JP3976048B2 - スルフェニル化合物、ラベル化試薬、及びペプチドの解析方法 - Google Patents

スルフェニル化合物、ラベル化試薬、及びペプチドの解析方法 Download PDF

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Description

本発明は、生体細胞又は組織中の発現タンパク質の網羅的解析に関し、より詳しくは、発現タンパク質の解析に好適な化合物、それを用いたラベル化試薬、及びラベル化試薬を用いた発現タンパク質の定量的解析技術に関する。
スルフェニル化合物は、トリプトファン残基のインドール環と反応するため、従来からトリプトファン残基の選択的ラベル化試薬として知られている。タンパク質の解析法としては、従来から2次元ゲル電気泳動(2D−PAGE)による方法が用いられている。この方法においては、まず、生体試料から抽出されたタンパク質を2D−PAGEを用いて分離・精製し、2次元的に得られるゲルイメージから目的とするスポットを切り出す。次いで還元アルキル化、酵素消化などの工程を経てマススペクトロメトリーにより(例えばPMF法)、注目するスポットがどのようなタンパク質であるかを解析する。また、ディファレンシャルディスプレイにより2種の生体試料中のタンパク質の相対量比を求めることができる。
しかしこの方法では、高濃度で含まれるタンパク質(ハウスキーピングタンパク質)が存在する場合、低濃度で存在する調節タンパク質などは細胞全体のライセートを分析した場合、ほとんど検出できないという問題がある。また、ディファレンシャルディスプレイでの定量性が不十分であること、ゲル板の不均一性に起因する再現性の無さ、高分子タンパク質の分離が困難であることなども問題であった。
一方、昨今のポストゲノムの流れの中で、タンパク質の効率的な消化方法、消化によって生じた複雑なポリペプチド混合物の分離方法、及びポリペプチドのアミノ酸配列を解析するマススペクトルのイオン化法が開発され、ペプチドをマススペクトルで解析できるようになった。これに伴い、マススペクトルを応用するという観点からのペプチドの解析法が種々考案されてきており、新規で有用なラベル化試薬が求められている。このような観点から開発された試薬の1つに、ICAT(Isotope Coded Affinity Tag)試薬が挙げられる。これを用いる方法は、ワシントン大学のAebersoldらにより開発された、タンパク質発現量の変化を定量する方法の1つである。(例えば、非特許文献:R.Aebersold et al.,NatureBiotech.,1999,17,994-999、特許文献:WO 00/11208参照)ICAT法ではタンパク質中のシステイン残基に注目し、ビオチンを含有する特殊なアルキル化試薬によりシステインのSH基をラベル化する。この方法は発現された広い量的な差異を持つ生体内タンパク質を定量することができ、タンデムマスと組み合わせて発現量が変化したタンパク質の同定も可能である。
しかし、タンパク質中のシステイン含量が大きいため、上記の方法では最終的に得られるマススペクトルが複雑であることが予想される。また、ラベル化されたペプチドフラグメントを分離するためにアビジンカラムという特殊なカラムを必要とすることや、反応試薬の分子量が比較的大きい(600程度)ため反応性が十分でないことも問題である。
R・エバーソールドら(R.Aebersold et al.)著、ネイチャー・バイオテクノロジー(Nature Biotechnology)、1999年、第17巻、p.994−999 国際公開第00/11208号パンフレット
発明の目的
そこで、本発明の目的は、反応性及び選択性に優れ、マススペクトルでの解析が容易で定量性も高く、かつ特殊なカラムを必要としないラベル化試薬に用いることができるスルフェニル化合物、それを用いたラベル化試薬、及びそのラベル化試薬を用いたタンパク質・ペプチドの解析方法を提供することにある。
発明の概要
本発明者らは、鋭意検討した結果、同位体で標識された少なくとも1つの構成元素を有するスルフェニル化合物によって、上記目的が達成されることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明には、以下の発明が含まれる。
(1) 一般式:
R−S−X (I)
(式中、Rは、同位体で標識された少なくとも1つの構成元素を有する有機基を表し、Xは脱離基を表す。)
で表されるスルフェニル化合物であって、
−ニトロ[13]ベンゼンスルフェニルクロリド、4−ニトロ[13]ベンゼンスルフェニルクロリド、2,4−ジニトロ[13]ベンゼンスルフェニルクロリド、及び2−ニトロ−4−カルボキシ[13]ベンゼンスルフェニルクロリドからなる群から選ばれるスルフェニル化合物。
) 一般式:
R−S−X (I)
(式中、Rは、同位体で標識された少なくとも1つの構成元素を有する有機基を表し、Xは脱離基を表す。)
で表されるスルフェニル化合物を含むラベル化試薬であって、
記スルフェニル化合物が、2−ニトロ[13]ベンゼンスルフェニルクロリド、4−ニトロ[13]ベンゼンスルフェニルクロリド、2,4−ジニトロ[13]ベンゼンスルフェニルクロリド、及び2−ニトロ−4−カルボキシ[13]ベンゼンスルフェニルクロリドからなる群から選ばれる、ラベル化試薬。
) ペプチドの解析の用途における、()に記載のラベル化試薬。
以下、本明細書においてペプチドとは、タンパク質を含む意味で用いる。
) 前記スルフェニル化合物から選ばれた1つの化合物(以下、「重い試薬」と表記する。)と、前記重い試薬と同一構造であり且つ前記同位体で標識されていない化合物(以下、「軽い試薬」と表記する。)とをそれぞれ別個に含む、(2)又は(3)に記載のラベル化試薬。
本発明のラベル化試薬は、前記重い試薬は、前記軽い試薬との分子量の差が3〜12、好ましくは6〜10となるように設計されていることが好ましい。
) 一般式:
R−S−X (I)
(式中、Rは、同位体で標識された少なくとも1つの構成元素を有する有機基を表し、Xは脱離基を表す。)
で表されるスルフェニル化合物を含むラベル化試薬を用いるペプチドの解析法であって、
記式(I)で表される同位体で標識されたスルフェニル化合物が、2−ニトロ[13]ベンゼンスルフェニルクロリド、4−ニトロ[13]ベンゼンスルフェニルクロリド、2,4−ジニトロ[13]ベンゼンスルフェニルクロリド、及び2−ニトロ−4−カルボキシ[13]ベンゼンスルフェニルクロリドからなる群から選ばれる、ペプチドの解析法。
