JP2008508504A - β細胞不全の標的/マーカーとしての膵臓ポリペプチド - Google Patents
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Abstract
Description
本発明の目的は、β細胞不全を予防する、和らげる、または抑制する化合物、ならびにII型糖尿病のより早い段階でβ細胞不全のモニタリングおよび/または診断を可能にし、かつ現在実施され得るものよりもさらに信頼性のあるマーカーをスクリーニングするための新規標的を同定および提供することである。
INS-1(Asfari M, Janjic D, Meda P, Li G, Halban PA, Wollheim CB. Establishment of 2-mercaptoethanol-dependent differentiated insulin-secreting cell lines. Endocrinology. 1992 Jan;130(l):167-78)またはRINm5fインスリノーマ細胞(Praz GA, Halban PA, Wollheim CB, Blondel B, Strauss AJ, Renold AE. Regulation of immunoreactive-insulin release from a rat cell line (RINm5F). Biochem J. 1983 Feb 15;210(2):345-52)により分泌されるタンパク質を同定するために、本発明者らは、以下の2つの方法を利用した:(i)その後のMALDI-TOF質量分析法を用いるそれらのペプチドマスフィンガープリントに基づくタンパク質の同定を伴う、細胞内区画の中への示差沈降(differential sedimentation)による細胞の分画、および(ii)ヘパリンクロマトグラフィによる糖タンパク質の濃縮、続いて一次元SDS-PAGE、およびタンパク質配列標識に基づく同定をもたらすタンデム質量分析法と連結している液体クロマトグラフィによるタンパク質消化物に由来するトリプシンペプチドの分析によるタンパク質の同定。これら2つの精製戦略の組合せは、細胞区画中および培養細胞の培地中でのタンパク質同定の効率の増大を可能にする。
発明者らは、高脂血症および高血糖症がβ細胞の代償不全の一因となり得ることを示唆する、β細胞の高グルコース/脂肪酸(FA)の組合せへの慢性の曝露によりβ細胞不全の特性を再現した。10 mMのグルコースおよび0.5 mMのパルミテートの組合せで24時間前処理されたINS-1E細胞およびRINm5f細胞をこれらの実験に対して用いた。
2DE-電気泳動による細胞区画中の単一タンパク質のマッピングおよびMALDI-MSによる同定
他に記載されているように(Peyrl A, Krapfenbauer K, Slavc I, et al., PROTEOMICS 3 (9): 1781-1800 SEP 2003; Fountoulakis M., Langen H., Anal. Biochem. 250 (1997) 153-156.)、各細胞株から調製される試料を2-DEに供した。基本的には報告されているように(Langen, H., Roeder, D., Juranville, J.-F., Fountoulakis, M., Electrophoresis 1997, 18, 2085-2090)、2-DEを実施した。膜ろ過管(Millipore, Art. No. UFV4BGC25)を用いて試料を脱塩し、2.0mgを固定化されたpH3〜10非直線勾配ストリップ(Amersham, Pharmacia Biotechnology, Uppsala, Sweden)上のストリップの塩基性および酸性両端にアプライした。200Vでタンパク質をフォーカシングし、その後電位を5000 Vまで2 V/分で徐々に上げた。5000 Vで24時間フォーカシングを続けた。12%のポリアクリルアミドゲル上で二次元目の分離を行った(Biosolve, Walkinswaard, Netherland)。