JP2008513452A - 超臨界流体中の閉環複分解方法 - Google Patents

超臨界流体中の閉環複分解方法 Download PDF

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Abstract

好適な有機溶媒中でルテニウム触媒の存在下で式IIIのジエン化合物を環化することを含む式Iの化合物の調製方法であって、その方法を超臨界条件又は超臨界付近の条件でガス流体中で行なうことを特徴とする前記化合物の調製方法が開示される。
【化1】
Figure 2008513452

式Iの化合物はC型肝炎ウイルス(HCV)感染症の治療のための活性薬剤であり、又は坑HCV薬剤の調製に有益な中間体である。

Description

関連出願の相互参照
この出願は2004年9月17日に出願された、米国仮特許出願第60/610,685号の利益を主張する。
本発明はC型肝炎ウイルス(HCV)感染症の治療のための薬剤として有益な或る種の大環状化合物の改良された調製方法に関する。更に詳しくは、本発明は超臨界条件又は超臨界付近の条件におけるガス流体中の閉環複分解(“RCM”)反応によるこのような大環状化合物の改良された調製方法に関する。
下記の式(I)の大環状化合物及びそれらの調製方法はTsantrizosらの米国特許第6,608,027B1号、Llinas Brunetらの米国特許出願公開第2003/0224977A1号、Llinas Brunetらの米国特許出願公開第2005/0075279A1号、Llinas Brunetらの米国特許出願公開第2005/0080005A1号、Brandenburgらの米国特許出願公開第2005/0049187号及びSamstagらの米国特許出願公開第2004/0248779A1号から知られている。
Figure 2008513452
式中、
RAは脱離基又は式IIの基であり、
Figure 2008513452
WはCH又はNであり、
L0はH、ハロ、C1-6アルキル、C3-6シクロアルキル、C1-6ハロアルキル、C1-6アルコキシ、C3-6シクロアルコキシ、ヒドロキシ、又はN(R23)2であり、
夫々のR23は独立にH、C1-6アルキル又はC3-6シクロアルキルであり、
L1、L2は夫々独立にH、ハロゲン、C1-4アルキル、-O-C1-4アルキル、又は-S-C1-4アルキル(その硫黄はあらゆる酸化された状態である)であり、又は
L0とL1又はL0とL2は共有結合されてそれらが結合されている二つのC原子と一緒になって4員、5員又は6員炭素環式環〔互いに直接結合されていない1個又は2個(5員環又は6員環の場合)の-CH2-基は夫々独立に-O-又はNRa(RaはH又はC1-4アルキルである)により置換されていてもよく、また前記環は必要によりC1-4アルキルで一置換又は二置換されていてもよい〕を形成してもよく、
R22はH、ハロ、C1-6アルキル、C3-6シクロアルキル、C1-6ハロアルキル、C1-6チオアルキル、C1-6アルコキシ、C3-6シクロアルコキシ、C2-7アルコキシアルキル、C3-6シクロアルキル、C6又はC10アリール又はHet(Hetは窒素、酸素及び硫黄から選ばれた1〜4個のヘテロ原子を含む5員、6員、又は7員飽和又は不飽和複素環である)であり、
前記シクロアルキル、アリール又はHetはR24で置換されており、
R24はH、ハロ、C1-6アルキル、C3-6シクロアルキル、C1-6アルコキシ、C3-6シクロアルコキシ、NO2、N(R25)2、NH-C(O)-R25、又はNH-C(O)-NH-R25であり、夫々のR25は独立にH、C1-6アルキル又はC3-6シクロアルキルであり、又は
R24はNH-C(O)-OR26であり、R26はC1-6アルキル又はC3-6シクロアルキルであり、
R3はヒドロキシ、NH2、又は式-NH-R9の基であり、R9はC6又は10アリール、ヘテロアリール、-C(O)-R20、-C(O)-NHR20又は-C(O)-OR20であり、R20はC1-6アルキル又はC3-6シクロアルキルであり、
DはO、S又はN-R27(式中、R27はH、C1-6アルキル、C3-6シクロアルキル又はC(O)R28であり、R28はC1-6アルキル、C3-6シクロアルキル又はC6又は10アリールである)から独立に選ばれた1〜3個のヘテロ原子を必要により含んでもよい3〜7原子飽和アルキレン鎖であり、
R4はH、又は前記鎖Dのいずれかの炭素原子にある1〜3個の置換基であり、前記置換基はC1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C1-6アルコキシ、ヒドロキシ、ハロ、アミノ、オキソ、チオ、又はC1-6チオアルキルからなる群から独立に選ばれ、
Aは式-C(O)-NH-R11のアミドであり、R11はC1-8アルキル、C3-6シクロアルキル、C6又は10アリール、C7-16アラルキル、又はSO2R5A(式中、R5AはC1-8アルキル、C3-7シクロアルキル、C1-6アルキル-C3-7シクロアルキルである)からなる群から選ばれ、又は
Aはカルボン酸又はその医薬上許される塩もしくはエステルである。
式(I)の化合物は上記特許書類にC型肝炎ウイルス(HCV)感染症の治療のための活性薬剤であるとして、又はそこに記載されたような坑HCV薬剤の調製に有益な中間体として開示されており、そこでは好適な有機溶媒中でルテニウムをベースとする触媒を使用して非環式ジオレフィンの閉環複分解により調製される。
超臨界二酸化炭素が或る種のオレフィン複分解反応を行なうのに融通性の反応媒体として使用されてもよく、閉環オレフィン複分解反応の場合に、超臨界二酸化炭素の溶解性特性が低分子量RCM生成物を選択的超臨界流体抽出によりルテニウム錯体から単離するのに利用し得ることが報告されていた(Furstnerら, J. Am. Chem. Soc., 2001, 123(37), 9000; W. Leitner, C. R. Acad. Sci. Paris, Serie IIc, Chimie, 2000, 3, 595; Furstnerら, Angew. Chem., 1997, 109, 2562及びAngew. Chem. Int. Ed. Engl., 1997, 36, 2466; 並びにPandeyら, J. Phys. Chem. B. 2002, 106(7), 1820)。しかしながら、多くの例が低分子量RCM生成物を使用して示されているが、このような技術が高分子量RCM生成物、例えば、式(I)の大環状化合物に有効であろうという開示又は示唆はない。
驚くことに、超臨界又は超臨界付近の流体が式Iの大環状化合物をもたらすジオレフィンの閉環複分解を行なうのに最適の反応媒体として有益とわかった。それ故、本発明は先に示された式Iの化合物の調製方法であって、前記方法が好適な有機溶媒中でルテニウム触媒の存在下で下記の式IIIのジエン化合物を環化することを含み、その方法を超臨界条件又は超臨界付近の条件でガス流体中で行なって下記の式Iの化合物を得ることを特徴とする前記化合物の調製方法に関する。
