JP2008506788A - 多剤形態の送達用の薬用量形態 - Google Patents

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Abstract

(a)薬品の粉砕されたまたは液体の塩基形態、(b)薬品の製薬学的に許容可能な塩形態または反応して薬品の製薬学的に許容可能な塩形態を生成可能な出発物質のいずれか、(c)上部胃腸系統への製薬学的に許容可能な塩形態放出構造、および(d)結腸系統への塩基形態放出構造を包含する調節放出薬用量形態並びに関連する方法が開示される。

Description

発明の分野
本発明は薬剤の調節送達、薬用量形態およびそれらの方法に関する。特に、本発明は多剤形態を送達して治療効果を得るための薬用量形態および方法に関する。特別に、本発明は異なる薬品形態を胃腸管の異なる領域に投与して各薬品形態が持続した期間にわたり別個に調節されたまたは調節可能な放出速度で送達される方法に関する。
発明の背景
従来の製薬学的な開発では例えば酸、塩基または塩の如き薬用量形態の選択は一方では最も安定な薬用量形態を得ることにそして他方では上部GI管内の最大吸収を与えることに基づく。ほとんどの薬品薬用量形態は薬品薬用量の即時放出用に設計されるため、薬用量形態は上部GI管内に良好に溶解しそして普通は小腸および大腸のGI環境(pH=約5−7)内で高度に解離されるように、すなわち、高度に充填されるように、製造される。
上部GI管は下部GI管より薬品の吸収用のはるかに大きい表面積を有するため、製薬学的な開発は典型的には下部GI管の代わりに上部GI内の吸収用の薬品形態を目標とする。結腸は小腸の微絨毛を有していないため、小腸の吸収表面対結腸のものの比は480である。
しかしながら、上部GI内での高い吸収を示すある種の薬品形態は下部GI内の非常に劣悪な吸収を有する。例えば、高溶解度のある種の薬品塩類は小腸内で実際に良好に吸収されるが、下部GI管内では良好に吸収されない。また、アミノ酸類を含んでなる薬品組成物は典型的にはGI管内でアミノ酸輸送体を介して吸収される。アミノ酸輸送体はほぼ専ら小腸内で(そして結腸内でない)見出されるため、多くのアミノ酸薬品組成物の吸収は結腸内では小腸内よりはるかに劣悪である。
上部GI管内での薬品の典型的な滞在時間は約4〜6時間であるため、劣悪な結腸吸収性を有する薬品は経口摂取後のわずかに4〜6時間の期間にわたり身体により吸収される。しばしば、投与された薬品が患者の血液流の中に比較的一定の濃度で1日中存在することが医学的に望ましい。これを最少の直腸吸収性を示す従来の薬品調合物を用いて達成するには、患者は薬品を1日3〜4回摂取する必要があろう。患者に対するこの不便さを伴う実際の経験は、これが最適な処置プロトコルでないことを示唆する。従って、1日中の長期吸収性を有するそのような薬品の1日1回投与が達成されることが望まれる。
一定の投薬処置を提供するために、従来の製薬学的な開発は種々の調節放出薬品システムを示唆した。そのようなシステムは、薬品のそれらの負荷を投与後長期間にわたり放出することにより、機能する。しかしながら、調節放出システムのこれらの従来形態は最少の結腸吸収性を示す薬品の場合にはあまり有効でない。薬品は上部GI管内にだけ吸収されるためそして上部GI管内の薬品の滞在時間は4〜6時間だけであるため、提案された調節放出薬用量形態がその負荷を上部GI内の薬用量形態の滞在時間後に放出するかもしれないことはその物体が4〜6時間の上部GI滞在後に調節放出薬品を吸収し続けることを意味しない。その代わりに、薬用量形態が下部GI管に入った後に調節放出薬用量形態により放出される薬品は一般的に吸収されずそして下部GIからの他の物体と共に身体から排出される。
これに答えてそしてこれを認識して、先行技術は延長放出薬品薬用量形態の上部GI管内の滞在時間を増加させることを意図する機構を工夫することにより治療剤を提供することを試みてきた。これらは普通はかろうじて改良された結果だけを与えてきた。
さらに最近では、特許文献1は活性剤の放出が異なる活性剤の複数の生腐食性層、活性剤の異なる量および/または活性剤の異なる形態の使用により調節される錠剤を開示している。多層錠剤は消化管を通る経路の中でゆっくり溶解するため、それは変動量の活性剤または異なる活性剤を異なる時間でそして異なる解剖学的区分内に放出する。しかしながら、この特許は上部および下部GIの間の薬品の異なる吸収性の問題をどのようにして扱うかを開示していない。
米国特許第6,419,954号明細書
それ故、GI管全体にわたる薬品の吸収性を改良するための化合物、方法および生成物を開発する必要がある。そのような化合物、方法および生成物の利点はおびただしい。
発明の要旨
一面で、本発明は(a)薬品の粉砕されたまたは液体の塩基形態、(b)(i)薬品の製薬学的に許容可能な塩形態または(ii)反応して薬品の製薬学的に許容可能な塩形態を生成可能な出発物質のいずれか、(c)上部胃腸系統への製薬学的に許容可能な塩形態放出構造、および(d)結腸系統への塩基形態放出構造を含んでなる調節放出薬用量形態に関する。別の面で、本発明は上部胃腸系統への製薬学的に許容可能な塩形態放出構造および結腸系統への塩基形態放出構造が実質的に同じ空間を占める上記の調節放出薬用量形態に関する。さらに別の面で、本発明は上部胃腸系統への製薬学的に許容可能な塩形態放出構造および結腸系統への塩基形態放出構造が実質的に別個である上記の調節放出薬用量形態に関する。
本発明はさらに、調節放出薬用量形態が浸透性調節放出薬用量形態を含んでなる上記の調節放出薬用量形態にも関する。さらに、本発明は調節放出薬用量形態が薬品の製薬学的に許容可能な塩を含んでなる上記の調節放出薬用量形態にも関する。本発明は、反応して薬品の製薬学的に許容可能な塩形態を生成可能な出発物質が塩生成剤および薬品の粉砕されたまたは液体の塩基形態を含んでなる上記の調節放出薬用量形態に関する。本発明はさらに、イオン交換層、薬品層、およびプッシュ層を含んでなる上記の調節放出薬用量形態にも関する。さらに、本発明は薬品の製薬学的に許容可能な塩を含んでなる上記の調節放出薬用量形態にも関する。
図面の簡単な記述
図1A〜1Jは本発明に従う薬品の塩および塩基形態の順次送達により得られうる種々の送達特徴の説明図を示す。
図2は薬品の塩および非−塩形態が混合して提供される本発明の1つの態様に従う順次薬品送達システムすなわち薬用量形態の例を示す。
図3は薬品形態が別個の層から送達される本発明の1つの態様に従う順次薬品送達システムすなわち薬用量形態の例を示す。
図4はイオン−交換層をさらに含んでなる図4の態様と同様な順次薬品送達システムすなわち薬用量形態の例を示す。
図5はイオン−交換チャンネルをさらに含んでなる図4の態様と同様な順次薬品送達システムすなわち薬用量形態の例を示す。
発明の詳細な記述
本発明を次に下記の詳細な記述、図面および実施例への言及によりさらに記載する。
ここで言及する全ての文献は引用することにより本発明の内容となる。
概観
本発明者は、薬品を異なるイオン化状態でGI管に沿った異なる位置に送達することによりGI管の長さ全体にわたり薬品を最適化できることを発見した。異なるイオン化状態を有する薬品の使用は、上部GIからの送達過程にわたる増加した吸収を可能にする。
これは、薬品吸収が一部は薬品透過性および薬品溶解度のある製品として強調されうる点で有利である。Philip S.Burton et al.,Predicting Drug Absorption: How Nature Made It a Difficult Problem,J.of Pharmacology and Experimental Ther.,Vol.303(3):889−895,(2002)を参照のこと。薬品吸収を支配する多くの追加因子、例えばGI輸送体の影響、があるが、これらが主要因子の2つである。従って、ある種の薬品を選択しそして吸収を最適化する周囲pHにより指令される異なるイオン化状態でそれらを送達することが可能である。
例えば、薬品は結腸内に存在する比較的高いpH範囲においては塩基形態で存在しうる。塩基形態は(中性pHで測定して)比較的可溶性が小さくなりうるが、それはより透過性であり、塩基形態は結腸上皮内を充填された種より容易に通過しうることを意味する。同じ薬品は、上部GI管のより低いpH領域内に存在するなら、薬品の製薬学的に許容可能な塩として存在しうる。これはより高い溶解度を意味するが、GI上皮の脂質膜を通るより低い透過性を意味する。薬品はGI管を越えて能動的および受動的機構の両者により吸収されるが、受動的な拡散は全吸収の重要成分のままである。受動的な拡散では、吸収用の駆動力は上皮壁における薬品濃度および上皮壁透過性の積である。従って、透過性が低い上部GI管内では可溶性塩形態を存在させ、引き続き溶解度が低く且つ透過性が高い下部GI管内では塩基形態を存在させることにより、総合効果は単独でいずれかの形態を投薬することにより得られうるものより完全で且つ同等な薬品の吸収を与えることである。
本発明者は、この認識を異なるイオン化状態を有する薬品をGI管内の異なる位置で放出する調節放出薬用量形態に応用した。この方式は従ってそのような薬品の経口的なバイオアベリラビリティーおよび効力を改良する。それ故、本発明の送達システムは多くの薬品の治療価値をそれらをこの順次方式で送達することにより有意に改良する。順次送達される薬品形態の以上の記述は単に説明のためのものである。本発明は、2種もしくはそれ以上の薬品形態を同時にまたは連続的に送達するように応用できる送達システムまたは薬用量形態を提供する。
定義:
ここで使用される場合に、
「水性環境」は液体の水を含有する周囲を意味する。
「結腸」または「結腸の」は大腸をさす。
「結腸系統への塩基形態放出構造」(“colonic system base form releasing structure”)は薬品の粉砕されたまたは液体の塩基形態を結腸内に放出するように作用する放出構造を意味する。これらの構造は本発明の薬用量形態が患者への投薬後の特定時間において位置するであろう推定に基づき作用するように構成できる。例えば、特定の投薬量形態に関する典型的な結腸滞在時間窓が投薬から平均して約8時間後に始まりそして投薬から平均して約12時間まで続く場合には、結腸系統への塩基形態放出構造は塩基形態を投薬から平均して8−12時間以内に放出するように設計することができる。そのような設計の方法は一般的に従来から既知である。
「調節放出」(“controlled release”)は薬剤が調節された速度で調節された期間にわたり放出される長期間にわたる薬剤の連続的放出を意味する。
「薬用量形態」(“dosage form”)は薬剤を送達可能な薬品組成物または装置を意味する。薬用量形態の適する例は錠剤、カプセル剤、ゲル−キャップ剤、マトリックス形態、浸透形態、即時放出形態、調節放出形態、持続放出形態、延長放出形態などを包含するが、それらに限定されない。本発明の薬用量形態を得るための他の有用な方式は例えばマトリックス装置の如き拡散システム、例えばカプセル化された溶解システムの如き溶解システム、組み合わせ拡散/溶解システム、および“Remington’s Pharmaceutical Sciences”,1990 ed.,pp.1682−1685に記載されたもののようなイオン交換樹脂システムを包含する。上記方式の具体例は腐食可能なマトリックス錠剤、極小丸剤、薬品放出ビーズ、並びにこれらおよび他のものの雑種を包含する。
「薬品」、「薬剤」、「活性剤」、または「治療剤」は、治療特徴を有する剤、薬品、もしくは化合物、または製薬学的に許容可能な酸付加塩、プロドラッグ、もしくはそれらの誘導体を意味する。「塩基形態」は、薬品の遊離塩基としても知られる薬品の塩基をさす。「薬品の形態」は、薬品の状態、特に薬品のイオン化状態、例えば塩基形態または塩形態、をさす。薬品は本発明の薬品組成物および/または薬用量形態の中に約1ミリグラム〜約750ミリグラムの範囲内の、好ましくは約5ミリグラム〜約250ミリグラムの範囲内の、より好ましくは約10ミリグラム〜約250ミリグラムの範囲内の、量で導入することができる。
一般的に、塩基形態および塩形態の両者に存在しうるいずれかの薬品が本発明の実施において有用である。本発明の薬用量形態により送達されうる塩基/塩薬品組み合わせの説明例はブプロピオン(Bupropion)塩基およびそのHCl塩、HClクロルジアエポキシド(Chlordiaepoxide)塩基およびそのHCl塩、シメチジン(Cimetidine)塩基およびそのHCl塩、シプロフロキサシン(ciprofloxacin)塩基およびそのHCl塩、クリンダマイシン(Clindamycin)塩基およびそのHCl塩、コデイン(Codeine)塩基およびそのHCl塩、フェキソフェナジン(Fexofenadine)塩基およびそのHCl塩、フルフェナジン(Fluphenazine)塩基およびそのHCl塩、ヒドロモルフォン(Hydromorphone)塩基およびそのHCl塩、ヒドロコドン(Hydrocodone)塩基およびその酒石酸塩、メトホルミン(Metformin)塩基およびそのHCl塩、ミノシクリン(Minocycline)塩基およびそのHCl塩、ニカルジピン(Nicardipine)塩基およびそのHCl塩、オンダンセトロン(Ondansetron)塩基およびそのHCl塩、オキシコドン(Oxycodone)塩基およびそのHCl塩、並びにトラマドール(Tramadol)塩基およびそのHCl塩を包含するが、それらに限定されない。
「出口」および「出口オリフィス」は薬品が薬用量形態から出ることを可能にする薬用
量形態中の開口部を意味する。適する例は以下でさらに詳細に記載される。
「即時−放出薬用量形態」は薬剤の約80%より多いかまたはそれに等しいものを約1時間またはそれより短い時間で放出する薬用量形態をさす。
「低溶解度」は未希釈薬剤が(界面活性剤または他の賦形剤の不存在下で)脱イオン水中で37℃において約100mg/mlより低い溶解度を示すことを意味する。好ましくは、低溶解度は約50mg/mlより低い、より好ましくは、約25mg/mlより低い、さらにより好ましくは、約15mg/mlより低い、さらにより好ましくは、約10mg/mlより低い、さらにより好ましくは、約5mg/mlより低い、最も好ましくは、約1mg/mlより低い、溶解度を意味する。
ここで定義される際には、薬剤を定温浴の中で37℃に保たれた撹拌または撹乱された脱イオン水に、もはや薬剤が溶解しなくなるまで、加えることにより薬剤の溶解度は測定される。薬剤で飽和した生じた溶液を次に、典型的には0.8−ミクロンのミロポア(Millipore)フィルターを通して圧力下で、濾過し、そして次に溶液中の薬剤の濃度を重力法、紫外線分光法、クロマトグラフィーなどを包含するいずれかの適切な分析方法により測定する。薬剤の溶解度は飽和濃度において測定される。
「液体」は流体形態を意味する。特に、本発明に従う薬品の塩基形態は液体塩基形態の形状でありうる。本発明の実施において有用な薬品の液体塩基形態の例は、それらの製薬学的な許容可能な塩類と共に、アンフェタミン塩基/硫酸アンフェタミン、ブロフェニラミン塩基/マレイン酸ブロフェニラミン、およびカルビノキサミン塩基/マレイン酸カルビノキサミンを包含するが、それらに限定されない。
「粉砕された」は直径において約30ミクロンより小さい、好ましくは20ミクロンより小さい、より好ましくは約10ミクロンより小さい、そしてさらにより好ましくは約5ミクロンより小さい、平均直径を有する粒子に小さくすることを意味する。粉砕された薬品形態はより大きい平均寸法およびより広い粒子寸法分布を有する形態より良好で且つより均一な吸収を促進する。本発明に従う薬品は粉砕された形態で購入することができ、或いは従来の粉砕装置、例えばザ・ジェット・プルベリザー・カンパニー(The Jet
Pulverize Company)(ニュージャージー州、ムーレスタウン)から入手可能な粉砕器のミクロン−マスター(Micron−Master)TM系統、を用いて粉砕するかまたは第三者の粉砕処理業者、例えばミクロン・テクノロジース(Micron Technologies)(ペンシルバニア州、エクストン)により加工することができる。