12枚のゲルに対応するEttan DALT IIシステム(Amersham, Pharmacia Biotechnology, Uppsala, Sweden)において、50 mA/ゲルでゲル(180×200×1.5 mm)を泳動した。5%のリン酸を含む50%メタノール中で12時間タンパク質を固定化した後、コロイド性クーマシーブルー(Novex, San Diego, CA)を用いて24時間ゲルを染色した。10から200 kDaの範囲にわたる泳動用標準タンパク質マーカー(Gibco, Basel, Switzerland)により分子量を決定した。IPGストリップの供給業者(Amersham Pharmacia, Uppsala, Sweden)より与えられたようにPI値を用いた。ゲルをH2O を用いて脱染し、AGFA DUOSCAN濃度計でスキャンした。ゲルの電子的イメージをPhotoshop(Adobe)およびPowerPoint(Microsoft)を用いて記録した。
MS分析を、軽微な変更を加えて記載されているように(Langen, H., Roeder, D., Juranville, J.-F., Fountoulakis, M., Electrophoresis 1997, 18, 2085-2090)行った。
機器のベースラインを決定するために、低域メジアンパラメトリックスプラインフィルター(low-pass median parametric spline filter)を用いて質量分析のデータを2回フィルターする。ベースラインから平滑化された残差平均標準偏差をデータ中の機器ノイズレベルの推定として用いる。レベルを超えるノイズの座標におけるデータのベースライン補正およびリスケーリング(rescaling)の後に、ベースラインから最も大きな偏差値を有するデータポイントを、予想されるペプチドピークを検出するための非線形(Levenberg-Marquardt)データフィッティング法をシードするために用いる。特に、適した手法はピーク高さ、分解能、およびモノアイソトピック質量によりパラメータ化された最も適合する平均の理論的ペプチド同位体分布を生じるように試みる。有意な適合度への収束を、シグマ値を追跡することによる通常の方法で決定する。良好な収束後、決定されたパラメータの誤差に対する推定値を、1/3のデータポイントの無作為交換を伴う16回の反復を用いるブーストラップ法を用いて示す。結果として生じる適合度をデータから引き、適合度の付近でのノイズレベルを外挿されるノイズレベルおよびピーク適合度からの偏差値の合計に応じて調整し、ノイズのレベルの5倍を超える候補ピークを見出し得る限り次のピークを見つけるために工程を繰り返す。50データピークより多くを見出した場合、工程を中止する。ゼロ次および一次の飛行時間の質量変換を、検出された内部標準ピークからの線形外挿を用いて補正し、モノアイソトピック質量値に対する信頼区間をピークおよび標準の質量精度から推定する。
質量スペクトルに対するピーク質量リストを、全タンパク質配列データベースの理論的な消化物と直接比較する。各理論的な消化物について、
を計算し、式中Nは理論上の消化物でのペプチドの数であり、P(pi)は配列データベースにおける全ペプチドの総数により割られるピークのモノアイソトピック質量に対する信頼区間に適合するペプチドの数であり、およびcMatchesは消化物と質量スペクトルとの間の適合物の数である。この値が、消化物とスペクトルとの間の擬陽性適合物を得る確率に比例することを示し得る。確率値はさらに、適合物を生じるスペクトルピークの高い優位性に対して選別される。1回目の同定後、同一条件下でもたらされる質量スペクトルに対する同定の偏差値を、飛行時間の質量変換の二次および三次項を補正するために用いる。結果として生じる質量値は大抵、10ppmより小さい絶対偏差を有する。その後、これらの質量値をマッチングの最終回で用い、そこで0.01/Nタンパク質より小さなPmismを有する(ボンフェローニ補正で1%の有意水準)全ての適合物を認める。