) 前記ラベル化試薬が、前記式(I)で表される同位体で標識されたスルフェニル化合物から選ばれた1つの化合物(重い試薬)と、前記選ばれた化合物と同一構造であり且つ前記同位体で標識されていない化合物(軽い試薬)とをそれぞれ別個に含む、(5)に記載のペプチドの解析法。
本発明のペプチドの解析法においては、前記重い試薬が、前記軽い試薬との分子量の差が3〜12、好ましくは6〜10となるように設計されていることが好ましい。
) 前記ラベル化試薬を用いて、解析すべきペプチドのアミノ酸残基をラベル化し、得られたラベル化ペプチドをマススペクトロメトリーにより測定する、(5)又は(6)に記載のペプチドの解析法。
) (i)解析すべきペプチドを、前記重い試薬及び前記軽い試薬のいずれか一方を用いてラベル化し、ラベル化された解析すべきペプチドを得て、
(ii)別途、対照ペプチドを、前記重い試薬及び前記軽い試薬のいずれか他方を用いてラベル化し、ラベル化された対照ペプチドを得て、
(iii)(i)で得られたラベル化された解析すべきペプチドと(ii)で得られたラベル化された対照ペプチドとを混合し、
(iv)混合したラベル化ペプチドをマススペクトロメトリーによって測定する、()に記載のペプチドの解析法。
) 必要に応じて酵素消化及び/又は還元とアルキル化とによる化学的処理を行う、(7)又は(8)に記載のペプチドの解析法。
10) 前記酵素消化を前記ラベル化の前又は後に行う、()に記載のペプチドの解析法。
11) 前記化学的処理を前記ラベル化の前又は後に行う、()に記載のペプチドの解析法。
12) 前記化学的処理、前記酵素消化、及び前記ラベル化をこの順で行う、()に記載のペプチドの解析法。
13) 前記化学的処理、前記ラベル化、及び前記酵素消化をこの順で行う、()に記載のペプチドの解析法。
14) 前記ラベル化、前記化学的処理、及び前記酵素消化をこの順で行う、()に記載のペプチドの解析法。
15) 前記ラベル化の後、必要に応じゲル濾過による分離と逆相カラムを用いる分離とを含むラベル化ペプチドの精製を行う、()に記載のペプチドの解析法。
16) 前記アミノ酸残基がトリプトファン残基である、()に記載のペプチドの解析法
本発明は、式:
R−S−X (I)
(式中、Rは、同位体で標識された少なくとも1つの構成元素を有する有機基を表し、Xは脱離基を表す。)
で表されるスルフェニル化合物である。このスルフェニル化合物は、同定すべき化合物のラベル化試薬として用いることができ、特に、ペプチド解析におけるラベル試薬として有用である。
また、前記重い試薬と前記軽い試薬とをそれぞれ別個に含む2種の試薬を組み合わせたラベル化試薬を用いることにより、マススペクトルを応用したペプチドの解析が容易になる。
上記式(I)中、有機基Rは、構成元素としてC、H、N、場合によりO及び/又はPを含む置換基である。また、前記同位体は安定同位体が好ましく、このようなものとしては、H、13C、15N、17O、18Oなどが挙げられる。
重い試薬と軽い試薬とを組み合わせてペプチドのラベル化試薬として用いるとき、重い試薬によってラベル化されたペプチド及び軽い試薬によってラベル化されたペプチドを混合してマススペクトロメトリ−によって測定する。この場合、前述の同位体の存在によって、それぞれのラベル化ペプチドの質量数に差が生じる。この差は、重い試薬の分子量と軽い試薬の分子量との差に相当する。
このとき、質量数の差は3〜12ダルトンが好ましく、6〜10ダルトンがより好ましい。質量数の差が3ダルトン以上開くことにより、重い試薬による化学修飾を受けたラベル化ペプチドと、軽い試薬による化学修飾を受けたラベル化ペプチドとの双方のスペクトルピークが重なりにくくなるため、解析がしやすい。
このことから、本発明のスルフェニル化合物の分子量は、その化合物と同一構造であり且つ同位体で標識されていない化合物の分子量よりも3〜12大きいことが好ましく、6〜10大きいことがより好ましい。従って、本発明のスルフェニル化合物が同位体としてH、13C、15N、17Oなどの質量数が1大きい同位体のみを含む場合、同位体で標識された構成元素の数は3以上、例えば3〜12個が好ましく、6〜10個がより好ましい。
一方、本発明のスルフェニル化合物が同位体として18Oなどの質量数が2大きい同位体を含む場合は、3以上の質量数の差を与えるために3個以上の同位体を必要としない場合もある。例えば、同位体として18Oのみを含むスルフェニル化合物の場合、18Oで標識された構成元素が2個あれば、マススペクトルにおいて4ダルトンの差が生じ、好ましい質量数の差を与えることができる。
そして、これら本発明のスルフェニル化合物を重い試薬とし、軽い試薬とを組み合わせたラベル化試薬として用いる場合は、重い試薬の分子量は、軽い試薬の分子量との差が3〜12となるように設計されることが好ましく、6〜10となるように設計されることがより好ましい。
前記(I)式中の有機基Rは、置換されていても良いアルキル基又は置換されていても良いアリール基であることが好ましい。前記置換されていても良いアルキル基が有する置換基は、NO基、COOH基、SOH基、OH基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基などが挙げられるが、これらに限定されない。
また、前記置換されていても良いアリール基が有する置換基は、NO基、COOH基、SOH基、OH基、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基などが挙げられるが、これらに限定されない。
これら置換基は、当該試薬の反応性、溶解性などを調節するため適宜選択することができる。
また、前記有機基Rは、置換されていても良いフェニル基であることが好ましい。
好ましく設定された有機基Rを有することにより、ラベル化試薬として用いた時に、逆相カラムなど通常のカラムにより容易にラベル化ペプチドの分離ができるようになる。
前記(I)式中の脱離基Xとしては、F、Cl、Br、Iなどのハロゲン原子が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明のスルフェニル化合物の分子量は、ラベル化すべきペプチドとの反応性を考慮して、190程度が好ましい。
発明のスルフェニル化合物は、2−ニトロ[13]ベンゼンスルフェニルクロリド、4−ニトロ[13]ベンゼンスルフェニルクロリド、2,4−ジニトロ[13]ベンゼンスルフェニルクロリド、及び2−ニトロ−4−カルボキシ[13]ベンゼンスルフェニルクロリドからなる群から選ばれる
本発明のスルフェニル化合物は、対応するジスルフィド、チオール、スルフィドなどからハロゲン化などの方法により合成できる。例えば、有機基Rとして6個の13Cで標識されたフェニル基を有するスルフェニル化合物を、例えばスルフィドから合成する方法として、以下に記述する方法が挙げられる。
