JP2008520197A - 光学活性アルコールの製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、(S)−ブタン−2−オールの製造のための酵素的方法、該方法を実施するための酵素、該酵素をコードする核酸配列、該配列を含む発現カセット、ベクターおよび組換え宿主に関する。
【選択図】図1

Description

本発明は、アルコールデヒドロゲナーゼの存在下でブタン−2−オンを還元することによる(S)−ブタン−2−オールの製造方法に関する。
種々の生体触媒を用いるブタン−2−オンのブタン−2−オールへの還元については、既に記載されている[J. Org. Chem. (1992) 57:1526, Chemistry Letters (1987) 2089, Arch. Biochem. Biophys. (1992) 292:539]。
しかしながら、こうした研究ではエナンチオ選択性について報告されていない。更に、R−ブタン−2−オールの製造については公表されている[J. Am. Chem. Soc. (1986) 108:162]。しかし、この場合、48%eeのエナンチオ選択性が得られているにすぎない。
S−ブタン−2−オールの生体触媒による合成については、Nakamuraら[Tetrahedron: Asymmetry (2003) 14:2659, Tetrahedron: Asymmetry (2002) 13:971]によって検証されており、その際94%eeのエナンチオ選択性が達成されている。これらの研究においては、乾燥させたゲオトリカム・カンジダム(Geotrichum candidum)細胞が使用されている。しかしながら、上記の反応を触媒する酵素については詳述されていない。
本発明の目的は、ブタン−2−オンのエナンチオ選択的還元による(S)−ブタン−2−オールの製造方法であって、最大のエナンチオマー純度を有する(S)−ブタン−2−オールを高い化学的収率で得るための方法を提供することである。
本発明は、
(i) 配列番号2のポリペプチド配列、または
(ii) 配列番号2の配列に対して少なくとも80%同一であるポリペプチド配列、
を有するアルコールデヒドロゲナーゼの存在下でブタン−2−オンを還元することによる(S)−ブタン−2−オールの製造方法に関する。
本発明の方法に好適なアルコールデヒドロゲナーゼ(以下ADHと略する)は、NAD依存的反応で2−プロパノールを酸化して2−プロパノンを生成することができるADHである。
更に、本発明の方法に好適なADHは、配列番号2に示すポリペプチド配列、または配列番号2の配列に対して少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、特に好ましくは少なくとも95%、そして更には少なくとも97%、98%、もしくは99%同一であるポリペプチド配列を有する。
配列番号2を有するポリペプチドは、大腸菌から得られるプロパノールデヒドロゲナーゼである[Swissprot: 遺伝子座ADHP_ECOLI、アクセッション番号P39451; GenBank ID 48994873領域: 相補鎖 (1550852から1551892); [Science (1997) 277: 1453]。この酵素の単離については、実施例の項に記載される。
更なる別の好適なADHは、そのポリペプチド配列が、配列番号2に対して上記の配列同一性のいずれかを有するものである。
本明細書に記載した目的のためには、配列同一性は、ウィスコンシン大学のジェネティクス・コンピュータ・グループ(Genetics Computer Group (GCG))の「GAP」コンピュータプログラムによって決定すべきであり、GCGが推奨する標準的パラメーターを用いて、Version 10.3を利用するものである。
こうしたADHは、配列番号2から出発して、当業者に公知の特異的もしくはランダムな突然変異誘発法によって得ることができる。しかしながら、別法として、2−プロパノンを生成するための対応する2−プロパノールの酸化を触媒するADH(そのアミノ酸配列は、配列番号2に対して必要な配列同一性を既に有するか、もしくは突然変異誘発法を介して得られる)について、微生物、好ましくは以下の属の微生物をスクリーニングすることも可能である:アリシュワネラ(Alishewanella)、アルテロコッカス(Alterococcus)、アクアモナス(Aquamonas)、アラニコラ(Aranicola)、アーセノフォナス(Arsenophonus)、アゾチビルガ(Azotivirga)、ブレネリア(Brenneria)、ブフネラ(Buchnera)(アフィド P−エンドシンビオント(aphid P-endosymbionts))、ブドビシア(Budvicia)、ブッチオキセラ(Buttiauxella)、カンジダツス・フロモバクター(Candidatus Phlomobacter)、セデセア(Cedecea)、シトロバクター(Citrobacter)、ディケヤ(Dickeya)、エドワードシエラ(Edwardsiella)、エンテロバクター(Enterobacter)、エルウィニア(Erwinia)、エシェリキア(Escherichia)、エウィンゲラ(Ewingella)、グリモンテラ(Grimontella)、ハフニア(Hafnia)、クレブシエラ(Klebsiella)、クルイベラ(Kluyvera)、レクレルシア(Leclercia)、レミノレラ(Leminorella)、モエレレラ(Moellerella)、モルガネラ(Morganella)、オベスムバクテリウム(Obesumbacterium)、パントエア(Pantoea)、ペクトバクテリウム(Pectobacterium)、フォトルハブダス(Photorhabdus)、プレシオモナス(Plesiomonas)、プラギア(Pragia)、プロテウス(Proteus)、プロビデンシア(Providencia)、ラーネラ(Rahnella)、ラオウルテラ(Raoultella)、サルモネラ(Salmonella)、サムソニア(Samsonia)、セラチア(Serratia)、シゲラ(Shigella)、ソダリス(Sodalis)、タツメラ(Tatumella)、トラブルシエラ(Trabulsiella)、ウィグルスウォルチア(Wigglesworthia)、キセノルハブダス(Xenorhabdus)、エルシニア(Yersinia)およびヨケネラ(Yokenella)。
ADHは、精製された、もしくは部分的に精製された形態で、または微生物そのものの形態で使用することができる。微生物からデヒドロゲナーゼを回収し、精製する方法は、例えばK. NakamuraおよびT. Matsuda「ケトンの還元(Reduction of Ketones)」(K. DrausおよびH. Waldmann「有機合成における酵素触媒2002(Enzyme Catalysis in Organic Synthesis 2002)」 第III巻、991-1032, Wiley-VCH, Weinheim, Germany)から、当業者には十分に知られている。デヒドロゲナーゼを生成させる組換え法も、例えばW. Hummel, K. Abokitse, K. Drauz, C. RollmannおよびH. Groger, Adv. Synth. Catal. 2003, 345, Nos. 1+2, pp. 153-159から、同様に公知である。
ADHを用いたエナンチオ選択的還元は、好ましくは好適な補因子(補基質ともいう)の存在下で行う。ケトンの還元に通常用いられる補因子はNADHおよび/またはNADPHである。更に、補因子をもともと含む細胞系としてADHを使用することや、別のレドックスメディエーターを添加することも可能である(A. Schmidt, F. HollmannおよびB. Buehler 「アルコールの酸化(Oxidation of Alcohols)」(K. DrauzおよびH. Waldmann, 「有機合成における酵素触媒2002(Enzyme Catalysis in Organic Synthesis 2002)」 第III巻、991-1032, Wiley-VCH, Weinheim)。
