JP2008514939A - 金属製物体の位置を検出する検出器 - Google Patents

金属製物体の位置を検出する検出器 Download PDF

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Abstract

本発明は金属製物体の位置を検出する検出器に関し、この検出器は1つの送信コイル(116、216)と少なくとも2つの受信コイル(112、114;212、214)を有しており、当該コイルは相互に誘導結合されており、前記少なくとも2つの受信コイル(112、114;212、214)は相互に同軸状に、第1の面(126、226)内に配置されており、前記送信コイル(116、216)は当該第1の面に対して高さがずらされた、平行な面内に配置されている。本発明では、送信コイル(116、216)に隣接して、受信コイル(112、114;212、214)の付加的な補償巻回(130、132;230、232)が構成されることが提案される。

Description

本発明は、請求項1の上位概念に記載された金属製物体の位置検出のための検出器に関する。
従来技術
建築素材内に埋設されている金属製物体の位置を検出するための検出器は今日、誘導方法で作動する。この場合には、伝導性原材料も強磁性原材料も、周囲に取り付けられた電磁コイルの特性に影響を与えるということが利用される。金属製対象物によって生起された誘導特性変化はこのような検出器の受信回路によって記録される。このようにして例えば、壁に埋め込まれた金属製対象物の位置が、この壁を隔てた1つまたは複数のコイルを用いて検出される。
金属製物体を検出する際に技術的に困難なのは、位置検出されるべき対象物が検出装置の1つないしは複数のコイルへ非常に僅かにしか反応しないということである。これは殊に、非強磁性物体の影響に対して、例えば、技術的に重要な銅の影響に対して当てはまる。これによって、コイルの誘導作用が、埋設された対象物によって生成される、受信コイル内の誘導よりも格段に大きくなってしまう恐れがある。
従って、誘導方法に基づくこのような検出器は高いオフセットを有しているのが通常である。すなわち、既に外部金属製対象物の影響無しに検出器の受信回路によって測定されている信号が検出器の受信コイルで高いレベルで検出される。このような高いオフセットによって、検出器近傍にある金属製対象物によって生じる非常に小さい誘導性変化を検出するのが困難になってしまう。従来技術から、コイル自身によって誘導された信号を補償することが可能な、センサないし検出器のためのセンサシステムが知られている。
非常に大きいオフセット信号のもとでインダクタンスの非常に小さい変化を検出する必要性によってさらに、公差の狭い、従って高価な構成素子が前提として必要になり、これに加えて非常にノイズの少ないアナログ電子回路が必要となる。これによってこのような位置検出機器にかかるコストが格段に高くなってしまう。取付許容公差または製造許容公差が遵守されないこと、並びに個々のコンポーネント相互のドリフトによってこのような装置の測定結果に誤差が生じてしまうことは不可避である。
このようなオフセットの問題に対処するために、従来技術では種々異なる措置がとられ始めている。これらの措置は全て共通して次のような目的を有している。すなわち、金属製物体が無いときのセンサ信号を低減させ、相対的な信号変化を大きくするという目的を有している。
しばしばこのような場合には、何段階もの措置が選択される。ここでは例えば、第1のステップではセンサコイルの装置が使用される。この装置は、信号オフセットを有利には完全に除去するないし補償することができる。しかし実際に得られる補償クオリティは例えば製造公差に依存するので、信号オフセットの完全な除去は、ある程度緻密に補償するため別の方法を必要とする。
補償システムにおいて誘導性センサに対して製造公差ないし取付公差を補償するための公知の方法は実質的に次のことに基づいている。すなわち、励磁磁界のゲオメトリーを調整プロセスによって修正するか、または補正電圧信号を生成することに基づいている。第1の補償方法はEP1092989号に提示されており、第2の補償方法に対する例はUS5729143号に提示されている。
