JP2008523194A - フタロシアニン、及びインクジェット印刷機におけるその使用 - Google Patents
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Abstract
Description
カラーインクジェット印刷機では典型的に、4種の異なる着色インク、すなわち、マゼンタ、黄、シアンおよび黒が用いられる。これら以外の色は、これらのインクの異なる組合わせを用いて入手することができる。したがって、最適な印刷品質のためには、用いる着色剤が、特定の精確な色相を有するインクを形成することができなければならない。これは着色剤を混合することにより実現することができるが、必要とされる厳密な色相を有する単一の着色剤によって有利に実現される。
Mは、2H、Si、金属、オキシ金属基、ヒドロキシ金属基またはハロ金属基であり;
Pcは、式
R1およびR2は、独立して、Hまたは置換されていてもよいC1−4アルキルであり;
Lは二価の連結基であり;
Bは置換基であり;
xは0.1〜3.8であり;
yは0.1〜3.8であり;
zは0.1〜3.8であり;
(x+y+z)の合計は2〜4であり;そして
x、yおよびzにより表される置換基はフタロシアニン環のβ位にのみ付着しており、該染料は繊維反応性基を含まない]。
好ましくは、R1およびR2は、独立して、メチルまたはHである。
Lは、好ましくは、ヘテロ原子または二重もしくは三重の炭素−炭素結合により置換されていてもよいか割り込まれてもよい−アルキレン−;置換されていてもよい−アリーレン−;または置換されていてもよい−ヘテロサイクレン−である。
R1およびR2に関する所望による置換基、ならびに、置換されていてもよい−アルキレン−を含む場合のLに関する所望による置換基は、独立して、置換されていてもよいアルコキシ(好ましくはC1−4−アルコキシ)、置換されていてもよいアリール(好ましくはフェニル)、置換されていてもよいアリールオキシ(好ましくはフェノキシ)、置換されていてもよいヘテロシクリル(好ましくはトリアジニル)、ポリアルキレンオキシド(好ましくはポリエチレンオキシドまたはポリプロピレンオキシド)、CO2H、SO3H、PO3H2、ニトロ、シアノ、ハロ(好ましくはClおよびBr)、ウレイド、−SO2F、ヒドロキシ、エステル、−NRaRb、−CORa、−CONRaRb、−NHCORa、カルボキシエステル、スルホン、および−SO2NRaRb[式中、RaおよびRbは、それぞれ独立して、Hまたは置換されていてもよいアルキル(特にC1−4−アルキル)である]であることが好ましい。上記置換基のいずれかに関する所望による置換基は、同じ置換基のリストから選択することができる。
一態様において、Bは、少なくとも1個のアニオン性基、特にカルボキシおよび/またはスルホを含む。
yは、好ましくは0.1〜0.9、より好ましくは0.2〜0.8、特に0.2〜0.7、さらに特に0.3〜0.7である。
(x+y+z)の合計は好ましくは3〜4であり、より好ましくは(x+y+z)の合計は4である。
塩素化は、フタロシアニンβ−スルホン酸を、好ましくは、塩化チオニル、塩化スルフリル、五塩化リン、オキシ塩化リンまたは三塩化リンなどの酸ハロゲン化物の存在下で、クロロスルホン酸と処理することにより、実施することが好ましい。
この反応により、式(1)のフタロシアニン染料の混合物が得られる。
式(1)の染料の混合物は、魅力的な強いシアンの色彩を有し、インクジェット印刷用インクの調製に用いるのに有用な着色剤である。それらの利点は、溶解度、貯蔵安定性、ならびに水および光に対する堅牢度の良好なバランスによりもたらされる。
好ましい塩は、アルカリ金属塩、特に、リチウム、ナトリウムおよびカリウム;アンモニウムおよび置換アンモニウム塩((CH3)4N+のような第四級アミンを含む);ならびに、それらの混合物である。特に、ナトリウム、リチウム、アンモニアおよび揮発性アミンを伴う塩、さらに特にナトリウム塩が好ましい。式(1)の染料を、公知の技術を用いて塩に転化してもよい。
本発明の第2の観点に従って、本発明の第1の観点に記載したような式(1)の染料の混合物と液体媒体とを含む組成物を提供する。