更に、ADHによるエナンチオ選択的還元は、還元中に酸化された補因子を再生する好適な還元剤の存在下で実施することが好ましい。好適な還元剤の例は、糖類、特にグルコース、マンノース、フルクトース等のヘキソース類、および/または被酸化性のアルコール類、特にエタノール、プロパノールもしくはイソプロパノール、およびギ酸、亜リン酸または分子状水素である。還元剤を酸化するために、またこれと関連して補酵素を再生するために、第二のデヒドロゲナーゼを添加してもよく、例えば、用いる還元剤がグルコースの場合にはグルコースデヒドロゲナーゼを添加し、用いる還元剤がギ酸の場合にはギ酸デヒドロゲナーゼを添加する。この第二のデヒドロゲナーゼは、遊離酵素もしくは固定化酵素として、または遊離の細胞もしくは固定化された細胞の形態で使用することができる。その調製は別々に行ってもよいし、(組換え)デヒドロゲナーゼ菌株における共発現によって行ってもよい。
本発明の方法の好ましい実施形態は、第二のデヒドロゲナーゼ、特に好ましくはグルコースデヒドロゲナーゼを用いる酵素系によって補因子を再生するものである。
本発明は更に、(R)−ブタン−2−オールの製造のためのADHの使用に関する。本方法のこの実施形態においては、ラセミ体のブタン−2−オールをADHと反応させると、(S)−ブタン−2−オールが選択的に酸化されてブタン−2−オンを生成するのに対し、(R)−ブタン−2−オールは変化せずに残る。続いて、得られたブタン−2−オンと(R)−ブタン−2−オールの混合物を、通常の方法で、例えば蒸留で、分別することができ、従って(R)−ブタン−2−オールを純粋な形態で単離することができる。
この実施形態で使用する好ましい補因子はNAD+およびNADPH+であり、これらは適切な補基質(酸化剤)を用いて再生することができる。ここで用いることができる好ましい補基質はアセトンであり、アセトンは、既に存在するADHおよび/または追加的に用いられるデヒドロゲナーゼと一緒に、補因子を再生し、アセトン自体は本方法ではイソプロパノールに還元される。
「エナンチオ選択性」とは、本発明の目的のためには、S−エナンチオマーのエナンチオマー過剰率「ee」(%で表す)が、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、特に少なくとも95%で、特に少なくとも97%であることを意味し、エナンチオマー過剰率「ee」は以下の式に従って公知の方法で計算できる:
ee(%)=S−エナンチオマー−R−エナンチオマー/(S−エナンチオマー+R−エナンチオマー)×100
本発明に従って使用されるADHは、遊離の形態または固定化された形態で使用することができる。固定化酵素とは、不活性支持体に固定化された酵素を意味する。好適な支持体材料およびそれに固定化される酵素は、EP-A-1149849号、EP-A-1 069 183号およびDE-A 100193773号、およびこれらに引用された参考文献中に開示されている。この事項については、これらの刊行物の開示の全体をそのまま参照するものとする。好適な支持体材料の例は、クレー、クレー鉱物、例えばカオリナイト、珪藻土、パーライト、二酸化珪素、酸化アルミニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、セルロース粉末、陰イオン交換体、合成ポリマー、例えばポリスチレン、アクリル樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、ポリウレタン類、ならびにポリオレフィン類、例えばポリエチレンおよびポリプロピレンである。支持体材料は通常、支持体に固定化された酵素を調製するのに適した微細な粒子状の形態で使用され、多孔質の形態が好ましい。支持体材料の粒子サイズは通常5mm以下、特に2mm以下(ふるい目の等級)である。同様に、全細胞触媒としてデヒドロゲナーゼを用いる場合に、遊離または固定化された形態を選択することができる。支持体材料の例は、アルギン酸カルシウムおよびカラギーナンである。酵素のみならず細胞もグルタルアルデヒド(架橋してCLEAを与える)により直接結合させることができる。対応する他の固定化方法は、例えばJ. LalondeおよびA. Margolin「酵素の固定化(Immobilization of Enzymes)」(K. DrauzおよびH. Waldmann、「有機合成における酵素触媒2002(Enzyme Catalysis in Organic Synthesis 2002)」第3巻、991-1032、Wiley-VCH、Weinheim)に記載されている。
前記反応(ブタン−2−オンからブタン−2−オールへの還元)は、水性もしくは非水性の反応媒体中、または2相系もしくは(ミクロ)エマルジョン中で行うことができる。水性の反応媒体は、通常4〜8のpH、好ましくは5〜8のpHを有する緩衝溶液が好ましい。水性溶媒は、水のほかに、少なくとも1種のアルコール、例えばエタノールもしくはイソプロパノール、またはジメチルスルホキシドをも含有することができる。
非水性の反応媒体とは、反応媒体の全量に対して1重量%未満、好ましくは0.5重量%未満の水を含有する反応媒体を意味する。反応は、好ましくは有機溶媒中で行われる。
好適な溶媒の例としては、以下のものが挙げられる:脂肪族炭化水素、好ましくは5〜8個の炭素原子を有し、例えばペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロオクタン;ハロゲン化脂肪族炭化水素、好ましくは1個もしくは2個の炭素原子を有し、例えばジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、テトラクロロエタン;芳香族炭化水素、例えばベンゼン、トルエン、キシレン類、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン;脂肪族非環状および環状エーテルまたはアルコール類、好ましくは4〜8個の炭素原子を有し、例えばジエチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル、エチルtert-ブチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン;エステル類、例えば酢酸エチル、酢酸n-ブチル;またはケトン類、例えばメチルイソブチルケトン、ジオキサン;またはこれらの混合物。特に好ましいのは、上記のエーテル、特にテトラヒドロフランを使用することである。
ADHを用いた還元は、好ましくは水性−有機性の反応媒体、特に水性の反応媒体中で実施する。
ブタン−2−オンは、酵素的還元において、好ましくは0.1g/l〜500g/l、特に好ましくは1g/l〜50g/lの濃度で用い、その後連続的にまたはバッチ式で供給することができる。
酵素的還元は通常、用いるデヒドロゲナーゼの失活温度より低く、−10℃より高い反応温度で実施する。この温度は、特に好ましくは0〜100℃、さらに好ましくは15〜60℃、そして特に20〜40℃の範囲、例えば約30℃である。
本方法は、例えば、最初にブタン−2−オンをADH、溶媒、適宜に補酵素と共に、適当な場合には補酵素を再生するための第二のデヒドロゲナーゼおよび/または更なる還元剤と共に、導入し、そしてこの混合物を、例えば撹拌または振とうによって、混合することを含み得る。しかしながら、デヒドロゲナーゼ(類)を反応器内、例えばカラム内に固定化し、ブタン−2−オンと適宜に補酵素および/または補基質を含む混合物を該反応器に通すことも可能である。このために、所望の変換が達成されるまで混合物を反応器に通して循環させることができる。本方法においては、ブタン−2−オンのケト基がOH基に還元されて、主としてアルコールの(S)−エナンチオマーが生成する。還元は通常、混合物中に存在するブタン−2−オンに基づいて少なくとも70%、好ましくは少なくとも85%、そして特に少なくとも95%の変換率になるまで実施される。反応の進行、すなわちケトンの連続的還元は、ここでは、ガスクロマトグラフィーまたは高圧液体クロマトグラフィー等の慣用方法によって、モニターすることができる。
本発明はまた、ブタン−2−オールデヒドロゲナーゼ活性を有する、本明細書に開示した酵素の「機能的等価物」の使用をも包含する。
