JP2008531726A - 改良されたガシクリジン製剤 - Google Patents

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Abstract

内耳または中耳への直接投与のためのガシクリジンの改良された製剤を開示する。

Description

本出願は、2005年3月4日に出願された米国特許出願第60/658,207号の恩典を主張するものである。米国特許出願第60/658,207号はその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
発明の分野
本発明は、中耳および内耳の障害を治療するために有用なガシクリジンおよび他の治療薬の改良された製剤に関する。
発明の背景
多くの治療薬は全身(すなわち、経口、静脈内、または筋肉内)投与すると副作用を有し、最適な用量の送達を妨げる。これは他の体および神経系細胞が循環から得られる全用量の治療薬に曝露される一方で、標的細胞は他所の全身副作用ゆえに最適用量を受けていないことによる。組織特異的な薬物送達のために正しく製剤すれば、そのように送達された強力な治療薬は最小限の副作用しか持たず、なおかつ標的神経組織に対して有効であると思われる。
現在理解されているとおり、耳鳴は、歯または顔面神経への損傷、顎関節(TMJ)疾患、嗅覚、味覚および触覚に対する過敏症ならびに聴覚皮質または下丘への損傷を含む、様々な神経障害の症状であることが多い。耳鳴は、メニエール病、疼痛、不安、うつ、および片頭痛などの、これらの根元神経障害の他の症状発現と同時罹患することも多い。したがって、根元神経障害が起こっている正確な部位を治療することが望ましく、そのような部位には、蝸牛、聴神経、歯または顔面神経、および中枢神経系の聴覚皮質または下丘が含まれうるが、それらに限定されるわけではない。患者は耳鳴を外部の音がない時の内部の音と認識する。臨床的には、望ましい治療は、仕事や日常生活の正常な機能を妨げる副作用なしに、不適当な音の知覚を抑制することである。
したがって、適当な治療は、音知覚を聴覚皮質に報告する関連神経の不適切な発射を鎮めるために、必然的に強力なCNS活性薬の投与を必要とすることになる。聴覚およびバランスなどの他の基本的な機能を停止することなく、特定の神経組織の自発的で、おそらくは緊張性の発射を鎮めるはたらきをする強力なCNS活性薬を、耳鳴などの中耳および内耳障害の治療のために投与することができる。これらの薬物は全神経系への一般的活性を有するため、全身投与する場合には特定の制限がある。これらの全身副作用を克服するため、および副作用を最小限に抑えながら、改良された治療結果を得るため、薬物を中耳または内耳などの耳鳴の原因部位に投与することが望ましい。中耳または内耳への直接投与により、医療従事者が組織損傷および副作用を回避または最小化するために治療プログラムを最適化することが可能となる。不適切な投与法によるこの器官の組織損傷の結果は、聴覚およびバランスの感覚にとって重大で、聴覚関連の有毛細胞または神経、らせん神経節、もしくは前庭系に対する不可逆的損傷を含みうる。いくつかの場合において、内耳または蝸牛内に投与した化合物は、脳脊髄液(CSF)に流入することがある。強力なCNS活性薬がCSFに達すれば、この薬の標的ではない神経細胞にも作用する可能性があるため、望ましくない副作用を有することも考えられる。したがって、脳および脊髄に対して意図しない影響がある可能性もある。これらの細胞および組織のいずれに対する損傷も、聴覚などの重要な感覚に対して重大な結果をもたらすと考えられる。加えて、正円窓からの所望の送達に加えて中耳に送達された化合物も、曝露された血管系に部分的に吸収され、全身循環に入るか、またはエウスタキオ管へと移動して、口、喉、胃または胃腸管において吸収される可能性がある。
したがって、投与法、部位、装置および製剤はすべて、望ましくない副作用なしに所望の結果を達成するために重要である。したがって、当技術分野において、中耳および内耳または治療を必要としている他の特定部位への送達のために特に設計された、治療薬の改良された製剤が継続的に必要とされている。本発明はこの必要に取り組むものである。
発明の詳細な説明
本発明は、中耳および内耳への投与に適したガシクリジンおよび他の薬物の製剤を提供する。そのような製剤は、耳鳴、メニエール病、眩暈、中耳および内耳の炎症および感染、騒音または特定の種類の外傷により誘導される聴覚損失、ならびに物理的(例えば手術)または化学的外傷による神経損傷などの障害を治療するために用いることができる。
定義:
(a)本明細書において用いられる「担体分子」とは、活性薬剤を溶液または懸濁液中に保持するのを助ける分子である。界面活性剤(水に不溶性または難溶性の分子と複合体を形成し、複合体を水溶性とする、両親媒性分子)は担体分子の一つの範疇である。
(b)「溶解性増強試薬」は、液体製剤中のガシクリジンの溶解性を高める。溶解性増強試薬には、担体分子、特に界面活性剤、および有機溶媒が含まれる。
(c)本明細書において用いられる「溶解性」とは、溶液中に溶解する、または溶解性増強試薬によって溶液中に維持される、化合物の特性である。
(d)本明細書において用いられる「溶液濃度」とは、液体製剤の無作為に選択された一定量中に存在する、単位体積あたりのガシクリジンの濃度である。
(e)本明細書において用いられる「化学的安定性」とは、ピペリジン生成によって測定した、ガシクリジン分解が実質的にないことを意味する。ガシクリジン製剤は、37℃で4日以内にピペリジンへの分解によって低下するガシクリジン溶液濃度が、その初期値の10%以下である場合、化学的安定性が高い。
(f)本明細書において用いられる「賦形剤」とは、製剤が薬学的に許容される助けとなる、製剤への添加物である。賦形剤には、適当な粘性を提供するための共溶媒(アルコール、グリコール、DMSO、ジメチルアセトアミドなど)、ミネラル、抗菌剤などが含まれる。界面活性剤を含む担体分子も賦形剤として用いることができる。
ガシクリジン(1-(2-メチル-1-チオフェン-2-イル-シクロヘキシル)-ピペリジン塩酸塩;GK11)は周知の化合物である。ガシクリジンの塩酸塩の化学構造を以下に示す:
Figure 2008531726
本明細書において用いられる「ガシクリジン」は、ガシクリジンの酸性塩および塩基型ならびに光学および幾何異性体を含む。「ガシクリジン誘導体」は、アセテート誘導体または窒素へのメチル基の付加などの、中心構造骨格への変更なしに小さい改変を有する。「ガシクリジン類縁体」は、環の硫黄または窒素の代わりの炭素置換などの、中心骨格への変更を有する。Geneste et al., Eur. J. Med. 14, 301-08, 1979参照)。チオフェン-2-イル環を含むガシクリジン誘導体および類縁体は、本明細書に記載の製剤発明によって増強されると思われる。
ガシクリジンの酸および塩基型は、米国特許第6,107,495号に従って調製することができる。ガシクリジンの酸型の塩化物塩は水またはリンゲル液などの生理的に許容される非緩衝化溶液への溶解性が高く、約4.4のpHで塩化物塩150mg/mlまでを含む溶液を生成することになる。ガシクリジンの遊離塩基型は水に難溶性で、プラスティック表面に吸着する。過剰のガシクリジン遊離塩基を生理的pHの溶液に加えると、溶解したガシクリジンの最終濃度≦0.02mg/mlおよびpH≦7.7となり、リンゲル液中のガシクリジンの遊離塩基型は溶解した二酸化炭素と反応して溶解したガシクリジンの酸型を生成し、得られる濃度はpH7.6でガシクリジン約0.02mg/mlである。HPLCにより、pH9.5の溶液(0.05M CAPSO緩衝液;0.1M NaCl;0.3mg/mLガシクリジン添加)中、室温で2日間撹拌した後、0.0006mg/mlのガシクリジンが残存すると推定される。
内耳または中耳に注入するための薬物は、典型的には生理的に適合性の溶液およびpHに製剤化する。しかし、生理的pH(例えば、pH6.8〜7.4)および生理的pHの様々な緩衝液中で、ガシクリジンは一部は可溶性の塩型であり、一部は水性溶媒中に難溶性の非荷電遊離塩基型である。したがって、生理的pHの水溶液に製剤化する場合、ガシクリジンは最終的に容器に吸着する可溶性微小凝集体を形成する、および/または合体して微小凝集体となり、溶液から沈澱する。微小凝集体は製剤調製中に溶液からろ過されるか、遠心分離されることがあり、または製剤を含む容器もしくは注入装置の壁に付着することもある。これらの条件下では、送達される薬物の量は所望の量でもなく、送達用に製剤した量でもない。そのような製剤の製造は信頼性が低く、各製造実行時に製剤中の薬物濃度が異なることになり、必然的に有効性の低下を招くと考えられる。加えて、薬物は温度の上昇に伴い溶解性が低下する。温度の上昇と共にpKaも変化し、酸-塩基平衡の塩基性型へのシフトが起こる。
本発明の態様はこの問題に対していくつかの解決策を提供する。いくつかの態様において、ガシクリジンを選択した溶解性増強試薬(例えば、担体分子(界面活性剤を含む)および特定の有機溶媒)と共に製剤して、遊離塩基型を溶液/澄明懸濁液中に保持することにより、化学的安定性および見かけの溶解性の両方の上昇を提供する。他の態様において、ガシクリジンを凍結乾燥粉末として製剤し、これを適当な媒体で再構成して、速やかな溶解ならびに適切な溶液濃度、ろ過性および化学的安定性を確保する。他の態様において、ガシクリジンを遊離塩基固体(レンガ型、球形またはピル型粒子などの埋め込み用の特定の形状)として製造し、これは生理的液体または緩衝液にゆっくり溶解して治療的用量を提供する。本明細書に記載のとおりに製剤したガシクリジンは単独または以下に記載する一つまたは複数の追加の治療薬との組み合わせで投与することができる。本発明の製剤を用いて、ガシクリジンの所望の用量を標的組織(例えば、蝸牛)に生理的に許容されるpHで直接送達することができる。
溶解性増強試薬を含むガシクリジン酸性および塩基性製剤
酸または塩基型(または二つの混合物)のガシクリジンは、pHを所望の範囲とするために酸(例えば塩酸)または塩基(例えば炭酸水素ナトリウムまたは水酸化ナトリウム)を加えた媒体中で製剤化することができる。しかし、酸性ガシクリジンの水性製剤に伴う重大で予想外の問題は、化合物の熱化学的不安定性である。溶液中で、ガシクリジンはピペリジンを含む様々な生成物に1対1の比で分解する。酸性ガシクリジン製剤(すなわちpH<7.0)において担体分子を、典型的には0.1%から10%の間の濃度で含むことにより、予想外に溶解性上昇(これは溶液濃度を高める)および化学的安定性上昇の両方が見られる(実施例6参照)。
