JP2008502307A - 抗肥満活性及び他の関連用途を有するペプチド - Google Patents

抗肥満活性及び他の関連用途を有するペプチド Download PDF

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Abstract

新規のペプチド及びその用途、例えば体重減少の用途並びに肥満及び例えば脂肪組織の量の増加に付随する関連疾患の治療用途を有するポリペプチド及び関連分子。

Description

新規のペプチド及びその使用に関し、当該ペプチドは、体重低下用途、並びに肥満及び脂肪細胞量の増加に付随する関連疾患の治療用途を有するポリペプチド及び関連分子を含む。
以下の記載は、本発明を理解するのに有用でありうる情報を含む。本明細書中に適用される情報のいずれもが従来技術であり、本明細書中に記載され又は特許請求される発明に関連しており、或いは特許性を評価する際に使用することができる参考文献であるということを認めるものではない。
インスリンの標的組織におけるインスリン感受性の減少により特徴付けられるインスリン抵抗性は、2型糖尿病の原因の基本的な一面であり、そして他の疾患、例えば高脂血症、アテローム性硬化症、及び高血圧(つまりX症候群)などと関連することが多い。インスリン抵抗性の分子機序は複雑かつ多因子性である。脂肪量の変化とインスリン抵抗性との間に密接な相関が存在すると報告されている。変更された脂肪細胞の機能が、この過程に重要な役割を果たすようである。インスリン抵抗性及び高インスリン血症は、肥満並びに脂肪異栄養症の個体において生じるということが報告されている。最近の2個の独立した遺伝学的研究により、脂肪を含まないマウスは、重篤なインスリン抵抗性及び高血糖を有するということが報告された。
脂肪組織は、トリグリセリドのエネルギー貯蔵所として役割を果たす。脂肪組織は、細胞外シグナルに応じて種々の生物学的に活性な分子を分泌できる活性な内分泌器官であるとも報告される。脂肪細胞により分泌される生成物は、全身のエネルギー恒常性の制御に役割を果たすと報告されており、そしてその発現及び/又は分泌の変化は、インスリン抵抗性及び関連する症候群に寄与することもある。脂肪組織により分泌される1の生成物はレプチンであり、レプチンは体脂肪蓄積の中心的制御因子であると報告されており、またはグルコース恒常性に影響する。脂肪細胞により分泌される他の分子は、TNFα、遊離脂肪酸、及び近年特徴付けられたレジスチンである。TNFαは、インスリン抵抗性の状態において、脂肪組織により過発現されるということが報告された。脂肪組織におけるプラスミノーゲン活性化阻害剤1(PAI-1)及びアンギオテンシノーゲンの発現及び分泌増加は、肥満、トロンビン血管障害、及び高血圧において役割を果たすこともある。
内分泌器官としての脂肪組織の役割は、アディポネクチン、脂肪細胞からのみ分泌されるホルモン、の近年の発見に表されている。インスリン抵抗性を患う様々な動物モデル、並びに肥満のヒト及び異なる人種群からの二型糖尿病患者において、アディポネクチンのメッセンジャーRNA(mRNA)の発現及びアディポネクチンの分泌レベルが低下しているということが報告されている。さらに、インスリン増感剤であるアディポネクチンの補充が、食物摂食に影響を与えることなくマウスにおいて高血糖を低減し、インスリン感受性を元に戻し、そして持続性の体重減少を引き起こすことができると報告されている。
多くの分泌性因子の同定にもかかわらず、エネルギー代謝の調節に重要な役割を果たす未だ同定されていない他の因子が存在するようである。
我々が発見し、そして「アディポシスピン(adipocyspin)」と名付けた因子が、本明細書中で開示され、そして特許請求される。
発明の要約
本明細書中に開示されそして特許請求される発明は、多くの特性及び実施態様を有し、非限定的に、当該発明の要約に説明され、記載され、又は参照されるものを含む。本明細書中に記載されそして特許請求される本発明は、この発明の要約に同定される特徴若しくは実施態様に限定されないし、又は当該特徴若しくは実施態様によって制限されない。これらの特徴若しくは実施態様は、例示の目的で含まれており、制限する目的ではない。
一の態様では、アディポシスピン・ポリペプチドをコードする単離ポリヌクレオチド、又はアディポシスピン・ポリペプチドをコードする配列に相補性である単離ポリヌクレオチドが提供される。
本発明は、例えば、抗肥満活性を有するポリペプチドをコードする配列を含むポリヌクレオチド、並びにその活性又は免疫学的に活性な断片を含み、そしてこれらは、例えば
(a) 以下のアミノ酸配列:
Figure 2008502307
を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(b) 以下のアミノ酸配列:
Figure 2008502307
を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(c) (a)若しくは(b)又はそのいずれかの相補配列のポリヌクレオチドに厳格な条件下でハイブリッド形成するポリヌクレオチド;並びに
(d) (a)、(b)、又は(c)に定義される配列に対する遺伝コードの結果として縮重するポリヌクレオチド配列
を含む。
幾つかの実施態様では、ポリヌクレオチドは、(a)又は(b)のポリヌクレオチドに同一又は正確に相補性を有する少なくとも約10、15、25、50、又は100個の連続する塩基を有する。
別の実施態様では、ポリヌクレオチドは、配列番号5又は6の全長配列であるか、又は配列番号1若しくは2の配列を有するアディポシスピン・ポリペプチド、又はその断片、例えば生物活性及び免疫学的に活性なペプチドをコードする。
当該ポリヌクレオチドは、脂肪細胞又は3T3 L1細胞などの細胞中でポリヌクレオチドの発現を可能にするか又は高めるプロモーター若しくは他の配列に発現可能なように結合されてもよい。
別の実施態様では、組換えベクター(例えば発現ベクター)は、アディポシスピン・ポリペプチド又は断片の発現用に提供される。
組換えアディポシスピン・ポリヌクレオチド又はベクターを含む細胞(例えば細菌、真核細胞、哺乳動物細胞、又はヒト細胞)、並びに当該組換えアディポシスピン・ポリヌクレオチド又はアディポシスピン・タンパク質、ペプチド、又は融合タンパク質若しくは断片をコードするベクターを含む細胞を、当該ポリペプチドが発現されうる条件下で培養することにより、アディポシスピン・タンパク質、ペプチド、又は融合タンパク質若しくは断片を製造する方法が提供される。
単離、実質的に純粋、又は組換えのアディポシスピン・ポリペプチド、又はその生物活性若しくは免疫原性断片が提供され、例えば上記(a)〜(c)によりコードされるポリペプチドを含む。一の態様では、例えば、当該ポリペプチドは、配列番号1又は配列番号2に同一のアミノ酸配列を有する。別の態様では、当該ポリペプチドは、保存的突然変異により配列番号1又は配列番号2とは異なるアミノ酸配列を有し、これは配列番号1又は配列番号2に対して60%、80%、又は90%以上同一であるか、及び/又は配列番号1又は配列番号2によりコードされる全長ポリペプチドと免疫学的に交差反応する。他の態様では、当該ポリペプチドは、1、2、又は3個の分子内ジスルフィド結合を有する。例えば少なくとも2個のシステイン残基、例えばヒト・アディポシスピン中のシステイン残基又はマウス・アディポシスピンの62、72、83、86、101、又は116のアミノ酸位でのシステイン残基に対応するシステイン残基は、分子内ジスルフィド結合を形成するように結合される。一の態様では、ポリペプチドは融合タンパク質である。他の態様では、例えば、ポリペプチドは、天然ヒト・アディポシスピンの活性、例えば前脂肪細胞から脂肪細胞への形成の阻害、及び/又は脂肪過多症又は脂肪組織量の低減、を有する。
他の実施態様では、抗体、又は抗体断片(例えば、Fab断片若しくは一本鎖抗体)又は結合性断片(例えば、ファージディスプレイにより産生される)であって、アディポシスピン・ポリペプチドに特異的に結合するものが提供される。当該抗体は、モノクローナル抗体であってもよく、そして少なくとも約108-1、好ましくは少なくとも約109-1、又は少なくとも約1010-1の親和性で結合することができる。本発明はまた、抗体、抗体断片、又は抗体結合性断片を分泌できる単離細胞又はハイブリドーマも提供する。当該抗体、抗体断片、又は抗体結合性断片は、ヒト又はキメラ又はヒト化されたものであってもよい。
他の態様では、アディポシスピン活性の調節物質を同定するための方法が提供される。こうした方法は、以下のステップ:
(a)試験化合物の存在下で、ポリペプチド、例えばアディポシスピン・ポリペプチドとアディポシスピン受容体及び/又はアディポシスピン受容体調製品とを接触させ、そして
(b)(a)におけるアディポシスピン受容体及び/又はアディポシスピン受容体調製品とポリペプチドとの結合のレベルを、当該試験化合物が存在しない状態での結合のレベルと比較する
を含んでもよい。ここで結合の減少は、当該化合物が結合の阻害剤又はブロッカーであることを示し、そして結合の増加は、当該試験化合物がエンハンサー又は結合のシミュレーターであることを指し示す。一の実施態様では、細胞はアディポシスピン・ポリペプチドを発現する。
別の態様では、アディポシスピンのアゴニスト又はアンタゴニストの同定又はスクリーニングに用いる方法が提供される。当該方法は、以下の:
試験サンプルとアディポシスピン受容体調製品とを一緒にすることを含み、ここで当該試験サンプルは1以上の試験化合物を含み、そして当該アディポシスピン受容体調製品が、アディポシスピンに結合できるアディポシスピン受容体タンパク質を含み;
当該受容体タンパク質へのアディポシスピンの結合を許容する条件下で当該試験サンプルと当該受容体調製品とをインキュベーションし;そして
当該受容体に検出できるように結合する1以上の試験化合物を含む当該試験サンプルを同定する
を含む。
別の実施態様では、当該方法はさらに以下のステップ:
アディポシスピン受容体媒介性の活性をin vitro又はin vivoで刺激又は阻害することについて、当該受容体タンパク質に検出できるように結合する試験サンプルをスクリーニングし、そして
アディポシスピンのアゴニスト又はアンタゴニストとして作用する試験サンプルを同定する
を含む。好ましい実施態様では、当該アディポシスピン受容体タンパク質に検出できるように結合する試験サンプルは、試験サンプルによる受容体タンパク質調製品からの標識第一リガンドの解離を計測し、そして1以上の既知の第二リガンドによる当該受容体調製品からの標識第一リガンドの計測された解離と比較することにより同定される。標識第一リガンド及び第二リガンドは、アディポシスピン、アディポシスピン・アゴニスト、又はアディノシスピン・アンタゴニストを含む。有用な受容体調製品は、例えばアディポシスピン受容体を有する単離細胞、アディポシスピン受容体を有する単離膜調製品、及び単離されたアディポシスピン受容体タンパク質を含む。単離された膜は、受容体調製品として使用される場合、前脳基底部由来の膜が特に好ましい。上記方法のいずれかにおいて使用される試験サンプルであって、1を超える試験化合物を含み、かつ陽性の結果をもたらすサンプルを分割し、そして必要な回数再試験し、そして適切なものとして、陽性結果の産生に関与する試験サンプル中の化合物(単数又は複数)を同定することができる。
別の態様では、アディポシスピン・アゴニスト又はアンタゴニスト化合物として既知のもの又は候補物について測定しようとする1以上の受容体結合特性を評価する方法が提供され、当該方法は以下の:
アディノシスピン受容体調製品への結合について、標識リガンドに対して競合する化合物の能力を評価又は計測し;そして
当該化合物について測定しようとする受容体結合特性を測定する
を含む。測定することができる受容体結合特性は、例えば結合親和性及び結合特異性を含む。
さらなる態様では、アッセイされる試験サンプル中のアディポシスピン受容体に結合する化合物の存在又は量を測定する方法が提供される。当該方法は、以下の:
試験サンプルとアディポシスピン受容体調製品を一緒にし;
アディポシスピン受容体調製品への結合について、標識リガンドと競合する試験サンプルの能力を計測し;そして場合により、
試験サンプル中のアディポシスピン受容体に結合する化合物の量を、ネガティブ・コントロール・サンプルについて計測されるアディポシスピン受容体に結合する化合物の量と関連付けし(ここで当該ネガティブ・コントロール・サンプルはアディポシスピン受容体に結合する化合物を含まないことが知られている)、及び/又は
試験サンプル中にアディポシスピン受容体に結合する化合物の存在又は量を測定するために、試験サンプル中のアディポシスピン受容体に結合する化合物の量を、アディポシスピン受容体化合物の既知の量を含むポジティブ・コントロール・サンプルについて計測されるアディポシスピン受容体に結合する化合物の量と関連付けする
を含む。当該アッセイ方法は、さらなる実施態様において、アディポシスピン調製品の安定性を評価し、アディポシスピン調製品の強度を評価し、そしてアディポシスピン調製品の溶解性を評価するためなどに利用できる。
他の態様では、本発明の受容体調製品は、当該技術分野に知られている方法を使用して、ポリクローナル抗血清及びモノクローナル抗体を含む抗アディポシスピン受容体抗体を調製するために利用できる。
他の態様では、本発明は、アディポシスピン受容体を有する細胞を同定するために、細胞系列、組織から分離した細胞、及びヒト又は動物血液由来の細胞のスクリーニングに使用される。本発明のアディポシスピン受容体を固相に結合し、そして種々のアフィニティー・クロマトグラフィー方法で使用し、そして例えばアディポシスピンを精製するため又はアディポシスピン、アディポシスピン・アゴニスト、若しくはアディポシスピン・アンタゴニストを含むと知られているか又は疑われているサンプルを評価するために使用される。アディポシスピン受容体の調節物質を同定する方法であって、以下の:
組換えアディポシスピン・ポリペプチドを発現する細胞と試験化合物とを接触させ、そして
当該試験化合物の存在下で生じるが、試験化合物の不存在下では生じない生物学的効果をアッセイする
による方法が提供される。ここで生物学的効果を誘導する試験化合物は、アディポシスピン活性の調節物質又は刺激因子として同定される。例えば、こうした試験化合物は非限定的に、ポリヌクレオチド、例えばアンチセンス又はRNAiポリヌクレオチドとして機能するポリヌクレオチド、ポリペプチド、例えばアディポシスピンに結合するか又は修飾することができるポリペプチド、及び生物学的効果を発揮することができるアディポシスピンのレベルを調節することができる化合物、例えばアディポシスピン受容体に結合できる化合物を含む。一の実施態様では、アッセイされる生物学的効果は、前脂肪細胞から脂肪細胞への変化の割合である。
別の態様では、アディポシスピン若しくはその活性断片、又はアディポシスピン活性(例えば結合)の調節物質を剤形することにより、医薬用途の医薬組成物を製造する方法が提供される。
別の態様では、例えば、アディポシスピン若しくはその活性断片を含むか又はそれらから実質的になる医薬組成物が提供される。
別の態様では、当該化合物がアディポシスピン若しくはアディポシスピン受容体と相互作用するかを測定することにより、種々の疾患又は症状、例えばアディポシスピン媒介性若しくはアディポシスピン関連疾患及び症状の治療に有用な化合物を同定する方法が提供される。
哺乳動物における種々の疾患又は症状、例えばアディポシスピン媒介性又はアディポシスピン関連疾患若しくは症状について対象を治療する方法であって、哺乳動物の細胞又は組織中のアディポシスピンの活性又は発現を低減又は増加するか、又はアディポシスピン若しくはその活性断片、又はアディポシスピンの調節物質を、当該哺乳動物に投与する
ことによる方法が提供される。種々の実施態様では、当該症状又は疾患は、肥満であるか、又は脂肪組織量の増加に関連する症状である。他の実施態様では、当該哺乳動物は、体重を減らすことを望むか及び/又は体重増加をさけることを望んでいる。
別の実施態様では、哺乳動物中の細胞又は組織中のアディポシスピンの活性又は発現を低下又は増大することにより、哺乳動物における種々の疾患又は症状、例えば、アディポシスピン媒介性又はアディポシスピン関連疾患又は症状を治療するための、アディポシスピン又はその活性断片、又はアディポシスピンの調節物質の使用が提供される。一の実施態様では、当該疾患又は症状は、例えば脂肪組織量の増大、インスリン効果の増大に付随する肥満を含む。別の実施態様では当該哺乳動物は体重を減らすこと及び/又は体重増加を避けることを望んでいる。
アディポシスピン又はその断片の活性の測定に使用する方法であって、以下の:
試験サンプルとアディポシスピン受容体調製品とを一緒にし(ここで、当該試験サンプルは、アディポシスピン又はその断片を含み、そして当該アディポシスピン受容体調製品は、アディポシスピンに結合できる);
当該試験サンプルと当該受容体調製品を、アディポシスピン又はその断片が、受容体タンパク質に結合することを可能にする条件下でインキュベーションし;そして
当該試験サンプルが生物学的効果を誘導する能力を計測する、
を含む、方法も提供される。種々の実施例において、当該アディポシスピン受容体調製品は、前脂肪細胞、例えば3T3 L1細胞及び/又はアディポシスピン受容体を発現する細胞、例えば、アディポシスピン受容体をコードするポリヌクレオチドで一過的にトランスフェクションされた細胞、を含む。当該生物学的効果は、前脂肪細胞から脂肪細胞への変化であり、及び/又は脂質の蓄積、及び/又は脂肪細胞マーカー、例えばPPARγもしくはGLUT4の発現の増加又は低減である。
アディポシスピン・ポリペプチドが組換え、単離、精製、又は合成ポリペプチドである、アディポシスピン・ポリペプチドを含む組成物も提供される。一の実施態様では、当該組成物は、1μg/ml〜20μg/ml、別の実施態様では1.9μg/ml〜17μg/mlの血漿アディポシスピン・ポリペプチド濃度を誘発するために有効である。
他の態様では、病状の存在又は病状を発達させる傾向の存在について個体を診断する方法であって、個体におけるアディポシスピン・ポリペプチドのレベルを測定し、そして当該レベルを、病状を患っていない個体におけるレベルと比較することを含む方法が提供される。ここでレベルの差が、疾患の存在又は疾患を発達させる傾向があるということを指し示すことになる。一の実施態様では、病状は、以下の:高血糖症、インスリン抵抗性、二型糖尿病、肥満、高血圧、アテローム硬化症、冠状動脈性心臓病、虚血性心疾患、多嚢胞卵巣症候群、及びインスリン抵抗性に付随する代謝症候群のいずれか1から選ばれる。さらなる実施態様では、当該方法は、電気泳動、HLPC、又は質量分析を利用する。
アディポシスピンの異常調節に付随する病状を治療する方法であって、アディポシスピン・ポリペプチドを含む医薬として許容される組成物の有効量を投与することを含む方法も提供される。
i) アディポシスピン・ポリペプチド制御に付随する病状を治療し;
ii) インスリンの効果を高め;又は
iii) 肥満又は脂肪量の増加に付随する状態を抑制する
ために哺乳動物において有用な医薬組成物又は医薬又は投与単位の製造における、医薬として許容される賦形剤、共活性剤、希釈剤、及び格納容器を伴うか又は伴わない医薬の製造におけるアディポシスピン・ポリペプチドの使用にも関する。
本発明は、記載される具体的な方法、プロトコル、細胞系列、ベクター、組成物、及び試薬に限定されず、それらは変化することができる。本明細書中で使用される専門用語は、具体的実施態様を記載する目的のみに使用され、そして添付の特許請求の範囲により定義される本発明の特許請求の範囲を制限することを意図しない。
I.一般的技術
本発明の実施には、他に記載がない限り、分子生物学(組換え技術を含む)、微生物学、生化学、核酸化学、及び免疫学における慣用技術を利用しており、これらは当該技術分野の技術の範囲内である。こうした技術は、文献、例えばMolecular Cloning : A Laboratory Manual、第二版(Sambrookら、1989)及び Molecular Cloning :A Laboratory Manual、第三版(Sambrook及びRussel, 2001)、(合わせて本明細書中で"Sambrook"と呼ぶ); Current Protocols in Molecular Biology (F.M. Ausubelら編、1987、付録を含む);PCR:The Polymerase Chain Reaction、(Mullisら著、1994); Harlow及びLane (1988) Antibodies, Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor Publications、New York、及びHarlow 及び Lane (1999) Using Antibodies : Laboratory Manual Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY (合わせて、本明細書中で「Harlow及びLane」と呼ぶ)、Beaucageら共著、Current Protocols in Nucleic Acid Chemistry John Wiley & Sons, Inc., New York, 2000)中に十分に説明されている。
