JP2008503549A - 中枢神経系の急性障害の治療のための化合物 - Google Patents
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Abstract
本発明は、投与することにより、特に、グリベンクラミドを投与した場合には、小膠細胞の神経保護効果が増強されることから、ヒト含む哺乳類の中枢神経系(CNS)の急性損傷の治療的処置および/または予防的処置に使用できるKATPチャネル閉鎖薬(KCC)に関する。結果として、前記KATPチャネル閉鎖薬は、CNS疾患の急性期、例えば、発作、痙攣、軸索損傷、外傷性損傷、神経変性、脊髄損傷、ならびにCNSの自己免疫疾患および感染症の治療に使用できる。さらに、同位体修飾したKCCも、CNSの急性損傷の検出およびモニタリング用診断薬の製造に使用できる。
Description
本発明は、ヒトおよび動物医薬品の分野、具体的には、疾患、特に、中枢神経系の急性障害に関連する疾患の治療および診断のための化合物に関する。
背景技術
背景技術
小膠細胞は、中枢神経系(CNS)全域の非重複領域に分布する。小膠細胞とは、機能に関する用語として、脳、脊髄および眼球の神経構造全域の免疫補助細胞のネットワークを表し、脅威の内在性センサーとしての役割を果たす。小膠細胞は、そのCNS微小環境の変化に対する高感受性から、前哨としての働きもする(G.W. Kreutzberg, Trends Neurosci. 1996, vol. 19, pp. 312-8参照)。CNSを障害から保護するだけでなく、炎症および自己免疫応答の効果を増幅し、かつ細胞性神経変性を媒介するという小膠細胞の二元的役割から、活性化小膠細胞によってもたらされる利益についてはまだ議論の余地がある(W.J. Streit et al., Prog. Neurobiol. 1999. vol. 57, pp. 563-81参照)。
CNS障害により、ニューロンの遺伝子発現が迅速に変化し、近くの小膠細胞を支援のために刺激する。CNS損傷の保護の第1段階である小膠細胞の活性化(L. Minghetti et al., Prog. Neurobiol. 1998, vol. 54, pp. 99-125参照)は、さらなる組織障害の抑止に対応する。損傷後、初期活性化小膠細胞は、抗炎症性サイトカイン(例えば、IL−10およびTGF−β)を分泌し、グルタミン酸輸送体を発現して、過興奮性毒性傷害を防御する。
そのため、この急性期では、デノボ小膠細胞Glu輸送体発現によって活性星状細胞によるグルタミン酸クリアランスが後押しされて(A.V. Vallat-Decouvelaere et al., J. Neuropathol. Exp. Neurol. 2003, vol. 62, pp. 475-85参照)、過興奮性毒性傷害を回避する。この初期損傷後事象では、分派した小膠細胞でのEAAT1、EAAT2およびEAAT3グルタミン酸輸送体の発現により、グルタミン酸が媒介する興奮性神経細胞死を防御する(F. Lopez-Redondo et al., Brain Res. Mol. Brain Res. 2000, vol. 76, pp. 429-35; F. 35 Chretien et al., Neuropathol. Appl. Neurobiol. 2002, vol. 28, pp. 410-7参照)。
そのため、この急性期では、デノボ小膠細胞Glu輸送体発現によって活性星状細胞によるグルタミン酸クリアランスが後押しされて(A.V. Vallat-Decouvelaere et al., J. Neuropathol. Exp. Neurol. 2003, vol. 62, pp. 475-85参照)、過興奮性毒性傷害を回避する。この初期損傷後事象では、分派した小膠細胞でのEAAT1、EAAT2およびEAAT3グルタミン酸輸送体の発現により、グルタミン酸が媒介する興奮性神経細胞死を防御する(F. Lopez-Redondo et al., Brain Res. Mol. Brain Res. 2000, vol. 76, pp. 429-35; F. 35 Chretien et al., Neuropathol. Appl. Neurobiol. 2002, vol. 28, pp. 410-7参照)。
