JP2008512126A - 結晶質タクロリムスの単離法 - Google Patents

結晶質タクロリムスの単離法 Download PDF

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Abstract

本発明は、タクロリムスおよびそのアナローグ、アスコマイシンおよびツクバマイシンBを分離する簡単な方法および十分に純粋な結晶質タクロリムスを製造する簡単な方法である。この方法はタクロリムスの驚くべき性質の利点を有し、そして精製された結晶質タクロリムスを製造する抽出、精製および結晶化を包含する。

Description

本発明は、発酵ブロスから結晶質タクロリムスを単離する方法に関する。
タクロリムスは、またFK 506として知られており、T-リンパ球に対して選択的阻害作用を有する天然に存在するマクロリド抗体である。それは免疫抑制剤として使用される。タクロリムスは最初に特許、例えば、米国特許第4,894,366号およびEP 184,162に記載された。後に、それは、また、タクロリムスは科学論文に記載された: H. Tanaka 他、J. Am. Chem. Soc. 1987、109、5031-5033およびT. Kino 他、J. Antibiot. 1987、40、1249-1255。
タクロリムスの好ましい製造方法は発酵であるが、その全合成は、また、例えば、EP 378,318に記載された。発酵ブロスからのタクロリムスの単離は比較的困難である。不都合なことには、大部分のタクロリムス産生株は、また、アスコマイシンおよびいくつか他のマクロリド化合物、例えば、ツクバマイシンBを産生するので、タクロリムスおよび他のマクロリド類の分離は純粋なタクロリムスを単離する方法に関係づけられるに違いない。タクロリムス単離の他の困難は、バイオマス中のその濃度が低いことおよびマクロリド化合物が通常固相 (菌糸体) および液相 (濾過した発酵ブロス) の両方の中に存在するという事実である。それゆえ、タクロリムスを経済的に単離する方法は菌糸体の分離、および菌糸体および濾過した発酵ブロスの両方を別々に処理することを必要とし、これらは、例えば、下記の文献に記載されている: T. Kino 他、J. Antibiot. 1987、40、1249-1255。他の可能性は特許出願WO 03/68 980に記載されており、この特許出願は疎水性有機溶媒を使用する発酵ブロスの直接的抽出を特許請求している。
アスコマイシンおよびツクバマイシンBはタクロリムスの天然のアナローグである: タクロリムスはマクロリド骨格の位置21にアリル基を含有するが、アスコマイシンはそこにエチル基を有し、そしてツクバマイシンBはプロピル基を有し、これらは、例えば、下記の文献に記載されている: H. Hatanaka 他、J. Antibiot. 1988、41、1592-1599、およびM. Morisaki 他、J. Antibiot. 1992、45、126-132。タクロリムスの他の天然の誘導体およびアナローグは下記の特許に記載されている: EP 358,508およびGB 2,269,172。
タクロリムスおよび他のマクロリド抗生物質 (マクロリド類) 、すなわち、アスコマイシンおよびツクバマイシンBは類似するので、これらの化合物の分離は非常に困難である。これまで報告されてきている結晶化法では、満足すべき分離は不可能である。唯一の可能性はカラムクロマトグラフィーである。多数のHPLC法は文献に記載されてきており、これらのすべては逆相系を使用する、例えば、Y. Nakimi 他、Chromatographia 1995、40、253-258、T. Nishikawa 他、Pharm. Res. 1993、10、1785-1789、T. Akashi 他、J. Pharm. Biomed. Anal. 1996、14、339-346。逆相系の水含有移動相がタクロリムスのその互変異性体への異性化を促進するので、逆相系は調製用クロマトグラフィーのために好ましくない: Y. Nakimi 他、Chromatographia 1995、40、253-258。その上、溶離液からのタクロリムスの単離もまた好ましくない。