本明細書中に使用されるとき「アレル」又は「アレル配列」という用語は、アディポシスピン・ポリペプチドをコードする遺伝子(つまり、アディポシスピン・ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド)の天然のオルタナティブ・フォームを指す。アレルは、突然変異(つまり、核酸配列の変化)から得られ、そして時に、変化したか及び/又は違うように制御されるmRNA又はポリペプチドであって、その構造及び/又は機能が変化するか又は変化しないものをもたらす。アレルを生じさせる一般的な突然変異は、一般的な突然変異変化は、一般的に自然に生じる欠失、付加、又はコードされるアミノ酸に影響するか又は影響しないヌクレオチドの置換が原因である。これらのタイプの各々は、単独で生じてもよいし、他との組合せで生じてもよく、又は与えられた遺伝子、クロモソーム、又は他の細胞ポリヌクレオチド内で1回以上生じてもよい。得られた遺伝子の全ては、アレル形態を有さないこともあるし、又は1以上のアレル形態を持ってもよい。本明細書中に使用されるとき、「アレル」という用語は、遺伝子又は遺伝子から転写されたmRNAのいずれか又は両者を指す。
本明細書中で使用されるとき、「アミノ酸」という用語は、天然アミノ酸及び合成アミノ酸、並びにアミノ酸アナログ、非天然アミノ酸、及び天然アミノ酸に類似の様式で機能するアミノ酸ミメティクスを指す。天然アミノ酸は、遺伝コードによりコードされたアミノ酸並びに後に修飾されたアミノ酸、例えばヒドロキシプロリン、γ-カルボキシグルタメート、及びO-ホスホセリンである。アミノ酸アナログは、天然アミノ酸と同じ塩基性化学構造を有する化合物を指す。つまりα炭素は、水素、カルボキシ基、アミノ基、及びR基に結合しており、例えばホモセリン、ノルロイシン、メチオニン・スルホキシド、メチオニン・メチル・スルホニウムである。そうしたアナログは、修飾されたR基(例えば、ノルロイシン)又は修飾されたペプチド骨格を有するが、天然アミノ酸と同じ塩基化学構造を保持する。アミノ酸ミメティクスは、アミノ酸の一般的な化学構造から異なる構造を有するが、天然アミノ酸と類似の様式で機能する化学化合物を指す。
「アンチセンス配列」という用語は、RNA配列に相補的な配列、或いはRNA配列に望ましく又は有用に相補的である配列を有するポリヌクレオチドを指す。これらの用語は、具体的にmRNA又はそのタンパク質に結合して、リボソームによるmRNAの転写を阻害する核酸配列を特異的に含む。アンチセンス法は、一般的に当該技術分野に周知である(例えば、PCT公開WO 94/12633号、及び Nielsenら 1991, Science 254: 1497; OLIGONUCLEOTIDES AND ANALOGUES, A PRACTICAL APPROACH, F. Eckstein編, IRL Press at Oxford University Press (1991); ANTISENSE RESEARCH AND APPLICATIONS (1993, CRC Press)を参照のこと)。
本明細書中で使用される「組成物」という用語は、指定された成分を、指定された量又は他の量で含む物、並びに指定された成分を指定された量又は他の量の組合せから直接又は間接的にもたらされる物を含むことを意図される。
「保存的置換」という用語は、ポリペプチドを記載するとき、ポリペプチドの活性を実質的に変化させないポリペプチドのアミノ酸組成の変化を指し、つまりアミノ酸を、類似の性質を有する他のアミノ酸と置換し、その結果、重要なアミノ酸の置換であっても、実質的に活性を変化させることはない。機能的に類似のアミノ酸を提供する保存的置換は、当該技術分野に周知である。以下の6群は、例えば、各々互いに保存的置換であると理解されているアミノ酸を含む:1)アラニン(A)、セリン(S)、スレオニン(T);2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);4)アルギニン(R)、リジン(K);5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);及び6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)(Creighton 1984, Proteins, W. H. Freeman and Company)。
上で定義される保存的置換に加えて、アミノ酸残基の他の改変が、「保存的に改変されたバリアント」をもたらすことができる。全ての荷電されたアミノ酸は、それが正であれ又は負であれ、互いに置換できるとみなすこともある。加えて、保存的に改変されたバリアントは、コード配列中の単一のアミノ酸又はアミノ酸の低い割合(例えば5%未満であることが多い)を変化、付加、又は欠失する個々の置換、欠失、又は付加からもたらすことができる。さらに、保存的に改変されたバリアントは、未変性又は野生型の遺伝子により使用されるアミノ酸のコドンを、同じアミノ酸についての異なるコドンで置換することにより、組換えポリペプチドから作ることができる。
「制御要素」又は「制御配列」という用語は、エンハンサー、プロモーター、転写ターミネーター、複製起点、染色体組み込み配列、5’及び3’非翻訳領域を含み、これらとポリペプチド又は他の生体分子は相互作用して転写及び翻訳を行う。真核細胞では、制御配列は、プロモーター及び好ましくはエンハンサー(例えば、免疫グロブリン遺伝子、SV40、サイトメガロウイルス由来)、及びポリアデニル化配列を含み、そしてスプライス・ドナー及びアクセプター配列を含んでもよい。使用されるベクター・システムと宿主に依存して、適切な転写及び翻訳要素、例えば構成的及び誘導プロモーターのいくつかが、使用されてもよい。アディポシスピンに関して、アディポシスピンコード配列に元々付随するプロモーター以外のプロモーターは、「異種」プロモーターと呼ぶことができる。
本明細書中で使用されるとき、「誘導体化」ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、又は核酸は、誘導体化された置換基を含むオリゴ及びポリヌクレオチドを指す。幾つかの実施態様では、当該置換基は、実質的に相補的ポリヌクレオチドとのハイブリッド形成に関して実質的に妨害することはない。添付の化学置換基で改変された誘導体化オリゴ-又はポリヌクレオチド(例えば、既に合成されたオリゴ-又はポリヌクレオチドの修飾により、又は修飾された塩基又は骨格アナログを合成の間に取り込むことによる)を、代謝的に活性な真核細胞中に導入して、アディポシスピンDNA、RNA、又はタンパク質とハイブリッド形成させる。ここでこれらは、局所的DNA、RNA、又はタンパク質への変換又は化学修飾をもたらす。或いは、誘導体化オリゴ又はポリヌクレオチドは、アディポシスピンDNA若しくはアディポシスピン遺伝子産物と相互作用するアディポシスピン・ポリペプチド又はタンパク質と相互作用し、そして変化させるか、或いはアディポシスピンDNA、RNA、又はタンパク質の発現又は機能を変化又は調節してもよい。代表的な付着された化学置換は、例えば:ユーロピウム(III)テキサフィリン、交差試薬、ソラレン、金属キレート(例えば、イオン触媒性切断についての鉄/EDTAキレート)、トポイソメラーゼ、エンドヌクレアーゼ、エキソヌクレアーゼ、リガーゼ、ホスホジエステラーゼ、フォトダイナミック・ポルフィリン、化学治療薬(例えば、アドリアマイシン、ドキシルビシン)、挿入剤、塩基-修飾剤、免疫グロブリン鎖、及びオリゴヌクレオチドを含む。鉄/EDTAキレートは、核酸配列の局所的切断が所望される場合、しばしば使用される化学置換基である(Hertzbergら、1982. J. Am. Chem. Soc. 104: 313; Hertzberg and Dervan, 1984, Biochemistry 23: 3934; Taylorら、1984, Tetrahedron 40: 457; Dervan, 1986, Science 232: 464)。例示的な結合化学は、以下の:例えば添付の反応性アミノ基を介した直接結合(Corey and Schultz, 1988, Science 238:1401)及び他の直接結合化学を含む。しかしながら、ストレプトアビジン/ビオチン及びディオキシゲニン/抗-ディオキシゲニン抗体も使用することができる。化学置換基を結合する方法が、米国特許5,135,720号、5,093,245号、及び5,055,556号に提供される。他の結合化学を、当業者の判断で使用してもよい。
本明細書中で使用されるとき、「検出できる標識」は、当該技術分野において通常の意味を有し、そして原子(例えば、放射性核種)、分子(例えば、フルオレセイン)、又は複合体を指す。それらは、分子の存在を(例えば、物理的又は化学的性質により)検出し指し示すために、或いは別の分子に結合できるようにするために使用されるか又は使用できる。ここで標識は当該分子に共有結合するか又はそうでなければ付随する。「標識」という用語はまた、共有結合されるか又はそうでなければ付随する分子であって、基質と作用して検出できる原子、分子、又は複合体を作り出すもの(例えば酵素などの生体分子)を指す。本明細書中での使用に適した検出可能な標識は、例えば、分光法、光化学、生化学、免疫化学、電気化学、光学、化学手段などにより検出できる組成物の全てを含む。
「エピトープ」という用語は、抗体により認識される抗原上の部位についての通常の意味を有する。エピトープは、典型的にアミノ酸の断片であり、ポリペプチド全体の一部である。エピトープは、立体配置でもよい(つまり、不連続な状態)。つまり、エピトープは、一次配列の非連続な部分によりコードされるアミノ酸であって、タンパク質折り畳みにより並列されるアミノ酸から形成されてもよい。
「融合タンパク質」という用語は、ポリペプチドの合成物、つまり通常の単一アミノ酸配列に融合されない2(以上)の異なる異種性のポリペプチドから作られる一の連続アミノ酸配列を指す。こうして、融合タンパク質は、2個の全く異なるアミノ酸配列又は2の類似の又は同一のポリペプチド配列を含む単一アミノ酸配列を含んでもよい。但し、これらの配列は、通常、自然界においてみつかる単一のアミノ酸配列において同じ立体配置で一緒に見られることはない。融合タンパク質は、一般的に、組換え核酸方法のいずれかを使用して、つまり、組換え遺伝子融合産物の転写及び翻訳の結果として一般的に製造することができる。当該融合タンパク質は、ポリペプチドをコードする断片及び異種ポリペプチドをコードする断片を含む。或いは、融合タンパク質は、当該技術分野に周知の化学合成方法により製造されうる。
「遺伝子産物」という用語は、遺伝子から転写されたRNA分子、又は当該遺伝子によりコードされるか又は当該RNAから翻訳されるポリペプチドを指す。
本明細書中に使用されるとき、IgG抗体についての「高親和性」という用語は、少なくとも約106‐1、好ましくは少なくとも約108-1、より好ましくは少なくとも約109-1、又はそれ以上、例えば1012-1以下、又はそれ以上の結合定数(Ka)を指す。しかしながら、「高親和性」結合は、他の抗体アイソタイプについて変化することができる。
「免疫原」及び「免疫原性」とう用語は、当該技術分野において通常の意味を有し、つまり、免疫原はポリペプチド又は他の抗原などの、ヒト又は動物中に注射したときに適応的免疫応答を誘発することができる分子である。
前脂肪細胞の脂肪細胞への変換活性の「調節物質」及び「調節」という用語は、本明細書中でその様々な形態で使用されるとき、特定の細胞表面受容体、好ましくはアディポシスピン受容体に関連する活性のアンタゴニズム、アゴニズム、部分的なアンタゴニズム、及び/又は部分的なアゴニズムを含むように意図される。種々の実施態様では「調節物質」は、アディポシスピン発現又は活性を阻害又は刺激しうる。かかる調節物質は、アディポシスピン機能又は発現の低分子アゴニスト及びアンタゴニスト:アンチセンス及びリボザイム・三重鎖ポリヌクレオチド;遺伝子治療などを含む。
「核酸」及び「ポリヌクレオチド」という用語は、交換して用いることができ、そしてデオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチド、及びその一本鎖又は二本鎖形態のポリマーを指す。具体的に制限しない限りは、ポリヌクレオチド配列の開示は、相補配列についても言及することを意図する。本明細書中で使用されるとき、「ポリヌクレオチド」という用語は、オリゴヌクレオチドを含む。
「オリゴヌクレオチド」又は「オリゴマー」という用語は、約7以上のヌクレオチド、そして約100ヌクレオチドほどの核酸配列を指し、それらは例えばプライマー又はプローブとして使用することができる。オリゴヌクレオチドは、約10〜約50ヌクレオチド長であることが多く、しばしば約12〜約50ヌクレオチドであり、約15〜約25ヌクレオチドであることがさらに多い。
「発現可能なように結合される」という用語は、2以上のポリヌクレオチド(例えばDNA)断片の間の機能的な関係を指し、例えば、プロモーター又はエンハンサーは、適切な宿主細胞又は他の発現系で配列の転写を刺激する場合、コード配列に発現可能なように結合されている。一般的に発現可能なように結合される配列は連続しており、そしてシグナル配列の場合では、連続しかつリーディング・フェース内に存在する。しかしながら、エンハンサーは、その転写を高めるコード配列の近位に位置する必要はない。
「ペプチドミメティクス」及び「ミメティック」という用語は、合成化合物を指し、当該化合物は、1以上のアディポシスピン・ポリペプチドの同じ構造的及び機能的特徴を実質的に有する化合物を指す。ペプチド・アナログは、医薬工業においてテンプレートであるペプチドの性質に類似の性質を有する非ペプチド薬剤として一般的に使用される。非ペプチド化合物のこれらのタイプは、「ペプチド・ミメティクス」と名付けられる(Fauchere, J. Adv. Drug Res. 15: 29 (1986); Veber and Freidinger TINS p. 392 (1985); 及び Evansら. J. Med. Chem. 30: 1229 (1987), これらの文献は、本明細書中に援用される。)。治療上有用なペプチドに構造的に類似するペプチド・ミメティクスは、同等又は高められた治療若しくは予防効果をもたらすために使用されうる。一般的に、ペプチドミメティクスは、アディポシスピンなどのパラダイムポリペプチド(つまり、生物学的又は医薬活性を有するポリペプチド)に構造的に類似するが、以下の:-CH2NH‐、-CH2S‐、-CH2-CH2-、-CH=CH‐(シス及びトランス)、‐COCH2-、-CH(OH)CH2-、及び-CH2SO‐からなる群から選ばれる結合により、場合により置換される1以上のペプチド結合を有する。ミメティクスは、合成の非天然アミノ酸アナログからもっぱら構成されるか、部分的な天然ペプチド・アミノ酸と部分的なアミノ酸の非天然アナログのキメラ分子である。ミメティクスは、置換がミメティクスの構造及び/又は活性を実質的に変化させないかぎりは、天然アミノ酸の保存的置換をいくらでも取り込むことができる。例えば、ミメティクス組成物は、アディポシスピンの結合性又は酵素活性を達成することができる場合、本特許の範囲内であると考えられる。
「医薬として許容される」という用語は、製剤のほかの製剤と適合性を有し、そして製剤を受けた人に対して有害ではないか又は不所望ではない担体、希釈剤、又は賦形剤を意味する。
「ポリペプチド」という用語は、本明細書中で、「タンパク質」という用語と交換して用いることができ、そしてアミド結合により結合されるアミノ酸残基から構成されるポリマーを指し、例えば、その合成、天然、及び非天然アナログ(アミノ酸及び結合)を含む。ペプチドは、ポリペプチドの一例である。
本明細書中に使用されるとき、ポリヌクレオチド及び抗体の文脈で使用される場合、「プローブ」は、他の分子に特異的に又はそうでなければ望ましく結合する分子を指す。プローブの1の例は、「核酸プローブ」であり、これはDNA、RNA、又は他のポリヌクレオチドでありうる。核酸プローブについての特異的配列が与えられる場合、相補鎖が同定され、そして含まれるということが理解される。相補鎖は、実質的に相補的な核酸に特異的に結合(例えばアニール又はハイブリッド形成)する二本鎖核酸である状況において同等にうまく働くであろう。プローブの他の例は、対応する抗原又はエピトープに特異的に結合する「抗体プローブ」である。
「組換え」という用語は、in vitroで合成され又はそうでなければin vitroで操作されたポリヌクレオチドを指し(例えば、「組換えポリヌクレオチド」)、組換えポリヌクレオチドを使用して、細胞又は他の生物システム中で遺伝子産物を産生する方法を指し、又は組換えポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチド(組換えタンパク質)を指す。こうして、「組換え」ポリヌクレオチドは、例えばその産生方法又はその構造のいずれかにより定義されてもよい。産生方法について、当該方法は、例えば、ヌクレオチド配列中への人の介入を含む組換え核酸技術の使用であり、典型的に選別又は産生である。或いは、天然では互いに連続ではない2個の断片を融合することを含む配列を作製することにより作られるポリヌクレオチドでありうるが、自然の産物を除くことを意味する。こうして、例えば、いずれかの非天然ベクターで細胞を形質転換することにより作られる産物が含まれ、合成オリゴヌクレオチド方法を使用して誘導される配列を含むポリヌクレオチドである。同様に「組換え」ポリペプチドは、組換えポリヌクレオチドから発現されるポリペプチドである。
「選択的にハイブリッド形成する」というフレーズは、標的配列が全細胞DNA又はRNAの調製物中に存在する場合、特定の標的DNA又はRNA配列に所望の程度ハイブリッド形成し、二本鎖形成し、又は結合するポリヌクレオチド・プローブを指す。
抗体とタンパク質又はポリペプチドとの間の相互作用を指すとき、「特異的免疫反応性」又は「特異的に結合する」というフレーズは、比較的高い親和性で、関心のタンパク質、例えばアディポシスピンを認識しそして結合する抗体を指し、その結果、当該結合が、異なる種のタンパク質及び他の生体物質の集合におけるタンパク質の存在を決定する。こうして、指定された免疫アッセイの条件下では、特定の抗体が、特定のポリペプチドに結合し、そして、サンプル中に存在する他のポリペプチドに有意な量で結合しないか、又はそうでなければ不所望な量でしか結合しない。種々の免疫アッセイ形式が、免疫活性であるか又は特定のポリペプチドと特異的に免疫反応する抗体を選別するために使用されてもよい。例えば、固相ELISA免疫アッセイは、ポリペプチドと特異的に免疫反応するモノクローナル抗体を選別するために、通常使用される。特異的免疫反応性を測定するために使用できる免疫アッセイ・フォーマット及び条件についての記載については、Harlow、1988、ANTIBODIES、A LABORATORY MANUAL, Cold Spring Harbor Publications, New York (本明細書の以下で、"Harlow"と記載する)を参照のこと。
本明細書中で使用されるとき、「実質的な配列同一性」又は「実質的に同一」(2以上のポリペプチド又はポリヌクレオチドを比較する文脈では)は、以下の配列比較アルゴリズムのうちの一つを使用して、又は外観検査により計測される最大比較について比較されそして配列比較されるとき、少なくとも60%、好ましくは80%、最も好ましくは90%、95%、98%、又は99%のヌクレオチド又はアミノ酸残基の同一性を有する2以上の配列を指す。2個の配列(アミノ酸又はヌクレオチド)は、その全長(例えば、2個の配列が実質的に異なる長さである場合、2個の配列のうち短い配列の長さ)に渡って比較できるか、又は少なくとも約50、約100、約200、約500、又は約1000の連続ヌクレオチド又は少なくとも約10、約20、約30、約50、又は約100の連続アミノ酸残基などのサブシーケンスに渡って比較できる。本明細書中で使用されるとき、実質的に同一なポリペプチドは、共通の機能的活性(例えば、生物学的活性)を有する。
配列比較のためには、典型的に1の配列が参照配列として役割を果たす。当該参照配列に対して試験配列が比較される。配列比較アルゴリズムが使用されるとき、試験及び参照配列は、コンピューター中に入力され、必要がある場合サブシーケンスの座標が指定され、シーケンス・アルゴリズム・プログラムのパラメーターが指定される。当該配列比較アルゴリズムは、次に指定されたプログラム・パラメーターに基づいて、参照配列に対する試験配列についての配列同一性割合を計算する。
比較のための配列の最適アライメントは、Smith & Waterman Adv. Appl. Math. 2: 482の局所ホモロジー・アルゴリズムにより、Needleman & Wunsch, J. Mol. Biol 48: 443 (1970)のホモロジー・アライメント・アルゴリズムにより、Pearson & Lipman, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85: 2444 (1988)の類似性の検索方法により、これらのアルゴリズムのコンピューターによる実行(Wisconsin Genetics Software Package中のGAP、BESTFIT、FASTA、及びTFASTA、Genetics Computer Group, 575 Science Dr., Madison, WI)により、又は外観検査法(一般的にAusubelら、Current Protocols In Molecular Biology, Greene Publishing and Wiley-Interscience, New York (supplemented through 2001)を参照のこと)により行うことができる。前述のアルゴリズムのいずれかを使用するとき、「ウインドウ」の長さ、ギャップ・ペナルティなどについてのデフォルトのパラメーターが使用される。
