JP2001504681A - 蛋白質相互作用の阻害 - Google Patents

蛋白質相互作用の阻害

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、RasのRafとの直接結合を阻害する方法、ならびにRafに対するRasの直接結合、Raf活性化および細胞増殖を阻害する化合物を同定するためのスクリーニング法について開示する。

Description

【発明の詳細な説明】 蛋白質相互作用の阻害 関連出願の相互参照 本出願は1996年5月12日提出の仮出願60/013,271からの優先権を主張するもの である。 連邦出資研究に関する声明 本発明は、国立糖尿病消化腎疾患研究所によって授与されたDK41513およびDK4 1762の下で政府の助成を受けて行われた。政府は本発明に特定の権利を有する。 発明の背景 本発明はシグナル伝達に関する。 ras遺伝子はハーベイ(Harvey)(rasH)およびキルシュテン(Kirsten)(ra sK)ラット肉腫ウイルスの発癌遺伝子として発見された。ヒトでは、細胞性ras 遺伝子(c-ras)における特徴的な変異は、多くの異なるタイプの癌に関連して いる。これらの変異対立遺伝子は、Rasを構成的に活性化し、培養したマウス細 胞株NIH 3T3のような細胞を形質転換することが示されている。 ras遺伝子産物はグアニン三リン酸(GTP)およびグアニンニリン酸(GDP)に 結合し、GTPを加水分解してGDPにする。活性があるのはRasのGTP結合状態(Ras- GTP)である。補助分子であるGTPアーゼ活性化蛋白質(GAP)もまた、Rasに結合 し、GTPの加水分解を促進する。rasプロトオンコジーンは、高等真核生物では、 受容体および非受容体チロシンキナーゼによって開始される増殖および分化シグ ナルを伝達するために、機能的に完全なraf-1プロトオンコジーンを必要とする 。活性化Rasは、c-raf-1プロトオンコジーンの活性化に必要であるが、それを通 じてRasがRaf-1蛋白質(Ser/Thr)キナーゼを活性化する生化学的工程の特徴付 けはあまり成されていない。 発明の概要 Rafは2つの比較的独立した相互作用を通じてRas-GTPに結合することが今では 発見されている。Rafアミノ酸50〜150(配列番号:5)は、Rasイフェクタール ープ(Ras残基32〜40;配列番号:3)に結合し、Rafジンクフィンガードメイン は、プレニル化Rasにのみ存在するエピトープに結合する。これらの相互作用は 、細 胞を最も増殖させるシグナル伝達経路を介するRas-Rafによる相互作用シグナル の伝達に関与している。 したがって、本発明は、Rasの非イフェクターループドメイン、すなわち、イ フェクターループドメインとは異なり、プレニル化エピトープを含むRasの一部 の、Rafのジンクフィンガードメインに対する直接結合を阻害する化合物を、哺 乳類へ投与するか、または細胞と接触させる段階を含む、哺乳類において細胞の 増殖を抑制させる方法を特徴とする。好ましくは、哺乳類はヒトであり、化合物 はRaf酵素活性、すなわちRafキナーゼ活性を低下させるものである。化合物は、 Xがいかなるアミノ酸であってもよいHXXXXXXXXXXXXCXXCXXXXXXXXXCXXCXXXXHXXCX XXXXXXXC(配列番号:1)というコンセンサスアミノ酸配列を含むポリペプチド のような、ジンクフィンガードメイン含有ポリペプチド、例えば、Rafのジンク フィンガードメインを含むポリペプチド、Rafのアミノ酸139〜184(HNFARKTFLKL AFCDICQKFLLNGFRCQTCGYKFHEHCSTKVPTMC;配列番号:2)であってもよい。もう 一つの態様において、化合物はRafのジンクフィンガードメインに結合する脂質 部分を含む。好ましくは、脂質部分はファルネシル部分である。例えば、化合物 はC186位でカルボキシ末端ファルネシル部分を含むRasのカルボキシ末端断片を 有するものでもよい。 本方法はまた、Rafのアミノ末端Ras結合ドメインに対するRasのイフェクター ループドメインの直接結合を阻害する第二の異なる化合物を、哺乳類へ投与する か、または細胞と接触させる段階を含んでいてもよい。例えば、化合物はRasの イフェクターループドメイン、例えば、Rasのアミノ酸32〜40(YDPTIEDSY;配列 番号:3)を含むポリペプチドであってもよい。別の態様において、化合物は、 Rafのアミノ酸84〜87(KALK;配列番号:4)を含むポリペプチド、またはRafの アミノ酸50〜150(DPSKTSNTIRVFLPNKQRTVVNVRNGMSLHDCLMKALKVRGLQPECCAVFRLLHE HKGKKARLDWNTDAASLIGEELQVDFLDHVPLTTHNFARKTFLKLA;配列番号:5)を含むポリ ペプチドであってもよい。 本発明はまた、(a)Rafのジンクフィンガードメイン含有断片を提供する段階 ;(b)RasのRaf結合断片を提供する段階;(c)Rafのジンクフィンガードメイ ン含有断片またはRasのRaf結合断片を候補化合物と接触させる段階;および(d )R afのジンクフィンガードメイン含有断片とRasのRaf結合断片の結合を測定する段 階を含む、Rafに対するRasの直接結合を阻害することが可能な化合物を同定する ための候補化合物のスクリーニング法を特徴とする。Raf断片を最初に化合物と 接触させ、その後にRas断片と接触させてからRas-Raf結合を測定してもよい。ま たは、Ras断片を最初に化合物と接触させ、その後Raf断片と接触させてからRas- Raf結合を測定してもよい。アッセイのもう一つの変法において、Ras断片、Raf 断片および候補化合物を全て同時にインキュベートしてもよく、その後Ras-Raf 結合を測定してもよい。アッセイのもう一つの変法において、RasとRafを結合さ せてから化合物と接触させ、その後Ras-Raf結合を測定してもよい。この場合、 化合物が既に結合しているRas-Rafを分解する能力を評価してもよい。インビト ロおよび/またはインサイチューRas-Raf結合は、免疫共沈降のような、当技術 分野に既知の様々な方法を用いて測定することができる。化合物の非存在下と比 較して化合物の存在下で結合が減少していれば、該化合物がRafに対するRasの直 接結合を阻害することを示す。好ましくは、Rafのジンクフィンガードメイン含 有断片は、配列番号:1のアミノ酸配列を含み、より好ましくは、Raf断片は配 列番号:2のアミノ酸配列を含む。好ましくはRasのRaf-結合断片は、ファルネ シル部分、例えば、真核生物のプレニル化RasのC186位に位置するフアルネシル 部分のような、脂質部分を付加するように転写後修飾されている。 本発明はまた、(a)ジンクフィンガードメイン、例えば完全なジンクフィン ガードメインを含むCR1ドメインと、キナーゼ触媒ドメイン、例えばRafのCR3ド メインとを含むRafの断片を提供する段階;(b)RasのRaf結合断片、例えばRas のGTP結合プレニル化断片を提供する段階;(c)Rafの断片またはRasのRaf結合 断片を候補化合物と接触させる段階;および(d)Raf断片のRafキナーゼ活性を 測定する段階を含む、Raf活性化を阻害することが可能な化合物を同定するため の候補化合物のスクリーニング法を含む。化合物の非存在下と比較して化合物の 存在下で活性が低下していれば、化合物がRaf活性化を阻害することを示す。 