JP2008513805A - 新しい薬物リード及び、既知の薬物の新しい治療的用途を同定する方法 - Google Patents

新しい薬物リード及び、既知の薬物の新しい治療的用途を同定する方法 Download PDF

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Abstract

本スクリーニングシステムは、経路活性の動的測定を利用して細胞内経路における薬物の活性を検出する。本発明の方法は、以前には知られていなかった薬物活性や治療上の用途を同定するために、標準的な生化学アッセイで十分に特性決定されている薬物にも、使用することができる。我々は、既知の薬物類の一部をスクリーニングすることにより本発明の有用性を証明した。我々は、以前又は現在様々な適応症に指定されている何十もの薬物が、「ホールマーク」である癌経路に対する驚くべきかつ以前には思いも寄らなかった活性を有することを同定した。我々はさらに、これらの薬物のうち20個以上がヒト腫瘍細胞において実際に抗増殖活性を有することを示し、本スクリーニングシステムの有用性と予測性を強調することができた。この方法論により、現在の薬物類の有用性が広がり、広い範囲の治療適応を持つ薬物の新たな発見の基礎を提供することになるであろう。

Description

本出願は、2004年9月22日出願の米国仮出願No.60/611,715、発明の名称「新しい薬物リード及び、既知の薬物の新しい治療的用途を同定する方法」に基づく35 U.S.C. セクション119による優先権を主張するものであり、その開示の全てを参照により本明細書に含める。
様々な治療上の適用について販売されている既知の薬物はしばしば、ヒト細胞の生化学プロセスに対して予想外又は意図していない活性に起因する「隠された表現型」を有する。既知の薬物の新しく有用な特性に関するこのような観察調査は比較的まれであり、通常は偶然の発見により知られるものである。
古典的な例としては、ラパミューンの商標で販売されているラパマイシン(シロリマス)があり、これは1999年に免疫抑制の治療について承認されている。1970年代に、NCIによりラパマイシンが抗癌作用を持つ可能性があることが見出された。30年以上経過した現在、CCI-779として知られるラパマイシンのアナログが、乳癌及び腎癌の治療について最終的な臨床試験中である。最近2000年に、ラパマイシンはコーテイングされた(ラパマイシン溶出)ステントに使用すると再狭窄を防止することが見出され、現在その目的でコーディス社によりステントが販売されている。これらの特性は生化学経路に対するラパマイシンの潜在的な活性、すなわち、アポトーシスを導く経路を活性化する能力に起因している。他の例としてサリドマイドがあり、この薬物はもともと抗嘔吐薬として開発された。サリドマイドは多発性骨髄腫の治療ついては臨床開発中であり、癌細胞のホールマーク(顕著な特徴)である経路を遮断する能力の結果として幅広い抗癌活性スペクトルを有すると考えられる。
もしそのような有用な生物学的特性を同定できる信頼性があって系統的な方法があるならば、大規模にそのような観察調査ができるであろう。このことは、新しい治療法を必要としている患者にだけでなく、医薬品産業にとっても重要な利益をもたらすであろう。
シグナル伝達経路中の動揺は、全ての薬物ではないにしろほとんどの薬物の作用機序の基礎にあることが知られている。大体において、薬物の予期せぬ生物活性は、生細胞の行動を制御する経路に対してそれらの活性を直接試験することにより発見されている。疾患に関係することが知られている経路に対して予期せぬ活性が見つかった場合、薬物を表現型アッセイ、モデル生物体及び他のモデル系中で試験してその疾患に効果があるかどうかを判定することができる。既知の薬物は安全性プロファイル及び薬力学的特性が確立されているので、その薬物が新しい疾患適応に有効であるという見込みが示されるならば、迅速にその疾患の患者の治療に向けての臨床試験に進めることができる。そこで我々は、大規模に薬物の予期せぬ活性を迅速に同定するための生細胞中における迅速な経路ベースのシステムを開発すべく努力した。細胞ベースのシステムを使用する利点は、細胞全体の複雑な生物学的状況の中で薬物を研究できるということにある。
現在までのところ、細胞ベースのスクリーニング手法は表現型スクリーニング、レポーター遺伝子アッセイ、又はmRNAプロファイリングのいずれかに依存している。そのような手法の要約については、疾患プロテオミクスの参考文献を参照のこと。例えば、細胞を化学ライブラリーの個々の薬物又は成分で処理して、成長、アポトーシス、移動、細胞周期停止などのような表現型を測定することができる。表現型スクリーニングは近年広く使用されてきたが、薬物が表現型の変化をもたらす基にあるメカニズムを指摘することはできていない。
レポーター遺伝子アッセイも生細胞中の生化学経路に対する化合物及び薬物の活性を同定するために使用されてきた。レポーター遺伝子アッセイは、ターゲットの生物学的活性を、容易に検出される酵素又は蛋白レポーターの発現に結びつけ、シグナル伝達と遺伝子発現に関連した細胞内事象のモニタリングを可能にする。様々なレポーター遺伝子への転写調節要素の融合に基づいて、これらのシステムは細胞の内部の遺伝子発現に関するシグナル伝達事象カスケードの作用を「レポートする」。特別の応答要素の合成反復をレポーター遺伝子の上流に挿入して、生細胞中の特定の経路の活性化によって産生されたシグナル伝達分子に応答して起きるレポーター遺伝子の発現を調節することができる。このようなアッセイは、化学的ライブラリー及び薬物リードの一次及び二次スクリーニングに有用であることが分かっている。しかしながら、そのようなアッセイは、化合物の作用点ではなく単に経路の活性化又は抑制の結果を測定しているだけである。
マイクロアレイは、大規模な遺伝子発現パターンの測定を可能にする。薬物処理の後に、メッセンジャーRNAを細胞又は組織から単離し、薬物の非存在下及び存在下でのmRNAの発現パターンを比較する。特定の条件又は処理に応答して刺激されるか又は抑制される遺伝子グループを同定することは、薬物応答の細胞メカニズムの解明に着手するための有用な方法である。しかしながら、特別のmRNA分子レベルの変化が、単一の時点で対応する任意の蛋白のレベル又は活性と常に直接相関関係にあるとは限らない。さらに、多くの蛋白は翻訳後修飾や蛋白−蛋白相互作用を受け、それが組織又は細胞内の蛋白の機能及び活性に影響することもありうる。従って、遺伝子チップ実験により常に生物活性が予測できるとは限らない。
要するに、上記のような手法は生化学経路内で薬物が活性を示す部位における薬物の作用機序を理解することを可能にするわけではない。生きたヒト細胞のネットワークを直接調べられれば好ましいであろう。シグナル伝達経路内の特定の事象を直接測定できれば、転写プロファイルの解釈に伴う問題が無くなるであろう。転写レポーターアッセイとは異なり、蛋白修飾又はその相互作用をモニターすることにより得られる情報は、細胞シグナル伝達経路の終点ではなく特別の分岐点又は結節における薬物の作用を反映する。
本発明を完成する際に、我々の中心的な前提は下記のようなものであった;(a) 薬物の生物学的及び生化学的作用は生細胞で研究することができる;(b) 薬物処理の後に、特定の蛋白のレベルで細胞内経路を直接調べることにより、細胞内経路に対する薬物の予期せぬ作用を測定することができる;(c) 薬物の標的に対する作用は、機能的モジュールを通して又はモジュール間を伝搬して、薬物標的の下流にある蛋白に空間的及び時間的変化を誘導するであろう(図1);(d) そのような変化は薬物の作用部位の「下流にある」蛋白−蛋白複合体又は相互作用の変化を測定することにより定量することができる;及び、(e) そのような変化は動的であり、すなわち、そのような変化は細胞の薬物処理の後、数分以内に、或いは、ほとんど数時間以内に一過性に発生するものであろう。
蛋白−蛋白複合体(相互作用)の変化はモジュール内の様々な生化学の事象(例えば、翻訳後修飾、アロステリック転移、蛋白分解若しくは新たな蛋白合成、蛋白安定化若しくは不安定化、又は蛋白転置)によってもたらされると考えられ、この変化は薬物標的からモジュールを通して又はモジュール間を伝搬して、その結果、蛋白−蛋白複合体の動揺をもたらす。本発明において、我々は「蛋白−蛋白相互作用」と「蛋白−蛋白複合体」という用語を区別せずに使用している。蛋白間の相互作用は蛋白間複合体の存在に反映されており、複合体の量及び/又は位置は問題の蛋白に影響を及ぼす経路を刺激するか又は阻害する生化学的事象により変化する。我々は、経路内の動的な複合体内の蛋白の量、細胞内位置又は翻訳後修飾状態の時間的な、薬物誘導性の変化が、薬物処理後のヒト細胞中の特別の複合体を蛋白−蛋白ペアとして直接測定することにより検出することができると仮定した。
我々は、癌の表現型の基礎にある腫瘍形成経路の活性を調整することができる薬物を同定するために既知の薬物類に系統的にこの戦略を適用した。我々は「既知の薬物」及び「既知の薬物類」という用語で、現在又は以前に患者に投与されてきた薬物を意味する。我々は、既知の薬物類の一部をスクリーニングし、以前又は現在様々な適応に指定されている何十もの薬物が、「ホールマーク」である癌経路に対する驚くべきかつ以前には思いも寄らない活性を有することを同定した。その後我々は、これらの薬物のうち20個以上が腫瘍細胞において実際に抗増殖活性を有することを示し、スクリーニング手法の有用性と予測性を強調することができた。我々が同定した薬物は、人における癌の新しい治療法となりうるものである。重要なことは、ここに示す戦略と方法が治療法を発見するための全く新しい大規模なシステムを表わしているということである。
発明の要約
我々は、新規の有用な生物活性を有する化合物を同定するための強力な新しい方法を発明した。本発明の方法は、以前には知られていなかった薬物活性を同定するために、標準的な生化学アッセイで十分に特性決定されている薬物にも、使用することができる。
上記のスクリーニングシステムは、経路活性の動的測定を利用して細胞内経路における薬物の活性を検出する。本発明は、医薬品産業において商業的な重要性を持つ。安全であることが知られている薬物が新しい適応を有することが見出されるならば、それらは直ちに新しい適応における有効性を証明するために臨床試験に進めることができる。また、安全であることが知られている薬物がそれらの元々意図されていた適応における有効性が証明できなかった場合でも、それらを新しい治療の適応で使用するためにさらに救い出すことができるかもしれない。最終的に、特定の用量で又は長期投与で使用される場合に副作用を有する薬物であっても、新しい適応又は新しい投薬法で使用されれば、許容できるかもしれない。
上記の方法論により、現在の薬物類の有用性が広がり、広い範囲の治療適応を持つ薬物の新たな発見の基礎を提供することになるであろう。本発明において我々は、うっ血性心不全、高血圧、高コレステロール血症、喘息、感染症(抗生物質、抗原虫薬、駆虫薬、抗真菌剤)、嘔吐、片頭痛、精神病、痴呆及び他の一般的な症状の治療に以前から使用されている薬物を含む20個以上の既知の薬物について抗増殖活性を同定した。癌経路上に活性を有するものとして我々が同定した薬物には、セルトラリン(ゾロフト)、テルフェナジン(セルダン)、アトルバスタチン(リピトール)、フェノフィブラート(トリコール)及び、広い範囲の癌以外の適応について現在又は過去に市販されている他の周知の薬物が含まれる。これらの活性のうちのいくつかは以前に推測されていたが、それ以外は完全に思いも寄らないものであった。
これらの活性は、癌の表現型に寄与するキーとなる1つ以上の経路をこれらの薬物が抑制できるということに関係している。
抗癌活性を持つ可能性のある薬物を同定することにおいて我々が成功したのは、恐らく我々がここで使用した独特な情報を提供する細胞全体のアッセイ手法によるもので、とりわけ、必須の細胞内機構を持つヒト細胞内で薬物の複数の経路活性を評価できることによるものである。上記の手法は、ヒトにおける広範囲の慢性及び急性疾患に、それらの疾患に関係する他の経路を簡単に調べることにより、適用することができる。
本発明の目的及び利点
本発明の目的は、既存の薬物について新規の治療上の用途を同定するための方法を提供することにある。
本発明のさらに別の目的は、大規模な創薬に役立つ方法、アッセイ及び構成物を提供することにある。
本発明は、任意の疾患又は症状、薬物標的クラス又は薬剤に広く適用可能であるという利点を持つ。
本発明は、薬物又は薬物候補の初期の若しくは意図した標的、又は本来の標的に依存しないという利点を持つ。
本発明は、任意の治療上の適応に用いることができるという利点を持つ。
本発明は、ゲノム全体に渡る規模で任意の細胞タイプ又は疾患モデル系若しくは生物体に用いることができるという利点を持つ。
本発明は、ハイスループットで実施され、かつ完全に自動化することができるという利点を持つ。
発明の詳細な説明