塩基性製剤に伴う重大な問題は、溶液送達を意図した様々な生理的に許容される媒体中で、ガシクリジンの塩基性型が不溶性であることである。ここでも、塩基性ガシクリジン製剤(pH>7)において担体分子を、典型的には0.1%から10%の間の濃度で含むことにより、ガシクリジンの溶解性を高め、ガシクリジンの溶液からの沈澱を防ぎ、ガシクリジンの容器壁への吸着を低減し、かつガシクリジンの化学的安定性を高める。
最適な製剤は一つまたは複数の溶解性増強試薬を含む。ガシクリジン製剤に含める任意の特定の溶解性増強試薬の量は、実施例3に記載するとおり、日常的方法を用いて決定することができる。
溶液pHの空気中の周囲二酸化炭素による平衡は、数時間かかることもあるゆっくりしたプロセスであることに留意すべきである。これは、溶液pHを調節するために炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウムまたは水酸化ナトリウムを用いる場合に特に顕著である。溶解性増強試薬はガシクリジンの媒体中の溶解性を変える。いくつかの態様において、溶解性増強試薬は製剤混合物の極性を低下させて、薬物の溶解性増強試薬との相互作用を促進し、薬物を溶液中に維持する助けをすると考えられる。そのような溶解性増強試薬の例には、ジメチルアセトアミド、生理的に許容されるポリオール(例えばプロピレングリコール、グリセリン)、ポリエチレングリコール(PEG)、およびアルコール(例えばエチルアルコール)が含まれるが、それらに限定されるわけではない。
他の態様において、溶解性増強試薬は薬物が結合することになる媒体溶解性担体分子である。担体分子は結合した薬物を均質溶液中に保持する。次いで、担体分子は患者から代謝または排出され、薬物はその生物学的効果を発揮する。本発明において有用な担体分子には、疎水性分子に結合するタンパク質(例えば、ヒトもしくはウシ血清アルブミン、フェチュイン、または疎水性物質に結合するもしくは水不溶性物質の核生成および沈澱を防止する任意の水溶性タンパク質);誘導体化ポルフィリンまたはコリン;結合用の空隙を有する(「クラウン化合物」)負に荷電した環状有機分子;薬学的に許容される相間移動剤;イオン交換樹脂;TECHNOSPHERES(登録商標)(ビス-リジンジケトピペラジンの各リジン側鎖上でモノ誘導体化されたスクシニル基)、ビス-グルタミン酸DKP、ビス-アスパラギン酸DKPおよび分子中に正味負電荷を有するように誘導体化されている他のDKPなどのジケトピペラジン(DKP);水溶性脂質;ミセル;リポソーム(単層および多層小胞);脂肪酸および水溶性脂質(例えば、コール酸、ケノ酸、デオキシコール酸、カルジオリピン、コリルグリシン、ケニルグリシン、デオキシコリルグリシン、コリルタウリン、ケニルタウリン、デオキシコリルタウリン);スルファチド(糖の3'位に硫酸エステルを有するガラクトセレブロシド);ガングリオシド;N-アセチル-D-ノイラミン酸;ホスファチジルイノシトール;分子中に正味負電荷を有する可溶性炭水化物(例えば、カルボキシメチルセルロース);誘導体化炭水化物、ならびにこれらの担体の誘導体および混合物が含まれるが、それらに限定されるわけではない。
他の有用な担体分子には、ベータ-シクロデキストリン(例えば、CAPTISOL(登録商標)などのスルホブチルエーテルシクロデキストリン)ならびに12-ヒドロキシステアリン酸のポリオキシエチレンエステル(例えば、SOLUTOL(登録商標) HS 15)やポリソルベート20、ポリソルベート60、およびポリソルベート80(例えば、TWEEN(登録商標))などのポリソルベートなどの界面活性剤が含まれるが、それらに限定されるわけではない。界面活性剤は酸および塩基性ガシクリジン製剤両方の担体分子として特に有用である。界面活性剤の添加は、溶媒からガシクリジンを吸着または部分的に閉じこめ(例えば、ミセル、リポソームおよび可溶性コーティング凝集体中に)、それにより保存容器の表面に薄膜として結合する、注入装置成分(シリンジ、針、カテーテル、抗菌フィルター、送達ポンプ貯蔵所、ポンピング機構など)に付着する、または一部はサイズに応じて溶液から沈降、溶液から遠心分離、もしくはろ過装置(抗菌フィルターなど)に捕捉されうる、可視もしくは不可視微小凝集体を形成する可能性を低くすると考えられる。
例えば、ガシクリジンを含む溶液に2〜20重量%のCAPTISOL(登録商標)(CyDex, Lenexa, KS)、0.1〜20%のTWEEN(登録商標) 80(ポリソルベート80、ICI Americas)、または0.1〜20%のSOLUTOL(登録商標) HS 15(BASF)を加えると、溶解性が改良される。CAPTISOL(登録商標)、TWEEN(登録商標) 80、およびSOLUTOL(登録商標) HS 15は、室温でそれぞれ担体分子1グラムあたり0.004グラム、0.01グラム、および0.02グラムのガシクリジン塩基を溶液中に維持することができる(実施例3参照)。
一つの態様において、ガシクリジンは1nMから5mMの濃度で存在し、ポリソルベート80(例えば、TWEEN(登録商標) 80)は0.001重量%から30重量%の濃度で存在する。好ましい態様は50μMから5mMのガシクリジンおよび0.1重量%から20重量%のポリソルベート80(例えば、TWEEN(登録商標) 80)を含む。典型的には、担体分子のモル濃度は薬物の濃度と同じか、それよりも高い。ガシクリジンおよび担体分子はいずれも、リンゲル液などの適当な媒体中、290〜300mOsmで製剤化することができる。
いくつかの態様において、一つまたは複数の溶解性増強試薬を、媒体、および最終水性ゲルまたは組織部位への配置後にゲル化(凝固)する液体のいずれかとして適用することができる、寸法的に固定された材料を形成する化学物質と混合する。ゲルを、ヒアルロン酸、カルボキシメチルセルロースまたはプルーロニックアシッド(pleuronic acid)などであるが、それらに限定されるわけではない、ゲル基質と混合した媒体含有薬物および溶解性増強試薬から調製することができる。そのようにして調製したゲルは薬物を送達部位の周りの生理的液体中にゆっくり溶出することになる。
賦形剤
賦形剤を本発明の製剤中に含むことができる。これらには、d-アルファトコフェリルポリエチレングリコール1000スクシネート(TPGS)、シクロデキストリン、エチレングリコールモノステアレート、グリセロールステアレート、グリセロールモノ/ジカプリレート/カプレート、グリセリルベヘネート、グリセリルモノオレエート、グリセリルモノステアレート、グリセリルパルミトステアレート、レシチン、ポロキサマー188、ポリエチレングリコール、ポリグリセリルオレエート、ポリオキシル40ステアレート、ポリソルベート20、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンステアレート、プロピレングリコールラウレート、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、ソルビタンエステル(ソルビタン脂肪酸エステル)、スクロースオクタアセテート、ステアリン酸、および水不溶性薬物を可溶化または乳化するのに有用な他の薬学的に許容される賦形剤が含まれるが、それらに限定されるわけではない。前述の賦形剤の例には担体分子および界面活性剤の両方が含まれる。上に挙げていない他の許容される賦形剤には、アルコール、グリコール、グリセリン、ミネラル、タンパク質および製剤の薬学的に許容される性質を確保する添加物が含まれる。Pharmaceutical Excipients (Drugs and the Pharmaceutical Sciences, v. 94), David E. Bugay, Marcel Dekker AG, Basel, 1999;Handbook of Pharmaceutical Excipients, Raymond Rowe, Paul Sheskey, and Sian Owen, Eds., APhA Publications Fifth Edition, Washington, DC, 2006を参照されたい。当業者であれば、動物またはヒトにおける使用に適した製剤を調製するために、これらの賦形剤の中から選択することができる。そのような製剤には、非経口投与に適した可溶性製剤が含まれるが、それらに限定されるわけではない。Mark Gibson, Pharmaceutical Preformulation and Formulation: A Practical Guide from Candidate Drug Selection to Commercial Dosage Form, Interpharm/CRC, Boca Raton, 2004を参照されたい。
治療的使用のために、媒体は、リンゲル液、乳酸リンゲル液、人工外リンパ(Konishi et al., 1973参照)、等張食塩水などの、薬学的に許容される媒体でありうる。製剤を中耳および内耳投与のために調製する場合、好ましくは、製剤は5〜10の間のpHを有し、6.5〜8.5の間のpHが好ましく;280〜310mOsmの間の生理的に許容されるモル浸透圧濃度を有し、290〜300のモル浸透圧濃度が好ましく;かつ好ましくは外リンパと類似のイオン組成を有する。患者に送達する製剤は、好ましくはpH6.8〜7.4±0.5の生理的に許容される範囲内である。
水性媒体
内部投与用の製剤は液体非経口製剤と類似の組成を有し、当業者には周知である。内耳液(外リンパ)の組成は独特で、この液を通じての音伝達の動力学ゆえに、薬物支持媒体はこれと適合性であることが重要である。下記は薬学的に許容される水性媒体およびそれらの組成の例である。
(表1)
Figure 2008531726
文献からの人工外リンパの組成の一例は下記のとおりである(Konishi et al., Acta Otolaryng 76: 410-418からの改変):
Figure 2008531726
モル浸透圧濃度
