JP2008527595A - データ記憶用改良されたディスク - Google Patents

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Abstract

【課題】
【解決手段】ポリマーフォトクロミック媒体内の基の間の協同作用により書き込み作用強化ための基礎が提供される。この協同作用は、高濃度で存在するフォトクロミック基の間で起こり得る。
【選択図】図8

Description

本発明は、3次元光メモリにおける書き込みおよび読み取りを改善するための方法に関する。
3Dのビット単位の光記憶では、媒体の容量を使用してデータを記憶する。データの読み取りでは、米国特許第5268862号、国際公開第99/23650号および米国特許出願公開第2005/0078591号に開示されているように、3次元における各ポイントを個々にアドレス指定して、その状態に応じて信号を送る。光記憶技術の検討には、Burr, SPIE Conference on Nano- and Micro-Optics for Information Systems August 4, 2003 Paper 5225-16を参照のこと。この信号は、ボクセル自体の大きさのため非常に小さく、この信号が蛍光である場合には、信号はあらゆる方向に一様に放射もされて、それにより信号を全体として収集することができなくなってしまう。したがって、媒体中の活性発色団の濃度を最大にすることが重要である。というのも、これにより媒体によって生成される信号が大幅に増大することになるからである。
活性媒体として様々な置換スチルベンを利用した3次元メモリ装置が、国際公開第03/070689号に開示された。活性媒体は、データを書き込むために照射され、蛍光を測定することによって読み取りが行われる。残念なことに、蛍光色素は、その大きな共役系のため、また多くの蛍光色素がイオン化合物であるため、不溶性の高い物質である傾向にある。結果として、ディスク製造用の配合物およびディスク自体が、相分離および色素材料の結晶化に対して不安定となることがあり、その結果不均一なディスクがもたらされる。適切な対イオンの選択、分子構造への可溶化置換基の付加、および媒体マトリックスの適切な工学によって、ある程度の溶解度の強化を実現することができる。しかしながら、媒体の必要な光学特性および寿命を維持することになる非常に高濃度の発色団を含むディスク媒体は、得るのが極めて困難である。
3Dデータ記憶ソリューションはまた、それらの内部におけるデータパターンの形成に関する問題を抱えている。媒体内の非書き込みポイントを書き込み済みポイントに変換するために使用される非線形光学過程は、商業化を困難にする高いレーザ出力を必要とし、データが光によって書き込まれることによりその分解能が、したがってデータ密度が、また間接的に転送速度(ディスクを回転させることができる速度には制限があるため)が制限される。フォトクロミック媒体の別の欠点は、破壊読み出しである。この作用は、データポイントを読み取るたびに起こる基本的には少量の「書き込み」である。したがって、限られた回数の読み取りサイクルの後、効果的に消去されてしまうことがある。
本発明によれば、高濃度の発色団、特に活性発色団を有する光データ媒体が提供される。このような媒体により、以下でさらに説明するように、データ書き込みの強化が容易となる。このフォトクロミック媒体中の異なる活性基間の協同作用(cooperativity)により、光によって活性化された1つの基が、別の隣接する基の光に対する反応性を高める。この協同作用は書き込み作用強化に関与し、書き込み作用強化のための基礎を提供することができる。蛍光性光メモリ(すなわち、活性化された基からの蛍光発光を測定することによってデータを読み取るメモリ)用の好ましい発色団は、吸収スペクトルと蛍光スペクトルとのオーバーラップが最小限である。
フォトクロミック媒体における書き込み能力を高めるための方法が提供される。データの記憶に有用な改質フォトクロミック媒体も提供される。ポリマーをベースとするフォトクロミック媒体中の活性発色団の1つの状態から別の状態への光誘起変換を強化するための方法は、前記媒体中の化学基間の協同作用を可能にする条件を提供することを含む。
本発明の一実施形態によって、活性発色団の1つの状態から別の状態への光誘起変換の強化を伴うポリマーベースのフォトクロミック媒体を作製するための方法が提供される。この方法は、前記媒体中に高濃度の活性発色団が得られる条件下で媒体を重合させることを含む。
ポリマーをベースとするフォトクロミック媒体中の活性発色団の1つの状態から別の状態への光誘起変換を強化するための方法も本発明によって提供され、この方法は、高濃度の活性発色団を有する媒体を提供することを含む。
特定の一実施形態は、3次元光メモリにおけるデータ記入の強化である。
本発明の発色団媒体において高い発色団濃度で効率的に蛍光を読み取るために重要な考慮事項は、吸収と発光のオーバーラップの低減である。したがって、ストークスシフト(Stokes shift)、すなわち吸収スペクトルのピークと発光スペクトルのピークとの差が比較的大きくなるべきであり、かつ/またはこれら2つのピークの幅の一方または両方が狭くなるべきである。発色団の吸収−発光スペクトル間のオーバーラップは、多層の光記憶では70%よりも実質的に少なく、好ましくは50%未満、ときには35%未満、最も好ましくは20%未満であるべきである。
上で定義されているように作製または提供される、ポリマーをベースとするフォトクロミック媒体も本発明によって提供される。さらに、前記ポリマーをベースとするフォトクロミック媒体を含む3次元記憶媒体も提供される。
用語「ポリマーをベースとするフォトクロミック媒体」は、適切な波長で電磁波を照射する、たとえば、紫外線(UV)、可視光または近赤外光(IR)を照射すると、1つの状態から別の状態へとその状態を変化させることができるフォトクロミック基を含むポリマー媒体を示す。この状態変化は、シス配置とトランス配置との切替え、スピロピラン形態とメロシアニン形態との切替え、ジアリールエテンとメロフルジドの「開環」体と「閉環」体との切替え、フェノキシナフタセンキニンの2つの形態間の切替え、あるいは反応性または照射の場所の変化をもたらす、たとえばアゾベンゼンにおける配向の変化でよい。ポリマーをベースとするフォトクロミックにおいて、マークのない領域において光学的相互作用が異なるマークを刻むことができる。これらのマークの次元は、通常集光能力によって決定づけられ、波長次元またはサブ波長次元であり、フォトクロミック媒体で関心のある場所もそうである。ポリマーをベースとするフォトクロミック媒体は、以下にさらに詳述するように、フォトクロミック部分を有するモノマー(フォトクロミックモノマー)の重合によって、またはフォトクロミックモノマーと非フォトクロミックモノマーとの共重合によって作製することができる。このポリマーは異なる種類から構成されていてもよい。好ましいポリマーはアクリルポリマーである。
用語「光誘起変換の強化」は、強化なしの場合よりも高速で起こる、必要とする光照射パルスがより少ないまたはパルスがより短い、あるいは必要とする光束がより小さいフォトクロミック基の状態の光誘起変化を示す。
時々「活性発色団」とも称される用語「フォトクロミック基」は、上で定義されているようにしてマークのない位置から書き込み済みのマークのある位置へ、またはその逆のフォトクロミック媒体のある場所の状態変化をもたらす、電磁照射によって誘起される変化を受けることができる基を示す。活性発色団は、その状態を変化させることができるように、典型的にはUV、可視光または近赤外光であるがこれらに限らない電磁照射と反応性のある発色団である。活性発色団は、少なくとも2つの状態を有し、スイッチバックまたはさらなる状態への切替えとは異なるある1つの波長で1つの状態から別の状態へと切り替わる。光記憶媒体の場合、これら2つの状態間、たとえば所与の非常に小さな体積部分における第1および第2の異性体間の濃度比は、データ単位を表すことができる。データの読み取りは、活性発色団の異なる状態では異なっている光応答の測定により行うことができ、このような光応答は、媒体の所与の3次元位置での光散乱または蛍光でよい。
