JP2008525230A - 構造化表面を有する1軸配向複屈折物品 - Google Patents

構造化表面を有する1軸配向複屈折物品 Download PDF

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Abstract

本体部分および表面部分を含む物品、たとえばフィルムが提供される。その本体部分は、(i)第一および第二の表面、ならびに(ii)互いに対して直交する第一および第二の面内軸および、本体の厚み方向の、第一および第二の面内軸と相互に直交する第三の軸が含まれる。その表面部分には、その本体の第一の表面の上に、ポリマー本体の第一の面内軸に実質的に平行な方向に配された、直線状の幾何学的特徴が含まれる。その物品は、(i)第一の面内軸に沿った第一の屈折率(n1)、(ii)第二の面内軸に沿った第二の屈折率(n2)、および(iii)第三の軸に沿った第三の屈折率(n3)を有するが、ここで、n2とn3は実質的に同じであるが、n1とは実質的に異なっており、そしてここで、その1軸配向ポリマーフィルムは、0.3以下の相対的複屈折を有し、そしてここで、本体の厚みの幾何学的特徴の高さに対する比率が、少なくとも2である。

Description

本発明は、たとえば構造化表面を有するポリマーフィルムなどの1軸延伸物品、およびそのような物品を製造するためのプロセスに関する。その構造化表面には、所望の横断面を有する少なくとも1つの幾何学的特徴(geometric feature)が含まれる。
構造化表面を有する光学物品およびそのような物品を得るためのプロセスは公知である。たとえば、米国特許第6,096,247号明細書および米国特許第6,808,658号明細書、ならびに米国特許出願公開第2002/0154406A1号明細書を参照されたい。それらの文献に開示されている構造化表面には、マイクロプリズム(たとえばマイクロキューブ)およびレンズが含まれる。典型的には、それらの構造は、たとえばエンボス加工、押出し加工、または機械的加工によって適切なポリマーの表面の上に作られる。
構造化表面を有する複屈折物品もまた公知である。たとえば、米国特許第3,213,753号明細書;米国特許第4,446,305号明細書;米国特許第4,520,189号明細書;米国特許第4,521,588号明細書;米国特許第4,525,413号明細書;米国特許第4,799,131号明細書;米国特許第5,056,030号明細書;米国特許第5,175,030号明細書、ならびに国際公開第2003/0058383A1号パンフレットおよび国際公開第2004/062904A1号パンフレットを参照されたい。
延伸フィルムを製造するためのプロセスもまた公知である。そのようなプロセスは、典型的には、フィルムの機械的および物理的性質を改良するために使用される。それらのプロセスには、2軸延伸法と、1軸延伸法とが含まれる。たとえば、国際公開第00/29197号パンフレット、米国特許第2,618,012号明細書;米国特許第2,988,772号明細書;米国特許第3,502,766号明細書;米国特許第3,807,004号明細書;米国特許第3,890,421号明細書;米国特許第4,330,499号明細書;米国特許第4,434,128号明細書;米国特許第4,349,500号明細書;米国特許第4,525,317号明細書および米国特許4,853,602号明細書を参照されたい。さらに、米国特許第4,862,564号明細書;米国特許第5,826,314号明細書;米国特許第5,882,774号明細書;米国特許第5,962,114号明細書、および米国特許第5,965,247号明細書も参照されたい。さらに、特開平5−11114号公報;特開平5−288931号公報;特開平5−288932号公報;特開平6−27321号公報および特開平6−34815号公報も参照されたい。さらに別な特開公報、たとえば特開平5−241021号公報;特開平6−51116号公報;特開平6−51119号公報;および特開平5−11113号公報には、延伸フィルムのためのプロセスが開示されている。国際公開第2002/096622A1号パンフレットも参照されたい。
本発明は、構造化表面を有するフィルム、それらから製造される物品、およびそれらを製造するための新規なプロセスを提供する。その構造化表面には、所望の横断面形状を有する少なくとも1つの幾何学的特徴が含まれる。本発明の物品の一つの実施態様には、構造化表面を有するフィルムが含まれる。本発明の一つの態様には、1軸配向、好ましくはその厚み全体にわたって真の1軸配向を有する物品が含まれる。その構造化表面には、複数の幾何学的特徴が含まれる。その1つまたは複数の幾何学的特徴は、長いものであってもよい。その1つまたは複数の特徴は、実質的にその物品の第一の面内軸に沿って、配列されている。本発明の物品には、その上に構造化表面を有する、ランド、または本体部分が含まれる。その物品には、単一層が含まれていても、あるいは複数の別個の層が含まれていてもよい。本発明の物品は、その両側の面の上に構造化表面を有していてもよい。それらの層が、別々のポリマー材料からなっていてもよい。それらの物品が、正または負の複屈折を有していてもよい。
本発明の物品の一つの実施態様には、1軸配向構造化表面ポリマーフィルムを含み、それに含まれるのは:
(a)(i)第一および第二の表面、ならびに(ii)互いに対して直交する第一および第二の面内軸、ならびにその第一および第二の面内軸と互いに直交するポリマーフィルムの厚み方向の第三の軸を有する、ポリマー本体;ならびに
(b)ポリマー本体の第一の表面の上に、そのポリマーフィルムの第一の面内軸と実質的に平行な方向に配された直線状の幾何学的特徴;であり、
ここで、そのフィルムは少なくとも0.1の形状保持パラメーター(SRP)を有する。
本発明のまた別な実施態様には、1軸配向フィルムを含み、それに含まれるのは:
(a)(i)第一および第二の表面、ならびに(ii)互いに対して直交する第一および第二の面内軸、ならびにその第一および第二の面内軸と互いに直交するポリマーフィルムの厚み方向の第三の軸を有する、ポリマー本体;ならびに
(b)ポリマー本体の第一の表面の上に、そのポリマーフィルムの第一の面内軸と実質的に平行な方向に配された直線状の幾何学的特徴;であり、
ここでそのポリマーフィルムは、第一の面内軸の方向において、少なくとも1.5の延伸比を有し、ここで、第二の面内軸および第三の軸方向の、延伸比の小さい方に対する大きい方の比率は、1.4以下であり、そしてここで、そのフィルムは、本体の厚み全体に実質的に同一の1軸配向、および幾何学的特徴を有している。
本発明の物品のさらに別な実施態様には、1軸配向構造化表面ポリマーフィルムを含み、それに含まれるのは:
(a)(i)第一および第二の表面、ならびに(ii)互いに対して直交する第一および第二の面内軸、ならびにその第一および第二の面内軸と互いに直交するポリマーフィルムの厚み方向の第三の軸を有する、ポリマー本体;ならびに
(b)ポリマー本体の第一の表面の上に、そのポリマーフィルムの第一の面内軸と実質的に平行な方向に配された直線状の幾何学的特徴;であり、
ここで、(a)本体の厚み(Z’)の幾何学的特徴の高さ(P’)に対する比が少なくとも約2であるか;または(b)本体の厚みの特徴の高さに対する比(Z’:P’)が少なくとも約1であり、かつ特徴の高さの特徴の分離距離に対する比(P’:FS’)が少なくとも約1であるか;または(c)本体の厚みの特徴の高さに対する比(Z’:P’)が少なくとも約1であり、かつ特徴の底部幅の特徴の分離距離に対する比(BW’:FS’)が少なくとも約1であるか;または(d)本体の厚みの特徴の底部幅に対する比(Z’:BW’)が少なくとも約3であるか;または(e)本体の厚みの特徴の底部幅に対する比(Z’:BW’)が少なくとも約1であり、かつ特徴の高さの特徴の分離距離に対する比(P’:FS’)が少なくとも約1であるか;または(f)本体の厚みの特徴の底部幅に対する比(Z’:BW’)が少なくとも約1であり、かつ特徴の底部幅の特徴の分離距離に対する比(BW’:FS’)が少なくとも約1であるか;または(g)特徴の底部幅の特徴の頂部幅に対する比(BW’:TW’)が少なくとも約2であり、かつ特徴の底部幅の特徴の分離距離に対する比(BW’:FS’)が少なくとも約1である。
本発明のさらに別な実施態様においては、実質的に上述のような本発明の物品では、少なくとも約3の本体の厚みの特徴の底部の幅に対する比を有する。
本発明の物品のさらに別な実施態様には、1軸配向構造化表面ポリマーフィルムを含み、それに含まれるのは:
(a)(i)第一および第二の表面、ならびに(ii)互いに対して直交する第一および第二の面内軸、ならびにその第一および第二の面内軸と互いに直交するポリマーフィルムの厚み方向の第三の軸を有する、ポリマー本体;ならびに
(b)ポリマー本体の第一の表面の上に、そのポリマーフィルムの第一の面内軸と実質的に平行な方向に配された直線状の幾何学的特徴;であり、
ここで、その配向されポリマーフィルムは、(i)第一の面内軸に沿った第一の屈折率(n1)、(ii)第二の面内軸に沿った第二の屈折率(n2)、および(iii)第三の軸に沿った第三の屈折率(n3)を有しており、ここで、n1≠n2、かつn1≠n3であり、かつ、n2とn3は、それらのn1との差に関して、互いに実質的に等しい。本発明のこの実施態様の一つの態様においては、ポリマー本体の厚みの幾何学的特徴の高さに対する比が少なくとも約2である。
本発明はさらに、1軸配向構造化表面物品のロールを提供し、それに含まれるのは:
(a)(i)第一および第二の表面、ならびに(ii)互いに対して直交する第一および第二の面内軸、ならびにその第一および第二の面内軸と互いに直交するポリマーフィルムの厚み方向の第三の軸を有する、ポリマー本体;ならびに
(b)そのポリマー本体の第一の表面の上に配された直線状の幾何学的特徴を含む表面部分であり、その直線状の幾何学的特徴は、そのポリマーフィルムの第一の面内軸に実質的に平行である方向で、その本体の上に配されている。
本発明のまた別な態様においては、上述のロールには、第一の面内軸に沿って1軸配向されたポリマーフィルムが含まれる。さらに別な態様においては、上述のロールにはさらに、そのロールの個別の巻きの間にクッション層が含まれる。そのクッション層は、製造、貯蔵および出荷の際に、構造化表面が損傷および/または歪みを受けることから保護するのに役立つ。
本発明においては、その幾何学的特徴は、プリズム状の幾何学的特徴であっても、あるいはレンズ状の幾何学的特徴であってもよい。幾何学的特徴は、第一の面内軸に沿って連続していても、不連続であってもよい。それはマクロな特徴であっても、ミクロな特徴であってもよい。それは各種の横断面形状を有していてもよいが、それについては以下においてさらに詳しく述べる。その幾何学的特徴は、構造化表面の上で、繰り返しになっていても、繰り返しではなくてもよい。すなわち、構造化表面が、同一の横断面形状を有する複数の幾何学的特徴を含んでいてもよい。別な方法として、それが、異なった横断面形状を有する複数の幾何学的特徴を有していてもよい。また別な実施態様においては、その構造化表面が、周期的な様式または非周期的な様式のいずれかで配列されているような、数が数えられる特徴の予め定められたパターンを有していてもよい。
本発明のさらに別な態様においては、その物品が、第一の面内軸に沿った第一の屈折率(n1)、第二の面内軸に沿った第二の屈折率(n2)、および第三の面内軸に沿った第三の屈折率(n3)を有している。本発明においては、n1はn2およびn3のいずれにも等しくない。すなわち、n1はn2およびn3よりも大きくてもよいし、あるいはn2およびn3よりも小さくてもよい。n2とn3が実質的に互いに等しいのが好ましい。本発明のフィルムの相対的複屈折は0.3以下であるのが好ましい。
本発明には、多相フィルムが含まれていてもよい。この実施態様においては、フィルムには、多成分相分離系が含まれていてもよいし、あるいは、一つの成分が他の成分の中に溶解されて、連続マトリックス中または複合連続(bi−continuous)マトリックス中で多孔質構造もしくは極めて小さな粒子のいずれかを形成するような系が含まれていてもよい。
本発明にはさらに、微細構造化表面または第二の表面のいずれかの上に、さらなる層が組み入れられていてもよい。そのような表面のいずれか一方または両方に、さらなる層が組み入れられていてもよい。そのさらなる層は、延伸の前に加えても後に加えてもよい。そのさらなる層を延伸より前に加える場合には、それは延伸されることが可能でなければならない。そのような層の例としては、反射防止層、屈折率整合層、および保護層などが挙げられるが、これらに限定される訳ではない。
実際のところ、さらなる層を用いる場合には、1軸延伸が特に有用である。この場合、たとえば横方向への応力の発生を最小限に抑えることにより、それらの層の間の接着因子が限界的にならないようにする。
また別な態様においては、本発明には、第一および第二の直交面内軸と、フィルムの厚み方向の第三の直交軸の座標系に関連して定義される、予め決められた性質を有する微細構造フィルムのロールが含まれる。たとえば、その幾何学的特徴を、ロールの巻きの方向(すなわち、縦方向(MD))に配列させてもよいし、あるいは、それらを、ロールの巻きを横切る方向(すなわち、横方向(TD))に配列させてもよい。別な方法として、その幾何学的構造を、MD方向またはTD方向に対して任意の所望の角度の方向で配列させてもよい。