同様に、(a)Ha-Ras(V12)、Ras Caax、またはミリストイル化Rasのような 形質転換コンピテントRasをコードする、実質的に純粋なDNAでトランスフェクト された細胞を提供する段階;(b)細胞を候補化合物に接触させる段階;および (c )細胞の増殖量を測定する段階を含む、細胞の増殖、例えば形質転換細胞、すな わち癌細胞に関連する増殖を阻害することが可能な化合物を同定するための候補 化合物のスクリーニング法も本発明の範囲内である。例えば、細胞は、繊維芽細 胞であってもよく、細胞増殖は、細胞形質転換の指標である細胞の増殖塊形成の 測定によって評価してもよい。候補化合物の非存在下と比較して該候補化合物の 存在下で細胞増殖が抑制されていれば、候補化合物が、細胞増殖、例えば癌様細 胞、すなわち形質転換細胞に関連する増殖のような望ましくない増殖を阻害する ことを示す。 本明細書で用いられる「実質的に純粋な」とは、天然の状態でそれに隣接する 配列から精製されたDNA、すなわち通常その断片に隣接する配列、例えば天然に 生じるゲノムにおいてその断片に隣接する配列から取り出され、およびそのDNA を天然に伴うその他の成分から実質的に精製されたDNA断片、例えば細胞におい て天然にそれを伴う蛋白質から精製されたDNAを指す。 本発明のその他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および請求の範囲から 明らかとなると思われる。 詳細な説明 まず図面について簡単に説明する。図面 図1Aは、ドメインCR1、CR2、およびCR3が保存されたc-Raf-1およびキメラ蛋白 質キナーゼC(PKC)γ/Rafの構造を示す概略図である。CR1は、Rasのイフェクタ ーループドメインに結合し、システインリッチ領域であるRafアミノ酸139〜184 (配列番号:2)と重なり合う、Ras結合ドメイン(アミノ酸50〜150;配列番号 :5)のほとんどを含む。CR2はセリン-トレオニンに富み、CR3はキナーゼ触媒 ドメインを含む。 図IBは、c-Raf-1およびPKCγのジンクフィンガードメインの配列を示す概略図 である。2つのジンクフィンガーにおいて保存されているシステインおよびヒス チジン残基を整列させ、太字で示している。キメラγ/Raf蛋白質のアミノ酸配 列を示す:キメラγ/Rafを構築するため、Rafアミノ酸150〜177(AFCDICQKFLLN GFRCQTCGYKFHEHCS;配列番号:6)をコードするDNA配列を欠失させ、PKCγのジ ン クフィンガードメイン(PKCγのアミノ酸99〜152;RNKHKFRLHSYSSPTFCDHCGSLLYG LVHQGGMKCSCCEMNVHRRCVRSVPSLCG;配列番号:7)に置換した。 図2Aは、上皮細胞増殖因子(EGF)およびフォルボル・ミリステート・アセテ ート(PMA)によるRafの野生型およびジンクフィンガー変種の活性化を示す棒グ ラフである。COS M7細胞を、野生型c-Raf-1のMycタッグ型(レーン1〜3)、Ra f(C165、168S)(レーン4〜6)、γ/Rafキメラ(レーン7〜9)、およびγ ジンクフィンガーに不活化変異を有するγ/Rafキメラ(レーン10〜12)をコード するcDNA5μgでトランスフェクトさせた。トランスフェクションの30時間後、細 胞から血清を16時間枯渇させ、その後EGF(50ng/ml;レーン2、5、18、11)お よびPMA(1μM;レーン3、6、9および12)または溶媒(対照;レーン1、4 、7、および10)を加えた。細胞を15分間抽出した。組換え型Rafポリペプチド は抗mycモノクローナル抗体9B7.3によって免疫沈降させた。キナーゼアッセイは 、プロテインG-セファロースビーズ上で保持された免疫複合体をGST-MEKIおよび Erk-1と共に連続してインキュベートすることによって実施した。32P-標識ポリ ペプチドをSDS-PAGE上で分離し、PVDF膜に移し、抗Myc-モノクローナル抗体9E10 .2を用いてオートラジオグラフィーによって視覚化した。切除したバンドの液体 シンチレーション計数によって、32P-Erk-1を測定した。 図2Bは、MEK-1およびErk-1への32Pの取り込みを示すオートラジオグラフであ る。 図2Cは、イムノブロットの写真である。 図2Dは、γ/RafノPMA活性化を示す棒グラフである。Myc-Raf(黒棒)または γ/Raf(白棒)を発現しているCOS細胞をPMA(1μM)で1または24時間処理し た;次に後者の細胞をPMAまたはEGFでさらに15分再刺激した。 図3Aは、野生型Rafおよびγ/Rafの活性化におけるRasイフェクターループに 対するRaf結合の重要性を示す棒グラフである。cDNAをCOS M7細胞にトランスフ ェクトさせた:野生型Raf(レーン1〜3;Raf(84〜87A)(レーン4〜6); γ/Raf(レーン7〜9);およびγ/Raf(84〜87A)(レーン10〜12)。血清を1 8時間枯渇した細胞を、抽出前に、EGF 50ng/ml(レーン2、5、8、11)、PMA 1μM(レーン3、6、9、12)、または溶媒(対照;レーン1、4、7、10に よる処 理によって15分刺激した。 図3Bは、MEK-1およびErk-1への32Pの取り込みを示すオートラジオグラフであ る。 図3Cは、イムノブロットの写真である。 図4Aは、COS細胞抽出物におけるMyc-Raf変種の抗Myc-イムノブロット(9E10. 2)の写真である。 図4Bは、プロテインGセファロースで回収した抗FLAG抗体M2免疫沈降物の抗FL AG-Rasイムノブロットの写真である。 図4Cは、抗FLAGM 2免疫沈降物の抗Mycイムノブロット(9E10.2)の写真であ る。図4A〜4Cに示した実験では、Myc-Raf変種(5μg)をコードするそれぞれ のcDNAをFLAG-Ha-Ras(V12)(5μg)と共にCOS細胞にコトランスフェクトさせ た。トランスフェクションの48時間後に細胞を抽出した。組換え型FLAG-Rasを抗 FLAGモノクローナル抗体M2およびプロテインGセファロースを用いて精製した。 免疫複合体はSDS-PAGEによって分離し、イムノブロットに供した。 図5Aは、Myc-Raf変種でトランスフェクトさせた細胞から調製した細胞抽出物 (0.1mg蛋白質)の抗Myc-イムノブロット(9E10.2)である。 図5Bは、固定化COS組換えRas(V12)によって保持されたポリペプチド複合体 の抗Mycイムノブロットである。図5Aおよび5Bでは、FLAG Ha-Ras(V12)をコ ードするcDNAをCOS細胞にトランスフェクトさせた。細胞抽出物を48後に調製し 、蛋白質2mgを含むアリコットを抗FLAGモノクローナル抗体M2による免疫沈降に 供した。プロテインG-セファロース上で精製した後、固定化COS組換えRasをγ-S -GTPで標識し、示したMyc Raf変種をコードするcDNAで48時間前にトランスフェ クトさせたCOS細胞から調製した抽出物のアリコットと共に、4℃で1時間イン キュベートした;各アリコートは総蛋白質1mgを含んでいた。溶解緩衝液で3回 洗浄した後、ポリペプチド複台体をSDS PAGEおよびイムノブロットに供した。 図6Aは、Myc-Raf変種でトランスフェクトさせた細胞から調製した抽出物(0. 1mg蛋白質)の抗Mycイムノブロット(9E10.2)である。 図6Bは、固定化細菌GST-Ras/GTPySによって保持されたポリペプチド複合体の 抗Mycイムノブロットである。図6Aおよび6Bでは、原核生物組換えGST-Ha-Ras を γ-S-GTPで標識した。