明細書に開示した酵素の「機能的等価物」または類似体は、本発明の目的のためには、開示した酵素とは異なり、なおかつ、例えば基質特異性のような、所望の生物学的活性を保持するポリペプチドである。従って、例えば「機能的等価物」とは、ブタン−2−オンを対応するS−アルコールに還元し、そして配列番号2に関して挙げたアミノ酸配列のいずれかを含む酵素の活性の少なくとも20%、好ましくは50%、特に好ましくは75%、更に特に好ましくは90%を有する酵素を意味する。更に、機能的等価物は好ましくはpH 4〜10において安定であり、有利にはpH 5〜8の範囲に至適pHを、20℃〜80℃の範囲に至適温度を有する。
本発明において、「機能的等価物」とは、特に、上記のアミノ酸配列の少なくとも1つの配列位置に、具体的に挙げたもの以外のアミノ酸を有するが、それでもなお上記の生物学的活性の1つを保持する変異体をも意味する。従って「機能的等価物」は、1個または複数のアミノ酸の付加、置換、欠失および/または逆位によって得ることができる変異体を包含する。これらの改変は、本発明の性質を有する変異体が生じるものである限り、いずれの配列位置において起こっていてもよい。機能的等価性はまた、変異型と未改変型のポリペプチド間の反応性パターンが質的に一致する場合(すなわち、例えば同じ基質と異なる速度で反応する場合)にも、存在する。
好適なアミノ酸置換の例は以下の表に見出すことができる:
Figure 2008520197
上記の意味における「機能的等価物」はまた、記載されたポリペプチドの「前駆体」でもあり、「機能的誘導体」でもある。
これに関連して、「前駆体」は、所望の生物学的活性を有するか、もしくは有していない、ポリペプチドの天然または合成の前駆体である。
本発明のポリペプチドの「機能的誘導体」は同様に、公知の技術を用いて、アミノ酸側鎖の官能基において、またはN末端もしくはC末端において調製することができる。こうした種類の誘導体には、例えば次のものが含まれる:カルボン酸基の脂肪族エステル;カルボン酸基のアミド(該アミドはアンモニアまたは第一級もしくは第二級アミンと反応させて得られる);遊離アミノ基のN−アシル誘導体(該誘導体はアシル基と反応させて調製される);または遊離ヒドロキシル基のO−アシル誘導体(該誘導体はアシル基と反応させて調製される)。
タンパク質のグリコシル化が起こりうる場合、本発明の「機能的等価物」には、脱グリコシル化またはグリコシル化形態の上記タイプのタンパク質、更にまた、グリコシル化パターンを変えることによって得られる改変形態の上記タイプのタンパク質が含まれる。
「機能的等価物」はまた、他の生物から得られるポリペプチドおよび天然に存在する変異体も含む。例えば、配列比較によって相同配列領域を確定することができ、本発明の特定のガイドラインに基づいて同等の酵素を決定することができる。
「機能的等価物」は同様に、本発明のポリペプチドの断片、好ましくは個々のドメインまたは配列モチーフであって、例えば所望の生物学的機能を有するものを包含する。
「機能的等価物」は更に、上記のポリペプチド配列またはそれらに由来する機能的等価物のいずれかと、N末端またはC末端側に機能的に(すなわち、融合タンパク質成分の相互の機能を実質的に損なうことなしに)連結された、前記配列とは機能的に異なる少なくとも1つの更なる異種配列と、を含む融合タンパク質である。こうした異種配列の非制限的な例は、例えばシグナルペプチドまたは酵素である。
本発明のタンパク質の相同体は、例えばトランケーション変異体のような変異体の組み合わせライブラリーをスクリーニングすることによって同定することができる。例えば、タンパク質変異体の変化のあるライブラリーは、核酸レベルでの組み合わせ変異誘発により、例えば合成オリゴヌクレオチドの混合物を酵素的にライゲートすることにより、作製することができる。縮重オリゴヌクレオチド配列から潜在的相同体のライブラリーを作製するために用いることができる多くの方法がある。縮重遺伝子配列は、DNA合成装置で化学的に合成することができ、次いでその合成遺伝子を適切な発現ベクター中にライゲートすることができる。遺伝子の縮重セットを使用すると、潜在的なタンパク質配列の所望のセットをコードする全ての配列を混合物として調製することが可能となる。縮重オリゴヌクレオチドを合成するための方法は当業者には公知である(例えばNarang, S. A. (1983) Tetrahedron 39:3; Itakuraら (1984) Annu. Rev. Biochem. 53:323; Itakuraら, (1984) Science 198:1056; Ikeら (1983) Nucleic Acids Res. 11:477)。
点突然変異またはトランケーションによって作製された組み合わせライブラリーの遺伝子産物をスクリーニングするための技法、および所定の性質を有する遺伝子産物についてcDNAライブラリーをスクリーニングするための技法は、いくつかが当分野において公知である。これらの技法は、本発明の相同体の組み合わせ変異誘発によって作製された遺伝子ライブラリーを速やかにスクリーニングするために適合させることができる。ハイスループット解析の対象となる大きな遺伝子ライブラリーをスクリーニングするために最も汎用される技法は、遺伝子ライブラリーを複製可能な発現ベクターにクローニングし、得られたベクターライブラリーにより適切な細胞を形質転換し、そして所望の活性の検出が遺伝子(その産物が検出される)をコードするベクターの単離を容易にする条件下で組み合わせ遺伝子を発現させる、ことを含む。相同体を同定するために、ライブラリー中の機能的変異体の頻度を高める技術である再帰的アンサンブル変異誘発(recursive ensemble mutagenesis:REM)をスクリーニング試験と組み合わせて使用することができる(ArkinおよびYourvan (1992) PNAS 89:7811-7815; Delgraveら (1993) Protein Engineering 6(3):327-331)。
本発明は更に、本発明のデヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする核酸配列(例えばcDNAおよびmRNA等の一本鎖および二本鎖DNAおよびRNA配列)に関する。例えば配列番号2のアミノ酸配列もしくはその特徴的な部分配列をコードするか、または配列番号1の核酸配列もしくはその特徴的な部分配列を含む核酸配列が好ましい。
本明細書に開示した核酸配列の全ては、ヌクレオチド構成単位からの化学的合成によって、例えば二重らせんの個々の重複する相補的核酸構成単位の断片縮合により、それ自体公知の方法で調製することができる。オリゴヌクレオチドは、例えばホスホアミダイト法を用いて公知の方法で化学的に合成することができる(Voet, Voet, 第2版, Wiley Press New York, 896-897頁)。合成オリゴヌクレオチドのアセンブリ(組み立て)、およびDNAポリメラーゼのKlenow断片とライゲーション反応を用いたギャップのフィルイン、そしてまた一般的なクローニング方法は、Sambrookら、(1989)Molecular Cloning: A laboratory manual, Cold Spring Harbor Laboratory Pressに記載されている。
本発明はまた、上記のポリペプチド類のいずれかをコードする核酸配列(例えばcDNAおよびmRNA等の一本鎖および二本鎖DNAおよびRNA配列)、および例えば人工的なヌクレオチド類似体を用いて得ることができるその機能的等価物に関する。
本発明は、本発明のポリペプチドもしくはタンパク質、またはこれらの生物学的活性部分をコードする単離された核酸分子、および、例えば本発明のコーディング核酸を同定もしくは増幅するためのハイブリダイゼーションプローブまたはプライマーとしての使用に用いることができる核酸断片の双方に関する。
本発明の核酸分子は、コーディング遺伝子領域の3’および/または5’末端からの非翻訳配列を更に含んでいてもよい。
本発明は更に、本明細書に記載のヌクレオチド配列、またはその一部に対して相補的な核酸分子を包含する。
