JP2008517668A - 鳥類卵の胚下腔内に器具を正確に位置決めするための方法および装置 - Google Patents

鳥類卵の胚下腔内に器具を正確に位置決めするための方法および装置 Download PDF

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Abstract

卵の中に器具を正確かつ確実に位置決めするための方法および装置が提供される。開口部が卵殻の一部分内に形成され、器具が前記開口部に通して伸長させられる。本器具は、圧力下で流体を含有するルーメンを有する針を含む。流体圧が監視され、流体の圧力における変化の検出に応答して、器具の移動が停止させる。または、流体流量が監視され、針からの流体流量の検出に応答して、器具の移動が停止される。本器具は、前記卵の胚下腔内に物質を送達するように構成されている物質送達器具であってよい。本器具は、卵から物質を除去するように構成されている物質除去器具であってよい。

Description

関連出願
本出願は、2004年10月25日に提出された米国仮特許出願第60/621,964号の利益および前記特許出願に対する優先権を主張し、その開示はその全体に記載のように参照により本明細書に組み込まれるものである。
発明の分野
本発明は、一般に卵、およびより特別には、卵を処理するシステムおよび方法に関する。
家禽類孵化場およびその他の卵処理施設では、卵は極めて多数で取り扱われて処理される。用語「処理するステップ」は、医薬品、栄養素、ホルモンおよび/またはその他の有益な物質を用いて、胚が卵の中に存在する間に(すなわち、インオボ(in ovo:卵内))で生きている卵を処理するステップを含んでいるが、それに限定されない。鳥類卵内への様々な物質の卵内注射は、孵化後罹病率および致死率を減少させるため、潜在的成長率もしくは結果として生じる鳥の最終的サイズを増加させるため、そして胚の性別確認に影響を及ぼすためにさえ実施されてきた。生きている卵内へのワクチンの注射は、インオボで鳥を免疫するために効果的に使用されてきた。
ここで図1を参照すると、鳥類卵10が示されている。図示した卵10は、卵殻12、外卵殻膜14、内卵殻膜16、および内卵殻膜と外卵殻膜14、16の間の卵10の鈍端で気室18を含む。図示した卵10は、内側の薄い卵白24a、外側の厚い卵白24b、および外側の薄い卵白24cによって取り囲まれた卵黄20および胚盤葉22をさらに含む。胚盤葉22は、「胚下腔」26の頂上に座る、細胞数個分の奥行きがある細胞円板である(図2)。胚盤葉円板22の辺縁は、卵黄20に付着している。
現在は、キメラ鶏を製造するためには、針で胚盤葉を穿刺し、細胞を胚下腔内へ送達することによって、細胞が鳥類卵の胚下腔内へ注射される。しかし、鳥類卵内の胚下腔が極めて小さいために、胚下腔内への細胞の正確な送達は困難なことがある。さらに、オペレータは、胚下腔内へ針を伸長させる深さをほとんど、または全く制御できない。さらに、胚下腔のサイズおよび深さは、卵毎に変動する可能性がある。そこで、胚下腔内への細胞の注射は、ニワトリが孵化してキメラ現象について試験できるまでは、卵の胚下腔内に細胞が正確に挿入されているかどうかを知ることが不可能であるために、典型的には「ブラインド注射」と呼ばれている。したがって、当分野においては鳥類卵の胚下腔内へ器具を確実かつ正確に位置決めする改良された方法の必要がある。
上記の考察に照らすと、卵の中に器具を正確かつ確実に位置決めするための方法および装置が提供される。本発明の実施形態によると、卵殻の一部分内に開口部が形成され、その開口部に通して器具が伸長させられる。この器具は、圧力下で流体を含有するルーメンを有する針を含む。流体圧が監視され、流体の圧力変化の検出に応答して、器具の移動が停止させられる。または、流体流量が監視され、針からの流体流量を検出するステップに応答して、器具の移動が停止させられる。
本発明の実施形態は、卵の胚下腔内への針の正確かつ確実な配置を可能にする。本発明の実施形態によると、本器具は、卵の胚下腔内へ物質(例、細胞、ワクチン、核酸、タンパク質、ペプチド、ウイルス、抗原、ホルモン剤、成長因子、サイトカインなど)を送達するように構成されている物質送達器具であってよい。本発明の他の実施形態によると、本器具は、卵から物質を除去するように構成されている物質除去器具であってよい。