(a)本発明の第1の観点に記載したような式(1)の染料の混合物0.01〜30部;および
(b)液体媒体70〜99.99部;
を含み、ここにおいて、すべての部は重量基準である。
成分(a)の部数は、重量基準で、好ましくは0.1〜20、より好ましくは0.5〜15、特に1〜5部である。成分(b)の部数は、重量基準で、好ましくは80〜99.9、より好ましくは85〜99.5、特に95〜99部である。
インクジェット印刷機での使用に適したインクは、合計で好ましくは500ppm未満、より好ましくは250ppm未満、特に100ppm未満、さらに特に10ppm未満の二価および三価の金属イオン(式(1)の染料またはインクに組み込まれている任意の他の着色剤もしくは添加剤に結合しているあらゆる二価および三価の金属イオン以外のもの)を含有する。
好ましい紙は、普通紙か、または、酸性、アルカリ性もしくは中性特性を有することができる処理紙である。光沢紙が特に好ましい。
本発明の第5の観点は、チャンバーとインクジェット印刷機での使用に適したインクとを含むインクジェット印刷機用カートリッジであって、該インクが該チャンバー内にあり、そして該インクが本発明の第2の観点で定義されたとおりである、前記インクジェット印刷機用カートリッジを提供する。該カートリッジは、本発明の第2の観点に記載したような高濃度インクと低濃度インクを、異なるチャンバー内に含有することができる。
式(1)の染料の分析
式(1)の染料の構造の確認は、質量分析法による。元素分析を用いてx、yおよびzの比率を決定する。このようにして、以下の実施例の染料では、質量分析により、すべての場合においてx+y+zが4であることが示されている。元素分析により決定したxそしてyおよびzの合計が厳密に4ではない場合、これは不純物の存在に起因すると考えられる。これら不純物の存在、ならびにx、yおよびzの概算値に対するそれらの影響は、当業者には周知であり、当業者であればx+y+zの値が4を超えるべきでないことを理解し、実験的に決定したx、yおよびzの値を該群の比率を示唆するものとみなすであろう。
カリウム4−スルホフタル酸(56.8g)、尿素(120g)、CuCl2(6.9g)、モリブデン酸アンモニウム(1.2g)および1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン(DBU)(7.5g)を反応器内で混合した。その後、混合物を2時間にわたり段階的(130℃/30分、150℃/30分、180℃/30分、220℃)に加温し、形成した溶融物を220℃でさらに2時間撹拌した。形成した固体を湯(4×200mL)で4回抽出し、抽出物を濾過して不溶性材料を除去した。得られた濾液を60℃〜70℃で撹拌した後、十分なNaClを加えると、7%塩溶液が得られた。撹拌を継続し、沈殿した固体を濾過し、10%塩溶液(200mL)で洗浄し、減圧乾燥した。得られた湿潤固体(77.6g)をアセトン中でスラリー化し、濾過し、最初は室温で、その後50℃で乾燥した。
β置換銅フタロシアニンスルホニルクロリドの調製:
オキシ塩化リン(8.48g)を28℃でクロロスルホン酸(86g)に加えた。その後、段階1の生成物(16g)を、温度を60℃未満に維持しつつ、この混合物に10〜15分かけて加えた。この反応混合物を140℃に加温し、撹拌しつつこの温度で6.5時間維持した。この時間の終了時に反応混合物を冷却し、室温で一晩撹拌した。翌日、反応溶融物を水/氷(100g/150g)の混合物に加え、必要な場合は外部冷却およびさらなる追加的な氷を用いて、温度を0℃未満に維持した。得られた懸濁液を濾過し、酸性化した氷冷水(100mL)で洗浄すると、生成物が湿潤ペーストとして得られた(50.9g)。
トリアジニルアミンの調製