タクロリムスおよびアスコマイシンおよびツクバマイシンBを分離する他の可能性は特許出願WO 01/18 007に記載され、ここで逆相クロマトグラフィーが銀イオンを含有する移動相とともに使用された。それにもかかわらず、水含有移動相の使用はなおこの方法における欠点である。
発明の要約
本発明による方法は、発酵ブロスから非常に純粋なタクロリムスを高い収率で単離する簡単な方法を提供する。菌糸体からのマクロリド類の抽出は、適当な水混和性有機溶媒を全発酵ブロスに添加することによって達成される。こうして、マクロリド類の混合物は液相に移される。次いで抽出された菌糸体を分離し、そして液相 (水性抽出物) を適当な水非混和性溶媒で抽出することによってさらに処理し、こうして有機抽出物を得る。次いで、有機抽出物を部分的に蒸発させてタクロリムス濃縮物を得る。さらに、銀塩により変性されたシリカゲル上のクロマトグラフィーにより、移動相として適当な有機溶媒を使用して、タクロリムス濃縮物を精製する。十分に純粋なタクロリムスを含有する画分を濃縮し、残留物を適当な溶媒から結晶化して、純粋な結晶質タクロリムスを得る。
この方法の他の態様において、タクロリムスを含有する分離された菌糸体を水と水混和性有機溶媒との混合物で抽出することによって、水性抽出物を調製することができる。水性抽出物のそれ以上の処理は、前述した処理と同一である。
この方法の他の態様において、水非混和性溶媒を使用する処理前に、水性抽出物を菌糸体から分離しない。水非混和性溶媒は水性抽出物中の菌糸体の懸濁液に直接添加することができ、次いで有機抽出物を3相系から分離することができる。
この方法の他の態様において、銀塩で変性したシリカゲル上のクロマトグラフィー精製前に、他のクロマトグラフィー工程を実施することができる。この工程において、移動相として適当な有機溶媒を使用して、タクロリムス濃縮物をシリカゲル上で精製し、そしてタクロリムスおよび他のマクロリド化合物を含有する得られた画分を銀塩で変性したシリカゲル上でさらに精製する。
発明の詳細な説明
タクロリムスは水中に不溶性であるが、特に発酵プロセスの全生産が低いとき、タクロリムスの驚くほどに高い部分が発酵ブロスの液相中に見出された。したがって、タクロリムスを産生する微生物の培養により得られた懸濁液であるの処理全発酵ブロスは高度に望ましい。本発明による方法は、安価な環境的に許容される溶媒を使用して、全発酵ブロスを処理することができる。適当な水混和性有機溶媒を全発酵ブロスに添加すると、マクロリド類の混合物は液相中に抽出される。
このような水混和性溶媒は低級脂肪族アルコールまたはケトンであることができる。好ましい溶媒はアセトン、2-プロパノールまたは1-プロパノールである。他方において、メタノールは反応性が高く、タクロリムスを分解するので、好ましくない。エタノールの反応性はメタノールのそれより実質的に低い。それにもかかわらず、反応性は無視できず、したがって、エタノールはマクロリド化合物の抽出に使用することができるが、前述の溶媒、アセトン、1-プロパノールおよび/または2-プロパノールよりも好ましくない。
水混和性有機溶媒を全発酵ブロスに添加して得られる水性抽出物は、抽出された菌糸体から、濾過または沈降により、好ましくは遠心分離により分離することができ、そして得られる透明な水性抽出物は蒸発なしにさらに処理される。第2 の可能性は、固相を分離しないで水性抽出物を処理することである。
タクロリムスの水性抽出物を調製する方法における、他の可能性は、分離された菌糸体を水と水混和性溶媒との混合物で抽出することである。高い産生株の発酵ブロスを処理するとき、これは非常に好都合である。この場合において、発酵液中に存在するタクロリムスの部分を無視することができ、そして菌糸体のみの簡単な処理が収率の観点から許容される。この利点は、実施例2により証明されるように、処理がいっそう簡単であることおよび溶媒の消費が低いことにある。分離された菌糸体の抽出に適当な水混和性溶媒は、アセトン、1-プロパノールおよび/または2-プロパノールであることが好ましい。
水性抽出物を濃縮なしにさらに処理する、これはこの方法の他の利点である。水性抽出物のそれ以上の処理は、菌糸体を分離するか否かにかかわらず、水非混和性溶媒を水性抽出物に添加し、そして得られた2または3相系を混合することを含む。こうしてタクロリムスおよび他のマクロリド類は有機相中に抽出されるが、大部分のバラスト成分は水相中に残留する。脂肪族炭化水素を除外して、実際に任意の有機水非混和性溶媒を適当な水非混和性溶媒として使用できるが、実際的理由 (環境的面および経済的入手可能性) は使用をいくつかの溶媒、例えば、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、ジクロロエタン、t-ブチルメチルエーテルまたはイソブチルメチルケトンのみに限定する。