まず、前駆体のスルフィドは、例えばニトロ[13]クロロベンゼンなどの[13]ベンゼン誘導体にベンジルメルカプタンを反応させることにより、[13]フェニルベンジルスルフィドとして得る。
次に、得られた[13]フェニルベンジルスルフィドに、ハロゲン化剤を反応させ、目的とするスルフェニル化合物を得る。ハロゲン化剤としては、スルフリルクロリドや臭素などを用いると良い。溶媒としては、四塩化炭素、エチレンクロリドなどを用いると良い。反応条件としては、例えば10℃〜45℃で5分〜1時間かけて反応させる。
これらの諸条件は、当業者が適宜定めると良い。
このようにして得られたスルフェニル化合物の同定は、得られたスルフェニル化合物のマススペクトルと、その化合物と同一構造であり且つ同位体標識されていない化合物のマススペクトルとを比較することによって行うことができる。また、双方の13C及びHNMRをそれぞれ比較することによっても同定を行うことができる。
本発明のスルフェニル化合物を用いることにより、同定すべき化合物に目印として標識置換基(R−S−基)を導入することができるため、ラベル化試薬として用いることができる。
スルフェニル化合物は、ペプチド中に存在するトリプトファン残基のインドール環と選択的に反応することが知られているため、特に本発明の同位体で標識されたスルフェニル化合物は、ペプチドの解析におけるラベル化試薬として有用である。
トリプトファンはタンパク質において、機能面及び活性面において重要な役割を演じているアミノ酸である。トリプトファンを含むペプチドとしては、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、ガラニン(Galanin)、副甲状腺ホルモン(PTH)、α−キモトリプシン、グラミシジンA、リゾチームなどが挙げられる。
トリプトファンのタンパク質中含有量は、アミノ酸の中でも最も少ない部類に属するため、ラベル化反応及び酵素消化後のペプチドのマススペクトルが単純となり、その解析が容易となる。これはプロテオーム解析を行う上で大変有利である。
スルフェニル化合物(同位体で標識された本発明のスルフェニル化合物及び従来の標識されていないスルフェニル化合物)は、トリプトファン残基が有するインドール環への求電子置換反応によって、トリプトファン残基をラベル化する。この反応は、ICAT法におけるシステイン残基とICAT試薬との求核置換反応よりも反応性が高いということが期待できる。
スルフェニル化合物によるラベル化によって生成したラベル化トリプトファン残基含有ペプチドは、ラベル化前のトリプトファン残基含有ペプチドよりも疎水性が高いため、ICAT法で用いるような特殊なカラムを使用することなくその分離・精製を行うことができる。たとえば、ゲル濾過や逆相カラムなどで十分分離・精製が可能である。
本発明のペプチドの解析法は、解析すべきペプチドのアミノ酸残基をラベル化し、得られたラベル化ペプチドをマススペクトロメトリーにより測定する。解析すべきペプチドは、2種以上のペプチドの混合物である場合もある。本発明は、ラベル化反応、マススペクトルの測定の工程を含む。重い試薬と軽い試薬とを組み合わせたラベル化試薬を用いる場合は、ラベル化反応、必要に応じラベル化ペプチドの混合、及びマススペクトルの測定の工程を含む。
また本発明は、必要に応じ、好ましくは酵素的処理によるペプチドの断片化(酵素消化)、及び/又は還元とアルキル化とによる化学的処理の工程を含む。
さらに本発明は、必要に応じ、ゲル濾過による分離と、逆相カラムを用いる分離とを含む精製の工程を含む。
上記工程のうち、ラベル化、酵素消化、及び化学的処理の各工程を組み合わせた本発明における過程としては、(a)酵素消化の後にラベル化を行う過程、(b)ラベル化の後に酵素消化を行う過程、(c)化学的処理の後にラベル化を行う過程、(d)ラベル化の後に化学的処理を行う過程、(e)化学的処理、酵素消化、及びラベル化をこの順で行う過程、(f)化学的処理、ラベル化、及び酵素消化をこの順で行う過程、及び、(g)ラベル化、化学的処理、及び酵素消化をこの順で行う過程が挙げられる。
重い試薬と軽い試薬とを組み合わせたラベル化試薬を用いる場合、解析すべきペプチドのサンプルとは別に、対照ペプチドのサンプルを用意する。解析すべきペプチドが2種以上のペプチドの混合物である場合は、対照ペプチドも対応する2種以上のペプチドの混合物を用いることができる。サンプルの例としては、例えば、解析すべきペプチドのサンプルが病細胞に由来するタンパク質であり、対照ペプチドのサンプルが前記病細胞に対応する正常細胞に由来するタンパク質である場合が挙げられる。この場合、対応するこれらのサンプルは互いにペプチド構成が異なる。解析すべきペプチドのサンプル及び対照ペプチドのサンプルとしては、それぞれ1種類ずつ用いても良いし、一方及び/又は他方を2種類以上用いても良い。
ラベル化反応は、通常の方法を用いて行う。重い試薬と軽い試薬とを組み合わせたラベル化試薬を用いる場合は、解析すべきペプチドを、重い試薬及び軽い試薬のいずれか一方を用いてラベル化を行い、別途、対照ペプチドを、重い試薬及び軽い試薬のいずれか他方を用いてラベル化を行う。例えば、解析すべきペプチドを重い試薬を用い、対照ペプチドを軽い試薬を用いてラベル化しても良いし、解析すべきペプチドを軽い試薬を用い、対照ペプチドを重い試薬を用いてラベル化しても良い。
このようにして別々にラベル化することによって、少なくとも2種類のラベル化ペプチドを得ることができる。
本発明においては、ラベル化に加え、必要に応じて、ペプチドの断片化を行うことができる。断片化は酵素消化によって行うことが好ましい。(以下、断片化を酵素消化によって行うとして本発明を説明する。)酵素消化は前記ラベル化の前又は後に行うことができる。すなわち本発明には(a)酵素消化の後にラベル化を行う過程、又は(b)ラベル化の後に酵素消化を行う過程が含まれる。
酵素消化に用いる酵素は、高い基質特異性を有するトリプシン、リシルエンドペプチダーゼ、トロンビン、プラスミン、カリクレイン、ウロキナーゼなどのエンドペプチダーゼが好ましい。酵素消化によって、ペプチドはペプチドフラグメントに断片化される。
また、本発明においては、ラベル化に加え、必要に応じ、還元反応とアルキル化反応とによる化学的処理を行うことができる。後述する理由で、化学的処理と前記ラベル化との順番は任意である。すなわち本発明には、(c)化学的処理の後にラベル化を行う過程、(d)ラベル化の後に化学的処理を行う過程が含まれる。アルキル化の形態としては、S−カルバミドメチル化やS−カルボキシメチル化などが挙げられるが、これらに限定されない。
