JP2008512600A - 内燃機関で測定されたシリンダ圧の補正方法 - Google Patents

内燃機関で測定されたシリンダ圧の補正方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、シリンダ圧センサ(16)が管路(21)を介して燃焼室(4)に接続されている内燃機関で測定されたシリンダ圧の補正方法に関する。パイプ振動から生じる障害成分を抑圧するために、1作業サイクル中に管路(21)内に生じたガス振動の振動周波数が求められ、求められた振動周波数を有する帯域阻止フィルタによりシリンダ圧センサ(16)の測定値がフィルタリングされる。

Description

従来技術
本発明は内燃機関で測定されたシリンダ圧の補正方法に関する。
内燃機関の既存の部品に組み込まれるシリンダ圧センサまたはシリンダ圧検出部(Zylinderdruckaufnehmer)が公知である。典型的には適切な圧力変換器がスパークプラグ、高圧噴射弁またはグロープラグに組み込まれる。圧力変換器はたいていの場合燃焼室から大きな距離を置いて配置される。なぜなら、1つには各部品がその主目的のためにそこに既に配置されていて、圧力変換器のための余地がないからであり、もう1つには圧力変換器に集積電子回路が設けられていることが多く、燃焼室付近の高温環境では使用できないからである。したがってシリンダ圧は各部品間の適切な管路を介して燃焼室から圧力変換器へ伝送される。
従来技術の問題点
その場合、管路を経由するためにシリンダ圧信号に著しい誤りが生じることが知られている。管路は共振部またはいわゆるパイプ振動部として作用し、信号に誤りを生じさせる。図2にはパイプ振動の重畳された圧力特性が示されている。こうなるとシリンダ圧の詳細な分析および適切な指標の計算はもはや不可能となる。高価なシリンダ圧センサでは圧力変換器を燃焼室の壁面の収容部に収めることによってこうした誤りを回避している。
こうした従来技術から出発して、本発明の基礎とする課題は、圧力変換器の収容部を特に設けることなく圧力時間特性を正確に測定できるよう、パイプ振動に起因する障害成分を抑圧することである。
本発明の利点
この課題は、シリンダ圧センサが管路を介して燃焼室に接続されている内燃機関で測定されたシリンダ圧の補正方法において、1作業サイクル中に管路内に生じたガス振動の振動周波数を求め、求められた振動周波数を有する帯域阻止フィルタによりシリンダ圧センサの測定値をフィルタリングすることにより解決される。ガス振動はいわゆるパイプ振動であり、シリンダ圧センサで見ると、所定の時間にわたる圧力振動として、燃焼室の固有の圧力特性に重畳されて現れる。帯域阻止フィルタは有利にはディジタルフィルタである。振動数波数は共振周波数ないしは燃焼室からシリンダ圧センサへいたるガス管路のガス柱の固有振動数である。
振動周波数は測定された圧力値から計算された燃焼室内のガス温度から求められる。ガス温度は公知の適切なモデルを用いて燃焼室圧から計算される。またこれに代えて、燃焼室内の圧力特性をスペクトル分析することにより振動周波数を求めてもよい。パイプ振動の振動周波数はクランクシャフト回転数の周波数を有する圧力特性の基本振動の振動周波数よりも格段に高く、kHz領域となっている。基本振動はクランクシャフト回転数から既知であるので、高調振動すなわちパイプ振動は容易に識別される。
本発明の有利な実施形態では、第1のステップとして完全な1作業サイクルに対するシリンダ圧特性が測定され、記憶される。圧力特性はメモリ、例えばプログラマブルメモリを備えた制御部に時間順に記憶される。
本発明の別の有利な実施形態では、第2のステップとしてガス温度が求められ、そこからパイプ振動の振動周波数が計算される。ガス温度は理想気体または現実気体に対する等エントロピー式により計算される。
本発明の別の有利な実施形態では、第3のステップとして帯域阻止フィルタのフィルタ係数が計算される。帯域阻止フィルタはプログラマブルメモリを備えた制御部のプログラムとして構成され、ここでは特に阻止周波数および減衰度がフィルタのパラメータとして定められる。
本発明の別の有利な実施形態では、第4のステップとして帯域阻止フィルタによりシリンダ圧特性がフィルタリングされる。値は時間順にフィルタにかけられ、フィルタリングされた値は同じメモリセルに再書き込みされる。
また前述した課題は、内燃機関で測定されたシリンダ圧の補正方法を実行するように構成されていることを特徴とする内燃機関用制御装置によっても解決される。
図面
以下に本発明を図示の実施例に則して詳細に説明する。
図1には内燃機関のシリンダの概略図が示されている。図2にはパイプ振動の重畳された燃焼室内の圧力特性のグラフが示されている。
図1の車両の内燃機関1は詳細には示されていないが、シリンダ3内で往復運動するピストン2を有している。通常の内燃機関は複数のピストンおよび複数のシリンダを有しているが、唯一のシリンダのみを図示し、以下このシリンダについて考察する。一般に内燃機関1は複数のシリンダを有する。シリンダ3は、ピストン2、吸気弁5および排気弁6によって区切られる燃焼室4を有する。吸気弁5には吸気管7が結合されており、排気弁6には排気管8が結合されている。ガソリン直接噴射型内燃機関では、吸気弁5および排気弁6の領域で、噴射弁9およびスパークプラグ10が燃焼室4内へ突出している。ディーゼル機関では1つまたは複数の噴射弁9が設けられ、内燃機関(オットー機関)では1つまたは複数のスパークプラグ10が設けられる。噴射弁9を介して燃料が燃焼室4内へ噴射される。スパークプラグ10により燃焼室4内の燃料が点火される。吸気管7には回転可能なスロットル弁11が収容されており、このスロットル弁を介して吸気管7へ空気が供給される。スロットル弁11の上流または下流にエアマスセンサ15が配置される。供給された空気の量はスロットル弁11の角度位置に依存して定まる。ガソリン機関では排気管8に、燃焼室内の燃料燃焼のλ値を測定するラムダセンサ13が配置される。ラムダセンサ13の下流には触媒12が収容され、排気ガスに含まれる障害物質が化学的に変換される。