本発明にはさらに、構造化表面フィルムを製造するための方法も含まれる。一つの態様では、本発明の方法には以下の:
(a)(i)所望の幾何学的特徴を含む第一の表面;および第二の表面、ならびに(ii)互いに対して直交する第一および第二の面内軸、ならびに前記第一および第二の面内軸とは互いに直交するポリマーフィルムの厚み方向の第三の軸、を有するポリマーフィルムを提供する工程、それに続く、
(b)前記ポリマーフィルムを、そのポリマーフィルムの第一の面内軸と実質的に平行な方向に延伸させる工程;が含まれ、
ここで、工程(b)にかける前の幾何学的特徴の断面形状が、工程(b)の後にも実質的に保持される。
また別な態様においては、本発明には、以下の工程を含む、構造化表面フィルムを製造するための方法が含まれる:
(a)(i)第一構造化表面および第二の表面、ならびに(ii)互いに対して直交する第一および第二の面内軸、ならびにその第一および第二の面内軸と互いに直交するポリマーフィルムの厚み方向の第三の軸を有する、ポリマーフィルムを提供する工程であって、
ここで、その第一の構造化表面が、その上に第一の面内軸に実質的に平行な方向に配された幾何学的特徴を有している、工程;それに続く
(b)前記ポリマーフィルムを、そのポリマーフィルムの第一の面内軸と実質的に平行な方向に1軸延伸させる工程。
さらに別な態様においては、本発明には、以下の工程を含む、構造化表面フィルムを製造するための方法が含まれる:
(a)所望の構造化表面のネガ型(逆転)表面を有するツールを提供する工程;
(b)そのツールを樹脂に接触させて、幾何学的特徴を含む所望の構造表面を作り出す工程;
(c)場合によってはその樹脂を固化させて、(i)所望の構造化表面および反対側の表面、ならびに(ii)互いに対して直交する第一および第二の面内軸およびそのフィルムの厚み方向に第一および第二の面内軸とは互いに直交する第三の軸を有するフィルムを形成させる工程;
(d)そのフィルムをツールから外す工程;ならびに、それに続く
(e)前記ポリマーフィルムを、そのポリマーフィルムの第一の面内軸と実質的に平行な方向に延伸させる工程。
本発明のまた別な実施態様には、複数の細長い幾何学的ミクロ特徴を有する、所望の微細構造表面のフィルムを製造するための方法が含まれる。その方法には以下の工程が含まれる:
(a)所望の微細構造表面のネガ型表面を含むツールを提供する工程;
(b)そのマスターツールと第二の表面との間に形成された隙間に、溶融ポリマー樹脂を注入する工程;
(c)その隙間に所望の微細構造表面を有するポリマーフィルムを形成させる工程であって、そのフィルムは、(i)互いに対して相互に直交する第一および第二の面内軸および、フィルムの厚み方向の、第一および第二の面内軸に関して相互に直交する第三の軸、ならびに(ii)その第一の面内軸と実質的に平行な方向に位置する細長いミクロ特徴を有する所望の微細構造表面を有する、工程;
(d)工程(c)のポリマーフィルムをツールから外す工程;および
(e)前記ポリマーフィルムを、その第一の面内軸と実質的に平行な方向に延伸させる工程。
本発明の(1つまたは複数の)方法の一つの実施態様においては、その物品は、延伸させる前には第一の配向状態を有し、延伸させた後では、その第一の配向状態とは異なる第二の配向状態を有する。また別な実施態様においては、延伸によって、実質的な配向なしで、より小さな物理的横断面(すなわち、より小さな幾何学的特徴)が得られる。
本発明の(1つまたは複数の)方法は、延伸させた後では複屈折であって、第一の面内軸に沿った第一の屈折率(n1)、第二の面内軸に沿った第二の屈折率(n2)、および第三の軸に沿った第三の屈折率(n3)を有するポリマーフィルムを提供する。
本発明のまた別な実施態様においては、その方法によって、そのフィルムの第二および第三の面内軸の両方の方向に、実質的に同一の比例的な寸法変化を与える。その第二および第三の面内軸の方向へのそれらの比例的な寸法変化は、そのフィルム延伸の間あるいは延伸履歴を通して実質的に同じである。
本発明のまた別な態様においては、本発明の任意の方法で製造されたフィルムを、延伸の後にフィブリル化させて、構造化表面を有する1種または複数の1軸配向繊維を与える。それらの繊維は、個々の繊維として作ることもできるし、あるいは2種以上の繊維をその長さ方向に互いに組み合わせることもできる。
本明細書で使用するとき、下記の用語または表現は、以下に示す意味合いを有する。
「断面形状(cross sectional shape)」およびその明白な変化形は、第二の面内軸および第三の軸によって画定される幾何学的特徴の外周部の形状を意味する。その幾何学的特徴の断面形状は、その物理的な寸法や、その特徴における欠陥または不規則性の存在とは無関係である。
「延伸比(stretch ratio)」およびその明白な変化形は、延伸させた後の延伸方向で引き離された二つの点の間の距離の、延伸させる前のそれらに対応する点の間の距離に対する比を意味する。
「幾何学的特徴(geometric feature)」およびその明白な変化形は、予め決められた形状、または構造化表面の上に存在している形状を意味する。
「マクロ(macro)」は接頭辞として使用され、それにより修飾される用語が、少なくとも1mmの高さを有する断面プロファイルを有していることを意味する。
「ミクロ(micro)」は接頭辞として使用され、それにより修飾される用語が、1mm以下の高さを有する断面プロファイルを有していることを意味する。断面プロファイルが0.5mm以下の高さを有しているのが好ましい。断面プロファイルが0.05mm以下の高さを有しているのがより好ましい。
「1軸延伸(uniaxial stretch)」という用語は、その明白な変化形も含めて、物品の両端をつかんで、その物品を一つの方向にだけ物理的に延伸させる動作を意味する。1軸延伸には、たとえば、フィルムの一部に一時的または極めてわずかな2軸延伸を引き起こす可能性がある剪断効果が原因の、フィルムの均質な延伸がやや不完全であることも含むものとする。
「構造表面(structure surface)」という用語は、その上に少なくとも1つの幾何学的特徴を有する表面を意味する。
「構造化表面(structured surface)」という用語は、表面に一つの所望の幾何学的特徴または複数の幾何学的特徴を与える、任意の方法によって作り出された表面を意味する。
「真の1軸配向(true uniaxial orientation)」およびその明白な変化形は、第二の面内軸および第三の軸の方向に測定した配向の影響を受けやすい性質が実質的に等しく、かつ、その第一の面内軸の方向に測定した、その配向の影響を受けやすい性質とは実質的に異なっているような、1軸配向(下記参照)の状態を意味する。
実際の物理的なシステムでは一般に、その第二の面内軸と第三の軸に沿った性質は、厳密かつ完全に同一という訳ではない。本明細書において使用する場合、「真の1軸配向(true uniaxial orientation)」という用語は、それらの軸の方向で測定したフィルムの配向の影響を受けやすい性質が、ほんのわずかしか違っていないような、配向の状態を指す。その変動の許容量は、目的とする用途によって変化するということは理解できるであろう。多くの場合、そのようなフィルムの均質性の方が、1軸配向の厳密さよりも重要である。当業界においては、場合によってはこの状態は、「繊維シンメトリー(fiber symmetry)」と呼ばれることがあるが、長くて細い円筒状の繊維をその繊維軸に沿って延伸させたときに、起きるからである。
「真の1軸延伸(true uniaxial stretch)」およびその明白な変化形は、第二の面内軸および第三の軸の方向での延伸比が実質的に等しいが、第一の面内軸の方向での延伸比とは実質的に異なっているように、1軸延伸(上記参照)を与える動作を意味する。
「1軸配向(uniaxial orientation)」という用語は、その明白な変化形も含めて、第一の面内軸、すなわち1軸延伸の方向に実質的に平行な軸の方向で測定した、物品の配向の影響を受けやすい性質が、第二の面内軸および第三の軸の方向に測定したそれらの性質とは異なっているような配向の状態を、物質が有しているということを意味している。広く各種の性質が、1軸配向の存在を求めるために測定することが可能ではあるが、本明細書においては、特に断らない限り、屈折率を重要な性質とする。そのような性質の他の例を説明的に挙げれば、結晶配向およびモルホロジー、熱膨張および吸湿膨張、微少歪みの異方的な機械的コンプライアンス、引き裂き抵抗性、クリープ抵抗性、収縮、各種の波長における屈折率および吸収係数などがある。
多層フィルムの場合においては、「1軸」および「真の1軸」は、特に断らない限り、そのフィルムの個々の層について適用するものとする。
以下の本発明の各種の実施態様の詳しい説明に、添付の図面を組み合わせることにより、本発明をより完全に理解できるであろう。
本発明では、各種の変更を加えたり、代わりの形態を与えたりすることが容易に可能である。図面に示した本発明の特性は、説明のためだけのものである。記載された特定の実施態様に本発明を限定するつもりはない。逆に、すべての修正、等価物、および代替え物は、本発明の精神と範囲の中に含まれるものとする。
本発明の物品およびフィルムには一般に、本体部分と表面構造部分とが含まれる。図1が、第一の配向状態を有する前駆体フィルムの端面図を示しているのに対して、図2は、第二の配向状態を有する本発明のフィルムの一つの実施態様の端面図を示している。図3A〜3Dは、それらに代わる本発明のいくつかの実施態様の端面図を示している。
前駆体フィルム9には、初期厚み(Z)を有する本体またはランド部分11と、高さ(P)を有する表面部分13とが含まれる。表面部分13には、一連の平行な幾何学的特徴15(ここでは、直角のプリズムとして示されている)が含まれている。幾何学的特徴15はそれぞれ、基底部の幅(BW)とピーク〜ピーク間隔(PS)とを有している。前駆体フィルムは合計の厚みTを有しているが、それはP+Zの合計に等しい。
図2を具体的に参照すると、本発明10のフィルムには、厚み(Z’)を有する本体またはランド部分12と、高さ(P’)を有する表面部分14とが含まれている。表面部分14には、プリズムからなる一連の平行な幾何学的特徴16が含まれている。幾何学的特徴16はそれぞれ、基底部の幅(BW’)とピーク〜ピーク間隔(PS’)とを有している。本発明のフィルムは合計の厚みT’を有しているが、それはP’+Z’の合計に等しい。
前駆体フィルムと本発明のフィルムの間の寸法の関係は、T’<T;P’<P;Z’<Zであり、一般的にはBW’<BW;PS’<PSである。
本体またはランド部分11、12には、表面17および19と、表面部分15、16の最も低い点との間の物品の部分が含まれる。いくつかの場合においては、これは、その物品の幅(W、W’)全体にわたって、一定の寸法となっていてもよい。別な場合においては、ランドの厚みが変化している幾何学的特徴が存在するために、この寸法が変化していてもよい。図9を参照されたい。図9においては、ランドの厚みはZ”で表されている。
前駆体フィルム9と本発明のフィルム10にはそれぞれ、第一の面内軸18、第二の面内軸20、および厚み方向の第三の軸22を有している。これ以降、本明細書において説明する場合、第一の面内軸は延伸の方向と実質的に平行である。図1および2においては、この軸は、フィルム9および10の末端に対して垂直である。これらの三つの軸は、互いに対して、相互に直交している。
本発明のフィルムまたは物品の少なくとも1つの幾何学的特徴は、その前駆体の幾何学的特徴の横断面形状に、実質的にそっくりである。このように形状が忠実に移行されるということは、入射光を均等に再分配することが望まれる、光学的デバイスを製造する場合には、特に重要である。このことは、その特徴の初期横断面形状が、平面的あるいは曲面的な表面を有している場合にもあてはまる。物品およびプロセスの形状保持性は、形状保持パラメーター(SRP)を計算することにより求められる。
所定の特徴に対するSRPは、以下のようにして求める。延伸前の特徴を有するフィルムの断面についての画像を取得する。分割平面は、第二の面内軸20および第三の軸22によって画定される平面であり、それは、フィルムが延伸される方向とは直交する。構造特徴の一つの代表的な例を選択して、特徴として考える。本体部分11と表面部分13の接合部分での画像の上に直線を重ね合わせる。これが、特徴ベースライン(FB)である。次いで、そのベースラインより上の特徴の面積を計算する。これが、未延伸特徴面積(UFA)である。
次いで、延伸後のフィルムの断面についての画像を取得する。その分割平面は、第二の面内軸と第三の軸によって画定される平面である。そのフィルムが、たとえば実験室用のフィルム延伸装置などで、非連続または「バッチ」プロセスによって延伸されたものである場合には、延伸前のフィルム試験片を試験する際に選択されたのと、同じ特徴を選択することが可能であろう。そのフィルムが連続のフィルム製造ラインで延伸されたものである場合には、その特徴は、未延伸ウェブの上で選択した位置に類似の、延伸フィルムウェブの適切な位置から選択するべきであるが、これは、フィルム製造業者のよく知るところである。この場合にもまた特徴ベースライン(FB)を設定し、次いでその延伸フィルム特徴の面積を計算する。これが、延伸特徴面積(SFA)である。
