JP2008523376A5 - - Google Patents

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【書類名】 明細書
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置を用いて、1つ又は複数の生体を撮像する方法に関する。本発明はさらに、そのような方法を実行するように構成されるコンピュータソフトウェア及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、薬物の発見及び開発において、さらに一般的な生物学的研究において、細胞ベースアッセイ(cell−based assays)を正確に実行するための方法及び装置に対する必要性が存在する。細胞ベースアッセイは化合物の生物活性を評価するために有利に使用される。
【0003】
加えて、多数の化合物を迅速かつ安価にスクリーニングする必要性が存在する。この必要性は、様々な生化学的な目標(例えば、受容体、酵素及び核酸)に対する活性について化合物を試験することが一般的な、医薬産業で生じている。これらの化合物は、時には識別可能な化合物が100万を超える、大きなライブラリ内に集められる。
【0004】
細胞ベースアッセイの実行は、多くの場合、細胞画像を記録し、画像解析ソフトウェアのアルゴリズムを用いてこれら画像を定量化することに関与する。蛍光標識細胞(fluorescently labelled cells)を撮像するための器具が知られており、これら器具のソフトウェアは、例えば、蛍光標識細胞内の生物学的なタンパク輸送(protein translocations)及び刺激に対するタンパク反応を定量化するためのいくつかの解析モジュールを有する。
【0005】
そのような細胞画像を解析することは、細胞に対応する画像の領域を識別することに関与し、これは一般に蛍光標識細胞により放射される蛍光放射線を検出することによって実現される。そのような標識の一例は、細胞核を標識付けするマーカ染色液(marker stain)、例えば、Invitrogenによって生産されるHoechst 33342(商標)、又はBiostatusにより生産されるDRAQ5(商標)である。
【0006】
細胞核を標識付けするために、これらの核染色液は細胞核の核酸構造と相互に作用する。長期にわたるこの相互作用は、細胞に毒性となることが判明している。細胞ベースアッセイを実行する際に収集されたデータは可能な限り正確であり、その結果、印付けを行い、比較的長期にわたって時々細胞応答を測定することが望まれる場合、核染色液の毒性が生細胞アッセイで使用されないようにすることが重要である。
【0007】
細胞核以外の細胞小器官に印付けを行うことは、多くの場合、困難である。サイトゾル、原形質膜又はゴルジ装置用のマーカは、経時的に細胞内で劣化するか又は再局在する(relocalise)ため、比較的長期的には効果的ではない。
【0008】
生体の撮像におけるコントラスト造影剤の使用は、当技術分野で知られている。
【0009】
米国特許第6,187,289号は、細胞の反射型共焦点撮像におけるコントラスト造影剤として酢酸の使用を開示している。
【0010】
細菌の密集群内でバクテリオファージ由来溶菌班(bacteriophage−derived plaques)の視覚化を高めるために、沈殿性の染料と組み合わせてコントラスト着色染料を使用する方法は、米国特許第6,090,541号で報告されている。コントラスト着色染料は担体材を着色することができ、一方、沈殿性の染料は細菌酵素又はウィルス酵素が着色された沈殿物を作り出すための基質の役割を果たす。
【0011】
金属錯塩造影剤(Metal complex contrast agents)はWO01/17567で開示されるように、MRI及びX線による撮像に関して知られている。
【特許文献1】米国特許第6,187,289号
【特許文献2】米国特許第6,090,541号
【特許文献3】WO01/17567
【特許文献4】米国特許第6,400,487号
【特許文献5】米国特許第6,388,788号
【特許文献6】米国特許出願第10/227,522号
【非特許文献1】Tsien,Annu.Revs.Biochem.,(1998),67,509−544
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、生物学的アッセイ(biological assay)の際に、生体の改善された撮像の方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の態様によれば、撮像範囲の全域で画像を捕捉することができる撮像装置を用いて、1つ又は複数の生体を撮像する方法が提供される。前記方法は以下を含む:
a)前記1つ又は複数の生体を環境内に配置する工程;
b)前記1つ又は複数の生体の外側の前記環境内で、画像内に前記1つ又は複数の生体と前記環境とのコントラストをもたらすコントラスト増強造影剤(contrast enhancing agent)を提供する工程;及び
c)前記撮像装置を用いて、前記1つ又は複数の生体及び前記環境の画像を記録する工程であって、それによって、前記コントラスト増強造影剤によってもたらされるコントラストを前記画像内で用いて、前記1つ又は複数の生体に関する空間的定義を得ることが可能な工程。
【0014】
本発明は、生体の比較的正確な空間的定義データが、比較的長期にわたって実行される生体のアッセイから取得されることを可能にする。生体の外側の環境内にコントラスト増強造影剤を提供することによって、画像内の生体の位置を識別するために生体の中に毒性化合物を導入する必要がなく、その結果、アッセイの間、生体の健全性の低下を最小限に抑える。
【0015】
本発明の好ましい実施形態では、前記コントラスト増強造影剤は、その中で前記1つ又は複数の生体が支持される媒質内に提供される。
【0016】
本発明の異なった好ましい実施形態では、方法は、その中で前記1つ又は複数の生体が支持される媒質を提供する工程と、前記媒質の外側の領域内に前記コントラスト増強造影剤を提供する工程とを含む。