溶媒の価格、環境的許容性、ヒトの健康に対する低い危険性、および他の後述する面を考慮して、好ましい溶媒はトルエンである。この操作の目的はタクロリムスを精製するばかりでなく、かつまた生成物をある程度濃縮することである。なぜなら、実施例において証明するように、マクロリドを有機相に定量的に移すために、非常に少量のみのトルエンを水性抽出物に添加することができるからである。トルエンの他の利点は、アセトンまたは2-プロパノールおよびトルエンの沸点が実質的に異なるために、使用した溶媒が簡単に回収されることである。
次いで、タクロリムスおよび他のマクロリド類を含有する分離された有機抽出物を濃縮する。トルエンを使用する他の利点はここにおいて証明される。文献に記載されている方法は、乾燥剤による抽出物の乾燥を必要とする。水非混和性溶媒としてトルエンを使用する本発明による方法は乾燥を必要としない。有機抽出物中に存在する水は簡単な蒸発により共沸混合物として除去され、こうして乾燥タクロリムス濃縮物が得られる。
本発明に従い得られるタクロリムス濃縮物は、発酵ブロス中に存在するタクロリムスおよびすべての他の関係するマクロリド類、特にツクバマイシンBを含有する。したがって、それ以上の処理は関係するマクロリド類からのタクロリムスの分離を含まなくてはならない。前述したように、すべての既知のクロマトグラフィー系は逆相クロマトグラフィーを利用する。図1により証明されるように、実験により、シリカゲル上の通常の相クロマトグラフィーはタクロリムスをアスコマイシンからある程度分離することができるが、ツクバマイシンBから分離することができないことが証明された。
他方において、タクロリムスはアスコマイシンおよびツクバマイシンBの両方から銀塩で変性したシリカゲル上の通常の相クロマトグラフィーにより分離できることが発見された。アスコマイシンは銀塩を含まないシリカゲル上にタクロリムスおよびツクバマイシンBよりも多く保持されるが、図2により証明されるように、タクロリムスは銀塩変性シリカゲル上にツクバマイシンBおよびアスコマイシンよりも実質的に多く保持される。両方の不純物、すなわち、アスコマイシンおよびツクバマイシンBが銀塩変性カラム上により少なく保持されるという事実は、タクロリムスの調製用精製のためのきわめてすぐれた基礎を与える。
シリカゲルの変性剤としての銀の作用の基本原理はタクロリムスのアリル基と錯体を形成する能力にあるが、このような基は他の関係するマクロリド類の構造中に存在しない。同様に、いくつか他の遷移金属、例えば、白金族金属の塩または錯体はη-アリル錯体を形成し、同様な方法で作用することができるが、銀は低価格でありかつ再生がいっそう簡単であるために、シリカゲル変性剤としての銀の使用は非常に好ましい。適当な銀塩として、二成分無機塩、例えば、硝酸塩、フッ化物、塩素酸塩、過塩素酸塩、硝酸塩またはその他、および/または有機塩、例えば、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、安息香酸塩、シクロヘキサン酪酸塩、アセチルアセトネートまたはその他が存在し、あるいは銀塩はクロマトグラフィー収着剤の適当な官能基への直接結合により形成することができる。銀のいくつか塩は感光性であるか、あるいはマクロリドの精製に使用する移動相中に部分的に可溶性であるので、硝酸銀の使用はその安定性のために好ましい。
銀塩変性シリカゲル上の関係するマクロリド化合物からのタクロリムスのクロマトグラフィー分離に適当な溶媒は、普通に使用される溶媒、例えば、ジクロロメタンおよびそれとアセトン、イソブチルメチルケトンまたはt-ブチルメチルエーテルとの混合物の異なる混合物、またはトルエンとアセトン、イソブチルメチルケトンまたはt-ブチルメチルエーテル、または脂肪族アルコールと酢酸とのいくつかエステル、例えば、酢酸エチル、酢酸プロピルおよび/または酢酸ブチルとの混合物であることができることが実験により証明された。好ましい溶媒は、トルエンとアセトンまたはイソブチルメチルケトンとの混合物である。分離は無勾配的モードで達成することができる。