本発明のヌクレオチド配列に基づいて、他の細胞型および生物における相同配列の同定および/またはクローニングに使用することができるプローブおよびプライマーの作製が可能になる。このような種類のプローブおよびプライマーは通常、「ストリンジェントな」条件下(下記参照)において、本発明の核酸配列のセンス鎖または対応するアンチセンス鎖の少なくとも約12個、好ましくは少なくとも約25個、例えば約40、50、または75個連続したヌクレオチドとハイブリダイズするヌクレオチド配列領域を含む。
「単離された」核酸分子は、該核酸の天然源中に存在する他の核酸分子から分離されており、更に組換え技術によって調製される場合には他の細胞性物質または培地が本質的に存在しないか、あるいは化学的に合成される場合には化学的前駆物質または他の化学物質が本質的に存在しないものであり得る。
本発明の核酸分子は、標準的な分子生物学的技法、および本発明に従って提供される配列情報を用いて単離することができる。例えば、cDNAは、ハイブリダイゼーションプローブとして本明細書に開示した完全配列の1つまたはその一部を用い、かつ標準的ハイブリダイゼーション技法(例えばSambrook, J., Fritsch, E. F.およびManiatis, T. Molecular Cloning: A Laboratory Manual 第2版, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, 1989に記載されている)を使用して、適切なcDNAライブラリーから単離することができる。更に、開示された配列のいずれか、またはその一部を含む核酸分子は、この配列に基づいて構築されたオリゴヌクレオチドプライマーを使用して、ポリメラーゼ連鎖反応によって単離することができる。このようにして増幅された核酸は適切なベクター中にクローニングし、DNA配列解析によって性状解析することができる。本発明のオリゴヌクレオチドはまた、例えば自動DNA合成装置を使用して、標準的な合成方法によって調製することもできる。
本発明の核酸配列は、原理的にはいかなる生物からも同定・単離することができる。有利には、本発明の核酸配列またはその相同体は真菌、酵母、古細菌または細菌から単離することができる。細菌としては、グラム陰性細菌およびグラム陽性細菌が挙げられる。本発明の核酸は、好ましくはグラム陰性細菌、有利にはα−プロテオ細菌、β−プロテオ細菌またはγ−プロテオ細菌、特に好ましくはアシジチオバシラレス(Acidithiobacillales)、アルテロモナダレス(Alteromonadales)、クロマチアレス(Chromatiales)、エンテロバクテリアレス(Enterobacteriales)、レジオネラレス(Legionellales)、メチロコッカルス(Methylococcales)、オーシャノスピリラレス(Oceanospirillales)、パスツーレラレス(Pasteurellales)、シュードモナダレス(Pseudomonadales)、チオトリカレス(Thiotrichales)、ビブリオナレス(Vibrionales)、キサントモナダレス(Xanthomonadales)目の細菌から単離される。特に好ましくは、エンテロバクテリアセア(Enterobacteriaceae)科の細菌から単離される。特に好ましくはエシェリキア(Escherichia)属から単離される。特に好ましくはエシェリキア・アルベルティー(Escherichia albertii)、エシェリキア・ブラッタエ(Escherichia blattae)、大腸菌(Escherichia coli)、エシェリキア・フェルグソニー(Escherichia fergusonii)、エシェリキア・ヘルマンニー(Escherichia hermannii)、エシェリキア・セネガレンシス(Escherichia senegalensis)およびエシェリキア・ブルネリス(Escherichia vulneris)種から単離される。
特に好ましいものとして、大腸菌由来のデヒドロゲナーゼの使用が挙げられる。
本発明の核酸配列は、例えば通常のハイブリダイゼーション方法またはPCR技術を用い、例えばゲノムもしくはcDNAライブラリーを介して他の生物から単離することができる。これらのDNA配列は標準的な条件下で本発明の配列とハイブリダイズする。ハイブリダイゼーションのために、保存領域(例えば活性部位に由来)の短いオリゴヌクレオチドの使用が有利であり、この保存領域は当業者に公知の方法で本発明のデヒドロゲナーゼと比較することによって同定できる。しかしながら、本発明の核酸のより長い断片、または完全な配列をハイブリダイゼーションのために使用することも可能である。上記の標準的な条件は、用いる核酸(オリゴヌクレオチド、より長い断片または完全配列)に応じて、またハイブリダイゼーションに使用する核酸の種類がDNAであるかRNAであるかに応じて変動する。こうして、例えばDNA:DNAハイブリッドの融解温度は、同じ長さのDNA:RNAハイブリッドの融解温度よりもおよそ10℃低い。
核酸次第であるが、標準的な条件とは、例えば0.1〜5×SSC(1×SSC=0.15M NaCl、15mM クエン酸ナトリウム、pH 7.2)の濃度の水性緩衝液中、または更に50%ホルムアミドの存在下で、42〜58℃の温度を意味し、例えば5×SSC、50%ホルムアミド中で42℃である。有利には、DNA:DNAハイブリッドのためのハイブリダイゼーション条件は0.1×SSC、約20℃〜45℃、好ましくは約30℃〜45℃の温度である。DNA:RNAハイブリッドのためには、ハイブリダイゼーション条件は有利には0.1×SSC、約30℃〜55℃、好ましくは約45℃〜55℃の温度である。ハイブリダイゼーションのために示される温度は、ホルムアミド非存在下における、およそ100ヌクレオチドの長さでG+C含量50%の核酸の例を用いて計算された融解温度値である。DNAハイブリダイゼーションのための実験条件は、遺伝学の専門書、例えばSambrookら、「分子クローニング(Molecular Cloning)」、Cold Spring Harbor Laboratory、1989に記載されており、例えば核酸の長さ、ハイブリッドの型、あるいはG+C含量の関数として、当業者に公知の式を用いて算出することができる。当業者は、ハイブリダイゼーションに関して更なる情報を以下の参考書から得ることができる:Ausubelら(編)、1985、「分子生物学の最新プロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)」、John Wiley & Sons,New York;HamesおよびHiggins(編)、1985、「核酸ハイブリダイゼーション:実践的アプローチ(Nucleic Acids Hybridization: A Practical Approach)」、IRL Press at Oxford University Press、Oxford;Brown(編)、1991、「必須分子生物学:実践的アプローチ(Essential Molecular Biology: A Practical Approach)」、IRL Press at Oxford University Press、Oxford。
本発明はまた、明細書に開示した、または誘導可能な核酸配列の誘導体にも関する。
従って、本発明の更なる核酸配列は、配列番号1に由来し、1個または2個以上のヌクレオチドの付加、置換、挿入または欠失によってこれとは異なるが、なおかつ所望の性質を有するポリペプチドをコードするものであり得る。
本発明はまた、「サイレント」突然変異を有する核酸配列、あるいは明細書に記載した配列と比較して、特定の起源生物または宿主生物のコドン使用頻度に従って改変された核酸配列、並びにそれらの天然に存在する変異体(例えばスプライス変異体やアレル変異体)も包含する。
本発明はまた、保存的ヌクレオチド置換(すなわち、問題のアミノ酸が同じ電荷、大きさ、極性および/または溶解性を有するアミノ酸と置き換えられること)によって得られる配列にも関する。
本発明はまた、明細書に開示された核酸から配列多型によって誘導される分子にも関する。これらの遺伝子多型は、自然界での変異の結果として、ある集団内の個体間に存在し得る。これらの自然界での変異により、通常は一遺伝子のヌクレオチド配列において1〜5%の変動が生じる。