解析すべきペプチドはシステイン残基やジスルフィド結合を有することがある。システイン残基のSH基は反応性が高いため、ジスルフィド結合を形成しジチオ基に変化しやすく、予期せぬペプチド構造を形成することがある。ジスルフィド結合は高いpH環境において他のジスルフィド結合と交換する性質があるため、通常高いpH環境で行われる酵素消化の段階でペプチド構造が変化し、解析が困難になることがある。化学的処理を行うと、この問題を回避することができる。すなわち化学的処理においては、酵素消化で影響を受けやすいジチオ基を、前記還元反応によってジスルフィド結合を還元的に開裂させ、アルキル化することによってアルキルチオ基へ変化させる。
従って、前記酵素消化と化学的処理とを組み合わせて行う場合(すなわち、本発明においてラベル化、酵素消化、及び酵素消化を組み合わせて行う場合)は、化学的処理の後に酵素消化を行うことが好ましい。
ここで、前記したように、酵素消化は前記ラベル化の前でも後でも行うことができる。従って、(化学的処理の後に行われる)酵素消化をラベル化の前に行う場合は、本発明には、(e)化学的処理、酵素消化、及びラベル化をこの順で行う過程が含まれる。
一方、(化学的処理の後に行われる)酵素消化をラベル化の後に行う場合は、酵素消化はこれら3つの工程で最後に行うこととなる。酵素消化の前に行われる化学的処理とラベル化との順番は前述のように任意であるため、この場合、本発明には、(f)化学的処理、ラベル化、及び酵素消化をこの順で行う過程、又は、(g)ラベル化、化学的処理、及び酵素消化をこの順で行う過程が含まれる。
化学的処理とラベル化との順番が任意である理由は次のとおりである。
解析すべきペプチドがシステイン残基を有する場合、システイン残基は本発明におけるラベル化によって、トリプトファン残基と同様にラベル化され得る。従って、システイン残基のラベル化という副反応を回避する目的で、前記化学的処理はラベル化の前に行うことができる。
しかし、前記化学的処理はラベル化の後に行うこともできる。前述のように、解析すべきペプチドにシステイン残基が含まれている場合、このシステイン残基はラベル化において副反応をもたらす。このとき、システイン残基とラベル化試薬とが反応して形成される結合はジスルフィド結合である。副反応で形成されたジスルフィド結合は、前記化学的処理によって還元的開裂及びアルキル化することができる。従って、本発明においては、化学的処理をラベル化の後に行うこともできる。
以上の理由で、本発明において化学的処理とラベル化との順番は任意である。
前述のようにして、解析すべきペプチドからラベル化ペプチド又はラベル化ペプチドフラグメントを得る。(以下、ラベル化ペプチド又はラベル化ペプチドフラグメントを単にラベル化ペプチド分子と表記する。また、ラベル化反応が未反応のペプチド又はペプチドフラグメントを未ラベル化ペプチド分子と表記する。)ラベル化ペプチド分子は、精製されることが好ましい。ラベル化ペプチド分子は、トリプトファン残基がラベル化されており、未ラベル化ペプチド分子よりも疎水性が高い。このため、通常使用されるODSなどを用いた逆相カラムによって、ラベル化ペプチド分子と未ラベル化ペプチド分子との分離が容易にできる。従って本発明においては、ICAT法で用いるような特殊なカラムを使用する必要がなくなるという利点がある。
また、逆相カラムでの精製を行う前に、ゲル濾過を行うことがより好ましい。ゲル濾過用担体は、セファデックス、バイオゲル、アガロースゲルなどが挙げられるが、セファデックスが好ましい。また、セファデックスはLH20が最適である。ゲル濾過によって、未反応及び加水分解を受けたラベル化試薬を分離することができ、より純度の高いラベル化ペプチド分子を得ることができる。
必要に応じ精製されたラベル化ペプチド分子は、マススペクトロメトリ−によって測定される。重い試薬と軽い試薬とを組み合わせたラベル化試薬を用いた場合は、マススペクトルの測定を行う前に、解析すべきペプチドのサンプル及び対照ペプチドのサンプルを混合することができる。これによりそれぞれのサンプルのラベル化ペプチド分子が混合される。それぞれのラベル化ペプチド分子は、マススペクトルの測定時に混合された状態であれば良いため、混合する時期は、ラベル化の後、マススペクトルの測定の前であれば、酵素消化、化学的処理、又は精製のいずれの段階でも良い。混合されたラベル化ペプチド分子は、マススペクトロメトリ−によって測定される。
マススペクトロメトリ−のイオン化法としては、FD法、SIMS法、FAB法、MALDI法、ESI法などが挙げられる。分析計としては、二重収束質量分析計、四重極型分析計、飛行時間型(TOF)質量分析計、フーリエ変換質量分析計、イオンサイクロトロン質量分析計などが挙げられる。
本発明においては、マススペクトル(MS)の結果と、タンデムマススペクトル(MS/MS)の結果とを組み合わせてペプチドの解析を行うことができる。
重い試薬と軽い試薬とを組み合わせたラベル化試薬を用いた場合、マススペクトル(MS)では、軽い試薬の分子量と重い試薬の分子量との差に相当する質量数の差を有するフラグメントイオンの対ピークを見つけることができる。この積分比は、それぞれのサンプルに存在するラベル化ペプチドのモル比に相当し、すなわち、対応するもとの解析すべきペプチドと対照ペプチドとのモル比に相当する。また、タンデムマススペクトル(MS/MS)と、データベースの検索とにより得られる配列情報から、それぞれのラベル化ペプチド分子に相当するもとの解析すべきペプチドと対照ペプチドとをそれぞれ同定することができる。
なお、解析すべきペプチドのサンプル又は対照ペプチドのサンプルのいずれか一方には含まれているペプチドが、いずれか他方には対応するペプチドとして含まれていない場合がある。すなわち、サンプルの一方にはペプチドが発現していて、いずれか他方には対応するペプチドが発現していない場合がある。この場合、マススペクトルにおいては、一方にシグナルが観測されるが、他方には対応するシグナルが観測されないため、混合されたサンプルのスペクトルからはこのようなペプチド由来のシグナルを見つけることは困難である。従ってこのような場合は、本発明のペプチドの解析法における全ての工程、すなわち、ラベル化、酵素消化、化学的処理、精製、及びマススペクトルの測定を、各サンプルにおいて別々に行うと良い。そして、スペクトルチャートの横軸(質量/電荷)(m/z)を等幅にして出力し、両者を比較して見ることで相対量比が1:0のシグナルを探し求めることによって解析を行うことができる。