次いで、適当な溶媒は約15% (v/v) のアセトンおよび約85% (v/v) のトルエンまたは約50% (v/v) のトルエンおよび約50% (v/v) のイソブチルメチルケトンを含有すべきである。他の可能性は、勾配モードで銀塩変性シリカゲル上のクロマトグラフィー精製を実施することである。上に規定した好ましい溶媒を使用することは、例えば、純粋なトルエンを使用してクロマトグラフィーを開始し、そして移動相の極性をアセトンまたはイソブチルメチルケトンの添加により段階的に増加させることを意味する。タクロリムス濃縮物をカラム上に直接負荷するとき、勾配モードを使用することが必要である。他方において、後述するように、カラム上に負荷する物質を前もって精製して、それがバラスト不純物を含有しないようにするとき、無勾配モードは好都合である。
本発明の他の態様において、タクロリムス濃縮物のクロマトグラフィー精製は2工程において達成することができ、両方の工程において通常の相クロマトグラフィーを使用する。第1工程において、タクロリムス濃縮物をシリカゲル上で精製し、マクロリド類の混合物を含有する画分を得る。この操作の意味は、マクロリド類以外のバラスト不純物の排除である。次いで第2 工程において、第1クロマトグラフィーからのマクロリド類の画分を銀塩変性シリカゲル上で精製する。このような2工程精製の利点は、銀塩変性シリカゲルを充填したカラム上に精製した画分のみを負荷し、これによりカラムの寿命が長くなるという事実である。その上、第2 クロマトグラフィーは無勾配モードで達成することができ、このモードは非常に好都合である。
移動相として非水性溶媒を使用する通常の相上でツクバマイシンBおよびアスコマイシンからタクロリムスをクロマトグラフィーにより分離することは、本発明による方法の基本的特徴および主要な利点である。タクロリムスおよび他のマクロリド類は比較的不安定である。それらはいわゆる互変異性体 (タクロリムス互変異性体IおよびII) に異性化する傾向がある。この異性化は、逆相クロマトグラフィーのために移動相として使用する水溶液中において、特に急速である。その上、通常の相クロマトグラフィーから得られる溶離液からの生成物の単離は非常に簡単である: 溶媒を真空下に蒸発することができ、これは生成物にとって無害である。他方において、逆相分離後に得られる水性溶離液からの生成物の単離は非常に困難である、そしてそれは通常生成物の部分的損失を伴う。
本発明の他の態様において、移動相の蒸発後の残留物を2-プロパノールと水との混合物から結晶化させることによって、クロマトグラフィー画分から結晶質タクロリムスを得ることができる。2-プロパノールと水との混合物からの結晶化は、残留物を2-プロパノール中に溶解し、水を添加することによって達成することができる。クロマトグラフィー画分の蒸発後に得られる残留物の1重量部を溶解するために、少なくとも1重量部の2-プロパノールを使用すべきであること、および2-プロパノール/水の容積比が約1:1〜約1:2であるべきであることが実験により発見された。脂肪族炭化水素、例えば、ヘキサンおよびヘプタンを結晶化に添加するとき、結晶化の精製効果をさらに改良することができる。添加する脂肪族炭化水素の体積は限定されないが、非精製効果に多少の効果を有する。
タクロリムス結晶化に適当な他の溶媒はジイソプロピルエーテルである。クロマトグラフィー画分を蒸発させて乾燥残留物にし、そしてこの画分をジイソプロピルエーテル中に溶解することによって、この溶媒からの結晶化を達成することができる。
下記の実施例により、本発明のある種の好ましい態様を例示するが、その特質は限定されない。当業者は、日常の実験を使用して、本明細書に記載する特定の手順に対して多数の同等の態様を認識するであろう。
実施例1全発酵ブロスからのタクロリムスの単離
タクロリムスを産生するストレプトマイセス (Streptomyces) 種の液内培養により得られた10.0リットルの全発酵ブロスを10.0リットルの2-プロパノールで希釈し、この懸濁液を4時間攪拌した。次いで固相を濾過により分離し、濾液を1000mlのトルエンで2回抽出した。プールしたトルエン抽出物を減圧下に約25 mlの体積に蒸発させた。この濃縮物はHPLC分析に従い2.12 gのタクロリムス、0.25 gのアスコマイシンおよび0.11 gのツクバマイシンBを含有した。