Figure 2008513452
式中、可変基RA、R3、R4、D及びAは先に定義されたとおりであり、かつ式III中の夫々のR5は独立にH、C1-6アルキル及びC3-6シクロアルキルから選ばれる。
定義
本明細書で特別に定義されない用語は開示及び状況に鑑みて当業者によりそれらに与えられる意味を与えられるべきである。しかしながら、本明細書に使用される下記の用語は、その逆に明記されない限り、示された意味を有し、下記の通例が従われる。
以下に定義される基、又は部分中で、炭素原子の数が基に先行してしばしば明記され、例えば、C1-6アルキルは1〜6個の炭素原子を有するアルキル基を意味する。一般に、二つ以上のサブグループを含む基について、最後に命名された基は基結合位置であり、例えば、“チオアルキル”は式HS-Alk-の1価の基を意味する。以下に特に明記されない限り、用語支配の通常の定義及び通常の安定な原子価が全ての式及び基中で推定され、得られる。
本明細書に単独で、又は別の置換基と組み合わせて使用される“C1-xアルキル”という用語は、明記された1〜xまでの数の炭素原子を含む非環式の、直鎖又は分岐鎖アルキル置換基を意味する。
本明細書に単独で、又は別の置換基と組み合わせて使用される“C1-xアルコキシ”という用語は、置換基C1-xアルキル-O-(式中、アルキルはx個までの炭素原子を含んで先に定義されたとおりである)を意味する。
本明細書に使用される“飽和アルキレン鎖”という用語は飽和直鎖又は分岐鎖脂肪族炭化水素の夫々の末端からの1個の水素原子の除去により誘導された2価のアルキル置換基を意味し、例えば、-CH2CH2C(CH3)2CH2CH2-が挙げられる。
本明細書に単独で、又は別の置換基と組み合わせて使用される“C3-xシクロアルコキシ”という用語は、3個からx個までの炭素原子を含む置換基C3-xシクロアルキル-O-を意味する。
本明細書に単独で、又は別の置換基と組み合わせて使用される“C6又はC10アリール”という用語は、6個の炭素原子を含む芳香族単環式系又は10個の炭素原子を含む芳香族二環式系を意味する。例えば、アリールとして、フェニル又はナフチル環系が挙げられる。
本明細書に単独で、又は別の置換基と組み合わせて使用される“C7-16アラルキル”という用語は、アルキル基により結合された先に定義されたアリールを意味し、アルキルは1個から6個までの炭素原子を含んで先に定義されたとおりである。アラルキルとして、例えば、ベンジル、及びブチルフェニルが挙げられる。
本明細書に単独で、又は別の置換基と組み合わせて使用される“Het”という用語は、炭素原子と窒素、酸素及び硫黄から選ばれた1個から4個までの環ヘテロ原子を含む5員、6員、又は7員飽和又は不飽和(芳香族を含む)複素環からの水素の除去により誘導された1価の置換基を意味する。好適な複素環の例として、テトラヒドロフラン、チオフェン、ジアゼピン、イソオキサゾール、ピペリジン、ジオキサン、モルホリン、ピリミジン又は
Figure 2008513452
が挙げられる。
また、“Het”という用語は一つ以上のその他の環(それは複素環又は炭素環であってもよく、これらの夫々が飽和又は不飽和であってもよい)に縮合された先に定義された複素環を含む。一つのこのような例として、チアゾロ〔4,5-b〕-ピリジンが挙げられる。“Het”という用語により一般にカバーされるが、本明細書に使用される“ヘテロアリール”という用語は二重結合が芳香族系を形成する不飽和複素環を正確に定義する。ヘテロ芳香族“ヘテロアリール”系の好適な例として、キノリン、インドール、ピリジン、
Figure 2008513452
が挙げられる。
“オキソ”という用語は置換基として結合される二重結合基(=O)を意味する。
“チオ”という用語は置換基として結合される二重結合基(=S)を意味する。
一般に、特別な立体化学又は異性体形態が化合物名又は構造中に明示されない限り、化学構造又は化合物の、全ての互変異性体形態及び異性体形態並びに混合物(個々の幾何異性体、立体異性体、光学異性体又は異性体のラセミ混合物もしくは非ラセミ混合物を問わない)が意図されている。
本明細書に単独で、又は別の置換基と組み合わせて使用される“医薬上許されるエステル”という用語は、その分子のカルボン酸官能基のいずれか、好ましくはカルボキシ末端がアルコキシカルボニル官能基:
Figure 2008513452
(式中、そのエステルのR部分はアルキル(例えば、メチル、エチル、n-プロピル、t-ブチル、n-ブチル);アルコキシアルキル(例えば、メトキシメチル);アルコキシアシル(例えば、アセトキシメチル);アラルキル(例えば、ベンジル);アリールオキシアルキル(例えば、フェノキシメチル);必要によりハロゲン、C1-4アルキル又はC1-4アルコキシで置換されていてもよい、アリール(例えば、フェニル)から選ばれる)
により置換されている式Iの化合物のエステルを意味する。その他の好適なプロドラッグエステルがDesing of Prodrugs, Bundgaard, H.編集, Elsevier (1985)(参考として本明細書に含まれる)に見られる。このような医薬上許されるエステルは哺乳類に注射された場合にin vivoで通常加水分解され、式Iの化合物の酸形態に変換される。上記エステルに関して、特に明記されない限り、アルキル部分は1〜16個の炭素原子、特に1〜6個の炭素原子を有利に含む。このようなエステル中に存在するアリール部分はフェニル基を有利に含む。特に、エステルはC1-16アルキルエステル、未置換ベンジルエステル又は少なくとも一つのハロゲン、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、ニトロもしくはトリフルオロメチルで置換されたベンジルエステルであってもよい。
本明細書に使用される“医薬上許される塩”という用語は医薬上許される塩基から誘導されたものを含む。好適な塩基の例として、コリン、エタノールアミン及びエチレンジアミンが挙げられる。Na+塩、K+塩、及びCa++塩がまた本発明の範囲内であることが意図されている(また、Pharmaceutical Salts, Birge, S.M.ら, J. Pharm. Sci., (1977), 66, 1-19(参考として本明細書に含まれる)を参照のこと)。
記載された値に関する“約”という用語は記載された値の±20%、好ましくは±10%、更に好ましくは±5%、更に一層好ましくは±1%を意味する。“約”という用語が或る範囲の値に関して使用される場合、“約”という用語はその範囲の夫々の記載された終点を限定することが意図される。例えば、“約70〜80℃”という表現は“約70℃〜約80℃”と同等である。
“ガス流体”、又は“超臨界流体”は(1)大気条件下でガスであり、かつ適度の臨界温度(即ち、<200℃)を有する流体もしくは流体の混合物、又は(2)超臨界流体として既に用途があった流体を意味する。ガス流体の例として、約200℃以下の臨界温度及び約689バール以下の臨界圧力を有するものが挙げられる。特別な例として、二酸化炭素、酸化窒素、トリフルオロメタン、エタン、エチレン、プロパン、六フッ化硫黄、プロピレン、ブタン、イソブタン、ペンタン、及びこれらの混合物が挙げられる。