蛋白質5μgを含むアリコートを、Myc Raf変種を一過性に 発現するCOS細胞の細胞溶解液のアリコート(蛋白質1mgを含む)と共にインキ ュベートした。4℃で1時間後、複合体をグルタチオンセファロース4Bに吸着さ せ、3回洗浄し、SDS-PAGEおよび抗Myc抗体(9E10.2)によるイムノブロットを 行って、GST Ras-GTPと会合するMyc-Rafポリペプチドを検出した。 図7Aは、Rafのアミノ酸130〜220(FLDHVPLTTHNFARKTFLKLAFCDICQKFLLNGFRCQTC GYKFHEHCSTKVPTMCVDWSNIRQLLLFPNSTIGDSGVPALPSLTMRRMRES;配列番号:18)を含 むジンクフィンガードメイン含有Raf融合蛋白質(GST-Raf、130〜220)とRasと の結合がGTP依存的ではなく、Ras-ファルネシル化依存的であることを示すイム ノブロットである。対照的に、主なRas結合部位である、Rafのアミノ酸50〜150 (DPSKTSNTIRVFLPNKQRTVVNVRNGMSLHDCLMKALKVRGLQPECCAVFRLLHEHKGKKARLDWNTDAA SLIGEELQVDFLDHVPLTTHNFARKTFLKLA;配列番号:5)を含む、GST-Raf 50〜150を 含むRaf融合蛋白質の結合はGTP依存的である。 図7Bは、図7Aの融合蛋白質(GST Raf、50〜150およびGST Raf130〜220)を クーマシーブルーで染色した電気泳動ゲルの写真である。Raf ジンクフィンガードメインはRaf活性化において多機能を有する 細胞増殖は、うまく伝達された細胞内シグナル、例えば多くのタイプの癌にお いて不適切にスイッチが入ることがありうるRas媒介シグナル伝達経路を通じて 伝達された細胞内シグナルが頂点に達した結果である。Ras-Raf結合の阻害によ り、Rasシグナル伝達経路に沿った細胞内シグナルの伝達が妨害され、したがっ て細胞増殖が阻害される。本明細書に記載されたデータから、本発明の組成物お よび方法を用いたRas-Raf相互作用の阻害が、癌および望ましくない細胞増殖を 特徴とするその他の疾患の治療の有望なアプローチであることが示される。 Rafキナーゼの活性化におけるC-Raf-1ジンクフィンガードメインの機能を、野 生型Rafジンクフィンガーとは異なるジンクフィンガー構造を用いて分析した。R afのシステイン165/168のセリンへの変異は、EGFによるc-Raf-1のRas依存的活性 化を強く阻害することが判明した。Rasジンクフィンガーの欠失およびPKCγ(γ /Raf)からの相同的ジンクフィンガーによる置換は同様に、EGFによる活性化を 消失させるが、PMAによる強い活性化は可能であり、これはRas非依存的機構を介 し て起こる。γ/RafはPMAに結合するが、インビトロでPMAを加えてもγ/Rafを活性 化しないので、インサイチューでのPMAによるγ/Rafの活性化は間接的である。R as-GTPがインサイチューでRafジンクフィンガー変種を活性化できないことは、R af機能に関連する少なくとも2つの要因が原因である。一つの要因は、Ras結合 の減少である;いずれのRafジンクフィンガー変種もCOS細胞に共発現させると、 インサイチューでRas(V12)との会合の減少を示すと共に、固定化COS組換えプ レニル化Ras(V12)-GTPに対する結合の減少を示した。対照的に、非プレニル化 原核生物組換えRas-GTPに対するRaf結合は、Rafジンクフィンガー変異によって 影響を受けない。第二の要因は、形質転換活性によって反映されるように、Raf 触媒機能の活性化の低下である。ジンクフィンガー変異(C165、168S)は、Raf ノRas非依存的膜結合型である強力な形質転換剤である、Raf CaaXのRas非依存的 形質転換活性を強く阻害した。 Rafジンクフィンガーは、インサイチューにおけるRafのRas-GTPに対する全体 的な結合に重要な役割を果たしており、Rafが一度膜に集まると、おそらく膜脂 質の結合を通じて、活性化状態へと移行するために完全なジンクフィンガーが必 要である。Rasに対するRafのジンクフィンガードメイン媒介結合により、最終的 に細胞増殖へと至る細胞性シグナル伝達系路の重要な事象である、Rafの活性化 が起こる。プレニル化Ras上でのみ利用できるエピトープにおいて、Rafジンクフ ィンガーはRasに結合し、そのイフェクターループとは異なる。このRas結合への 関与に加えて、Raf活性化におけるジンクフィンガーの役割は、ジンクフィンガ ーの変異によるRaf-CaaX形質転換活性の喪失によって明らかとなる。試薬 フォルボル12,13ジブチレート(フォルボル・ミリステート・アセテート;PMA )はシグマ社から購入した。EGFはカルビオケム社から購入した。市販されてい る抗Mycモノクローナル抗体、例えば、9B7および9E10.2を、免疫沈降およびイム ノブロットに用いた。M2 FLAGモノクローナル抗体はコダック社から購入した。 増強ケミルミネッセンス(ECL)試薬はアマシャム社から得た。 c-Raf-1は、イニシエーターであるメチオニンの直後にタッグした。ヒトc-Myc 由来のアミノ酸33個のエピトープをコードするDNAをpMT2に挿入した。ヒトc-Ha Ras(V12)は、FLAGエピトープ(MDYKDDDK;配列番号:8)でそのアミノ末端に タッグした;タッグをコードするDNAは、ベクターpCMV5に挿入した(アンダーソ ンら(Anderson)(1989)、J.Biol.Chem.264:8222)。c-Ha Ras、ヒトMEK-1、 およびラットERK-1ポリペプチドは、pGEX-KGベクターを用いてGST融合蛋白質と して発現させた(グアンら(Guan)(1991)、Annal.Biochem.192:262〜276) 。GSH-セファロースによる精製後、遊離のERK-1をトロンビン開裂により得た。 ヒトPKC-ycDNAはATCC寄託番号37707から得た。Raf の変異誘発 Rafアミノ末端(K84ALK(配列番号:4)からA84AAA(配列番号:9);C165 、168Sへ)の部位特異的変異は、オルタードサイト(Altered Sites)変異誘発 系(プロメガ)を用いて導入した。PKCγの2つのジンクフィンガーのよりカル ボキシ末端(図1A〜1B)によるRafジンクフィンガードメインの置換は、以下の ようにして実施した。Rafジンクフィンガードメインをまず、アミノ酸150〜177 (配列番号:6)を欠失させることによって除去した。アミノ酸178〜305をコー ドするRaf-1 cDNA断片をポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって増幅した;用い た上流のプライマーのDNA配列は、5'AGCTAAGCTTGTAGCGGTACCAAAGTACCTACTATG3' (配列番号:10)で、これがHindIIIおよびKpnI部位を導入する(制限部位には 下線を施してある)。用いた下流のプライマーのDNA配列は、5'GGGTTTTCGGCTGTG ACCAG3'(配列番号:11)であった。HindIIIおよびBstXIで切断した増幅cDNA断 片を用いて、アミノ酸149〜305をコードするRaf HjndIIIおよびBstXI cDNAセグ メントを置換した。次に、ヒトPKCγのよりカルボキシ末端のジンクフィンガー ドメインをコードするDNA配列(アミノ酸99〜152(配列番号:7))を以下のよ うに増幅した:上流のプライマー、5'AGCTAAGCTTCGGAACAAGCACAAGTTCCGT3'(配 列番号:12);下流のプライマー:5'CGGGGTACCGCACAGAGAGGGCACGCT3'(配列番 号:13)(クエストら(Quest)(1994)、J.Biol.Chem.269:2961〜2970)。