培地からヘパリンカラムによる推定上の分泌タンパク質の濃縮およびLC-MSによる同定
単一の機能を有する多くのタンパク質がグリコシル化されているという観察に基づき、ヘパリンセファロースカラムの性質は、それを例えば単一の機能を有するタンパク質、増殖因子、凝固タンパク質およびステロイド受容体のような多くのグリコシル化されたタンパク質の分離のための非常に用途が広い道具としている。ヘパリンセファロースカラムにおけるリガンドは、ブタの腸粘膜の未処置のプロテオグリカンから抽出される自然に生ずる硫酸化グリコサミングリカン(glycosaminglycan)である。ヘパリンは、ウロン酸およびD-グルコサミンの交互の単位からなり、その多くは1つまたは2つの硫酸基で置換される。固定化されたヘパリンはタンパク質との相互作用の2つの主な様式を有する。それは、例えば凝固因子とのその相互作用における、アフィニティリガンドとして機能し得る。ヘパリンはまた、その陰イオン性硫酸基のため、高容量の陽イオン交換体としての機能も有する。発明者らの場合、カラムをシリンジを用いることにより操作した。
細胞および他の不溶性の物質を取り除くために、25 mlの培地を4℃で10分間、10.000 gで遠心分離した。試料溶液を結合緩衝剤の組成に調整した。25 mlの20 mMリン酸ナトリウム緩衝溶液(pH=7)を添加し試料を希釈することによりこれを行った。カラム上にアプライする直前に、試料を遠心分離した。ヘパリンカラム(HiTrap Heparin HP, 1 ml, Cat.Nr. 17-0406-01, Amersham)に対するオフローディング量(offloading volume)は1 mlカラムに対して5 mlであった。
1. 25 mlシリンジを結合緩衝剤で満たした。これに加えて、栓を取り除き、そしてカラム内に空気が持ち込まれるのを避けるためにカラムを提供されるアダプタ「drop to drop」を用いてシリンジと連結した。
2. ねじ切り(twist-off)末端を取り除き、カラムを平衡化するために、ヘパリンセファロースを10カラム倍量の結合緩衝剤で洗浄した。
3. その後、試料を上記記載のように調製し、ルアーアダプタに適合するシリンジを用いてカラムの上へポンピングすることによりアプライした。
4. その後、5倍量の結合緩衝剤で、または溶出液中に物質が現れなくなるまで、カラムを洗浄した。
5. 試料を溶出するために、カラムを5カラム倍量の溶出緩衝剤で段階勾配を用いて洗浄した。
6. 最後に、精製された画分をPOROS R2カラムを用いて脱塩した。
試料ローディングおよび泳動条件
15 μgの試料を20 μlの試料緩衝剤中で溶解し(10 μlの総量に対して、試料、2.5 μl NuPAGE LDS 試料緩衝剤(4×)、1.0 μl NuPAGE還元剤(10×)、および6.5μlまでの脱イオン水)、ゲルの上にアプライする前に、70℃で10分間加熱した。上部緩衝剤槽を200 mlの1×NuPAGE SDS泳動緩衝剤で満たした(MES SDS泳動緩衝剤を、950 mlの脱イオン水に対し50 mlの2O× NuPAGE MES SDS泳動緩衝剤を添加することにより調製した)。還元剤として、200 μl/200 mlの抗酸化溶液を上部緩衝剤槽中に添加した。最後に、下部緩衝剤槽を600 mlの1× NuPAGE SDS泳動緩衝剤で満たし、ゲル電気泳動を10%BT直線勾配、ポリアクリルアミドゲル(NuPAGE、Invitrogen)上で、室温、200V一定で35分間行った。
5%(v/v)のリン酸を含む50%(v/v)メタノールで12時間タンパク質を固定化した後、ゲルをコロイド性クマシーブルー(Novex, San Diego, CA, USA)でさらに24時間染色した。ゲルをH2Oで脱染し、標準的な平台スキャナでスキャンした。イメージをPhotoshop(Adope)およびPowerPoint(Microsoft)ソフトウエアを用いて加工した。タンパク質バンドをImage Master 2D Eliteソフトウエア(Amersham Pharmacia Biotechnology)を用いて定量化した。