2,5−ジスルホアニリン(13.8g)を、pH7で水酸化ナトリウム溶液を含む水中に溶解し、pH5〜6および5℃で水(200mL)およびカルソレンオイル(calsolene oil)(数滴)中の塩化シアヌル(9.28g)のスラリーに滴下して加えた。反応物のpHを、希水酸化ナトリウムの添加により維持した。2時間後、pHを7に上昇させ、反応物を25℃で0.5時間放置した後、濾過した。ジメチルアミン(力価40%)(6.3mL)を濾液に加え、pHをpH8.5〜9に上昇させ、反応物を25℃で2時間保持した。その後、pHをpH9〜10に維持しつつ、反応物を60℃で1時間、続いて80℃で1時間撹拌した。反応物を一晩放置して室温まで冷却した。翌日、エチレンジアミン(33mL)を加え、反応物を80℃で2時間加熱した。得られた生成物を、反応混合物を低体積(200mL)まで濃縮し、塩(20g)を加え、濃塩酸を用いてpHを1まで低下させることにより単離した。沈殿した固体を濾過し、20%塩化ナトリウム溶液(50mL)で洗浄した。沈殿物を、メタノール(170mL)と水(9mL)の混合物中で、室温および続いて60℃で1時間撹拌し、放置して冷却し、濾過し、メタノール(25mL)で洗浄し、乾燥すると、所望の生成物が白色固体として得られた(18.5g)。
表題染料の調製
氷/水(150mL)中の段階2からのフタロシアニンスルホニルクロリド(24.45g)を、0〜5℃の氷冷水(50mL)および0.88アンモニア(0.062g)中の段階3からのトリアジニルアミンの撹拌混合物(9.5g)に加えた。希水酸化ナトリウムの添加によりpHを9.5に上昇させ、0〜5℃で1時間、60°で1時間の後、80℃およびpH9.5〜10で1時間撹拌した。塩化ナトリウム(20%まで)を加え、濃塩酸を用いてpHを1まで低下させた。その後、得られた沈殿物を濾過により収集し、20%塩化ナトリウム溶液(50mL)で洗浄し、低い導電率まで透析した後、乾燥した。生成物の微量分析は、x=0.2、y=2.2およびz=1.5を示した。
実施例2〜6は、段階4においてアンモニアの代わりに塩化アンモニウムを用い、x、yおよびzにより表される置換基の比率を、用いる塩化アンモニウムとトリアジニルアミンの比率を変動させることにより変動させた点を除き、実施例1に記載したとおりに調製した。x、yおよびzの値は元素微量分析により決定した。
氷/水(130mL)中のフタロシアニンスルホニルクロリド(31.75g)(実施例1の段階1および段階2と同様に調製)を、0〜5℃の水(50mL)中の実施例1、段階3からのトリアジニルアミンの撹拌混合物(3.16g)に加えた。pHを、28%アンモニアの添加により9まで上昇させた。反応混合物を、0〜5℃で1時間、60°、pH9〜9.5で1時間の後、80℃およびpH9〜10.5で1時間撹拌した。アンモニアの添加によりpHを維持した。塩化ナトリウム(20%まで)を加え、濃塩酸を用いてpHを1まで低下させた。生じた沈殿物を濾過により収集し、塩化ナトリウムの20%溶液(50mL)で洗浄し、低い導電率まで透析し、乾燥すると、生成物が7g得られた。
実施例8〜9は、実施例7に記載したとおりに調製した。x、yおよびzにより表される置換基の比率を、用いるトリアジニルアミンの比率を変動させることにより変動させた。x、yおよびzの値は元素微量分析により決定した。
インクは、実施例1〜9の染料から、3gの染料を、5部の2−ピロリドン;5部のチオジエチレングリコール;1部のSurfynolTM465、および89部の水からなる97mLの液体媒体に溶解し、水酸化ナトリウムを用いてpHをpH8〜9に調整することにより調製することができる。SurfynolTM465はAir Productsからの界面活性剤である。
上記のように調製したインクは、0.45ミクロンのナイロン製フィルターに通して濾過した後、シリンジを用いて空の印刷用カートリッジ中に加えることができる。
その後、インクを、普通紙または専門的媒体のいずれかの上にインクジェット印刷することができる。
インクジェット印刷により形成した印刷は、Hampden 903 Ozoneキャビネット内で40℃、相対湿度50%で1ppmのオゾンに24時間暴露することにより、耐オゾン堅牢度について試験することができる。印刷されたインクの耐オゾン堅牢度は、オゾンへの暴露前後の光学濃度における差異により判定することができる。
測定配置:45°/0°
スペクトル域:380〜730nm
スペクトル間隔:10nm
光源:D65
観測視野:2°(CIE1931)
密度:Ansi A