【0017】
媒質は、生体の健全性を維持する栄養素及び生存条件を提供する。コントラスト増強造影剤が媒質である好ましい実施形態では、媒質を提供することは比較的簡単に画像にコントラストをもたらす。別の好ましい実施形態では、コントラスト増強造影剤を媒質の外側に位置させることは、コントラスト増強造影剤を媒質に対して単独で提供することを可能にする。これにより、コントラスト増強造影剤を含む媒質を使用することが望ましくない場合、アッセイが本発明に従って実行されることが可能になる。
【0018】
方法は、前記1つ又は複数の生体を含むレセプタクルを提供する工程を含み、前記レセプタクルの少なくとも一部は前記コントラスト増強造影剤で形成されることが好ましい。
【0019】
レセプタクルは別々に媒質に提供され、画像内に生体と環境とのコントラストをもたらすことができる。これらのレセプタクルは標準的な寸法及び標準的な背景蛍光を有してもよく、本発明に従って実行されるアッセイで使用される場合、これらのレセプタクルはアッセイ条件が一貫していることを確実にする。
【0020】
別の好ましい実施形態では、方法は、前記1つ又は複数の生体を含むレセプタクルを提供する工程を含み、前記レセプタクルの内側表面は前記コントラスト増強造影剤の層を含むコーティングを含む。
【0021】
コントラスト増強造影剤で形成されず、様々な寸法及び構成を有し、異なる製造者により生産されるレセプタクルは、本発明に従って使用され得る。そのようなレセプタクルの内側表面にコーティングを提供することにより、画像内に生体と環境とのコントラストがもたらされる。
【0022】
方法は、前記1つ又は複数の生体が前記コーティングの表面に粘着するように前記コーティングに粘着性を提供する工程を含むことが好ましい。
【0023】
コーティングに粘着された生体はコーティングとの接触が保たれ、これにより、比較的正確なアッセイが実行されることが可能になる。粘着性は、環境内に1つの生体の厚さを有する生体の層を形成するのを助けることができ、撮像装置の画像面内に生体を維持できる。
【0024】
本発明の好ましい実施形態では、前記方法は以下を含む:
i)閾値処理された(thresholded)画像を作り出すように、比較的暗い画素と比較的明るい画素とを識別するために、前記画像に明るさの閾値を適用する工程;
ii)前記閾値処理された画像を生体範囲に分割する工程。
【0025】
記録画像を閾値処理することは、画像内で生体及び環境に対応する可能性のある画素を識別するために、コントラスト増強造影剤によってもたらされたコントラストを使用する。分割は、生体に対応する閾値処理された画像の範囲を識別する。これらの生体範囲は、生体に関する空間的定義を得るために使用され得る。
【0026】
好ましい実施形態では、前記1つ又は複数の生体は、前記1つ又は複数の生体内に1つ又は複数の成分を含み、前記方法は、画像内に前記成分と前記1つ又は複数の生体のその他の範囲とのコントラストをもたらす、第2のコントラスト増強造影剤により前記成分に印付けを行う工程を含む。
【0027】
第2のコントラスト増強造影剤を用いて、生体の成分の空間的定義がさらに得られてもよい。生体は細胞であってもよく、そのような場合、成分は細胞より小さい成分(subcellular components)である。
【0028】
前記コントラスト増強造影剤は、前記1つ又は複数の生体に対して非毒性であることが好ましい。
【0029】
非毒性であるコントラスト増強造影剤は、生体の健全性の低下を最小限に抑え、その結果、比較的長期にわたり実行されるアッセイのために、生体に関する比較的正確な空間的定義を得ることが可能である。
【0030】
本発明はまた、別の態様で、上述の方法を実行するために構成される装置を提供する。
【0031】
本発明の別の態様によれば、撮像装置を用いて、撮像範囲の全域で画像を捕捉することによって作成される1つ又は複数の生体を解析する際に使用するためのコンピュータソフトウェアが提供され、前記画像は、
a)環境内に前記1つ又は複数の生体を配置する工程と、
b)前記1つ又は複数の生体の外側の前記環境内で、画像内に前記1つ又は複数の生体と前記環境とのコントラストをもたらすコントラスト増強造影剤を提供する工程と、
c)前記撮像装置を用いて、前記1つ又は複数の生体及び前記環境の画像を記録する工程とによって捕捉されており、
前記ソフトウェアは、前記コントラスト増強造影剤によってもたらされるコントラストを前記画像内で用いて、前記1つ又は複数の生体に関する空間的定義を得るように構成される。
【0032】
本発明のさらに別の態様によれば、撮像されることになる1つ又は複数の生体の外側の環境内に使用するためのコントラスト増強造影剤と、環境内に1つ又は複数の生体を含むためのレセプタクルとが提供される。
【0033】
本発明の別の特徴及び利点は、例としてのみ与えられている、添付の図面を参照する本発明の好ましい実施形態に関する以下の説明から明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
本発明は撮像範囲の全域で画像を捕捉することができる撮像装置を用いて、1つ又は複数の生体を撮像する方法を提供する。撮像装置は、1つ又は複数の生体に関する空間的定義が得られるように、機能性を含む画像解析コンピュータソフトウェアを有する撮像システムを備える。本発明の実施形態は以下で説明され、その説明において生体は細胞である。
撮像システム