ピストン2は概略的に示されている連接棒14を介して図示されていない内燃機関のクランクシャフトに結合されている。ピストン2は燃焼室4内の燃料空気混合気の燃焼により作業サイクルとして運動し、この運動が連接棒14およびクランクシャフトにより周知のように回転運動へと変換される。制御装置18には複数のセンサを介して測定された内燃機関1の駆動パラメータを表す複数の入力信号19が印加される。例えば制御装置18はエアマスセンサ15、ラムダセンサ13、回転数センサ、空気温度センサその他に接続される。さらに制御装置18は、ドライバーの操作したアクセルペダルの位置ひいては要求トルクを表すアクセルペダルセンサに接続されている。制御装置18は出力信号20を形成し、これによりアクチュエータを介して内燃機関1の挙動を制御することができる。例えば制御装置18は噴射弁9、スパークプラグ10およびスロットル弁11その他に接続され、これらの要素の駆動に必要な信号を形成する。
特に制御装置18は内燃機関1の駆動パラメータを制御(開制御および/または閉ループ制御)するために設けられている。例えば噴射弁9によって燃焼室4内へ噴射された燃料量は制御装置18で特に燃費の低下および/または障害物質放出量の低減のために制御される。このために制御装置18にはマイクロプロセッサが設けられており、そのメモリ、例えば読み出し専用メモリROM内に前述の方法の各ステップを制御するプログラムが記憶されている。
燃焼室4にはシリンダ圧センサ16が配置されており、このシリンダ圧センサは電気線路17を介して制御装置18に接続されている。シリンダ圧センサ16と燃焼室4とのあいだに長さlの管路21が配置されている。シリンダ圧センサ16の組み込み位置はここでは概略的にしか示されていないが、既存の機関室の構成およびその他の要求に応じて変化させることができる。シリンダ圧センサ16によって形成されたシリンダ圧特性およびそこから導出されたパラメータは種々の制御関数に対する入力信号として用いられる。制御部の出力信号は例えば燃料調量部および混合気の点火制御部に対する駆動信号となる。シリンダ圧センサ16は図2のような信号、すなわち本来の圧力特性に管路21のパイプ振動の重畳された信号を送出する。図2では燃焼室圧P[Pa]がクランクシャフト角度KW[°]に関して表されているが、回転数に関してクランクシャフト角度KWは時間列へ変換することができる。
本発明の方法では、パイプ振動のモデリングから出発して、固有の熱力学指標をシリンダ圧から計算する前に、測定されたシリンダ圧特性が適切にフィルタリングされる。基本的なコンセプトは、パイプ振動の独特な振動周波数を、当該の周波数を阻止するフィルタ、いわゆる帯域阻止特性を有するフィルタによって抑圧することである。完全な作業サイクルを検出した後、測定された圧力特性に対して、数値的な手法でディジタルフィルタを適用することもできる。
ここでは、いちど求められたフィルタ係数がパイプ振動の種々の周波数ごとに制御部に記憶されてもよいし、また各係数が内燃機関の動作点に依存して計算されてもよい。
技術文献からパイプ振動の振動周波数fと音速cとの関係式が公知である。音速cは燃焼室4からシリンダ圧センサ16までの管路21の長さl、ガス温度T、気体定数Rおよび等エントロピー指数(断熱指数)χから求められる。すなわち
f=c/(4*l)、ここで
Figure 2008512600
によって求められる。
つまり、例えば回転数、負荷、空燃比によって記述される内燃機関の動作点に対して振動周波数fが求められる。可変のパラメータのうち最も重要なものはガス温度Tである。これは制御部のキャリブレーション中にいちど求められ、特性マップに記憶される。他の適切な熱力学モデルによる計算も可能である。
また、シリンダ圧信号のスペクトル分析を行うこともできる。パイプ振動の振動周波数は動作点に依存して求められる。スペクトル分析はオフラインでキャリブレーション中に内燃機関の種々の動作点に対して、またはオンラインで各作業サイクルに対して行うことができる。この場合にも振動周波数を充分に抑圧できる適切なフィルタが選択される。
最初に完全な1作業サイクルを記憶すれば、フィルタを2回通ることにより、ゼロ位相フィルタリングとして、望ましくないシリンダ圧信号の位相シフトを補償することができるので特に有利である。このようにすればクランクシャフト角度とシリンダ圧特性との重要な関係に誤りが生じない。
まとめると、本発明の補正方法は、
1)完全な1作業サイクルに対するシリンダ圧特性を充分なサンプリング周波数でサンプリングし、信号を記憶するステップ、
2)ガス温度を求め、パイプ振動の振動周波数を計算するステップ、
3)帯域阻止フィルタのフィルタ係数を求めるステップ、
4)シリンダ圧特性をフィルタリングするステップ
から成る。
本発明の方法により、機関制御装置において、シリンダ圧センサを燃焼室から遠く離して配置する手段の基本的な欠点が効果的に補償される。本発明の装置の利点は、既存の部品のあいだへの有利な配置を達成しつつ、圧力センサへの熱負荷が小さく保たれることである。
内燃機関のシリンダの概略図である。 パイプ振動の重畳された圧力特性のグラフである。

