JPH10181687A - 船 舶 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高速航行するための推進機の構造が複
雑であった。 【解決手段】 船体１の両側に、リフト手段14により
上下動自在に推進機４を設けると共に、上記推進機４
を、機枠４ａに支承された従動輪５及び回転駆動源８に
より回転駆動される駆動輪６と、これら従動輪５及び駆
動輪６の間に捲装された無端ベルト７の外周面に立設さ
れた多数のフィン12とより構成したもので、簡単な構成
の推進機により高速航行が可能になる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は高速で航行が可能
な船舶に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来船舶の多くは推進機にプロペラを使
用しているが、近年では高速航行を可能にするため、種
々の推進機が開発され、実用化されている。

【０００３】また、航行中船体が受ける水の抵抗をなく
すために船体の下部に翼を設けて、船舶の速度が上ると
翼に揚力を発生させて、船体を水面より浮き上らせるよ
うにした水中翼船も実用化されている。

【０００４】上記水中翼船の推進機には、例えば特開平
５−２３８４７１号公報に開示されているように、多く
は水を後方へ噴出して推進するジェット推進方式が採用
されている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしジェット推進方
式では、船外より取り入れた水を圧して後方へ噴出する
構成のため、構造が複雑で、かつ大きな駆動力を必要と
するため、装置が大型かつ高価となる不具合がある。ま
た、船体内に大型の推進機を設置する必要があるため、
船舶の積載量が減少するなどの不具合もある。

【０００６】この発明は、かかる従来の不具合を改善す
るためになされたもので、船舶両側に設けられたフィン
付き無端ベルトを推進機にして高速航行が可能な船舶を
提供することを目的とするものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
請求項１記載の発明は、船体の両側に、リフト手段によ
り上下動自在に推進機を設けると共に、上記推進機を、
機枠に支承された従動輪及び回転駆動源により回転駆動
される駆動輪と、これら従動輪及び駆動輪の間に捲装さ
れた無端ベルトと、上記無端ベルトの外周面に立設され
た多数のフィンとより構成したものである。

【０００８】上記構成により、無端ベルトを高速回転さ
せると、各フィンが水をかいて推進力を発生させるた
め、船舶の高速航行が可能になる。

【０００９】また、推進機を船体の両側に設けたことに
より、船体内に推進機が不要となるため、積載量が減少
することもない。

【００１０】上記目的を達成するため請求項２記載の発
明は、推進機の側面に、折り畳み自在な水中翼を設けた
ものである。

【００１１】上記構成により、水中翼による航行も可能
となるため、より高速化が図れるようになる。

【００１２】

【発明の実施の形態】この発明の実施の形態を図面を参
照して詳述する。図において１は船体で、客室（又は貨
物室）２を備えており、客室２の前方には操舵室３が設
置されている。上記船体１の下部両側には、船体１を高
速で航行させる推進機４が設置されている。

【００１３】上記推進機４には前後方向に細長い機枠４
ａを有していて、この機枠４ａの前部に従動輪５が、そ
して後部に駆動輪６が設けられていて、これら従動輪５
及び駆動輪６の間に無端ベルト７が捲装されている。上
記無端ベルト７は図４に示すように内面に多数の凹凸７
ａを有するタイミングベルトなどより構成されていて、
従動輪５及び駆動輪６の外周面に設けられた多数の凹凸
５ａ，６ａと凹凸７ａが互いに噛み合うことにより、ス
リップすることなく駆動輪６により無端ベルト５が正逆
回転できるようになっている。

【００１４】また、駆動輪６の中心部には油圧モータや
電動モータよりなる回転駆動源８が設けられている。上
記回転駆動源８には船体１内に搭載された油圧ポンプや
発電機などの動力発生装置９より油圧や電力が油路また
はケーブル10を介して供給されるようになっている。

【００１５】上記無端ベルト７の両側縁は、機枠６ａに
設けられた多数の転輪11により上下方向から挟着されて
いて、推進反力を受けても上下方向に波打たないよう支
持されていると共に、無端ベルト７の外周面には、推進
方向と直交する方向に多数のフィン（ヒレ）12が等間隔
に取り付られている。上記フィン12は屏風状に折り曲げ
られていて、折り曲げ線上に複数の水抜き孔12ａが開口
されており、基端部が取付金具12ｂにより、無端ベルト
７の外周面に対して直角となるよう固着されている。