撮像システムは、本発明に従って構成された撮像システムのデータ処理構成要素の略図を示す図1を参照して説明される。システムは、下で詳しく説明されるように、検出器D1、D2、D3、D4、D5を含む共焦点顕微鏡などの撮像装置ID、スイッチSW、制御装置1、画像データ記憶装置2及び入出力(I/O)装置4を含む。関連コンピュータ端末CTは、中央演算処理装置(CPU)8、メモリ10、ハードディスクドライブ12などのデータ記憶装置並びに、コンピュータCTを、I/O装置4を経由して撮像装置ID、及びスクリーンI/O装置30を経由してスクリーン28の表示要素32の両方と相互接続することを促すI/O装置6を含む。オペレーティングシステムプログラム14はハードディスクドライブ12上に記憶され、知られているやり方で、コンピュータ端末CTの低レベルの動作を制御する。プログラムファイル及びデータ20もハードディスクドライブ12上に記憶され、知られているやり方で、関連装置及びハードディスクドライブ12上に記憶された出力データを経由してオペレータへの送出を制御する。関連装置は、スクリーン28の要素としてディスプレイ32、ポインティングデバイス(図示されず)、及び別のI/O装置(図示されず)を経由してオペレータから入力を受信し、かつオペレータへ情報を送出するキーボード(図示されず)を含む。ハードドライブ12上に記憶されたプログラムファイル20内に含まれるのは、アッセイ制御アプリケーション16、画像処理及び解析ソフトウェアシステム18、並びに撮像装置IDとデータ処理の間に作り出された出力ファイルとから受信された画像データを記憶するためのデータベース22である。画像解析ソフトウェアシステム18は、知られている画像処理及び解析ソフトウェアパッケージのカスタム版であってもよい。
【0035】
撮像装置IDを使用したアッセイの実行は、制御アプリケーション16を用いて制御され、画像データが取得される。少なくとも1つの検出器D1、D2、D3により、マルチウェルプレート内の少なくとも1つのウェルに関する画像データの取得が終わってから、画像データはコンピュータ端末CTに伝送され、コンピュータ端末ハードドライブ12上のデータベース22内に記憶され、その時点で、下でさらに詳しく説明されるように、画像データは画像処理及び解析ソフトウェアシステム18を用いて処理されてもよい。
【0036】
図2は、本発明の一実施形態を示し、そこで使用される撮像装置IDは、米国特許第6,400,487号及び第6,388,788号、並びに米国特許出願第10/227,522号で説明されるAmersham Biosciences IN Cell Analyzer(商標)システムに基づく共焦点顕微鏡である。顕微鏡は、例えば、光学距離350〜750nmの電磁放射源100又は110、円柱レンズ120、第1のスリットマスク130、第1のリレーレンズ140、二色性(dichroic)鏡150、対物レンズ170、サンプルウェルの二次元配列182を含むマルチウェルプレート180、チューブレンズ190、フィルタ200、第2のスリットマスク210及び検出器220を含む。これらの要素は、図2の平面に直角に延びる、マスク130、210内のスリットアパーチャ(slit aperture)132、212を有する光軸OAに沿って配置される。レンズ140、170及び190の焦点距離及びこれらのレンズ間の間隔、並びにマスク130とレンズ140との間、対物レンズ170とマルチウェルプレート180との間、及びレンズ190とマスク210との間の間隔は、共焦点顕微鏡を設置できるようなものとする。この実施形態では、ランプ100又はレーザ110からの電磁放射線は、円柱レンズ120を用いて直線に焦点を合わせる。直線の形は第1スリットマスク130によって最適化される。スリットマスク130は、平面内で生体面と共役する(conjugate)光学システムの画像面内に示される。スリットマスク130内でアパーチャ132によって形成される照明筋(illumination stripe)は、レンズ140、二色性鏡150及び対物レンズ170によって、サンプルウェルの二次元配列182を含むマルチウェルプレート180上に中継される。例示の都合上、図2の光学要素は断面図、マルチウェルプレートは遠近法によって示されている。マルチウェルプレート180上への照明線(line of illumination)の投影は、直線184によって示され、また図2の平面に直角となるものと解釈される。矢印A及びBによって示されるように、マルチウェルプレート180は、図示されない手段によって配列の寸法に沿って二次元(X、Y)に移動できる。
【0037】
サンプル範囲、例えば、サンプルウェル182内のサンプルの画像は、サンプル内の平面に照明線を投影し、そこから蛍光発光を検出器220上に撮像し、検出器220の読取りと同時に、プレート180を照明線に垂直方向に移動することにより得られる。図2に示される実施形態では、蛍光発光は対物レンズ170によって集められ、二色性ビームスプリッター150を介して投影され、フィルタ200及び第2のスリットマスク210を介して、無限遠補正(infinity−corrected)対物レンズ170を有する共焦点撮像システムに適するような検出器220上にレンズ190によって撮像される。二色性ビームスプリッター150及びフィルタ200は、優先的に照明波長で光を遮断する。検出器220は例示的にカメラであり、一次元であっても二次元であってもよい。一次元の検出器が使用される場合、スリットマスク210は不要である。照明、検出及び変換の手順は、所定の範囲が撮像されるまで継続される。
【0038】
多波長蛍光撮像を可能にする実施形態は、ある種のアッセイに関して好ましい。このように、複数の異なるカラーチャネルの各々で同時に撮像されている同じ範囲に関して画像データが作成され得る。
【0039】
独立した波長又は色の数は、実行されている特定のアッセイによって決まる。一実施形態では、3つの照明波長が用いられる。図3A及び図3Bは、3色のラインスキャン共焦点撮像システム内の光線経路をそれぞれ平面及び側面から示す。一般に、システムは、いくつかの電磁放射源Sn、コリメータレンズ(collimating lenses)Ln及び円柱レンズCLによって第1の空間フィルタSF1で細長いビームに集束させる平行ビームを作り出するための鏡Mn、第1空間フィルタSF1と第2空間フィルタSF2との間の共焦点顕微鏡、撮像レンズIL、ビームスプリッターDM1 及びDM2並びにサンプルから蛍光放射線の異なる波長成分を分離し、検出するための検出器Dnを備える。空間フィルタSF、並びにSF1 及びSF2はスリットマスクであることが好ましい。
【0040】