本発明の実施態様
以下の合成スキームにおいて、特に明記されない限り、化学式中の全ての置換基は式(I)中と同じ意味を有するべきである。式IIIのジエン化合物を含む、以下に記載される合成スキームに使用される反応体は本明細書に記載されるように得られてもよく、又は本明細書に記載されない場合には、それら自体市販されており、もしくは当業界で知られている方法により市販の物質から調製されてもよい。或る種の出発物質は、例えば、国際特許出願WO 00/59929、WO 00/09543及びWO 00/09558、米国特許第6,323,180B1号、米国特許第6,608,027B1号並びに米国特許出願公開第2003/0224977A1号に記載された方法により得られてもよい。
最適反応条件及び反応時間は使用される特別な反応体に応じて変化し得る。特に明記されない限り、溶媒、温度、圧力、及びその他の反応条件は当業者により容易に選ばれてもよい。特別な操作が合成実施例の節に示される。典型的には、反応進行が所望により高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)により監視されてもよく、中間体及び生成物がシリカゲルによるクロマトグラフィー及び/又は再結晶により精製されてもよい。
一つの一般実施態様において、本発明は式Iの化合物の調製方法に関するものであり、前記方法が好適な有機溶媒中でルテニウム触媒の存在下で下記の式IIIのジエン化合物を環化することを含み、その方法を超臨界条件又は超臨界付近の条件でガス流体中で行なって下記の式Iの化合物を得る。
Figure 2008513452
(式中、可変基RA、R3、R4、D及びAは先に定義されたとおりであり、かつ式III中の夫々のR5は独立にH、C1-6アルキル及びC3-6シクロアルキルから選ばれる)
本発明の方法に使用されるガス流体として、例えば、通常の超臨界流体方法に普通に使用されるあらゆるガス流体が挙げられる。使用し得るガス流体の例として、約200℃以下の臨界温度及び約689バール以下の臨界圧力を有するものが挙げられる。特別な例として、二酸化炭素、酸化窒素、トリフルオロメタン、エタン、エチレン、プロパン、六フッ化硫黄、プロピレン、ブタン、イソブタン、ペンタン、及びこれらの混合物が挙げられる。好ましいガス流体は二酸化炭素である。
反応工程に好ましい超臨界又は超臨界に近いプロセス条件は以下のとおりである。その反応は好ましくはガス流体の臨界温度(ケルビン度)の約0.8〜3.0倍の範囲の温度、及びガス流体の臨界圧力の約0.5〜30倍の範囲の圧力、更に好ましくはガス流体の臨界温度(ケルビン度)の約2.0〜3.0倍の範囲の温度、及びガス流体の臨界圧力の約1〜10倍の範囲の圧力で行なわれる。
ガス流体の型及び量並びに特別な場合に使用すべき処理条件は本明細書に示される記載及び実施例並びに既知技術を参考にして超臨界流体処理技術の分野の熟練者により容易に決められる。特別な実施態様において、ガス流体が二酸化炭素であり、かつその反応工程が約70〜80℃の範囲の温度及び約95〜238バールの範囲の圧力で行なわれる。
使用し得る有機溶媒は式(III)の化合物が実質的に可溶性であり、かつそれ自体が選ばれる処理条件下でガス流体に実質的に可溶性であるあらゆる好適な有機溶媒である。使用し得る有機溶媒の例として、トルエン、ジクロロメタン、THF、ジオキサン、酢酸エチル、tert-ブチルアセテート、メチル-tert-ブチルエーテル、メタノール、水、及びこれらの混合物が挙げられる。
複分解環化工程に適したルテニウム触媒として、式A、B、C、D又はEの化合物を含む、RCM反応に有益な公知のルテニウム触媒のいずれもが挙げられる。
Figure 2008513452
式中、
X1及びX2は夫々独立に陰イオンリガンドを表わし、
L1はルテニウム原子に結合されており、必要によりフェニル基に結合されてもよい中性電子ドナーを表わし、かつ
L2はルテニウム原子に結合されている中性電子ドナーを表わし、かつ
R5はベンゼン環の1個以上の置換基から選ばれ、夫々の置換基が水素、C1-6アルキル、ハロC1-6アルキル、HS-C1-6アルキル、HO-C1-6アルキル、ペルフルオロC1-6アルキル、C3-6シクロアルキル、C1-6アルコキシ、ヒドロキシル、ハロゲン、ニトロ、イミノ、オキソ、チオ又はアリールから独立に選ばれ、また
X2及びL2は必要により一緒になって錯生成二座リガンドを形成してもよい。
別の実施態様において、ルテニウム触媒がA-1及びA-2から選ばれる。
Figure 2008513452
式中、
L1は式PR3(式中、RはC1-6アルキル及びC3-8シクロアルキルから選ばれる)の三置換ホスフィン基であり、
L2は式PR3(式中、RはC1-6アルキル及びC3-8シクロアルキルから選ばれる)の三置換ホスフィン基であり、又は
L2は式A又はBの基であり、
Figure 2008513452
(式中、
R7及びR8は夫々独立に水素原子又はC1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C6-12アリール基もしくはC6-12アリール-C1-6アルキル基を表わし、かつ
R9及びR10は夫々独立に水素原子又はC1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C6-12アリール基もしくはC6-12アリール-C1-6アルキル基を表わし、夫々が必要により水素、C1-6アルキル、ハロC1-6アルキル、HS-C1-6アルキル、HO-C1-6アルキル、ペルフルオロC1-6アルキル、C3-6シクロアルキル、C1-6アルコキシ、ヒドロキシル、ハロゲン、ニトロ、イミノ、オキソ、チオ又はアリールから選ばれた1個、2個又は3個の基により置換されていてもよい)
X1及びX2は夫々独立にハロゲン原子を表わし、
R5は水素又はニトロを表わし、かつ
R6はC1-6アルキル基を表わす。
別の実施態様において、ルテニウム触媒が下記のものから選ばれる。
Figure 2008513452
(式中、Phはフェニルであり、かつMesは2,4,6-トリメチルフェニルである)
複分解環化工程に有益なルテニウムをベースとする触媒、例えば、先に示された触媒は、既知の合成技術により得られてもよい全て既知の触媒である。例えば、先の背景技術に引用された文献だけでなく、例えば、このようなルテニウムをベースとする触媒の下記の文献を参照のこと。
Organometallics 2002, 21, 671; 1999, 18, 5416; 及び1998, 17, 2758;
J. Am. Chem. Soc. 2001, 123, 6543; 1999, 121, 791; 1999, 121, 2674; 2002, 124, 4954; 1998, 120, 2484; 1997, 119, 3887; 1996, 118, 100; 及び1996, 118, 9606