「非−薬品塩」は薬品以外の化合物の製薬学的に許容可能な塩を意味する。そのような化合物は製薬学的に活性であってもよい。非−薬品塩の例は塩化ナトリウムまたは塩化マグネシウムを包含するが、それらに限定されない。
「製薬学的に許容可能な塩」または「塩形態」は、断らない限り、そのアニオンまたはカチオンが塩の毒性または薬理学的活性に有意に寄与せず、そしてそのままでそれらが化合物の塩基の薬理学的同等物であるいずれかの塩を意味する。適する製薬学的に許容可能な塩類は、例えば、塩基形態薬品を適当な製薬学的に許容可能な酸と反応させることにより製造されうる酸付加塩類を包含する。
それ故、代表的な製薬学的に許容可能な塩類は以下のものを包含するが、それらに限定されない:酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、炭酸水素塩、硫酸水素塩、酒石酸水素塩、ホウ酸塩、臭化物、エデト酸カルシウム、カンシル酸塩、炭酸塩、塩化物、ク
ラブラン酸塩、クエン酸塩、二塩酸塩、エデト酸塩、エデシレート塩、エストレート、エシレート、フマル酸塩、グルセプテート、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニレート、ヘキシルレソルシネート、ヒドラバミン、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ化物、イソチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオネート、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、臭化メチル、硝酸メチル、硫酸メチル、粘液酸塩、ナプシレート、硝酸塩、N−メチルグルカミンアンモニウム塩、オレイン酸塩、パモ酸塩(エンボネート)、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、燐酸塩/燐酸水素塩、ポリガラクツロン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、硫酸塩、スバセテート、琥珀酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクレート、トシル酸塩、トリエチオダイドおよび吉草酸塩。
「長期間」は約1時間より長く、好ましくは、約4時間より長く、より好ましくは、約8時間より長く、より好ましくは約10時間より長く、さらにより好ましくは約14時間より長く、最も好ましくは、約14時間より長く且つ約24時間までの連続的期間を意味する。
「プッシュ層」(“push layer”)または「プッシュ排出層」(“push
displacement layer”)は、薬剤を含有せず且つ浸透性重合体を含んでなる調合物を意味する。好ましくは、プッシュ層は浸透性重合体および浸透剤を含んでなる。プッシュ層はさらに場合により1種もしくはそれ以上の不活性成分、例えば崩壊剤、結合剤、希釈剤、潤滑剤、安定剤、酸化防止剤、浸透剤、着色剤、可塑剤、コーティングなど、を含有してもよい。
「放出構造」は調節されたおよび/または予め決められた方法で調節放出薬用量形態が含まれる受器の内容物を放出しうる薬用量形態を意味する。放出構造の種々の態様がここに開示される。
「塩生成剤」は薬品の塩基形態からの製薬学的に許容可能な塩類の製造において使用できる酸類を意味する。製薬学的に許容可能な塩類の製造において使用できる代表的な酸類は下記のものを包含するが、それらに限定されない:酢酸、2,2−ジクロロ酢酸、アシル化されたアミノ酸類、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸、L−アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、4−アセトアミド安息香酸、(+)−ショウノウ酸、ショウノウスルホン酸、(+)−(1S)−ショウノウ−10−スルホン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、桂皮酸、クエン酸、シクラミン酸、ドデシル硫酸、エタン−1,2−ジスルホン酸、エタンスルホン酸、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸、蟻酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチシン酸、グルコヘプトン酸、D−グルコン酸、D−グルコロン酸、L−グルタミン酸、a−オキソ−グルタル酸、グリコール酸、馬尿酸、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸、イセチオン酸、(+)−L−乳酸、(±)−DL−乳酸、ラクトビオン酸、マレイン酸、(−)−L−リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、(±)−DL−マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、ナフタレン−2−スルホン酸、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、ニコチン酸、硝酸、オレイン酸、オロチン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、燐酸、L−ピログルタミン酸、サリチル酸、4−アミノ−サリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、琥珀酸、硫酸、タンニン酸、酒石酸、(+)−L−酒石酸、チオシアン酸、p−トルエンスルホン酸およびウンデシレン酸。
「反応して薬品の製薬学的に許容可能な塩形態を生成しうる出発物質」は化学的に反応して薬品の製薬学的に許容可能な塩形態を製造しうる物質をさす。そのような出発物質の一例は塩生成剤および薬品の粉砕された塩基形態であろう。そのような出発物質の他の例は塩生成剤および薬品の液体塩基形態であろう。
「被験者」(“subject”)または「患者」(“patient”)はここでは互換的に使用され、そして処置、観察または実験の対象であったかまたは対象である動物、好ましくは、哺乳動物、最も好ましくは、人間、をさす。
「実質的に別個の」(“substantially separate”)は上部胃腸系統への製薬学的に許容可能な塩形態放出構造および結腸系統への塩基形態放出構造の間に物理的に規定されうる境界空間があることを意味する。
「実質的に同じ空間を占める」(“substantially coincident”)は上部胃腸系統への製薬学的に許容可能な塩形態放出構造および結腸系統への塩基形態放出構造の間に物理的に規定されうる境界空間がないことを意味する。
「上部G.I.管」または「上部胃腸系統」は口から大腸の始まりまでの胃腸系統を意味する。
「上部胃腸系統への製薬学的に許容可能な塩形態放出構造」(“upper gastrointestinal system pharmaceutically acceptable salt form releasing structure”)は薬品の製薬学的に許容可能な塩形態を上部胃腸系統内に放出するように作用する放出構造を意味する。これらの構造は本発明の薬用量形態が患者への投薬後の特定期間において位置するであろう推定に基づき作用するように構成できる。例えば、特定の薬用量形態に関する典型的な上部胃腸系統滞在時間は平均して投薬から約8時間であるなら、上部胃腸系統への製薬学的に許容可能な塩形態放出構造は製薬学的に許容可能な塩形態を投薬後の最初の8時間以内に放出するように設計できる。そのような設計の方法は一般的に従来から知られている。
「0次の放出速度」は時間の関数としての放出される薬品の量が実質的に一定である放出の速度を意味する。より特に、時間の関数としての薬品の放出の速度は約30%より少なく、好ましくは、約20%より少なく、より好ましくは、約10%より少なく、最も好ましくは、約5%より少なく変動し、ここで測定は累積放出が約25%〜約75%の間、好ましくは、約25%〜約90%の間にある時間にわたり行われる。
態様:
図1A〜1Jは本発明を用いて達成しうる種々の送達パターンの説明である。塩形態Aは実質的に上部胃腸系統に送達されるであろう。次に、粉砕されたまたは液体の遊離塩基形態Bは結腸内に送達されるであろう。2つのパターンは図1Aに示されているように別個であり且つ分離していてもよく、或いはそれらは図1Bに示されているように第二の送達パターンの初めに重複する第一の送達パターンの端部と重複することもできる。各パターンはいずれの所望する形態であってもよく、そして2つの波形は同一である必要はない。換言すると、薬用量形態は第一および第二の薬品形態(それぞれ、塩および塩基)が異なる波形、例えば四角い波形1Cおよび1G、上昇する速度の形態1Dおよび1H、下降する速度の形態1Eおよび1F、または例えば図1Iおよび1Jにより示されるような波形のいずれかの組み合わせのようでありうる。
発明のこの態様に有用な薬用量形態の例は浸透送達システム、複数の極小丸剤を含有するヒドロゲルマトリックス、薬品放出ビーズのマトリックス、即時放出形態、または所望する波形もしくは送達特徴を与えうるいずれかの薬用量形態を包含するが、それらに限定されない。場合により、薬品の塩および塩基形態は膜により物理的に分離されうる。分離膜は、種々の薬品形態を区分する他に、そのような膜の不存在下では塩/塩基界面に生じ
うる起きるかもしれない中和効果を防止するためにも作用する。分離膜は好ましくは生分解可能な重合体から製造され、それらは水の存在下で化学分解を受けそして溶解または分解して可溶性の単量体または重合体単位を生成する。
ある態様では、本発明に従う調節放出薬用量形態はヒドロゲルマトリックス薬用量形態を含んでなる。そのような薬用量形態は好ましくは、多糖、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、寒天、アガロース、天然ゴム、アルギン酸ナトリウムを包含するアルギン酸アルカリ塩、カラゲーナン、フコイダン、フルセララン、ラミナラン、ヒプネア、アラビアゴム、ガッチゴム、カラヤゴム、トラガカントゴム、イナゴマメゴム、ペクチン、アミロペクチン、ゼラチンおよび親水性コロイドよりなる群から選択される親水性重合体を含んでなる。ヒドロゲルマトリックスは場合により4〜50個の複数の薬品放出粒子を含んでなることができ、各薬品放出粒子は例えば0.5mg、1mg、1.2mg、1.4mg、1.6mg、1.8mgなどの如き服用量における100ngずつ増加する服用量群を含んでなる。薬品放出粒子は0.0mm〜10mm厚さの放出速度調節壁を含んでなり、薬品の定期的な増加放出を与える。壁−形成物質の代表例は、トリステアリン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、ジパルミチン酸グリセリル、ラウリン酸グリセリル、ジデカン酸グリセリルおよびトリデカン酸グリセリルよりなる群から選択されるトリグリセリルエステルを包含する。他の壁形成物質はポリフタル酸酢酸ビニル、フタル酸メチルセルロース、および微孔性ビニルオレフィン類を含んでなる。薬品放出粒子を製造するための工程は米国特許第4,434,153号、第4,721,613号、第4,853,229号、第2,996,431号、第3,139,383号および第4,752,470号明細書に開示されている。
本発明に従うさらに別の調節放出薬用量形態は薬品放出ビーズを含んでなる。薬品放出ビーズは当該技術で良く記載されておりそしてビーズの0〜20%が溶解を受け且つ薬品を0〜2時間で放出し、20〜40%が溶解を受け且つ薬品を2〜4時間で放出し、40〜60%が溶解を示し且つ4〜6時間で放出し、60〜80%が6〜8時間で、そして80〜100%が8〜10時間で放出するような溶解特徴により特徴づけられる。薬品放出ビーズは、薬品、並びに潤滑剤、酸化防止剤、および緩衝剤を包含する成分を生成する製薬学的に許容可能な組成物を含んでなる中心組成物または芯を含んでなる。ビーズは薬品の増加する服用量、例えば、40mgまで増加する1mg、2mg、5mg、および10mg、を含んでなる。ビーズは、以上で開示された溶解特徴を利用して選択できる放出速度調節重合体でコーティングされる。ビーズの製造はInter.J.of Pharm.,by Liu,Vol.112,pp.105−116(1994);Inter.J.of Pharm.,by Liu,Vol.112,pp.117−124(1994);Pharm.Sci.,by Remington,14th Ed.pp.1626−1628’1970);J.Pharm.Sci.,by Fincher,Vol.57,pp.1825−1835(1968);および米国特許第4,083,949号明細書に開示されている。
本発明に従う1つの調節放出薬用量形態は浸透性調節放出薬用量形態を含んでなる。本発明に従う好ましい浸透調節放出薬用量形態は多層オロス(OROS)(R)薬品送達システム(カリフォルニア州、マウンテン・ビューのアルザ・コーポレーション(Alza
Corporation))である。オロス(R)技術は薬品および/または製薬学的に許容可能な塩類の調節放出を与えうる調整可能な調節放出薬用量形態を与える。種々のタイプの浸透性調節放出薬用量形態は、例えば米国特許第3,845,770号明細書に記載されたもののような機素浸透ポンプ、例えば米国特許第3,995,631号、第4,034,756号および第4,111,202号明細書に記載されたもののような小型浸透ポンプ、並びに例えば米国特許第4,320,759号、第4,327,725号、第4,449,983号、第4,765,989号および第4,940,465号明細書
に記載されているような押し−引き、押し−溶融および押し−粘着浸透ポンプと称する多室浸透システムを包含する。
浸透性調節放出薬用量形態の有意な利点は、操作がpH−非依存性でありそしてその結果として薬用量形態が胃腸管に滞在し且つ有意に異なるpH値を有する異なる微小環境に遭遇する際でも長期間全体にわたり浸透性により決められた速度であり続けることである。調節放出は数時間ほどの短い時間にわたりまたはできるだけ長く胃腸管内に滞在するように提供されうる。
浸透性薬用量形態は浸透圧を利用して流体を、少なくとも一部で、水の自由な拡散を可能にするが存在するなら薬品または浸透剤の拡散は可能にしない半透過性壁により形成された区画内に吸収するための駆動力を発生させる。これらの浸透性調節放出形態では、1つもしくは複数の活性剤受器は典型的には、場合次第で固体、液体もしくは懸濁液の形態の薬剤を含有する活性剤層、および流体を胃から吸収し、膨潤させそして活性剤を薬用量形態から使用環境内に押し進める親水性重合体の膨張可能な「押し」層を用いて形成される。本発明に従うある種の態様では、浸透性調節放出薬用量形態はイオン交換層を含んでなる。
そのような浸透性調節放出薬用量形態の概観はSantus and Baker(1995),“Osmotic drug delivery: a review of
the patent literature,” Journal of Controlled Release 35: 1−21に見られる。さらに、下記の米国特許が浸透性薬用量形態に関する:米国特許第3,845,770号、第3,916,899号、第3,995,631号、第4,008,719号、第4,111,202号、第4,160,020号、第4,327,725号、第4,519,801号、第4,578,075号、第4,612,008号、第4,681,583号、第4,765,989号、第4,783,337号、第5,019,397号、第5,082,668号、第5,156,850号、第5,912,268号、第6,375,978号、第6,368,626号、第6,342,249号、第6,333,050号、第6,287,295号、第6,283,953号、第6,270,787号、第6,245,357号、および第6,132,420号明細書。