内耳投与の場合、有毛細胞および関連する支持細胞は製剤のイオン強度に非常に敏感であるため、薬物製剤のモル浸透圧濃度は重要である。市販のリンゲル液(Baxter Healthcare)および乳酸リンゲル液(Abbott Laboratories)のモル浸透圧濃度を凝固点浸透圧計(Advanced Instruments Model 3MO Plus)を用いて測定した。リンゲル液および乳酸リンゲル液のモル浸透圧濃度測定値はそれぞれ288±2mOsmおよび255±2mOsmであった。ヒト外リンパのモル浸透圧濃度測定値は300mOsmで、Morris et al., Am J Otol 10, 148-9, 1989を参照されたい。中耳または内耳で用いるための製剤の最終モル浸透圧濃度は、典型的には使用前に塩化ナトリウムを加えて280〜310mOsm(好ましくは290〜300)の間に調節する。このモル浸透圧濃度範囲の安全性は、適当に製剤した試験溶液をモルモットの蝸牛に直接注入することにより確認されている。
液体製剤の保存
1. ガシクリジンの酸性または遊離塩基型の凍結乾燥製剤
ガシクリジンまたは組み合わせ製剤の凍結乾燥は、長期保存中の化学的分解を最小限にする薬物製剤の好都合な保存法である。ガシクリジンの酸性型は再構成を助ける充填剤を含む凍結水性媒体から凍結乾燥することができる。充填剤の例には、マンニトール、トレハロースまたはグルコースが含まれるが、それらに限定されるわけではない。他の治療薬との組み合わせでない場合、ガシクリジン凍結乾燥のために好ましい媒体は水である。水中での凍結乾燥に必要な濃度で均質な溶液を生成するために十分可溶性でない他の治療薬と組み合わせる場合、他の適当な媒体を選択するか、または賦形剤を加えて混合物の溶解性を増強することができる。そのような媒体は当業者には公知であると思われる。そのような凍結乾燥製剤の再構成媒体は、凍結乾燥ガシクリジン製剤が溶解性増強試薬を含まない場合、これを含むことになる。次いで必要な時に、医師が薬物の凍結乾燥体を、固体を速やかに再溶解するのを助け、化学的安定性を提供し、かつガシクリジンをその酸性型の真の溶液として、または酸性/塩基性型混合物もしくは完全に遊離塩基型の支持懸濁液として適当な濃度の溶液中に維持するために必要とされる賦形剤および適当な担体分子または界面活性剤を有する再構成媒体中に再構成する。再構成媒体のpHは、適用のために必要な所望の最終pHを得るために適当に調節する。
他の態様において、ガシクリジンの塩基性型を用いて凍結乾燥製剤の化学的安定性を改良することができる。そのような製剤は、凍結乾燥前に少なくとも一当量の塩基をガシクリジン塩酸塩の水溶液に加えて、これを塩基性型に変換することにより容易に調製することができる(例えば、適当な中和塩基には、水酸化ナトリウムまたは炭酸ナトリウムが含まれるが、それらに限定されるわけではない)。この薬物含有溶液は、乳糖、マンニトール、トレハロースまたはグルコースなどの凍結乾燥製剤において一般に用いられる固化剤を含むこともできる。凍結乾燥前にシクロデキストリンなどの固体賦形剤を加えて、化学的に安定化し、凍結乾燥ガシクリジン塩基の再可溶化(再構成)を助けることもできる。ポリソルベート80、SOLUTOL(登録商標) HS 15または陽イオン脂質などの液体添加物を、使用直前に凍結乾燥製剤に再構成媒体の一部として加えることもできる。乾燥製剤の溶解後に所望のpHが得られるように、十分な酸、例えば、塩酸を、乾燥粉末を再構成するために用いる溶液、例えば、リンゲル液中で用いることもできる。再構成pHは、部分的には、ガシクリジン製剤の必要とされる溶液安定性に依存する。実施例6に記載するとおり、ガシクリジン分解速度はpH値が高いほど遅くなると考えられる。再構成溶液の長期保存のために、より高いpHが望ましいと考えられる。必要があれば、所期の部位への送達直前に、製剤のpHを酸、例えば、塩酸を加えて生理的pH、例えば、pH6.8〜7.4に下げることもできる。再構成した凍結乾燥生成物または溶液製剤を、二重内腔装置内の共溶媒流と混合することにより、または送達装置のローディング直前に、インサイチューで調節して、所望の最終pHおよび製剤を得ることもできる。
2. 保存容器
ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリイミドおよびポリ塩化ビニルなどのポリマー表面はガシクリジンに対して著しい親和性を有し、ガシクリジン溶液濃度を維持するために用いる製剤賦形剤および担体分子と競合しうる。本発明に従って製剤したガシクリジン溶液は、好ましくは、不活性ポリマーのライナーまたはキャップ、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を有する酸洗浄したガラス容器内に維持する。前述と同様の理由により、選択されたポリマー材料、例えば、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニルまたはシリコーンゴムで作られた容器、カテーテル、フィルターまたは他の装置との製剤の接触を避けることが望ましい。それが不可能な場合、製剤が接触する表面のライナーとしてPTFEなどのフルオロポリマーの使用が、ガシクリジンの損失を最小限にする助けとなることができ、薬物送達に用いる他のポリマーまたは界面活性剤よりもガシクリジンに対する高い親和性を有しうる、ナノ粒子製剤などの製剤の使用も同様である。
固体ガシクリジン遊離塩基を含む製剤
本発明の他の製剤は固体ガシクリジン遊離塩基を含み、これは特に体温、例えば37℃の温度でより化学的に安定な型のガシクリジンである。固体ガシクリジンは固体遊離塩基として、例えば、水性媒体中の懸濁液またはゲル製剤として投与することができる(例えば、カルボキシメチルセルロース、ヒアルロン酸およびプルロニック酸由来であるが、それらに限定されるわけではなく、薬物を可溶性の酸性型または遊離塩基と酸性型の混合物ではなく、遊離塩基型で含むように、薬物製剤のpHを調節する以外は、前述のとおりに調製する)。
他の態様において、固体ガシクリジン遊離塩基をコラーゲンスポンジなどの固体支持体に吸着させる、またはナノ粒子製剤(例えば、腐蝕性ポリアセテート/ポリグリコレートポリマー)などの粒状製剤に吸着もしくは封入する、またはそれを通って薬物が表面に移動し、次いで標的組織へと放出される、薄層非腐蝕性ポリマー基質(例えば、シラスティック)などの、薬物徐放のために設計されたポリマー材料と共製剤化する(下記参照)。薄層またはコーティングなどの固体支持体の使用により、ガシクリジンはポリマー表面に移動した後、または生理的液体と接触した後、可溶性の酸性塩型に変換されて徐放されることになる。そのような徐放性ポリマー固体支持体を、薬物の核と薬物放出速度を調節するための浸透性薄膜コーティングを有する、コーティング埋め込み電極、コーティング粒子または材料などの装置上への薄膜として適用することができる。そのようなコーティングの例には、シラスティックまたはシリコーンゴム、ポリウレタンおよびポリ塩化ビニルが含まれるが、それらに限定されるわけではない。
固体ガシクリジン遊離塩基および腐蝕性ポリマー担体を含むナノ粒子などの固体支持体を、治療的投与のために薬学的に許容される媒体中に懸濁することができる。ナノ粒子は抗菌フィルターを通過し、かつ標的細胞に容易に取り込まれるという特定の利点を有する。
いくつかの態様において、ガシクリジンの固体遊離塩基型を水性媒体中の懸濁液として製剤化する、コラーゲンスポンジに吸着させる、または水性ゲル製剤中に懸濁する。ガシクリジンの酸型、例えば、塩化物塩の水溶液を炭酸ナトリウムなどの十分な塩基と混合して塩基性型に変換することができる。これは溶液中で行ってガシクリジン塩基の水性懸濁液を生成し、次いでこの懸濁液をゲルに製剤化することもでき、またはすでにゲルに製剤されている酸型のpHを調節してインサイチューでゲル内に遊離塩基を生成することもできる。同様に、ガシクリジンの酸性型をコラーゲンスポンジ内に含浸し、次いで適当な塩基でpHを調節した後、遊離塩基をインサイチューで調製し、内部に取り入れられ、吸着したガシクリジン塩基がローディングされた所望のスポンジを生成することができる。
または、ガシクリジンの塩基性型は、エタノール、イソプロパノール、アセトン、塩化メチレンまたはジメチルスルホキシドなどの有機溶媒に可溶性であるため、有機溶媒に溶解したガシクリジンの塩基性型の溶液をコラーゲンスポンジに適用して、スポンジにガシクリジンの塩基型を含浸させ、溶媒蒸発後に固体薬物を残すこともできる。
ナノ粒子
ナノ粒子は固体担体として特に有用である。ナノ粒子製剤は蝸牛内への注入前に抗菌フィルターを通過させて、確実に無菌とすることができる。例えば、Prakobvaitayakit et al., AAPS PharmaSciTech 4(4), E71, 2003;米国特許第6,139,870号参照。
1. 材料
ナノ粒子を生成するために生分解性および非分解性両方の材料を用いることができるOrive et al. Cancer Therapy 3, 131-38, 2005;Lu et al. Adv Drug Deliv Rev 56, 1621-33, 2004参照。ナノ粒子製剤のための生体腐蝕性ポリマーは乳酸およびグリコール酸から調製することができる。そのようなポリマーは市販されており(例えば、Lakeshore Biomaterials, Birmingham, ALから)、生分解速度は2〜3週間から12〜16ヶ月の範囲と測定されている。そのようなポリマーを用いて公知の期間に薬物を放出するナノ粒子を調製することができる。
2. ナノ粒子作成法
様々な方法を用いて適当なサイズ(例えば、10〜1000nm)のナノ粒子を作成することができる。これらの方法には、自由噴流膨張、レーザー蒸発、スパークエロージョン、電気爆発および化学蒸着などの蒸発法;機械的摩擦(例えば、「パールミリング」技術、Elan Nanosystems)、超臨界CO2および溶媒置換後の界面蒸着を含む物理的方法が含まれる。溶媒置換法は実行が比較的単純であるという利点を有する。この方法によって生成したナノ粒子のサイズは有機溶媒中のポリマーの濃度;混合速度;および工程中に用いる界面活性剤に対して敏感である。
コール酸またはタウロコール酸塩などの天然界面活性剤を用いて、小さいナノ粒子(<100nm)を調製する、または製剤中の可溶化および安定化賦形剤として用いることができる。タウロコール酸はコール酸とタウリンから生成する結合体で、完全に代謝可能なスルホン酸界面活性剤である。タウロコール酸の類縁体、タウロウルソデオキシコール酸(TUDCA)は、神経保護および抗アポトーシス特性を有することも知られている;Rodrigues et al. Proc Natl Acad Sci USA 100, 6087-92, 2003参照。TUDCAは天然胆汁酸で、タウリンとウルソデオキシコール酸(UDCA)の結合体である。他の天然アニオン(例えば、硫酸ガラクトセレブロシド)、中性(例えば、ラクトシルセラミド)または両性イオン界面活性剤(例えば、スフィンゴミエリン、ホスファチジルコリン、パルミトイルカルニチン)も、ナノ粒子を調製するため、または可溶化および化学的安定化賦形剤として、本発明の方法において用いることができる。