J. Org. Chem. 1998, 63, 9904; 及び1999, 64, 7202;
Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 1998, 37, 2685; 1995, 34, 2038; 2000, 39, 3012 及び2002, 41, 4038;
米国特許第5,811,515号; 同第6,306,987B1号; 及び同第6,608,027B1号
式IIIの出発物質及び触媒の相対的濃度レベルだけでなく、その他の処理条件は、特別な方法について最適結果を得るように当業者により容易に調節し得る。一つの特別な実施態様において、式IIIの出発物質化合物が約0.007M〜0.014Mの濃度で反応混合物中に存在し、触媒が式IIIの化合物に対して約25〜50モル%の濃度で反応混合物中に存在する。別の実施態様において、式IIIの化合物が約0.01Mの濃度で反応混合物中に存在し、触媒が式IIIの化合物に対して約25モル%の濃度で反応混合物中に存在する。
本発明の範囲内の特別な方法についてのプロセス条件は最適結果、即ち、増大された生成物収率及び減少された副生物を得るように当業者により容易に選ばれ、調節し得る。一実施態様において、本発明の方法は少なくとも約65%の式Iの生成物の収率及び約10%以下の二量体の副生物をもたらす。別の実施態様は本発明の方法が少なくとも約75%の式Iの生成物の収率及び約5%以下の二量体の副生物をもたらす場合である。
広い可変性が本発明の方法の範囲内で可能である。例えば、有機溶媒中の式IIIのジエン化合物及び触媒はそれらが物理的に分離されて保たれるような方法で反応容器に添加されてもよく、こうしてガス流体による反応容器の加圧(その時点で反応が起こる)の前に非反応性であり得る。また、有機溶媒中の式IIIの化合物を含む反応容器はガス流体で超臨界条件又は超臨界に近い条件に加圧されてもよく、次いで触媒が容器に添加され、その時点で反応が起こる。その他の変化が本発明の範囲内で可能であり、RCM反応が超臨界条件又は超臨界に近い条件でガス流体中で起こって式Iの環化生成物を得る場合、全てのこのような変化が本発明によりカバーされる。
反応の最後に、ガス流体がその系から排出されてもよく、式Iの大環状生成物が通常の技術を使用して反応混合物から分離し得る。例えば、ルテニウム金属の一部又は全部が好適な重金属脱除剤、例えば、トリスヒドロキシメチルホスフィン(THP)又は重金属を脱除することが知られているその他の薬剤による処理により反応混合物から除去されてもよい。反応混合物が水洗され、続いて有機溶液が部分濃縮される(例えば、蒸留方法により)。有機溶液は、例えば、活性炭の添加、続いて濾過により脱色されてもよく、次いで好適な温度で好適な溶媒、例えば、前冷却されたメチルシクロヘキサン(これは濾過により集められる式(I)の生成物化合物の沈殿を生じる)に添加される。
本発明の付加的な実施態様
その方法の特別な実施態様において、
RAがOH、O-PG(PGは保護基である)、又は-OSO2-R27(式中、R27はp-トリル、p-ブロモフェニル、p-ニトロフェニル、メチル、トリフルオロメチル、ペルフルオロブチル及び2,2,2-トリフルオロエチルから選ばれる)から選ばれた脱離基であり、又は
RAが式IIの基であり、かつ
WがNであり、
L0がH、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、ヒドロキシ、クロロであり、
L1及びL2が夫々独立にH、ハロゲン又はC1-4アルキルであり、
R22がH、C1-6チオアルキル、C1-6アルコキシ、フェニル又は
Figure 2008513452
(式中、R24がH、C1-6アルキル、NH-R25、NH-C(O)-R25、NH-C(O)-NH-R25(夫々のR25が独立にH、C1-6アルキル、もしくはC3-6シクロアルキルである)、又はNH-C(O)-OR26であり、R26がC1-6アルキルである)
からなる群から選ばれたHetであり、又は
R3がNH-C(O)-OR20であり、R20がC1-6アルキル、又はC3-6シクロアルキルであり、
DがO、S又はN-R27(式中、R27がH、C1-6アルキル又はC2-7アシルである)から独立に選ばれた1個又は2個のヘテロ原子を必要により含んでもよい4〜6原子飽和アルキレン鎖であり、
R4がH又はC1-6アルキルであり、かつ
Aがカルボン酸又はその医薬上許される塩もしくはエステルである、式Iの化合物が調製される。
その方法の別の特別な実施態様において、
RAがOH及び-OSO2-R27(式中、R27はp-トリル、p-ブロモフェニル、p-ニトロフェニル、メチル、トリフルオロメチル、ペルフルオロブチル及び2,2,2-トリフルオロエチルから選ばれる)から選ばれた脱離基であり、
R3がNH-C(O)-OR20(式中、R20はブチル、シクロブチル又はシクロペンチルである)であり、
R4がH又はC1-6アルキルであり、
Dが5原子飽和アルキレン鎖であり、かつ
Aがカルボン酸又はその医薬上許される塩もしくはエステルである、式Iの化合物が調製される。
その方法の別の特別な実施態様において、
RAが-OSO2-R27であり、R27がp-ブロモフェニルであり、
R3がNH-C(O)-OR20であり、R20がシクロペンチルであり、
R4がHであり、
Dが13位、14位に1個のシス二重結合を含む5原子全炭素鎖であり、かつ式(I)の右手部分が下記の式の部分(14位のシクロプロピル結合がエステル基に対しsynである)である、式Iの化合物が調製される。
Figure 2008513452
その方法の別の特別な実施態様において、
(a)ガス流体が二酸化炭素であり、かつその方法を約70〜80℃の範囲の温度及び約95〜238バールの範囲の圧力で行ない、
(b)ルテニウム触媒が
Figure 2008513452
から選ばれ、かつ
(c)式(I)及び(III)の化合物において、
RAがOH及び-OSO2-R27(式中、R27がp-トリル、p-ブロモフェニル、p-ニトロフェニル、メチル、トリフルオロメチル、ペルフルオロブチル及び2,2,2-トリフルオロエチルから選ばれる)から選ばれた脱離基であり、
R3がNH-C(O)-OR20であり、R20がブチル、シクロブチル又はシクロペンチルであり、
R4がH又はC1-6アルキルであり、
R5がHであり、
Dが5原子飽和アルキレン鎖であり、かつ
Aがカルボン酸又はその医薬上許される塩もしくはエステルであり、必要により、式(III)の化合物が約0.015M以下の濃度で反応混合物中に存在してもよい。
別の特別な実施態様において、下記の式IA:
Figure 2008513452
(式中、R3、R4、R27、A及びDは式Iについて先に示された意味を有する)
の化合物が、式IIA:
Figure 2008513452
(式中、R3、R4、R27、D及びAは先に定義されたとおりである)