好ましい態様では、本発明の薬用量形態は空洞および出口オリフィスを規定する壁を含んでなる。プッシュ排出層は空洞内にあり且つ出口オリフィスから離れており、そして薬品層は出口オリフィスに隣接する空洞内に置かれる。場合により存在する流−促進層は薬品層と壁の内表面との間に伸びる。
壁は、例えば水および生物学的流体の如き外部流体の通過には透過性がありそして活性剤、浸透剤、浸透性重合体などの通過には不透過性である半透過性組成物である。壁を形成するために使用される選択的半透過性組成物は薬用量形態の寿命中は本質的に非腐食性であり且つ不溶性である。壁は全体として半透過性である必要はないが、壁の少なくとも一部は使用中にプッシュ層が流体を吸収しそして膨張しうるように流体がプッシュ排出層と接触または連結可能になるように半透過性でありうる。壁は好ましくは、重合体、例えば酢酸セルロース、二酢酸セルロース、三酢酸セルロースを包含するがそれらに限定されないアシル酸セルロース、二アシル酸セルロース、三アシル酸セルロース、またはそれらの混合物を含んでなる。壁形成物質はまた、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、エチレンの共重合体、例えばエンゲージ(Engage)(R)(デュポン・ダウ・エラストマーズ(DuPont Dow Elastomers)の如きエチレンオキシド共重合体を包含するエチレンオキシド共重合体、ポリアミド類、セルロース系物質、ポリウレタン類、例えばペバックス(PEBAX)(R)(エルフ・アトケム・ノース・アメ
リカ・インコーポレーテッド(Elf Atochem North America,Inc.)の如きポリエーテルブロックされたアミド共重合体、酪酸酢酸セルロース、およびポリ酢酸ビニルからも選択できる。典型的には、壁は60重量パーセント(重量%)〜100重量%のセルロース系壁−形成重合体を含んでなるか、或いは壁は0.01重量%〜50重量%のポリエチレングリコールもしくはエチレンオキシド−プロピレンオキシドブロック共重合体、または1重量%〜35重量%のヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルアルキルセルロースよりなる群から選択されるセルロースエーテルおよび5重量%〜15重量%のポリエチレングリコールを含んでなる。壁を構成する全ての成分の合計重量パーセントは100重量%に相当する。
壁を形成するための代表的な重合体は半透過性ホモ重合体、半透過性共重合体などを含んでなる。そのような物質はセルロースエステル類、セルロースエーテル類およびセルロースエステル−エーテル類を含んでなる。セルロース系重合体は0より大きく3までのそれらのアンヒドログルコース単位の置換度(DS)を有する。置換度(DS)は置換基により置換されるかまたは他の基に転化されるアンヒドログルコース単位上に元々存在するヒドロキシル基の平均数を意味する。アンヒドログルコース単位は例えばアシル、アルカノイル、アルケノイル、アロイル、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、カロボアルキル、アルキルカルバメート、アルキルカーボネート、アルキルスルホネート、アルキルスルファメート、半透過性重合体生成基などの如き基で完全にまたは部分的に置換されることができ、ここで有機部分は1〜12個の炭素原子、そして好ましくは1〜8個の炭素原子、を含有する。
半透過性組成物は典型的にはセルロースアシレート、セルロースジアシレート、セルローストリアシレート、酢酸セルロース、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、モノ−、ジ−およびトリ−セルロースアルカニレート類、モノ−、ジ−およびトリ−セルロースアルケニレート類、モノ−、ジ−およびトリ−アロイレート類などを包含する。例示重合体は、1.8〜2.3のDSおよび32〜39.9%のアセチル含有量を有する酢酸セルロース類、1〜2のDSおよび21〜35%のアセチル含有量を有する二酢酸セルロース類、2〜3のDSおよび34〜44.8%のアセチル含有量を有する三酢酸セルロース類などを包含する。より具体的なセルロース系重合体は、1.8のDSおよび38.5%のプロピオニル含有量を有するプロピオン酸セルロース;1.5〜7%のアセチル含有量および39〜42%のアセチル含有量を有するプロピオン酸酢酸セルロース;2.5〜3%のアセチル含有量、39.2〜45%の平均プロピオニル含有量、および2.8〜5.4%のヒドロキシル含有量を有するプロピオン酸酢酸セルロース;1.8のDS、13〜15%のアセチル含有量、および34〜39%のブチリル含有量を有する酪酸酢酸セルロース類;2〜29%のアセチル含有量、17〜53%のブチリル含有量、および0.5〜4.7%のヒドロキシル含有量を有する酪酸酢酸セルロース類;2.6〜3のDSを有する三酢酸セルロース類、例えば三吉草酸セルロース、セルローストリラメート、三パルミチン酸セルロース、三オクタン酸セルロースおよび三プロピオン酸セルロース;2.2〜2.6のDSを有するセルロースジエステル類、例えば二琥珀酸セルロース、二パルミチン酸セルロース、二オクタン酸セルロース、二カプリル酸セルロースなど;混合セルロースエステル類、例えば吉草酸酢酸セルロース、琥珀酸酢酸セルロース、琥珀酸プロピオン酸セルロース、オクタン酸酢酸セルロース、パルミチン酸吉草酸セルロース、ヘプタン酸酢酸セルロースなどを包含する。半透過性重合体は米国特許第4,077,407号明細書で知られており、そしてそれらはEncyclopedia of Polymer Science and Technology,Vol.3,pp.325−354,Interscience Publishers Inc.,New York,N.Y.(1964)に記載された工程により合成することができる。
外壁を形成するための他の半透過性重合体は酢酸セルロースアセトアルデヒドジメチル
;酢酸エチルカルバミン酸セルロース;酢酸メチルカルバミン酸セルロース;ジメチルアミノ酢酸セルロース;半透過性ポリアミド;半透過性ポリウレタン類;半透過性スルホン化ポリスチレン類;米国特許第3,173,876号、第3,276,586号、第3,541,005号、第3,541,006号および第3,546,142号明細書に開示されたようなアニオンおよびカチオンの共沈殿により生成される架橋−結合された選択的半透過性重合体;Loeb,et al.により米国特許第3,133,132号により開示されたような半透過性重合体;半透過性ポリスチレン誘導体;半透過性ポリ(スルホン酸ナトリウムスチレン);半透過性ポリ(塩化ビニルベンジルトリメチルアンモニウム);並びに半透過性壁を越える1気圧の静水または浸透圧当たりで表示される10−5〜10−2(cc.mil/cmhr.atm)の流体透過性を示す半透過性重合体を含んでなる。重合体は米国特許第3,845,770号、第3,916,899号および第4,160,020号並びにHandbook of Common Polymers,Scott and Roff,Eds.,CRC Press,Cleveland,Ohio(1971)で当該技術で既知である。
壁は流量−調節剤も含んでなりうる。流量調節剤は壁を通る流体透過性または流量の調節を助けるために加えられる化合物である。流量−調節剤は流量−増加剤または流量−減少剤でありうる。剤は液体流量を増加または減少させるように予め選択されうる。例えば水の如き流体に対する透過性における顕著な増加をもたらす剤はしばしば本質的に親水性であるが、例えば水の如き流体に対する顕著な減少をもたらす剤は本質的に疎水性である。壁に導入される時の壁内の調節剤の量は一般的に約0.01〜20%重量もしくはそれ以上である。流量調節剤は多価アルコール類、ポリアルキレングリコール類、ポリアルキレンジオール類、アルキレングリコール類のポリエステル類などを包含しうる。典型的な流量増加剤はポリエチレングリコール300、400、600、1500、4000、6000など;低分子量グリコール類、例えばポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコールおよびポリアミレングリコール:ポリアルキレンジオール類、例えばポリ(1,3−プロパンジオール)、ポリ(1,4−ブタンジオール)、ポリ(1,6−ヘキサンジオール)など;脂肪族ジオール類、例えば1,3−ブチレングリコール、1,4−ペンタメチレングリコール、1,4−ヘキサメチレングリコールなど;アルキレントリオール類、例えばグリセリン、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ヘキサントリオール、1,3,6−ヘキサントリオールなど;エステル類、例えばジプロピオン酸エチレングリコール、酪酸エチレングリコール、ジプロピオン酸ブチレングリコール、酢酸グリセロールエステル類などを包含する。ここで好ましい流量増加剤は二官能性ブロック−共重合体であるポロキサマー類(バスフ(BASF))として知られるプロピレングリコールのポリオキシアルキレン誘導体の群を包含する。代表的な流量−減少剤はアルキルもしくはアルコキシでまたはアルキルおよびアルコキシ基の両方で置換されたフタル酸エステル類、例えばフタル酸ジエチル、フタル酸ジメトキシエチル、フタル酸ジメチル、および[フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)]、フタル酸アリール類、例えばフタル酸トリフェニル、およびフタル酸ブチルベンジル;不溶性塩類、例えば硫酸カルシウム、硫酸バリウム、燐酸カルシウムなど;不溶性酸化物類、例えば酸化チタン;粉末、顆粒および同様な形態の重合体、例えばポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、およびポリスルホン;エステル類、例えば長鎖アルキル基でエステル化されたクエン酸エステル類;不活性で且つ実質的に水不透過性の充填剤;セルロースベースの壁形成物質と相容性である樹脂などを包含する。
壁に撓み性および伸び性質を与えるため、壁をより脆くなくするか非脆性にするため、並びに破れ強度を与えるための他の物質を半透過性壁物質に加えることができる。適する物質はフタル酸エステル可塑剤、例えばフタル酸ジベンジル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ブチルオクチル、炭素数6〜11の直鎖状フタル酸エステル類、フタル酸ジ−イソノニル、フタル酸ジ−イソデシルなどを包含する。可塑剤は非フタル酸エステル類、例えばトリアセチン、アゼライン酸ジオクチル、エポキシド化されたトーレート(tallate)、トリメリト酸トリ−イソオクチル、トリメリト酸トリ−イソノニル、イソ酪酸酢酸スクロース、エポキシド化された大豆油などを包含する。壁に導入される時の壁内の可塑剤の量は約0.01重量%〜20重量%、もしくはそれ以上である。
米国特許第4,892,778号および第4,285,987号明細書に記載されているように、半透過性壁物質を適当な溶媒、例えばアセトンまたは塩化メチレン、の中に溶解しそして次に壁物質の溶媒−ベース溶液を形状の上で成型するか、空気噴霧するか、浸漬するかもしくはブラシ塗りすることにより加圧された形状に適用する。半透過性壁を適用するための他の方法は、米国特許第2,799,241号明細書に記載されているような加圧された形状が空気流の中に懸垂されそして撹拌される空気懸垂工程、並びにパンコーティング技術を包含する。
加圧された形状に対する半透過性壁の適用後に、乾燥段階が一般的に必要でありそして、次に、活性剤のための1個もしくは複数の適当な出口を半透膜の中に形成しなければならない。出口オリフィスは薬用量形態からの薬品の均一放出のために薬品層と共働する。出口オリフィスは薬用量形態の製造中にまたは薬品送達中に流体の使用環境内の薬用量形態により付与されうる。薬用量形態は間隔が置かれた関係にある1個もしくはそれ以上の出口または1個もしくはそれ以上の薬用量形態の表面を有するように構成されうる。出口オリフィスは、外部コート、内部コート、または両者による、機械的およびレーザー穿孔を包含する穿孔により実施できる。出口および出口の形成用装置は米国特許第3,845,770号、第3,916,899号、第4,063,064号、第4,088,864号、および第4,816,263号明細書に開示されている。
出口オリフィスは実質的に薬用量形態の全表面を含有する単独の大きいオリフィスから半透膜の表面上に選択的に置かれた1個もしくはそれ以上の小さいオリフィスまでの寸法範囲にわたりうる。出口オリフィスは壁により形成される区画の内径の10%〜100%、好ましくは30%〜100%、そして最も好ましくは50%〜100%、でありうる。さらに、ある種の態様では、浸透性調節薬用量形態はDong他に対する米国特許第6,491,683号明細書に記載されているように一端または両端が開いている押し出し管の形態である。押し出し管態様では、追加の出口手段を付与する必要がない。出口オリフィスは薬用量形態からの薬品の均一に計量された服用量放出のために、いずれかの形状、例えば丸、三角、四角、楕円など、を有することができる。
オリフィスは米国特許第4,200,098号および第4,285,987号明細書に開示されているように浸出により形成することもできる。出口または複数の出口は、外部および/または内部コートから1種もしくはそれ以上の以下のものを浸出させることにより形成されうる:ソルビトール、ラクトース、フルクトース、グルコース、マンノース、ガラクトース、タロース、塩化ナトリウム、塩化カリウム、クエン酸ナトリウム、マンニトール、腐食可能なポリ(グリコール酸)またはポリ(乳酸);1種もしくは複数のゼラチン質フィラメント;水−除去可能なポリ(ビニルアルコール);無機および有機性の可溶性塩類、可溶性酸化物類、並びに浸出可能な多糖類。
流れ−加速層(サブコートとも称する)は場合により半透過性壁の内表面とそして少なくとも壁に向かう薬品層の外表面と接触関係にあってよいが、流れ−加速層が伸びてプッシュ排出層の外表面を取り囲み且つ接触してもよくそして好ましくはそうであろう。壁は典型的には壁の内表面に向かい合う薬品層の外表面の少なくとも一部分を取り囲むであろう。流れ−加速層は薬品層およびプッシュ層を含んでなる圧縮された芯の上に適用されるコーティングとして形成されうる。外部の半透過性壁が内部の流れ−加速層を取り囲みそして包む。流れ−加速層は好ましくは薬品層並びに場合により固められた薬品層およびプ
ッシュ排出層の外表面全体のサブコートとして形成される。半透過性壁が薬品層、プッシュ層および流れ−加速層から形成された複合体のコートとして形成される場合には、半透過性壁と流れ−加速層との接触が確保されうる。
流れ−加速層は、半透過性壁と薬品層の外表面との間の摩擦力を減少させて装置からの薬品のさらに完全な送達を可能にすることにより、本発明の薬用量形態からの薬品の放出を促進させる。特に、高価格を有する活性化合物の場合には、薬品層に過剰な薬品を充填して必要な薬品最少量を送達するのを確保する必要がないためにそのような改良は実質的に経済的な利点である。