以下では、本発明の好ましい実施形態が図示されている添付の図面を参照して、本発明をより詳細に記載する。しかし本発明は、多数の様々な形態で具体化することができ、本明細書に記載した実施形態に限定されると見なすべきではなく、むしろこれらの実施形態は、本開示が完全かつ完璧であり、当業者に本発明の範囲を詳細に伝えるように提供されている。
同様の番号は、全体を通して同様の要素を指す。図面において、特定の線の太さ、層の厚さ、構成成分、要素もしくは機能は明確にするために誇張されていることがある。破線は、他に特に規定していない限り、任意の機能もしくは作動を例示している。本明細書に言及したすべての出版物、特許出願、特許、および他の参考文献は、全体として参照して本明細書に組み込まれる。
本明細書において本発明の説明に使用する用語は、特定の実施形態だけを記載する目的のためであり、本発明を限定することは意図されていない。本明細書で使用するように、単数形「ある(a)」、「ある(an)」および「その(the)」は、文脈上明らかにそうでないことを示さない限り、複数形を含むことが意図されている。さらに、用語「含む」および/または「含んでいる」は、本明細書で使用する場合は、規定された機能、物、ステップ、作動、要素、および/または構成成分の存在を規定するが、1つまたは複数の他の機能、物、ステップ、作動、要素、構成成分、および/またはそれらの群の存在もしくは付加を排除しないことは理解される。本明細書で使用する用語「および/または」は、関連する列挙した項目の1つまたは複数の任意および全部の組み合わせを含む。本明細書で使用する「X〜Yの間」および「約X〜Yの間」などの言い回しは、XおよびYを含むと解釈されたい。本明細書で使用する「約X〜Yの間」などの言い回しは、「約X〜約Yの間」を意味する。本明細書で使用する「約X〜Y」などの言い回しは、「約X〜約Y」を意味する。
特に規定しない限り、本明細書において使用する全ての用語(技術用語および科学用語を含む)は、本発明が属する当業者によって一般に理解される意味と同一の意味を有する。さらに、一般に使用される辞書に規定されている用語などの用語は、本明細書および関連分野の状況におけるそれらの意味に一致する意味を有すると解釈すべきであり、本明細書に明示的にそのように規定されていない限り理想的もしくは過度に形式的意味で解釈されるべきではないと理解されたい。周知の機能もしくは構造は、簡潔さおよび/または明確さのために詳述されないことがある。
1つの要素がまた別の要素の「上に」、「取り付けられて」、「接続されて」、「結合されて」、「接触して」などと言及される場合は、1つの要素は他の要素の直接、上に、取り付けられて、接続されて、結合されて、接触していてよい、または介在要素もまた存在していてよいと理解される。これとは対照的に、1つの要素が、例えばまた別の要素の「直接上に」、「直接取り付けられて」、「直接接続されて」、「直接結合されて」、または「直接接触して」いると言われる場合は、介在要素は存在しない。当業者には、他の機能に「隣接して」配置されている構造もしくは機能についての言及は、隣接機能に重複する、もしくはその下にある部分を有する可能性があることもまた理解される。
「下方」、「より下」、「低い」、「上方」、「上部」などの空間的相対語は、本明細書では図面に例示した1つの要素もしくは機能のまた別の要素もしくは機能との関係を記載するための説明を容易にするために使用することができる。空間的相対語は、使用もしくは操作において、図面に描出した方向に加えて、器具の異なる方向を含むことが意図されている。例えば、図面の中の器具が逆転すると、他の要素もしくは機能の「下方」もしくは「下の」として記載された要素は、他の要素もしくは機能の「上方」に方向付けられる。そこで、典型的用語「下方」は、「上方」および「下方」の両方の方向を含むことができる。本器具は、別な方向(90度回転させて、または他の方向)に方向付けることができ、本明細書で使用した空間的相対記述子はそれに合わせて解釈できる。同様に、用語「上向きに」、「下向きに」、「垂直」、「水平」などは、詳細に他のことを指示していない限り、本明細書では説明することを目的に使用されている。