シグナル伝達経路中の動揺は、全てではないとしてもほとんどの薬物の作用機序の基礎にあることが知られている。疾患細胞の異常な回路を再び経路設定できる薬物は、原則としては正常又は健康な細胞の表現型を回復できると考えられる。次いで、細胞の表現型が、蛋白の発現及び活性を調節する生化学経路によってハイレベルに制御される。このため、細胞回路を再び経路設定できる薬物を同定する際にキーとなるのは、生細胞の経路の中での又は経路に対する薬物の特定の活性を検出する能力である。我々の目的は、生細胞の回路を再び経路設定できる薬剤を同定するための、系統的なハイスループットプロセスを確立することであった。
本発明は、図1に示すような蛋白間の物理的結合を含む一連の相互連結経路としての細胞ネットワークという概念に基づいている。本発明の基礎となる原理的説明は以下のとおりである。経路とは一連のステップのことであり、各ステップは時間的に(第1のステップは第2のステップに先行し、第2のステップは第3のステップに先行する、等)及び空間的に(例えば、細胞膜の受容体で始まり、細胞核中の転写因子へ進行する)特定のポイントで発生する。我々のモデルでは、各ステップは蛋白の会合又は解離を含む。上記経路がシグナル伝達経路である場合、例えば受容体への作用物質の結合による、経路の活性化は、外部のシグナルを核に向けて変換する事象のカスケードを開始させる。これらの事象は、蛋白の活性を修飾する相互作用を含んでいる。これらの変化は動的であり、薬物処理の数分以内に始まる。これらの生化学的事象の最終的な結果が細胞行動の変化、すなわち、成長、分裂、アポトーシス、移動、分化、転移又は研究中の細胞の特性であるその他の行動である。特定のステップを遮断する薬物は、その薬物の元の作用点の「下流」にあるステップの抑制をもたらすことになるであろう。逆に、特定のステップを活性化する薬物は、その薬物の元の作用点の「下流」にあるステップの活性化をもたらすことになるであろう。その結果として、選択された機能に関する経路中の蛋白を動的に測定することにより、それらの経路の活性に望ましい形で影響を及ぼす薬物を同定することが可能になるに違いない。
典型的には、個々の蛋白活性の評価には、受容体の場合、酵素活性(キナーゼ、ホスファターゼ、プロテアーゼ、ヒドロラーゼなど)及び/又はリガンド結合のインビトロでの測定が含まれる。我々は、その代わりに、そのような活性変化に先行するか又は同時に起きる蛋白中の物理的/化学的変化を測定することを目指した。そのような物理的/化学的変化には蛋白−蛋白複合体の形成と移動をもたらす蛋白間の相互作用、及びそれらの相互作用と移動に起因する翻訳後修飾が含まれる。さらに我々は、無傷細胞において薬物による細胞処理の前後でそのような測定を行なうことを目指した。
癌細胞は、健常な細胞の行動を支配する調節回路に欠陥を有する。癌では、これらの欠陥が、正常な細胞増殖及びホメオスタシスを支配する調節回路に起きる。Hanahan and Weinsteinは、それらが揃うと悪性腫瘍の成長を決定付ける、細胞生理学上の必須の変質を概説している。それには、以下のものが挙げられる:成長シグナルの自己充足;成長抑制(抗成長)シグナルへの無反応;プログラムされた細胞死(アポトーシス)の回避;無制限な複製可能性;持続する血管形成;及び組織浸潤と転移。これらの生理学的変化はそれぞれ、基礎となる生化学経路を制御する蛋白の行動が変質した結果として起きる。このような変質は、様々な蛋白の発現レベルの変化とともに突然変異的変化による。結果として、有糸分裂誘発、アポトーシス、細胞周期、浸潤及び転移を制御する経路が異常に調節されてしまう。そのため、治療戦略が成功するには、癌細胞の異常な回路を再び経路設定して正常な細胞行動が回復されることが含まれることになる。そこで我々は、キーとなる癌経路に対する生細胞ベースのアッセイを構築し(図2)、これらのアッセイを用いてこれらの経路を調節することができる薬物をスクリーニングすることを目指した。既知の薬物の隠れた表現型の可能性を同定するために既知の薬物類から着手した。ここに提供される戦略と方法は、さらに新たな創薬に役立つであろう。
実験デザイン
戦略には、生細胞中で動的な経路特異的スクリーニングアッセイを構築すること;細胞を薬物で処理すること;及び、問題の経路上の以前は思いも寄らなかった薬物活性についてアッセイすることが含まれた。我々は、ヒト細胞中で問題の経路に関与することが知られている経路活性を「読み取る」ためのアッセイを構築した。経路は上記で概説した癌細胞のキーとなるホールマークとなるように選択した。
これらには、MAPキナーゼ経路(リン酸蛋白ERK);ras/raf腫瘍形成経路(ras癌遺伝子及びrafキナーゼ);細胞周期経路(サイクリンD1、サイクリン依存性キナーゼCDK4、細胞周期進行キナーゼCDC2、転写因子c-MYC及び細胞周期調節蛋白p27);アポトーシス経路(BID、BAD及びBCL-xL);プロテアソーム及びシャペロンシステム(ユビキチン化;ヒートショックプロテインHSP90);及びアクチン細胞骨格(コフィリン、CDC42エフェクター・キナーゼPAK4及びLIMキナーゼLIMK2)のような十分に特性決定されている経路が含まれる。
アッセイを構築するために選択した蛋白を、それらの機能の説明とともに表1に示す。これらの蛋白の生化学的機能は十分に特性決定されているが、先行技術は、創薬分野でこれらの蛋白を生細胞アッセイに使用することについては沈黙している。
我々の目的を達成するには、以下の基準を満たすことが必要であった:(1) アッセイは、経路の活性化又は抑制により生じる個々の蛋白又は蛋白−蛋白複合体中の動的又は一過性の変化を検出するのに十分な感度を持つように構築されなければならない;(2) 選ばれたアッセイは、無傷細胞中の経路の活性を読み取ることができなければならないが、このアッセイは問題の細胞又は経路の生態を妨害してはならない;(3) 特定の経路の活性化又は抑制が容易に検出及び定量化できなければならない;(4) 理想的には、方法がスケールアップ及び自動化に適している。
問題の細胞経路に対する薬物の作用は、薬物処理後の細胞内の蛋白複合体のレベル及び/又は細胞内位置及び/又は翻訳後修飾状態の変化を測定することにより調べた。我々が使用するアッセイは、以下に詳細に説明する自動顕微鏡検査法、自動画像分析、又は代用蛍光装置を使用して、自動装置で行なうことができる。
我々はこれらの方法を用いて、癌に関連する経路に対して以前は思いも寄らなかった活性を持つ薬物を求めて既知の薬物類を調べた。特に、我々は、癌以外の疾患に対して患者を治療するために使用されてきた薬物をスクリーニングし、癌経路への新しい活性についてスクリーニングした。我々の細胞ベースのスクリーニングからヒットしたものを、最大5個の異なるヒト腫瘍細胞系で抗増殖活性について、以下のように試験した。まず、細胞スクリーニングで有意の活性を示した薬物を、10マイクロモルの初期濃度でヒト腫瘍細胞系(PC-3)の増殖を遮断する能力について試験した。PC-3細胞で抗増殖活性を示す薬物については、抗増殖活性のIC50を決定するために用量-反応曲線を試験し、他の腫瘍細胞系についても活性の幅を決定するために試験した。細胞ベースで「ヒットした」薬物の抗増殖活性を評価する方法を以下に述べる。
我々の初期の960個の既知の薬物及び天然生成物についてのスクリーニングに基づいて、我々は癌に関連する経路上で予期せぬ活性を示した20個以上の薬物を同定した。これらのうちの大多数において、癌経路上で観察された活性は全く新しい発見を意味した。これらの薬物は、癌及び他の新生物の治療に臨床で使用する可能性を求めてさらに開発が進められている。
細胞ベースアッセイを構築するための方法
蛋白−蛋白複合体に対する動的なアッセイを構築するために、我々はヒト無傷細胞における蛋白フラグメント相補性アッセイ戦略(PCA)を使用した。(様々な他の適当なアッセイ及びレポーターオプションは下に詳細に述べる。)PCAの原理は、レポーター蛋白又は酵素の相補性ポリペプチドフラグメント(F[1]及びF[2])は、相互作用してレポーター蛋白の相補性フラグメントを接近させる2個の蛋白に融合された時にのみ、折りたたまれて活性形態になるというものである。レポーター蛋白フラグメントの再構築により蛍光シグナルが作られ、これは無傷細胞中で定量することができ、このシグナルの量はアッセイの構築に使用される蛋白−蛋白複合体の量に比例する。適当なレポータータイプがあれば、複合体の細胞内位置も測定することができる。
我々は、細胞ホメオスタシスを調節するキーとなる経路中の蛋白−蛋白相互作用を研究した。特に、細胞周期調節、DNA損傷応答、アポトーシス、分子シャペロン、細胞骨格調節、プロテアソーム分解、有糸分裂誘発、炎症、及び核ホルモン受容体活性化のプロセスに相当する経路で相互作用する蛋白を研究した。これらの特定のアッセイを構築するために使用した蛋白を、表1及び2に要約する。蛋白−蛋白相互作用について報告するために、我々は蛍光性蛋白のフラグメントに基づくPCAを構築した;しかしながら、PCAでの使用に適したレポーター蛋白は他にも沢山あり(US 6,270,964及びここに掲げる参考文献を参照のこと)、例えば、より詳細に以下に考察するジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)、β‐ラクタマーゼ、ルシフェラーゼ、β‐ガラクトシダーゼなどのような酵素レポーターが挙げられる。
さらに、我々は同じ経路内の特定の蛋白の薬物に反応した翻訳後修飾を研究した。リン酸特異抗体の組合せが増え続けることにより、組織全体若しくは細胞中、又は細胞若しくは組織の抽出物中のインビトロで、組織又は細胞中の個々の蛋白のリン酸化状態を調べることが可能になる。リン酸特異抗体は、BDバイオサイエンス社(www.bdbiosciences.com)、セル・シグナリング・テクノロジー社(www.cellsignal.com)及び他の様々な会社を含むライフサイエンス製品の会社により提供される。これらの抗体は特異的にリン酸化された抗原に指向されており、リン酸化されていない形態の蛋白は認識しない。そのようなアッセイに適した方法は細胞生物学の当業者に周知である。ロボットシステム及び自動蛍光顕微鏡検査法と組み合わせた免疫蛍光法により、無傷細胞で検出できる生物学的有利さと、大規模化が可能な自動ハイスループット法を組み合わせたハイスループットスクリーニングの開発に新たな可能性が提供される。
我々が使用した個々の技術は機械利用の生化学研究で広く使用されてきたが、先行技術はそのような方法を薬物の隠れた表現型を同定するために使用することについては沈黙している。我々は、既知の薬物に対する新しい適応を同定し、また、大規模な創薬を新たに実行するために、そのような方法を適用することを目指した。
蛋白フラグメント相補性アッセイ(PCA)
PCA用のレポーターフラグメントはオリゴヌクレオチド合成により作成し(ブルー・ヘロン・バイオテクノロジー社、ボセル、WA)、黄色蛍光フラグメント(YFP)の配列から始めた。最初に、ポリペプチドフラグメントYFP[1]及びYFP[2] (YFPのアミノ酸1-158及び159-239に対応する)をコード化するオリゴヌクレオチドを合成した。次に、PCR突然変異誘発を変異体フラグメントIFP[1]及びIFP[2]を産生させるために使用した。IFP[1]フラグメントはYFP[1]-(F46L、F64L、M153T)に対応し、IFP[2]フラグメントはYFP[2]-(V163A、S175G)に対応する。これらの突然変異は完全なYFP蛋白の蛍光強度を増加させることが示されている(Nagai et al., 2002)。以下に述べるような、問題の遺伝子を各レポーターフラグメントの5'-末端又は3'-末端のいずれかに融合させることができる配置をとる制限部位及びリンカー配列を組込むように、YFP[1]、YFP[2]、IFP[1]及びIFP[2]フラグメントをPCRにより増幅した。レポーター・リンカー・フラグメントカセットは、エプスタイン・バー・ウイルス(EBV)の複製起点(oriP)を組込むように修飾された哺乳動物発現ベクター(pcDNA3.1Z、インビトロジェン社)中にサブクローニングされた。oriPは、HEK293E細胞(293-EBNA、インビトロジェン社)のようなEBNA1遺伝子を発現させる細胞株中でのこれらの修飾ベクターのエピゾーム複製を可能にする。さらに、これらのベクターはSV40起点も保持しており、SV40ラージT抗原(例えば、HEK293T、Jurkat又はCOS)を発現させる細胞株中でのエピゾーム発現が可能である。変異したレポーターフラグメントの完全性及び新しい複製起点は配列決定によって確認された。