分泌タンパク質の同定のために、発明者らのプロテオミクス研究もまた、エレクトロスプレーイオン化タンデム質量分析と多次元液体クロマトグラフィを組み合わせる、多次元タンパク質同定技術(MudPIT)と名付けられたLC/MSシステムを用いて行った。ヘパリンカラムにより濃縮された、消化されたタンパク質を分離するために、発明者らの多次元液体クロマトグラフィ法は、強陽イオン交換(SCX)樹脂および逆相樹脂を二相性カラム中に統合している。各MudPIT分析は二重に行われ、分離は2つの分析間で0.5%以内で再現可能であった。さらに、複合ペプチド混合物中で最も豊富な、および最も少ないタンパク質/ペプチド間で10000対1のダイナミックレンジが立証されている。分離に加えて試料調製を改良することで、本方法は、分泌タンパク質が濃縮された画分のタンパク質を同定することによるプロテオームの全般的な分析を向上させた。MudPITシステムは、試料濃縮のための4 cm × 50-μm内径 × 5 μmのC18ミクロSPEプレカラム、および極度に少量の試料の高性能勾配逆相ナノスケールLC分離のための85 cm × 15-μm内径 × 3 μmのC18充填キャピラリーカラムを含んだ。ミクロSPE段階は、5%未満の試料損失(シリンジおよびバルブアダプタのために)で10 μLの溶液をロードするために2分未満を要するナノLCカラムの上に、約8 μL min-1で溶液をロードすることを可能にした。分離を10,000 psiの定圧で実施した。15-μm内径のキャピラリーに充填された長さ3-μm粒子は、約103の分離ピーク容量を提供する。カラムを、溶出ペプチドの高性能イオン化のための約2-μm内径の開口部を有する10-μm内径×150-μm外径の融合シリカキャピラリーからできている取り替え可能なナノESIエミッタに適合するゼロデッドボリュームステンレス鋼接合管により連結する。ESIソースを、ペプチド/タンパク質検出および同定のための、FTICR MSまたはイオントラップMS/MSのいずれかに接続する。FTICR質量分析器を、高精度質量測定および相対保持時間(RRT)情報の使用に基づく一段階MSに対して用い、ならびにFinniganイオントラップ質量分析器(LCQ XP, ThermoQuest Corp., San Jose, CA)をMS/MSに対して用いた。
β細胞不全マーカーである膵臓ホルモンに対する抗体の産生
β細胞不全マーカーである膵臓ホルモンに対するポリクローナル抗体は、免疫検出アッセイ、例えばウェスタンブロッティングおよびELISAによる、膵臓ホルモンの、血清、および血漿、および血液レベルの測定における抗体のさらなる使用のために産生される。
膵臓ホルモンに対する抗体を産生するため、タンパク質の組換え発現を免疫源を得るために行う。発現をRTS100発現システムおよび大腸菌の組合せを利用して行う。第一段階として、DNA配列を分析し、高収率cDNA沈黙突然変異変異体およびそれぞれのPCRプライマー配列に対する推奨を「ProteoExpert RTS E.coli HY」システムを用いて得る。これは市販のウェブベースのサービスである(www.proteoexpert.com)。推奨されたプライマー対を用いて、cDNAから直線的なPCR鋳型を産生し、かつ膵臓ホルモンタンパク質をコードするヌクレオチド配列のインビトロの転写および発現のために「RTS 100 E. coli Linear Template Generation Set, His-tag」(Roche Diagnostics GmbH, Mannheim, Germany, Cat.No. 3186237)システムを使用する。ウェスタンブロット検出および後の精製のために、発現タンパク質はHis-tagを含む。最も良く発現する変異体を同定する。PCRから発現および検出への全ての段階を製造者の取扱説明書に従って実行する。全ての必要なT7制御領域(プロモーター、リボソーム結合部位、およびT7ターミネーター)を含む各PCR産物を、pBAD TOPO(登録商標)ベクター(Invitrogen, Karlsruhe, Germany, Cat. No. K 4300/01)内に製造者の取扱説明書に従ってクローンニングする。T7制御配列を用いる発現のために、構築物を大腸菌BL 21(DE 3)(Studier, F.W., et al., Methods Enzymol. 185 (1990) 60-89)に形質転換し、形質転換された細菌をタンパク質発現のために1lバッチで培養する。
