JP2004528802A - Dnaおよびタンパク質を結合する小型タンパク質 - Google Patents

Dnaおよびタンパク質を結合する小型タンパク質 Download PDF

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Abstract

本発明は、ポリペプチドが三次構造にある場合にポリペプチドのα−ヘリックスドメイン上に露出される2個またはそれ以上のアミノ酸残基の置換により改変できるタンパク質骨格、例えば鳥類膵臓ポリペプチドを提供する。

Description

【0001】
[関連出願との関係]
本特許出願は、2000年4月24日付け出願の米国仮出願60/199,408号および2000年10月13日付け出願の米国仮出願60/240,566号、および2001年1月13日および2001年2月23日付け出願の名称「高い親和性および特異性をもってDNAまたはタンパク質を結合する小型ポリペプチド分子」を有する米国仮出願の利益を主張する。これらの出願は、その全体を引用することによって本明細書中に編入される。
【0002】
本発明は、米国国立衛生研究所補助金5−R01−GM59483号により一部分に政府支援を受けた。
【0003】
[発明の分野]
本発明は、ポリペプチドが三次形態にある場合にポリペプチドのα−ヘリックスドメイン上に露出される少なくとも1個のアミノ酸残基の置換により改変されるポリペプチド骨格(scaffold)、例えば鳥類膵臓ポリペプチドに関する。本発明はかかる骨格のためのファージディスプレイライブラリーにも関する。
【0004】
[発明の背景]
多数のタンパク質は核酸、他のタンパク質または巨大分子集合を部分的に露出されたα−ヘリックスを用いて認識する。本来のタンパク質折り畳みの範囲内で、かかるα−ヘリックスは通常、α−ヘリックス由来および相互由来の両方からの一次配列内で遠位であってもよい残基と広範な三次相互作用により安定化される。顕著な例外(Armstrong et al., (1993) J. Mol. Biol. 230, 284−291) はあるが、これらの三次相互作用の排除はα−ヘリックスを不安定化しそして折り畳まれもせずまた巨大分子認識の機能もない分子となる(Zondlo & Schepartz, (1999) J. Am. Chem. Soc. 6938−6939)。小さい分子の範囲内でα−ヘリックスの認識性を回復または多分改善する能力は、タンパク質機能の合成模擬剤または阻害剤の設計(Cunningham et al., (1997) Curr. Opin. Struct. Biol. 7, 457−462)またはプロテオミクス研究のための新しい道具として用途を見いだすに違いない。
【0005】
さもなければ非構造性のペプチド配列上にα−ヘリックス構造を与えるために、2種類の基本的に異なる方法が採用されている。一つの方法は、ヘリックス開始(Kemp et al., (1991) J. Org. Chem. 56, 6683−6697) またはヘリックス伝播(Andrews & Tabor, (1999) Tetrahedron 55, 11711−11743; Blackwell & Grubbs, (1998) Angew. Chem. Int. Ed. Eng. 37, 3281−3284; Schafmeister et al., (2000) J. Am. Chem. Soc. 122, 5891−5892)に有利な改変アミノ酸または代用物を使用する。多分最大の成功は、ペプチドのiとi+7位置を長距離ジスルフィド結合を用いて結合して、ヘリックス構造が高温で維持される分子を生成することで実現した(Jackson et al.,(1991) J. Am. Chem. Soc. 113, 9391−9392)。第二の方法(Cunningham et al., (1997) Curr. Opin. Struct. Biol. 7, 457−462; Nygren, (1997) Curr. Opin. Struct. Biol. 7, 463−469) は、与えられた認識配列を取り巻く広範な三次構造をはぎ取り、機能を有する可能な限り最小の分子を生成することである。この戦略は、タンパク質AのZドメイン(59アミノ酸)および心房性ナトリウム利尿ペプチド(28アミノ酸)の最小バージョンを生成した。それぞれ33個および15個のアミノ酸の2種の最小化タンパク質は、高い生物学的活性を示した(Braisted & Wells, (1996) Proc. Natl. Acad. Sci., USA 93, 5688−5692; Li et al., (1995) Science 270, 1657−1660)。この成功にもかかわらず、α−ヘリックスエピトープが一次配列全体に分散する残基により安定化される多数の場合にこの短小化戦略の簡単で一般的な適用を予想することは困難である。
【0006】
この限界を考慮して、タンパク質グラフト化と呼ばれるタンパク質短小化のためのさらに順応性がある方法が使用されている。その概要は、タンパク質グラフト化は、分子認識のために必要な残基をそれらの本来のαヘリックスのコンテクストから取り去りそして小さいがしかし安定なタンパク質よりもたらされる骨格上にこれらをグラフトすることを含む。多数の研究者がタンパク質骨格を操作して比較的小さいペプチドキャリヤー上に結合残基を存在させるようにした。これらの骨格は、選択された標的への結合のために重要な残基がその上にグラフトできる小さいペプチドである。これらの残基の空間配列が本来のタンパク質内に見いだされるものを模擬するように、グラフトした残基を特定の位置に配列する。これらの骨格系は一般にミニタンパク質(mimiprotein) と呼ばれる。その共通の特徴は、ミニタンパク質が構築される前に結合残基が既知であることである。
【0007】
これらのミニタンパク質の例は、37個アミノ酸タンパク質のカリブドトキシン(charybdotoxin)(Vita et al., (1995) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92, 6404−6408; Vita et al., (1998) Biopolymers 47, 93−100) および36アミノ酸タンパク質である鳥類膵臓ペプチド(Zandlo & Schepartz, (1999) Am. Chem. Soc. 121, 6938−6939)を含む。鳥類膵臓ペプチド(aPP)は、残基14〜32が、残基1〜8により形成されるN−末端タイプIIポリプロリン(PPII)ヘリックスとの疎水性接触により安定化されたα−ヘリックスを形成するポリペプチドである。この小さいサイズと安定性により、aPPはα−ヘリックス認識エピトープのタンパク質グラフト化のための優れた骨格である(Zandlo & Schepartz, (1999) J. Am. Chem. Soc. 121, 6938−6939) 。
【0008】
[発明の要約]
本発明は、少なくとも1個のアミノ酸残基の置換により改変された鳥類膵臓ペプチドを包含し、この残基は、ポリペプチドが三次形態にある場合にポリペプチドのα−ヘリックスドメイン上に露出している。一部の態様では、改変されたポリペプチドは少なくとも6個の置換された残基を含み、また他の態様ではこれは8個の置換残基を含み、また他の態様ではこれは10個の置換残基を含み、またらに別の態様ではこれは少なくとも12個の置換残基を含む。
【0009】
置換残基は、これを介して他の分子との相互作用がおきる既知のタンパク質上のいかなる部位からも選択される。既知のタンパク質は、これらに限定はされないが、GCN4、CEBP、Max、Myc、MyoD、ダブルマイニュート2(double minute two) 、Bcl−2、プロテインキナーゼA、JunおよびFosを含む。好ましい態様では、既知タンパク質上の部位は結合部位である。一部の態様では、改変された鳥類膵臓ポリペプチドは、既知タンパク質と他の分子との間の相互作用を阻害することが可能であり、一方他の態様では、これは相互作用を促進することが可能である。一部の態様では、結合部位はDNA結合部位であり、一方他の場合にはこれはタンパク質結合部位である。好ましいDNA結合部位は、CREハーフサイト(half site) 、CEBP部位、MyoDハーフサイトおよびQ50エングレイルド変異部位(engrailed variant site)を含むがこれらに限定はされない。
【0010】
本発明は、本発明の上記の改変された鳥類膵臓ポリペプチドのいずれかを発現する複数の組換えファージを含んでなるファージディスプレイライブラリーも包含する。関連する態様では、本発明は、少なくとも1個のアミノ酸残基の置換により改変されたタンパク質骨格を発現する複数の組換えファージを含んでなるファージディスプレイライブラリーを包含し、この残基は、ポリペプチドが三次形態にある場合にポリペプチド上に露出される。一部の態様では、ファージディスプレイライブラリーのタンパク質骨格は、鳥類膵臓ポリペプチドを含んでなる。本発明は、本発明のファージライブラリーより選択された単離されたファージを包含する。
【0011】
本発明はさらに配列番号8、9、10、11、12、13、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、31、33、34、35、36、37、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、70、71または72のアミノ酸配列を含んでなる単離されたポリペプチド;配列番号8、9、10、11、12、13、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、31、33、34、35、36、37、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、70、71または72の少なくとも12個のアミノ酸のフラグメントを含んでなる単離されたポリペプチド;配列番号8、9、10、11、12、13、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、31、33、34、35、36、37、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、70、71または72のアミノ酸配列を含んでなり、1個またはそれ以上の保存性アミノ酸置換を含んでなる単離されたポリペプチド;配列番号8、9、10、11、12、13、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、31、33、34、35、36、37、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、70、71または72のアミノ酸配列を含んでなり、1個またはそれ以上の天然に存在するアミノ酸配列置換を含んでなる単離されたポリペプチド;および配列番号8、9、10、11、12、13、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、31、33、34、35、36、37、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、70、71または72に少なくとも95%のアミノ酸相同を有する単離されたポリペプチド;を含んでなる群より選ばれた単離されたポリペプチドをさらに包含する。関連する態様では、本発明は、本発明の上記のポリペプチドのいずれか1種をコードする核酸も包含する。
【0012】
本発明は、既知タンパク質と他の分子との間の会合に寄与する少なくとも1個のアミノ酸残基を同定し、そして上記のポリペプチドが三次形態にある場合に、少なくとも1種のアミノ酸残基がポリペプチドのα−ヘリックスドメイン上に露出するように、上記の少なくとも1個のアミノ酸残基の置換により鳥類膵臓ポリペプチドを改変する段階を含んでなる、既知タンパク質と他の分子との間の相互作用を調節するミニタンパク質を調製する方法を包含する。
【0013】
本発明は、さらに、既知タンパク質と他の分子との間の会合を調節するタンパク質骨格を提示する本発明記載のファージディスプレイライブラリーから少なくとも1種の組換えファージクローンを単離する段階を含んでなる、既知タンパク質と他の分子との間の相互作用を調節するミニタンパク質を同定する方法を包含する。
【0014】
[発明の詳細な記述]
定義
本明細書中に使用される場合に、「結合」という用語は、2個の分子種の間の特定の会合(association) または他の特定の相互作用、例えば、これらに限定はされないが、タンパク質−DNA相互作用およびタンパク質−タンパク質相互作用を呼ぶ。例えば、タンパク質とそれらのDNA標的、受容体とそれらのリガンド、酵素とそれらの基質の間の特定の会合である。かかる会合は、2個の相互作用する分子種のそれぞれの上の特定の部位を介して媒介されると考えられる。結合は、構造的および/またはエネルギー的成分により媒介され、後者は反対荷電を有する分子との相互作用を含んでなる。
【0015】
本明細書中に使用される用語「結合部位」とは、その特定の結合において他の分子と直接関与する巨大分子の反応性領域またはドメインを呼ぶ。例えば、タンパク質または核酸上の結合部位に関係する場合には、結合は、他の分子と相互作用しそして集合的に「結合部位」と呼ばれる特定のアミノ酸または核酸配列それぞれの存在の結果として起きる。
【0016】
本明細書中に使用される用語「α−ヘリックスドメイン上に露出」とは、例えば鳥類膵臓ポリペプチド内に置換されたアミノ酸が他の分子との会合または相互作用に利用でき、そして鳥類膵臓ポリペプチド上の他のアミノ酸残基にさもなければ結合または会合しないことを意味する。この用語は、用語「溶剤−露出α−ヘリックス面」と本明細書中で相互に互換可能に使用される。
【0017】
本明細書中に使用される場合に、用語「小型タンパク質(Miniature protein)」または「ミニタンパク質」とは、少なくとも1個のタンパク質骨格およびその三次構造を安定化することを助ける1個またはそれ以上の追加のドメインまたは領域を含む比較的小さいタンパク質を呼ぶ。
【0018】
本明細書中に使用される場合に、用語「調節」は、2種の分子種の間の会合、例えば、競合的または非競合的な様式で相互作用の特性を改変することによりその標的と相互作用する生物学的剤の有効性を改変することを呼ぶ。
【0019】
本明細書中に使用される場合に、用語「タンパク質」は、炭素、水素、酸素、窒素および通常は硫黄を含む複雑な有機化合物のいずれかの群を呼び、その特性的な元素は窒素であり、そしれこれは植物および動物中に広範に分布している。20種の異なるアミノ酸がタンパク質内に通常見いだされそしてそれぞれのタンパク質は、その特定の形状および機能を決定する独自で遺伝的に定義されたアミノ酸配列を有する。用語「タンパク質」は、本明細書中で一般にペプチドおよびポリペプチドの用語と互換的に使用される。
【0020】
本明細書中に使用される場合に、用語「タンパク質骨格」は、比較的小さいタンパク質、例えば小型タンパク質の領域またはドメインを呼び、これは固定されたコンホーメーションで1種またはそれ以上の特定のアミノ酸残基を示すように改変されることができる保存された三次構造モチーフを有する。
小型タンパク質
本発明は、DNAの特定の配列、または他のタンパク質と会合(すなわち、またはこれに結合)する操作された小型タンパク質を提供し、そしてこれらの小型タンパク質を設計および調製するための方法も提供する。これらの小型タンパク質は、例えばDNAまたは他のタンパク質に高い親和性および選択性をもって結合する。概念的に、本発明は発明者がタンパク質グラフト化と呼ぶ技術を含む(例えば図1参照)。一つの局面では、この技術はタンパク質とその特定の結合相手との間の結合形の会合に関与する球状タンパク質からの重要な結合部位残基を特定し、次いでこれらの残基を小さいがしかし安定なタンパク質骨格上にグラフトする。本発明の好ましいタンパク質骨格は、膵臓折り畳み(PP折り畳み)タンパク質ファミリー、特には鳥類膵臓ポリペプチドのメンバーを含んでなる。
【0021】
本発明のPP折り畳みタンパク質骨格は、一般に36個のアミノ酸を含みそして最小の既知球状タンパク質である。それらが小さいにもかかわらす、PP折り畳みタンパク質は安定でありそして生理学的条件下で折り畳まれたままである。本発明の好ましいPP折り畳みタンパク質骨格は、2個の逆平行ヘリックス、アミノ酸残基2および8の間のN−末端タイプIIポリプロリンヘリックス(PPII)および残基14および31および/または32との間のα−ヘリックスから成る。本発明のPP折り畳みタンパク質骨格の安定性は、位置17、20、24、27、28、30および31でのα−ヘリックスの内面上の疎水性残基と位置2、4、5、7および8におけるポリプロリンヘリックスの2個の端部上の残基との間の相互作用に主として由来する。一般に、その三次構造を安定化することに関係する残基は、小型タンパク質の三次構造を維持するために置換されないかまたはファージ提示を用いるために補償される。