用語「高濃度」は、5%(wt%)を超える、好ましくは10、20%、30%、40%、またはさらには50%を超える、最も好ましくは60%を上回る、時には70%を上回る、望ましくは80%を上回る、最も望ましくは90%を上回る濃度を指す。これらのwt%濃度は、媒体中のモノマーの全重量に対するフォトクロミック部分を有するモノマーの全重量に基づき計算される。
用語「協同作用」は、活性発色団の濃度の増加によって書き込み感度の正の非線形増加を生じる作用を指す。
一意的に、本発明の一実施形態によれば、活性発色団の濃度が先行技術の媒体において得られる濃度よりもはるかに高いフォトクロミック媒体が提供される。この活性発色団は、各体積単位中の活性発色団の濃度が実質的に同じになるように、媒体全体に均一に分布させることができる。あるいは、改質フォトクロミック媒体は、より低濃度の活性発色団の領域またはフォトクロミック物質を含まない領域によって分離されている、より高濃度の活性発色団の場所を含む不均一媒体であってもよい。このような媒体は、以下に記載の方法によって作製することができ、「ナノ粒子」および「部分的溶媒和」と称することができる。前記化学的不均一性の重要な要件は、不均一性の特徴のスケールが問い合わせする/相互作用する光の波長よりもはるかに小さいことである。この要件が満たされると、化学的に不均一な媒体は光学的には均一となり、媒体を通過する光が化学的不均一性によって収差を受けることはない。
3次元(3D)光メモリの一部となることがあるフォトクロミック媒体における非常に高濃度の発色団の使用は、媒体のデータ読み取りおよび書き込み特性に有利であることがある。これらの利点は、信号が放出される焦点におけるより多くの活性発色団および隣接するフォトクロミック基間の協同作用から生じる可能性が高い。
したがって、本発明は、限定はされないが特にデータ記憶用に改良されたフォトクロミック媒体を対象とし、前記媒体は支持ポリマー物質とこの支持物質に結合している活性発色団を含む。一実施形態によるフォトクロミック媒体は、5%(wt%)を超える、好ましくは10、20%、30%、40%または50%さえも超える、最も好ましくは60%を上回る、時には70%を上回る、望ましくは80%を上回る、最も望ましくは90%を上回る重量パーセント濃度で活性発色団がポリマー物質中に含まれることを特徴とする。
別の実施形態によるフォトクロミック媒体は、ポリマー物質が活性発色団の微小環境を変化させる不活性添加剤を含むことを特徴とする。
このポリマー材料は通常、基本的に透明な媒体である。基本的に透明であるとは、電磁照射の大部分が吸収されるまたは散乱することなく貫通することを意味する。
発色団濃度の増加は、重合可能なモノマー部分に発色団構造を結合することによって発色特性を変化させることのない位置で、発色団構造を化学的に改質することによって実現することができる。このようにして改質モノマーを生成し、このような改質モノマーを重合させることによって、またはこれらの改質モノマーを他のモノマーと共重合させることによって、ポリマー骨格の間または中でフォトクロミック基がポリマーマトリックスに結合しているポリマーを生成する。本発明の一実施形態によって、このポリマーは、重合可能な活性発色団モノマーからなるホモポリマーとなる。発色団の濃度のさらなる増加は、モノマー溶液への溶解特性がそれぞれわずかに異なる種々の改質モノマーの使用により実現することができる。その場合、フォトクロミック媒体中の基本発色部分の総濃度は、すべてこの同一の基本発色部分を有するが少し異なる化合物の濃度の合計である。
好ましくは、このポリマーはポリメチルメタクリレートをベースとするポリマーであり、活性発色団は以下の式(I)のスチルベン誘導体である。
Figure 2008527595
式中、ArおよびArは、必要に応じてC1〜6アルキル、−OC1〜6アルキル、−SC1〜6アルキル、ならびに−C1〜6OH、チオールおよびそれらの塩、R’およびR”が独立に水素またはC1〜6アルキルであるNR’R”から選択される1つまたは複数の基で独立に置換されたフェニル基であり、RおよびRは、nが0、1または2である−(CHCNから選択されるニトリル、ハロゲン化物、カルボン酸、それらのエステル、またはnが0、1または2である−(CHNOから選択されるニトロ化合物から選択される置換基である。
1〜6アルキルは、直鎖または分岐アルキルでよく、好ましくはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチルまたはtert−ブチル、ならびにペンチル基であり、ニトリルは好ましくは−CN基、ニトロ化合物は好ましくは−NO基である。
本発明に従って有用である重合可能な活性発色団モノマーは、好ましくは以下の式(II)の化合物である:
Figure 2008527595
式中、Ar、Ar、RおよびRは上で定義されているとおりで、Mは重合可能なモノマー部分である。Mの具体例は、メチルメタクリレート(MMA)およびメチルアクリレート(MA)の誘導体などのアクリルモノマー、あるいはスチレンをベースとするモノマーである。
例示的な改質フォトクロミックモノマーは、以下の式(III)のものである:
Figure 2008527595
式中、Xがメチルまたは水素、nが2〜7の整数、Yが水素、あるいは必要に応じてハロゲンにより置換された1〜8の炭素原子を有する直鎖または分岐アルキル部分である。
特定の例は、以下の式(IV)および(V)の重合可能な活性発色団モノマー(本明細書中では、それぞれ「eMMA」および「eAA」とも称される)である。
Figure 2008527595
Figure 2008527595
別の例は、式(VI)のスチレンをベースとするモノマーである。
Figure 2008527595
式中、Yは上に定義されているとおりである。好ましいスチレン誘導体は、Yがエチルであるものである。
すでに上で述べたように、フォトクロミック基は、好ましくは吸収−発光オーバーラップがないまたは小さい基である。
式(III)の各化合物内のわずかに異なるYにより、すでに上で説明したように、好ましくは置換スチルベンである高濃度の基本発色団部分を、非発色性の支持物質中に組み込むことが可能となる。
本発明によれば、非発色性の支持ポリマー媒体中で活性発色団を不均一な分布で結合させ、非発色性の支持媒体によって分離されている高濃度の活性発色団の別々の部分を媒体が含むようにすることができる。モノマー活性媒体の形の活性媒体を、同様のモノマーと共に、異なる非相溶性ポリマーに組み込み、それにより相互貫入ネットワーク(IPN)が形成される。特に、「eMMA」または「eAA」を適切なモノマー(メタクリル酸またはアクリル酸のメチルエステル)と共にポリスチレンに組み込んで、ポリマー発色団「eMMA」または「eAA」の構造フレームとなるスチレンネットワーク内に「eMMA」または「eAA」の相互貫入ネットワークを形成する。
本発明を理解し、また実際に本発明をどのように実施することができるかを理解するために、好ましい実施形態を、非限定的な例にすぎないが、添付の図面を参照してこれから説明する。