20 gの硝酸銀で変性した200 gのシリカゲル (Lichroprep Merck 60、25〜40μm) を充填したクロマトグラフィーカラム上に、前記濃縮物を負荷した。このカラムをまずトルエン (約400 ml) で洗浄し、次いでイソブチルメチルケトンで60% (v/v) まで段階的に極性化したトルエンで洗浄した。純粋なタクロリムスを含有する画分 (HPLC監視) をプールし、蒸発乾固し、残留物 (1.8 g) をジイソプロピルエーテルから結晶化させ、1.1 gの結晶質生成物が得られ、これはHPLC分析に従い95.8%のタクロリムス、0.7%のアスコマイシン、0.1%より少ないツクバマイシンBおよび約1%のタクロリムス互変異性体を含有した - HPLC記録は図3に表示されている。
実施例2乾燥した菌糸体からのタクロリムスの単離
タクロリムスを産生するストレプトマイセス (Streptomyces) 種の液内培養により得られた200リットルの発酵ブロスを処理することによって、HPLC分析に従い0.21%のタクロリムスを含有する40.0 kgの菌糸体を調製した。この菌糸体を50% (v/v) のアセトンで抽出し、40.0リットルの水性抽出物を得た。次いでこの水性抽出物を4リットルのトルエンで2回抽出し、15リットルの有機抽出物を得た。この有機抽出物を約1リットルの体積に濃縮した。この濃縮を4.0 kgのシリカゲル (Lichroprep Merck 60、63〜200μm) を含有するカラム上に負荷した。このカラムをまずトルエン (約30リットル) で洗浄し、次いでアセトンで段階的に極性化したトルエン (20% (v/v) までのアセトン) で洗浄した。
タクロリムスを含有する画分 (TLC監視) をプールし、蒸発乾固し、残留物 (最初のクロマトグラフィー後の残留物、130 g) が得られ、これはHPLC分析に従い61.6%のタクロリムス、7.9%のアスコマイシンおよび3.5%のツクバマイシンBを含有した - この物質のHPLC記録は図4に表示されている。トルエンとアセトンとの混合物 85 : 15 (v/v) を使用する、100 gの硝酸銀で変性した1000 gのシリカゲル (Lichroprep Merck 60、25〜40μm) を充填したカラム上のクロマトグラフィーにより、最初のクロマトグラフィー後の残留物をさらに精製した。クロマトグラフィー画分をHPLCにより監視した。0.5%より少ないアスコマイシンを含有する画分をプールし、濃縮した。0.5%より多いアスコマイシンを含有する画分および10%より少ないアスコマイシンを含有する画分を再循環させた。
10 gのこの物質を1クロマトグラフィー実験において精製し、そして同一カラムを使用して、クロマトグラフィーを17回反復した (濃縮物を使用して13回および再循環させた画分を使用して4回) 。最後に、プールした精製画分の濃縮により得られた94.9 gの乾燥残留物が得られた。この残留物を250 mlの2-プロパノールおよび350 mlの水中に溶解し、500 mlのn-ヘプタンをこの溶液に添加し、そして生成物を冷却および混合により結晶化させた。濾過、n-ヘプタンを使用する洗浄および乾燥により、結晶質タクロリムスが得られた。生成物を同一溶媒混合物からさらに1回再結晶化させ、65.6 gの乾燥生成物が。HPLC分析により、再結晶化させた生成物は98.21%のタクロリムス、0.32%のアスコマイシン、0.08%のツクバマイシンBおよび約0.78%のタクロリムス互変異性体を含有した - HPLC記録は図5に表示されている。
実施例3硝酸銀で変性したシリカゲルの調製
10.0 gの結晶質硝酸銀を1000 mlのメタノール中に加熱下に溶解し、100 gのシリカゲル (Lichroprep Merck 60、25〜40μm) をこの溶液に添加した。次いで懸濁液を蒸発乾固し、残留物を真空60ミリバール下に70℃において乾燥した。
図1は、移動相としてトルエンおよびアセトン85:15 (v/v) の混合物を使用するタクロリムス濃縮物のシリカゲル上の調製用クロマトグラフィー (画分のHPLC分析に基づく再構成) を示す。 図2は、移動相としてトルエンおよびアセトン85:15 (v/v) の混合物を使用する、硝酸銀で変性したシリカゲル (実施例3に従い調製した) 上のタクロリムス濃縮物の調製用クロマトグラフィー (画分のHPLC分析に基づく再構成) を示す。 図3は、実施例1において得られた結晶質タクロリムスのHPLC分析を示す。 図4は、実施例2において得られた最初のクロマトグラフィー後の残留物のHPLC分析を示す。 図5は、実施例2において得られた結晶質タクロリムスのHPLC分析を示す。