流れ−加速層は典型的には0.01〜5mm厚さ、より典型的には0.5〜5mm厚さ、であることができ、そしてそれはヒドロゲル類、ゼラチン、低分子量ポリエチレンオキシド類(例えば、100,000より低いMW)、ヒドロキシアルキルセルロース類(例えば、ヒドロキシエチルセルロース)、ヒドロキシプロピルセルロース類、ヒドロキシイソプロピルセルロース類、ヒドロキシブチルセルロース類およびヒドロキシフェニルセルロース類、並びにヒドロキシアルキルアルキルセルロース類(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、並びにそれらの混合物から選択される員を含んでなる。ヒドロキシアルキルセルロース類は9,500〜1,250,000の数−平均分子量を有する重合体を含んでなる。例えば、80,000〜850,000の間の数−平均分子量を有するヒドロキシプロピルセルロース類が有用である。流れ加速層は上記物質の水性溶媒または不活性有機溶媒中の普遍的な溶液または懸濁液から製造することができる。サブコートまたは流れ加速層用に好ましい物質はヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポビドン[ポリ(ビニルピロリドン)]、ポリエチレングリコール、およびそれらの混合物を包含する。有機溶媒、特に例えば炭素数1−8の低級アルカノール類、好ましくはエタノール、の如き有機有極性溶媒、の中で製造されるヒドロキシプロピルセルロースおよびポビドンの混合物、水溶液中で製造されるヒドロキシエチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースの混合物、並びに水溶液中で製造されるヒドロキシエチルセルロースおよびポリエチレングリコールの混合物がさらに好ましい。最も好ましくは、流れ−加速層はエタノール中で製造されるヒドロキシプロピルセルロースおよびポビドンの混合物よりなる。簡便には、二層芯に適用される流れ−加速層の重量は流れ−加速層の厚さおよび例えばここに記載されているような放出速度検定中に薬用量形態に残存する残存薬品と関連しうる。製造操作中に、流れ−加速層の厚さはコーティング操作中に吸収されるサブコートの重量を調節することにより調節できる。流れ−加速層がサブコートとして、すなわち錠剤化された二層複合体薬品層およびプッシュ層の上にコーティングすることにより、形成される場合には、サブコートは錠剤化方法により二層芯の上に形成される表面凹凸を充填しうる。生じた滑らかな外表面は、薬品の分配中のコーティングされた二層複合体と半透過性壁との間の滑り性を促進させて、投薬期間の終了時に装置内に残存するより少ない残存薬品組成物の量をもたらす。流れ−加速層がゲル−形成物質から製作される場合には、使用環境内の水との接触が半透過性壁と薬品層との間の滑り性を助長し且つ増加させうる粘度を有するゲルまたはゲル−類似の内部コートの形成を促進させる。
薬品層はさらに、崩壊剤、界面活性剤、結合剤、および/もしくはゲル化剤、またはそれらの混合物を含んでなりうる。結合剤は一般的に、活性剤の均一な放出速度および調節送達パターンに寄与する親水性重合体、例えばヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシプロピルアルキルセルロース、ポリ(アルキレン)オキシド、もしくはポリビニルピロリドン、またはそれらの混合物、である。これらの親水性重合体の代表例は、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(メチレンオキシド)、ポリ(ブチレンオキシド)およびポリ(ヘキシレンオキシド)を包含するがそれらに限定されない100,000〜750,000の数−平均分子量のポリ(アルキレンオキシド)類;ポリ(アルカリカルボキシメチルセ
ルロース)、例えばポリ(ナトリウムカルボキシメチルセルロース)、ポリ(カリウムカルボキシメチルセルロース)およびポリ(リチウムカルボキシメチルセルロース)、により代表される40,000〜400,000の数−平均分子量のポリ(カルボキシメチルセルロース)類;9,200〜125,000の数−平均分子量のヒドロキシアルキルセルロース類、例えばヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルアルキルセルロース類、例えばヒドロキシプロピルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルブチルセルロースおよびヒドロキシプロピルペンチルセルロースを包含するがそれらに限定されない9,200〜125,000の数−平均分子量のヒドロキシプロピルアルキルセルロース;並びに7,000〜75,000の数−平均分子量のポリ(ビニルピロリドン)類である。これらの重合体の中で、100,000−300,000の数平均分子量のポリ(エチレンオキシド)およびヒドロアルキルセルロース類が好ましい。胃の環境内で腐食する担体、すなわち、生腐食性担体、が特に好ましい。
界面活性剤および崩壊剤も担体中で使用することができる。崩壊剤は一般的に澱粉類、クレイ類、セルロース類、アルギン類およびガム類並びに架橋結合された澱粉類、セルロース類および重合体類を包含する。代表的な崩壊剤はトウモロコシ澱粉、ポテト澱粉、クロスカルメロース、クロスポビドン、グリコール酸ナトリウム澱粉、ビーグム(Veegum)HV、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸、グアーゴムなどを包含する。好ましい崩壊剤はクロスカルメロースナトリウムである。
例示界面活性剤は、約10−25の間のHLB値を有するもの、例えばモノステアリン酸ポリエチレングリコール400、モノラウリン酸ポリオキシエチレン−4−ソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレン−20−ソルビタン、モノパルミチン酸ポリオキシエチレン−20−ソルビタン、モノラウリン酸ポリオキシエチレン−20、ステアリン酸ポリオキシエチレン−40、オレイン酸ナトリウムなど、である。有用である界面活性剤は一般的に、アニオン性、カチオン性、および双性イオン性界面活性剤を包含するイオン性界面活性剤、並びに非イオン性界面活性剤を包含する。非イオン性界面活性剤はある種の態様では好ましく、そして、例えば、ステアリン酸ポリオキシル類、例えばステアリン酸ポリオキシル40、ステアリン酸ポリオキシル50、ステアリン酸ポリオキシル100、ジステアリン酸ポリオキシル12、ジステアリン酸ポリオキシル32、およびジステアリン酸ポリオキシル150、並びに他のミルジ(Myrj)TM系統の界面活性剤、またはそれらの混合物を包含する。溶解した薬品の製造において有用なさらに別の種類の界面活性剤は、商品名プルロニック(Pluronic)およびポロキサマー(Poloxamer)で入手可能なポロキサマー類としても知られるエチレンオキシド/プロピレンオキシド/エチレンオキシドの三ブロック共重合体である。この種類の界面活性剤では、界面活性剤分子の親水性エチレンオキシド端部および界面活性剤分子のプロピレンオキシドの疎水性中間ブロックが薬品を溶解しそして懸濁するために作用する。これらの界面活性剤は室温において固体である。他の有用な界面活性剤は糖エステル界面活性剤、ソルビタン脂肪酸エステル類、例えばモノラウリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、および他のスパン(Span)TM系統の界面活性剤、グリセロール脂肪酸エステル類、例えばモノステアリン酸グリセロール、ポリオキシエチレン誘導体、例えば高分子量脂肪アルコール類のポリオキシエチレンエーテル類(例えば、ブリジ(Brij)30、35、58、78および99)、ステアリン酸ポリオキシエチレン(自己乳化性)、ポリオキシエチレン40ソルビトールラノリン誘導体、ポリオキシエチレン75ソルビトールラノリン誘導体、ポリオキシエチレン6ソルビトール蜜蝋誘導体、ポリオキシエチレン20ソルビトール蜜蝋誘導体、ポリオキシエチレン20ソルビトールラノリン誘導体、ポリオキシエチレン50ソルビトールラノリン誘導体、ポリオキシエチレン23ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン23ラウリルエーテル、ブチル化されたヒドロキシアニソールとのポリオキシエチレン2セチ
ルエーテル、ポリオキシエチレン10セチルエーテル、ポリオキシエチレン20セチルエーテル、ポリオキシエチレン2ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン10ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン20ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン21ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン20オレイルエーテル、ステアリン酸ポリオキシエチレン40、ステアリン酸ポリオキシエチレン50、ステアリン酸ポリオキシエチレン100、ソルビタンの脂肪酸エステル類のポリオキシエチレン誘導体、例えばモノステアリン酸ポリオキシエチレン4ソルビタン、トリステアリン酸ポリオキシエチレン20ソルビタン、並びに他のツイーン(Tween)TM系統の界面活性剤、燐脂質類および燐脂質脂肪酸誘導体、例えばレシチン類、脂肪アミンオキシド類、脂肪酸アルカノールアミド類、プロピレングリコールモノエステル類およびモノグリセリド類、例えば水素化されたヤシ油モノグリセリド、水素化された大豆油モノグリセリド、水素化されたヤシステアリンモノグリセリド、水素化された植物性モノグリセリド、水素化された綿実油モノグリセリド、精製されたヤシ油モノグリセリド、部分的に水素化された大豆油モノグリセリド、綿実油モノグリセリドヒマワリ油モノグリセリド、ヒマワリ油モノグリセリド、カノーラ油モノグリセリド、スクシニル化されたモノグリセリド類、アセチル化されたモノグリセリド、アセチル化された水素化された植物油モノグリセリド、アセチル化された水素化されたココヤシ油モノグリセリド、アセチル化された水素化された大豆油モノグリセリド、モノステアリン酸グリセロール、モノグリセリド類と水素化された大豆油、モノグリセリド類と水素化されたヤシ油、スクシニル化されたモノグリセリド類およびモノグリセリド類、モノグリセリド類および菜種油、モノグリセリド類および綿実油、モノグリセリド類とプロピレングリコールモノエステルナトリウムステアロイルラクチレートシリコーンジオキシド、ジグリセリド類、トリグリセリド類、ポリオキシエチレンステロイド系エステル類、商品名中の数「100」が構造中のエチレンオキシド単位の数に間接的に関連しており(例えば、トリトン(Triton)X−100TMは1分子あたり平均N=9.5のエチレンオキシド単位を625の平均分子量と共に有し)且つ市販製品中では比較的少ない量で存在するそれより低いおよび高いモル付加を有するエチレンオキシドと重合されたオクチルフェノールから製造されるトリトン−X系統の界面活性剤、並びにイゲパル(Igepal)CA−630TMおよびノニデット(Nonidet)P−40M(NP−40TM、N−ラウロイルサルコシン、ミズーリ州、セントルイスのシグマ・ケミカル・カンパニー(Sigma Chemical Co.))を包含するトリトンX−100TMと同様な構造を有する化合物などを包含する。上記界面活性剤のいずれも、場合により加えられる防腐剤、例えばブチル化されたヒドロキシアニソールおよびクエン酸、を包含しうる。さらに、界面活性剤分子中のいずれの炭化水素連鎖でも飽和もしくは不飽和性であることができ、水素化されてもまたは水素化されてなくてもよい。
特別に好ましい界面活性剤群は、エチレンオキシド:プロピレンオキシド:エチレンオキシドのa:b:a三ブロック共重合体であるポロキサマー界面活性剤である。「a」および「b」は重合体連鎖の各ブロックに関する単量体単位の平均数である。これらの界面活性剤はニュージャージー州、マウントオリーブのバスフ・コーポレーション(BASF
Corporation)から、種々の異なる分子量並びに「a」および「b」ブロックの異なる値で、市販されている。例えば、ルトロール(Lutrol)F127は9,840〜14,600の分子量範囲を有しそしてここで「a」は約101であり且つ「b」は約56であり、ルトロールF87は6,840〜8,830の分子量範囲を有し、ここで「a」は64であり且つ「b」は37であり、ルトロールF108は12,700〜17,400の分子量範囲を有し、ここで「a」は141であり且つ「b」は44であり、そしてルトロールF68は7,680〜19,510の分子量範囲を有し、ここで「a」は約80の値を有し且つ「b」は約27の値を有する。
他の特に好ましい界面活性剤は、脂肪酸類の糖エステル類である糖エステル界面活性剤である。そのような糖エステル界面活性剤は、糖脂肪酸モノエステル類、糖脂肪酸ジエス
テル類、トリエステル類、テトラエステル類、またはそれらの混合物を包含するが、モノ−およびジ−エステル類が最も好ましい。好ましくは、糖脂肪酸モノエステルは炭素数6〜24の脂肪酸を包含し、それらは線状もしくは分枝鎖状、または飽和もしくは不飽和性のC6〜C24脂肪酸類でありうる。C6〜C24脂肪酸類は、いずれかの副範囲または組み合わせで、C6、C7、C8、C9、C10、C11、C12、C13、C14、C15、C16、C17、C18、C19、C20、C21、C22、C23、およびC24を包含する。これらのエステル類は好ましくは、ステアリン酸エステル類、ベヘン酸エステル類、ココエート類、アラキドン酸エステル類、パルミチン酸エステル類、ミリスチン酸エステル類、ラウリン酸エステル類、カルプレート類(carprates)、カプリル酸エステル類、オレイン酸エステル類、ラウリン酸エステル類およびそれらの混合物から選択される。
好ましくは、糖脂肪酸モノエステルは少なくとも1個の糖単位、例えばスクロース、マルトース、グルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、アラビノース、キシロース、ラクトース、ソルビトール、トレハロースまたはメチルグルコース、を含んでなる。二糖エステル類、例えばスクロースエステル類、が最も好ましく、そしてスクロースココエート、モノオクタン酸スクロース、モノデカン酸スクロース、モノ−もしくはジラウリン酸スクロース、モノミリスチン酸スクロース、モノ−もしくはジパルミチン酸スクロース、モノ−もしくはジステアリン酸スクロース、モノ−、ジ−もしくはトリオレイン酸スクロース、モノ−もしくはジリノール酸スクロース、スクロースポリエステル類、例えばペンタオレイン酸、ヘキサオレイン酸、ヘプタオレイン酸もしくはオクトオレイン酸スクロース、並びに混合エステル類、例えばパルミチン酸/ステアリン酸スクロース、を含んでなる。
これらの糖エステル界面活性剤の特に好ましい例は、ニュージャージー州、パルシッパニーの会社であるクロダ・インコーポレーテッド(Croda Inc)により、米国特許第3,480,616号明細書に記載されているようなエステル化度を調節する方法を用いて製造されるステアリン酸スクロース類を含んでなる種々のモノ−、ジ−およびモノ/ジエステル混合物を示す品名クロデスタ(Crodesta)F10、F50、F160、およびF110で販売されるものを包含する。これらの好ましい糖エステル界面活性剤は錠剤化の容易さおよび非汚染性造粒の追加利点を与える。
三菱(Mitsubishi)会社により、品名リョート・シュガー(Ryoto Sugar)エステル類で、例えば20%のモノエステル並びに80%のジ−、トリ−およびポリエステルより製造されるベヘン酸スクロースに相当する照会番号B370で、販売されているものを使用することもできる。ゴールドシュミット(Goldschmidt)会社により品名「テゴソフト(Tegosoft)PSE」で販売されているモノ−およびジパルミチン酸/ステアリン酸スクロースを使用することもできる。これらの種々の製品の混合物を使用することもできる。糖エステルは糖から誘導されない別の化合物と混合して存在することもでき、そして好ましい例はICI会社により品名「アルラトン(Arlatone)2121」で販売されているステアリン酸ソルビタンおよびスクロースココエートの混合物を包含する。他の糖エステル類は、例えば、トリオレイン酸グルコース、ジ−、トリ−、テトラ−もしくはペンタオレイン酸ガラクトース、ジ−、トリ−もしくはテトラリノール酸アラビノースまたはジ−、トリ−もしくはテトラリノール酸キシロース、或いはそれらの混合物を包含する。脂肪酸類の他の糖エステル類は、ゴールドシュミット会社によりテゴケア(Tegocare)450で販売されているメチルグルコースおよびポリグリセロール−3のジステアリン酸エステル類を包含するメチルグルコースのエステル類を包含する。グルコースまたはマルトースモノエステル類、例えばメチルO−ヘキサデカノイル−6−D−グルコシドおよびO−ヘキサデカノイル−6−D−マルトース、も包含されうる。ある種の他の糖エステル界面活性剤は、オキシエチレン化された