PCA融合構築体を、癌に関連を持つことが科学文献中に述べられている細胞経路に関与することが知られている蛋白について調製した。使用した蛋白−蛋白複合体の選択、及びそれらを使用する原理的説明を表1に示し、アッセイ構築に使用したcDNAの遺伝子識別名を表2に示した。問題の各遺伝子の完全長をコードする配列を、配列が確認されている完全長cDNAからのPCRによって増幅した。得られたPCR生成物をカラム精製し(セントリコン社)、指向性のクローニングを可能にするように適当な制限酵素で切断し、フレキシブルな10アミノ酸ペプチド(Gly.Gly.Gly.Gly.Ser)2をコードするリンカーによりYFP[1]、YFP[2]、IFP[1]又はIFP[2]の5'末端又は3'-末端のいずれかにインフレーム融合させた。このフレキシブルリンカーにより、融合体の配向性又は配置が確実に、レポーターフラグメントを隣接部に運ぶのに最適なものとなる(Pelletier et al., 1998)。宿主株であるDH5-alpha(インビトロジェン社、カールスバード、CA)又はXL1 Blue MR (ストラタジーン社、ラ・ホーヤ、CA)中の組換え体を、コロニーPCRによってスクリーニングし、正確なサイズのインサートを含んでいるクローンを、問題の遺伝子の存在と適当なレポーターフラグメントのインフレーム融合を確認するために最終配列決定にかけた。融合構築体のサブセットをプライマーウォーキングによる完全インサート配列決定用に選択した。DNAはQiagen MaxiPrepキット(キアゲン社、チャッツワース、CA)を使用して単離した。PCRは適当な遺伝子特異的プライマーとレポーター特異的プライマーを組み合わせることにより、適正な遺伝子融合体が適正なサイズで内部欠失のない状態で存在することを確認して、各融合構築体の完全性を評価するために使用した。
トランスフェクション及び細胞調製
HEK293細胞を、10%FBS(ジェミニ・バイオ-プロダクツ社)、1%ペニシリン及び1%ストレプトマイシンを追加したMEMアルファ培地(インビトロジェン社)中で継代し、5%CO2で平衡化した37℃インキュベータ中で生育させた。トランスフェクションの約24時間前に、細胞を96ウェルのploy-D-Lysineコーテッドプレート(グライナー社)中にマルチドロップ384ペリスタル型ポンプシステム(サーモ・エレクトロン社、ウォルサム、Mass)を用いて7,500細胞/ウェルの密度で接種した。最大で100ngの相補性YFP又はIFPフラグメント融合ベクターをFugene 6(ロッシュ社)を用いて製造元のプロトコールに従って共トランスフェクトした。この研究でスクリーニングして選択した蛋白−蛋白複合体(PCAペア)のリストを表2に示す。24時間又は48時間の発現の後に、細胞を下記に述べるような選択された薬物に対してスクリーニングした。
いくつかのPCAのために、安定細胞株を作成した。HEK293細胞を第一の融合ベクターを用いてトランスフェクトし、100μg/mlハイグロマイシンB(インビトロジェン社)を使用して安定細胞株を選択した。続いて、選択された細胞株を、第二の相補性融合ベクターでトランスフェクトし、相補性融合体を共発現させる安定細胞株を単離し、50μg/mlハイグロマイシンB及び500μg/mlゼオシンを用いた二重抗生剤選別の後に単離した。すべての細胞株において、蛍光シグナルは少なくとも25回の継代にわたって安定であった(データ表示なし)。薬物処理の約24時間前に、細胞を96ウェルのploy-D-Lysineコーテッドプレート(グライナー社)中にマルチドロップ384ペリスタル型ポンプシステム(サーモ・エレクトロン社、ウォルサム、Mass)を用いて接種した。
蛋白−蛋白複合体に対する薬物活性アッセイ
薬物は10マイクロモルの濃度でデュプリケイトのウェルでスクリーニングした。液体を扱う工程はすべてバイオメック FXプラットフォーム(ベックマン・インスツルメンツ社、フラートン、CA)を使用して行なった。PCAペアを発現する細胞は、薬物を含む細胞培養培地中で90分及び8時間、又はカンプトテシン(CPT)で前刺激処理を行う場合は16-18時間インキュベートした。ある種のアッセイについては、アッセイを停止する直前に既知の経路作用物質で細胞を処理した。薬物処理の後、細胞を33μg/mlヘキスト33342(モリキュラー・プローブス社)で染色し、2%ホルムアルデヒド(テッド・ペラ社)で10分間固定した。場合によっては、細胞をヘキスト及び15μg/mlテキサスレッド共役−小麦胚芽アグルチニン(WGA;モリキュラー・プローブス社)で同時に染色し、その後固定した。続いて細胞をHBSS(インビトロジェン社)ですすぎ、画像収得の間は同じバッファー中で維持した。
ロボットアーム(CRSカタリスト・エクスプレス;サーモ・エレクトロン社、ウォルサム、Mass)を備えたディスカバリー-1自動蛍光画像処理機(モレキュラー・ディバイシーズ社)を用いて、YFP、ヘキスト及びテキサスレッド蛍光シグナルを得た。1ウェル当たり4個のオーバーラップしない細胞集団の画像を得るために以下のフィルターセットを使用した:励起フィルター 480/40nm、発光フィルター 535/50nm(YFP);励起フィルター 360/40nm、発光フィルター 465/30nm(ヘキスト);励起フィルター 560/50nm、発光フィルター 650/40nm(テキサス・レッド)。全ての処理条件をデュプリケイトで行い、各波長及び処理条件について全部で8個の画像を得た。
Figure 2008513805
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免疫蛍光法
問題の経路に関与する蛋白の翻訳後修飾状態を評価するために、薬物で処理した細胞で免疫蛍光検査を行った。我々は、成長因子刺激の非存在下及び存在下でキーとなるシグナル伝達蛋白のリン酸化状態を測定することを目指したアッセイを構築した。シグナル伝達蛋白に結びつく経路を遮断又は阻害することができる薬物は、原理として、選択された成長因子に反応してそのシグナル伝達蛋白のリン酸化の低下を引き起こすと考えられる。リン酸化状態のこのような変化は薬物の存在下での蛍光の低下によって測定することができるであろう。この手法を実証するために、我々は、脈管形成性成長因子であるVEGF(血管内皮細胞増殖因子)に関連したMAPキナーゼ経路中の蛋白キナーゼであるERK(マイトジェン活性化蛋白キナーゼ)のリン酸化状態の変化を研究した。
HEK293T細胞を7,500/ウェルの密度で96ウェルのploy-D-Lysコーテッドブラックウォールプレート(グライナー社)中に接種した。24時間後、細胞をpCDNA3.1発現ベクター中で100ng/ウェルのmVEGFR2を用いてトランスフェクトした。トランスフェクションの48時間後、表示の薬物の非存在下又は存在下で細胞を90分間インキュベートした。薬物処理の最後の5分間、細胞を50ng/mlのmVEGF(R&Dシステムズ社)で刺激し、PBS中4%のホルムアルデヒドで15分間固定した。抗体染色には、細胞を0.25% Triton X-100で6分間透過性化処理し、PBS中3%のBSAと共に細胞を15分間インキュベートすることによりに非特異的染色を遮蔽した。リン酸化したERKは、固定化細胞をウサギリン酸-ERK(T202/Y204)-特異抗体(セル・シグナリング・テクノロジーズ社)及びそれに続いてAlexa488共役ヤギ抗ウサギ抗体(モレキュラー・プローブ社)とともにインキュベートすることにより検出した。細胞核はヘキスト33342(モレキュラー・プローブ社)で染色した。PBS中5%グリセロール溶液を用いて細胞に上塗りを施した。蛍光画像は、上記のようにディスカバリー-1画像処理機(モレキュラー・ディバイシーズ社)により得られた。
BSA/PBSを加え一次抗体なしでインキュベートした細胞を用いて得られたものを、二次抗体の非特異性結合によるバックグラウンド蛍光とした。
蛍光画像分析
PCA及び免疫蛍光アッセイの蛍光顕微鏡検査によって観察された薬物効果を数値化できるようにするために、我々は自動顕微鏡によって得られた画像に画像分析アルゴリズムを適用した。細胞ベースの「ハイコンテント」アッセイ分析用の様々な市販のソフトウェアパッケージがこの目的に適しており、購入可能である(セロミクス社;GEメディカル/アマシャム社;ベクトン・ディキンソン/アト・バイオサイエンス社;ベックマン・クルター/Q3DM社など)。我々は公に利用可能なソフトウェア(ImageJ API/ライブラリー;http://rsb.info.nih.gov/ij/、NIH、MD)を使用して16ビットのグレイスケールTIFFフォーマットでの未加工画像を分析した。最初に、蛍光チャンネルからの画像をImageJビルトインローリングボールアルゴリズムを使用して標準化した[S.R. Sternberg, Biomedical image processing. Computer, 16(1), January 1983]。次に、閾値を確定して、バックグラウンドからフォアグラウンドを分離した。ImageJからのパーティクル・アナライザーに基づく反復性アルゴリズムを、閾値処理したヘキスト・チャンネル画像(HI)に適用して全細胞数を得た。細胞の核領域(核マスク)も閾値処理したHIから誘導した。プラスのパーティクル・マスクは閾値処理したYFP画像(YI)から作成した。広域バックグラウンド(gBG)を計算するために、閾値処理していないYIからヒストグラムを得て、最低強度ピークのピクセル強度をgBGとした。種々の蛍光チャンネルからのマスクをオーバーラップさせて細胞の相関する亜領域を定義した。定義された亜領域内のすべてのプラスのパーティクルの平均ピクセル強度を計算し、複数のパラメーター、すなわち、MT(蛍光全体の平均強度);M1(ヘキスト定義領域の平均強度);M2(使用されているWGA定義領域の平均強度);及びM3(他の領域から除かれたピクセルの平均強度)を得た。全ての平均値は対応するgBGについて補正した。
実験の各セット(アッセイ+薬物処理+処理時間)について、8個の画像からの蛍光パーティクルをプールした。各パラメーターについて、アウトライヤーフィルターを適用してグループの範囲(平均±3SD)外のパーティクルを除外した。各パラメーターについてのサンプル平均又は対照平均を、フィルター処理した各グループから得た。
MTT増殖アッセイ
ヒト非小細胞肺癌(A549, ATCC# CCL-185)、結腸腺癌(LoVo, ATCC# CCL-229))、膵癌(MIA PaCa-2, ATCC# CRL-1420)、前立腺腺癌(PC-3, ATCC# CRL-1435)及び膠芽腫(U-87 MG, ATCC# HTB-14)細胞は、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC, マナッサス, VA)から入手した。細胞は、以下のような様々な培地中で維持した:A549、LoVo及びPC-3 (2 mM L-グルタミン及び1.5g/L重炭酸ナトリウムを加えたハムのF12K培地)、MIA PaCa-2 (4 mM L-グルタミン及び4.5g/Lグルコースを加えたダルベッコの改良イーグル培地)、U87-MG (MEM+アールのBSS)。各細胞株の培地に10% FBS及び100 mg/ml ペニシリン/ストレプトマイシンを添加した。細胞はすべて37℃、5% CO2にセットしたインキュベータ中で成長させた。チアゾリルブルーテトラゾリウムブロミド(MTT)に基づく増殖アッセイを行い、これらの細胞に対する化合物の抗増殖活性を評価した。細胞は化合物処理の24時間前に750細胞/ウェルの密度で96ウェル・プレートに接種した。細胞は化合物の濃度を変えて120時間インキュベートした。化合物濃度は、アルファ・トマチン(0.001-100μM、半対数増加)、ネリイフォリン(0.0002-100μM)及びペルボシド(0.01-100μM)を除けば、0.03から100μMの範囲(半対数増加)である。薬物処理は5個ずつのウェルで重複して行なった。バックグラウンド吸光度は培地だけで細胞を含まないウェルのものとした。賦形剤(DMSO)のみを対照として使用した。MTT(シグマ・オールドリッチ社、セントルイス、MO)は、0.5 mg/mlの最終濃度になるように各ウェルに加えた。37℃で2時間のインキュベーションの後、ウェル中の培地を0.15ml DMSOで置換した。プレートを微量定量プレート振盪機を使用して15分間振盪した。560nMの吸光度をSpectraMax Plus(モレキュラー・ディバイシーズ社)を使用して測定した。平均吸光度値は、ブランクサンプルからのバックグラウンド吸光度を引いた後、各薬物処理の5個の重複ウェルから計算し、コントロールに対するパーセントで図示した。
Figure 2008513805
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結果
特定のアッセイ結果を示す顕微鏡写真を図3A-3Gに示す。選択された薬物の抗増殖活性は図4-10に示す。特定の経路に「ヒット」した薬物の要約を、アッセイ活性、及びMTTアッセイで評価されるヒト腫瘍細胞株の増殖に対する各薬物の活性と共に表3に示す。試験した各腫瘍細胞株について、増殖に関するIC50(増殖を50%阻害する各薬物の濃度)を表3に示す。
様々な薬物作用のメカニズムが、ここで見られた活性の基礎にあると考えられる。例えば、蛋白複合体の量は、形成の増加、形成の減少又は1つ以上のその成分の安定性の低下の結果として変動しうる。変化の基礎となる生化学的メカニズムとしては、複合体中の1つ以上の蛋白の翻訳後修飾状態の変化;シャペロン機能の阻害;プロテアソーム阻害;刺激存在下での経路阻害;蛋白−蛋白相互作用の直接的阻害;及び他の潜在的なメカニズムが挙げられる。ここで測定されるように、これらのメカニズムのいずれもが、結果として同じ種類の複合体の量、細胞内位置、又は翻訳後修飾状態の変化をもたらしうる。