3. 混合技術
溶媒置換法によりナノ粒子を調製する場合、500rpm以上の撹拌速度が最適であると考えられる。混合中の溶媒交換速度が遅いほど、大きい粒子が生じる。連続フローミキサーは、確実に小さい粒径を得るために必要な乱流を提供することができる。本発明の方法において小さいナノ粒子(<100nm)を調製するために用いることができる連続流体混合装置の一つのタイプはWiskindミキサーとして公知である;Hansen et al. J Phys Chem 92, 2189-96, 1988参照。他の態様において、ソニレーター(sonilator)もしくは超音波処理器および他の種類の超音波装置;Gaulin型ホモジナイザーなどの流動ホモジナイザーまたは超臨界CO2装置を用いてナノ粒子を調製することもできる。
4. 粒径調節
サイズ排除クロマトグラフィ(SEC)は、その一つの態様がゲルろ過クロマトグラフィとして知られており、遊離薬物から粒子結合物を分離する、または薬物含有ナノ粒子の適当なサイズ範囲を選択するために用いることができる。200,000(Superdex 200)から約1,000,000(Superose 6)まで;108を超える(Sephacryl 1000;ウイルスおよび>1μmの小粒子のSEC分離に適している)までの範囲の球形タンパク質用の分子量カットオフ(MWCO)を有する、様々なSEC媒質が市販されている(例えば、GE Healthcare, Amersham Biosciences, Uppsala, Swedenから)。適当な場合には、ナノ粒子均質性は直接混合では得られず、SECを用いて、作成に関連する他の成分(例えば、溶媒および界面活性剤)を含まない、高度に均質な薬物含有粒子を生成することができる。粒子はサイクロン、遠心分離、膜ろ過により、ならびに他の分子ふるい装置、架橋ゲル/材料および膜の使用により、サイズで分離することができる。他の種類の固体粒子には、粒子を製剤した後に製剤化することができるTECHNOSPHERE(登録商標)などの調製された粒子が含まれるが、それらに限定されるわけではない。TECHNOSPHERE(登録商標)は治療薬でコーティングすることもでき、または薬物担体均質粒子として調製することもできる。そのような粒子は、DKPが酸性または塩基性側鎖を有するかどうかに応じて、酸性条件では不溶性で、中性/塩基性条件では可溶性となるよう、またはその逆となるよう、選択することができる。
粒子は状況に応じて可溶性、腐蝕性または非腐蝕性材料で構成されうる。一つの態様として、ガシクリジンの塩基性型は均質なシラスティックまたはシリコーンポリマー材料内で製剤し、材料を通って生理的液体と接触している表面まで拡散した後、放出させることもできる。この薬物含有ポリマー材料を、独立型の送達装置として用いることもでき、または他の装置上にコーティングすることもできる。もう一つの態様において、薬物の固体塩基性型を、薬物の放出を遅延または減速するコーティングを有する粒子に製剤化することができる。他の態様において、薬物の放出を調節するために膜を用いた濃縮薬物の中心貯蔵所があってもよい。
ガシクリジンおよび他の治療薬の薄膜組成物
ガシクリジンの塩基性型などの治療薬をポリマー基質または層内に可溶性溶液として「捕捉された」、またはポリマー基質内に不溶性の不均質な凝集体/結晶として「埋め込まれた」化合物として製剤化することができる。ポリマー基質の例には、シラスティックまたはシリコーンゴム、ポリウレタンおよびポリ塩化ビニルが含まれるが、それらに限定されるわけではない。治療薬は、拡散、刺激放出(電荷;電気穿孔により)、機械的圧力(チャンネルから薬剤を押し出すためのコーティング圧縮)、またはポリマー表面まで拡散することができない治療薬を露出するための腐蝕により、ポリマーコーティングから放出されることになる。
他の態様において、多層膜は、内層からの薬物の放出を調節する膜または外層で覆われた、純粋な薬物を含む内層または濃縮薬物/基質層を含む。望ましい放出速度は、治療薬の性質、治療効果に要する時間の長さ、所望の放出速度プロファイルによって決まる様々な条件を考慮した後に確立されることになる。外層は腐蝕性ポリマーであってもよく、その場合、外層が腐蝕されるまでは治療薬は放出されることはない。
コーティングの細孔サイズは、ポリマーコーティングの架橋の量によって放出速度を決定することになる。最適な細孔サイズは送達中の材料の種類およびその必要条件に調和するものである。いくつかの態様において、異なる環境pHまたは装置、例えば、蝸牛インプラントの電極アレイによるフィルムの管理によって誘導される異なる電荷を呈する場合、pHおよびポリマーフィルムイオン組成は、異なる拡散速度に適応するための膜の細孔変化を可能にするよう変動しうる。
いくつかの態様において、最も内側の層を、下層に再補充するために特に設計された出入り口を通して再充填し、より長期間の放出を提供する。この種のポリマーコーティングを用いて、治療薬に応じて数週間から数ヶ月間、薬物がなくなるまで疑似ゼロ桁の放出速度を提供する。再充填可能な貯蔵所があれば、これらのコーティングを慢性状態に用いることができる。再充填することができないコーティングは典型的には急性状態に用いる。
他の態様において、薄膜は様々な目的のために複数の治療薬を同時に含み、これらを送達する。例えば、複数の治療薬を用いて、蝸牛インプラント移植後の感染および炎症ならびに耳鳴を同時に阻害することができる。
他の態様において、薄膜を電気刺激装置上に層状に重ね、薄膜はガシクリジンの酸型などの荷電治療薬を含む。次いで、治療薬の溶出を電極の電荷に基づいて加速または減弱することができる。
他の治療薬
本発明は、適用および送達法に応じて単独またはガシクリジンとの組み合わせのいずれかで、生理的に許容される条件下で難溶性の治療薬の製剤および蝸牛、内耳、中耳、聴覚皮質、下丘または他の適当な部位への投与を実用的にする。例えば、前庭障害を耳鳴と一緒に治療するために、他の強力なCNS薬物を同時製剤してもよい。例えば、炎症、免疫応答、または線維症を阻害する薬物は耳鳴治療薬と組み合わせるのに有益でありうる。感染予防または治療と耳鳴治療の利点を同時に得るために、抗生剤を耳鳴治療薬と同時製剤または混合することもできる。複数の薬剤を中耳または内耳に別々に送達することは、方法が侵襲性であるため、患者にとって困難である。組み合わせ療法は、一つまたは複数の疾患メカニズムを同時に治療する一方で、医師の便宜を改良することにより、患者に利益を供与する。ガシクリジンとの組み合わせで用いることができる複数の薬剤の例を以下に記載する。
これらの治療薬には、聴覚回復のために有用なもの(例えば、ニューロトロフィンおよび他の成長因子ならびに聴覚回復を促進するのに有用なタンパク質)、DNA、RNA、RNAi、siRNA、網膜芽細胞腫タンパク質およびタンパク質のポケットファミリーの他のメンバー、有用な遺伝子を組み込んだ遺伝的療法プラスミド、蝸牛における聴覚の閾値を下げるための抗線維症薬、有毛細胞分化誘導のための細胞周期阻害剤拮抗薬ならびにプロスタグランジン、例えば、ミソプロストールまたはラタノプロストなど(それらに限定されるわけではない)が含まれるが、それらに限定されるわけではない。他の治療薬には、騒音、外傷および年齢依存性聴覚損失を防止するための、抗生物質、癌の治療薬、抗菌剤、抗ウイルス剤、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン、トリアムシノロンアセトニドを含むが、それらに限定されるわけではない、ステロイドなどの抗炎症剤、抗酸化剤(ラジカルおよびスーパーオキシド種を中和または防止する薬剤;スーパーオキシドジムスターゼ様物質;ペルオキシダーゼまたはエブセレンなどのペルオキシダーゼ様物質;ジスルフィド種などの還元剤を含むが、それらに限定されるわけではない)および抗アポトーシス剤(有毛細胞死を防止すると考えられている、カスパーゼ3、9および/または12を含むカスパーゼ阻害剤などであるが、それらに限定されるわけではない)が含まれる。これらの製剤は、NMDA受容体拮抗薬を蝸牛、内耳、または中耳に、単独または単一製剤中の一つまたは複数のこれらの種類の薬剤との組み合わせで投与するために特に適している。
本発明に従い中耳および内耳障害を治療するために用いることができる治療化合物には、抗不安薬、抗うつ薬、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、カルシウムチャンネル遮断薬、ナトリウムチャンネル遮断薬、抗片頭痛薬(例えば、フルナリジン)、筋弛緩剤、催眠薬、および抗てんかん薬を含む抗痙攣薬として現在市販されているものが含まれる。そのような化合物の例を以下に記載する。
抗痙攣薬
抗痙攣薬には、バルビツール酸塩(例えば、メフォバルビタールおよびペントバルビタールナトリウム);アルプラゾラム(XANAX(登録商標))、ロラゼパム、クロナゼパム、クロラゼプ酸2カリウム、およびジアゼパム(VALIUM(登録商標))などのベンゾジアゼピン;チアガビン、ガバペンチン(α2δ拮抗薬、NEURONTIN(登録商標))、およびβヒドロキシプロピオン酸などのGABA類縁体;5,5-ジフェニル-2,4-イミダゾリジンジオン(フェニトイン、DILANTIN(登録商標))およびフォスフェニトインナトリウムなどのヒダントイン;ラモトリジンなどのフェニルトリアジン;メトスクシミドおよびエトスクシミドなどのスクシンイミド;5H-ジベンズアゼピン-S-カルボキサミド(カルバマゼピン);オクスカルバゼピン;ジバルプロエクスナトリウム;フェルバメート、レベチラセタム、プリミドン;ゾニサミド;トピラメート;ならびにバルプロ酸ナトリウムが含まれる。
NMDA受容体拮抗薬
多くのNMDA受容体阻害剤が公知であり、これらは大まかに5つのクラスに分けられる。下記の化合物はそれぞれその範囲内に、活性代謝物、類縁体、誘導体、構造類縁体系で作られた化合物(SAR)、および類似の治療作用を有する幾何または光学異性体を含む。
NMDA受容体グルタミン酸結合部位の競合薬