誘導体、例えばアメルコール(Amerchol)会社により品名「グルカメート(Glucamate)SSE20」で販売されているセスキステアリン酸PEG−20メチルグルコース、を包含する脂肪酸および糖のオキシエチレン化されたエステル類も包含しうる。
固体界面活性剤を包含する界面活性剤の原料およびそれらの性質はMcCutcheon‘s Detergents and Emulsifiers,International Edition 1979において入手可能である。固体界面活性剤に関する他の情報源は、BASF Technical Bulletin Pluronic & Tetronic Surfactants 1999およびGeneral Cheracteristics of Surfactants from ICI Americas Bulletin 0−1 10/80 5M、およびEastman Food Emulsifiers Bulletin ZM−1K October 1993を包含する。
これらの参考文献でまとめられた界面活性剤の特徴の一つは、HLB値、すなわち親水性親油性均衡値である。この値は界面活性剤分子の相対的親水性および相対的疎水性を表す。一般的に、HLB値が高くなればなるほど界面活性剤の親水性は大きくなるが、HLB値が低くなればなるほど疎水性は大きくなる。例えば、ルトロール分子に関すると、エチレンオキシド部分は親水性部分に相当しそしてプロピレンオキシド部分は疎水性部分に相当する。ルトロールF127、F87、F108、およびF68のHLB値はそれぞれ22.0、24.0、27.0、および29.0である。好ましい糖エステル界面活性剤は約3〜約15の範囲内のHLB値を与える。最も好ましい糖エステル界面活性剤であるクロデスタF160は14.5のHLB値を有することにより特徴づけられる。
イオン性界面活性剤はコリン酸類およびコリン酸の誘導体、例えばデオキシコリン酸、ウルソデオキシコリン酸、タウロコリン酸、タウロデオキシコリン酸、タウロケノデオキシコリン酸、およびそれらの塩類、並びにアニオン性界面活性剤を包含し、それらの最も普遍的な例はドデシル(またはラウリル)硫酸ナトリウムである。双性イオン性または両性イオン性界面活性剤は一般的にカルボキシレートまたはホスフェート基をアニオンとしてそしてアミノまたは第四級アンモニウム部分をカチオンとして包含する。これらは、例えば、種々のポリペプチド類、蛋白質類、アルキルベタイン類、並びに天然燐脂質、例えばレシチン類およびセファリン類、アルキル−ベータ−アミノプロピオネート類および2−アルキル−イミダゾリン第四級アンモニウム塩類、並びにチャップス(CHAPS)系統の界面活性剤(例えば、アルドリッヒ(Aldrich)から入手可能な3−[3−コーラミドプロピル)ジメチルアンモニオール]−1−プロパンスルホネート水和物)などを包含する。
界面活性剤は1種の界面活性剤としてまたは界面活性剤の配合物として包含されうる。界面活性剤は、それらが薬品の分解および溶解を促進する値を有するように選択される。特定の薬品が中間のHLB値を要求する場合には、高いHLB界面活性剤を低いHLBの界面活性剤と配合してそれらの間にある正味HLB値を得ることができる。界面活性剤は送達される薬品に依存して選択されるため、適切なHLB等級が利用される。
薬品層は、(1)薬品の粉砕されたまたは液体の塩基形態、(2)(i)薬品の製薬学的に許容可能な塩形態または(ii)反応して薬品の製薬学的に許容可能な塩形態を生成しうる出発物質のいずれか、並びに/或いは(3)結合剤および他の成分を含んでなる混合物として形成することができる。薬品層は粒子から、典型的には本発明の方式および方法に従い、粉砕により、典型的には化合物を含有する芯として、形成することができる。粒子を製造するための手段は、意図するミクロン粒子寸法を製造するための、造粒、噴霧
乾燥、ふるいかけ、凍結乾燥、破砕、研磨、ジェット粉砕、粉砕および切断を包含する。この方法は寸法減少装置、例えば微細粉砕ミル、流体エネルギー粉砕ミル、研磨ミル、ローラーミル、ハンマーミル、摩損ミル、チェーサーミル、ボールミル、振動ボールミル、衝撃粉砕ミル、遠心粉砕機、粗大破砕機および微細粉砕機、により実施することができる。粒子の寸法を、グリズリースクリーン、フラットスクリーン、振動スクリーン、回転スクリーン、揺動スクリーン、振動スクリーンおよび往復スクリーンを包含するスクリーニングにより確実にすることができる。薬品および結合剤を製造するための方法および装置は、Pharmaceutical Sciences,Remington,17th
Ed.,pp.1585−1594(1985);Chemical Engineers Handbook,Perry,6th Ed.,pp.21−13〜21−19(1984);Journal of Pharmaceutical Sciences,Parrot,Vol.61,No.6,pp.813−829(1974);およびChemical Engineer,Hixon,pp.94−103(1990)に開示されている。
一般的に、液体薬品を多孔性固体担体と混合することにより、薬品の液体塩基形態を錠剤化に適する自由−流動性粉末に転化させることができる。液体塩基形態は担体中に吸収されそして自由流動性粉末になる。混合は典型的には、多孔性担体は粉砕されず且つ多孔性が保有されるように低剪断配合器であるツイン・シェル・ブレンダーの中に充填することにより、行われる。次に、薬品の液体塩基形態を多孔性担体上に静かに撹拌しながらゆっくり加えるかまたは噴霧する。これが、次に錠剤形態に圧縮される最終的な自由−流動性組成物をもたらす。この方法に関する変更は一般的に既知である。
薬品層は典型的には、一層としての結合剤および薬品並びに第二層としての膨張可能なすなわちプッシュ層の圧縮により形成される乾燥組成物である。圧縮技術は当該技術で既知であり、そしてここに記載される。プッシュ層が流体を使用環境から吸収するにつれてプッシュ層が薬品層を出口オリフィスから押し、そして薬品層が使用環境内に放出される。
プッシュ層は、薬品層と直接的もしくは間接的に接触する積層配置で押し−排出組成物を有する膨張可能層である。プッシュ層は一般的に、水性または生物学的流体を吸収しそして膨潤して薬品組成物を装置の出口手段を通して押す重合体を含んでなる。流体−吸収性排出重合体の代表例は500,000〜3,500,000の数−平均分子量のポリ(エチレンオキシド)およびポリ(アルカリカルボキシメチルセルロース)により代表される100万〜1500万の数−平均分子量のポリ(アルキレンオキシド)から選択される員を含んでなり、ここでアルカリはナトリウム、カリウムまたはリチウムである。押し−排出組成物の調合物用の別の重合体の例は、ヒドロゲルを形成する重合体、例えばカルボポル(Carbopol)(R)酸性カルボキシ重合体、カルボキシポリメチレンとしても知られるポリアリルスクロースで架橋結合されたアクリル系重合体、および250,000〜4,000,000の分子量を有するカルボキシビニル重合体;シアナマー(Cyanamaer)(R)ポリアクリルアミド類;架橋結合された水膨潤性の無水インデンマレイン酸重合体;80,000〜200,000の分子量を有するグッド−ライト(Good−rite)(R)ポリアクリル酸;縮合されたグルコース単位、例えばジエステル架橋結合されたポリグルラン、より構成されるアクア−キープス(Aqua−Keeps)(R)アクリレート重合体多糖類などを含んでなる浸透性重合体を含んでなる。ヒドロゲルを形成する代表的な重合体は先行技術で、Hartopに対して発行された米国特許第3,865,108号明細書、Manningに対して発行された米国特許第4,002,173号明細書、Michaelsに対して発行された米国特許第4,207,893号明細書、並びにHandbook of Common Polymers,Scott and Roff,Chemical Rubber Co.,Clevela
nd,Ohioにおいて知られている。
外壁およびサブコートを越える浸透圧勾配を示す浸透性溶質および浸透的に有効な剤としても知られる浸透剤は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸リチウム、酸性燐酸カリウム(potassium acid phosphate)、マンニトール、ウレア、イノシトール、琥珀酸マグネシウム、酒石酸ラフィノース、スクロース、グルコース、ラクトース、ソルビトール、無機塩類、有機塩類および炭水化物類よりなる群から選択される員を含んでなる。
本発明の薬用量形態で使用されるそれぞれの壁、層、コーティングおよびサブコーティングを製造するために適する例示溶媒は、薬用量形態を製作するために使用される物質に悪影響を与えない水性および不活性有機溶媒を含んでなる。溶媒は広義には、水性溶媒、アルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類、脂肪族炭化水素類、ハロゲン化された溶媒、脂環式類、芳香族類、複素環式溶媒およびそれらの混合物よりなる群から選択される員を包含する。典型的な溶媒は、アセトン、ジアセトンアルコール、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、メチルイソブチルケトン、メチルプロピルケトン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルアセテート、二塩化メチレン、二塩化エチレン、二塩化プロピレン、四塩化炭素、ニトロエタン、ニトロプロパンテトラクロロエタン、エチルエーテル、イソプロピルエーテル、シクロヘキサン、シクロオクタン、ベンゼン、トルエン、ナフサ、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジグリム、水、例えば塩化ナトリウム、塩化カルシウムなどの如き無機塩類を含有する水性溶媒、並びにそれらの混合物、例えばアセトンおよび水、アセトンおよびメタノール、アセトンおよびエチルアルコール、二塩化メチレンおよびメタノール、並びに二塩化エチレンおよびメタノール、を包含する。
出口オリフィス以外は完成した薬用量形態を与えるために、パンコーティングを簡便に使用することができる。パンコーティングシステムでは、回転するパン中で撹拌しながら薬品層およびプッシュ層を含んでなる二層芯の上への各組成物の連続的噴霧により壁−形成組成物のサブコートを沈着させることができる。パンコーターをその商業的規模での入手性のために使用することができる。薬品芯をコーティングするために他の技術を使用することができる。コーティングされた薬用量形態を強制−空気オーブンの中で、または温度および湿度調節オーブンの中で乾燥して、溶媒から薬用量形態を除くことができる。乾燥条件は、利用可能な装置、周囲条件、溶媒、コーティング、コーティング厚さなどに基づき簡便に選択されるであろう。
他のコーティング技術を使用することもできる。例えば、薬用量形態の半透過性壁およびサブコートを空気−懸垂工程を用いて1つの技術で形成することができる。この工程は、いずれかの操作でサブコートおよび外壁コートが二層芯に適用されるまで、空気流中に二層芯、内部サブコート組成物および外部半透過性壁形成組成物を懸垂しそして撹拌することよりなる。空気−懸垂工程は薬用量形態の壁を独立して形成するために良く適する。空気−懸垂工程は米国特許第2,799,241号明細書、J.Am.Pharm.Assoc.,Vol.48,pp.451−459(1959)、および同上、Vol.49,pp.82−84(1960)に記載されている。薬用量形態を、例えば、共溶媒としてメチレンジクロリドメタノールを用いるウルスター(Wurster)(R)空気−懸垂コーターでコーティングすることもできる。共溶媒を用いるアエロマティック(Aeromatic)(R)空気−懸垂コーターを使用することができる。
本発明の薬用量形態は標準的技術により製作することができる。例えば、薬用量形態を
湿潤造粒技術により製作することができる。湿潤造粒技術では、薬品層を構成する薬品および成分を有機溶媒、例えば変性無水エタノール、を造粒流体として使用して配合する。薬品層を形成する成分を予め選択されたスクリーン中に個別に通しそして次にミキサー中で充分に配合する。次に、第一層を構成する他の成分を造粒流体、例えば上記溶媒、の一部分の中に溶解させることができる。次に、配合器中で連続的に混合しながら、後者の製造された湿潤配合物を薬品配合物にゆっくり加える。湿潤配合物が製造されるまで造粒流体を加え、その湿潤物体配合物を次に予め決められたスクリーンを通してオーブントレー上に送る。配合物を18〜24時間にわたり24℃〜35℃において強制−空気オーブンの中で乾燥する。乾燥した顆粒を次に寸法分類する。次に、ステアリン酸マグネシウムを薬品顆粒に加え、次に粉砕ジャーの中に入れ、そしてジャーミルの上で10分間にわたり混合する。組成物を例えばマネスティー(Manesty)(R)プレス中で加圧して層にする。プレスの速度は20rpmに設定できそして最大負荷は2トンに設定できる。第一層を第二層を形成する組成物に対して加圧しそして二層錠剤をキリアン(Kilian)(R)ドライコータープレスに供給しそして薬品を含まないコートで囲み、引き続き外部壁溶媒コーティングすることができる。
別の製造では、出口手段に面する薬品層を構成する薬品および他の成分を配合しそして加圧して固体層にする。層は層が薬用量形態内で占有する面積の内部寸法に相当する寸法を有し、そしてそれはまたそれとの接触配置を形成するためのプッシュ層に相当する寸法も有する。薬品および他の成分を溶媒と配合しそして従来方法、例えばボール粉砕、カレンダーリング、撹拌またはロール粉砕、により固体または半固体形態に混合し、そして次に加圧して予め選択された形状にする。次に、プッシュ層、例えば、浸透性重合体組成物の層、を同様な方法で薬品の層と接触配置する。薬品層およびプッシュ層の積層は従来の二層加圧技術により製作することができる。2つの接触した層を最初に流れ−加速サブコートでコーティングしそして次に外部半透過性壁でコーティングする。空気−懸垂および空気−撹拌工程は、薬品およびプッシュ層が壁組成物により囲まれるまで、加圧された接触している第一および第二層を遅延−形成組成物を含有する空気流の中で懸垂しそして接触させることを含んでなる。
区画−形成組成物を与えるために使用できる別の製作方法は、粉末状成分を流動床造粒器の中で配合することを含んでなる。粉末状成分を造粒器の中で乾燥配合した後に、造粒流体、例えば、水中のポリ(ビニルピロリドン)、を粉末上に噴霧する。コーティングされた粉末を次に造粒器の中で乾燥する。この方法は、造粒流体を加えながら内部に存在する成分の全てを造粒する。顆粒を乾燥した後に、潤滑剤、例えばステアリン酸またはステアリン酸マグネシウム、を顆粒の中にトートまたはV−配合器を用いて混合する。顆粒を次に上記方法で加圧する。
本発明のある種の態様に戻ると、図2は本発明に従う浸透性調節放出薬用量形態を示す。この態様は、上部胃腸系統への製薬学的に許容可能な塩形態放出構造および結腸系統への塩基形態放出構造が実質的に同じ空間を占める態様を含んでなる。塩形態は上部胃腸系統内に送達され、そして粉砕されたまたは液体の遊離塩基形態は結腸内に送達される。図2は、半透膜20により囲まれた二層芯を示す。送達口30に最も近い芯層28は薬品層である。図2では、薬品層は粉砕されたまたは液体の遊離塩基形態の薬品および塩形態の同じ薬品をそれぞれの均質混合物として含んでなる。薬品層は、水に露出される時にその場でヒドロゲルを生成する重合体も含んでなる。送達口30から最も離れた層は浸透性プッシュ層32である。それは高分子量重合体および浸透性塩と共に調合される。プッシュ層組成物の例は、500万の分子量のポリオキシエチレンおよび30%の塩化ナトリウムの配合物である。