更にまた、誘導体とは、例えばプロモーターとの融合体をも意味する。示されたヌクレオチド配列の上流に位置するプロモーターは、1個以上のヌクレオチドの置換、挿入、反転、および/または欠失によって改変されていてもよいが、プロモーターの機能性および効力が損なわれることがあってはならない。更に、該プロモーターの効力は、その配列を改変することによって増大させることができ、また該プロモーターを、他の生物種由来のものを含め、より活性の強いプロモーターと完全に置き換えることもできる。
誘導体はまた、遺伝子発現および/またはタンパク質発現を改変(好ましくは増大)させるように、開始コドンの上流−1塩基から−1000塩基の領域、または停止コドンの下流0塩基から1000塩基の領域のヌクレオチド配列が改変されている変異体をも意味する。
本発明は更に、上記のコーディング配列と「ストリンジェントな条件」下でハイブリダイズする核酸配列を包含する。これらのポリヌクレオチドはゲノムもしくはcDNAライブラリーをスクリーニングすることによって見出すことができ、適切な場合には、好適なプライマーを用いたPCRの手段によってそれから増幅し、次いで好適なプローブを用いて単離することができる。更に、本発明のポリヌクレオチドはまた、化学的に合成することもできる。この性質は、あるポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドがストリンジェントな条件下で実質的に相補的な配列に結合できる一方で、これらの条件下では非相補的パートナー間の非特異的結合は形成されない、ことを意味する。この目的のためには、配列は70〜100%、好ましくは90〜100%相補的であるべきである。相補的配列が互いに特異的に結合し得る性質は、例えばノーザンもしくはサザンブロット技術において、またPCRもしくはRT-PCRにおけるプライマー結合のために利用される。この目的のためには通常、長さが少なくとも30塩基対のオリゴヌクレオチドが使用される。ノーザンブロット技術においては、例えば、ストリンジェントな条件とは、非特異的にハイブリダイズしたcDNAプローブまたはオリゴヌクレオチドを溶出するための、50〜70℃、好ましくは60〜65℃の洗浄液、例えば0.1% SDSを含有する0.1×SSC緩衝液(20×SSC:3M NaCl、0.3Mクエン酸ナトリウム、pH 7.0)の使用を意味する。上記のように、ここで互いに結合したままの核酸のみが高度に相補的なものである。ストリンジェントな条件の確立については当業者に公知であり、例えばAusubelら、「分子生物学の最新プロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)」、John Wiley & Sons, N.Y. (1989), 6.3.1-6.3.6に記載されている。
本発明の構築物の実施形態
本発明は更に、調節核酸配列の遺伝子制御のもとに、本発明のポリペプチドをコードする核酸配列を含む発現構築物に関し、またこれらの発現構築物を少なくとも1つ含むベクターに関する。
本発明のこうした構築物は、特定のコーディング配列の5'上流側にプロモーター、および3'下流側にターミネーター配列を含み、適切な場合には更に、それぞれがコーディング配列と機能的に連結された通常の調節エレメントを含むことが好ましい。
「機能的に連結」とは、プロモーター、コーディング配列、ターミネーターおよび、適切な場合には更なる調節エレメントの連続した配置が、調節エレメントのそれぞれがコーディング配列の発現に必要とされるその機能を果たすことができるようなものとなっている、ことを意味する。機能的に連結可能な配列の例としては、ターゲッティング配列、そしてさらにエンハンサー、ポリアデニル化シグナル等がある。その他の調節エレメントには、選択マーカー、増幅シグナル、複製起点等が含まれる。好適な調節配列は、例えばGoeddel, 「遺伝子発現技術:酵素的方法(Gene Expression Technology: Methods in Enzymology)」 185, Academic Press, San Diego, CA (1990)に記載されている。
本発明の核酸構築物とは、特に、本発明のデヒドロゲナーゼの遺伝子が、該遺伝子の発現を調節する(例えば増大させる)目的のために、1以上の調節シグナルに機能的に連結されているものを意味する。
これらの調節配列に加え、これらの配列の天然の調節が、実際の構造遺伝子の上流に依然として存在してもよく、また適切な場合には、この天然の調節がスイッチオフされていて遺伝子の発現を増大させるように遺伝的に改変されていてもよい。しかしながら、核酸構築物はより単純な設計のものでもよく、すなわち、コーディング配列の上流に追加の調節シグナルが一切挿入されておらず、天然のプロモーターが、その調節とともに、除去されていないものでよい。この代わりに、天然の調節配列は、もはや何の調節もせず、遺伝子の発現が増大するように突然変異が導入されていてもよい。
好ましい核酸構築物はまた、プロモーターに機能的に連結されて、核酸配列の発現を増大させることができる上記のエンハンサー配列を1以上含むことが有利である。更なる調節エレメントまたはターミネーターのような追加の有利な配列はDNA配列の3'末端に挿入されていてもよい。本発明の核酸は、1以上のコピー数で構築物中に存在し得る。構築物はまた、適切な場合には該構築物を選択することを目的として、抗生物質耐性または栄養要求性補完遺伝子のような更なるマーカーを含んでいてもよい。
本発明の方法のために有利な調節配列は、例えばcos、tac、trp、tet、trp-tet、lpp、lac、lpp-lac、lacq、T7、T5、T3、gal、trc、ara、rhaP(rhaPBAD)SP6、λ-PRまたはλ-PLプロモーター等のプロモーター中に存在し、これらのプロモーターはグラム陰性細菌において有利に使用される。更なる有利な調節配列は、例えばグラム陽性細菌のプロモーターのamyおよびSPO2中、酵母もしくは真菌のプロモーターのADC1、MFalpha、AC、P-60、CYC1、GAPDH、TEF、rp28、ADH中に存在する。ピルビン酸デカルボキシラーゼおよびメタノールオキシダーゼのプロモーター(例えばハンセヌラ(Hansenula)由来)もこれに関連して有利である。調節用の人工プロモーターを使用することも可能である。
宿主生物内での発現のために、核酸構築物は、例えば遺伝子が宿主中で最適に発現することを可能とするプラスミドまたはファージ等のベクター中に挿入することが有利である。ベクターとは、プラスミドおよびファージに加え、当業者に公知の他のベクター、すなわち、例えばSV40、CMV、バキュロウイルスおよびアデノウイルス等のウイルス、トランスポゾン、ISエレメント、ファスミド、コスミド、および線状もしくは環状DNAをも意味する。これらのベクターは宿主生物中で自律的に複製するものであっても、染色体上で複製するものであってもよい。これらのベクターは本発明の更なる実施形態を構成する。好適なプラスミドの例は、大腸菌中のpLG338、pACYC184、pBR322、pUC18、pUC19、pKC30、pRep4、pHS1、pKK223-3、pDHE19.2、pHS2、pPLc236、pMBL24、pLG200、pUR290、pIN-III113-B1、lgt11もしくはpBdCl、ストレプトミセス中のpIJ101、pIJ364、pIJ702もしくはpIJ361、バシラス中のpUB110、pC194もしくはpBD214、コリネバクテリウム中のpSA77もしくはpAJ667、真菌中のpALS1、pIL2もしくはpBB116、酵母中の2alphaM、pAG-1、YEp6、YEp13もしくはpEMBLYe23、または植物中のpLGV23、pGHlac+、pBIN19、pAK2004もしくはpDH51である。上記のプラスミドは、使用可能なプラスミドを少数選択したに過ぎない。他のプラスミドが当業者に周知であり、例えば書籍「クローニングベクター(Cloning Vectors)」(Pouwels P. H.ら編、Elsevier、Amsterdam-New York-Oxford, 1985, ISBN 0 444 904018)に見出すことができる。
存在する他の遺伝子の発現のために、核酸構築物は有利には発現を増大させるための3'末端および/または5'末端調節配列も含むが、これらは宿主生物および選択した1以上の遺伝子に応じて最適な発現のために選択される。