NMDA受容体のグルタミン酸結合部位において競合する拮抗薬には、LY 274614(デカヒドロ-6-(ホスホノメチル)-3-イソキノリンカルボン酸)、LY 235959[(3S,4aR,6S,8aR)-デカヒドロ-6-(ホスホノメチル)-3-イソキノリンカルボン酸]、LY 233053((2R,4S)-レル-4-(1H-テトラゾル-5-イル-メチル)-2-ピペリジンカルボン酸)、NPC 12626(α-アミノ-2-(2-ホスホノエチル)-シクロヘキサンプロパン酸)、還元および酸化グルタチオン、カルバマチオン、AP-5(5-ホスホノ-ノルバリン)、CPP(4-(3-ホスホノプロピル)-2-ピペラジン-カルボン酸)、CGS-19755(セイフォテル、シス-4(フォノ-メチル)-2-ピペリジン-カルボン酸)、CGP-37849((3E)-2-アミノ-4-メチル-5-ホスホノ-3-ペンテン酸)、CGP 39551((3E)-2-アミノ-4-メチル-5-ホスホノ-3-ペンテン酸, 1-エチルエステル)、SDZ 220-581[(αS)-α-アミノ-2'-クロロ-5-(ホスホノメチル)-[1,1'-ビフェニル]-3-プロパン酸]、ならびにS-ニトロソグルタチオンが含まれる。Gordon et al., 2001;Ginski and Witkin, 1994;Calabresi et al., 2003;Hermann et al., 2000;Kopke et al., 2002;Ikonomidou and Turski, 2002;Danysz and Parsons, 1998を参照されたい。
NMDA受容体連結イオンチャンネルで作用する非競合阻害剤
非競合的または不競合的であり、受容体連結イオンチャンネルで作用する拮抗薬には、アマンタジン、アプチガネル(CERESTAT(登録商標)、CNS 1102)、カロベリン、デキストロルファン、デキストロメトルファン、フラーレン、イボガイン、ケタミン、リドカイン、メマンチン、ジゾシルピン(MK-801)、ネラメキサン(MRZ 2/579、1,3,3,5,5-ペンタメチル-シクロヘキサンアミン)、NPS 1506(デルセミン、3-フルオロ-γ-(3-フルオロフェニル)-N-メチル-ベンゼンプロパンアミン塩酸塩)、フェンシクリジン、チレタミンおよびレマセミドが含まれる。Palmer, 2001;Hewitt, 2000;Parsons et al., 1995;Seidman and Van De Water, 2003;Danysz et al., 1994;Ikonomidou and Turski, 2002;Feldblum et al., 2000;Kohl and Dannhardt, 2001;Mueller et al., 1999;Sugimoto et al., 2003;Popik et al., 1994;Hesselink et al., 1999を参照されたい。
NMDA受容体のポリアミン結合部位またはその付近で作用する拮抗薬
NMDA受容体のポリアミン結合部位またはその付近で作用すると考えられる拮抗薬には、アカンプロセート、アルカイン、コナントキン-G、エリプロジル(SL 82-0715)、ハロペリドール、イフェンプロジル、トラキソプロジル(CP-101,606)、およびRo 25-6981[(±)-(R,S)-α-(4-ヒドロキシフェニル)-β-メチル-4-(フェニルメチル)-1-ピペリジンプロパノール]が含まれる。Mayer et al., 2002;Kohl and Dannhardt, 2001;Ikonomidou and Turski, 2002;Lynch et al., 2001;Gallagher et al., 1996;Zhou et al., 1996;1999;Lynch and Gallagher, 1996;Nankai et al., 1995を参照されたい。
NMDA受容体のグリシン結合部位で作用する拮抗薬
受容体のグリシン結合部位で作用すると考えられる拮抗薬には、アミノシクロプロパンカルボン酸(ACPC)、7-クロロキヌレン酸、D-シクロセリン、ガベスチネル(GV-150526)、GV-196771A(4,6-ジクロロ-3-[(E)-(2-オキソ-1-フェニル-3-ピロリジニリデン)メチル]-1H-インドール-2-カルボン酸1ナトリウム塩)、リコスチネル(ACEA 1021)、MRZ-2/576(8-クロロ-2,3-ジヒドロピリダジノ[4,5-b]キノリン-1,4-ジオン5-オキシド2-ヒドロキシ-N,N,N-トリメチル-エタナミニウム塩)、L-701,324(7-クロロ-4-ヒドロキシ-3-(3-フェノキシフェニル)-2(1H)-キノリノン)、HA-966(3-アミノ-1-ヒドロキシ-2-ピロリジノン)、およびZD-9379(7-クロロ-4-ヒドロキシ-2-(4-メトキシ-2-メチルフェニル)-1,2,5,10-テトラ-ヒドロピリダニゾ[4,5-b]キノリン-1,10-ジオン,ナトリウム塩)が含まれる。Peterson et al., 2004;Danysz and Parsons, 2002;Ginski and Witkin, 1994;Petty el al., 2004;Danysz and Parsons, 1998。
NMDA受容体のアロステリックレドックス調節部位で作用する拮抗薬
アロステリックレドックス調節部位で作用すると考えられる拮抗薬には、酸化および還元グルタチオン、S-ニトロソグルタチオン、ニトロプルシドナトリウム、エブセレン、およびジスルフィラム(その代謝物であるDETC-MeSOおよびマルバマチオンの作用を通して)が含まれる。Hermann et al., 2000;Ogita et al., 1998;Herin et al., 2001, Ningaraj et al., 2001;Kopke et al., 2002を参照されたい。
いくつかのNMDA受容体拮抗薬、特にグルタチオンおよびその類縁体(S-ニトロソグルタチオンおよびカルバマチオン)は、受容体上の複数の部位と相互作用しうる。
CNQX(1,2,3,4-テトラヒドロ-7-ニトロ-2,3-ジオキソ-6-キノキサリンカルボニトリル)およびDNQX(1,4-ジヒドロ-6,7-ジニトロ-2,3-キノキサリンジオン)は非NMDAグルタミン酸受容体に結合する。これらおよび他のグルタミン酸受容体における拮抗薬またはアゴニストを、本発明の方法において用いることができる。
NMDA受容体拮抗薬は、本明細書において開示するものと同様、AMPA受容体を阻害することなくNMDA受容体を阻害することが好ましい。この理由は、AMPA受容体の阻害は聴覚の障害を引き起こすと考えられることである。これとは対照的に、NMDA受容体の選択的阻害は、ニューロンのプログラムされた細胞死であるアポトーシスの開始を防止することが予想される。グルタミン酸単独で活性化されるAMPA受容体とは異なり、NMDA受容体はグルタミン酸に加えてコアゴニストを必要とする。NMDA受容体の生理的コアゴニストはグリシンまたはD-セリンである。NMDA受容体は還元グルタチオン、酸化グルタチオン、およびS-ニトロソグルタチオンも結合するが、AMPA受容体は結合しない。グルタチオン、γ-グルタミル-システイニル-グリシンは、NMDA受容体のグルタミン酸およびグリシン結合部位の間を、両方の部位で同時に結合して、架橋すると考えられる。NMDA受容体の活性化は、カルシウムイオンの連結イオンチャンネルを通ってのニューロンへの侵入およびCa2+誘導性アポトーシスの開始を引き起こす。細胞内カルシウムは、酸化窒素合成酵素のNMDA受容体関連ニューロン型(nNOS)、カルパイン、カスパーゼまたは酸化的細胞損傷に関連する他の系を活性化する。NMDA受容体の阻害はニューロンの死を防止するはずである。
サブタイプ特異的NMDA受容体拮抗薬
様々なサブタイプ特異的NMDA受容体アゴニストが公知であり、本発明の方法において用いることができる。例えば、アルカイン、アルギオトキシン636、Co 101244(PD 174494、Ro 63-1908、1-[2-(4-ヒドロキシフェノキシ)エチル]-4-[(4-メチルフェニル)メチル-4-ピペリジノール]、デスピラミン、デキストロメトロファン、デキストロルファン、エリプロジル、ハロペリドール、イフェンプロジル、メマンチン、フィラントトキシン343、Ro-25-6981([(±)-(R*,S*)-α-(4-ヒドロキシフェニル)-β-メチル-4-(フェニルメチル)-1-ピペリジンプロパノール])、トラキソプロジル(CP-101,606)、Ro 04-5595(1-[2-(4-クロロフェニル)エチル]-1,2,3,4-テトラヒドロ-6-メトキシ-2-メチル-7-イソキノリノール)、CPP[4-(3-ホスホノプロピル)-2-ピペラジンカルボン酸]、コナントキンG、スペルミン、およびスペルミジンなどのいくつかのNMDA受容体拮抗薬は、受容体のNR2B(NR1A/2B)サブタイプに対して中等度または高い選択性を有する。NVP-AAM077[[[[(1S)-1-(4-ブロモフェニル)エチル]アミノ](1,2,3,4-テトラヒドロ-2,3-ジオキソ-5-キノキサリニル)メチル]-ホスホン酸]はNR2Aサブタイプ特異的拮抗薬である。Nankai et al, 1995;Gallagher et al., 1996;Lynch and Gallagher, 1996;Lynch et al, 2001;Zhou et al., 1996;Zhou et al., 1999;Kohl and Dannhardt, 2001、Danysz and Parsons, 2002を参照されたい。
受容体のNR2Dおよび2Cサブタイプに対して高い選択性を有する、1-(フェナントレン-2-カルボニル)ピペラジン-2,3-ジカルボン酸(Feng et al., Br J Pharmacol 141, 508-16, 2004)などの拮抗薬が特に有用である。
NMDA受容体拮抗薬以外の有用な治療薬
本発明に従って製剤し、投与することができる、他の有用な治療薬には、ノルトリプチリン、アミトリプチリン、フルオキセチン(PROZAC(登録商標))、パロキセチンHCl(PAXIL(登録商標))、トリミプラミン、オクスカルバゼピン(TRILEPTAL(登録商標))、エペリゾン、ミソプロストル(プロスタグランジンE1類縁体)、ラタノプロスト(プロスタグランジンF類縁体)メラトニン、およびステロイド(例えば、プレグネノロン、トリアムシノロンアセトニド、メチルプレドニゾロン、および他の抗炎症ステロイド)が含まれる。
ピラルト(Takizawa et al., Cereb Blood Flow Metab 15, 611-8, 1995)などのN型カルシウムチャンネル遮断薬も、本発明に従って製剤し、投与することができる。
