JP2008512644A - ポリペプチドのn−末端置換用化合物、これを用いたポリペプチド内のアミノ酸配列決定方法及びアミノ酸定量分析方法 - Google Patents

ポリペプチドのn−末端置換用化合物、これを用いたポリペプチド内のアミノ酸配列決定方法及びアミノ酸定量分析方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ポリペプチド内のアミノ酸配列分析及び定量分析に用いられるポリペプチドのN−末端置換用化合物、これを用いたアミノ酸配列決定方法及びアミノ酸定量分析方法を提供する。
【解決手段】本発明によるアミノ酸配列決定方法及びアミノ酸定量分析方法は、非常に高い信頼度でタンパク質の相対的な定量分析ができ、MS/MSスペクトラム上でyタイプイオンとbタイプイオンを明確に区分できるため、高い信頼度のタンパク質同定が可能である。
【選択図】図4

Description

本発明は、プロテオミクスに係り、より詳細には、タンパク質を同定し、相対的なタンパク質定量をするのに用いられるポリペプチドのN−末端置換用化合物及びこれを用いたポリペプチド内のアミノ酸配列決定方法及びアミノ酸定量分析方法に関する。
プロテオミクスとは、タンパク質の質量分析、遺伝子産物、それらの相互関係のマッピング、タンパク質の構造解析を含む広範な領域の学問を参考にして、それにより究極として、特定タンパク質とこれを作る遺伝子の機能を解明することをいう。遺伝子暗号によって発現される機能性タンパク質の構造と機能に関する研究において、タンパク質の1次構造即ちアミノ酸の配列順序を決定することは、タンパク質の3次構造の解析に必須の情報を得ることができるため、プロテオミクスの研究における主目的とされるべきである。
タンパク質配列を見つけ出す古典的な方法は、エドマン試薬(Edman reagent)を使用する方法で、エドマン分解(Edman degradation)がある。この方法は、塩基条件下でタンパク質やペプチドのN−末端にイソチオシアン酸フェニル(phenyl isothiocyanate)を反応させた後、酸条件に切り替えると、N−末端側のアミノ酸1個が切り離されチアゾロン(thiazolone)の形態になるようにする方法である。このようにアミノ酸を1単位ずつ分析してタンパク質やペプチドの全体配列を決定することができる。しかしながら、この方法は、分析しようとするタンパク質あるいはペプチドの純度が高くなければならず、また、あまりにも時間がかかるという短所があった。そこで、近来は、このような反応を自動に繰り返すオートシーケンサー(auto sequencer)という機械が開発されたが、1個のアミノ酸を見つけ出すのに30分〜1時間がかかり、1サイクルごとに望む産物が100%の収率で得られるわけではないため、長いアミノ酸配列を分析する場合には多量の試料を必要とするという問題点があった。
これらの理由により、1980年代に、質量分析器を用いてタンパク質またはペプチドの配列を分析する方法が、上記エドマン分解の短所を克服するために開発された。この方法は、具体的にはタンデム質量分析法(以下、“タンデムMS"という。)と呼ばれ、サンプルイオンをその質量対電荷比に従い分析し、ヘリウムのような不活性ガスと動的な衝突によって対象イオンを寸断する。結果として得られた断片(fragment)イオンの観察は、そのタンパク質のプロテオミクス解析の情報を提供する。
通常、このようなタンデムMS技術をペプチドに適用すると、あるペプチド結合が切断されて娘イオンが生成されるようになり、これに対するマススペクトルが得られる。このようなマススペクトルと、既に確立されているタンパク質データベースとを比較して、当該サンプルを特徴付けることができる。しかしながら、このような方法は、データベースが誤っている場合、誤った結果を招くだけでなく、たとえデータベースが正確であるとしても、同定したペプチドの結果は、確かだと思われるものの単なる可能性であり、絶対的な信頼が保証されるものではない。したがって、データベースの依存度を減らし、より質量分析結果に集中してタンパク質を同定するための多様な試みがなされた。純粋なペプチドをタンデムMSで分析する場合、大部分のペプチドが複雑なタンデムマススペクトルを表すので、それで、ペプチドに一連の処理を加えて改質することによって、タンデムマススペクトルを、単純化しようと試みられた。このように他のデータベースも用いずに、タンデム質量分析法のみをもって直接的にアミノ酸配列を得る方法を、デノボシーケンシング(de novo sequencing)という。
クロロスルホニルアセチルクロライドを用いてポリペプチドのN−末端をスルホン化することによって、N−末端断片であるbタイプのイオンを中性にして、yタイプイオンのみスペクトル上で見られるようにする技術が開示された(特許文献1参照)。しかし、この技術は、前記クロロスルホニルアセチルクロライドの反応性が大きすぎ、また、反応部位が2ケ所であるため、生成物が非常に複雑になるだけでなく、定量分析には全く使用することができないという問題点がある。またリシン修飾試薬がリシンのε−アミノ基とも反応をするため、C末端がリシンであるペプチドに対しては使用できないという問題点があり、この技術の実用に厳しい制限がおかれている。
上記のような問題点を解決するために、スルホン化反応以前にリシン側鎖のε−アミノ基をプロテクティングし、イオン化効率も高めるためにO−メチルイソウレアを用いてリシンをホモアルギニンに変えようとする試みがある。しかし、これは、前処理段階が1段階増えるため、ペプチド量の相当な損失を招くことがあり、また、前記O−メチルイソウレアがむしろペプチドのN−末端アミノ基とも反応する可能性があるという問題点があった。
一方、タンデムマススペクトルの解釈をより単純化し、そしてより多くの情報を得るために、同位元素置換に関する技術が発展した。
Smith等は、タンデムマススペクトルの解釈をより単純化し得る技術を開示している(非特許文献1参照)。この技術によると13Cで同位元素ラベル処理されたリシンを含んでいる培養液(リシンを構成する6個の炭素を13Cで置換したもの)と、未処理のリシンを含んでいる培養液でイースト(yeast)をそれぞれ培養し、得られた培地を混合する。その後その混合物はタンパク質分解酵素であるLys−Cを使って加水分解され、生じた産物はyタイプとbタイプとの区分が可能となり、こうしてタンデムマススペクトルの解釈の単純化が実現する。しかし、この方法は、生体内(in vivo)ラベリングを使用するため、人間を対象とする実験では使用できないし、その生物体が体内にリシンを生成するもう一つのルートを持っている場合には全く使用できないという短所があった。また、タンパク質同定と同時に定量分析ができる方法への様々な試みがなされている。例えば、Gygi等は、HがDに置換されたICAT(Isotope-Coded Affinity Tags)という試薬を使って定量分析をする方法を開示している(非特許文献2参照)。しかし、この試薬は、システインのチオール基と反応するもので、システインが大部分のタンパク質においてアミノ酸の5〜10%程度しか存在しない。そのため、これを用いた定量方法は必然的に大きな誤差を示す。HとDの水素結合の強さに違いがあるため、逆相液体クロマトグラフィにおいて溶出時間(retention time)に違いが生じる。これらの要因は、定量分析に誤差が発生して信頼度の顕著な低下を引き起こしている。
国際公開第02/08767号パンフレット Smith等、Analytical Chemistry, Vol.74, No.19, October 1, 2002 GYGI等、Nature biotechnology, Vol. 17, October 1999, 994-999 Journal of the American Society for Mass Spectrometry 2001, 12, 288-295