特に、図3Aは、色λ1、λ2 及びλ3のための電磁放射源S1、S2 及び3並びにそれぞれの電磁放射源から光を平行にするレンズL1、L2 及び3を示す。レンズL1、L2 及び3は、システム内の他のレンズの任意の色度を補うために調整されることが好ましい。鏡M1、M2 及び3は、電磁放射源Snからの照明色を組み合わせるために使用される。鏡M2 及び1は、部分的に透過し、部分的に反射し、優先的に二色性である。例えば、M2は優先的にλ3を透過し、優先的にλ2を反射する。したがって、λ3はλ2より大きいことが優先的である。
【0041】
共焦点モードの顕微鏡の動作は、電磁放射源Snからの組み合わされた励起ビームが生体面OP内で「直線」に、又は非常に偏心的な楕円に集束させることを必要とする。上で図2と関連して議論されたように、これを実現するために様々な構成が用いられてよい。図3Aに示された実施形態では、組み合わされた照射ビームは、円柱レンズCLによって、空間フィルタSF1内のスリットと一致する細長い楕円形内に集束される。図3A及び図3Bに描かれるように、スリットマスクSF1は、その長軸が図3Aのページの平面内にある、照明光の伝搬に直角に並ぶシステムの画像面内に存在する。レンズTL及びOLはSF1を含む平面から生体面OPに照明線を中継する。反射鏡TMは便宜上である。別の実施形態では、DM3はTLとOLとの間にあり、CLは照明光をBFPに直接集束させる。別の実施形態は当業者には明らかであろう。
【0042】
図3Bを参照すると、サンプルによって放射され、対物レンズOLによって集められた光は、チューブレンズTLによって空間フィルタSF2上に撮像される。SF2は、優先的にはページの平面まで直角に延びるように並べられたスリットである。したがって、フィルタSF2によって通された光は、実質的に照明線である。SF2は、一次画像面内又はそれに結合された任意の平面内に配置されてよい。DM3は部分的に反射し、部分的に透過し、「多色性(multichroic)」であることが好ましい。多波長の「二色性」鏡又は「多色性」鏡は、優先的にある種の波長帯域を反射し、優先的に他の波長帯域を透過することを実現できる。
【0043】
ここでは、δλ1はλ1によって励起された蛍光発光であると定義されることになる。これは、一般に、λ1よりも若干長い波長の分布であろう。δλ2 及びδλ3は同じように定義される。DM3は優先的にλnを反射し、優先的にδλnを透過する(n=1,2,3)。SF2によって透過された光は、一次画像に結合された平面内に存在する検出装置上で撮像される。図3Aでは、空間フィルタSF2の画像はすべての3つの検出器Dn上でレンズILによって生み出される。この実施形態は、それぞれの検出器によって作成された画像間に完全に近いレジストリ(near−perfect registry)を必要とする応用例において好ましい。別の実施形態では、個々のレンズILnは検出装置に関連し、レンズの対IL及びILnは空間フィルタSF2の画像をそれぞれ検出器Dn上に中継する働きをする。この光は鏡DM1 及びDM2によって検出器間で分割される。鏡は部分的に透過し、部分的に反射し、優先的に二色性である。DM1は優先的にδλ1を反射し、優先的にδλ2とδλ3を透過する。遮断フィルタBF1は、存在するすべての他の波長を効果的に遮断しながら、優先的にδλ1を透過する。DM2は優先的にδλ2を反射し、優先的にδλ3を透過する。遮断フィルタBF2 及びBF3は、存在するすべての他の波長を効果的に遮断しながら、優先的にδλ2 及びδλ3をそれぞれ透過する。
画像取得
撮像システムを用いて、細胞アッセイの画像が記録されてもよい。サンプル細胞培養は、複数のレセプタクル内、この例では、マルチウェルマイクロタイタープレート(microtitre plate)のサンプルウェル内に配置され、異なる化合物が各ウェル内に配置されてよく、化合物の添加に続く所望の時期に、サンプルの画像取得が実行され得る。
【0044】
図4は、本発明の一実施形態による、細胞培養を含む、撮像のためのサンプルウェル230の断面図を示す。サンプルウェル230は、先に説明されたサンプルウェル182と類似し、撮像システムの光軸OA上に配置される。ウェル230は、ウェル230がU型の断面を有するように、円筒壁の1つの端をカバーする底板234を伴い一体的に形成される円筒壁232を有する。ウェル230は細胞236に細胞培養の環境を提供する。細胞236は、ウェル230内部の底板234上に細胞236を配置することによって環境内に配置される。細胞236は、コントラスト増強造影剤(CEA)の所定の濃度を含む、セル236の外側に配置される物質内に分布され、コントラスト増強造影剤はこの物質の全体にわたってほぼ均一的に分布される。この物質は、細胞236に対して非毒性であり、細胞236の健全性を維持する栄養素及び条件を提供することによって細胞236を支持し、細胞培養が成長するのを助ける媒質237である。細胞236は、底板235の全域で、およそ1個の細胞の厚さを有する層を形成する。別の実施形態では、この層は1つの細胞より大きい厚さを有してもよい。この実施形態では、CEAは撮像の間に所定の波長の蛍光放射線を放射するように構成される。CEAの濃度は、この放射線の所定量が放射されるように選択される。先に説明された共焦点顕微鏡は、サンプルの撮像範囲の全域で、細胞236及び環境の画像を記録する。撮像範囲は、光軸OAに直角であり、細胞236の層を通過する平面238内にある。共焦点顕微鏡は、媒質237によって放射された蛍光放射線の所定の波長を検出することによって第1チャネル内の画像を記録する。細胞236によって占領される撮像範囲の範囲は、CEAによって放射される放射線により照射されてよい。良質の画像が記録されるようにこの照射を捉えるために、共焦点顕微鏡の設定が調整されてもよく、かつ媒質237内のCEAの濃度が選択されてもよい。
【0045】
図5は、この実施形態に従って記録された画像240を概略的に示す。CEAは、画像240内に撮像範囲内の細胞236の位置に対応する画像の比較的暗い範囲242と、環境に対応する画像の比較的明るい範囲244とのコントラストをもたらす。
【0046】