述べたように、本発明は、必ずしも均一にではないが活性発色団の濃度を増加させることができる改質フォトクロミック媒体を提供する。この活性発色団の高濃度は100%、すなわち、媒体全体が活性発色団から構成されていてもよい。フォトクロミック媒体中における非常に高濃度の活性発色団の使用は、そのフォトクロミック媒体に有益である。フォトクロミック媒体が3次元(3D)光メモリの一部である場合、このような高濃度はデータ書き込み特性に(線形的な改善以上の)大幅な改善をもたらす。発色団濃度の増加は、データを書き込むために必要とされる出力および/またはデータ分解能を単に増大させるよりも効率的である。
理論に縛られることを望むわけではないが、本発明をデータ記憶のために、たとえば3D光メモリで利用する場合、フォトクロミック媒体中の高濃度の励起可能な発色団の存在下で2つの現象、蓄積熱作用(ATE)および他の発色団協同作用が生じるように思われる。同時に、励起可能な発色団の濃度の増加によって書き込み感度の正の非線形増加を生じる協同作用と定義される。本発明の諸実施形態は、本発明に従って活性発色団を組み込んだ、3次元(3D)光メモリの一部であってもよいフォトクロミック媒体において、これらの作用の一方または両方を活用することができる。ATEと他の協同作用の両方に共通する強調機構は、隣接する発色団が互いに影響を与え、それにより書き込み速度(たとえば、適切な電磁照射の下、ある形態から他の形態へ活性発色団が異性化する速度)が増大する隣接協同作用である。
分子の運動の自由度が適切である適切な化学基に発色団が囲まれるように、またその移動度に影響を与えるポリマー鎖に発色団が結合されるようにマトリックスを設計することによって、協同作用を補完し強化するために微小環境を微調整することができる。これは、添加剤およびコモノマーの添加によって実現することができる。このような微小環境は、ポリマー鎖に適切な移動度および適切な極性を与える。このような添加剤は、「ポリマー特性の強化のための添加剤およびコモノマー(Additives and co-monomers for the enhancement of polymer properties)」という名称の同時係属中の共有出願に記載されている。
ATEは、ある種の光化学過程を受けている材料の光誘起による局部加熱である。この加熱は、必ずしも計られる光化学過程から生じるのではなく、通常望ましくない現象と考えられている。しかしながら、フォトクロミック媒体の場合には、データを書き込んでいるときにフォトクロミック分子が光化学励起を受け、それにより入射光からのエネルギーが吸収される。分子の励起状態のエネルギーは、以下の3つの経路のうちの少なくとも1つ、(i)蛍光または別の分子への直接のエネルギー移動によって、(ii)化学反応、たとえばフォトクロミック異性化によって、または(iii)エネルギーの非放射熱損失によって失われることがある。これらの経路すべてにおいて、吸収されたエネルギーの一部またはすべてが局部加熱エネルギーに変換される結果となり、したがってこれらの経路により媒体の局部加熱が生じる。入射レーザパルスが長い、すなわち互いに時間的に接近している場合、励起および再励起によって、パルスまたはパルス列の開始によりもたらされる加熱が、パルスまたはパルス列の後半部分のためにより熱い媒体を提供する。より高温では、ディスクに情報を書き込むために必要とされる異性化が改善され、データの書き込みがより容易に行われる。理想的には、温度上昇により、ガラス転移による溶融など分子の自由度を劇的に増大させる相変化をもたらすことができる。加えて、光線によってアドレス指定される媒体領域の中心は、中心から離れた領域よりも高強度の光を受ける。このことは、書き込み済みの点の中心は、中心から離れた領域よりも多くの加熱出力を受け、したがってより高度な強化を受けることを意味する。このようにして、ATEの利用により、アドレス指定する光だけによって実現することができる分解能よりも優れた分解能でのデータの記入が可能となる。
その他の協同作用に目を向けると、これらは一般に、濃度の関数としてプロセスの非線形的な改善をもたらす作用と定義することができる。具体的にフォトクロミック媒体の場合には、それ自体が状態の切替えを受けている別の発色団に活性発色団が空間的に近接している場合に、活性発色団がその状態を切り替える確率の増加であると説明することができる。切替えの確率の大幅な改善は、光化学的に励起された発色団でのみ起こることが最も多い。概念的には、その他の協同作用は次のように構想することができる。フォトクロミック分子(発色団)がその状態を切り替えると、媒体の分子レベル構造に局所的障害を引き起こす。この障害により、すぐ近くの発色団周囲の応力および自由体積が変化し、これらの作用により、これら追加の分子が切り替わることもより容易となる。この協同作用により、ATEと同様のデータ分解能の改善も可能となる。
この記載の協同作用は、シス−トランス異性化を受けるスチルベンなど、異性化の間に大容量が一掃される発色団にとっては明らかに最も重要であり、したがってこのような発色団の使用は、本発明の注目される態様である。協同作用の別の例は、発色団分子間のエネルギー移動により、1回の吸光でさえ2つ以上の発色団に状態を切り替えさせることが可能となる場合に起こり、第3の例は、高濃度の非線形光学発色団がその2光子断面の大きな強化を示すことができることから生じる。
ATEも他の協同作用も共にその強度は、3つの重要な因子、(i)光化学励起の量およびその並行性、(ii)発色団の濃度、(iii)発色団の微小環境に依存する。光化学励起の量の重要性は、本発明のフォトクロミック媒体を含む3D光媒体において、データの「読み取り」と「書き込み」との間の差別化を実現するために利用することができる。「書き込み」は、発色団の状態の切替え(たとえば、シス−トランス異性化)をもたらす照射のプロセスであり、「読み取り」は、「書き込み済みの」データ(マークおよびスペース)に照射し、発色団の様々な状態を確認するプロセスである。すなわち、ディスクからのデータの読み取りには、低い入射レーザ出力を使用する。この低出力は、ほんの少量の励起しか提供しない(すなわち、すべての発色団の濃度が高くても、励起状態にある発色団の濃度が低い)ため、ATEも他の協同作用も共に最小限であり、したがって発色団の異性化は強化されない。あるいは、蓄熱などのプロセスが重要とならないように、時間的に分離した高ピーク出力パルスにおいてこの低出力を利用することもできる。一方、データの書き込みには高い入射レーザ出力および有意なパルス幅が使用され、これらの条件下では、大量の励起および再励起がある(すなわち、励起状態にある発色団の濃度が高い)ため、ATEおよび協同作用により発色団の切替えが大きく強化される。媒体に伝達されるエネルギーが空間および時間において局在化されている限り、書き込みイベントは必ずしも1つのパルスに限定されず、したがってパルス列バーストを使用することができ、好ましくは、ディスクの回転および熱拡散時間による書き込みイベントスペースの広がりを最小限に抑えるために、バースト継続時間が200〜300ナノ秒未満に限定される。したがって、本発明の一局面は、発色団の切替えの強化を制御するために、データの読み取りおよび書き込み用の異なる入射レーザ出力を使用することである。発色団の濃度を利用することもできる。発色団の濃度が高い場合には、ATEも協同作用も共に増大する。したがって、本発明の重大な局面は、この強化を実現するために、非常に高濃度の発色団を有するディスクを合成することである。高濃度の発色団は、信号光の過剰な吸収の問題およびアドレス指定ビームをも消去する1光子読み取りまたは記録の問題を引き起こし、媒体の合成を非常に困難にし、自己消光などの望まれていない光化学反応を引き起こすことがあるため、通常有用であるとは考えられていない。多くの場合、高濃度により、ディスク作製には脆弱すぎる、柔軟すぎる、またはそうでなければ機械的に不適合なポリマーがもたらされることがある。発色団が存在する領域が高濃度を含有する限り、高濃度の発色団が媒体全体にわたって均一である必要はないことを理解されたい。たとえば、ディスクは、高濃度の発色団を含有する小さな場所が発色団を全く含んでいない領域内に存在するナノ構造を含むことができ、したがってこのナノ構造は所要の機械的特性を提供することができる。あるいは、ディスクは(層構造または骨格構造などの)ミクロまたはマクロ構造を有することができ、そこで発色団支持部分のみを使用してデータを積極的に記憶する(国際公開第03/070689号)。別の選択肢は、米国特許出願第11/290818号に記載されているような強化マクロ構造の使用である。
