JP2008513001A - α−グルコシダーゼ活性を用いたStreptococcusagalactiaeの検出方法 - Google Patents

α−グルコシダーゼ活性を用いたStreptococcusagalactiaeの検出方法 Download PDF

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Abstract

【課題】α−グルコシダーゼ活性を用いたStreptococcus agalactiaeの検出方法の提供。
【解決手段】本発明は、Streptococcus agalactiaeを特異的に検出及び識別する方法であって、少なくとも1つのα−グルコシダーゼ酵素基質を含む反応培地を使用することを特徴とする方法に関する。
【選択図】なし

Description

本発明は、Streptococcus agalactiaeの検出及び識別の分野に関する。具体的には、本発明は、Streptococcus agalactiaeを検出及び識別するためのα−グルコシダーゼ酵素基質の使用に関する。
連鎖球菌属は、自然界において、ヒト及び動物の粘膜の皮膚上に非常に広く存在しており、多くの感染の原因である。この細菌は遍在しており、外部環境(土、空気、水)では遊離した状態で見られ、ヒト及び動物においては腐生植物の状態又は共生状態で見られる。この細菌は、A群、C群、G群及びH群連鎖球菌及びsalivariusは鼻咽腔に、D群のfetal streptococciは腸に、並びに、B群連鎖球菌は膣腔に存在する。この細菌の病原性は非常に多様であり、当該種、及び、生体における位置に依存する。
連鎖球菌はグラム陽性球菌であり、直径0.5〜1μmで、短鎖の形で群が区別され、かつ、移動しない。この菌はカタラーゼ陰性であって、発酵代謝性であり、任意に嫌気性であって、温度(最適増殖37℃)及びpH(最適pH7)の変化に感受性を有する。
Streptococcus agalactiae(又は、B群連鎖球菌)は、牛の乳腺炎の原因となる主要な病原菌の1つと認識されている。ヒトにおいては、本質的に女性の生殖管(膣)の腐生植物であるが、鼻咽腔及び腸、特に直腸にも見られる。成人においては、Streptococcus agalactiaeはコロニー化しても無症候性のままであることが多いが、敗血症、肺炎、脳膜炎、関節炎、尿路感染及び深刻な化膿を引き起こす可能性がある。妊娠中又は出産後の女性が感染すると、子宮内膜炎及び不妊につながる可能性もある。
新生児においては、子宮内で、最も一般的には出産中に子宮内で、羊水又は膣分泌物の吸入により雑菌が混入する。初期感染は、誕生直後又は誕生初期に生じることが多い。初期感染は、早産、母親の膣の膜の破裂及び強固なコロニー化によって進行する。この種の感染における死亡率は非常に高い(>50%)。晩期感染は一般的に、脳膜炎(幼児脳膜炎)及び関節炎としてあらわれる。
特に臨月期間における罹患率(フランスでは10%、すなわち年間で妊婦少なくとも75000人)及び重篤度は公衆衛生上の問題であり、これらの理由から、Streptococcus agalactiaeの媒介についての系統的検査を、妊娠終期、理想的には34〜38週間の無月経の期間(妊娠35〜37週)に実施することが推奨される。
選択培地、及び/又は、診断を示唆できる培地は市販されている。しかし、これらの培地には、単独ではStreptococcus agalactiaeの診断において不十分であること、並びに、B群Lancefield抗原(ラムノースが主要である多糖)の存在の実証及び馬尿酸塩加水分解(馬尿酸塩培地)等の補足試験を実施する必要があること、といった欠点がある。
最も一般に使用される選択培地はTodd−Hewitt培地であり、これは妊婦においてB群連鎖球菌を探索するための増菌培地である。この培地には、付随する植物相のグラム陰性微生物を非常に良好に阻害する、ナリキシディック酸(nalixidic acid)及びゲンタマイシン、又は、ナリキシディック酸、ポリミキシン及びクリスタルバイオレット等の様々な抗生物質が含まれている。
増殖過程の終了後、抗生物質を補足したTodd−Hewitt培地を連鎖球菌探索用の培地上で経代培養する必要がある(非特許文献1参照)。
Lim培地はTodd−Hewitt培地から派生したものであり、酵母エキス、ナリキシディック酸及びコリスチンを1%含む。