このシステムが水性環境内に置かれる時に、薬品の塩形態が選択的にポンプ操作される
。薬用量形態が投薬後に上部胃腸系統内に置かれる間に、選択的なポンプ操作が起きる。選択的なポンプ操作はより低い溶解度を有する薬品の粉砕されたまたは液体の塩基形態と比べて塩薬品のより高い浸透駆動力による。塩形態が薬品層から分配されるにつれて、プッシュ層が連続的に膨張して分配される可溶性薬品により空になる薬品層内の容積を占める。塩形態が分配されると、薬品の残存する溶解度のより低い粉砕されたまたは液体の塩基形態が懸濁液としてポンプ操作で外に出されながら、薬用量形態が投薬後に結腸内に置かれる。懸濁液はプッシュ層の連続的な膨張によりシステムからポンプ操作される。生するパターンは図1に示されるものと同様である。
本発明に従う別の態様は、薬品層が薬品および粉砕された塩基形態の塩−生成剤の均質混合物と共に調合されること以外は、すぐ上に記載された薬用量形態と同様である。そのような薬品塩基/塩−生成剤の例は粉砕されたヒドロコドン塩基/酒石酸である。ここでも、この態様は上部胃腸系統への製薬学的に許容可能な塩形態放出構造および結腸系統への粉砕された塩基形態放出構造が実質的に同じ空間を占める態様を含んでなる。塩形態が上部胃腸系統内に送達され、そして粉砕塩基形態が結腸内に送達される。
このシステムが水性環境内に置かれる時に、システムにより吸収された水が酒石酸を溶解しそして直ちにその場で薬品の可溶性酒石酸塩を生成する。生じた可溶性のその場で生成した塩は塩基形態より大きい浸透活性を有しておりそしてその結果として上部胃腸系統内に選択的に分配される。薬品の可溶性形態が分配されるにつれて、膨張しつつあるプッシュ層が可溶性薬品の溶解により空にされた固体容積を充填する。この方法は、酒石酸が枯渇するまで、進行する。この時点で、プッシュ層は粉砕されたヒドロコドン塩基を懸濁液状で長期間にわたりポンプ操作し続ける。
この態様では、塩ポンプ操作の期間および形状は薬品層内に最初に存在する塩生成剤の量により調節することができる。酒石酸のレベルの増加は、例えば、酒石酸塩として送達される薬品の部分を増加させそして塩基として送達される薬品の部分を減少させる。同様に、酒石酸のレベルの減少は塩として送達される薬品の部分を減少させそして塩基として送達される部分を増加させる。
この態様では、各薬品の特徴の持続性および形状はそれ故、薬品層内に存在する塩生成剤の量により調節することができる。薬用量形態が患者への投薬後に上部胃腸系統内に置かれる間に、上部胃腸系統への製薬学的に許容可能な塩形態放出構造は薬品の塩形態を放出する。薬用量形態が結腸内に置かれる間に、結腸系統への塩基形態放出構造が次に粉砕された塩基形態を送達するように作用する。
図3は、上部胃腸系統への製薬学的に許容可能な塩形態放出構造および結腸系統への塩基形態放出構造が実質的に別個である本発明の態様を説明する。薬用量形態が投薬後に上部胃腸系統内に置かれる間に上部胃腸系統への製薬学的に許容可能な塩形態放出構造が塩形態を送達するように作用し、そして薬用量形態が投薬後に結腸内に置かれる間に結腸系統への塩基形態放出構造は薬品の粉砕されたまたは液体の塩基形態を放出するように作用する。図3は、半透膜22により囲まれた三層芯を有する浸透システムを説明する。最初に送達される層34は薬品の塩形態である。この最初に送達される層は場合により粘度−生成剤と調合されてもよい。塩形態および粘度剤の例は、ベンラファキシン(venlafaxine)塩酸塩および約10重量パーセントの1モル当たり200,000の分子量を有するポリオキシエチレンの配合物である。第二の薬品層36はベンラファキシン塩基を含んでなる。この層は場合により浸透剤、例えば塩化ナトリウムもしくはソルビトール、とまたは粘度−生成剤と調合されてもよい。プッシュ層38は上記のものと本質的に同等な組成物を含んでなる。
このシステムが水性環境内に置かれる時に、流入する水が両方の薬品層を水和する。ベラファキシンHClを有する層が最初にポンプ操作される。その理由は、それが出口40に隣接して置かれているためおよびそれが薬品の塩基形態より高い浸透圧を有するためである。薬品塩は溶液状でポンプ操作される。ベンラファキシン塩基を有する次の薬品層が連続的に膨張するプッシュ層により二番目にポンプ操作されて実施例1に記載されているような順次送達パターンを生ずる。
図4は、本発明の別の構造を説明する。この態様における芯は三層構造である。送達口に隣接して置かれる第一層は多孔性のカチオン交換樹脂42を含んでなる。樹脂は交換可能なイオン、例えばカルボキシル官能基の水素イオン、を含有する。カルボキシル官能基は不溶性樹脂ビーズの骨格に共有結合される。そのような性質を有する薬剤等級樹脂の例はアンベルライト(Amberlite)IPR64(ローム・アンド・ハース(Rohm and Hass)から入手可能である)である。この樹脂は25ミクロン〜150ミクロンの範囲内の微細分割された寸法を有する。
本発明の調節放出薬用量形態における使用の前に、樹脂は好ましくは水−不溶性結合剤、例えばエチルセルロース、と共に造粒されて、システムの送達口の寸法より大きい顆粒を与える。或いは、圧縮時に連続的な開放−セルマトリックスに焼結させる低いガラス転移温度を有する重合体と樹脂を配合することができる。そのような重合体の例は80/20ポリ酢酸ビニル/PVP(バスフ・コーポレーションからコリドン(Kollidon)(R)SRとして市販されている)である。樹脂およびコリドンのマトリックスは送達口50の寸法より大きくそしてその結果として操作中に送達システム内に保有される。第二層44は非−薬品塩と均質に混合された薬品の粉砕された塩基形態と共に調合される。この態様のための非−薬品塩の例は塩化ナトリウムまたは塩化カリウムである。場合により、第二層44をヒドロゲル−生成重合体、例えば低分子量ポリオキシエチレン、を含有するように調合することもできる。送達口50から最も離れて置かれる第三層46は上記のようなプッシュ層組成物である。
水性環境内に置かれる時に、非−薬品塩は溶解しそしてイオン化する。生じたナトリウムイオンは固定した樹脂に共有結合されたカルボキシル基の水素イオンを交換する。交換は、水素と比べてナトリウムの方へのカルボキシル基の選択的な親和力により、駆動される。本発明において有用なカチオン性交換樹脂に対するある種のカチオンの相対的親和力は以下の通りである:

Ba+2>Ca+2>Zn+2>Mg+2>Ag+1>K+1>NH +1>Na+1>H+1
生じた移動性水素イオンが次に移動性塩化物アニオンとの塩酸塩を生成する。生じたHClは次に直ちに薬品の粉砕された塩基形態と反応して薬品の対応するHCl塩形態を生成する。この可溶性形態は薬品の塩基形態より可溶性が大きくそしてその結果としてより高い浸透活性を生ずるため、それは多孔性イオン交換膜層を通って選択的にポンプ操作される。カチオン交換方法は、イオン交換層の水素含有量が実質的に枯渇するまで、続く。次に、残存する転化されていない薬品の粉砕された塩基形態が懸濁液状で分配される。生じた送達パターンは例えば図1に示されているような多くの形態でありうる。
このイオン交換態様は、薬品のHCl塩を送達するための手段を与える。これらは、市販されている断然最も一般的な塩形態である。例は、トラマドール(Ttramadol)HCl、ブプロピオン(bupropion)HCl、シプロフロキサシン(ciprofloxacin)HCl、メトホルミン(metformin)HCl、フェキソフ
ェナジン(fexofenadine)HCl、およびオンダンセトロン(ondansetron)HClを包含する。
HCl薬品塩生成を説明する一連のその場でのイオン交換反応は以下の通りにまとめられる:
Figure 2008506788
異なる態様では、異なるイオン交換樹脂を上記のものと同様な薬用量形態で使用することができる。アンベルライトIRP69はスルホン酸官能基に基づく薬剤等級のカチオン交換樹脂(ローム・アンド・ハース・カンパニーから市販されている)である。これは、IRP64よりpH非依存性に交換する強酸性交換樹脂である。その市販形態では、IRP69はナトリウム塩である。現在では、この樹脂の遊離酸形態は市販されていない。本発明の目的のために、酸性交換樹脂が最初に水性塩酸を用いる処理により遊離酸形態に転化される。一連の反応段階は以下の通りである:
Figure 2008506788
Figure 2008506788
本発明のさらに別の態様では、イオン交換式の浸透性調節放出薬用量形態は図5に示されている通りである。この薬用量形態の構造は、この薬用量形態ではチャンネル48がイオン−交換層内に形成されること以外は、図4における薬用量形態と本質的に等しい。図5に示されているようにチャンネルはイオン交換層を通る連続的な経路を与えそして薬品層を出口オリフィスに連結する。
操作中に、イオン交換方法がチャンネルの中で並びにイオン交換層の孔の中で起き、本発明の薬用量形態が上部胃腸系統内に置かれる間に薬品の塩形態の送達が起きる。樹脂からの水素イオンが枯渇した後に、薬用量形態は結腸内に置かれる間に残存する転化されていない薬品の塩基形態がチャンネルを通って押し出される。これが、図1A−Jに示されているような順次送達パターンを生ずる。
別の態様では、塩化ナトリウムの少なくともある部分がイオン交換層内で調合されること以外は、図4におけるシステムと同様な薬用量形態が提供される。操作中に、吸収された水がNaClを溶解して、イオン交換層内で水が充填された孔を生ずる。開放孔がイオン交換層の中の薬品の通過を加速する。NaClが最初にイオン交換層内で濃縮されるため、イオン交換速度は大きいであろう。これが、薬品塩基を薬品塩に転化させるために利用できる塩酸をより容易に製造する。総合効果は、薬品塩送達の開始を短縮することである。
本発明のさらに別の態様では、腸溶性質を有するように調合される速度調節膜を含んでなる調節放出薬用量形態を製造することができる。操作中に、いずれかの薬品が胃の中にある場合には薬用量形態はほとんどポンプ操作しない。胃で空にされた時に、送達システムは上部胃腸系統の規定された部分、すなわち小腸、の中にポンプ操作し始める。従って、薬用量形態は薬用量形態の作用寿命中にpH状態が比較的穏やかな胃腸管の中で作用する。また、腸溶性コーティングは薬品の塩基形態がある種の場合に下部胃腸管内に送達される可能性を高めうる。その理由は、浸透性調節放出薬用量形態は約12−16時間の一定期間にわたりポンプ操作するように設計されているが胃の空になる時間は1時間以内ないし4時間もしくはそれ以上にわたり変動しうるためである。浸透性調節放出薬用量形態は胃から空になったらポンプ操作を始めるため、腸溶性膜は胃が空になる時間における変動の影響を減ずる。
以下の実施例は本発明の薬用量形態を説明するものであり、これらの実施例およびそれらの他の同等物は本発明の開示および添付されている請求の範囲に照らして当該技術の専門家に明らかになるため本発明の範囲をいずれかの方法で限定するものと考えるべきでない。
実施例1:ラニチジン(Ranitidine)(R)薬品形態
ラニチジン(R)は胃および十二指腸潰瘍の処置に関して指示される。それは典型的には1日2回投与される2錠の150mg錠剤または1日1回投与される1錠の300mg錠剤として処方される。療法は典型的には約4週間もしくはそれ以上の長期投薬レジメンを包括する。この長引く投薬レジメンにもかかわらず、多くの患者は症状の不快さを体験し続ける。患者人口の約20〜30%が数週間の療法後でも治癒されないため未治癒のままである。投薬レジメンの期間を短縮することによりそしてこの薬品で有効に処置されうる患者人口の部分を多くすることにより改良された療法を提供しうる薬用量形態は満たされていない医学的要望とみなされる。
塩形態を含んでなる第一放出パターンおよび薬品の塩基形態を含んでなる第二放出パターンを提供する順次浸透性薬用量形態が開発される。生じた送達システムは、塩形態を上部胃腸管内に送達しそして次に塩基形態を結腸内に送達して必要とする患者のための療法を改良する経口薬用量形態を提供する。
本発明の薬用量形態は、半−透過性の速度−調節膜でコーティングされた三層浸透性錠剤を含んでなる。薬用量形態は、投薬前の薬品の全てが薬品の塩基形態で存在するように、調合される。投薬後に、薬品の一部がイオン交換に基づく機構により塩形態に転化される。薬用量形態は、薬品のこの塩形態が最初に上部胃腸系統内に送達され、次に塩基形態が結腸に送達されるように、設計される。
この態様の薬用量形態は下記の工程および組成に従い製作される。最初に、強酸性官能基を有するイオン交換樹脂のバッチが製造される。これは、スルホン酸ナトリウム官能基を有するスチレンおよびジビニルベンゼンの製薬学的等級の樹脂からスルホン酸官能基への転化により、行われる。樹脂はペンシルバニア州、フィラデルフィアのローム・アンド・ハース・カンパニーから、アンベルライト(R)IRP69として、市販されている。約1キログラムの樹脂を1規定塩酸で、ナトリウムイオンが下記式に従いプロトンで実質的に交換されるまで処理する:
Figure 2008506788
[式中、Rは樹脂のスチレンジビニルベンゼン骨格を表す]。
転化された樹脂を次に脱−イオン水ですすぎそして強制空気オーブンの中で35℃において一晩乾燥して残存水分を除去する。これが、本発明の薬用量形態の機能的要素として加えられるプロトン化されたカチオン交換樹脂を形成する。
この薬用量形態を製造するために、約809グラムの乾燥されたプロトン化された交換
樹脂および131.0グラムの塩化ナトリウム粉末を60−メッシュ寸法分類ふるいの中に通しそして遊星ボールミキサーに移す。次に、50グラムの酢酸セルロースを100mlの無水アセトン中に撹拌しながら溶解させる。酢酸セルロースは30,000の平均分子量を有しそしてイーストマン・ケミカル(Eastman Chemical)からタイプCA−398−3として市販されている。粉末をボール中で混合しながら、重合体溶液を粉末に、均一な湿気のある物体が生成するまで、ゆっくり加える。生じた湿気のある物体を次に20−メッシュふるいの中に通して、細長い顆粒を形成する。生じた細長い顆粒を強制空気中で35℃において2日間乾燥して残存アセトンを除去する。細長い顆粒を次に20−メッシュふるいの中に再び通す。生じた自由−流動性顆粒をツイン・シェル・ミキサーに移す。10.0グラムのステアリン酸を60−メッシュふるいの中に通しそして顆粒中に1分間にわたり撹拌配合する。これが、錠剤層組成物1を形成する。
840グラムの予め空気ジェットミル内で製造業者の指示に従う標準的処理工程を用いて粉砕された固体の粉砕されたラニチジン塩基、100グラムの1モル当たり200,00グラムの分子量を有するポリオキシエチレン(ポリオックス(Polyox)N80)として入手可能である)、および50.0グラムのビニルピロリドン酢酸ビニル共重合体を40−メッシュふるいを通して寸法分類することにより、錠剤層組成物2を製造する。共重合体はバスフ・コーポレーションからコリドンVA64として入手可能である。寸法分類された粉末を遊星ボールミキサーに移しそして撹拌して均質配合物にする。粉末を撹拌しながら100mlの無水エタノールSDA3A(Handbook of Chemistry,Norbert Lange(1941))を次にゆっくり加えて、均一な湿気のある顆粒を形成する。物体を20−メッシュふるいの中に通して顆粒を形成する。顆粒を35℃において一晩オーブン乾燥する。生じた乾燥された顆粒を20−メッシュふるいの中に通しそして次にツイン・シェル・ミキサーに移す。次に、約10グラムのステアリン酸を80−メッシュふるいの中に通しそして1分間にわたり顆粒に撹拌混入する。これが、錠剤層組成物2を形成する。