我々の結果には特に興味深いいくつかの特徴がある。第一に、スクリーニング処理全体が非常に速い:抗増殖活性が見込まれる薬物の同定がアッセイ構築後2週間で完了できた。第二に、我々が構築した経路ベースのスクリーニングは、個々のアッセイがほとんどの場合50%を超えるプラスの予測的中率を有するという抗増殖活性の優れた指標であった(図11)。アッセイを組合わせることにより、プラスの予測的中率は70-80%となった。第三に、薬物の多くは2つ以上の癌経路にヒットした。これは、細胞ネットワークの相互接続性についての我々の見解を支持しており、また、十分に特性決定された薬物でさえも有意な驚くべき「オフ経路」効果を持つことを示すものである。第四に、この原理立証研究において抗増殖活性を持つことが分かった薬物の数は23/960又は 2%以上であり、これは新たな治療上の用途を薬物に再び示す上で実質的な意味のある割合である。このことはまた、ここで示される全体的な戦略は、広い範囲の疾患経路に適用されるならば、ヒトの疾患の治療に迅速に振り向けることができる医薬を同定するために強力な戦略を提供することになるであろう。これらの薬物が十分に特性決定された安全性プロファイルを持つことから、それらは即座に新しい治療適応に向けての臨床試験に進めることができる。
意外なことに、ほとんどの場合、腫瘍細胞の増殖を阻害した薬物の用量は、低マイクロモルの範囲であり、事実、十分にその薬物の血漿濃度の範囲内にあった(文献にて裏付けられている)。
この戦略に使用される正確な標識(蛋白及び蛋白−蛋白相互作用)は問題の疾患に依存することになり、また、本発明はここに提示される特別の経路、蛋白、若しくは標識、又は薬物がその経路に影響を及ぼす特別のメカニズムに限定されないことは当業者に認識されるであろう。例えば、抗増殖薬剤を同定するために、我々は癌の表現型に寄与する経路を使用した。しかしながら、本発明で適用した方法は薬物の抗癌活性の同定に限定されるものではない。他の疾患については、我々はそれらの病気に特徴的な経路を調べている:例えば、糖尿病については、我々は、ブドウ糖輸送、グリコーゲン合成、インシュリン受容体調節及びインシュリンシグナル伝達経路に関与する経路を研究している。骨疾患については、我々は骨リモデリング、及び破骨細胞と骨芽細胞の示差的活な活性に関係する経路を使用している。神経障害については、我々はドーパミン受容体とセロトニン受容体の下流にある経路を使用している。
本発明は哺乳動物細胞以外の細胞タイプにも適用することができる。例えば、本発明は抗生剤、抗真菌剤、抗ウィルス剤及び他の感染症薬の発見に適用することができる。これらの場合、問題の細胞(細菌、真菌など)を当面の疾患の問題の経路/蛋白と共にアッセイ構築に使用することができる。例えば、細菌細胞の生存においてキーとなる経路を中断させる薬剤は、有用な抗生剤となるかもしれない。抗ウィルス剤の場合には、哺乳動物細胞を読み取りに使用することができ、ウイルス/宿主相互作用蛋白をアッセイ構築に使用することができる。例えば、宿主の蛋白受容体又はウイルス/宿主の蛋白−蛋白相互作用を直接又は間接的に中断させる薬剤は、ウィルス感染の予防又は治療において有用性があるかもしれない。
新しいアッセイについての多くのアイディアを生化学の文献から収集し、ここに提供されている方法に組み合わせて既知の薬物の新しい適応を見つけるために用いることができる。アッセイに使用する遺伝子は既知又は新規の相互作用蛋白のどちらをコード化するものでもよい。相互作用蛋白は、ベイト対ライブラリースクリーニング;ペア式(遺伝子による遺伝子の)相互作用マッピング;及び/又は経路若しくは相互作用蛋白ペアに関する予備知識若しくは仮説を含む1つ又は複数の方法によって選択することができる。さらに、創薬に役立つ新規の経路を、新規の蛋白−蛋白相互作用についてのアッセイを構築し;これらが問題の経路に影響することが知られている薬剤に反応するかどうかを判断し;さらに、得られた新規のアッセイを使用して、求める活性を有する新規の化学物質と同様に既知の薬物もスクリーニングすることにより、経験的に同定することができる。
スクリーニングシステムでの使用に適した方法
ここに提示するスクリーニングシステムは、ハイスループットスクリーン(HTS)及びハイコンテントスクリーン(HCS)を含むいくつかの異なるモードで使用することができる。純粋に定量的なアッセイ(HTS)の場合、アッセイ中に産生されるシグナルを微量滴定蛍光プレートリーダー、フローサイトメトリー、蛍光測定器、微量流体計測器又は同様の装置を用いて定量する。強度は形成された蛋白−蛋白複合体の量の測定値であり、それにより作用物質、拮抗物質及び阻害剤に反応しての生細胞中の蛋白−蛋白複合体形成の変化を検出することが可能になる。ハイコンテントアッセイ(HCS)の場合、細胞を自動顕微鏡か、共焦点式か、レーザー式か、又は他の適当な高解像度の画像システムにより画像化することができる。シグナルの細胞内位置(細胞膜、細胞質ゾル、核、核内体など)と共に細胞当たりの全蛍光量も検出することができる。細胞固定には、アッセイプレート全体を細胞処理後の特定の時点で固定して、プレートスタッカー又は回転台に載せ、後で読み取ることができるために、実験の自動化の目的から生細胞アッセイよりも好都合である。
HTS又はHCSフォーマットの選択は、シグナル伝達事象の生物学的及び生化学的特性、及びスクリーニングする蛋白の機能により決定される。本発明の対象であるHTS及びHCSアッセイが、選択されたレポーターによって産生されるシグナルの検出に適した任意の計器と組み合わせて行なうことができるということは当業者に理解されるであろう。
(固定又は非固定の)生細胞の使用に加えて、細胞ライセートを薬物処理後に調製してもよく、本発明に使用してもよい。最終的に、問題の特定の蛋白−蛋白相互作用について、ここに述べる方法を用いてインビトロのアッセイを構築することができ、またそれを使用して、アッセイでヒットした任意のものの作用メカニズムをさらに研究し;構造活性相関に関する研究を促進し;望ましい活性を有する新規化学物質の新たな発見を可能にすることができる。
蛋白−蛋白相互作用を検出又は測定するための方法
PCAは本発明の好ましい態様を表わす。PCAは、生細胞中での蛋白−蛋白複合体の量及び細胞内位置の検出及び計量を可能にする。PCAでは、蛋白は組み替えポリペプチド・フラグメントへの融合体として発現され、ここではポリペプチド・フラグメント自体は、(a)蛍光性又は発光性の部分ではない;(b)自然発生によるものではない;また、(c)レポーターの切断によって産生されるものではない。Michnickら (US 6,270,964) は、表4に記述されるレポーターのうちの任意のものを含む問題のいずれのレポーター蛋白もPCAに使用することができることを教示した。このように、PCAに適したレポーターとしては、多くの単量体若しくは多量体酵素、又は蛍光性、発光性、若しくはリン光性の蛋白の任意のものを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。小さな単量体の蛋白がPCAには好ましく、それには小さな(〜150アミノ酸)フラグメントをもたらす単量体酵素及び単量体の蛍光性蛋白が含まれる。Michnickらによって確立された原理を用いるといずれのレポーター蛋白もフラグメント化することができるので、選択した細胞タイプ、標的、シグナル伝達プロセス及び機器使用の特定の要求にアッセイを適合させることができる。最終的に、広い範囲のレポーターフラグメントから選択できることが、蛍光性、発光性、リン光性、又はそれ以外の検出可能なシグナルの構築と、ハイコンテント又はハイスループットのアッセイフォーマットの選択を可能にしている。
発現ベクターの選択が、アッセイ構築する細胞タイプ、すなわち細菌か、酵母菌か、哺乳類又は他の細胞タイプか;望ましい発現レベル;一時的か或いは安定したトランスフェクションかの選択;並びに他の典型的な分子的及び細胞生物学的な考察に依存するものであることは当業者に明らかであろう。種々様々な他の有用な要素を適当な発現ベクターに組み入れることができ、例としてはエピトープ・タグ、抗生物質耐性要素、及び異なる細胞内区画へのアッセイの細胞内標的化を可能にするペプチド又はポリペプチド・タグ(例えば、A キエーサら、細胞シグナル伝達研究に役立つツールとしての組み換えエクオリン及び緑色蛍光蛋白)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。2個の相補的な構成体の各々に異なる抗生物質耐性マーカーを組み込むことにより、ダブルの抗生物質淘汰圧によって安定な細胞株の作成が可能になると考えられ、一方、細胞内での標的要素は、ミトコンドリア、ゴルジ体、核又は他の区画のような特別の細胞内区画中に生じる経路事象についてのアッセイの作成を可能にするであろう。
様々な標準的又は新規の発現ベクターを細胞タイプ及び望ましい発現レベルに基づいて選択することができる;そのようなベクター及びそれらの特性は当業者に周知であり、プラスミド、レトロウイルス、及びアデノウイルスの発現システムが挙げられる。さらに、構成的なレポーター及び誘導性のレポーターを含む広い範囲の適当なプロモーターをベクター構築に使用することができる。誘導性のプロモーターが使用された場合、アッセイ中で産生されるシグナルは、PCA構成物によってコード化されている遺伝子の転写を開始させる事象の活性化に依存するであろう。
PCAに適したレポーターの一般的特性は以前に記述されている(参考文献がここに組み込まれている)。本発明の好ましい態様は、蛍光性又は発光性のシグナルを産生する細胞ベースのアッセイを含み、それらは特に有用である。本発明で使用することができるレポーターの例は参考文献中に示されている。レポーターの選択に制限がないことは当業者には認識されるであろう。むしろ、それは、望ましいアッセイ特性、フォーマット、細胞タイプ、スペクトル特性、発現、時間経過及び他のアッセイ仕様に基づくことになるであろう。問題の任意のレポーターについて、様々な有用なフラグメントペアを、例えば、US 6,270,964やここに組み込まれた参考文献に教示されている方法を使用して作成し、次いで組換えを行って、フラグメントが再構成された際に、より明るいシグナル又は特異的な色彩読み取りをもたらすようなフラグメントを作成することができる。本発明の対象であるレポーターのうちの任意のものの有用なフラグメント及びフラグメント変異体を作成するために遺伝子工学の様々な技術を使用することができるということは当業者には明らかであろう。
種々様々のレポーターの中から選択できるが故に、本発明が大規模な創薬において特に有用なものとなっているということは当業者によって認識されるであろう。特に、レポーターは、蛋白発現レベルの範囲、細胞タイプ及び検出モードに適していると思われる特定の波長及び強度の光を放出するものを選択することができる。薬物活性に関係すると考えられるシグナル伝達事象又は生化学プロセスは幅広いために、汎用性が本発明の重要な特徴である。いくつかの生化学事象では、例えば作用物質の結合による経路の活性化が、受容体と同種の結合蛋白質の結合、又はキナーゼとその基質のような経路中の「下流」にある2個の要素の結合の増加を導くであろう。PCAペアを形成する2個の蛋白の結合の増加は、再構成されたレポーター・フラグメントによるシグナル産生の増加を導く。その場合、ハイスループットアッセイフォーマットを問題の複合体の量に比例した蛍光性シグナルの測定に使用することができる。定量的アッセイについては、シグナル強度の読み取りが増加又は減少する場合、本発明で考察されるレポーターの任意のものを使用することができ、それぞれのレポーターには様々な賛否両論があり、それらは細胞生物学の当業者には十分に理解される。酵素−それにより、触媒反応が蛍光、リン光、発光又は他の光学的に検出可能なシグナルが発生される−は、純粋に定量的なアッセイに最も適していると考えられる。フラグメントが補完する際に、再構成された酵素が基質に作用して蛍光又は発光生成物を産生し、レポーターが活性である間はそれが蓄積する。生成物が蓄積するので、フラグメント補完の際に高いシグナル対ノイズ比を生み出すことができる。そのようなアッセイは、384ウェル又は1536ウェルのフォーマット及びそれ以上へのスケールアップに特に向いており、標準的な実験自動化、及び超高度ハイスループット実験自動化に適合している。
