JP2008513210A - プラグ、プラグを用いた拡管方法及び金属管の製造方法及び金属管 - Google Patents

プラグ、プラグを用いた拡管方法及び金属管の製造方法及び金属管 Download PDF

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Abstract

本発明のプラグは、金属管の拡管に用いられる。プラグの横断形状は円であり、テーパ部とテーパ部後端に接続された平行部とを備える。テーパ部の外径は先端から後端に向かって徐々に大きくなり、後端でD1である。外径がD2=D1×0.99の表面から外径D1の表面までの軸方向の距離LRは以下の式(1)を満たす。22≦LR/((D1−D2)/2)≦115 (1)。D2の表面のテーパ角はD2より後端側の表面のテーパ角以上である。平行部の外径はD1である。
【選択図】図3

Description

本発明は、金属管の端部を拡管するためのプラグ及びそのプラグを用いた金属管端部の拡管方法及び金属管の製造方法に関する。
ラインパイプや油井管として使用される金属管の端部は高い寸法精度が要求される。ラインパイプは通常、現地において隣接する他のラインパイプに溶接される。互いに溶接されるラインパイプ同士の端部の内径寸法が異なれば溶接不良が生じ、溶接部の欠陥を引き起こす。油井管は通常ネジ加工された端部により互いにつなぎ合わされる。端部の内径寸法の精度が悪ければ、所定のネジ形状に加工できない。
金属管の端部の内径寸法の精度を向上することを目的に、金属管端部は拡管される。
図1A〜図1Cを参照して、エキスパンド装置はチャック2とプラグ3とシリンダ4とを備える。プラグ3の形状は先端から順にテーパ部31と平行部32とで連続的に形成される。テーパ部31の外径は先端でD10、後端でD11であり、D11はD10よりも大きい。テーパ部31のテーパ角R1は一定である。平行部32の外径はD11で長手方向に一定である。
金属管1の端部を拡管する前、金属管1をチャック2によりエキスパンド装置に固定する。このとき、図1Aに示すように、固定された金属管1の軸心をプラグ3の軸心に合わせる。続いて、図1Bに示すように、プラグ3を金属管1の端部から所定の距離まで軸方向に押し込む。プラグ3はシリンダ4により金属管1に押し込まれる。これにより、金属管1の端部は拡管される。
金属管端部から所定の距離までプラグ3を押し込んだ後、図1Cに示すように、プラグ3を押し込んだ方向と反対方向に抜く。以上の方法によりプラグ3の外径に基づいて金属管1の端部の内径寸法を所望の寸法にすることができる。そのため、端部の内径寸法精度を向上できる。
しかしながら、上述した従来の拡管方法では、拡管後の金属管端部の内径が周方向でばらつき、金属管端部の横断面が真円ではなかった。また、軸方向の内径寸法にもばらつきが生じていた。
本発明の目的は、金属管端部の寸法精度を向上できるプラグ、そのプラグを用いた拡管方法及び金属管の製造方法を提供することである。
課題を解決するための手段及び発明の効果
本発明者らは、金属管1の端部の内径寸法誤差の発生原因を調査するため、従来のプラグを用いて金属管端部を拡管した。その結果、図2に示すように拡管された金属管1の端部の内径D20が平行部32の外径D11よりも大きく変形することを見出した。以下、このような変形をオーバーシュート変形と称する。
プラグ3により金属管1の端部を拡管するとき、テーパ部31が通過中の金属管部分11は、金属管1の外方向に曲げ加工を受ける。その結果、金属管部分11は拡管される。平行部32が通過中の金属管部分12は、テーパ部31から曲げ加工を受けない。しかしながら金属管部分12は、金属管部分11がテーパ部31から受ける曲げ加工の影響を受ける。そのため、金属管部分12でオーバーシュート変形が生じる。
