JP2008517830A - リンクベルトを搭載した船の加速機構 - Google Patents

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Abstract

ここで開示するリンクベルトを搭載した船の加速機構は、水車(10)と、水車に取り付けられた回転シャフト(20)と、水車を囲い、外表面にかぎ形の翼板(31)が形成されたリンクベルト(30)と、水車の外側に取り付けられ、回転シャフトがその中を貫通するベアリング・ユニット(11)と、ボールベアリングがその上面にボルト止めされる角パイプ(12)と、角パイプにボルト止めされたヒンジ(13)と、各ヒンジが有する船体にボルト止めされるヒンジロッド(131)と、上部ブラケット(141)および対応するピン(143)によって船体の底面に固定され、下部ブラケット(141)および対応するピン(143)によって角パイプに固定される油圧シリンダー(14)と、を備える。本機構は修理作業を簡素化し、欠陥部品を個々に交換できるため建造が容易になる。

Description

発明の詳細な説明
〔技術分野〕
本発明は、リンクベルトを搭載した船の加速機構に関するものである。より具体的には、船体の下端に沿って取り付けられた多数の中空水車と、浮力を大きくして、航行中に船体の摩擦抵抗を最小限に抑えるために各水車の中空部に組み込まれたラバーチューブと、船体の摩擦抵抗をさらに減少させ、それによって水面上でのスムースな航行を可能とするために、ボールベアリング・ユニットを通して取り付けられた水車の回転シャフト、とを備えるリンクベルトを搭載した船の加速機構に関するものである。
〔背景技術〕
一般に、船は、人間あるいは様々な貨物などを輸送する水上輸送手段である。船は、推進力を受けて推進、航行するように建造される。その推進力は、水中に浸かったスクリューが回転し水を押し出すことで得られ、スクリューの駆動力は、伝動軸を介して動力源から伝達される。船の動力源は、内燃機関、蒸気エンジン、電動モータなどから選択される。
従来、スクリューは、伝動軸を介して動力源と、すなわちモータと連結され、船体後方に取り付けられている。そしてモータの駆動力からもたらされる回転によって船を前方後方に推進する。また、スクリューの回転中に船尾に取り付けられた舵取り板を操作し、船の移動方向を変更する。スクリューと舵取り板は操縦室等から操作し、船の進行方向と速度は、スクリューの回転方向および回転速度から決まる。
前記従来の船は、おもにスクリューの回転エネルギーによって推進する。その回転エネルギーは、モータあるいは水流エネルギーによって与えられる。水流エネルギーは、回転スクリューが水を押し出すことによって発生し、それにより後方への水流が生じる。だが、発生した水流は、実際には船に推進力を与えることなく消散する。従って、従来の船は、所定値を超えて推進力を上げることに問題がある。
その他の問題として、従来の船は、摩擦係数を抑えるため合理的に建造され、革新的な船体構造を実現しようとしているものの、摩擦係数を効果的に低減するにも限界がある。また、航行中に吐き出された水が引き起こす巨大な波というリスクもある。参考として、38ノット(時速約70キロ)で航行する海軍駆逐艦が引き起こす波は、1キロ以上離れた場所にも大きな影響を与える。
前記の記載から分かるように、従来の船は、摩擦抵抗による影響が非常に大きい。従って、船の速度低下を防ぐには、船体形状と高馬力エンジンの両方を特に研究する必要がある。
前記の諸問題を解決するために、船の推進装置に関する多くの研究が行われてきた。一例として、韓国特許公開公報No.2000-0039958は船用水力駆動型推進装置を開示している。この装置は船尾壁に取り付けられており、プロペラが前後方向にのみ動作する構造と機能を備える。開示された推進装置の構造を詳細に検討すると、この装置は閉鎖型水力システム回路によって構成されている。つまり、350馬力以下の高速ディーゼル・エンジンによって駆動する水圧ポンプが水圧を生み、その水圧が水圧モータに伝達される。その水圧モータは推進装置内に設置されており、直接連結されたプロペラを駆動する。この閉鎖型水力システム回路は、運転水圧が250atm、水圧モータの回転数が2500rpmに達し、高圧・高速運転を可能とする。そして、水圧ポンプの取付角を上下90°の範囲で遠隔調整し、作動液の流量を制御することになる。だが、この開示された推進装置は、全体構造が複雑になるという欠点を持つ。また、水による表面張力と抵抗を利用して推進力を上げる機能が備わっていない。