US5729143号から次のような検出器が公知である。すなわち、上述した測定信号のオフセットをできるだけ抑制することを目的とする検出器が公知である。この目的のために、US5729143号に記載された検出器は、送信部を伴う送信コイルと受信部を伴う受信コイルを有する。検出器の送信コイルと受信コイルは相互に誘導性結合されており、部分的に重なっている。送信コイルには、送信部によって交流電流が供給される。電流が流されるこのような送信コイルは、受信コイルとの誘導性接合によって、第1の部分フローを2つのコイルの重畳領域内で励起させ、第2の部分フローを残りの受信コイルの領域内で励起させる。送信コイルの中心と受信コイルの中心との間隔は次のように選択される。すなわち、反対の符号を有する2つの部分フローが相互に補償されるように選択される。このような場合には、外部金属製対象物がコイル装置近傍に存在しない場合には、通電されている送信コイルは受信コイル内で電流を誘導しないので、受信側はこのような理想的な場合にはオフセット信号も測定しないだろう。コイル装置が金属製対象物に近づくとはじめて送信コイルによって励起された磁界曲線が妨害され、受信コイル内で微量ではないフローが励起される。このフローは、受信コイル内で測定信号を生じさせる。この測定信号は、オフセット信号に影響されず、受信部によって評価される。
この場合には送信コイルの中心と受信コイルの中心の相対的な間隔は、非常にクリチカルなパラメータである。従って実際には、理想的に想定されている、受信側コイル内で誘導電圧が生じない状態は多大なコストを伴ってしか実現されない。フローコンポーネントの充分な補償は実際には、大量生産では実現されないことが証明されている。
このような理由からUS5729143号は、補償を電子的に追従して行い、センサを実際に使用可能にする電子回路を提示している。US5729143号に記載された方法は、単一周波数方式(monofrequent)で作動する。励起側では特定の周波数fの磁気交番磁界が生成され、誘導された電圧成分は適切な、アナログおよびデジタルフィルタを伴う検出器巻回において、周波数選択的に、同じこの周波数fで評価される。検出システムおよび励磁システムの磁気的なエラー補償によって、周波数fのもとで検出器巻回内で誘導される電圧U(f)は、温度に依存する振幅および位相長さを有している。これはさらに付加的な固体ごとのばらつきの影響も受ける。US5729143号のこの方法は次のことに基づいている。すなわち同じように検出器巻回内で誘導される電圧に補正電圧を加えるということに基づいている。この補正電圧の振幅および位相長さは、作動周波数fのもとで、エラー電圧U(f)をちょうど補償する。これに加えてマイクロプロセッサは周波数fのもとで、位相および振幅においてコントロールされたデジタル補正信号を生成する。補償に必要な振幅および位相長さはこの場合には、位相シフト分に依存する。この位相シフト分は、励磁分岐回路および検出分岐回路内で回路の構成素子によって生起される。しかしこの必要な補正信号は殊に温度変化の影響も受ける。動作温度の変化時にも、エラー電圧U(f)を補償することができるようにするために、マイクロプロセッサは補正信号の位相長さおよび振幅を温度に関して追従制御しなければならい。このために通常は、使用者による再較正が必要である。
択一的な、磁気エラー補償の補償方法はEP1092989A1号から公知である。この方法では、検出器巻回内で誘導される検出電圧に補正電圧を加える代わりに、補正磁界で以て作動される。このために磁界励磁システムは一次励磁コイルでよってのみ形成されるのではなく、付加的にトリミング巻回およびいわゆる補正巻回が付加される。ここでのトリミング巻回と補正巻回の間の違いは、補正巻回が一次励磁コイルと直列接続され、常に同じ電流が流されるのに対して、いわゆるトリミング巻回には、補正コイルおよび励磁コイル内を流れる電流のアライメント可能な部分が供給されるということである。このようにして、センサ周辺に金属製物体がない場合には、検出コイル内に誘導電圧が生じなくなる。EP1092989A1号の方法はここでは格段に小さい構成素子公差と、送信回路および受信回路内のドリフトに依存する。さらに、測定は、選択された作動周波数に制限されるのではない。なぜなら補償は実施知的に、使用されている周波数に依存しないからである。しかし、これに相応してEP1092989A1号に記載されたセンサの構造は非常に複雑である。US5729143号に記載されたセンサでは送信回路および受信回路に対してそれぞれ1つのコイルで足りていたのに対して、EP1022989A1号の構造では受信経路に10個のコイルが必要とされ、検出経路に4つのコイルが必要とされる。