血液を5%含むコロンビア寒天も使用することができ、これを使用すれば、特にStreptococcus agalactiaeのβ−溶血特性を実証することができる。しかし、この特性は常に明白であるわけではない:コロニーのまわりの溶血輪が狭いと、α−溶血性又はγ−溶血性の外観を示す場合がある。一方、Streptococcus agalactiaeのコロニー内においては、黄色ブドウ球菌のコロニー(Camp因子)があるために上記の特性は明らかである。
これらの選択培地には、生化学的な試験及び/又は免疫アッセイを補助的に実施する必要があるという欠点がある。
現在、市販されている使用準備済みの選択培地はGranada培地(Biolys社)のみであり、これを使用すれば、Streptococcus agalactiaeを直腸膣サンプルから直接分離及び識別することができる。この培地は、培地中に可溶性デンプン、プロテオースペプトンNo.3、グルコース、ピルビン酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、メトトレキサート、コリスチン、クリスタルバイオレット、寒天、ウマ血清、無水NaHPO、メトロニダゾール、MOPS(モルホリノプロパンスルホン酸)半ナトリウム塩及び蒸留水を含み、かつ、嫌気条件下でインキュベートすると、Streptococcus agalactiae株によるカロテノイド顔料の生成を促進する特性を有している。従って、この培地には、Streptococcus agalactiaeの直接の検出は嫌気状態下で実施されるが、これは容易ではないという欠点がある。また、1つ以上の酵素基質を含む検出培地で、利用できるものはない。
CDC(Center for Disease Control) recommendations, MMWR(Morbidity and Mortality Weekly Report),August 16,2002,Vol.51, No.RR−11
予想外にも、本出願人は、Streptococcus agalactiaeを特異的に検出して識別する際に、酵素基質、特にα−グルコシダーゼ酵素基質を使用できるということを実証した。
とりわけ、予想外にも、上記酵素基質は、Streptococcus agalactiaeに消費され、例えば発色性酵素基質が消費された際に培地中でのコロニー着色が変化し、着色が反応培地中に拡散せずコロニーの中に集まるために、その存在を顕現化することができ、かつ、この物質は上記細菌の増殖に害を及ぼさない。
従って、本発明の主題は、Streptococcus agalactiaeを特異的に検出及び識別する方法であって、少なくとも1つのα−グルコシダーゼ酵素基質を含む反応培地を使用することを特徴とする方法である。
本発明の目的について好適なα−グルコシダーゼ酵素基質は、上記の酵素活性を実証できる、当業者に公知の任意の基質である。例えば、このような基質は、発色性であっても蛍光性であってもよく、例えば、P. Riceら(2000). A rapid biochemical test to aid identification of Mycoplasma mycoides subsp. mycoides small colony (SC) strains. Lett. Appl. Microbiol.1:70−74の文献、又は、BIOSYNTH社のカタログ(“Substrates and Reagents”又はwww.biosynth.com)若しくはGLYCOSYNTH社のカタログ(“enzyme substrates catalog”又はwww.glycosynth.co.uk)に記載されている。
例えば、インドキシル誘導体に基づく基質、ウンベリフェロン誘導体に基づく基質及びナフトール誘導体に基づく基質を挙げることができる。
本発明の好ましい実施形態によれば、本発明の目的について好適な酵素基質は、インドキシル誘導体に基づく基質である。
上記インドキシル誘導体の例としては、3−インドリル−α−D−グルコピラノシド誘導体、好ましくはこれらの化合物のハロゲン化誘導体が含まれる。
3−インドリル−α−D−グルコピラノシドのハロゲン化誘導体の例としては、6−ブロモ−3−インドリル−α−D−グルコピラノシド、6−クロロ−3−インドリル−α−D−グルコピラノシド、5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−α−D−グルコピラノシド、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−α−D−グルコピラノシド及び5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−N−メチル−α−D−グルコピラノシドを挙げることができ、後者の化合物が特に好ましい。