オーバーシュート変形中、金属管部分12は平行部32と接触しない。換言すれば、金属管1は平行部32を拘束しないため、平行部32から反力を受けない。そのため、金属管部分12の内面が不安定になり、不均一なオーバーシュート変形が発生する。この不均一な変形により金属管部分12の内径は不均一となり、横断面は真円にならない。さらに、金属管部分12の内径は軸方向で不均一になる。
本発明者らは、平行部32が通過中の金属管部分12でオーバーシュート変形を発生させなければ、金属管1の端部の内径寸法精度が向上すると考えた。オーバーシュート変形がなければ、金属管1は平行部32に接触するため、端部の内径は平行部32の外径と等しくなるからである。
金属管部分12でオーバーシュート変形を発生させないためには、プラグ3により金属管1の端部の内径がD11に拡張されるまでに予めオーバーシュート変形を発生させ、かつ、オーバーシュート変形を終了させればよい。換言すれば、テーパ部31が通過中の金属管部分11でオーバーシュート変形を発生させ、かつ、終了させればよい。
そこで、本発明者らは、種々の内径及び肉厚を有する金属管1の端部をプラグ3を用いて拡管し、発生したオーバーシュート変形量を調査した。調査の結果、式(A)で示す拡管率が8%以下の場合、オーバーシュート変形量は平行部32の外径D11の1%未満であることを新たに見出した。オーバーシュート変形量は、金属管1の内径及び肉厚には依存しなかった。
拡管率=(D20−D30)/D30×100(%) (A)
ここで、D30は拡管前の金属管1の内径であり、D20は拡管された金属管1の内径である。
以上の検討及び調査結果に基づいて、本発明者らは、以下の発明を完成させた。
本発明によるプラグは、金属管の端部を拡管するためのプラグであって、横断面は円であり、先端から順にテーパ部と平行部とで連続的に形成され、テーパ部の外径は先端から後端に向かって徐々に大きくなり、後端側でD1であり、外径がD2=D1×0.99の表面から外径D1の表面までの軸方向の距離LRは式(1)を満たし、D2の表面のテーパ角はD2より後端側の表面のテーパ角以上であり、平行部の外径はD1である。
22≦LR/((D1−D2)/2)≦115 (1)
本発明によるプラグでは、テーパ部における外径D2の表面のテーパ角がD2よりも後端側の表面のテーパ角以上であり、かつ、距離LRが式(1)を満たす。そのため、テーパ部の外径D2の表面から後端側では、金属管はプラグによる曲げ加工をほとんど受けない。その結果、外径D2の表面からテーパ部後端までの間で金属管をオーバーシュート変形させることができる。先述したとおり、オーバーシュート変形量は平行部の外径D1の1%未満であるため、オーバーシュート変形は、外径D2の表面からテーパ部後端までの間で終了する。換言すれば、金属管のうち、平行部が通過中の部分はオーバーシュート変形しない。そのため、金属管の内面は平行部に接触する。これにより、金属管端部の内径は平行部の外径と等しくなり、内径寸法精度が向上する。
本発明による金属管端部の拡管方法は、金属管に上記のプラグを金属管の端部から所定の距離まで軸方向に押し込む工程と、押し込みを止め、押し込んだ方向と反対の方向へプラグを抜き取る工程とを備える。
本発明による金属管端部の拡管方法では、上記プラグを用いて金属管を拡管する。そのため、上述のとおり金属管端部の内径はプラグの平行部の外径と等しくなり、内径寸法精度が向上する。
本発明による金属管の製造方法は、素材を軸方向に穿孔して素管にする工程と、素管を軸方向に延伸する工程と、延伸した素管を所望の外径寸法に加工する工程と、加工した素管に上記のプラグを素管の端部から所定の距離まで軸方向に押し込む工程と、押し込みを止め、押し込んだ方向と反対の方向へプラグを抜き取る工程とを備える。
本発明による金属管の製造方法では、上記プラグを用いて素管を拡管する。そのため、上述のとおり金属管端部の内径はプラグの平行部の外径と等しくなり、内径寸法精度が向上する