【0022】
一部の態様では、例えば選択された球状タンパク質の重要な結合部位残基の2個またはそれ以上が、三次構造を維持するために本質的ではない位置、好ましくは溶剤露出α−ヘリックス面上でタンパク質骨格上にグラフトされる。一つの好ましい態様では、6個またはそれ以上のかかる結合部位残基がタンパク質骨格上にグラフトされる。さらに好ましい態様では、8個またはそれ以上のかかる結合部位残基がタンパク質骨格上にグラフトされる。もっとさらに好ましい態様では、10個またはそれ以上のかかる結合部位残基がタンパク質骨格上にグラフトされる。最も好ましい態様では、12個またはそれ以上のかかる結合部位残基がタンパク質骨格上にグラフトされる。タンパク質骨格上のこれらの結合部位残基をグラフトするために好ましい位置は、これらに限定はされないが、aPPの溶剤露出α−ヘリックス面上の位置を含む。結合部位残基の置換は、好ましさは低いが、小型タンパク質の三次構造を安定化することに関係する残基に対して行ってもよい。
【0023】
熟練者は、グラフトされた残基の実際の置換は、タンパク質骨格上に起きる必要はないことを容易に認めるであろう。どちらかといえば、ペプチドは、例えば、本発明の会合特性を有する小型タンパク質を構成するポリペプチドを含んでなるファージ提示を介して同定される必要がある。かかるペプチドは、合成および組換え技術を含み、これらに限定はされないあらゆる慣用の手段を用いて調製されてもよい。
【0024】
本発明が意図するタンパク質骨格のPP折り畳みファミリーのメンバーは、鳥類膵臓ポリペプチド(aPP)、ニューロペプチドY、低位(lower) 腸ホルモンポリペプチドおよび膵臓ペプチドを含み、これらに限定はされない。最も好ましい態様では、タンパク質骨格は、PP折り畳みタンパク質、鳥類膵臓ポリペプチド(配列番号06)(例えばBlundell et al., (1981) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 78, 4175−4179; Tonan et al., (1990) Biochemistry 29, 4424−4429 参照) を含んでなる。aPPは、18残基α−ヘリックスへのタイプIベータターンを介して連結された短い(8残基)アミノ末端タイプIIポリプロリンヘリックスを特徴とするPP折り畳みポリペプチドである。その小さいサイズおよび安定性のために、aPPは、例えばα−ヘリックス認識エピトープのタンパク質グラフト化のための優れたタンパク質骨格である。
DNA結合小型タンパク質
別の局面では、本発明は特定のDNA配列に結合する小型タンパク質を包含しそしてさらにかかる小型タンパク質を調製および使用するための方法を包含する。一部の態様では、これらのDNA配列は、特定のDNA配列に結合する既知タンパク質のための部位を含んでなる(意図する既知タンパク質は、例えばプロモーターまたはレギュレーターである)。例えば、DNA結合小型タンパク質の設計の際に、その特定のDNA配列へのタンパク質の結合またはその他の会合に関与する既知タンパク質のアミノ酸残基を特定する。
【0025】
本発明の一部の態様では、関連する結合残基は、結晶学的研究に基づくタンパク質またはタンパク質複合体の三次元モデルを用いて特定され、一方別の態様では、これらはタンパク質の欠損または置換変異の研究により特定される。次いで、特定のDNA配列へのタンパク質結合に関与する残基を、DNA結合小型タンパク質を形成するためにタンパク質骨格の三次構造を維持するために必要ではない小型タンパク質の位置上にグラフトする。かかる位置の特定は、当該技術分野の熟練者により経験的に容易に決定できる。本発明の他の態様は、特異性DNA(または別の場合にはタンパク質)配列またはモチーフへの特異性会合または結合が可能なペプチド種を含む改変されたミニタンパク質のライブラリーのスクリーニングを含む。
【0026】
一般に、DNA配列上のいかなる潜在的結合部位も本発明のDNA結合小型タンパク質を用いて標的できると考えられる。好ましい態様は、DNA結合部位へ結合するヘリックス構造を含む。一部の態様では、結合は、塩基領域ロイシンジッパー(bZIP)構造を含み(Konig & Richmond, (1995) J. Mol. Biol. 254, 657−667) 、一方別の態様では、構造は塩基性−ヘリックス−ループ−ヘリックス(bHLH)構造を含む(Shimizu et al., (1997) EMBO J. 16, 4689−4697)。別の態様では、結合はホメオドメインタンパク質内に見いだされるものと同様の構造を含む(Scott & Weimer, (1984) Proc. Natl. Acad. Sci. 81, 4115−4119) 。好ましいbZIP構造は、GCN4およびC/EBP−デルタ内に見いだされるものを含み、これらに限定はされず(Suckow et all., (1993) EMBO J. 12, 1193−1200)、一方、好ましいbHLH構造は、Max(Ferre−D’Amare et al., (1993) Nature 363, 38−45)、MycおよびMyoD(Ma et al., (1994) Cell 77, 451−459)中に見いだされるものを含み、これらに限定はされない。好ましいホメオドメイン構造は、Q50エングレイルド変異タンパク質中に見いだされるものを含み、これらに限定はされない(Kissinger et al., (1990) Cell 63, 579−590) 。
【0027】
一つの態様では、本発明は、cAMP応答エレメント(CRE)ハーフサイトプロモーターDNA配列(ATGAC)(配列番号65)に結合するDNA結合小型タンパク質を包含する。結合のために本質的な残基は、この配列に結合するbZIPタンパク質であるタンパク質GCN4から同定される。これらの残基は、hsCREに結合するGCN4タンパク質の三次元構造を利用しそしてこれらの残基をタンパク質骨格上にグラフトすることにより同定される。GCN4(配列番号7)のCREハーフサイト(hsCRE)への結合に本質的であるaPPの溶剤露出α−ヘリックス面またはドメイン上の残基の種々の組合せをグラフトして、GCN4のDNA接触残基の大部分またはすべておよびaPPの折り畳み残基の大部分またはすべてを含む一連のポリプロリンヘリックス塩基性領域(PPBRSR)分子が生成される(図2)。この手順は、本質的なDNA接触およびaPP折り畳み残基がヘリックス上の単一位置を占める3位置(Tyr27、Leu28およびVal30)を生成した(図2)。
【0028】
hsCREに結合するDNA結合小型タンパク質の例は、配列番号11(PPBR2SR)、12(PPBR4SR)、13(G27)および14(PPBR4ΔSR)に記載してあるアミノ酸配列を含み、これらに限定はされない。
【0029】
別の態様では、タンパク質グラフト化が、DNA結合性がCCAAT/エンハンサータンパク質C/EBP−デルタのものを模擬する小型タンパク質の設計のために使用された。C/EBP−デルタは、C/EBP−アルファ、C/EBP−ベータ、C/EBP−ガンマ、C/EBP−デルタおよびC/EBP−イプシロンを含むbZIP転写因子のC/EBPサブファミリーの一員である。C/EBPタンパク質はbZIPスーパーファミリーの一員ではあるが、これらはDNA認識ヘリックス内でGCN4とは数個の残基が異なる。具体的には、C/EBP−デルタとGCN4とは、塩基または糖と接触する残基6個の内2個およびGCN4 DNA複合体のすべての公開された構造内でリン酸と接触する残基6個の内3個が異なる。これらの変化、ならびに位置15におけるチロシンまたはアラニンの置換は、GCN4により認識されるCRE部位(ATGACGTCAT)(配列番号68)を越えるC/EBP部位(ATTGCGCAAT)(配列番号67)とのC/EBPタンパク質の優先的な相互作用に貢献する。
【0030】
本発明によるPPEBP(ポリプロリン−エンハンサー結合タンパク質)の設計のために、グラフト化プロトコール中の第一段階は、aPPのα−ヘリックス(残基14−36)と関係するタンパク質のα−ヘリックス領域との整列(alignment) である。aPPα−ヘリックスとヒトC/EBP−デルタの残基187−221(DNA結合塩基性セグメント)との整列は、3個の相違する位置を特定し(aPPナンバリングシステムによると27、28および30)、ここで、C/EBP−デルタ内のDNA接触残基とaPP内の折り畳み残基とではヘリックス上の同じ位置を占めていた。本発明のPPEBP1SR(配列番号47)小型タンパク質は、位置27、28および30でC/EBP−デルタに由来するアルギニン残基を含んで結合エネルギーを保存し、それはPPEBP小型タンパク質による高親和性DNA認識が、折り畳みエネルギーの随伴する損失にもかかわらずこれらの位置でのDNA接触残基の保持により増進されるからである。さらに、チロシン、アスパラギンおよびバリン残基は、それぞれ位置15、23および26において置換されてC/EBPハーフサイトATTGC(hsCEBP)の特異性認識を促進する。最後に、C/EBP−デルタ中に見いだされる潜在的にコア破壊性および複合体不安定化性アスパラギン酸の代わりに、そしてaPPのこの位置に存在するヘリックス不安定化バリンの代わりに位置31にアラニン残基が挿入される。
【0031】
C/EBP部位に結合するDNA結合小型タンパク質の例は、配列番号47(PPEBP1SR)、48(PPEBP2SR)および49(EBP1SR)中に示されるアミノ酸配列を含み、これらに限定はされない。
ファージ提示を用いる小型タンパク質の産生
一部の態様では、小型タンパク質はファージ提示法(MaCafferty et al.,(1990) Nature 348, 552−554)を用いて産生および選択される。かかる方法中では、細菌を感染するウイルスの表面上の組換え小型タンパク質(バクテリオファージまたはファージ)の提示は、広範囲の親和性および動的性質を有する可溶性、組換え小型タンパク質の産生を可能とする。ファージの表面上に小型タンパク質を提示するために、小型タンパク質をコードする合成遺伝子をファージ表面タンパク質(pIII)をコードする遺伝子内に挿入しそして組換え融合タンパク質がファージ表面上に発現される(MaCafferty et al.,(1990) Nature 348, 552−554; Hoogenboom et al., (1991) Nucleic Acids Res, 19, 4133−4137)。変動性は、これらの三次ヘリックス構造を維持するだけでなく、予め選定された標的への増加した親和性も示す小型タンパク質を選定するためにファージディスプレイライブラリー内に導入され、それは、重要な(または貢献はするが重要ではない)結合残基が最適にはヘリックス構造上に位置するからあである。
【0032】
ファージの表面上の組換えタンパク質は機能性であるので、特定の標的DNAまたはタンパク質に高い親和性で結合する小型タンパク質を有するファージは、抗原親和性クロマトグラフィーにより非結合性または低親和性ファージから分離できる。ファージの混合物は、親和性マトリックスに結合され、非結合性または低親和性ファージは洗浄により除去され、そして結合ファージは酸またはアルカリを用いる処理により溶離される。標的に対する小型タンパク質の親和性に依存して、20倍から百万倍の濃縮係数が1回の親和性選択で得られる。しかし、溶離されたファージを用いる細菌の感染により、さらに多数のファージが増殖できそして選択の別の操作にかけられる。この方法で、一回の操作での千倍の濃縮が2回の選択で百万倍の濃縮となる。従って、それぞれの回での濃縮が低い場合でも(Marks et al., (1991) J. Mol.Biol. 222, 581−597)、親和性選択の複数回操作は、結合標的に結合またはさもなければ特異的に会合する組換え小型タンパク質のドメインまたはモチーフの配列をコードする稀なファージおよびその中に含まれる遺伝物質の単離に導く。
【0033】
本発明の種々の態様において、本明細書中に開示される方法は、上記のタンパク質グラフト化法を用いてすでに選択されたDNAまたはタンパク質に結合が可能な小型タンパク質をコードするファージ発現ライブラリーを作製するために使用される。かかる態様では、ファージ提示は、ファージ提示の助けをかりないで産生された小型タンパク質のものよりも高い特定の標的DNAまたはタンパク質に対する親和性を示す小型タンパク質を同定するために使用できる。さらに別の態様では、本発明は、エピトープまたは結合配列の組合せ(conbinatorial) 組を提示して、天然エピトープまたは認識もしくは会合に本来的に使用される特異性結合残基またはモチーフの事前知識がなくても、小型タンパク質による核酸、タンパク質または小型分子の認識を可能とするために設計できる共通ファージディスプレイライブラリーを包含する。
【0034】
種々の構造的変化も本発明に意図され、これは例えば遺伝子配列の遺伝子操作を可能とする小型タンパク質をコードするポリヌクレオチド配列中への制限酵素認識部位の付加を含む。従って、再操作した小型タンパク質は、例えばファージ表面上に融合タンパク質の発現を可能とするM13由来バクテリオファージクローニングベクター内に結合できる。これらの方法は、標的リガンドを結合する融合タンパク質をコードするファージクローンを選択することを許容し、そして小型タンパク質の高処理量スクリーニングを可能とする迅速な様式で完了でき、特定の標的に対する最高の親和性および選択性をもって小型タンパク質を同定する。
【0035】
本発明の方法に従って、改変小型タンパク質を提示するファージのライブラリーを固定化標的DNAまたはタンパク質と共にインキュベーションして、固定化DNAまたはタンパク質に特異的に結合するたかまたは特異的に会合する小型タンパク質をコードするファージクローンを選択する。この方法は、固体基質上にオリゴヌクレオチドまたはポリペプチド試料を固定化することを含む。次いで、結合したファージを固定化オリゴヌクレオチドまたはポリペプチドから解離しそして細菌宿主細胞内で培養して増幅する。それぞれ異なる組換え小型タンパク質を発現する個別のウイルスプラークを増大して、結合アッセイを行うために十分のタンパク質の量を産生する。この組換え結合タンパク質をコードするDNAは、真核タンパク質発現ベクター内への結合のためにその後に改変してもよい。真核細胞内での発現のために適合させた改変小型タンパク質を真核タンパク質発現ベクター内に結合する。
【0036】
本発明の小型タンパク質を作製するために使用できるファージ提示法は、ブリンクマンら(Brinkman et al., (1995) J. Immunol. Methods 182, 41−50); アメスら(Ames et al., J. Immunol. Methods 184:177−86);ケッテルボロら(Kettelborough et al., (1994) Eur. J. Immunol. 24, 952−958);パーシックら(Persicet al., (1997) Gene 187, 9−18); バートンら(Burton et al., (1994) Adv. Immunol. 57, 191−280);米国特許(US)第5,698,426 号; 第5,223,409 号; 第5,403,484 号; 第5,580,717 号; 第5,427,908 号; 第5,750,753 号; 第5,821,047号; 第5,571,698 号; 第5,427,908 号; 第5,516,637 号; 第5,780,225 号; 第5,658,727 号; 第5,733,743 号; 第5,837,500 号および第5,969,108 号の開示を含む。
タンパク質結合小型タンパク質
本発明は他のタンパク質に結合する小型タンパク質およびこれらの小型タンパク質を作製するための方法を包含する。小型タンパク質の結合は、タンパク質−タンパク質および/またはタンパク質−リガンド相互作用を調節する。従って、一部の態様では、結合はリガンドと受容体の会合(または特異性結合)をブロックする。リガンドは、他のタンパク質であることもまた分子のいずれかの他の形式、例えば化学的基質であることもできる。本発明の一つの態様では、本発明のタンパク質結合小型タンパク質を作製することは、リガンドタンパク質のその標的受容体タンパク質への結合に本質的であるアミノ酸残基を同定することを含む。一部の態様では、これらの本質的な残基は、結晶学的研究に基づく他のタンパク質へ結合またはこれと相互作用するタンパク質またはタンパク質複合体の三次元モデルを用いて特定され、一方、他の態様では、これらはタンパク質の欠失または置換変異体の研究により特定される。タンパク質の結合に関与する残基を、次いでタンパク質骨格の三次構造を保存するために不要な位置上にグラフトしてタンパク質結合小型タンパク質を形成する。