第三の顆粒を下記の組成物および工程に従い製造する。737.0グラムのポリオキシエチレン、200グラムの塩化ナトリウム、および50.0グラムのポリビニルピロリドンを40−メッシュふるいの中に通しそして遊星ミキサーに移す。10.0グラムの赤色酸化第二鉄および0.5グラムのブチル化されたヒドロキシトルエンを60−メッシュふるいの中に通しそして粉末に加えそして配合物に混入する。ポリエチレンオキシドは1モル当たり700万グラムの分子量を有しそしてポリオックス303として入手可能である。ポリビニルピロリドンは1モル当たり約10,000グラムの分子量を有しそしてニュウージャージー州、マウント・オリーブのバスフ・コーポレーションから、コリドン30として、市販されている。350mlの無水エタノールを次に粉末に、均一な湿気のある物体が製造されるまで、混合しながらゆっくり加える。生じた湿気のある物体を次に20−メッシュふるいの中に通して、細長い押し出し物を形成する。生じた湿気のある押し出し物を一晩空気乾燥しそして次に20−メッシュふるいの中に再び通す。生じた自由−流動性顆粒を次にツイン・シェル・ミキサーに移し、そこで2.5グラムの予め60メッシュに寸法分類されたステアリン酸を顆粒に混入する。これが、プッシュ層顆粒を形成する。
三層錠剤を次に17/64−インチ直径の錠剤パンチ器具およびダイを装着したカルバー(Carver)ベンチ・トップ・プレスを用いて手動で圧縮する。最初に、130mgの錠剤層組成物1をダイ空洞内に充填しそして軽くたたく。次に、320mgの錠剤層組成物2をダイ空洞内に充填しそしてわずかにたたく。最後に、150mgのプッシュ層顆粒をダイ空洞内に充填しそして2500ポンドの力を用いる上部パンチで圧縮する。錠剤層組成物2は268.8mgのラニチジン塩基を含んでなる。塩基のこの重量はモル基準で300mg服用量のラニチジン塩酸塩の重量に等しい。これが、本発明の三層錠剤を
形成する。
好ましくは、バリア層が第一および第二薬品層の間に挟まれて塩/塩基界面における起こりうる悪影響、例えばいずれかの中和効果、を防止する。しかしながら、ある種の薬用量形態に関しては、所望する特徴を生ずるための本発明のこの特徴を利用することは可能であることができまたは実際に望ましい。
90グラムのA:B:A三−ブロック共重合体を5,700グラムのアセトン中に暖めながら且つ撹拌しながら溶解させることにより、コーティング溶液が製造される。三−ブロック共重合体は、7,680〜9510の範囲にわたる平均分子量を有するエチレンオキシド:プロピレンオキシド:エチレンオキシド三−ブロック共重合体である。1個のブロック当たりのエチレンオキシド単量体単位数は約80でありそして1個のブロック当たりのプロピレンオキシド単量体単位数は約27である。次に、210グラムの酢酸セルロースを配合物内に撹拌しながら溶解させる。酢酸セルロースは39.8重量パーセントの平均アセチル含有量および35,000の平均分子量を有する。
三層錠剤のバッチを調剤パン・コーターの中に充填する。コーティング溶液を次に錠剤床の上に、それらをパン内で暖かい乾燥空気流の中で撹拌しながら、5ミルの均一なコーティング厚さが各錠剤上に沈着するまで、噴霧する。1mmの見かけ直径を有する送達オリフィスまたは口を機械的ドリルを用いてイオン交換層に最も近い錠剤の端部に穿孔する。オリフィスを外部の速度調節膜の中およびイオン交換層1の中に、それが錠剤層2組成物に達するような深さに、穿孔する。生じた送達チャンネルは従って薬品層組成物2を薬用量形態の外側環境と連結する。穿孔されたシステムの生じたバッチを次に強制空気オーブンの中で40℃において3日間にわたり乾燥して残存コーティング溶媒を除去する。これが、連続的送達システムの製作を完了させる。
抗−潰瘍療法を必要とする患者に経口投与される時に、胃腸管からの水は速度調節膜を越える芯の三層内への浸透により吸収される。プッシュ層が水和しそしてゲル化し且つ膨潤し始め、そして薬品層組成物2が水和しそしてゲル化する。水は同時に、イオン交換層内に存在する塩化ナトリウムを局部的に溶解させることにより、層1中のイオン交換機構を活性化させる。塩化ナトリウムから生じた移動性ナトリウムイオンは次に樹脂のスルホネートプロトンとの交換に利用可能であり、下記式:
Figure 2008506788
に従い水性塩酸を製造する。
生じた遊離塩酸は次にラニチジン塩基分子のジメチルアミノ官能基と会合する。薬用量形態内のこの反応は下記式:
Figure 2008506788
に従い分子の塩基形態を塩形態に転化させる。
ラニチジンHClは水中に自由に可溶性であり、1ミリリットル当たり667mgの37℃における溶解度値を有する。薬品の浸透圧も95気圧と非常に高い。従って、塩形態に関する浸透駆動力は非常に高い。ラニチジン塩基に関する浸透駆動力はそれより低い。従って、薬品の塩酸塩は放出パターンの開始時に選択的に送達される。薬品のHCl塩形態は、それが数時間にわたりイオン交換層内で連続的に形成されるにつれて、塩化ナトリウムが反応で枯渇するまで、送達システムから分配され続ける。
ラニチジン塩基分子のほぼ1/3をラニチジン塩酸塩分子に転化させるのに充分な塩化ナトリウムがイオン交換層内で調合される。転化が完了するにつれて、プッシュ層が水和され且つゲル化されたラニチジン塩基組成物層2に対して膨張し続ける。薬品層組成物2は従って送達チャンネルを通って長期間にわたり運ばれたラニチジン塩基の懸濁した粒子を有するヒドロゲルペーストとして押し出される。
これらの機構は、改良された療法を必要とする患者に対して、上部胃腸管内に分配されるラニチジン塩酸塩の順次送達パターンおよび次に下部管内に分配されるラニチジン塩基の送達パターンを与える薬用量形態を生ずる。
実施例2:チザニド(Tizanide)(R)薬品形態
チザニジン(Tizanidine)は多発性硬化症または脊椎索損傷もしくは疾病に関連する痙攣の症状緩和用に処方される中枢作用性筋肉弛緩剤である。それは、治療効果を維持するためには1日当たり3〜4回投与しなければならない短期作用性薬剤である。一般的な副作用は有意でありそして口腔乾燥、昏睡、無力症、または眩暈を包含する。これらの副作用は比較的低い服用量ではより少ないため、それらは服用量−関連性があるようである。従って、減じられた副作用の発生を伴う1日当たり1もしくは2回投与できる薬品の経口薬用量形態に関するかなりの満たされていない医学的要望がある。
薬品のHCl塩形態は1−10mg/mlの範囲内の水中溶解度値を有する。塩形態は、即時放出薬用量形態として投与される時に上部胃腸管中に溶液状で吸収される。しかしながら、pHが増加するにつれて薬品溶解度は減少する。このpH依存性溶解度はHCl塩を腸流体の中に沈殿させ、調節されずそしてその結果として直腸内で劣悪に調節され且つ可変性の吸収を伴う寸法を有する粒子にする。
本発明の薬用量形態は、最初に服用量の一部分を可溶性塩形態で上部胃腸系統内に送達し、そこで薬品が溶液状で良好に吸収されるように設計される。薬用量形態は次に服用量の第二部分を微細分割された粉砕された粒子寸法で不溶性塩基形態として下部胃腸管内に送達し、そこで粉砕された形態が粒子寸法のより広い分布を有する沈殿した形態より良好に吸収され且つより均一に吸収される。
この態様の順次送達システムは下記の工程および組成物に従い製作される。約163.4グラムのチザニジン塩酸塩、796.6グラムのポリオックスN80、および30.0グラムのポリビニルピロリドンを40−メッシュふるいの中に通して寸法分類する。ポリビニルピロリドンは約360,000の分子量を有しそしてバスフからコリドン(R)90F(?)として市販されている。
寸法分類された粉末を遊星ミキサーに移しそして撹拌する。粉末を撹拌しながら、200mlの無水エタノールである特別な変性アルコール(SDA)3Aを、均一な湿気のある物体が製造されるまで、ゆっくり加える。生じた湿気のある物体を20−メッシュふるいの中に通して押し出して細長い押し出し物を形成する。生じた押し出し物を強制空気オ
ーブンの中で40℃において一晩乾燥してエタノールを除去しそして次に再び20−メッシュふるいの中に通して、自由流動性顆粒を形成する。生じた顆粒を次にツイン・シェル・ミキサーに移す。次に、10グラムの錠剤潤滑剤であるステアリン酸を80−メッシュふるいの中に通しそして顆粒に加える。第一薬品層造粒を完了させるために、組成物を次に2分間にわたり撹拌混合する。
第二薬品層組成物を以下の通りにして製作する。チザニジン塩基を最初に空気ジェットミル中で製造業者の指示に従い3〜5ミクロンの見かけ粒子寸法に粉砕する。145.5グラムの生じた粉砕されたチザニジン塩基、814.5グラムのポリオックスN80、および30.0グラムのコリドン90Fを次に40−メッシュ寸法分類スクリーンの中に通しそして遊星混合刃を有するボールミキサー中で混合する。混合しながら、250mlの無水エタノールをゆっくり加えて均一な湿気のある物体を形成する。湿気のある物体を次に20−メッシュふるいの中に通し、強制空気オーブンの中で40℃において一晩乾燥し、そして再び20−メッシュふるいの中に通す。第二薬品層造粒を完了させるために、生じた顆粒を10.0グラムのマイナス80−メッシュのステアリン酸を用いてツイン・シェル・ミキサー中で潤滑化する。
三層錠剤を3/16−インチ直径パンチおよびダイ器具を用いて製造する。最初に、60mgの実施例1に記載されたプッシュ層組成物をダイ空洞内に充填しそして軽く固める。次に、110mgの粉砕された薬品塩基を含有する薬品層2顆粒を空洞に加えそして軽く固める。最後に、70mgの第一薬品層顆粒を空洞に供給しそして1000ポンドの力で圧縮する。これが、26mgのチザニジン塩基に相当する合計単位服用量を含有する三層錠剤を製造する。第一層は塩基形態としての10.0mgに相当する11.44mgの薬品の塩酸塩形態を含んでなるが、第二層は16.0mgのチザニジン塩基を含んでなる。三層錠剤のバッチを次に圧縮する。
最後のコーティング段階で、60グラムのA:B:A三−ブロック共重合体を5,700グラムのアセトン中に暖めながら且つ撹拌しながら溶解させることにより、コーティング溶液を製造する。三−ブロック共重合体は、7,680〜9510の平均分子量を有するエチレンオキシド:プロピレンオキシド:エチレンオキシド三−ブロック共重合体である。1個のブロック当たりのエチレンオキシド単量体単位数は約80でありそして1個のブロック当たりのプロピレンオキシド単量体単位数は約27である。次に、240グラムの酢酸エチルを配合物中に撹拌しながら溶解させる。酢酸セルロースは39.8重量パーセントの平均アセチル含有量および35,000の平均分子量を有する。
三層錠剤のバッチを調剤パン・コーターの中に充填する。コーティング溶液を次に錠剤床の上にそれらをパン内で暖かい乾燥空気流中で撹拌しながら7ミルの均一なコーティング厚さが各錠剤上に沈着するまで噴霧する。コーティングは半透過性速度調節膜としてそして操作中の薬用量形態の寸法を規定する硬いハウジングとしての両方で作用する。1mmの見かけ直径を有する送達口を錠剤の薬品層端部にレーザードリルを用いて穿孔する。順次送達システムの製作を完了させるために、穿孔されたシステムの生じたバッチを強制空気オーブンの中で40℃において3日間にわたり乾燥して残存コーティング溶媒を除去する。これが、順次送達システムの製作を完了させる。
処置を必要とする患者に投与された時に、浸透性調節放出薬用量形態は水を胃腸管から浸透により吸収する。入ってくる水が錠剤の三層を水和する。各薬用量形態層が水和するにつれて、ポリオキシエチレンのヒドロゲルが各層内で形成される。プッシュ層が硬い速度調節膜により規定された一定の容積内で膨張するため、送達システムは薬品を送達オリフィスを通して順次送達パターンで分配する。薬品塩が最初に送達され、次に粉砕された薬品塩基が送達される。可溶性塩形態は上部胃腸管内で良好に吸収されるが、微細分割さ
れた不溶性形態は結腸内で良好に吸収されて、より少ない副作用を有するより頻繁でなく投与される薬用量形態を提供する。
実施例3:プロポキシフェン(Propoxyphene)(R)薬品形態
プロポキシフェンは、軽度ないし中程度の疼痛の緩和用に処方される麻酔性鎮痛薬である。この薬品は短期作用性でありそしてその結果として治療血漿レベルを維持して疼痛の緩和を維持するためには4時間毎に投与しなければならない。この投薬レジメンは通常の毎日の活動スケジュールにとって負担となりそして必要とする患者が妨害されず且つ平穏な夜間睡眠を得ることを妨害する。1日1回または2回投与できる薬用量形態に関する要望がこの満たされていない医学的要望を満たすとみなされる。
薬品は塩酸塩形態および塩基形態で市販されている。塩酸塩形態は水中に自由に可溶性でありそして経口投与される時には胃腸管から急速に吸収される。塩基形態は水中に微溶性でありそしてゆっくり吸収される。個別薬品形態の欠点は、薬品の可溶性塩形態を最初に送達し次に低可溶性形態が製造されるような薬用量形態により、克服できる。薬品の可溶性形態が疼痛緩和の迅速な開始を与える一方で、長期間にわたり連続的に送達される低溶解度薬品形態が疼痛緩和の延長した期間を与える。本発明の薬用量形態はプロポキシフェン塩酸塩およびプロポキシフェン塩基の順次送達用の腐食可能な二層錠剤を含んでなる。
薬用量形態は以下の組成物および工程に従い製作される。最初に、216.7グラムのプロポキシフェン塩酸塩、385.0グラムのラクトース、および385.0グラムの微結晶性セルロースを1インチ当たり40本のワイヤーを有する寸法分類スクリーンの中に通す。微結晶性セルロースはアビセル(Avicel)PH−101(ペンシルバニア州、フィラデルフィアのFMC・コーポレーション(FMC Corporation)から入手可能である)として供給される。寸法分類された粉末をツイン・シェル・ブレンダーに移しそして15分間にわたり撹拌混合する。3.3グラムの赤色酸化第二鉄、および10.0グラムのステアリン酸マグネシウムを60−メッシュふるいの中に通しそして混合された粉末に加える。配合物を2分間にわたり撹拌混合して可溶性薬品層組成物を与える。
ゆっくり腐食する層組成物を以下の通りにして製造する。最初に、プロポキシフェン塩基のバッチを空気ジェットミルの中で製造業者の指示に従い3−6ミクロンの見かけ粒子寸法に粉砕する。500.0グラムの粉砕されたプロポキシフェン塩基を遊星ボールミキサーに加える。次に、440.0グラムのポリオキシエチレンおよび50.0グラムのヒドロキシプロピルメチルセルロースを40−メッシュふるいの中に通しそしてボールに加える。ポリオキシエチレンは約700万の分子量を有しそしてミシガン州、ミドランドのダウ・ケミカル・カンパニー(Dow Chemical Company)からポリオックス・コアギュラント(Polyox Coagulant)として市販されている。ヒドロキシプロピルメチルセルロースは約11,300の平均分子量を有しそして同じ販売業者からメトセル・E5・プレミアム(Methocel E5 Premium)として入手可能である。生じた粉末を混合する。次に、300mlの無水アルコールである無水SDS3Aを混合された粉末にゆっくり加えて均一な湿気のある物体を形成する。生じた物体を16−メッシュ寸法分類スクリーンの中に通して細長い顆粒を製造する。生じた細長い顆粒を強制空気オーブンの中で45℃において24時間にわたりトレイ乾燥して残存造粒溶媒を除去する。乾燥した物体を次に再び16−メッシュ寸法分類スクリーンの中に通して、自由流動性顆粒を製造する。顆粒をツイン・シェル・ブレンダーに移す。約10グラムのステアリン酸マグネシウムを80−メッシュふるいの中に通しそして顆粒に加える。組成物を次に約1分間にわたり撹拌混合して不溶性の薬品層組成物を製造する。
600mg重量の不溶性層組成物の部分を7/10−インチ長さの楕円形パンチおよびダイ錠剤器具の中に充填しそして軽く圧縮して顆粒を部分的に固める。次に、300mgの可溶性層組成物をダイに加えそして顆粒を2トンの力で固めて二層錠剤を形成する。これらの二層錠剤のバッチを圧縮する。