図6及び図7は、この実施形態に従って記録された画像の例を示す。この例では、細胞236はHela細胞であり、媒質237は、細胞236が培養されているCyDye(商標)(GE Healthcare Bio−Sciences、英国)誘導化合物である。媒質237は細胞236によって排除される。
【0047】
次に図4及び図8を参照して、本発明の異なる実施形態が説明される。この実施形態の特徴及び要素は、先の実施形態で説明された特徴と類似しており、1000だけ増分された同じ参照番号を用いて参照される。対応する説明は、この場合も適用されると解釈されたい。先の実施形態で説明された共焦点顕微鏡ではなく、この実施形態の撮像システムは、環境を介して、したがって、撮像範囲を介して放射線を透過し、細胞及び環境の画像を記録するために透過された放射線を検出する透過顕微鏡である。異なる実施形態では、波長はあるいは電磁スペクトルの異なる領域(例えば、紫外線領域)に存在する可能性があるが、この例では、透過された放射線は電磁スペクトルの可視光線領域に存在する波長を有する。透過顕微鏡は明視野タイプ又は位相差タイプのものであってよい。
【0048】
この実施形態では、CEAは、媒質1237が透過された放射線に対する細胞1236の透過率より低い透過された放射線の透過率を有するように選択される。CEAは、媒質1237が透過された放射線に対して不透明であるように、物質内に所定の濃度を有する。異なる実施形態でのCEAの濃度は、透過された放射線に対して媒質1237の異なるレベルの不透明性を得るために制御されてよい。図8は、この実施形態に従って記録された画像246を概略的に示す。CEAは、画像内に撮像範囲内の細胞1236の位置に対応する画像の比較的明るい範囲248と、環境に対応する比較的暗い範囲250とのコントラストをもたらす。
【0049】
次に図4及び図5を参照して、本発明の別の実施形態が説明される。この実施形態の特徴及び要素は、先の実施形態で説明された特徴と類似しており、2000だけ増分された同じ参照番号を用いて参照される。対応する説明は、この場合も適用されると解釈されたい。
【0050】
この実施形態では、細胞2236は、細胞2236の健全性を維持し、細胞培養が成長するのを助ける栄養素及び条件を提供することによって細胞2236を支持するが、CEAを含まない媒質252内で分布される。細胞2236は、図4を用いて先に説明されたサンプルウェル230に類似するが、CEAを含む物質で形成されるマイクロタイタープレートのサンプルウェル254内の環境内に配置される。このように、物質は媒質252の外側の領域内に配置される。異なる実施形態では、サンプルウェル254の一部だけが物質で形成されてもよい。あるいは、物質はサンプルウェルの部分内に埋め込まれてもよく、又は物質で形成されたビーズ、もしくは物質内でコーティングされたビーズをサンプルウェルの部分内に組み込んでもよい。CEAは撮像の間に蛍光放射線を放射し、この実施形態の撮像システムは先に説明された共焦点顕微鏡である。物質内のCEAの濃度は、CEAが画像2240内に細胞2236と環境とのコントラストをもたらすよう、CEAによって放射された蛍光放射線が撮像範囲の平面2238内に放射するように選択される。図5を参照すると、細胞2236は、細胞2236によって占有される平面2238内に存在する範囲内で、共焦点顕微鏡による検出に利用可能な放射された放射線の存在を制限するか、あるいは妨げる。このように、記録された画像2240の比較的暗い範囲2242は細胞2236に対応し、比較的明るい範囲2244は媒質252に対応する。
【0051】
次に図5及び図9を参照して、本発明の別の実施形態が説明される。この実施形態の特徴及び要素は先の実施形態で説明された特徴と類似しており、3000だけ増分された同じ参照番号を用いて参照される。対応する説明は、この場合も適用すると解釈されたい。
【0052】
図9を参照すると、サンプルウェル3230は物質で形成されておらず、媒質3252は物質を含まない。底板3234の内側表面は、所定の濃度のCEAを有する物質の層256を含むコーティングを含む。物質は、細胞3236がコーティングの表面258に粘着するように提供される。これは、1つの細胞の厚さを有する細胞3236の層を形成する助けとなり得る。物質は、例えば、ポリリシン、ポリオルニチン、コラーゲン、フィブロネクチン、ラミニン又はゼラチンなどの正電荷を持つポリマーである。CEAは、物質に標識を付けるために使用される蛍光染料(例えば、CyDye(商標))である。例えば、ポリリシンは蛍光染料Cy5により標識付けされてもよい。CEAを有する物質(この例では、CyDye(商標)共役ポリマー(polymer conjugate))の安定性は、細胞培養に曝された場合に、共役が一定の期間内(例えば、およそ48時間から72時間)分解しないように予め決定されてよい。異なる実施形態では、コーティングは複数の異なる層を含んでもよい。
【0053】
CEAの濃度は、撮像の間に、CEAが撮像範囲の平面3238内に放出する蛍光放射線を放射するように選択される。細胞3236は、細胞3236によって占有される撮像範囲の範囲内で、共焦点顕微鏡による検出に利用可能な、放射された放射線の存在を制限するか、あるいは妨げる。図5を参照すると、画像3240は共焦点顕微鏡により記録され、CEAは画像内に比較的暗い範囲3242と比較的明るい範囲3244とのコントラストをもたらす。
【0054】
本発明の別の実施形態では、生体(この場合は細胞)内の1つ又は複数の成分は、記録された画像内に細胞の成分とその他の範囲とのコントラストをもたらす第2のCEAを用いて印付けされる。この場合、成分は細胞より小さい成分、例えば、細胞の顆粒、ゴルジ装置、細胞核及び細胞の細胞膜である。細胞核の場合、第2のCEAは(DRAQ5(商標)又はHoechst(商標)染料、例えば、Hoechst 33342などの)毒性介在核染料(toxic intercalating nuclear dyes)のうちの1つなどの核マーカであってもよい。あるいは、NLS蛍光性融合タンパク(fluorescent protein fusion)などの非毒性マーカが使用されてもよい。例えば、Clontech(商標)pHcRed1−Nucベクターは、本発明従って細胞株内に核酸が取り込まれる(transfected)場合、細胞核内に赤い蛍光シグナルを作り出す。他の知られている蛍光マーカを用いて、異なるカラーチャネル内で、細胞質などのその他の範囲を印付けてもよい。