【0037】
他のタンパク質に結合するいかなるタンパク質の構造でも、本発明のタンパク質結合小型タンパク質を誘導するために使用できる。好ましい態様は、ヘリックス構造、例えばFosとJun(Kouzarides & Ziff,(1988) Nature 336, 646−651)、Bcl−2とBak(Sattler et al., (1997) Science 275, 983−986) 、CBP−KIXとCREB−KID(Radhakrishnan et al., (1997) Cell 91, 741−742) との間、およびDM2へのp53結合(Kussie et al., (1996) Science 274, 948−953)のタンパク質−タンパク質相互作用に関与するものを含む。一部の態様では、結合はコイルドコイルタンパク質構造および/またはロイシンジッパーを含む。
【0038】
本発明の一つの態様では、本明細書中で開示された方法は、Bcl−2またはBcl−X タンパク質に結合する小型タンパク質を産生するために使用される(Sattler et al., (1997) Science 275, 983−986) 。この方法では、本明細書中に記載のタンパク質グラフト化方法をBak−BH3結合ドメインに適用してBcl−X への結合が可能な小型タンパク質を設計する。この方法では、関係するタンパク質の一次配列をaPPのα−ヘリックス内の残基と整列(align) する。Bakの位置74−92とaPPの一次配列のすべての可能な整列を2種の方法で評価する。第一に、aPPヘリックス双極子の疎水性コア形成または維持のために重要な残基と、Bcl−X を結合するために重要なBak内の残基との間の一次配列整列内の相違の数を考慮する。多数の相違を有する整列は、良く折り畳まれるかまたは高い親和性を有する配列の間の選択を強要するので排除されるが、しかしこれらの両方の性質を有する分子を単離することを困難とする。
【0039】
それぞれの整列中でBcl−X のBH3ドメインと会合または複合しているPPに基づくペプチドの構造モデルは、Bcl−X のファンデルワールス(Vander Waals)面とaPP骨格のバックボーンとの間の不都合な相互作用または立体障害に関して評価される。多数の不都合な相互作用または立体障害を有する構造モデルは以後の考察から排除される。
【0040】
整列は、構造モデルが立体障害を示唆しなかった1個の相違のみをもって特定される。キメラペプチドのファージディスプレイ発現ライブラリーは最終的にこの整列に基づいた。得られたペプチドのライブラリーをM13ファージの面上に提示しそしてBclを高い親和性で結合する小型タンパク質の選定および単離に使用した。Bclに結合するファージディスプレイライブラリーから単離されたタンパク質結合小型タンパク質の例は、配列番号23(4100)、24(4101)、25(4099)および26(4102)に示すアミノ酸配列を含み、これらに限定はされない。
【0041】
本発明の別の態様では、本発明の方法はヒトガンタンパク質ダブルマイニュート2(hDM2)に結合する小型タンパク質を産生するために使用される。p53およびaPPのα−ヘリックスセグメントを整列して、折り畳みに重要ないかなるaPP残基も置換することなくaPPの露出されたα−ヘリックス面上の3個の重要なhDM2接触残基(位置22、26および29)を特定する。hDM2と相互作用するp53活性化ドメイン内の多数のp53残基は理想のα−ヘリックス範囲の外側のファイおよびプサイ角を示すので、タンパク質グラフト化のこの適用はα−ヘリックスに沿った5個の位置に多様性を導入し、そして最高の親和性リガンドをファージ提示を用いて選択した。
【0042】
hDM2に結合するファージディスプレイライブラリーから単離されたタンパク質結合小型タンパク質の例は、配列番号31(p53AD)、33(p3254)、34(p3255)、35(p3548)、36(p3559)および37(p3257)に示すアミノ酸配列を含み、これらに限定はされない。
小型タンパク質変種
本発明の小型タンパク質は、本明細書中に記載する小型タンパク質の保存性変種をさらに含む。本明細書中に使用される場合に、保存性変種とは、タンパク質の結合または会合能力を本質的にそして不利に影響しないアミノ酸配列内の改変を呼ぶ。置換、挿入または欠損は、改変された配列がタンパク質と関連する機能または活性を妨害または破壊する場合に、小型タンパク質に不利に影響すると言われる。例えば、小型タンパク質の全体的な電荷、構造または疎水性−親水性的性質は、活性に不利に影響することなく改変できる。従って、アミノ酸配列は、例えば、小型タンパク質の活性に不利に影響することなく、さらなる疎水性または親水性をペプチドに与える様に改変できる。
【0043】
これらの変種は、以上の記載とは僅かに異なるアミノ酸配列を有するけれども、配列番号8、9、10、11、12、13、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、31、33、34、35、36、37、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、70、71または72中に記載の小型タンパク質と関連する同様または類似した性質をまだ有する。
【0044】
通常、保存性置換変種は、配列番号8、9、10、11、12、13、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、31、33、34、35、36、37、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、70、71または72中に記載の小型配列と少なくとも90%のアミノ酸配列一致を有するアミノ酸配列を有し、さらに好ましくは少なくとも95%、さらに好ましくは少なくとも98%、そして最も好ましくは少なくとも99%の一致を有する。かかる配列に関する一致性または相同性は、本明細書中では、配列を整列および必要な場合にはギャップを導入して最高の割合の相同性を達成した後、そしていかなる保存性置換も配列一致の一部として考慮しないで、既知ペプチドと一致している候補配列内のアミノ酸残基の割合として定義される。N−末端、C−末端または内部延長、欠損またはペプチド配列内への挿入は相同性に影響するとは解釈されない。
【0045】
従って、本発明のタンパク質は、配列番号8、9、10、11、12、13、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、31、33、34、35、36、37、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、70、71または72のアミノ酸配列を含んでなる分子、本発明の小型タンパク質の少なくとも約20、25、30、35またはそれ以上のアミノ酸残基の保存配列を有するそれらのフラグメント、少なくとも1個のアミノ酸残基が、開示された配列のN−またはC−末端またはその中に挿入されているかかる配列のアミノ酸配列変種、開示された配列のアミノ酸配列変種、または他の残基により置換された上記に定義したそれらのフラグメントを含む。意図する変種は、さらにタンパク質が天然に存在するアミノ酸以外の部分(例えば検出可能な部分、例えば酵素または放射性同位元素)で置換、化学的、酵素的またはその他の適当な手段で共有結合的に改変されたこれらの誘導体を含む。
小型タンパク質をコードする核酸分子
本発明は、配列番号8、9、10、11、12、13、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、31、33、34、35、36、37、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、70、71または72のアミノ酸配列および本明細書中に記載した関連する小型タンパク質を好ましくは単離された形で含んでなる小型タンパク質をコードする核酸分子を提供する。本明細書中に使用される場合に、「核酸」とは、cDNAおよびmRNA、ならびに別のバックボーンに基づく核酸を含みまたは天然由来または合成されたかのいずれかの別の塩基を含む。
【0046】
本明細書中に使用される場合に、核酸分子が核酸の起源からの他のポリペプチドをコードする汚染核酸から本質的に分離されている場合に、核酸分子は「単離」されていると呼ばれる。
【0047】
本発明は、さらにコードする核酸分子のフラグメントも提供する。本明細書中に使用される場合に、「コードする核酸分子のフラグメント」とは、小型タンパク質の配列をコードする全タンパク質の一部分を呼ぶ。フラグメントの大きさは、意図する用途により決定されるであろう。例えば、フラグメントがタンパク質の活性部分をコードするように選定される場合には、フラグメントは、タンパク質の機能性領域(1個または多数)をコードするために十分な大きさである必要がある。かかるフラグメントの適当な大きさおよび範囲は、当該技術分野の熟練者により経験的に決定できる。
【0048】
翻訳の間にタンパク質配列内に組み込まれるアミノ酸の欠損、付加、または改変による一次構造自体の変更は、小型タンパク質の活性を破壊することなく行うことができる。かかる置換またはその他の改変は、本発明の意図する範囲内に入る核酸によりコードされるアミノ酸配列を有する小型タンパク質をもたらす。
【0049】
本発明は、コーディング配列を含む組換えDNA分子を提供する。本明細書中に使用される場合に、組換えDNA分子とは、分子操作を行われたDNA分子である。組換えDNA分子を生成するための方法は、当該技術分野では周知であり、例えばサンブルックら「分子クローニング、実験マニュアル」(Sambrook et al., (1989) Molecular Cloning−A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press)参照。好ましい組換えDNA分子では、コーディングDNA配列は、発現制御配列およびベクター配列に操作的に連結している。
【0050】
本発明のタンパク質ファミリーをコードする配列の一つが操作的に連結しているベクターおよび発現制御配列の選択は、当該技術分野では周知のように、所望の機能的性質(例えばタンパク質発現、および形質転換される宿主細胞)に直接依存する。本発明のベクターは、少なくとも複製または宿主染色体内への挿入を導き、そして好ましくは組換えDNA分子内に含まれる構造遺伝子の発現させることが可能であってもよい。
【0051】
操作的に連結した小型タンパク質をコードする配列の発現を調節するために使用される発現制御要素は当該技術分野では公知でありそして、誘導可能なプロモーター、構成的プロモーター、分泌シグナル、およびその他の制御要素を含み、これらに限定はされない。好ましくは、誘導可能なプロモーターは容易に制御され、例えば宿主細胞の培地内の栄養に応答性である。
【0052】
一つの態様では、コーディング核酸分子を含むベクターは、原核レプリコン、すなわち、それを用いて形質転換された原核細胞、例えば細菌宿主細胞内の染色体外の組換えDNA分子の自発的複製および維持を導く能力を有するDNA配列を含む。かかるレプリコンは、当該技術分野では周知である。その上、原核レプリコンを含むベクターは、発現が検出可能な標識、例えば耐薬剤性を与える遺伝子も含んでもよい。耐薬剤性遺伝子の典型は、アンピシリンまたはテトラサイクリンへの耐性を与えるものである。
【0053】
原核レプリコンを含むベクターは、細菌宿主細胞、例えば大腸菌内のコーディング遺伝子配列の発現(転写および翻訳)を導く能力がある原核性またはバクテリオファージプロモーターをさらに含むことができる。プロモーターは、RNAポリメラーゼの結合および転写を起こすことを許容するDNA配列により形成された発現制御要素である。細菌宿主と相容性のプロモーター配列は、代表的には本発明のDNAセグメントの挿入のために好都合な制限部位を含むプラスミドベクター内に提供される。いかなる適当な原核宿主も、本発明のタンパク質をコードする組換えDNA分子を発現するために使用できる。
【0054】
真核細胞、好ましくは脊椎動物細胞と相容性の発現ベクターも、コーディング配列を含む組換えDNA分子を形成するために使用できる。真核細胞発現ベクターは当該技術分野では周知でありそして多数の商業的供給源から入手できる。典型的には、かかるベクターは、所望のDNAセグメントの挿入のための好都合な制限部位を含んで提供される。
【0055】
本発明の組換えDNA分子を構築するために使用される真核細胞発現ベクターは、さらに真核細胞内で有効である選択可能な標識、好ましくは耐薬剤性選択標識を含んでもよい。好ましい耐薬剤性選択標識は、発現がネオマイシン耐性をもたらす遺伝子、すなわちネオマイシンホスホトランスフェラーゼ(neo)遺伝子である(Southern et al., (1982) J. Mol. Anal. Genet. 1, 327−341) 。あるいは、選択可能標識は、別のプラスミド上に存在することも可能であり、2個のベクターは宿主細胞の同時トランスフェクションにより導入され、そしてトランスフェクタントは選択可能標識に対する適当な薬剤中での培養により選択される。
形質転換宿主細胞
本発明は、さらに本発明の小型タンパク質をコードする核酸分子を用いて形質転換された宿主細胞を提供する。宿主細胞は原核性または真核性のいずれであってもよい。本発明の小型タンパク質の発現に有用な真核細胞は、細胞が細胞培養方法と適合性でありそして発現ベクターの伝播および遺伝子産物の発現と適合性である限り、限定されない。
【0056】
本発明の小型タンパク質をコードする組換えDNA分子を用いる適当な宿主細胞の形質転換は、使用するベクターの形式および使用する宿主系に典型的に依存する周知の方法により達成される。原核宿主細胞の形質転換に関して、エレクトロポレーションおよび塩処理法が使用できる(例えばSambrook et al., (1989)Molecular Cloning−A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press; Cohen et al., (1972) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 69, 2110−2114 参照)。組換えDNAを含むベクターを用いる脊椎細胞の形質転換に関して、エレクトロポレーション、陽イオン性脂質または塩処理法が使用できる(例えばGraham et al., (1973) Virology 52, 456−467、Wigler et al., (1979) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 76, 1373−1376参照)。
【0057】
成功した形質転換細胞(本発明の組換えDNA分子を含む細胞)は、選択可能標識の選択を含む周知の技術により同定できる。例えば、本発明の組換えDNAの導入よりもたらされた細胞は、単一コロニーを産生するためにクローニングできる。これらのコロニーからの細胞は、採取、溶解そしてこれらのDNA内容物をサザン(Southern, (1975) J. Mol. Biol. 98, 503−617)が記載したような方法を用いて組換えDNAの存在について検査するかまたは免疫学的方法を介してアッセイした細胞からタンパク質を産生できる。
組換え小型タンパク質の産生
本発明は、さらに本明細書中に記載の核酸分子を用いる本発明の小型タンパク質を産生するための方法を提供する。一般的用語として、タンパク質の組換え形の産生は典型的には下記の段階を含む:本発明のタンパク質をコードする核酸分子、例えば配列番号8、9、10、11、12、13、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、31、33、34、35、36、37、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、70、71または72中に記載の小型タンパク質のいずれかをコードする核酸分子を得る。次いで核酸分子を好ましくは上記の適当な制御配列と操作可能に連結して配置してタンパク質オープンリーディングフレームを含む発現単位を形成する。発現単位は適当な宿主を形質転換するために使用されそして形質転換した宿主は組換え小型タンパク質の産生を可能とする条件下で培養される。場合により、組換え小型タンパク質は培地または細胞から単離される。いくらかの不純物を許容してもよいような場合には、タンパク質の回収および精製を行わなくてもよい。
【0058】