治療法
前述のガシクリジン製剤は哺乳動物(家畜およびペットを含む)、特にヒトを治療するために有用である。これらは、メニエール病、疼痛、不安、うつ、および片頭痛などの神経障害に関連する耳鳴を含む、耳鳴を治療するために特に有用である。
本発明の製剤は様々な方法により投与することができる。例えば、正円窓カテーテル(例えば、米国特許第6,440,102号および第6,648,873号)を用いることができる。
または、製剤を外耳と中耳との間で用いるために、ガーゼ(ウイック(wick))に組み込む(例えば、米国特許第6,120,484号)、またはコラーゲンスポンジもしくは他の固体支持体に吸収させることもできる(例えば、米国特許第4,164,559号)。
望まれる場合には、本発明の製剤をゲル製剤中に組み込むこともできる(例えば、米国特許第4,474,752号および第6,911,211号)。本発明の製剤は中耳、内耳、または蝸牛への直接注入により投与することもできる(例えば、米国特許第6,377,849号および米国特許出願第11/337,815号)。
本発明の製剤は、埋め込まれたポンプおよび送達系を介し、針を通して中耳もしくは内耳(蝸牛)に直接、あるいは蝸牛インプラントスタイレット電極チャンネルまたは側頭骨から蝸牛への針などであるが、それに限定されるわけではない、別の調製された薬物送達チャンネルを通して送達することができる。
他の選択肢には、マルチチャンネル電極、またはこの目的のために薄膜中に特に埋め込まれた薬物送達チャンネル(経路)を有する電極上にコーティングされた薄膜を通してのポンプによる送達が含まれる。他の態様において、酸性または塩基性固体ガシクリジンを体外または体内埋め込みポンプシステムの貯蔵所から送達することもできる。
埋め込み薬物送達系を通してのガシクリジンの酸性または塩基性製剤の送達
耳鳴患者への長期送達のために、埋め込み薬物送達系などの好都合な送達法が必要とされている。そのような系で使用するために、薬物をガシクリジンの均質な酸性もしくは塩基性型または酸性および塩基性型の混合物として、化学的安定性および十分な溶液濃度を確保するための適当な賦形剤と共に製剤化することができる。
本発明の製剤は、中耳または内耳に埋め込まれた電極ポリマー基質または他の送達材料内に含まれる、電極表面の薬物をローディングした薄膜または貯蔵所からの溶出により送達することもできる。ガシクリジンは、荷電ガシクリジンの移動を推進するための電極の充電後に、電気泳動法により薬物をローディングした電極から送達することもできる。
ガシクリジン塩基を、錠剤などであるが、それに限定されるわけではない、様々な固体形状に圧縮または成形することもでき、これらを埋め込むこともでき、または移動液流によりゆっくりと腐蝕させることもできる。そのような固体形状、ならびに媒体に懸濁したナノ粒子を次いで、送達系の貯蔵所からの溶液により、または患者から採取した液体で腐蝕させ、薬物で飽和させて患者に戻す。
本開示において引用するすべての特許、特許出願、および参照文献は特に参照により本明細書に組み入れられる。前述の開示は本発明の概要を記載するものである。より完全な理解は、以下の具体的な実施例を参照することにより得られるが、これらは例示のために示すにすぎず、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
実施例1
ガシクリジンの化学的安定性および溶解性の評価法
本実施例は、様々な製剤中のガシクリジンの化学的安定性および溶液濃度を調べるために用いることができる分析法を記載する。
方法A(ガシクリジンのみの溶液濃度の迅速定量)
ガシクリジンをSurveyor HPLCシステム(Thermo Electron)を用いて検出した。Nest Group (SoutUboro, MA)から購入したGrace Vydac C8 MASS SPECカラム(カタログ# 208MS5210;S/N NE981208-3-7)をこれらの分析に用いた。クロマトグラフィカラムは30℃に維持した。試料は12mm×32mmのオートサンプラーバイアル(Thermo Electron, A4954-010)中で調製し、オートサンプラー内で20℃に維持した。
正確度を最大にするために、「フルループ」注入プロトコルを用い、80.7μLをバイアルから取り出し、20μLの注入ループに過剰充填した。20μL注入ループ内に含まれる全試料をC8クロマトグラフィカラムに注入した。次いで、試料を0.1体積%トリフルオロ酢酸を含む水(緩衝液A)および0.1体積%トリフルオロ酢酸を含むアセトニトリル(緩衝液B)からなる段階勾配により流速300μL/分で溶出した。段階勾配は100%緩衝液A:0〜5分;80%緩衝液A-20%緩衝液B:5〜15分;100%緩衝液B:15〜20分;および100%緩衝液A:20〜25分による溶出で構成された。
カラム溶出液をThermo Electron PDA UV検出器を用いて234nmでモニターした。ガシクリジンはカラムから10.0分に溶出し、1μMの溶液濃度で容易に検出することができた。ガシクリジンの存在はカラム溶出液を、UV検出器通過後、AQA質量分析計(Thermo Electron)に接続することにより確認した。ガシクリジンは質量分析計を陽イオンモード、選択イオンモニタリング(SIM)、質量電荷比(m/z)264で用いることにより適当な溶出位置で検出された。
方法B(化学的安定性の評価:ガシクリジンとピペリジン両方の同時定量)
ピペリジン生成をモニターするために、Agilent Technologiesから購入したZorbax SB-CNカラム(25×0.46cm、5μm;PN 880975、SN USS F01 3866)を30℃に維持し、50%緩衝液Aと50%緩衝液Bから構成された混合物により、150μL/分、60分間で溶出した。緩衝液Aは0.1%トリフルオロ酢酸を含む水で構成され、緩衝液Bは0.1%トリフルオロ酢酸を含むアセトニトリルで構成されていた。このカラムからの溶出液をAQA単一四重極子質量計(Thermo Electron)およびSurveyor PDA検出器(UVモニター、Thermo Electron)に接続した。カラム溶出液をPDA検出器を用いて232nmでモニターし、走査試料を200〜300nmの間で回収した。ガシクリジンはPDA検出器によりZorbax SB-CNカラムへの注入後28.1分で検出された。カラム溶出液をAQA質量分析計を用い、SIM(選択イオンモニタリング)により質量電荷比(m/z)264.46(ガシクリジンのm+1)および86.16(ピペリジンのm+1)でもモニターした。ガシクリジンは質量分析計によりZorbax SB-CNカラムへの注入後28.3分で検出された(m/z=264および86)。ピペリジンは質量分析計によりZorbax SB-CNカラムへの注入後16.0分で検出された(m/z=86のみ)。ピペリジンはPDA(UVモニター)を用いて検出することはできなかった。
実施例2
ガシクリジンの溶液中での維持
ガシクリジン(ガシクリジン塩酸塩)の保存溶液(0.1M)を、ジメチルスルホキシド(DMSO)中または水中のいずれかで調製した。次いで、これらの溶液の一定量(10μL)を乳酸リンゲル液(pH6.6)、100μM NaOHを含む乳酸リンゲル液(pH7.5)、または0.1N HCl(pH1.0)のいずれか10.0mLに加えて、最終薬物濃度100μMとした。これらの薬物溶液の一定量をオートサンプラーバイアルに移し、HPLCで分析するまで20℃に維持した。結果を表2にまとめている。
(表2)様々な製剤中の経時的ガシクリジン濃度
Figure 2008531726
表2に見られるとおり、生理的条件下(例えば、乳酸リンゲル液、pH6.6、またはpHを7.5に調節した乳酸リンゲル液に溶解)のガシクリジンの溶液は、用いる初期濃度でガシクリジンを維持しない。これとは対照的に、酸性条件下(表2におけるpH1.0の0.1N HCl)で溶解したガシクリジンは、室温で数日間溶液中に維持される。溶液中のガシクリジン濃度が見かけ上低下したバイアルに酸を加えると、ガシクリジンの検出量が増加する。これは、表2に示す経時的ガシクリジン濃度の低下は主に溶液からの化合物析出によることを示している。
表2に示すとおり、0.1%DMSOはガシクリジンの溶液からの損失を遅らせる。0.1〜100%などのより高いDMSO濃度は、ガシクリジンの溶液中にとどまる能力をさらに改良することができる。
実施例3
ガシクリジンの溶解性
ガシクリジンの塩酸塩は水との接触によりほぼただちに最終濃度550mMまでの澄明溶液を生じた。しかし、塩酸塩の100mM溶液を最終濃度1mMまで緩衝化水溶液中で希釈した場合、pH7以上でガシクリジンの沈澱が観察された。
図1は、塩酸塩の100mM溶液10μLを緩衝溶液0.99mLに加えた後、溶液中に残ったガシクリジンの量を示している。その後、混合物を室温で2日間放置した。緩衝溶液は、緩衝剤のpKaに等しいpH(すなわち、緩衝剤は50%がその酸性型で、50%がその塩基性型)で、100mM塩化ナトリウムおよび下記の緩衝化物質の一つを50mM濃度で含んでいた:MES、Bis-Tris、MOPSO、MOPS、TAPSO、Tris、Tricine、TAPS、CHES、AMPSO、またはCAPSO(Sigma Chemical Company, St. Louis, MO)。
混合物のpHはVWRから入手したSympHonyガラスカロメルミクロ組み合わせpH電極(カタログ番号14002-776)を用いて測定した。pH7.00±0.01(25℃;20℃では7.02)、4.01±0.01(25℃;20℃では4.00)および10.00(25℃;20℃では10.05)のOakton標準溶液をCole-Parmerから入手した。これらの標準pH溶液を用いて、SympHony電極を備えたCole-Parmer Model 5996-60アナログpH計を標準溶液の0.01 pH単位以内に較正した。
混合物のpHがpH7よりも高い場合、24時間以内にガシクリジンは溶液から沈澱し、ガラスオートサンプラーバイアル(Thermo Electron, A4954-010)の底にガシクリジン塩基の目に見える白色沈澱として沈降した。混合物中に0.1%SOLUPHOR(登録商標) P(BASF)を含んでいても、pH7を超えるpHでガシクリジンの溶解性が高くなることはなかった。pH9.7で、室温で2日間放置した後に溶液中に残っているガシクリジンの量は、SOLUPHOR(登録商標) P存在下(図1)または非存在下(示していない)で2.6μMにすぎず、加えたガシクリジンの0.26%であった。これとは対照的に、混合物中に0.1%のCAPTISOL(登録商標)、TWEEN(登録商標)80、またはSOLUTOL(登録商標) HS 15を含むことにより、高いpHで溶液中に残っているガシクリジンの量はそれぞれ約14μM、約42μMまたは約96μM(加えたガシクリジンの1.4%、4.2%、または9.6%)に増大した。