DE10122741A1号から、金属製対象物の位置を検出するための検出器が公知である。この検出器は受信コイルおよび第1の送信コイルを有している。これらのコイルは誘導性に相互に結合されている。検出器内のオフセット信号をできるだけ小さくするために、第2の送信コイルが設けられている。この第2の送信コイルは、同じように受信コイルと誘導性結合されている。受信コイルおよび2つの送信コイルは同心状に、共通の軸の上に配置されている。ここでこの2つの送信コイルはその巻回数および/またはその寸法に関して次のように設計されている。すなわち、2つの送信コイルによって、受信コイル内で励起されるフローが相互に補償し合うように設計されている。
しかし通常は、従来技術のこの機器では、各位置測定を開始する前にセンサの較正を行うことが必要である。ここでは外部金属物体が無い場合のオフセットが測定され、次に基準値からの偏差が金属製対象物が有る場合に対する指標として評価される。このような時間のかかる較正プロセスはさらに、使用者のエラー操作時の大きいエラーの可能性および障害の可能性を含んでいる。
本発明の課題は、従来技術のこれらの検出器から出発して、できるだけ小さいオフセット信号を形成する、冒頭に記載した形式の検出器を提供することである。ここではコイルが誤って位置決めされても、非常に小さい影響しかこのオフセットに与えない。
さらに、本発明の課題は、次のようなセンサゲオメトリーを実現することである。すなわちその特性が周辺温度とともに僅かにのみ変化し、較正プロセスなしでもこのような検出器によって良好な測定結果が得られるセンサゲオメトリーを実現することである。
本発明の上述した課題は、請求項1の特徴部分に記載された構成を有する、金属製物体の位置を検出する検出器によって解決される。
発明の利点
本発明の、金属製物体の位置を検出する検出器は1つの送信コイルと少なくとも2つの受信コイルを有している。これらのコイルは相互に誘導性結合されている。この場合には、少なくとも2つの受信コイルは同心状に相互に、1つの面内に配置される。送信コイルとして作動する第3のコイルはこれに対してずらされた、すなわちZ方向にシフトされた、平行な第2の面内に設けられる。隣接して、すなわち送信コイルの近傍に、少なくとも1つの受信コイルの補償巻回が形成されている。
ここで、各補償巻回の数および位置は次のように設計されている。すなわち、検出器コイルシステム内で誘導された電圧の、高さ(すなわちz方向)における励磁コイルの誤った位置決めへの依存ができるだけ正確に補償されるように設計されている。これによって、Z方向における励磁コイルの僅かな誤った位置決めは、受信巻き線内で誘導される電圧に総計においてもはや影響を与えない。
このような検出器ゲオメトリーの場合には、受信コイルの面上での、高さ(Z方向)における励磁コイルの位置決めに関して、格段に低減された差に対する感度が得られる。受信コイルの受信巻回に対して付加的に、送信コイルの外側領域において、励磁コイルのすぐ下に補償巻回が配置される。
本発明に相応する検出器の特に有利な実施形態では、Z方向における高さのずれを伴って、殊に送信コイルの下方に補償コイルが配置されている。
2つの検出コイル内で誘導された電圧の補償を正確に調整するために、次のことを考慮する必要がある。すなわち、検出器コイルは誘導的に作用するだけでなく、同じように、微量ではない分布容量を有していることを考慮する必要がある。位置検出機器用の検出器コイルは通常、被覆された銅ワイヤによって製造されている。この絶縁被覆は典型的に、数μメーターの僅かな厚さしか有していない。従って隣接する2つの巻き線、インダクタンスとしてだけでなく、コンデンサとしてもある程度作用する。被覆されたワイヤを使用した場合の僅かな絶縁厚さによって、寄生容量は無視出来ない値になり得る。これは殊に多層に捲かれたコイルの場合に特に当てはまる。最適な補償ゲオメトリーを実現するために、インダクタンスをppmのオーダまで特定することが重要になるので、僅か数kHzの周波数を使用する場合であっても容量性の影響を無視することはできない。この場合には、寄生コンデンサを介して流れる電流が、コイルの別の巻回内で高く変換され、従って総計において、甚大な障害電圧になり得ることに留意されるべきである。ここで寄生容量は大きい温度変化に曝される。なぜなら、絶縁被覆の誘電率が温度的に安定していないからである。これは殊にいわゆる背部被覆(Backlack)の使用時に当てはまる。
ノイズとなる容量性作用は例えば次のことによって格段に低減される。すなわち、個々の銅巻回を絶縁するために、被覆を使用するのではなく、適切な他の、殊により厚い絶縁手段を使用することによって低減される。ここで特に適しているのは、紙、棉並びにケーブル内で使用されているような絶縁材料である。