配列同一性割合及び配列類似性を決定するために適したアルゴリズムの1の例は、BLASTアルゴリズムであり、これはAtschulらJ. Mol. Biol. 215: 403-410 (1990)に記載される。BLAST分析を実行するためのソフトウェアは、全米バイオテクノロジー情報センター(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/).から公共利用できる。当該アルゴリズムは、クエリー配列中の短いワード長W(short words of length)を同定することにより、高スコアの配列ペア(HSPs)を第一に同定することに関する。当該配列は、データーベース配列中の数個のワードと配列比較する時、適合するか又はある程度の正の値の閾値(threshold score)Tを満たす。Tは、隣接ワード・スコアの閾値を指す(Altschulら、上記)。最初の隣接ワードの適合は、当該ワードを含むより長いHSPsを見つけるための検索を開始するためのシーズとして役に立つ。当該ワードの適合は次に、各配列の両方向に伸張し、累積する配列比較のスコアが増加する。各方向におけるワード適合の伸張は、最大達成値からクオンティティ(quantity)Xだけ累積アライメント・スコアが減少した場合、1以上のマイナスの点数を付ける残基のアライメントを蓄積するため当該累積スコアが0以下になる場合;又はいずれかの配列が末端に達した場合に止められる。当該BLASTアルゴリズムのパラメーターW、T、及びXは、感受性及びアライメントのスピードを決定する。BLASTプログラムは、ワード長(wordlength)(W)11、BLOSUM62スコアリング・マトリックス(Henikoff & Henikoff, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 10915(1989))アライメント(Alignments)(B)50、予想値(expectation)(E)10、M=5、N=4、及び両方の鎖の比較を使用する。
配列同一性の割合を計算することに加えて、BLASTアルゴリズムは、2個の配列間の類似性の統計分析を行うために使用されてもよい(例えば、Karlin & Altschul, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 5873-5787 (1993)を参照のこと)。BLASTアルゴリズムにより提供される類似性の1の計測は、最小和確率(the smallest sum probability)(P(N))であり、当該確率は、2個のヌクレオチド又はアミノ酸配列間の適合が、偶然生じる確率を指し示す。例えば、核酸は、試験核酸を、参照核酸に比較する際の最小和確率が約0.1未満、より好ましくは約0.01未満、そして最も好ましくは約0.001未満である場合、参照配列に類似であると考えられる。
2個の核酸配列又はポリペプチドが、実質的に同一であるというさらなる記載は、第一ポリペプチド(例えば、第一核酸によりコードされるポリペプチド)が、第二ポリペプチド(例えば、第二核酸によりコードされるポリペプチド)と交差反応性であるということである。こうして、ポリペプチドは、典型的に、例えば2個のペプチドが、保存的置換によってのみ異なる場合、実質的に第二ポリペプチドに同一である。
2個の核酸配列が実質的に同一であるという別の記載は、2個の分子が、厳格な条件下で互いにハイブリッド形成するということである。実質的な同一性は、当該断片が、厳格なハイブリダイゼーション条件の下で、プローブ・ヌクレオチド配列から誘導される少なくとも約50個の連続ヌクレオチドの配列を使用して、鎖、又はその相補鎖にハイブリッド形成する場合存在する。
観測される偶然生じた差の可能性(p値)が、ある予め決められたレベルであるならば、その差は、典型的に「統計的に有意である」と考えられる。本明細書中に使用されるとき「統計的有意差」は、0.05未満のp値、好ましくは0.01未満のp値、そして最も好ましくは0.001未満のp値を指す。
「厳格なハイブリダイゼーション条件」は、典型的に、標的配列と、当該標的に対して正確又はほぼ正確な相補性を有するプローブの融点(Tm)から約5℃〜約20℃下の範囲であるか、又は当該融点の25℃下の条件を指す。本明細書中で使用されるとき、融点は、二本鎖核酸分子が、一本鎖に半分解離する温度である。核酸のTmを計算するための方法は、当該技術分野において周知である(例えば、Berger and Kimmel、1987, Methods In Enzymology、Vol.152: Guide To Molecular Cloning Techniques) San Diego: Academic Press) Inc. 及びSambrookら;上記; (1989) Molecular Cloning: A Laboratory Manual,第二版, Vols. 1-3, Cold Spring Harbor Laboratoryを参照のこと)。標準の参考文献に記載されるように、核酸が1M・NaClの水溶液中に存在する場合、Tm値の単純な見積もりは、次式:Tm=81.5+0.41(%G+C)により計算することができる(例えば、Anderson and Young, "Quantitative Filter Hybridization"in Nucleic Acid Hybridization (1985)を参照のこと。)。他の参考文献は、構造並びに配列の特徴をTmの計算に考慮するという、より洗練された計算を含む。ハイブリッドの融点(及び厳格なハイブリダイゼーションについての条件)は、種々の因子、例えばプローブの長さ及び性質(DNA、RNA、塩基組成物)及び標的の性質(溶液中に存在するか又は固定されているDNA、RNA、塩基組成物など)、並びに塩及び他の成分(例えば、ホルムアミド、デキストラン・サルフェート、ポリエチレン・グリコール)の濃度を含む。これらの因子の効果は周知であり、当該技術分野の標準参考文献に記載されている(例えば、Sambrook, 上記、及びAusubel、上記)。典型的に、厳格なハイブリダイゼーション条件は、約1.0Mナトリウムイオン未満の塩濃度であり、典型的にはpH7.0〜8.3にて約0.01〜1.0Mナトリウムイオンであり、そして温度は、短いプローブについて少なくとも約30℃であり、そして長いプローブ(例えば、50ヌクレオチドを超える)については少なくとも約60℃である。記載されるように、厳格な条件は、ホルムアミドなどの不安定化剤の添加により達成されることもあり、そうした場合低い温度が使用されてもよい。
「実質的に純粋」又は「単離された」という用語は、タンパク質及びポリペプチド、例えばアディポシスピンについて記載する場合、自然の状態でそれらに付随しているタンパク質又は他の混入物から全体として又は部分的に分離されたポリペプチドを指す。例えば、タンパク質を含む組成物の総タンパク質量の約50%超、そして典型的には総タンパク質量の約60%超をしめる場合、タンパク質又はポリペプチドは、実質的に純粋である。より一般的に、実質的に純粋な又は単離されたタンパク質又はポリペプチドは、総タンパク質の少なくとも75%、より好ましくは少なくとも90%を占めるであろう。好ましくは、当該タンパク質は、組成物中において総タンパク質の約90%超、及びより好ましくは約95%超を占めるであろう。ポリヌクレオチドについて記載する場合、「実質的に純粋な」又は「単離された」という用語は、当該ポリヌクレオチドに一般的に付随する混入物(例えば、脂質、タンパク質、及び他のポリヌクレオチド)から分離されたポリヌクレオチドを一般的に指す。実質的に純粋又は単離されたポリヌクレオチドは、約50%を超える純度であろう。典型的に、これらのポリヌクレオチドは、約60%を超える純度であり、より典型的に約75%〜約90%の純度であり、そして好ましくは約95%〜約98%の純度である。
「治療有効量」という用語は、組織、システム、動物、又はヒトの生物学的又は医学的応答であって、研究者、獣医師、医師、又は他の臨床医により標的とされる応答を誘発する対象化合物の量を意味する。
本明細書中に使用されるとき、「生物学的効果」は、前脂肪細胞から脂肪細胞への変化を含む。
我々は、新規の脂肪細胞分泌因子を発見し、そして特徴づけした。当該因子は、「アディポシスピン」と名付けられた(17kDaの見かけの分子量及びpI値9.4を有した)。当該因子は、3T3 L1脂肪細胞から優先的に発現されそして分泌されるが、対応する前脂肪細胞からは発現又は分泌されない。アミノ酸配列分析及びcDNAクローニングに従って、当該タンパク質が、推定の分泌シグナルペプチドを含みその後にシステイン・プロテアーゼ阻害剤のファミリーと配列ホモロジーを共有するドメインを含むということが発見された。アディポシスピンmRNAは、3T3 L1脂肪細胞では実質的に検出できなかったが、ホルモン誘導性の脂肪細胞変換の後に目立って増加した。脂肪組織におけるその発現は、肥満状態で有意に増加する。
3T3‐L1細胞の脂肪細胞への変化は、一過的にトランスフェクションされたCOS7細胞から精製されたFLAG標識アディポシスピンで処理した後に、劇的に阻害された。制御された発現パターン及び脂肪細胞についての阻害効果により、アディポシスピンが脂質生成のフィードバック制御において役割を有するという我々の発見が支持される。我々はさらに、アディポシスピンが前脂肪細胞から脂肪細胞への変化を下方制御できるということを発見した。当該化合物の使用は、例えば投与を含み、又は減少若しくは増加された、或いはそうでなければ異常な又は不所望な前脂肪細胞から脂肪細胞への変化の変化率に関連する状態、例えば脂肪細胞の肥厚化、の阻害を含む。使用はまた、肥満の治療及び体重減少及び/又は体重増加の予防を含む。
他の使用は、アディポネクチン又はその活性断片の投与を含む。アディポネクチン欠損状態又は、更なるアディポネクチン活性又はアディポネクチン活性の増加が所望される状態又は症状で投与されうる。
一の態様では、ポリヌクレオチドは、哺乳動物(例えば、マウス、ラット、又はヒト)のアディポシスピン遺伝子又はDNA又はRNAの配列又はサブシーケンスを有するポリヌクレオチドが提供されている。ポリヌクレオチド(例えばRNA、DNA、PNA、又はキメラ)は、一本鎖、二本鎖、又は混合ハイブリッドであってもよい。
ポリヌクレオチドは、配列番号1(図1)又は配列番号2のポリペプチドをコードする配列、或いはそれらのサブシーケンス(例えば、少なくとも約15、少なくとも約25、少なくとも約50、少なくとも約100、少なくとも約200、少なくとも約500塩基のポリヌクレオチド及びそのバリアントを含む)を有してもよい。本明細書中に開示されるアディポシスピン・ポリヌクレオチドに実質的に配列同一性を有するポリヌクレオチドも含まれる。こうして、哺乳動物(例えばヒト)アディポシスピン遺伝子の天然アレル、例えば配列番号2の分子をコードするアディポシスピン・ポリヌクレオチドのヒト・アレル・バリアントも提供される。
本明細書中に記載される時、幾つか実施態様では、ポリヌクレオチドは、配列番号1(図1)、配列番号2、配列番号9、又は配列番号10に実質的に配列同一性を有するポリペプチドをコードするか、又はそうしたポリペプチド(例えば、融合タンパク質を含む)、或いはこうした配列から誘導されるキメラ、突然変異、及び/又は進化形態の生物活性又は免疫活性断片をコードする。遺伝コードの縮重のため、配列番号1又は配列番号2のポリペプチド、或いはその生物活性又は免疫活性断片をコードする異なるポリヌクレオチドが含まれる。別の実施態様では、アディポシスピン・ポリペプチドをコードしないが、例えばプローブ、プライマー、アンチセンス、トリプレックス、RNAi、又はリボザイム試薬などとして有用であるアディポシスピン・ポリヌクレオチドが提供される。
アディポシスピン及び/又はかかるポリペプチドの1以上の生物活性又は免疫活性断片をコードする1以上のアディポシスピン・ポリヌクレオチドを含む発現ベクター、細胞、細胞系列、及びトランスジェニック生物が提供される。幾つかの実施態様では、ベクター、細胞、及び生物対は、コードされたアディポシスピン・ポリペプチド及び断片を発現することができる。
アディポシスピン・ポリヌクレオチド及びポリペプチド、又はそのいずれかの断片は、組換え方法により製造することができる。例えば、Sambrookら、Berger and Kimmel (1987) Methods In Enzymology, Vol. 152: Guide To Molecular Cloning Techniques, San Diego: Academic Press, Inc.; Ausubelら Current Protocols In Molecular Biology, Greene Publishing and Wiley-Interscience, New York (2001)を参照のこと。或いは、アディポシスピン・ポリヌクレオチド、ポリペプチド、そのいずれかの断片は、当該技術分野に周知の従来方法を使用して化学的に合成することができる(例えば、Narangら、1979, Meth. Enzymnol. 68: 90; Brownら、1979、 Meth. Enzymol. 68:109; Beaucageら, 1981, Tetra. Lett., 22: 1859)。幾つかの実施態様では、アディポシスピン・ポリヌクレオチドは、例えば、非天然塩基、例えばデオキシイノシン(Batzer ら, 1991, Nucleic Acid Res. 19: 5081; Ohtsukaら, 1985,. J. Chem. 260:2605‐2608; Rossoliniら、1994, Mol. Cell. Probes 8: 91-98)又は改変された骨格残基又は結合、例えばペプチド核酸(PNA)、メチルホスホネート骨格、ホスホロチオエート骨格などを含む。
アディポシスピンをコードするポリヌクレオチドは、種々の突然変異又は進化方法のいずれかにかけて、開示された配列のバリアントを作り出すことができる。バリアントは、関心の生物学的活性を保持するように選択されてもよく、そしてそうした活性を望ましく変化されてもよい。選択プロセスは、そうしたバリアントの作製の後、又は作成中に行ってもよい。化学又は生物学的突然変異方法を使用することができ、例えば単離されたヌクレオチド又は宿主細胞の化学処理、部位特異的突然変異誘導技術、低精度の条件下で複製することを含むランダム生物学的突然変異誘導、並びに部位特異的進化技術を含む。ポリヌクレオチドは、本明細書中に記載される配列を使用して、DNAシャッフリング技術、例えばStemmerにより開発されたシャッフリング技術(米国特許第5,605,793号;5,811,238号、5,830721号)にかけることができる。ポリヌクレオチドは、システマチック・カセット突然変異誘導方法、例えば、Huseにより記載される方法にかけることができる。当該タンパク質の各位置における全ての突然変異の分析を使用することができ、そして当該分析は、部位特異的変性ヌクレオチドのシリーズを使用して行うことができる(米国特許第6,054,267号、第5,939,250号、第5,763,239号、第6,537,776号、第6,238,884号、第6,171,820号、第5,830,696号、第5,965,408号、及び第5,955,358号)。バイアス掛け突然変異誘導方法が使用でき、置換マトリックスに基づくライブラリーの使用(2002年10月24日に公開されたSchellenbergerらに対する米国特許公開2020155460A1)を含む。かかる方法の組合せも提供される。こうしたアディポシスピン・バリアントを含む本明細書中に記載されるアディポシスピンの使用方法と同様に、かかる突然変異誘導方法が提供される。
一の態様では、アディポシスピン・ポリペプチド及びその断片、例えば、配列番号1又は配列番号2を有するアディポシスピン・ポリペプチド、その生物活性又は免疫学的に活性(例えば抗原性)な断片、そのバリアント(例えば、保存的又はアレル・バリアント)、又はアディポシスピン融合ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが提供される。1の実施態様では、ポリヌクレオチドは、配列番号1、配列番号2、配列番号9、又は配列番号10の配列をコードするポリヌクレオチド、或いはその断片を含むか、それらから実質的になるか、又はそれらからなる。他の態様では、ポリヌクレオチドは、天然アディポシスピン・ポリペプチド又は断片であって、(例えば、種の配列特徴の結果として及び/又は遺伝コードの縮重の結果として)異なる配列を有するものをコードする。幾つかの実施態様では、ポリヌクレオチドは、発現された配列タグ、H67224、AI1131555、AA215577、AW190975、又はAI769466、又はウシPPR1をコードするポリヌクレオチド(Matsuokaら、1993, Biochem Biophys Res Comm 194: 540-11)以外である。
ポリヌクレオチドは、アディポシスピン・ポリヌクレオチド及びポリペプチド、或いはそのいずれかの断片の発現を調節するのに有用である(例えば、センス又はアンチセンスDNA及びRNA)。ポリヌクレオチド及びポリペプチドの組換え発現方法は当該技術分野に周知である。典型的に、ポリヌクレオチドは、アディポシスピン・ポリペプチド及びポリヌクレオチド、及びその断片の製造用の発現ベクター中で使用される。発現ベクターは、典型的に、転写及び/又は翻訳制御シグナル(例えば、転写制御要素、プロモーター、リボソーム結合部位、及びATG開始コドン)を含んでもよい。加えて、発現の効力は、使用する細胞システムに適したエンハンサーを含めることにより亢進することができる。例えば、SV40エンハンサー又はCMVエンハンサーは、哺乳動物宿主細胞中の発現を増加させるために使用することができる。
こうして、例えば、アディポシスピン・ポリペプチドをコードするDNA又は断片は、in vitro宿主細胞、例えば細菌(例えば、イー・コリ(E. coli)、バチルス・サブチルス(Bacillus subtilus))、酵母(例えばサッカロマイシス)、昆虫(例えば、スポドプレラ フルギペルダ(Spodoprera frugiperda)、又は哺乳動物細胞培養システム中に導入できそして発現できるDNA構築物中に挿入されてもよい。ポリペプチドの発現及び産生に有用な哺乳動物細胞培養システムの例は、ヒト胎児腎臓細胞系列を含む (293; Grahamら, 1977,. I: Gen. Virol. 36: 59); CHO(ATCC CCL 61 及び CRL 9618);ヒト子宮頚癌細胞(He La、ATCC CCL2);及び当該技術分野に知られている他のものを含む。有用なヒト及び非ヒト細胞系列は、米国培養細胞系統保存機関(ATCC)、P.O. Box1549、Manassa, VA 20108から広く利用できる(http://www.atcc.orgを参照のこと)。哺乳動物組織細胞培養を使用して、ポリペプチドを発現することは、例えばWinnacker, FROM GENES TO CLONES (VCH Publishers, N.Y., N.Y., 1987)及び上記Ausubelにおいて広く議論されている。
種々のシステムにおいて、哺乳動物遺伝子由来又は哺乳動物ウイルス由来のプロモーターが、哺乳動物細胞系列中で使用されてもよい。適切なプロモーターを構築することができ、細胞型特異的、ステージ特異的、及び/又は(例えば、グルココルチコイドなどのホルモンにより)調節可能又は制御可能でありうる。有用なプロモーターは、非限定的に、メタロチオネイン・プロモーター、構成的アデノウイルス・メジャー・レイト・プロモーター(constitutive adenovirus major late promoter)、デキサメタゾン誘導性MMTVプロモーター、SV40プロモーター、及び当該技術分野に知られているプロモーター-エンハンサーの組合せを含む。
アディポシスピン及びポリペプチド又は断片は、当該技術分野に既知の方法により、宿主細胞染色体中に取り込まれる適切な発現ベクターを使用して、トランスジェニック動物(マウス、ヤギ、ウシなど)及び植物(タバコ、アラビドプシスなど)で発現することができる。
アディポシスピン・ポリヌクレオチドを検出又は増幅するためのオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチド・プローブ及び/又はプライマーが提供される。ポリヌクレオチド(例えば、プローブ及びプライマー)は、配列番号1又は配列番号2のポリペプチド中の少なくとも5個のアミノ酸、通常少なくとも約10〜12個のアミノ酸、典型的には少なくとも約15のアミノ酸、一般的には少なくとも約18個のアミノ酸、そして多くの場合少なくとも約25をコードする連続塩基を含むか、当該連続塩基から実質的になるか、又は当該連続塩基からなるが、当該ポリペプチドはまた50〜100個のアミノ酸、又はそれ以上であってもよい。アディポシスピン・ポリヌクレオチドが、プローブ又はプライマーとして使用される場合、当該ポリヌクレオチドは、一般的に約3000塩基未満の長さであり;典型的に約12〜約500の連続ヌクレオチドであって、配列番号1又は配列番号2に同一であるか又は正確に相補するアミノ酸をコードする連続ヌクレオチドを含む。より多くの場合、約12〜約50個の連続ヌクレオチドを含み、さらに多くの場合約15〜約25個の連続ヌクレオチドを含む。
