼインキナーゼ II (S97)およびタンパク質キナーゼC (S66、S90、S152、およびS153)の潜在的リン酸化部位およびアルファ-ラクトアルブミン/リゾチーム C ファミリーの特徴的配列を含む。成熟 mSLLP1の推定分子量 (14.6 kDa)およびpI (5.2) はhSLLP1と同一である。
さらに、NCBI GenBank データベースのBlast サーチおよび選択した成熟 c リゾチームの複数配列 アラインメントにより、成熟 mSLLP1はマウス、ヒト およびニワトリ リゾチームとそれぞれ46%、48%および50% 同一であることが判明した(図2)。mSLLP1中の41残基は3つの従来型のリゾチームと同一である。c リゾチームの20の不変の残基のなかで(Prager、E. M.、and Jolles、P.、animal lysozymes c and g: an overview. In: Jolles、P. (Ed.)、lysozymes s: Model Enzymes in Biochemistry and Biology. Birkhauser Verlag、Basel、1996、pp. 9-31)、16残基はmSLLP1において保存されていることが判明した。興味深いことに、ニワトリリゾチームの必須の触媒残基 (E35およびD52) はmSLLP1 およびhSLLP1ではT35およびN52に置換されていた(Prager、E. M.、and Jolles、P.、Animal lysozymes c and g: an overview. In: Jolles、P. (Ed.)、lysozymes: Model Enzymes in Biochemistry and Biology. Birkhauser Verlag、Basel、1996、pp. 9-31)。c リゾチームの6つの潜在的基質-結合残基のなかで、5つはmSLLP1 とhSLLP1との両方で保存されていた (Kumagai、I.、Sunada、F.、Takeda、S.、and Miura、K.、1992. Redesign of the substrate-binding site of hen eff white lyzozyme based on the molecular evolution of C-type lysozymes. J. Biol. Chem. 267、4608-4612)。
マウス SLLP1 遺伝子Spaca3は、染色体 11の座 B5に位置する6つのエキソンの遺伝子であり、アミロライド感受性カチオンチャンネル 1、Accn1、およびミオシンファミリーに属する未知タンパク質の遺伝子に隣接している。マウスにおけるこの座は17q12とシンテニーであるとみなされており、ヒト SLLP1 遺伝子SPACA3は ACCN1およびミオシン遺伝子 MYO1Dに隣接している。さらに、成熟マウスおよびヒト SLLP1のイントロン位置はヒトおよびマウスリゾチームのTrp、Asp/AlaおよびTrpについての分断(interrupting)コドンと正確に一致し(図2)、これらの遺伝子の潜在的起源が去通の祖先からのものであることを示唆する。
mSLLP1の発現および抗体の特異性
残基 94〜221 (推定プロテアーゼ切断部位の後から開始)であって6-ヒスチジン C 末端タグを含む成熟 mSLLP1をコードするcDNA 配列を大腸菌で発現させ、約 15 kDaの組換えタンパク質をNi++アフィニティー精製の後に得た。recmSLLP1 調製物の相対純度を評価するために、精製タンパク質のアリコットを1-D 電気泳動で分離し、ゲルを銀染色し、 ブロッティングして抗-his 抗体でプローブした。約 15 kDaの顕著なバンドおよびよりかすかな約 30 kDaの推定二量体が示された(図3A)。これらの結果は、この研究に用いたrecmSLLP1調製物が高度に精製されていることを示す。
recmSLLP1に対してモルモットにて作成した抗体の特異性を、組換え免疫原およびマウス精子タンパク質の両方に対するウェスタンブロッティングによって調べた。免疫血清は、組換え調製物にみられた15 kDa 組換え SLLP1および推定 30 kDa 二量体を認識したが、免疫前血清およびアジュバントのみを注射したモルモットからの血清はrecSLLP1との免疫反応性を示さなかった(図3B)。マウス精子抽出物において、免疫血清は約 15 kDa バンドとのみ反応し、アジュバントのみを注射したモルモットからの血清および免疫前血清は反応性を示さなかった (図3B)。これらの結果は、精子タンパク質抽出物上のシングルバンドを与える特異的免疫試薬が、recmSLLP1に対して作成されていたことを示す。精子タンパク質抽出物中ではmSLLP1の~15 kDa形態のみがみられたことは、~25 kDaに泳動すると推定される全長 mSLLP1は、精子においては検出できないことを示す。さらに大腸菌発現の際には少量が二量体化するが、 mSLLP1 二量体化は精子においては起こらない。観察はまた、大腸菌で発現させたmSLLP1はアフィニティー精製後に、ネイティブなmSLLP1と交差反応性の抗体を生じさせるのに十分な数の免疫原性エピトープを含んでいたことを示す。
マウス SLLP1は精子先体と結合し、先体反応後も維持される
固定したマウス精子の間接的免疫蛍光は、mSLLP1を前側先体に70.0 %の受精能を獲得していない尾側精子において局在させた (図4、表1; すべての表はアブストラクトの後に添付する)。しかし、20.3 %の受精能を獲得していない精子はmSLLP1の赤道セグメント分布を示し、4.5 %は染色を示さなかった (表1)。71%の先体反応した精子は、PNA レクチン染色により先体において蛍光がないことから判定すると、赤道セグメントのみが抗-recmSLLP1 血清との反応性を示した(図5)。しかし、13.9 % の先体反応した精子は前側先体染色パターンを保持し、9.3 % は染色を示さなかった(表1)。mSLLP1 染色の前側先体における消失は、受精能獲得および先体反応の後に赤道セグメントにおける染色が現れることに対応しているようである。
先体反応した精子からのタンパク質を抗-recmSLLP1 血清を用いたウェスタン 分析 (表1 挿入)によって分析した。イオノフォア処理した、先体反応した精子は受精能を獲得した精子から抽出したタンパク質と比較してわずかに泳動度が低下した~14 kD mSLLP1 バンドを示した。~14 kD バンドのより小さい泳動はおそらく先体反応の際のmSLLP1のリン酸化/脱リン酸化における変化に起因し、これはタンパク質 リン酸化によって制御されていることが知られているプロセスである(Furuya et al、1992)。イオノフォア処理した、および受精能を獲得した精子におけるmSLLP1の存在は、観察された赤道の免疫蛍光染色が特異的SLLP1 パターンであることを確認した。重要なことに、共焦点分析は、マウス卵に堅固に結合したすべての受精能を獲得したマウス精子においてmSLLP1 の保持を示し(図6)、これはこのタンパク質が精子-卵細胞膜結合に関与しているという概念を強調する。
RecmSLLP1および抗-recmSLLP1 血清はマウスの卵丘がインタクトな卵の受精を阻害する
受精の際のmSLLP1の役割を判定するために、精子と卵丘がインタクトな卵母細胞との両方を精子注入の前に45分間抗-recmSLLP1 血清または免疫前血清とプレ-インキュベートした。受精を抗体の存在下で行い、6時間後、卵を再び100 μl 滴の受精培地に入れ、一晩インキュベートした。1:10 または1:50 希釈の免疫血清で処理した群においては、二細胞胚のパーセンテージはそれぞれの免疫前血清により観察された値から有意に(P ≦0.05)低下していた (それぞれ61%および17% 阻害; 表2A) 。しかし、卵丘がインタクトな卵に対する有意な効果は1:100 希釈では観察されなかった。
卵丘がインタクトな卵母細胞を2種類の濃度のrecmSLLP1ともインキュベートし、それは受精工程の際に培養培地に保持されていた。卵丘-卵母細胞複合体の200 μg/ml recmSLLP1による処理は対照群では45%である受精率をrecmSLLP1 処理群では12%に有意に低下させたが(73% 阻害、P ≦0.05)、対照群および50 μg/ml 組換えタンパク質処理群の間では受精のパーセンテージについて、低下がみられたものの有意差は観察されなかった (表2B)。これらによって、これらの結果はmSLLP1が 受精において役割を果たすことを示唆する。