本発明は上記の従来技術の問題点を克服するためのもので、その目的は、高い信頼度でポリペプチドの同定と同時にその定量分析ができるポリペプチドのN−末端置換用化合物を提供することにある。
本発明の他の目的は、ポリペプチドのN−末端置換用化合物を用いたポリペプチド内のアミノ酸配列決定方法及びアミノ酸定量分析方法を提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するために、マススペクトルを用いてポリペプチドのアミノ酸配列を分析し定量する方法に用いられる下記の化学式(1)で表されるポリペプチドのN−末端置換用化合物を提供する。
Figure 2008512644
本発明は、上記他の目的を達成するために、(a)2種類のポリペプチドサンプルのそれぞれをタンパク質分解酵素を用いて分解することによって、C−末端がアルギニンまたはリシンである2種類のオリゴペプチド混合物を得る段階と、
(b)前記C−末端がアルギニンまたはリシンであるオリゴペプチド混合物のうち一つは12C、32Sまたはこれら両方を含むN−末端置換用化合物で誘導体化させ、残る一つは、13C、33Sまたはこれら両方を含むN−末端置換用化合物で誘導体化させる段階と、
(c)前記2種類の誘導体化したオリゴペプチド混合物を混合し、逆相液体クロマトグラフィ(Reverse-Phase Liquid Chromatography:以下、“RPLC”という。)を経させる段階と、
(d)質量分析器を用いてベースピーククロマトグラム及びMS/MSスペクトルを得る段階と、
(e)前記得られたスペクトルを解釈する段階と、を備えるポリペプチド内のアミノ酸配列決定方法及びアミノ酸定量分析方法を提供する。
本発明の一実施形態によると、前記タンパク質分解酵素は、トリプシン、エンドプロテイナーゼLys−CまたはエンドプロテイナーゼArg−Cでありうる。
本発明のもう一つの実施形態によると、前記タンパク質分解酵素は、トリプシンであってもよい。
本発明の更なる実施形態によると、前記12C、32Sまたはこれら両方を含むN−末端置換用化合物は、化学式(2)で表された化合物であり、前記13C、33Sまたはこれら両方を含むN−末端置換用化合物は、12Cの一部または全部が13Cで置換され、32Sの一部または全部が33Sで置換された同位元素化合物でもよく前記12C、32Sまたはこれら両方を含むN−末端置換用化合物と同一の構造式のままである。
Figure 2008512644
また、前記12Cを含むN−末端置換用化合物は、好ましくは化学式(3)で表される化合物であり、前記13Cを含むN−末端置換用化合物は、化学式(3)の化合物において12Cが13Cで置換された同位元素化合物である。
Figure 2008512644
本発明によると、前記質量分析器は、マトリクス支援レーザー離脱/イオン化法(Matrix-Assisted Laser Desorption/Ionization:以下、“MALDI”という。)タイプ質量分析器でもよい。
本発明の更なる実施形態として、前記質量分析器は、電子スプレーイオン化法(Electro Spray Ionization:以下、“ESI”という。)タイプ質量分析器でもよく、前記逆相液体クロマトグラフィと直接連結されているものであってもよい。
前記(b)段階のpHは、7〜9の範囲であることが好ましい。
また、リシンの誘導体化段階は、リシンのε−アミノ基は誘導体化させず、リシンのN−末端のみ誘導体化させることが好ましい。
本発明の望ましい実施形態によると、前記(e)段階は、市販で入手可能なソフトウェアプログラムまたはデータベースを利用するものにすればよい。
本発明によるN−末端置換用試薬は、リシンのε−アミノ基とは反応せず、主鎖上のアミノ基のみと反応するように調節可能なため、定量性に非常に優れている。また、本発明によるアミノ酸配列分析及び定量方法は、非常に高い信頼度でタンパク質の相対的な定量分析ができ、MS/MSスペクトル上でyタイプイオンとbタイプイオンを明確に区分できるため、高い信頼度のタンパク質同定が可能となる。
以下、本発明についてより詳細に説明する。
本明細書において、ポリペプチドとは、ペプチド結合で連結されている500個以上のアミノ酸からなる分子鎖のことをいい、オリゴペプチドとは、たとえばペプチド結合で連結されている2個以上500個未満のアミノ酸である少ない数のアミノ酸によるペプチドのことをいう。
また、断片(fragment)とは、ポリペプチドのN−末端、C−末端または両末端が切断されて形成された化学種のことをいい、ラベルは、オリゴペプチドの末端に付着されてオリゴペプチドを誘導体化させる化学種のことをいう。
本発明によって、質量分析法を用いてポリペプチドのアミノ酸配列を分析し定量する方法に使われるN−末端置換用化合物は、オリゴペプチドのN−末端に置換され、その化合物内に存在する炭素原子または硫黄原子を同位元素に置換することによって、同位元素置換による質量差を与えて、デノボシーケンシングはもちろん、実験群と対照群の相対的なタンパク質定量分析を可能にする。本発明で使用できるN−末端置換用化合物は、特に限定されることはなく、オリゴペプチドのN−末端と反応でき、反応後に生成された化学種が気体相でオリゴペプチドにH+を供給できる作用基を持つものならいずれも可能である。例えば、式(2)で表される化合物をN−末端置換用化合物として使用してもよい。
上記の一般式2で表される化合物とオリゴペプチド(ASHLGLAR)のN−末端と反応して生成された化合物を例示すると、下記の式(4)、(I)〜(IX)の通りである。
Figure 2008512644
Figure 2008512644
上記の式(4)の(IX)で表わされる化合物以外、全ての化合物は末端にいずれもスルホン酸基が存在し
、化合物(IX)の場合は、スルホン酸基はないものの、高い酸度を有するため、気体相においてオリゴペプ
チドにH+を提供できる。一方、化合物(IV)、(VI)、(VII)の場合には、オリゴペプチドと対応する化
合物との反応後に、H22等の酸化剤を用いて、反応後生成される化学種の末端のSHを酸化させることによって、スルホン酸基を生成する。化合物(III)の場合には、オリゴペプチドと対応する化合物との反応
後、チオエステル基を加水分解してチオール基を生成したのちH22等の酸化剤を使って酸化させることによって、スルホン酸基を生成する。
本発明の好ましい実施形態によれば、N−末端置換用化合物として、式(3)の12C6−4−スルホフェニルイソチオシアネート(12C6-4-Sulphophenyl isothiocyanate:以下、“12C-SPITC”という。)をN−末端変換用化合物として用いてもよく、これに対する同位元素ラベル化化合物は13C6−4−スルホフェニルイソチオシアネート(13C6-4-Sulphophenyl isothiocyanate:以下、“13C−SPITC"という。)である。この13C−SPITCは、4−スルホフェニルイソチオシアネートにあるフェニル環の6個の炭素のそれぞれを13Cに置換したもので、実験群と対照群の相対的なタンパク質定量分析同様に、タンパク質内のアミノ酸配列に対するデノボシーケンシングに非常に適合する化合物である。
本発明では、上記の13C−SPITCと12C−SPITCを共に使用する。2種類のサンプルに個別に13C−SPITCと12C−SPITCをそれぞれ反応させ、ペプチドのN−末端を誘導体化させることによって、別個のラベル処理されたペプチドサンプルを得る。その後、得たサンプルを混合し、様々な情報を高い信頼度で速かに得るために質量分析器にかける。