プローブ及びプライマーはまた、プローブ又はプライマーに制限酵素部位を加えることにより改変されてもよい。プライマー又はプローブは、さらなる配列、例えばリンカーを含んでもよい。さらに、プライマー又はプローブは、検出可能な標識で改変されてもよい。例えば、プライマー及びプローブは、放射性標識されてもよいし、化学的に改変、例えば誘導体化されてもよいし、修飾ヌクレオチド塩基を取り込んでもよいし、又は抗-リガンド(例えばビオチン)により結合することができるリガンドを含んでもよい。
アディポシスピン・プローブ及びプライマーは、多くの目的のために使用することができる。例えば、本明細書中により詳細に議論されるように、生物試料中のアディポシスピン・ポリヌクレオチドを検出又は増幅するために使用することができる。例えば、本明細書中の記載に基づき、当業者は、サンプル中のアディポシスピン遺伝子、mRNA、又はcDNAの全部又は一部を特異的に増幅するプライマー対を選択することができるであろう。当該プライマー対及び増幅条件は、他のポリヌクレオチド配列、例えばサンプル中に存在する他のメッセンジャーRNAを、アディポシスピンプライマーの3’末端と他の遺伝子配列)の間の相補性のため、増幅しないように選ばれる。
アディポシスピン・ポリヌクレオチドを標的とするか、アディポシスピン/ポリヌクレオチドにハイブリッド形成するアンチセンス、トリプレックス、及びリボザイム、及びRNAi試薬などの阻害性ポリヌクレオチドも提供される。
別の実施態様において、アディポシスピン遺伝子の発現を阻害するか又は下方制御するために使用することができるアンチセンス・オリゴヌクレオチド及びポリヌクレオチドが提供される。幾つかの治療方法は、in vivo生理学的条件下でアディポシスピン活性を阻害及び/又は刺激するように機能し、そして治療効果のために十分な期間当該条件下で比較的安定であるオリゴヌクレオチドを投与することに関しうる。当該技術分野に知られている方法を使用して、ポリヌクレオチドは、そうした安定性を与え、そして所望の組織、器官、又は細胞に対してオリゴヌクレオチドを、標的送達を促進するように改変されうる。
アンチセンス・ポリヌクレオチドは、少なくとも約10塩基、典型的に少なくとも約12又は14、そして約800以下の連続ヌクレオチドから転写される配列又はその全長転写物に特異的にハイブリッド形成するアンチセンス配列を含むか又は当該配列から実質的になってもよい。より多くの場合、当該アンチセンス・ポリヌクレオチドは、約12〜約50個のヌクレオチド長であり、又は約15〜約25個のヌクレオチド長であってもよい。一般的に、当該アンチセンス・ポリヌクレオチドは、安定した二重構造を形成するために十分長くあるべきであるが、デリバリーの様式に左右されて、所望されるならin vivoで投与されるために十分短くあるべきである。標的配列へ特異的にハイブリダイゼーションするために必要とされるポリヌクレオチドの最小の長さは、幾つかの因子、例えば、因子のなかで特に、G/C含量、ミスマッチ塩基の位置(存在する場合)、標的ポリヌクレオチドの数に比べた配列の特異性の程度、並びにポリヌクレオチドの化学的性質(例えば、メチルホスホネート骨格、ペプチド核酸、ホスホロチオエート)に左右される。
一般的に、特異的ハイブリダイゼーションを保証するために、アンチセンス配列は、標的アディポシスピンmRNA配列に対して実質的に相補的である。ある実施態様では、アンチセンス配列は、標的配列の少なくとも一部に対して正確に相補的である。しかしながら、当該アンチセンス・ポリヌクレオチドはまた、ヌクレオチド置換、付加、欠失、転移、トランスポジション、又は修飾を含んでもよいし、或いはアディポシスピンRNA又はその遺伝子に対応する関連標的配列に特異的結合性又はそうでない場合望ましい結合性が、ポリヌクレオチドの機能的な性質として保持されるかぎり、他の核酸配列又は非核酸成分を含んでもよい。
一の態様では、アンチセンス配列は、アディポシスピンmRNAの比較的アクセス可能な配列(例えば、比較的二次構造を欠いている)に相補的である。これは、例えばMFOLDプログラム(Genetics Computer Group, Madison WI)を使用して予測されたRNA二次構造を分析し、そして当該技術分野に知られているin vitro又はin vivoで試験することにより測定することができる。有効なアンチセンス組成物を同定するために有用な方法は、オリゴヌクレオチドのコンビナトリアル・アレイを使用する(例えば、Milnerら, 1997, Nature Biotechnology 15: 537)。
アンチセンス配列をさらに含む(つまり、アンチ-アディポシスピン・センス配列をさらに含む)配列を有するアンチセンス・ポリヌクレオチドが提供される。この場合、アンチセンス配列は、長い配列のポリヌクレオチド内に含まれる。別の実施態様では、ポリヌクレオチドの配列は、アンチセンス配列から実質的になるか、又は当該配列である。
アンチセンス核酸(DNA、RNA、PNA改変されたアナログなど)は、核酸を産生するためのいずれかの適切な方法、例えば化学合成及び本明細書中に開示される組換え方法を使用して作ることができる。一の実施態様では、例えば、アンチセンスRNA分子は、新規に化学合成により又はクローニングにより製造されてもよい。例えば、アディポシスピンmRNAにハイブリッド形成するアンチセンスRNAは、ベクター(例えばプラスミド)中で、プロモーターにアディポシスピンDNA配列(例えば、配列番号5又は6、又はその断片)を逆向きに発現可能なように挿入することにより作ることができる。但し、プロモーター及び、好ましくは終止シグナルおよびポリアデニル化シグナルは、適切に位置され、非コード鎖に対応する配列を挿入された鎖が転写され、そしてアンチセンス・オリゴヌクレオチドとして作用するであろう。当該アンチセンス・オリゴヌクレオチドは、無細胞抽出物、細胞、及び哺乳動物及びヒトを含む動物においてアディポシスピン活性を阻害するために使用することができる。
アンチセンス・ポリヌクレオチドに関する一般的な方法については、ANTISENSE RNA AND DNA, (1988), D. A. Melton, Ed., Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY)及びDagleら, 1991, Nucleic Acids Research, 19を参照のこと。アンチセンス治療の総説については、例えば、Uhlmannら、Chem. Reviews, 90: 543-584 (1990)などを参照のこと。
オリゴ及びポリヌクレオチド(例えばDNA、RNA、PNA、改変アナログなど)であって、二本鎖又は二重のアディポシスピン核酸(例えば、アディポシスピンRNAの折りたたまれた領域又はアディポシスピン遺伝子)に結合し、三重ヘリックスを含有するか又は「トリプレックス」核酸を形成するものが提供される。三重ヘリックス形成は、例えば、アディポシスピン遺伝子の転写を妨げ、そうして細胞内のアディポシスピン活性を低減又は排除することにより、アディポシスピン発現の阻害又は下方制御をもたらす。作用についてのいずれかの特定の理論又はメカニズムにより拘束されることなく、三重ヘリックスにより、二重ヘリックスが、ポリメラーゼ、転写因子、又は調節分子を結合するために十分開く能力が失われる。
三重オリゴ及びポリヌクレオチドは、三重ヘリックス形成の塩基対則(例えば、Chengら., 1988. J: Biol. Chem 263: 15110; FeIrin及び Camerini-Otero. 1991, Science : 1494; Ramdasら, 1989, J: Biol. Chem 264: 17395; Strobelら, 1991, Science 254: 1639; 及びRigasら, 1986, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 83: 9591)、及びアディポシスピンmRNA及び/又は遺伝子配列を使用して構築される。典型的にトリプレックス形成オリゴヌクレオチドは、当該アディポシスピンRNA又は遺伝子の特異的配列に「相補的」である、約10〜少なくとも約25個又はそれより長いのヌクレオチドの特異的配列(つまり、安定な三重ヘリックスを形成するために充分長いが、デリバリーの様式に左右されて、所望されるならばin vivoで投与される)を含むか、実質的にそれからなるか、又はそれらからなる。この文脈において、「相補的」という用語は、安定な三重ヘリックスを形成できることを意味する。一の実施態様では、オリゴヌクレオチドは、アディポシスピン遺伝子の制御領域(例えば、アディポシスピン5’‐隣接配列、プロモーター、及びエンハンサー)又は転写開始部位(例えば、転写開始部位から約-10〜約+10の間)に特異的に結合する。トリプレックスDNAを使用する近年の治療法の進歩については、Gee et al.. in Huber and Carr, 1994, MOLECULAR. AND IMMUNOLOGIC APPROACHES, Futura Publishing Co, Mt Kisco NY and Rininsland et al. , 1997, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94: 5854を参照のこと。
アディポシスピン活性の阻害又は下方制御に有用なリボザイムもまた提供される。リボザイムは、アディポシスピンmRNAに結合し、そして特異的に切断し、そして不活性化する。有用なリボザイムは、アディポシスピンmRNAに相補的な5’‐及び3’‐末端配列を含み、そして本明細書中に開示されるアディポシスピンmRNA配列に基づいて当業者によって作製される。(上記PCT公開WO93/23572号)を参照のこと)。リボザイムは、グループ1のイントロン・リボザイム(Cech, 1995, Biotechnology 13: 323) 、及び他のハンマーヘッド型リボザイム(Edgington,1992,Biotechnology, 10:256)を含む。
リボザイムは、GUA、GUU、及びGUCなどの切断部位を含む。アディポシスピン活性のリボザイム媒介性の阻害についての最適切断部位は、従ってPCT公開WO94/02595号及びWO93/23569号に記載される部位を含む。切断部位を含む標的アディポシスピン遺伝子の領域に対応する約15〜約20のリボヌクレオチドの長さは、当該オリゴヌクレオチドをより望ましいものにし得る二次構造について評価することができる。切断部位の適切性は、リボヌクレアーゼ保護アッセイを用いて相補的オリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションに対する近接可能度を試験することによって、又は当業者に知られている標準方法に従ってin vitroリボザイム活性について試験することによって評価されてもよい。
Huら、PCT公開WO 94/03596号により記載されるように、アンチセンス及びリボザイムの機能は、単一のオリゴヌクレオチド中に一体化することができる。さらに、リボザイムは、例示的なアンチセンス・オリゴヌクレオチドの記載に関して上で記載したように、1以上の改変ヌクレオチド又はヌクレオチド間の改変結合を含むか、又はそれらから実質的になるか、又はそれらからなってもよい。
一の実施態様では、リボザイムは、in vitroで作成され、そして細胞又は患者に導入することができる。別の実施態様では、遺伝子治療方法は、ex vivo又はin vivoで、標的細胞においてリボザイムを発現するために使用される。
RNA干渉(RNAi)などの方法によるアディポシスピン活性の阻害に有用なポリヌクレオチドも提供される。当該方法は、共抑制及びクェリング(quelling)も含む。当該及び他の遺伝子抑制技術は、当該技術分野に周知である。当該技術の概説は、Science : 1370-1372 (2000)を参照のこと。RNAiは、転写後レベルを制御し、そして配列特異的である。当該方法は、部分的又は全長二本鎖の特徴を有するRNA、又はその前駆体、或いはかかるRNAをコードすることができるものを、細胞中に、又は細胞外環境中に導入することを含む。
Fireら、米国特許第6,506,559号に記載されるように、RNAは、ポリマー化リボヌクレオチドの1以上の鎖を含んでもよい。当該二本鎖構造は、単一鎖の自己相補RNA配列により形成されてもよいし、二個の相補性RNA鎖により形成されてもよい。当該RNAは、例えばホスフェート-糖骨格又はヌクレオシドのいずれかに修飾、例えば、例示のアンチセンス・オリゴヌクレオチドの記載に関して上で記載した修飾を含んでも良い。
1以上のリボヌクレアーゼは、特異的に二本鎖RNAに結合し、そして短い断片へと切断するということが研究により示された。当該リボヌクレアーゼ(単数又は複数)は、これらの断片と会合したまま残り、これは、次に相補的mRNAに特異的に結合する。つまり、アディポシスピンをコードする転写されたmRNA鎖に特異的に結合する。アディポシスピンのmRNAは、リボヌクレアーゼにより短い断片へと分解され、それによりアディポシスピン遺伝子の翻訳及び発現を避け、そうしてアディポシスピン活性を阻害又は下方制御する。さらに、RNAポリメラーゼは、多コピーの短い断片の合成を促進するように作用し、当該断片は、当該システムの効率を指数関数的に増加させる。これらの遺伝子抑制経路の固有の特徴は、サイレンシングがそれを開始した細胞に限定されないということである。当該遺伝子サイレンシングの効果は、生物体のほかの部分に伝播し、そして生殖細胞系列を介して数世代伝達することもある。
アディポシスピン遺伝子をサイレンシングするための遺伝子構築物を作成するために有用なポリヌクレオチドを提供する。当該ポリヌクレオチドは、単一の自己相補的RNA配列であって、アディポシスピン遺伝子に特異的なものをコードする遺伝子構築物を作成するために使用されてもよい。遺伝子構築物及び/又はアディポシスピン特異的自己相補的RNA配列は、当該技術分野に知られ又は見出すことができる方法のいずれかによりデリバリーされてもよい。遺伝子構築物のうちで、センス及びアンチセンス配列は、ドナー及びアクセプター・スプライシング部位を利用する適切なスプライシング配向で配置されるイントロン配列に隣接する。或いは、発現可能及び有効な構築物を作成するために、分離したイントロン配列よりはむしろ、様々な長さのスペーサー配列を使用するであろう。アディポシスピン遺伝子構築産物の転写後プロセッシングの間、イントロン配列はスプライシングで取り除かれ、センス及びアンチセンス、並びにスプライス結合配列が二本鎖RNAを形成するように結合することを可能にする。選ばれたリボヌクレアーゼは、二本鎖RNAに結合し、そして切断し、それによりアディポシスピンmRNA遺伝子配列の分解を導く事象のカスケードを開始し、そしてアディポシスピン遺伝子をサイレンシングする。
或いは、自己相補性RNA配列を発現する遺伝子構築物を使用するよりは、アディポシスピン特異的二本鎖RNA断片は、1以上の標的領域にデリバリーされて、遺伝子サイレンシング効果を発揮するように細胞質へと内部移行させられる。RNAは、細胞あたり少なくとも1コピーのデリバリーを可能にする量で導入されうる。二本鎖物質の高用量は、より有効な阻害をもたらすかもしれない。阻害は、RNAの二本鎖領域が、遺伝子の阻害又は下方制御の標的となるという点で配列特異的である。アディポシスピン遺伝子の一部に同一であるヌクレオチド配列を含有するRNAは、阻害又は下方制御に好ましい。標的配列に対して挿入、欠失、及び単一点突然変異を有するRNA配列もまた、阻害及び下方制御について有効であることが発見された。こうして、配列同一性は、当該技術分野に知られている配列比較アルゴリズム、並びにヌクレオチド配列間の差異の割合(%)を計算することにより最適化されてもよい。或いは、RNAの二本鎖領域は、標的遺伝子転写産物の一部とハイブリッド形成できるヌクレオチド配列として機能的に定義されうる。
治療法は、in vivo生理条件下で、アディポシスピン活性を阻害、下方制御、又は刺激するように機能するオリゴヌクレオチドを投与することを含み、そして治療効果に充分な時間の間これらの条件下で比較的安定であるオリゴヌクレオチドを投与することを含む。上で記載されるように、改変された核酸は、かかる安定性を与える点で、並びに当該オリゴヌクレオチドを、所望の組織、器官、又は細胞へと標的デリバリーする点で有用であることもある。
オリゴ及びポリヌクレオチドは、適切な医薬製剤中で薬剤として直接デリバリーできるか、又は核酸を細胞に導入することを用いて間接的に導入できる。例えば、リポソーム、免疫リポソーム、弾丸導入(ballistics)、細胞内への直接取り込みなどを含む。疾患の治療のため、オリゴヌクレオチドは、患者に治療有効量で投与されるであろう。治療有効量は、疾患の症状を寛解するため又は標的細胞においてアディポシスピン活性を調節するために充分な量である。治療目的でオリゴヌクレオチドをデリバリーするのに有用な方法は、米国特許第5,272,065号に記載される。医薬として活性な化合物及びそれらを含む組成物を投与する詳細は、知られているか、又は本明細書中で提供される。別の実施態様では、オリゴ及びポリヌクレオチドは、遺伝子治療又は他の組換えDNA発現戦略を使用してデリバリーすることができる。
遺伝子治療は、外来性のポリヌクレオチドが導入される(典型的には)哺乳動物細胞に医学として有用な表現効果をもたらす他の外来性ポリヌクレオチドの導入を指す。一の態様では、遺伝子治療法は及び組成物は、アディポシスピン関連条件の治療のために提供されている。例示的な態様では、遺伝子治療は、例えばアディポシスピン遺伝子産物(例えば、アディポシスピン活性を増大するために、配列番号1又は2の配列を有するアディポシスピン・ポリペプチドに実質的に類似なアディポシスピン・タンパク質、或いは活性を低減させるために、阻害性アディポシスピン・ポリペプチド)を発現させ、又は発現を誘導し、アディポシスピン遺伝子産物の発現に影響を与えるポリペプチド又はポリヌクレオチド(例えば、アディポシスピン活性を低減するアディポシスピンmRNAに対するリボザイム)を発現させ、又は内在性のアディポシスピン配列(例えば、遺伝子置換及び遺伝子ノックアウト、制御配列の挿入又は欠失)を置換又は破壊するベクターを細胞中に導入することを含む。多くの実施態様は、本明細書中の開示を参照すれば、当業者に明らかであろう。
一の実施態様では、生理的に許容される担体及びアディポシスピン・ポリペプチドを発現可能なようにコードする裸のポリヌクレオチドは、それらの発現を引き起こすために導入できる。裸のポリヌクレオチドを含む製剤を導入するための組成物は、PCT出願第WO 90/11092号(Vical Inc.)、PCT出願第WO 95/11307号(Institut Pasteur, INSERM, Universit d'Ottawa)、及びTacsonら、Nature Medicine.2(8):888-892(1996)及びHuygenら、Nature Medicine.2(8):898(1996)により記載される。弾丸導入法も使用できる。
アディポシスピン遺伝子治療において有用なベクターは、ウイルスであるか又は非ウイルスであり、そしてアディポシスピン発現系に関して本明細書中で記載される。遺伝子治療ベクターは、本開示に記載されるように、プロモーター及び他の制御又はプロセッシング配列を含み得るということが当業者により理解されるであろう。通常、ベクターは、プロモーター及び場合によりエンハンサー(プロモーター配列内に含まれるいずれかから分離される)を含み、それらは、オリゴリボヌクレオチド又はポリヌクレオチドの転写を促進するために役に立ち、そして望むのであれば、エピソームの維持又は染色体への組み込み、並びに高レベルの転写を与える他の制御要素を含むであろう。遺伝子治療のために有用なプラスミドは、他の機能的な要素、例えば選択マーカー、同定領域、及び他の配列などを含むことができる。さらなる配列は、細胞内外の両方で安定性を与え、アディポシスピン・ヌクレオチド配列(センス又はアンチセンス)を特定の器官、組織、又は細胞集合へのデリバリーを標的とし、細胞核への侵入を媒介し、及び/又は核DNAへの組み込みを媒介する役割を有することができる。例えば、アプタマー様DNA構造又は他のタンパク質結合部位は、細胞表面又は受容体に結合する血清タンパク質へのベクターの結合を媒介するために使用でき、それにより細胞内へのDNAの移動の効率を高める。他のDNA部位及び構造は、直接又は間接的に核膜内の受容体又は核内に移動する他のタンパク質に結合でき、それにより、ベクターの核への取り込みを促進する。他のDNA配列は、直接又は間接的に組み込み効率に影響することができる。
適切な遺伝子治療ベクターは、1以上の複製起点を有してもよいし、有さなくても良い。例えば、患者に投与する前にベクターを増殖させるために、ベクター内に複製起点を含めることは有用である。しかしながら、複製起点は、当該ベクターが、宿主染色体DNA中に組み込まれるか、又は宿主mRNA又はDNAに結合するように設計される場合、複製起点は、投与前に取り除くことができる。