マウス SLLP1は精子-卵結合において役割を有する
卵丘-卵 複合体を用いるrecmSLLP1 タンパク質および recmSLLP1に対する抗体による受精の阻害はSLLP1に対する抗体およびrecmSLLP1の配偶子結合および融合に対する効果の用量上昇研究を促し、これによりmSLLP1がその効果を発揮する受精カスケードにおける段階が判定される。それゆえ本発明者らは、抗-recmSLLP1 血清 (図7A) およびrecmSLLP1 タンパク質 (図7B)が受精能を獲得したマウス精子-卵結合、透明帯-非含有マウス卵への融合、またはその両方を阻害するかを試験した。両配偶子を1:10および1:50 希釈の 抗-recmSLLP1 免疫血清の存在下で共-インキュベートした場合、免疫前血清と比較して統計的に有意な結合の阻害が観察されたが融合の阻害は観察されず、1:100 希釈では有意差は無かった(図7A)。
もっとも顕著な効果は、透明帯-非含有マウス卵を様々な濃度の recmSLLP1 (0.1-200 μg/ml)とインキュベートし、非処理の受精能を獲得したマウス精子と授精させた場合に観察された。卵母細胞の recmSLLP1とのインキュベーションは卵に結合または融合した精子の数を濃度依存的に減少させ、有意な効果は0.1 μg/mlで観察され、結合と融合との両方の100% 阻害は200 μg/mlで観察された(12.5 μM; 図7B)。recmSLLP1の非存在下(バッファーのみ)でインキュベートした透明帯-非含有マウス卵母細胞を対照として用いた。 重要なことに、対照と比較して運動性の精子のパーセンテージにおける相違は観察されず、抗-recmSLLP1またはrecmSLLP1 タンパク質は精子運動性に影響を与えないが、卵細胞膜結合および続いて起こる融合に影響を与えることが示唆される。したがって、これらの結果は、受精の前のマウス卵表面での結合現象におけるmSLLP1の関与を支持する。
マウス SLLP1は受精していない、および受精した卵母細胞上に相補結合部位を有する
mSLLP1-結合部位の卵表面上での可能性のある局在化を研究するために、受精していない卵母細胞と、前核段階のインビトロ受精した卵母細胞を、精製組換え mSLLP1とともに45分間インキュベートし、洗浄し、次いで抗-recmSLLP1に曝した。受精していない卵母細胞は囲卵空間内および多くの卵母細胞表面上で蛍光標識を示した(図 8Ai およびii; 上側パネル、白色矢頭)。しかし、蛍光が存在しない領域も一貫して検出された。Hoechst 染色は、この陰性領域は、中期板を覆う卵母細胞原形質膜の領域に常に関連していることを明らかにした(図8Aii、下側パネル)。したがって、mSLLP1-結合部位は卵の融合性領域に限局しており、精子-卵結合におけるmSLLP1 相互作用のための役割と一致する。興味深いことに、インビトロで受精し、recmSLLP1で処理された透明帯を有するかまたは有さない卵母細胞は、卵の全表面にわたって強い、パッチ状の免疫蛍光ドメインを示し(図8B、白色矢頭)、SLLP1 結合部位が受精の後も卵表面ドメインに結合したままであることを示す。対照は、recmSLLP1に曝されず、抗-recmSLLP1に曝した卵母細胞(図 8Ci)、recmSLLP1とインキュベートし、免疫前血清に曝した卵母細胞 (図8Cii)、およびrecePAD(卵細胞質タンパク質; Wright et al.、2003、ePAD、an oocyte and early embryo-abundant peptidylarginine deiminase-like protein that localizes to egg cytoplasmic sheets. Dev. Biol. 256、73-88)とインキュベートした後、対応する特異的抗体とインキュベートした卵母細胞 (図8Ciii)を含むものであった。これら3つの対照のいずれも卵表面蛍光を示さなかった。
組換え SLLP1による処理後の卵におけるmSLLP1 結合部位をさらに局在化するために共焦点分析を行った。透明帯がインタクトな受精していない卵母細胞の光学切片はmSLLP1-結合部位がおもに囲卵空間に局在していることを示した(図9A)。一方、受精した卵の囲卵空間においては蛍光は実質的に検出されず、SLLP1の強いシグナルは卵細胞膜上では明瞭なパッチにおいて明らかであった(図9B)。弱い蛍光標識は受精していない卵と受精した卵の両方の透明帯上に観察された。
C リゾチームはマウス卵への配偶子結合または融合を阻害しない
マウスおよびヒト SLLP1はc リゾチーム ファミリーのいくつかの特徴を共有するリゾチーム-様タンパク質である。マウス SLLP1はヒトと48% 同一でありニワトリ リゾチームと50% 同一であり、従来型の マウス リゾチームと46% 同一であり、ヒト SLLP1はヒト リゾチームと52% 同一でありニワトリ リゾチームと48% 同一である。従来型の c リゾチームがSLLP1と同様に精子-卵結合および融合に対する阻害効果を有するかどうかを判定するために、ヒトおよびニワトリ リゾチーム をSLLP1について最大効果を発揮することが以前に示された濃度にてマウス卵母細胞とインキュベートした(図10)。 50 μgのマウス SLLP1および25 μg のヒト SLLP1が精子-卵結合および融合を最大に阻害したが、同様の効果は、50 または 100 μg/mlの従来型の c リゾチームでは観察されなかった (図10A)。同様に、マウス卵母細胞はヒトまたはニワトリ c リゾチームおよびそれぞれの抗体とインキュベートした場合に蛍光を示さず(図10B)、これらc リゾチームに対する卵細胞膜受容体が無いことを示す。
表1:先体がインタクトなマウス精子および先体反応したマウス精子の集団におけるSLLP1 染色パターンの発生率
陽性 PNA染色によって規定される先体がインタクトな精子においては、mSLLP1は主に前側先体に(70.0 %)、次いで赤道セグメントに(20.3%)局在し、細胞の4.5 %は染色を示さなかった。受精能を獲得し、イオノフォア-誘導により先体反応した精子においてはこのパターンは逆転し、mSLLP1は13.9 % の精子においてのみ前側先体に局在し、mSLLP1は70.9 %の細胞において赤道領域に局在した。先体反応した(AR) 精子の集団におけるパーセンテージを最後の列に示す。
挿入は、受精能を獲得した (CP)、および先体反応した(AR) マウス精巣上体尾部精子を免疫前 (Pi)および免疫 (Im) 血清でプローブしたウェスタン分析を示す。先体反応した精子はいくらかのmSLLP1の保持を明らかに示し、それは先体反応した集団における~14 kD バンド (矢頭)である。
表1
Figure 2008536803
表2 (表2Aおよび2Bからなる): 卵丘がインタクトな卵母細胞を用いたマウスインビトロ受精に対するSLLP1 抗-血清およびrecmSLLP1の効果
すべての場合において、血清または組換えタンパク質が受精の際に存在していた。二細胞胚を24時間後に受精したものとしてスコアした。 (*) P ≦0.05。(A) デコンプリメントした免疫前 (PI)または抗- recmSLLP1 免疫 (I) 血清を両方の配偶子に精子注入の45分前に添加した。統計的に有意な阻害は 1:10 および1:50 希釈でみられた。(B) RecmSLLP1を卵母細胞に、非処理の受精能を獲得したマウス精子による精子注入の45分前に添加した。有意な阻害は200 μg/ml のmSLLP1で示された。対照卵母細胞は recmSLLP1を含まないPBSとプレ-インキュベートした。
表2A
Figure 2008536803
表2B
Figure 2008536803
さらに、精子結合数/卵により測定して(左側パネル)、そして、精子-卵融合 (右側パネル)により判定して、図11の2つのグラフにおいて組換えマウス SLLP1が対照と比較して(組換え卵タンパク質、ePADに対する比較を含む)実質的に完全に精子-卵結合を阻害することができることが示される。
実施例 2
精子タンパク質 SLLP2:精子の卵との結合における役割および精子に対する卵受容体の同定のための使用
ヒト SLLP1およびSLLP2 核酸およびタンパク質は本発明者らによって以前に同定され配列決定された(2002年7月18日出願米国特許出願第10/181,611号参照、これはその内容全体を引用により本明細書に含める)。 これらタンパク質は本発明者らによってさらに特徴決定され、ファミリーのその他のメンバーが同定された(2005年7月13日出願米国特許出願第10/542,038号参照、これはその内容全体を引用により本明細書に含める)。両方のSLLP タンパク質はその発現において精子特異的である。