この同じ方法を37℃で実施し、試料をポリプロピレンバイアル(VWR # 20170-710、2mLバイアル)中に維持した。結果を図2に示す。溶液からのガシクリジンの損失はpH6でも観察され、pH9.2までに0.1%SOLUPHOR(登録商標) P存在下または非存在下で溶液中に残っているガシクリジンの濃度は約1μM(加えた全ガシクリジンの0.1%)にすぎなかった。前述と同様、混合物に0.1%のTWEEN(登録商標) 80またはSOLUTOL(登録商標) HS 15を加えたところ、高いpHで溶液中に保持されているガシクリジンの量は約20μMまたは約32μMの濃度(それぞれ加えた全ガシクリジンの2.0%または3.2%)まで上昇した。ポリプロピレン容器内の混合物に37℃で0.1%CAPTISOL(登録商標)を加えると、ガシクリジンの塩基性型について明らかに限定された溶解度は得られなかった(プラトーがない)。
ポリプロピレンは溶液中に残っている100μMガシクリジンの量を低減するため、SOLUTOL(登録商標) HS 15が過剰の沈澱ガシクリジン非存在下、25μMガシクリジンを保持する能力を試験した。25μMガシクリジンを含む溶液を0.15M塩化ナトリウム中で調製し、これらの溶液のpHを炭酸水素ナトリウムまたは塩酸を加えて調節した。これらの溶液のいくつかは0.1%SOLUTOL(登録商標) HS 15も含んでいた。ポリプロピレンバイアル中、37℃で1日または3日間インキュベートした後、これらの溶液中に残っているガシクリジンの濃度を定量した。
図3はpHの関数としての溶液からのガシクリジンの損失を示す。pH6を超えるpHで、ガシクリジンの損失が観察され、損失量はpHの上昇に伴い増大した。37℃でインキュベーション3日後の結果はインキュベーション1日後に得られた結果と類似であるが、3日間インキュベートした試料において低pHで見られた損失増大はおそらく分解による損失を反映するものであった。0.1%SOLUTOL(登録商標) HS 15は、図2に示す結果に基づき、溶液中に25μMガシクリジンを保持することができたはずであるが、これらの条件下で0.1%SOLUTOL(登録商標)を含んでいても損失に対する影響は認められなかった。これらの結果は、過剰の沈澱ガシクリジン非存在下で、0.1%のSOLUTOL(登録商標) HS 15はポリプロピレンバイアルとガシクリジンについて有効に競合することができないことを示している。賦形剤はガシクリジンを可溶化することはできる(図1および図2)が、ポリプロピレンバイアルなどの溶液が遭遇する他のポリマー材料がガシクリジンに対して賦形剤よりも高い親和性を有することもありうる。
実施例4
ガシクリジンの化学的安定性
一組の試料を、ガラスオートサンプラーバイアル中、水0.98mLを100mMガシクリジン0.01mLおよび1.0M塩酸0.01mLと混合することにより調製した。この試料組では、ガシクリジンは完全に可溶性で、溶液のpHは2.0であった。第二組の試料を、ガラスオートサンプラーバイアル中、水0.97mLを100mMガシクリジン0.01mLおよび0.15M水酸化ナトリウム0.01mLと混合することにより調製した。これらの試料では、混合により、ガシクリジンは溶液から沈澱し、ガシクリジン塩基の懸濁液のpHは10.4であった。次いで、両方の試料組を54℃または56℃のいずれかで様々な期間インキュベートした。54℃または56℃でのインキュベーション後、ガシクリジン塩基の懸濁液を含む試料(0.5mM過剰水酸化ナトリウム、pH10.4)に1.0M塩酸0.01mLを加え、これによりガシクリジンを可溶性の酸型に変換し、これらの懸濁液を澄明溶液(pH2.1)に変換した。54℃または56℃でのインキュベーション後、両方の試料組を、残存ガシクリジンおよびピペリジン生成について、方法B(実施例1)を用いて分析した。
図4に示すとおり、ガシクリジンの塩基性型は酸型よりも化学的に200〜400倍安定であった。54℃で1.5mM水酸化ナトリウムに懸濁した1.0mMガシクリジンの分解速度は0.0013/日で、それに対して10mM塩酸中では0.52/日であった。試料中のガシクリジンの損失は完全に分解が原因とすることができ、失われたガシクリジンすべての分子に対しピペリジン1分子が化学量論的に生成した。
同様の実験を、インキュベーション温度5℃から56℃の範囲で、ガシクリジンの酸型を用いて実施した。これらの実験からの結果を図5にまとめている。分解速度は非常に急勾配の温度依存性を示した。5℃では、分解速度は非常に遅く、ピペリジン生成を定量する以外、測定が困難であった。5℃での分解速度は、ピペリジン生成により定量して約0.0001/日、またはアレニウスの相関に従い、より高温での速度からの外挿によりもとめて0.000055/日であった。ガシクリジン(酸型)の分解による10%損失に要する時間は5℃で3年から23℃で53日、37℃で3.8日、56℃で3.3時間の範囲であった。
これらのデータより、体温よりも低い温度でガシクリジンの化学的安定性が高まることが確認された。
生理的条件に近い条件下でのガシクリジン分解速度を調べるために、100μMガシクリジンをpH5.5、pH6.0、またはpH7.4の乳酸リンゲル液中で調製した。これらの乳酸リンゲル液のpHは塩酸または炭酸水素ナトリウム(0.13mM)を加えることによって調節した。これらの試料の一定量(0.40mL)を酸洗浄したガラスオートサンプラーバイアル中、37℃で様々な期間インキュベートし、次いで残存ガシクリジンおよびピペリジン生成について分析した。これらの試料をガシクリジンおよびピペリジンについて分析するために、試料をまず塩化メチレンで抽出し、次いで希塩酸中に逆抽出した。分析試料0.40mLに1.0M水酸化ナトリウム50μLおよび塩化メチレン0.8mLを加えた。激しく撹拌した後、水層および塩化メチレン層を分離した。塩化メチレン相0.4mLに1.0M塩酸20μLおよび水0.78mLを加えた。激しく撹拌した後、水層および塩化メチレン層を分離し、水層をガシクリジンおよびピペリジンについて分析した。この抽出法は、ピペリジンの最適な検出のため、試料中の塩を除去するために必要であった。
図6に示すとおり、ピペリジン生成の速度はpH5.5およびpH6.0でほぼ同等であったが、pH7.4ではかなり遅かった。表3に一次崩壊の式を図6に示すデータにあてはめることにより得られた速度をまとめている。37℃、pH5.5またはpH6.0では、ガシクリジン分解の速度はガシクリジンの酸型の速度と等しかったが、pH7.4での速度は酸型で予想される速度の62%でしかなかった。これは、pH7.4および37℃では、ガシクリジンの62%だけが酸型であることを示しており、ガシクリジンの見かけのpKA 7.6を示している。これにより、より高いpHの溶液で優性であるガシクリジンの遊離塩基は、よりpHの低い溶液で優性である酸型よりも安定であることが再確認された。
(表3)37℃でのガシクリジンの安定性
Figure 2008531726
実施例5
ガシクリジン分解および溶解性に対するpHの影響
リンゲル液中に100μMガシクリジンを含む一連の試料を酸洗浄したガラスバイアル中で調製した。リンゲル液(Baxter Healthcare Corporation)10.0mLに0.100Mガシクリジン塩酸塩10μLおよび0.100M炭酸水素ナトリウム0.020mL、0.040mL、0.080mL、または0.160mLを加えた。次いで、これらの試料を55℃で24時間インキュベートした。55℃でのインキュベーション後、各試料から0.400mLの一定量を取り、ガシクリジンおよびピペリジンについて分析した。
実施例4に記載のとおり、ガシクリジンおよびピペリジンを塩化メチレンで抽出し、次いで希酸水溶液中に逆抽出した。55℃での各試料のpHを、55℃で標準化したpH計を用いて測定した。pH計、電極および標準は実施例3に記載したものと同じであった。図7は、55℃のリンゲル液中、様々なpH値でのガシクリジンのインキュベーションに対して得られた結果を示している。図7において、ガシクリジン濃度は白丸で示し;ピペリジンは白四角で示し;ガシクリジンおよびピペリジン濃度の合計は黒丸で示している。ピペリジン生成が原因とすることのできないガシクリジンの損失により判断して、明らかに、分解と沈澱との両方による溶液からのガシクリジンの損失が見られた。沈澱は、pHが7.6から8.1に上昇するのに伴い、ピペリジンおよびガシクリジン濃度の合計の低下によって示されている。沈澱と同時に、ピペリジン生成によって測定される分解の速度も、pH7.6から8.1で低下し、ここでも高いpHでの化学的安定性が示された。
実施例6
ガシクリジン安定性に対するpHおよびポリソルベート80(TWEEN(登録商標) 80)の影響
リンゲル液中に100μMガシクリジンおよび0.3%ポリソルベート80(TWEEN(登録商標) 80)を含む一連の試料を酸洗浄したガラスバイアル中で調製した。リンゲル液(Baxter Healthcare Corporation)10.0mLに100mMガシクリジン塩酸塩10μL、ポリソルベート80 0.030g、および100mM炭酸水素ナトリウム0.02mL、0.04mL、0.08mL、0.16mL、または0.32mLを加えた。次いで、これらの試料を55℃で24時間インキュベートした。55℃でのインキュベーション後、各試料から0.4mLの一定量を取り、ガシクリジンおよびピペリジンについて分析した。実施例4に記載のとおり、ガシクリジンおよびピペリジンを塩化メチレンで抽出し、次いで希酸水溶液中に逆抽出した。55℃での各試料のpHを、55℃で標準化したpH計を用いて測定した。pH計、電極および標準は実施例3に記載したものと同じであった。