このSPITCは、ペプチドのアミンと反応できる部位をチオカルボニル基1ヶ所だけ有し、このような反応部位のため良好な選択性を示し、反応条件を調節することによって選択性をより向上させることができる。そのため、リシン残基を含むペプチドの場合であっても、前記SPITCは、リシンのε−アミノ基とは最小限に反応し、選択的にN−末端のアミノ基と反応するようにすることができる。したがって、別に前記リシンのε−アミノ基をプロテクティングする必要はない。
図1には、本発明によってMS/MSスペクトルを得る場合の分解メカニズムを示している。原則的にエドマン分解(Edman Cleavage)とは、既に説明したように、フェニルイソシアネートによってバルク相中でN−末端のアミノ酸1個が切断されることを意味するが、気相中でもこれと類似する形態の分解が起きることが知られている(非特許文献3参照)。したがって、以下におけるエドマン分解とは、図1(a)に示すように、気相中で求核試薬としてチオカルボニル基のSの働きによって、チアゾロン(thiazolone)の形態にN−末端側のアミノ酸1個が切断されることを意味する。したがって、+1価の電荷を有するSPITC−オリゴペプチドの場合、上記分解の結果によってできた化学種は、SPITC−b1(中性)と表示されてもよく、C−末端側の化学種はyn-1と表示されてもよい。
一方、本発明に使用される13C−SPITCと12C−SPITCは、ペプチドのN−末端を誘導体化させた場合に、上記エドマン分解に加えて、図1(b)に示すような主鎖分解(Backbone Cleavage)も起きる。これは、前記SPITCのスルホニル基の酸度が高いためH+の供給源として働きながら、このH+がカルボニル基の酸素などに遷移されることによって、カルボニル基を活性化して分解反応を導くためである。+1価の電荷状態のSPITC−オリゴペプチドの場合に、上記主鎖分解の結果によってできた化学種は、N−末端側のSPITC−bm(中性)とC−末端側のyn-mである。したがって、本発明によるMS/MS分解生成物にはエドマン分解生成物同様に、主鎖分解によって発生した断片を含み、それらの中で上記エドマン分解によって発生した断片が主要なピークを形成する。一方、オリゴペプチドのC−末端がリシンである場合には、リシンはアルギニンよりも小さいプロトン親和度を示し、それ故プロトン遷移が容易に生じるようになる。その結果生成されたyn-1イオンが内部的な分解を経てSPITCの結合されていないbイオン自体が検出されるかもしれない。
一方、+1価の電荷状態であるSPITC−オリゴペプチドを分解した場合に発生する前記SPITC−b1(中性)とSPITC−bm(中性)は、MS/MSスペクトルで検出されず、一般的にyタイプイオンだけがスペクトル上に現れるため、本発明によるN−末端置換用化合物を使用すると、スペクトル上のピークを単純化して効率的な解釈を可能にすることができる。
本発明によれば、実験群と対照群の2種類のタンパク質サンプルをタンパク質分解酵素を用いて分解した後に、前記13C−SPITCと12C−SPITCを用いてN−末端を誘導体化することによって、それぞれ同位元素ラベル処理されたオリゴペプチドを製造した後、+1価であるオリゴペプチドに対してマススペクトルを得ると、互いに6Da離れて対をなすピーク(以下、“ダブレット"という。)が現れるが、この場合、質量が6Daだけ一層大きいピークが、13C−SPITCで誘導体化したオリゴペプチドに該当する。一方、このダブレットが溶出される間、各ピークの強度の和をそれぞれ比較して、上述したピークに該当するオリゴペプチドの量を相対的に定量できる。
次に、前記ダブレットに対してMS/MSスペクトルを得る時、元来SPITC−b形態の断片は中性であるためスペクトル上に現れず、荷電したyタイプイオンのスペクトルだけ現れる。万一、N−末端側にヒスチジンのような高塩基性のアミノ酸が位置した場合には、時々bタイプイオンが現れることもある。この場合、従来技術によれば、yタイプイオンとbタイプイオンが混在していることからピークの解釈が非常に難しくなる恐れがあるのに対し、本発明によれば、前記bタイプイオンは質量差6Daのパートナーピークを伴うようになるので、bタイプイオンとyタイプイオンと区別でき、これによってピーク解釈が容易となる。
一方、オリゴペプチド+2価の電荷状態である場合、マススペクトル上に質量差3Daのダブレットが現れ、そのそれぞれのピークの強度を比較して、ダブレットにおける上述したピークに該当するオリゴペプチドの量を相対的に定量できる。
MS/MSスペクトルにおいて、前記オリゴペプチドの電荷状態が+2価であるbタイプイオンのピークは、yタイプイオンのピークと共に現れるため、全体的なピークが非常に複雑となる。しかし、本発明によれば、前記bタイプイオンは、質量差6Daのパートナーピークを伴うので、bタイプイオンをyタイプイオン等と区別でき、これによってより多くの情報が得られる。
前記13C−SPITCは次のようにして得られる。まず、13Cに置換されたアニリンに濃硫酸を加えてパラ位置をスルホン化する。生じた13C−スルファニル酸(13C-sulfanilic acid)を得た後に、チオホスゲンを混合することによって、前記スルファニル酸のアミン基と反応させて13C−4−スルホフェニルイソチオシアネートを得ることができる。
本発明によるポリペプチド内のアミノ酸配列分析及び定量方法は、(a)2種類のポリペプチドサンプルのそれぞれをタンパク質分解酵素を用いて分解することによって、C−末端がアルギニンまたはリシンである2種類のオリゴペプチド混合物を得る段階と、(b)前記末端がアルギニンまたはリシンであるオリゴペプチド混合物のうち一つは、12C、32Sまたはこれら両方を含むN−末端置換用化合物で誘導体化させ、残る一つは、13C、33Sまたはこれら両方を含むN−末端置換用化合物で誘導体化させる段階と、(c)前記2種類の誘導体化したオリゴペプチド混合物を混合し、RPLCを経させる段階と、(d)質量分析器を用いてベースピーククロマトグラム及びMS/MSスペクトルを得る段階と、(e)前記スペクトルを解釈する段階と、を備えることを特徴とし、簡単な処理によってポリペプチドのデノボシーケンシングが可能になると同時に、高い信頼度をもって実験群と対照群タンパク質の相対的な定量ができる。すなわち、本発明は、たった一つの試薬でオリゴペプチドN−末端を誘導体化させることによって、より高い信頼度を持つタンパク質同定とより高いタンパク質定量効率が得られる方法を提供することにある。
本発明によるタンパク質同定技術は、ボトムアップ(bottom up)接近方法というが、これは、タンパク質サンプルの分析前にタンパク質分解酵素を用いてタンパク質を適当な大きさのオリゴペプチドに切断する前処理過程を必要とする方法である。関連して、トップダウン(top down)接近方法があるが、これは、フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴(Fourier Transform Ion Cyclotron Resonance)のような高い分解能のMSを使用する時に多く用いられる。この方法によると質量分析を行うタンパク質は質量分析前にいかなる処理もせず、その質量に該当するタンパク質を誘導結合プラズマセル(Inductive Coupled Plasma Cell)中に封入し、外部のソース(電子、光)を用いてタンパク質の分解をし、タンパク質分解による娘イオンを観察することによってタンパク質同定をする方法である。工程が単純であるという長所はあるが、混入物質により、誤った同定が引き起こされるおそれがあるため、高純度のタンパク質が要求される。
本発明の(a)段階でタンパク質分解酵素を用いてタンパク質を分解する場合に、C−末端がアルギニン(R)またはリシン(K)であるオリゴペプチドでなければならない理由は、アルギニンが20個のアミノ酸の中で最も塩基度の高いアミノ酸であり、リシンはその次に塩基度の高いアミノ酸であるためである。このように塩基度の高いアミノ酸はH+をトラップして電荷を帯び易くなり、これらのアミノ酸のプロトンを付加された形態は、質量分析器で容易に検出されるという長所がある。