Claims (8)

  1. シリンダ圧センサ(16)が管路(21)を介して燃焼室(4)に接続されている内燃機関で測定されたシリンダ圧の補正方法において、
    1作業サイクル中に管路(21)内に生じたガス振動の振動周波数を求め、
    求められた振動周波数を有する帯域阻止フィルタによりシリンダ圧センサ(16)の測定値をフィルタリングする
    ことを特徴とする内燃機関で測定されたシリンダ圧の補正方法。
  2. 測定された圧力値から計算された燃焼室内のガス温度から振動周波数を求める、請求項1記載の方法。
  3. 燃焼室内の圧力特性をスペクトル分析することにより振動周波数を求める、請求項1または2記載の方法。
  4. 第1のステップとして完全な1作業サイクルに対するシリンダ圧特性を測定して記憶する、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
  5. 第2のステップとしてガス温度を求め、そこからパイプ振動の振動周波数を計算する、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
  6. 第3のステップとして帯域阻止フィルタのフィルタ係数を計算する、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
  7. 第4のステップとして帯域阻止フィルタによりシリンダ圧特性をフィルタリングする、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
  8. 請求項1から7までのいずれか1項記載の内燃機関で測定されたシリンダ圧の補正方法を実行するように構成されていることを特徴とする内燃機関用制御装置。
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