前述のように、本発明によると、適切なスルフェニル化合物を得ることによって、ペプチド解析におけるラベル化をより反応性良く、より選択性良く行うことができるラベル化試薬を提供することができる。また、そのような反応性及び選択性に優れたラベル化試薬をペプチドの解析に用いることによって、解析すべきタンパク質のサンプル、及び対照ペプチドのサンプルにそれぞれ存在している対応ペプチドの種類とその発現量の違いとをより正確且つ容易に知ることができる。また、特定のペプチドがサンプル中の他のペプチドに比べてどれ位含まれているかということもより正確且つ容易に知ることができる。このように本発明によると、発現タンパク質の網羅的解析をより定量的且つ効率的に行うことができる。本発明の方法によると、発現タンパク質レベルで通常細胞と病細胞とのペプチド構成の違いを知ることができるため、病細胞の活動化段階をコントロールしているメカニズム等を解明する手がかりを知ることができる。すなわち、本発明によって明らかにされたペプチドが特定の疾患に関与するものである場合、該ペプチドを標的として特異的に作用し、その機能を効果的に制御する化合物をコンピュータで理論的にデザインすることによって、医薬品候補化合物を創出することができる。また、該ペプチドをコードする遺伝子の情報を見出し、該遺伝子の発現を特異的に制御する物質を医薬品候補化合物として創出することができる。本発明の方法は、これら医薬品候補化合物の創出をより効率的なものにすることができる。
以下に実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
[実施例1:スルフェニル化合物の合成]
本実施例では、2−ニトロ[13]ベンゼンスルフェニルクロリド(重い試薬)を、対応するスルフィドから合成した。
(スルフィドの合成)
1g(6.1×10−3mol)の2−ニトロクロロ[13]ベンゼンを1mlのメタノールに溶解し、ここに0.8g(6.6×10−3mol)のベンジルメルカプタン、0.8ml(0.01mol)のピリジンを加え、16時間加熱還流した。室温に放冷し2−ニトロ[13]フェニルベンジルスルフィドを析出させ、この結晶を濾別し、メタノールで洗浄した。風乾後黄色結晶として2−ニトロ[13]フェニルベンジルスルフィド1.38g(90%)が得られた。
(重い試薬の合成)
前述のようにして得られた2−ニトロ[13]フェニルベンジルスルフィド1.38g(5.5×10−3mol)にエチレンクロリド10mlを加え、さらにスルフリルクロリド940mg(7.9×10−3mol)を加え、室温で撹拌した。反応溶液を湯浴で50〜60℃に加温しながら減圧濃縮した。得られた油状物に石油エーテルを加え、生じた結晶を濾別した。結晶を石油エーテルで洗浄し風乾して2−ニトロ[13]ベンゼンスルフェニルクロリドを938mg(87%)を得た。
(同定)
得られた重い試薬と、対応する軽い試薬(2−ニトロ[12]ベンゼンスルフェニルクロリド)とをそれぞれマススペクトロメトリ−により測定した。重い試薬と軽い試薬の構造式を化1に示す。式中、*は、13Cで標識された炭素原子を表す。
Figure 0003976048
・重い試薬
(m/z) 195.10(M+, 34.1), 160.10(15.2), 144.10(4.7), 131.10(25.0), 114.10(15.6), 99.20(100.0), 83.10(10.6), 71.20(32.3), 54.20(12.3)
・軽い試薬
(m/z) 189.00(M+, 35.3), 154.10(15.8), 138.10(4.9), 125.10(26.3), 108.10(17.6), 93.10(100.0), 78.10(14.1), 66.10(32.2), 50.20(15.3)
重い試薬と軽い試薬とのマススペクトルを比較すると、分子イオン及びベンゼン環を有するフラグメントイオンは全て6ダルトンの差があり、それぞれのフラグメントピークの強度は全て同程度であった。
[実施例2:分離実験]
モデルペプチドとしてACTH、Galanin及びPTH、ラベル化試薬として2−ニトロ[12]ベンゼンスルフェニルクロリド(軽い試薬)を用い、ラベル化されたペプチドとラベル化されていないペプチドとが分離されるかどうかを確認する実験を行った。
ACTH160μg(5.4×10−8mol)を70%酢酸水溶液100μlに溶解した。ここに2−ニトロ[12]ベンゼンスルフェニルクロリド0.41mg(40mol)を加え、室温下1時間ボルテックスミキサーにより撹拌した。反応溶液を氷冷後、氷冷したエーテル800μlを加え、遠心分離した。沈殿を氷冷したエーテルで洗浄し、ラベル化体を得た。ラベル化したペプチドと、ラベル化に供しなかったペプチドとをそれぞれ混合し、逆相カラム(LC)による分離を行った。Galanin及びPTHについても同様にして分離を行い、それぞれの保持時間を以下に示した。(ラベル化したペプチドは、mod-を用いて表した。)なお、簡略された系であるため、酵素消化は行わなかった。
(保持時間)
ACTH 16.57分
mod-ACTH 34.78分
Galanin 21.78分
mod-Galanin 35.27分
PTH 24.78分
mod-PTH 35.47分
(条件)
A buffer :0.01M HCOOH−EtN(pH 4.5)
B液 :CHCN
B液の勾配:0%〜100%を50分かけて流した。
カラム :Shimpack VP-ODS、250*4.5mm
上に示すように、ラベル化されたものとそうでないものとでは、3種全てにおいて保持時間に10〜18分の差が生じた。従って、LCによってラベル化ペプチドのみを分離できることが分かった。
また、2−ニトロ[13]ベンゼンスルフェニルクロリド(重い試薬)を用いて同様の分離実験を行ったところ、保持時間は同一であったため、重い試薬でもラベル化ペプチドのみを分離できることが分かった。
[実施例3:分離実験]
(ラベル化)
モデルタンパク質としてリゾチームを用い、実施例2と同じ趣旨の分離実験を行った。本実施例では、ラベル化、化学的処理、及び酵素消化をこの順で行った。
リゾチームを実施例2と同様の方法で「軽い試薬」を用いてラベル化し、洗浄、凍結乾燥した。次いで以下に示す方法により化学的処理(ジスルフィド結合の還元及びS−カルバミドメチル化)と酵素消化とを行った。
(ジスルフィド結合の還元)
ここに、100mM NHHCO溶液を加えて溶解し、1つのジスルフィド結合に対し50倍量のDTTを加え、56℃で1時間反応させた。
(S−カルバミドメチル化)
反応溶液を室温まで放冷後、ヨードアセトアミドの100mM NHHCO溶液を加え、室温で1時間反応させた。反応溶液をセファデックスG10のカラムで精製し、凍結乾燥した。
(酵素消化)
ここに50mM NHHCO−5mM CaCl溶液に溶解したトリプシンを適当量加え、37℃、16時間反応させた。