ヒトおよびマウス SLLP1および2の模式的比較を図12に提供する。さらにヒト SLLP2 cDNAおよび推定アミノ酸配列を決定し、図13に提供した。前駆体 SLLP2は約 18 kDAであり、pIが 5.9であり、プロセッシング後形態は15.7 kDAであり、pIが 5.9である。
ヒト SLLP1およびSLLP2はいずれもシグナルペプチドを含む。まず SLLP1 ポリペプチドはMW が23.4 kDaであって pIが8.0の215 アミノ酸 ポリペプチドとして合成される。成熟 SLLP1 ペプチドは128 アミノ酸でありMWが約 14.6 kDaであってpIが5.0である。 まずSLLP2 ポリペプチドはMWが17.9 kDa であってpIが5.9である159 アミノ酸ポリペプチドとして合成される。成熟 SLLP2 ペプチドは138 アミノ酸であってMWが 約 15.7 kDaでpIが5.9である。
ヒト SLLP1およびSLLP2は互いに48.8% 配列同一性を有し、1つの既知の成熟 ヒト リゾチーム C とそれぞれ52%および44% アミノ酸配列同一性を有し、染色体 17q11.2上の推定リゾチーム ホモログと44% および43% アミノ酸配列 同一性を有する。SLLP1はヒト リゾチームにもっとも密接に関連しており(52% 配列同一性)、SLLP2 はニワトリ リゾチームともっとも密接に関連している(51% 配列同一性)。
SLLP1をコードする遺伝子は染色体 17に位置し6012 bpの長さである。SLLP1遺伝子は5 つのエキソン(それぞれ109、309、159、79および164 bp) および4つのイントロン(それぞれ3436、1125、443および188 bp)を含む。SLLP2をコードする遺伝子は染色体 Xp11.1に位置し1950 bpの長さである。SLLP2遺伝子は4 つのエキソン (それぞれ169、159、79 および 181 bp)および 3つのイントロン (それぞれ428、830、および104 bp)を含む。興味深いことに、SLLP1のエキソン3および4はSLLP2のエキソン2および3 と、2つの全長タンパク質の間の全体の配列同一性よりも大きな配列同一性を有し(即ち、48.8%を超える)、SLLP1のエキソン3および4はそれぞれSLLP2のエキソン2および3と同一のサイズである。
成熟 マウス SLLP2 cDNA 配列 (配列番号15):
Figure 2008536803
成熟 マウス SLLP2 アミノ酸配列 (配列番号16):
Figure 2008536803
ヒト SLLP2 cDNA 配列 (配列番号17):
Figure 2008536803
ヒト SLLP2 アミノ酸配列 (配列番号18):
Figure 2008536803
SLLP2の発現の精子特異性の証拠を、脾臓、胸腺、前立腺、精巣 (レーン4)、卵巣、小腸、大腸および白血球のノザンブロット分析により示すように(図14A)、図14に示す。図14Bの格子も参照されたい。ここで、F8と示す正方形は精巣を表し、正方形D12は細菌においてクローニングおよび発現させた遺伝子を表す。
組換えヒト SLLP2 (「rechSLLP2」) を調製し、大腸菌において発現させた。抗体を組換え SLLP2に対して作成した。免疫-電子顕微鏡により、ヒト SLLP2 タンパク質がヒト精子における精子先体領域に局在していることが示された(図15参照)。ヒト SLLP2 タンパク質とそのホモログとのアラインメントを図16に示す。可溶性ヒト SLLP2もマウス SLLP2と同様に単離および精製した。
ヒト SLLP2の生理活性を分析するために、ヒト SLLP2が卵、この場合は、マウス卵に結合するかどうかを判定した(図17、写真 A-F)。この実験の結果は、ヒト SLLP2が実際にマウス卵に結合することができる、即ち、異種間結合することができることを示す。
図17に示すヒト精子 SLLP2の使用に対する比較のために、精製マウス SLLP2が透明帯がインタクトなマウス卵に結合するかどうかを判定する実験を行った。結果は図18の8つの写真から理解され、これは精子タンパク質 mSLLP2が実際にマウス卵に結合することを示す。次の実験ではマウス SLLP2が透明帯-非含有マウス卵に結合することを示した(図19の8つの写真参照; 左側パネル (A-D)- SLLP2無し; 右側パネル (A-D)- SLLP2有り)。競合アッセイを次に行って、組換えマウス SLLP2 のマウス精子とマウス卵との混合物への添加が精子と卵との結合を阻害することができるかどうかを判定した。様々な量の組換えマウス SLLP2を添加し(5、25、50、100、および200 μg/ml)、卵当たりに結合した精子の数を判定した。図 20から、BSA (200 μg/ml) またはPBS 対照と比較して、組換えマウス SLLP2の添加は、精子と卵との間に起こる結合の量を低下させることが出来ることが理解される
次いで、組換えマウス SLLPがマウス精子-卵融合を阻害することができるかを判定した。図21において、濃度 100または200 μg/ml 組換えマウスSLLP2において、組換えマウス SLLP2で処理された群においては、卵当たりの融合した精子の数がBSA およびPBS 対照処理と比較して、卵当たり融合精子数が約 0.1まで低下したことが理解される。
次いで、組換えマウス SLLP2がマウス卵とマウス精子との受精を実際に阻害または低下させることができるのかを判定した。濃度25、50、100、および200 μg/mlの組換えマウス SLLP2を精子および卵とインキュベートし、上記のようにBSAおよびPBS 対照と比較した。BSAおよびPBS 対照群においては約 75%の率で受精が起こっていたことが理解される。しかし、rmSLLP2の添加は受精を用量依存的に阻害し、200 μg/ml rmSLLP2によってほぼ完全に受精が阻害された(図 22)。 ヒト SLLP2のその他の哺乳類配列との比較 (図23)、およびイヌにおけるSLLP2 オルソログの保存を示す比較(図24)も提供する。
実施例 3
新規マウス卵特異的TolA タンパク質 (MET)の同定および特徴決定
この新規卵タンパク質はタンパク質-タンパク質相互作用アッセイによってスクリーニングし、それをマウス卵巣のcDNA ライブラリーからクローニングした。このタンパク質はマウス卵における重要なプレパターニングタンパク質であるようであり、初期胚発生において高度に制御されている。METはTolA (卵特異的) ファミリーに属し、このファミリーの特徴である大きなアラニンリッチ領域を有する。
Biacoreを用いたマウス先体精子タンパク質SLLP1に対する推定卵受容体のスクリーニング
Biacore システムは、その他の分子との相互作用のその特異性、その相互作用 (結合および解離)の速度およびそのアフィニティー(それが別の分子にどれだけ強く結合しているか)の観点からタンパク質の特徴を規定する。
Biacoreの SPR (表面プラズモン共鳴) 技術の適用はプロテオミクスの分野であり、目的のタンパク質を探しだし、その結果、質量分析同定が行われる。精製組換え SLLP1 をセンサーチップ表面に結合させ、リガンドフィッシングをSLLP1に結合した全マウス卵可溶化液に対して行い(1000 透明帯-非含有卵) 、次いで質量分析により同定した。多数のタンパク質を質量分析データを用いてスクリーニングし、新規マウス卵特異的TolA-様タンパク質(MET)をさらなる特徴決定のために選択した。それは新規 TolA タンパク質であり、EST データベースは卵および着床前の胚に非常に特異的であった。この遺伝子はマウス第9染色体に局在し、 TolA ファミリーに属する。TolA ファミリーはいくつかの細菌TolA タンパク質および機能が未知の2つの原核生物タンパク質からなる。細菌において、Tol タンパク質はグループA コリシンの転位に関与している。コリシンは細菌タンパク質毒素であり、大腸菌およびその他の関連種に対して活性である。MET タンパク質 はまた、本明細書において「コリシン取り込みタンパク質」とも称する。TolA はN-末端付近の1つの膜貫通セグメントにより細胞膜にアンカーされ、タンパク質の大部分をペリプラズムに曝露している。
METはTolA ドメインを含み、相同タンパク質は大腸菌のペリプラズムに存在し、 そのマウス卵における存在は進化の観点から重要であると考えられる。バイオインフォマティクス分析によりMETは4つのタンパク質キナーゼ C リン酸化部位、6つのカゼインキナーゼ II リン酸化部位および1つのチロシンキナーゼリン酸化部位を含むことが示された。