記載されるように、遺伝子置換治療の方法及び試薬も提供される(つまり、内在性アディポシスピン遺伝子を組換え遺伝子で相同組換えすることによる置換)。相同組換えによる組み込み用に特異的に設計されたベクターが使用されてもよい。相同組換えを最適化する因子は、例えば、配列同一性の程度、及び染色体配列への相同性の長さを含む。相同組換えを媒介する特異的配列もまた重要である。なぜなら、組み込みは、転写活性DNAにおいてかなり容易に生じるからである。相同性標的構築物を構築するための方法及び物質は、例えば、Mansourら、1988, Nature 336: 348; Bradleyら、1992,Bio/Technology 10: 534に記載されている。米国特許第5,627,059号;第5,487,992号;第5,631,153号;及び第5,464,764号を参照のこと。一の実施態様では、遺伝子組換え治療は、制御される遺伝子の発現をコントロールする制御配列の一部又は全てを変化又は置換することを含みうる。例えば、アディポシスピン・プロモーター配列(図5に示される)は、転写制御部位を挿入又は欠失することにより、又は外来性のプロモーターを導入することにより、アディポシスピン発現を変化させるように破壊される。
in vitro及び動物におけるアディポシスピン「遺伝子ノックアウト」のための方法及び試薬もまた提供される。これは、組換え生成ベクターを使用して内在性のアディポシスピン遺伝子を相同組換えすることにより欠失又は破壊することにより達成されてもよい。遺伝子ノックアウトにおいて、標的配列は、制御配列(例えばアディポシスピン・プロモーター)又はRNA若しくはタンパク質コード配列でありうる。内在性の遺伝子の発現を変化させるための相同組換えの使用は、例えば米国特許第5,272,071号、WO91/09955号、WO93/09222号、WO96/29411号、WO95/31560号、及びWO91/12650号に詳細に記載されている。Moynahanら;1996, Hum. Mol. Genet. 5:875を参照のこと。遺伝子治療ベクターは、in vivo、in vitro、又はex vivoにおいて細胞又は組織中に導入されてもよい。ex vivo治療では、ベクターは、細胞、例えば患者から取られた幹細胞中に導入され、そしてクローン的に増殖させて同じ患者に自己移植で戻される(例えば、米国特許第5,399,493号及び第5,437,994号を参照のこと)。
外来性のアディポシスピン遺伝子配列を含むトランスジェニック非ヒト多細胞生物(例えば、植物及び非ヒト動物)、又は単細胞生物(例えば、酵母)も提供される。ここで当該遺伝子配列は、コード配列であるか又は制御配列(例えばプロモーター)であってもよい。多細胞生物の例は、植物、昆虫、及び非ヒト動物、例えばマウス、ラット、ラビット、サル、類人猿、ブタ、及び他の非ヒト哺乳動物を含む。単細胞生物の例は酵母である。一の実施態様では、当該生物は、ヒト・アディポシスピン・タンパク質の配列を有する外来性のアディポシスピン・ポリペプチドを発現する。アディポシスピンをコードする遺伝子が(例えばコード領域又は制御領域において)突然変異され又は欠失され、そうして元のアディポシスピンが発現されないか、又は野生型の細胞又は生物と比較した際に低減したレベルで又は異なる活性を有して発現されるような単細胞及び多細胞生物も提供される。かかる細胞及び生物は、「遺伝子ノックアウト」細胞又は生物と呼ばれることが多い。
本特許は、外来性のアディポシスピン遺伝子又はバリアント(例えばヒト・アディポシスピン)が導入され、そして発現する細胞及び生物をさらに提供する。外来性アディポシスピン遺伝子又はバリアントは、内在性のアディポシスピン遺伝子を増補するか又は置き換えることもある。当該タイプの細胞及び生物は、例えばアディポシスピン活性又は発現の調節物質を同定するため、又は当該アディポシスピン遺伝子における突然変異の効果を測定するためのモデルシステムとして使用することができる。
特定の遺伝子(例えば、内在性のアディポシスピン遺伝子)を変化させ又は欠失するための方法は、当業者に周知である。例えば、Baudinら、1993. Nucl. Acids Res. 21: 3329; Waccら、1994, Yeast 10:1793;Rothstein, 1991, Methods Enzymol.194:281; Anderson, 1995, Methods Cell Biol. 48:31; Pettittら、Development 122: 4149-4157; Ramirez-Solisら、1993, Meshods Enzymol 225: 855;及びThomasら、1987, Cell 51:503を参照のこと。典型的に、かかる方法は、例えば制御しようとする特定の遺伝子の発現をコントロールする制御配列の一部又は全てを変化又は置換することを含む。制御配列、例えば、元のプロモーターを変化させることができる。遺伝子の標的突然変異の1の慣用技術は関心の遺伝子を含むゲノムDNA断片を、ベクター内に配置し、続いて標的遺伝子に付随する2個のゲノム腕を、チミジンキナーゼを含有するベクター中の選択的ネオマイシン耐性カセットの周囲にクローニングすることを含む。当該「ノックアウト」構築物を、次に適切な宿主細胞、つまりマウス胚性幹細胞(ES細胞)にトランスフェクションした。当該ES細胞は、次に(例えばネオマイシン耐性について選別するために例えばG418を使用して)陽性選別及び(チミジンキナーゼを欠失する細胞を除くために、例えばFIAUを使用して)陰性選別にかけ、ノックアウト・ベクターと相同組換えを行った細胞を選別した。当該アプローチにより、関心遺伝子の不活性化が導かれる。例えば、米国特許第5,464,764号;第5,631,153号;第5,487,992号;及び第5,627,059号を参照のこと。
内在遺伝子の発現を「ノックアウト」することは、相同組換えを使用して相同核酸を関心の遺伝子の制御配列(例えばプロモーター)中に導入することによって達成することもできる。機能的な酵素又は生成物の発現を抑制するために、読み取りフレームを変化させるか、又はプロモーターを破壊する単純な突然変異が適切でありうる。また、「遺伝子トラップ挿入(gene trap insertion)」は、宿主遺伝子を破壊するために使用することができ、そしてマウスES細胞は、ノックアウト・トランスジェニック動物を製造するために使用することができる。これらは、例えば、Holazschu(1997)Transgenic Res 6:97-106において記載されている。他の方法も当該技術分野に知られている。
発現を上方制御するために、元のプロモーターを、高レベルの転写を誘導する異種プロモーターに置換することもできる。
相同組換えにより内在性遺伝子の発現を変化させることは、問題の構造遺伝子を含む核酸配列を使用することにより達成することもできる。上流配列は、異種組換え構築物の標的に使用される。アディポシスピン構造遺伝子配列情報、例えば配列番号1又は配列番号2のポリペプチドをコードするゲノム・ポリヌクレオチド配列を利用して、当業者は、通常の実験により相同組換え構築物を作ることができる。
内在性遺伝子の発現を変化させる相同組換えは、例えば米国特許第5,272,071号、及びWO 91/09955号、WO 93/09222号、WO 96/29411号、WO 95/31560号、及びWO91/12650号に記載される。動物における相同組換えは、Moynahan (1996) Hum. Mol. Genet. 5: 875により記載され、植物における相同組換えは、Offringa (1990) EMBO J. 9: 3077により記載された。
単離された、実施的に純粋な、又は組換えアディポシスピン・ポリペプチド及びアディポシスピン・ポリペプチドの免疫原性断片も提供される。一の実施態様では、当該アディポシスピン・ポリペプチド又は断片は、配列番号1若しくは配列番号2に記載される配列、又はそのサブシーケンスに同一又は実質的に同一なアミノ酸配列を有する。
実質的に純粋で、単離され、又は組換えアディポシスピン・ポリペプチドも提供される。幾つかの実施態様では、当該アディポシスピン・ポリペプチドは、配列番号1又は配列番号2に記載されるアミノ酸配列に同一又は実質的に同一なアミノ酸配列を有する。別の実施態様では、当該アディポシスピン・ポリペプチドは、配列番号1又は配列番号2のアミノ酸残基の保存的置換により特徴付けられる突然変異及びバリアントである。
当該ポリペプチドは、全長(例えば、図3に示される種について約150個のアミノ酸を含む)であってもよいか、又は全長タンパク質の断片(例えば、アディポシスピン・ポチペプチド及びバリアントの少なくとも20、少なくとも40、少なくとも60、又は少なくとも100残基を含む)をコードしても良い。配列番号1、配列番号2、配列番号9、又は配列番号10のアミノ酸配列について、幾つかの様式、例えば切り詰め、突然変異、誘導体化、又は他の配列への融合(例えば、融合タンパク質を形成する)において、改変されるアディポシスピン・ポリペプチドが提供される。幾つかのアディポシスピン・ポリペプチドは、開示された配列に対して、挿入、欠失、又はアミノ酸残基の置換を含む。例えば、保存的アミノ酸置換、つまり、選択されたアミノ酸を、類似の構造特徴、例えば総電荷、疎水性、極性、大きさなどを有する異なるアミノ酸で置換することがなされる。
アディポシスピン・バリアントは、配列番号1、配列番号2、配列番号9、又は配列番号10のアディポシスピン・ポリペプチドに構造的に及び機能的に類似しうる。構造的類似性は、例えば、実際の配列同一性(上で定義される)又は免疫学的交差反応性により示唆される。機能的類似性は、例えば前脂肪細胞から脂肪細胞への変換を阻害することにより示唆される。
幾つかの実施態様では、アディポシスピン・バリアントは、対応するアミノ酸位置において、図3Bに記載されるようにヒト・アディポシスピンの62、72、83、86、101、及び116のアミノ酸位置に少なくとも2個のシステイン残基を含んでもよい。一のシステイン残基は、他のシステイン残基と分子内ジスルフィド結合を形成するために結合され、その結果、アディポシスピン及び/又はアディポシスピン・イソ型は、3以下の分子内ジスルフィド結合を含むことがある。上記配列番号1又は配列番号2のアミノ酸配列に対して改変されたアディポシスピン・バリアントは、他の分子内又は分子間ジスルフィド結合を形成することができ、例えば、それらは、分子内ジスルフィド結合を形成することができる他のシステイン残基を含んでもよい。アディポシスピン・バリアントはまた、例えば1以上のシステイン残基を突然変異させるか又は欠失することにより、1以上のジスルフィド結合を除去するように改変されてもよく、これはその安定性、酸素感受性、又は薬理学的特性を改善することもある。
幾つかの実施態様において、アディポシスピン・ポリペプチドは、転写時、転写後、又は翻訳後に改変されて、種々のアディポシスピン・バリアント及び/又はイソ型を産生しうる。かかる改変は、当該技術分野に周知であり、そして例えばオルタナティブ・スプライシング、RNA編集、タンパク質分解性切断、グリコシル化、リン酸化、ペグ化、アシル化、メチル化、硫酸化、プレニル化などを含みうる。当該ポリペプチドは、グリコシル化又はペグ化されうる部位であって、遺伝学的及び/又は化学的方法を介して導入される部位を有してもよく、グリコシル化又はペグ化は、生物学的半減期又はアディポシスピンの他の薬理学特性を改良しうる。
幾つかの実施態様において、アディポシスピン・ポリペプチド又はその断片は、(例えば、抗アディポシスピン抗体産生用)免疫原として使用されてもよい。典型的に、免疫原アディポシスピン断片は、配列番号1、配列番号2、配列番号9、又は配列番号10の少なくとも6以上の連続残基、例えばより一般的に少なくとも約8、約10、又は約12、又は約16の連続残基を含む。
実質的に純粋、単離された、又は組換えアディポシスピン・ポリペプチドは、配列番号1又は配列番号2に示される配列を有するポリペプチドと特異的に免疫反応する抗体に結合できる能力により特徴付けることができる。特異的免疫反応性は、抗体のそのリガンド(例えば、アディポシスピン)に対する特異的結合親和性であって、例えば少なくとも約107、108、109、又は1010-1の親和性により通常特徴付けられる。
多くの用途のため、所定の環境においてポリペプチドの同定、検出、又は定量を容易にするために、アディポシスピン・ポリペプチドを標識体、つまり検出可能な標識又は基、或いは交差結合可能な基に共有結合又は結合される標識体として提供することが所望されるであろう。これらの検出可能基は、検出可能なポリペプチド基、例えばアッセイ可能な酵素又は抗体エピトープ、例えば放射性標識(例えば、125I、32P、35S)、又は化学発光又は蛍光基から選ばれうる。同様に、検出可能基は、基質、コファクター、阻害剤、又はアフィニティリガンドでありうる。
加えて、アディポシスピン・ポリペプチドは、1以上のアミノ酸残基を、同じタイプのD-アミノ酸(例えば、L-リジンの代わりにD-リジン)で置換することにより改変されて、例えば更なる安定性を有するペプチドを作成する。同様に、アミノ又はカルボキシル末端の改変は、ポリペプチドの安定性を与えるために使用することができる。例えば、カルボキシル末端のアミド化又はアミノ末端のアシル化、又はペグ化誘導体である。
アディポシスピン・ポリペプチドは、組換え又は合成方法を使用して製造することができるか、又は例えば天然細胞源から単離することができる。
アディポシスピン・ポリヌクレオチドからアディポシスピン・ポリペプチドを発現させる適切な組換え技術は、知られているか又は本明細書中に開示されている。例えば、Sambrookら、1989, MOLECULAR CLONING: A LABORATORY MANUAL, (第二版)Vols. 1-3, Cold Spring Harbor Laboratory、及び上記Ausubelを参照のこと。アディポシスピン・ポリペプチド、バリアント、又は断片などのポリペプチドを合成するための合成方法は、例えば、Merrifield〜1963)Amer.Chem.Soc. 85:2149-2456, Athertonら、1989, SOLID PHASE PEPTIDE SYNTHESIS: A PRACTICAL APPROACH, IRL Press, and 1986, Science 232: 341-347に記載されている。
アディポシスピン・ポリペプチドの単離及び精製は、当該技術分野において一般的に周知である方法により行うことができる。これらの方法は、非限定的にイオン交換、疎水性相互作用、HPLC、又はアフィニティー・クロマトグラフィーを含み、所望の純度を達成する。一の実施態様では、アディポシスピン・ポリペプチドは、免疫親和性クロマトグラフィーを使用して精製することができる。例えば、アディポシスピン・ポリペプチド又はその免疫原性断片(例えば、配列番号1又は配列番号2の配列又はサブシーケンスを有する)に対して作られた抗体を適切な固体支持体上に結合し、そして当該ポリペプチドと抗体の結合を招く条件下で、アディポシスピン・ポリペプチドを含むポリペプチドの混合物と接触させる。アディポシスピン・ポリペプチドが固定化抗体に結合する場合、固体支持体は、未結合の物質及び/又は非特異的に結合されるポリペプチドを取り除くために洗浄される。所望のポリペプチドは、次にpH又は緩衝液中の塩濃度を変化させることにより、実質的に純粋な形態で固体支持体から溶出することができる。
「タンパク質」又は「ポリペプチド」の用語で主に記載されているが、当業者は、上記ポリペプチドの構造アナログ及び誘導体、例えばペプチド・ミメティクスなどが、アディポシスピンの代わりとして、例えばアディポシスピン・アゴニスト、或いはアディポシスピン・アンタゴニストとして使用することができるということを理解するであろう。ペプチドミメティクス又はペプチド・ミメティクスは、医薬工業において、元となるペプチドの性質と類似の性質(例えば生物学的活性)を有する非ペプチド薬として通常使用される(Fauchere, 1986, Adv. 15: 29; Evansら、1987, J. Med. Chem. 30: 1229)。これらは、通常コンピューターによる分子モデリングの助けを伴って開発される。治療上有用なペプチドに構造的に類似するペプチド・ミメティクスは、同等の又は実質的に同等の治療効果を提供するために使用することができる。ペプチド・ミメティクスは、ポリペプチドの実施態様を超えるかなりの利点、例えば、優れた経済的生産性及び優れた化学安定性などを有しうる。
哺乳動物アディポシスピン・ポリペプチド、例えばげっ歯類又はヒト・アディポシスピンと特異的に又はそうでなければ望ましい免疫反応性である抗体、又は抗体断片、例えばScFvも提供される。従って、抗体又は結合性断片は、配列番号1又は配列番号2のアミノ酸配列、或いはその免疫原性断片に同一であるか、又は実質的に同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチドを認識及び結合しうる。抗体は、通常、アディポシスピンへの特異的な結合親和性であって、例えば少なくとも約107、108、109、又は1010-1の親和性を示す。
抗アディポシスピン抗体及び断片は、様々な用途、例えばアディポシスピン・ポリペプチドの単離(例えば、免疫親和性クロマトグラフィーによる)、アディポシスピン・ポリペプチドの検出、及びアディポシスピン活性の阻害(例えばin vivo又はin vitro)を有する。
抗-アディポシスピン抗体は、例えば上で記載されるように、当業者に周知である様々な方法により作成することができる。記載されるように、抗体は、本明細書中において広く定義されており、そして断片、キメラ、及び類似の結合剤(例えば、ファージディスプレイ技術の産物)を含み、それらは特異的に、又はそうでなければ望ましく、アディポシスピン・ポリペプチド又はエピトープを結合する。一の実施態様では、抗体は、抗原特異的結合に充分な抗体軽鎖及び重鎖可変ドメインを含む組換え作成された一本鎖又は二本鎖又は多本鎖ポリペプチドを含み、そして二本鎖ポリペプチドの場合、2個のポリペプチドの結合を維持するために充分な抗体軽鎖及び重鎖の定常領域の少なくとも断片(例えば、重鎖のCH 1ドメイン)を含む。一の実施態様では、抗体は一本鎖抗体(sFv)であり、例えば抗体軽鎖と抗体重鎖の可変ドメインであって、アディポシスピン又はアディポシスピン・エピトープに結合するように構成された適切なリンカーにより典型的に結合されるドメインを含む。
ポリクローナル又はモノクローナル抗体の製造方法は、当該技術分野によく知られている。例えば、Coligan, CURRENT PROTOCOLS IN IMMUNOLOGY, Wiley/Greene, NY (1991); Stitesら(著)、 BASIC AND CLINICAL IMMUNOLOGY (第7版) Lange Medical Publications, Los Altos, CA、及び当該文献中に引用される参考文献("Stites"); Goding, MONOCLONAL ANTIBODIES: PRINCIPLES AND PRACTICE (第二版) Academic Press, New York, NY (1986); Kohler and Milstein, 1975 Nature 256: 495-97;及びHarlow及びLaneを参照のこと。これらの技術は、ファージ又は類似のベクター内で、組換え抗体のライブラリーから抗体を選別することによる抗体の調製を含む。Huseら、1989 Science 246 : 1275-81;及びWardら、Nature 341: 544-46を参照のこと。
ポリクローナル抗体の製造のために、適切な標的免疫系、典型的にマウス又はラビット、さらにヤギ、ヒツジ、ウシ、トリ、モルモット、サル、及びラットが選ばれる。宿主により産生される免疫グロブリンを沈殿し、単離し、そして通常の方法、例えばアフィニティー精製により精製することができる。所望される場合、実質的に単一特異的抗体集合を、ポリクローナル抗血清をクロマトグラフィー精製することにより製造することができる。
モノクローナル抗体に適した動物が選択され、そして所望の免疫化プロトコルが行われた。当該抗体は、いずれかのイソ型、例えば、IgM、IgD、IgG、IgA、及びIgEであり、そしてIgG、IgA、及びIgMが好ましく、そしてIgGが最も好ましい。好ましいモノクローナル抗-アディポシスピン抗体は、アディポシスピンの1以上の生物学的に活性を中和(つまり、阻害又は遮断)する。かかる抗体は、所望される20の阻害性活性についてハイブリドーマ上清をスクリーニングすることにより取得され得る。108l/mol、好ましくは109〜1010、又はそれ以上の親和性を有するモノクローナル抗体は、以下に記載される方法により製造することができる。非ヒトモノクローナル抗体、例えばマウス、ウサギ、又はウマのモノクローナル抗体の産生は周知であり、そして例えば宿主動物を、アディポシスピン又はその断片を含む調製物で免疫化することにより達成することができる。免疫化された動物から取得された抗体産生細胞を不死化し、そしてスクリーニングするか、又はアディポシスピン・ポリペプチドに結合する抗体の産生について最初にスクリーニングし、次に不死化した。