本発明による金属管は、中央が第1の円筒部、両端のうちの少なくとも一端が第2の円筒部、第1及び第2の円筒部の間がテーパ部で連続的に形成された金属管であって、第1の円筒部の外径はDAであり、第2の円筒部の外径は前記第1の円筒部の外径DAより大きいDBであり、テーパ部の外径は、第1の円筒部から第2の円筒部に向かってDAからDBに徐々に大きくなり、かつ、外径がDC=DB×0.99である表面からDBである表面までの軸方向の距離LEが式(2)を満たす。
22≦LE/((DB−DC)/2)≦115 (2)
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
1.プラグ
図3を参照して、本実施の形態によるプラグは、先端から順にテーパ部301と平行部302とで連続的に形成される。プラグ30の横断面は円である。
テーパ部301は、金属管の端部を拡管する役割を有する。テーパ部301の外径は先端から後端に向かって徐々に大きくなり、後端側でD1である。
テーパ部301では、外径D2=D1×0.99である表面のテーパ角R1は外径D2の表面より後端側の表面のテーパ角R2よりも大きい。さらに、外径D2の表面からD1の表面までの軸方向の距離LRは、以下の式(1)を満たす。
22≦LR/((D1−D2)/2)≦115 (1)
拡管時に平行部302を通過中の金属管でオーバーシュート変形を発生させないためには、テーパ部301を通過中の金属管で予めオーバーシュート変形を発生させ、かつ、オーバーシュート変形を終了させればよい。(D1−D2)に対し距離LRを長くすることにより、テーパ角R2を小さくすることができる。そのため、図4に示すように、外径D2の表面より後端側の領域50でプラグ30は金属管1と接触しない。そのため、領域50の金属管1でオーバーシュート変形が発生する。
金属管1の拡管率が8%以下である場合、先述のとおり、オーバーシュート変形量はD1の1%未満である。そのため、外径D2(=D1×0.99)の表面直後の領域50でオーバーシュート変形を発生させればオーバーシュート変形終了後の金属管1の内径はD1以上にならない。
オーバーシュート変形後の金属管1は、テーパ部301に再び接触し、平行部302の先端までの領域51で若干拡管される。しかしながら、上述のとおりテーパ角R2は小さいため、領域51での拡管率は極めて小さい。換言すれば、領域51で金属管1の内面がテーパ部301から受ける接触力は極めて小さい。そのため、領域51で受けた力に基づくオーバーシュート変形はほぼ生じない。よって、平行部302を通過する金属管1は平行部302に接触する。
以上により、本実施の形態のプラグ30を用いて金属管端部を拡管する場合、金属管端部の内径寸法は周方向や軸方向でばらつくことなく常にD1となる。
なお、距離LRが式(1)の下限値以上であれば、上記効果を有効に発揮できる。式(1)の上限値を115としたのは、これ以上距離LRを長くすれば、プラグ30自体の長さが長くなりすぎ、プラグの製造コスト及びエキスパンド装置の設備コストが高くなるためである。要するに、上限値が115以上であっても、本発明の効果は有効に得られる。
また、拡管率が8%以下の場合に上記効果は特に有効に得られるが、拡管率が8%よりも高い場合であっても上記効果をある程度得ることができる。
図3ではテーパ部301の表面が直線となっているが、他の形状でもよい。たとえば図5に示すように、テーパ部301の表面が曲面であってもよい。要するに、テーパ部301の外径は、先端から外径D1の後端に向かって徐々に大きくなり、テーパ角R1がテーパ角R2以上であり、かつ、距離LRが式(1)を満たせばよい。なお、図5のようにテーパ部301の表面が曲面である場合のテーパ角Rは、テーパ部301内の所定の表面の接線と軸方向に平行な直線とで形成された角度をいう。具体的には、外径D2の表面の接線と軸方向に平行な直線とで形成された角度がテーパ角R1であり、外径D2よりも後端側の表面の接線と軸方向に平行な直線とで形成された角度がテーパ角R2となる。