METのクローニングおよび発現
440 アミノ酸をコードする全長cDNAをマウス卵巣cDNA ライブラリー (Ambion)から増幅しpET 発現 ベクターにクローニングし、このタンパク質を融合タンパク質として大腸菌 (BL21) 細胞にて発現させた。mRNAは1621塩基長であることが判明した。416 アミノ酸のスプライス変異体が見いだされた。すべてのクローンを配列決定し、正しい読み枠を確認し、変異体は24 アミノ酸の断片欠失を有する同じタンパク質をコードすることが判明した。変異体と正常配列のアラインメントを図25に提供する。MET 核酸 (全長/正常および変異体) 配列およびタンパク質 (全長/正常および変異体)は以下の通りである:
MET-N 核酸配列 (配列番号1)
Figure 2008536803
MET-V 核酸配列 (配列番号3)
Figure 2008536803
MET-N アミノ酸配列 (配列番号2)
Figure 2008536803
MET-V アミノ酸配列 (配列番号4)
Figure 2008536803
両方のMET タンパク質配列を、細菌細胞を融合タンパク質をコードするプラスミドにより形質転換し、次いで1mM IPTG (イソプロピル-1-チオ-β-D-ガラクトピラノシド)による誘導によりpET ベクターで発現させた。全長タンパク質の予測サイズは48.4 kDであり、 24 アミノ酸欠失を有する変異体の予測サイズ は45.76 kDであった。両方の発現および誘導したタンパク質は推定分子量よりもSDS-PAGE では比較的高く泳動し(図 26)、これは細菌細胞における翻訳後変化に起因しうる。
MET はインクルージョンボディにて蓄積することが判明した。それゆえ、融合タンパク質のHis-タグはニッケルイオンに結合しているので細菌細胞可溶化液を用いてMETをニッケルカラムで精製した。精製後、METはSDS-PAGEで純粋なシングルバンドであるようであった(図27)。METにおけるアラニンリッチ TolA-様ドメインを図28で強調する。
マウス卵中のMETの免疫特徴決定
全長精製 MET タンパク質を用いてモルモット中で抗体を作成した。これらモルモットの免疫前スクリーニングは100のマウス卵からの卵可溶化液により行った。免疫は3匹の動物で行い、初回用量は150 μg の精製タンパク質であり、3週間間隔でのさらに2回の追加免疫用量は、50 μgであった。抗体力価を確認し、50,000 希釈であっても50 ngの精製タンパク質により十分に良好なシグナルを得られることが判明した(図29)。 同時に、2匹の動物をアジュバント対照として用い、これらは陰性であり、精製組換え METによりシグナルを与えなかった。
これらの抗体を用いてマウス卵中のネイティブな形態の METを特徴決定した。ウェスタン分析を100の透明帯がインタクトな卵について、上記抗体を用いて行った。1つの強いシグナルがその予測サイズ である48.4 kDで現れたが(図30)、同時に1つのよりかすかなバンドが65 kDあたりに細菌組換え中に現れ、これにより細菌組換え MET とマウス卵でのそのネイティブな形態とでは翻訳後変化が異なることが判明した。
マウス卵における亜鉛 METの局在化
METの発現はマウス卵巣切片に局在していたことが判明し(図31)、そして非常に卵特異的タンパク質であり、卵丘細胞とは交差反応しないことが判明した (図32)。いくつかの透過性の固定した卵もMET 局在化について確認し、METは卵細胞質に豊富に存在することが観察された。胚盤胞もMET 局在化について確認した。MET は初期胚盤胞において発現しているが、発現は後期胚盤胞では低下することが見いだされた。特定の卵割球へのかかる分離はプレパターニングと関連している可能性がある。
初期胚発生におけるMETの役割を調べるために実験を計画し、その局在化を胚盤胞段階までのすべての発達段階のインビトロ受精した卵について研究した (図33)。MET は胚胞段階でより豊富であり受精後徐々に減少することが判明したが、局在化は二細胞および四細胞段階において非常に特異的であるようであり、明らかにプレパターニングおよび胚の極性に関連しているようであった。しかし、後期胚盤胞段階においてはそれは周辺細胞においてのみ残っており、栄養外胚葉細胞のマーカーとなりうる。
MET とSLLP1とのタンパク質-タンパク質相互作用(ファーウエスタン分析)
METは精子先体タンパク質 SLLP1の相互作用パートナーとしてマウス卵から見いだされたので、ファーウエスタン分析をそれらの結合の証拠を見いだすために計画した。このために、7 μgの組換え METを12% SDS-PAGEにロードし、ニトロセルロースにトランスファーした。膜に組換え SLLP1 (2 μg/ml) をオーバーレイし (OL) 、抗-SLLP1 モノクローナル抗体および二次抗体でプローブした(図34Aおよび34B)。強いシグナルが精製 METにより観察され、METがSLLP1に結合し、おそらくSLLP 受容体であるというさらなる証拠が提供された。
要約
全長 MET タンパク質と1つのスプライス変異体をクローニングおよび精製した。このタンパク質は哺乳類卵特異的 TolA タンパク質であり、EST データベースにより受精した卵および受精していない卵にのみあることが示された。既知のTolA ファミリーの特徴にしたがって、METは241 アミノ酸 残基のTolA ドメインを有しており、これは高度にアラニンリッチである。
本明細書においてMETが卵細胞質、特に皮質に豊富であることが示された。それはおそらく卵割球のサブセットに分離し、METがプレパターニングおよび卵の極性の証拠を提供している可能性があることが示された。卵および胚の様々な発達段階にて特異的発現パターンを示すMETの局在化により、それが非常に段階特異的なタンパク質であり、胚細胞の多能性と関与しており、後には胚のプレパターニングと関連している可能性があることが判明した。Met 転写産物およびタンパク質は卵母細胞に独占的であり、着床前の胚に特異的であり、避妊痘苗原のための良好な標的として標的化の選択的手段を与える。
実施例4
ZEP、新規卵タンパク質
以下の実験は先体内タンパク質である、SLLP1と相互作用する新規卵表面受容体 (以下ZEPと称する)を開示する。SLLPに対するこの新規卵受容体をタンパク質-タンパク質相互作用アッセイによりスクリーニング、同定し、マウス卵巣 cDNA ライブラリーからクローニングした。このタンパク質は精子結合および初期胚発生において重要であるようである (以下参照)。それはメタロプロテアーゼ (卵特異的) ファミリーに属し、特異的亜鉛結合サインを有する。それは亜鉛エンドペプチダーゼであるようであるため、本明細書においてZEPと称する。
先体内精子タンパク質 SLLP1と結合する推定卵受容体のBiacoreを用いたさらなるスクリーニング
Biacore システムは、その他の分子との相互作用のその特異性、その相互作用 (結合および解離)の速度およびそのアフィニティー(それらが別の分子にどれだけ強く結合しているか)の観点からタンパク質の特徴を規定するのに利用できる。
BiacoreのSPR (表面プラズモン共鳴) 技術を目的のタンパク質を探しだすのに用いた。精製組換え SLLP1をセンサーチップ表面に結合させ、リガンドフィッシングをSLLP1に結合した全マウス卵可溶化液に対して行い(1000 透明帯-非含有卵)、次いで質量分析により同定した。タンパク質を質量分析データを用いてスクリーニングし、ZEPをそれが新規メタロプロテアーゼであるためさらなる特徴決定のために選択し、EST データベースは卵および着床前の胚に非常に特異的であった。
遺伝子はマウス第2染色体に局在しており、アスタシンファミリーに属する。これらプロテアーゼは触媒のために亜鉛を必要とし、このファミリーのメンバーはアミノ末端プロペプチドを有し、それは切断されて活性のプロテアーゼドメインを生ずる。
ZEPはニホンウナギ(Anguilla japonica)の孵化酵素 EHE7との相同性を示し、それゆえこのタンパク質はマウス胚発生においても同様の機能を発揮している可能性があると仮定された。バイオインフォマティクス分析によりそれは 2つのグリコシル化部位、リン酸化部位、およびミリストイル化部位を有していることが示され; 膜タンパク質であることが示唆された。このタンパク質は典型的な亜鉛-結合領域サインを有し、それゆえ亜鉛-メタロペプチダーゼである。膜貫通形態はまたタンパク質のN-末端の強い膜貫通ドメインを予測した。