次いでUFA/SFAの比を計算する。これが画像比(IR)である。次いで、延伸フィルム特徴の画像を、比例的に倍率変更して、未延伸フィルム特徴の画像と同じ面積となるようにする。これは、IRの平方根の倍率で、高さおよび幅それぞれの寸法を拡大することにより、実施される。次いでその延伸フィルムの特徴の倍率変更画像を、未延伸フィルムの特徴の画像の上に、それらの特徴ベースラインが一致するようにして、重ね合わせる。次いでその重ね合わせ画像を、それらの共通のベースラインに沿って互いに並進させて、それらの重なりの面積が最大になる位置を見つける。この操作、ならびに上述および以下に述べる数学的および数値的な操作は、適切なコード化を行ったコンピューター上で簡単に実施することが可能であり、これは当業者のよく知るところである。
この最適重ね合わせ条件下で重ね合わせた画像の両方に共有される面積が、共通面積(CA)である。次いでCA/UFAの比を計算する。この比が、共通面積比(CAR)である。形状が完全に保持される延伸では、CARは1となるであろう。完全な形状保持からいくらかでも外れると、そのCARは1より小さな正の数値となるであろう。
具体的なフィルムにおいては、CARは、少なくとも、その特徴の形状、延伸比、およびその延伸操作が真の1軸配向延伸にどの程度近いかなどに依存する量によって、1からの差が異なってくる。その他の因子が含まれていてもよい。完全な形状保持からの偏差の程度を定量化するためには、また別なパラメーターである、形状保持パラメーター(SRP)を作り出す必要がある。SRPは、一方の端である完全な形状保持から、もう一方の端の典型的な工業的実施に合わせた選択された基準点までの間の連続線の中で、ある構造化表面を有するフィルムがあてはまるところを、比例的に示す目安である。本願発明者らは、そのような基準点としては、連続モードで効率的に運転されている理想化されたフィルムテンター(横方向配向機)の、同一の特徴形状および延伸比における性能を選択した。そのフィルムの構造化表面の特徴の主軸は、ウェブ横断方向(それは、延伸方向である)と平行であると仮定した。エッジ効果やその他すべてのプロセスにおける非理想性は無視したが、そのようなものとしては、フィルム材料そのものの非理想性、たとえば延伸させた際の密度の変化などが挙げられる。次いで、この理想的なテンターの場合において、そのフィルムに付与されるすべての横方向の延伸は、厚み寸法だけにおいて同じ比率でフィルムが収縮することによって、吸収される。この仮想的なテンターは理想的なものであるので、縦方向すなわちウェブの流れ方向におけるフィルムの収縮は存在しない。
理想的に延伸させたフィルムにおいては、画像比は延伸比に等しい。画像比が延伸比とは異なっているとすると、そのことは、たとえば、ポアソン比、密度変化(たとえば、延伸の際の結晶化による)、および局所的な延伸比と公称の理想延伸比との間の偏差などによって、その系の中に非理想性が生じていることを示している。
以下、図4A〜4Dについて説明する。計算は、当業者には公知のアルゴリズムを使用したコンピューターによって容易に実施することができる。CARを計算するためにすでに使用された、未延伸フィルムの特徴の、実験的に得られた画像から計算を始める。図4Aにおいて、示された特徴は直角三角形の特徴である。その直角三角形は単に説明の目的で図4Aに示したのであって、本明細書に説明する方法は一般的にいかなる特徴の形状にも適用することが可能であり、それは対称性があってもなくてもよいし、また、直線状(プリズム状)の表面であっても曲線状(レンズ状)の表面であってもよい。さらにこの方法は一般的には、「くぼんだ(dished)」特徴や、複雑な形状を有する特徴、たとえばS字形の特徴、フックの形状の特徴、あるいはキノコ形(mashroom−cap)の特徴などにも適用することができる。
図4Aの画像を、コンピューターを用いて、対象としているフィルムを製造する際に使用する、延伸比の倍率で、高さ寸法だけを収縮させることによって、図4Bの画像に変換させた。この操作は、対象としている特徴の形状と延伸比の場合に、「理想的なテンター」におけるフィルム表面の特徴に起きるであろうことをシミュレートしたものである。次いで、その画像を、高さおよび幅の寸法それぞれを延伸比の平方根の倍率で、倍率変更させることにより、図4Bの画像から図4Cの画像へと変換させる。従って、図4Cの画像は、図4Aの画像と同じ面積を有している。次いでその図4Aの画像と図4Cの画像を重ね合わせて、それらの共通のベースラインの上で並進させ、重ね合わせ面積が最大となる位置を見つける。それを図4Dに示す。この図の共通面積(元の特徴の画像と、コンピューターで加工した特徴画像の両方に共通する、網掛けになっている面積)を計算し、この面積の図4Aの画像の面積に対する比を、計算する。この数値が、与えられた特徴の形状と延伸比の場合の、理想テンターにおける共通面積比(CARIT)である。CARITは、未延伸の特徴の形状と用いた延伸比の両方から強い影響受ける関数であるために、この計算は、フィルム試験片それぞれで独立して計算しなければならないということは理解されたい。
最後にSRPを、次式に従って計算する:
SRP=(CAR−CARIT)/(1−CARIT)
形状保持が完全である場合には、SRPは1である。「理想的な」テンター上での、仮説的なフィルム延伸の場合、CARはCARITに等しく、SRPはゼロとなる。したがって、SRPは、一方の端である完全な形状保持から、もう一方の端の典型的な工業的実施に合わせた選択された基準点までの間の連続線の中で、ある構造化表面を有するフィルムがあてはまるところを、比例的に示す目安である。SRPが1.00に極めて近いフィルムは、極めて高い形状保持度を示す。SRPが0.00に極めて近いフィルムは、用いた特徴の形状と延伸比に対して、低い形状保持度を示す。本発明においては、そのフィルムは少なくとも0.1のSRPを有する。
当業者ならば、標準的なフィルムテンターまたは他の手段で製造されたフィルムは、先に述べたような起こりうる非理想性が多くあるために、ゼロよりも小さなSRP値を有する可能性があるということは理解するであろう。「理想的なテンター」という用語は、起こりうる最悪の形状保持を表すことは意味していない。むしろそれは、各種のフィルムを共通の尺度で比較するのに有用な参照点なのである。
本発明の一つの実施態様においては、構造化表面を有するフィルムが約0.1〜1.00のSRPを有する。本発明のまた別な実施態様においては、構造化表面を有するフィルムが約0.5〜1.00のSRPを有する。本発明のまた別な実施態様においては、構造化表面を有するフィルムが約0.7〜1.00のSRPを有する。本発明のまた別な実施態様においては、構造化表面を有するフィルムが約0.9〜1.00のSRPを有する。
本発明のまた別な実施態様においては、そのフィルムが1軸配向を有する。1軸配向は、第一の面内軸に沿ったフィルムの屈折率(n1)と、第二の面内軸に沿った屈折率(n2)と、第三の軸に沿った屈折率(n3)の差を求めることにより、測定することができる。本発明の1軸配向フィルムは、n1≠n2、かつn1≠n3である。本発明のフィルムが真の1軸配向であるのが好ましい。すなわち、n2とn3とが互いに、およびn1との間の差に関して、実質的に等しい。
本発明のさらに別な実施態様においては、そのフィルムが0.3以下の相対的複屈折を有する。また別な実施態様においては、その相対的複屈折は0.2未満であり、さらに他の実施態様ではそれが0.1未満である。相対的複屈折とは、以下の式に従って求められる絶対値である:
|n2−n3|/|n1−(n2+n3)/2|
相対的複屈折は、可視光線または赤外線スペクトルのいずれかにおいて測定することができる。所定の測定においては、同一の波長を使用するべきである。いずれかのスペクトルのいずれかの部分において0.3の相対的複屈折があれば、この試験に合格するには充分である。
本発明のフィルムには、少なくとも1つのプリズム状またはレンズ状の特徴が含まれ、それらは細長い構造であってよい。その構造は一般に、フィルムの第一の面内軸に平行であるのが好ましい。図2に見られるように、その構造化表面には一連のプリズム16が含まれる。しかしながら、他の幾何学的特徴およびそれらの組合せが使用されてもよい。たとえば、図3Aは、その幾何学的特徴が、頂端を有していなくてもよいし、あるいはその基底部分で互いに接触していなくてもよい、ということを示している。
図3Bでは、その幾何学的特徴が丸まった頂点と、曲線的な面を有している。図3Cでは、その幾何学的特徴の頂点が平面である。
図3Dでは、そのフィルムの両面が共に構造化表面を有している。
図5A〜5Wに、構造化表面を提供するために使用しうる、その他の断面形状を図示している。それらの図ではさらに、それらの幾何学的特徴が凹部(図5A〜Iおよび5T参照)または凸部(図5J〜5S、および5U〜5W参照)を有していることを示している。凹部を含む特徴の場合には、その凹部の間の高くなっている領域は、図3Cに見られるような凸部のタイプの特徴であるとも考えられる。
各種の特徴の実施態様を任意の方法で組み合わせて、所望の結果が得られるようにすることができる。たとえば、水平な表面で、丸みをつけたり平坦なピークを有する特徴に分離したりすることもできる。さらに、これらの特徴のいずれにおいても、曲線的な面を使用することも可能である。
これらの図から判るように、それらの特徴は、各種所望の幾何学的形状をとることができる。それらは、フィルムのz軸に関して、対称的であっても非対称的であってもよい。さらに、その構造化表面には、単一の特徴、所望のパターンに配列した複数の同じ特徴、所望のパターンに配列した2種以上の特徴の組合せなどが含まれていてよい。さらに、それらの特徴の寸法たとえば高さおよび/または幅は、構造化表面全体にわたって同一であってもよい。別な方法として、それらがある特徴から他の特徴へと変化していてもよい。
図2に示した微細構造の幾何学的特徴は、直角プリズムからなるか、またはそれに近い。本明細書で使用するとき、直角プリズムは、約70度〜約120度、好ましくは約80度〜100度、最も好ましくは約90度の頂角を有する。さらに、その微細構造特徴の面は、平坦であっても、あるいはほぼ平坦な表面であってもよい。
また別な実施態様においては、微細構造の幾何学的特徴には、のこぎり刃状のプリズムが含まれる。本明細書で使用するとき、のこぎり刃状のプリズムは、ランドまたは本体に対して約90度の角度を形成する垂直、またはほとんど垂直な面を有している。図5Jを参照されたい。一つの有用な実施態様においては、のこぎり刃状のプリズムが、ランドまたは本体に対して、2度〜15度の傾斜角を有していてもよい。
特徴が、第一の面内軸の方向に、連続、非連続のいずれであっても、それは本発明の範囲内である。
本発明のフィルムの各種の実施態様には、図2および3Aで言及したような寸法の関係が含まれる。
本発明のプロセスには一般に、延伸によって延ばすことが可能な構造化表面ポリマーフィルムを提供する工程と、次いでそのフィルムを1軸延伸する工程とが含まれる。その構造化表面は、フィルムの成形と同時に与えることもできるし、あるいは、フィルムを成形した後にその第一の表面に付与することもできる。そのプロセスについては、図6および7に関連させて説明する。
図6は、本発明による方法の模式図である。この方法においては、所望のフィルムの構造化表面のネガ型表面を有するツール24を提供し、それを駆動ロール26Aおよび26Bの手段により、ダイ28のオリフィス(図示せず)を通過させる。ダイ28は、溶融装置の吐出点からなるが、ここではその溶融装置には、ペレット、粉体などの形態の乾燥ポリマー樹脂を受け入れるためのフィードホッパー32を有する押出機30が含まれる。溶融樹脂はダイ28からツール24の上へと押し出される。ダイ28とツール24との間にはギャップ33が設けられている。溶融樹脂はツール24に接触して硬化し、ポリマーフィルム34を形成する。次いでフィルム24の前端を剥離ロール36のところでツール24から剥離させ、1軸延伸装置38に向かわせる。次いでその延伸フィルムは、ステーション40で連続ロールに巻き取ってもよい。
フィルム34はロールに巻き取ってもよいし、あるいは切断してシートとして、積み上げてから装置38の中で延伸させてもよいということに注目してほしい。さらに、フィルム34は、延伸させた後に、ロールに巻き取るのではなく切断してシートとしてもよいことにも注目されたい。
フィルム34は、場合によっては、予めコンディショニングさせてから、1軸延伸にかけてもよい。さらに、フィルム34を、延伸させた後に、後コンディショニングさせることも可能である(図示せず)。
フィルムに構造化表面を付与するためには、各種の方法が使用できる。そのような方法には、バッチ法と連続法がある。それらに含まれるのは、所望の構造化表面を逆転させた表面を有するツールを備える工程;ポリマーフィルムの少なくとも一方の表面をそのツールに、そのポリマーフィルムに所望の構造化表面のポジ型表面を作らせるのに充分な時間と条件下で接触させる工程;そのツールから、構造化表面を有するポリマーフィルムを外す工程である。