高濃度の発色団を含有する小さな(サブ波長の)場所を含むこのような多相系は、活性発色団を欠いている領域内に存在し、以下のようにして構成することができる。発色団含有モノマーおよびコモノマー、たとえばeMMA(国際公開第03/070689号に開示されている)を含むモノマー混合物によって、架橋ポリマー(以後はベースポリマー)は拡散(膨張)ことが可能となる。次いで、これらモノマーおよびコモノマーを重合させ、ベースポリマーとの非相溶性により、相互貫入ネットワーク(IPN)を形成することになる(Structure and Properties of Polymeric Materials、Ed. CleggおよびCollyer、第76頁)。フォトクロミックポリマーを含有する領域は、補完ポリマーによって物理的にかつ構造的に強化される。したがって、相互貫入ネットワークを生成することが周知であるポリメチルメタクリレート(PMMA)およびポリスチレン(PS)は、一例となることができる。他の可能な非相溶性ポリマーは、PSマトリックスに組み込まれた活性発色団化合物eMMAを共に有するPBMAまたはPEMAであり、同様の作用、すなわち発色団媒体eMMAの書き込み能力(wriablility)強化の利益を得る。したがって、エチルアクリレートおよび発色団モノマー(eMMA、eAAまたは(I)の他の誘導体)を少なくとも20wt%の濃度で有し、開始剤(たとえば、アゾイソブチロニトリル(BPO)を含有するポリスチレンの架橋ディスクは、一晩で膨張することができる。添加したモノマーはすべて、架橋ポリスチレンによって吸収され、加熱すると、IPNを生じることになる。まず発色団を含むアクリルをベースとするマトリックスを形成し、スチレンと共に膨張させ、次いでこのスチレンを重合させてIPNを形成することによって異なる順序で、あるいは非相溶性の対、たとえばポリカーボネートとPMMA、ポリブチル(メタ)アクリレート(PBMA)もしくはポリエチル(メタ)アクリレート(PEMA)、またはメタクリル酸エステル(COPOLEX−ベンジルメタクリレートと2,2−ビス[4−(メタクリロイルポリエトキシ)フェニル]プロパンの混合物である)とPMMAを形成する他のポリマーを用いて、IPNを形成することもできる。非相溶性は、非相溶材料の使用によってだけでなく、非相溶性プロセスの使用によっても作り出すことができる。したがって、部分的にしかまたは全くMMAに溶解していない発色団−アクリルをベースとする架橋粒子、このような粒子は、光化学特性を提供する1つのポリマーのメッシュと、光学的に適合しつつ他の特性を提供する「織り交ぜられた(interweaved)」第2のポリマーのメッシュとを形成するプロセスで使用することができる。不均一な分布の活性発色団を含む他の可能なフォトクロミック媒体は、(1)部分的溶媒和ルートおよび(2)ナノ粒子と称される以下の2つの追加のルートで構成することができる。
(1)部分的溶媒和ルートは以下を伴う:
1.BMA、eMMA(10%w)から構成されるわずかに架橋された粒子を合成し、軽い架橋剤を用いて架橋する。他の例は、以下の化合物の低いパーセントの不純物である。
Figure 2008527595
[2−メチル−アクリル酸3−[4−(1,2−ジシアノ−2−{4−[3−(2−メチル−アクリロイルオキシ)−プロポキシ]フェニル}−ビニル)−フェノキシ]−プロピルエステル、調製については国際公開第03/070689号に記載]
他の可能性は、低いパーセントのCOPLEX、またはエチレングリコールジメタクリレートなどのアクリレート架橋剤である。
2.これらの粒子を、スチレンまたはMMA中で混合し、部分的に溶解させる。
3.このスチレンまたはMMAを(たとえば、開始剤としてBPOを用いて)重合させて、支持マトリックスを形成する。粒子の(架橋によって制御される)溶媒和のレベルは、大幅な屈折率の変化はないが、一方で、ミクロ環境レベルでIPNが形成されるように、すでに存在する非相溶性のレベルを架橋が増大させるようにする。
(2)ナノ粒子の使用
1.BMAとeMMAとのコポリマーおよび架橋剤から構成されるわずかに架橋されたナノ粒子を、部分的に重合させたMMA/PMMA/BPO混合物中で均一に混合する。この混合物を、ナノ粒子を溶解させない程度まで重合させる。
2.たとえば、温度を上昇させることにより重合を促進させることによって、支持体の重合を完了させる。
このような構造を形成するためのモノマーおよびポリマーの選択、ならびにIPNの形成に向けた中間ステップにおいて均一な「溶液」を得るためにモノマー混合物をポリマーに溶媒和する順序の選択は、当技術分野で公知であり、ポリマーとモノマーの相溶性は、ヒルデブランド(Hildebrand)溶解度などの溶解度パラメータを用いて時折一覧表にされる。ナノ粒子の作製も当技術分野では公知であり(たとえば、米国特許第6623761号、米国特許第6858299号、米国特許第6966990号)、異なるベンダーによって多様性がもたらされる。
本発明による発色団の濃度の均一な増加は、機能的にはすべて同一であるがその分子構造がわずかに異なる複数の構造を用いることによって行われる。この構造は、データ記憶の目的では混合物ではないが、相分離の目的では混合物である。というのも、すべて同一機能の発色団部分を有するにもかかわらず、その全体構造がわずかに異なる種々の化合物があるからである。化合物からなる混合物では、各化合物にそれぞれ溶解限度がある。したがって、構造の混合物により、そのエントロピーがはるかに大きいため、溶解度が最適化された単一構造であっても、単一構造よりもはるかに高い活性発色団の総濃度が可能となる。この混合物が理想的な挙動を示さない場合でさえ、分子構造の混合物は依然として単一構造に勝る改善をもたらす。分子上の1つまたは複数の場所で生成される官能基(functionalization)の混合物を最適化して、分子間で可能な最も優れた差別化を提供することができ、同時に可溶化機能も付与することができる。一般的にこのことは、官能基が、マトリックスとの相溶性が高く、柔軟性が高く、バルクが顕著に異なる基の混合物を含むことを意味する。このような混合物の合成方法にも対処する。多くの別々の化合物を合成し、次いでこれらの化合物を混合して混合物を形成することが可能であるが、この手法は経済的には効率的ではない。代わりに、単一の化学反応における反応物からなる混合物の使用によって、あるいは一般的には、その生成物が機能的に同様であるまたは機能妨害しない複雑な化学反応の複数の生成物の使用によって、官能基の混合物を、発色団合成の適切な時点で発色団構造中の1つまたは複数のポイントに導入する。
本発明が媒体特性を高濃度で改善することを可能にする様々な濃度作用を実証するために、一連のディスクを合成した。トランス−eMMAを、適切な割合でMMAと60℃で混合し、2%過酸化ジラウリルを添加した。この混合物をろ過し、鋳型内で24時間硬化させて試料を作製した。これらの試料を、集束レーザを媒体の試料に向ける媒体試験装置で分析した。発色団は、焦点でのみ起こる2光子吸収によってこの光を吸収し、トランス形からシス形への異性化および蛍光を含む光化学過程を受ける。異性化はデータ書き込みを表し、蛍光はデータ読み取りを表す。671nmの固相レーザ(20KHz、3×15nsのパルス)を使用してデータを書き込み、658nmのパルスレーザダイオードを用いて媒体中の同じポイントで蛍光を測定することによって、記入したデータを検査した。書き込み済みのポイントを、これまでプローブされていないポイントよりも10%少ない蛍光を生成するポイントと定義した。これは、変調度10%と定義される。