亜鉛エンドペプチダーゼ (ZEP)のクローニングおよび発現
414 アミノ酸ペプチドをコードする全長cDNAをマウス卵巣のcDNA ライブラリー (Ambion)から増幅し、pET 発現 ベクターにクローニングし、大腸菌 (BL21) 細胞において融合タンパク質としてこのタンパク質を発現させた。すべてのクローンを配列決定して正しい読み枠を確認し、さらに2つの変異体が同じタンパク質をコードすることが見いだされ、1つは34 アミノ酸欠失を有するものであり、もう1つの変異体は34 アミノ酸 欠失と9 アミノ酸挿入を備えたものであった。亜鉛エンドペプチダーゼのすべての変異体(正常および2つの変異体)のアラインメントを図35に示す。mRNAは2377 ヌクレオチドの長さであった。
すべてのスプライス変異体を細菌細胞を融合タンパク質をコードするプラスミドによって形質転換し、次いで1mM IPTG (イソプロピル-1-チオ-β-D-ガラクトピラノシド)による誘導によりpET ベクターで発現させた。正常 (N) タンパク質の予測サイズは45.5 kD、34 アミノ酸欠失と9 アミノ酸挿入を有する変異体-1 (V1)は43.12 kD、34 アミノ酸欠失を有する変異体-2 (V2)は41.8 kDであった。 全ての発現および誘導したタンパク質はSDS-PAGE 分析において予測サイズを示した(図36A-C; 左側ゲル- ZEP; 中央ゲル- ZP V-1; 右側ゲル- ZP V-2)。
このタンパク質はインクルージョンボディにて蓄積することが見いだされた。融合タンパク質のHis-タグがニッケルイオンに結合しているため細菌細胞可溶化液を用いてこのタンパク質をニッケルカラムで精製した。ZEP タンパク質の精製の後、自己分解切断があることが観察され、2つのバンドが SDS-PAGEにより検出され、1つの新しい分子量の低いバンドは約 25 kDであった (図37;ゲルの4つのすべてのレーン参照)。 N-末端配列決定をこの小さい方のバンドについて行い、切断部位を204 アミノ酸の後に見いだした (図38の配列参照)。なぜこのタンパク質がこの特定の部位で切断されるのかは明らかではないが、図38の配列データはZEPのアミノ酸配列における膜貫通ドメイン、亜鉛結合サインおよび切断部位を説明する。さらに、ZEP アミノ酸配列の分析によりさらに膜貫通構造(グラフに示すように、示されない: TMpred アウトプットは、1つの強い膜貫通ヘリックスを有し、N末端が外側にある好ましいモデルの膜貫通形態を示唆し、全スコアは以下の通り: 755 o-i 122-152 (31))が示唆される。
本明細書に開示する正常 (N) ZEP および2つの変異体 (V1およびV2)の核酸およびアミノ酸配列は以下の通りである:
ZEP-N 核酸配列 (配列番号5)
Figure 2008536803
ZEP-V1 核酸配列 (配列番号7)
Figure 2008536803
ZEP-V2 核酸配列 (配列番号9)
Figure 2008536803
ZEP-N アミノ酸配列 (配列番号6)
Figure 2008536803
ZEP-V1 アミノ酸配列 (配列番号8)
Figure 2008536803
ZEP-V2 アミノ酸配列 (配列番号10)
Figure 2008536803
マウス卵中の亜鉛エンドペプチダーゼ (ZEP)の免疫特徴決定
精製タンパク質を用いてモルモット中で抗体を作成した。これらモルモットの免疫前スクリーニングは100のマウス卵からの卵可溶化液により行った。免疫は3匹の動物で行い、初回用量は150 μg の精製タンパク質であり、3週間間隔でのさらに2回の追加免疫用量は150 μgであった。抗体力価を確認し、50,000 希釈であっても50 ngの精製タンパク質により十分に良好なシグナルが得られることが判明した(組換え ZEPのウェスタンブロット参照、図39)。 同時に、2匹の動物をアジュバント対照として用い、これらは陰性であり、精製 組換えZEPによりシグナルを与えないことが判明した。
上記のようにして得た抗体を用いてマウス卵中のネイティブな形態のこのタンパク質を特徴決定した。免疫血清スクリーニングアッセイとしてウェスタン分析を150の透明帯がインタクトな卵および150の透明帯-非含有卵について、上記抗体を用いて行った。透明帯がインタクトな卵および透明帯-非含有卵の両方においてシグナルが約 45.5 kD にみられた(図40)。しかし、約 50 kDおよび32 kDにて泳動したさらなる2本のバンドも観察された。このタンパク質は卵において異なる形態で存在しているか、または異なるスプライス変異体が異なるサイズの類似のタンパク質をコードしている可能性がある。
マウス卵における亜鉛エンドペプチダーゼ (ZEP)の局在化
ZEPは卵特異的であり、卵丘細胞と交差反応しないことが見いだされた(図 41 および42)。図41において、卵巣切片における亜鉛-ペプチダーゼの免疫局在化は卵に局在しており、非常に二次および三次卵胞を含む卵に特異的であることが理解できる。さらにZEPは卵表面上で微絨毛領域において局在しているということが観察された。いくつかの胚盤胞についてもZEP 局在化を確認した。図42の8つのパネルにおいて( 42a および42bにおいて各4つ)、写真において、ZEPは微絨毛領域において卵の表面上に位置していることがわかる。パッチの形態のかすかなシグナルもみられた。ZEPの発生制御を判定するために、その局在化をインビトロ受精した卵から胚盤胞段階までのすべての発生段階において確認し (図43) 、ZEPは胚胞段階においてより豊富であり、受精後徐々に低下することが見いだされた。胚盤胞段階においては周辺細胞のいくつかに保持されているのみであった。
ZEPとSLLP1とのタンパク質-タンパク質相互作用
ZEPは精子先体タンパク質 SLLP1の相互作用パートナーとしてマウス卵から見いだされた。それゆえ、ネイティブな形態の卵におけるZEPと SLLP1との相互作用を確認するために;卵表面上での共局在化をアッセイした。マウス卵を10 μg/mlの組換え SLLP1と1時間インキュベートし、次いでZEPおよびSLLP1 抗体とともに同時にさらに1時間インキュベートした。ZEPの二次抗体はcy3に結合しておりSLLP1の二次抗体はFITCに結合していた。局在化を比較するために、像を別々に得て、その後に重ね合わせた (図44におけるZEP およびSLLP1のマウス卵上での共局在化の4つの共焦点像参照)。ZEP シグナルは微絨毛領域においてのみ存在し、一方SLLP1の主なシグナルは微絨毛領域に位置しており、囲卵空間にわずかに広がっていた。データは2つのタンパク質はそのシグナルが完全に重なり合うために互いに結合しているということを示す(図44のパネル4参照)。
結合をさらに確認するために、ファーウエスタン分析を行ってさらにSLLP1がZEPと結合していることを示した。このために、7.0 μgの組換え ZEP を12% SDSゲルにロードし、PAGEにかけ、ニトロセルロース膜にトランスファーした (図45、左側パネル参照)。膜に組換え SLLP1 (2.0 μg/ml)をオーバーレイし (OL)、 抗-SLLP1 モノクローナル抗体および二次抗体でプローブした(図45; 右側パネル)。シグナルがZEPの上側のバンドに観察されたが、下側のバンドには観察されなかった。これらのデータはZEPの N-末端がSLLP1 結合能を有していることを示唆し、N-末端が切断されている場合にC-末端 バンドにそれが結合しない理由をさらに示唆する。
要約
本発明は全長 ZEPおよび2つのスプライス変異体を開示する。このタンパク質は哺乳類卵特異的亜鉛ペプチダーゼである。要約すると、ZEPは様々な発生段階で卵膜に局在する。卵膜でのSLLP1との共局在化はさらにそれが精子先体タンパク質 SLLP1と結合することを示す。ZEPの精子結合能、およびその段階特異的発現により、このタンパク質は受精に重要であり避妊痘苗原のための良好な標的であると考えられる。
その他の用いたが本明細書において記載しなかった方法は周知であり細胞生物学、分子生物学および医学の当業者の能力の範囲内である。
本発明は、本明細書において記載するアッセイおよび方法にのみ限定して解釈すべきではなく、その他の方法およびアッセイも同様に含むと解釈すべきである。当業者であればその他のアッセイおよび方法が本明細書において記載する手順を実施するために入手可能であることを理解しているであろう。