この図では、ダイ28とツール24を互いに垂直になるように配置されているが、水平その他の配置を取らせることも可能である。具体的な配置がどのようになっていたとしても、ダイ28がギャップ33のところで溶融樹脂をツール24に供給する。
ダイ28は、ツール24に向かって移動できるような様式で搭載されている。このことにより、ギャップ33を所望の間隙に調節することが可能となる。当業者にはよく理解されるところであるが、ギャップ33の広さは、溶融樹脂の組成、所望の本体の厚み、その粘度、その粘弾性的応答、およびその溶融樹脂を用いてツールを実質的に完全に充填するのに必要な圧力などの因子である。
溶融樹脂の粘度は、場合によっては真空、加圧、加温、超音波振動または機械的な手段を用いて、ツール24のくぼみの中に実質的に充填できるような粘度であるのが好ましい。樹脂がツール24のくぼみに実質的に完全に充填されれば、得られるフィルムの構造化表面が複製されたとみなされる。
ツールのネガ型表面は、フィルムの幅方向(すなわち、横(TD)方向)に特徴を作り出すように配することもできるし、あるいは、フィルムの長さ方向(すなわち、縦(MD)方向)に特徴を作り出すように配することもできる。TD方向またはMD方向に完全に配列させる必要はない。したがって、そのツールは、完全な配列からは少し角度がずれていてもよい。典型的には、その配列は約20度以下である。
その樹脂が熱可塑性樹脂である場合には、そのものは典型的には、固形物としてフィードホッパー32に供給される。押出機30に充分なエネルギーを与えることによって、その固形の樹脂を溶融物に変換させる。ツールは、典型的には、加熱された駆動ロール26Aの上にそれを通すことにより加熱する。駆動ロール26Aは、たとえば、その中へ加熱オイルを循環させるか、あるいは誘導加熱により、加熱することができる。ツール24の温度は、典型的には、その樹脂の軟化点より下20℃から、樹脂の分解温度までの温度である。
部分的に重合された樹脂を含めて、重合性樹脂の場合には、ダイ28にフィードするディスペンサーの中にその樹脂を、注入するか、または直接ポンプフィードする。その樹脂が反応性樹脂である場合には、本発明の方法には、その樹脂を硬化させるための、1段または複数段の工程が含まれていてもよい。たとえば、適切な放射エネルギー源、たとえば紫外光線、赤外線、電子ビーム、可視光線などのような化学線照射に、樹脂を硬化させるに充分な時間暴露させることにより樹脂を硬化させてから、それをツール24から取り外す。
溶融フィルムを各種の方法によって冷却して、フィルムを固化させ、さらなる加工をする。それらの方法としては、押出し加工された樹脂の上に水をスプレーする方法、ツールの未構造化表面を冷却ロールに接触させる方法、あるいは空気をフィルムに衝突させる方法などが挙げられる。
これまでは、フィルムと構造化表面を同時に形成させることを中心に説明してきた。本発明において有用なまた別な方法としては、ツールを、予備成形されたフィルムの第一の表面に接触させることが含まれる。次いで、そのフィルム/ツールの組合せに、圧力、熱、もしくは圧力と熱の両方を加えて、そのフィルムに所望の構造化表面を作り出す。次いで、フィルムを冷却し、ツールから取り外す。
さらに別な方法においては、予備成形したフィルムを、たとえばダイヤモンドターニングを用いて、機械加工して、その上に所望の構造化表面を作り出してもよい。
ツールを用いて構造化表面を作る場合には、剥離剤を用いて、そのツールから構造化表面フィルムが容易に取り外せるようにしてもよい。剥離剤は、ツールの表面またはフィルムの表面のいずれかに薄膜として適用される物質であってよい。別な方法として、ポリマーの中に組み込まれた添加剤を含んでいてもよい。
広く各種の物質が剥離剤として使用できる。一つのタイプの有用な物質としては、オイル、ワックスおよびシリコーン、ならびにたとえばポリテトラフルオロエチレンから製造されたもののようなポリマー性剥離コーティングなどが挙げられる。特に有用な別なタイプの剥離剤としては、フルオロケミカルベンゾトリアゾールが挙げられる。それらの物質は、金属およびメタロイド表面に化学的に結合することが見出されただけではなく、それらは、そのような表面にたとえば、剥離性および/または防食性を与えることもする。それらの化合物が特徴としているのは、金属またはメタロイド表面(たとえばツール)に結合することが可能なヘッド基と、極性および/または官能性が剥離される物質とは適切に異なっているテール部分とを有していることである。それらの化合物は、単分子層または実質的に単分子層である、耐久性のある自己組織化膜を形成する。フルオロケミカルベンゾトリアゾールには以下の式を有するものが含まれる:
Figure 2008525230
ここで、Rfは、Cn2n+1−(CH2m−、であるが、ここでnは1〜22の整数であり、mは0もしくは1〜6の整数であり;Xは、−CO2−、−SO3−、−CONH−、−O−、−S−、共有結合、−SO2NR−、もしくは−NR−であるが、ここでRはHまたはC1〜C5アルキレンであり;Yは、−CH2−であるが、ここでzは0または1であり;そしてR’は、H、低級アルキル、もしくはRf−X−Yz−であるが、ただし、Xが−S−または−O−、mが0、そしてzが0の場合には、n≧7であり、Xが共有結合の場合には、mまたはzが少なくとも1である。n+mが、8〜20の整数に等しいのが好ましい。
剥離剤として使用するのに特に有用なタイプのフルオロケミカルベンゾトリアゾール組成物としては、次式を有する1種または複数の化合物が挙げられる:
Figure 2008525230
ここで、Rfは、Cn2n+1−(CH2m−であるが、ここでnは1〜22、mは0または1〜6の整数であり;Xは、−CO2−、−SO3−、−S−、−O−、−CONH−、共有結合、−SO2NR−、もしくは−NR−であるが、ここでRはHもしくはC1〜C5アルキレンであり、qは0または1であり;Yは、C1〜C4アルキレンであり、そしてzは0もしくは1であり;そしてR’はH、低級アルキル、もしくはRf−X−Yzである。フルオロケミカルベンゾトリアゾールは、たとえば米国特許第6,376,065号明細書に記載がある。
プロセスには、場合によっては、延伸の前に、たとえばオーブンその他の装置を用いた予備コンディショニング工程が含まれていてもよい。その予備コンディショニング工程には、予備加熱ゾーンおよび熱浸漬(heat soak)ゾーンが含まれていてもよい。さらに、延伸比をその最大値から低減して、収縮を調節してもよい。これは、当業者には「トウイン(toe in)」として知られている操作である。
プロセスには、後コンディショニング工程が含まれていてもよい。たとえば、フィルムをまずヒートセットさせ、ついで急冷する。
1軸延伸は、慣用されるテンターまたは長さ方向の配向機で起こさせることができる。フィルム加工方法についての一般的な説明は、トシタカ・カナイ(Toshitaka Kanai)およびグレゴリー・キャンベル(Gregory Campbell)編『フィルム・プロセッシング(Film Processing)』(1999)、第1、2、3、および6章に見出すことができる。さらに、オービル・J.スウィーティング(Orville J.Sweeting)編『ザ・サイエンス・アンド・テクノロジー・オブ・ポリマー・フィルムズ(The Science and Technology of Polymer Films)』(1968)、第1巻、p.365〜391およびp.429〜471も参照されたい。1軸延伸はさらに、各種のバッチデバイス、たとえば引張試験機のジョーの間を利用して実施することも可能である。
1軸延伸プロセスには以下のものが含まれるが、これらに限定される訳ではない:慣用される、異なった速度で回転しているローラーの間での「長さ配向(length orientation)」、慣用される、テンターの中での横方向ウェブ延伸、たとえば国際公開第2002/096622A1号パンフレットに開示されているような放物線経路(parabolic−path)テンターにおける延伸、および、引張試験機のジョーの間での延伸。
理想的弾性を有する物質では、相互に直交する延伸比三つの内の二つが同じであれば、1軸配向となるであろう。延伸をしても密度に顕著な変化が起きない物質では、その二つの実質的に同一の延伸比のそれぞれが、第三の直交する延伸比の逆数の平方根に実質的に等しくなるであろう。
慣用されるテンターにおいて延伸されたフィルムは、1軸配向されていても、1軸延伸されたとは言え真の1軸配向ではないが、その理由は、そのフィルムは、テンターを通して移動する方向の軸に沿っては自由に収縮することができないが、厚み方向では自由に収縮できるためである。たとえば国際公開第2002/096622A1号パンフレットに記載されているような、放物線経路テンター中で延伸されたフィルムは、1軸延伸かつ真の1軸配向の両方になっているが、その理由は、放物線経路によって、テンターを通して移動する軸の方向で、フィルムの適当な量の収縮が可能となるからである。放物線経路テンター以外のプロセスでも、真の1軸配向を与えることが可能であるが、この概念は使用したプロセスによって限定されるものではない。
真の1軸配向はさらに、延伸の全履歴を通じて、1軸条件下でフィルムを延伸させるそれらのプロセスに限定される訳でもない。各種の延伸工程を通して、1軸延伸からのズレがある種の許容範囲内であるのが好ましい。しかしながら、延伸プロセスの初期段階において生じた1軸性からズレが、その延伸プロセスの後の段階で補正され、得られるフィルムにおいて真の1軸性が得られるようになるプロセスもまた、本発明の範囲に含まれる。
本明細書においては、フィルムの端部を把持するテンター延伸装置の把持手段によって移動する経路、したがって、フィルムの端部がテンターの中で移動する際に描く経路は、「境界軌道(boundary trajectory)」と呼ばれる。三次元的であり、実質的に平面でないような境界軌道を与えることも、本発明の範囲の内である。面外境界軌道を使用して、すなわち単一ユークリッド平面内には収まらない境界軌道、フィルムを面外に延伸させることも可能である。
放物線経路テンタープロセスにおいては、真の1軸性が必要とされる訳ではないが、フィルムが面内で延伸されるのが好ましい。主たる延伸方向であるTD方向に延伸された直線が、延伸後でも実質的に直線状態にとどまっているのが好ましい。慣用されるフィルムのテンター加工においては、典型的には、このようにはならず、そのように延伸させた直線は、実質的に曲がって、「弓なり(bow)」となる。
境界軌道は、対称的であって、中心平面に対して鏡像を形成していてもよいが、必ずそうでなければならないということはない。この中心平面は、フィルム移動の最初の方向におけるベクトルが通過する平面であり、また、境界軌道の間の最初の中心点と、その延伸装置にフィードされる未延伸フィルムの表面に垂直なベクトルとが通過する平面である。
その他のフィルム延伸プロセスと同様に、放物線経路テンターでも、延伸プロセスの全体を通して、フィルムの均質な空間的延伸が維持されるような条件を選択することが、有利に働く。フィルムの良好な空間的均質性は、多くのポリマー系において、未延伸フィルムまたはウェブのウェブ横断方向およびウェブ流れ方向の厚み分布を厳密に調節し、延伸工程全体でウェブの横方向での温度分布を厳密に調節することによって、達成することができる。多くのポリマー系は、非均質性の影響を特に受けやすく、厚み(caliper)および温度の均質性が不十分であると、不均質な形で延伸される。たとえば、ポリプロピレンは、1軸延伸させたときに、「ライン・ストレッチ(line stretch)」となりやすい。ある種のポリエステル、特にポリエチレンナフタレートもまた極めて影響を受けやすい。
いずれの延伸方法を採用するにしても、幾何学的特徴の形状保持が望ましい場合には、第一の面内軸に実質的に平行に延伸をするべきである。延伸が第一の面内軸に対して、より平行であるほど、より良好な形状保持が達成されるということが見出された。完全な平行からのズレが20度以下であれば、良好な形状保持を達成することが可能である。完全な平行からのズレが10度以下であれば、より良好な形状保持が達成される。平行からのズレが5度以下であれば、さらにより良好な形状保持が達成される。
放物線延伸工程はさらに、延伸工程の各種工程を通して、1軸延伸からのズレをある種の許容範囲内に維持することができる。さらに、延伸の初期の過程においてはフィルムの一部が面外へと変形されるが、延伸の最後の過程の間にそのフィルムが面内に戻ることにより、それらの条件を維持することができる。
延伸の全履歴を通じて維持される真の1軸横方向延伸においては、ある瞬間の縦方向延伸比(MDDR)は、横方向延伸比(TDDR)の逆数の平方根にほぼ等しく、密度変化が補正される。先にも説明したように、面外境界軌道、すなわち単一ユークリッド平面内には収まらない境界軌道を用いて面外にフィルムを延伸させてもよい。本発明のこの実施態様における相対的な要件を満たし、それにより面外境界軌道を用いて実質的に1軸の延伸履歴を維持することが可能となるような、境界軌道が無数に、しかしそれにもかかわらず特定のものが存在する。
