JP2008501857A - 銅とゲルマニウムとを含んだ銀合金の完成または半完成の製品を製造するための方法 - Google Patents

銅とゲルマニウムとを含んだ銀合金の完成または半完成の製品を製造するための方法 Download PDF

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Abstract

銀合金の完成もしくは半完成の製品を製造するための方法であって、77wt%以上の銀と、銅と、好ましくは0.5wt%以上であって曇りおよび/もしくは火焼けを低減するために有用であるゲルマニウムとを含む銀合金を準備するステップと、前記銀合金の前記完成もしくは半完成の製品を、少なくとも焼き鈍し温度まで加熱することによって製造もしくは処理するステップと、前記製品を徐ろに冷却するステップと、前記製品を再加熱して、前記製品を析出硬化させるようにするステップとを含む方法。焼き入れ工程を回避することで、製品に損傷を与えるリスクを軽減する。
【選択図】なし

Description

本発明は、銀合金の完成もしくは半完成の製品を製造するための方法に関し、さらに上述の方法によって製造された製品にも関する。
熔融した銀と銅は、あらゆる比率で互いに完全に融け合う。しかし、約2%〜27%の範囲で銅を含む合金の場合には、固化させてから顕微鏡で検査してみると、分離した二種の成分が観られる。そのうちの一方はほぼ100%の銀であり、もう一方は融点華氏1435度(780℃)の銀-銅「共晶」(銀71.9%、銅28.1%)である。標準スターリング銀を冷却すると、固化したスターリング銀中に上述した成分が両方とも存在していることが検鏡分析からわかる。この合金は華氏1640度(890℃)では完全に液化しており、華氏1435度(780℃)では完全に固化している。しかしながら、固体合金中の銅の熔解性の程度は、用いる熱処理に依存するので、スターリング銀の全体的な物性は、この銀を異なる温度で加熱したことから影響を受けるだけにはとどまらず、異なる冷却速度を用いることからも大きな影響を受ける。
通常、銀合金は加工しやすい柔軟な合金として供給される。加熱処理を行って、硬度を高める(と共に延性を減じる)ことができる。析出硬化法として知られる方法は、銅を固溶体から析出させるように銀の加熱と冷却を行い、二元微細構造をつくるようにする方法である。このようなタイプの構造は硬度が高いが、加工するのが困難でもあり、且つ罅が入りやすい。従来技術に係るスターリング銀の析出硬化は、以下のようにして行うことができる。即ち、(a) 合金を775℃以上に加熱し、(b)合金をその温度に15〜30分間曝して焼き鈍しを行い(則ち、すべての銅を銀中に融け込ませるということ)、(c)冷水に浸して素早くクエンチ(焼き入れ)して、硬化させるにあたって邪魔なCuリッチな粗析出物の生成を阻害し、(d)軟らかくなった合金を例えば300℃で30〜60分間に亘り再加熱して、硬化させるにあたって有益である非常に微細でCuリッチな粒子を生成させて、(e)大気中で放冷する。必要となる焼き鈍し温度は非常に高く、これは融解が始まる温度に近い。さらには、実際の製造においては、製造する製品が歪む危険および/もしくははんだづけをした熔接部に損傷が生じる危険があるので、仕上げ間近まで加工した銀片の焼き入れを、銀細工職人が安全に行えることはまず無い。このために、銀細工職人はスターリング銀の析出硬化については冶金学的な興味しか抱いていないのが実情である。このような手法を、宝飾品、銀板金(silver plate)、および食器類などといった製品の商業的または工業的な生産に用いるのはあまりに困難であり(Fischer-Buhner, "An Update on Hardening of Sterling Silver Alloys by Heat Treatment", Proceedings, Santa Fe Symposium on Jewellery Manufacturing Technology, 2003, 20-47 at p.29 を参照のこと)、また、製造される一般的なスターリング銀は70Vickers以上の硬度を有しているため、そもそもこのような手法を必要としないということもある。高いVickers硬度を持つ合金は、析出硬化法では無く、加工硬化法(work hardening)を使って得られるものである。