増幅 されたPKCγのジンクフィンガードメインを、HindIIIおよびKpnI部位でRaf(Δ1 50〜177)変異体に挿入すると、図1A〜1Bに示すγ/Rafキメラを生じた。Raf変異 体はDNA配列により確認した。 Raf CaaX構築物は、野生型c-Raf-1をコードするcDNAのEcoRI断片をpAlter(プ ロメガ)にサブクローニングすることによって作製した。オルタードサイト変異 誘発システム(プロメガ)を用いて、短縮されたN末端Mycエピトープ(MEEQKLIS EEDL;配列番号:14)およびK-Ras-4BのC末端のアミノ酸17個(KDGKKKKKKSKTKCV IM;配列番号:15)をコードするよう遺伝子を改変した。Myc-Raf CaaX遺伝子を 鋳型として用いて、後にc-Raf-1にさらなる変異を導入した。変異は、プロメガT NTシステムを用いて、DNAシークエンシングおよび変異遺伝子のインビトロ翻訳 によって確認した。哺乳類細胞に発現するためには、Raf CaaXをコードするDNA を、EcoRI断片としてpBABピュロベクターにサブクローニングした。一過性的発現、免疫沈降、およびイムノブロット 哺乳類発現ベクターpMT2においてMyc-タッグc-Raf-1変種をコードするcDNAを 、単独でまたはベクターpCMV5のFLAG-タッグHa-Ras(V12)と共に、組換えDNAを 全体で10μg用いた当技術分野に既知のDEAEデキストラン法によって、COS M7細 胞にトランスフェクトさせた。Ras-Raf共沈降実験のために、50mMトリスCl(pH7 .5)、1mMEDTA、2mMEGTA、1mMジチオスレイトール、25mMβ-グリセロフォス フェート、1mMバナジン酸ナトリウム、1%トライトンX-100、およびプロテナ ーゼ阻害剤を含む溶解緩衝液中で細胞をトランスフェクト後48時間抽出した。Ra fキナーゼ活性の測定のため、0.1%FBSを含むダルベッコ改変イーグル最小基本 培地(DMEM)に交換することによって、細胞から血清を枯渇させた。細胞の血清 枯渇は、細胞をトランスフェクトさせた30時間後に実施した。さらに16〜18時間 後、溶解前に、細胞を10%FBS、マイトゲンまたは溶媒(対照)で処置した。 Myc-Rafに関してはモノクローナル抗体9B7.3を用いて、およびFLAG-Rasに関し てはM2抗FLAGモノクローナル抗体を用いて、免疫沈降を4℃で1時間実施した。 免疫複合体をプロテインG-セファロースから回収し、SDS-ポリアクリルアミドゲ ル電気泳動に供し、その後PVDF膜に電気泳動的に移した。分離した蛋白質は、抗 Myc-モノクローナル抗体9E10.2または抗flag抗体M2のいずれかを用いて、当技術 分野で既知のECL法によって視覚化した。Ras に対するRaf変種のインビトロ結合 組換え型GST-Ha-Rasポリペプチドを、大腸菌で発現させ、GSHセファロース上 で精製した。COS組換え型FLAGタッグHa-Ras(V12)は、M2抗FLAGモノクローナル 抗 体による免疫沈降およびプロテインG-セファロースによって精製した。固定化Ra sポリペプチドはインビトロでS-γ-GTPによって標識した。組換え型Raf変種を含 むCOS細胞抽出物を固定化Rasと4℃で1時間インキュベートした。複合体を回収 し、溶解緩衝液中で3回洗浄し、イムノブロットに供した。Raf キナーゼアッセイ 免疫沈降したRaf変種のキナーゼ活性は、例えば、キリアキスら(Kyriakis) (1993)、J.Biol.Chem.268:16009-16019のように、当技術分野に既知のカップ ルドキナーゼアッセイを用いて評価した。反応は、2段階のインキュベーション で、総量100μLで実施した。第一段階では、アッセイ混合物は、25mMトリスCl( pH7.8)、10mM MgCl2、1mM DTT、0.1mMγ32P-ATP(4000cpm/pmol)、および2μ g/ml原核細胞組換え型GST-MEK1を含んでい。反応はγ32P-ATPを加えることによ って30℃で開始した。20分後、原核生物ERK-1のアリコートを最終濃度10μg/ml になるよう加えた;インキュベーションをさらに30分継続し、SDS試料緩衝液を 加えることによって終了させた。GST-MEK1およびERK1への32P取り込みは、SDS-P AGE後のオートラジオグラフィーによって検出した。Raf CaaX 形質転換アッセイ Rat-1繊維芽細胞は、10%胎仔ウシ血清(ギブコ)を加えたDMEM培地で維持し た。100mmの培養皿で増殖した細胞を、リン酸カルシウムトランスフェクション キット(ギブコ)を用いて、CsCl精製プラスミドDNAの10μgでトランスフェクト させた。3日目に、細胞の90%を150mm皿にトランスフェクトさせた。細胞の10 分の1を2.5μg/mlのピューロマイシンを含むDMEM中に播種した。トランスフェ クトさせた培養を37℃、5%CO2で3週間インキュベートした。形質転換は、細 胞増殖塊の計数、望ましからぬ細胞増殖の徴候、およびクリスタルバイオレット による細胞染色によって評価した。トランスフェクションはピューロマイシン耐 性コロニーの相対数を比較することによって統一した。ジンクフィンガードメイン変異はRafキナーゼ活性に影響を及ぼす Raf機能におけるRafジンクフィンガードメインの役割を調べるため、2つの変 種ジンクフィンガー構造を作製した。一つでは、Raf残基165および168位でのシ ステインをいずれもセリンに置換し、それによってタンデム(Cys3His)亜鉛結 合構 造の双方を変異させる。第二の変種はRafアミノ酸150〜177(配列番号:6)を 欠失させ、それらをPKCγアミノ酸99〜152に置換することによって構築した。PK Cγアミノ酸99〜152(配列番号:7)は、Rafジンクフィンガーのように、別の (Cys3His)2構造である(図18)、第二のよりカルボキシ末端の2つのPKCγジ ンクフィンガーモチーフ(H102〜C151)を完全に含む。変異Rafポリペプチドの 発現および制御(その一つはアミノ末端でMycエピトープによりタッグされた) は、COS細胞において一過性に発現されている間に調べた。全てのRaf変種は同等 のポリペプチド発現を示したが、変異体におけるキナーゼ活性のレベルは野生型 とは実質的に異なった(図2A〜2Dおよび3A〜3C)。野生型Rafは、回収前の 、Raf活性化因子、例えば、EGFまたはPMAによる細胞の処置によって、強く活性 化された。Rafジンクフィンガーの変異(C165、168S)の結果、基礎Rafキナーゼ 活性にはほとんど変化がなかったが、RafキナーゼによるEGFおよびPMA刺激活性 化は75〜80%阻害された(図2A〜2D)。PKCγ(γ/Raf)のジンクフィンガー ドメインによるRafジンクフィンガードメインの置換の結果、基礎Rafキナーゼ活 性はわずかに増加したが、EGFに対する反応は強く阻害されたままであった。対 照的に、フォルボルエステル、例えばPMAは、EGF/PMA刺激野生型Rafにおいて認 められたものと同等のレベルまでγ/RafのMEKキナーゼ活性を増加させた(図2A 〜2Dおよび3A〜3C)。γ/RafのPMA活性化は、PKCγジンクフィンガーのCysか らSerへの二重の変異によって完全に消失する(図2A〜2D)。γRafのPMA刺激 活性化は、内因性PMA反応性PKCsに依存しなかった。