用語「第1」、「第2」などは本明細書では様々な要素、構成成分、領域、層、および/または区域を記載するために使用できるが、これらの要素、構成成分、領域、層、および/または区域はこれらの用語によって限定されるべきではない。これらの用語は、1つの要素、構成成分、領域、層もしくは区域を他の要素、構成成分、領域、層もしくは区域から識別するためにのみ使用される。そこで、以下で考察する「第1」要素、構成成分、領域、層、もしくは区域は、本発明の教示から逸脱せずに「第2」要素、構成成分、領域、層、もしくは区域と呼ぶこともできよう。作動(もしくはステップ)の順序は、他に特別に記載しない限り、特許請求の範囲もしくは図面に提示した順序に限定されない。
本明細書で使用する用語「鳥類」および「鳥類対象」は、任意の家禽種の雄および雌を含むことが意図されているが、主として卵、肉のために、またはペットとして商業的に育てられる家禽類を含むことが意図されている。したがって、用語「鳥類」および「鳥類対象」は、ニワトリ、シチメンチョウ、アヒル、ガチョウ、ウズラ、キジ、インコ、オウム、バタン、オカメインコ、ダチョウ、エミューなどを含むがそれらに限定されない様々な鳥類を含むことが特に意図されている。
本明細書で使用する用語「初期胚」は、産卵時(胚盤葉段階)から始原生殖細胞(PGC)が移動するほぼ発達段階までの鳥類胚を指す。特にニワトリ胚に関して、「初期胚」は一般に約胚形成期20(H&H)胚以前である。ニワトリ胚の発達段階は、当分野においてよく理解されており、例えばThe Atlas of Chick Development,R.Bellairs & M.Osmond,eds.,Academic Press,1998を参照されたい。
本明細書で使用する用語「胚盤葉」は、当分野において理解された意味を有する。一般に、胚盤葉は、産卵時から原腸胚形成終了時までの胚を含む。胚盤葉は、時々は当分野におけるまた別の名称である「胚盤」とも呼ばれる。胚盤葉は、初期胚における卵割中に形成されて原腸胚形成終了時まで遺残する細胞の平らな細胞円板として説明されることができる。産卵時までに、胚盤葉の2つの主要な領域(中心に位置する明域および周辺に位置する暗域)を視認することができる(The Atlas of Chick Development,R.Bellairs & M.Osmond,eds.,Academic Press,1998)。特にニワトリ胚に関すると、胚盤葉は、典型的には産卵時(すなわち第IX期もしくは第X期(EG&K)から約第XIII期 (EG&K))以降の胚であると特徴付けられている。
本明細書で使用する用語「注射」および「注射するステップ」は、物質を卵もしくは胚内へ送達もしくは放出する方法、物質(すなわち、サンプル)を卵もしくは胚内から取り出す方法、および/または検出器具を卵もしくは胚内へ挿入する方法を含む、器具を卵もしくは胚内へ挿入する方法を含む。
用語「キメラ鳥」もしくは「キメラ胚」は、「ドナー」と呼ばれる各々別の鳥もしくは胚からの細胞を含有するレシピエント鳥もしくは胚を指す。用語「トランスジェニック鳥」および「トランスジェニック胚」は、本明細書では当分野において一般に理解されているそれらの意味によって使用される。トランスジェニック鳥もしくはトランスジェニック胚は、1つまたは複数の細胞中に異種核酸配列を含有している。
本明細書で使用する用語「膜」は、卵内の任意の組織層を指す。卵内の典型的な膜には、外卵殻膜、内卵殻膜、漿尿膜、VM膜、および羊膜(amnion)が含まれるが、それらに限定されない。
本明細書で使用する用語「針」、「ピペット」、および「マイクロピペット」は、互換可能であることが意図されている。
図2を参照すると、本発明の実施形態による、その胚下腔26内に挿入されている針30とともに鳥類卵10が示されている。針30は、当業者には理解されるように、それを通って卵の胚下腔26内に挿入させるべき流体が送達されるルーメンを含有している。圧感知システム40(図3)は、針30の先端が卵黄膜25を通過して胚下腔26に進入した時点が正確に決定するために利用される。圧感知システム40は、針30内に保持された流体が針ルーメンの壁間で表面張力によってある程度まで保持されるという原理で作動する。針先端が空気に取り囲まれたときに流体が針先端内のルーメン出口から流出するためには、当業者には理解されるように、ルーメンの他方の端(すなわち、ルーメン入口)へ最小限の圧力が適用されなければならない。しかしルーメン出口が水などの液体で浸漬させられていると、当業者には同様に理解されるように、表面張力は実質的に取り除かれ、ルーメン内の流体は、ルーメン入口へ適用されるはるかに小さい圧力でルーメンから流出する。