これらの調節配列は、遺伝子およびタンパク質が特異的に発現されるのを可能にするためのものである。このことは、宿主生物に応じて、例えば遺伝子が誘導後にのみ発現または過剰発現されること、あるいは遺伝子が直ちに発現および/または過剰発現されることを意味し得る。
これに関連して、調節配列または調節因子は好ましくはプラスの影響を与え、それによって、導入された遺伝子の発現を増大させ得るものである。従って、調節配列は、有利には、プロモーターおよび/またはエンハンサー等の強力な転写シグナルを使用することにより、転写レベルで増強することができる。しかしながら、これに加えて、例えばmRNAの安定性を改善することによって翻訳を増強することも可能である。
ベクターの更なる実施形態において、本発明の核酸構築物または本発明の核酸を含むベクターは、有利には、線状DNAの形態で微生物中に導入され、非相同もしくは相同組換えによって宿主生物のゲノム中に組み込ませることもできる。この線状DNAは、プラスミド等の線状化ベクターから構成されてもよいし、あるいは本発明の核酸構築物もしくは核酸のみから構成されてもよい。
異種の遺伝子を生物中で最適に発現させるためには、核酸配列をその生物中で用いられる特定のコドン使用頻度に従って改変することが有利である。コドン使用頻度は、対象の生物から得られる他の既知遺伝子をコンピュータ解析することによって容易に決定することができる。
本発明の発現カセットは、好適なプロモーターを好適なコーディングヌクレオチド配列に、また、ターミネーターシグナルまたはポリアデニル化シグナルに融合させることによって調製される。例えばT. Maniatis, E.F. FritschおよびJ. Sambrook, 「分子クローニング:実験室マニュアル(Molecular Cloning: A Laboratory Manual)」 Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY (1989)、およびT.J. Silhavy, M.L. BermanおよびL.W. Enquist「遺伝子融合体を用いた実験(Experiments with Gene Fusions)」 Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY (1984)、およびAusubel, F.M.ら「分子生物学の最新プロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)」 Greene Publishing Assoc. and Wiley Interscience (1987))に記載されているような通常の組換え・クローニング技術をこの目的のために使用する。
好適な宿主生物内での発現を達成するために、組換え核酸構築物または遺伝子構築物は、宿主内での該遺伝子の最適な発現を可能にする宿主特異的ベクターに挿入することが有利である。ベクターは当業者には周知であり、例えば「クローニングベクター(Cloning Vectors)」(Pouwels P. H.ら編、Elsevier, Amsterdam-New York-Oxford, 1985)中に見出すことができる。
本発明において有用な宿主生物
本発明のベクターまたは構築物を利用して、例えば少なくとも1つの本発明のベクターを用いて形質転換され、本発明のポリペプチドの生産に使用し得る組換え微生物を作製することが可能である。有利には、上記の本発明の組換え構築物を好適な宿主系に導入して発現させる。これに関係して、当業者に公知の通常のクローニングおよびトランスフェクション方法、例えば共沈法、プロトプラスト融合、エレクトロポレーション、レトロウイルスによるトランスフェクション等が、該核酸を特定の発現系において発現させるために好ましく使用される。好適な系は、例えば「分子生物学の最新プロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)」 F. Ausubelら編、Wiley Interscience, New York 1997またはSambrookら「分子クローニング:実験室マニュアル(Molecular Cloning: A Laboratory Manual)」第2版、Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, 1989に記載されている。
本発明に従って、相同的に組換えされた微生物を作製することも可能である。この目的のためには、本発明の遺伝子の少なくとも一部分、または、適切な場合には本発明の配列を改変する(例えば機能的に破壊する(ノックアウトベクター))ために少なくとも1つのアミノ酸欠失、アミノ酸付加もしくはアミノ酸置換が導入されたコーディング配列の少なくとも一部分、を含むベクターを調製する。導入される配列はまた、関連微生物由来の相同体であっても、あるいは例えば哺乳類、酵母もしくは昆虫起源に由来するものであってもよい。あるいはまた、相同組換えに用いられるベクターは、内在遺伝子が、相同組換えの場合に変異を起こすか、さもなければ改変されるが、なおかつ機能的タンパク質をコードするように設計することができる(例えば、内在タンパク質の発現が改変されるように上流の調節領域が改変される)。本発明の遺伝子の改変された部分は相同組換えベクター内にある。相同組換えに好適なベクターの構築は、例えばThomas, K.R.およびCapecchi, M.R. (1987) Cell 51:503に記載されている。
本発明の核酸または核酸構築物に好適な組換え宿主生物は、原則的には任意の原核または真核生物である。有利には、宿主生物として細菌、真菌または酵母等の微生物が使用される。グラム陽性またはグラム陰性細菌、好ましくはエンテロバクテリアセア科(Enterobacteriaceae)、シュードモナダセア科(Pseudomonadaceae)、リゾビアセア科(Rhizobiaceae)、ストレプトマイセタセア科(Streptomycetaceae)またはノカルディアセア科(Nocardiaceae)の細菌、特に好ましくはエシェリキア属(Escherichia)、シュードモナス属(Pseudomonas)、ストレプトマイセス属(Streptomyces)、ノカルディア属(Nocardia)、ブルクホルデリア属(Burkholderia)、サルモネラ属(Salmonella)、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)またはロドコッカス属(Rhodococcus)の細菌が有利に使用される。特に非常に好ましいのは、大腸菌の属および種である。更に、更なる有利な細菌は、α−プロテオ細菌、β−プロテオ細菌またはγ−プロテオ細菌の群に見出すことができる。
これに関連して、本発明の宿主生物は、好ましくは、本発明において記載した、本発明のデヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの核酸配列、核酸構築物またはベクターを含む。
本発明の方法で使用される生物は、宿主生物に応じて、当業者に公知の方法で増殖または培養される。微生物は通常、炭素源(通常は糖類の形態);窒素源(通常は酵母エキス等の有機窒素源もしくは硫酸アンモニウム等の塩の形態);微量元素(例えば、鉄塩、マンガン塩、マグネシウム塩等);および適切な場合にはビタミン類を含む液体培地中で、0℃〜100℃、好ましくは10℃〜60℃の温度で、酸素を供給しながら培養する。これに関して、栄養液のpHは一定の値に維持しても、維持しなくてもよい。すなわち、培養の間、pHを調整してもしなくてもよい。培養はバッチ法、半バッチ法、または連続法で実施することができる。栄養素は発酵の開始時に導入し、その後半連続的もしくは連続的に供給することができる。ケトンは培養物に直接添加してもよいが、有利には培養後に添加する。酵素は実施例に記載の方法を用いて生物から単離してもよいし、または粗抽出物として反応に用いてもよい。
本発明において使用されるポリペプチドの組換え調製
本発明は更に、本発明に従って用いられるポリペプチドまたはその機能的な生物学的活性断片を組換えによって調製するための方法に関し、この方法では、ポリペプチドを産生する微生物を培養し、適切な場合には該ポリペプチドの発現を誘導し、そして該ポリペプチドを該培養物から単離する。ポリペプチドは、必要な場合には工業的規模でこの方法により生産することもできる。