のジエン化合物をルテニウム触媒の存在下で好適な溶媒中でガス流体中で超臨界条件又は超臨界に近い条件で大環状化することにより調製し得る。
ジエン化合物IIIAから大環状化合物IAへの複分解変換に適した条件及び触媒として、ジエン化合物IIIから大環状化合物Iへの複分解変換について先に示されたものが挙げられる。
出発物質の調製
出発物質として使用される式(III)のジエン化合物は、例えば、米国特許第6,608,027B1号及び米国特許出願公開第2003/0224977A1号に記載された技術を使用して市販物質から得られてもよい。
出発物質として使用される式(IIIA)のジエン化合物は以下の工程(i)、(ii)及び(iii)に記載される技術を使用して市販物質から得られてもよい。
工程(i)
この工程は式(1)
Figure 2008513452
の化合物の調製方法に関するものであり、
前記方法は式(2)の化合物、又はその塩を式(3)の化合物と反応させることを含む。
Figure 2008513452
式(2)の化合物と式(3)の化合物の間のペプチドカップリングは非プロトン性溶媒、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、DMF、NMP、DMSO中で通常のペプチドカップリング試薬、例えば、DCC、EDC、TBTU、HBTU、HATU、DMTMM、HOBT、又はHOATを使用して当業界で知られている種々の条件下で得ることができた。
特別な実施態様において、式(2)の化合物はそのメシレート塩の形態で使用される。
出発物質として使用される、式(2)の環状ラクトンは下記の一般スキームに概説されるような通常の技術を使用して式(4)の市販の4-ヒドロキシプロリン化合物から得ることができる。
Figure 2008513452
第一工程では、適当なアミノ保護基が通常の操作を使用して式(4)の4-ヒドロキシプロリン化合物の環窒素原子に導入される。例えば、式(4)の化合物が好適な溶媒に溶解され、適当なアミノ保護基導入試薬と反応させられてもよい。例えば、その範囲を限定されることを目的としないで、Boc(tert-ブチルオキシカルボニル)が所望の保護基である場合には、化合物(4)が溶媒混合物、例えば、アセトン/水、MIBK/水、THF/水(これに塩基、例えば、NaOH、KOH、LiOH、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、又はN-メチル-ピロリジンが添加される)中で無水Boc2O(又はBoc-ON)と反応させられ、その反応は20-60℃の温度で行なわれる。
第二工程では、式(5)の保護された4-ヒドロキシプロリン化合物が好適な溶媒中で適当な環化試薬との反応により式(6)の環状ラクトン化合物に変換される。一実施態様において、式(5)の化合物のOH官能基が最初に非プロトン性溶媒(例えば、THF、ジオキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、アセトン、又はメチルイソブチルケトン)中で三級アミン塩基(例えば、N-メチル-ピロリジン、ジイソプロピルエチルアミン又はトリエチルアミン)の存在下で酸塩化物(例えば、メタンスルホニルクロリド、p-トルエンスルホニルクロリド、又はトリフルオロメタンスルホニルクロリド)と反応させられて化合物に好適な脱離基をもたせ、続いて得られた化合物が極性非プロトン性溶媒(例えば、ジオキサン)中で三級アミン塩基の存在下で環化されて式(6)の所望の環状ラクトンを得る。
第三工程では、式(6)の環状ラクトン化合物が通常の脱保護技術を使用して、例えば、式(6)の化合物を好適な溶媒中で酸、例えば、p-トルエンスルホン酸、HCl、HBr、HI、HF、H2SO4、H3PO4、メタンスルホン酸又はトリフルオロ酢酸の存在下で加熱することにより脱保護されて式(2)の化合物を得る。
式(2)の化合物は必要により適当な酸との反応により塩形態に変換されてもよい。式(4)の適当な4-ヒドロキシプロリン化合物から出発する式(2)の化合物のメシレート塩の調製の特別な例が下記の合成実施例の節に見られる。
出発物質として使用される式(3)の置換酸化合物は米国特許第6,608,027B1号に記載された技術を使用して市販物質から得られてもよい。
工程(ii)
工程(ii)は式(7):
Figure 2008513452
の化合物の調製方法に関するものであり、
前記方法は式(1)の化合物を式(8)の化合物と反応させることを含む。
Figure 2008513452
好適な溶媒(例えば、水、トルエン、ピリジン、好適な溶媒混合物、例えば、トルエン/THF又は好適な2相溶媒系、例えば、水/トルエン)中の、式(1)の化合物、式(8)の化合物及び好適な塩基、例えば、ナトリウム2-エチルヘキサノエート(SEH)の混合物が反応の完結まで約20℃〜約80℃の温度で撹拌される。処理のために、有機層が洗浄され、生成物が溶媒の除去後に単離されてもよい。
出発物質として使用される式(8)の化合物は国際特許出願WO 00/09543、WO 00/09558、米国特許第6,323,180B1号及び米国特許第6,608,027B1号に記載された技術を使用して市販物質から得られてもよい。
工程(iii)
工程(iii)は式(IIIA):
Figure 2008513452
の化合物の調製方法に関するものであり、
前記方法は式(7)の化合物を式(9)の化合物と反応させることを含む。
Figure 2008513452
(式中、Xは好適な脱離基を表わし、かつR27はp-トリル、p-ブロモフェニル、p-ニトロフェニル、メチル、トリフルオロメチル、ペルフルオロブチル及び2,2,2-トリフルオロエチルから選ばれる)
有機溶媒(例えば、エーテル、ジクロロメタン、クロロホルム又はトルエン)中の式(7)の化合物及び有機塩基(例えば、DABCO、トリエチルアミン、1-メチルピロリジン又はピリジン)の混合物に、式(9)の化合物の溶液が添加され、得られる混合物が反応の完結まで周囲温度(15-25℃)で撹拌される。
下記のスキームは式1fのジエン化合物(特別な式III化合物)を調製するのに知られている方法を使用する別法を示す。
スキームI
Figure 2008513452
スキームI中、
工程A、C、D:簡単に言えば、P1部分、P2部分、及びP3部分が一般にWO 00/09543及びWO 00/09558に開示された公知のペプチドカップリング技術により結合し得る。
工程B:この工程は4-ヒドロキシ置換基の配置の反転を伴う。当業者により認められるように、これがなし得る幾つかの方法がある。都合の良い方法の一例は公知のミツノブ反応である(Mitsunobu Synthesis 1981, 1月, 1-28; Ranoら, Tet. Lett. 1994, 36, 3779-3792; Krchnakら, Tet. Lett. 1995, 36, 6193-6196)。