なお、図3では、テーパ角R1をR2と異なる角度にしているが、同じ角度にしてもよい。プラグのテーパ角がR2で一定であり、かつ式(1)を満たすプラグにより金属管を拡管した場合、テーパ部及び平行部を通過中の金属管にオーバーシュート変形はほとんど生じない。そのため本発明の効果が有効に得られる。このようなプラグは先端から外径D2までの軸方向距離が長くなるため設備コストは高くなる。
要するに、プラグ30において、テーパ角R1≧R2であり、かつ、LRが式(1)を満足していればよい。
プラグ30の素材は特に制限されない。たとえばハイス鋼であってもよいし、超硬合金であってもよい。また、プラグ30表面の粗度は限定されない。プラグ30の表面はコーティング加工されてもよい。
2.製造方法
本実施の形態による金属管の製造方法について説明する。高炉又は電炉溶解により溶鋼を製造し、製造した溶鋼を周知の方法で精錬する。
精錬後、溶鋼を連続鋳造法又は造塊法により、たとえば、スラブ、ブルーム、ビレット、又はインゴットにする。
スラブやブルーム、インゴットを熱間加工してビレットにする。このとき、熱間圧延によりビレットにしてもよいし、熱間鍛造によりビレットにしてもよい。
続いて、ビレットをピアサにより軸方向に穿孔して素管にする(穿孔工程)。穿孔工程後、素管をマンドレルミルにより軸方向に延伸する(延伸工程)。延伸工程後、素管を所望の外径寸法に加工する(定径工程)。
定径工程後、素管の端部を拡管する(拡管工程)。以下、拡管工程、つまり、金属管の端部の拡管方法について説明する。図6A〜図6Cを参照して、エキスパンド装置はチャック2及びシリンダ4を備える。定径工程後の素管である金属管1をチャック2によりエキスパンド装置に固定する。また、プラグ30をエキスパンド装置のシリンダ4の先端に周知の方法により取り付ける。続いて、金属管1の軸心をプラグ30の軸心に合わせる(図6A)。
軸心を合わせた後、シリンダ4によりプラグ30を金属管1の端部から所定の距離まで押し込む。このとき、金属管1の端部はプラグ30により拡管される(図6B)。所定の距離までプラグ30を押し込んだ後、シリンダ4によりプラグ30を押し込んだ方向と反対方向に引き抜く(図6C)。
以上の製造工程により製造された金属管1は、第1の円筒部101、端部の第2の円筒部102、第1及び第2の円筒部の間のテーパ部103で連続的に形成される(図6D)。第1の円筒部101の外径はDAであり、拡管された部分である第2の円筒部102の外径DBはDAよりも大きい。
テーパ部103の形状はプラグ30の形状により決定される。具体的には、テーパ部103の内径は第1の円筒部101から内径D1の第2の円筒部102に向かって徐々に大きくなり、第2の円筒部102側の内径はD1である。さらに、内径D2=D1×0.99の内周面から内径D1の内周面までの軸方向距離LRは式(1)を満たす。要するに、テーパ部103の内周面の形状はプラグ30のテーパ部301の外周面の形状と同じである。
さらに、テーパ部103の外周面の形状は、テーパ部103の内周面の形状とほぼ同じである。具体的には、テーパ部103の外径は、第1の円筒部101から第2の円筒部102に向かってDAからDBに徐々に大きくなる。さらに、外径がDC=DB×0.99の外周面からDBの外周面までの軸方向距離LEは式(2)を満たす。
22≦LE/((DB−DC)/2)≦115 (2)
上述した拡管工程で拡管された金属管1は図6Dに示す形状であってもよいし、図7Aに示すように、両端部が第2の円筒部102で形成されていてもよい。また、図7Bに示すように、一端が拡管された第2の円筒部102で形成され、他端が縮径された第3の円筒部104で形成され、第3の円筒部104と第1の円筒部101との間のテーパ部105で連続的に形成されてもよい。第3の円筒部104及びテーパ部105はダイスに管端を押し込む等の方法により加工される。