標題を本明細書において参考および特定のセクションの位置づけのために含めた。これらの標題は本明細書において記載する概念の範囲を限定する意図ではなく、これらの概念は明細書全体を等してその他のセクションにおいても適用可能性を有しうる。
本明細書において引用する各特許、特許出願および刊行物の開示は引用によりその全体を本明細書に含める。
本発明を特定の態様に言及して開示してきたが、本発明のその他の態様および改変を、当業者が本発明を作り、または使用することができるように提供された開示された態様の先の記載によって作成することが出来ることは明らかである。これらの態様の様々な修飾は当業者に明らかであり、本明細書において規定する一般原理は、本発明の精神と枠を逸脱することなくその他の態様に適用できる。添付の請求の範囲はすべてのかかる態様および同等の改変を含むと解釈すべきである。したがって、本発明を本明細書において示す態様に限定する意図はなく、本明細書に開示する原理および新規特徴に一致するもっとも広い範囲と一致する意図である。
全長 mSLLP1の推定アミノ酸配列。推定膜貫通ドメイン (71 〜92 aa) および推定プロテアーゼ切断部位をそれぞれ長方形の箱および下向きの矢印で示す。アルファ-ラクトアルブミン/リゾチーム C 特徴的配列の存在を下線で示す。c リゾチームの触媒ポケットに必須であると考えられるSLLP1において変化している残基を太字および下線で示し、3つの推定ミリストイル化部位を丸で示す。複数の推定リン酸化部位を箱で示す。この配列のGenBank 受入番号はAK006357である。配列の左側および右側の番号は翻訳開始部位で開始する残基位置およびプロテアーゼ切断部位の後の残基位置をそれぞれ示す。 成熟 SLLP1 (マウスおよびヒト)とヒト、マウスおよびニワトリ c-タイプ リゾチームの複数アミノ酸配列アラインメント。同一の残基には影を付しており、c リゾチームの20の不変の残基はコンセンサス配列において太字で示した。mSLLP1の4つの非保存の不変の残基はコンセンサス配列において下線で示した。箱で示した残基のコドンはイントロンにより分断されていた。菱形で示す残基はc-タイプリゾチームにおける推定リガンド結合ドメインの一部を形成し、これら6残基のうち5つはマウスおよびヒト SLLP1の両方で保存されている。矢頭は、マウスおよびヒト SLLP1において突然変異しているニワトリリゾチームの触媒活性に必要な2つの重要な残基(E35 およびD52)を示す。最上列の配列の上の番号は、第一残基に対するアミノ酸位置を示す。mSLLP1とhSLLP1およびc-タイプ リゾチームのパーセント同一性および類似性は各配列の最後に示す。Lz: リゾチーム; mSLLP1: マウス精子 リゾチーム-様タンパク質 (AAT07446); hSLLP1: ヒト精子 リゾチーム-様タンパク質 1 (AAK01478); hLZ: ヒト リゾチーム (P00695); mLz: マウス リゾチーム (P08905); cLz: ニワトリ 卵白 リゾチーム (LZCH)。 精製 recmSLLP1のプロファイルおよびその抗血清の特異性。(A)銀 (左側パネル)または抗-his 抗体 (右側パネル)で染色したBL21-DE3細胞におけるhisタグ付加 成熟 recmSLLP1 (〜15 kDa)の発現および精製。左側パネル: レーン1: 分子量マーカー、レーン2:非誘導細胞からの抽出物、レーン3: IPTGによる3時間の誘導後の抽出物、レーン4: 1μgの アフィニティー精製 recmSLLP1。右側パネル: レーン1: 1 μg アフィニティー 精製 recmSLLP1、レーン2: 3時間誘導した抽出物、レーン3: 非誘導抽出物、レーン4: 分子量マーカー。(B)精製組換え成熟 mSLLP1 (左側パネル) および精巣上体尾部(cauda epididymal)マウス精子抽出物 (右側パネル)に対する雌性モルモットにて作成した抗血清の特異性 。左側パネル: レーン1:アジュバント注射対照からの血清(1:2,000)、レーン2: 免疫前 (1:2,000)、レーン3: 免疫 1:15,000、レーン4: 免疫 1:30,000。右側パネル: レーン1:アジュバント注射対照からの血清(1:2,000)、レーン2: 免疫前 (1:2,000)、レーン3: 免疫 1:5,000、レーン4: 免疫 1:10,000。免疫前血清とアジュバントのみを注射された動物からの血清のいずれも組換えタンパク質 (0.1 μg/レーン、左側パネル)またはマウス精子タンパク質(10 μg/レーン、右側パネル)と反応しなかったが、抗-recmSLLP1 血清はrecmSLLP1および〜14 kDa マウス精子タンパク質と反応性であった。矢印は〜15 kDaにおける反応性の組換えタンパク質および〜30 kDaにて形成した二量体を示す。 先体がインタクトなマウス精子上のmSLLP1 の間接的免疫蛍光局在化。位相差 (A、C、G)、抗-mSLLP1 (B、D、H)、ピーナッツアグルチニン (PNA) レクチンによる先体染色(E)および先体がインタクトな 精子の PNAと抗-recmSLLP1 血清による二重染色(F)。(A)および(B)はそれぞれ(C)および(D)の挿入図である。SLLP1は主に前側先体(矢頭)に局在しており、いくつかの精子は赤道セグメント(矢印)において染色を示す。先体上のPNA染色の存在により規定される先体がインタクトな精子(E)はrecmSLLP1 抗体 (F)による染色を示し、mSLLP1 は受精能を獲得していない マウス精子の先体に位置することが示される。免疫前血清による免疫染色は観察されなかった(H)。 イオノフォア-誘導により先体反応した精子におけるmSLLP1の局在化 。位相差像 (B)は、抗-recmSLLP1による免疫蛍光(A)およびPNA 蛍光の非存在により同定される先体反応した精子(C)と比較することが出来る。SLLP1は 先体反応したマウス精子の大部分において赤道セグメント (矢頭)において同定された。Aにおける挿入図は矢頭で示す精子の拡大図である。 マウス卵細胞膜に堅固に結合した精子上のマウス SLLP1の共焦点免疫蛍光局在化。受精能を獲得した精子により授精させた透明帯-非含有卵を固定し、抗-recmSLLP1 血清で染色し、核染色の検出のためSytox とインキュベートし、Zeiss 410 Axiovert 100 マイクロシステムで調べた。(A) 位相差; (B) 核 DNA 染色; (C) 抗-recmSLLP1 免疫および(D) BとCのオーバーレイ。免疫血清は、卵に結合した精子においてmSLLP1 染色を明らかにした(矢印)。精子をそれぞれの焦点面において撮像した場合(3 卵から32 精子)、卵に堅固に結合したすべての精子はmSLLP1 染色を示した。パネル Dにおける挿入は卵細胞膜に結合した1つの精子の拡大図である(Dにおいて矢印で示す)。 抗-SLLP1 抗体 (A)またはrecmSLLP1 (B)の精子-卵結合および融合に対する効果。成熟マウス卵からの透明帯をキモトリプシン中での短いインキュベーション、次いで機械的剪断により除去した。 (A) 様々な濃度の 抗-recmSLLP1 血清とプレ-インキュベートした受精能を獲得したマウス精子(黒いバー)を透明帯-非含有マウス卵と共インキュベートした。 (B) 透明帯-非含有卵を示した濃度 (μg/ml)のrecmSLLP1とプレ-インキュベートし、受精能を獲得したマウス精子と授精させた。すべての場合において、血清または組換えタンパク質は配偶子相互作用の間に存在していた。卵を処理し、精子結合および融合について分析した。データは5つの別の実験からの平均± SEを表す。(*) P ≦0.05; (**) P ≦0.01。バーの上の数は群当たりの卵の数を表す。抗-recmSLLP1 血清およびrecmSLLP1 タンパク質は、精子-卵結合および卵細胞膜に対する融合を濃度依存的に有意に阻害した。対照: (A) 免疫前血清、白いバー; (B) 無タンパク質バッファー (対照)。 卵表面上のmSLLP1 相補結合部位の間接的免疫蛍光。透明帯を有する( i )または有さない( ii )、(A) 受精していないまたは(B) 受精した成熟マウス卵を、100 μg/ml recmSLLP1と45分間インキュベートし、洗浄し、抗-recmSLLP1 血清 次いでヤギ抗-モルモット/FITC 抗血清に曝した。核 DNA を可視化するため、卵を1 μM Hoechst 33342で10 分間処理し、洗浄した。マウス SLLP1 結合部位は受精していない卵母細胞の囲卵空間および微絨毛領域に局在していた。