表1は、異なる濃度のeMMAを含む記憶媒体に書き込み済みポイントを形成するために必要とされるレーザ出力を列挙する。
Figure 2008527595
この表は、高濃度の発色団媒体が媒体の書き込み特性を大幅に改善することを明確に示している。ATEも他の協同作用もなければ、異なる濃度が異なって機能すると予測する理由はなく、したがって、情報を記入するために必要とされる出力の差は、協同作用を反映する。
たとえば、各蛍光イベント(660nmの2つの光子の吸収および500nmの単一光子の放出)により6×10−19Jの吸収を生じ、10wt%eMMAのディスクは1.4×1020分子/grを含み、媒体の熱容量はJ/gr当たり約1.5度である。したがって、すべての発色団が平均1回励起された場合、10%(wt%)の媒体が約30℃で加熱され、20%の媒体がその2倍の量加熱される。eMMAが約250GMの2光子断面を有すると考えると、上述の実験では、回折限界焦点の中心にある各発色団は数回励起されると予期される。さらに20wt%の濃度では、大部分の発色団が少なくとも1つの他の発色団と密に接触しているため、これらの非常に高い濃度では発色団が互いに相互作用し始めることについても疑いの余地はない。
高濃度のeMMAをブチルメタクリレート(BMA)と共に含むディスクの別の一組を(実施例5の手順に従って)作製した。その結果は、高い協同作用による書き込み感度の正の非線形増加を明確に実証している。表2は、非常に高い発色団濃度を含有するディスク中に存在する媒体の書き込み特性の改善結果(書き込みに必要とされる出力の低下によって実証される)を示す。
Figure 2008527595
ATE作用を利用したデータ書き込み能の改善は、温度がデータ書き込みの重要な側面であることを示すことによっても間接的に実証することができる。10wt%のeMMAを含有するディスクに異なる温度でデータを書き込んだ結果を、表3に示す。この場合、異なる長さのパルス列および30Wのピーク出力を使用して、異なる温度で媒体にポイントを書き込んだ。米国特許出願第11/285210号に記載されている設定で測定を行った。90℃で16回のパルスは、室温(RT)で48回のパルスよりも強く書き込まれたマークを生成することが可能であることがわかった。
Figure 2008527595
発色団の溶解度を増大させる能力の実験的実証を、eMMA類似体で行った。これらの類似体は、eMMAの合成前駆体から容易に合成されるように設計される。発色団自体は、分子中央の共役部分であるため、エーテル基を使用して、溶解度を強化する官能基を導入することができる。両方のエーテルを使用すべき場合、容易に入手可能なジフェノール(I)から始まるスキームIに記載の合成を使用することができる。ハロゲン化アルキル類の混合物との(I)のウィリアムソン(Williamson)反応により、官能化発色団(II)の混合物の混合物がもたらされる。
スキームI
Figure 2008527595
式中、RはC1〜6アルキル、好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基またはブチル基である。
あるいは、eMMAの溶解度強化を、エトキシ「テール(tail)」基だけを修飾することによって成し遂げることもでき、その結果、重合可能なアクリレート基を依然として重合に使用することができる。この場合、たった1つの基しか利用しないため、ハロゲン化アルキル類の同じ混合物からは、はるかに少ない総数の化合物しか生成されない。この合成のための方法の一例をスキームIIに示す。フェノール(III)を、ウィリアムソンの手順によって臭化アルキルの混合物と反応させ、その後、生成物(IV)の混合物からメチルエーテル保護基を取り除いてフェノール(V)の混合物を生成する。この混合物を、重合可能な基を含むアルキル化剤と反応させて、溶解度が強化されたeMMA類似体(VI)の最終混合物をもたらす。
スキームII
Figure 2008527595
ここで、RはスキームIで定義されているとおりである。
活性発色団部位を維持しながらもその化学構造が異なる分子構造を得る第3の可能性は、発色団を重合可能な基((VI)では3つの炭素原子)に結合する「スペーサ」基の長さを変更することである。スキームIおよびIIの合成に必要とされる混合物を構成する臭化アルキルの選択は、以下を考慮して慎重に行わなければならない。i)臭化物の分子サイズを、(炭素数4〜8に)限定すべきであり、生成物の平均分子量が不必要に高くならないようにする。ii)これらの材料が、バルクを最大化するために分岐鎖を含むべきである。iii)第四級炭素を有する臭化物は、反応性が非常に低く、分子の柔軟性を有意には増大させないため、使用すべきでない。iv)キラル臭化物は、効果的に2つの材料からなるため、素晴しい選択である。しかしながら、キラリティが最終用途で受け入れ可能である場合を除いて、ラセミ混合物のみを使用すべきである。v)出発原料のコストは低くすべきであり、これらの材料がバルク量で容易に入手可能であるべきである(市販のSigma−Aldrich2003カタログ)。表4は、eMMAの誘導体を得るために本発明で使用されるいくつかの基を示す。
Figure 2008527595
臭化アルキル混合物とのウィリアムソン反応を行う際、異なる臭化物は異なる反応性を有することを心に留めて置くべきである。二級ハロゲン化物の反応性は、一級ハロゲン化物よりも約一桁小さいことは周知である。この問題は、ハロゲン化物を反応混合物へ段階的に添加することによって、または正確な化学量論的量を反応で使用することによって対処する。
1光子加熱は、光子を1つ吸収するとその微小環境に熱を放射する一定の色素をポリマーマトリックスに組み込むことによって行うことができる。このような色素は、「3次元光メモリ用の加熱添加剤(Heating Additives for Three Dimensional Optical Memory)」という名称の同時係属中の共有出願に記載されている。
本発明では、多くのフォトクロミック媒体に関連する上記問題に対処するための方法をさらに説明する。空のディスクを、「書き込み」プロセス用に最適化されている状態でユーザに配布し、高感度で、高歩留まりでかつ高速のデータ書き込みを実現することができるようにする。データ書き込みの後またはデータ書き込みの間、「書き込み用に最適化された」状態から「読み取り用に最適化された」状態へとディスクの構造を何らかのやり方で変えるプロセスを、ディスク(またはその一部分)に施す。この状態により、書き込み済みデータを、最適化された信号強度で、またデータの破壊はほとんどまたは全くなく何度も読み取ることが可能となる。「読み取り用に最適化された」状態と「書き込み用に最適化された」状態との切替えは、一方向過程(それにより「WORM」媒体となる)または可逆過程(それにより潜在的に書換可能媒体となる)でよい。
式(I)の化合物の誘導体、特に本発明に従って好んで使用される化合物(「eMMA」)は、トランス配置とシス配置との間で光異性化可能である。トランス配置は、(i)シス型よりもはるかに多くの蛍光、(ii)トランス配置は大きな2光子吸収断面を有すること、(iii)同様の1光子吸収を特徴とする。これらの特徴により、この化合物を2光子励起によって3Dメモリで使用することが可能となる。
Figure 2008527595