特許GB-B-2255348(Rateau, Albert and Johns; Metaleurop Recherche)では、Ag-Cu合金に固有の硬度と光沢を維持しつつ、銅成分の酸化傾向により生じる問題を低減するような新規な銀合金を開示している。この合金はAg-Cu-Geの三元合金であり、92.5wt%以上のAgと、0.5〜3wt%のGeと、不純物を除いた残余分として銅を含む。この合金は、従来技術に係る製造、変形、および仕上げの加工をしている間に外気中で錆びることが無く、また、冷却時に容易に変形させることができ、また、容易に鑞づけでき、また、鋳造時に大
きく収縮することが無い。さらに、この合金は優れた延性と引っ張り強度も示す。ゲルマニウムがこの新規な合金が呈する特性の有用な組み合わせによる保護機能を与えていたことが示され、銀の相と銅の相の双方に固溶していた。この合金の微細構造は、銀中のゲルマニウム=銅固溶体が、少量の金属内CuGe相分散質を含んだ銅中の繊維状ゲルマニウム=銀固溶体に取り囲まれているという二相構造であったと述べられている。この銅リッチ相中のゲルマニウムが、 GeO および/もしくは GeO2 の保護薄膜を形成することによってその相の表面酸化を阻害し、鑞づけおよび火炎焼き鈍しの作業中に外観が火焼け(firestain)することを抑制した、と述べられている。さらにまた、ゲルマニウムを添加することによって、曇りの進行を大幅に遅らせることができ、表面が黒よりも若干黄みがかったようになって、曇りを普通の水道水で容易に除去できた。硬度が向上することについては、伸展性の減少(de-tensioning)のためであると説明されており、例えばこの合金を500℃で加熱して、その後にこの合金を400℃以下(例えば200度)の「低温焼き鈍し」温度("low annealing" temperature)で2時間に亘って加熱することで、Vickers硬度を約140にすることができると言われている。しかしながら、焼き鈍し温度まで加熱した後に焼き入れするステップを省きつつこのような硬度をどうやって得ているのかについての示唆が無く、また、仕上げ間近の加工でどうやって硬度を増強するのかについての示唆も無い。
特許US-A-6168071 および EP-B-0729398 (Johns)は、銀を77wt%以上含み、ゲルマニウムを0.4〜7%含み、不純物を除く残りが主に銅であって、さらに0ppmよりも多く20ppmよりも少ない濃度の硼素元素を結晶微細化剤として含むような銀/ゲルマニウム合金を開示している。この合金の硼素含量は、2wt%の硼素元素を有する銅/硼素のマスター合金中の硼素を与えることによって実現できた。このような低濃度の硼素により、銀/ゲルマニウム合金を良好に結晶微細化することができ、硼素を含まない銀/ゲルマニウム合金に較べて、より大きな強度と延性を合金に加えることができたと報告されている。この合金中の硼素は、宝石商がはんだづけを行う温度においてさえも結晶成長を抑え、また、この合金の試料を、従来技術に係る合金では合金中の銅/ゲルマニウム共晶が融け出す温度までくりかえし加熱しても、孔蝕(pitting)に抵抗性を持つと報告された例もある。二つの元素の自由表面(free surfaces)の間に充填物質を用いること無く、合金の個々の元素の間に強靭で美的に満足である熔接部(joint)をつくることができ、また、拡散法(diffusion process )もしくは抵抗熔接(resistance welding)もしくはレーザー熔接の技術によって、突き合わせ熔接部(butt joint)または重ね熔接部(lap joint)をつくることができた。スターリング銀の熔接と比較すると、上述した合金の熔接では結晶粒の大きさの平均値が小さくなっており、熔接における変形性および延性が改善されている。したがって品位830合金は、プラズマ熔接ができ、且つ、研磨に砥石を要しない。この文献にも、仕上げ間近の加工において析出硬化を安全に実施できるかということについての開示や示唆は存在していない。