本発明の好ましいレポーターとしては、β‐ラクタマーゼPCA又は、ホタル・ルシフェラーゼ若しくはレニラ・ルシフェラーゼを用いるようなルシフェラーゼPCAが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの各酵素は、哺乳類のシステムにおいて細胞ベースのレポーターとして使用され好結果が得られている (S Baumik & SS Gambhir, 2002, マウス生体におけるレニラ・ルシフェラーゼ・レポーター遺伝子発現の視覚画像化, Proc. Natl. Acad. Sci., USA 2002, 99(1): 377-382; Lorenz et al., 1991, レニラ・レニフォルミス・ルシフェラーゼをコード化するcDNAの単離と発現, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88: 4438-4442; G. Zlokarnik et al., 1998, レポーターとしてβ‐ラクタマーゼを用いた単一の生細胞の転写計測及びクローン選択, Science 279: 84-88)。PCA構築の一例として、β‐ラクタマーゼPCAが、開裂に際してバックグラウンドに比べて高いシグナルを発生させる細胞浸透性の基質を用いて構築されている (A Galarneau et al., 2000, Nature Biotechnol. 20: 619-622)。β‐ラクタマーゼPCAはHTSに適した感度と定量性を持つアッセイである。このPCAは、β‐ラクタマーゼによるβ‐ラクタム環の開裂で青く変化する緑色蛍光分子であるCCF2/AMと共に使用されている;したがって、青−緑の比率が蛋白フラグメント補完により再構成されるβ‐ラクタマーゼの活性の測定値となる。ルシフェラーゼPCAも細胞透過性の基質と共に使用して、本発明に適したHTSアッセイを作成することができる(例えば、R Paulmurugan et al., 2002, レポーター蛋白相補性及び再構築戦略を用いた生体対象中の蛋白−蛋白相互作用の非侵襲性画像処理, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 99: 15608-15613)。適当な修飾を行うことにより、これらのPCAの任意のものを本発明においてインビボ又はインビトロで使用することもできる。本質的に蛍光性、リン光性、又は生物発光性の蛋白に基づくPCAはハイコンテントフォーマット又はハイスループットフォーマットのいずれかにより読み取ることができることは当業者に明白であろう。これらのPCAは基質の追加を必要としないという長所を持つ;しかしながら、産生されたシグナルは酵素レポーターによって産生されるものより一般に低い。
カルシウム感受性の発光蛋白はそのようなアッセイ用のPCAとして有用と考えられる。これらはエクオリン、オベリン、又は他のカルシウム感受性蛋白のフラグメントを基礎とすることができる(例えば、MD Ungrin et al., 1999, G蛋白結合受容体に対する自動化されたエクオリン発光ベースの機能性カルシウム・アッセイ, Anal Biochem. 272: 34-42; Rizzuto et al., 1992, 特異的に標的化された組換えエクオリンにより明らかにされるミトコンドリア性カルシウムの急速な変化, Nature 358 (6384): 325-327; Campbell et al., 1988, ヒト好中球におけるアポ−オベリン及びmRNAからのカルシウム活性化発光蛋白オベリンの形成, Biochem J. 252 (1):143-149)。クラゲAequorea victoriaに由来するカルシウム感受性の発光蛋白であるエクオリンは、アポ蛋白(分子量〜21 kDa)及び疎水性の補欠分子族コエレンテラジンからなる。蛋白へのカルシウムの結合はアポ蛋白とコエレンテラジンの間の共有結合の開裂をもたらし、光子を単独で放出する。この反応の速度は発光蛋白がさらされるカルシウム濃度に依存する。コエレンテラジンを有する完全なエクオリンは細胞ベースのアッセイでカルシウム流動をモニターするために使用されてきた。オベリンもシグナル生成にコエレンテラジンを必要とする22-kDaのモノマー蛋白である。エクオリンPCA又はオベリン PCAの構築により、リガンド蛋白相互作用又は蛋白−蛋白相互作用の結果としてレポーターフラグメントが会合する場合にのみ光子放出が起きるアッセイが可能になると考えられる。そのようなアッセイは、経路の活性化とカルシウム流動の測定値を結びつけ、それによりアッセイを経路ベースの研究において非常に感度の高いものにするであろう。
小さな単量体のレポーターはレポーターフラグメントのサイズが小さくなることから本発明において好ましいが、β‐ガラクトシダーゼ、β‐グルクロニダーゼ、チロシナーゼ及び他のレポーターのような多量体酵素も本発明に使用することができることは先行技術から明白であろう。PCAに適したいくつかの多量体酵素が先に述べられている (US 6,270,964)。多量体蛋白のフラグメントは先行技術に記述されているPCAの原理を使用して組み替えることができる;あるいは、自然発生のフラグメント又は多量体酵素の低親和性サブユニットを使用することもでき、それらには広く用いられているβ‐ガラクトシダーゼα及びω相補性システムが含まれる。ベータ−ガラクトシダーゼ (beta-gal) は、最大100万ダルトンの四量体及び八量体複合体を形成する多量体酵素である。beta-galサブユニットは自己オリゴマー化を経て活性が導かれる。この自然発生現象は30以上の特許の対象である様々なインビトロの均質アッセイを開発するために使用されてきた。beta-galのアルファ又はオメガ相補性は、1965年に最初に報告され、抗体−抗原、薬物−蛋白、蛋白−蛋白及び他の生物分子の相互作用を検出するためのアッセイの開発に利用されてきた。自己オリゴマー化によるバックグラウンド活性は、自然に補完する能力が低下又は極小になっている低親和性変異体サブユニットの開発により部分的に克服されており、それにより、例えば生細胞においてEGFレセプターのリガンド依存的活性化の検出を含む様々なアッセイが可能になる (Rossi and Blau)。これらの低親和性サブユニットは本発明と関連するアッセイを構築するために使用することができる。
いくつかの経路では、経路の活性化は、先在する蛋白−蛋白複合体の全体数を増加させることなく細胞内区画から別の区画へ転位させる。その場合、細胞内の複合体が形成される部位で再構成されたレポーターによって産生された蛍光性シグナルが画像化されて、モニターすべき複合体の利用が可能になる。そのような「ハイコンテント」PCAは、シグナルが蛋白−蛋白複合体の部位に維持されるような適当な任意のレポーターが得られるように操作することができる。例としては、シグナル伝達経路のハイコンテント・アッセイ (I Remy & S Michnick, 2001, 生細胞中の生化学ネットワークの可視化, Proc Natl Acad Sci USA, 98: 7678-7683) 及びハイスループットアッセイ (I Remy et al., 1999, リガンド誘導性のコンフォメーション変化によるエリスロポイエチン受容体の活性化, Science 283: 990-993) にも使用されてきたDHFR PCAが挙げられる。再構成されたDHFRはメトトレキセート(MTX) に結合し、MTXがフルオレセイン、テキサスレッド、又はBODIPYのような蛍光体に結合すると、PCAシグナルが細胞内に位置することになる。ハイコンテントアッセイに特に役立つ別のレポーターが US 6,270,964に記述されており、それにはAequorea victoriaからの緑色蛍光蛋白(GFP)が含まれる。GFP、YFP及び他の固有の蛍光性、発光性又はリン光性の蛋白レポーターに基づくPCAは、本発明の好ましい態様である。いくつかの蛍光性蛋白が科学文献に記載されている(例えば、RY Tsien, 1998, 緑色蛍光蛋白, in: Annual Reviews of Biochemistry 67: 509-544; J Zhang et al., 2000, 細胞生物学のための新たな蛍光プローブの創作, Nature Reviews 3: 906-918)。任意の変異体蛍光性蛋白を本発明で使用するためにフラグメントに操作作成することができる。適当なレポーターとしては、YFP、CFP、dsRed、mRFP、「シトリーン」、BFP、PA-GFP、「ビーナス」、SEYFP及び他のAFP類;並びにイソギンチャク及びサンゴからの赤色及びオレンジ赤色蛍光蛋白が挙げられる。
バックグラウンドに対して高シグナルを産生するレポーターが本発明において好ましい。例えば、YFP、SEYFP、又は「ビーナス」に基づくPCA (T Nagai et al., 2002, 細胞生物学に利用できる迅速で効率的な成熟を示す黄色蛍光蛋白の変異体, Nature Biotech. 20: 87-90) は本発明に特に適している。シグナルを誘発することができる蛋白、例えば、点火蛍光蛋白(KFP1)(DM Chudakov et al., 2003, 正確なインビボの光ラベルを行うための点火蛍光蛋白, Nat. Biotechnol. 21, 191-194)や、カエデ (Kaede)のような光転化蛍光蛋白 (R Ando et al., 2002, 蛍光蛋白のuv-誘導性緑−赤光転化に基づく視覚マーカー. Natl. Acad. Sci. USA, 2002, 99 (20): 12651-12656)、又はPA-GFPのような光活性化することができる蛋白 (GH Patterson et al., 2002, 蛋白及び細胞の選択的ラベリングのための光活性化することができる GFP, Science 297: 1873-1877) は、非常に速いシグナル伝達事象を捕捉記録する必要がある場合に特に有利であろう。KFP1は、イソギンチャクAnemonia sulcataからの独特なGFP様の色素蛋白asCPに由来する。asCPは最初は非蛍光性であるが、強い緑色光照射に反応して、595nmの発光波長の明るい蛍光性となる(点火する)。点火したasCPは、<10秒の半減期で元の非蛍光性状態に減退する。あるいは、蛍光は、青色光の短期照射によって即座かつ完全に「消光」することができる。変異体(asCP A148G、又はKFP1)は、非蛍光状態から安定な鮮やかな赤色蛍光形態に独特な不可逆の光転化を起すことができ、その蛍光形態は点火していない蛋白の30倍以上の蛍光強度を持ち、生細胞PCAに特に適したものとなっている。
蛋白−蛋白相互作用を測定するための他の技術も同様に本発明に適している。現在までに最も広く普及している蛍光性の、細胞ベースのた蛋白−蛋白相互作用アッセイは、蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)又は生物発光共鳴エネルギー転移(BRET)の現象に基づくものである。FRETアッセイでは、FRETを受けることができる2個の異なる蛍光性レポーターに対する遺伝子を、問題のコード化遺伝子に別々に融合し、融合蛋白を生細胞中で共同発現させる。問題の蛋白間で蛋白複合体が形成されると、2つの蛋白がオーバーラップする発光及び励起を持つ場合に蛍光体が接近し、第一の「ドナー」蛍光体による光子の放出の結果、第二の「アクセプター」蛍光体により放出された光子が効率的に吸収される。FRETペアは、独特な組み合わせの励起波長及び発光波長で蛍光を発し、これは生細胞中で一方の蛍光体単独のものと識別することができる。特定の例として、様々なGFP変異体がFRETアッセイの中で使用されており、例としてはシアン、シトリーン、強化グリーン及び強化ブルーの蛍光性蛋白が挙げられる。BRETでは、発光性蛋白−例えば、酵素レニラ・ルシフェラーゼ(RLuc)−をドナーとして使用し、緑色蛍光性蛋白(GFP)をアクセプター分子として使用する。Rlucに対して基質として働く化合物を添加して、Rlucにより放出された青色光の量をGFPにより放出された緑色光の量と比較することによりFRETシグナルを測定する。2つの蛋白が接近するほど、緑色対青色の比率が増加する。ブリードスルー及び自己蛍光からのFRETの逆応答を可能にするために、より新しい方法が開発中である。さらに、蛍光寿命画像処理顕微鏡法(FLIM)は、単純なFRET強度の定量に伴う人為要素を取り除いてくれる。蛋白−蛋白相互作用を測定する別の方法も本発明に使用することができる。これらの例としては、2-ハイブリッド及び3-ハイブリッドアッセイ並びに蛋白−蛋白複合体を検出及び測定するための同様の手法とともに、分割ユビキチンに基づくアッセイが挙げられる。これらのシステムの多くは無傷細胞中での蛍光シグナルの生成に適している。
蛋白の翻訳後修飾を検出する方法
本発明は、翻訳後修飾蛋白についての細胞ベースの蛍光又は発光アッセイが薬物の新しい活性及び既知の薬物の新しい治療上の用途の同定に使用することができることを教示するものである。抗体を固定細胞に適用することによって、薬物処理に反応して起きる特定の翻訳後修飾(例えば、リン酸化、アセチル化、ユビキチン化、スモイル化、メチル化、ニトロシル化、グリコシル化、ミリストイル化、パルミトイル化、ファルネシル化など)と同様に、特別な蛋白又は蛋白クラスの絶対濃度及び細胞内位置を測定することができる。本発明を作成するに当って、修飾状態に特異的な抗体を用いる細胞ベースのアッセイを、問題の薬物存在下で細胞中におきる動的変化をモニターするために使用した。
リン酸特異抗体の他に、他の修飾状態に特異的な抗体も、原理的には、細胞中で翻訳後修飾を受ける任意の巨大分子に対して生成されうる。そのような新規の試薬は本発明と共に使用することができる。上記のような翻訳後修飾としては、薬物効果に反応して生じることがありうるメチル化、アセチル化、ファルネシル化、グリコシル化、ミリスチル化、ユビキチン化、スモイル化及び他の翻訳後修飾が挙げられる。