上述の一連の処理を行って得られたラベル化ペプチドフラグメントを含む消化物を、LCにより分離した。このときのLCチャートを図1に示す。図1においては、横軸に保持時間(分;min)、縦軸にピーク強度(mAU)を表す。その結果、保持時間29〜39分の画分(detected fraction a)に目的とするラベル化ペプチドフラグメントが全て含まれていた。表1は、LCの前(before LC)におけるリゾチーム由来ペプチドと、LCの後(after LC)にdetected fraction a(Fr.a)において観測されたリゾチーム由来ペプチドフラグメントとのマススペクトルにおける(質量/電荷)(m/z)を比較してまとめたものである。表中、括弧内の数字はアミノ酸配列の番号を表し、Wが付された数字はラベル化されたトリプトファンを含有するペプチドフラグメントを表す。
Figure 0003976048
(条件)
A:0.1%TFA
B:0.07%TFA in CHCN
Bの勾配:0%〜100%を100分かけて流した。
カラム:Shimpack VP-ODS、150*4.6mm
上に示すように、LCによってラベル化ペプチドフラグメントのみを分離できることが分かった。
また、2−ニトロ[13]ベンゼンスルフェニルクロリド(重い試薬)を用いて同様の分離実験を行ったところ、重い試薬でもラベル化ペプチドのみを分離できることが分かった。
[実施例4:分離実験]
本実施例では、ラット(ウィスター(Wister))血清を用い、ラベル化、酵素消化及び分離精製後、実際に目的とするトリプトファン含有ペプチドフラグメントがどのように濃縮されてくるのかを調べる実験を行った。サンプルは、ラット血清2μl(総蛋白量100μg)を2サンプル用意し、それぞれについて一方のサンプルは「軽い試薬」、他方のサンプルは「重い試薬」を用いて実施例2と同様にしてラベル化した。これらを混合し、実施例3と同様にして化学的処理及び酵素消化を行い、ラベル化ペプチドフラグメントを含む消化物を得た。次いでセファデックスLH20のカラムで分離精製を次のような条件で行った。
カラム容量:2.0ml
分取容量 :120μl
溶離溶媒 :30%アセトニトリル
分取後、1フラクションづつMALDI−TOFMSで確認を行い、6ダルトンの差で現れるラベル化ペプチドフラグメントのピークを観測した。図2は、このピーク対の数をカウントし、グラフ化したものである。図2は、横軸に分取番号(fraction number)、縦軸にピーク対の数(number of pair peaks)を表す。図2が示すように、フラクションの16から23くらいまで目的のピーク対が見られた。すなわち、分取については1.8mlから2.8mlの計1mlを取れば良いことがわかった。また実際は、これより多少多めにとってもかまわない事がわかった。
[実施例5]
本実施例では、トリプトファン残基とシステイン残基とを両方有するペプチドを用いた。実施例3及び4のように、ラベル化を化学的処理の前に行う場合、システイン残基はトリプトファン残基と同様にラベル化され、ラベル化の直後は、システイン残基及びトリプトファン残基が両方ラベル化されたペプチドが生成し得る。このペプチドが化学的処理後にはトリプトファン残基のみがラベル化されたペプチドに変換されることを確認する実験を行った。
NDDGGFSEEWEAQRDSHLGC(配列表の配列番号1)の配列を有するペプチド、presinilin-1(331-349)-Cys(Bachem社製、MW=2252.3)を用い、実施例2と同様にしてラベル化を行った。ラベル化前のペプチドのMALDI-TOFMSのスペクトルチャート(シグナル強度:108mV)を図3下段に示し、ラベル化によって得られたラベル化ペプチドのMALDI-TOFMSのスペクトルチャート(シグナル強度:21mV)を図3中段に示す。なお、図3中の全てのチャートにおいて、横軸は(質量/電荷)((Mass/Charge);(m/z))を表し、縦軸はイオンの相対強度(%Int.)を表す。これらチャートが示すように、(m/z)=2252.04のシグナルを与える配列表の配列番号1のペプチドが、(m/z)=2559.44のシグナルを与える化合物に変化した。これは、トリプトファンとシステインの両方がラベル化されたペプチドNDDGGFSEEW(Nbs)EAQRDSHLGC(Nbs)(配列表の配列番号2)に相当する。ここでW(Nbs)は、ラベル化されたトリプトファン残基を表し、C(Nbs)は、ラベル化されたシステイン残基を表す。
次に、還元・アルキル化による一連の化学的処理を、それぞれTCEPとヨードアセトアミドとによって行った。このとき得られたペプチドのMALDI-TOFMSのスペクトルチャート(シグナル強度:60mV)を図3上段に示す。これらチャートが示すように、(m/z)=2559.44のシグナルを与える配列表の配列番号2のペプチドが、(m/z)=2436.6のシグナルを与える化合物へと変化した。これはラベル化によるシステイン上の標識置換基が還元剤で開裂し、ヨードアセトアミドによりアミドメチル化(AM)されたペプチドNDDGGFSEEW(Nbs)EAQRDSHLGC(AM)(配列表の配列番号3)である。ここで、C(AM)は、アミドメチル化されたシステイン残基を表す。
[実施例6:定量的解析]
まず、サンプルペプチドとしてACTH、Galaninを用い、2つの異なる状態の細胞をこれらのペプチドの含有比率を次のように設定することでモデル化した。
・セルA ACTH:Galanin=1:1(モル比)
・セルB ACTH:Galanin=1:2(モル比)
・セルAとセルBとの含有ACTH比 セルA:セルB=1:1(モル比)
・セルAとセルBとの含有Galanin比 セルA:セルB=1:2(モル比)
次に、これら各々の系について、セルAについては「軽い試薬」を用い、セルBについては「重い試薬」を用い、実施例2と同様の方法でラベル化反応を行った。これらの系は簡略化されたものであるため、化学的処理及び酵素消化は行わなかった。
さらに、ラベル化反応後のこれら2つの系を混合し、セファデックスG25を用いてゲル濾過した。
ゲル濾過したペプチドを、LCを用いてラベル化ペプチドのみを分離した。このようにして得られたラベル化ペプチドを、MALDI−TOFMSによって測定した。得られたマススペクトルを図4及び図5(図4の続き)に示した。図4及び図5において、横軸は(質量/電荷)((Mass/Charge);(m/z))を表し、縦軸はイオンの相対強度(%Int.)を表す。