延伸の後に、フィルムをヒートセットし、必要であれば急冷する。
ここで図7を参照すると、未延伸の構造化表面フィルム34は、それぞれフィルムの厚み、幅および長さを表す、T、WおよびLの寸法を有している。フィルム34をラムダ(λ)倍に延伸させた後では、その延伸させたフィルム35は、それぞれフィルムの延伸後厚み、延伸後幅、および延伸後長さを表す、T’、W’、およびL’の寸法を有する。この延伸によって、延伸されたフィルム35に1軸特性が付与される。
第一の面内軸、第二の面内軸および第三の軸方向の延伸比の間の関係は、繊維の対称性、したがって延伸されたフィルムの1軸配向の目安となる。本発明においては、フィルムは、第一の面内軸の方向に少なくとも1.1の最小延伸比を有する。第一の面内軸方向の延伸比が少なくとも1.5であれば好ましい。本発明のまた別な実施態様においては、延伸比は少なくとも1.7である。それが少なくとも3であれば、最も好ましい。延伸比が高い方が有用である。たとえば、3から10またはそれ以上の延伸比が本発明においては有用である。
第二の面内軸方向および第三の軸方向の延伸比は、典型的には、本発明においては実質的に同じである。このような実質的に同じであるということは、それらの延伸比を互いに比較した相対的な比率で表すのが最も好都合である。したがって、それらの二つの延伸比が等しくない場合には、その相対比は、それらの軸の内の、より高い一方の軸に沿った延伸比の、より低い他方の軸に沿った延伸比に対する比率である。その相対比が1.4未満であるのが好ましい。その二つの比が等しい場合には、相対比は1である。
第一の面内方向でλの延伸比を有する真の1軸延伸の場合、そのプロセスが、第二の面内軸方向と、フィルムの厚み方向である第三の軸方向とで実質的に同じ比例的な寸法変化を作り出すとすると、その厚みと幅は、同一の比例的な寸法変化で小さくなるであろう。本発明の場合においては、これは、KT/λ0.5およびKW/λ0.5で概略表すことができるが、ここでKは、延伸の際の密度変化を示す目盛計数(scale factor)を表す。理想的な状態では、Kは1である。延伸の間に密度が低下する場合には、Kは1よりも大である。延伸の間に密度が上昇する場合には、Kは1未満である。
本発明においては、最終的な厚みT’のそのフィルムの初期厚みTに対する比は、MDSR延伸比(MDSR)として定義することができる。MDSRは、延伸後のフィルムのある部分の長さを、その部分の初期長さで割り算をしたものと定義することができる。説明のためだけであるが、図8におけるY’/Yを参照されたい。TDSRは、延伸後のフィルムのある部分の幅を、その部分の初期幅で割り算をしたものと定義することができる。説明のためだけであるが、図8におけるX’/Xを参照されたい。
第一の面内方向は、たとえば長さ方向の配向の場合にはMD、あるいは、たとえば放物線テンターの場合にはTDと一致する。また別な例においては、いわゆるバッチテンタープロセスにおいて、連続ウェブに代えてシートをテンターにフィードする。このプロセスについては、米国特許第6,609,795号明細書に記載がある。この場合、第一の面内方向または軸が、TDに一致する。
本発明は一般的には、1軸特性が望まれる、各種異なった構造化表面フィルム、物質、およびプロセスに適用される。本発明のプロセスは、フィルムを加工の際に延伸させたときに、そのフィルムの中に使用された物質の粘弾性的特性を利用して、その物質内に(存在するとすれば)誘導される分子配向の程度を調節できる、微細構造化表面を有するポリマーフィルムを製作するのに特に適していると考えられる。改良される点としては、改良された光学的性能、寸法安定性の向上、加工性の改良などの一つまたは複数が挙げられる。
一般的に、本発明において使用されるポリマーは、結晶質、半晶質、液晶質、あるいは非晶質のポリマーまたはコポリマーである。当業界における一般的な認識としては、ポリマーは典型的には完全な結晶質ではなく、そのため本発明の文脈においては、結晶質または半晶質のポリマーとは、非晶質ではなく、結晶質、部分的に結晶質、半晶質などと一般にみなされているような各種の物質が含まれるようなものを指す、ということは理解しておかれたい。液晶質ポリマーは、場合によっては剛直棒状(rigid−rod)ポリマーと呼ばれることもあるが、三次元結晶秩序とは異なった、ある種の長距離秩序の形態を有していると、当業者には理解されている。
本発明では、溶融加工または硬化のいずれかでフィルムの形態とすることが可能ないかなるポリマーも使用することができると考えられている。そのようなものとしては、以下の群からの、ホモポリマー、コポリマー、およびさらに加工することによりポリマーとすることが可能なオリゴマーなどが含まれるが、これらに限定される訳ではない:ポリエステル(たとえば、ポリアルキレンテレフタレート(たとえば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、およびポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート)、ポリエチレンビベンゾエート、ポリアルキレンナフタレート(たとえば、ポリエチレンナフタレート(PEN)およびそれらの異性体(たとえば、2,6−、1,4−、1,5−、2,7−、および2,3−PEN)、およびポリブチレンナフタレート(PBN)およびその異性体)、および液晶性ポリエステル);ポリアリレート;ポリカーボネート(たとえば、ビスフェノールAのポリカーボネート);ポリアミド(たとえば、ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド46、ポリアミド66、ポリアミド69、ポリアミド610、およびポリアミド612、芳香族ポリアミド、ならびにポリフタルアミド);ポリエーテル−アミド;ポリアミド−イミド;ポリイミド(たとえば、熱可塑性ポリイミドおよびポリアクリルイミド);ポリエーテルイミド;ポリオレフィンまたはポリアルキレンポリマー(たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリイソブチレン、およびポリ(4−メチル)ペンテン);アイオノマー、たとえばサーリン(Surlyn,登録商標)(デラウェア州ウィルミントン(Wilmington,Del.)のイー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー(E.I.Dupont de Nemours and Co.)から入手可能);ポリビニルアセテート;ポリビニルアルコールおよびエチレン−ビニルアルコールコポリマー;ポリメタクリレート(たとえば、ポリイソブチルメタクリレート、ポリプロピルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、およびポリメチルメタクリレート);ポリアクリレート(たとえば、ポリメチルアクリレート、ポリエチルアクリレート、およびポリブチルアクリレート);ポリアクリロニトリル;フルオロポリマー(たとえば、ペルフルオロアルコキシ樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、ポリトリフルオロエチレン、フッ素化エチレン−プロピレンコポリマー、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリエチレン−co−トリフルオロエチレン、ポリ(エチレン−alt−クロロトリフルオロエチレン)、およびTHV(登録商標)(スリー・エム・カンパニー(3M Co.));塩素化ポリマー(たとえば、ポリ塩化ビニリデンおよびポリ塩化ビニル);ポリアリールエーテルケトン(たとえば、ポリエーテルエーテルケトン(「PEEK」));脂肪族ポリケトン(たとえば、エチレンおよび/またはプロピレンと二酸化炭素とのコポリマーおよびターポリマー);各種のタクチシティのポリスチレン(たとえば、アタクチックポリスチレン、イソタクチックポリスチレンおよびシンジオタクチックポリスチレン)および、環または鎖置換された各種のタクチシティのポリスチレン(たとえば、シンジオタクチックポリ−アルファ−メチルスチレン、およびシンジオタクチックポリジクロロスチレン);それらのスチレンのいずれかのコポリマーおよびブレンド物(たとえば、スチレン−ブタジエンコポリマー、スチレン−アクリロニトリルコポリマー、およびアクリロニトリル−ブタジエン−スチレンターポリマー);ビニルナフタレン;ポリエーテル(たとえば、ポリフェニレンオキシド、ポリ(ジメチルフェニレンオキシド)、ポリエチレンオキシドおよびポリオキシメチレン);セルロース系材料(たとえば、エチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、および硝酸セルロース);硫黄含有ポリマー(たとえば、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、ポリアリールスルホン、およびポリエーテルスルホン);シリコーン樹脂;エポキシ樹脂;エラストマー(たとえば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、およびネオプレン)、およびポリウレタン。2種以上のポリマーまたはコポリマーのブレンド物やアロイもまた使用することができる。
いくつかの実施態様においては、半晶質の熱可塑性プラスチックも使用してもよい。半晶質の熱可塑性プラスチックの一つの例は、半晶質ポリエステルである。半晶質ポリエステルの例としては、ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートが挙げられる。ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートを含むポリマーは、本発明において望ましい多くの性質を有していることが見出された。
ポリエステルの中で使用するのに好適なモノマーおよびコモノマーは、ジオールもしくはジカルボン酸またはエステルタイプのものであってよい。ジカルボン酸コモノマーとしては以下のものが挙げられるが、これらに限定される訳ではない:テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸のすべての異性体(2,6−、1,2−、1,3−、1,4−、1,5−、1,6−、1,7−、1,8−、2,3−、2,4−、2,5−、2,8−)、ビ安息香酸たとえば4,4’−ビフェニルジカルボン酸およびその異性体、トランス−4,4’−スチルベンジカルボン酸およびその異性体、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸およびその異性体、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸およびその異性体、4,4’−ベンゾフェノンジカルボン酸およびその異性体、ハロゲン化芳香族ジカルボン酸たとえば2−クロロテレフタル酸および2,5−ジクロロテレフタル酸、その他の置換芳香族ジカルボン酸、たとえばイソフタル酸三級ブチルおよびスルホン化イソフタル酸ナトリウム、シクロアルカンジカルボン酸、たとえば1,4−シクロヘキサンジカルボン酸およびその異性体および2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸およびその異性体、二環状または多環状ジカルボン酸(たとえば、ノルボルナンおよびノルボルネンジカルボン酸、アダマンタンジカルボン酸、およびビシクロオクタンジカルボン酸の各種異性体)、アルカンジカルボン酸(たとえば、セバシン酸、アジピン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アゼライン酸、およびドデカンジカルボン酸)、および縮合環芳香族炭化水素のジカルボン酸(たとえば、インデン、アントラセン、フェナントレン、ベンゾナフテン、フルオレンなど)の各種異性体。その他の脂肪族、芳香族、シクロアルカンまたはシクロアルケンジカルボン酸などを使用してもよい。別な方法として、これらのジカルボン酸モノマーのいずれかのエステル、たとえばテレフタル酸ジメチルを、ジカルボン酸自体に代えて、またはそれと組み合わせて使用してもよい。
好適なジオールコモノマーとしては以下のものが挙げられるが、これらに限定される訳ではない:直線状または分岐状のアルカンジオールまたはグリコール(たとえば、エチレングリコール、プロパンジオールたとえばトリメチレングリコール、ブタンジオールたとえばテトラメチレングリコール、ペンタンジオールたとえばネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールおよびそれらよりも高級なジオール)、エーテルグリコール(たとえば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、およびポリエチレングリコール)、鎖状エステルジオールたとえば、3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロパノエート、シクロアルカングリコールたとえば、1,4−シクロヘキサンジメタノールおよびその異性体および1,4−シクロヘキサンジオールおよびその異性体、二環状または多環状ジオール(たとえば、トリシクロデカンジメタノール、ノルボルナンジメタノール、ノルボルネンジメタノール、およびビシクロオクタンジメタノールなどの各種異性体)、芳香族グリコール(たとえば、1,4−ベンゼンジメタノールおよびその異性体、1,4−ベンゼンジオールおよびその異性体、ビスフェノールたとえばビスフェノールA、2,2’−ジヒドロキシビフェニルおよびその異性体、4,4’−ジヒドロキシメチルビフェニルおよびその異性体、および1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンおよびその異性体)、ならびにこれらのジオールの低級アルキルエーテルもしくはジエーテル、たとえばジメチルまたはジエチルジオール。その他の脂肪族、芳香族、シクロアルキルおよびシクロアルケニルジオールを使用してもよい。