現在のところ、CNSの急性傷害を防ぐために、臨床実践で提案されている治療はほとんどない。そのような治療は、神経細胞死に関与する機構の活性化を抑制または阻止することに向けられるが、それらの有効性には制限があり、時には矛盾している場合がある。フリーラジカルを中和し、それらの毒性を回避する、メシル酸チリラザドおよびエブセレン(2−フェニル−1,2−ベンゾイソセレナゾール−3(2H)−オン)などのいくつかの薬剤が提示され、他にも細胞内カルシウム毒性を低減したり(例えば、ニモジピン)、GABA作用性神経伝達(例えば、クロメチアゾール)やグルタミン酸神経伝達(例えば、マグネシウム)を妨げたりする薬剤が提示されている。しかし、現在のところ、CNSの急性傷害を回避して、患者に良好な有効性と安全性の高さの両方を提供する治療は存在しない。
実際に、特異的治療法のない状況では、急性障害後には、この時期の大半、患者は数日間臨床経過観察下におかれ、有益な漸進的変化をただ待つのみである。よって、CNSの急性障害の早期治療のための新規治療薬を提供することが望ましい。
発明の概要
本発明者らは、驚くべきことに、ヒトおよび齧歯類活性化小膠細胞が、心臓および筋組織、ニューロンならびに膵臓β細胞において知られているKATPチャネルと類似したKATPチャネルを強く発現するということを見出した。KATPチャネルは、最初に心臓で見つかり(A. Noma, Nature 1983, vol. 305, pp. 147-8参照)、その後、膵臓、骨格筋、平滑筋、下垂体、腎臓の尿細管細胞、血管細胞およびいくつかの脳領域の特定のニューロンにおいても記載された。
本発明者らは、驚くべきことに、ヒトおよび齧歯類活性化小膠細胞が、心臓および筋組織、ニューロンならびに膵臓β細胞において知られているKATPチャネルと類似したKATPチャネルを強く発現するということを見出した。KATPチャネルは、最初に心臓で見つかり(A. Noma, Nature 1983, vol. 305, pp. 147-8参照)、その後、膵臓、骨格筋、平滑筋、下垂体、腎臓の尿細管細胞、血管細胞およびいくつかの脳領域の特定のニューロンにおいても記載された。
活性化小膠細胞がKATPチャネルを発現するという事実から、KATPチャネル閉鎖薬(KCC)(スルホニル尿素など)がCNSを急性障害から保護するための治療標的となる。KCCは、これまで2型糖尿病の治療に使用されてきた。本発明者らは、KCC、特にグリベンクラミドが、急性小膠細胞反応を増強し、種々のCNS病変、例えば、発作、痙攣、軸索損傷、外傷性傷害、神経変性、脊髄損傷、感染症および自己免疫疾患におけるAMPAに誘導される(AMPA:α−アミノ−3−ヒドロキシ−5−メチルイソキサゾール−4−プロピオン酸)脳過興奮性毒性を回避するということを見出した。KCCは、初期生存期間の分派小膠細胞によるシナプスのグルタミン酸除去および抗炎症性サイトカインの分泌を促進する。
よって、本発明は、ヒトを含む哺乳類におけるCNSの急性障害の予防、治療および/または診断薬の製造のためのKCCまたはその同位体修飾物の使用に関する。本発明はまた、CNSの急性障害に罹患しているか、または罹患しやすいヒトを含む哺乳類の予防、治療および/または診断法も提供し、この方法は、有効量のKCCまたはその同位体修飾物を、適量の許容される希釈剤または担体とともに投与することを含む。
KCCは、一般にスルホニル尿素である。それらの例としては、グリベンクラミド、トルブタミド、グリクラジド、グリキドン、トラザミド、クロルプロパミド、グリピジド、グリブリド、グリメピリドおよびグリセンチドがある。本発明の特定の実施形態では、KCCはグリベンクラミドである。