本出願人らは、ルーメン出口が卵白内に挿入されている場合は、ルーメン出口が空気内に配置されている場合に比較して、ルーメンを通る流れを引き起こすためにはルーメン入口で有意に大きな圧力が必要とされることを見いだした。特定の理論に固執することを望む訳ではないが、本出願人らは、これは少なくとも一部には、卵内の他の流体と比較して、卵白の高粘度に起因すると考えている。さらに本出願人らは、胚下腔内の胚下流体は、ルーメン出口から流体の流出を引き起こすために空気の場合と比較してはるかに低い圧力を必要とする水に類似する特徴を有すると考えている。針が胚下腔内に配置された時点と比較して、針が卵白内に配置された時点で流体の流動を引き起こすために必要とされる圧力の差は、圧センサを介して胚下腔内に針が配置された時点の正確な決定を可能にする。
図3を参照すると、本発明の実施形態による、針先端が鳥類卵の胚下腔内に挿入された時点を確実かつ正確に検出するように構成されている圧感知システム40が示されている。図示したシステム40は、圧リザーバ42、ピンチバルブ44、圧トランスデューサ46、装填シリンジ48、およびリニアスライド50を含む。マイクロピペット30(上述した針の機能を果たす)は、鳥類卵の胚下腔内へ物質(例えば細胞、ワクチン、核酸、タンパク質、ペプチド、ウイルス、抗原、ホルモン剤、成長因子、サイトカインなど)を送達するように構成されている。マイクロピペット30は流体を含有しており、圧リザーバ42によって所定圧へ加圧される。この所定圧は、マイクロピペット先端が卵白内に位置する場合はマイクロピペット30を通って流体は流出しないが、マイクロピペット先端が胚下腔内へ通過するとマイクロピペット30を通って流体が流出する圧力である。圧トランスデューサ46は、マイクロピペット30の先端が胚下腔内へ移動する(これは流体がマイクロピペット30から流出することを引き起こす)につれてマイクロピペット30内の流体における圧の変化を検出する。
圧リザーバ42は、ガス入口を介してコンテナに接続されており、コンテナの流体領域から液体出口まで導くチューブを有する圧縮空気もしくは他のガスの供給源であってよい。図示した実施形態では、三方バルブ47がピンチバルブ44と装填シリンジ48との間に配置されている。ピンチバルブ44は、圧リザーバ42を介してのマイクロピペット30の加圧を促進する。三方バルブ47は、マイクロピペット30が加圧されているときは装填シリンジ48を隔離し、流体が装填シリンジ48を介してマイクロピペット30内へ装填されるときは圧リザーバ42を隔離する。三方バルブ49は、装填シリンジ48を介して流体がマイクロピペット30内へ装填される場合に圧トランスデューサ46を隔離する。
リニアスライド50は、当業者には周知の従来型X−Y表であってよい。リニアスライド50は、マイクロピペット30の移動を正確に制御する。圧トランスデューサ46は、マイクロピペットルーメン内の流体の圧変化を検出するように構成されている。
圧感知システム40は、好ましくはコンピュータ制御下にある。そこで、圧トランスデューサからの信号は、マイクロピペット30の移動を制御するために利用できる。流動センサが利用される他の実施形態によると、流動センサからの信号を利用すると、マイクロピペット30の移動を制御できる。
本発明の実施形態は、多数の長所を有する。例えば、本発明の実施形態は、鳥類卵の胚下腔へ細胞およびその他の物質を送達する従来方法よりも確実な方法を提供できる。さらに、本発明の実施形態による圧感知システムを利用する方法は、胚下腔内への細胞送達が発生した時点を決定するためのフィードバックを提供する。注射針の深さを精密に制御するためのリニアスライド50の使用もまた有益である。リニアスライドは、針の制御された移動を提供する。注射が手で実施される場合は、卵黄膜および/または他の内卵殻膜を裂いてしまう手の側方運動が存在するかどうか、または胚下腔の下方もしくは上方の領域に針を過度に深く配置する過剰な垂直運動が存在するかどうかを確認しようがない。さらに、圧低下は送達される容量と線形相関を示す可能性があり、それにより正確な容量(例、0.1μL以内)を送達するための極めて正確な方法を提供する。