本発明に使用可能なタンパク質分解酵素は、特に制限されることはないが、分解結果で生成されるオリゴペプチドのC−末端がアルギニンまたはリシンでなければならないという点から、トリプシン、エンドプロテイナーゼLys−C、エンドプロテイナーゼArg−Cが好ましい。しかしながら、トリプシンを使用することが最も好ましい。これは、トリプシンの価格が低廉で、トリプシンを用いてタンパク質を分解すると、分解効率がより向上するためである。このようにトリプシンを用いて分解したオリゴペプチドをトリプシンペプチド(tryptic peptide)と呼ぶ。
多様なイオン化方法のうち、タンパク質分析に主として用いられるイオン化方法は、MALDI及びESIであり、本発明に使用される質量分析器は、プロテオミクス分野における当業界に通常的に使われるものなら特に制限されることはなく、MALDIタイプ質量分析器やESIタイプ質量分析器のいずれを使用してもよい。ただし、MALDI方法によるイオン化では、ペプチドのプロトン付加はあまり効率的な手段ではなく、したがって、ESI質量分析器を使用する場合に比べて、末端のアミノ酸がリシンであるペプチドの検出が難しいという短所がある。オリゴペプチドの存在は質量分析法のみでは同定することはできないので、質量分析の前にRPLCを用いてペプチドをそれらの疏水性差によって分離する。この時、システムからくる溶液を、ESIを用いて気体相でイオン化させることで、RPLCシステムを質量分析器に直接的に連結できる。対照的にMALDIは、固体状態のサンプルを気体相にイオン化させるため、直接的に液体クロマトグラフィに連結させることはできない。液体クロマトグラフィから出る溶液を一定の時間間隔に受け取って別に分析しなければならないという面倒さがある。
本発明によるポリペプチド内のアミノ酸配列分析及び定量方法において、上記(b)段階のpHは7〜9であることが好ましいが、これはSPITCの反応選択性を調節するためである。すなわち、リシン末端を持つトリプシンペプチドでは分子内に2種類のアミンが存在するが、前記pH範囲である場合に限って、主鎖に存在するアミノ基のみが前記SPITCと反応し、ε−アミノ基はほとんどSPITCと反応しないように調節できるためである。pHが7未満である時にはアミノ基にH+がトラップされて求核性が落ちるため、反応がよく起こらない。反対にpHが9を超過するとε−アミノ基も反応に参入するため好ましくない。
本発明の最後の段階として、マススペクトル、ベースピーククロマトグラム及びMS/MSスペクトルを解釈する段階は、商業的に入手可能なソフトウェアプログラムまたはデータベースを用いて行われるが、このようなプログラムまたはデータベースもまた、プロテオミクス業界で通常的に使用されるものなら特に制限されることはない。本発明ではSEQUEST(ThermoFinnigan社製造)を使用した。
既存のICATは、システインのみと反応することから必然的に定量データの信頼度が低いのに対し、本発明では任意のタンパク質から由来したあらゆるトリプシンペプチドで定量をすることによって、定量性の統計的誤差を大幅に減らすことができ、結果として信頼度が非常に高いという長所がある。
本発明では、MS結果を、ベースピーククロマトグラフィから得るのが一般的である。このようなベースピーククロマトグラムは、横軸は時間、縦軸は強度(intensity)を表す、任意の時間に測定されたマススペクトルで最も強度の大きいイオンのピークを示すものであり、更にこのマススペクトルはz軸方向からみると一般のマススペクトルとなる。
以下、好適な実施例に挙げて本発明をより詳細に説明する。ただし、これらの実施例によって本発明が制限されることはない。
実施例1
1−(1) 13 C−スルファニル酸の製造
氷浴中、4mlの濃硫酸を、13Cで置換されたアニリン(1ml、10mmol)(Aldrich社製造)に滴加し、この結果物を180〜190℃で6時間加熱した後、室温に冷却し、冷水を添加した。これによって得られた沈殿物をろ過したのち冷水で洗浄して固体を得た。このようにして得られた固体を沸騰水に溶解させた後、活性炭で脱色して直ちにろ過した後4℃で結晶化した。このろ過物を冷却して得られた結晶を真空乾燥して、13C−スルファニル酸(13C-sulfanilic acid)600mg(収率32%)を得た。
1H NMR(D2O,300MHz):δ7.28(doublet,2H,J=8.7Hz)、δ7.72(doublet,2H,J=8.7Hz)
ESI−MS(negative mode):m/z=172Da([M−H]-
1−(2) 13 C−4−スルホフェニルイソチオシアネートの製造
13C−スルファニル酸100mg(0.58mmol)を3Mの塩酸5.3mlに溶解させた溶液に、チオホスゲンを四塩化炭素に溶解させた67%(v:v)溶液(0.38ml、3.28mmol)を添加し、その結果物を常温で12時間激しく撹はんした。この混合物から水分を酢酸エチル(AcOEt)を用いて抽出し、無水MgSO4を用いて乾燥したのちろ過した。このろ過体を減圧下で濃縮させて油状の残分を得、0.5MのNaHCO3溶液(1.2ml)を添加して残分を中和した。その結果物を、凍結乾燥させて13C−4−スルホフェニルイソチオシアネートのナトリウム塩118mg(収率86%)を得た。
1H NMR(D2O、300MHz):δ7.26ppm(doublet,2H,J=8.7Hz)、δ7.64ppm(doublet,2H,J=8.7Hz)
ESI−MS(negative mode):m/z=214Da([M−H]-
FT−IR:2085cm-1(N=C=S)
予備実施例1
1−(1)オリゴペプチドサンプルの製造
12C−SPITCと13C−SPITCがオリゴペプチドに定量的に反応するか否かを実験するために、アナフィラトキシン(anaphylatoxin)C3a断片70−77(ASHLGLAR)10nmolを1:1ピリジン/水溶液5μlに溶解させて、オリゴペプチド溶液(A)を用意した。
1−(2)オリゴペプチドの誘導体化
実施例1で製造された13C−SPITCと12C−SPITCが1:1のモル比で混合されている試薬1mgを、ピリジン/水/エタノール(1:1:2)溶液200μlに溶解して、12C−SPITC及び13C−SPITC混合ストック溶液を、使用直前に製造した。この5μlの前記12C−SPITC及び13C−SPITC混合ストック溶液に、前記製造されたオリゴペプチド溶液(A)をそれぞれ混合し、前記オリゴペプチド−SPITC溶液のpHを約8に調節した。この溶液を、エッペンドルフサーモミキサー(Brinkmann instrument社製造)を使って徐々に撹はんしなから50℃で1時間反応させた。その後、この溶液を高速真空濃縮器内で完全に蒸発させ、この結果物を5μlの0.05%トリフルオロ酢酸(以下、“TFA”という。)及び0.2%酢酸水溶液に混入した。次にその混合物を、長さ4cm、内径400μlのPEEKチューブ(Upchurch scientific社製造)に炭素数18の分岐状炭化水素粒子(孔隙の大きさ300、粒子の大きさ5μm、Phenomenex社製造)をパッキングして自社製作したマイクロコラムを用いて直ちにマイクロ脱塩過程を経るようにした。このマイクロ脱塩過程は、前記ペプチド溶液5μlを前記マイクロコラムに6ポートスイッチングバルブ(Valco International社製造)を用いて注入し、0.05%TFA及び0.2%酢酸水溶液100μlで洗浄した後、100μlのアセトニトリルを用いて展開させることによって行った。この結果物を高速真空濃縮器内で完全に乾燥させ、今後の実験のために−20℃で保管した。