有利には、受信側コイルはプレーナに構成されている。すなわち、1つの単層巻き線ゲオメトリーが付与されている。このようにして、受信側コイルないし検出側コイルの分布容量を容易に低減させることができる。プレーナな、単層巻き線ゲオメトリーによって、巻回と巻回の間の間隔を大きくしておくことができる。従って寄生分布容量を低減させることができる。これに加えて、残っている分布容量が熱的に変化しないことが保証されるべきである。このようにして、コイルの寄生容量の温度変動が生じなくなる。
本発明による検出器の特に有利な実施形態では、受信コイルは、プリントされた回路のプリント回路基盤上にプリントコイルとして構成されている。この場合には、検出器コイルを製造するのにさらなるコストはかからない。2つの検出器コイルをプリント回路基盤上の導体路構造体として構成することは、コストが非常に僅かであるという利点の他にさらに巻回の寸法差が非常に僅かであるという利点を有している。25μメートルの精度で銅構造体をプリント回路基盤上に製造するのには技術的に大きな問題は無い。
本発明の検出器の有利な発展形態では、受信コイルの補償巻回は、プリント回路基盤の対向する2つの面上に構成されている。この場合には、プリント回路基盤の2つの面上に、時計まわりおよび時計と反対方向で捲かれた補償巻回が設けられる。内部に設けられた補償巻回対がほぼ同じ半径を有することによって、金属製物体までの距離が大きい場合には、検出器の指向特性が悪くなることはない。このようにして、補償巻回を励磁コイルの下方に配置することができる。しかも誘導性センサの指向特性が悪くなることはない。
有利には、本発明の検出器の送信コイルは巻型(Wickelkoerper)上に設けられている。ここでこの巻型は引き続き、取付時にプリント回路基板上に固定される。例えばはんだ付けされるか、またはクリップ留めされる。従って励磁コイルの巻き線は特定の、所定の高さで、プリント回路基盤の上方に、ひいては受信コイルの面の上方に設けられる。従って送信コイルの巻き線を担う巻型は有利には、受信コイルに対する送信コイルないしその巻き線の間隔保持部としても用いられ、送信コイルと受信コイルの所定の間隔を保証する。特に有利には、励磁コイルは、射出成型部品内に嵌め込まれたコンタクトピンを介して電気的に接触接続される。ここでこのコンタクトピンは、プリント回路基盤上の、このために設けられた穿孔内にはんだ付けされている。安定した機械的な接触接続を実現するために、ここで、2つより多い、電気的に必要なコンタクトピンを使用し、例えば1つまたは2つのブラインド、すなわち電気的に接触接続されていないピンを付加的に設けることが有利である。このようにして励磁コイルを、はんだ付けプロセスによって、機械的にも正確に固定することができる。
さらに、このように巻かれた励磁コイルは、エラーを含む位置決めに敏感には反応しないので、検出器の製造時および組み立て時の公差に対する要求がこの点に関して低減される。
従って本発明に相応するセンサゲオメトリーを有する、金属製物体の位置を検出する検出器は有利には、単独の捲回された、ひいては高価な励磁コイルを1つしか必要とせず、さらなる捲回されたセンサコイルは不要である。さらに、本発明の検出器は検出の良好な指向作用を有しており、温度変動時に僅かな変動特性しか示さない。従って上述の利点を有する本発明のセンサゲオメトリーは殊に、定期的な較正プロセスなしに、良好な測定結果を供給する検出器を実現する。
さらに、このような検出装置は、工作機械内または工作機械(例えば穿孔工作機械)に組み込まれ、この機械の使用者の穿孔を確実にする。従ってこのセンサは例えば、穿孔工作機械ないしは彫刻工作機械内に組み込まれるか、またはこれらの工作機械と接続されたモジュールとして構成される。本発明のセンサに対する可能な取付場所として、有利には、粉塵用の吸入装置も挙げられる。この吸入装置は工作機械と接続されているか、または工作機械と接続可能であり、機能によって、処理されるべき壁の近傍で使用される。
図面
図面には、本発明の検出器の実施例が示されている。これらの実施例は、以降の説明においてより詳細に説明される。図面の各図、明細書および請求項には、多数の特徴および組み合わせが包含される。当業者であれば、これらの特徴を個別に考慮したり、有利な別の組み合わせにまとめたりすることができる。したがってこのような特徴および組み合わせも、本明細書の開示内容であると見なすべきである。