図4は、本発明の実施形態による、卵の胚下腔内へ器具を正確に位置決めし、そこへ物質を送達する方法を例示しているフローチャートである。ブロック内に記載した機能は図4に記載した順序から外れて生じる可能性があることを留意されたい。順に示した2つ(以上)のブロックは、実際には実質的に同時に実行されてよく、または含まれる機能性に依存して、ブロックはときには逆の順序で実行されてもよい。
最初に、鳥類卵の殻に開口部が形成される(ブロック100)。開口部は、当業者に知られているパンチまたは他の器具による方法を含む様々な方法で形成できる。さらに、開口部は任意の適切な場所に、例えば赤道軸近くの卵の側面や、卵の一方の端などに形成することができる。本発明の1つの実施形態では、卵殻の開口部が、一般に水平に位置決めされた卵の殻の上方に面する部分に導入される。しかし、本発明の実施形態は、卵の任意の特定方向には限定されない。
本発明の実施形態によると、例えば少なくとも開口部を形成するための部位の周囲の卵の表面は、細菌(もしくは他の)汚染を減少させるために(例えば、アルコールもしくは他の消毒液を用いて)消毒されてもよい。しかし、開口部の部位を含む卵を消毒するステップは、本発明の実施形態に関しては必要とされない。
流体を含有するルーメンを備える針は、開口部を通して卵の卵白内に挿入される(ブロック105)。針ルーメン内の流体は、ピンチバルブ44を開くことによって(例えば、約5〜20インチの水で)加圧され(ブロック110)、図3を参照しながら上述したように、圧感知システムによって圧力が監視される。次にピンチバルブ44は閉鎖され(ブロック115)、針は卵白内へ挿入され、押し進められる(ブロック120)。ルーメン内の圧低下が検出されると、針の移動が停止させられ、針のルーメン出口は卵の胚下腔内に位置決めされる(ブロック125)。流体物質は、圧低下のために胚下腔内へ流入する(ブロック130)。ルーメンから流出する流体は、卵内へ送達しなければならない物質であってよい(例えば細胞、ワクチン、核酸、タンパク質、ペプチド、ウイルス、抗原、ホルモン、成長因子、サイトカインなどを含む流体)。または、卵内に送達しなければならない物質は、圧低下のために流動する初期流体に従ってもよい。
胚下腔内へ送達される所定量の液体と相関するルーメン内の所定圧低下が検出されると(ブロック135)、器具は卵から抜去される(ブロック140)。卵殻の開口部は、シーラントを用いてシールすることができ(ブロック145)、卵は孵化するまで孵卵することができる(ブロック150)。
本発明の他の実施形態によると、圧センサの代わりに低流量センサまたは質量流量センサを使用できる。そのような実施形態では、流量センサは、流路外でマニホールドにより連結されている圧センサとは対照的に、直列で(流路内に)配置できる。これによって、上述した圧感知システムと比較して、流路および流量の両方の削減を見込むことができる。このシステムは、液体またはガス流量センサを利用できる。ガス流量センサが使用された場合は、ガス圧がマイクロピペットまたは針の前ではなく流量センサの後の流路に直接的に適用されるから、圧リザーバが排除される。このため、ガス/流体界面は、圧リザーバの内側ではなく、チューブの内側になる。
図5は、本発明の他の実施形態による、卵の胚下腔内へ器具を正確に位置決めし、そこへ物質(例えば細胞、ワクチン、核酸、タンパク質、ペプチド、ウイルス、抗原、ホルモン、成長因子、サイトカインなど)を送達する方法を例示しているフローチャートである。ブロック内に記載した機能は図5に記載した順序から外れて生じる可能性があることを留意されたい。順に示した2つ(以上)のブロックは、実際には実質的に同時に実行されてよい、または含まれる機能性に依存して、ブロックはときには逆の順序で実行されてもよい。