【００１６】上記推進機４の従動輪５は、油圧シリンダ
やバネなどの付勢手段13により常時前方へ付勢されてい
て、無端ベルト７を緊張していると共に、船体１と推進
機４の間には油圧シリンダよりなるリフト手段14が、そ
して、機枠４ａの両側には水中翼15が設けられている。
上記リフト手段14は、船体１の両側に前後に離間するよ
うに設置されていて、動力発生装置９より供給される油
圧によりピストン杆14ａが上下に伸縮するようになって
おり、ピストン杆14ａの先端に推進機４の機枠４ａが固
着されていて、船体１に対して推進機４を上下動できる
ようになっている。

【００１７】また、機枠４ａの両側に取り付けられた水
中翼15は、機枠４ａを外側が高い位置に、そして、内側
が低い位置に設置されていて、油圧シリンダ（図示せ
ず）により水中位置から垂直位置に折り畳めるように構
成されている。

【００１８】なお、図中７ｃは無端ベルト７に開口され
た多数の水抜き孔、17は船体１の前後に設けられた救助
用エアバック、18は非常用舵、19は通信用アンテナ、20
は前照灯、21は赤色灯などの警報灯、22はエアタンク、
23は燃料タンクを示す。

【００１９】つぎに、上記構成された船舶の作用を説明
すると、低速航行時には、図12に示すように推進機４を
上限まで上げ、水中翼15は折り畳んだ状態で駆動輪６に
より無端ベルト７を回転させて推進し、方向転換は、左
右の無端ベルト６の回転数を変化させて、その回転差を
利用して行う。

【００２０】また、左右無端ベルト７の回転方向を逆に
することにより、急旋回や、左右の無端ベルト７を同時
に逆転することにより後進も可能になる。

【００２１】一方波が高かったり、高速航行する場合
は、リフト手段14により推進機４を図13に示すように下
降させ、水中翼15を水平状態に回動する。そして、この
状態で無端ベルト７を高速回転させると、船体１がある
速度に達したところで、水中翼15に発生する揚力により
船体１が水面より浮上するため、船体１が受ける水の抵
抗がなくなり、これによって水中翼による高速航行が可
能になる。

【００２２】

【発明の効果】この発明は、以上詳述したように、外周
面に多数のフィンが立設された無端ベルトを回転させて
航行するようにしたことから、船舶の高速航行が可能と
なると共に、推進機を船体の両側に設置することができ
ることから、船体の積載量が減少することもない。

【００２３】また、回転駆動源により無端ベルトを回転
させて推進する構成のため、従来のジェット推進方式に
比べて、構成が簡単で安価に製作することができると共
に、船体に対して推進機を下降させて航行することがで
きるため、波の高い時や、水中翼を使用して航行する際
にも、十分な推進力が得られるようになる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の実施の形態になる船舶の斜視図であ
る。

【図２】この発明の実施の形態になる船舶の一部切欠側
面図である。

【図３】この発明の実施の形態になる船舶の横断面図で
ある。

【図４】この発明の実施の形態になる船舶の推進機の斜
視図である。

【図５】この発明の実施の形態になる船舶の推進機の転
輪部分を示す斜視図である。

【図６】この発明の実施の形態になる船舶の推進機の転
輪部分を示す正面図である。

【図７】この発明の実施の形態になる船舶の推進機の従
動輪付近の斜視図である。

【図８】図７のＡ−Ａ線に沿う断面図である。

【図９】図８のＢ方向からの矢視図である。

【図１０】図８のＣ方向からの矢視図である。

【図１１】この発明の実施の形態になる船舶の推進機の
従動輪付近の側面図である。

【図１２】この発明の実施の形態になる船舶の作用説明
図である。

【図１３】この発明の実施の形態になる船舶の作用説明
図である。

【符号の説明】

１ 船体 ４ 推進機 ５ 従動輪 ６ 駆動輪 ７ 無端ベルト ８ 回転駆動源 12 フィン 14 リフト手段 15 水中翼

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 船舶(1) の両側に、リフト手段(14)によ
   り上下動自在に推進機(4) を設けると共に、上記推進機
   (4) を、機枠(4a)に支承された従動輪(5) 及び回転駆動
   源(8) により回転駆動される駆動輪(6) と、これら従動
   輪(5) 及び駆動輪(6) の間に捲装された無端ベルト(7)
   と、上記無端ベルト(7) の外周面に立設された多数のフ
   ィン(12)とより構成したことを特徴とする船舶。
2. 【請求項２】 推進機(4) の側面に、折り畳み自在な水
   中翼(15)を設けてなる請求項１記載の船舶。
3. 【請求項３】 無端ベルト(7) をタイミングベルトによ
   り構成してなる請求項１記載の船舶。