ポリエステル分子に分岐構造を付与するのに役立つ、三官能または多官能コモノマーを使用することもできる。それらは、カルボン酸のタイプ、エステルのタイプ、ヒドロキシのタイプまたはエーテルのタイプのいずれであってもよい。例としては、トリメリット酸およびそのエステル、トリメチロールプロパン、およびペンタエリスリトールなどが挙げられるが、これらに限定される訳ではない。
コモノマーとして好適なものとしてはさらに、混合官能基を有するモノマー、たとえば、ヒドロキシカルボン酸たとえばパラヒドロキシ安息香酸および6−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸およびそれらの異性体、ならびに、混合官能基を有する三官能または多官能コモノマーたとえば5−ヒドロキシイソフタル酸などが挙げられる。
好適なポリエステルコポリマーとしては、PENのコポリマー(たとえば、2,6−、1,4−、1,5−、2,7−、および/または2,3−ナフタレンジカルボン酸またはそれらのエステルと、(a)テレフタル酸またはそのエステル;(b)イソフタル酸またはそのエステル;(c)フタル酸またはそのエステル;(d)アルカングリコール;(e)シクロアルカングリコール(たとえば、シクロヘキサンジメタノールジオール);(f)アルカンジカルボン酸;および/または(g)シクロアルカンジカルボン酸(たとえば、シクロヘキサンジカルボン酸)とのコポリマー)、ならびにポリアルキレンテレフタレートのコポリマー(テレフタル酸またはそのエステルと、(a)ナフタレンジカルボン酸またはそのエステル;(b)イソフタル酸またはそのエステル;(c)フタル酸またはそのエステル;(d)アルカングリコール;(e)シクロアルカングリコール(たとえば、シクロヘキサンジメタンジオール);(f)アルカンジカルボン酸;および/または(g)シクロアルカンジカルボン酸(たとえば、シクロヘキサンジカルボン酸)とのコポリマー)などが挙げられる。上述のコポリエステルはさらに、少なくとも一方の成分が1種のポリエステルをベースとするポリマーであり、他方の(1種または複数の)成分が、他のポリエステルまたはポリカーボネート(それらはホモポリマーであってもコポリマーであってもよい)である、ペレットのブレンド物であってもよい。
本発明のフィルムにはさらに、連続ポリマーマトリックスまたは相の複合連続マトリックス中にポリマー粒子を含む分散相が含まれていてもよい。本発明のまた別な実施態様においては、その分散相が、多層フィルムの1層または複数の層の中に存在していてもよい。使用されるポリマー粒子のレベルは、本発明においては極めて重要という程のものではないが、最終的な物品によって、意図されている目的が達成できるように選択する。ポリマー粒子のレベルとタイプに影響する可能性がある因子としては、粒子のアスペクト比、マトリックス中における粒子の空間的な配列、粒子の体積分率、構造化表面フィルムの厚みなどが挙げられる。典型的には、ポリマー粒子は、上述のポリマーと同一のものから選択される。
本発明に従って製造されたフィルムは、広く各種の製品において有用であるが、そのような製品としては、タイヤコード、濾過媒体、テープバッキング、ワイプたとえばスキンワイプ、微少流体膜(microfluidic film)、ブラーフィルター(blur filter)、偏光子、反射型偏光子、二色性偏光子、配列反射型/二色性偏光子、吸収性偏光子、リターダー(z軸リターダーを含む)、回折格子、偏光ビームスプリッター、および偏光回折格子などが挙げられる。フィルムに特定の要素自体が含まれていてもよいし、あるいは、他の要素たとえば、タイヤ、フィルター、粘着テープ、たとえばフロントまたはリア投影システムのためのビームスプリッターの中の一成分として、またはディスプレイまたはマイクロディスプレイにおいて使用される輝度向上フィルムとして使用することもできる。
これまでの記述において、場合によっては要素の位置を、「第一の」、「第二の」、「第三の」、「上部」、「底部」の用語を用いて記述してきた。これらの用語は、図面における説明の場合と同様に、本発明の各種の要素の記述を簡略化させるためだけに用いてきた。本発明の要素の有用な配置に対して、それらが何の制限を加えるものではない、ということを理解されたい。
したがって、本発明が、上述の特定の例に限定されると受け取ってはならず、逆に、特許請求項に明白に述べられているような、本発明のすべての態様が包含されていると理解するべきである。各種の修正、等価物、さらには本発明を適用することが可能な各種の構造は、本発明が対象としている当業者ならば、本明細書を読むことにより、容易に理解されるであろう。特許請求項では、そのような修正や工夫を包含することが意図されている。
実施例1
この実施例においては、0.74のインヘレント粘度(I.V.)を有するポリエチレンテレフタレート(PET)(テネシー州キングスポート(Kingsport,TN)のイーストマン・ケミカル・カンパニー(Eastman Chemical Company)から入手可能)を使用した。
PETのペレットを乾燥させて残存水分を除去し、窒素パージ下で、押出機のホッパーの押出し部に装填した。PETを、押出機内部の温度プロファイルを232℃から282℃に上げながら、連続溶融装置を通して282℃に設定したダイへと押し出した。溶融装置の圧を連続的にモニターして、溶融装置の方向で最後にモニターしている点で平均した後に、そのダイをツールの極めて近いところに持って行って、そのツールの上でポリマーフィルムを成形し、同時にツールに面しているフィルムの第一の表面に構造を形成させた。
そのツールは、キャストフィルムの上に形成される構造化表面のネガ型表面を有する、構造化されたベルトであった。その構造化表面には、繰り返しのある、連続的な一連の三角形のプリズム形状が含まれていた。その三角形は、のこぎりの刃のパターンを形成した。その個々のプリズムの基底頂点は、それらが隣接している隣の構造と共有されていた。プリズムは、キャスティングの方向、すなわち縦方向(MD)に配列されていた。そのツールの構造化表面は、次式を有するフルオロケミカルベンゾトリアゾールを用いてコーティングされていた:
Figure 2008525230
[式中、RfはC817であり、Rは−(CH22−であって、これは米国特許第6,376,065号明細書の開示と同様である]。ツールは温度調節された缶の上に搭載され、その缶がキャスティング(MD)方向にツール表面を連続的に移動させている。ツールの表面温度を測定すると平均して92℃であった。
その間を通して溶融ポリマーが溶融装置から出てくるダイオリフィスを、回転ベルトのツールのすぐ近いところに持ってきて、ツールとダイの間に最終的なスロットを形成させた。溶融装置の方向で最後にモニターしている位置における圧力は、ダイとツールが近づく程高くなった。この最終的な圧力と、それより前に記録されている圧力との差が、スロットにおける圧力低下と呼ばれる。この実施例におけるスロットの圧力低下は7.37×106Pa(1070psi)であって、ツールのネガ型によって形成される、構造化されたくぼみの中に溶融ポリマーを押し込むには充分な圧力を与えた。それによって形成され構造化されたフィルムを、ツールの回転によってスロットから移動させ、さらに空気冷却を用いて急冷させ、ツールから剥離させて、ロールに巻き上げた。構造の厚みも含めたキャストフィルムの全厚み(T)は、約510ミクロンであった。
そのようにキャストし、巻き上げられたポリマーフィルムには、ツールの構造が細密に複製されていた。顕微鏡を用いてプリズム状構造の断面を観察すると、フィルムの表面が約85度の頂角で、三角形の一方の脚においてはフィルムランドの水平面から20度の傾斜、逆側の脚においては直角から15度の傾斜を有することが同定された。この測定されたプロファイルは、予定通りに、直線的な辺とやや丸まった頂点を有する、ほぼ直角三角形の形状を示した。そのポリマーフィルムの表面の上に複製されたプリズムは、44ミクロンの基底部幅(BW)と19ミクロンの高さ(P)とを有すると測定された。ピーク〜ピーク間隔(PS)は、基底部幅(BW)にほぼ等しかった。そのツールは完全なものではないので、公称のサイズから多少の偏差が存在する可能性がある。
その構造化されたキャストフィルムを切断して、10:7(グルーブの方向:グルーブに直角の方向)のアスペクト比を有するシートとし、プレナム中約100℃の測定値で予備加熱し、バッチテンタープロセスを使用して、プリズムの連続長さ方向にほぼ真の1軸延伸法により、公称延伸比6.4で延伸させ、直ちに緩和させて6.3の延伸比とした。従来タイプの連続操作フィルムテンターに供給されたのは、個々のシートである。6.4から6.3への緩和は、延伸温度で実施し、最終的なフィルムにおける収縮を調節した。その構造化表面は、妥当と考えられる直線的な断面エッジ(妥当と考えられるフラットな面)およびほぼ同じ形状の、プリズム状の形状を維持していた。断面を顕微鏡を用いて測定すると、延伸させた後の基底部幅(BW’)が16.5ミクロンであり、延伸させた後のピーク高さ(P’)が5.0ミクロンであると測定された。フィルムの最終的な厚み(T’)は、構造化された高さも含めて、180ミクロンであると測定された。屈折率は、延伸させたフィルムの裏側について、メトリコン・プリズム・カップラー(Metricon Prism Coupler)(メトリコン(Metricon)、ニュージャージー州ピスカタウェイ(Piscataway,NJ)から入手可能)を用い、波長632.8nmで測定した。第一の面内(プリズムの方向)、第二の面内(プリズムの横断方向)および厚み方向の屈折率を測定すると、それぞれ1.672、1.549、および1.547であった。したがって、この延伸させた物質の断面における相対的複屈折は、0.016となった。
実施例2
この実施例においては、0.74のインヘレント粘度(I.V.)を有するポリエチレンテレフタレート(PET)(テネシー州キングスポート(Kingsport,TN)のイーストマン・ケミカル・カンパニー(Eastman Chemical Company)から入手可能)を使用した。
PETのペレットを乾燥させて残存水分を除去し、窒素パージ下で、押出機のホッパーに装填した。PETを、押出機内部を約282℃のフラットな温度プロファイルとして、連続溶融装置を通して282℃に設定したダイへと押し出した。溶融装置の圧を連続的にモニターして、溶融装置の方向で最後にモニターしている点で平均した後に、そのダイをツールの極めて近いところに持って行って、そのツールの上でポリマーフィルムを成形し、同時にツールに面しているフィルムの第一の表面に構造を形成させた。
ツールは、キャストフィルムの上に形成させる構造化表面の、所望のネガ型表面を有する構造化ベルトであった。その構造化表面には、繰り返しのある連続の一連の二等辺直角三角形のプリズムが含まれ、その基底部幅(BW)が50ミクロン、高さ(P)が約25ミクロンであった。その個々のプリズムの基底頂点は、それらが隣接している隣の構造と共有されていた。そのプリズムは、キャスティング(MD)方向に配列されていた。そのツールの構造化表面は、次式を有するフルオロケミカルベンゾトリアゾールを用いてコーティングされていた:
Figure 2008525230
[式中、RfはC49であり、Rは−(CH26−である]。ツールは温度調節された缶の上に搭載され、その缶がキャスティング(MD)方向にツール表面を連続的に移動させている。ツールの表面温度を測定すると平均して98℃であった。
その間を通して溶融ポリマーが溶融装置から出てくるダイオリフィスを、回転ベルトのツールのすぐ近いところに持ってきて、ツールとダイの間に最終的なスロットを形成させた。溶融装置の方向で最後にモニターしている位置における圧力は、ダイとツールが近づく程高くなった。この最終的な圧力と、それより前に記録されている圧力との差が、スロットにおける圧力低下と呼ばれる。この実施例におけるスロットの圧力低下は7.92×106Pa(1150psi)であって、ツールのネガ型によって形成される、構造化されたくぼみの中に溶融ポリマーを押し込むには充分な圧力を与えた。それによって形成され構造化されたフィルムを、ツールの回転によってスロットから移動させ、さらに空気冷却を用いて急冷させ、ツールから剥離させて、ロールに巻き上げる。構造の厚みも含めたキャストフィルムの全厚み(T)は、約600ミクロンであった。