組換え微生物は公知の方法で培養し、発酵させることができる。細菌は、例えばTB培地またはLB培地中、20〜40℃の温度、6〜9のpHで増殖させることができる。好適な培養条件は、例えばT. Maniatis, E. F. FritschおよびJ. Sambrook, 「分子クローニング:実験室マニュアル(Molecular Cloning: A Laboratory Manual)」、Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY (1989)に詳細に記載されている。
ポリペプチドが培地中に分泌されない場合には、細胞を破砕し、公知のタンパク質単離方法によって溶解物から産物を取得する。細胞は、必要に応じて、高周波数超音波によって、高圧(例えばフレンチプレス破砕機)によって、浸透圧による細胞溶解によって、界面活性剤、溶解酵素もしくは有機溶媒の作用によって、ホモジナイザーの使用によって、またはここに挙げた方法の2つ以上の組み合わせによって、破砕することができる。
ポリペプチドは、分子ふるいクロマトグラフィー(ゲルろ過)、例えばQセファロースクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィーおよび疎水性クロマトグラフィー等の公知のクロマトグラフィー法を用いて、また限外ろ過、結晶化、塩析、透析および非変性ゲル電気泳動等の他の慣用方法を用いて精製することができる。好適な方法は、例えばCooper, F.G., 「生化学研究法(Biochemische Arbeitsmethoden)」 Verlag Walter de Gruyter, Berlin, New YorkまたはScopes, R., 「タンパク質の精製(Protein Purification)」 Springer Verlag, New York, Heidelberg, Berlinに記載されている。
組換えタンパク質を単離するには、特定のヌクレオチド配列によってcDNAを延長し、それによって、改変されたポリペプチドもしくは融合タンパク質(これらは例えば精製を容易にするために用いられる)をコードするベクター系またはオリゴヌクレオチドを用いることが有利であり得る。この種の好適な修飾の例は、アンカーとして機能する「タグ」(例えばヘキサヒスチジンアンカーとして知られる修飾)、または抗体によって抗原として認識され得るエピトープである(例えばHarlow, E.およびLane, D., 1988, 「抗体:実験室マニュアル(Antibodies: A Laboratory Manual)」 Cold Spring Harbor (N.Y.) Pressに記載されている)。これらのアンカーは、タンパク質を固相支持体(例えば、クロマトグラフィーカラム内に充填されるポリマーマトリクス)に結合させるために使用することができ、あるいはマイクロタイタープレートもしくは別の支持体上で使用することができる。
同時に、これらのアンカーはタンパク質の同定のために使用することもできる。タンパク質はまた、慣用のマーカー、例えば蛍光色素、酵素マーカー(基質との反応後に検出可能な反応産物を形成する)、または放射性マーカーを、単独であるいはアンカーと組み合わせて、用いて該タンパク質を誘導体化することにより同定することもできる。
本発明の酵素的還元方法を実施するための更なる実施形態
本発明の方法において、デヒドロゲナーゼは遊離の酵素または固定化酵素として使用することができる。
本発明の方法は、有利には0℃〜95℃、好ましくは10℃〜85℃、特に好ましくは15℃〜75℃の温度で実施する。
本発明の方法において、pHは有利にはpH 4〜12、好ましくはpH 4.5〜9、特に好ましくはpH 5〜8に維持する。
本発明の方法において、ブタン−2−オールのような、エナンチオマーとして純粋なまたはキラルな生成物は、エナンチオマー富化を示すエナンチオマーを意味する。本方法において、少なくとも70%ee、好ましくは少なくとも80%ee、特に好ましくは少なくとも90%ee、更に特に好ましくは少なくとも98%eeのエナンチオマー純度が達成されるのが好ましい。
本発明の核酸、核酸構築物またはベクターを含む増殖中の細胞を本発明の方法のために用いることができる。また、静止中の細胞または破砕した細胞を用いることも可能である。破砕した細胞とは、例えば溶媒処理によって透過性となった細胞、あるいは酵素処理、機械的な処理(例えばフレンチプレスもしくは超音波処理)または他の方法によって破壊された細胞を意味する。このようにして得られた粗抽出物は本発明の方法に非常に好適である。本方法のために精製酵素または部分精製酵素を用いることも可能である。反応に有利に使用し得る固定化した微生物もしくは酵素も同様に好適である。
本発明の方法は、バッチ法、半バッチ法、または連続法で行うことができる。
本方法は、有利には例えばBiotechnology, 第3巻、第2版、Rehmら編(1993)、特に第2章に記載のバイオリアクター内で実施することができる。
以下の実施例は、本発明を説明するためのものであり、本発明を制限することを意図するものではない。これに関連させて、添付の図面を参照する。図は、大腸菌由来のデヒドロゲナーゼを用いた還元による(S)−ブタン−2−オールの合成の典型的な反応プロファイルを示す。
実施例1
大腸菌プロパノールデヒドロゲナーゼのクローニング
大腸菌プロパノールデヒドロゲナーゼ遺伝子の配列は、データベースに登録されている(GenBank ID 48994873 領域:相補鎖 (1550852から1551892))。公知の方法に従って大腸菌ゲノムDNAから該遺伝子を増幅するために用いられるオリゴヌクレオチドは、プロパノールデヒドロゲナーゼ遺伝子の核酸配列に由来するものとした。得られた配列は公表されている配列に一致する。オリゴヌクレオチドのDNA配列を表1に示す。
Figure 2008520197
PCR産物(約1050bp)を制限エンドヌクレアーゼNdeIおよびHindIIIで消化し、それに応じて切断しておいたpDHE19.2 ベクター中にクローニングした(クローニングはDE 19848129号に記載されているように実施した)。ライゲーション混合物を大腸菌XL1 Blue (Stratagene(登録商標))中に形質転換させた。
得られたプラスミドpDHE-PDH-Lを大腸菌株TG10 pAgro4 pHSG575 (TG10: 大腸菌 TG1(Stratagene(登録商標))のRhaA-誘導体; pAgro4: Takeshita, S; Sato, M; Toba, M; Masahashi, W; Hashimoto-Gotoh, T (1987) Gene 61, 63-74; pHSG575: T. Tomoyasuら (2001), Mol. Microbiol. 40(2), 397-413)中に形質転換させた。得られた組換え大腸菌クローンを大腸菌 LU12418と命名した。
実施例2
組換えプロパノールデヒドロゲナーゼの準備
大腸菌LU12418を100 mlのエルレンマイヤーフラスコ (バッフル付き)内の20 mlのLB-Amp/Spec/Cm (100μg/l アンピシリン; 100μg/l スペクチノマイシン; 20μg/l クロラムフェニコール)、0.1mM IPTG、0.5g/l ラムノース中で37℃にて18時間増殖させ、5000*g/10分の遠心分離を行い、10mM TRIS*HCl、pH 7.0で1回洗浄し、同じ緩衝液2ml中に再懸濁した。
大腸菌LU12418細胞ペーストを振動ミル内で0.7mlのガラスビーズ(d=0.5mm)を用いて破砕し(3×5 分、1回ごとに氷上で冷却)、無細胞タンパク質粗抽出物を調製した。
実施例3
大腸菌LU12418組換えデヒドロゲナーゼ活性の測定
それぞれの場合に、6個の形質転換体を100 ml エルレンマイヤーフラスコ (バッフル付き)内の20 mlのLBAmp/Spec/Cm (100μg/l Amp; 100mg/l Spec; 20μg/l Cm)、0.1mM IPTG、0.5g/l ラムノース中で37℃にて18時間増殖させ、5000*g/10分の遠心分離を行い、10mM TRIS/HCl、pH7.0で1回洗浄し、同じ緩衝液2ml中に再懸濁した。