他の例として、韓国特許公開公報No.1999-0038271が開示する船は、水車を利用した漏油回収機構を備えている。ここで開示される船は、シャフトを介して船尾および船殻後部に水車を取り付けている。その水車の外表面には外に向かって突き出た翼板が取り付けられている。その水車は、船殻に浮力を与えるとともに、船の駆動力を受けて回転し、船に推進力をもたらす。また、船殻後部に取り付けられた水車の一つが、操縦装置を利用することによって操縦力を備えた役目をする。管状をした水車の外表面には、翼板に加え、漏油を吸収するブラシが取り付けられている。吸収した漏油はスクレーパによって取り除かれ、油貯蔵タンクに回収される。韓国特許公開公報No.1999-0038271は、翼板が形成された水車を利用して推進力を得ており、その点が本発明にやや類似している。しかし、開示されたその発明は、本発明に基づくリンクベルトが有する重要な顕著な特徴を明示していない。本発明では、リンクベルトは、水車の周囲を完全に囲うように取り付けられ、水抵抗と水の表面張力によって加速する。これは、推進装置と連結されて推進力を得る従来の機構と対照をなしている。
〔発明の開示〕
〔発明が解決しようとする課題〕
それゆえ、本発明は、前述の問題点を鑑みてなされたものであり、リンクベルトを搭載した船の加速機構を提供することが本発明の目的である。この加速機構は、船の速度を低推進力で加速することができ、従って、建造が容易かつ効率的である。
本発明によると、前記およびその他の発明の目的は、船体の対向する側面下端に沿って取り付けられた水車と、対向するふたつの前記水車の中心をそれぞれ貫通する回転シャフトと、一群の前記水車をそれぞれ囲い、外表面から外側に向かって突き出たかぎ形の翼板が一定間隔で形成されたリンクベルトと、前記水車の外側にそれぞれ取り付けられ、前記回転シャフトがその内部に挿入されるボールベアリング・ユニットと、前記ボールベアリング・ユニットの下端をボルト止めする角パイプと、前記各角パイプの端部上面においてその底面がボルト止めされたヒンジであって、それぞれが、船体底面にボルト固定されたヒンジロッドおよび該ヒンジロッドの下部に位置するヒンジシャフトを有し、前記角パイプの上面において前記ヒンジの対辺に固定される油圧シリンダーであって、それぞれが一組の上・下ブラケット、および各ブラケットに挿入されるピン、および上・下ブラケットの間にシリンダーを有し、その上端は上部ブラケットおよび対応するピンによって船体底面に固定され、その下端は下部ブラケットおよび対応するピンによって前記角パイプに固定される油圧シリンダーと、を備えるリンクベルトを搭載した船の加速機構によって達成される。
〔図面の簡単な説明〕
本発明の前記およびその他の目的、特徴、およびその他の長所は、添付図面に基づく以下の詳細な説明によって、より明確に理解することができる。
図1は、本発明に基づくリンクベルトを搭載した船の加速機構を説明する側面図である。
図2は、図1のA−A線に沿った断面図である。
図3は、本発明に基づく水車内に組み込まれたラバーチューブに高圧空気を注入する前後の状態を説明する断面図である。
図4は、図3のC部を説明する拡大詳細図である。
図5は、本発明に基づくラバーチューブの構成を説明する斜視図である。
図6は、リンクベルトに囲まれた水車が、油圧シリンダーによって傾く状態になって前進する状態を説明する概略断面図である。
〔発明を実施するための最良の形態〕
本発明の好適な実施の形態を添付図面を用いて説明する。
図1は、本発明に基づくリンクベルトを搭載した船の加速機構を説明する側面図である。図2は、図1のA−A線に沿った断面図である。図3は、本発明に基づく水車内に組み込まれたラバーチューブに高圧空気を注入する前後の状態を説明する断面図である。図4は、図3のC部を説明する拡大詳細図である。図5は、本発明に基づくラバーチューブの構成を説明する斜視図である。図6は、リンクベルトに囲まれた水車が、油圧シリンダーによって傾く状態になって前進する状態を説明する概略断面図である。