本発明の特定の実施形態では、CNSの急性障害は、CNS損傷、例えば、脳損傷、脊髄損傷、全虚血、局所虚血、低酸素症、発作、痙攣、癲癇、癲癇重積、CNSの血管疾患の急性期、神経眼科疾患(例えば、炎症性視神経症および網膜炎)、ならびに外傷が原因となって起こる。もう1つの実施形態では、CNSの急性障害は、CNS変性疾患が原因となって起こる。さらに詳しくは、CNS変性疾患は、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症、脳障害および副腎白質ジストロフィーである。もう1つの実施形態では、CNSの急性障害は、CNSの感染症、特に脳脊髄炎、ならびにウイルス感染症(例えば、HIV脳炎)、寄生虫による感染症(原生動物および後生動物による感染症)、細菌感染症(例えば、化膿性軟膜炎および脳膿瘍)、マイコプラズマ感染症ならびに真菌感染症に起因する髄膜炎が原因となって起こる。もう1つの実施形態では、CNSの急性障害は、自己免疫疾患、特に、脱髄疾患、例えば、多発性硬化症およびフェニルケトン尿症が原因となって起こる。もう1つの実施形態では、CNSの急性障害は、栄養、代謝または毒性障害、特に肝性脳症、鉛中毒および麻薬中毒が原因となって起こる。
本発明によれば、KCCは、CNSの急性過興奮性毒性作用を抑制するため、CNS疾患の急性期の治療に利用することができる。
当然のことではあるが、「治療」とは、予防および初期症状の緩和を含むことを意図している。本記載において、用語「初期」と「急性」は、障害の修飾語句として同じ意味で用いられる。
当業者ならば、グリベンクラミドなどのKCCについての、経口、頬、非経口、デポーもしくは直腸投与によるか、または吸入もしくは通気(口または鼻のいずれかを介する)によるなどの適切な投与を選択するであろう。経口および非経口製剤が好ましい。それらの投与は、急性障害に従う限られた治療濃度域に関係していることが好ましい。
KCCは、経口投与用に、例えば、従来の方法によって薬学上許容される賦形剤を用いて調製される錠剤またはカプセル剤の形態をとってもよい。経口投与用の液体製剤は、例えば、液剤、シロップ剤または懸濁剤の形態をとってもよいし、あるいは使用前に水もしくは他の好適なビヒクルで構成する乾燥品として提供してもよい。このような液体製剤は、従来の方法によって医薬上許容される添加剤を用いて調製することができる。経口投与用の製剤は、活性化合物が制御放出されるように適切に調剤することができる。
KCCは、経口投与用に、例えば、従来の方法によって薬学上許容される賦形剤を用いて調製される錠剤またはカプセル剤の形態をとってもよい。経口投与用の液体製剤は、例えば、液剤、シロップ剤または懸濁剤の形態をとってもよいし、あるいは使用前に水もしくは他の好適なビヒクルで構成する乾燥品として提供してもよい。このような液体製剤は、従来の方法によって医薬上許容される添加剤を用いて調製することができる。経口投与用の製剤は、活性化合物が制御放出されるように適切に調剤することができる。
脳、脊髄および神経眼科処置などの術中のCNSの外科処置用の液体製剤は、例えば、液剤または懸濁剤の形態をとってもよいし、あるいは直接塗布する(例えば、散剤、ゲル剤もしくは固相支持体に含浸させたもの)か、または使用前に水もしくは他の好適なビヒクル(例えば、滅菌パイロジェンフリー水)で再構成する乾燥品として提供してもよい。このような液体製剤は、従来の方法によって、乳化剤(例えば、レシチンまたはアラビアゴム);非水性ビヒクル(例えば、扁桃油、油性エステル、エチルアルコールまたは分別植物油)および防腐剤(例えば、メチルもしくはプロピル−p−ヒドロキシ安息香酸塩またはソルビン酸)などの薬学上許容される添加剤を用いて調製することができる。この製剤には、バッファー塩と、場合によって、必要に応じて、生理学的担体(生理食塩水または乳酸加リンガー液など)中の複数の活性物質(例えば、抗生物質)も含めてよい。液剤は、CNSの神経保護を増強するために、外科的および診断的処置中の創傷の連続洗浄に使用される。