最初に、鳥類卵の殻に開口部が形成される(ブロック200)。開口部は、当業者に知られているパンチまたは他の器具による方法を含む様々な方法で形成できる。さらに、開口部は任意の適切な場所に、例えば赤道軸近くの卵の側面や、卵の一方の端などに形成することができる。本発明の特定の好ましい実施形態では、卵殻の開口部が、一般に水平に位置決めされた卵の殻の上方に面する部分に導入される。しかし、本発明の実施形態は、卵の任意の特定方向には限定されない。
本発明の実施形態によると、例えば少なくとも開口部を形成するための部位の周囲の卵の表面は、細菌(もしくは他の)汚染を減少させるために(例えば、アルコールもしくは他の消毒液を用いて)消毒されてもよい。しかし、開口部の部位を含む卵を消毒するステップは、本発明の実施形態に関しては必要とされない。
流体を含有するルーメンを備える針は、開口部を通して卵の卵白内に挿入される(ブロック205)。針ルーメン内の流体は、(例えば、約5〜20インチの水に)加圧され、針は卵白内およびそれに通して移動させられる(ブロック210)。ルーメンを通る流体流動が検出されると、針の移動が停止させられ、針は卵の胚下腔内に正しく位置決めされる(ブロック215)。流体物質(例えば細胞、ワクチン、核酸、タンパク質、ペプチド、ウイルス、抗原、ホルモン、成長因子、サイトカインなどを含む流体)は、胚下腔内へ流動させられる(ブロック220)。ルーメンから胚下腔内への所定流量が流量センサおよび分注時間から平均流速に基づいて見積もられると(ブロック225)、流体の送達が停止させられ、器具は卵から抜去される(ブロック230)。流量センサ信号は、送達される流体の容量を入手するために統合される。卵殻の開口部は、シーラントを用いてシールすることができ(ブロック235)、卵は孵化するまで孵卵することができる(ブロック240)。
本発明の他の実施形態によると、胚下腔への流速は、針が卵内の卵白内に位置決めされると、または針が胚下腔内に入ると、圧リザーバ(42、図3)へ加圧することによって増加させることができる。
図6を参照すると、本発明の実施形態による、針先端が鳥類卵の胚下腔内に挿入された時点を確実かつ正確に検出するように構成されている流動感知システム300が示されている。図示したシステム300は、加圧源、質量流量計304、三方弁47、およびマイクロピペット30(上述した針の機能を果たす)からの圧縮ガス(例、空気)の流量を調節する圧調節器302を含む。マイクロピペット30は、鳥類卵の胚下腔内へ物質(例えば細胞、ワクチン、核酸、タンパク質、ペプチド、ウイルス、抗原、ホルモン剤、成長因子、サイトカインなど)を送達するように構成されている。卵内に送達すべき物質を含有するマイクロピペット30は、圧縮ガス源からの圧縮ガスによって所定圧に加圧される。この所定圧は、マイクロピペット先端が卵白内に位置する場合はマイクロピペット30を通って流体は流出しないが、マイクロピペット先端が胚下腔内へ通過するとマイクロピペット30を通って流体が流出する圧力である。質量流量計(例、ガス質量流量計)304は、マイクロピペット30の先端が胚下腔内へ移動する(これは流体がマイクロピペット30から流出することを引き起こす)につれてマイクロピペット30を通る流体流量を検出する。図示していないが、流量感知システム300は、マイクロピペット30の移動を正確に制御するためにリニアスライドをさらに利用できる。
図示した実施形態では、流量計304と卵内に送達すべき流体供給源との間に三方弁47が配置されている。流体供給源は、マイクロピペット30へ流体もしくは他の物質を供給するように構成されているポンプもしくは他の器具であってよい。三方弁47は、流体がマイクロピペット30内に装填される場合に圧縮空気供給源を隔離し、マイクロピペット30が加圧される場合には流体供給源を隔離する。
図示した流動感知システム300は、好ましくはコンピュータ制御下にある。そこで、流量計304からの信号は、マイクロピペット30の移動を制御するために利用できる。
当業者であれば、例えば商業的養鶏場において本発明の方法を複数の卵に実施する方法を理解するであろう。さらに、本明細書に記載した方法は、完全手動、完全自動化、または半自動化であってよい。