1−(3) MS及びMS/MS分析
上記で得られたSPITC誘導されたペプチドを、100μlの0.1%とり振る尾路酢酸(TFA)及び90%アセトニトリル水溶液に混入した。この溶液を直接シリンジに入れて20μl/hrの溶出速度で注射して、MS実験とMS/MS実験を行った。質量分析器には4重極イオントラップ質量分析器(QIT−MS、製品名LTQ、ThermoFinnigan社製造)を使用した。スプレー放出部位を脱溶媒管の入口に高精度に合わせるために、光学xyz−トランスレーショナルステージ(translational stage、460A series;Newport社製造)が備えられた自社製作したナノ電気噴霧イオン化インターフェースを、前記質量分析器に装着した。電気噴霧を形成すべく2kVの電圧を装置に印加した。衝突誘導分解(Collision induced dissociation:以下、“CID”という。)エネルギーは、25%に調節した。MS/MS実験では2イオン種を共にCIDすべく、m/z=15Daの分離間隔(isolation width)を適用した。
この結果として得られたマススペクトルを、図2に示す。図2で、Mはオリゴペプチド自体(ASHLGLAR)を意味し、M’は、N−末端がSPITCで置換されたオリゴペプチド(SPITC−ASHLGLAR)を意味する。電荷状態が+1価である[M’+H]+が、6Da離れて略同じ強度のピークのタブレットとして現れており、大きいものが、13C−SPITCで誘導体化したオリゴペプチドに該当する。同様に、電荷状態が+2価である[M’+2H]2+に対しても同じ結果が図2(c)の左側に現れているが、この場合に、13C−SPITCで誘導体化したオリゴペプチドは、m/zが3だけ大きい位置に現れるようになる。このようなm/zの差は、各ピークの左側上段に示すズームスキャンマススペクトルからより明確に観測できる。一方、図2(c)でスペクトル上のy7は、インソース(in source)分解によるエドマン分解産物と判断される。
図2から、いかなる電荷状態においても反応しないオリゴペプチドは観察されなかったし、13C−SPITCと12C−SPITCは定量的に反応するということが確認できた。
図2(b)には、前記[M’+H]+に対するMS/MSスペクトルを示し、その左側上段にあるスペクトルは、y7を除く残りの断片に対するスペクトルを8倍拡大したものである。y7は、ピークの強度が最も大きいエドマン分解の産物であり、y7の左側のピークは、主鎖分解の産物、例えば娘イオンに対するものである。これらのピークは、前記y7よりも小さい強度を有することから、主鎖分解は主要な分解経路ではなく、ヘリウム原子との衝突による結果として分解が起きている。
図2(b)で[M’−H2O+H]+は、[M’+H]+から水分子が切り離された化学種に該当し、[M’−SAA+H]+は、[M’+H]+からスルファニル酸が切り離された化学種に該当し、[M+H]+は、[M’+H]+からSPITCが切り離された化学種に該当する。スペクトルの一番右側の[M’−H2O+H]+は微細ではあるもののダブレットとして現れており、他の化学種はいずれもシングレットとして現れていることは、bタイプイオンはいずれも中性であり、検出されないことを表す。すなわち、y7の左側にあるピークはいずれもyタイプイオンを表すのでピークの解釈が非常に簡単となり、隣り合うピーク間の間隔のそれぞれは、最も右側から始まって左側に至る質量差の計算により同定される配列としての一つのアミノ酸の質量に該当する。
図2(a)には、[M’+2H]2+に対するMS/MSスペクトルを表し、bタイプ及びyタイプイオンをはっきり示す挿入図と共に示されている。この場合、エドマン分解産物として、yn-1 2+に該当するy7 2+が最も優勢に現れ、(SPITC)−b1に該当するb1 *とyn-1に該当するy7は強い強度を示す。他のbタイプ及びyタイプイオンが存在するが、低い強度であり、この時、bタイプイオンは、それらのN−末端に12C−SPITCと13C−SPITCを含むので、2イオンの質量が6Daの差を持つダブレットで現れ、yタイプはシングレットで現れる。
要するに、本発明によれば、+1価であるSPITC−オリゴペプチドに対するMS/MSスペクトルに現れる隣り合うピーク間の間隔がアミノ酸1個の質量に該当し、直接的なデノボアミノ酸配列決定が可能であり、さらには、+2価の電荷状態であるSPITC−オリゴペプチドに対するMS/MSスペクトルから追加的な情報を得ることができる。
予備実施例2
2−(1)オリゴペプチド混合物サンプルの製造
実際タンパク質試料に対して本発明による方法の定量性を確認するために、馬心臓ミオグロビン(horse heart myoglobin)に対して実験をした。この馬心臓ミオグロビンは、トリプシンを用いて完全分解させると21種のオリゴペプチドを生成する。ミオグロビン10μlを60μlの100mM NH4HCO3緩衝液に溶かして90℃で10分間変性させた。その後、この溶液を室温まで冷却し、40μlのメタノールと200ngのトリプシンを添加(タンパク質対酵素の割合50:1)して、37℃で15時間分解した。このオリゴペプチドサンプルを急速真空濃縮器(Thermo Savant社製造)を使って完全に乾燥させ、今後の実験のために−20℃で保管した。
2−(2)オリゴペプチドの誘導体化
上記で得られたオリゴペプチド(B)の平均分子量は800Da、ミオグロビン10μlから由来したオリゴペプチドの総モル数は12.5nmolと仮定し、上記予備実施例1−(2)における方法と同じ方法でオリゴペプチドの誘導体化を行った。

2−(3)cRPLC/MS/MS分析
上記で得られたSPITC誘導体化したオリゴペプチド混合物を50μlの0.05%TFA及び0.2%酢酸水溶液に溶解させた後、この溶液5μl(オリゴペプチド混合物約1μl)を、自社製作した液体クロマトグラフィ(毛細管RPLC;capillary-RPLC)システムのサンプルループ(loop)に注入しカラムに注射した。質量分析器としては、上記予備実施例1で使用した、自社製作したナノ電気噴霧イオン化インターフェースが装着されている4重極イオントラップ質量分析器(QIT−MS、LTQ社製造)を使用し、前記インターフェースは、脱溶媒管に対してスプレーエミッタの位置を正確に調節するために、光学xyz−トランスレーショナルステージ(xyz-translational stage、460Aシリーズ、Newport社製造)を採用した。また、前記インターフェースは、ステンレススチール接合管を介して前記分離カラムと電子スプレーエミッタとの間を直接連結することによって、LCと質量分析器間の余分の空間を最小化するように設計された。電気噴霧を発生させるために2kVの電圧を前記接合管に印加した。前記液体クロマトグラフィは超高圧RPLCシステムであり、移動相(溶媒X:0.05%TFA及び0.2%酢酸水溶液、溶媒Y:0.1%TFA及び90%アセトニトリル水溶液)が2つのISCOシリンジポンプ(Model 100DM、ISCO社製作)を使って10,000psi下で運搬されるようにした。移動相溶媒は、パッキングされた毛細管カラム(内径75μm、外径360μm、長さ1m、毛細管はPolymicro Technologiesで製作)とフロースプリッタ(flow splitter)を通る前に磁石撹はんされるステンレススチールミキサーで均一に混合された。前記カラムは、炭素数18の分岐状炭化水素粒子(孔隙の大きさ300、粒子の大きさ5μm、Phenomenex社製造)を用いて実験室で製作し、200分間指数関数的な勾配変化で溶媒Yの含量を0%から80%まで変化させた。ミオグロビンの質量分析を通じた配列分析を行うためにQIT−MSはデータ−従属タンデムMSモードで作動させた。これは、先行するMSスキャンで最も豊富に検出された2イオンに対して後続するMS/MSを連続して実施するようにする方式のことをいう。一方、CIDエネルギーは35%に調節し、MS/MSは2イオン種を共にCIDするためにm/z=15Daの分離間隔(isolation width)を適用した。