モノクローナル抗体は、ヒト化されるか、又は当該技術分野に周知の方法を使用してキメラを作ってもよい。幾つかの抗アディポシスピン・モノクローナル抗体は、その標的への親和性を低減することなく、その潜在的な抗原性を低減するためにヒト化又はキメラ化する。ヒト化抗体は、当該技術分野に記載されるとおりに製造することができる。例えば、30 Queenら 1989, Proc. Acad. Sci. USA 86:10029; 米国特許第5,563,762号;第5,693,761号;第5,585,089号、及び第5,530,101号を参照のこと。ヒト化に使用されるヒト抗体配列は、天然ヒト抗体の配列であるか、又は幾つかのヒト抗体の共通配列でありうる。Kettleboroughら、Protein Engineering 4: 773 (1991); Kolbingerら、Protein Engineering 6: 971 (1993)を参照のこと。アディポシスピンに対するヒト化モノクローナル抗体は、ヒト免疫系の要素を有するトランスジェニック動物を使用して製造することもできる(例えば、米国特許第5,569,825号;第5,545,806号;第5,693,762号;第5,693,761号;及び5,7124,350号を参照のこと)。
有用な抗アディポシスピン抗体は、ファージディスプレイ技術を使用して製造することもできる(例えば、Dowerら、WO91/17271号、及びMcCaffertyら、WO92/01047号を参照のこと)。これらの方法において、ファージのライブラリーが作成され、当該ファージにおいてメンバーは異なる抗体をその外表面に提示する。抗体は、通常Fv又はFa断片として提示される。所望の特異性を有する抗体を提示するファージが、アディポシスピン・ポリペプチドに対するアフィニティー濃縮により選択される。一本鎖抗体は、当該技術分野に周知の方法を使用して製造することができる(例えば、Colcherら(1999) Ann. N Y Acad. Sci. 880: 263-80; Reiter (1996) Clin. Cancer Res. 2: 245-52); 米国特許第4,946,778号; 第5,260203号;第5,455,030号;第5,518,889号;及び第5,534,621号を参照のこと)。
ひとたび発現されると、抗体全体、そのダイマー、個々の軽鎖及び重鎖、又は他の免疫グロブリン形態は、当該技術分野の標準方法に従って精製することができ、例えば硫酸アンモニウム沈殿、アフィニティー・クロマトグラフィー、ゲル電気泳動などを含む(一般的に、PROTEIN PURIFICATION: PRINCIPLES AND PRACTICE 第三版(Springer-Verlag, N. Y. , 1994)を参照のこと)。
調製物中で少なくとも約80%、より多くの場合少なくとも約90%、さらにより多くの場合少なくとも95%、最も多くの場合少なくとも約99%、又はそれ以上のポリペプチド分子が、同じ抗原(例えばアディポシスピン・ポリペプチド)に結合する場合、抗体(例えば、抗アディポシスピン抗体又はその断片のいずれか)は、実質的に純粋である。医薬用途では、少なくとも約90〜95%の均質性の抗-アディポシスピン・免疫グロブリンが好ましく、そして98%〜99%又はそれ以上の均質性が最も好ましい。
当該抗体は、改変あり又はなしで使用することができる。当該抗体は、検出可能なシグナルを提供する物質を共有結合又は非共有結合することにより標識されるであろう。かかる標識は、当業者に浴知られている標識を含み、例えば、放射性、蛍光、又は生物活性(例えば酵素的)標識を含む。標識された結合性実体のように、抗体は診断用途において特に有用であるかもしれない。
アディポシスピン・ポリペプチドに対する抗体の特異性を有し、さらに第二の部分へ特異的に結合できる特異性を有するハイブリッド又は「二重特異性抗体」が提供される。ハイブリッド抗体では、一の重鎖と軽鎖の対が一の抗体由来であり、そして他方の対が、他のエピトープに対して生じた抗体由来である。この結果は、多機能性質、つまり少なくとも2個の異なるエピトープに同時に結合する能力をもたらす。かかるハイブリッドは、それぞれの要素を産生するハイブリドーマの融合により、又は組換え技術により形成することができる。
幾つかの実施態様では、抗-アディポシスピン・モノクローナル又はポリクローナル抗血清であって、アディポシスピンと特異的に又は望ましくは免疫反応し、そして他のタンパク質、例えばシスタチンなどの相同タンパク質に対して低い又は所望のレベルの交差反応性を有する抗血清が産生される。そうした交差反応性のいずれについても、免疫アッセイで使用する前に、免疫吸着によってポリクローナル抗血清から取り除くことができる。特異性についてモノクローナル抗体をスクリーニングし、そして特徴付けする方法は、当該技術分野に周知であり、そして一般的に上記Harlow及びLaneにおいて記載されている。(例えば、免疫アッセイにおいて使用するために)配列番号1又は配列番号2のタンパク質に対するポリクローナル抗血清を産生するため、例えば、ポリクローナル抗血清は、本明細書中に記載される方法などの当該技術分野に周知の方法を使用して調製することができる。例えば、組換えタンパク質は、哺乳動物細胞系列において産生することができる。balb/cなどのマウスの近交系の種を、標準アジュバント、例えばフロインド・アジュバント、並びに標準マウス免疫化プロトコルを使用して、配列番号1又は配列番号2のタンパク質で免疫化する(上記Harlow及びLaneを参照のこと)。或いは、本明細書中に開示される配列の1以上から誘導され、そしてキャリアタンパク質に会合された合成タンパク質は、免疫原として使用することができる。ポリクローナル血清が回収され、そして免疫アッセイ、例えば、固体支持体上に固定された免疫原を用いる固相免疫アッセイにおいて免疫原タンパク質に対して力価を決められる。104以上の力価を有する抗血清が選ばれ、そして上記Harlow及びLane、570‐573頁に記載される免疫アッセイなどの競合的結合免疫アッセイを使用して、他のヒト・システインプロテアーゼ(例えば1以上のシスタチン又は既知のホモログ)に対する交差反応性について試験される。競合的結合形式における免疫アッセイは、交差反応性の決定についても使用することができる。例えば、アディポシスピンは、固体支持体上に固定することができる。アッセイに加えられるタンパク質は、抗血清の固定化抗原への結合と競合する。当該抗血清の固定化タンパク質への結合に競合する上記タンパク質の能力が、アディポシスピンと比較される。上記タンパク質への交差反応性の割合は、いずれかの適切な方法を用いて計算される。上記タンパク質のいずれかと10%未満の交差反応性を有する抗血清が選択され、そして貯蔵される。交差反応性の抗体は、次に上記タンパク質との免疫吸着により、貯蔵抗血清から取り除かれる。
一の態様では、アディポシスピンの発現は、アディポシスピン制御に関連する病状を患うか又は当該病状への傾向を有するヒトの診断又は評価のためにモニターされ又は測定されうる。様々な実施態様において、当該病状は、肥満及び/又は糖尿病、例えば2型糖尿病、及び/又は「X症候群」又は「代謝症候群」として知られる症状であり、グルコース感受性異常及び/又はグルコース非感受性を含む。
アディポシスピンは、体液、例えば血清、血漿、尿、唾液、又は血液から得ることができ、そして例えば電気泳動、HPLC、質量分析、免疫学的などにより分析することができる。発現プロファイルは、本明細書中に開示されるか又は当該技術分野で知られている方法のいずれかによりモニターすることができる。
モニターは、個体においてアディポシスピンのレベルをモニターすることにより達成することができる。一の実施態様では、個体におけるレベル又は発現プロファイルが、対照と比較され、ここで対照に対して統計的に有意な相関は、症状の指標となる。
アディポシスピンの活性を調節する能力について、分子をスクリーニングすることを含むアッセイ方法も提供される。アディポシスピンの機能の推定される特異的アゴニスト又はアンタゴニストを評価する方法が含まれる。特に関心のあるものは、前脂肪細胞から脂肪細胞への変化を調節する分子である。従って、前脂肪細胞から脂肪細胞への変化を妨げるアディポシスピンの能力を調節する化合物のスクリーニングアッセイを準備しそして実行する際の当該化合物の使用も意図される。かかる方法を使用してアッセイされ得る分子の例は、有機分子、無機分子、ポリマー、低分子、アンチセンス及びsiRNA分子を含むポリヌクレオチド、又はそれらの前駆体、アディポシスピンのバリアント及び改変体、及び抗体を含む。
アディポシスピン受容体又は結合パートナーに対して結合することができる化合物についてスクリーニングすることにより、予備スクリーニングを行うことができる。なぜなら、こうして同定される少なくとも幾つかの化合物は、アディポシスピン調節物質でありうるからである。当該結合アッセイは通常、例えばアディポシスピン・タンパク質などのアディポシスピン・アゴニストと1以上の試験化合物を接触させ、そして当該タンパク質及び試験化合物が結合複合体を形成するために充分な時間を経過させることを含む。形成された結合複合体のいずれについても、確立された多くの分析技術のうちのいずれかを使用して検出することができる。タンパク質結合アッセイは、非限定的に、共沈殿、非変性SDS‐ポリアクリルアミド上での共移動、及びウエスタンブロットにおける共移動を含む。かかるアッセイにおいて利用されるアディポシスピン・タンパク質は、天然発現、クローン化、又は合成アディポシスピンであってもよい。一の実施態様では、当該アッセイは細胞に基づくアッセイであり、そしてアディポシスピン受容体又は結合パートナーをコードする核酸配列を有する発現カセット又はベクターで安定して又は一過的にトランスフェクションされた細胞が使用される。当該細胞は、当該アディポシスピン受容体の発現に適した条件下で維持され、そして結合が生じるために適した条件下で推定される薬剤と接触される。当該結合は、標準技術を使用して検出することができる。例えば、結合の程度は、適切な対照に対して(例えば、推定される薬剤の不存在下におけるバックグラウンドに対して、又は既知のリガンドに対して)測定することができる。場合により、受容体を含有する細胞分画、例えば膜分画は、細胞全体に代えて用いることができる。
結合又は複合体形成の検出は、直接又は間接的に検出することができる。例えば、推定される薬剤は、適切な標識(例えば、蛍光標識、化学発光標識、同位体標識、酵素標識など)で標識され、そして結合は、当該標識の検出により測定することができる。特異的及び/又は競合的結合は、非標識薬剤を競合剤としてリガンド(例えば、組換えアディポシスピン)として使用する競合又は置換実験により評価することができる。
別の実施態様では、結合阻害アッセイは、化合物を評価するために使用することができる。これらのアッセイでは、当該化合物は、例えばNIH 3T3 L1細胞で発現されたアディポシスピン受容体を使用して、リガンドの結合の阻害剤として評価される。当該実施態様では、アディポシスピン受容体は、例えばアディポシスピンなどのリガンドと接触され、そしてリガンドの結合が測定される。当該受容体は次に、リガンド(例えば、組替えアディポシスピン)の存在下で試験薬剤と接触され、そして結合の第二回目の計測を行う。リガンドの結合度合いの低下が、当該試験薬剤による結合の阻害を示す。結合阻害アッセイは、アディポシスピン受容体を発現する細胞全体、又はアディポシスピン受容体を発現する細胞由来の膜分画を使用して行うことができる。
あるスクリーニング方法は、アディポシスピンの発現又はアディポシスピンの活性を上方制御する(又は阻害若しくは下方制御する)化合物をスクリーニングすることを含む。かかる方法は、一般的に試験化合物が、アディポシスピンを発現する1以上の細胞と接触する細胞に基づくアッセイを行い、そして次にアディポシスピン発現(転写又は翻訳産物)又は活性の変化(例えば増加又は低減)を検出することを含む。内在性のアディポシスピンを発現する細胞(例えば、脂肪細胞又はNIH 3T3 L1細胞)を用いて行われる。他の発現アッセイは、適切な発現ベクター中にコードされるアディポシスピンを発現する組換え細胞を用いて行われてもよい。いずれの場合においても、アディポシスピン発現は、本明細書中に記載されるように多くの異なる方法により検出することができる。例えば、細胞におけるアディポシスピンの発現レベルは、細胞において発現されるmRNAを、アディポシスピンをコードする転写産物(又はそれから由来される相補核酸)と特異的にハイブリッド形成するプローブを用いて探索することにより測定することができる。探索は、細胞を溶解し、そしてノーザンブロットを行うことにより、又は細胞を溶解せずに、in situハイブリダイゼーション技術(上記を参照のこと)を行うことができる。或いは、アディポシスピン・タンパク質は、細胞ライセートが、アディポシスピンに特異的に結合する抗体でプローブされる免疫学的方法を用いて検出することができる。同様に、アディポシスピン活性は、例えば脂肪細胞前駆体から脂肪細胞への、例えば前NIH 3T3 L1細胞からNIH 3T3 L1脂肪細胞への変換の割合を測定することによりアッセイすることができる。薬剤スクリーニングの一の方法は、アディポシスピン、例えば配列番号1又は配列番号2の配列を有するタンパク質を発現する組換えDNA分子で安定して形質転換されている真核又は原核宿主細胞を利用する。かかる細胞は、生細胞の形態又は固定された形態において、スクリーニングに用いることができる。試験化合物は、結合について、又は結合性について他のリガンドとの競合についてアッセイすることができる。
適切なアッセイの一の実施例において、ヒト・アディポシスピン・タンパク質の性質、活性、又は機能特性のうちの少なくとも1を有するアディポシスピン・タンパク質(単離又は組換えのいずれか)が、使用される。性質は、例えば、前脂肪細胞から脂肪細胞への変換の抑制でありうる。
一の実施態様では、アディポシスピン・タンパク質又はそのバリアントを含む組成物は、結合に適した条件下で維持される。アディポシスピン受容体を、推定される薬剤(又は少なくとも1の推定の薬剤を含む第二組成物)と接触させて試験し、そして結合を検出又は測定した。
発現又は活性のレベルは、基準の値に比較され得る。発現レベルは、アディポシスピンとして発現しない細胞をネガティブ・コントロールとして測定することができる。かかる細胞は、一般的にその他の点で実質的に遺伝的に試験細胞と同じ細胞である。
試験化合物、アディポシスピン活性調節物質又は推定される調節物質、並びに本明細書中に提供される他の化合物は、炎症モデルを使用して、in vivo効果を発揮する化合物の能力を評価する。適切なモデルは、例えば、下記のものを含む。
アッセイを自動化する幾つかの方法は、近年開発されて、その結果数万もの化合物を短い期間のうちにスクリーニングすることが可能になった。例えば、Fodorら、1991, Science 251: 767-73、及び他の化学的多様性ライブラリーについての他の記載を参照のこと。これらの記載は、複数の化合物による結合親和性を試験する手段を記載する。適切なアッセイの開発は、多量の精製されたアディポシスピン及び/又は本発明により提供される組換えアディポシスピンを発現する細胞の利用可能性によりかなり容易になりうる。
「上方制御」及び「活性化」という用語は、遺伝子などの核酸の発現について使用される場合、遺伝子産物の産生の増加をもたらす過程全てを指す。遺伝子産物は、RNA(非限定的にmRNAを含む)又はタンパク質のいずれかでありうる。従って、遺伝子上方制御又は活性化は、遺伝子の転写及び/又はmRNAの翻訳を増加させる方法を含む。
転写を増加させる遺伝子上方制御又は活性化プロセスの例は、非限定的に転写開始複合体の形成を促進するもの、転写開始効率を増加させるもの、転写伸張効率を増大させるもの、転写の伸張能(processivity)を増加させるもの、及び転写抑制を開放するもの(例えば、転写リプレッサーの結合を阻害することによる)を含む。遺伝子上方制御又は活性化は、例えば転写抑制の阻害並びに現在のレベルを超える発現の刺激から構成される。翻訳を増加させる遺伝子上方制御又は活性化プロセスの例は、翻訳開始を増加させるもの、翻訳伸張を増加させるもの、翻訳終結を増加させるもの、リボソームの再利用を増加させるもの、並びにmRNAの安定性を増加させるものを含む。遺伝子活性化又は上方制御のレベルを含む遺伝子発現のレベルは、多くの確立された技術、例えば非限定的にノーザンブロット、RNase保護アッセイ(RPA)、核酸プローブ・アッセイ、定量的PCR(例えば、いわゆるTaqManアッセイ)、ドット・ブロットアッセイ、並びにin situハイブリダイゼーションを利用して定量することができる。一般的に、遺伝子上方制御又は活性化は、遺伝子産物の産生における検出できる増加の全て、好ましくは少なくとも50〜100%の遺伝子産物の産生の増加を含む。他の例では、約2〜約5倍又はその間の整数、時には約10〜約20倍又はその間の整数、他の場合約20〜約50倍又はその間の整数、さらに他の場合約50〜約100倍又はその間の整数、及びさらに他の場合100倍以上である。上方制御及び遺伝子活性化という用語は、基準レベルに対し観察された活性が、統計的に有意に異なっている(つまり増加している)ということを意味することができる。
本明細書中で記載されるとき、「基準値」は、一般的に実験値又は測定値(例えば、診断又は予後試験の一部として患者サンプルについて測定された値)が比較される値(又は値の範囲)を指す。こうして、上方制御の場合、基準値は、同じ個体から異なる時間点で得られたサンプルについての活性又は発現についての値でありうる。他の場合、基準値は、対照細胞、又は個体について測定された値であるか、或いは対照細胞又は個体の集合について確立された統計的な値(例えば、平均値(average or mean))である。上方制御においては対照は、上方制御が期待されていない細胞、個体、又はそれらの集合でありうる。こうして、例えば、対照の個体又は対照集合は、健康な個体を含むことができる。対照としての役割を果たす集合は、大きさの点で変化することがあり、わずか1のメンバーを有することもあるが、数十、数百、数千、数万以上の個体を含む可能性もある。対照が大集団である場合、基準値は、各メンバーについての個々の値から測定される統計値でありうるし、又は対照集合から総計として測定される値(例えば、ウェル内の細胞の集合について測定される値)でありうる。
さらに別の態様では、アディポシスピン媒介性の症状又は疾患を治療する方法であって、かかる疾患又は症状を有する対象に、治療有効量のアディポシスピン機能の調節物質、例えばアディポシスピン機能又は遺伝子発現のアゴニスト(刺激物質)及びアンタゴニスト(阻害剤)を投与することによる方法が提供される。
変更されたアディポシスピン発現又は活性に関連する疾患及び症状は、肥満、並びに脂肪細胞質量若しくは脂肪重量の増加に付随する症状を含む。慢性疾患を含む疾患又は症状は、アディポシスピン機能の調節物質で治療することができる。疾患又は症状は、例えば肥満、並びに脂肪重量の増加に付随する症状であって、アディポシスピン及びアディポシスピン・アゴニストにより治療されうる症状を含む。かかる調節物質は、アディポシスピン機能又は発現の低分子アゴニスト及びアンタゴニスト、アンチセンス、及びリボザイム・トリプレックス・ポリヌクレオチド、遺伝子治療などを含む。本明細書中に記載される方法及び試薬は、動物、例えば哺乳動物(例えば、ヒト、非ヒト霊長類、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、ラビット、ラット、マウスなど)の治療に用いることができるし、又はヒト疾患の動物モデル又はin vitro(細胞培養モデル)で使用することができる。
アディポシスピンのアゴニスト、アンタゴニスト、又はリガンドを含む治療組成物、並びにアディポシスピンにより媒介される生理的又は病理的状態、例えばアディポシスピン活性の低下を治療する方法がさらに提供される。
アディポシスピン・ポリペプチド、その断片、センス及びアンチセンス・ポリペプチド、抗アディポシスピン抗体又はその結合性断片、並びにアディポシスピン活性のアンタゴニスト又はアゴニスト(例えば、低分子調節物質)は、治療される宿主に対して滅菌又は他の適切な、又は所定の条件下で直接投与されうる。しかしながら、活性成分を単独で投与することができる一方、活性成分を医薬製剤とすることが一般的に好ましいこともある。製剤は、典型的に少なくとも1の活性成分を、1以上のその許容される担体と含む。各担体は、他の成分と適合するという意味で医薬としてそして生理的に許容されるべきであり、そして患者に対して有害又は不所望の毒性を持つべきではない。例えば、生理活性剤は、安定性又は半減期などの薬理学的特性を高めるために、投与前に担体タンパク質、例えばオブアルブミン又は血清アルブミンと複合体形成することができる。さらに、治療製剤は、他の化学治療剤又は化学抗癌剤と混合し、又は併用することができる。
治療製剤は、製剤学の分野において周知の方法により製造することができる。例えば、Gilmanら(編) (1990) Goodman and Gilman's : The Pharmacological Bases of Therapeutics (第8版). Pergamon Press;及びRemington, The Science of Practice and Pharmacy, 第20版 (2001) Mack Publishing Co., Easton, P.a.; Avisら(編)(1993) Pharmaceutical Dosage Forms: Parenteral Medications N. Y.; Liebennanら(編)(1990) Pharmaceutical Dosage Forms: Tablets Dekker, N. Y.;及びLiebennanら(編)(1990) Pharmaceutical Dosage Forms: Disperse Systems Dekker, N. Y.を参照のこと。