工程E:式1fからの大環状化合物1gの生成がジエン化合物IIIから大環状化合物Iへの複分解変換について先に示されたようなルテニウムをベースとする触媒を使用して本発明の方法によるオレフィン複分解により行ない得る。
工程F:好適な脱離基(即ち、ブロシレート)への1g中のヒドロキシル基の変換が遊離OHを相当するハロ誘導体(即ち、4-ブロモベンゼンスルホニルクロリド)と反応させることにより行なわれて化合物1hに達してもよく、式中、Brsはプロリン環に結合された4-ブロモベンゼンスルホニル-オキシ基である。
下記の反応順序が式IIIの或る種の中間体化合物(式IIIBの化合物)を調製するための別法を示す。
(i) 式(II)の化合物を式(III)の化合物と反応させて式(IV)の化合物を得、
Figure 2008513452
(式中、PGはアミノ保護基であり、Xはハロゲン原子であり、かつQは下記の式:
Figure 2008513452
の置換基である)
(ii) 式(IV)の化合物を式(V)の化合物と反応させて式(VI)の化合物を得、
Figure 2008513452
(式中、Aは式-C(O)-NH-R11(式中、R11は式Iについて先に定義されたとおりであり、又は
Aは保護されたカルボン酸基である)
(iii) 式(VI)の化合物中の窒素保護基を除去して式(VII)の化合物を得、
Figure 2008513452
(iv) 式(VII)の化合物を式(VIII)の化合物と反応させて式(IIIB)の化合物を得る。
Figure 2008513452
後RCM工程
式(I)の大環状化合物をもたらすRCM反応後に、式(I)のその他の化合物をもたらす付加的な反応工程が可能である。例えば、RAが式(I)中の脱離基である場合、このような化合物は式(I)の化合物(式中、RAは脱離基である)を式(IV)の化合物と反応させて式(I)の化合物(式中、RAは式(II):
Figure 2008513452
の基である)を得ることを含む方法により式(I)の付加的な化合物(式中、RAは式(II)の基である)に変換し得る。
一実施態様において、上記IAの環化化合物は下記の順序を使用して式Iのその他の化合物(式中、RAは式IIの基である)(即ち、下記の式IBの化合物)を調製するのに使用し得る。
Figure 2008513452
その方法は式(IA)の大環状化合物を式(X)の化合物と反応させることを含み、
Figure 2008513452
Aが式(IB)の得られる化合物中のカルボン酸エステル基である場合には、必要により式(IB)の化合物を加水分解条件に暴露して式(IB)の化合物(式中、Aはカルボン酸基である)を得てもよく、またAが式(IB)の得られる化合物中のカルボン酸基である場合には、必要によりこの化合物を好適なカップリング剤、例えば、TBTU又はHATUの存在下で式R5ASO2NH2のスルホンアミドとカップリングして式(IB)の化合物(式中、Aは-C(O)-NH-SO2R5Aである)を得てもよい。
式(IA)の化合物及び式(X)の化合物は極性非プロトン性有機溶媒(例えば、THF、ジオキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、アセトン、又はメチルイソブチルケトン)中で無機又は有機塩基(例えば、炭酸セシウム、又はDBU)の存在下で反応の完結まで40℃〜100℃で混合される。水処理、続いて好適な溶媒、例えば、酢酸エチル-ヘプタン又は酢酸エチル/メチルシクロヘキサンからの結晶化が式(IB)の化合物を与える。
Aが式(IB)中のカルボン酸エステルである場合には、式(IB)のエステル化化合物が必要により加水分解条件に暴露されて相当する遊離カルボン酸化合物を得てもよい。加水分解は当業界で知られている通常の加水分解条件を使用して行ない得る。続いて遊離カルボン酸化合物が当業界で公知の技術を使用して式(I)内のアミド又はスルホンアミドに変換し得る。
出発物質として使用される式(X)の化合物は国際特許出願WO 00/09543、WO 00/09558、米国特許第6,323,180B1号及び米国特許第6,608,027B1号に記載された技術を使用して市販物質から得られてもよい。
実施例1:ブロシル化ジエン中間体1の調製
Figure 2008513452
工程1:Boc保護基の導入;(2)の合成
Figure 2008513452
そのアミノ保護をBoc保護基で行なった。(1)(トランス-4-ヒドロキシL-プロリン)(249.8g、1.905モル)を水(375ml)及び45%の水酸化ナトリウム溶液(203g、2.286モル)に溶解した。良好な相間移動を確実にするために、tert-ブタノール(106g)を添加した。異なる操作では、THF/tert-ブタノールに代えてアセトンを使用した。その反応混合物を50℃に加熱し、無水Boc2O(424g、1.943モル)をTHF(425ml、又はアセトン)に溶解し、徐々に添加した。その反応は発熱であり、Boc2Oを添加するにつれてガス(CO2)を発生する。その反応が望むように進行しない場合、触媒量のDMAP(2.3g、19ミリモル)を添加し得る。Boc2Oの添加後に、その反応混合物を1/2-1時間にわたって50℃に保ち、THFを部分蒸留により除去した。残っている溶液のpHを濃HCl(204g、2.076モル)でpH約3に調節し、次いで生成物をMIBK(1リットル)、再度MIBK(375ml)で抽出した。有機層を加熱し、溶媒の一部を蒸留して除いて痕跡の水を除去した。MCH(1.25リットル)を添加することにより生成物をこの溶液から結晶化し、濾過により単離し、MCH(375ml)で2回洗浄し、40℃で一夜乾燥させた。
収率:77-78%、無色の結晶、Fp=126-128℃
工程2:ラクトンの生成;(3)の合成
Figure 2008513452
(2)(416.3g、1.8モル)をTHF(2.08リットル)に溶解し、氷で約-5℃から約-10℃までの温度に冷却する。メシルクロリド(392g、3.4モル)及びN-メチルピロリジン(429g、5モル)を添加し、その混合物を約-5℃で約1.5時間撹拌する。その混合物を水洗し、還流まで加熱する。ジオキサン(2.08リットル)を注入し、THFを蒸留して除く。室温に冷却した後、DIPEA(233g、1.8モル)を添加し、その混合物を加熱、還流する。1時間後に、溶媒の一部(830ml)を蒸留して除き、周囲温度に冷却し、KHSO4溶液(水2.08リットル中14.4g)を注入し、その溶液を室温に冷却する。得られる結晶を濾過により単離し、水洗し、45℃で一夜乾燥させる。
収率:78-82%、無色の針状体、Fp=111℃
工程3:ラクトンの脱保護;(4)の合成
Figure 2008513452
ラクトン(3)(267g、1.25モル)をメチル-イソブチルケトン(1467ml)に溶解する。ラクトンが完全に溶解されるまでその懸濁液を50℃まで加熱し、溶媒の一部(130ml)を蒸留して除いて痕跡の水を除去する。メタンスルホン酸(240g、2.5モル)をその反応混合物に徐々に添加する。添加中に、ガスが発生される(CO2、イソブテン)。その反応混合物を室温に冷却し、得られる結晶を濾過により単離し、アセトン(夫々400ml)で2回洗浄し、40℃で一夜乾燥させる。