a)マウスの免疫化
最初に12週齢のA/Jマウスを100μgの膵臓ホルモンで腹腔内に免疫化する。6週間後、さらに2回の腹腔内の免疫化が1ヶ月間隔で続く。この工程において、各マウスに、水酸化アルミニウムに吸収させた100μgの膵臓ホルモン、および109微生物の百日咳菌(Bordetella pertussis)を投与する。続いて、100μgの膵臓ホルモンを含むPBS緩衝剤を用いて、融合のそれぞれ2日前および3日前において、最後2回の免疫化を静脈内に行う。
a)に従って免疫化されたマウスの脾臓細胞を、Galfre, G., and Milstein, C., Methods in Enzymology 73 (1981) 3-46に従って骨髄腫細胞と融合する。この工程において、免疫化されたマウスの約1*108脾臓細胞を2×107の骨髄腫細胞(P3X63-Ag8-653, ATCC CRL1580)と混合し、遠心分離する(300 gおよび4℃で10分)。その後、細胞をウシ胎児血清(FCS)を含まないRPMI 1640培地で一度洗浄し、50 mlのコニカルチューブで400 gで再び遠心分離する。上清を廃棄し、細胞沈降物を軽くたたいて徐々に緩め、1 mlのPEG(分子量4000、Merck, Darmstadt)を添加し、そしてピペッティングにより混合する。37℃のウォーターバス中で1分後、FCSを含まない5 mlのRPMI 1640を室温で4〜5分の時間内に液滴添加する。その後、10%のFCSを含む5 mlのRPMI 1640を約1分以内に液滴添加し、完全に混合し、培地(RPMI 1640+10% FCS)で50 mlまで満たし、続いて400 gおよび4℃で10分間遠心分離する。沈降細胞を10%のFCSを含むRPMI 1640培地中で取り上げ、ヒポキサンチン-アザセリン選択培地(100 mmol/lヒポキサンチン、1μg/mlアザセリンを含むRPMI 1640+10%のFCS)に播種する。インターロイキン6を100 U/mlで増殖因子として培地に添加する。約10日後、初代培養物を特異的抗体に対して試験する。膵臓ホルモン陽性の初代培養物を96ウェル細胞培養プレート中に蛍光標示式細胞分取器の手段によりクローニングする。この工程において、再びインターロイキン6を100 U/mlで増殖因子として培地に添加する。
得られたハイブリドーマ細胞をml当たり1×105細胞の密度で10%のFCSを含むRPMI 1640培地に播種し、発酵槽(Thermodux Co., Wertheim/Main, Model MCS-104XL, Order No.144-050)中で7日間増殖させる。平均して、培養上清中にml当たり100μgのモノクローナル抗体の濃度が得られる。培養上清からのこの抗体の精製をタンパク質化学における通常の方法(例えば、Bruck, C., et al., Methods in Enzymology 121 (1986) 587-695に従う)により行う。
a)免疫化
免疫化のために、1:1の比でタンパク質溶液(100 μg/mlタンパク質膵臓ホルモン)および完全フロイントアジュバントの新鮮なエマルジョンを調製する。それぞれのウサギを1 mlのエマルジョンで1、7、14、および30、60、および90日目に免疫化する。血液を採り、結果として生じる抗膵臓ホルモン血清を実施例3および4に記載されているようなさらなる実験に対して用いた。