治療される疾患及び対象の症状に左右されて、本明細書中に記載される化合物は、経口、非経口(例えば、筋肉内、腹腔内、静脈内、ICV、嚢内注射又は輸液、皮下注射、又は埋め込み)により、吸入スプレーにより、鼻、膣、直腸、舌下、又は局所投与経路で投与されうるし、そして、単独で又は共に、慣用の非毒性の医薬として許容される担体、アジュバント、及び溶媒であって各投与経路に適したものを含む適切な単位投与製剤に剤形されうる。
医薬組成物及び治療方法は、本明細書中に記載される他の治療活性化合物であって、上記病的状態の治療において通常適用されるか、又は適用され得る化合物をさらに含む。
アディポシスピン調節物質を必要とする症状の治療又は予防において、適切な投与レベルは、一般的に1日あたり患者の体重(kg)あたり約0.001〜約100mgであり、これは1回又は複数回で投与することができる。好ましくは、用量レベルは、1日あたり約0.01〜約25mg/kg;より好ましくは1日あたり約0.05〜約10mg/kg、又は1日あたり約0.1〜約5mg/kgでありうる。この範囲内において、用量は、1日あたり約0.005〜約0.05、0.05〜約0.5、又は約0.5〜約5mg/kgでありうる。経口投与では、組成物は、好ましくは、治療を受ける患者の症状を調節する用量のため、約1〜約1000mg以上の活性成分、具体的に約1、5、10、15、20、25、50、75、100、150、200、250、300、400、500、600、750、800、900、又は1000mgの活性成分を含む錠剤の形態で提供される。当該化合物は、1日あたり約1〜約4回、好ましくは1日あたり1又は2回の投与計画で投与されうる。
しかしながら、特定の患者のいずれかに対する所定の用量レベル及び投与頻度が、変更されることがあり、そして使用される特定の化合物の活性、代謝安定性、及び当該化合物の作用の長さ、年齢、体重、全体的な健康状態、性別、食事、投与方式及び投与回数、排泄割合、薬剤の組合せ、個々の症状の重篤度、並びに治療を受けている宿主に左右されるであろう。
本特許の範囲内の化合物は、炎症及び免疫調節性障害及び疾患、例えば喘息及びアレルギー疾患、並びにリューマチ様関節炎及びアテローム性動脈硬化症及び上記病状などの自己免疫疾患を予防及び治療するための関連用途を有するほかの化合物と混合されうる。
生物学的サンプル中におけるアディポシスピン・ポリペプチド及びポリヌクレオチドを検出及び定量するための方法も提供される。一の実施態様では、アディポシスピン遺伝子産物(例えばポリペプチド又はmRNA)の発現又は過発現は、アディポシスピンにより媒介されるか又はアディポシスピンに付随する疾患又は症状と相関する。
生物学的サンプルは、非限定的に血液サンプル、血清、細胞(細胞全体、細胞の一部分、細胞抽出物、及び培養細胞、又は細胞系列を含む)、組織(生検により取得される組織を含む)、体液(例えば、尿、唾液、羊水、滑液)、又は培地由来物(培養細胞又は細胞系列)などを含む。アディポシスピン・ポリヌクレオチドを検出又は定量する方法は、非限定的に、シグナル増幅を用いた増幅に基づくアッセイ、ハイブリダイゼーションに基づくアッセイ、及び増幅-ハイブリダイゼーションアッセイを含む。アディポシスピン・ポリペプチドを検出及び定量するための方法の例は、アディポシスピン・ポリペプチド又はエピトープに特異的に結合する抗体又は他の結合性物質を使用する免疫アッセイ、例えばELISA又はRIAアッセイである。
ポリメラーゼ・チェーン反応(PCR)又はその変法は、典型的な増幅に基づくアッセイである。in vitro増幅方法のための技術の例は、PCR TECHNOLOGY: PRINCIPLES AND APPLICATIONS FOR DNA AMPLIFICATION, H. Erlich, Ed. Freeman Press, New York. NY (1992); PCR PROTOCOLS: A GUIDE TO METHODS AND APPLICATIONS, eds. Innis, Gelfland, Snisky,及びWhite, Academic Press, San Diego, CA (1990).に見られる。他の適切な標的増幅方法は、例えばリガーゼ・チェーン反応(LCR;例えば、Wu及びWallace, 1989, 4: 560);鎖置換増幅(SDA;例えば、Walkerら、1992, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 89:392-396);核酸配列に基づく増幅(NASBA, Cangene, Mississauga, Ontario; 例えばCompton, 1991, Nature 350: 91)などを含む。1の有用なPCRの変法は、PCR ELISA(例えばBoehringer Cat. No.1 636 111)であり、ここでジオキシゲニン-dUTPは、PCR産物中に取りこまれる。当該PCR反応混合物は、変性され(denatured)、PCR産物の配列内にアニールするように設計されたビオチン標識オリゴヌクレオチドとハイブリッド形成される。ハイブリダイゼーション産物は、ストレプトアビジンコート・プレート上に固定し、そして抗-ジゴキシゲニン抗体を使用して検出される。
ポリヌクレオチド・ハイブリダイゼーション技術を用いた特異的DNA及びRNA計測についての様々な方法は、当業者に知られている(上記Sambrookを参照のこと)。ハイブリダイゼーションに基づくアッセイは、一般的にポリヌクレオチド・プローブが、標的ポリヌクレオチドにハイブリッド形成するアッセイを指す。通常、ポリヌクレオチド・ハイブリダイゼーション・プローブ、例えば本明細書中に記載され又は参照されるプローブは、アディポシスピン核酸配列の連続配列に完全に又は実質的に同一である。好ましくは、ポリヌクレオチド・プローブは、少なくとも約10塩基長であり、しばしば少なくとも約20塩基長であり、そして時に少なくとも約200塩基長以上である。ポリヌクレオチド・ハイブリダイゼーションにおいて用いるポリヌクレオチド・プローブ配列を選択する方法は、上記Sambrookにおいて記載されている。
ポリヌクレオチド・ハイブリダイゼーション形式は、当業者に知られている。幾つかの形式において、標的及びプローブのうちの少なくとも一方が固定される。固定されたポリヌクレオチドは、DNA、RNA、又は他のオリゴ又はポリヌクレオチドであってもよく、そして天然又は非天然ヌクレオチド、ヌクレオチド・アナログ、又は骨格を含んでも良い。かかるアッセイは、サザン、ノーザン、ドット、及びスロット・ブロット、高密度ポリヌクレオチド、又はオリゴヌクレオチドアレイ(例えば、GeneChip(登録商標)アフィメトリックス)、ディップ・スティック、ピン、チップ、又はビーズを含む様々な形式のいずれかでありうる。これらの技術の全ては、当該技術分野に周知であり、そして多くの市販診断キットに基づいている。ハイブリダイゼーション技術は、一般的にHamesら、編, NUCLEIC ACID HYBRIDIZATION, A PRACTICAL APPROACH IRL Press, (1985); Gall及びPardue Proc. Nat'l. Acad. Sci., USA., 63: 378-383 (1969); 及びJohnら, Nature, 223: 582-587 (1969)に記載されている。
一の実施態様において、in situハイブリダイゼーションは、サンプル中のアディポシスピン配列を検出するために使用される。in situハイブリダイゼーションアッセイは、周知であり、そしてAngererら、METHODS ENZYMOL., 152: 649-660(1987)及び上記Ausubelに記載されている。
一の実施態様では、アディポシスピン・ポリヌクレオチド(単数又は複数)は、抗-アディポシスピン抗体又は結合性分子を使用してサンプル中で検出される。多くの良く確立された免疫学的結合アッセイは、アディポシスピンを検出及び定量するのに適している。例えば、米国特許第4,366,241号;第4,376,110号;第4,517,288号;及び第4,837,168号、及びMETHODS IN CELL BIOLOGY VOLUME 37: ANTIBODIES IN CELL BIOLOGY, Asai,編. Academic Press, Inc. New York (1993); BASIC AND CLINICAL IMMUNOLOGY 第7版, Stites & Terr編(1991); 上記Harlow,[例えば第14章]、及びAusubel[例えば第11章]を参照のこと。両文献は、その全てを全ての目的のために本明細書中に援用される。
アディポシスピンを検出するための免疫アッセイは、競合的又は非競合的であってもよい。アッセイされるアディポシスピン遺伝子産物は、検出可能な標識を用いて直接又は間接的に検出されてもよい。当該アッセイにおいて使用される個々の標識又は検出可能基は、当該アッセイにおいて使用される抗体(単数又は複数)の特異的結合性を有意に妨げない限り、通常重要な態様ではない。標識は、例えば、捕捉剤(例えば、抗アディポシスピン抗体)に共有結合されることもあり、又は第三の部分、例えば別の抗体、に結合されることもある。当該抗体は、捕捉剤により認識されるエピトープとは異なるエピトープにおいて、アディポシスピン・ポリペプチドに特異的に結合する。
非競合的免疫アッセイは、捕捉された被分析物(ここでは、例えば、アディポシスピン・ポリペプチド)の量が直接計測されるアッセイである。そうした一のアッセイは、例えば、捕捉被分析物上の2個の干渉しないエピトープに対して反応性を有するモノクローナル抗体を利用するモノクローナルに基づく2部位免疫アッセイである。例えば、背景技術の情報について、Maddoxら、1983,J: Exp. Med., 158: 1211 を参照のこと。かかるアッセイにおいて、サンプル中のアディポシスピンの量が直接計測される。例えば、いわゆる「サンドウィッチ」アッセイを使用して、捕捉剤(本明細書中で、抗アディポシスピン抗体)は、固体支持体に直接結合することができ、そこでそれらは固定される。
固定化された抗体は、当該試験サンプル中に存在するポリペプチドを補足する。このようにして固定されたアディポシスピン又は他の標的は、次に標識物質、例えば標識を有するアディポシスピン二次抗体などにより結合される。或いは、例えば、アディポシスピン二次抗体は、標識を有しておらず、二次抗体を産生した種の抗体に特異的である標識された三次抗体により結合されうる。二次抗体は、検出できる部分、例えばビオチンで修飾することもできる。当該部分に第三の標識された分子、例えば酵素標識されたストレプトアビジンが結合することができる。
競合アッセイにおいて、サンプル中に存在するアディポシスピン・ポリペプチドの量は、例えばサンプル中に存在する被分析物(例えば、アディポシスピン・ポリペプチド)によって、捕捉物質(例えば、抗-アディポシスピン抗体)から外された(又は競合して除かれた)れていた(外来性の)アディポシスピンの量を計測することにより、間接的に計測することもできる。一の競合アッセイにおいて、例えば、アディポシスピンの既知の量をサンプルに加え、そして当該サンプルは次にアディポシスピンに特異的に結合する捕捉物質(例えば、抗アディポシスピン抗体)と接触される。抗体に結合されるアディポシスピンの量は、サンプル中に存在するアディポシスピンの濃度に反比例する。
好ましくは、当該抗体が固体支持体上に固定化されてもよい。当該抗体に結合するアディポシスピンの量は、例えばアディポシスピン/抗体複合体で存在するアディポシスピンの量を計測することにより、或いは代わりに複合体形成しないで残っているアディポシスピンを計測することにより測定することができる。アディポシスピンの量は、標識されたアディポシスピン分子を与えることにより検出されてもよい。例えば、ハプテン阻害アッセイを使用して、被分析物(この場合、アディポシスピン)は、固体支持体上に固定される。抗アディポシスピン抗体の既知の量は、例えばサンプルに加えられ、そして当該サンプルは次に、固定されたアディポシスピンと接触される。この場合、固定されたアディポシスピンに結合される抗-アディポシスピン抗体の量は、サンプル中に存在するアディポシスピンの量に反比例する。次に、固定された抗体量を、固定された抗体分画又は溶液中に残っている抗体の分画のいずれかを検出することにより、検出することができる。この検出は、抗体が標識されている場合、検出は直接的であり、又は上で記載されるように続いて当該抗体に特異的に結合する標識部分を加えることによるものは間接的である。
競合的又は非競合的アディポシスピン・ポリペプチド免疫アッセイに加えて、アディポシスピン・ポリペプチドの検出及び定量用の他のアッセイも提供される。例えば、ウエスタンブロット(免疫ブロット)分析は、サンプル中のアディポシスピンの存在を検出及び定量するために使用することができる。当該技術は、分子量に基づいてゲル電気泳動によりサンプル・ポリペプチドを分離し、分離されたポリペプチドを適切な固体支持体(例えば、ニトロセルロース・フィルター、ナイロン・フィルター、又は誘導体化されたナイロン・フィルター)へ転写させ、そしてサンプルをアディポシスピンに特異的に結合する抗体とインキュベーションすることを含む。抗アディポシスピン抗体は、固体支持体上のアディポシスピンに特異的に結合する。これらの抗体は、直接標識されていてもよいし、又は抗アディポシスピンに特異的に結合する標識抗体(例えば、標識されたヒツジ抗マウス抗体)を使用して引き続いて検出してもよい。
さらに、リポソーム・免疫アッセイ(LIA)などのアッセイはまた、本特許により包含される。LIAは、特異的分子(例えば、抗体)に結合し、そして封入された試薬又はマーカーを放出するように設計される。放出された化学物質は、次に標準技術に従って検出される(Monroeら;1986,Amer, .Clin. Prod. Rev. 5: 34-41を参照のこと)。
治療及び診断(検出)方法に有用な試薬は、ポリペプチド、抗体、及びポリヌクレオチドを含むキットを含むキット形態で都合よく提供される。
一の実施態様では、当該キットは、以下の内容物:
(1) 1以上のアディポシスピン・ポリヌクレオチド(例えば、アディポシスピンcDNA配列に記載され、そして標的ポリヌクレオチドを増幅することができるオリゴヌクレオチド・プライマー又はプローブ);
(2) 1以上の抗アディポシスピン抗体(又は他の結合性分子);
(3) 例えば固体表面(例えばスライド、多ウェル・プレート、又は試験管)上を被膜する1以上のアディポシスピン・ポリペプチド又は断片;
(4) 1以上のアディポシスピン・ポリヌクレオチド及び/又はポリペプチド(例えば、アッセイにおいて、陽性対照として使用するためのもの)、及び
(5) チューブ
のうちの1以上を含む。関連の検出方法を行うための指示、及び例えば、較正曲線も含めることができる。
以下の研究において、我々は、システイン・プロテアーゼ阻害剤ファミリー・メンバーと配列相同性を有する新規の脂肪細胞分泌産物の同定を報告する。アディポシスピンの発現は、3T3-L1細胞の脂肪細胞への変換の間において明らかに誘導された。肥満状態においてmRNA量が有意に増加した。さらに、3T3 L1細胞を、組換えアディポシスピンで治療することは、脂肪細胞変換を有意に阻害し、このことはアディポシスピンが、脂質生成の負のレギュレーターであるということを示唆する。
以下の実験部分を参考にすることにより、さらに理解がされるであろう。以下の実験は、いずれにせよ例示の目的であり、そして本発明を制限するものとして意図されない。
実施例1
3T3-L1細胞を分化させ、その後に細胞培養培地から得られたタンパク質の濃度を利用する実験方法を行った。
3T3-L1細胞は、10%ウシ胎仔血清を加えたDMEM中でサブコンフルエント・カルチャーとして維持した。分化を誘導させるために、細胞を150mmプレートに蒔き、そして100%コンフルエントにし、そしてコンフルエントになった1日後、0.25μMデキサメタソン、0.5mM・IBMX、及び10μg/mlインスリンを含む上記培地で2日間誘導した。その後、10μg/mlインスリンで2日間インキュベーションした。細胞を次に10%ウシ胎児血清でさらに4日間維持した。
脂肪細胞から分泌されたタンパク質を収集するために、分化誘導後8日目の細胞を、PBSで三回洗浄し、次に無血清培地でさらに4時間インキュベーションした。培地を回収し、3000×gで10分間遠心し、0.20μmフィルターを通してろ過し、次いで5000DaのMWCOを有する濃縮器(Vivascience Ltd, Gloucestershire, UK)を用いて濃縮し、そして脱塩した。タンパク質を次に、BCA試薬を使用して定量し、そして-80℃で使用するまで貯蔵した。
脂肪細胞又は3T3 L1前脂肪細胞から分泌されるタンパク質を、Immobiline DryStripsを6〜11のpH範囲で用いて、前に記載されるように2次元ゲル電気移動により分離した。分離されたタンパク質は、銀又はクマシー・ブリリアント・ブルーR250(CBB)のいずれかで染色した。異なって分泌されるタンパク質は、Melanine2ソフトウェアにより同定した。
2DEゲルにより分離される関心のタンパク質を切り出し、そして以前に記載されたようにゲル片をゲル中トリプシン消化にかけた。抽出されたトリプシン処理されたペプチド混合物をJupiter5μC18カラム(250×2.00mm、Phenomenex)上でRP HPLCにより分画した。予め温められたカラム(37℃)を7分間0.1%トリフルオロ酢酸(V/V)で洗浄し、続いて、50分間8%〜36%アセトニトリルの直線勾配で、200μl/分の流速を用いて溶出した。良く分離された画分を、Perkin-Elmer(Procise, Model 492)タンパク質シーケンサーを用いてエドマン分解を使用するアミノ酸シーケンスに選んだ。
アディポシスピンのクローニング及び哺乳動物における発現
総RNAをマウス3T3-L1脂肪細胞又はヒト脂肪体から、製品説明書に従ってTRIZOL試薬を用いて精製した。総RNA由来のオリゴdTのついたcDNAをPCRクローニングのテンプレートとして使用した。マウス・アディポシスピンの全長cDNA(配列番号5)及びヒト・アディポシスピンの全長cDNA(配列番号6)を、DNA配列の確定のためpGEMT-easyベクター(Promega)中に挿入した。
マウス・アディポシスピンの哺乳動物発現用のベクターを、5’GCCCGCGGATCCATGCTACTGTTGCAAGCTCT3’[配列番号3]をセンスプライマーとして、そして5’GGCCGCGAATTCTCACTTGTCATCGTCGTCCTTGTAGTCGTTGGTATCATGGTAGAG3’[配列番号4]をアンチセンス・プライマーとして使用するcDNA増幅により作成した。BamHI/EcoRIで切断後に、pcDNA-アディポシスピン-Fを産生するためにpcDNA3.1ベクター中に断片を挿入した。pcDNA-アディポシスピン-Fは、そのC末端にFLAGエピトープ・タグを有する全長アディポシスピンをコードする。当該哺乳動物発現ベクターを、FuGENE6トランスフェクション試薬を使用してCOS-7細胞中にトランスフェクションし、そして細胞を48時間無血清倍地中にアディポシスピンを分泌させた。次に培地を回収し、そして細胞破片を3000×gで10分間遠心し、続いて0.2μmフィルターを通してろ過することにより取り除いた。ろ過された培地を、上で記載されるように5000DaのMWCOを有するVivian濃縮器を用いて濃縮した。製造説明書(Sigma)に従って、FLAG標識アディポシスピンを抗-FLAG・M2アフィニティ・ゲルを使用して精製し、そして150μg/mlでFLAGペプチドを溶出した。
ノーザンブロット及びウエスタンブロット分析
3T3 L1細胞又はマウス脂肪組織から精製された10μgの総RNAを、1.2%ホルムアルデヒド-変性アガロースゲル上で分離し、そしてナイロン膜に転写した。以前に記載されるように、32P標識された全長アディポシスピン、アディポネクチン、PPARγ、又はGLUT4cDNAをプローブとして使用してハイブリダイゼーションを行った。膜をホスホールイメージャー(phosphorimager)を使用して可視化し、そして分析した。ウエスタンブロット分析を以前に記載されるように行った。
実施例2
以下の実験により、アディポシスピンの特徴を決定した。
3T3 L1前脂肪細胞及び脂肪細胞の培養培地由来のタンパク質を、2次元ゲル電気泳動により分離した。分析により、16kDaの見掛けの分子量及び9.3のpI値を有するタンパク質は、脂肪細胞中に選択的に存在し、そして前脂肪細胞に存在しなかった(図1)。当該タンパク質の性質を同定するために、タンパク質「スポット」(図1を参照のこと)を複数の調製ゲル(multiple preparative gel)から切り出し、次にゲル中トリプシン切断にかけた。トリプシン処理ペプチド混合物をRP HPLCにより分画し、そしてよく分離された画分を、アミノ酸シーケンスにかけた(図2)。4のトリプシン処理ペプチド由来のアミノ酸配列は、既知のタンパク質に割り当てることができなかった。全米バイオテクノロジー情報センターでの核酸データーベースのtBLASTnサーチにより、RIKEN全長濃縮マウス成獣cDNAライブラリーから得た発現遺伝子配列断片(EST)(遺伝子受入番号:AK002298)から電子的に翻訳される仮のタンパク質と適合するということが示唆された。RT PCR分析により、3T3L1脂肪細胞における遺伝子発現を確認した。