そのようにキャストし、巻き上げられたポリマーフィルムには、ツールの構造が細密に複製されていた。接触プロフィロメトリー法(たとえば、KLA−テンコール(KLA−Tencor)P−10、60度、半径2ミクロンスタイラス)を使用すると、フィルムの表面上には、明瞭に、妥当な鋭さを有するプリズム状構造が認められた。この測定されたプロファイルは、予定通りに、直線的な辺とやや丸まった頂点を有する、ほぼ直角三角形の形状を示した。そのポリマーフィルムの表面の上に複製されたプリズムは、50ミクロンの基底部幅(BW)と23.4ミクロンの高さ(P)とを有すると測定された。ピーク〜ピーク間隔(PS)は、基底部幅(BW)にほぼ等しかった。プロフィロメトリー法は、そのスタイラスのプローブの形状とサイズのために、解像度が約1ミクロンに限定されているので、実際の頂点はもっと高い可能性がある。そのツールは完全なものではないので、公称のサイズから多少の偏差が存在する可能性がある。プロフィロメトリー法で測定された(profile−measured)断面積の、理想的であるとして計算した断面積に対する比率から、計算上での充填度は99%となった。
その構造化フィルムは、実施例1の場合と同様にして延伸させることができる。
実施例3
0.56のインヘレント粘度(I.V.)を有するポリエチレンナフタレート(PEN)を、反応容器の中で製造した。
PENのペレットを乾燥させて残存水分を除去し、窒素パージ下で、押出機のホッパーに装填した。PENを、押出機内部を288℃のフラットな温度プロファイルとして、連続溶融装置を通して288℃に設定したダイへと押し出した。溶融装置の圧を連続的にモニターして、溶融装置の方向で最後にモニターしている点で平均した後に、そのダイをツールの極めて近いところに持って行って、そのツールの上でポリマーフィルムを成形し、同時にツールに面しているフィルムの第一の表面に構造を形成させた。
ツールは、キャストフィルムの上に形成させる構造化表面の、所望のネガ型表面を有する構造化ベルトであった。その構造化表面には、繰り返しのある連続の一連の二等辺直角三角形のプリズムが含まれ、その基底部幅(BW)が50ミクロン、高さ(P)が約25ミクロンであった。その個々のプリズムの基底頂点は、それらが隣接している隣の構造と共有されていた。そのプリズムは、キャスティング(MD)方向に配列されていた。そのツールの構造化表面は、次式を有するフルオロケミカルベンゾトリアゾールを用いてコーティングされていた:
Figure 2008525230
[式中、RfはC817であり、Rは−(CH22−である]。ツールは温度調節された缶の上に搭載され、その缶がキャスティング(MD)方向にツール表面を連続的に移動させている。ツールの表面温度を測定すると平均して144℃であった。
その間を通して溶融ポリマーが溶融装置から出てくるダイオリフィスを、回転ベルトのツールのすぐ近いところに持ってきて、ツールとダイの間に最終的なスロットを形成させた。溶融装置の方向で最後にモニターしている位置における圧力は、ダイとツールが近づく程高くなった。この最終的な圧力と、それより前に記録されている圧力との差が、スロットにおける圧力低下と呼ばれる。この実施例におけるスロットの圧力低下は5.51×106Pa(800psi)であって、ツールのネガ型によって形成される、構造化されたくぼみの中に溶融ポリマーを押し込むには充分な圧力を与えた。それによって形成され構造化されたフィルムを、ツールの回転によってスロットから移動させ、さらに空気冷却を用いて急冷させ、ツールから剥離させて、ロールに巻き上げる。構造の厚みも含めたキャストフィルムの全厚み(T)は、約600ミクロンであった。
そのようにキャストし、巻き上げられたポリマーフィルムには、ツールの構造が細密に複製されていた。接触プロフィロメトリー法(たとえば、KLA−テンコール(KLA−Tencor)P−10、60度、半径2ミクロンスタイラス)を使用すると、フィルムの表面上には、明瞭に、妥当な鋭さを有するプリズム状構造が認められた。この測定されたプロファイルは、予定通りに、直線的な辺とやや丸まった頂点を有する、ほぼ直角三角形の形状を示した。そのポリマーフィルムの表面の上に複製されたプリズムは、50ミクロンの基底部幅(BW)と23.3ミクロンの高さ(P)とを有すると測定された。ピーク〜ピーク間隔(PS)は、基底部幅(BW)にほぼ等しかった。プロフィロメトリー法は、そのスタイラスのプローブの形状とサイズのために、解像度が約1ミクロンに限定されているので、実際の頂点はもっと高い可能性がある。そのツールは完全なものではないので、公称のサイズから多少の偏差が存在する可能性がある。実際の充填度をよりよく解析するため、たとえばそのツールを用いた複製の精度を解析するために、そのプロフィロメトリー法断面積を三角形にあてはめた。測定されたプロファイルのデータを使用して、基底部分から測定して5〜15ミクロンの間の、断面の脚の方向の直線として、エッジをあてはめた。理想的な頂点の高さは、計算上24.6ミクロンとなった。プロフィロメトリー法で測定された断面積の、理想的であるとして計算した断面積に対する比率から、計算上での充填度は98.0%となった。
バッチテンタープロセスを用いて、その構造化キャストフィルムを、プリズムの連続の長さ方向に、ほぼ真の1軸法で延伸させた。そのフィルムを、プレナム中で測定して公称165℃に予備加熱し、この温度で、25秒かけて均一な速度で(エッジを分離させるように)延伸させて、最終的な延伸比を約6とした。その構造化表面は、妥当と考えられる直線的な断面エッジ(妥当と考えられるフラットな面)およびほぼ同じ形状の、プリズム状の形状を維持していた。
表1に示したのは、キャストフィルムの中心からの距離を各種変化させたときの、延伸に与える効果である。
Figure 2008525230
実施例4
0.56のインヘレント粘度(I.V.)を有するポリエチレンナフタレート(PEN)を、反応容器の中で製造した。
PENのペレットを乾燥させて残存水分を除去し、窒素パージ下で、押出機のホッパーに装填した。PENを、押出機内部を288℃のフラットな温度プロファイルとして、連続溶融装置を通して288℃に設定したダイへと押し出した。溶融装置の圧を連続的にモニターして、溶融装置の方向で最後にモニターしている点で平均した後に、そのダイをツールの極めて近いところに持って行って、そのツールの上でポリマーフィルムを成形し、同時にツールに面しているフィルムの第一の表面に構造を形成させた。
ツールは、キャストフィルムの上に形成させる構造化表面の、所望のネガ型表面を有する構造化ベルトであった。その構造化表面には、繰り返しのある連続の一連の二等辺直角三角形のプリズムが含まれ、その基底部幅(BW)が50ミクロン、高さ(P)が約25ミクロンであった。その個々のプリズムの基底頂点は、それらが隣接している隣の構造と共有されていた。そのプリズムは、キャスティング(MD)方向に配列されていた。そのツールの構造化表面は、次式を有するフルオロケミカルベンゾトリアゾールを用いてコーティングされていた:
Figure 2008525230
[式中、RfはC817であり、Rは−(CH22−であって、これは米国特許第6,376,065号明細書の開示と同様である]。ツールは温度調節された缶の上に搭載され、その缶がキャスティング(MD)方向にツール表面を連続的に移動させている。ツールの表面温度を測定すると平均して153℃であった。
その間を通して溶融ポリマーが溶融装置から出てくるダイオリフィスを、回転ベルトのツールのすぐ近いところに持ってきて、ツールとダイの間に最終的なスロットを形成させた。溶融装置の方向で最後にモニターしている位置における圧力は、ダイとツールが近づく程高くなった。この最終的な圧力と、それより前に記録されている圧力との差が、スロットにおける圧力低下と呼ばれる。この実施例におけるスロットの圧力低下は4.13×106Pa(600psi)であって、ツールのネガ型によって形成される、構造化されたくぼみの中に溶融ポリマーを押し込むには充分な圧力を与えた。それによって形成され構造化されたフィルムを、ツールの回転によってスロットから移動させ、さらに空気冷却を用いて急冷させ、ツールから剥離させて、ロールに巻き上げる。構造の厚みも含めたキャストフィルムの全厚み(T)は、約600ミクロンであった。
そのようにキャストし、巻き上げられたポリマーフィルムには、ツールの構造が細密に複製されていた。接触プロフィロメトリー法(たとえば、KLA−テンコール(KLA−Tencor)P−10、60度、半径2ミクロンスタイラス)を使用すると、フィルムの表面上には、明瞭に、妥当な鋭さを有するプリズム状構造が認められた。この測定されたプロファイルは、予定通りに、直線的な辺とやや丸まった頂点を有する、ほぼ直角三角形の形状を示した。そのポリマーフィルムの表面の上に複製されたプリズムは、ミクロンの基底部幅(BW)と23.5ミクロンの高さ(P)とを有すると測定された。ピーク〜ピーク間隔(PS)は、基底部幅(BW)にほぼ等しかった。プロフィロメトリー法は、そのスタイラスのプローブの形状とサイズのために、解像度が約1ミクロンに限定されているので、実際の頂点はもっと高い可能性がある。そのツールは完全なものではないので、公称のサイズから多少の偏差が存在する可能性がある。実際の充填度をよりよく解析するため、たとえばそのツールを用いた複製の精度を解析するために、そのプロフィロメトリー法断面積を三角形にあてはめた。測定されたプロファイルのデータを使用して、基底部分から測定して5〜15ミクロンの間の、断面の脚の方向の直線として、エッジをあてはめた。理想的な頂点の高さは、24.6ミクロンで、頂角が91.1度と計算された。プロフィロメトリー法で測定された断面積の、理想的であるとして計算した断面積に対する比率から、計算上での充填度は98.0%となった。
バッチテンタープロセスを用いて、その構造化キャストフィルムを、プリズムの連続の長さ方向に、ほぼ真の1軸法で延伸させた。そのフィルムを、公称158℃に予備加熱し、この温度で90秒かけて均一な速度で(エッジを分離させるように)延伸させて、最終的な延伸比を約6とした。その構造化表面は、妥当と考えられる直線的な断面エッジ(妥当と考えられるフラットな面)およびほぼ同じ形状の、プリズム状の形状を維持していた。
キャストフィルムの場合に使用したのと同様に、接触プロフィロメトリー法を使用して、その延伸させたフィルムの測定を行った。断面を顕微鏡を用いて測定すると、延伸させた後の基底部幅(BW’)が22ミクロンであり、延伸させた後のピーク高さ(P’)が8.5ミクロンであると測定された。フィルムの最終的な厚み(T’)は、構造化された高さも含めて、約220ミクロンであると計算された。屈折率は、延伸させたフィルムの裏側について、メトリコン・プリズム・カップラー(Metricon Prism Coupler)(メトリコン(Metricon)、ニュージャージー州ピスカタウェイ(Piscataway,NJ)から入手可能)を用い、波長632.8nmで測定した。第一の面内(プリズムの方向)、第二の面内(プリズムの横断方向)および厚み方向の屈折率を測定すると、それぞれ1.790、1.577、および1.554であった。したがって、この延伸させた物質の断面における相対的複屈折は、0.10となった。
プロフィロメトリー法のデータを使用すると、見かけの断面積の比から、延伸比の測定予測値が6.4となったが、この場合、延伸および配向による密度の変化の補正は行っていない。延伸比が6.4であるという数値とプロフィロメトリー法のデータを使用すると、形状保持パラメーターが0.94であると計算された。
実施例5
カルボキシレート(テレフタレートおよびナフタレート)部分(サブユニット)の比率から計算して40モル%のポリエチレンテレフタレート(PET)と60モル%のポリエチレンナフタレート特性を有するコポリマー(いわゆる、40/60coPEN)を、反応容器の中で製造した。そのインヘレント粘度(I.V.)は約0.5であった。
その40/60coPEN樹脂のペレットを乾燥させて残存水分を除去し、窒素パージ下で、押出機のホッパーに装填した。40/60coPENを、押出機内部を285℃から277℃に下げる温度プロファイルとして、連続溶融装置を通して288℃に設定したダイへと押し出した。溶融装置の圧を連続的にモニターして、溶融装置の方向で最後にモニターしている点で平均した後に、そのダイをツールの極めて近いところに持って行って、そのツールの上でポリマーフィルムを成形し、同時にツールに面しているフィルムの第一の表面に構造を形成させた。
ツールは、キャストフィルムの上に形成させる構造化表面の、所望のネガ型表面を有する構造化ベルトであった。その構造化表面には、繰り返しのある連続の一連の二等辺直角三角形のプリズムが含まれ、その基底部幅(BW)が50ミクロン、高さ(P)が約25ミクロンであった。その個々のプリズムの基底頂点は、それらが隣接している隣の構造と共有されていた。そのプリズムは、キャスティング(MD)方向に配列されていた。そのツールの構造化表面は、次式を有するフルオロケミカルベンゾトリアゾールを用いてコーティングされていた:
Figure 2008525230