KCCは、ボーラス注射または持続注入による非経口投与用に調剤することができる。注射用の処方物は、防腐剤を加えた単位投与形(例えば、アンプルまたは複数回投与用容器で)で提供することができる。組成物は、懸濁液、溶液または油性もしくは水性ビヒクル中のエマルジョンのような形態をとってよく、安定剤および/または分散剤のような薬剤を含めてもよい。また、有効成分は、使用前に好適なビヒクル(例えば、滅菌パイロジェンフリー水)で構成する散剤形態であってよい。
KCCは、例えば、頸動脈注射、腰もしくは大槽穿刺、脳室内もしくは組織注入による局所投与用に、好適な送達装置を介する投与用の液剤として、あるいは好適な送達装置を用いた投与に適した担体を含む混合散剤として調剤することができる。
KCCは、坐剤または保持浣腸剤(例えば、ココアバターまたは他のグリセリドのような従来の坐剤基剤を含有する)などの直腸用組成物としても調剤することもできる。
KCCは、経鼻および経眼投与用に、好適な定量もしくは単位用量装置を介する投与用の液剤として、あるいは好適な送達装置を用いた投与に適した担体を含む混合散剤として調剤することもできる。
好適な用量範囲については、当業者ならば一般的に分かるであろう。よって、本発明の条件に用いるために、KCCが有効であることが分かっている他の条件に適した用量でも化合物を使用することができる。当然のことではあるが、患者の年齢および状態に応じて、日常的に用量を変更することが必要であり、正確な用量は、最終的には医師または獣医の判断によるものとする。また、投与の経路や選択された特定化合物によっても用量は異なる。好適な用量範囲は、例えば、1日当たり0.01〜1000mg/kg体重、好ましくは、0.1〜約200mg/kg、より好ましくは、0.1mg/kg〜10mg/kgである。
本発明において有用なKCCは、他のKCCと組み合わせて、かつ/または他の治療薬と組み合わせて投与することができ、便宜な方法によるあらゆる便宜な経路での投与用に調剤することができる。適当な用量については、当業者ならば一般的に分かるであろう。
本発明はまた、CNSの急性障害の診断薬の製造のための同位体修飾したKCCの使用についても言及する。当業者ならば、同位体と技術を適切に選択して、小膠細胞の反応を検出かつ追跡できるであろう。機能的脳画像法、例えば、陽電子放射型断層撮影法(PET)、単光子放射型コンピューター断層撮影法(SPECT)および核磁気共鳴法(NMR)では、CNSにおける小膠細胞の反応の分布を示す画像を得ることができる。一度活性化すると、小膠細胞は、特定領域に非常に制限された、疾患過程への関与を示す。このことにより、任意の活動性疾患過程の正確な空間位置確認ができるだけの診断価値がそれらに与えられる。KCCは、例えば、11C、13C、17F、31P、1Hまたは17Oで標識することができる。
説明および特許請求の範囲を通じて、用語「含む」およびその用語の変化形、例えば、「含んでなる」とは、他の技術的特徴、添加剤、成分または工程を排除することを意図したものではない。本願の要約は、引用することにより本明細書の一部とされる。本発明のさらなる目的、利点および特徴は、記載の検討により当業者には明らかになり、本発明の実施によっても分かる。以下の実施例および図面を例として示すが、本発明を限定することを意図するものではない。
特定の実施形態の具体的説明
グリベンクラミドは小膠細胞の反応を増強し、AMPAに誘導されるラット海馬過興奮性毒性障害を回避する
グリベンクラミドは小膠細胞の反応を増強し、AMPAに誘導されるラット海馬過興奮性毒性障害を回避する
このモデルでは、星状膠細胞および小膠細胞の反応を伴うニューロン欠損を特徴とする神経変性過程を引き起こすラット海馬のグルタミン酸受容体の急性定位過剰活性化を利用する(F. Bernal et al., Hippocampus 2000, vol. 10, pp. 296-304; F. Bernal et al., Exp. Neurol. 2000, vol. 161, pp. 686-95参照)。この神経変性モデルでは、エキセシン(抱水クロラールとペントバルビタールナトリウムの混合物;0.3ml/100g体重、i.p.)を用いてラットを麻酔し、Kopf定位フレームに設置し、切歯棒を−3.3mmに設定した。背側海馬を狙って脳内注射をブレグマ後方3.3mm、外側2.2mm、硬膜から腹側2.9mmにて行った(G. Paxinos et al., “The rat brain in stereotaxic coordinates”, Sydney: Academic Press 1986参照)。0.5μlの量を5分間かけて注入した。