図1は、従来技術に従った、金属製物体の位置を検出する検出器のセンサゲオメトリー(Geometrie:幾何学的配置、幾何学的形状)の基本構造の概略図である。
図2は、本発明による検出器のコイル装置の第1の実施例の簡易化された図である。
図3は、受信システム内で誘導される電圧Uの機能的な関連の概略図である。ここで受信側コイルの面の上方の送信コイルの位置Zは関数である。
図4は、図2に示された図と同様の、本発明による検出器のコイル装置の第2の実施例である。
実施例の説明
図1は、従来技術に従った、金属製対象物の位置を検出する検出器の基本構造を示している。このような検出器はセンサゲオメトリー10内に3つのコイルを有している。第1の送信部S1に接続されている第1の送信コイル12、第2の送信部S2に接続されている第2の送信コイル14および受信部Eに接続されている受信コイル16である。各コイルはここで環状の線として示されている。このような3つのコイル12、14、16の配置構成の特別な点は、これらのコイル全てが、共通の軸18に対して同心状に配置されているということである。ここで個々のコイル12、14、16は異なる外寸を有しており、従ってコイル12はコイル14内で軸18に対して同軸状に組み込まれる。
2つの送信コイル12および14には、自身の送信部S1およびS2によって、反対の位相の交流電流が供給される。これによって第1の送信コイル12は受信コイル16内でフローを誘導する。このフローは、第2の送信コイル14によって受信コイル16内で誘導されたフローに抵抗するように向けられる。受信コイル16内で誘導された2つのフローは相互に補償し合うので、外部の金属製対象物がコイル装置10の近傍に無い場合には、受信部Eは受信信号を受信コイル16内で検出しない。個別の送信コイル12ないし14によって受信コイル16内で励起されたフローΦは種々異なる量に依存する。これは例えば巻回数およびコイル12ないし14のゲオメトリーおよび2つのコイル12ないし14内に供給された電流の振幅並びにこれらの電流の相互の位相長さである。
これらの量は、従来技術の検出器の場合には、最終的に次のように最適化されるべきである。すなわち、金属製対象物が受信コイル16内に無い場合には、通電されているコイル装置12ないし14のもとで、フローが励起されない、ないしは非常に僅かなフローΦが励起されるように最適化されるべきである。図1に示されたコイル装置10では、第1の送信部S1に接続されている第1の送信コイル12および第2の送信部S1に接続されている送信コイル14は相互に同軸状に共通の面内に配置されている。受信コイル16は、2つの送信コイル12および14に対してずらされた面に配置されている。
図2は、本発明に相応する、金属製物体の位置を検出する検出器のセンサゲオメトリー110の第1の実施例を示している。センサゲオメトリーに対するこのような最適な構造は、高さにおける励磁コイルの位置付けに関して、差に対する感度を低減させる。図2に示されたセンサゲオメトリー110は、2つの受信側コイル112ないし114を有している。これらの受信側コイルは共通の面126内に、相互に同軸状に配置されている。ある程度の間隔zを伴って、このような共通の受信面126の上方にセンサコイル116が設けられている。ここでこのセンサコイルは同じように、受信側コイル112ないし受信側コイル114に対して同軸状に配置されている。
受信側コイル112ないし114はプレーナな、単層巻き線ゲオメトリーを有している。受信側コイル112、114のこのように形成することによって、2つの受信側コイルの分布容量を容易に低減させることが可能になる。この場合には、巻回と巻回の間の間隔が大きくなり、従ってコイル巻き線の寄生分布容量を小さく維持することができる。個々の銅巻回を絶縁するために例えば、通常行われているように被覆を用いるのではなく、適切な別の、かつ、殊により厚い絶縁手段を使用することができる。殊に適切だと思われるのは紙、ケーブルで使用されているような絶縁物質である。分布容量を低減させる別の方法は、多室(Mehrkammer)巻き線をコイル112ないし114に対して使用することである。
プレーナなゲオメトリーの使用時には殊に、2つの受信側コイル112ないし114を、プリントされた回路のプリント回路基板上のプリントコイルとして実現することも可能である。このような場合には、この2つの受信側コイルを製造するために基本的なコストはかからない。2つの受信側コイル112ないし114をプリント回路基盤上の導体路構造体として構成することは、コストが僅かであるということの他にさらに、巻回の寸法差が非常に僅かであるという利点を有している。銅構造体をプリント回路基盤上に、25μメートルまでで正確に製造することにもはや技術的な問題は全く無い。