上記のそれぞれの段階は種々の様式で行うことができる。種々の宿主中で操作可能な発現ベクターの構築は、上記のような適当なレプリコンおよび制御配列を用いて達成される。制御配列、発現ベクターおよび形質転換方法は、遺伝子を発現するために使用される宿主細胞の形式に依存する。通常は利用できないとしても、適当な制限部位をコーディング配列の末端に付加してこれらのベクター内に挿入した切除可能な遺伝子を提供することもできる。熟練者は、組換え小型タンパク質を産生するために本発明の核酸分子を用いるための当該技術分野では既知のいずれかの宿主/発現系を容易に適用できる。
結合相手を特定するための方法
本発明は、本発明の小型タンパク質の結合相手を単離および特定するために使用する方法を提供する。いくつかの態様では、本発明の小型タンパク質を可能な結合相手または細胞の抽出物もしくは画分と、本発明のタンパク質を可能な結合タンパク質との会合を可能とする条件下で混合する。混合の後、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質または本発明の小型タンパク質と会合する他の分子を混合物から分離する。次いで本発明のタンパク質に結合した結合相手を取り出しそしてさらに分析できる。結合相手を特定および単離するために、全小型タンパク質を使用できる。あるいは、結合ドメインを含む小型タンパク質のフラグメントを使用できる。
【0059】
本明細書中に使用される場合に、「細胞抽出物」とは、溶解または破壊された細胞から作製された調製物または部分を呼ぶ。細胞の抽出物を得るために種々の方法が使用できる。細胞は物理的または化学的のいずれかの破壊方法を用いて破壊できる。物理的破壊方法の例は音波処理および機械的せん断を含み、これらに限定はされない。化学的溶解方法の例は界面活性剤溶解および酵素溶解を含み、これらに限定はされない。熟練者は、本方法中に使用するための抽出物を得るために細胞抽出物を調製するための方法に容易に適応できる。
【0060】
細胞抽出物が調製されると、小型タンパク質と結合相手との会合が起きることができる条件下で、抽出物を本発明の小型タンパク質と混合する。種々の条件が使用でき、最も好ましいのはヒト細胞の細胞質内に見いだされる条件に近似した条件である。例えば容積モル浸透圧濃度(osmolarity),pH、温度、および使用した細胞抽出物濃度などの特徴は、タンパク質と結合相手との会合を最適化するために変化できる。
【0061】
適当な条件下で混合した後、結合した複合体を混合物から分離する。混合物を分離するために種々の技術が利用できる。例えば、本発明のタンパク質に特異性の抗体は結合相手の複合体を免疫沈降させるために使用できる。あるいは、標準の化学的分離技術、例えばクロマトグラフィーおよび密度沈降遠心分離が使用できる。
【0062】
抽出物中に見いだされた非会合細胞成分を除去した後、慣用の方法を用いて複合体から結合相手を解離できる。例えば、解離は混合物の塩濃度またはpHを変化して得られる。
【0063】
混合した抽出物から会合した結合相手の対の分離を助けるために、本発明の小型タンパク質は固体担体上に固定化できる。例えば、小型タンパク質はニトロセルロースマトリックスまたはアクリルビーズに付着できる。固体担体への小型タンパク質の付着は抽出物中に見いだされる他の成分からペプチド結合相手の対の分離を助ける。特定された結合相手は、単一のDNA分子もしくはタンパク質または2個またはそれ以上のタンパク質から形成されたタンパク質もしくは複合体のいずれかであることができる。あるいは、結合相手は、フラナガンおよびファンデルヘーゲン(Flanagan & Vanderhaeghen, (1998) Annu. Rev. Neurosci. 21, 309−345) またはタカハシら(Takahashi et al., (1999) Cell 99, 59−69) の方法によるアルカリホスファターゼ融合アッセイを用いて特定、タカヤマら(Takayama et al.,(1997) Methods Mol. Biol. 69, 171−184) またはサウダーら(Sauder et al., J. Gen. Virol. (1996) 77, 991−996)の方法によるファーウエスタンアッセイまたはエピトープを付加したタンパク質またはGST融合タンパク質の使用を介して特定してもよい。
【0064】
あるいは、本発明の小型タンパク質をコードする核酸分子は、酵母2ハイブリッド(two−hybrid)システム中に用いることができる。酵母2ハイブリッドシステムは、他のタンパク質相手対を特定するために使用されそして本明細書中に記載の核酸分子を使用するために容易に適応できる(例えばStratagene Hybrizap TM2ハイブリッドシステム参照)。
スクリーニング、診断および治療への使用
本発明の小型タンパク質は、小型タンパク質としての同じ結合部位への結合が可能な薬剤を同定するための薬剤スクリーニングのために特に有用である。小型タンパク質は、本発明の小型タンパク質に結合するDNAまたはタンパク質の存在を同定および/またはレベルを検出するための診断目的にも有用である。診断的態様では、本発明の小型タンパク質は生物学的試料中の特定のDNAまたはタンパク質の存在を検出するために使用するキット内に含まれる。本発明の小型タンパク質は、特定のDNAまたはタンパク質の存在と関連する疾患の治療における治療的使用も有する。一つの治療的態様では、小型タンパク質はDNAと結合して転写を促進または阻害するために使用でき、別の治療的態様では、小型タンパク質はタンパク質に結合してタンパク質の阻害または刺激をもたらす。
【0065】
これ以上記載しなくても、当該技術分野の通常の熟練者は、上記の記載および下記の実施例を用いて本発明の化合物を調製および使用そして特許請求した方法を実施できると考える。従って、下記の実施例は、本発明の好ましい態様を特定して指摘し、そして本開示の残部をいかなる意味でも制限すると解釈されないものとする。
【0066】
実施例
実施例1−DNA結合小型タンパク質の合成
小型タンパク質を構成するポリペプチドは、固相法を用いて調製されそして特に指摘しない限りカルボキシ末端アミドおよび遊離アミノ末端を含む。高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)は、Waters 490E multiwavelength detectorを備えたWaters 600E Multisolvent Delivery SystemまたはRainin Dynamax PDA−2Diode Array Detectorを備えたRainin Dynamax SD−200 Solvent Delivery System のいずれかで行った。
【0067】
固相ペプチド合成は、パーセプティブバイオサーチ(Perseptive BioSearch)9600ペプチド合成装置で行った。標準研究グレードアルゴン(Connecticut AirGas)をオキシクリア(OxyClear)酸素スクラッバーを通して次いで合成装置に導入した。HATU(O−(7−ベンゾトリゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスファート)を補足のベンゾトリアゾールを加えないで活性化剤として使用した。ジメチルホルムアミド、ピペリジンおよび塩化メチレン(Baker) は新しくそして窒素中で保管した。無水ジメチルホルムアミドをジイソプロピルエチルアミン(DIPEA、再蒸留した0.46M)と混合して基本活性化溶液を調製した。9−フルオレニルメトキシカルボニル(F−moc)保護アミノ酸は下記の側鎖保護基を使用した:O−t−ブチル(Asp、Glu);t−ブチル(Tyr、Thr、Ser);2,2,4,6,7−ペンタメチルジヒドロベンゾフラン−5−スルホニル(Pbf)(Arg);t−ブトキシカルボニル(Lys);およびトリフェニルメチル(Cys、His、Asn、Gln)。合成は、PAL(ペプチドアミドリンカー)樹脂(Fmoc−NH −CH −(ジ−m−メトキシ,p−O−(CH C(O)−ポリスチレン)を用いて0.10ミリモルスケールで行い、これはアミド化カルボキシ末端をもたらした。Fmocアミノ酸およびHATUは、4倍過剰で使用した(カプリングあたりに0.4ミリモル)。最終カプリングが終了した後、Fmoc保護基を外しそして樹脂を最終的に洗浄した。樹脂を乾燥し、切断および脱保護を開始するまでデシケーター中に保管した。
【0068】
逆相HPLCを緩衝液A(98%HPLC水、2%アセトニトリル、0.05%トリフルオロ酢酸)および緩衝液B(20%HPLC水、80%アセトニトリル、0.06%トリフルオロ酢酸)の混合物から成る溶離剤を用いて行った。すべてのHPLC溶剤は、使用前に0.2ミクロンフィルターを通して濾過した。ペプチド合成のための溶剤および化学薬品は、特に断らない限りオルドリッチ(Aldrich) およびパーセプチブ・バイオサーチから入手した。サヴァント(Savant)SC100高速真空装置を用いてペプチドを凍結乾燥した。変性ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)分析は、高密度ゲル(グリセロール中に含浸した20%アクリルアミド)を用いるファルマシアファストゲル(Pharmacia PhastGel)システムを用いて行った。アミノ酸分析はベックマン(Beckman) 分析装置でアッセイした。
【0069】
PPEBP1SHの脱保護および精製のために、保護されたPPEBP1SHを含むPAL樹脂(15mg)を脱保護カクテル(84%トリフルオロ酢酸、4%フェノール、4%エタンジチオール、4%チオアニソールおよび4%水)中、室温で5時間反応させた。溶液上に窒素流を吹きつけて体積が約0.25mlとなるまで溶剤を除去した。ジエチルエーテル(1ml)およびジチオトレイトール(20mg)を加えてペプチドを沈降させそしてシステインを安定化させた。遠心分離の後に上清を除去しそして沈降物を乾燥した。ジチオトレイトール(5mg)を加えた1mlリン酸緩衝生理食塩水(pH7.5)中に粗ペプチドを溶解しそして0.2ミクロンフィルターを用いて濾過した。ペプチドを逆相HPLC(Vydac 半分取300オングストロームC18、5ミクロン、10.0x250mm)により、緩衝液B中の100−30%緩衝液Aの120分間の線型勾配を用いて精製した。ペプチドは流量4ml/分を用いて49.3分で溶離しそしてエレクトロスプレ−イオン化質量分析により分析した。予想および測定した質量は、それぞれ4729.4および4730.0であった。
【0070】
PPEBP1SRの調製のために、PPEBP1SH0.080mgを、20mM リン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5)中の2mg/ml(15mM)2−ブロモアセトアミドの0.50ml中に溶解した。反応を30分間、室温で進行させた。逆相HPLC(ライニン(Rainin)分析100オングストロームC18、5ミクロン、4.6x250mm)により、緩衝液B中の100−30%緩衝液Aの40分間の線型勾配を用いてペプチドを精製した。ペプチドは流量1ml/分を用いて23.3分で溶離しそしてエレクトロスプレーイオン化質量分析およびアミノ酸分析により特性付けた。AAA予測:Ala5 Asx5 CmCys1 Glx2 Phe1 Gly4 His0 Lle0 Lys3 Leu2 Met0 Pro4 Arg8 Ser2 Thr1 Val2 Tyr2、測定Ala5.2 Asx4.8 CmCys0.6 Glx2.0 Phe1.0 Gly4.1 His0 Lle0 Lys2.9 Leu2.0 Met0 Pro3.7 Arg6.9 Ser1.8 Thr0.8 Val2.0 Tyr1.8、質量 予測4786.4、測定4787.1。
【0071】
PPEBP2SHの脱保護および精製のために、保護されたPPEBP2SHを含むPAL樹脂(10mg)を脱保護カクテル中、室温で7時間反応させそして溶剤を除去した。ジエチルエーテル(1ml)およびジチオトレイトール(20mg)を加え、遠心分離の後に上清を除去しそして沈降物を乾燥した。新しいジチオトレイトール5mgを含む1mlリン酸緩衝生理食塩水(pH7.5)中に粗ペプチドを溶解しそして濾過した。ペプチドを逆相HPLC(Vydac 半分取300オングストロームC18、5ミクロン、10.0x250mm)により、緩衝液B中の100−50%緩衝液Aの120分間の線型勾配を用いて精製した。ペプチドは流量4ml/分を用いて67.8分で溶離しそしてエレクトロスプレ−イオン化質量分析により分析した。予想および測定した質量、4654.2および4653.6であった。
【0072】
PPEBP2SRの調製のために、PPEBP2SH0.070mgを、20mM リン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5)中の2mg/ml(15mM)2−ブロモアセトアミドの0.50ml中に溶解した。反応を40分間、室温で進行させた。逆相HPLCにより、緩衝液B中の100−30%緩衝液Aの4分間の線型勾配を用いてペプチドを精製した(ライニン分析100オングストロームC18、5ミクロン、4.6x250mm)。PPEBP2SHは流量1ml/分を用いて24.9分で溶離しそしてエレクトロスプレーイオン化質量分析およびアミノ酸分析により特性付けた。AAA予測:Ala5 Asx6 CmCys1
Glx3 Phe1 Gly4 His0 Lle0 Lys3 Leu2 Met0 Pro4 Arg7 Ser2 Thr1 Val2 Tyr1、測定Ala5.0 Asx5.8 CmCys0.9 Glx3.0 Phe1.0 Gly4.0 His0 Lle3.0 Lys3.0 Leu2.1 Met0 Pro4 Arg7 Ser2 Thr1 Val2 Tyr1、質量
予測4711.3、測定4710.8。
【0073】
EBP1SHの脱保護および精製のために、保護されたEBP1SHを含むPAL樹脂(12mg)を脱保護カクテル中、室温で6時間反応させそしてPPEBP1SR中に記載のようにして処理した。ジチオトレイトール(5mg)を加えた1mlリン酸緩衝生理食塩水(pH7.5)中に粗ペプチドを溶解しそして濾過した。ペプチドを逆相HPLC(Vydac 半分取300オングストロームC18、5ミクロン、10.0x250mm)により、緩衝液B中の100−70%緩衝液Aの72分間の線型勾配を用いて精製した。EBP1SHは流量1ml/分を用いて49.6分で溶離しそしてエレクトロスプレ−イオン化質量分析により特性付けた。予想質量、3346.9、測定、3346.2。
【0074】
EBP1SRの調製のために、EBP1SH150μgを、20mM リン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5)中の2mg/ml(15mM)2−ブロモアセトアミドの0.50ml中に溶解した。反応を30分間、室温で進行させた。逆相HPLC(ライニン分析100オングストロームC18、5ミクロン、4.6x250mm)により、緩衝液B中の100−30%緩衝液Aの40分間の線型勾配を用いてペプチドを精製した。EBP1SRは流量1ml/分を用いて17.0分で溶離しそしてエレクトロスプレーイオン化質量分析およびアミノ酸分析により特性付けた。AAA予測:Ala4 Asx3 CmCys1 Glx1 Phe1 Gly2 His0 Lle0 Lys3 Leu2 Met0 Pro0 Arg8 Ser1 Thr0 Val1 Tyr1、測定Ala3.9
Asx3.0 CmCys0.9 Glx1.0 Phe1.0 Gly2.1 His0 Lle0 Lys2.8 Leu2.0 Met0 Pro0 Arg6.9 Ser0.9 Thr0 Val1.0 Tyr1.0、質量 予測3404.0、測定3403.7。
【0075】
C/EBP152 のために、精製したC/EBPペプチドのストック溶液を、10mMジチオトレイトールを含むリン酸緩衝生理食塩水中に溶解して調製した。溶液を95℃に加熱しそしてペプチドのカルボキシ末端近傍のシステインの還元を確実にするために室温までゆっくりと冷却した。次いでペプチドを直ちにEMSA分析に使用した。ペプチドはアミノ酸分析により特性付けた。AAA予測:Ala8 Asx18 Glx18 Phe5 Gly6 His0 Lle4 Lys14 Leu12 Met3 Pro6 Arg13 Ser15 Thr7 Val9 Tyr2、測定Ala9.2 Asx16.9 Glx18.0 Phe4.5 Gly7.0 His0 Lle3.8 Lys14.2 Leu11.3 Met2.7 Pro6.0 Arg10.8 Ser13.0 Thr7.0 Val18.0 Tyr1.7。
【0076】
実施例2−DNAへの小型タンパク質の結合