異なる4群のラットに、以下のように、2時間の間隔をおいて2回の注射を行った:a)シャム(sham)ラット(n=4)は、PBSの注射を2回行った;b)AMPAラット(n=4)は、最初に5.4mM AMPAの注射を行い、次にPBSの注射を行った;c)グリベンクラミドラット(n=4)は、20μMグリベンクラミドの注射を2回行った;d)AMPA+グリベンクラミドラット(n=4)は、最初に5.4mM AMPA+20μMグリベンクラミドの注射を行い、次に20μMグリベンクラミドの注射を行った。損傷の24時間後、総てのラットを犠牲にした。
ラットを0.1Mリン酸バッファー(PB,pH7.4)300ml、続いて氷冷固定液300ml(流速20ml/分)で心臓灌流した。固定液の構成は、PB中4%(w/v)パラホルムアルデヒドであった。脳を摘出し、PB中15%(w/v)スクロースで凍結保護した後、ドライアイスで凍結した。
クリオスタット切片(12μm)を背側海馬の位置(ブレグマ−3.3mm)で得た。イソレクチンB4(IB4)組織化学を行って、小膠細胞の反応を確認した(C.A. Colton et al., J. Histochem. Cytochem. 1992, vol. 40, pp. 505-12参照)。クレシルバイオレットにより染色した切片で海馬形態学を検討した。損傷領域と小膠細胞症の評価をクレシルバイオレット陽性に染色された切片およびIB4陽性に染色された切片それぞれで行った。これらのパラメーターをコンピューターを使った画像解析システム(OPTIMAS(登録商標),BioScan Inc., Washington, USA)により解析した。IB4染色された反応性微小細胞を、透過型光学顕微鏡(Axiolab, Zeiss, Gottingen, Germany)に取り付けられた接眼レンズのグリッドを使って倍率×100で計数した。一元配置分散分析(ANOVA)により群間の差を比較した後、LSD事後的検定を行った。結果は、平均±SEMとして表す。総ての解析をコンピュータープログラム STATGRAPHICS(STSC Inc., Rockville, MD, USA)で実施した。
シャム群およびグリベンクラミド群において認められた小膠細胞の反応は、類似しており、それぞれ、面積0.17±0.04mm2および0.16±0.03mm2に達していた。AMPAラットでは、強い小膠細胞症がはっきりと表れ、アメーバ様微小細胞が0.44±0.07mm2の範囲に広がっていた。AMPA+Glib群では、この小膠細胞症の領域は、1.04±0.11mm2(AMPA群の236%)に増大した(一元配置分散分析による検定結果:F3,12=31.81;p=0.0001)(図1参照)。
4つの総ての群で認められた反応性微小細胞の密度は類似であり、シャム群では504±82細胞/mm2、グリベンクラミド群では614±91細胞/mm2、AMPA群では645±59細胞/mm2、AMPA+Glib群では568±56細胞/mm2であった。神経細胞が多く存在するCA1錐体層の定量に関する図2に示されるように、この最後の群における小膠細胞の反応の236%増加は、大きな海馬損傷がないことと関係していた。この層では、AMPAラット群で認められた0.130±0.015mm2の損傷が、AMPA+Glib群では、シャム群およびグリベンクラミド群それぞれで認められた範囲0.009±0.0015mm2および0.012±0.0017mm2と類似の0.015±0.0016mm2に縮小した(一元配置分散分析による検定結果:F3,11=52.14;p=0.00001)。