1倍量のウサギ血清を4倍量のアセテート緩衝剤(60 mM、pH 4.0)で希釈する。pHを2 MのTris塩基で4.5に調整する。カプリル酸(25 μl/mlの希釈試料)を活発な攪拌下で液滴添加する。30分後、試料を遠心分離し(13,000×g、30分、4℃)、ペレットを廃棄し、上清を回収する。上清のpHを2 MのTris塩基の添加により7.5に調整し、ろ過する(0.2 μm)。
ポリクローナルウサギIgGを10 mMのNaH2PO4/NaOH、pH 7.5、30 mMのNaCl中で10 mg/mlにする。IgG溶液ml当たり50 μlのビオチン-N-ヒドロキシスクシンイミド(DMSO中に3.6 mg/ml)を添加する。室温で30分後、試料をSuperdex200上で色層分析する(10 mM NaH2PO4/NaOH、pH 7.5、30 mM NaCl)。ビオチン化されたIgGを含む画分を回収する。同じ手法に従って、モノクローナル抗体をビオチン化している。
ポリクローナルウサギIgGを10 mM NaH2PO4/NaOH、30 mM NaCl、pH 7.5中で10 mg/mlにする。IgG溶液ml当たり50 μlのジゴキシゲニン-3-O-メチルカルボニル-ε-アミノカプロン酸-N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(Roche Diagnostics, Mannheim, Germany, Cat. No. 1 333 054)(DMSO中に3.8 mg/ml)を添加する。室温で30分後、試料をSuperdex(登録商標)200上で色層分析する(10 mMのNaH2PO4/NaOH、pH 7.5、30 mMのNaCl)。ジゴキシゲニン化IgGを含む画分を回収する。同じ手法に従ってモノクローナル抗体をジゴキシゲニンで標識化する。
ウエスタンブロット
ヘパリンカラム(上記)により培地から濃縮および単離されたタンパク質試料を、10 mM Tris-HCl(pH 7.5)、150 mM NaCl、0.05 % Tween 20、1 % SDSからなる試料緩衝剤で溶解し、そして4℃で10分間、12,000 gで遠心分離した。上清のタンパク質濃度を、公知のウシ血清アルブミン標準の範囲から作成される検量線を用いるブラッドフォード法により測定した。試料を試料緩衝剤(60 mM Tris-HCl、2% SDS、0.1% ブロモフェノールブルー(bromphenol blue)、25% グリセロール、および14.4 mM 2-メルカプトエタノール、pH 6.8)と混合、および70℃で5分間インキュベーションした後、試料を12.5% homogenous ExcelGel SDSゲル(Amersham Bioscience)により分離し、そしてニトロセルロース膜の上に電気的に転写した。膜を、ブロッキング溶液(10 mM Tris-HCl、pH 7.5、150 mM NaCl、0.05% Tween 20、および5% 脱脂粉乳)中でインキュベーションの後、抗ラットウサギ抗体で、それぞれ室温で2時間インキュベートした。洗浄溶液(0.3% Tween 20を含むTris緩衝生理食塩水)で10分間3回洗浄した後、膜をホースラディッシュペルオキシダーゼ結合抗ウサギIgG(H+L)、抗マウスIgG1および抗マウスIgG2a(Southern Biotechnology Associates, Inc., Birmingham, AL)と共にそれぞれ1時間室温でインキュベートした。膜を10分間3回洗浄し、抗原-抗体複合体を、増強された化学発光の試薬(Western Lightning(商標), PerkinElmer Life Sciences, Inc., Boston, MA)により製造者のプロトコルに従ってX線フィルム上で可視化した。
ヒト血清およびヒト血漿試料中の膵臓ホルモンの測定のためのELISA
ヒト血清またはヒト血漿中の膵臓ホルモンの検出のために、サンドイッチELISA法が開発された。抗原の捕捉および検出のために、抗膵臓ホルモンポリクローナル抗体(実施例2を参照のこと)の一定分量がそれぞれビオチンおよびジゴキシゲニンと結合する。
EIAによるヒト血漿中の膵臓ポリペプチドの確認