従って、本発明の方法において使用される反応培地は、酵素基質の存在による検出用反応培地である。
この反応培地は、視覚化培地としてのみ使用してもよいし、培養基及び視覚化培地の両方として使用してもよい。前者の場合においては播種前に微生物を培養し、後者の場合においては反応培地が培養基でもある。
反応培地は、固形、半固形又は液体であってよい。「固形又は半固形培地」という用語は、例えばゲル化培地を意味するものとする。
微生物を培養するために微生物学において従来から使用される固形培地は寒天であるが、ゼラチン又はアガロースも使用可能である。例えば、コロンビア寒天(Columbia agar)、トリプカーゼ大豆寒天(trypcase−soy agar)、マッコンキー寒天(MacConkey agar)、サブロー寒天(Sabouraud agar)、又は、より一般的には、Handbook of Microbiological Media(CRC Press)中に記載されているもの等、いくつかの市販の調製品を使用することができる。
反応培地中の寒天の量は2〜40g/lである。固形培地については、寒天の量は、好ましくは9〜25g/l、より好ましくは12〜14g/lである。半固形培地については、寒天の量は2〜6g/lであることが好ましい。
本発明の酵素基質は、広い範囲のpHにおいて、特にpH5.5〜10において使用可能である。
反応培地中の酵素基質の濃度は10〜2000mg/l、好ましくは50〜500mg/l、より好ましくは100〜400mg/lであり、これは本発明の好ましい実施形態を構成する。
言うまでもなく、当業者であれば、選択された基質に応じて、上記範囲内において培地中の酵素基質の濃度を決定できるであろう。従って、酵素基質として5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−N−メチル−α−D−グルコピラノシドを使用する場合には、濃度は130〜300mg/lであることが好ましい。
本発明の目的について使用できる反応培地は、本発明の方法の特異性及び感度の改良に有用な他の成分をさらに含んでいてよい。
反応培地は、カンジダ又はStaphylococcus saprophyticusといった偽陽性反応株等の望ましくない菌株の増殖を、培地の検出感度を変えずに阻害又は制限するための阻害剤の混合物をさらに含んでいてよい。
この点で、反応混合物は、抗生物質の混合物を含んでいてもよい。反応培地に抗生物質を添加することによって、とりわけ、Streptococcus agalactiaeの識別が直接実施されるので時間が短縮される。
本発明の目的について好適な抗生物質の例としては、アズトレオナム及びアンホテリシンBが含まれる。これらの抗生物質は、ICN社、Squibb社又はシグマ社から市販されている。
従って、本発明の一実施形態によれば、Streptococcus agalactiaeを特異的に検出及び識別する方法において使用される反応培地は、アズトレオナム及びアンホテリシンBの混合物をさらに含む。
反応培地中における各抗生物質の量は、その抗生物質によって異なり、当業者であれば容易に決定できるであろう。
従って、例えば、アズトレオナムの濃度は0.01〜0.08g/lであってよく、アンホテリシンBの濃度は0.002〜0.006g/lであってよい。
これらの抗生物質の好ましい混合物は、アズトレオナム0.064g/l及びアンホテリシンB 0.004g/lを含む。
本発明の方法において使用される反応培地は、α−グルコシダーゼ基質によって検出される酵素活性以外の酵素活性に対して特異的な少なくとも1つの他の基質をさらに含んでいてよい。この他の基質の酵素加水分解により、α−グルコシダーゼ基質によって検出されるシグナルとは異なる(例えば、色の異なる又は蛍光の異なる)検出可能なシグナルが生じるため、実証の特異性が改良されて、Streptococcus agalactiaeの検出、識別及び/又は定量等の実証が可能である。
別の特定の基質としては、β−セロビオシダーゼ基質、β−グルコシダーゼ基質、β−グルコサミニダーゼ基質、及び、偽陽性を排除できる当業者に公知の他の任意の酵素基質を挙げることができる。
好ましい実施形態によれば、上記反応培地は、好ましくはβ−セロビオシダーゼ基質及びβ−グルコサミニダーゼ基質から選択される、異なる酵素活性に対する少なくとも1つの他の基質をさらに含む。