マススペクトルの結果より、イオンのピーク強度比から、設定したペプチド含有率が正確に反映された。なお、「軽い試薬」によって修飾を受けたペプチドをL-mod、「重い試薬」によって修飾を受けたペプチドをH-modと表記した。
・イオンピーク
(m/z)=3086.60[ACTH(L-mod)]、3092.64[ACTH(H-mod)]、3316.68[Galanin(L-mod)]、3322.68[Galanin(H-mod)]
・ピーク強度比
ACTH(L-mod):ACTH(H-mod)=1:1
Galanin(L-mod):Galanin(H-mod)=1:2
[実施例7:定量的解析]
モデルペプチドとして、α−ラクトアルブミン( LCA_BOVIN )、グリセルアルデヒド−3−フォスフェートデヒドロゲナーゼ( G3P_RABIT )、フォスフォリラーゼB( PHS2_RABIT )、及びオボアルブミン( OVAL_CHICK )(全てシグマ社製)を用い、2つの異なる状態の細胞をこれらのペプチドの含有比率を次のように設定することでモデル化した。
・セルA LCA_BOVIN、G3P_RABIT、PHS2_RABIT、OVAL_CHICK
(全て12.5μgずつ含有)
・セルB LCA_BOVIN、G3P_RABIT、PHS2_RABIT、OVAL_CHICK
(全て25μgずつ含有)
・セルAとセルBとの含有ペプチド比 セルA:セルB=1:2(モル比)
次に、これら各々の系について、セルAについては「軽い試薬」を用い、セルBについては「重い試薬」を用い、実施例2と同様の方法でラベル化反応を行った。ラベル化後2つの溶液を混合し、次いで実施例3と同様に化学的処理及び酵素消化を行い、ラベル化ペプチドフラグメントを含む消化物を得た。この消化物をセファデックスLH20のカラムで分離精製してMALDI-TOFMS分析を行った。その結果を表2に示す。表2には遺伝子名(Gene Name)、同定されたペプチドの配列(Peptide Sequence Identified)、(軽い試薬でラベル化されたペプチドの量)/(重い試薬でラベル化されたペプチドの量)の実測比(Observed Ratio (13C0 / 13C6))、(軽い試薬でラベル化されたペプチドの量)/(重い試薬でラベル化されたペプチドの量)の理論比(Expected Ratio (13C0 / 13C6))、実測比の平均と理論比との差(Mean+-SD)、及びエラー値(Error(%))を示す。
表2に示すように、用いたサンプルペプチド各々について、ラベル化ペプチドフラグメントに由来するトリプトファン含有ペプチドフラグメントが同定できた。さらに、観測されたそれぞれの実測比については、エラー値が9%以下であり、理論比と良い一致を示した。
Figure 0003976048
(同定されたペプチドフラグメント)
・LCA_BOVIN由来
IWCK(配列表の配列番号4)
LDQWLCEK(配列表の配列番号5)
LDQWLCEKL(配列表の配列番号6)
VGINYNLAHK(配列表の配列番号7)
・G3P_RABIT由来
GLWEK(配列表の配列番号8)
GLWEKAFK(配列表の配列番号9)
・PHS2_RABIT由来
LWR
LISWYDNEFGYSNR(配列表の配列番号10)
・OVAL_CHICK由来
WIR
EWTR(配列表の配列番号11)
EWTRMVIR(配列表の配列番号12)
[実施例8:定量的解析]
本実施例ではラット(ウィスター)の血清にサンプル蛋白質である卵白リゾチーム(シグマ社製)を加えて、実際にリゾチーム由来のシグナルが観測されるかどうかを調べた(スパイクテスト)。2つの異なる状態の細胞をこのペプチドの含有量を次のように設定することでモデル化した。
・セルA ラット血清5μl + 卵白リゾチーム3μg(0.21nmol)
・セルB ラット血清5μl + 卵白リゾチーム6μg(0.42nmol)
・セルAとセルBとの含有リゾチーム比 セルA:セルB=1:2 (モル比)
なお、用いたラット血清5μl中の総蛋白量は0.28mg、アルブミンは0.14mg(2.1nmol)である。
次に、これら各々についてセルAにつては「重い試薬」を用い、セルBについては「軽い試薬」を用い実施例2と同様の方法でラベル化反応を行った。ラベル化後の反応溶液を混合し、次いで実施例3と同様に化学的処理及び酵素消化を行い、ラベル化ペプチドフラグメントを含む消化物を得た。この消化物をセファデックスLH20のカラムで分離精製してMALDI-TOFMS分析を行った。このときのスペクトルチャートを図6に示す。図6中、横軸は(質量/電荷)((Mass/Charge);(m/z))を表し、縦軸はイオンの相対強度(%Int.)を表す。図6に示すようにリゾチーム由来のフラグメント、(m/z)=1199.33、1205.27が観測され、ピークの強度比は2:1であった。従って、実測比(observed ratio)は2であり、理論比(expected ratio)2と一致した。すなわち、エラー値は0%である。このことは、生体サンプル中においても添加したリゾチームの相対比がそのまま酵素消化後に得られたペプチドフラグメントの相対比として得られたことを示している。
上記実施例の結果が示すように、本発明の方法を用いるとエラー値が全て9%以下となり、高い定量性を示した。
[実施例9:定量的解析]
本実施例では実際の生体試料を用いて定量的解析を行った。
以下の2つの系統のラット血清を用いた。
A:SPF/VAF Crj Wister rat(正常ラット)
B:SPF/VAF GK/Crj rat (高血糖ラット、血糖値372mg/dl)
各々のラットからの血清を2μlずつサンプルとして用い、LCQ DecaXP(Thermo Finnigan社製)−LCAd-Vpシステム((株)島津製作所製)によってESI-MS/MS測定を行った以外は実施例7と同様に定量的解析を行った。その結果、その結果を表3に示す。表3には遺伝子名(Gene Name)、同定されたペプチドの配列(Peptide Sequence Identified)、(正常ラット由来のペプチドの量)/(高血糖ラット由来のペプチドの量)の実測比(Observed Ratio (Wister / GK))を示す。
Figure 0003976048
(同定されたペプチドフラグメント)
AWAVAR(配列表の配列番号13)
NTAAWAK(配列表の配列番号14)
WKIRK(配列表の配列番号15)