透明帯がインタクトなおよび透明帯非含有の受精していないマウス卵に対しても同様の結合パターンが200、50、10、1.0および0.1 μg/mlのmSLLP1最終濃度にて観察された(データ示さず)。受精した卵において、染色は、透明帯非含有および透明帯がインタクトな卵母細胞の両方の原形質膜の全体に沿って観察された。 矢印は特異的蛍光染色を示す。中期染色 (A-i、ii、下側パネル、紫色)および前核染色 (B-i、ii、下側パネル)に注意されたい。 (C) 対照群: 透明帯を有するか、有しない、受精していない卵母細胞を、recmSLLP1 の非存在下で(i)、またはrecmSLLP1の存在下で免疫前血清と共に(ii)、または200 μg/ml recePAD の存在下で( iii )インキュベートした。 (ZP): 透明帯; (PVS): 囲卵空間。 100 μg/ml recmSLLP1、次いで 抗-recmSLLP1 免疫血清およびロバ 抗-モルモット/テキサスレッド二次抗体とインキュベートした中期 II 卵母細胞(A) および前核段階の胚 (B)の共焦点分析の走査によるSLLP1 局在化。緑色蛍光は核 Sytox DNA 染色に対応する。強い赤色免疫蛍光が受精していない卵母細胞の囲卵空間にわたってSLLP1 に局在した(A)。強いがしかし非連続的分布の免疫蛍光が受精した卵の全表面にわたって検出された(B、白色矢頭)。SLLP1は中期 IIおよび受精した卵の両方の透明帯にも局在していたが(星印)、蛍光シグナルは囲卵空間または卵細胞膜においてみられたものよりもかなり低減していたことに注意されたい(A、B)。免疫染色は recmSLLP1 + 免疫前血清 (C) またはrecmSLLP1 + 二次抗体のみ (D)では観察されなかった。 マウス卵に対する従来型の c リゾチームとのマウスおよびヒト SLLP1の結合の比較。(A)ニワトリおよびヒト c リゾチームの精子-卵結合および融合に対する効果。透明帯-非含有卵をニワトリまたはヒトリゾチーム (50または100 μg/ml)あるいはマウス (50 μg/ml) またはヒト (25 μg/ml) SLLP1とプレ-インキュベートし、次いで受精能を獲得したマウス精子と授精させた。両方のリゾチームおよびSLLP1が受精の際に存在していたということに注意されたい。卵を処理し、精子結合および融合について分析した。 データは3つの異なる実験からの平均± SEを表す。(**) P ≦0.01。バーの上の数は群当たりの卵母細胞数を表す。ニワトリリゾチームもヒトリゾチームも精子-卵結合または融合を阻害することが出来なかった。対照: タンパク質非添加; 50 μg/ml recmSLLP1; 25 μg/ml rechSLLP1 (陽性対照)。(B)従来型のリゾチームがSLLP1に匹敵するように卵表面に結合しうるかを判定するために、cリゾチームとインキュベートしたマウス 卵の間接的免疫蛍光。透明帯を有するまたは有さない受精していないマウス卵を100 μg/ml ニワトリ (a)またはヒト (b) リゾチームとインキュベートし、洗浄し、それぞれ抗-ニワトリリゾチーム (1:400)抗体および抗-ヒト リゾチーム (1:25) 抗体、次いで FITC-結合二次抗体 (1:200) に曝した。一方、従来型のリゾチームのいずれの卵結合も中期 II マウス卵において検出されなかった。(c) 100 μg/ml recmSLLP1 + 抗-recmSLLP1 免疫血清 (1:50) を陽性対照として用い、ここでmSLLP1は微絨毛領域および囲卵空間に対する特徴的結合を示した。 図11AおよびBからなり、精子の卵への結合(A)および精子と卵との融合 (B)に対する組換えマウス SLLP1 タンパク質の効果をグラフ表示する。 ヒトおよびマウス SLLP1およびSLLP2 ペプチドを模式的に示す。 ヒト SLLP2 cDNAおよび推定アミノ酸配列を模式的に示す。 図14Aおよび14Bからなり、ヒト SLLP2が精巣 (精子)において特異的に発現していることを示す分析の像を示す。 図15A (免疫前)およびB (免疫)からなり、ヒト SLLP2 の発現を、射精されたヒト精子の先体領域に局在化する免疫電子顕微鏡分析の像を表す。 ヒト SLLP2 タンパク質配列をリゾチームおよびヒト SLLP1を含むホモログのタンパク質配列と比較およびアラインする模式的表示である。 A-Fからなり、ヒト SLLP2がマウス卵に結合することを示す写真像を表す。上側パネル (A-C)- + hSLLP2; 下側パネル (D-F)- hSLLP2無し。 8つの写真からなり (左側パネル- A-D、SLLP2無し; 右側パネル- A-D、+SLLP2)、マウス SLLP2が 透明帯がインタクトなマウス卵に結合することを示す。 8つの写真からなり(左側パネル- A-D、SLLP2無し; 右側パネル- A-D、+SLLP2)、マウス SLLP2が透明帯-非含有マウス卵に結合することを示す。 組換えマウス SLLP2がマウス精子のマウス卵との結合を阻害することを示す実験結果のグラフ表示である。 組換えマウス SLLP2が マウス精子のマウス卵との融合を阻害することを示す実験結果のグラフ表示である。 組換えマウス SLLP2 がマウス精子がマウス 卵と受精するのを阻害することを示す実験結果のグラフ表示である。6つの群は、左から右の順に、200、100、50、および25 μg/ml 組換えマウス SLLP2、200 μg/ml BSA、およびPBSである。縦軸は受精のパーセンテージを表す。 哺乳類におけるヒト SLLP2の配列の保存の模式的表示である。 ヒト SLLP2のイヌ オルソログおよび配列の保存の模式的表示である。 ヒト MET タンパク質およびその欠失変異体の模式的表示およびアラインメントである。 左側および右側パネルからなり、大腸菌における組換え MET 変異体の電気泳動 分析の像を表す。A- MET; B-MET-V。 誘導METのHis-結合アフィニティーカラムでの精製の電気泳動分析の像を表す。 U- 非誘導; I- 誘導。 アラニンリッチ ドメイン (下線)を示すMET タンパク質配列の模式的表示である。 50,000 希釈の免疫血清と反応した組換え METのウェスタンブロット 分析の像を表す。 PI- 免疫前; I- 免疫。 50 ngの細菌組換え METを用いる免疫血清スクリーニング分析の像を表す。 6つの顕微鏡写真像からなり、卵巣切片におけるMETの免疫-局在化の像を表す。 上側パネル (IM- 免疫); 下側パネル (PI- 免疫前)。 6つの顕微鏡写真像からなり、透明帯がインタクトな生卵上のMETの免疫-局在化の像を表す。上側パネルはIM- 免疫を表し、下側パネルはPIを表す。 28の顕微鏡写真像からなり、様々な胚発生段階におけるMET の免疫-局在化の像を表す。上側パネル (上の2列)はI- 免疫処理群を表し;下側パネル (下の2列) は免疫前血清処理群を表す。 像 AおよびBからなり、MET とSLLP1とのタンパク質相互作用を示すファーウエスタン 分析 (A およびB)の像を示す。METを電気泳動し、ゲルをニトロセルロースにトランスファーし、次いで組換え SLLP1をオーバーレイした(OL)。 U- 非誘導; I- 誘導; P- 精製; +OL- オーバーレイ; -OL- 非オーバーレイ。 亜鉛エンドペプチダーゼ、ZEP タンパク質のアミノ酸配列、およびその変異体、ZEP-V1およびZEP-V2とのアラインメントの模式的表示である。N- 正常; V1- 変異体 1; V2- 変異体 2。 A-Cからなり、ZEP タンパク質 (ZP)およびその2つの変異体(ZP-V1およびZP-V2)を比較する電気泳動分析の像を表す。ZP- 正常 ZEP; ZP-V1- ZEPの変異体 1; ZP-V2- ZEPの変異体 2。 His-結合アフィニティーカラムで精製した誘導した亜鉛エンドペプチダーゼ (ZEP) の電気泳動 分析の像を表す レーン1- 標準マーカー; レーン2- 非誘導細胞 (U); レーン3- 誘導細胞 (I); レーン4- 誘導細胞からの精製 ZEP (P)。 ZEPのアミノ酸配列の模式的表示であり、予測膜貫通ドメイン、切断部位、および亜鉛結合サインを示す。 50,000 希釈の免疫血清と反応した組換え ZEP (50 ng) のウェスタンブロットの像を表す(レーン3)。 電気泳動分析の像を表し、ここでZEPに対する免疫血清を、透明帯がインタクトなマウス卵(ZIE)および透明帯-非含有マウス卵(ZFE)におけるZEPの検出のためのウェスタンブロットに用いた。左側パネルは免疫前血清 (PI)を示し、右側パネルは免疫血清 (I)を示す。 