γ/Raf活性はトランスフェ クトさせたCOS細胞の24時間PMA治療を通じて上昇したままであったが、Myc Raf 活性はベースラインに戻り、PMAを再度加えても反応しなかった(EGFではそうで はなかった)ことは、有効なPKCダウンレギュレーションを示している。血清枯 渇COS細胞から免疫沈降させたγ/RafにPMAを直接加えても、ラット脳PKCが強く 活性化されている条件下ではγ/Raf活性は増加しなかった。このように、インサ イチューでのγ/Rafに対するPMA結合は必要であるが、γ/Rafの活性化にとって 十分ではない。 内因性Rasがγ/RafのPMA-刺激活性化にとって必須であるか否かを調べるため に、実験を実施した。Rafアミノ酸K84ALK87(配列番号:4)の変異は、インビ トロでの原核生物Ras-GTPに対するアミノ酸1〜149を含むRaf断片の結合能を消 失させ た。(84〜87A)変異を野生型Rafに導入すると、野生型のMyc Rafを発現してい る細胞と比較して、Myc Raf(84〜87A)を発現しているCOS細胞では、EGFまたは PMA刺激活性化を85%以上阻害した(図3A〜3C)。γ/Rafに導入すると、(84 〜87A)変異により、残留EGF刺激活性はさらに80%減少し、EGFの存在下でのγ/ Raf(84〜87A)の全体的な活性は野生型Rafの5%未満となった。対照的に、PMA の存在下でのγ/Raf(84〜87A)の活性は野生型Rafのおよそ50%であった(図3 A〜3C)。このように、PMAがγ/Rafをインサイチューで活性化する能力は、γ/ RafとRasとの相互作用にほとんど依存しないことを示した。 これらのデータは、構造的に完全なジンクフィンガーは、受容体チロシンキナ ーゼによるRaf活性化にとって必要であることを示している。Rafジンクフィンガ ーを相同なジンクフィンガー構造に置換することは、ジンクフィンガーとRaf触 媒ドメインの置換がそれ自身機能的に完全であっても、受容体チロシンキナーゼ による正常な制御を回復するには十分でない。ジンクフィンガードメイン変異がRasに対するRafの結合に及ぼす影響 Rafジンクフィンガーの部位変異または置換によって生じたEGF-刺激Raf活性化 の喪失は、Rasのイフェクターループに直接結合するRas結合ドメインにおけるRa f残基84〜87(配列番号:4)の変異によって生じた阻害とほぼ同程度に強いこ とが判明した。Ha Ras(V12)と野生型および変種Rafとのインサイチュー会合は 、免疫共沈降実験(図4A〜4C)によって評価した。Ha-Ras(V12)によるMyc-R af(84〜87A)の回収は、野生型Myc-Rafの回収の10%未満に減少した。ジンクフ ィンガー変種Raf(C165/168S)およびMyc−γ/RafのRas免疫沈降での回収もまた 、野生型Myc-Rafで認められたレベルのおよそ20〜25%まで実質的に減少した。 Rafジンクフィンガー変種がインサイチューでRasに結合できないことは、イン ビトロでの結合試験によって確認した(図5A〜5B)。組換えv-HaRasは、COS細 胞に限って発現され、免疫沈降によって精製し、インビトロで野生型Raf、Raf( 84〜87A)、γ/Raf、および二重変異γ/Raf(84〜87A)でトランスフェクトさせ たCOS細胞からの抽出物と共にインキュベートした。インサイチューでの共発現 の際に認められた結果(図4A〜4C)と平行して、インビトロでのCOS組換え型v -Ha Rasへのγ/Rafの結合は、野生型Rafと比較して実質的に減少し、Rasに対す るR af(84〜87A)の結合はさらに一層減少した。Raf二重変異体では結合は認められ なかった(図5A〜5B)。Rafジンクフィンガー変異体がRasに結合できないこと は、原核生物Ras-GTPに対するGST Raf 1〜149およびGST Raf 1〜257の結合は基 本的に識別できないため、予想外であった。 COS組換え型Raf、Raf(C165/165S)、γ/RafおよびRaf(84〜87A)がインビト ロで原核生物GST-Ras-GTPに結合する能力を調べた(図6A〜6B)。野生型Rafに ついて認められた結合と比較して、Raf(84〜87A)は、GST-Ras-GTPに対する結 合が損なわれていることを示した。対照的に、原核生物Ras GTPは、野生型Rafの 結合と同等のレベルで、ジンクフィンガー変異Rafに結合した。これらのデータ は、原核生物の非プレニル化GST-Ras-GTPに対する最適なRafの結合は、無傷のRa fジンクフィンガーを必要としないが、インサイチューでカルボキシ末端のプレ ニル化およびプロセシングを受けるCOS組換え型Rasに対するRafの結合は、イン ビトロで、またはインサイチューでの共発現時に調べた否かによらず、Rafジン クフィンガーの統合性に強く依存することを示している。Raf CaaX の生物活性におけるジンクフィンガードメイン変異の効果 Raf活性化におけるRafジンクフィンガーの役割、例えばRasへの結合およびRaf の膜への局在について調べた。Raf CaaXがフオ一カス形成を促進する能力、すな わち細胞増殖におけるジンクフィンガー変異の効果を、表1に示す。 Rat-1細胞に、各々のRaf変異をコードするpBABpuroプラスミドDNA10μgをトラ ンスフェクトした。フォーカス形成は、pBABpuro中で発現されるHras(V12)の 約50%の効率を持つ野生型Raf CaaXに標準化した。結果は5回の独立した実験の 平均である。 Raf CaaXはRafのC末端に融合したKi-Rasの残基172〜188(配列番号:15)を発 現するように操作した。Raf CaaX融合蛋白質は、細胞表面膜へのRaf CaaXの構成 的局在に関与する、Ki-Rasのプレニル化およびその他の特徴であるC末端プロセ シングを受ける。非修飾c-Raf-1と対照的に、Raf CaaXはRat-1細胞における強力 な形質転換物質であり、発癌性のHa-Ras(V12)の約50%の割合でフォーカス形成 を誘導する。Raf ATP結合部位における変異(K375M)は、Raf CaaXの形質転換活性 を完全に失わせた(表1)。インビトロでGST Raf 1〜149と原核生物Ras-GTPの結 合を失わせ、野生型RafでEGF/PMA活性化を強く阻害するRafのN末端全体にわたる 変異は(図1A〜1Bおよび2A〜2D)、Raf CaaXによって形成するフォーカスの数に、 有意な影響は与えなかった。これらのデータは、Raf CaaXによる形質転換は、こ れがRasエフェクター領域に結合する能力とは独立したものであることを示す。 これとは対照に、Raf CaaX Znフィンガー領域の変異は、フォーカス形成を85% 阻害した(表1)。この結果は、インサイチューにおけるRafキナーゼ活性には、 原形質膜へのRafの事前の移行とは無関係に、構造が完全なZnフィンガー領域が 必要であることを示唆する。Ras への結合に関与するRaf蛋白質の領域 RafがRasと相互作用する様式を解析した。結合アッセイ、競合共沈アッセイ、 およびキナーゼアッセイを用いて、Ras-Raf結合およびRafキナーゼの活性化を測 定した。 例えば、点変異またはPKC ZnフィンガーによるRaf Znフィンガーの置換のよう な、Raf Znフィンガーの変異の結果は、Rafポリペプチドの他の重要な機能的領 域の折り畳みに伝搬した妨害によるものではない。Raf触媒領域が完全であるこ とは、γ/Raf変異体において確認されており、そのキナーゼ活性はEGFにわずか に応答するのみではあるが、PMAによって完全に活性化される。