6−クロロ−3−インドリル−β−D−セロビオシダーゼ等のβ−セロビオシダーゼ基質を使用することによって、Streptococcus agalactiaeのα−グルコシダーゼ活性の検出感度を下げることなく、Enteroccocus faecalis、Listeria monocytogenes及びEnterobacter claocae等の偽陽性種を排除できる。
6−クロロ−3−インドリル−β−N−アセチルグルコサミニド又は5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−β−N−アセチルグルコサミニド等のグルコサミニダーゼ基質を使用することによって、Enteroccocus faecalis、Enteroccocus faecium及びEnterobacter claocaeの検出を排除できる。
他の特異的な酵素基質の濃度は、一般的に0.01〜2g/lである。当業者であれば、使用する基質に応じて上記濃度を容易に決定できるであろう。
6−クロロ−3−インドリル−β−D−セロビオシダーゼ又は6−クロロ−3−インドリル−β−N−アセチルグルコサミニドが使用される場合、培地中のその濃度は好ましくは0.4g/lである。
また、反応培地は、アミノ酸、ペプトン、炭水化物、ヌクレオチド、無機物、ビタミン、界面活性剤、バッファー、リン酸塩、アンモニウム塩、ナトリウム塩又は金属塩等の一種以上の成分を組み合わせて含んでいてよい。培地の例が、本出願人によるヨーロッパ特許出願EP656421号及びPCT特許出願WO99/09207号中に記載されている。
本発明の方法の実施は、次の工程によって実施することができる:
a) サンプルのすべて又は一部を上記反応培地に播種すること、
b) 播種した培地をインキュベートすること、
c) 少なくとも1つのα−グルコシダーゼ活性の存在を、単独で、又は、α−グルコシダーゼ活性以外の少なくとも1つの他の酵素活性と共に顕現させること
(本発明の別の主題を構成する)。
上記播種段階及びインキュベート段階は、当業者に広く知られている。
例えば、インキュベート時の温度は37℃であってよい。また、インキュベート時の雰囲気は好気的であることが好ましい。
上記顕現は、反応培地中に拡散せずにコロニーの中に集まる着色の変化を視覚化することにより、肉眼で実施される。蛍光を顕現化する際、当業者に公知の蛍光読み取り装置が使用される。
分析する生体試料は、膣試料若しくは尿試料といった、Streptococcus agalactiaeを含んでいることが多い任意の臨床試料、又は、その分析が臨床医による診断を援助可能な他の任意の試料である。
本発明は以下の実施例によってより明瞭に理解されるであろう。しかし、これらの実施例はいかなる制限を加えるものでもない。
<α−グルコシダーゼ酵素基質を使用するStreptococcus agalactiaeの検出>
1.1 反応培地の調製
反応培地は、心臓−脳抽出物(4.84g/l;Solabia社)、肉汁(1.96g/l;Solabia社)、ビオチン(biothione)(1g/l;Solabia社)、ビオトリプカーゼ(biotrypcase)(7.2g/l;Solabia社)、炭酸ナトリウム(0.3g/l;VWR社)、ピルビン酸ナトリウム(2g/l;Fluka社)、HEPESバッファー(0.4g/l;シグマ社)、ラクトアルブミンペプトン(2g/l;DMV)、グルコース(1g/l;メルク社)、アメリカ寒天(2g/l;Sobigel社)及びヨーロッパ寒天(12g/l;Roko社)を混合することによって調製した。
121℃で15分間オートクレーブした後、α−グルコシダーゼ酵素基質を下記のように0.1g/lの割合で添加した。続いて、50℃の水槽中で冷却した。
* 6−ブロモ−3−インドリル−α−D−グルコピラノシド(RedA−α−Glu; Inalco社)
* 6−クロロ−3−インドリル−α−D−グルコピラノシド(Rose−α−Glu; Inalco社)
* 5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−α−D−グルコピラノシド(Magenta−α−Glu;Glycosynth社)
* 5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−α−D−グルコピラノシド(X−α−Glu;Biosynth社)