本発明に基づくリンクベルトを搭載した船の加速機構を説明する図1側面図および図2断面図が示すように、本発明による加速機構は、基本的に、船体100の対向する側面下端に沿って取り付けられた水車10、対向するふたつの水車10の中心をそれぞれ貫通する回転シャフト20、一群の水車10をそれぞれ囲い、かぎ形の翼板31が形成されたリンクベルト30を備える。翼板31は、リンクベルト30の外表面から外に向かって突き出し、互いに一定の間隔を空けている。
また、本発明の加速機構は、水車10の外側にそれぞれ取り付けられ、内部に回転シャフト20が挿入されるボールベアリング・ユニット11、ボールベアリング・ユニット11の下端をボルト止めする角パイプ12、各角パイプ12の端部上面にその底面がボルト止めされるヒンジ13、角パイプ12の上面においてヒンジ13の対辺に固定される油圧シリンダー14、という構成をさらに備えている。角パイプ12の端部上面に取り付けられた各ヒンジ13は、船体100の底面101にボルト固定されるヒンジロッド131と、ヒンジロッド131の下部に取り付けられるヒンジシャフト132とを有する。各油圧シリンダー14は、上・下ブラケット141、各ブラケット141に挿入されるピン143、及び、上・下ブラケットの間に取り付けられるシリンダー142を含む。油圧シリンダー14は、その上端は上部ブラケット141と対応するピン143によって船体100の底面101に固定され、その下端は下部ブラケット141と対応するピン143によって角パイプ12に固定される。
図3に示すように、水車10にはそれぞれラバーチューブ15が組み込まれている。各ラバーチューブ15は、片側上端部に空気注入口151を有している。
航行中、普段は空気で膨らんでいないラバーチューブ15に空気が注入され、船体100をできるだけ高く持ち上げる。これにより、航行中に水面に対する船体100の摩擦が最小限に抑えられる。
図4に示すように、水車10の外表面は、均一に精細な波形物16が形成されており、水車10とリンクベルト30の接触を高めている。
再び図3を参照すると、水車10の外表面の反対側には、それぞれ離脱防止ロッド17が設けられている。ロッド17は、リンクベルト30が不意に水車10から離脱するのを防止する役割を果たす。
一方、図2に示すように、船体100の対向する側面下端に、それぞれラダー102が形成されている。ラダー102は、船体100の側面に生じる摩擦係数を最小限に抑えるうえで効果的である。
本発明に基づく前記の詳細な構成が示すように、リンクベルト30は、その外表面に形成された翼板31が引き起こす水抵抗の影響によって滑ることなく、元の位置に留まろうとする。この状態において、推進装置を作動させリンクベルト30に推進力を加えた場合、船体100はその両側面において強い水抵抗にさらされる。その強力な水抵抗によって、リンクベルト30は、船体100の後方に向かって回転する。
本発明に基づくリンクベルトを搭載した船が10ノット以下で航行すると、水車10は回転することなく静止状態のままでいるかもしれない。しかし、船がその速度を超えて航行すると、リンクベルト30の翼板31は強力な水抵抗にさらされ、リンクベルト30は非稼動時における元の位置に留まろうとする。さらに船の速度が増すと、リンクベルト30の表面全体が水の表面張力による影響を強く受け、それにより船体100は徐々に持ち上がってゆく。
本発明の動作を説明する。本発明に基づくリンクベルトが搭載された船は次のように加速する。まず、船尾に取り付けられたスクリュー2が、推進装置1の駆動運転を受けて回転する。それにより船体100に推進力が与えられる。次に、推進力が上がるにつれて、船体100の両側面に加えられる水抵抗によって水車10が回転する。これにより水車10と連結したリンクベルト30は船体100の後方に向かって回転する。さらに推進力が増すと、リンクベルト30の翼板31がより大きな水抵抗にさらされ、また、リンクベルト30は水の表面張力による影響を強く受ける。その結果、船体100の前方部分が持ち上がり、船は加速する。
リンクベルト30が滑ることなく非稼動時における元の位置に留まろうとし、船体100は、船体100の後部に加えられる強大な推進力を受けて前進しようとする。推進装置1の推進力がさらに増し、リンクベルト30の外表面に形成された翼板31にはより大きな水抵抗が加わる。それによりリンクベルト30の水面張力が強くなる。これにより船体100の後部が徐々に持ち上がり、船体100の後部でリンクベルト30の翼板31が波をかきながら進むようになり、その結果、船の速度は最大限まで加速する。