この結果も、Raf ポリペプチド内で融合して発現されるPKCγZnフィンガーの機能が完全であるこ とを示す。RafのN末端残基50〜150(配列番号:5)断片の機能的完全性は、Raf( C165,168S)およびγ/Rafの原核生物のGST-Ras-GTPへの結合が、野生型Rafの結 合と基本的に同一であることを示す、図6A〜6Bに示すデータで確認される。した がって、インサイチューにおけるRaf(C165,168S)およびγ/RafのEGFへの変化し た反応は 、変異によって導入されたRafポリペプチドの別の部分の妨害ではなく、正常なR af Znフィンガー構造により提供される機能の損失による。 野生型Rafおよびγ/RafのPMA活性化機構は、大きく異なっている。野生型Raf のPMA活性化は、PMAに誘導されるRasの活性化によって進む。野生型Rafにおける Raf残基84〜87(配列番号:4)の変異は、85%以上PMA活性化を低下させるが、 そのような変異がγ/RafのPMA活性化へ与える影響はこれよりも少ない。γ/Raf 内のPKCγ Znフィンガーの変異によって活性化が起こらなくなることで証明され るように(図2A〜2D)、γ/RafのPMA活性化は、PMAのγ/Rafへの直接の結合に依 存する。 正常なRaf Znフィンガーの代わりにPKCγZnフィンガーを挿入すると、正常なR af Znフィンガーの機能が失われ、PKCγZnフィンガーの機能によって与えられる 新しい機能が導入される。新しく獲得される機能の1つは、γ/RafがPMAに直接結 合する能力で、これにより、少なくともPMAの存在下ではRasに依存する膜局在段 階が回避できる;CaaXモチーフのRafへの付加と同様、PKCγZnフィンガーはPMA の存在下でRafの膜への移行をRasに依存することなく進行させる。PMAのγ/Raf への結合自体は、直接にRafを活性化することはないが、CaaXのRaf C末端への付 加と同様に、PKCγ Znフィンガーは、Rafの活性化に必要な段階を効果的に進行 させる。 上述のように、Raf Znフィンガー構造は、少なくとも2通りの方法で、Rafキナ ーゼ活性の調節に関与している。まず、Raf Znフィンガーは、インサイチューで RafとRasが高い親和性で結合するために重要である。Raf ZnフィンガーとRasと の相互作用は、RasエフェクターループとさらにN末端にあるRaf断片(アミノ酸5 0〜150)の間の相互作用とは無関係であると考えられる。後者の相互作用は、イ ンビトロでは原核生物のプレニル化のないGST-Ras-GTPへのRafの結合を大きく低 下させる、Raf残基84〜87の変異により破壊される。これとは対照に、RafZnフィ ンガー中またはこれを置換する変異は、原核生物のGST-Ras-GTPへのRafの結合を 検出できるほどは変化させず、真核生物で発現されたプレニル化されたRasへの 結合のみを変化させる。 Raf Znフィンガーが結合するRas上の部位には、エフェクターループに隣接す る 、例えばRas N26、V45のようなRas残基が関与している。Rasのプレニル化も、Ra sとRaf Znフィンガーとの結合に貢献する。Raf ZnフィンガーのRas-Raf結合への 貢献は、Ras自身へまたは膜の内側小葉中の酸性リン脂質へのいずれかで、Rafの 膜への結合の親和性を上昇させる。さらに、Raf ZnフィンガーはRafの触媒機能 の活性化に至る段階にも参加している。Rafが不活性から活性な状態に変化する うえでのZnフィンガーの第2の機能は、Raf CaaXの形質転換作用に対してZnフィ ンガー変異が阻害効果を持つことで示される。Ki-RasのC末端のCaaXモチーフのc -Rafへの融合は、RafがRas非依存性の活性化を受ける原形質膜を目標にするため に十分で、Rasに依存せずにRat-1細胞を形質転換させる能力を有する。Znフィン ガーの変異は、Raf CaaXの形質転換活性を著しく損なう(表1)。これらの結果 から、一旦、原形質膜に到達すると、Raf活性化のその後の段階に完全なRaf Zn フィンガーが必要であることが示される。PMAの結合は、γ/Rafポリペプチドの 共有結合修飾(例、部位特異的なリン酸化またはアシル化)を通してγ/Rafが活 性状態に転換するようなγ/Rafの立体配座の変化を誘導する。Raf Znフィンガー は、膜結合Raf CaaXの活性化や、インサイチューでRas-GTPに結合した野生型c-R af-1の活性化においても、同様な段階を仲介する可能性がある。 Raf活性化におけるRaf Znフィンガーの役割は、例えば、Ras自身のファルネシ ル部分のような膜結合脂質へのZnフィンガーの結合を含む。プレニル部分または 別の膜脂質によるRaf Znフィンガーへの結合はc-Raf-1の立体配座の変化を誘導 し、これによりRafの触媒作用の安定な活性化に至るさらなる共有結合修飾が可 能になる。Rasプレニル構造または他の脂質が直接Rafに結合することは、c-Raf- 1の活性化に重要な段階である。Raf Znフィンガー領域は、プレニル化されたRas 中にのみ存在するエピトープに結合する。 図7A-BはRaf Znフィンガー領域(配列番号:2)を包含する細菌の組換え型融 合蛋白質(GST,Raf 130〜220)がプロセシング(例、ファルネシル化)された バキュロウイルス(BV)組換え体H-Rasには強く結合するが、プロセシングされて いない(ファルネシル化のない)BV H-Rasには非常に弱くしか結合しないことを 示している。これらのデータは、Znフィンガー領域が仲介するRas-Raf結合は、R asのフアルネシル化、すなわちRasのプロセシングに依存する(およびGTPに依存 しない )ことを示す。これとは対照的に、Rafアミノ酸50〜150(配列番号:5)のRasエ フェクターループ(Ras残基32〜40;配列番号:3)への会合は、GTP依存性であ る。治療への適用 本発明の方法は、細胞の望ましくない増殖を特徴とする疾病の治療に有用であ る。本発明は、例えばRasまたはRafを阻害する断片(またはそのアナログ)のよ うな化合物、または阻害性ポリペプチドの構造をモデルとした構造を持つ小分子 を投与することによりRas-Raf結合を阻害する方法を提供する。 「断片」とは、通常は長さが少なくとも約10アミノ酸、通常約20の連続したア ミノ酸、好ましくは少なくとも40の連続したアミノ酸、より好ましくは少なくと も50の連続したアミノ酸、および最も好ましくは少なくとも60から80またはそれ 以上の連続したアミノ酸である。そのようなペプチドは、蛋白質の蛋白質分解性 切断、断片の新しい合成、または遺伝子操作を含む、当業者に公知の方法で作製 できる。 アナログは、アミノ酸配列、または配列に影響を与えない修飾、またはその両 方において、RasまたはRafの天然のペプチドと異なるものでありうる。好ましい アナログには、保存的アミノ酸置換、例えば1つのアミノ酸の、同様の特徴を持 つ他のアミノ酸への置換(例、グリシンの代わりにバリン、リジンの代わりにア ルギニンなど)などの好ましくは1、2、もしくは3つだけの置換、またはペプチ ドの生物活性を失わせることのない1つまたは複数の非保存的アミノ酸置換、欠 失、もしくは挿入という点でのみ野生型の配列とは異なっているペプチドが含ま れる。 (通常一次配列を変化させることのない)修飾には、例えば、アセチル化また はカルボキシル化のような、インビボまたはインビトロのペプチドの化学的誘導 が含まれる。