外部充填物(External Filler):なし
表AおよびBに記載したインクを調製することができ、ここにおいて、第1列に記載した染料は同じ番号の上記実施例で作成された染料である。第2列以降に挙げた数字は当該成分の部数をさし、すべての部は重量基準である。インクは、サーマル式または圧電式のインクジェット印刷により、紙に使用することができる。
PG=プロピレングリコール
DEG=ジエチレングリコール
NMP=N−メチルピロリドン
DMK=ジメチルケトン
IPA=イソプロパノール
MEOH=メタノール
2P=2−ピロリドン
MIBK=メチルイソブチルケトン
P12=プロパン−1,2−ジオール
BDL=ブタン−2,3−ジオール
CET=セチルアンモニウムブロミド
PHO=Na2HPO4および
TBT=第三級ブタノール
TDG=チオジグリコール
Claims (18)
- yが0.1〜0.9である、請求項1に記載の染料の混合物。
- MがCuである、請求項1または請求項2のいずれかに記載の染料の混合物。
- R1およびR2が、独立して、メチルまたはHである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の染料の混合物。
- R1およびR2が両方ともHである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の染料の混合物。
- Lが、置換されていてもよいC1−4アルキレンである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の染料の混合物。
- Bが、H、−OH、−SH、−NH2、または置換されている−O、−Sもしくは−Nである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の染料の混合物。
- Bが、−OH、−NHCH3、−N(CH3)2、−NHC2H4SO3H、−N(CH3)C2H4SO3H、−NC3H6SO3H、−NHジスルホフェニル、−NHスルホフェニル、−NHカルボキシフェニルまたは−NHジカルボキシフェニル、−NHスルホナフチル、−NHジスルホナフチル、−NHトリスルホナフチル、−NHカルボキシナフチル、NHジカルボキシナフチル、NHトリカルボキシナフチル、−NHスルホヘテロシクリル、−NHジスルホヘテロシクリル、または−NHトリスルホヘテロシクリルからなる群より選択される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の染料の混合物。
- (x+y+z)の合計が4である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の染料の混合物。
- β−置換フタル酸またはその類似体の環化を含む方法により調製される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の染料の混合物。
- フタロシアニン環のα位にH以外の置換基を含まない、請求項1〜10のいずれか一項に記載の染料の混合物。
- 請求項1〜11のいずれか一項に記載の式(1)の染料の混合物と液体媒体とを含む組成物。
- 請求項12に記載の組成物であって、
(c)請求項1〜12のいずれか一項に記載の式(1)の染料の混合物0.01〜30部;および
(d)液体媒体70〜99.99部;
を含み、ここにおいて、すべての部は重量基準である、前記組成物。 - インクジェット印刷機での使用に適したインクである、請求項12または請求項13のいずれかに記載の組成物。
- 基材上に像を形成するための方法であって、請求項14に記載のインクを、インクジェット印刷機を用いて該基材に使用することを含む、前記方法。
- 請求項15に記載の方法を用いて印刷された材料。
- 写真である、請求項16に記載の材料。
- チャンバーと請求項14に記載のインクとを含むインクジェット印刷機用カートリッジであって、該インクが該チャンバー内にある、前記インクジェット印刷機用カートリッジ。
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