上記のような翻訳後修飾はここに述べるように、免疫蛍光と組み合わせた抗体の使用により検出することもできる;しかしながら、その方法は抗体使用に限定されるわけではない。本発明が特定の試薬若しくは試薬クラス、又はそれらの使用についてのプロトコールに限定されるものではないことに注意することが重要である。標的又は経路活性に対する他の(非抗体)プローブも、それらが (a) 薬物の効果に関係した経路活性、細胞シグナル伝達、又は細胞状態の変化を反映するように細胞中の巨大分子の変化に対して示差的に結合する;(b) 非結合状態のものは細胞から洗い流すことができ、非結合プローブ・バックグラウンド以上の結合プローブを検出することができる;また、(c) 直接的又は間接的のいずれかの方法、例えば、蛍光法又は発光法を用いて、検出することができる限りは、使用することができる。様々な有機分子、ペプチド、リガンド、天然生成物、ヌクレオシド及び他のプローブは、例えば、蛍光若しくは発光染料又は量子ドットでラベルすることにより直接的に検出することができ;或いは、例えば標的に結合した場合にプローブを認識する抗体を使用した免疫蛍光法によって、間接的に検出することもできる。このようなプローブとしては、リガンド、天然若しくは非天然の基質、競合的結合分子、ペプチド、ヌクレオシド、及び標的の翻訳後修飾状態に基づいて標的に示差的に結合する様々な他のプローブを挙げることができるであろう。いくつかの方法及びレポーターが異なる状況により良く適するであろうことは当業者に認識されるであろう。特別の試薬、固定及び染色法が、異なる細胞タイプ、及び異なる経路又は標的について最適さが優れていたり劣っていたりするであろう。
蛋白の他に、DNA及び脂質を含む様々な巨大分子が翻訳後に修飾される。DNAのメチル化は、転写の配列特異的な調節及び遺伝子特異的な調節において重要である。脂質のリン酸化は細胞シグナル伝達の制御において重要である;例えば、イノシトール重合リン酸塩の間のバランスは、二次伝達物質であるイノシトール三リン酸(IP3)のレベルの調整において非常に重要である;また、ホスファチジルコリン、ホスファチジルイノシトール及びホスファチジルセリンのようなリン脂質の脂肪酸組成は、膜の流動性と浸透性を調節する。修飾状態特異的試薬のツールボックスが拡大するとともに、そのようなアッセイが我々が薬理学的プロファイリングのために構築しつつあるパネルに加えられることになるであろう。
表4.本発明と共に使用しうる修飾状態特異的試薬の例
Akt (pS472/pS473)、リン酸特異(PKBa)抗体
カベオリン (pY14)、リン酸特異抗体
Cdk1/Cdc2 (pY15)、リン酸特異抗体
eNOS (pS1177)、リン酸特異抗体
eNOS (pT495)、リン酸特異抗体
ERK1/2 (pT202/pY204)、リン酸特異抗体(p44/42 MAPK)
FAK (pY397)、リン酸特異抗体
IkBa (pS32/pS36)、リン酸特異抗体
インテグリン b3 (pY759)、リン酸特異抗体
JNK (pT183/pY185)、リン酸特異抗体
Lck (pY505)、リン酸特異抗体
p38 MAPK (pT180/pY182)、リン酸特異抗体
p120 カテニン (pY228)、リン酸特異抗体
p120 カテニン (pY280)、リン酸特異抗体
p120 カテニン (pY96)、リン酸特異抗体
パキシリン (pY118)、リン酸特異抗体
ホスホリパーゼ Cg (pY783)、リン酸特異抗体
PKARIIb (pS114)、リン酸特異抗体
14-3-3 バインディングモチーフ リン酸特異抗体
4E-BP1 リン酸特異抗体
AcCoA カルボキシラーゼ (アセチルCoA) リン酸特異抗体
アダシン リン酸特異抗体
AFX リン酸特異抗体
AIK (オーロラ2) リン酸特異抗体
Akt (PKB) リン酸特異抗体
Akt (PKB) 基質 リン酸特異抗体
ALK リン酸特異抗体
AMPK alpha リン酸特異抗体
AMPK beta1 リン酸特異抗体
APP リン酸特異抗体
Arg-X-Tyr / Phe-X-pSer モチーフ リン酸特異抗体
アレスチン1, beta リン酸特異抗体
ASK1 リン酸特異抗体
ATF-2 リン酸特異抗体
ATM / ATR 基質 リン酸特異抗体
オーロラ2 (AIK) リン酸特異抗体
Bad リン酸特異抗体
Bcl-2 リン酸特異抗体
Bcr リン酸特異抗体
Bim EL リン酸特異抗体
BLNK リン酸特異抗体
BMK1 (ERK5) リン酸特異抗体
BRCA1 リン酸特異抗体
Btk リン酸特異抗体
C/EBP alpha リン酸特異抗体
C/EBP beta リン酸特異抗体
c-Abl リン酸特異抗体
CAKb リン酸特異抗体
カルデスモン リン酸特異抗体
CaM キナーゼII リン酸特異抗体
Cas, p130 リン酸特異抗体
カテニン、beta リン酸特異抗体
カテニン、p120 リン酸特異抗体
カベオリン1 リン酸特異抗体
カベオリン2 リン酸特異抗体
カベオリン リン酸特異抗体
c-Cbl リン酸特異抗体
CD117 (c-Kit) リン酸特異抗体
CD19 リン酸特異抗体
cdc2 p34 リン酸特異抗体
cdc2 リン酸特異抗体
cdc25 C リン酸特異抗体
cdk1 リン酸特異抗体
cdk2 リン酸特異抗体
CDKs 基質 リン酸特異抗体
CENP-A リン酸特異抗体
c-erbB-2 リン酸特異抗体
Chk1 リン酸特異抗体
Chk2 リン酸特異抗体
c-Jun リン酸特異抗体
c-Kit (CD117) リン酸特異抗体
c-Met リン酸特異抗体
c-Myc リン酸特異抗体
コフィリン2 リン酸特異抗体
コフィリン リン酸特異抗体
コネキシン43 リン酸特異抗体
コルタクチン リン酸特異抗体
CPI-17 リン酸特異抗体
cPLA2 リン酸特異抗体
c-Raf (Raf1) リン酸特異抗体
CREB リン酸特異抗体
c-Ret リン酸特異抗体
CrkII リン酸特異抗体
CrkL リン酸特異抗体
サイクリンB1 リン酸特異抗体
DARPP-32 リン酸特異抗体
DNA-トポイソメラーゼII alpha リン酸特異抗体
Dok-2, p56 リン酸特異抗体
eEF2 リン酸特異抗体
eEF2k リン酸特異抗体
EGF レセプター(EGFR) リン酸特異抗体
eIF2 alpha リン酸特異抗体
eIF2B epsilon リン酸特異抗体
eIF4 epsilon リン酸特異抗体
eIF4 gamma リン酸特異抗体
Elk-1 リン酸特異抗体
eNOS リン酸特異抗体
EphA3 リン酸特異抗体
エフリンB リン酸特異抗体
erbB-2 リン酸特異抗体
ERK1 / ERK2 リン酸特異抗体
ERK5 (BMK1) リン酸特異抗体
エストロゲンレセプターalpha (ER-a) リン酸特異抗体
Etk リン酸特異抗体
エズリン リン酸特異抗体
FADD リン酸特異抗体
FAK リン酸特異抗体
FAK2 リン酸特異抗体
Fc gamma RIIb リン酸特異抗体
FGFレセプター (FGFR) リン酸特異抗体
FKHR リン酸特異抗体
FKHRL1 リン酸特異抗体
FLT3 リン酸特異抗体
FRS2-alpha リン酸特異抗体
Gab1 リン酸特異抗体
Gab2 リン酸特異抗体
GABA B レセプター リン酸特異抗体
GAP-43 リン酸特異抗体
GATA4 リン酸特異抗体
GFAP リン酸特異抗体
グルココルチコイドレセプター リン酸特異抗体
GluR1 (グルタメートレセプター1) リン酸特異抗体
GluR2 (グルタメートレセプター2) リン酸特異抗体
グリコーゲンシンターゼ リン酸特異抗体
GRB10 リン酸特異抗体
GRK2 リン酸特異抗体
GSK-3 alpha / beta リン酸特異抗体
GSK-3 alpha リン酸特異抗体
GSK-3 beta (グリコーゲンシンターゼキナーゼ) リン酸特異抗体
GSK-3 beta リン酸特異抗体
GSK-3 リン酸特異抗体
H2A.X リン酸特異抗体
Hck リン酸特異抗体
HER-2 (ErbB2) リン酸特異抗体
ヒストンH1 リン酸特異抗体
ヒストンH2A.X リン酸特異抗体
ヒストンH2B リン酸特異抗体
ヒストンH3 リン酸特異抗体
HMGN1 (HMG-14) リン酸特異抗体
Hsp27 (ヒートショックオウロテイン27) リン酸特異抗体
IkBa (I kappa B-alpha) リン酸特異抗体
インテグリンalpha-4 リン酸特異抗体
インテグリンbeta-1 リン酸特異抗体
インテグリンbeta-3 リン酸特異抗体
IR (インシュリンレセプター) リン酸特異抗体
IR / IGF1R (インシュリン/インシュリン様成長因子-1レセプター) リン酸特異抗体
IRS-1 リン酸特異抗体
IRS-2 リン酸特異抗体
Jak1 リン酸特異抗体
Jak2 リン酸特異抗体
JNK (SAPK) リン酸特異抗体
Jun リン酸特異抗体
KDR リン酸特異抗体
ケラチン18 リン酸特異抗体
ケラチン8 リン酸特異抗体
キナーゼ基質 リン酸特異抗体
Kip1, p27 リン酸特異抗体
LAT リン酸特異抗体
Lck リン酸特異抗体
レプチンレセプター リン酸特異抗体
LKB1 リン酸特異抗体
Lyn リン酸特異抗体
MAPキナーゼ/CDK基質 リン酸特異抗体
MAPキナーゼ, p38 リン酸特異抗体
MAPキナーゼ, p44 / 42 リン酸特異抗体
MAPKAPキナーゼ1a (Rsk1) リン酸特異抗体
MAPKAPキナーゼ2 リン酸特異抗体
MARCKS リン酸特異抗体
ミューテーションプロモーティングファクター(MPF) リン酸特異抗体
M-CSFレセプター リン酸特異抗体
MDM2 リン酸特異抗体
MEK1 / MEK2 リン酸特異抗体
MEK1 リン酸特異抗体
MEK2 リン酸特異抗体
MEK4 リン酸特異抗体
MEK7 リン酸特異抗体
Met リン酸特異抗体
MKK3 / MKK6 リン酸特異抗体
MKK4 (SEK1) リン酸特異抗体
MKK7 リン酸特異抗体
MLC リン酸特異抗体
MLK3 リン酸特異抗体
Mnk1 リン酸特異抗体
MPM2 リン酸特異抗体
MSK1 リン酸特異抗体
mTOR リン酸特異抗体
ミエリンベーシックプロテイン(MBP) リン酸特異抗体
ミオシンライトチェーン2 リン酸特異抗体
MYPT1 リン酸特異抗体
neu (Her2) リン酸特異抗体
ニューロフィラメント リン酸特異抗体
NFAT1 リン酸特異抗体
NF-kappa B p65 リン酸特異抗体
ニブリン (p95 / NBS1) リン酸特異抗体
ナイトリックオキサイドシンターゼ、エンドテリアル (eNOS) リン酸特異抗体
ナイトリックオキサイドシンターゼ、ニューロナル(nNOS) リン酸特異抗体
NMDA レセプター1 (NMDAR1) リン酸特異抗体
NMDA レセプター2B (NMDA NR2B) リン酸特異抗体
nNOS リン酸特異抗体
NPM リン酸特異抗体
オピオイドレセプター、delta リン酸特異抗体
オピオイドレセプター、mu リン酸特異抗体
p53 リン酸特異抗体
PAK1 / 2 / 3 リン酸特異抗体
PAK2 リン酸特異抗体
パキシリン リン酸特異抗体
パキシリン リン酸特異抗体
PDGF レセプターalpha / beta リン酸特異抗体
PDGF レセプターalpha リン酸特異抗体
PDGF レセプターbeta リン酸特異抗体
PDGFRb (血小板由来成長因子レセプターbeta) リン酸特異抗体
PDK1 ドッキングモチーフ リン酸特異抗体
PDK1 リン酸特異抗体
PDK1基質 リン酸特異抗体
PERK リン酸特異抗体
PFK-2 リン酸特異抗体
Phe リン酸特異抗体
ホスホランバン リン酸特異抗体
ホスホリパーゼC gamma-1 リン酸特異抗体
ホスホチロシンIgG リン酸特異抗体
phox, p40 リン酸特異抗体
PI3Kバインディングモチーフ, p85 リン酸特異抗体
Pin1 リン酸特異抗体
PKA基質 リン酸特異抗体
PKB (Akt) リン酸特異抗体
PKB (Akt)基質 リン酸特異抗体
PKC alpha / beta II リン酸特異抗体
PKC alpha リン酸特異抗体
PKC delta / theta リン酸特異抗体
PKC delta リン酸特異抗体
PKC epsilon リン酸特異抗体
PKC eta リン酸特異抗体
PKC gamma リン酸特異抗体
PKC リン酸特異抗体
PKC基質 リン酸特異抗体
PKC theta リン酸特異抗体
PKC zeta / lambda リン酸特異抗体
PKD (PKC mu) リン酸特異抗体
PKD2 リン酸特異抗体
PKR リン酸特異抗体
PLC beta 3 リン酸特異抗体
PLC gamma 1 リン酸特異抗体
PLC gamma 2 リン酸特異抗体
PLD1 リン酸特異抗体
PP1 alpha リン酸特異抗体
PP2A リン酸特異抗体
PPAR Alpha リン酸特異抗体
PRAS40 リン酸特異抗体
プレセニリン-2 リン酸特異抗体
PRK2 (pan-PDK1リン酸化サイト) リン酸特異抗体
プロゲステロンレセプター リン酸特異抗体