上記は本発明の例示であり、本発明を限定すると見なされてはならない。本発明の少数の典型的実施形態が記載されているが、当業者であれば、本発明の新規の教示および長所から実質的に逸脱せずに典型的実施形態において多数の修飾が可能であることを容易に理解するであろう。
鳥類卵の側断面図である。 その胚下腔内に挿入されている針を伴う、図1の鳥類卵の拡大部分側面図である。 本発明の実施形態による、鳥類卵の胚下腔内に針を確実かつ正確に位置決めする際に使用するための圧感知システムの図である。 本発明の実施形態による、鳥類卵の胚下腔内に針を確実かつ正確に位置決めする方法を示しているフローチャートである。 本発明の実施形態による、鳥類卵の胚下腔内に針を確実かつ正確に位置決めする方法を示しているフローチャートである。 本発明の実施形態による、鳥類卵の胚下腔内に針を確実かつ正確に位置決めする際に使用するための流量感知システムの図である。

Claims (33)

  1. 卵内に器具を位置決めする方法であって、
    開口部を卵の殻の一部分内へ形成するステップと、
    開口部を通して卵内に器具を伸長させるステップであって、器具が加圧下で流体を含有するルーメンを有する針を含むステップと、
    ルーメン内の流体の圧力における変化を検出するステップと、
    ルーメン内の流体の圧力における変化を検出するステップに応答して前記器具の移動を停止させるステップと
    を含む方法。
  2. 前記器具が物質送達器具を含み、器具の移動を停止させるステップに応答して物質送達器具を介して卵内に物質を注射するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記物質が、細胞、ワクチン、核酸、タンパク質、ペプチド、ウイルス、抗原、ホルモン、成長因子、およびサイトカインからなる群から選択される、請求項2に記載の方法。
  4. 前記器具が物質除去器具を含み、器具の移動を停止させるステップに応答して物質除去器具を介して卵から物質を除去するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  5. 卵から器具を除去するステップと、
    卵殻の開口部をシールするステップと
    をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  6. 卵を孵化するまで孵卵するステップをさらに含む、請求項3に記載の方法。
  7. 前記除去するステップが、ルーメン内の流体の圧力が所定レベルへ低下したことを検出するステップに応答して実施される、請求項5に記載の方法。
  8. 鳥類卵の胚下腔内に物質送達器具を位置決めする方法であって、
    開口部を卵の殻の一部分内へ形成するステップと、
    開口部を通して卵内の卵白内に物質送達器具を伸長させるステップであって、物質送達器具が圧力下で流体を含有するルーメンを有する針を含み、ルーメンが出口を含むステップと、
    ルーメン内で流体の圧力における変化を検出するステップと、
    ルーメン内の流体の圧力における変化を検出するステップに応答してルーメン出口が前記胚下腔内に配置されるように、卵白内を進む物質送達器具の移動を停止させるステップと
    を含む方法。
  9. 前記器具の移動を停止させるステップに応答して物質送達器具を介して前記胚下腔内へ物質を注射するステップをさらに含む、請求項8に記載の方法。
  10. 前記物質が、細胞、ワクチン、核酸、タンパク質、ペプチド、ウイルス、抗原、ホルモン、成長因子、およびサイトカインからなる群から選択される、請求項9に記載の方法。
  11. 卵から物質送達器具を除去するステップと、
    卵殻の前記開口部をシールするステップと
    をさらに含む、請求項8に記載の方法。
  12. 卵を孵化するまで孵卵するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
  13. 前記除去するステップが、ルーメン内の流体の圧力が所定レベルへ低下したことを検出するステップに応答して実施される、請求項11に記載の方法。
  14. 卵内に器具を位置決めする方法であって、
    開口部を卵の殻の一部分内へ形成するステップと、
    開口部を通して卵内に器具を伸長させるステップであって、器具が圧力下で流体を含有するルーメンを有する針を含み、ルーメンが出口を含むステップと、