本発明において、水車10はアルミニウムあるいは他の軽剛体材料でできている。
あるいは、水車10の中空部分は、ラバーチューブ15を組み込むことなく、空洞の状態に保持しておくこともできる。
〔産業上の利用可能性〕
前記の記載より明らかなように、本発明は、リンクベルトを搭載した船の加速機構を提供するものである。その加速機構は、ある推進装置によってもたらされる推進力を利用して船の速度を最大限にするように構成されており、それにより燃料の消費も低減できる。さらに、本発明によると、船のすべての構成要素は、一体構造ではなく、個々に組み立てられる構造をしており、修理作業を簡素化することができ、欠陥部品を個々に交換することで建造が容易になる。さらに、船の下端面と水の接触領域を最小限に抑えることにより、船のスピードが速くなる。水車にボールベアリングを組み込み、スピードをより速くできる。ボールベアリングによって水面における船体の滑り特性が向上し、船の速度が上がる。
最後に、本発明による水車は、その一部分がずっと水中に浸かっているため、潤滑油あるいは冷却処理を必要としない。従って、本発明は、高速が求められる軍用船に好適であり、またレジャー船、救命ボート、高速輸送船にも好適である。
本発明による好ましい実施の形態を具体的に示したが、当業者にとっては、請求項に示す本発明の技術的範囲から逸脱することなく、種々の変更、追加、置換が可能であることが理解される。
図1は、本発明に基づくリンクベルトを搭載した船の加速機構を説明する側面図である。 図2は、図1のA−A線に沿った断面図である。 図3は、本発明に基づく水車内に組み込まれたラバーチューブに高圧空気を注入する前後の状態を説明する断面図である。 図4は、図3のC部を説明する拡大詳細図である。 図5は、本発明に基づくラバーチューブの構成を説明する斜視図である。 図6は、リンクベルトに囲まれた水車が、油圧シリンダーによって傾く状態になって前進する状態を説明する概略断面図である。

Claims (4)

  1. 船体の対向する側面下端に沿って取り付けられた水車と、
    対向するふたつの前記水車の中心をそれぞれ貫通する回転シャフトと、
    一群の前記水車をそれぞれ囲い、外表面から外側に向かって突き出たかぎ形の翼板が一定間隔で形成されたリンクベルトと、
    前記水車の外側にそれぞれ取り付けられ、前記回転シャフトがボールベアリングを通って挿入されるボールベアリング・ユニットと、
    前記ボールベアリング・ユニットの下端をボルト止めする角パイプと、
    前記各角パイプの端部上面においてその底面がボルト止めされたヒンジであって、それぞれが、船体底面にボルト固定されたヒンジロッドおよび該ヒンジロッドの下部に位置するヒンジシャフトを有するヒンジと、
    前記角パイプの上面において前記ヒンジの対辺に固定される油圧シリンダーであって、それぞれが一組の上・下ブラケット、および各ブラケットに挿入されるピン、および上・下ブラケットの間にシリンダーを有し、その上端は上部ブラケットおよび対応するピンによって船体底面に固定され、その下端は下部ブラケットおよび対応するピンによって前記角パイプに固定される油圧シリンダーと、を備えるリンクベルトを搭載した船の加速機構。
  2. 前記各水車の中に組み込まれ、片側上端部に空気注入口を有するラバーチューブをさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載のリンクベルトを搭載した船の加速機構。
  3. 前記水車の外表面に均一に精細な波形物が形成され、それによって該水車と前記リンクベルトの接触を高めることを特徴とする請求項1に記載のリンクベルトを搭載した船の加速機構。
  4. 前記水車の外表面の反対側にそれぞれ設けられた離脱防止ロッドであって、該ロッドは、前記リンクベルトが不意に前記水車から離脱するのを防止することを特徴とする請求項1に記載のリンクベルトを搭載した船の加速機構。
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