図8は、55℃の0.3%ポリソルベート80を含むリンゲル液中、様々なpH値でのガシクリジンのインキュベーションに対して得られた結果を示している。図8において、ガシクリジン濃度は白丸で示し;ピペリジンは白四角で示し;ガシクリジンおよびピペリジン濃度の合計は黒丸で示している。ガシクリジン濃度またはガシクリジンとピペリジンとの合計濃度はpHに依存しないと思われるため、沈澱によるガシクリジンの損失はないと考えられた。ピペリジン生成により測定して、0.3%ポリソルベート80存在下でガシクリジンの分解もかなり少なかった。0.3%ポリソルベート80存在下で100μMガシクリジンから生成したピペリジンの量は、pH6.7での4.5μMからpH8.2での0.92μMまで変動した。ポリソルベート80は7よりも高いpH値でガシクリジンを溶液中に維持するのを助け、7よりも低いpHでもガシクリジン分解速度を劇的に遅延させた。
図9は、0.3%ポリソルベート80存在下と非存在下で、生成したピペリジン濃度から調べたガシクリジン分解速度の比較を示している。55℃でのガシクリジンの酸型の分解速度(実施例4参照)は0.73/日であった。0.3%ポリソルベート80存在下でのガシクリジン分解速度はpH6.7でのこの速度の6.4%、およびpH8.2でのこの速度の1.3%まで低下した。これとは対照的に、賦形剤非存在下での分解の相対速度は、pH7.3でのこの速度の51%からpH8.1でのこの速度の48%まで変動した。ポリソルベート80は明らかにガシクリジンの熱分解に対する保護、ならびに7よりも高いpH値でのガシクリジンの溶解性改良を提供した。これらの結果は、ガシクリジンの塩基性型の溶解性を改良する試薬はその化学的安定性も高め、溶解性が問題とはならないpH範囲でも同じであることを示すものである。
実施例7
遊離塩基型の懸濁液からのガシクリジンの溶出
本実施例は様々な製剤中のガシクリジンの安定性を調べるために用いることができる分析法を記載する。
ガシクリジン遊離塩基の懸濁液の溶液挙動を調べるため、遊離塩基粉末2.8mgを乳酸リンゲル液20.0mLに、0.13mM炭酸水素ナトリウムと共に、または伴わず、ガラスバイアル中で持続的に撹拌しながら懸濁した。実施例3に記載のとおり、これらの溶液のpHをpH計を用いてモニターした。実施例1に記載のとおり、ガシクリジン濃度をHPLCにより定量した。これらの溶液の平均温度は23℃で、21から25℃の間で変動した。これらの溶液について得られた結果を表3にまとめている。
ガシクリジンまたは炭酸水素ナトリウムを加えていない乳酸リンゲル液の初期pHは6.7で、ガシクリジン2.8mgの添加後に7.4から7.7の間の範囲に上昇した。ガシクリジンの濃度は固体の添加後10日以内に152から162μMの間の平衡濃度まで上昇した。0.13mM炭酸水素ナトリウムを含む乳酸リンゲル液の初期pHは7.4で、生理的pHに近く、ガシクリジン2.8mgの添加後に7.5から7.6の間の範囲に上昇した。ガシクリジンの濃度は10日以内に73から77μMの間の平衡濃度まで上昇した。
これらの結果に基づき、固体ガシクリジン塩基の投与はガシクリジンの溶液中へのゆっくりとした放出を引き起こすと考えられ、これは最終平衡濃度に近づくのに数日かかると思われた。生理的pHに近い出発時のpHで、平衡時に得られる最大濃度は溶液中のガシクリジン約75μMであった。2週間後、両方の溶液はまだ、固体の懸濁液として加えた初期ガシクリジン遊離塩基の大部分を保持していた。さらに数ヶ月後でも、目に見えるガシクリジンの固体の量は変わらないように見えた。両方の溶液によって得られたガシクリジンの平衡濃度は、炭酸水素ナトリウムを添加しない、または添加した乳酸リンゲル液に加えたガシクリジン塩基の全量の、それぞれ約30%または約14%にすぎない。これらのデータ(表4)は、ガシクリジン遊離塩基を含む固体製剤の投与の適合性を確認するものである。
(表4)固体遊離塩基の懸濁液からのガシクリジンの溶出
Figure 2008531726
引用文献
米国特許出願第11/337,815号
米国特許第4,164,559号
米国特許第4,474,752号
米国特許第6,107,495号
米国特許第6,120,484号
米国特許第6,139,870号
米国特許第6,377,849号
米国特許第6,440,102号
米国特許第6,648,873号
米国特許第6,911,211号
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ガラスバイアル中、室温で、pHの関数としてのガシクリジンの溶液濃度低下と、選択された賦形剤による溶液濃度上昇を示すグラフである。 37℃でpHの関数としてのガシクリジンのポリプロピレンバイアルへの吸着と、選択された賦形剤の軽減効果を示すグラフである(全ガシクリジン1mM;過剰) SOLUTOL(登録商標)存在下および非存在下で、pHの関数としてのポリプロピレンバイアル中25μMガシクリジンの損失を示すグラフである(過剰のガシクリジンなし)。 54℃または56℃でのガシクリジン塩基型の化学的安定性および酸型の化学的不安定性を示すグラフである。 低温でのガシクリジン酸型(pH2)の化学的安定性上昇を示すグラフである。分解速度の驚くほど高い温度依存性に留意されたい。 ガシクリジンの分解は、乳酸リンゲル液中、37℃で、pH5.5または6.0よりもpH7.4で遅いことを示すグラフである。 リンゲル液中、55℃で、pH7.3〜8.1の間ではpH上昇に伴いガシクリジン溶液濃度が低下し、pHが高くなるほどピペリジンの産生が低下することを示すグラフである。 リンゲル液中、55℃、pH6.7〜7.2の間で、0.3%ポリソルベート80によりガシクリジンの溶液濃度およびガシクリジンの化学的安定性が高まることを示すグラフである。 0.3%ポリソルベート80を加えたリンゲル液中、55℃で、pHが6.7〜7.2の間で高くなるほど、ガシクリジンの分解速度が低下することを示すグラフである。

Claims (42)

  1. ガシクリジン;
    媒体;ならびに
    溶解性増強試薬および賦形剤からなる群より選択される一つまたは複数の成分
    を含む、製剤。
  2. 溶解性増強試薬を含む、請求項1記載の製剤。
  3. 溶解性増強試薬が担体分子である、請求項2記載の製剤。
  4. 担体分子が界面活性剤である、請求項3記載の製剤。
  5. 界面活性剤がポリソルベートおよび12-ヒドロキシステアリン酸のポリオキシエチレンエステルからなる群より選択される、請求項4記載の製剤。
  6. ポリソルベートがポリソルベート80である、請求項5記載の製剤。
  7. 担体分子がベータ-シクロデキストリンである、請求項3記載の製剤。
  8. 賦形剤を含む、請求項1記載の製剤。
  9. 賦形剤がジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルアセトアミド、生理的に許容されるポリオール、およびアルコールからなる群より選択される、請求項8記載の製剤。
  10. 媒体が生理的に許容される、請求項1記載の製剤。
  11. ガシクリジンが0.01〜5mMの濃度で存在する、請求項1記載の製剤。
  12. 280〜310mOsmのモル浸透圧濃度を有する、請求項1記載の製剤。
  13. pH 5〜10を有する、請求項1記載の製剤。
  14. pH 5.0〜6.0を有する、請求項1記載の製剤。
  15. pH 6.0〜7.9を有する、請求項1記載の製剤。
  16. ガシクリジンがガシクリジン塩基である、請求項1記載の製剤。
  17. ガシクリジンが酸性塩型である、請求項1記載の製剤。
  18. ガシクリジンがガシクリジン塩基とガシクリジン酸性塩型の混合物である、請求項1記載の製剤。
  19. 担体分子を含む、請求項16、17または18記載の製剤。
  20. 賦形剤を含む、請求項19記載の製剤。
  21. 1nMから5mMの濃度のガシクリジン;および
    0.001重量%から30重量%の濃度のポリソルベート80
    を含む、請求項1記載の製剤。
  22. 第二の治療薬をさらに含む、請求項1記載の製剤。
  23. ピペリジンの生成により測定して、ガシクリジンの10%未満が37℃で4日間に分解する、請求項1記載の製剤。
  24. 固体ガシクリジン遊離塩基を含む、固体担体。
  25. ナノ粒子である、請求項24記載の固体担体。
  26. 生理的に許容される媒体中に懸濁されている、請求項25記載の固体担体。
  27. コラーゲンスポンジ、ゲル形成基質、ゲル、ポリマー基質、および薄膜からなる群より選択される、請求項24記載の固体担体。
  28. 装置上にコーティングされている、請求項24記載の固体担体。
  29. 装置が埋め込み可能電極である、請求項28記載の固体担体。
  30. ガシクリジンと溶解性増強試薬を含む媒体とを含む、凍結乾燥調製物を再構成する段階を含む、ガシクリジン製剤の製造方法。
  31. 溶解性増強試薬がガシクリジンの化学的安定性を増強する、請求項30記載の方法。
  32. 製剤を凍結乾燥することにより製造されるガシクリジンの凍結乾燥調製物であって、
    ガシクリジン;
    媒体;ならびに
    固体担体および賦形剤からなる群より選択される一つまたは複数の成分
    を含む調製物。
  33. ガシクリジンを哺乳動物の中耳または内耳に投与する方法であって、それを必要としている哺乳動物に、
    (1)ガシクリジンと、媒体と、溶解性増強試薬および賦形剤からなる群より選択される一つまたは複数の成分とを含む液体製剤;または
    (2)固体ガシクリジン遊離塩基を含む固体担体
    を投与する段階を含む方法。
  34. 固体担体が生理的に許容される媒体中に懸濁されたナノ粒子である、請求項33記載の方法。
  35. 製剤を正円窓膜を通しての中耳または内耳内への直接注入により投与する、請求項33記載の方法。
  36. 製剤を蝸牛インプラント電極を通しての内耳内への直接注入により投与する、請求項33記載の方法。
  37. 製剤を正円窓カテーテル、スポンジ、ゲル、およびガーゼ(wick)からなる群より選択される装置を用いて投与する、請求項33記載の方法。
  38. 製剤を鼓膜を貫通する針を用いての中耳内への直接注入により投与する、請求項33記載の方法。
  39. 製剤を中耳内への外科的埋め込みを通して投与する、請求項33記載の方法。
  40. 哺乳動物がヒトである、請求項33記載の方法。
  41. ヒトが耳鳴、メニエール病、眩暈、中耳の炎症、内耳の炎症、感染、聴覚損失、および神経損傷からなる群より選択される障害を有する、請求項33記載の方法。
  42. 50μMから5mMの濃度のガシクリジン;および
    0.001重量%から30重量%の濃度のポリソルベート80
    を含む、請求項1記載の製剤。
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