[式中、RfはC49であり、Rは−(CH26−であって、これは米国特許第6,376,065号明細書の開示と同様である]。ツールは温度調節された缶の上に搭載され、その缶がキャスティング(MD)方向にツール表面を連続的に移動させている。ツールの表面温度を測定すると平均して102℃であった。
その間を通して溶融ポリマーが溶融装置から出てくるダイオリフィスを、回転ベルトのツールのすぐ近いところに持ってきて、ツールとダイの間に最終的なスロットを形成させた。溶融装置の方向で最後にモニターしている位置における圧力は、ダイとツールが近づく程高くなった。この最終的な圧力と、それより前に記録されている圧力との差が、スロットにおける圧力低下と呼ばれる。この実施例におけるスロットの圧力低下は4.23×106Pa(614psi)であって、ツールのネガ型によって形成される、構造化されたくぼみの中に溶融ポリマーを押し込むには充分な圧力を与えた。それによって形成され構造化されたフィルムを、ツールの回転によってスロットから移動させ、さらに空気冷却を用いて急冷させ、ツールから剥離させて、ロールに巻き上げる。構造の厚みも含めたキャストフィルムの全厚み(T)は、約560ミクロンであった。
そのようにキャストし、巻き上げられたポリマーフィルムには、ツールの構造が細密に複製されていた。接触プロフィロメトリー法(たとえば、KLA−テンコール(KLA−Tencor)P−10、60度、半径2ミクロンスタイラス)を使用すると、フィルムの表面上には、明瞭に、妥当な鋭さを有するプリズム状構造が認められた。この測定されたプロファイルは、予定通りに、直線的な辺とやや丸まった頂点を有する、ほぼ直角三角形の形状を示した。そのポリマーフィルムの表面の上に複製されたプリズムは、49.9ミクロンの基底部幅(BW)と23.5ミクロンの高さ(P)とを有すると測定された。ピーク〜ピーク間隔(PS)は、基底部幅(BW)にほぼ等しかった。プロフィロメトリー法は、そのスタイラスのプローブの形状とサイズのために、解像度が約1ミクロンに限定されているので、実際の頂点はもっと高い可能性がある。そのツールは完全なものではないので、公称のサイズから多少の偏差が存在する可能性がある。実際の充填度をよりよく解析するため、たとえばそのツールを用いた複製の精度を解析するために、そのプロフィロメトリー法断面積を三角形にあてはめた。測定されたプロファイルのデータを使用して、基底部分から測定して5〜15ミクロンの間の、断面の脚の方向の直線として、エッジをあてはめた。理想的な頂点の高さは、24.6ミクロンで、頂角が91.1度と計算された。プロフィロメトリー法で測定された断面積の、理想的であるとして計算した断面積に対する比率から、計算上での充填度は98.0%となった。
実験室用の延伸機を用いて、その構造化キャストフィルムを、プリズムの連続の長さ方向に、ほぼ真の1軸法で延伸させた。そのフィルムを、103℃で60秒間予備加熱し、この温度で20秒かけて均一な速度で(エッジを分離させるように)延伸させて、最終的な延伸比を約6とした。その構造化表面は、妥当と考えられる直線的な断面エッジ(妥当と考えられるフラットな面)およびほぼ同じ形状の、プリズム状の形状を維持していた。屈折率は、延伸させたフィルムの裏側について、メトリコン・プリズム・カップラー(Metricon Prism Coupler)(メトリコン(Metricon)、ニュージャージー州ピスカタウェイ(Piscataway,NJ)から入手可能)を用い、波長632.8nmで測定した。第一の面内(プリズムの方向)、第二の面内(プリズムの横断方向)および厚み方向の屈折率を測定すると、それぞれ1.758、1.553、および1.551であった。したがって、この延伸させた物質の断面における相対的複屈折は、0.0097となった。
実施例6
米国特許出願公開第2004/0227994A1号明細書の実施例1〜4に記載の手順に従って製造した多層光学フィルムをキャスティングし、保護ポリプロピレンスキン層を除去した。使用した低屈折率ポリマーはcoPETであった。
その多層光学フィルムを切断してシートとし、オーブン中60℃で最低でも2時間かけて乾燥させた。熱盤を115℃に加熱した。以下の順の層の構成で、そのフィルムを積み重ねた:板紙シート、クロムメッキした真鍮板(厚み約3mm)、剥離ライナー、ニッケル製微細構造化ツール、多層光学フィルム、剥離ライナー、クロムメッキした真鍮板(厚み約3mm)、板紙シート。その構成物を熱盤の間に挟み、閉じた。1.38×105Pa(20psi)の圧力を60秒間維持した。
そのニッケル製微細構造化ツールの構造化表面には繰り返しのある、連続の一連の三角形のプリズムが含まれ、その頂角が90度、基底部幅(BW)が10ミクロン、高さ(P)が約5ミクロンであった。その個々のプリズムの基底頂点は、それらが隣接している隣の構造と共有されていた。
そのエンボス加工されたシートを、アスペクト比が10:7(グルーブの長さ方向対横断方向)となるように切断した。バッチテンタープロセスを用いて、その構造化多層光学フィルムを、プリズムの連続の長さ方向に、ほぼ真の1軸法で延伸させた。そのフィルムを予備加熱してほぼ100℃とし、約20秒かけて延伸比約6にまで延伸させ、次いで、フィルムにおける収縮を調節するために、そのテンター中にその延伸温度に保ったまま、その延伸を約10%戻した。フィルムの最終的な厚み(T’)は、構造化された高さも含めて、150ミクロンであると測定された。屈折率は、延伸させたフィルムの裏側について、メトリコン・プリズム・カップラー(Metricon Prism Coupler)(メトリコン(Metricon)、ニュージャージー州ピスカタウェイ(Piscataway,NJ)から入手可能)を用い、波長632.8nmで測定した。第一の面内(プリズムの方向)、第二の面内(プリズムの横断方向)および厚み方向の屈折率を測定すると、それぞれ1.699、1.537、および1.534であった。したがって、この延伸させた物質の断面における複屈折は、0.018となった。
実施例7
配向されたミクロ複製構造は、以下のように構成されていた:90度プリズム状のグルーブを、125℃で4分間の圧縮成形により、キャストPEN(ポリエチレンナフタレート)の厚み0.010インチのフィルムに、ピッチ125ミクロンでエンボス加工した。そのツールによって構造化されたフィルムを氷水の中で急冷した。フィルムを剥離し乾燥させてから、そのフィルムに、128℃でグルーブの長軸方向に5倍の1軸延伸を行った。その結果、横方向に5%の収縮が起こり、最終的なピッチは約62ミクロンとなった。屈折率を測定すると、配向軸方向で1.84、横方向で1.53であった。それらの屈折率は、メトリコン・プリズム・カップラー(Metricon Prism Coupler)で632.8nmの波長を用いて、そのフィルムの平坦な裏側について測定したものである。
次いで、その配向された微細構造化フィルムの小片を、顕微鏡のガラススライドに、その構造化表面がスライドに面するように接着させたが、それには、UV硬化可能なアクリレート樹脂(等方性屈折率=1.593)を使用した。そのアクリレート樹脂は、UVチャンバーに複数回(それぞれの面で3回ずつ)通過させて、樹脂を完全に硬化させた。
ヘリウム−ネオンレーザービームを、配向構造化フィルムを搭載したスライドを通過させた。そのHeNeレーザーは、グラン・トンプソン(Glan−Thompson)偏光子を通過させることによって、均質で直線的な偏光に清浄化されていた。常光線(o−線)は、ほんのわずかな程度のスプリッティングでその構造物を通過し、ゼロ次発散の半角は、約2度であることが見出された。次いで、半波長板をグラン・トンプソン(Glan−Thompson)の直後に挿入して、レーザービームを90度回転させて、直交偏光(e−線)とした。そのゼロ次ビームは、約8度、すなわちo−線の発散の4倍の発散半角を示した。
本発明において有用な前駆体フィルムの断面図である。 本発明の一つの実施態様のフィルムの断面図である。 本発明のフィルムのいくつかの他の実施態様の断面図である。 本発明のフィルムのいくつかの他の実施態様の断面図である。 本発明のフィルムのいくつかの他の実施態様の断面図である。 本発明のフィルムのいくつかの他の実施態様の断面図である。 形状保持パラメーター(SRP)の計算方法を説明するために有用な図である。 形状保持パラメーター(SRP)の計算方法を説明するために有用な図である。 形状保持パラメーター(SRP)の計算方法を説明するために有用な図である。 形状保持パラメーター(SRP)の計算方法を説明するために有用な図である。 本発明において有用な幾何学的特徴の、また別ないくつかのプロファイルの説明的な断面図である。 本発明において有用な幾何学的特徴の、また別ないくつかのプロファイルの説明的な断面図である。 本発明において有用な幾何学的特徴の、また別ないくつかのプロファイルの説明的な断面図である。 本発明において有用な幾何学的特徴の、また別ないくつかのプロファイルの説明的な断面図である。 本発明において有用な幾何学的特徴の、また別ないくつかのプロファイルの説明的な断面図である。 本発明において有用な幾何学的特徴の、また別ないくつかのプロファイルの説明的な断面図である。 本発明において有用な幾何学的特徴の、また別ないくつかのプロファイルの説明的な断面図である。 本発明において有用な幾何学的特徴の、また別ないくつかのプロファイルの説明的な断面図である。 本発明において有用な幾何学的特徴の、また別ないくつかのプロファイルの説明的な断面図である。 本発明において有用な幾何学的特徴の、また別ないくつかのプロファイルの説明的な断面図である。 本発明において有用な幾何学的特徴の、また別ないくつかのプロファイルの説明的な断面図である。 本発明において有用な幾何学的特徴の、また別ないくつかのプロファイルの説明的な断面図である。 本発明において有用な幾何学的特徴の、また別ないくつかのプロファイルの説明的な断面図である。 本発明において有用な幾何学的特徴の、また別ないくつかのプロファイルの説明的な断面図である。 本発明において有用な幾何学的特徴の、また別ないくつかのプロファイルの説明的な断面図である。 本発明において有用な幾何学的特徴の、また別ないくつかのプロファイルの説明的な断面図である。 本発明において有用な幾何学的特徴の、また別ないくつかのプロファイルの説明的な断面図である。 本発明において有用な幾何学的特徴の、また別ないくつかのプロファイルの説明的な断面図である。 本発明において有用な幾何学的特徴の、また別ないくつかのプロファイルの説明的な断面図である。 本発明において有用な幾何学的特徴の、また別ないくつかのプロファイルの説明的な断面図である。 本発明において有用な幾何学的特徴の、また別ないくつかのプロファイルの説明的な断面図である。 本発明において有用な幾何学的特徴の、また別ないくつかのプロファイルの説明的な断面図である。 本発明において有用な幾何学的特徴の、また別ないくつかのプロファイルの説明的な断面図である。 本発明によるプロセスの模式図である。 延伸後にはフィルムが1軸配向である、延伸プロセスの前および後の構造表面フィルムの斜視図である。 縦方向(MD)、垂直すなわち厚み方向(ND)、横方向(TD)を示す座標軸も説明した、本発明によるフィルムを1軸延伸させるための方法の模式図である。 断面寸法が変化している構造化表面を有する本発明の物品の端面図である。

Claims (6)

  1. 1軸配向構造化表面ポリマーフィルムであって:
    (a)(i)第一および第二の表面、ならびに(ii)互いに対して直交する第一および第二の面内軸、ならびにその第一および第二の面内軸と互いに直交するポリマーフィルムの厚み方向の第三の軸を有する、ポリマー本体;ならびに
    (b)前記ポリマー本体の前記第一の表面の上に、そのポリマーフィルムの前記第一の面内軸と実質的に平行な方向に配された直線状の構造化特徴;を含み、
    ここで、前記1軸配向ポリマーフィルムが、(i)前記第一の面内軸に沿った第一の屈折率(n1)、(ii)前記第二の面内軸に沿った第二の屈折率(n2)、および(iii)前記第三の軸に沿った第三の屈折率(n3)を有し、ここで、n1≠n2かつn1≠n3、そしてn2とn3とがそれらのn1との差に関して互いに実質的に等しく;そしてここで、前記1軸配向ポリマーフィルムが0.3以下の相対的複屈折を有し、そしてここで前記本体の厚みの前記幾何学的特徴の高さに対する比率が少なくとも2である、ポリマーフィルム。
  2. 前記フィルムが、異なったポリマー組成物の複数の層を有する多層フィルムを含む、請求項1に記載のポリマーフィルム。
  3. 前記ポリマーフィルムが合計した厚みを有し、前記幾何学的特徴が基底部の幅を有し、そして、前記ポリマーフィルムの本体の厚みの前記特徴の基底部の幅に対する比率が約3よりも高い、請求項1に記載のポリマーフィルム。
  4. 前記幾何学的特徴がミクロ特徴を有する、請求項1に記載のポリマーフィルム。
  5. 少なくとも0.1の保持形状パラメーターを有する、請求項1に記載のポリマーフィルム。
  6. 前記フィルムのある特定のプライの前記第一の表面が、前記フィルムの次のプライの前記第二の表面に接触するように重ねて巻かれた前記フィルムの複数のプライを含む、請求項1に記載のフィルムのロール。
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