生じた錠剤のバッチを調剤パン・コーターに移す。40グラムのヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび10グラムのポリエチレングリコールを950mlの脱イオン水の中に撹拌しながら溶解させることにより、味覚遮蔽コーティング溶液を製造する。ヒドロキシプロピルメチルセルロースは約11,900の分子量を有しそして日本、東京の信越化学株式会社(Shin−Etsu Chemical Company)からファーマコート(Pharmacoat)606として市販されている。ポリエチレングリコールはダウ・ケミカルからカーボワックス(Carbowax)8,000として市販されている。生じたコーティング溶液を二層錠剤の上にパン・コーティング内で暖かい乾燥空気流を用いて約27mgのコーティングが各二層錠剤に適用されるまで噴霧コーティングする。生じた薬用量形態をパン内で30分間にわたり撹拌乾燥して残存水分を除去して薬用量形態の製作を完了させる。可溶性の薬品層組成物は65mg服用量のプロポキシフェン塩酸塩を含んでなるが、遅延層は300mg服用量のプロポキシフェン塩基を含んでなる。
生じた薬用量形態を疼痛の長期緩和を必要とする患者に経口投与する。胃腸管の流体に露出された時に、味覚遮蔽層が急速に溶解しそして二層錠剤を水性環境に露出させる。水は次に迅速層内に微結晶性セルロースにより即時に入り(wicked)、この層を急速に崩壊させそして可溶性のプロポキシフェン塩酸塩を急速に放出させる。薬品服用量のこの即時放出部分が薬品の急速な吸収を与えて疼痛の迅速緩和を与える。残存する低溶解度薬品層の高分子量重合体が水をゆっくり吸収して、低可溶性の微細分割されたプロポキシフェン塩基を長期間にわたりゆっくり放出させて長時間にわたる疼痛の長期緩和を維持する。
実施例4:プロクロルペラジン(Prochlorperazine)(R)薬品形態
プロクロルペラジンは吐気および嘔吐の処置を包含する種々の症状のために指示される薬剤である。薬品は1日当たり3回または4回経口投与される。吐気および嘔吐を体験する患者はしばしば1日当たり数個の薬用量形態を飲み込むことができないかまたは望まない。この要望を満たすために、1日当たりより少ない回数で投与できるかまたは非−経口方式により投与できる経口薬用量形態が開発されてきた。例えば、直腸送達用の坐剤形態が市販されている。しかしながら、この投与方式はしばしば患者には許容されえない。同様に、薬品の非経口形態も利用できない。この投与方式には、特に3〜4時間毎に繰り返し投与される場合には、不快な針刺しの疼痛が伴う。経口的薬用量形態もこの要望を満たすために開発されてきた。しかしながら、最近の市販されている薬用量形態は1日2回の投与を必要とし、そして吐気、特に重篤な吐気、からの緩和を必要とする患者には許容されえない。患者は服用量をできるだけ頻繁でなく、好ましくは1日1回だけ、飲み込むことを好む。必要のある患者を緩和するためのプロクロルペラジンの1日1回の投薬のための経口製品は市販されていない。
薬品分子は数種の塩形態および塩基形態で市販されており、それらの各々は異なる物理的性質を有する。例えば、プロクロルペラジンのエジシレート塩は1ミリリットル当たり約500mgの水中溶解度を有する親水性の結晶性粉末である。塩基形態は、1ミリリットル当たり0.1〜1mgの範囲内のはるかに低い水溶解度を有する疎水性の粘着性油である。本発明の別の面を示すために、抗−嘔吐療法を必要とする患者に対してプロクロルペラジンのエジシレート塩形態を送達し、次に油塩基形態を順次送達するような経口的な浸透性送達システムを製作する。
本発明の抗−嘔吐性薬用量形態は浸透性錠剤および薬品の放出速度を調節するための浸透速度−調節コーティングを含んでなる。連続して配置された3つの圧縮された層を有する錠剤を製作する。三層錠剤は以下の工程および組成物に従い製作される。最初に、188.6グラムのプロクロルペラジン・エジシレート、751.4グラムのポリオキシエチレン、および25.0グラムのポリビニルピロリドンを40−メッシュふるいの中に通すことにより、薬品組成物を製造する。ポリオキシエチレンは約100,000の分子量を有しそしてダウ・ケミカルからポリオックスN10として市販されている。ポリビニルピロリドンは約10,000の分子量を有しそしてバスフ・コーポからコリドン30として市販されている。25.0グラムの同じポリビニルピロリドンを次に975mlの脱イオン水の中に撹拌しながら溶解させる。粉末をグラット(Glatt)流動床造粒器の中に充填しそして暖かい空気流の中で流動化する。ポリビニルピロリドン溶液を流動化された粉末の上に噴霧して顆粒を形成する。生じた顆粒を16−メッシュふるいの中に通して寸法分離し、そして次にツイン・シェル・ミキサーに移す。約10グラムのマイナス60メッシュのステアリン酸を顆粒に混入して第一薬品層の組成物を製造する。
500グラムの多孔性アルミノメタ珪酸マグネシウム粒子および250グラムの液体プロクロルペラジン塩基をツイン・シェル・ブレンダー内に充填することにより、第二薬品層組成物を製造する。生じた成分を30分間にわたり撹拌配合して液体薬品を多孔性担体内に均一に吸収させる。多孔性担体は日本、富山の富士化学株式会社(Fuji Chemical Company)からネウシリン(Neusilin)US2として市販されている。約190グラムのポリオックスN10および25.0グラムのコリドン30を40−メッシュふるいの中に通して寸法分類しそして混合物内に5分間にわたり配合する。約25グラムのコリドン30を575mlの脱イオン水中に撹拌しながら溶解させる。配合された粉末をグラット流動床造粒器内に充填しそしてポリビニルピロリドン溶液上に噴霧しながら暖かい空気流の中で流動化させる。この方法が顆粒を形成し、それを溶液を噴霧した後に16−メッシュふるいの中に通して寸法分類する。寸法分類された顆粒をツイン・シェル・ミキサーに移しそして2分間にわたり約10グラムのマイナス60メッシュのステアリン酸と共に配合する。この方法および組成物が、油媒体中の薬品の塩基形態である第二薬品層組成物用の自由−流動性顆粒を与える。
最初に643.0グラムのポリオキシエチレン、292.0グラムの塩化ナトリウム粉末、および50.0グラムのヒドロキシプロピルメチルセルロースを40−メッシュふるいの中に通して寸法分類することにより、プッシュ層組成物を与える。ポリオキシエチレンは約500万の分子量を有しそしてダウ・ケミカルからポリオックス・コアギュラントとして市販されている。ヒドロキシプロピルメチルセルロースは約11,300の分子量を有しそしてダウ・ケミカルからメトセルE5として市販されている。寸法分類された粉末を遊星ボールミキサー内に充填する。約10グラムの赤色酸化第二鉄を粉末上で60−メッシュふるいの中に通して寸法分類する。
粉末を数分間にわたり、均一な着色配合物が得られるまで、混合する。次に、粉末を混合しながら、230mlの無水エタノール調合物SDA3Aをゆっくり加えて均一な湿気のある物体を形成する。生じた湿気のある物体を20メッシュ寸法分類スクリーンの中に通して押し出し物を形成する。押し出し物を強制空気中で45℃において40時間にわたりトレイ乾燥して残存エタノールを除去する。乾燥した顆粒を次に20−メッシュ寸法分類スクリーンの中に通しそしてツイン−シェル・ブレンダーに移す。最後に、5.0グラムのステアリン酸マグネシウムを顆粒上で80−メッシュふるいの中に通して寸法分類しそして顆粒に2分間にわたり撹拌混入する。この工程および組成物がプッシュ層組成物を形成する。
3種の層組成物の三層錠剤を次に3/16インチ直径の錠剤パンチ器具およびダイを装着したカルバー・プレスを用いて手動で圧縮する。最初に、80mgのプッシュ層組成物を空洞内に充填しそして軽くたたく。次に、80mgの錠剤層組成物2をダイ空洞内に充填しそして軽く固める。最後に、80mgの薬品層組成物1を空洞内に充填する。積層された組成物を次に1200ポンドの最終的な力の下で圧縮して、最終的な三層錠剤を形成する。錠剤中の薬品層組成物1は10.0mgのプロクロルペラジン塩基に相当する15.09mgのプロクロルペラジン・エジシレートを含んでなる。錠剤中の薬品層組成物2は20mgのプロクロルペラジン塩基を含んでなる。錠剤内の薬品の合計服用量は30.0mgのプロクロルペラジン塩基に相当する。これらの錠剤のバッチを圧縮する。
40グラムのA;B:A三−ブロック共重合体を5,000グラムのアセトン中に暖めながら且つ撹拌しながら溶解させることにより、速度調節膜組成物溶液が製造される。三−ブロック共重合体は、12,700〜17,400の範囲にわたる平均分子量を有するエチレンオキシド:プロピレンオキシド:エチレンオキシド三−ブロック共重合体である。1個のブロック当たりのエチレンオキシド単量体単位数は約141でありそして1個のブロック当たりのプロピレンオキシド単量体単位数は約44である。三−ブロック共重合体はバスフ・コーポレーションからルトロールF108として入手可能である。次に、160グラムの酢酸セルロースを配合物内に撹拌しながら溶解させる。酢酸セルロースは約50,000の平均分子量を有しそしてイーストマン・ケミカル・カンパニーからタイプCA−398−30として入手可能である。
三層錠剤のバッチを調剤パン・コーターの中に充填しそして速度調節膜組成物溶液を錠剤上に暖かい乾燥空気流中で噴霧コーティングする。錠剤のバッチを、4ミルの速度調節膜が各錠剤上に均一に適用されるまで、コーティングする。生じた錠剤のバッチに35ミル直径の送達口を錠剤の薬品層端部に穿孔する。最後に、錠剤の穿孔されたバッチを3日間にわたり45℃および45%相対湿度に保たれた強制空気流の中で乾燥して残存コーティング溶媒を除去する。これらの組成物および工程が、連続的な経口的な浸透性送達システムの製作を完了させる。
抗−嘔吐療法を必要とする患者に経口投与される時に、胃腸管からの水は速度調節膜を越えて送達システム内に浸透により吸収される。3つの錠剤層の各々が同時に水和する。薬品層組成物1および薬品層組成物2は低粘度ヒドロゲルを形成するが、プッシュ層組成物は高粘度ヒドロゲルを形成する。プッシュ層が膨張するにつれて、それは薬品層1をゆっくり押し出しそして次に薬品層2をゆっくり押し出す。薬品塩は従って最初に数時間にわたり放出される。次に、油形態の薬品が二番目に長期間にわたり放出される。
これらの機構の総合的効果は、上部胃腸管内での最初の水溶性薬品送達パターンおよびその後の下部管内での水不溶性薬品の第二送達パターンを含んでなる連続的送達パターンを製造して1日1回の抗−嘔吐療法用の薬用量形態を与えることである。
実施例5:メトホルミン(Metformin)薬品形態
チュー(Chu)他に対する米国特許第6,419,954号明細書(「チュー文献」)に従うメトホルミンを送達する調節放出薬用量形態を、非−無作為分布された活性剤を含んでなる錠剤の製造に関する開示(20欄、58行から始まる)を用いて、製造する。チューは本発明の実施において有用な薬用量形態を教示しているが、チュー文献は薬品の粉砕された塩基形態;(i)薬品の製薬学的に許容可能な塩形態または(ii)薬品の製薬学的に許容可能な塩形態を生成可能な出発物質のいずれか;上部胃腸系統への製薬学的に許容可能な塩形態放出構造;および結腸系統への粉砕された塩基形態放出構造の製造および使用に対するその薬用量形態の応用は教示していない。本発明の調節放出薬用量形態に対するチュー文献の開示の応用は今回さらに詳細に探査される。
活性成分はメトホルミン塩基およびメトホルミンのHCl塩である。結腸系統への塩基形態放出構造は、とりわけ、12および18欄に、開示された方法に従い粉砕されたメトホルミン塩基を含んでなる錠剤芯として製造され、そして特に20欄における、開示に従い芯錠剤に圧縮される。結腸系統への粉砕された塩基形態放出構造をチュー文献に見られる開示に従いメトホルミンのHCl塩を含有する1つもしくはそれ以上の層でコーティングする。そのような層は上部胃腸系統への製薬学的に許容可能な塩形態放出構造として作用する。構造の放出速度をチュー文献に従い最適化して本発明に従う薬用量形態を製造することができる。
実施例7:カプトプリル(Captopril)薬用量形態
オン(Wong)他に対する米国特許第5,391,381号明細書(「オン文献」)に従う調節放出薬用量形態を、カプトプリルが豚の成長ホルモンを代替すること以外は実施例IIに関連する開示を用いて、製造する。オン文献は本発明の実施において有用な薬用量形態を教示しているが、オン文献は薬品の粉砕されたまたは液体の塩基形態;(i)薬品の製薬学的に許容可能な塩形態または(ii)薬品の製薬学的に許容可能な塩形態を生成可能な出発物質のいずれか;上部胃腸系統への製薬学的に許容可能な塩形態放出構造;および結腸系統への粉砕された塩基形態放出構造の製造および使用に対するその薬用量形態の応用は教示していない。本発明の調節放出薬用量形態に対するオン文献の開示の応用は今回さらに詳細に探査される。
活性成分はカプトプリル塩基およびカプトプリルのHCl塩である。結腸系統への塩基形態放出構造は、カプトプリル塩基が豚の成長ホルモンを代替すること以外は、とりわけ18欄に、開示された方法に従うオン文献の分配成分として製造される。上部胃腸系統への製薬学的に許容可能な塩形態放出構造は今回は、カプトプリルHClが豚の成長ホルモンを代替すること以外は、とりわけ18欄に、オン文献に開示された方法に従い製造される。上部胃腸系統への製薬学的に許容可能な塩形態放出構造が結腸系統への塩基形態放出構造の放出前に放出されるように、送達システムの副組み立て品は組み立てられる。構造の放出速度をオン文献の教示に従い最適化して本発明に従う薬用量形態を製造することができる。
図1A〜1Jは本発明に従う薬品の塩および塩基形態の順次送達により得られうる種々の送達特徴の説明図を示す。 図2は薬品の塩および非−塩形態が混合して提供される本発明の1つの態様に従う順次薬品送達システムすなわち薬用量形態の例を示す。 図3は薬品形態が別個の層から送達される本発明の1つの態様に従う順次薬品送達システムすなわち薬用量形態の例を示す。 図4はイオン−交換層をさらに含んでなる図4の態様と同様な順次薬品送達システムすなわち薬用量形態の例を示す。 図5はイオン−交換チャンネルをさらに含んでなる図4の態様と同様な順次薬品送達システムすなわち薬用量形態の例を示す。

Claims (11)

  1. (a)薬品の粉砕されたまたは液体の塩基形態、
    (b)(i)薬品の製薬学的に許容可能な塩形態または(ii)反応して薬品の製薬学的に許容可能な塩形態を生成しうる出発物質のいずれか、
    (c)上部胃腸系統への製薬学的に許容可能な塩形態放出構造、および
    (d)結腸系統への塩基形態放出構造
    を含んでなる調節放出薬用量形態。
  2. 調節放出薬用量形態が薬品の粉砕された塩基形態を含んでなる請求項1の調節放出薬用量形態。
  3. 調節放出薬用量形態が薬品の液体の塩基形態を含んでなる請求項1の調節放出薬用量形態。
  4. 上部胃腸系統への製薬学的に許容可能な塩形態放出構造および結腸系統への塩基形態放出構造が実質的に同じ空間を占める請求項1の調節放出薬用量形態。
  5. 上部胃腸系統への製薬学的に許容可能な塩形態放出構造および結腸系統への塩基形態放出構造が実質的に別個である請求項1の調節放出薬用量形態。
  6. 調節放出薬用量形態が浸透性調節放出薬用量形態を含んでなる請求項1の調節放出薬用量形態。
  7. 調節放出薬用量形態が薬品の製薬学的に許容可能な塩を含んでなる請求項1の調節放出薬用量形態。
  8. 反応して薬品の製薬学的に許容可能な塩形態を生成しうる出発物質が塩生成剤および薬品の粉砕されたまたは液体の塩基形態を含んでなる請求項1の調節放出薬用量形態。
  9. イオン交換層、
    薬品層、および
    プッシュ層
    を含んでなる請求項8の調節放出薬用量形態。
  10. イオン交換層が多孔性カチオン交換樹脂を含んでなる請求項9の調節放出薬用量形態。
  11. 薬品の製薬学的に許容可能な塩を含んでなる請求項9の調節放出薬用量形態。
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