化合物(V)は、100nmを超える大きなストークスシフトを有し(図8)、その吸光(375nmで最大)スペクトルと発光(485nmで最大)スペクトルとのオーバーラップは非常に小さい。これは、発光の吸収が深刻な問題となる前に、この化合物を本発明に従って媒体中20wt%を超える濃度で使用することができることを意味する。このことは、スピロピラン類、ジアリールエテン類またはフェノキシナフタセンキノン、あるいは公知のレーザ色素などの発色団を含有するこれまでの3次元データ記憶蛍光メモリとは対照的である。これらの化合物はすべて、大きなオーバーラップを有し、したがって活性発色団をほんのわずかな濃度でしか使用することができず、それによりこれらのメモリはその信号強度が大幅に限定され、これらのメモリでは一定の主要技術(たとえば、2光子蛍光読み出し)を使用することができないほどである。
しかしながら、本発明の発色団媒体における効率的な読み取りを可能にする主点は、大きなストークスシフトではなく、吸収と発光のオーバーラップの低減であることに留意されたい。本発明は、発色団の吸収スペクトルと発光スペクトルのオーバーラップ全体に関係し、ストークスシフトはこのオーバーラップを低減する可能性の1つにすぎないことを理解されたい。このオーバーラップは、一部がストークスシフトによって、一部がピークの幅によって定義される。ストークスシフトが小さい化合物であっても、そのピークが十分に狭い場合には優れた(小さい)オーバーラップを有することがあり、逆もまた同様である。フォトクロミック媒体では、「読み取り」蛍光とフォトクロミック分子の両形態の吸収スペクトルとのオーバーラップが小さくなければならない。したがって、本発明によれば、吸収と発光とのオーバーラップは、発光発色団の0.01M溶液を発光が1cm通過する間に吸収される発光量(%で)と動作可能なように定義される。この動作可能な定義により、異なる材料の比較が可能となる。これは、「読み取り」信号が高濃度蛍光媒体から抜けたときに生じる信号損失に匹敵する。発色団eMMA(またはDMSDC)の場合、この損失は10%未満である。大部分の蛍光体では、この損失がかなり大きい。一般的な蛍光体、それぞれ90%程度のオーバーラップを有する(A)フルオレセインおよび(B)ローダミングリーンのスペクトルの例を図9に示す。蛍光光記憶の他の例、たとえばRentzepisの米国特許第5268862号における図4〜6、Levichの国際公開第99/23650号における図8〜9、およびAkselrodの米国特許出願公開第2005/0078591号における図4においても、強いオーバーラップが見られる。本発明は、オーバーラップが約70%未満、多層の3D均一光記憶では、好ましくは50%未満、ときおり35%未満、最も好ましくは20%未満である分子に関する。
実施例
ポリ(アクリレート)鎖に結合した発色団を含有するディスクは、MMAを発色団含有モノマー、たとえば「eMMA」または「eAA」(以下の構造)と共重合させることによって作製することができる。この発色団含有モノマーと約0.2%AIBN(ラジカル開始剤)とのMMA溶液を60〜65℃で調製し、ディスクの形をした鋳型に入れる。この鋳型を水浴に下げ入れ、その水浴を60℃で18時間保持し、その後鋳型を冷却し開けてディスクを得る。
Figure 2008527595
Figure 2008527595
eMMAおよびeAAのMMA中の溶解限度の結果として、約20wt%を超えるeMMAまたは約25wt%を越えるeAAを含有するディスクを作製することは不可能である。しかしながら、eMMAを10wt%で、eAAを20wt%で共に含有するディスクを形成することは可能である。したがって、メチル基が異なるだけである2種類の発色団含有分子だけの混合物を使用することによって、最大総発色団濃度を25〜30wt%に増大させることが可能である。eMMAおよびeAAのMMAへの溶解限度の結果として、約20wt%を超えるeMMAまたは約25wt%を越えるeAAを含有するディスクを作製することは不可能である。しかしながら、eMMAを10wt%で、eAAを20wt%で共に含有するディスクを形成することは可能である。したがって、メチル基が異なるだけである2種類の発色団含有分子だけの混合物を使用することによって、最大総発色団濃度を25〜30wt%に増大させることが可能である。
活性発色団媒体としてeMMAを含むフォトクロミックポリマーを、温度が制御された読み取り/書き込み装置に搭載し、異なる温度でデータ点を書き込んだ。点を書き込むために必要とされる照射時間を、温度の関数として図1にプロットしてある。図示のように、15℃から90℃への温度変化により、書き込み速度が10倍にまで増大し、それにより加熱概念が完璧に実証される。
活性発色団媒体としてePMMAを含むフォトクロミックポリマーを、温度が制御された読み取り/書き込み装置に搭載し、異なる温度でデータ点を書き込んだ。90℃で書き込んだ点と30℃で書き込んだ点の変調差が、共に30℃で読み取る場合に見られた。90℃で書き込んだ点は、30℃で書き込んだ点の変調の約2倍の変調を示した。異なる温度の異なるポリマーマトリックスにおける可能性のある改善要因を定量化するために、追加の実験を行った。
この試料を銅ホルダの上に載せ、電力抵抗器を用いてホルダを加熱した。このホルダを、加熱中のホルダの膨張を補償するためにPIナノキューブ(Nanocube)に接続した。較正サイクルを行い、膨張の結果生じるオフセットを測定した。90℃で4つの点を書き込んだ。各点は、20秒間で書き込んだ。同じパターンを30℃で書き込んだ。蛍光に反映される(30℃および90℃で)書き込み済みのデータの読み取りをモニタした。この読み取りは、以下の図2(90℃での書き込みについて)および図3(30℃での書き込みについて)に見ることができる。図からわかるように、図2の蛍光(0.98〜0.84)は、図3の蛍光(0.98〜0.94)よりもはるかに顕著である。これらの点を、PIナノキューブを用いて走査した。以下の図4および図5は、それぞれ90℃および30℃の温度で書き込まれた情報の走査結果を示す。確かに図4は、30℃における書き込みよりも正確な書き込みを反映するより明瞭な読み取りを実証している。下方の3つの点を通った走査を、それぞれ読み取りについてである以下の図6および図7に見ることができる。
10wt%の濃度の発色団(eMMA)を含有するPMMAをベースとするディスクを作製するためのプロセス−[MMA81.96wt%、BPO0.97wt%、PMMA7.07wt%]。
A.反応物の乾燥および原液の調製:
500gのMMAを取り、これに20gの硫酸マグネシウム(無水)を加える。磁気撹拌棒を実験室ボトルに入れ、室温で30分間撹拌したままこの混合物を放置する。30分後、この混合物を(標準的なろ過装置を用いて)ろ過し、密封実験室ボトル内に保管する。過酸化ベンゾイル(BPO)とMMAとの原液、すなわちBPO/MMA(MMA中に5%wtのBPO)を、2.75gのBPO(開始剤75%/水25%)を取り、これを39gのMMAに添加することによって調製する。この混合物に、3gの硫酸マグネシウム(無水)および磁気撹拌棒を添加し、室温で30分間撹拌したままこのボトルを放置する。次いで、この溶液をろ過し、その後の溶液を密封実験室ボトル内に保存する。20gのPMMA(ATO VOD100)を取り、乾燥皿内に置く。この材料を、90℃の真空オーブン内に配置し、真空で4〜6時間置く。冷却は、真空のままこのオーブン内で行うべきであり、冷却したら、PMMA顆粒を密封実験室ボトルに入れるべきである。eMMAは一般に疎水性であるが、密封ボトル内に保存すべきであり、使用前はデシケータ内に保管することができる(それを乾燥させるために真空またはシリカゲルを用いる)。
この乾燥MMA材料を90g取り、これに乾燥させたPMMAを10g加える。磁気撹拌棒を加え、この混合物を70℃で4〜6時間撹拌したまま放置する(これにより、PMMAがMMAに溶解することが可能となり、ポリマー/モノマー原液をもたらす)。