プロテインキナーゼA, RII (PKARII) リン酸特異抗体
プロテインキナーゼB リン酸特異抗体
プロテインキナーゼB基質 リン酸特異抗体
プロテインキナーゼC, alpha (PKCa) リン酸特異抗体
プロテインキナーゼC, epsilon (PKCe) リン酸特異抗体
PTEN リン酸特異抗体
Pyk2 リン酸特異抗体
Rac1 / cdc42 リン酸特異抗体
Rac-Pk リン酸特異抗体
Rac-Pk基質 リン酸特異抗体
Rad 17 リン酸特異抗体
Rad17 リン酸特異抗体
Raf-1 リン酸特異抗体
Ras-GRF1 リン酸特異抗体
Rb (レチノブラストーマプロテイン) リン酸特異抗体
Ret リン酸特異抗体
リボゾーマルプロテインS6 リン酸特異抗体
RNAポリメラーゼII リン酸特異抗体
Rsk, p90 リン酸特異抗体
Rsk1 (MAPKAP K1a) リン酸特異抗体
Rsk3 リン酸特異抗体
S6キナーゼ リン酸特異抗体
S6キナーゼ, p70 リン酸特異抗体
S6ペプチド基質 リン酸特異抗体
SAPK (JNK) リン酸特異抗体
SAPK2 (ストレス活性化プロテインキナーゼ, SKK3, MKK3) リン酸特異抗体
SEK1 (MKK4) リン酸特異抗体
セロトニン-N-AT リン酸特異抗体
セロトニン-N-AT リン酸特異抗体
SGK リン酸特異抗体
Shc リン酸特異抗体
SHIP1 リン酸特異抗体
SHP-2 リン酸特異抗体
SLP-76 リン酸特異抗体
Smad1 リン酸特異抗体
Smad2 リン酸特異抗体
SMC1 リン酸特異抗体
SMC3 リン酸特異抗体
SOX-9 リン酸特異抗体
Src ファミリーネガティブ制御サイト リン酸特異抗体
Srcファミリー リン酸特異抗体
Src リン酸特異抗体
Stat1 リン酸特異抗体
Stat2 リン酸特異抗体
Stat3 リン酸特異抗体
Stat4 リン酸特異抗体
Stat5 リン酸特異抗体
Stat5A / Stat5B リン酸特異抗体
Stat5ab リン酸特異抗体
Stat6 リン酸特異抗体
Syk リン酸特異抗体
シナプシン リン酸特異抗体
シナプシン サイト1 リン酸特異抗体
Tau リン酸特異抗体
Tie 2 リン酸特異抗体
Trk A リン酸特異抗体
トロポニンI、カルディアック リン酸特異抗体
チューベリン リン酸特異抗体
Tyk 2 リン酸特異抗体
チロシンヒドロキシラーゼ リン酸特異抗体
チロシン リン酸特異抗体
VASP リン酸特異抗体
Vav1 リン酸特異抗体
Vav3 リン酸特異抗体
VEGFレセプター2 リン酸特異抗体
Zap-70 リン酸特異抗体
機器使用
上記のアッセイは、蛍光プレートリーダー、光度計、又はフローサイトメーターを含む市販の機器を用いて読み取ることができる。そのような機器は幅広くメーカーから購入することができ、モレキュラー・ディバイシーズ社、パッカード社、パーキン・エルマー社、ベクトン・ディキンソン社、ベックマン・クルター社などが挙げられる。そのようなアッセイはすべてマルチウェル(96ウェル及び384ウェル)フォーマットで構築することができる。蛋白フラグメント相補性アッセイ及び免疫蛍光アッセイを含む、上記のハイコンテントアッセイは細胞内区画中で立体的に解析することができる光学的に検出可能なシグナルを産生する。得られた画像は、自動顕微鏡、共焦点画像システム及び同様の装置を用いて捕捉記録することができる。適当な画像処理機器は、様々なメーカーから幅広く購入可能であり、モレキュラー・ディバイシーズ社(ユニバーサル・イメージング)、アマシャム・バイオサイエンス社、セロミクス社、エボテック社、ツァイス社、Q3DM社、アト社などが挙げられる。種々の細胞内区画(細胞膜、細胞質ゾル、核)から放射されるシグナルを識別し、細胞当たりの合計蛍光量を計量するために、MetaMorphのような画像分析ソフトウェア、国立衛生研究所(http://rsb.info.nih.gov/nih-image/)からの公的に利用可能なIMAGEソフトウェア、及び様々な著作権下のソフトウェアパッケージが使用される。さらに、本発明においてマルチウェルPCAフォーマットを、アレイベース又はスライドベースのアッセイフォーマットとして構築することができ(Sabatini et al.)、それにより単一のアレイ上で多数の異なるPCAの迅速な同時処理が可能になる。
アッセイ構築用の適当な相互作用分子のペアは、図1に概説する方法のうちの任意のものによって同定することができる。PCAは、最初に種々のペアの蛋白が問題の細胞タイプ中でPCAシグナルを産生するかどうかを調べ、次に、シグナルの量又は細胞内位置が細胞のシグナル伝達を修飾する薬物によって影響されるかどうかを判定することにより、生細胞中の蛋白の間に作られる相互作用の系統的な特性決定を可能にする。系統的なスクリーニングは経路の要素を同定するためにも行なうことができる;例えば、適当なレポーターのF1をタグに付けた蛋白を、相補的なフラグメントF2をタグに付けた他の蛋白に対して個々に試験することができる(遺伝子による遺伝子分析)。PCAシグナルの存在は、相補的なフラグメントのタグが付いた2個の蛋白間の相互作用を示す。本発明の利点は、一旦相互作用が同定されると、ハイコンテント又はハイスループットPCAをスクリーンとして使用することにより問題の経路を調整する薬物をスクリーニングすることができるアッセイが手に入るということにある。
多くの重要な細胞経路及び疾患に関係する経路の構成要素が部分的に解明され、既知の相互作用又は仮説としての相互作用がアッセイを設計するために本発明により難なく使用することができる。本発明は、癌関連の経路の様々なステップに対するアッセイを包含する。これらのステップのうちのいくつかを表1に掲げる。現在までに報告されている蛋白−蛋白相互作用のうちの任意のものを、蛋白フラグメント相補性アッセイ、酵素フラグメント相補性アッセイ、FRET又はBRETアッセイを構築するための基礎として使用することができる。本発明の対象であるアッセイは全て、確認アッセイとして、又は創薬と同様に基礎的実験生物学の研究においても一般的に役に立つ。
以下の特許及び公開された特許出願はそれらの対応する外国出願及びそこに引用されている全ての参考文献と共に、それらの参照が当明細書の本文中に示されているのと同等の意味合いで、参照としてそれら全てをここに含める:
US 20040161787ハイスループット及びハイコンテントスクリーニングのための蛋白フラグメント相補性アッセイ
US 20040137528蛋白フラグメント相補性アッセイのための蛍光蛋白のフラグメント
US 20040038298生物学的相互作用又は薬物相互作用を検出するための蛋白フラグメント相補性アッセイ
US 20030108869大腸菌TEM-1ベータ‐ラクタマーゼに基づく、蛋白−蛋白、蛋白−小分子、及び蛋白−核酸相互作用を検出するための蛋白フラグメント相補性アッセイ(PCA)
US 20030049688生物学的相互作用又は薬物相互作用を検出するための蛋白フラグメント相補性アッセイ
US 20020064769生細胞中に発現した遺伝子ネットワークの動的な映像化
US 20010047526蛋白フラグメント相補性アッセイによる植物中の分子相互作用のマッピング
US 6,428,951生物学的相互作用又は薬物相互作用を検出するための蛋白フラグメント相補性アッセイ
US 6,294,330生物学的相互作用又は薬物相互作用を検出するための蛋白フラグメント相補性アッセイ
US 6,270,964生物学的相互作用又は薬物相互作用を検出するための蛋白フラグメント相補性アッセイ
図1は、本発明における薬物標的と細胞アッセイの間の関係の概略図である。細胞経路に対する薬物の作用は、薬物標的の「下流にある」蛋白相互作用及び/又は蛋白修飾を測定することにより測定することができる。赤で示されるのはネットワークの「結節」であり、結節はそれぞれ蛋白−蛋白複合体である。 図2は、本発明中で調べる経路を示す。赤のアウトラインを付けたシグナル伝達蛋白を含む蛋白−蛋白複合体が、生細胞中でのアッセイ構築の基礎を形成している。蛋白間の物理的な相互作用は矢印で示す。 図3Aは、ヒト細胞中でのBCL-xL:BIK及びPIN1:JUN複合体に対する薬物作用の例を示す。顕微鏡写真は、蛋白フラグメント相補性アッセイで評価した、BclxL:BIK複合体に対するフェノフィブラートの作用及びPIN1:JUN複合体に対するニクロサミドの作用を示す。これらの薬物は、アッセイ中の蛍光強度の減少によって評価されるように蛋白−蛋白複合体のレベルの減少をもたらす。 図3Bは、ヒト細胞中でのp27:ユビキチン及びサイクリンD1:CDK4複合体に対する薬物作用の例を示す。顕微鏡写真は、蛋白フラグメント相補性アッセイで評価した、p27:ユビキチン複合体及びサイクリンD1:CDK4複合体に対するフェノフィブラートの作用を示す。フェノフィブラートは、アッセイ中の蛍光強度の減少によって評価されるようにこれらの蛋白−蛋白複合体のレベルの減少をもたらした。 図3Cは、ヒト細胞中でのAKT1:p27及びコフィリン:LIMK2に対する薬物作用の例を示す。顕微鏡写真は、蛋白フラグメント相補性アッセイで評価した、蛋白−蛋白複合体に対するフェノフィブラートの作用を示す。フェノフィブラートは、アッセイ中の蛍光強度の減少によって評価されるようにこれらの蛋白−蛋白複合体のレベルの減少をもたらした。 図3Dは、ヒト細胞中でのHSP90:CDC37及びHSP90:Eef2kに対する薬物作用の例を示す。顕微鏡写真は、蛋白フラグメント相補性アッセイで評価した、蛋白−蛋白複合体に対するニクロサミドの作用を示す。ニクロサミドは、アッセイ中の蛍光強度の減少によって評価されるようにこれらの蛋白−蛋白複合体のレベルの減少をもたらした。 図3Eは、ヒト細胞中でのRas:Rafに対する薬物作用の例を示す。顕微鏡写真は、蛋白フラグメント相補性アッセイで評価した、Ras:Raf複合体に対するプロマジン、サンギナリン、デシスプラミン、メテルゴリン及びクエン酸タモキシフェンの作用を示す。これらの薬物は、賦形剤単独の場合と比較して蛍光強度の減少によって評価されるようにRas:Raf複合体のレベルの減少をもたらした。また、これらの薬物は、蛍光の細胞内パターンの明白な変化によって評価されるように、複合体の細胞内位置の変化ももたらした。対照細胞(賦形剤のみ)では、Ras:Raf複合体は細胞膜に局在化しており、これらの薬物は、細胞内構造への複合体の再分布をもたらした。 図3Fは、ヒト細胞中でのCDC42:PAK4に対する薬物作用の例を示す。顕微鏡写真は、蛋白フラグメント相補性アッセイで評価した、CDC42:PAK4複合体に対するテルフェナジン、ベプリヂル及びメテルゴリンの作用を示す。これらの薬物は、賦形剤単独の場合と比較してアッセイ中の蛍光強度の減少によって評価されるようにこれらの蛋白−蛋白複合体のレベルの減少をもたらした。 図3Gは、VEGFの存在下におけるERK(MAPK)の翻訳後修飾状態に対する薬物作用の例を示す。顕微鏡写真は、リン酸-ERK特異抗体を使用した免疫蛍光アッセイで評価した、リン酸-ERKに対するフェノフィブラート及びニクロサミドの作用を示す。これらの薬物は、賦形剤単独の場合と比較してアッセイ中の蛍光強度の減少によって評価されるように、リン酸-ERKのレベルの減少をもたらした。 図4は、フェノフィブラート対アナログの抗増殖活性を示す。フェノフィブラートの、PC-3細胞の増殖を低下させる能力が示されている。アナログであるWY-14643は、MTTアッセイによる評価で、増殖に対して効果を示さず、それはこれらの細胞アッセイにおける構造活性相関を証明している。増殖アッセイにおけるフェノフィブラートの用量依存性(トリプリケートアッセイ)がDMSO対照との比較により示されている。また、MTTアッセイウェルの画像と処理細胞対未処理(DMSO)対照の位相コントラスト画像が示され、それらはフェノフィブラートが対照と比較して細胞数を減少させたことを示している。 図5は、テルフェナジン(セルダン)の抗増殖活性を示す。MTT増殖アッセイにおけるテルフェナジンの用量依存性(トリプリケートアッセイ)が未処理(DMSO)対照との比較により示されている。また、MTTアッセイウェルの画像と処理細胞対未処理(DMSO)対照の位相コントラスト画像が示され、それらはテルフェナジンが対照と比較して細胞数を減少させたことを示している。 図6は、セルトラリン(ゾロフト)の抗増殖活性を示す。MTTアッセイにおけるセルトラリンの用量依存性(トリプリケートアッセイ)がDMSO対照との比較により示されている。また、MTTアッセイウェルの画像と処理細胞対未処理(DMSO)対照の位相コントラスト画像が示され、それらはセルトラリンが対照と比較して細胞数を減少させたことを示している。 図7は、シナラジンの抗増殖活性を示す。MTTアッセイにおけるシナラジンの用量依存性(トリプリケートアッセイ)がDMSO対照との比較により示されている。また、MTTアッセイウェルの画像と処理細胞対未処理(DMSO)対照の位相コントラスト画像が示され、それらはシナラジンが対照と比較して細胞数を減少させたことを示している。 図8は、イソレセルピンの抗増殖活性を示す。MTTアッセイにおけるイソレセルピンの用量依存性(トリプリケートアッセイ)がDMSO対照との比較により示されている。また、MTTアッセイウェルの画像と処理細胞対DMSO対照の位相コントラスト画像が示され、それらはイソレセルピンが対照と比較して細胞数を減少させたことを示している。 図9は、クロトリマゾールの抗増殖活性を示す。MTTアッセイにおけるクロトリマゾールの用量依存性(トリプリケートアッセイ)がDMSO対照との比較により示されている。また、MTTアッセイウェルの画像と処理細胞対DMSO対照の位相コントラスト画像が示され、それらはクロトリマゾールが対照と比較して細胞数を減少させたことを示している。 図10は、アトルバスタチン(リピトール)の抗増殖活性を示す。MTTアッセイにおけるアトルバスタチンの用量依存性(トリプリケートアッセイ)がDMSO対照との比較により示されている。また、MTTアッセイウェルの画像と処理細胞対DMSO対照の位相コントラスト画像が示され、それらはアトルバスタチンが対照と比較して細胞数を減少させたことを示している。 図11は、プロセスのプラスの予測的中率を示す。960の別個の薬物を本発明によりヒト細胞中での4つの異なるアッセイで試験した。その後、4つのアッセイのうちのいずれかの1つで活性を示した薬物を単一の濃度で試験し、それらがPC-3細胞の増殖を低下させることができるかどうかを調べ、対照(未処理)細胞の80%未満又は50%未満に細胞数を減少させることで評価した。抗増殖活性を有することが証明されたアッセイヒットの数を示す。