【0055】
次に図10を参照すると、1つのそのような実施形態では、撮像システムは先の実施形態に従って記録された画像に加えて、撮像システムの第2のチャネル内の撮像範囲の全域で細胞及び環境の第2の画像260をさらに記録する。第2のCEAは、細胞の細胞核に対応する第2の画像の比較的明るい範囲262と、細胞質及び媒質を含む、細胞核を取り囲む範囲に対応する比較的暗い範囲264とのコントラストをもたらす。これらの2つの記録された画像は、各画像の画素が一列に並ぶように再登録される。これは、画像スタックとして知られるファイル内に保存される。画像スタックは、解析目的で論理的に共に属する画像の集まりである。ほとんどの場合、所与の画像スタックは共通の取得を共有する画像を含む。
【0056】
次に図11を参照すると、異なる実施形態では、先の実施形態による共焦点顕微鏡を用いて記録された細胞及び環境の画像に類似するが、細胞より小さい成分の画像も含む画像266が記録される。第2のCEAは、細胞核に対応する画像の比較的明るい範囲268と、細胞質に対応する比較的暗い範囲270とのコントラストをもたらす。細胞及び成分の画像を有する1つの画像を記録することは、撮像システムの2つのチャネルではなく、1つのチャネルのみの使用を必要とする。したがって未使用のチャネルは、撮像範囲の全域で細胞の異なる特性及び媒質を検出するために使用されてもよい。撮像システムの別のチャネルは、細胞培養の別の異なる特性を撮像するために使用されてもよく、これらの異なる画像は画像スタックを形成するために他の画像と共同登録されてもよい。
【0057】
第2の画像260又は細胞より小さい成分及び細胞の画像を含む画像266内で第2のCEAによってもたらされたコントラストは、後で説明されるように、1つ又は複数の成分に関する空間的定義を得ることを可能にする。
【0058】
本発明の別の実施形態では、CEA及び又は第2のCEAは、あるいは、異なる波長の放射線を放射しても、又は異なる種類の放射線、例えば、化学発光及び燐光などの発光放射線を放射してもよい。サンプルウェルの寸法、撮像範囲の平面の位置及び物質の化合物、CEA、第2のCEA及び媒質は、上で説明されたものと異なってもよい。先に説明された媒質は、非生体媒質であるが、異なる実施形態では、この媒質はその代わりに生体媒質であってもよい。
画像処理及び解析
空間的定義は、いくつかの工程に従って画像処理及び解析ソフトウェアシステムを用いて、画像を解析することによって予め記録された画像のうち任意の1つの中の細胞に関して得ることが可能である。画像解析は完全に自動化されてもよく、又は画像解析ソフトウェアシステムによって提供されるグラフィカルユーザインターフェースを経由してユーザによって変更された設定によって制御されてもよい。
【0059】
画像解析の工程を詳しく述べる図12を参照する。これらの工程は、図5を参照して説明される実施形態で記録された画像240に関して下で説明される。画像の比較的暗い画素と比較的明るい画素を識別するために、明るさ閾値が記録された画像240に適用されるS1。明るさ閾値のレベルは、CEAによってもたらされる、異なる明るさ強度を有する撮像範囲に基づき設定される。図13は、画像240の閾値処理された画像272を示す。閾値の適用は、域値に満たない明るさ強度を有する、記録された画像240の画素に対応する比較的暗い画素の範囲274及び閾値を超える明るさ強度を有する、比較的明るい画素の範囲276の両方を有する、閾値処理された画像272を作り出す。比較的暗い画素の1つの範囲277は、細胞のうちの1つに対応する。
【0060】
閾値処理された画像272は、次いで分割された生体範囲に分割されるS2。各生体範囲は、1つの細胞に対応する閾値処理された画像272の1つの範囲に対応する。分割は、グレースケール分割アルゴリズム、粒状分割(granular segmentation)アルゴリズム、バイナリ分割アルゴリズム、又は多層(multi−scalar)分割アルゴリズムなどの分割アルゴリズムによって実行される。
【0061】
分割された生体範囲は、次に細胞として割り当てられS3、これら分割された範囲の外側の領域は媒質として割り当てられる。CEAが放射線を放射する、先に説明された実施形態の場合、画像の比較的暗い生体範囲は分離されて、細胞として割り当てられる。CEAが透過された放射線に対して不透明である、先に説明された実施形態の場合、閾値処理された画像の比較的明るい生体範囲が分離されて、細胞として割り当てられる。
【0062】
これに続き、細胞に対応する、画像の分割された生体範囲の各々に関して空間的定義が得られるS4。図14は、1つの細胞に対応する、閾値処理された画像272の1つの範囲277に関して得られた空間的定義278を概略的に示す。細胞のうちの1つに対応する撮像範囲を画定するために、各空間的定義は記録された画像240内の画素を識別する。
【0063】
第2のCEAによってもたらされるコントラストを有する記録された画像のために、類似の画像解析が使用される。図15は、図10を参照して説明された第2の記録された画像260に対して明るさ閾値を適用することによって作り出される閾値処理された画像280を概略的に示す。比較的明るい画素の範囲282は細胞核に対応し、比較的暗い画素の範囲285は細胞核を取り囲む範囲に対応する。比較的明るい画素の1つの範囲285は、細胞核のうちの1つに対応する。閾値処理された画像280は、次いで細胞より小さい成分に対応する生体成分範囲に分割される。各生体成分範囲は、細胞核のうちの1つに対応する。各生体成分範囲は細胞核として割り当てられ、各細胞核に関する空間的定義が得られる。図16は、1つの細胞核に対応する閾値処理された画像280の1つの範囲285に関して得られた空間的定義286を概略的に示す。
【0064】