    ルーメン出口を通る流体の流量を検出するステップと、
    流体流量を検出するステップに応答して器具の移動を停止させるステップと
    を含む方法。
  15. 前記器具が物質送達器具を含み、器具の移動を停止させるステップに応答して物質送達器具を介して卵内に物質を注射するステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
  16. 前記物質が、細胞、ワクチン、核酸、タンパク質、ペプチド、ウイルス、抗原、ホルモン、成長因子、およびサイトカインからなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
  17. 前記器具が物質除去器具を含み、器具の移動を停止させるステップに応答して物質除去器具を介して卵から物質を除去するステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
  18. 卵から器具を除去するステップと、
    卵殻の開口部をシールするステップと
    をさらに含む、請求項14に記載の方法。
  19. 卵を孵化するまで孵卵するステップをさらに含む、請求項18に記載の方法。
  20. 鳥類卵の胚下腔内に物質送達器具を位置決めする方法であって、
    開口部を卵の殻の一部分内へ形成するステップと、
    開口部を通して卵内の卵白内に物質送達器具を伸長させるステップであって、物質送達器具が圧力下で流体を含有するルーメンを有する針を含み、ルーメンが出口を含むステップと、
    ルーメン出口を通る流体の流量を検出するステップと、
    ルーメン出口が流体流量を検出するステップに応答して胚下腔内に配置されるように、卵白内を進む物質送達器具の移動を停止させるステップと
    を含む方法。
  21. 前記器具の移動を停止させるステップに応答して物質送達器具を介して胚下腔内へ物質を注射するステップをさらに含む、請求項20に記載の方法。
  22. 前記物質が、細胞、ワクチン、核酸、タンパク質、ペプチド、ウイルス、抗原、ホルモン、成長因子、およびサイトカインからなる群から選択される、請求項21に記載の方法。
  23. 卵から物質送達器具を除去するステップと、
    卵殻の開口部をシールするステップと
    をさらに含む、請求項20に記載の方法。
  24. 卵を孵化するまで孵卵するステップをさらに含む、請求項23に記載の方法。
  25. 卵殻の開口部を介して取り外し可能なように卵内に挿入されるように構成された装置であって、
    伸長可能かつ抜去可能な針であって、圧力下で流体を含有するルーメンを含む針と、
    前記針が卵内の物質を通って移動するにつれてルーメン内の流体の圧力における変化を検出するように構成されている圧トランスデューサであって、流体の圧力変化を検出する圧トランスデューサに応答して針の移動が停止される、圧トランスデューサと
    を含む装置。
  26. 前記針が物質送達器具を含む、請求項25に記載の装置。
  27. 前記針が物質除去器具を含む、請求項25に記載の装置。
  28. 卵殻に開口部を形成するように構成されたパンチをさらに含む、請求項25に記載の装置。
  29. 卵殻に開口部を介して取り外し可能なように卵内に挿入されるように構成された装置であって、
    伸長可能かつ抜去可能な針であって、圧力下で流体を含有するルーメンを含む針と、
    前記針が卵内の物質を通って移動するにつれてルーメンを通る流体の流量を検出するように構成されている流量センサであって、流体流量を検出する流量センサに応答して針の移動が停止される、流量センサと
    を含む装置。
  30. 前記針が物質送達器具を含む、請求項29に記載の装置。
  31. 前記針が物質除去器具を含む、請求項29に記載の装置。
  32. 卵殻に開口部を形成するように構成されたパンチをさらに含む、請求項29に記載の装置。
  33. 前記流量センサがガス質量流量センサを含む、請求項29に記載の装置。
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