DNAへの小型タンパク質の結合は、14x16cmゲルプレートを用いるモデルSE600二重制御器垂直スラブユニット(Dual−Controller Vertical Slab Unit, Hoefer)中で行う電気泳動移動度シフトアッセイを用いて測定した。温度は定温浴を用いて制御した。反応は、137mM NaCl、2.7mM KCl、4.3mM Na HPO 、1.4mM NaH PO (pH7.4)、1mM EDTA、0.1%NP−40、0.4mg/ml BSA(非アセチル化)および5%グリセロールから成る結合緩衝液中で行った。bZIPペプチドC/EBP152 を含む実験のために、結合緩衝液に2mMジチオトレイトールを補足した。段階ペプチド希釈を結合緩衝液を用いる1:1希釈として行った。一般に、結合緩衝液中のガンマ32P標識、二本鎖DNA(CRE24、hsCRE24、C/EBP24またはhsCEBP24;結合緩衝液中の最終濃度≦50pM;Kapp <500pMを有するペプチドに対して最終濃度≦5pM)0.002mlを、氷上の段階ペプチド希釈物の0.008mlに加えた。ペプチド−DNA混合物を30分間、氷上でインキュベーションし次いで10mMトリス緩衝液(pH8.1)中で調製した予備平衡化した本来のポリアクリルアミドゲル(8%アクリルアミド:ビスアクリルアミド)に加えた。ゲルを0.75〜1.5時間、500Vで流しそしてモデルSE1160ドライゲル(Drygel)Sr.ゲル乾燥機(Hoefer)で乾燥した。ストーム840ホスホリメージャー(Storm 840 Phosphorimager, Molecular Dynamics)を用いてゲルを分析した。遊離および結合DNAの量を定量しそしてカレイダグラフ(KaleidaGraph, Synergy Software)3.0プログラムを用いて解析した。解離定数は、データをラングミュア式=c〔(1+(Kapp /ペプチド ))−1〕(ここでPPEBPSRおよびEBPSRに対してはn=1、C/EBP152 に対してはn=2)にあてはめて決定した。これらの式中、シータ=タンパク質−DNA複合体中のcpm/(タンパク質−DNA複合体中のcpm+遊離DNAのcpm);ペプチド =全ペプチド濃度、そしてcはシータの最大値を表す調製可能なパラメーター(c≦1;多くのペプチドに対してcは1と定義された)。報告された値は、少なくとも3回の独立した実験の平均±標準偏差を表す。プロット上のエラーバーは、それぞれのデータ点に対する標準偏差を表す。
【0077】
結合化学量論を決定するために、結合反応はEMSA実験に使用されたものと同じ緩衝液中で行った。それぞれの反応は、200nM hsCRE24および25nM〜1600nMの間のPPEBP1SRを含んでいた。hsCEBP24濃度は、260nmにおけるそれぞれの一本鎖オリゴヌクレオチドの吸光度を測定して決定した。それぞれの二重鎖の一本の鎖をガンマ−32Pを用いて標識した。少量(0.010ml)の標識DNAを同じ鎖の0.002mMストックに加えた。標識した鎖がその相補体に完全にアニールすることを確実にするために、過剰の低温相補鎖を加え、混合物を95℃で2分間アニールしそして室温までゆっくりと冷却した。標識したhsCEBP24をPPEBP1SR溶液に加え、そして反応混合物を4℃で30分間インキュベーションし、次いで10mMトリス緩衝液(4℃でpH=8.0)中で調製した本来の8%(80:1アクリルアミド:ビスアクリルアミド)に加えた。水循環定温浴内への浸漬により4℃に保持された10mMトリス緩衝液を含むチェンバー内にゲルを懸濁した。ゲルを乾燥しそしてホスホリメージャー(Molecular Dynamics)を用いて定量した。
【0078】
1個またはそれ以上のこれらのDNA−接触残基を欠くペプチドPPBR0SR(配列番号8)、PPBR10SR(配列番号9)およびPPBR11SR(配列番号10)を用いて、有意のDNA結合は検出されなかった。高親和性DNA結合は、これらの3種の残基を含むペプチドを用いて観察された。hsCREに結合するPPBR2SR(配列番号11)の平衡解離定数(K )は、生理学的イオン強度の条件下で5nMであった。DNA親和性は、ペプチドの総括α−ヘリックス化傾向を上昇する選択性アラニン置換によりさらに上昇して、PPBR4SR−hsCRE24複合体を産生し、そのK は同じ条件下で1.5nMであった。PPBR4SR−hsCRE24複合体の形成は、ポリ(dIdC)−(dIdC)(Garner & Revzin, (1981) Nucl. Acids Res. 9, 3047−3048); Fried & Crothers, (1981) Nucl. Acids Res. 9, 6505−6506)、またはスクランブルしたCRE部位(NON)の高濃度により影響されず、PPBR4SR−hsCRE24の高い安定性が主として非特異性イオン相互作用に一次的にはよらないことを示す。円偏光二色性実験は、bZIPペプチドと同様に(Weiss et al., (1990) Nature 347,575−578; O’Neil, (1990) Science 249, 774−778) 、二次構造に検出可能な変化は起きなかったことを示した。PPBR4SR(配列番号12)は、特異性DNAの存在下でのみ完全なα−ヘリックスコンフォーメーションに達した。PPBR4SRのCDスペクトルは、0.001と0.020mMとの間では変化せず、この範囲内では二次構造中に検出可能な変化は起きなかったことを示す。hsCRE DNAの添加は、PPBR4SRのα−ヘリックス含有量を有意の増加し、一方hsCEBP DNAの添加ではこれより少ない変化が観察された。
【0079】
他の研究者は、塩基性セグメントペプチドによる単独(monopartite) DNA認識を記載しているけれども、報告された親和性は中程度であり(60nM〜0.003mM)、そして複合体は非常に低いイオン強度緩衝液内でのみ安定であった(Park et al., (1996) J. Am. Chem. Soc. 118, 4235−4239; Morii et al.,(1996) J. Am. Chem. Soc. 118, 10011−10012)。PPBR4SRは、生理学的イオン強度での高親和性、単独、メジャーグルーブ(Major groove)認識の最初の例である。
【0080】
実施例3−DNAへの小型タンパク質結合における疎水性コアの役割
PPBR4SR−hsCRE24複合体安定性への疎水性コア形成の寄与をUV円偏光二色性実験を用いて試験した。円偏光二色性スペクトルは、PBS中でアヴィヴ(Aviv)202CDスペクトル計で記録しそしてバックグラウンド補正を行ったが、平滑化は行わなかった。波長走査は4℃で200と260nmの間を1nm間隔で、それぞれの間隔で5秒間の記録時間をとって行った。熱変性曲線は、222nmにおいて4℃と98℃の間を2℃の段階で、それぞれの温度で1分間の平衡で測定した。平均残留楕円率およびヘリシティの百分率を、バックグラウンド補正をした後の222nmでの値から算出した。
【0081】
27はポリプロリンヘリックスおよびターンを欠き、一方PPBR4−デルタSRは位置4にD−トリプトファンおよび位置31にロイシンを含んでいた。モデル化研究は、これらの置換がポリプロリンまたはα−ヘリックスのキンクによるコア形成を破壊するであろうことを示唆する。G27−hsCRE24およびPPBR4−デルタSR−hsCRE24複合体の安定性は、PPBR4SR−hsCRE24複合体よりもそれぞれ3.1および3.2kcal−mol−1だけ低かった。これらのデータは、疎水性コア形成がPPBR4SR−hsCRE24複合体を3kcal−mol−1だけ安定化したことを示す。
【0082】
実施例4−小型タンパク質結合のDNA配列特異性
PPBR4SRの配列特異性は、hsCRE24(配列番号13)へのその親和性を、C/EBP bZIPタンパク質により認識されるハーフサイトを含む配列であるhsCEBP24(配列番号4)(図2)(Agre et al., (1989) Science 246, 922−926)へのその親和性と上記の電気泳動移動度シフトアッセイを用いて比較して検討した。ハーフサイト(ATTGC)は、CREハーフサイト(ATGAC)と2個の塩基対が相違しそして塩基対特異性の優れた尺度を提供する(Suckow et al., (1993) EMBO J. 12, 1193−1200; Johonson, (1993) Mol. Cell. Biol. 13, 6919−6930)。PPBR4SRはhsCRE24に対して顕著な特異性を示した。PPBR4SRによるhsCRE24の優先認識を記述する特異性比Krel (K (hsCRE)/K (hsCEPB))は、2600(デルタ,デルタ−G=−4.4kcal−mol−1)であった。反対に、GCN4のbZIP要素を含んでなるG56は、低い親和性を示した。118および180の特異性比は、hsCEBP24(配列番号4)に優先するG56によるCRE24(配列番号3)の結合およびhsCEBP24に優先するhsCRE24の結合に対して観察された(それぞれデルタ,デルタ−G=−2.6および−2.9kcal−mol−1)。G56およびPPBR4SRの相対特異性は、2種のDNAの半分を結合するために必要なそれぞれのタンパク質の濃度を考慮した場合に最も認められる。PPBR4SRに対して、この相違は2600の比に相当し、一方G56に対して、これは11の比に相当する。PPBR4SRはhsCRE24とhsCEBP24との間の2個の塩基対の相違を、G56が6〜10個の塩基対が相違する2個の配列であるhsCEBP24をCRE24から識別するよりも容易に識別する。これらの比較は、PPBR4SRが、設計の基礎とされたタンパク質であるGCN4よりもさらに著しく選択性であることを強調する。
【0083】
実施例5−小型タンパク質をコードする合成遺伝子の構築
以下に詳細に記載するように、ファージ提示ベクターpJC20は、一価ファージ提示ベクターpCANTAB5E(Pharmacia) より誘導された。pJC20は、pCANTAB5E内に見いだされたユニークなSfiIとNotIとの制限部位の間にaPPをコードする合成遺伝子を挿入することにより調製された。合成aPP遺伝子は、大腸菌内の最適タンパク質発現のためのコドンおよびpCANTAB5E中に存在しない4個の制限部位(XmaI、AgeI、BglIIおよびPstI)を含んでいた。これらの制限部位は、種々の別個の小型タンパク質をコードする遺伝子の効率的な構築ならびに遺伝子多様性の導入を可能とする。ベクターpJC21は、PPBR4の残基18−42をコードする合成遺伝子を、pJC20のユニークなBglIIとNotIとの間に挿入することにより調製された。pJC20とpJC21の正確性は、自動化DNA配列決定により確認された。
【0084】
aPPのための合成遺伝子は、大腸菌内での発現を最適化するために選択されたコドンを用いて構築されそしてカセット変異誘発を促進するために4個のユニーク制限部位を組み込んだ。142塩基対の二重鎖挿入は、相互プライムする合成および互いに19塩基対が重なるオリゴヌクレオチドAPP.TS(CTA
TGC GGC CCA GCC GGC CGG TCC GTC CCA
GCC GAC CTA CCC GGG TGA CGA CGC ACC
GGT TGA AGA TCT GAT CCG TTT CTA CAA
CGA CCT GCA GCA GTA CCT GAA CGT TGT
TAC CCG TCA CCG TTA CGC GGC CGC AGG
TGC G)(配列番号39)およびAPP.BS(CTA TGC GGC
CCA GCC GGC CGG TCC GTC CCA GCC GAC
CTA CCC CGG GTG ACG ACG CAC CGG TTG
AAG ATC TGA TCC GTT TCT ACA ACG)(配列番号40)を用いて作製した。反応混合物(20ml)は、8ピコモルAPP.TS、8ピコモルAPP.BS、1xサーモポル(ThermoPol) 緩衝液(New England Biolabs) 、2mg BSA、1mM dNTPs、25mCi〔ガンマ−32P〕ATP、5mM MgSO および2mlヴェント(Vento) (exo−)DNAポリメラーゼを含み、そして94℃で30秒間、60℃で30秒間および72℃で1分間インキュベーションした。主要な反応産物を変性(8M尿素)10%アクリルアミド(29:1アクリルアミド:ビス−アクリルアミド)ゲルから精製しそしてプライマーCTA TGC GGC CCA GCC GGC CGG(配列番号41)およびCGC ACC TGC GGC CGC GTA
ACG(配列番号42)の1500ピコモル、0.010ml鋳型、0.25mM dNTPs、5mM MgSO 、1xサーモポル緩衝液(New England Biolabs) および2mlヴェント(exo−)(New England Biolabs) を含む0.100ml体積中でPCRにより増幅した。PCR反応は、変性(94℃で30秒間)、アニーリング(60℃で30秒間)および伸長(72℃で1分間)の30サイクルで行った。挿入物をSfi Iを用いて50℃でNEB緩衝液2中、4時間消化した。次いでこの緩衝液に最終濃度100mMまでNaClを、そして最終濃度50mMまでトリス−HCLを補足して、次いでNot Iを用いて4時間、37℃で消化した。得られた挿入物を、800単位T4 DTTリガーゼ(New England Biolabs) 、50mM トリス−HCl(pH7.8)、10mM MgCl 、10mM DTT、25mg/mlBSA、1mM ATP、250ng pCANTAB5E(pH7.8)を含む反応混合物中、16℃で1.5時間でベクターpcANT AB−5E(Pharmacia) 内に連結した。連結産物をエレクトロポレーションによりTG1大腸菌中に形質転換しそして得られたプラスミドをpJC20と名付けた。PPBR4のための合成遺伝子は、aPP合成遺伝子(pJC20中)の3’末端の57塩基対を、PPBR4のC−末端25アミノ酸をコードする配列で置換して作製した。
【0085】
オリゴヌクレオチドPPBR4TS(GAT CTG AAG CGC TTT CGT AAC ACC CTG GCT GCG CGC CGT TCC CGT GCA CGT AAA GCT GCA CGT GCT GCA GCT GGT GGT TGC GC)(配列番号43)およびPPBR4BS(CGC ACC TGC GGC CGC GCA ACC ACC AGC TGC AGC ACG TGC AGC TTT ACG TGC ACG GGA ACG GCG CGC AGC CAG GGT GTT ACG AAA GCG CTT CAG ATC TTC AAC C)(配列番号44)をアニールしそして5’末端をリン酸化してPPBR4挿入物を形成した。あらかじめBglIIおよびNotIを用いて消化したpJC40内にPPBR4挿入物を連結し、次いで酵素を用いて脱リン酸化した。連結反応混合物は、50mMトリスHCl(pH7.8)、10mM MgCl 、10mM DTT、25mg/mlBSA、1mM ATP、90ng 消化pCANTAB−5Eおよび8ngのアニールした挿入物中に800単位T4 DNAリガーゼを含んでいた。反応の後、連結混合物をエレクトロ−コンピテントTG1大腸菌内に形質転換した。プラスミドは消化したpJC21であった。すべての最終構築物の配列は自動化配列決定により確認した。
【0086】
実施例6−DNA結合小型タンパク質ファージライブラリー構築
100mg/mlアンピシリンおよび2%グルコースを含む2xYTの10ml体積を、プラスミドpJ20またはpJ21を含むTG−1大腸菌の500mlの一晩培養物を用いて接種し、そして37℃でOD600 =0.8となるまで振とうした。M13KO7ヘルパーファージの4x1010pfuを加えそしてさらに1時間振とうを続けた。細胞を15分間、5000xgでペレット化しそして100mg/mlアンピシリンおよび50mg/mlカナマイシンを含む2xYTの等量中に再懸濁しそして10時間振とうしながら培養した。細胞を20分間、5000xgの遠心分離でペレット化しそしてファージ上清を0.45ミクロンフィルターを通して濾過し、次いで氷上のPEG/NaCl(ddH O中の20%w/v PEG8000、2.5M NaCl)を用いて45分間沈降させた。ファージを13000xgで30分間、4℃でペレット化しそして結合緩衝液中に再懸濁した。
【0087】
実施例7−M13ファージによる小型タンパク質の発現
ファージの表面上での小型タンパク質発現に向けた第一段階として、発明者らは、lacプロモーターの制御下にある合成遺伝子からaPPが発現されることを確認しようと試みた。この目的で、pJC20を内包するTG−1大腸菌をイソプロピルチオガラクトシド(IPTG)を用いて誘導し、溶解しそして細胞溶解物をラビット抗aPP抗体(Peninsula Laboratories, #RGG−7194) を用いて以下の記載のようにしてプローブした。
【0088】