6つのパネルからなり、卵巣切片におけるZEPの免疫局在化研究において撮影した写真像を表す。上の列- 免疫血清 (IM);下の列- 免疫前血清 (PI)。 図42a および42bからなり、透明帯がインタクトな卵(42a)および透明帯-非含有卵(42b)上のZEPの免疫局在化研究の像を表す。各図は4つの像からなる。それぞれの上の2つの像は免疫血清 (IM)に供し、それぞれの下の像は免疫前血清(PI)に供した。 28の像からなり、初期胚期におけるZEP の免疫局在化 分析の像を表す。段階は、左から右の順に、胚胞 (GV)、M2、PN、2 細胞、4 細胞、桑実胚、および胚盤胞を含む。位相差 (上の像)および蛍光 (下の像)は、免疫 または免疫前血清に供した群について一致している。 4つの像からなり、共焦点像を表し、ここで、ZEPおよび精子タンパク質 SLLP1 は精製 SLLP1に曝されたマウス卵において共局在している。左の像は処理卵の顕微鏡写真を表し、第二の像は ZEPの局在化を示し、第三の像は卵に結合したSLLP1の局在化を示し、第四の像はZEPおよびSLLP1 像を重ねた複合像である。 AおよびBからなり、精子タンパク質 SLLP1が卵タンパク質 ZEPに結合することを示すファーウエスタン 分析を示す。パネル A は非誘導(U)、誘導 (I) 状態におけるZEPを含む細胞、および誘導細胞からの精製 ZEP タンパク質 (P)の電気泳動分析の像を表す。パネル Aの左レーンは標準/分子量マーカーを示す。パネル Bは、精製卵 ZEPを電気泳動し、ニトロセルロースにトランスファーし、組換え 精子 SLLP1をオーバーレイして(OL) またはせずに(-OL)、抗-SLLP1 モノクローナル抗体でプローブした像を表す。

Claims (30)

  1. 精子の卵との結合を防止または阻害するための組成物であって、該組成物は医薬上許容される担体および、タンパク質、またはその変異体、ホモログ、または断片をコードする核酸配列を含む少なくとも1つの単離核酸を含み、ここで該タンパク質は配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、および18からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
  2. 該核酸配列が配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、および17からなる群から選択される請求項 1の組成物。
  3. 精子の卵との融合を防止または阻害するための組成物であって、該組成物は医薬上許容される担体およびタンパク質、またはその変異体、ホモログ、または断片をコードする核酸配列を含む少なくとも1つの単離核酸を含み、ここで該タンパク質は配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、および18からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
  4. 該核酸配列が配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、および17からなる群から選択される請求項 3の組成物。
  5. 受精を防止または阻害するための組成物であって、該組成物は医薬上許容される担体およびタンパク質、またはその変異体、ホモログ、または断片をコードする核酸配列を含む少なくとも1つの単離核酸を含み、ここで該タンパク質は配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、および18からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
  6. 該核酸配列が配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、および17からなる群から選択される請求項 5の組成物。
  7. 該受精をインビボで阻害する請求項 5の組成物。
  8. 該受精のインビボ阻害がヒトにおけるものである請求項 7の組成物。
  9. 精子または卵を精子タンパク質と卵タンパク質との相互作用を防止または阻害する少なくとも1つの有効量の化合物と接触させることを含む、受精を防止または阻害する方法。
  10. 該化合物が、精子タンパク質とMET タンパク質との相互作用を防止または阻害し、さらに該 MET タンパク質が配列番号2および4からなる群から選択されるアミノ酸配列、またはその変異体、ホモログまたは断片を含む、請求項 9の方法。
  11. 該化合物が、精子タンパク質とZEP タンパク質との相互作用を防止または阻害し、さらに該 ZEPタンパク質が配列番号6、8、および10からなる群から選択されるアミノ酸配列、またはその変異体、ホモログまたは断片を含む、請求項 9の方法。
  12. 該化合物が、SLLP1 タンパク質に対する抗体、SLLP2 タンパク質に対する抗体、MET タンパク質に対する抗体、ZEP タンパク質に対する抗体、組換え SLLP1 タンパク質、またはその生物学的に活性な変異体、ホモログ、または断片、組換え SLLP2 タンパク質、またはその生物学的に活性な変異体、ホモログ、または断片、組換え MET タンパク質、またはその生物学的に活性な変異体、ホモログ、または断片、および、組換え ZEP タンパク質またはその生物学的に活性な変異体、ホモログ、または断片からなる群から選択される請求項 9 の方法。
  13. 該タンパク質が、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、および 18からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む請求項 12の方法。
  14. 該SLLP1 タンパク質に対する抗体がモノクローナル抗体である請求項 12の方法。
  15. 該 SLLP2 タンパク質に対する抗体がモノクローナル抗体である請求項 12の方法。
  16. 該 MET タンパク質に対する抗体がモノクローナル抗体である請求項 12の方法。
  17. 該ZEP タンパク質に対する抗体がモノクローナル抗体である請求項 12の方法。
  18. 相互作用が精子タンパク質と卵タンパク質との結合である請求項 9の方法。
  19. 医薬上許容される担体および少なくとも1つの卵タンパク質、またはその変異体、ホモログ、断片または誘導体を含む医薬組成物であって、該タンパク質が対象における受胎の防止または阻害に有用な免疫応答を誘発することが出来、さらに該少なくとも1つの卵タンパク質が配列番号2、4、6、8、および10からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、医薬組成物。
  20. 該組成物が少なくとも2つの卵タンパク質を含む請求項 19の医薬組成物。
  21. さらなる卵タンパク質を含む請求項 19の医薬組成物。
  22. 該タンパク質が受胎の防止または阻害、受精の防止または阻害に有用な免疫応答を誘発することが出来る、請求項 19の医薬組成物。
  23. 請求項 19の医薬組成物、アプリケーター、およびその使用のための説明材料を含む、対象における受胎を防止または阻害するためのキット。
  24. 請求項 5の医薬組成物、アプリケーター、およびその使用のための説明材料を含む、受精を防止または阻害するためのキット。
  25. 卵と有効量のMET タンパク質の阻害剤とを接触させることを含む、受精を防止または阻害する方法。
  26. 該MET タンパク質の阻害剤がMET タンパク質の合成、発現、または機能を阻害する、請求項 25の方法。
  27. 該 MET タンパク質が配列番号2および4 からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む請求項 25の方法。
  28. 卵と有効量のZEP タンパク質の阻害剤とを接触させることを含む、受精を防止または阻害する方法。
  29. 該ZEP タンパク質の阻害剤がZEP タンパク質の合成、発現、または機能を阻害する請求項 28の方法。
  30. 該 ZEP タンパク質が配列番号6、8、および10からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む請求項 28の方法。
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