これらの結果から、グリベンクラミドが小膠細胞の活性化を増強し、海馬過興奮性毒性障害を回避することは明らかである。AMPA+グリベンクラミドで処置した動物では、AMPAで処置した動物と比べて海馬損傷がないことが観察された。
Claims (26)
- ヒトを含む哺乳類におけるCNSの急性障害の予防、治療および/または診断薬の製造のためのKATPチャネル閉鎖薬(KCC)またはその同位体修飾物の使用。
- 前記KATPチャネル閉鎖薬が、スルホニル尿素である、請求項1に記載の使用。
- 前記障害はCNS損傷が原因となって起こる、請求項2に記載の使用。
- 前記CNS損傷が、脳損傷、脊髄損傷、全虚血、局所虚血、低酸素症、発作、痙攣、癲癇、癲癇重積、CNSの血管疾患、神経眼科疾患ならびに外傷からなる群から選択される、請求項3に記載の使用。
- 前記障害がCNS変性疾患が原因となって起こる、請求項2に記載の使用。
- 前記CNS変性疾患が、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症、脳障害および副腎白質ジストロフィーからなる群から選択される、請求項5に記載の使用。
- 前記障害がCNSの感染症が原因となって起こる、請求項2に記載の使用。
- 前記CNSの感染症が、ウイルス感染症、寄生虫による感染症、細菌感染症、マイコプラズマ感染症ならびに真菌感染症からなる群から選択される、請求項7に記載の使用。
- 前記障害が自己免疫疾患が原因となって起こる、請求項2に記載の使用。
- 前記自己免疫疾患が、多発性硬化症およびフェニルケトン尿症からなる群から選択される、請求項9に記載の使用。
- 前記障害が栄養、代謝または毒性障害が原因となって起こる、請求項2に記載の使用。
- 前記障害が、肝性脳症、鉛中毒および麻薬中毒からなる群から選択される、請求項11に記載の使用。
- 前記KATPチャネル閉鎖薬がグリベンクラミドである、請求項1〜12のいずれか一項に記載の使用。
- CNSの急性障害に罹患しているか、または罹患しやすいヒトを含む哺乳類の予防、治療および/または診断方法であって、有効量のKATPチャネル閉鎖薬(KCC)またはその同位体修飾物を、適量の許容される希釈剤または担体とともに投与することを含む方法。
- 前記KATPチャネル閉鎖薬がスルホニル尿素である、請求項14に記載の方法。
- 前記障害がCNS損傷が原因となって起こる、請求項15に記載の方法。
- 前記CNS損傷が、脳損傷、脊髄損傷、全虚血、局所虚血、低酸素症、発作、痙攣、癲癇、癲癇重積、CNSの血管疾患、神経眼科疾患ならびに外傷からなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
- 前記障害がCNS変性疾患が原因となって起こる、請求項15に記載の方法。
- 前記CNS変性疾患が、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症、脳障害および副腎白質ジストロフィーからなる群から選択される、請求項18に記載の方法。
- 前記障害がCNSの感染症が原因となって起こる、請求項15に記載の方法。
- 前記CNSの感染症が、ウイルス感染症、寄生虫による感染症、細菌感染症、マイコプラズマ感染症ならびに真菌感染症からなる群から選択される、請求項20に記載の方法。
- 前記障害が自己免疫疾患が原因となって起こる、請求項15に記載の方法。
- 前記自己免疫疾患が、多発性硬化症およびフェニルケトン尿症からなる群から選択される、請求項22に記載の方法。
- 前記障害が栄養、代謝または毒性障害が原因となって起こる、請求項15に記載の方法。
- 前記障害は、肝性脳症、鉛中毒および麻薬中毒からなる群から選択される、請求項24に記載の方法。
- 前記KATPチャネル閉鎖薬がグリベンクラミドである、請求項14〜25のいずれか一項に記載の方法。
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