pJC20を含むTG1細胞を、1時間、30℃で100mg/mlアンピシリンおよび2%グルコースを含む2xYT中で培養した。細胞を5000xgで遠心分離してペレット化しそして100mg/mlアンピシリンおよび1mM
IPTGを含む等量の2xYT中に再懸濁し、3時間、30℃で培養し次いでSDS試料緩衝液中で煮沸して溶解した。アリコートをファルマシア・ファスト(Pharmacia Phast) HOMO20ゲル上に加えそして溶液前端がゲルから流出するまで95℃で電気泳動した。ゲル中のタンパク質をインモビロン(Immobilon) −P膜に65℃で1時間で転移した。膜を30分間、0.5%BSAを含むTBST(20mMトリス−HCl(pH8.0)、150mM NaCl、0.05%トウイーン−20)を用いてブロックし次いで4mg/mlで提供されたラビット抗−aPP(Peninsula Laboratories, #RGG−7194) の1:10000希釈物と一緒にインキュベーションした。次いで膜をTBSTを用いて3回洗浄し(1回の洗浄は5分間)、次いでヤギ抗ラビットアルカリホスファターゼ共役物(Santa Cruz sc−2007)を1:1000希釈で含むTBSTを用いてインキュベーションした。TBSTを用いる5分間洗浄3回およびTBS(トウイーン−20を含まないTBST)を用いる洗浄1回の後、膜をVISTRA ECF(Pharmacia) を用いて染色しそしてSTORM850ホスホイメージャー(Molecular Dynamics)で405nmにおいて可視化した。
【0089】
ファージ粒子上のウエスタンブロットのために、ファージ10mlを作製しそして上記のようにしてPEG/NaClを用いて沈降させた。次いでファージを1ml ddH O中に再懸濁し、PEG/NaCl200mlを用いて沈降させ、100ml ddH O中に再懸濁しそして95℃でSDS試料緩衝液中で10分間加熱した。次いでファージタンパク質を10%SDSゲル(29:1アクリルアミド:ビスアクリルアミド)に加えそして20mAでトリス−グリシン電気泳動緩衝液中で溶剤前端がゲルから流出するまで電気泳動した。分離したタンパク質をインモビロン−P膜(Millipore) に20Vで4時間、タウビン(Towbin)緩衝液(20%MeOH、25mMトリス−HCl(pH8)、192mMグリシン、0.1%SDS(w/v))を含むTE62装置(Pharmacia) を用いて4℃で転移した。TBST中の5%脱脂牛乳を用い16時間ブロックしそしてTBSTを用いる洗浄2回(1回の洗浄が5分間)の後、2.5%脱脂牛乳を補足したTBST中の抗aPPを用いて30分間、膜をプローブした。膜を3回(1回の洗浄は5分間)TBSTを用いて洗浄し、次いで2.5%脱脂牛乳を含むTBST中で1:5000の希釈のヤギ抗ラビットアルカリホスファターゼ共役物(Santa Cruz sc−2007)に15分間露出した。TBSTを用いる洗浄3回(1回の洗浄が5分間)およびTBSを用いる洗浄2回(1回の洗浄が5分間)の後、膜をVISTRA ECF(Pharmacia) を用いて染色しそしてSTORM850ホスホイメージャー(Molecular Dynamics)で405nmにおいて可視化した。
【0090】
これらの実験は、M13バクテリオファージのマイナーキャプシドタンパク質IIIに融合したaPPのIPTG誘発発現の明確な証拠を実証する。融合タンパク質が有効なファージ粒子内にアセンブルされたかどうかを研究するために、精製されたファージは、ファージタンパク質をSDS−PAGEを用いて分離しそしてラビット抗aPP抗体を用いてプローブした。ウエスタンブロットは、aPPおよびタンパク質IIIを含む融合タンパク質が完全にアセンブルされたM13ファージ粒子中に組み込まれたことを明確に示す。pJC21を有する細胞から産生されたファージがラビット抗aPP抗体を用いてプローブされた場合に、いかなる兆候も観察されなかった。
【0091】
実施例8−ファージ上のDNA結合小型タンパク質の機能選択
PPBR4の最適化に向けた第一段階として、発明者らは、PPBR4を示すファージが特異性DNA結合に基づいて分別された場合に、aPPを有するファージ上で選択できたことを確認した。PPBR4またはその前駆体であるaPPのいずれかを示すファージを、PPBR4により認識される5塩基対配列、ハーフサイトCRE(hsCRE、ATGAC)を含む24塩基対二重鎖オリゴヌクレオチドでコートされた磁性ビーズに対してパン(pan) した。DNAを3’ビオチンTEG(トリエチレングリコール)リンカー(Glen Research) を介してストレトアビジンコートしたビーズに付着させた。パニング(panning) は本質的に以上の記載および以下の記載のようにして行った(Choo & Klug, (1994) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91, 11163−11167)。
【0092】
パニング実験のために、ストレプトアビジンをコートしたM−280磁性ビーズ(Dynal) 0.5mgを6回、2xB+W緩衝液(10mMトリス−HCl(pH7.5)、1mM EDTA、2.0M NaCl)の50mlを用いて洗浄した。それぞれの洗浄段階は2分間で行った。ビーズを6%脱脂牛乳を含む1xB+W50ml中で14時間インキュベーションしてブロックした。次いでビーズを5回、1xB+W50mlを用いて洗浄しそして一本の鎖上に3’ビオチン標識を有する約1mM 二重鎖hsCRE242を含む1xB+W50ml中に20分間で再懸濁した。この操作は、ビーズmgあたりに約75ピコモルDNAを負荷した。次いでビーズをファージ結合緩衝液(0.4mg/ml BSA、0.1%NP−40および2.5mgのポリdIdCを補足したリン酸緩衝生理食塩水)50mlを用いて5回洗浄した。0.4mlの体積の1010ファージをビーズに4℃で加えそしてラブクエークシェーカー・ロティセリー(Labquaker shaker rotisserie) 上で2時間回転しながらインキュベーションした。ビーズを5回、5分間、4℃で洗浄緩衝液(ポリ−dIdCを欠くファージ結合緩衝液)を用いて洗浄した。結合ファージを4M NaCl含む洗浄緩衝液を加えて溶離しそして温度を25℃に2時間上昇させた。溶離物200mlおよびパニングされなかったファージ200mlを対数期のTG−1大腸菌7mlを感染させるために使用した。1時間後に、感染した細胞の段階希釈物をSOBAG(100mg/mlまでのアンピシリンおよび2%グルコースを補足したSOB培地)上にプレーティングしそして12時間、30℃で培養した。保持率の値を算出し、ここで保持率=(出口力価/入口力価)x100である。
【0093】
本実験において、洗浄条件はEEBR4を示すファージおよびaPPを示すファージの微分保持率(Differential retention)を最大とするように最適化した。0.1%NP−40、0.4mg/mlBSAおよび2.5μg/mlポリ−dIdCを補足したリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で、hsCREビーズ上のPPBRE4ファージの保持率は、aPPファージのものより10倍大きかった。この結果は、タンパク質グラフト化により産生された小型タンパク質が機能的にM13ファージ上で選択できることを示す。
【0094】
実施例9−高度に選択性のDNA結合小型タンパク質の単離
高い親和性および特異性をもって結合するほぼ折り畳まれたPPBR4類似体を同定するために、上記の実施例中の記載と本質的に同様にして2種のファージライブラリーを創成した(図3)。ライブラリーAおよびBのメンバーは、PPIIヘリックス上の3(ライブラリーA)または4(ライブラリーB)位置でPPBR4と相違する。ライブラリーAの位置2および5で保持されるプロリン残基は、PP−折り畳みタンパク質の間で高度に保存される。これら2個のプロリンの保存は、ライブラリーAメンバーに利用できるコンフォーメーション空間を有効に制約しそして大部分がN−末端PPIIヘリックスを含むことが予想された。かかるコンフォーメーション的制約はライブラリーBには存在せず、DNA結合α−ヘリックスを安定化するために多数の方法があるであろうことが認められる。
【0095】
ライブラリーBの位置2および5におけるアミノ酸はプロリンに制限されないので、このライブラリーは利用できるファイ−プサイ空間の大きい部分を試料採取すると予想される。ファージは、配列ATGAC(hsCRE)を含むオリゴヌクレオチド二重鎖を結合するこれらの能力に基づいて3ラウンドで分別された。室温で高い親和性をもってhsCREを結合した配列の同定に有利とするために、4℃での選択の2ラウンドに続いて室温で1ラウンド行った。最終ラウンドには、ライブラリーAファージをPPBR4ファージにのみ同程度であるレベルで保持しそしてそれ以上の考慮は行わなかった。ライブラリーBファージは、最初のラウンド後にPPBR4ファージと同程度のレベルで保持されたが、しかしその後の2ラウンドの後のPPBR4ファージよりも15〜16倍良いレベルであった。12個のライブラリーBクローンを第3ラウンドの後に配列決定した(図3c)。6個の配列(p007、p009、p011、p012、p013、およびp016)を合成しそして4個のDNA結合性を詳細に分析した。
【0096】
定量的な電気泳動移動度シフト実験は、p007、p011、p012、およびp016のDNA親和性を評価するために上記の実施例に記載のようにして行った。試験したすべてのペプチドは、PPBR4またはG27(CGN4の単離された塩基性領域)と同様にまたはこれより良くhsCREを結合した。4℃で、p011およびp012は1.5±0.2nMおよび2.5±0.5nMの親和性でhsCREを結合し、一方p016は300±60pMの親和性でhsCREを結合した。特に興味があるのはp007であって、これは解離定数23±1.2pMで例外的に安定な複合体を形成してhsCREを結合した。このペプチドはPPBR4(K =1.9±0.2nM)よりも約100倍良くそしてG27(K =410±53nM)よりも約20,000倍良く特定のDNAを結合した。さらに25℃で、p007は1.6±0.1nMの親和性でhsCREを結合した。PPBR4またはG27のいずれもこの温度でDNA結合の証拠を示さなかった。p007は、DNAの5塩基対を400nMの親和性で結合するトラムトラック(Tramtrack) ジンクフィンガー(タンパク質)からの2個のフィンガー(Segal & Barbas,(2000) Curr. Op. Chem. Biol. 4, 34−35)よりも著しくさらに緊密に特定のDNAを結合する。
【0097】
実施例10−高度に選択性の小型タンパク質DNA結合の特異性
DNA結合の特異性は、上記の実施例に記載と同様にして定量的電気泳動移動度シフトアッセイを用いて5塩基対hsCRE配列内に2個の塩基対変化を含む数種の二重鎖オリゴヌクレオチドに関してp007の親和性を決定して研究した。p007は極端に識別性であり、200および800の間の特異性比R(特異性および変異複合体の解離定数の比として定義される)を示す(デルタ,デルタG=−3.3〜4.0kcal mol−1)。差別のこの高いレベルは、5塩基対hsCRE配列の全体にわたって観察され、一つの相互作用がp007−hsCRE複合体の自由エネルギーを支配するのではないことおよび結合エネルギーが全タンパク質DNA界面にわたって分布していることを示す。反対に、4℃で、PPBR4は、hsCREの5’末端における変異を有する配列に対して識別性が低い(デルタ,デルタG=−1.7kcal mol−1)。
【0098】
これら4個以外のDNA配列がp007を緊密に結合する可能性を研究するために、どちらかのDNA鎖上のすべての登録中に潜在的結合部位を有するコウシ胸腺DNA(CT DNA)に対するp007の親和性を測定した。CT DNA内のいずれの部位に対しても優先するhsCREの認識に対する平均特異性比は、4169であった。この比は、潜在的競合部位の数(4 =1024)よりも著しく大きい。3重のジンクフィンガー構築物Zif268およびファージ提示により選択されたその変種はこれらの9個の塩基対結合部位の1〜2個の塩基対を一義的には特定しないけれども(Li et al., (1992) Biochemistry 31, 1245−1253)、p007は完全にその標的配列のすべての5個の塩基対を指定する。実際、それぞれの可能な5個の塩基対競合部位が標的部位に等しいモル濃度で存在しても、p007分子の80%は、質量作用の効果にもかかわらすhsCREに結合するであろう。
【0099】
実施例11−小型タンパク質構造のNMR特性検討
NMR分光分析のために、p007を、4mM KCl、205mM NaCl、6.5mM Na HPO 、2.1mM KH PO (pH7.4)を含む90%H O/10%D O中に溶かした。ペプチド濃度は約1.5mMであった。化学シフトは内部3−(トリメチルシリル)プロピオン−2,2,3,3−d4酸、ナトリウム塩よりのppmで表した。すべてのスペクトルをヴァリアン(Varian)800MMzイノヴァ(Inova) 装置を用い、2℃でスイープ幅9000Hzを用いて記録した。NOESY実験は、4096t2x500t1複合点を有する水抑制のためのウオーターフリップ−ウオーターゲート(waterflip−watergate) パルス配列を用いて行った。50、150および300msの混合時間を得た。DQF−COSYスペクトル(60ms混合時間)は2048t2x300t1複合点で得られた。データ処理はフェリックス(Felix) 98(MSI)を用いるシリコン・グラフィックス(Silicon Graphics)ワークステーションで行った。自由誘導減衰のフーリエ変換の前に、ガウスウインドウ関数をNOSEYスペクトルに適用し、一方カイザーウインドウ関数をDQF−COSYスペクトルに適用した。NOSEYスペクトルのディジタル分解度は2.2Hz/ptであった。DQF COSYデータはゼロフィリングであり1.1Hzのディジタル分解度をもつ8192x8192マトリックスを得た。スペクトルは標準方法により帰属させた。
【0100】
多次元NMR実験は、p007の構造の詳細な特性化を可能とした。p007中のバックボーンおよび側鎖結合性は、合理的に分散したNOSEYスペクトルに基づいて帰属させた。位置iとi+3およびiとi+4における残基間のアミド−アミドクロスピークの存在は、残基14−30に対するα−ヘリックスコンフォーメーションを定義する。残基8と17、8と20、7と20、5と20、4と27、2と29、2と30の間の11個の長距離NOEは、1.6オングストロームのバックボーンrmsdを有するaPPの残基5−8および15−28上に重ねられる折り畳み構造を規定する。従って、p007おおびaPPの主鎖折り畳みは著しく類似し、ここで残基5、7および8は残基20に近位であり、そして残基1および2は残基30に近位である。膵臓折り畳みポリペプチドの以前の研究のように(Blundell et al., (1981) 78, 4175−4176) 、p007の残基1−8に提案されたPPIIヘリックスはNMRデータにより定義されない(under−defined) 。しかし、aPPとp007折り畳みの間の類似性を考慮して、p007はPPIIヘリックスに類似した構造を含むに違いない。
【0101】
実施例12−タンパク質結合小型タンパク質ファージライブラリー構築
aPPBAKライブラリーを構築するために、変異誘発をNNSコドンスキームを用いて行った。ここでN=いずれかの塩基そしてS=G/Cである。このスキームは、全ての20種のアミノ酸および使用した大腸菌SupE系統内でグルタミンの挿入により阻害されているアンバー終止コドンTAGをコードする。オリゴヌクレオチドBAKLIB:GGT GAC GAC GCA CCG GTT GAA GAT CTG ATC CGC TTT GTT NNS CGT CTG CTG NNS TAC ATC NNS GAC NNS ATC AAC CGT CGT GCG GCC GCA GGT GCG(配列番号45)およびPBAKLIB CGC ACC TGC GGC GGC ACG ACG(配列番号46)を合成しそして変性ゲル電気泳動により精製した。それぞれのオリゴヌクレオチド400ピコモルを全体積0.20ml中の1xシークエナーゼ(Sequenase) 緩衝液(USB)中でアニールした。アニールしたオリゴヌクレオチドを、2.5mM dNTPs、1mg/ml BSAおよびシークエナーゼ(USB)50単位を加えそして37℃で30分間インキュベーションしてプライマー伸長により二重鎖DNAに変換した。二重鎖DNAを、全体積0.430ml中で0.015ml BglII、0.015ml NotI、2.5mM DTT、0.1mg/ml BSAを加えて1x緩衝液3(New England Violabs) 内で消化した。反応混合物を等量のトリス緩衝フェノール(pH8.0)を用いて2回抽出しそして500Vで1xTBE中の15%アクリルアミド(29:1アクリルアミド:ビスアクリルアミド)ゲルに加えた。二重に消化した産物をエチジウム染色により可視化、切除および1xTE中に抽出した。挿入物をエタノール沈降させた。ベクターpJC20の0.12mgを全体積0.60ml中でBglII、NotIおよびPstIの0.05mlを用いて消化した。消化したベクターをクロマスピン(Chromaspin)1000サイズ排除クロマトグラフィー(Clontech)およびフェノールクロロホルム抽出次いでエタノール沈降により精製した。連結は、ベクター(pJC20)830ngおよび挿入物14ngを用いて連結発現キット(Chromaspin)を用いて行った。TG−1大腸菌内へのエレクトロポレーションによる形質転換は、3x10 個の形質転換体を生成した。形質転換体の数は、ライブラリーの理論的な多様性(32 =1.05x10 )よりも大きくそしてライブラリーは統計学的に90%以上完全である。20個のクローンの自動化DNA配列決定は、変異遺伝子がすべての場合に正しく挿入されたことを示した。