Claims (27)

  1. 下記の工程:
    a) タクロリムスの水性抽出物を調製し、
    b) 水性抽出物を水非混和性溶媒でpH約5〜約8において抽出して有機抽出物を獲得し、次いでそれを蒸発させてタクロリムス濃縮物を形成し、
    c) このタクロリムス濃縮物をクロマトグラフィーにより精製して、精製されたタクロリムスを獲得し、そして
    d) 精製されたタクロリムスを適当な溶媒から結晶化させて結晶質タクロリムスを得る;
    を含んでなる発酵ブロスから結晶質タクロリムスを単離する方法。
  2. 発酵ブロスを水混和性有機溶媒で希釈することによって、水性抽出物を調製する、請求項1に記載の方法。
  3. 1容量部の発酵ブロスを少なくとも0.5容量部の水混和性有機溶媒で希釈する、請求項2に記載の方法。
  4. 1容量部の発酵ブロスを最大2容量部の水混和性有機溶媒で希釈する、請求項2に記載の方法。
  5. 水混和性有機溶媒がエタノール、1-プロパノール、2-プロパノールまたはアセトン、またはそれらの混合物である、請求項1および2に記載の方法。
  6. 水非混和性溶媒中への抽出前に、濾過または沈降により、水性抽出物を固相から分離する、請求項1および2に記載の方法。
  7. 水非混和性溶媒中への抽出前に、水性抽出物を固相から分離にしない、請求項1および2に記載の方法。
  8. 水非混和性溶媒がトルエン、キシレン、ジクロロメタン、ジクロロエタン、t-ブチルメチルエーテル、メチルイソブチルケトン、またはそれらの混合物である、請求項1に記載の方法。
  9. 水非混和性溶媒がトルエンである、請求項8に記載の方法。
  10. 発酵ブロスから菌糸体を分離することによって、水性抽出物を調製し、そして水と水混和性有機溶媒との混合物でそれを抽出する、請求項1に記載の方法。
  11. 水混和性有機溶媒がエタノール、1-プロパノール、2-プロパノールまたはアセトン、またはそれらの混合物である、請求項10に記載の方法。
  12. 抽出に使用した有機溶媒と水との混合物が少なくとも30%の水を含有する、請求項10に記載の方法。
  13. 菌糸体をアセトンの約50%の水溶液で抽出する、請求項10に記載の方法。
  14. 2リットルより少ない水性抽出物が1 kgの乾燥菌糸体から得られる、請求項10に記載の方法。
  15. タクロリムス濃縮物のクロマトグラフィー精製を通常の相クロマトグラフィーにより達成する、請求項1に記載の方法。
  16. 2つの異なるクロマトグラフィー収着剤を使用して、クロマトグラフィー精製を2工程において達成する、請求項1および15に記載の方法。
  17. クロマトグラフィー精製を1工程において達成する、請求項1および15に記載の方法。
  18. 少なくとも1回のクロマトグラフィー工程を銀塩で変性したシリカゲル上で達成する、請求項15および16に記載の方法。
  19. 銀塩が硝酸銀である、請求項18に記載の方法。
  20. 移動相として有機溶媒を使用して、濃縮物のクロマトグラフィー精製を達成する、請求項15に記載の方法。
  21. 有機溶媒がトルエンまたはジクロロメタンとイソブチルメチルケトン、アセトンまたはt-ブチルメチルエーテルまたは脂肪族アルコールと酢酸とのエステルとの混合物である、請求項20に記載の方法。
  22. 有機溶媒がトルエンとアセトンとの混合物である、請求項20および21に記載の方法。
  23. 精製したタクロリムスを2-プロパノールと水との混合物から結晶化させる、請求項1に記載の方法。
  24. 2-プロパノール/水の容積比が1:1〜1:2である、請求項15に記載の方法。
  25. ヘキサンの添加により結晶化を達成する、請求項23に記載の方法。
  26. ヘキサンの量が限定されない、請求項25に記載の方法。
  27. 精製したタクロリムスをジイソプロピルエーテルから結晶化させる、請求項1に記載の方法。
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