図2はこのような構造を概略的に示している。ここでは分かりやすくするためにZ軸120が、X軸122およびY軸124に対して相対的に延ばされている。この図を分かりやすくするために、相応する尺度数が各軸に付与されている。しかしこれは絶対値ではなく、単に、この実施例では個々の軸のスケーリングの相対的な量が任意の単位で伝達されるべきである。さらに図2では、この断面図を分かりやすくするために、それぞれ1つのセグメントがこれらのコイルから切り取られている。
詳細に図示されていないプリント回路基盤をあらわしており、図2ではX軸122およびY軸124によって張られている面126内には、2つの検出器コイル112ないし114が位置している。この面126はここで例えば、プリント回路基板の上面または下面に相当し得る。受信側コイル114の巻回115は、この場合には例えば、時計まわりに捲回されており、受信側コイル112の外に位置する別の巻回113は、時計まわりと反対に配向されている。従ってこれらの巻回113、115内で誘導された電圧は相反する符号を有しており、設計が適切である場合には、外部の金属製物体が存在しない場合には、完全に補償し合う。
励磁コイルないし送信コイル116はプリント回路基盤の面126の上方で、すなわちZ方向120でずらされて、設けられている。送信コイルを巻型上に製造するのは特に有利である。この巻型は次にプリント回路基盤126上にはんだ付けされる。従って送信コイル116の巻き線117は、特定の所定の高さzでプリント回路基盤面126の上方に配置されている。安定性が必要なために、1ミリメータを下回る壁部強度を有する巻型の製造はクリチカルである。従って1ミリメータおよびそれを上回る間隔がプリント回路基盤と送信コイル116の間で得られるようにされるべきである。
図2に示された構造は従来技術と同様に、例えばDE10122741A1号に記載されているように、送信コイル116の誤差を有する位置決めに関して、半径方向において、すなわちX方向122ないしY方向124においてそれほどクリチカルではない。z方向120における誤差を有する位置決めを付加的に補償するために、図2に示された、本発明に相応するセンサゲオメトリー110は、センサの外側領域に配置されている従来技術から公知の受信巻回115ないし113に対して付加的に、送信コイル116のすぐ下に、補償巻回130ないし132を有している。図2に示された実施例では、この補償巻き線は時計まわりの2つの巻回132と、反時計まわりの1つの巻回130から成る。これに加えて補償作用を、補償巻回130ないし132の半径を合わせることによって最適化することができる。補償巻回の数および位置はここで次のように設計される。すなわち、受信巻回115と補償巻回130を伴う受信側コイルシステム114内で、ないしは受信巻回113と補償巻回132を伴う受信側コイルシステム112内で誘導された電圧が、z方向120における送信コイル116の誤った位置付けに関して補償されるように設計される。補償巻回130ないし132は、送信コイル116の下方で、受信コイル112および114と同じ面126内に配置されており、これと同軸状に延在している。従って補償巻回130ないし132の半径はそれぞれ異なって、しかし受信コ側コイル112および114の半径よりも小さく選択されている。この結果、補償巻回130ないし123はほぼ送信コイル116の下に位置する。補償巻回はこれによって同じように、プリント構造体として共通のプリント回路基盤上に実現される。しかし補償コイル130ないし132に対する半径は、送信コイル116の巻回117の半径より大きくても、小さくてもよい。
この補償は次のことによって行われる。すなわち比較的長い距離による、受信コイル112の巻回システム113に与えられるセンサコイル116のエラー位置決めの比較的少ない影響が、送信コイル116の下方に、非常に短い間隔で、同じように受信コイル112の受信側補償巻回132が設けられることによって補償されることによって行われる。この補償巻回132は、センサコイル116がシフトされることによってより一層影響を受ける。従って送信コイル116の僅かなエラー位置決めは全体として、すなわちその補償巻回130および132を含んで、受信巻き線内で誘導される電圧にもはや影響を与えない。これは有利には当然ながら、送信コイル116の元来設定されているZ位置の狭いウィンドウに対してのみ当てはまる。従って送信コイル116用の巻型の壁部強度の製造公差に対する要求は、実現可能な+/−0.1mmまで低減される。