膵臓ポリペプチドの確認のために用いられる酵素免疫測定法キットを、特定のペプチド、および「競合的」酵素免疫測定法の原理に基づくその関連ペプチドを検出するよう設計した。キットをPhoenix Pharmaceuticals, Inc.,(Art. Nr. EK-054-02)より購入し、製造者プロトコルに従って実行した。
・アッセイ緩衝剤濃縮物を950mlの蒸留水で希釈した。標準ペプチドを調製した。
・1次抗血清を5mlのアッセイ緩衝剤で再水和し、ボルテックスした。
・ビオチン化ペプチドを5mlのアッセイ緩衝剤で再水和し、ボルテックスした。
・ウェルA-1をブランクとして空のままにした。
・50μlのアッセイ緩衝剤を全結合量を決定するためにウェルの中に添加した。
・50μlの調製ペプチド標準溶液をウェルの中に添加した。
・50μlの試料をそれらが指定されたウェルの中に添加した。
・25μlの再水和1次抗血清をブランクウェルを除く各ウェルの中に添加した。
・25μlの再水和ビオチン化ペプチドをブランクウェルを除く各ウェルの中に添加した。
・イムノプレートをアセテートプレートシーラー(APS)で密閉した。
・イムノプレートを室温で2時間インキュベートした。
・このキット中に供給されるSA-HRPバイアルを遠心分離し(500〜1,000r.p.m.、15秒、4℃)、12μlのSA-HRPを12mlのアッセイ緩衝剤の中にSA-HRP溶液を作るためにピペットで移し、ボルテックスした。
・APSをイムノプレートから取り除いた。
・ウェルの内容物を廃棄した。
・各ウェル(ブランクを除く)を300μlのアッセイ緩衝剤で5回洗浄した。
・100μlのSA-HRP溶液をブランクウェルを除く各ウェルの中に添加した。
・イムノプレートをAPSで再密閉し、室温で1時間インキュベートした。
・上記のようにイムノプレートをアッセイ緩衝剤で6回洗浄およびブロットドライ(blot dry)した。
・このキット中に供給される100μlの基質溶液をブランクウェルを含む各ウェルの中に添加した。
・イムノプレートをAPSで再密閉し、室温で1時間インキュベートした。
・100μlの2N HClを反応を止めるために各ウェル(ブランクを含む)の中に添加した。次の段階を20分以内に開始した。
・イムノプレート底面を70%エタノールで清浄した。
・APSを取り除き、イムノプレートをマイクロタイタープレートリーダーの上にロードした。
・O.D.450nmで吸光度を測定した。
RIAによるヒト血漿中の膵臓ポリペプチドの確認
用いられるキットを特定のペプチド、および「競合的」酵素免疫測定法の原理に基づくその関連ペプチドを検出するよう設計した。キットをPhoenix Pharmaceuticals, Inc.,(Art. Nr. RK-054-01)より購入し、製造者プロトコルに従って実行した。
患者データの統計分析
新規マーカー膵臓ホルモンの臨床上の有用性を、外因性インスリンの注射に依存する10人の糖尿病患者でそのレベルを測定し、かつ正常なβ細胞機能を有すると立証された10人の患者で測定されたレベルと比較することにより評価した。統計分析を有意と考えられる0.05より小さい値で標準的なスチューデントのt検定評価により行った。
対照:30.9 pg/ml +/- 3.4 pg/ml
IGT(耐糖能異常):31.7 pg/ml +/- 5.5 pg/ml、p=0.75
IGT+IFG(空腹時血糖異常):44.6 pg/ml +/- 15.1 pg/ml、p=0.012
II型糖尿病:69.8 pg/ml +/- 26.4 pg/ml、p=0.00022
I型糖尿病:44.6 pg/ml +/- 10.3 pg/ml、p=0.00086
Claims (19)
- 配列番号:1または2の膵臓ホルモンと相互作用する化合物をスクリーニングする方法であって、以下の段階を含む方法:
a) 1つの化合物または複数の化合物と膵臓ホルモンとの相互作用を可能にする条件下で、タンパク質膵臓ホルモンを該1つの化合物または複数の化合物と接触させる段階;および