上記実験から得られたベースピーククロマトグラムを図3(c)に示し、その中で選択された一部ピークに対するMS/MSスペクトルを、前記クロマトグラムの上部に共に示した。図3(c)を参照すると、クロマトグラム上でSPITC誘導体化したオリゴペプチドがよく分離されて現れている。また、予期せぬ反応によって発生しうるいかなる顕著なピークも観測されず、単に反応しないペプチドが1個現れている(該ピークはアスタリスクで表示した)。図3(c)において丸点で表示されたピークはいずれもSPITCによって誘導体化したピークで、マススペクトル上ではダブレットで現れる。図3(a)及び図3(b)は、指示された時間に溶出される改質されたオリゴペプチドのMS/MSスペクトルを示している。図3(a)は、液体クロマトグラフィの開始から49分頃に溶出してくるオリゴペプチドのMS/MSスペクトルを示している。3Da離れていても二つのピークからなるMS/MSスペクトルのダブレットは、二十荷電種に起因するこれらのピークを表している。このMS/MSスペクトルから、質量差6Daのダブレットで現れるピークはSPITC−b形態(以下、“b*”という。)の存在を示し、このような連続したb*イオンとyn-1 2+及び他のシングレットにより提供される情報を用いて得られた。具体的に、すでに説明したように酵素により分解されたオリゴペプチドのC−末端は、アルギニン(R)またはリシン(K)であるが、最も大きい質量のb*イオンと母イオンとの質量差が174Daだったので、これは[アルギニン(156Da)+H2O]であることが確認できた。また、連続したダブレット(b*イオン)からm/zの差を比較してそれぞれに該当するアミノ酸を見つけ出した。例えば、図3(a)で最も右側にあるダブレット(m/z=1647.4、1653.5Da)とその左側にそれと隣接しているダブレット(m/z=1534.3、1540.4Da)の差(113Da)によって当該アミノ酸がロイシン(L)あるいはイソロイシン(I)であることがわかった(ロイシンとイソロイシンは異性質体で、その質量が同一である。)。前記ダブレットとその左側に隣接しているダブレット(m/z=1421.2、1427.3Da)の差(113Da)によって次のアミノ酸もまたロイシンまたはイソロイシンであることがわかった。これと同じ方法で、次の左側にあるダブレット(m/z=1322.3、1328.3Da)との差からバリン(V、99Da)を、その次のダブレット(m/z=1193.4、1199.2Da)との差からグルタミン酸(E、129Da)を見つけ出した。また、SPITC誘導体化された+2価のオリゴペプチドの場合、一般的にyn-1 2+またはyn-1ピークの強度が最も大きいという事実に着目し、[M+2H]2+とこのピークに該当する質量との差を計算して、N−末端側の最初のアミノ酸がバリン(V)であることが分かった。このようなデノボシーケンシングの結果として、発明者は当該オリゴペプチドはV−?−−?−EVL(I)L(I)Rであるという結果が得られた。次に、データベース内のミオグロビンに対するタンパク質配列を用いて対照した結果、前記SPITCで誘導体化したオリゴペプチドがVEADIAGHGQEVLIRであることが確認できた。6Daの差で現れるダブレットは、bタイプイオンであるということが確信できるため、データベースとの対照で誤りが発生する可能性を極小化させることができ、主鎖分解によって、低い強度で現れる多様なピークを明確にすることができた。
一方、図3(b)はベースピーククロマトグラムを示し、MS/MSスペクトルは、前記ベースピーククロマトグラム上で約66分頃に現れるダブレット(m/z=963.5、969.5Da)を得た。そしてMS/MSスペクトル上でダブレットの各ピークは6Da離れている。ペプチドをデノボシーケンシングすると、プロトン付加されたペプチド質量を表すピーク(m/z=748.4Da)とエドマン分解によるピーク(m/z=677.4Da)との質量差は、N−末端側の一番目のアミノ酸がアラニン(A、71Da)であることを示し、前記エドマン分解によるピーク(m/z=677.4Da)とそれ以下に現れるシングレットピーク(m/z=564.3Da)との差によってN−末端側の2番目のアミノ酸がロイシンまたはイソロイシン(113Da)であることがわかった。続いて、同じ方法でそれ以下に現れるピーク(m/z=435.3Da)によってN−末端側の3番目のアミノ酸がグルタミン酸(E、129Da)であることを、それ以下のピーク(m/z=322.2Da)によってN−末端側の4番目のアミノ酸はロイシンあるいはイソロイシンであることがわかった。このオリゴペプチドは、トリプシンペプチドであるので、C−末端アミノ酸がアルギニンあるいはリシンとなる。まず、C−末端のアミノ酸をアルギニンと仮定する場合には、図3(b)でm/z=322.2DaのピークはXRによるピークといえ、このピークとC−末端アルギニンから生じたものの質量(145Da(アルギニン)+19Da(H3+)=175Da)の差を求めると147Daとなる。この時、2つのアミノ酸の組合せで147Daの質量を持つ場合はないので、前記Xは1つのアミノ酸であり、フェニルアラニン(F、147Da)と一致することがわかった。一方、C−末端をリシンと仮定し、前記C−末端側のアミノ酸配列がXKであると仮定すれば、C−末端リシンに該当する質量(128Da(リシン)+19Da(H3+)=147Da)の差として175Daを得ることができる。いずれの2アミノ酸の組合せでも質量が175Daと一致する場合はなく、175Daの質量に該当する単独のアミノ酸も存在しないため、C−末端はリシンでないことがわかる。したがって、最終的に、前記オリゴペプチドはAL(I)EL(I)FRであることを確認した。この配列に対して、データベース内のミオグロビンに対するタンパク質シーケンスを用いて対照した結果、前記SPITCで誘導体化したオリゴペプチドがミオグロビンのALELFRであることが確認できた。再び図3(b)を参照すると、このスペクトルではエドマン分解によって生成されたピーク(y5)が、最も大きい強度を持つピークとして現れ、SPITC−オリゴペプチド誘導体からSPITCが切り離された化学種に対するピーク([M+H]+)、スルファニル酸が切り離された化学種に対するピーク([M’−SAA+H]+)、及びそれ以外の主鎖分解によって生成されたその他のyタイプイオンが現れる。その他、図3(c)のベースピーククロマトグラム上に現れている他のあらゆる誘導体化したオリゴペプチドのMS/MSは、図3(a)及び(b)で代表的に表したスペクトルと同じ傾向を見せた。
一方、前記cRPLC(capillary-RPLC)/MS/MS実験から得られたMSデータ及びMS/MSデータを、既存に商用化されている検索プログラムであるSEQUESTを使用し、NCBI(http://www.ncbi.nih.gov)から得られるミオグロビンタンパク質のアミノ酸配列情報に基づいて分析した。この時、前記ミオグロビンから由来した全てのオリゴペプチドのN−末端は、13C−SPITCで誘導体化されているとの仮定を基礎として、優先的に13C−SPITCで誘導体化したオリゴペプチドを検索し、同定した。続いて、定量分析プログラムであるXPRESS(System byology社製造)を使って、前記ピークの各13C−SPITC誘導体化オリゴペプチドよりも質量が6Da小さいピーク(12C−SPITCで誘導体化したオリゴペプチド)を見つけ出して相対的な定量データを得るため調査した。13C−SPITCで誘導体化した化学種と12C−SPITCで誘導体化した化学種間の溶出時間差と定量数値を、下記の表1に示す。