上述した製造方法では、定径工程後に拡管工程を実施したが、素管の軸方向の曲がりの矯正や真円度の向上を目的とした矯正工程を、定径工程前に実施してもよい。矯正工程は、たとえばストレートナを用いて実施される。
また、素管の強度や靭性等の特性を調整するために、定径工程と矯正工程との間に熱処理を実施してもよい。
矯正工程後、素管端部の内径寸法を調整するために、素管端部を絞り加工してもよい(スエージング工程)。たとえば、ダイスを用いて素管端部を押出加工して素管端部の内径寸法を調整し、その後、拡管工程を実施する。
また、拡管工程により金属管に発生した加工歪や残留応力を除去するために、拡管された部分を熱処理してもよい。また、強度や靭性といった金属管の機械特性を調整sるうために、拡管工程後に熱処理を実施してもよい。 上述した金属管の製造方法では、素管として継目無鋼管を製造し、その継目無鋼管に対して拡管工程を実施したが、溶接鋼管を用いて、その溶接鋼管に対して拡管工程を実施してもよい。
種々の形状のプラグを用いて金属管端部を拡管し、拡管後の金属管の内径寸法、真円度及び外径寸法を調査した。
Figure 2008513210
[調査方法]
試験で用いたプラグの形状を図8及び表1に示す。外径D1、D2及びテーパ角R1,R2,軸方向距離LRの定義は図3と同じである。外径D0はプラグ先端の外径である。軸方向距離LBはプラグの平行部の長さである。表1中のF1値は式(3)に基づいて求められた値である。
F1=LR/((D1−D2)/2) (3)
試験NO1〜3及び6〜8のプラグの形状は本発明の規定範囲を満たした。一方、試験NO4,5,9,10のプラグの形状は本発明の規定範囲外であった。具体的にはいずれのプラグもF1値が式(1)の下限値未満であった。なお、試験NO5及び10のプラグは、テーパ角R1及びR2が一定で、かつ、F1値が式(1)を満たさない従来のプラグ形状であった。
各試験NOで使用した拡管前の金属管の外径は300mmであり、長さは4000mmであった。また、内径D100及び肉厚は表1に示した通りであった。
各試験NOのプラグをエキスパンド試験装置に取り付け、取り付けたプラグを用いて各試験NOの金属管端部を拡管した。具体的には、プラグを金属管端部から押し込み、プラグの先端から金属管端部までの距離が200mmとなるまで押し込んだ。プラグを抜き取った後、拡管された金属管端部(図6Dにおける第2の円筒部102に相当)の内径D200を求めた。具体的には、ノギスを用いて第2の円筒部の内径を周方向に等間隔の8箇所で測定した。測定した内径の平均値を内径D200とした。内径D200を表1に示す。
測定した内径のうち、最大のものと最小のものとの差を真円度とした。真円度が0.5mm以下の場合合格とし(表1中「○」で表示)、0.5mmを超えた場合不合格とした(表1中「×」で表示)。
さらに、第2の円筒部の外径DBを測定した。具体的には、ノギスを用いて第2の円筒部の外径を周方向に等間隔の8箇所で測定し、その平均値を外径DBとした。外径DBからDC=DB×0.99を算出した。外径DCの外周面から外径DBの外周面までの軸方向距離LEをノギスにより測定した。求めた外径DB、DC、軸方向距離LE及び式(4)に基づいて表1に示すF2値を求めた。
F2=LE/((DB−DC)/2) (4)
[調査結果]
表1を参照して、試験NO1〜3の金属管の内径D200はいずれも288.4mmであり、各試験NOで使用したプラグの平行部の外径D1と同じであった。また、真円度はいずれも0.5mm未満であった。
試験NO6〜8の金属管の内径D200はいずれも247.2mmであり、各試験で使用したプラグの平行部の外径D1と同じであった。さらに、真円度はいずれも0.5未満であった。