b)該1つの化合物または複数の化合物と該ポリペプチドとの間の相互作用を検出する段階。 - β細胞不全を予防する、および/または抑制する、および/または和らげる可能性がある化合物をスクリーニングする方法であって、以下の段階:
a)化合物を配列番号:1または2のタンパク質膵臓ホルモンと接触させる段階;
b)該タンパク質膵臓ホルモンの活性を測定する段階
を含む方法であり、
ここで該タンパク質膵臓ホルモンの活性を刺激するまたは阻害する化合物はβ細胞不全を予防するおよび/または抑制する可能性がある化合物である方法。 - 段階(a)の前、または段階(a)と(b)との間にタンパク質膵臓ホルモンを固定化する段階を追加的に含む、請求項2記載の方法。
- 化合物の存在下または非存在下で宿主から分泌される配列番号:1または2の可溶性膵臓ホルモンを検出する段階を含む、β細胞不全を予防するおよび/または抑制するおよび/または遅らせる化合物をスクリーニングする方法であって、β細胞不全を予防するおよび/または抑制するおよび/または遅らせる化合物が宿主から分泌される該膵臓ホルモンのレベルを変化させる化合物である方法。
- β細胞不全を予防するおよび/または抑制する化合物をスクリーニングするための標的および/またはマーカーとしての配列番号:1または2のタンパク質膵臓ホルモンの使用。
- 糖尿病の進行をモニタリングするための方法であって、以下の段階を含む方法:
a)個体から得られる液体試料を提供する段階;
b)結合剤および膵臓ホルモン間の複合体の形成に適切な条件下で、該試料を配列番号:1の膵臓ホルモンに対して特異的な結合剤と接触させる段階;ならびに
c)(b)で形成された複合体の量を、β細胞不全で形成される複合体の量と関連付ける段階。 - 糖尿病の治療の効果をモニタリングするための方法であって、以下の段階を含む方法:
a)糖尿病に対する治療を受けた患者から得られる液体試料を提供する段階;
b)結合剤および膵臓ホルモン間の複合体の形成に適切な条件下で、該試料を配列番号:1の膵臓ホルモンに対して特異的な結合剤と接触させる段階;ならびに
c)(b)で形成された複合体の量を、治療を欠く場合に形成される複合体の量と関連付ける段階。 - β細胞不全の診断のための方法であって、以下の段階を含む方法:
a)個体から得られる液体試料を提供する段階;
b)結合剤および膵臓ホルモン間の複合体の形成に適切な条件下で、該試料を配列番号:1の膵臓ホルモンに対して特異的な結合剤と接触させる段階;ならびに
c)(b)で形成された複合体の量を、β細胞不全の診断と関連付ける段階。 - 試料が血清であることでさらに特徴付けられる、請求項6〜8いずれか一項記載の方法。
- 試料が血漿であることでさらに特徴付けられる、請求項6〜8いずれか一項記載の方法。
- 試料が全血であることでさらに特徴付けられる、請求項6〜8いずれか一項記載の方法。
- 個体から得られる液体試料からのβ細胞不全の診断におけるマーカー分子としての配列番号:1のタンパク質膵臓ホルモンの使用。
- 個体から得られる液体試料からのII型糖尿病の早期診断におけるマーカー分子としての配列番号:1のタンパク質膵臓ホルモンの使用。
- 早期診断がグルコース不耐性を患っている患者由来の試料で行われる、請求項13記載の使用。
- 糖尿病の進行をモニタリングするための、配列番号:1のタンパク質膵臓ホルモンの使用。
- 糖尿病の治療の効果をモニタリングするための、配列番号:1のタンパク質膵臓ホルモンの使用。
- 個体から得られる液体試料からのβ細胞不全の診断において、β細胞不全に対する少なくとも1つの他のマーカー分子と組み合わせる、β細胞不全に対するマーカー分子としての配列番号:1のタンパク質膵臓ホルモンの使用。
- 配列番号:1の膵臓ホルモンに対する少なくとも1つの特異的結合剤、および膵臓ホルモンの測定に対する補助試薬を含む、免疫学的キット。
- 実質的に上記、特に実施例に関して記載されるような、方法、使用、およびキット。
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