図11を参照して説明される実施形態の場合、記録された画像266は同様に閾値処理される。この閾値処理された画像の比較的明るい画素の範囲は、細胞核及び媒質に対応し、比較的暗い画素の範囲は細胞質に対応する。閾値処理された画像は、次いで生体範囲と、後にそれぞれ細胞及び細胞核として割り当てられる生体成分範囲とに分割される。次いで、細胞及び細胞核に関する空間的定義が得られる。
【0065】
画像を分割する前に、フラットフィールド校正、雑音除去及びシェーディング除去など、前処理アルゴリズムが画像に適用されてもよい。分割前に、ふるい分け、生体のクランピング除去、テセレーション(tesselation)、分割された画像生体の侵食又は膨張など、後処理アルゴリズムが適用されてもよい。
【0066】
得られた空間的定義は、細胞の記録画像をさらに処理するために使用されてもよい。加えて、撮像システムの1つ又は複数のチャネル内に記録される、細胞の別の記録された画像は、やはり得られた空間的定義を用いて処理されてもよい。一例では、得られた空間的定義は画像マスクを形成するために用いられてもよい。図17は、図16で参照される1つの細胞核の空間的定義286に対応する細胞核マスク291と、図14で参照される1つの細胞の空間的定義278に対応する細胞質マスク292の両方を有するが、1つの細胞核の空間的定義286を伴わないマスク290を概略的に示す。1つの細胞の細胞マスクは、細胞質マスク292と細胞核マスク291とを共に含む。そのようなマスクは1つ又は多くのチャネル内に記録された、細胞培養の記録された画像をさらに処理するために使用されてもよい。例えば、マスクは細胞、細胞質及び又は細胞核に対応する、そのような別の画像の領域を空間的に画定するために使用されてもよい。
【0067】
図18aは、緑色蛍光タンパク(GFP)、特にEGFP(BD Clontech)を表現する2つのCHO細胞236の画像240を示す。エメラルド(Tsien,Annu.Revs.Biochem.,(1998),67,509−544)又は赤色(J−Red)(Evrogen)などの他の形式の蛍光タンパクが知られている。GFPは細胞質270内に局在し、細胞核268の比較的暗い範囲と排除された媒質237とによりコントラストをもたらす。閾値処理に続いて、図18bでビットマップオーバーレイの白色領域270によって示されるように、蛍光細胞質タンパクが識別される。この情報から、細胞核268の周囲の内側周囲長265が計算によって識別され(例えば、周囲長内の画素に1の値が与えられ、周囲長外の画素に0の値が与えられ)細胞核「マスク」(図18c)を作り出すことができる。この例では、周囲長は細胞質の明るい範囲を用いて定義されてよい点に留意されたい。生み出された細胞核マスクは、報告され得る寸法(例えば、範囲、直径、周囲長、中心など)を有する。マスクはその時点で(強度などの)細胞核測定が取得できるように、細胞核の源画像(source image)に問い合わせる(intellogate)ために使用されてもよい。図18dは、細胞質270源の画像上に重ね合わされた細胞核ビットマップを示し、細胞核ビットマップは各細胞の細胞核領域268を正確に識別することを立証する。
【0068】
当業者は、第1の源画像から特定のマスクが作り出されると、第2の源画像に問合せを行うためにこのマスクが使用されてよい点を理解されよう。例えば、特定の薬物(例えば、Ad−A−gene vectors,Amersham Biosciences; GFP Assays:Live−Cell Translocation Assays,Amersham Biosciences)に応じて、細胞質と細胞核との間を移動できる蛍光プローブが知られている。第1の源画像からの細胞核マスクを使用することによって、第2の源画像内のプローブに問い合わせ、細胞核領域内のプローブの量を定量化することが可能である。
【0069】
本発明は、疾病治療のための薬理学的薬剤を特定するのに役立つ。本発明は、生体及び又は生体の成分を特定するために使用される化合物が、アッセイの期間中に細胞培養の健全性の低下を引き起こさないことが重要である場合、様々な生物学的アッセイを行うための、潜在的に自動化された、処理能力の高い方法を提供する。そのようなアッセイは、化合物に対して又は、コンビナトリアルライブラリ(combinatorial libraries)内に見つかるようなものなどの薬物候補を含むがこれに限定されない、任意の生物学的対象の分子に対して行われることができ、生物学的対象の化合物の処理能力の高いスクリーニングを可能にする。
【0070】
上記の実施形態は、本発明の説明のための例として理解されたい。本発明の別の実施形態が想定される。いずれの一実施形態に関して説明されたいずれの特徴は、単独で、又は説明された別の特徴と組み合わせて使用されてもよく、いずれのその他の実施形態の1つもしくは複数の特徴と組み合わせて、又はいずれのその他の実施形態の任意の組合せで使用されてもよい点を理解されたい。さらに、添付の特許請求の範囲で定義される、本発明の範囲から逸脱せずに、上に説明されない均等物及び変更物を使用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の一実施形態に従って構成された撮像システム内のデータ処理構成要素を示す略図である。
【図2】本発明に従ってサンプルを撮像するために使用されるラインスキャン共焦点顕微鏡(line−scan confocal microscope)の第1の実施形態の概略図である。
【図3a−b】それぞれ走査鏡を伴わない、本発明の多色性の実施形態の光線経路(ray path)の平面図及び側面図である。
【図3c】シングルビームオートフォーカス(single beam autofocus)の光線経路の平面図である。
【図4】本発明の実施形態による生体を含むレセプタクルの断面図である。
【図5】本発明の実施形態による生体の画像を概略的に示す図である。
【図6】本発明の一実施形態に従って記録された生体の例示的画像を示す図である。
【図7】本発明の一実施形態に従って記録された生体の例示的画像を示す図である。
【図8】本発明の一実施形態による生体の画像を概略的に示す図である。
【図9】本発明の一実施形態による生体を含むレセプタクルの断面図である。