このような関係は概略的に図3に示されている。この図は、受信側システム内で誘導された電圧Uを、プリント回路基盤の面126上の送信コイル116の位置zの関数として示している。曲線140は、本発明に相応する補償巻き線の無いセンサゲオメトリーの場合での、受信回路内で誘導された電圧の変化を送信コイルのシフトの関数として示している。曲線142は、本発明に相応する受信側システムに対する、補償巻回の数および位置が最適化されている場合の、このような機能的な依存の基本的な経過をあらわしている。センサコイル116の所定の位置Zの領域では、誘導された電圧UEは、センサコイル116のz位置の関数として、第2のオーダの局部的な零状態を有している。従って、z方向における送信コイル116の位置付けに対する、格段に低減された公差要求が得られる。しかしこのようにして得られる、図2の実施例に示されたセンサゲオメトリー110でのより高い製造しやすさは、次のことによって実現される。すなわち、励磁コイル116の下方に補償巻回130ないし132を付加することによって、誘導センサの指向特性にネガティブな影響が与えられることによって実現される。
図4は、金属製物体の位置を検出する本発明の検出器に対するセンサゲオメトリー210の択一的な実施例において、悪化した指向特性の問題を格段に改善する補償構造を示している。この実施例では、時計まわりないしは反時計まわりに捲かれた補償巻回230ないし232が、例えばプリント回路基盤の2つの異なる面の上に載置されている。ここでこのプリント回路基盤は面226によって示されている。すなわちこの種のプリント回路基板はこの場合には少なくとも二層式に構成されなければならない。このような場合には、内部に設けられた補償巻回対がほぼ同じ半径で構成されることによって、金属製物体までの距離が大きい場合に、もはや検出器の指向特性が悪くなることはない。ここで補償巻回230ないし232の半径はほぼ同じなので、送信コイル216に対する位置決め公差を最適に整合させるために、そのときどきの捲回数が利用される。
図4に示された、本発明に相応する検出器の改善された指向特性は以下の質的な論証によって理解される。受信側巻回215および230ないし213および232が通電されると、内側に位置し、プリント回路基盤226の上面および下面に分配された補償巻回230ないし232によって、エラー特性が生成される。これは充分に近似して磁気4重極に相当する。従ってこの領域は、プリント回路基盤226の上面および下面上の2つの補償巻回システム230ないし232の間隔に対して大きい間隔において、距離が増すとともに非常に迅速に消滅する。既に、プリント回路基盤までの約1cmの間隔において、内側に位置する補償巻回230および232は、もはや、顕著に全体的な磁界に寄与しない。受信巻回の使用時に磁界形成に対して適切なこのような重畳は、得られる受信特性にも伝わる。
図4に示された補償巻回230ないし232によっては、受信特性は僅かにしか変形されないが、受信巻回215ないし213内で誘導された電圧に対するその影響は無視されるべきではない。
送信コイル216は約1mmの間隔で、プリント回路基盤の上方に設けられている。ここでこの間隔は、プリント回路基盤の厚さ自体とほぼ同じ大きさである。
このような補償装置を使用することによって、励磁コイルの巻型の機械的な公差に対する要求をさらに低減させることができる。特に有利には、励磁コイルは、射出成型部品内に嵌め込まれたコンタクトピンを介して電気的に接触接続される。ここでこのコンタクトピンは、検出器のプリント回路基盤上の、このために設けられた穿孔内にはんだ付けされている。安定した機械的な接触接続を実現するために、ここで、2つより多い、電気的に必要なコンタクトピンを使用することは有利である。ここでは例えば1つまたは2つの見せかけの、すなわち電気的に接触接続されていないピンが付加的に加えられる。このようにして励磁コイルを、はんだ付けプロセスによって、機械的にも正確に固定することができる。
上述の検出器ゲオメトリーを有する、金属製物体の位置を検出する本発明の検出器によって有利には、単独の、捲回され、従って高価な送信コイルは1つしか必要でなくなる。従ってさらなる、巻回されたセンサコイルは必要ない。さらに、殊に送信コイルのエラー位置決めに関して、製造公差に対する要求が格段に低減されたもとで、上述のセンサゲオメトリーは検出の良好な反応を実現する。センサゲオメトリーの本発明に相応するこの構成に基づいて、本発明に相応する、金属製物体の位置を検出する検出器は、較正プロセスなしでも良好な測定結果を供給する。