Figure 2008512644
上記表1を参照すると、2種類の同位元素で置換された化学種が略同じ時間に溶出され、定量性にも非常に優れていることが確認できる。
実施例2
2−(1)オリゴペプチド混合物サンプルの製造
実際2種類のタンパク質サンプルに対する1:1定量テストとデノボシーケンシングテストをするために、2種類の同一のイーストエノラーゼ(トリプシンを使って完全分解させた時、52種のオリゴペプチドを生成)100μlのサンプルCとDを、予備実施例2−(1)における方法と同じ方法で分解した後、急速真空濃縮器(Thermo Savant社製造)を用いて完全乾燥させたのち、今後の実験のために−20℃で保管した。
2−(2)オリゴペプチドの誘導体化
上記で得られたオリゴペプチド(C及びD)の平均分子量を800Daと仮定し、上記実施例1で製造された13C−SPITCと12C−SPITCのそれぞれ1mgを、1:1:2ピリジン/水/エタノール溶液200μlにそれぞれ溶解させた13C−SPITCと12C−SPITCストック溶液を、使用直前に製造して使用することによって誘導体化を行った。サンプルCの誘導体化には12C−SPITCを使用したし、サンプルDの誘導体化には13C−SPITCを使用した以外は、上記予備実施例1−(2)と同じ方法で行った。それぞれの反応結果物を100μlの0.05%TFA及び0.2%酢酸水溶液に混入させ、それぞれ0.5μlずつを混合して、体積比1:1の混合溶液を用意した後、全体体積が5μlとなるように4μlの0.05%TFA及び0.2%酢酸水溶液を添加し、今後の実験のために−20℃で保管した。
2−(3)RPLC/MS/MS分析
上記で用意された誘導体化したサンプルC、D混合物(体積比1:1)に対して上記予備実施例2−(3)による方法と同じ方法にしてRPLC/MS/MS実験は行われた。この時のベースピーククロマトグラムを図4(c)に示し、その中で選択された一部ピークに対するMS/MSスペクトルを前記クロマトグラムの上部に共に示す。
図4(c)を参照すると、クロマトグラム上でSPITCで誘導体化したオリゴペプチドがよく分離されて現れている。なお、予期せぬ反応によって発生しうるいかなる顕著なピークも観測されなかった。また、2つの反応しなかったペプチドピークが現れている。図4(c)で丸点で表示されたピークはいずれも、SPITCによって誘導体化したピークで、マススペクトル上ではダブレットで現れている。アスタリスクで表示されたピークは反応しなかったオリゴペプチドを表す。
一方、図4(a)は、ベースピーククロマトグラムで52分頃に現れ、マススペクトル上、m/z値で3Daの差を持つダブレットに対するMS/MSスペクトルである。マススペクトル上において3Da差を持つという事実は、ダブレットが+2価のペプチドピークであることを示す。このMS/MSスペクトルで質量差6Daのダブレットで現れる相対的により大きい強度のピークは、b1 *と予測でき、これは、このペプチドの1番目のアミノ酸がヒスチジンであるということを意味し、この結果は、b1 *の対となるイオンであるyn-1イオンの同定により、より明確になる。次に、イーストに対するタンパク質シーケンスデータベースを用いて対照した結果、前記SPITCで誘導体化したオリゴペプチドがエノラーゼのトリプシンペプチドであるHLADLSKであることが確認できた。質量差6Daで現れるダブレットはbタイプイオンということが確信できるため、データベースとの対照で誤りが発生する可能性を極小化させることができ、主鎖分解による低い強度で現れる多様なピークを明確にすることができた。
また、図4(b)は、69分頃に溶出されるオリゴペプチドの質量差6Daを持つダブレット(m/z=1029.5、1035.4Da)に対して共にMS/MSスペクトルを示す。このスペクトルで1番大きいダブレット(m/z=883.0、889.1Da;最終的にb7 *と確認された。)と母イオンによるピークとの質量差が146Da(128Da(リシン)+18Da(H2O))であるから、このオリゴペプチドのC−末端がリシンであることがわかる。このb7ピークに隣り合う左側のダブレット(m/z=770.1、776.0Da;最終的にb6 *と確認された。)の間に、約113Daの差が出ることは、前記リシンの次のアミノ酸がロイシンまたはイソロイシンであることを示し、同じ方法でその次のアミノ酸もまたロイシンあるいはイソロイシンであることがわかった。これによってC−末端側L(I)L(I)Kの配列が決定された。図4(b)でm/z=814.4Daを持つピークは、母イオンから13C−SPITC(221Da)または12C−SPITC(215Da)が切り離されたもの([M+H]+)に該当する。m/z=743.3で現れるもう一つの大きいピーク(最終的にy7と確認された。)は、エドマン分解によるものである。前記[M+H]+ピークとの質量差が71Daであることから、このオリゴペプチドのN−末端側の1番目のアミノ酸がアラニンであることがわかる。前記エドマン分解産物とm/z=597.3Daのイオン間の質量差は146Daであるけれども、これに該当するアミノ酸がなく、SPITC誘導体化されたオリゴペプチドのC−末端がリシンであることから、問題となっているピークはおそらく内部的分解(internal fragmentation)を経て生成されたbタイプイオンに該当すると判断した。具体的には、エドマン分解によるピーク(最終的にy7と確認された。)から2次的な分解によってC−末端側のリシン(128Da(リシン)+18Da(H2O)=146Da)が切り離されたbタイプのイオン(最終的にy7→b6と確認された。)であるyn-1イオンであろうことがわかった。また、前記y7→b6ピークから113Daだけ減少したピークは、ロイシンがさらに切り離された化学種で、y7→b5ということもわかり、前記y3(プロトン付加されたL(I)L(I)K)は、m/z=373.2Daに存在する。
次に、m/z=486.3Daであるピーク(最終的にy4と確認された。これらのピーク間の差は2Daに過ぎないため同位元素によるダブレットではない。)と前記y3イオンとの差が113Daであるので、これに該当するアミノ酸はロイシンまたはイソロイシンであり、y4はL(I)L(I)L(I)Kということが確認できた。また、m/z=557.4Daであるピークの存在により、次のアミノ酸がアラニン(71Da)であることがわかった。このようなデノボシーケンシングの結果から、本オリゴペプチドはA−?−−?−AL(I)L(I)L(I)Kの配列を持つことがわかった。ここで、−?−−?−はm/z=186Daに該当する化学種で、AD(71Da(アラニン)+115Da(アスパラギン酸)=186Da)またはDA、GE(57Da(グリシン)+129Da(グルタミン酸)=186Da)またはEG、VS(99Da(バリン)+87Da(セリン)、=186Da)またはSV及びW(トリプトファン、186Da)などになりうる。最後に、前記結果をイーストに対するタンパク質シーケンスデータベースを使って対照した結果、前記−?−−?−はADに該当し、全体オリゴペプチドはAADALLLKであることが確認できた。このような結果を総合して図4(b)を再び説明すると、このスペクトルでは、SPITCとスルファニル酸のそれぞれが切り離された化学種に該当する[M−H]+及び[M’−SAA+H]+ピークとy7ピークが主要ピークとして現れる。主鎖分解によってその他yタイプイオンが生成され、現れた。大きい質量を持つ一部b*タイプイオンも検出されるが、これらのb*タイプイオンは6Da差のダブレットで現れるため確認可能である。このように大きい質量のb*タイプイオンが検出される理由は、これらのb*タイプイオンが、これらと対をなす低い質量のyタイプイオンに比べてプロトン親和度(proton affinity)がより大きいためと判断される。特に、前記誘導体化したオリゴペプチドのC−末端はリシンであり、アルギニンよりも低いプロトン親和度を持つため、b*タイプイオンが検出される可能性がより高くなる。一方、クロマトグラム上の他の全ての誘導体化したオリゴペプチドのMS/MSは、代表として示した前記2種類のスペクトルと同じ傾向を見せた。本発明によれば、エノラーゼ内のアミノ酸配列の略95%に達する配列を分析することができた。