【0102】
実施例13−ファージ上のタンパク質結合小型タンパク質の機能選択
aPPBAKライブラリーのバイオパニング(biopanning)のために、グルタチオン被覆マイクロタイタープレート(Reacti−結合グルタチオン被覆プレート#15140、Pierce) を、各洗浄にPBS0.20mlを用いて3回洗浄した。ヒト組換えBcl−2(1−205)をサンタクルス・バイオテクノロジー(Santa CruzBiotechnology)から可溶性GST−融合物として入手した。PBS0.20ml中のBcl−2の9.0ピコモルをそれぞれのウエルに加えそして4℃で12時間、振とうしながらインキュベーションした。次いでウエルを5%脱脂牛乳を含むTBST0.20mlを用いて3時間ブロックした。使用の前に、ウエルを、TBSTを用いて洗浄毎に5分間で3回洗浄した。
【0103】
ファージは、上記の実施例記載のようにして産生、採取および増殖したが、3〜5ラウンドでTG−1細胞の代わりにXL1−ブルー細胞を使用してファージ粒子を増殖した点が異なる。この変更は、これまで選択の後半のラウンドで遭遇した欠失の問題を除き、これはTG−1大腸菌のRecA+性に帰せられる。ファージ粒子をTBST2ml中に再懸濁した。ファージ0.20ml(1x1010粒子)をそれぞれのウエルに加えそして選択の最初の2ラウンドは4℃、終わりの3ラウンドは25℃で3時間インキュベーションした。次いでウエルを10回、TBST0.20mlを用いて洗浄し、その最初のラウンドは2分間洗浄そして以後のラウンド5分間洗浄であった。洗浄は結合反応と同じ温度で行った。選択の5ラウンドの後、16クローンを自動化DNA配列決定により配列決定した。
【0104】
ファージライブラリーBAKLIBを固定化GST−Bcl−2に対するパニングの5ラウンドにかけた。ファージライブラリーの保持率は最初のラウンドの0.01%から最後の第5ラウンドの2.25%まで、選択の過程で225倍増加した。最終ラウンドが25℃で行われ一方最初のラウンドは4℃でおこなわれたので、保持のこの増加はライブラリー保持の改善を過小評価している。5ラウンドの後、16ファジェミド(phagemid)ライブラリークローンを配列決定した。選択された配列(図4)は、高度の収束を示した。7種の別個の配列を単離し、4種の配列は複数回現れた。興味あることに、BakのI81に相当するライブラリー中の残基28は、最初のプール内で固定されるにもかかわらず、16個のラウンド5クローンの11個中でFに変異している。この結果は、骨格の範囲内で、Bcl−2の疎水性ポケット内への結合において、F28がI28よりも良いことを示す。16配列中の11個は、Bak中と同様に位置75および82にグリシンを含む。実際、16回の2個を表す一つの配列は、すべての4つのランダム化された位置においてBakのものと一致する残基を含み、しかしこの配列は位置28でのI−F変異も含んでいた。他のBH3含有タンパク質との選択された配列の比較はさらに類似性を明らかにした。例えば、ライブラリーの位置26では、Rは16個の配列中の7個に存在しそしてRまたはKは、大部分のBH3ドメイン中にこの位置(Bak中の残基79)で優先されるアミノ酸である。同様に、ライブラリーの位置31におけるEは、16個の配列中の6個で選択され、一方E/Dは大部分の既知BH3ドメインの相当する位置で優先されるアミノ酸である。
【0105】
Bakおよびその他のBH3ドメイン中のものへのこの位置において選択されたアミノ酸の類似性は、BH3ドメインの配列がBcl−2ファミリータンパク質を結合するための必要性から起きたことであって、他の生物学的機能のためではないことを示す。さらに、これは、Bakと同様に同じ疎水性ポケット内で選択されたペプチドがBcl−2を結合することを示す。興味あることに、2回現れた一つの配列は、ライブラリーの位置31にトレオニンを含んでいた。この残基は、疎水性コア形成に寄与できるバリンのメチル基およびBH3ドメイン中の本来のD/E残基と同様に水素結合受容体を提供できるヒドロキシル基の両者を提供する。配列決定されたラウンド5クローン中に2回現れる一つの配列は、aPP折り畳み残基と登録されないBcl−2残基の両者を位置させるライブラリー設計に関して、単一アミノ酸欠失を含んでいた。
【0106】
実施例14−タンパク質結合小型タンパク質の合成
Fmoc化学を用いて0.10mMスケールでペプチドを合成した。それぞれのペプチドは、遊離のN−末端アミンおよびC−末端アミドを含んでいた。上記の実施例中の記載と同様にしてペプチドを逆相HPLCにより精製した。2組のペプチド、ペプチド4099−4102およびBakペプチド(配列番号73)を調製した。蛍光標識およびその後のK 決定のためのペプチドは、追加のカルボキシ−末端YC配列(YはBakの本来の配列からもたらされる)を含み、そのシステインは5−ヨードアセトアミドフルオレセイン(5IAF)を用いて標識された。最終濃度200−400mMのペプチドを、C−末端システインの硫黄原子において、DMFおよびPBSの50/50混合物0.20ml中の5IAF(Molecular Probes)の10当量を用いるインキュベーションによりアルキル化した。標識付与反応は、暗所内で6時間、室温で行った。アルキル化は、HPLCにより判定し、本質的に定量的であった。標識したペプチドを逆相C−18 HPLCにより精製した。ペプチドの同定は、MALDI−TOF質量分析(Voyager, Perseptive Biosystems)により確認した。分子量は、予想通りであった:p4099理論〔MH+〕=3907、測定〔MH+〕=3907;p4100理論〔MH+〕=4020、測定〔MH+〕=4020;p4101理論〔MH+〕=3921、測定〔MH+〕=3922;p4102理論〔MH+〕=3901、測定〔MH+〕=3902;Bak72−94理論〔MH+〕=1724、測定〔MH+〕=1723;p4121−flu理論〔MH+〕=4562、測定〔MH+〕=4560;p4122理論〔MH+〕=4675、測定〔MH+〕=4766;p4123理論〔MH+〕=4576、測定〔MH+〕=4577;p4124理論〔MH+〕=4556、測定〔MH+〕=4556;Bak−flu理論〔MH+〕=2535、測定〔MH+〕=2535。ペプチド濃度はアミノ酸分析により決定した。
【0107】
実施例15−他のタンパク質への小型タンパク質の結合
選択されたペプチドまたはBak BH3ペプチドへのBcl−2結合の平衡解離定数を測定するために、0.020−0.040mMの間の一定濃度で加えた蛍光標識ペプチドを用いてPBS中で0.0036mMより段階的に希釈した。4℃における40分間の平衡化の後、PS−220Bランプパワーサプライ(Photon Technologies) を用いてフルオレセインを492nmで励起しそして505と560nmの間の蛍光発光スペクトルを2nmステップで1秒間の平衡時間を用い、5nmスリット幅を用いて814フォトマルティプライアー(photomultiplier) 検出システム(Photon Technologies) に記録した。3回の独立した試験に対する515nmにおける蛍光放出極大を平均しそして以上に記載のようにして解離定数を算出した(need ref)。同様の実験をBakペプチドまたはカルボニックアンヒドラーゼII(Sigma) またはカルモジュリン(Sigma) を結合する選択されたペプチドに対する解離定数を決定するために使用した。カルモジュリン結合は、20nM HEPES(pH7.2)、130mM KCl、1mM CaCl から成る緩衝液中で測定し、一方カルボニックアンヒドラーゼ結合はPBS中で測定した。
【0108】
ラウンド5からの16種の配列決定したクローン内に複数回現れた4種の配列に伴うBakペプチドを化学的に合成した。ペプチドのBcl−2結合親和性は、ペプチドに対するカルボキシ末端フルオレセイン標識の蛍光放出の変化をBcl−2濃度の関数として測定して決定した。このアッセイを確認するために、Bcl−2に結合するBakペプチドに対するK を測定した。このK は363nM±56nMであり、BakペプチドBcl−X 相互作用に対して以前に報告した340nMのK (Bcl−X 中の固有トリプトファンの蛍光クエンチングにより測定)およびBak Bcl−2相互作用に対して報告した約200nMのK (フルオレセイン標識Bakペプチドの蛍光偏光により測定)と一致する。選択したペプチドに対するK は:p4099 K =352±33nM、p4100 K =401±40nM、p4101 K =811±20nM、p4102 K =3700±1400nMであった。欠失がないすべてのペプチドに対するK は、これらが、α−ヘリックス中に欠失を含む変異体p4102よりも著しく良く結合することを示す。この一連のペプチド内で、p4099(GAGT)はp4102(GAGD)よりも約2倍良く結合し、これらは位置31でDがTに変わっているだけである。p4100(GRGE)は、p4099と同程度の親和性で結合し、これらの2種のペプチドがタンパク質−タンパク質界面を形成するための収束性で同等の解決を表すことを示す。
【0109】
Bakペプチドへの4099の特異性を比較するために、カルモジュリンとのこれらの相互作用を研究した。カルモジュリンは、ある範囲のα−ヘリックス、および大きい疎水性くぼみを有するカルボニックアンヒドラーゼIIを結合することが知られる。p4099はカルモジュリンと0.025±0.004mMのK で、Bakペプチドはカルモジュリンと0.025±0.004mMのK で結合した。p4099はカルボニックアンヒドラーゼIIを0.0086±0mMのK で結合し、Bakペプチドはカルボニックアンヒドラーゼと0.0022±0.0046mMのK で結合した。p4099はこれらの非特異性タンパク質を良く識別し、これはペプチドとBcl−2との間の相互作用がファンデルワールス接触の立体特異性の組からもたらされることを示す。
【0110】
実施例16−タンパク質結合小型タンパク質の構造
円偏光二色性スペクトルをアヴィブ202CD分光計でPBS中で記録しそしてバックグランウンドは補正したが平滑化は行わなかった。波長走査は4℃で200と260nmの間、1nm間隔で、それぞれの間隔において5秒間の記録時間をもって行った。Bak(72−94)、4099、4100、4101、4102をそれぞれ濃度0.028mM、0.0069mM、0.0119mM、0.014mMおよび0.016mMの濃度で使用した。熱変性曲線を222nmで4〜98℃の間を2℃段階で、それぞれの温度で1分間の平衡で測定した。ペプチドは、上記の波長走査のために使用した最高の濃度で使用した。平均残留楕円率およびヘリシティ百分率は、バックグランウンド補正の後に222nmの値から算出した。
【0111】
ペプチドの構造を上記のように遠紫外円偏光二色性により研究した。波長走査は、Bakペプチドに対して以前に報告したランダムコイルの特徴を明らかにした。反対に、選択されたペプチド4099、4100、4101、4102は、α−ヘリックス含有の特徴である208および222nmに極小を示す。ペプチド4099の平均楕円率は、0.0011mMの最低測定可能濃度まで濃度に依存しないことを示した。p4099のヘリシティ百分率は、約60%であり、残基14−35がヘリックスコンフォーメーションをとるaPP類似折り畳みと一致する。このヘリシティは、上記の実施例に記載のような高い親和性および特異性を用いてDNAを結合するように発展したペプチドであるp007に見られるものと同様である。ペプチドの熱変性は、222nmにおける遠紫外円偏光二色性により測定した。p4099は約65℃のT を有する協同熱溶融を有し、これはaPPに報告されたT と同程度である。
実施例17−hDM2−p53相互作用を阻害する小型タンパク質
hDM2は、p53活性化ドメイン(p53AD)に結合し、転写装置を有するこのドメインの相互作用を阻害しそして分解のためにp53を標的とすることによりp53を阻害する。p53ADのわずか15個のアミノ酸がhDM2の高親和性相互作用を支持する。p53およびaPPのα−ヘリックスセグメントを図5に整列して記載する。この整列は、3個の重要なhDM2接触残基(Phe22、Leu29、およびTrp26)を、折り畳みにとって重要ないかなるaPP残基を見捨てることなくaPPの露出α−ヘリックス面上に位置させる。p53AD−hDM2構造中の多数のp53残基が理想のα−ヘリックス範囲外のファイ−プサイ角を示すので、α−ヘリックスに沿う5位置において多様性が導入されそしてファージ提示を用いて最高の親和性のリガンドを選択した。生成したM13ファージのライブラリーは、6x10 形質転換体を含み、これは理論的な多様性(3.4x10 )を越える値である。グルタチオン被覆96ウエルプレート上に固定化したGST−hDM2(残基1−188)へのファージの親和性に基づいてファージを3ラウンドで選別した。弱く結合したファージは十分洗浄して除去しそして結合したファージは低pHで溶離した。3回の選択ラウンドは、GST−hDM2に対する親和性において100倍の濃縮に導いた。ラウンド2およびラウンド3からの種々のペプチドを合成しそして蛍光偏光分析のためにフルオレセインを用いてC−末端で標識した。
【0112】
hDM2に対するそれぞれのペプチドの親和性を決定するために、GST−hDM2の種々の濃度(50nM〜0.002mM)を標識したペプチドの一定濃度(25nM)を用い、4℃で20分間インキュベーションした。492nmで試料を照射しそして蛍光を515nmで測定した。p53AD(残基15−33)を含むペプチドを陽性対照として使用した。このアッセイの条件下で、p53AD−hDM2複合体を、直接測定する場合にはK =261nM、競合により測定する場合には1.2mMで特性検討し、蛍光部分がこの相互作用の安定性に対して測定可能な効果を有することを確認した。直接測定する場合には、選択されたペプチドのそれぞれはGST−hDM2に対して高い親和性を示し、その解離定数はナノモル濃度の範囲内であった。選択されたペプチドの一つであるpZutshi(配列番号36)は、p53AD自体よりも著しく強力であり、GST−hDM2をK =99nM±1nMで結合した。このようにpZutshi(p3559)は31個のアミノ酸を含み、p53ADペプチド(およびその変種)が109残基チオレドキシンの活性部位ループ内に組み込まれた進化したタンパク質アンタゴニストに類似の活性を示す。
【0113】
pZutshiとhDM2との間の相互作用の特異性をプローブするために、我々は、ラセン状または疎水性ペプチドまたは小分子を結合する一連の受容体および酵素に対する小型タンパク質の親和性を測定した。多数のα−ヘリックスペプチドおよびタンパク質を結合するその能力のために有名なEFハンドタンパク質であるカルモジュリンは、pZutshiをミリモル濃度範囲の親和性を以て温和に結合した(K ≒2.5mM)。同様のK 値が、他のbZIPタンパク質とダイマー性複合体を形成するFosのbZIP領域(42μM)、CO を結合するカルボニックアンヒドラーゼ(0.298mM)およびプロテインキナーゼA(0.016mM)を用いて行った類似の実験において測定された。これらの複合体の安定性とpZutshiとGST−hDM2との間で形成された複合体との安定性(99nM)との間の大きい相違は、後者の複合体が特異性でありそしてファンデルワールス接触の高い立体特異性組により安定化されていることを示唆する。
【0114】