* 5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−N−メチル−α−D−グルコピラノシド(GreenA−α−Glu;Inalco社)
その後、次の細菌を播種するために培地をペトリ皿に注いだ。
1.2 微生物株の播種
本出願人が保存している株に由来するStreptococcus agalactiae株8つを生理食塩水中に懸濁して播種し、各培地上に別々にコロニーを形成させる。その後、培養皿を37℃において48時間インキュベートした。18時間、24時間又は40時間以上インキュベートした後に、形成されたコロニーの外観を調べる。このコロニーの着色、増殖、及び、この着色の濃さについて記録した。
1.3 結果
得られた結果を、下記表1中に示し、以下のように示す。
− 増殖(G)について、大きさはmmで示される。
− 着色の濃さ(I)について、0〜4の任意のスケールに基づいて、0は活性がないことに相当し、4は非常に濃い着色があることに相当する。
− 色(Co)について、T=青緑色、R=ピンク色又は赤色、Gr=緑色、Mg=赤紫色である。
− インキュベート時間について、時間(T)である。
表1中に示される結果から、α−グルコシダーゼ酵素基質を使用して、少なくとも18時間インキュベートすることによって、連鎖球菌Bを検出できることが実証される。
Figure 2008513001
<α−グルコシダーゼ酵素基質濃度の変化>
酵素基質の濃度を変える以外は上記プロトコルを繰り返した。
下記表2から、基質濃度に対する検出菌株数(I≧0.6である場合に陽性であると考える)が示される。
Figure 2008513001
この表から、200又は300mg/lの濃度であれば良好に検出できることが実証される。
<α−グルコシダーゼ基質及び異なる酵素活性に対する基質の使用>
この基質133mg/lを使用し、かつ、オートクレーブした後でアズトレオナム(ICN社)0.047g/l、アンホテリシンB(Squibb社)0.004g/l及び次の成分を培地に添加する以外は、GreenA−α−Gluを使用して、実施例1中に記載されるプロトコルを繰り返した。
培地1;実施例1の培地に対応するコントロール培地とGreenA−α−Gluとを、上述のように改変したもの。
培地2;6−クロロ−3−インドリル−β−D−セロビオシダーゼ(Rose−β−セロビオシダーゼ)400mg/l。
培地3;6−クロロ−3−インドリル−β−N−アセチルグルコサミニド(Rose−β−NAGlu)400mg/l及びN−アセチルグルコサミニド0.5g/l。
結果を下記表3中に示すが、表中、G、Co及びTは上記に定義し、Co段については、Gr=緑色、G=灰色、Mv=藤色、Mg=赤紫色、B=青色、Vi=青紫色及びR=ピンク色である。
すべての菌株は本出願人が保存している株に由来する。
Figure 2008513001
この表から、第二の酵素基質を使用すると、連鎖球菌Bの検出感度を下げることなく検出の特異性を改善できること、及び、関連方法で遭遇することの多い近接種と連鎖球菌Bとを、24時間のインキュベート後に区別できることが実証される。
<本発明によるα−グルコシダーゼ基質を含む培地及び市販の培地を使用するS.agalactiaeの検出の感度の比較>
この感度試験において、上記実施例中に記載されるように調製した、GreenA−α−Glu 0.130g/lと、Rose−β−D−セロビオシダーゼ0.250g/l、アズトレオナム0.064g/l及びアンホテリシンB(α−Glu培地)0.004g/lを含む本発明による培地を使用した。
比較用の培地として、Granada medium(品番10077、BIOLYS社(フランス))(Granada培地)を使用した。
Streptococcus agalactiae14株を含む微生物69株を播種し、37℃で最長24時間、及び、室温でそれ以上の時間インキュベートした。上述のようにコロニーを視覚化した。B群連鎖球菌の特性を有する疑いのあるコロニー(すなわち外観色が緑色のコロニー)の確認は、供給元の推薦(ビオメリュー社(フランス))に従ってSlidex Streptoキット試薬を使用し、凝集アッセイを用いて実施した。特有でないコロニー(すなわち、緑色以外のコロニー、又は、特有の着色を有するものの凝集アッセイでの応答が陰性であるコロニー(偽陽性株))を、Galerie ID 32 Strep(ビオメリュー社(フランス))を用いて識別した。