B.プレ重合(prepolymerization):
磁気撹拌器を備えたフラスコに、PMMA/MMA(10%wt)原液を30g、BPO/MMA(5%wt)原液を8.2g、eMMAを4.25g導入する。この混合物を、65℃で60分間撹拌したままホットプレート上に放置する。撹拌する間に、eMMAがMMAに溶解することが可能となり、重合プロセスが開始される。
60分後、この材料をラインフィルタ内の5ミクロンのザルトリウスにポンプで通し(アルゴンを用いて)、温度差が最小となるように予熱したフラスコに入れる。次いで、この混合物からガスを抜くために、フラスコを閉じ、30秒〜1分間真空にする。
C.鋳型内重合
ろ過しガスを抜いたこの混合物を、(熱風によって)予熱した鋳型(直径80mm/厚さ3mm)に、開放型シリンジおよびアダプタを用いて注ぐ。ガスケットを閉じる際には、気泡が入らないことを確かめるよう注意すべきである。充填し閉じたら、70℃に予熱したオーブンに鋳型を設置する。重合プロセスは、完了するのに約24時間かかる。70℃で24時間経った後、オーブンを90分ほどで110℃にまで上昇させる。これにより、ポリマーの完全な硬化が可能となる。ディスクは放置して鋳型内で冷却すべきであり、必要であれば、鋳型を、開けやすくするために冷凍庫内に設置することもできる。得られたディスクは完全に透明であり、内部ヘイズが非常に低い黄色である。
75wt%のeMMAおよび添加剤としての25wt%のジクロロベンゼン(DLP)を含むディスクを作製するためのプロセス。
磁気撹拌器を備えた丸底フラスコに入れた5gのDLPに、粉末状のeMMAを15g添加した。この丸底フラスコをオイルバス内に配置し、温度を115〜120℃で維持した。約20〜30分後、eMMAは完全に溶解した(DLPは、約50℃ほどではるかに早く溶融した)。この混合物は透明になる(すなわち、完全に溶融する)ので、丸底フラスコに0.2g(1%)の過酸化ジクミル(DCP、127℃で10時間の半減期を有する開始剤)を添加した。このDCPは38℃で溶融する固体であり、混ぜ合わさってすぐに溶融eMMA/DLPとなる。丸底フラスコ中で約30秒間撹拌した後、この混合物を、115〜120℃に予熱した鋳型に注いだ(鋳型に使用するガラスは、ヘキサン中の2%ジメチルジクロロシランによって処理した)。次いで、鋳型を密封し、一晩放置して重合させた。架橋されたディスクが得られる(eMMA中の多機能不純物のため)。
実施例5で説明したのと同様にして、eMMAと添加剤とを以下の比率(wt%)で含有するディスクを作製した。
実施例6:eMMA50%:トリクロロベンゼン50%。
実施例7:eMMA100%。
実施例8:eMMA75%;ジクロロベンゼン25%。
実施例9:eMMA75%;トリクロロベンゼン25%。
実施例10:eMMA45%:トリクロロベンゼン45%:スチレン10%。
実施例11:eMMA45%:トリクロロベンゼン45%:ジビニルベンゼン10%。
eMMA(2−メチル−アクリル酸3−{4−[1,2−ジシアノ−2−(4−エトキシ−フェニル)−ビニル]−フェノキシ}−プロピルエステル)から精製中間体2−(4−エトキシフェニル)−3−[4−(3−ヒドロキシ−プロポキシ)−フェニル]−ブト−2−エンジニトリルを経たeAA(アクリル酸3−{4−[1,2−ジシアノ−2−(4−エトキシ−フェニル)−ビニル]−フェノキシ}−プロピルエステル)の調製。
A.中間体の合成:
2Lの反応器に、機械撹拌器、温度計および2MのKOH溶液(175cc)を入れた滴下漏斗を備え付けた。eMMA(75g、180mmol)およびアセトン(1.0L)を加え、外部温度を50℃にした。混合物を完全に溶解させたとき(内部温度45℃)、水(0.2L)を加え、その後KOH溶液を滴下した。この添加には55分必要で、この時間中に反応物が黄色からオレンジ色に変わった。さらに5分後、反応物を水(3.0L)の中へ注ぐことによって急冷し、水/濃HCl溶液(600cc/12cc)を添加することによってpHを中和した。黄色い生成物2−(4−エトキシ−フェニル)−3−[4−(3−ヒドロキシ−プロポキシ)−フェニル]−ブト−2−エンジニトリルを吸引ろ過によって回収し、水で洗浄した。約55℃で乾燥後、55.3gを得た(純度94%、収率=83%)。
B.再結晶化:
得られた生成物(117.1g)にEtOH(250cc)およびMeOH(750cc)を添加し、この混合物を約63℃まで加熱し、約10分間撹拌し、熱いままろ過した。ろ液をホットプレートに戻し、さらにEtOH(50cc)およびMeOH(420cc)を添加した。この熱く透明な溶液に、水をゆっくりと添加した(830cc、10〜15分)。溶液は濁り、終わりに近づくにつれて沈殿物が蓄積し始めた。この懸濁液を、撹拌しながらゆっくりと冷却した(1〜2時間)。温度が38℃に達したとき、生成物をろ過し、HO:MeOH 8:15(4×150cc)で洗浄した。乾燥(55℃近く)後、103.6gの純粋な生成物(96%)を得た。放置後、母液および洗浄混合物(純度97%)から追加の2.5gを得た。
HPLC分析(C18、250×4.6、面積%)330nmにより、以下の混合物、t=3.9(3−シアノ−2−[4−(3−ヒドロキシ−プロポキシ)−フェニル]−3−(4−メトキシ−フェニル)−アクリルアミド&3−シアノ−3−[4−(3−ヒドロキシ−プロポキシ)−フェニル]−2−(4−メトキシ−フェニル)−アクリルアミド、2.0%)、t=5.7(シス異性体、2.2%)、t=5.8(トランス異性体、92.1%)、t=8.3(2種類の生成化合物のカップリング、0.8%)が明らかとなった。
C.eAAの合成:
ディーンスターク(Dean−Stark)装置を装着した500ccの丸底フラスコに、2−(4−エトキシ−フェニル)−3−[4−(3−ヒドロキシ−プロポキシ)−フェニル]−ブト−2−エンジニトリル(48.5g、139mmol)、PTSA(400mg、1.5%eq.)、トルエン(140cc)およびアクリル酸(12.5cc、1.3eq.)を入れた。反応混合物を12時間還流撹拌した。この熱いオレンジ色の溶液をろ過し、ろ液にMeOH(300cc)を添加した。室温で一晩放置した後、沈殿物を吸引ろ過によって回収し、トルエン:MeOH(1:2、1×90cc)およびP.E.(2×90cc)で洗浄した。48.2gを得た(純度約95%、収率=82%)。主な不純物は、出発原料(1.7%)および(A)において見られるような2種類の生成化合物のカップリング(2.1%)である。
D.eAAの最終精製:
eAA(108.8g)を熱いクロロホルム(350cc)に溶解させた。溶液を室温(r.t.)まで冷却し、濁り(cloudiness)が現れるまでP.E. 40〜60(440cc)を添加した。この溶液を短いシリカカラム(70〜230メッシュ、32.5g、高さ20cm)に通した。蒸発の後、91gのeAAを十分な質で得た。P.E.:CHCl(40:25、195cc)でカラムを洗浄して、追加の10.4gを同じ質で得た。
HPLC分析(C18、250×4.6、面積%)330nm:t=6.7(シス−eAA、2.4%)、t=6.9(トランス−eAA、95.5%)、t=7.3(未同定、0.3%)、t=8.3(3−シアノ−2−[4−(3−ヒドロキシプロポキシ)−フェニル]−3−(4−メトキシ−フェニル)−アクリルアミド&3−シアノ−3−[4−(3−ヒドロキシプロポキシ)−フェニル]−2−(4−メトキシ−フェニル)−アクリルアミドの混合物、1.7%)、t=8.9(未同定、0.1%)。
M.S (EI+): 402 (M+, 17%), 113 (CH2=CHCOO CH2 CH2CH2 +, 100%), 85 (CH2=CHCOOCH2 +, 6%).