細胞を振動ミル内で0.7mlのガラスビーズ(d=0.5mm)を用いて破砕し(3×5分、1回ごとに氷上で冷却)、大腸菌LU12418の無細胞粗抽出物を得た。
ケトンを還元している間の還元型補基質の消費をフォトメーターで340nmにてモニターすることができる。10μlの希釈した無細胞粗抽出物(ほぼタンパク質10μgに相当)、10μmolのn-プロパナール、および250nmolのNADHまたはNADPHを、1mlの50mM KPi、1mM MgCl2、pH6.5中で30℃にてインキュベートした。1単位(1U)は、1分間に1μmolのn-プロパナールを還元する酵素の量に相当する。
実施例4
ブタン−2−オールの分析
ブタン−2−オンおよびブタン−2−オールの濃度はGCによって測定できる。また、固定相および移動相の選択により、濃度のほかにee値を決定することもできる。
a) アキラル分析
以下の系を使用して反応を定量化した。
固定相:Chromoltih SpeedROD RP18, 50*4, 6μm, Merck (Darmstadt, Germany),
45℃まで加熱
移動相:溶離液 A:10 mM KH2PO4, pH 2.5
溶離液 B:アセトニトリル
勾配:0〜0.5分, 35%のB; 0.5〜1.0分 35〜80%のB; 1.0〜1.2分 80%のB;
1.2〜1.3分 80%〜35%B; 1.3〜2.0 分 35%のB;
流速:1.5 ml/分
検出:230 および 260 nmにおけるUV検出
保持時間:ブタン-2-オン :約1.6 分
ブタン-2-オール:約1.3 分
真正物質を用いて一連のキャリブレーションを行い、これに基づいて未知のサンプルの濃度を決定することができる。
b) キラル分析
固定相:Chiracel OD-H, 250*4, 6μm, Daicel, 40℃まで加熱
移動相:溶離液 A:n-ヘキサン
溶離液 B:イソプロパノール
2.5%のBを用いて均一濃度溶離
流速:1.0 ml/分
検出:230 および 260 nmにおけるUV 検出
保持時間:ブタン-2-オン :約9.5 分
(1S)-ブタン-2-オール:約16.6 分
(1R)-ブタン-2-オール:約18.3 分
真正物質を用いて一連のキャリブレーションを行い、これに基づいて未知のサンプルの濃度を決定することができる。
実施例5
補因子再生のためのグルコースデヒドロゲナーゼの準備およびグルコースデヒドロゲナーゼを用いた補因子の再生(酵素カップリング)
補因子の再生のためにグルコースデヒドロゲナーゼを用いることができる。この酵素は市販のものが入手できる(例えばJulich Fine Chemicals, 注文番号22.10 または 19.10)。以下では、バシラス・スブチリス(Bacillus subtilis)グルコースデヒドロゲナーゼの遺伝子(GenBank アクセッション番号M12276)を用い、大腸菌 XL10 Gold クローン中のpUC19プラスミドにクローニングした。この構築物を大腸菌LU11293と命名する。
大腸菌 LU11293の発酵のために以下の培地を調製した:
Figure 2008520197
*塩溶液:2.1g CaCl2 * 2H2O
3.5g MgSO4 * 7H2O
14g NH4Cl
14ml アンピシリン溶液 (100mg/ml)
500mlの水に溶解し、ろ過滅菌する。
それぞれの場合に、2個の1Lエルレンマイヤーフラスコ中で150mlの培地を滅菌し、5mlの無菌塩溶液を添加した。LBアンピシリン寒天プレートから接種した後、前培養物を37℃、200rpmで12時間インキュベートし、発酵培地に添加した。発酵は、37℃、内圧0.1バール、pH 7.0 (20%リン酸および25% NaOHで調整)で、気体供給速度7.5 l/分、300 rpmで開始した (10〜20 l/分の流入空気によりpO2を20〜50%に調整、500〜1500 rpm)。2 時間後、誘導のために0.1mMのIPTGを添加し、合計13時間で発酵を停止させた。細胞(1.3kg)を回収して洗浄した後、洗浄済み細胞を使用時まで−20℃で保存した(反応混合液中2〜20 g/l)。
等モル量のグルコースおよびブタン−2−オンを1〜30 U/mlのグルコースデヒドロゲナーゼ粗抽出物および1〜30 U/mlのプロパノールデヒドロゲナーゼ粗抽出物と混合した。0.02〜1 mmol/lのNADもしくはNADP、または0.02〜1 mmol/lのNADHもしくはNADPHを緩衝液に溶解し、10〜60℃でインキュベートした。pHを塩基の自動添加によって一定レベルに維持した。
実施例6
プロパノールデヒドロゲナーゼによる補因子の再生(基質カップリング)
補因子は、プロパノールデヒドロゲナーゼそのものによって再生することもできる。この場合には、別の再生用酵素を添加する必要はない。プロパノールデヒドロゲナーゼは還元剤として種々の一価アルコールを用いることができる。これらは対応するカルボニル化合物に酸化される。プロパノールデヒドロゲナーゼを用いてNADHまたはNADPHを再生するのに好適な一価アルコールはイソプロパノールである。
実施例7
ギ酸デヒドロゲナーゼを用いた補因子の再生(酵素カップリング)
補因子の再生にギ酸デヒドロゲナーゼを用いることができる。この酵素は市販のものが入手できる(例えばJulich Fine Chemicals 注文番号09.11、24.11または25.10)。実施例5と同様に、補因子はギ酸デヒドロゲナーゼを用いても再生することができる。この方法では、等モル量のギ酸およびブタン−2−オンを、1〜30 U/mlのギ酸デヒドロゲナーゼ粗抽出物および1〜30 U/mlのプロパノールデヒドロゲナーゼ粗抽出物と共に用いる。0.02〜1 mmol/lのNADもしくは NADPまたは0.02〜1 mmol/lのNADHもしくはNADPHを緩衝液に溶解し、10〜60℃でインキュベートした。pHを酸の自動添加によって一定レベルに維持した。
実施例8
大腸菌の組換えプロパノールデヒドロゲナーゼを用いた(S)−ブタン−2−オールの製造
大腸菌LU12418を実施例2に従って培養し、回収して、破砕した。
D-グルコース270 g (1.5 mol)、ブタン−2−オン135 ml (1.5 mol)、GDH粗抽出物 63 ml (ほぼ30.5 kUに相当)、PDH粗抽出物95 ml (ほぼ20 kUに相当)、およびNADもしくはNADPまたはNADHもしくはNADPH 400 mg (0.6 mmol)をKPi緩衝液 (50 mM KPi, 1 mM MgCl2, pH 6.5)に溶解し、30℃でインキュベートした。反応混合液の出発容量は3リットルであった。pHを2M NaOHの自動添加によって一定レベルに維持した。図は典型的な反応プロファイルを示す。
大腸菌プロパノールデヒドロゲナーゼによって触媒される、ブタン−2−オンからS−ブタン−2−オールへの還元を示す図である。

Claims (8)

  1. (i) 配列番号2のポリペプチド配列、または
    (ii) 配列番号2の配列に対して少なくとも80%同一であるポリペプチド配列、
    を有するアルコールデヒドロゲナーゼの存在下でブタン−2−オンを還元することによる、(S)−ブタン−2−オールの製造方法。
  2. 補因子としてNADHを使用して還元を行う、請求項1記載の方法。
  3. 使用する補因子を酵素的に再生する、請求項1記載の方法。
  4. 補因子をグルコースデヒドロゲナーゼによって再生する、請求項1記載の方法。
  5. 還元を水性系において行う、請求項1記載の方法。
  6. アルコールデヒドロゲナーゼが固定化された形態で存在する、請求項1記載の方法。
  7. 使用するアルコールデヒドロゲナーゼが大腸菌において発現される、請求項1記載の方法。
  8. ブタン−2−オンを還元することによる(S)−ブタン−2−オールの製造方法における、
    (iii) 配列番号2のポリペプチド配列、または
    (iv) 配列番号2の配列に対して少なくとも80%同一であるポリペプチド配列、
    を有するアルコールデヒドロゲナーゼの使用。
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