収率:93-98%、無色の結晶、208-210℃
工程4:(5)とのカップリング;ジペプチド(6)の合成
Figure 2008513452
化合物(5)は必要によりそれをその化合物の塩形態から放出することにより得られてもよい。例えば、DCHA塩形態を使用する場合、(5)・DCHA(61.4g、132ミリモル)をトルエン(160ml)に溶解し、得られる溶液を希硫酸(水80ml中5.3g)及び水(80ml)で洗浄する。相分離後に、その溶液を木炭で処理し、濾過し、得られる溶液を室温で貯蔵する。
脱保護されたラクトン(4)(24.9g、119ミリモル)及びEDC・HCl(26.8g、140ミリモル)をジクロロメタン(140ml)中で懸濁させ、室温に冷却する。その懸濁液を先に生成した(5)の溶液で処理する。この懸濁液に、ジ-イソプロピルエチルアミン(ヒューニッヒ塩基、16.3g、130ミリモル)を徐々に添加し、その間にその反応を窒素雰囲気下で20℃以下の温度に保つ。その懸濁液を濾過し、得られる溶液を水(80ml)、希酢酸(水80ml中1.3g)、5%の重炭酸ナトリウム溶液(80ml)、再度水(80ml)で洗浄する。相分離後に、ジクロロメタンを減圧で蒸留して除く。得られる溶液を次の工程に直接使用し得る。さもなくば、生成物をMCHからの結晶化により単離し得る。
収率:95%(GC)、黄色の溶液、Fp=58-60℃
工程5:(8)の合成
Figure 2008513452
水(43ml)及びトルエン(12ml)中の(6)(10.0g、23.7ミリモル、1.0当量)、(7)(7.6g、24.2ミリモル、1.02当量)及びナトリウム2-エチルヘキサノエート(SEH)(5.9g、35.6ミリモル、1.5当量)の混合物を80℃で2時間撹拌する。処理のために、トルエン(75ml)を80℃で添加する。撹拌そして水層の分離後に、有機層を1MのNa2CO3(3x30ml)、0.5MのHCl(30ml)及び水(2x30ml)で洗浄する。溶媒を真空下で除去する。
(8)の収量:11.7g、22.5ミリモル、95%;わずかに黄色の油としての純度>95%(ピーク面積HPLC)
工程6.(8)のブロシル化;ジエン1の合成
Figure 2008513452
(8)(10.7g、18.5ミリモル、1.0当量)及びDABCO(3.3g、29.7ミリモル、1.6当量)並びにトルエン(23ml)の混合物に、トルエン(15ml)中の4-ブロモベンゼンスルホニルクロリド(ブロシルクロリド、6.6g、26.0ミリモル、1.4当量)の溶液を室温で徐々に添加する。その混合物を2時間撹拌する。処理のために、有機層を1MのNa2CO3(2x21ml)で洗浄し、THF(21ml)で希釈し、0.5MのHCl(21ml)及び水(2x21ml)で洗浄する。溶媒を真空下で除去する。
(1)の収量:12.3g、16.7ミリモル、90%;わずかにオレンジ色の油としての純度:>95%(ピーク面積HPLC)。粗生成物の木炭処理が可能である。
工程7:CO 2 下のジエン1の閉環複分解
使用した触媒:
Figure 2008513452
今までの最良の条件は1のRCMが触媒11(20%のローディング)を用いて30分間で約6%の二量体でもって約80%のアッセイ収率で起こり得ることを示した。
Figure 2008513452
最初の14の実験をSFX220イスコ超臨界流体抽出器で行なった。反応器にトルエン中の1で充填されたガラスバイアルを仕込み、触媒10又は11を反応器に直接添加した(2種の化合物は加圧の前に物理的に離れている)。チャンバーをシールし、その系をCO2の所望の温度及び圧力にした。実験の終了時に、反応器を排気し、その内容物を4Mのトリスヒドロキシメチルホスフィン(THP)(60当量)の新たに調製された溶液を含む別々のバイアルに注いだ。次いで生成物をHPLCによりアッセイした。
実験15について、330mLのオートクレーブに、トルエン22mL中の1 8.3g(11.2ミリモル)を添加した。その圧力を105kg/cm2(1500psi)に上昇させ、温度を80℃に上昇させた。その系を数分以内に平衡にし、トルエン34mL中の11の溶液(下記の表1中のローディング〔モル%〕を参照のこと)を10分以内に添加した。その反応混合物を2時間撹拌し、1MのTHPを導入し(60当量)、温度及び圧力を周囲条件にした。反応器の内容物を集め、すすぎ(トルエンを使用した)と合わせた。得られる溶液をHPLCによりアッセイした。
表1
Figure 2008513452
*1=1に従っての触媒ローディング(モル%)

Claims (11)

  1. 下記の式Iの化合物の調製方法であって、前記方法が好適な有機溶媒中でルテニウム触媒の存在下で下記の式IIIの化合物を環化することを含み、その方法を超臨界条件又は超臨界付近の条件でガス流体中で行なって下記の式Iの化合物を得ることを特徴とする前記化合物の調製方法。
    Figure 2008513452
    〔式中、
    RAは脱離基又は式IIの基であり、
    Figure 2008513452
    WはCH又はNであり、
    L0はH、ハロ、C1-6アルキル、C3-6シクロアルキル、C1-6ハロアルキル、C1-6アルコキシ、C3-6シクロアルコキシ、ヒドロキシ、又はN(R23)2であり、
    夫々のR23は独立にH、C1-6アルキル又はC3-6シクロアルキルであり、
    L1、L2は夫々独立にH、ハロゲン、C1-4アルキル、-O-C1-4アルキル、又は-S-C1-4アルキル(その硫黄はあらゆる酸化された状態である)であり、又は
    L0とL1又はL0とL2は共有結合されてそれらが結合されている二つのC原子と一緒になって4員、5員又は6員炭素環式環〔互いに直接結合されていない1個又は2個(5員環又は6員環の場合)の-CH2-基は夫々独立に-O-又はNRa(RaはH又はC1-4アルキルである)により置換されていてもよく、また前記環は必要によりC1-4アルキルで一置換又は二置換されていてもよい〕を形成してもよく、
    R22はH、ハロ、C1-6アルキル、C3-6シクロアルキル、C1-6ハロアルキル、C1-6チオアルキル、C1-6アルコキシ、C3-6シクロアルコキシ、C2-7アルコキシアルキル、C3-6シクロアルキル、C6又はC10アリール又はHet(Hetは窒素、酸素及び硫黄から選ばれた1〜4個のヘテロ原子を含む5員、6員、又は7員飽和又は不飽和複素環である)であり、
    前記シクロアルキル、アリール又はHetはR24で置換されており、
    R24はH、ハロ、C1-6アルキル、C3-6シクロアルキル、C1-6アルコキシ、C3-6シクロアルコキシ、NO2、N(R25)2、NH-C(O)-R25、又はNH-C(O)-NH-R25であり、夫々のR25は独立にH、C1-6アルキル又はC3-6シクロアルキルであり、又は
    R24はNH-C(O)-OR26であり、R26はC1-6アルキル又はC3-6シクロアルキルであり、