実施例3
3−(1)オリゴペプチド混合物サンプルの製造
上記実施例2−(1)と同じ方法でイーストエノラーゼに対するオリゴペプチドサンプルを製造した。
3−(2)オリゴペプチドの誘導体化
上記得られたオリゴペプチド(C及びD)の誘導体化は、上記実施例2−(2)による方法と同じ方法で行われた。それぞれの反応結果物を100μlの0.05%TFA及び0.2%酢酸水溶液に混入した。そしてSPITCで誘導体化したサンプルCの量を0.5μlと固定し、サンプルの適量を加えて、サンプルC、Dの体積比が1:1、1:2、1:4、1:6、1:8、1:10となるように前記誘導体化したサンプルを混合して混合溶液を用意した。
続いて、前記混合溶液の全体体積が5μlとなるように0.05%TFA及び0.2%酢酸水溶液を添加しながら調節し、今後の実験のために−20℃で保管した。
3−(3)cRPLC/MS/MS分析
上記予備実施例2−(3)による方法と同じ方法で、前記誘導体化したサンプルC及びDの1:1、1:2、1:4、1:6、1:8、1:10の混合物に対して6回のcRPLC/MS/MS実験を行い、上記実施例2−(3)と類似する結果を得た。実際サンプルC及びDの定量のために、既存に商用化している検索プログラムであるSEQUESTを用いて、データベースで生成された全てのトリプシンの分解によるオリゴペプチドは13C−SPITCが誘導体化されているとの仮定下、まず、13C−SPITCが誘導体化されているペプチドを検索した。この検索から同定結果を得た後、この結果を用いて定量分析プログラムであるXPRESS(Systems Biology社製造)を稼動し、前記ピークと−6Daの差を見せるピーク(12C−SPITCが誘導体化されているオリゴペプチド)を検索して、相対的な定量データを得た。この結果によって、各実験当たり約30個程度のオリゴペプチドに対してペプチド定量数値を獲得した。この定量数値の平均と標準偏差を求めて下記表2に示す。また、この表2に基づいて、期待値対実際得られた測定値に対するグラフを図5に示す。
Figure 2008512644
上記表2及び添付の図5から、前記cRPLC/MS/MS実験の全てで、平均値の約10%程度の偏差のみを有し、比較的正確な定量結果が得られることが確認できた。
上述したように、本発明におけるN−末端置換用試薬は、リシンのε−アミノ基とは反応せず、主鎖のアミノ基にのみ反応し、優れた定量性を示す。更に、本発明によるアミノ酸の配列及び定量分析の方法は、非常に高い信頼性でタンパク質の相対的定量分析を行うことができ、yタイプイオンをタンデム質量分析法を用いて正確にbタイプイオンと区別することができるので、高い信頼性でタンパク質の同定を理解することができる。
しかしながら、本発明は、例示を目的として一部を開示したに過ぎず、実験によるこれらの技術は、特許請求の範囲において開示した発明の目的と思想から外れない限り様々な改良、追加、置換して適用することができる。
本発明によってMS/MSスペクトルを得る場合の分解メカニズムを示す図。 本発明の予備実施例1によるマススペクトル及びMS/MSスペクトル。 本発明の予備実施例2によるベースピーククロマトグラムとその一部に対するMS/MSスペクトル。 本発明の実施例2によるベースピーククロマトグラムとその一部に対するMS/MSスペクトル。 本発明の実施例3によってオリゴペプチドの比率を変化させつつ本発明による方法の定量性を測定したグラフ。

Claims (11)

  1. 質量分析法を用いてポリペプチドのアミノ酸配列を分析し定量する方法に用いられる下記の式(1)で表されるポリペプチドのN−末端置換用化合物。
    Figure 2008512644
  2. (a)2種類のポリペプチドサンプルのそれぞれをタンパク質分解酵素を用いて分解することによって、C−末端がアルギニンまたはリシンである2種類のオリゴペプチド混合物を得る段階と、
    (b)前記C−末端がアルギニンまたはリシンであるオリゴペプチド混合物のうち一つは12C、32Sまたはこれら両方を含むN−末端置換用化合物で誘導体化させ、残る一つは、13C、33Sまたはこれら両方を含むN−末端置換用化合物で誘導体化させる段階と、
    (c)前記2種類の誘導体化したオリゴペプチド混合物を混合し、逆相液体クロマトグラフィを経させる段階と、
    (d)質量分析器を用いてベースピーククロマトグラム及びMS/MSスペクトルを得る段階と、
    (e)前記得られたスペクトルを解釈する段階と、
    を備えることを特徴とする、ポリペプチド内のアミノ酸配列決定方法及びアミノ酸定量分析方法。
  3. 前記タンパク質分解酵素は、トリプシン、エンドプロテイナーゼLys−CまたはエンドプロテイナーゼArg−Cであることを特徴とする、請求項2に記載のポリペプチド内のアミノ酸配列決定方法及びアミノ酸定量分析方法。
  4. 前記タンパク質分解酵素は、トリプシンであることを特徴とする、請求項2に記載のポリペプチド内のアミノ酸配列決定方法及びアミノ酸定量分析方法。
  5. 前記12C、32Sまたはこれら両方を含むN−末端置換用化合物は、下記の式(2)で表された化合物であり、前記13C、33Sまたはこれら両方を含むN−末端置換用化合物は、前記12C、32Sまたはこれら両方を含むN−末端置換用化合物と構造式は同一であり、12Cの一部または全部が13Cで置換され、32Sの一部または全部が33Sで置換された同位元素化合物であることを特徴とする、請求項2に記載のポリペプチド内のアミノ酸配列決定方法及びアミノ酸定量分析方法。
    Figure 2008512644
  6. 前記12Cを含むN−末端置換用化合物は、下記の一般式(3)で表される化合物であり、前記13Cを含むN−末端置換用化合物は、下記の式(3)の化合物においてフェニル環の12Cが13Cで置換された同位元素化合物であることを特徴とする、請求項2に記載のポリペプチド内のアミノ酸配列決定方法及びアミノ酸定量分析方法。
    Figure 2008512644
  7. 前記質量分析器は、マトリクス支援レーザー離脱/イオン化法(MALDI)タイプ質量分析器であることを特徴とする、請求項2に記載のポリペプチド内のアミノ酸配列決定方法及びアミノ酸定量分析方法。
  8. 前記質量分析器は、電子スプレーイオン化法(ESI)タイプ質量分析器であり、前記逆相液体クロマトグラフィと直接連結されていることを特徴とする、請求項2に記載のポリペプチド内のアミノ酸配列決定方法及びアミノ酸定量分析方法。
  9. 前記(b)段階のpHは、7〜9の範囲であることを特徴とする、請求項2または6に記載のポリペプチド内のアミノ酸配列決定方法及びアミノ酸定量分析方法。
  10. リシンの誘導体化段階は、リシンのε−アミノ基は誘導体化させず、リシンのN−末端のみ誘導体化させることを特徴とする、請求項2に記載のポリペプチド内のアミノ酸配列決定方法及びアミノ酸定量分析方法。
  11. 前記(e)段階は、商業的に入手可能なソフトウェアプログラムまたはデータベースを利用することを特徴とする、請求項2に記載のポリペプチド内のアミノ酸配列決定方法及びアミノ酸定量分析方法。
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