また、試験NO1〜3及び6〜8の拡管後の金属管の管テーパ部(図6Dの管テーパ部103に相当)の表面形状は、プラグのテーパ部の表面形状とほぼ同じであった。また、F2値は式(2)の範囲内であった。
一方、試験NO4,5,9,10の金属管の内径D200はいずれもプラグ平行部の外径D1よりも大きい寸法であった。プラグ平行部でオーバーシュート変形が発生したためと考えられる。また、真円度はいずれも0.5mmを超えた。F2値は式(2)の下限値未満であった。
なお、金属管の肉厚は内径寸法精度及び真円度に影響しなかった。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
本発明によるプラグは、金属管の拡管に広く利用可能であり、特に、油井管及びラインパイプの端部の拡管に利用可能である。
従来のプラグを用いた拡管工程の第1工程を示す図である。 従来のプラグを用いた拡管工程の第2工程を示す図である。 従来のプラグを用いた拡管工程の第3工程を示す図である。 拡管時に金属管端部の内径寸法に誤差が生じる原因を説明するための模式図である。 本発明の実施の形態によるプラグの側面図である。 図2に示すプラグで金属管端部を拡管するときの金属管の加工状態を説明するための模式図である。 本発明の実施の形態による他の例のプラグの側面図である。 図2のプラグを用いた拡管工程の第1工程を示す図である。 図2のプラグを用いた拡管工程の第2工程を示す図である。 図2のプラグを用いた拡管工程の第3工程を示す図である。 図2のプラグを用いて拡管した金属管の側面図である。 図2のプラグを用いて拡管した他の例の金属管の側面図である。 図2のプラグを用いて拡管した他の例の金属管の側面図である。 実施例で用いたプラグの側面図である。

Claims (4)

  1. 金属管の端部を拡管するためのプラグであって、
    横断面は円であり、先端から順にテーパ部と平行部とで連続的に形成され、
    前記テーパ部の外径は先端から後端に向かって徐々に大きくなり、後端側でD1であり、外径がD2=D1×0.99の表面から外径D1の表面までの軸方向の距離LRは式(1)を満たし、D2の表面のテーパ角はD2より後端側の表面のテーパ角以上であり、
    前記平行部の外径はD1であることを特徴とするプラグ。
    22≦LR/((D1−D2)/2)≦115 (1)
  2. 金属管に請求項1に記載のプラグを前記金属管の端部から所定の距離まで軸方向に押し込む工程と、
    押し込みを止め、押し込んだ方向と反対の方向へ前記プラグを抜き取る工程とを備えたことを特徴とする金属管端部の拡管方法。
  3. 素材を軸方向に穿孔して素管にする工程と、
    前記素管を軸方向に延伸する工程と、
    前記延伸した素管を所望の外径寸法に加工する工程と、
    前記加工した素管に請求項1に記載のプラグを前記素管の端部から所定の距離まで軸方向に押し込む工程と、
    押し込みを止め、押し込んだ方向と反対の方向へ前記プラグを抜き取る工程とを備えたことを特徴とする金属管の製造方法。
  4. 中央が第1の円筒部、両端のうちの少なくとも一端が第2の円筒部、前記第1及び第2の円筒部の間がテーパ部で連続的に形成された金属管であって、
    前記第1の円筒部の外径はDAであり、
    前記第2の円筒部の外径は前記第1の円筒部の外径DAより大きいDBであり、
    前記テーパ部の外径は、前記第1の円筒部から第2の円筒部に向かってDAからDBに徐々に大きくなり、かつ、外径がDC=DB×0.99である表面からDBである表面までの軸方向の距離LEが式(2)を満たすことを特徴とする金属管。
    22≦LE/((DB−DC)/2)≦115 (2)
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