    R3はヒドロキシ、NH2、又は式-NH-R9の基であり、R9はC6又は10アリール、ヘテロアリール、-C(O)-R20、-C(O)-NHR20又は-C(O)-OR20であり、R20はC1-6アルキル又はC3-6シクロアルキルであり、
    DはO、S又はN-R27(式中、R27はH、C1-6アルキル、C3-6シクロアルキル又はC(O)R28であり、R28はC1-6アルキル、C3-6シクロアルキル又はC6又は10アリールである)から独立に選ばれた1〜3個のヘテロ原子を必要により含んでもよい3〜7原子飽和アルキレン鎖であり、
    R4はH、又は前記鎖Dのいずれかの炭素原子にある1〜3個の置換基であり、前記置換基はC1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C1-6アルコキシ、ヒドロキシ、ハロ、アミノ、オキソ、チオ、又はC1-6チオアルキルからなる群から独立に選ばれ、
    Aは式-C(O)-NH-R11のアミドであり、R11はC1-8アルキル、C3-6シクロアルキル、C6又は10アリール、C7-16アラルキル、又はSO2R5A(式中、R5AはC1-8アルキル、C3-7シクロアルキル、C1-6アルキル-C3-7シクロアルキルである)からなる群から選ばれ、又は
    Aはカルボン酸又はその医薬上許される塩もしくはエステルである〕
  2. ガス流体が二酸化炭素、酸化窒素、トリフルオロメタン、エタン、エチレン、プロパン、六フッ化硫黄、プロピレン、ブタン、イソブタン、ペンタン、及びこれらの混合物から選ばれる、請求項1記載の方法。
  3. ガス流体が二酸化炭素である、請求項1記載の方法。
  4. その方法をガス流体の臨界温度(ケルビン度)の約0.8〜3.0倍の範囲の温度で行なう、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
  5. その方法をガス流体の臨界圧力の約0.5〜30倍の範囲の圧力で行なう、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
  6. ガス流体が二酸化炭素であり、かつその方法を約70〜80℃の範囲の温度及び約95〜238バールの範囲の圧力で行なう、請求項1記載の方法。
  7. ルテニウム触媒が
    Figure 2008513452
    (式中、
    X1及びX2は夫々独立に陰イオンリガンドを表わし、
    L1はルテニウム原子に結合されており、必要によりフェニル基に結合されてもよい中性電子ドナーを表わし、かつ
    L2はルテニウム原子に結合されている中性電子ドナーを表わし、かつ
    R5はベンゼン環の1個以上の置換基から選ばれ、夫々の置換基が水素、C1-6アルキル、ハロC1-6アルキル、HS-C1-6アルキル、HO-C1-6アルキル、ペルフルオロC1-6アルキル、C3-6シクロアルキル、C1-6アルコキシ、ヒドロキシル、ハロゲン、ニトロ、イミノ、オキソ、チオ又はアリールから独立に選ばれ、また
    X2及びL2は必要により一緒になって錯生成二座リガンドを形成してもよい)
    から選ばれる、請求項1から6のいずれかに記載の方法。
  8. 式(I)の化合物において、
    RAがOH、O-PG(PGは保護基である)、又は-OSO2-R27(式中、R27はp-トリル、p-ブロモフェニル、p-ニトロフェニル、メチル、トリフルオロメチル、ペルフルオロブチル及び2,2,2-トリフルオロエチルから選ばれる)から選ばれた脱離基であり、又は
    RAが式IIの基であり、かつ
    WがNであり、
    L0がH、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、ヒドロキシ、クロロであり、
    L1及びL2が夫々独立にH、ハロゲン又はC1-4アルキルであり、
    R22がH、C1-6チオアルキル、C1-6アルコキシ、フェニル又は
    Figure 2008513452
    (式中、R24がH、C1-6アルキル、NH-R25、NH-C(O)-R25、NH-C(O)-NH-R25(夫々のR25が独立にH、C1-6アルキル、もしくはC3-6シクロアルキルである)、又はNH-C(O)-OR26であり、R26がC1-6アルキルである)
    からなる群から選ばれたHetであり、又は
    R3がNH-C(O)-OR20であり、R20がC1-6アルキル、又はC3-6シクロアルキルであり、
    DがO、S又はN-R27(式中、R27がH、C1-6アルキル又はC2-7アシルである)から独立に選ばれた1個又は2個のヘテロ原子を必要により含んでもよい4〜6原子飽和アルキレン鎖であり、
    R4がH又はC1-6アルキルであり、かつ
    Aがカルボン酸又はその医薬上許される塩もしくはエステルである、請求項1から7のいずれかに記載の方法。
  9. 式(I)及び(III)の化合物において、
    RAが-OSO2-R27であり、R27がp-ブロモフェニルであり、
    R3がNH-C(O)-OR20であり、R20がシクロペンチルであり、
    R4がHであり、
    Dが13位、14位に1個のシス二重結合を含む5原子全炭素鎖であり、かつ式(I)の右手部分が下記の式の部分(14位のシクロプロピル結合がエステル基に対しsynである)である、
    Figure 2008513452
    請求項1から8のいずれかに記載の方法。
  10. (a)ガス流体が二酸化炭素であり、かつその方法を約70〜80℃の範囲の温度及び約95〜238バールの範囲の圧力で行ない、
    (b)ルテニウム触媒が
    Figure 2008513452
    から選ばれ、かつ
    (c)式(I)及び(III)の化合物において、
    RAがOH及び-OSO2-R27(式中、R27がp-トリル、p-ブロモフェニル、p-ニトロフェニル、メチル、トリフルオロメチル、ペルフルオロブチル及び2,2,2-トリフルオロエチルから選ばれる)から選ばれた脱離基であり、
    R3がNH-C(O)-OR20であり、R20がブチル、シクロブチル又はシクロペンチルであり、
    R4がH又はC1-6アルキルであり、
    R5がHであり、
    Dが5原子飽和アルキレン鎖であり、かつ
    Aがカルボン酸又はその医薬上許される塩もしくはエステルである、請求項1記載の方法。
  11. RAが脱離基である場合、式(I)の化合物(式中、RAが脱離基である)を式(IV)の化合物と反応させて式(I)の化合物(式中、RAが式(II)の基であり、R3、R4、D、A、L0、L1、L2、W、R22が請求項1に定義されたとおりである)を得ることを更に含む、
    Figure 2008513452
    請求項1から10のいずれかに記載の方法。
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