また、例えばペプチドが、例えば哺乳類のグリコシル化または脱グ リコシル化酵素といったグリコシル化に影響を与える酵素の作用を受けるような 、合成およびプロセシング中またはさらなるプロセシング段階における、例えば ペプチドのグリコシル化パターンの修飾によるような、グリコシル化の修飾も含 まれる。また、例えば、ホスホチロシン、ホスホセリン、ホスホスレオニンのよ うな、リン酸化されたアミノ酸残基を含む配列も含まれる。 本発明は、ペプチダーゼの切断を受けない別の種類の共有結合(「疑似ペプチ ド」)によって1つまたは複数のペプチド結合が置換されているアナログも含む 。患者への注射後のペプチドの蛋白質分解性分解が問題になる場合は、特に感受 性の高いペプチド結合を切断されない疑似ペプチドによって置換すると、より安 定で、したがってより有用な治療薬が生成する。そのような疑似ペプチド、およ びそれをペプチドに取り込む方法は、当技術分野で周知である。同様に、L-アミ ノ酸残基の置換は、蛋白質分解に対するペプチドの感受性を低下させる標準的な 方法である。また、t-ブチルオキシカルボニル、アセチル、セニル、スクシニル 、メトキシスクシニル、スベリル、アジピル、アゼライル、ダンシル、ベンジル オキシカルボニル、フルオレニルメトキシカルボニル、メトキシアゼライル、メ トキシアジピル、メトキシスベリル、および2,4-ジニトロフエニルのようなN末 端ブロック基も有効である。ペプチドの電荷を帯びたNまたはC末端をブロックす ると、さらに、ペプチドが疎水性の細胞膜を細胞内へ通過することを促進すると いう利点がある。 血液脳関門の通過を改善するためにこれらのペプチドを修飾することも有用で ある。ペプチドは、親油性を上昇するように(例、コレステロールのような巨大 な親油性部分のエステル化)、または関門の脳側での保持を上昇させる(Bodorら 、Science 1992,vol.257,pp.1698-1700)ような切断可能な標的部分を供給す るために、変更することができる。または、血液脳関門を通る鉄輸送における受 容体の役割を探るために、ペプチドをトランスフェリン受容体に特異的な抗体に 連結させてもよい(Fridenら、Science,1993,vol.259,pp.373-377)。 ペプチドは、生理食塩水のような薬学的に許容される担体中で、患者の静脈に 投与できる。例えば、リポソームを使った送達のような、ペプチドの細胞内送達 の標準的方法を使用できる。そのような方法は、当業者に周知である。本発明の 処方は、静脈内、皮下、筋肉内、および腹腔内といった非経口的投与に有用であ る。 RasとRafの会合の阻害は、受容体を介する免疫細胞の活性化に干渉するため、 本方法は全身性エリテマトーデス(SLE)、I型糖尿病、および慢性関節リウマチの ような自己免疫疾患の患者において免疫応答をダウンレギュレーションするため にも有用な可能性がある。本方法を用いた免疫応答の抑制は、同種移植または異 種移植の受容者の治療において、移植臓器の拒絶を予防するためにも有用である と思われる。 遺伝子療法を用いてペプチドを治療用に細胞内に投与することもできる。その 場合、異種のペプチドをコードする配列に機能的に連結したプロモーターを含む 核酸を用いて、その核酸をトランスフェクトした細胞において高レベルでそのペ プチドを発現する。本発明のペプチドをコードするDNAまたは単離された核酸は 、標準的なベクターおよび/または遺伝子送達系によって患者の細胞に導入でき る。適切な遺伝子送達系には、リポソーム、受容体を介する送達系、裸のDNA、 ならびにヘルペスウイルス、レトロウイルス、およびアデノウイルスなどのウイ ルスベクターなどが含まれ得る。 薬学的に許容される担体は、例えば生理食塩水のように、動物に投与するため に適当な、生体適合性を持つ媒体である。治療に有効な量は、治療された動物に おいて医学的に望ましい結果を生成する能力のある本発明の核酸量である。 医学分野では周知のように、任意の患者に対する投与量は、患者の体格、体表 面積、年齢、投与される特定の化合物、性別、投与の時間と経路、一般的健康状 態、同時に投与される他の薬剤を含め、多くの要因に依存する。投与量は異なる が、遺伝子療法の場合、静脈投与に好ましい投与量は、核酸分子約106から1022 コピーである。Ras とRafの相互作用を阻害する化合物 RafとRas蛋白質の各々の結台表面を調べたところ、Rasエフェクターループ( アミノ酸32〜40)のRafアミノ酸50〜150への結合に加え、Ras-Raf結合にはRaf Z nフィンガー領域が必須であることが示された。インビトロおよびインビボでRas /Raf相互作用を阻害する治療用化合物を合成するために、阻害性ペプチドをモデ ルにすることができる。そのようなモデル手法は、合成化学の分野では周知であ る。 例えば、Raf残基50〜150および139〜184およびRas残基32〜40の領域にわたる アミノ酸ペプチドの小さく、重複するセットを合成し、阻害活性をスクリーニン グできる。次に、Ras-Raf相互作用を阻害することが分かっているペプチドを、 立体配座が束縛されたアナログの合成のための構造的原型として使用できる。ア ナロ グ内のペプチド結合は、治療に適した強力で安定な非ペプチド阻害薬を生成する ように修飾または置換できる。 Rasの結晶構造は、当技術分野で周知で、したがってこれを用いて結合残基の 実際の立体配座を推測することができる。同様に、Raf結晶およびRas/Raf共結晶 のX線結晶解析を用いて、各阻害性ペプチドの阻害性構造を予測することができ る。Rafに由来する阻害性ペプチドの構造を用いて、相互作用するペプチド構造 の必須の局面を模倣するより小さな非ペプチド化合物を作製することができる。 これらの候補化合物の阻害活性は、本発明の方法を用いて確認できる。 ペプチド-Rasおよびペプチド-Rafの共結晶は、X線結晶解析および核磁気共鳴 分析を用いて解析し、阻害性ペプチドが結合状態の時の構造を決定できる。阻害 性ペプチドは、蛋白質と相互作用をしているペプチドの局所環境に関するデータ を提供する、例えば、円偏光2色性、蛍光、電子スピン共鳴のような物理化学の 手法によっても解析できる。その後、上述のように合成化学の手法を用いて、各 ペプチドの阻害性立体配座を模倣する化合物を作製できる。スクリーニングアッセイ 本発明は、RasとRafの相互作用を阻害する能力に関して、候補化合物をスクリ ーニングするためにも使用できる。 例えばRafのZnフィンガー領域を含む断片のような、RafまたはRafのRasに結合 する断片に候補化合物を接触させ、候補化合物のペプチドまたはRas-Raf結合に 対する結合を決定することにより、候補化合物の抗増殖活性は評価できる。Raf またはRafのRasに結合する断片は、グルタチオンを含むポリマー性ビーズへのGS T-Raf融合蛋白質の結合のような、当技術分野で周知の方法を用いて固定できる 。化合物のRafペプチドへの結合は、その化合物がシグナル伝達経路を破壊し、 したがって細胞増殖を阻害する能力と相関している。 共沈競合アッセイも、Rasまたはその断片および変異体と、Rafおよびその断片 および変異体との相対的な結合親和性を測定するために使用できる。種々の候補 化合物が結合を破壊または低下させる効果は、このような競合アッセイでも測定 できる。 RasまたはRasのRaf結合断片に対する候補化合物の結合能力をスクリーニング で きる。同様に、上述のようにRafに結合する能力をスクリーニングして、抗増殖 活性を持つ化合物を同定できる。 別のスクリーニング方法では、RasもしくはRasのRaf結合断片またはRafもしく はRafのRas結合断片のような、Ras-Raf結合複合体の成分の1つを固定する。