当該cDNA配列の仮のリーティングフレームは、162アミノ酸残基の推定のタンパク質をコードする(図3A)。当該予想されるアミノ酸配列は、図3Aに示されるように62、72、83、86、101、及び116のアミノ酸位置にシステイン残基を含む。1のシステイン残基は、他のシステイン残基と分子間ジスルフィド結合を形成するように結合され、その結果、アディポシスピン及び/又はアディポシスピン・イソ型は、3以下の分子内ジスルフィド結合を含みうる。Kyte-Doolittleプロットに従って予想される1の疎水性部分は、アミノ末端の最初の18個の残基内に位置し、そしてシグナル配列の特徴を有する。相同性サーチにより、当該タンパク質のN末端側の半分とシスタチンCなどのシスタチン様ドメインを有するタンパク質ファミリーとの間の同じ類似性を明らかにする(図3B)。シスタチンは、システイン・プロテアーゼ阻害剤のファミリーであり、その多くは、分泌性タンパク質である。アディポシスピンのCOOH末端側の半分は、既知のタンパク質のいずれかに対してほとんど相同性を示さない。(推定の分泌シグナルを除く)アディポシスピンの予想される分子量及びPI値は、16548.23Daと9.36であり、これらは2DE分離(図2)で観察される値に完全に適合する。
実施例3
当該実験により、アディポシスピンが分泌性タンパク質であるということが確認される。FLAGエピトープ標識アディポシスピン構築物を、一過性トランスフェクションによりCOS7細胞中に導入し、そして当該タンパク質を免疫ブロッティングにより培養上清中において検出した。
分析により、アディポシスピンは、培養倍地中に容易に検出することができるということが示される(図4)。他方、βチューブリン、細胞質タンパク質は、ほとんど検出されず、そして細胞培養倍地中のアディポシスピンが細胞溶解が原因ではないと結論付けた。
実施例4
当該実施例により、ノーザンブロット分析により3T3 L1前脂肪細胞の脂肪細胞変換の間におけるアディポシスピンmRNA発現のタイムコースを試験することにより、アディポシスピンmRNAの分化依存性の発現をアッセイした。図5に示されるように、アディポシスピンmRNA発現は、細胞分化及び細胞形態の変化とよく相関する(丸型と脂肪内脂質球の形状)。約800bpを有するアディポシスピンmRNAは、脂肪細胞変換の誘導後早くも2日目に現れ始め、そして8日目において最大に達した。アディポシスピンの発現キネティクスは、aP2の発現と平行し、そして脂肪細胞においてもっぱら発現するタンパク質であるアディポネクチンに少し先行した。
結果は、アディポシスピンmRNA発現と脂肪細胞表現型の同時の出現を示した。
実施例5
本実施例における実験により、肥満状態におけるアディポシスピンの発現の変化を評価した。肥満状態における遺伝子発現の調節により、代謝性病状における関心タンパク質の機能関連性について価値ある情報を提供する。
肥満(ob/ob)マウスのアディポシスピンmRNAが、その類遺伝子の痩せ型対照のアディポシスピンmRNAより一貫して3〜4倍増加しているということを観察した。この結果は、ob/obマウスにおけるアディポネクチン遺伝子の発現低下と著しく対照的である。肥満体におけるアディポシスピン発現の変化は、かかる状態の1以上の病態生理学的特徴における当該タンパク質の関与を示唆する。アディポシスピンmRNAレベルは、当該モデルについて特異的な遺伝的欠損、例えばレプチンにより制御されているのかもしれない。
実施例6
本実施例における実験により、脂肪細胞分化によるタンパク質分解のアディポシスピンによる阻害、並びに脂肪変換におけるアディポシスピンの役割が評価された。
COOH末端においてFLAG標識されたアディポシスピンを、一過的にトランスフェクションされたCOS7細胞の培養培地から精製し、次に3T3 L1細胞に加えた。アディポシスピンが存在しない状態では、オイルレッドO染色(図7のAを参照のこと)で示したときに80%を超える3T3 L1細胞が、脂質含有脂肪細胞へと分化した。20μg/mlアディポシスピンで処理した細胞において、散発的な(50分の1以下の)脂質含有細胞の存在が観察された。同様に、脂肪細胞マーカー、PPARγ及びGLUT4の発現は、この細胞がアディポシスピンで処理された際に70%超低減した。これらの結果により、アディポシスピンが脂肪細胞変換を阻害することができるということが示唆された。
本明細書中に引用され又は記載されている全ての特許、公開、科学論文、ウェブサイト、及び他の文献及び資料は、本発明が関与する技術分野における当業者の技術レベルを指し、そうした参考文献及び資料の各々は、個々にその全てを引用することにより援用される場合又はその全てを本明細書中に記載される場合と同じ程度に援用される。出願人は、当該明細書中に、かかる特許、公開、科学論文、ウェブサイト、電気的に利用できる情報、及び他の参考資料又は文献のいずれかから、あらゆる物質及び情報を物理的に援用する権利を留保する。
本特許の明細書は、特許請求の範囲の全てを含む。さらに、全ての出願当初の特許請求の範囲並びにあらゆる優先権書類に記載される特許請求の範囲の全てを含む特許請求の範囲の全ては、本明細書に援用され、そして出願人は、物理的に本出願の明細書又は他の部位にそうした全ての特許請求の範囲を取り込む権利を留保する。こうして、例えば、いかなる状況でも、請求項の的確な言葉使いが、本特許の明細書に正確に記載されていないという主張に基づいて請求項に記載されていないと解釈されることはない。
特許請求の範囲は、法律に従って解釈されるであろう。しかしながら、特許請求の範囲又はその一部の解釈が容易又は困難であるとされているにもかかわらず、いかなる状況においても、出願の係属中、又は出願が特許になる間、特許請求の範囲又はそのいずれかの部分の調整又は補正は、従来技術の一部を形成しているものではないあらゆる均等物に対する権利を没収されるものとして解釈されることはない。
本明細書中に開示された特徴の全ては、どの組合せで混合されてもよい。こうして、そうではないと明確に記載されない限り、開示される特徴の各々は、一般的な一連の均等又は類似の特徴のほんの一例である。
本発明が、その詳細な説明において記載される一方、前述の記載は、本発明の範囲を例示することを意図し、そして発明の範囲(それは添付の特許請求の範囲により定義されるものである)を制限することを意図しない。こうして、前述の記載から、具体的な実施態様が、例示の目的のため本明細書中に記載されているが、種々の改変が、本発明の精神及び範囲から逸脱することなくなされうるということが認められるであろう。他の態様、利点、及び改変は、添付の特許請求の範囲の範囲内であり、そして本発明は、添付の特許請求の範囲によるものを除いて制限されることはない。
本明細書中に記載される具体的な方法及び組成物は、好ましい実施態様を表すものでありかつ例示であり、そして本発明の範囲の制限するものとして意図されることはない。他の対象、態様、及び実施態様は、明細書について検討すれば、当業者が思いつくであろうし、そして特許請求の範囲により定義される発明の精神の内に包含される。様々な置換及び改変が、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく本明細書中に開示される発明についてされうるということが、当業者に容易に明らかであろう。本明細書中に例示的に記載される発明は、本明細書中に必須なものとしてとして具体的に開示されていないいずれかの構成要素(単数又は複数)、或いは制限(単数又は複数)がない状態で実行されてもよい。こうして、例えば、本明細書中の各場合、並びに本発明の実施態様又は実施例の記載において、「含む(comprising, including, containingなど)」は、拡張的かつ無制限に読まれるべきである。本明細書中に例示的に記載される方法は、ステップの順番を変えて適切に行われてもよく、そうして、それらは必ずしも本明細書又は特許請求の範囲に記載されるステップの順番に必ずしも限定されるわけではない。
使用される用語及び表現は、説明の用語として使用されており、そして制限の用語として使用されず、そしてかかる用語及び表現の使用において、示されそして記載された特徴の均等物又はその一部を除くことを意図するものでなく、そして種々の改変が、特許請求される発明の範囲内で可能であるということが理解される。こうして、本発明は、種々の実施態様及び/又は好ましい実施態様、及び任意の特徴により具体的又は一般的に開示され得るが、本明細書中に開示された概念のあらゆる改変及び変更であって、当業者がなすことができるものが、添付の特許請求の範囲により定義される本発明の範囲内であるということが理解されるであろう。
本発明は、本明細書中に広くそして一般的に記載されている。狭い範囲、並びに一般的な開示内に記載されている亜類の各々もまた本発明の一部を形成する。これは、切り出された構成要素又は条件が具体的に本明細書中に列挙されているかに関わらず、類から主題のいずれかを取り除く但し書き又は消極的限定を有する本発明の一般的な記載を含む。
本明細書及び添付の特許請求の範囲に使用されるとき、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明らかにそうでないと記載しない限りは、複数形を含み、そして名詞の後につく「s」という文字は、その名詞の複数形及び単数形の両方を指す。「又は」という用語は、ほかに記載されない限り、一つの接続詞として本明細書中で使用されるとき、「及び/又は」を意味する。「含んでいる」という用語及び関連する用語、例えば「含む」は、本明細書中に使用されるとき、非制限的であり、そして具体的に列挙された要素に加えて他の要素の存在を許容する。加えて、特徴又は態様がマーカッシュ群で記載される場合、当業者は、マーカッシュ群のメンバーの個々のメンバー又はサブグループの全てについて記載されていると認めるであろう。
他の実施態様は、添付の特許請求の範囲の範囲内である。いかなる状況にあっても、当該特許は、本明細書中に具体的に及び/又は明確に開示された具体的な実施例又は実施態様又は方法に限定されると解釈すべきではない。いかなる場合も、審査官又は特許庁の職員によりなされる陳述が具体的であり、かつ出願人による応答において明らかに採用された限定又は留保がない限り、当該特許は、そうした陳述により限定されると解釈されない。
図1は、脂肪変換の間に誘導される低分子量の脂肪細胞分泌性タンパク質の2次元電気泳動(2DE)分離を示す。分化誘導の8日後、サブコンフルエントの3T3-L1前脂肪細胞又は脂肪細胞をPBSで3回洗い、次に無血清DMEMで4時間インキュベーションした。当該培地を収集し、濃縮し、そして各サンプルから得た50μgのタンパク質を、2DEにより分離し、そして銀染色で可視化し、そして脂肪細胞から選択的に分泌されるタンパク質を矢印で示した。 図2は、逆相HPLC及びアミノ酸シーケンスによる新規の脂肪細胞分泌産物のマイクロキャラクタライゼーションを示す。図1からえられる脂肪細胞特異的タンパク質に対応するスポットを、多重クマシー・ブリリアント・ブルー染色されたゲルから切り出して、ペプチドを分画し、そして表は、示されたRP・HPLC分画についてのアミノ酸配列を示す。 図3は、アディポシスピンの配列分析を示し、ここで(A)はマウス・アディポシスピンのアミノ酸配列であり、(B)は、マウス・アディポシスピンの模式的な図であり、そして(C)はマウス・アディポシスピンのシステイン様ドメインとマウスシステインCの配列比較である。 図4は、トランスフェクションされたCOS7細胞から分泌されるアディポシスピンを示す。COS7細胞は、COOH末端でFLAG標識された全長アディポシスピンをコードし、そしてDMEM中で48時間成長させた。細胞培養培地を次に収集し、そしてVivian濃縮器(分子量カットオフ5000Da)を使用して濃縮した。いずれかの細胞ペレット又は培地から得た20μgのタンパク質を、SDS-PAGEで分離し、そして抗-FLAGモノクローナル抗体又は抗βチューブリンモノクローナル抗体でプローブした。アディポシスピンは、細胞培地中で容易に検出できる一方、βチューブリンは検出することができなかった。 図5は、アディポシスピンmRNAの分化依存性の発現を示す。全RNAを、ホルモン分化誘導後指示された時間点で、NIH 3T3細胞から又は3T3-L1細胞から精製した。各サンプルから得た10μgの全RNAを、32P標識されたアディポシスピンDNAを使用してノーザンブロット分析にかけた。RNAロードについてのコントロールとして、18S RNAハイブリッド形成シグナルをアディポシスピンと平行して示した。 図6は、肥満体マウス(ob/ob)におけるアディポシスピン遺伝子発現の異常調節を示す。10μgの痩せ型(ob/+)又は肥満体(ob/ob)から得た10μgの全RNAを、ノーザンブロット分析により分析した。同じ膜を、アディポシスピン及びアディポネクチンに対する32P標識DNAでプローブした。図5の様に、18S RNAハイブリッド形成シグナルをRNAロードのコントロールとして示した。 図7は、アディポシスピンが3T3 L1前脂肪細胞の分化を抑制するということを示す。図4と同様にFLAG標識アディポシスピンを一過的にトランスフェクションされたCOS7細胞をから精製した。3T3 L1細胞を20μg/mlのFLAG標識アディポシスピンの不存在下での分化を誘導した(結果をAに示す)。又は20μg/mlのFLAG標識アディポシスピンの存在下で分化を誘導した(結果をBに示す)。ここで各スライドを分化誘導6日目で行った。細胞をオイルレッドOで染色し、そして光学顕微鏡により可視化した。 図8は、アディポシスピンが、脂肪細胞における脂肪細胞特異的遺伝子産物の発現を阻害し、ここで3T3 L1細胞を20μg/ml・FLAG標識アディポシスピンの不存在下(レーン1)又は存在下(レーン2)で分化させた。図7の様に、分化誘導後6日でスライドを取り、ここでこれらの細胞から得た10μgの全RNAを、図5と同様にノーザンブロットをし、そしてPPARγ又はGLUT4に対応する32P-標識cDNAでプローブすることにより分析した。 図9は、マウス、ラット、ヒト、及びトリアディポシスチンの配列を示す。 図10は、ヒト及びトリアディポシスチンのタンパク質配列を示す。

Claims (30)

  1. 以下の:
    (a) 配列番号1のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
    (b) 配列番号2のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
    (c) 厳格な条件下で(a)及び/又は(b)のポリヌクレオチド又はその相補体にハイブリッド形成するポリヌクレオチド;及び
    (d) (a)、(b)、又は(c)で定義される配列の遺伝コードの結果として縮重するポリヌクレオチド配列
    からなる群から選ばれるポリヌクレオチドを含む、組換え発現ベクター。
  2. 請求項1に記載のベクターでトランスフェクションされた細胞。
  3. 前記細胞が真核細胞又は哺乳動物細胞である、請求項2に記載の細胞。
  4. アディポシスピン・タンパク質、ペプチド、又は融合タンパク質を産生する方法であって、遺伝子操作されて増加量のアディポシスピン・タンパク質、ペプチド、又は融合タンパク質を産生する組換え細胞を培養することを含む、前記方法。
  5. 配列番号1、配列番号2、又はそれらのいずれかの生物活性又は免疫原性断片を含む、単離又は組換えポリペプチド。
  6. 前脂肪細胞の脂肪細胞への変換を抑制する、請求項5に記載のアディポシスピン・ポリペプチド。
  7. 前記ポリペプチドが、配列番号1又は2に少なくとも90%同一である30個のアミノ酸配列を有する、請求項5に記載のポリペプチド又は断片。
  8. 請求項5に記載のポリペプチドを含む融合タンパク質。
  9. 配列番号1又は配列番号2をコードするポリペプチドに相補的な少なくとも15の連続塩基を含む、ポリヌクレオチド・プライマー、プローブ、アンチセンス・オリゴヌクレオチド、又はリボザイム。
  10. 請求項5に記載のポリペプチドに特異的に結合する、抗体又はその結合性断片。
  11. 請求項10に記載の抗体を分泌することができる単離された細胞。
  12. サンプル中のアディポシスピン遺伝子産物を検出する方法であって、以下の:
    (a) 当該サンプルを当該遺伝子産物に結合するプローブと接触させ、ここで当該プローブと当該遺伝子産物が複合体を形成し、そして当該複合体の形成を検出するステップ;又は
    (b) 当該生物サンプル中の遺伝子産物を特異的に増幅し、ここで当該遺伝子産物がポリヌクレオチドであり、そして増幅産物を検出するステップ
    を含み、ここで当該複合体の形成又は増幅産物の存在が、生物サンプル中のアディポネクチン遺伝子産物の存在と相関する、前記方法。
  13. アディポシスピン活性の調節物質を同定する方法であって、アディポシスピン及び試験化合物の存在下で細胞を接触させ、そして当該試験化合物の存在下で生じるが、当該試験化合物の不存在下では生じない生物学的効果を測定することを含み、ここで生物学的効果を誘導する試験化合物が、アディポシスピン活性の調節物質として同定される、前記方法。
  14. 前記生物学的効果が、前脂肪細胞の脂肪細胞への変換の抑制である、請求項13に記載の方法。
  15. 哺乳動物においてアディポシスピン媒介性の症状を治療する方法であって、哺乳動物の細胞又は組織中のアディポシスピンの活性又は発現を調節する薬剤を投与することを含む、前記方法。
  16. 請求項5に記載されるアディポシスピン・ポリヌクレオチド並びに医薬として許容される賦形剤、担体、共活性剤、及び希釈剤からなる群から選ばれる1以上の物質を含む、医薬組成物。
  17. アディポシスピン・ポリペプチドを含む組成物であって、当該アディポシスピン・ポリペプチドが組換え、単離、精製、又は合成ポリペプチドである、前記組成物。
  18. 1μg/ml〜20μg/mlの血漿アディポシスピン・ポリペプチド濃度を誘発するために有効な、請求項16に記載の組成物。
  19. 1.9μg/ml〜17μg/mlの血漿アディポシスピン・ポリペプチド濃度を誘発するために有効な、請求項16に記載の組成物。
  20. 病状の存在、又は病状を発達させる素因の存在を個体において診断する方法であって、個体におけるアディポシスピン・ポリペプチド・レベルを測定し、そして当該レベルを、当該病状を患わない個体を示すレベルと比較することを含み、ここでレベルの違いが、当該疾患の存在又は当該疾患を発達させる傾向を指し示す、前記方法。
  21. 前記病状が、高血糖症、インスリン抵抗性、二型糖尿病、肥満、高血圧、アテローム硬化症、冠状動脈性心臓病、虚血性心疾患、多嚢胞卵巣症候群、及びインスリン抵抗性に付随する代謝症候群から選ばれる、請求項20に記載の方法。
  22. 前記評価方法が、電気泳動、HPLC、又は質量分析を利用する、請求項20に記載の方法。
  23. アディポシスピン調節異常に付随する病状を治療する方法であって、アディポシスピン・ポリペプチドを含む医薬として許容される組成物の有効量を投与することを含む、前記方法。
  24. 以下の:
    (i) アディポシスピン・ポリペプチド制御に関連する病状の治療における;
    (ii) インスリンの効果を高めるための;或いは
    (iii) 肥満、又は脂肪重量の増加に付随する状態を阻害するための
    哺乳動物患者に有用である投与単位又は医薬組成物若しくは医薬の製造における、アディポシスピン・ポリペプチドの使用であって、医薬として許容される賦形剤、共活性剤、希釈剤、及び格納容器を伴うか又は伴わない、前記使用。
  25. ヒト又は他の哺乳動物に投与又は自己投与されるとき、脂肪組織の量又は体重を低減するために十分であるアディポシスピン・ポリペプチドの有効量をデリバリーできる製剤又は投与形態。
  26. 前記アディポシスピン・ポリペプチドが、ヒト・アディポシスピンである、請求項25に記載の製剤又は投与形態。
  27. 肥満若しくは脂肪組織量の増加、及び/又は肥満若しくは脂肪組織量の増加の特徴のいずれかを予防し及び/又は逆行させる哺乳動物の治療方法であって、当該対象に、アディポシスピン及び/又はそのアゴニストを投与することを含む、前記方法。
  28. アディポシスピン・ポリペプチド、及び/又はアディポシスピン・アゴニストを含む容器;並びに肥満若しくは脂肪組織量の増加及び/又は肥満若しくは脂肪組織量の増加の特徴のいずれかを治療し、予防し、又は逆行させるためにそれらを使用するための説明書を含む、製品。
  29. 血中又は組織中のアディポシスピン濃度を測定することを含む、哺乳動物においてアディポシスピンを計測する方法。
  30. 前記濃度が、ラジオイムノアッセイ(RIA)及び/又はELISAなどの免疫学的方法により測定される、請求項29に記載の方法。
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