pZutshiが、p53の同時結合を阻害する様式でhDM2を結合するかどうかおよびこの阻害の濃度依存性を確定するために競合実験を行った。400nM GST−hDM2および10nM p53AD−FluをpZutshiの種々の濃度でインキュベーションしそして平衡におけるp53AD−Flu結合の割合を測定した。pZutshiが存在しないと、p53ADの約60%がこれらの溶液条件下で結合される。pZutshiを添加すると、GST−hDM2に結合したp53ADのフラクション内での濃度依存性低下(K =722nM)となった。同様のK 値がさらに短いおよびさらに長いインキュベーション時間で決定され、平衡に到達していたことを示した。
【0115】
hDM2が存在しない場合のpZutshiの二次構造を円偏光二色性分光測定を用いて研究した。pZutshiのCDスペクトルは、208nmおよび222nmにおける著しく負の楕円率を特徴とし、これはa−ヘリックスを含むタンパク質に対して予想される通りである。温度依存性実験は、pZutshiが47℃のT を特徴とする協力溶融転移を受けることを示した。0.00275および0.00675mMにおけるCDスペクトルは一致し、pZutshiがこの範囲内では濃度依存性コンフォーメーション変化を受けないことを示唆しそして溶液内ので良く折り畳まれたモノマーとしてこが存在することへの支持を提供する。反対に、p53ADのCDスペクトルは、25℃のラセン構造の証拠をほとんど示さない。
【0116】
実施例18−プロテインキナーゼAを阻害するための小型タンパク質
PKA(pPKI1、pPKI2、pPKI3)の3種の異なる可能な小型タンパク質阻害剤を、PKAの公知のα−ヘリックスペプチド阻害剤であるPKIからの残基をaPPの露出α−ヘリックス面上にグラフト化して設計した。これらの可能な小型タンパク質は、PKAを結合しそしてaPPを折り畳むために重要な残基がどのように整列されることに関し、および残基のどの形式が相違の位置に保持されるかに関して異なった。一つの小型タンパク質(aPK12)がPKAを結合して阻害しそしてK =99nMおよびIC50=8nMを示し、これはPKI自体で測定された値(K =31.2nMおよびIC50=8nM)と同様であった。さらにaPK12はPKAを選択的に阻害し、これはATPを模擬する多数の小分子阻害剤とは異なる。8炭素リンカーを介してこのような小分子キナーゼ阻害剤、K252aに束縛されたaPK12の阻害能力を特性化するための研究が進行中である。K252a単独では、PKAとPKCとの間を識別せずそしてPKAを用いた実験で35nMのIC50値を示した。
【0117】
実施例19−同時活性化タンパク質CREB−結合タンパク質(CBP)との相互作用を介する活性化転写のための小型タンパク質
グラフト化プロトコールの第一段階として、プロテインキナーゼA(PKA)認識部位およびヘリックスB(残基130−146)の両者を包含するCREBの領10、PKAによるリン酸化、CBPによる結合またはaPPの折り畳みに必要な残基間に相違が起きないようにしてaPPのα−ヘリックスと整列した。折り畳まれた小型タンパク質の同定を助けるために、これらの残基全部およびaPP PPIIラセンに沿う5位置におけるすべての20アミノ酸を含む(一つの例外あり)ファージ提示のためのペプチドのライブラリーを創成した。これらの位置は配列GXS XXT XXG DDA PVR RLS FFY ILL DLY LDA P(配列番号69)中に「X」で示されている。CREBのTyr134に相当する残基をライブラリー内でPhe残基として固定した。CREB KIDドメインの範囲内で、TyrからPheへの変異はKIXへの親和性に影響しないが、しかしPKAによるリン酸化に対するK を低下する。Phe残基が我々のグラフトしたペプチドの範囲内で類似した役割を演じそしてファージ面上でリン酸化されるこれらの能力を増強すると推論された。グラフト化されたペプチドの残基2、4、5、7おび8は、ライブラリー内のすべての20アミノ酸およびアンバーTAG終止コドンにランダム化された。aPPのポリプロリンラセン内の相当する残基は、疎水性コアに貢献する。我々のライブラリーは5x10 の独立した形質転換体を含み、これは理論的な多様性32 =3.3x10 より大きい。統計的に、ライブラリーは75%完全より大きい。ライブラリーファージをプロテインキナーゼAを用いて処理し、次いで固定化GST−KIXへの結合に基づいて選別した。選択の8ラウンドを行い、その2ラウンドは4℃そして6ラウンドは25℃で行った。
【0118】
20種のクローンをラウンド6および7より配列決定し、そして38種のクローンをラウンド8から配列決定した。一つの配列(PPKID1):GAS DMT YWG DDA PVR RLS FFY ILL DLY LDA P(配列番号70)はラウンド6で1回そしてラウンド7で1回見いだされた。他の配列(PPKID2):GMS RVT PGG DDA PVR RLS
FFY ILR DLY LDA P(配列番号72)はラウンド6で1回、ラウンド7で4回そしてラウンド8で19回見いだされた。この配列は、元のライブラリーと比較して一個のアミノ酸変異(LeuからArg)を含むことに注意のこと。第三の配列(PPKID3):GAS PHT SSG DDA PVR RLS FFD ILL DLY LDA P(配列番号73)は、ラウンド7で2回そしてラウンド8で14回見いだされた。この配列も元のライブラリーと比較して一個のアミノ酸変異(TyrからAsp)を含むが、しかしPPKID2のものとは異なる変異である。
【0119】
これら3種の配列のそれぞれに相当する合成ペプチドをリン酸化および非リン酸化の両方の形で合成し、アセトアミドフルオレセインを用いてC−末端Cys上に標識し、そしてCBPのKIXドメインへのこれらの親和性を蛍光偏光により測定した。これらの結合実験中の陽性対照として使用するために2種のペプチドを合成した。その一つのKID31は、CREBの残基119−148を含み、そしてアッセイがKIX結合親和性の正確な測定を与えることを確実とするために使用した。リン酸化KID31はGST−KIXを0.0012mMのK で結合し、これは550と750nMの間の報告された値に近い値である。CREBの残基130−148(すなわちグラフト化残基)を含む第二のペプチドであるKID20は、単離されたヘリックスBのKIX結合親和性を測定するために使用された。リン酸化KID20はGST−KIXを0.048mMのK で結合した。反対にすべての3種の選択されたペプチドは、リン酸化された場合にも、またさらに弱いけれどの非リン酸化の場合にも共に大幅に高い親和性でGST−KIXを結合した。リン酸化PPKID1:K =31nM、リン酸化PPKID2:K =280nM、非リン酸化PPKID2:K =0.0076mM、リン酸化PPKID3:K =73nM、非リン酸化PPKID3:K =681nM。
【0120】
実施例20−共通小型タンパク質ファージディスプレイライブラリーの調製
小型タンパク質の発見および操作において一般に使用するめに設計される組合せライブラリーも、本発明の方法を用いて構築できる。この共通ライブラリーは、認識のために用いられる天然エピトープの事前知識がなくても、小型タンパク質による核酸、タンパク質または小分子の認識を可能とするエピトープの組み合わせた一組を提示するように設計される。共通ライブラリーは、最適には、疎水性aPPコアの形成に寄与しないaPPの溶剤露出面上の変化する(少なくとも約)6個の残基により形成される(図6)。aPPのこれらの残基は、Tyr21、Asn22、Asp22、Gln23およびAsn26を含む。この共通ライブラリーのすべてのメンバーは、認識のために利用できる多様で機能性な溶剤露出面を導入すると同時に、鳥類膵臓ポリペプチドの顕著な安定性およびコンパクトな構造を保持する。6員ライブラリーの配列空間をカバーするために必要な独立した形質転換体の数(2.5x10 クローン)は実験的に実現可能である。
【0121】
本発明は上記の実施例を引用して詳細に説明したが、本発明の精神から離れることなく種々の変更が可能であることと理解される。従って、本発明は請求の範囲によってのみ限定される。本出願中に引用したすべての特許および出版物は、引用することによって本明細書中に編入される。本明細書中に開示した実験の一部の結果は、すでに公開されている(Zondlo & Schepartz, (1999) J. Am. Chem. Soc. 121, 6938−6939; Chin & Schepartz,(2001) 123 2929−2930)。
【図面の簡単な説明】
【図1】
DNA結合小型タンパク質の設計のためのタンパク質グラフト化戦略。
【図2】
(A)タンパク質設計を誘導するために使用したaPPおよびGCN4塩基性−スペーサーセグメント配列の整列。GCN4中の本質的なDNA接触残基はピンクで示す。aPP中の本質的な折り畳み残基は黄色または青色で示す。相違する位置は破線で示す。(B)使用したペプチドおよびhsCRE4へのこれらの親和性。安定なPPBRSR−hsCRE複合体の平衡解離定数を右に表示する。G56およびG27を除くすべてのペプチドは、これらのカルボキシル末端にGGC配列を含む。G27は1個のシステインを含む。カルボキシ末端システインは、タンパク質モノマー(PPBRSRおよびG27)を研究するためにブロモアセトアミドを用いてアルキル化されるかまたはジスルフィド−連結ダイマー(PPBRSS)を研究するために酸化された。
【図3】
(A)aPPの結晶構造上にマップされた変動を標的とするPPBR4の残基。ライブラリーA中で変化した側鎖は黄色、ライブラリーB中で変化した側鎖は緑色で示す。(B)PPBR4配列および2種のライブラリー配列。変化した残基はXで示す。それぞれの位置をNNSコドンスキームを用いてDNAレベルでランダム化した。(C)3回の選択ラウンド後のライブラリーBクローンのDNA配列から誘導したN−末端アミノ酸の配列。PPBR4の残留残基が続く四角に入れた配列を含むペプチドを合成しそしてこれらの性質を生体外で研究した。
【図4】
BAKLIBファージライブラリーから単離された7種の識別された配列。Bcl−2に結合する小型タンパク質に対する解離定数を右に示す。
【図5】
hDM2に結合するp53を阻害するp53小型タンパク質の配列。aPPコアを安定化する残基は黄色または青色、hDM2を結合すことに貢献する残基を紫色、ファージ提示により同定された残基を赤色で示す。安定なPPBRSR−hsCRE複合体の平衡解離定数を右に表示する。
【図6】
aPP溶剤露出面(上図)上の変化(ベージュ色)のために選定された6個の残基の相対配置を示す共通ライブラリーの図2枚。左側の図はα−ヘリックスに沿って位置し、右側の図はα−ヘリックス軸に垂直に位置する。青色の残基はaPP疎水性コアを形成するために貢献する。aPPおよび共通ライブラリーの整列(下図)。青色の残基はaPP疎水性コアを安定化する。赤色の残基は変化を標的とする。

Claims (22)

  1. 少なくとも1個のアミノ酸残基の置換により改変された鳥類膵臓ポリペプチドであって、上記の少なくとも1個の残基が、ポリペプチドが三次形態にある場合にポリペプチドのα−ヘリックスドメイン上に露出している鳥類膵臓ポリペプチド。
  2. 少なくとも6個の置換残基が置換されている、請求項1記載の改変ポリペプチド。
  3. 少なくとも8個の置換残基が置換されている、請求項1記載の改変ポリペプチド。
  4. 少なくとも10個の置換残基が置換されている、請求項1記載の改変ポリペプチド。
  5. 少なくとも12個の置換残基が置換されている、請求項1記載の改変ポリペプチド。
  6. 上記の少なくとも1個の置換残基が、既知タンパク質を介して他の分子との相互作用が起きる該既知タンパク質上のいずれかの部位より選択される、請求項1記載の改変ポリペプチド。
  7. 既知タンパク質がGCN4、CEBP、Max、MycおよびMyoDよりなる群より選ばれる、請求項6記載の改変ポリペプチド。
  8. 部位が結合部位である、請求項1記載の改変ポリペプチド。
  9. 結合部位がDNA結合部位である、請求項8記載の改変ポリペプチド。
  10. DNA結合部位が、CREハーフサイト、CEBPハーフサイト、MyoDハーフサイトおよびQ50エングレイルド変異部位よりなる群より選ばれる、請求項9記載の改変ポリペプチド。
  11. 結合部位がタンパク質結合部位である、請求項8記載の改変ポリペプチド。
  12. 既知タンパク質がダブルマイニュート2、Bcl−2、プロテインキナーゼA、JunおよびFosよりなる群より選ばれている、請求項6記載の改変ポリペプチド。
  13. 既知タンパク質と他の分子との間の相互作用が阻害されている、請求項1から12までのいずれかに記載の改変鳥類膵臓ポリペプチド。
  14. 請求項1から12までのいずれかに記載の改変鳥類膵臓ポリペプチドを発現する複数の組換えファージを含んでなるファージディスプレイライブラリー。
  15. 請求項1から12までのいずれかに記載の改変鳥類膵臓ポリペプチドを発現する複数の組換えファージを含んでなるファージディスプレイライブラリー。
  16. 少なくとも1個のアミノ酸残基の置換により改変されたタンパク質骨格を発現する複数の組換えファージを含んでなるファージディスプレイライブラリーであって、上記の少なくとも1個の残基が、ポリペプチドが三次形態にある場合にポリペプチド上に露出しているファージディスプレイライブラリー。
  17. 該タンパク質骨格が鳥類膵臓ポリペプチドを含んでなる、請求項16記載のファージディスプレイライブラリー。
  18. 請求項16または17記載のライブラリーより選ばれるファージ。
  19. (a)配列番号8、9、10、11、12、13、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、31、33、34、35、36、37、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、70、71または72のアミノ酸配列を含んでなる単離されたポリペプチド、
    (b)配列番号8、9、10、11、12、13、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、31、33、34、35、36、37、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、70、71または72の少なくとも12個のアミノ酸のフラグメントを含んでなる単離されたポリペプチド、
    (c)配列番号8、9、10、11、12、13、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、31、33、34、35、36、37、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、70、71または72のアミノ酸配列を含んでなり、1個またはそれ以上の保存性アミノ酸置換を含んでなる単離されたポリペプチド、
    (d)配列番号8、9、10、11、12、13、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、31、33、34、35、36、37、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、70、71または72のアミノ酸配列を含んでなり、1個またはそれ以上の天然に存在するアミノ酸配列置換を含んでなる単離されたポリペプチド、および
    (e)配列番号8、9、10、11、12、13、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、31、33、34、35、36、37、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、70、71または72に少なくとも95%のアミノ酸相同を有する単離されたポリペプチド
    よりなる群より選ばれる単離されたポリペプチド
  20. 請求項19中のポリペプチドのいずれか1種をコードする核酸。
  21. (a)既知タンパク質と他の分子との間の結合に寄与する少なくとも1個のアミノ酸残基を同定し、そして
    (b)ポリペプチドが三次形態にある場合に、上記の少なくとも1種のアミノ酸残基がポリペプチドのα−ヘリックスドメイン上に露出するように、上記の少なくとも1個のアミノ酸残基の置換により鳥類膵臓ポリペプチドを改変する、
    段階を含んでなる、既知タンパク質と他の分子との間の相互作用を調節するミニタンパク質を調製する方法。
  22. 既知タンパク質と他の分子との間の会合を調節するタンパク質骨格を提示する請求項16記載のファージディスプレイライブラリーから、少なくとも1種の組換えファージクローンを単離する段階を含んでなる、既知タンパク質と他の分子との間の相互作用を調節するミニタンパク質を同定する方法。
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