結果は、感度及び特異性について全試験に対する正確な診断の%で表し、下記表4中に、培地上における真の陽性の検出数を真の陽性の総検出数で割った値(100)に相当する%感度、及び、培地上における真の陰性の検出数を真の陰性の総検出数で割った値(100)に相当する%特異性で表す。
Figure 2008513001
この表中に示される結果から、本発明の方法を使用すれば、連鎖球菌Bの検出感度が改良されることが実証される。また、本発明の検出用培地は特異性が良好であり、この特異性は、寒天播種の前に、5% COの存在下又は非存在下で、Todd−Hewitt培地を35〜37℃で18〜24時間通して強化すると改良されることも示される(参照:CDC(Center for Disease Control) recommendations, MMWR(Morbidity and Mortality Weekly Report), August 16, 2002, vol.51, No.RR−11)。
<臨床サンプルに基づく培地の使用>
この試験には、上記実施例4中で調製された本発明による培地を使用した。
この試験では、妊婦の膣又は子宮頚管の試料に由来するサンプル/綿球を計134個使用した。
綿球はそれぞれ、無菌生理食塩水1ml中で乳化し、まずこの溶液100μlをウマ血液5%を含むコロンビア寒天上に置いて、次に本発明の方法を使用する培地上に置いた。続いて、上記溶液100μlを使用してTodd Hewitt培地に播種した。好気性条件下において37℃で20時間インキュベートした後、血液−寒天培地及び本発明の培地をTodd Hewitt培地を使用して播種し、その後、好気性条件下で37℃で20時間インキュベートした。
B群連鎖球菌の特性を有する疑いのあるコロニー(すなわち外観色が緑色のもの)の確認は、供給元の推薦(ビオメリュー社(フランス))に従ってSlidex Streptoキット試薬を使用し、凝集アッセイを用いて実施した。
サンプル134個のうち112個を、まず、生理食塩水懸濁液から寒天培地上に直接播種し、次にTodd Hewitt培地中で強化した後で播種した。残りのサンプル22個は、生理食塩水懸濁液から寒天培地上に単に直接播種した。
結果は平均%感度及び特異性として算出し、下記表5中に示す。
Figure 2008513001
表中の結果から、臨床サンプルと共に使用されると培地の感度は良好であること(18/20のStreptococcus agalactiaeが検出された)、及び、検出の特異性が標準培地と比較して改善されていること(コロンビア血液培地について、偽陽性は24中10)が示される(これらの結果は、研究所の菌株を使用して得られた結果と本質的に同等である)。

Claims (6)

  1. Streptococcus agalactiaeを特異的に検出及び識別する方法であって、
    少なくとも1つのα−グルコシダーゼ酵素基質を含む反応培地を使用する
    ことを特徴とする方法。
  2. 酵素基質はインドキシル誘導体に基づく基質である
    ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 反応培地中の酵素基質の濃度は10〜2000mg/lである
    ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
  4. 前記反応培地は、アズトレオナム及びアンホテリシンBの混合物をさらに含む
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 反応培地は、好ましくはβ−セロビオシダーゼ基質及びβ−グルコサミニダーゼ基質から選択される、異なる酵素活性に対する少なくとも1つの他の基質をさらに含む
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. Streptococcus agalactiae種の細菌を含んでいることが多い試料中においてStreptococcus agalactiae種の細菌を特異的に検出及び識別する方法であって、
    次の工程:
    d) サンプルのすべて又は一部を請求項1〜5のいずれか1項に記載の反応培地に播種すること、
    e) 播種した培地をインキュベートすること、
    f) 少なくとも1つのα−グルコシダーゼ活性の存在を、単独で、又は、α−グルコシダーゼ活性以外の少なくとも1つの他の酵素活性と共に顕現させること:を含む
    ことを特徴とする方法。
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