金属製物体の位置を検出する本発明に相応する検出器は、図示された実施例に制限されるものではない。
殊に本発明の検出器は、環状のコイルに制限されるものではない。図示されたコイル装置とは異なり、各コイルまたは個別コイルは環状とは異なる形状を有することができ、1つまたは複数の巻回から構成されてもよい。
金属製対象物の位置を検出する、本発明に相応する検出器は、1つの送信コイルと2つの受信コイルを使用することに制限されない。
従来技術に従った、金属製物体の位置を検出する検出器のセンサゲオメトリーの基本構造の概略図 本発明による検出器のコイル装置の第1の実施例の簡易化された図 受信システム内で誘導される電圧Uの機能的な関連の概略図であり、受信側コイルの面の上方の送信コイルの位置Zは関数である。 図2に示された図と同様の、本発明による検出器のコイル装置の第2の実施例

Claims (14)

  1. 金属製物体の位置を検出する検出器であって、
    1つの送信コイル(116、216)と少なくとも2つの受信コイル(112、114;212、214)を有しており、当該コイルは相互に誘導結合されており、
    前記少なくとも2つの受信コイル(112、114;212、214)は相互に同軸状に、第1の面(126、226)内に配置されており、
    前記送信コイル(116、216)は当該第1の面に対して高さがずらされた、平行な面内に配置されている形式のものにおいて、
    送信コイル(116、216)に隣接して、少なくとも1つの前記受信コイル(112、114;212、214)の付加的な補償巻回(130、132;230、232)が構成されている、
    ことを特徴とする、金属物体の位置を検出する検出器。
  2. 前記送信コイル(116、216)の、高さにおいて誤りを有する位置付け(Δz)に対する、前記受信コイル(112、114;212、214)内で誘導された電圧Uの依存性がちょうど補償されるように、前記補償巻回(130、132;230、232)の数および位置が設計されている、請求項1記載の検出器。
  3. 前記補償巻回(130、132;230、232)は、送信コイル(116、216)に対して高さをずらして配置されている、請求項1記載の検出器。
  4. 前記補償巻回(130、132;230、232)はプリントコイルとして、プリント回路基盤(126、226)上に構成されている、請求項1、2または3記載の検出器。
  5. 前記受信コイル(112、114;212、214)はプレーナに構成されている、請求項1記載の検出器。
  6. 前記受信コイル(112、114;212、214)はプリントコイルとして、プリント回路基盤(126、226)上に構成されている、請求項1または5記載の検出器。
  7. 2つの受信コイル(112、114;212、214)の前記補償巻回(130、132;230、232)は相互に高さがずらされた2つの面内に構成されている、請求項1記載の検出器。
  8. 2つの受信コイル(112、114;212、214)の前記補償巻回(130、132;230、232)は、プリント回路基盤(126、226)の対向する2つの面上に構成されている、請求項7記載の検出器。
  9. 2つの受信コイル(112、114;212、214)の前記補償巻回(130、132;230、232)は実質的に同じ半径を有している、請求項1から8までのいずれか1項に記載された検出器。
  10. 前記送信コイル(116、216)は巻型上に設けられている、請求項1記載の検出器。
  11. 前記巻型はプリント回路基盤(126、226)上に固定されている、請求項10記載の検出器。
  12. 前記巻型は、前記受信コイル(112、114;212、214)の面に対する、前記送信コイル(116、216)の間隔保持部として構成されている、請求項11記載の検出器。
  13. 請求項1から12までのいずれか1項または複数項記載の少なくとも1つの検出器を有している測定機器、殊に手持ち式の位置検出機器。
  14. 請求項1から12までのいずれか1項または複数項記載の検出器を有している工作機器、殊に穿孔工作機器または彫刻工作機器。
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