2−(4−エトキシ−フェニル)−3−(4−ヒドロキシ−フェニル)−ブト−2−エンジニトリル(国際公開第03/070689号の実施例22)からの(VI)2−(4−エトキシ−フェニル)−3−[4−(4−ビニル−ベンジルオキシ)−フェニル]−ブト−2−エンジニトリルの調製。
温度計を備えた三つ口丸底フラスコに、2−(4−エトキシ−フェニル)−3−(4−ヒドロキシ−フェニル)−ブト−2−エンジニトリル(37g、127mmol)、KCO(18.5g、1.05eq.)、NaI(0.86g、4.5%eq.)およびテトラブチル−アンモニウムブロミド(3.7g、9%eq.)を入れた。DMF(270cc)を添加し、反応物を加熱し、35℃に達したとき、4−ビニルベンジルクロリド([Ald436887、90%]、23.7g/21.8cc、1.1eq.)を一度に加え、内部温度が60℃に達するまで加熱を続けた。1/2時間以内に、赤い反応混合物が非常に濃くなり、約2時間後には、薄いオレンジ色に戻った。3時間後、水(500cc)を加え、2回目の水/濃HCl(250cc/約7.4cc)を用いてpHを中性にした。黄色い生成物を吸引ろ過によって回収し、水(3×135cc)と、水:EtOH(1:1、1×200cc)と、EtOH(2×135cc)と、最後にP.E.(2×100cc)とで洗浄した。55℃近くで乾燥後、55.11gの4、すなわち黄色い粉末を得た(収率=99%)。
必要であれば、生成物をクロロホルムにより再結晶化することもできる。還流クロロホルム(約1.5L)に、132gの4をほぼ完全に溶解させた。溶液を熱いままろ過し、クロロホルムをもう少し(約0.5L)使用して、ろ紙上の目詰まり(clogging)および沈殿物を溶解させた。熱い状態でヘキサンを加え(150cc、濁りが現れたら終了する)、この混合物を室温まで冷却し、約2時間放置した後4を回収した。
この生成物は、THF、熱いクロロホルム(約5.5%w/w)および熱いトルエン(約12.5%w/w)への溶解度が優れている。この色素は、λ=373nmで吸収ピークを示し、計算したモル吸収係数はε=23300M−1cm−1である。
HPLC(Alltech(apollo)C18、250×4.6、面積%)、330nm:t=7.7(生成物、96.8%)、t=7.9(CH=CHPhCHOPhC(CN)=C(CN)PhOCHPhCH=CH、2.2%)。
NMR (300 MHz, CDCl3): δ 7.45, 7.39 (d,d, (AB系), 8.9 Hz, 8.9 Hz, 4H), 7.07 (d, 9.0 Hz, 2H), 6.99 (d, 9.0 Hz, 2H), 6.73 (dd, 17.7 Hz, 10.9 Hz, 1H), 5.78 (dd, 17.7 Hz, 0.8 Hz, 1H), 5.28 (dd, 10.9 Hz, 10.9 Hz, 1H), 5.13 (s, 2H), 4.11 (q, 6.9 Hz, 2H), 1.45 (t, 6.9 Hz, 3H)
M.S (EI+): 406 (M+, 33%), 117 (CH2=CHPhCH2 +, 100%), 91 (PhCH2 +, 6%).
本発明に従って作製したディスクへの「書き込み」の速度の温度依存性を示す図である。 温度90℃における「書き込み」プロセス中に放出された、ePMMAをベースとする発色団媒体における4つのポイントの蛍光を示す図である。 温度30℃における「書き込み」プロセス中に放出された、ePMMAをベースとする発色団媒体における4つのポイントの蛍光を示す図である。 図2の4点の2D走査を示す図である。 図3の4点の2D走査を示す図である。 図2の下方の3点を通った1D走査を示す図である。 図3の下方の3点を通った1D走査を示す図である。 吸収と発光の非常に小さなオーバーラップを実証する、本発明の化合物(I)の吸収スペクトルおよび発光スペクトルを示す図である。 2種類の市販の蛍光色素、(A)フルオレセインおよび(B)ローダミンにおける吸収と発光の大きなオーバーラップを示す図である。

Claims (24)

  1. 発色団が吸収スペクトルと発光スペクトル間の5〜20%の最小オーバーラップを有する活性発色団の、高濃度光メモリにおける使用。
  2. ポリマーをベースとするフォトクロミック媒体中の活性発色団の1つの状態から別の状態への光誘起変換を強化するための方法であって、
    i.最小オーバーラップを有する活性発色団を使用すること、および
    ii.前記媒体中の化学基間の協同作用を可能にする条件を提供すること、
    を含む方法。
  3. 活性発色団の1つの状態から別の状態への光誘起変換の強化を伴うフォトクロミック媒体を作製するための方法であって、
    i.最小オーバーラップを有する活性発色団を使用すること、および
    ii.前記媒体中に高濃度の前記活性発色団が得られる条件下で前記媒体を重合させること、
    を含む方法。
  4. 高濃度の前記活性発色団を有する媒体を提供することを含む、ポリマーをベースとするフォトクロミック媒体中の活性発色団の1つの状態から別の状態への光誘起変換を強化するための、請求項2に記載の方法。
  5. 前記媒体が、フォトクロミック基の光誘起変換の強化をもたらすように、前記フォトクロミック基と相互作用することができるまたはその微小環境に影響を与えることができる非フォトクロミック添加剤を含む、請求項2〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 支持ポリマー物質と、前記支持物質に結合している活性発色団とを含むフォトクロミック媒体であって、前記活性発色団が10%(wt%)を超える濃度で前記ポリマー物質中に含まれることを特徴とするフォトクロミック媒体。
  7. 前記活性発色団が、前記支持物質中で実質的に均一に分布している、請求項6に記載のフォトクロミック媒体。
  8. 前記活性発色団が、前記支持物質中で実質的に不均一に分布している、請求項6または7に記載のフォトクロミック媒体。
  9. 前記活性発色団が、活性発色団を欠いているまたはわずかな濃度の活性発色団を有する部分によって分離されている高濃度の別々の部分に分布している、請求項8に記載のフォトクロミック媒体。
  10. 前記活性発色団が、前記高濃度の別々の部分によってそれぞれが形成されている空間的に離れたクラスタに分布している、請求項9に記載のフォトクロミック媒体。
  11. 前記活性発色団が、前記ポリマーと化学的に結合している、請求項6〜10のいずれか一項に記載のフォトクロミック媒体。
  12. モノマーと共重合させた重合可能な活性発色団モノマーを含むコポリマーである、請求項11に記載のフォトクロミック媒体。
  13. 重合可能な活性発色団モノマーを含むポリマーである、請求項11に記載のフォトクロミック媒体。
  14. 前記活性発色団が、以下の式(I)のスチルベン誘導体であり、
    Figure 2008527595
    式中、ArおよびArが、必要に応じてC1〜6アルキル、−OC1〜6アルキル、−SC1〜6アルキル、ならびに−C1〜6OH、チオールおよびそれらの塩、R’およびR”が独立に水素またはC1〜6アルキルであるNR’R”から選択される1つまたは複数の基で独立に置換されたフェニル基であり、RおよびRは、nが0、1または2である−(CHCNから選択されるニトリル、ハロゲン化物、カルボン酸、それらのエステル類、またはnが0、1または2である−(CHNOから選択されるニトロ化合物から選択される置換基である、請求項6〜13のいずれか一項に記載のフォトクロミック媒体。
  15. 前記発色団が、以下の式を有する活性発色団モノマーであり、
    Figure 2008527595
    式中、Ar、Ar、RおよびRが請求項13に定義されているとおりであり、Mが重合可能なモノマー部分である、請求項14に記載のフォトクロミック媒体。
  16. Mがアクリルモノマーである、請求項15に記載のフォトクロミック媒体。
  17. Mがメチルメタクリレートまたはメチルアクリレートである、請求項15に記載のフォトクロミック媒体。
  18. Mがスチレンである、請求項14に記載のフォトクロミック媒体。
  19. 前記活性発色団モノマーが式(III)のものである、請求項17に記載のフォトクロミック媒体:
    Figure 2008527595
    式中、Xがメチルまたは水素、nが2〜7の整数、Yが水素、あるいは必要に応じてハロゲンにより置換された1〜8の炭素原子を有する直鎖または分岐アルキル部分である。
  20. 前記活性発色団モノマーが、式
    Figure 2008527595
    Figure 2008527595
    から選択される、請求項19に記載のフォトクロミック媒体。
  21. 前記活性発色団モノマーが以下であり、
    Figure 2008527595
    式中、Yが水素、あるいは必要に応じてハロゲンにより置換された1〜8の炭素原子を有する直鎖または分岐アルキル部分である、請求項15に記載のフォトクロミック媒体。
  22. 前記発色団が大きいストークスシフト(Stocks shift)を有する、請求項6〜21のいずれか一項に記載のフォトクロミック媒体。
  23. 前記ストークスシフトが100nmを超える、請求項22に記載のフォトクロミック媒体。
  24. 前記活性発色団が10%(wt%)を超える濃度で存在することを特徴とする、活性発色団を含むフォトクロミック媒体。
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