ペプ チドは、プラスチック製マイクロタイタープレートへの吸着またはグルタチオン を含むポリマー性ビーズへのGST融合蛋白質の特異的結合のような、当技術分野 で周知の方法を用いて固定できる。例えば、GST-RafまたはGST-Rasは、グルタチ オン-セファロースビーズに結合できる。その後、固定されたペプチドに、候補 化合物の存在下と非存在下で、それが結合する(この場合はRas)標識ペプチド を接触させる。その後、結合しなかったペプチドを除去し、複合体を可溶化して 分析し、結合した標識ペプチドの量を決定できる。結合の低下は、候補化合物が RasとRafの相互作用を阻害することを示す。 上述のスクリーニング方法の改変法を用いて、事前に形成されたRas-Raf相互 作用を破壊する能力を有する別のクラスの候補化合物をスクリーニングできる。 この例では、RafまたはRafのRas結合断片に結合した、RasまたはRasのRaf結合断 片を含む複合体を上述のようにして固定し、候補化合物を接触させる。候補化合 物による複合体の解体は、候補化合物がRasとRafの相互作用を破壊または阻害す る能力と相関している。 別のスクリーニング方法は、候補化合物の存在下と非存在下で、例えばRafキ ナーゼ活性のようなRafの活性化またはRafの触媒作用を測定することを含む。化 合物の非存在下と比較して存在下でRafの活性化が低下することは、候補化合物 がRafの活性化を阻害し、したがってRas-Raf経路のシグナル伝達を阻害すること を示す。 さらに別のスクリーニングアッセイでは、Ha-Ras(V12)、Ras CaaX、またはミ リストイル化Ras(Cadwalladerら、1994,Mol.Cell.Biol.14:4722-2730)の ような形質転換能のあるRasをコードするDNAをトランスフェクトした細胞を提供 し;その細胞に候補化合物を接触させ;および細胞の増殖量を決定することによ り、候補化合物の細胞増殖阻害能力をスクリーニングできる。形質転換能をトラ ンスフェクトされた細胞は、増殖して培養でフォーカスを形成する。候補化合物 の 非存在下と比較して存在下でフォーカスの数が低下するならば、候補化合物が細 胞の増殖を阻害することを示す。 Raf CaaXおよびミリストイル化Rafは、Rasに非依存性であり、これらの構築物 は細胞膜に局在するためにRasのエフェクターループを必要としない。したがっ て、スクリーニングアッセイにRaf CaaXまたはN末端がミリストイル化したRafを コードするDNAをトランスフェクトした細胞を用いて、フォーカス形成または細 胞増殖の低下に至るRaf活性化におけるZnフィンガーの機能を破壊する化合物が 同定できる。 他の実施例は、以下の請求の範囲内である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12Q 1/02 G01N 33/15 Z 1/48 33/50 Z G01N 33/15 33/566 33/50 C07K 5/04 33/566 7/04 // C07K 5/04 14/435 7/04 C12N 15/00 ZNAA 14/435 A61K 37/02 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),CA,JP (72)発明者 アブラッシュ ジョゼフ アメリカ合衆国 マサチューセッツ州 ブ ルックリン セント.ポール ストリート 277 (72)発明者 リョ ズジュン アメリカ合衆国 マサチューセッツ州 チ ェストナット ヒル デリー ロード 235 (72)発明者 マーシャル マーク エス. アメリカ合衆国 インディアナ州 キャメ ル スプルース コート 1519

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.Rafのジンクフィンガードメインに対するRasの非イフェクターループドメイ ンの直接結合を阻害する化合物を、哺乳類に投与するかまたは哺乳類の細胞に接 触させることを含む、哺乳類において細胞の増殖を減少させる方法。 2.化合物がジンクフィンガードメイン含有ポリペプチドである、請求項1記載 の方法。 3.ポリペプチドが配列番号:1を含むものである、請求項2記載の方法。 4.ポリペプチドが配列番号:2を含むものである、請求項3記載の方法。 5.化合物が、Rafのジンクフィンガードメインに結合する脂質部分を含むもの である、請求項1記載の方法。 6.脂質部分がファルネシル部分である、請求項5記載の方法。 7.化合物がC186位でファルネシル部分を含むRasのカルボキシ末端断片を有す る、請求項6記載の方法。 8.Rafのアミノ末端Ras結合ドメインに対するRasのイフェクターループドメイ ンの直接結合を阻害する第二の異なる化合物を、哺乳類へ投与するかまたは哺乳 類の細胞に接触させることをさらに含む、請求項1記載の方法。 9.化合物が配列番号:3を含むポリペプチドである、請求項8記載の方法。 10.化合物が配列番号:4を含むポリペプチドである、請求項8記載の方法。 11.ポリペプチドが配列番号:5を含むものである、請求項10記載の方法。 12.化合物がRaf酵素活性を減少させるものである、請求項1記載の方法。 13.哺乳類がヒトである請求項1記載の方法。 14.(a)Rafのジンクフィンガードメイン含有断片を提供する段階、 (b)RasのRaf結合断片を提供する段階、 (c)Rafの該ジンクフィンガードメイン含有断片、またはRasの該Raf結合断片を 候補化合物と接触させる段階、 (d)該化合物の非存在下と比較して、該化合物の存在下で結合が減少していれ ば、該化合物がRafに対するRasの直接結合を阻害することを示す、Rafのジンク フィンガードメイン含有断片とRasの該Raf-結合断片との結合を測定する段階、 を含む、候補化合物がRafに対するRasの直接結合を阻害することができるか否か を判定する方法。 15.Rafのジンクフィンガードメイン含有断片が配列番号:1のアミノ酸配列を 含む、請求項14記載の方法。 16.Rafのジンクフィンガードメイン含有断片が、配列番号:2のアミノ酸配列 を含む、請求項15記載の方法。 17.RasのRaf結合断片がファルネシル部分を含むものである、請求項14記載の方 法。 18.ファルネシル部分がC186位である、請求項5記載の方法。 19.(a)ジンクフィンガードメインおよびキナーゼ触媒ドメインを含むRafの断 片を提供する段階、 (b)RasのRaf結合断片を提供する段階、 (c)Rafの該ジンクフィンガードメイン含有断片またはRasの該Raf結合断片を候 補化合物と接触させる段階、および (d)該化合物の非存在下と比較して、該化合物の存在下で活性が減少していれ ば、該化合物はRaf活性化を阻害することを示す、Rafの該断片のRafキナーゼ活 性を測定する段階 を含む、候補化合物がRaf活性化を阻害できるか否かを判定する方法。 20.(a)形質転換コンピテントRasをコードする実質的に純粋なDNAでトランス フェクトされた細胞を提供する段階、 (b)該細胞を候補化合物と接触させる段階、 (c)該化合物の非存在下と比較して、該化合物の存在下で細胞が減少していれ ば、該候補化合物は細胞増殖を阻害することを示す、該細胞の増殖量を測定する 段階 を含む、候補化合物が細胞増殖を阻害することができるか否かを判定する方法。
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