【図10】本発明の一実施形態に従って記録された生体成分の画像を概略的に示す図である。
【図11】本発明の一実施形態に従って記録された生体及び生体成分の画像を概略的に示す図である。
【図12】本発明の一実施形態に従って空間的定義を得るための工程の流れ図である。
【図13】本発明の一実施形態による生体の閾値処理された画像を概略的に示す図である。
【図14】本発明の一実施形態による生体の空間的定義を概略的に示す図である。
【図15】本発明の一実施形態による生体成分の閾値処理された画像を概略的に示す図である。
【図16】本発明の一実施形態による生体成分の空間的定義を概略的に示す図である。
【図17】本発明の一実施形態によるマスクを概略的に示す図である。
【図18a−d】本発明の一実施形態に従って記録され、撮像された生体の例示的な画像を示す図である。

Claims (23)

  1. 撮像範囲の全域で画像を捕捉できる撮像装置を用いて、1つ又は複数の生体を撮像する方法であって、当該方法が、
    a)前記1つ又は複数の生体を環境内に配置する工程と、
    b)像内に前記1つ又は複数の生体と前記環境とのコントラストをもたらす、コントラスト増強造影剤を提供する工程と、
    c)前記撮像装置を用いて、前記1つ又は複数の生体及び前記環境の画像を記録する工程であって、前記環境を通して放射線を透過させて、前記透過した放射線を検出することを含む工程と、
    d)前記コントラスト増強造影剤によってもたらされる画像内のコントラスト用いて、前記1つ又は複数の生体に関する空間的定義を得る工程と
    を含んでいて、前記工程b)において前記コントラスト増強造影剤が前記1つ又は複数の生体の外側の前記環境内に提供される、方法。
  2. 前記コントラスト増強造影剤が、記1つ又は複数の生体が支持される媒質で提供される、請求項1記載の方法。
  3. 前記工程c)の録する工程の間、前記環境を通して放射線を透過させる工程と、前記透過した放射線を検出する工程とを含む、請求項2記載の方法。
  4. 前記透過した放射線に対する前記1つ又は複数の生体の透過率よりも低い前記透過した放射線の透過率を有する前記コントラスト増強造影剤を構成する工程を含む、請求項3記載の方法。
  5. 前記画像の比較的明るい範囲を分離する工程と、前記1つ又は複数の生体として前記比較的明るい範囲を割り当てる工程とを含む、請求項4記載の方法。
  6. 前記造影剤が放射線を放射するように前記造影剤を構成する工程と、前記工程c)の録する工程の間、前記放射された放射線を検出する工程とを含む、請求項2記載の方法。
  7. 前記画像の比較的暗い範囲を分離する工程と、前記1つ又は複数の生体として前記比較的暗い範囲を割り当てる工程とを含む、請求項6記載の方法。
  8. 記1つ又は複数の生体が支持される媒質を提供する工程と、前記媒質の外側の領域内で前記コントラスト増強造影剤を提供する工程とを含む、請求項1記載の方法。
  9. 前記1つ又は複数の生体を含むレセプタクルを提供する工程を含み、前記レセプタクルの少なくとも一部が前記コントラスト増強造影剤で形成される、請求項8記載の方法。
  10. 前記1つ又は複数の生体を含むレセプタクルを提供する工程を含み、前記レセプタクルの内側表面が前記コントラスト増強造影剤の層を含むコーティングを含む、請求項8記載の方法。
  11. 前記1つ又は複数の生体が前記コーティングの表面に粘着するように、前記コーティングに粘着性を提供する工程を含む、請求項10記載の方法。
  12. 放射線を放射するように前記造影剤を構成する工程と、前記工程c)の録する工程の間、前記放射された放射線を検出する工程とを含む、請求項8乃至請求項11のいずれか1項記載の方法。
  13. 前記1つ又は複数の生体が、前記1つ又は複数の生体内で、検出に利用可能な前記放射された放射線の存在を制限するように、又は妨げるように、前記コントラスト増強造影剤を構成する工程を含む、請求項12記載の方法。
  14. 前記画像の比較的暗い範囲を分離する工程と、前記1つ又は複数の生体として前記比較的暗い範囲を割り当てる工程とを含む、請求項8乃至請求項13のいずれか1項記載の方法。
  15. i)閾値処理された画像を作り出すように、比較的暗い画素と比較的明るい画素とを識別するために、前記画像に明るさの閾値を適用する工程と、
    ii)前記閾値処理された画像を生体範囲に分割する工程
    を含む、請求項1乃至請求項14のいずれか1項記載の方法。
  16. 前記空間的定義が前記画像内の画素を識別する、請求項1乃至請求項15のいずれか1項記載の方法。
  17. 前記1つ又は複数の生体が、前記1つ又は複数の生体内に1つ又は複数の成分を含み、当該方法が、前記成分を、画像内に前記1つ又は複数の生体の前記成分とその他の範囲とのコントラストをもたらす第2のコントラスト増強造影剤で印付ける工程を含む、請求項1乃至請求項16のいずれか1項記載の方法。
  18. 前記撮像装置を用いて、前記1つ又は複数の生体及び前記環境の第2の画像を記録し、それによって、前記第2のコントラスト増強造影剤によってもたらされる前記第2の画像内のコントラスト用いて、1つ又は複数の前記成分に関する空間的定義を得ることができる工程を含む、請求項17記載の方法。
  19. 記第2のコントラスト増強造影剤によってもたらされる、工程c)で記録された画像内のコントラストを用いて、1つ又は複数の前記成分に関する空間的定義を得ることができる、請求項17記載の方法。
  20. 前記コントラスト増強造影剤が生体物質又は非生体物質である、請求項1乃至請求項19のいずれか1項記載の方法。
  21. 前記コントラスト増強造影剤が蛍光タンパク又は蛍光染料である、請求項1乃至請求項20のいずれか1項記載の方法。
  22. 前記コントラスト増強造影剤が、前記1つ又は複数の生体に対して非毒性である、請求項1乃至請求項21のいずれか1項記載の方法。
  23. 前記1つ又は複数の生体が細胞である、請求項1乃至請求項22のいずれか1項記載の方法。
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