上述のように、実施例においては、スルフェニル化合物として2−ニトロ[13]ベンゼンスルフェニルクロリドを合成し、それをラベル化試薬として用い、ACTH、Galanin、PTH、リゾチーム、ラット血清、presinilin-1(331-349)-Cys、α−ラクトアルブミン、グリセルアルデヒド−3−フォスフェートデヒドロゲナーゼ、フォスフォリラーゼB、及びオボアルブミンの解析に用いた。しかし、本発明は、上記スルフェニル化合物に限られることなく、一般式(I)で表されるすべてのスルフェニル化合物に適用される。また、本発明のラベル化試薬は、一般式(I)で表されるすべてのスルフェニル化合物を用いることができる。さらに、本発明の方法は、上記ペプチドに限られることなく、タンパク質を含めるすべてのペプチドに適用することができる。そのため、前述の実施例はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変更は、全て本発明の範囲内のものである。
なお、配列表フリーテキスト(人工配列の記載(Description of Artificial Sequence))において、配列番号1は、プレセニリン−1(331−349)−Cysであり、配列番号2は、ラベル化されたプレセニリン−1(331−349)−Cysであり、配列番号3はアミドメチル化されたラベル化プレセニリン−1(331−349)−Cysである。
本発明によれば、反応性及び選択性に優れ、マススペクトルでの解析が容易で定量性も高く、かつ特殊なカラムを必要としないラベル化試薬に用いることができるスルフェニル化合物、それを用いたラベル化試薬、及びそのラベル化試薬を用いたタンパク質・ペプチドの解析方法が提供される。
図1は、実施例3のLCチャートである。 図2は、実施例4のカラムの分離におけるラベル化ペプチドフラグメントのピーク対の数を表したグラフである。 図3は、実施例5のマススペクトルチャートである。 図4は、実施例6のマススペクトルチャートである。 図5は、図4のマススペクトルチャートの続きである。 図6は、実施例8のマススペクトルチャートである。
配列番号1は、プレセニリン−1(331−349)−Cysであり、配列番号2は、ラベル化されたプレセニリン−1(331−349)−Cysであり、配列番号3はアミドメチル化されたラベル化プレセニリン−1(331−349)−Cysである。

Claims (16)

  1. 一般式:
    R−S−X (I)
    (式中、Rは、同位体で標識された少なくとも1つの構成元素を有する有機基を表し、Xは脱離基を表す。)
    で表されるスルフェニル化合物であって、
    2−ニトロ[ 13 ]ベンゼンスルフェニルクロリド、4−ニトロ[ 13 ]ベンゼンスルフェニルクロリド、2,4−ジニトロ[ 13 ]ベンゼンスルフェニルクロリド、及び2−ニトロ−4−カルボキシ[ 13 ]ベンゼンスルフェニルクロリドからなる群から選ばれるスルフェニル化合物
  2. 一般式:
    R−S−X (I)
    (式中、Rは、同位体で標識された少なくとも1つの構成元素を有する有機基を表し、Xは脱離基を表す。)
    で表されるスルフェニル化合物を含むラベル化試薬であって、
    前記スルフェニル化合物が、2−ニトロ[ 13 ]ベンゼンスルフェニルクロリド、4−ニトロ[ 13 ]ベンゼンスルフェニルクロリド、2,4−ジニトロ[ 13 ]ベンゼンスルフェニルクロリド、及び2−ニトロ−4−カルボキシ[ 13 ]ベンゼンスルフェニルクロリドからなる群から選ばれる、ラベル化試薬
  3. ペプチドの解析の用途における、請求項に記載のラベル化試薬。
  4. 前記スルフェニル化合物から選ばれた1つの化合物と、前記選ばれた1つの化合物(重い試薬)と同一構造であり且つ前記同位体で標識されていない化合物(軽い試薬)とをそれぞれ別個に含む、請求項に記載のラベル化試薬。
  5. 一般式:
    R−S−X (I)
    (式中、Rは、同位体で標識された少なくとも1つの構成元素を有する有機基を表し、Xは脱離基を表す。)
    で表されるスルフェニル化合物を含むラベル化試薬を用いるペプチドの解析法であって、
    前記式(I)で表される同位体で標識されたスルフェニル化合物が、2−ニトロ[ 13 ]ベンゼンスルフェニルクロリド、4−ニトロ[ 13 ]ベンゼンスルフェニルクロリド、2,4−ジニトロ[ 13 ]ベンゼンスルフェニルクロリド、及び2−ニトロ−4−カルボキシ[ 13 ]ベンゼンスルフェニルクロリドからなる群から選ばれる、ペプチドの解析法
  6. 前記ラベル化試薬が、前記式(I)で表される同位体で標識されたスルフェニル化合物から選ばれた1つの化合物(重い試薬)と、前記選ばれた化合物と同一構造であり且つ前記同位体で標識されていない化合物(軽い試薬)とをそれぞれ別個に含む、請求項に記載のペプチドの解析法。
  7. 前記ラベル化試薬を用いて、解析すべきペプチドのアミノ酸残基をラベル化し、得られたラベル化ペプチドをマススペクトロメトリーにより測定する、請求項に記載のペプチドの解析法。
  8. (i)解析すべきペプチドを、前記式(I)で表される同位体で標識されたスルフェニル化合物から選ばれた1つの化合物(重い試薬)、及び前記選ばれた化合物と同一構造であり且つ前記同位体で標識されていない化合物(軽い試薬)のいずれか一方を用いてラベル化し、ラベル化された解析すべきペプチドを得て、
    (ii)別途、対照ペプチドを、前記重い試薬及び前記軽い試薬のいずれか他方を用いてラベル化し、ラベル化された対照ペプチドを得て、
    (iii)(i)で得られたラベル化された解析すべきペプチドと(ii)で得られたラベル化された対照ペプチドとを混合し、
    (iv)混合したラベル化ペプチドをマススペクトロメトリーによって測定する、請求項に記載のペプチドの解析法。
  9. 必要に応じて酵素消化及び/又は還元とアルキル化とによる化学的処理を行う、請求項に記載のペプチドの解析法。
  10. 前記酵素消化を前記ラベル化の前又は後に行う、請求項に記載のペプチドの解析法。
  11. 前記化学的処理を前記ラベル化の前又は後に行う、請求項に記載のペプチドの解析法。
  12. 前記化学的処理、前記酵素消化、及び前記ラベル化をこの順で行う、請求項に記載のペプチドの解析法。
  13. 前記化学的処理、前記ラベル化、及び前記酵素消化をこの順で行う、請求項に記載のペプチドの解析法。
  14. 前記ラベル化、前記化学的処理、及び前記酵素消化をこの順で行う、請求項に記載のペプチドの解析法。
  15. 前記ラベル化の後、必要に応じゲル濾過による分離と逆相カラムを用いる分離とを含むラベル化ペプチドの精製を行う、請求項に記載のペプチドの解析法。
  16. 前記アミノ酸残基がトリプトファン残基である、請求項に記載のペプチドの解析法。
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