Claims (24)

  1. 被験体について新規の治療上の用途を同定するための方法であって、上記被験体が薬物又は薬物候補であり、上記方法が (A)被験体を選択すること;(B)細胞中の蛋白複合体に対する上記被験体の活性を試験すること;(C)上記被験体の新規活性を同定するために(B)から得られた結果を使用すること、を含むことを特徴とする方法。
  2. 被験体をスクリーニングする方法であって、上記被験体が薬物又は薬物候補であり、上記方法が:(a)細胞中の蛋白複合体に対するアッセイを構築すること;(b)上記アッセイの1つ以上の性質に対する上記被験体の作用を試験すること;(c)上記被験体の活性を同定するために(b)の結果を使用すること、を含むことを特徴とする方法。
  3. 細胞経路の活性を調整する物質を同定する方法であって、上記方法が:(a)(i)被験体及び(ii)細胞中の蛋白複合体に対するアッセイを提供すること;(b)上記被験体を上記アッセイにかけること;及び、(c)上記アッセイの1つ以上の性質を検出又は測定すること、を含み;上記被験体の存在下での上記アッセイの1つ以上の性質の変化が、上記被験体の非存在下と比較して、被験体が上記細胞経路の活性を調整していることを示すものであることを特徴とする方法。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の方法であって、測定されるアッセイの性質の少なくとも1つが、(a)上記蛋白複合体の量又は(b)上記蛋白複合体の細胞内位置であることを特徴とする方法。
  5. 請求項1から3のいずれかに記載の方法であって、上記被験体が(a)上記蛋白複合体の全体量の増加、(b)上記蛋白複合体の全体量の減少、(c)上記蛋白複合体の細胞内位置の変化、又は(d)上記蛋白複合体の細胞内量の変化、のいずれかをもたらすことと特徴とする方法。
  6. 請求項1から3のいずれかに記載の方法であって、上記蛋白複合体の性質が、上記被験体により変化を受け、それが以下のメカニズム:(a)上記複合体形成の増加又は減少;(b)上記複合体の安定化又は不安定化;(c)上記複合体の解離の増加又は減少;(d)上記複合体中の1つ以上の蛋白の分解又は加水分解の速度の上昇又は低下;(e)上記複合体中の1つ以上の蛋白の翻訳後修飾状態の増加若しくは減少、又は修飾;(f)上記複合体中の1つ以上の蛋白の量の増加又は減少、のうちの1つ以上によることを特徴とする方法。
  7. 被験体について新規の治療上の用途を同定するための方法であって、上記被験体が薬物又は薬物候補であり、上記方法が (A)被験体を選択すること;(B)細胞又は細胞コレクション中の1つ以上の蛋白の量及び/又は翻訳後修飾状態を変化させる上記被験体の能力を試験すること;(C)上記被験体の新規活性を同定するために(B)から得られた結果を使用すること、を含むことを特徴とする方法。
  8. 被験体をスクリーニングする方法であって、上記被験体が薬物であり、上記方法が:(a)細胞又は細胞コレクション中の1つ以上の蛋白の量及び/又は翻訳後修飾状態に対するアッセイを構築すること;(b)上記アッセイの1つ以上の性質に対する上記被験体の作用を試験すること;(c)上記被験体の活性を同定するために(b)の結果を使用すること、を含むことを特徴とする方法。
  9. 細胞経路の活性を調整する物質を同定する方法であって、上記方法が:(a)(i)被験体及び(ii)細胞又は細胞コレクション中の1つ以上の蛋白の量及び/又は翻訳後修飾状態に対するアッセイを提供すること;(b)上記被験体を上記アッセイにかけること;及び、(c)上記アッセイの1つ以上の性質を検出又は測定すること、を含み;上記被験体の存在下での上記アッセイの1つ以上の性質の変化が、上記被験体の非存在下と比較して、被験体が上記細胞経路の活性を調整していることを示すものであることを特徴とする方法。
  10. 請求項1から3、又は請求項7から9のいずれかに記載の方法であって、上記被験体が、(a)患者への投与について政府管理機関によって承認されている薬物であるか、又は(b)政府管理機関によって承認されていない薬物であるかのいずれかであることを特徴とする方法。
  11. 請求項1から3、又は請求項7から9のいずれかに記載の方法であって、免疫蛍光アッセイが用いられることを特徴とする方法。
  12. 請求項1から3、又は請求項7から9のいずれかに記載の方法であって、検出又は測定される少なくとも1つのアッセイの性質が、(a) 1つ以上の蛋白のリン酸化状態;(b) 1つ以上の蛋白のユビキチン化状態;(c) 1つ以上の蛋白のスモイル化状態;(d) 1つ以上の蛋白のメチル化状態;(e) 1つ以上の蛋白のアセチル化状態;(f) 1つ以上の蛋白のニトロシル化状態;(g) 1つ以上の蛋白のミリストイル化状態;(h) 1つ以上の蛋白のパルミトイル化状態;(i) 1つ以上の蛋白のファルネシル化状態;(j) 1つ以上の蛋白のゲラニル化状態;又は(k) 1つ以上の蛋白のグリコシル化状態を含む群から選択されることを特徴とする方法。
  13. 請求項1から3、又は請求項7から9のいずれかに記載の方法であって、上記被験体が、1つ以上の蛋白の1つ以上の翻訳後修飾のレベル又はタイプに、その被験体の非存在下における上記蛋白の上記翻訳後修飾のレベル又はタイプと比較して、増加又は減少をもたらすことを特徴とする方法。
  14. (a) 哺乳動物細胞の増殖を減少させるか、又は (b)哺乳動物細胞の増殖を増加させるための方法であって、上記方法が上記細胞中の蛋白複合体の量、細胞内位置、又は翻訳後修飾状態のいずれかを調整する物質を、その物質が上記細胞中の細胞内シグナル伝達を調整するように患者に投与することを含むことを特徴とする方法。
  15. 請求項13から14のいずれかに記載の方法であって、上記物質が患者への投与について政府管理機関によって承認されている薬物であるか、又は政府管理機関によって承認されていない薬物であるかのいずれかであることを特徴とする方法。
  16. 請求項13から14のいずれかに記載の方法であって、上記方法が哺乳動物細胞中の蛋白複合体を調整することを含み、上記蛋白複合体が (a)RAS:RAF複合体;(b) PAK4:コフィリン複合体;(c) CDC42:PAK4複合体;(d) CDC37:HSP90複合体;(e) コフィリン1:LIMK2複合体;(f) コフィリン1:PAK4複合体;(g) EGFR:Grb2複合体;(h) p53:E6複合体;(i) p53:p53複合体;(j) CDC25C:Chk1複合体;(k) BAD:BID複合体;(k) CDC2:WEE1複合体;(l) BCL-xL:BAD複合体;(m) BCL-xL:BIK複合体;(n) Cdc2:CDC25C複合体;(o) Chk1:CDC25A複合体;(p) サイクリンD:CDK4複合体;(q) サイクリンE:CDK2複合体;(r) HSP90:Eef2k複合体;(s) MAX:MYC複合体;(t) Cdc2:p21複合体;(u) p27:ユビキチン複合体;(v) 蛋白:ユビキチン複合体;(w) p53:Chk1複合体;又は(x)Smad3:HDAC複合体から成る群から選択されることを特徴とする方法。
  17. 蛋白複合体又は蛋白複合体類に対するアッセイであって、上記アッセイが(a)蛋白全体、又は(b)蛋白のドメインのいずれかを含み、上記蛋白のうち少なくとも1つが、CDC2、CDK4、PAK4、COFILIN、WEE1、BAD、BID、BIK、BCL-xL、Chk1、CDC25C、CDC25A、E6、EGFR、GRB2、RAS、RAF、CDC37、LIMK2、HSP90、AKT1、p27、UBIQUITIN、p53、Smad3、HDAC、MAX、MYC、ERK、サイクリンD又はサイクリンEから成る群から選択されることを特徴とするアッセイ。
  18. 細胞のコレクション又は細胞株であって、上記細胞又は細胞株が(a)蛋白全体、又は(b)蛋白のドメインを含み、上記蛋白又は蛋白のドメインがレポーターの相補的なフラグメントに別々に結合しており、さらに上記蛋白の少なくとも1つが、CDC2、CDK4、PAK4、COFILIN、WEE1、BAD、BID、BCL-xL、CHK1、CDC25C、E6、EGFR、GRB2、RAS、RAF、CDC37、LIMK2、HSP90、AKT1、p27、UBIQUITIN、p53、Smad3、HDAC、MAX、MYC、ERK、サイクリンD又はサイクリンEから成る群から選択されることを特徴とする細胞のコレクション又は細胞株。
  19. 請求項2、3、又は18のいずれかに記載のアッセイであって、上記アッセイが(a)蛋白フラグメント相補性アッセイ、(b)酵素フラグメント相補性アッセイ、(c)サブユニット相補性アッセイ、(d)蛍光共鳴エネルギー転移アッセイ(FRET)、(e)生物発光共鳴エネルギー転移アッセイ(BRET)、(f)分割ユビキチンアッセイ、(g)分割インテインアッセイ、(h)2-ハイブリッドアッセイ、(i)3-ハイブリッドアッセイ、又は(j)免疫蛍光アッセイを含む群から選択されることを特徴とするアッセイ。
  20. 請求項1から3、又は18のいずれかに記載の方法であって、上記蛋白が以下の方法、すなわち:(a) 蛋白フラグメント相補性アッセイ、(b)酵素フラグメント相補性アッセイ、(c)サブユニット相補性アッセイ、(d)蛍光共鳴エネルギー転移アッセイ(FRET)、(e)生物発光共鳴エネルギー転移アッセイ、(f)分割ユビキチンアッセイ、(g)分割インテインアッセイ、(h)2-ハイブリッドアッセイ、(i) 3-ハイブリッドアッセイ、又は(j)免疫蛍光アッセイのうちの1つ以上によって検出又は測定されることを特徴とする方法。
  21. 請求項2から3、又は18のいずれかに記載のアッセイであって、上記アッセイが、緑色蛍光蛋白(GFP)、黄色蛍光蛋白(YFP)、青色蛍光蛋白(BFP)、シアン蛍光蛋白(CFP)、赤色蛍光蛋白(RFP)、ルシフェラーゼ、β‐ガラクトシダーゼ、ジヒドロ葉酸レダクターゼ、RNAse、インテイン、ユビキチン、β‐ラクタマーゼ、又は先のレポーターのうちのいずれかの変異体から成る群から選択された1つ以上のレポーターを含むことを特徴とするアッセイ。
  22. 請求項1から3、7から9、又は18のいずれかに記載のアッセイであって、上記アッセイが以下の方法:すなわち、蛍光顕微鏡法、フローサイトメトリー、蛍光分光法、光度計測、及び/又は自動画像分析のうちの1つ以上の使用を含むことを特徴とするアッセイ。
  23. 既知の被験体から薬物リード又は有用な薬物体を同定する方法であって、上記被験体が薬物又は薬物候補であり、上記方法が(A)被験体を選択すること;(B)細胞中の蛋白複合体に対する上記被験体の活性を試験すること;(C)(B)から得られた結果を使用して上記被験体に基づく新規の薬物リードを同定することを含むことを特徴とする方法。
  24. 細胞経路の活性を調整する薬物リード化合物を同定する方法であって、上記方法が、(a) 細胞経路を調整する候補薬物のライブラリーを収集すること;(b) (i)候補薬物のライブラリー、及び(ii)細胞中の蛋白複合体又は翻訳後修飾された蛋白に対するアッセイ、を提供することにより細胞内経路を調整する候補薬物のライブラリーをスクリーニングすること;(c)上記候補薬物を上記アッセイにかけること;及び、(d)上記アッセイの1つ以上の性質を検出又は測定することを含み;上記薬物候補の非存在下と比較した際の、上記薬物候補の存在下における上記アッセイの1つ以上の性質の変化により、細胞内経路を調整する薬物リードが同定されることを特徴とする方法。
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