Argentium(商標)スターリング銀は、92.5 wt%のAgと、1.2wt%のGeと、その残りとして銅と結晶微細化剤としての約4ppmの硼素とを含む。The Society of American Silversmithsではウェブサイトを置き、Argentium(商標)として知られる上述した合金の営業を行っており、そのウェブアドレスは http://www.silversmithing.com/1argentium.htm である。ここでは、Argentiumスターリングを(焼き鈍し温度まで加熱し、焼き入れすることによって)析出硬化可能であることを開示しており、家庭用オーブンで得られる温度(例えば、約2時間に亘り華氏450度(232℃)、もしくは約30分間に亘り華氏570度(299℃))で再加熱することによって、最終的な硬度を倍増させることが可能であることを示している。さらに、この硬度の高い合金を、従来技術に係る焼き鈍し(即ち、焼き鈍し温度まで加熱してから焼き入れすること)で軟化させることが可能であって、必要であればその後に再度硬化可能であることも開示されている。しかしながらこの文献では、仕上げ間近の作業において析出硬化法が適切であるのかについての示唆が無く、また、はんだづけした熔接部が歪んだり損傷を受けたりする問題をどうやって回避しているのかについての
示唆も無い。
US-A-6726877(Eccles)は、特に焼け曇り(fire scale)への耐性を謳った加工硬化可能な宝飾用銀合金組成物を開示しており、この合金は、81〜95.409wt%のAgと、0.5〜6wt%のCuと、0.05〜5wt%のZnと、0.02〜2wt%のSiと、重量比で0.01〜2wt%のBと、0.01〜1.5wt%のInと、0.01wt%以上であって2.0wt%を超えないGeとを含む。このゲルマニウム成分によって、従来技術に係る0.925銀合金が示す類の加工硬化特性と、それと共に、1994年06月以前に公知であった火焼け耐性合金が謳う火焼け耐性をも合金に与えることができると主張されている。この合金中のGeの量は約0.04〜2.0wt%であって、これによってゲルマニウムを含まない類の火焼け耐性合金に較べて修正された加工硬化特性を得ていると主張されている。しかし、この加工硬化特性はゲルマニウムの増加分に対して線型では無く、また、加工の程度に対しても硬化の程度が線型にならない。この合金のZn成分がこの合金の色を与えており、さらには酸化銀と酸化銅の還元剤としても機能し、その含量は好ましくは2.0〜4.0wt%である。この合金のSi成分は、好ましくは用いたZnの含量に比例するように調整され、好ましくは0.15〜0.2wt%である。焼き鈍しの後の析出硬化については開示されておらず、且つ、この合金の仕上げ間近の加工において、はんだづけした熔接部が歪んだり損傷を受けたりする問題をどうやって回避しているのかについての開示も示唆も無い。
背景技術として、US-A-4810308(Leach & Garner)は、硬化可能な銀合金を開示しており、これには90%以上の銀と、2.0%以上の銅と、リチウム、錫、およびアンチモンから成る群から選択される少なくともひとつの金属とを含む。また、この銀合金は、0.5wt%を上限としてビスマスも含む。好ましくは、この合金を含んだ金属を組み合わせて、華氏1250〜1400度(676〜760℃)以上の温度まで、例えば2時間に亘り加熱して合金を焼き鈍して固溶体とする。実施例で使われていた温度は1350°(732℃)であった。その後、焼き鈍した合金を外気温(周囲温度)まで素早く冷却して焼き入れを行う。その後に、華氏300〜700度(149〜371℃)まで所定の時間に亘り再加熱して時効硬化を行った後、時効硬化させた合金を外気温まで冷却することもできる。この時効硬化させた合金の硬度は、従来技術に係るスターリング銀のそれよりも実質的に高く、典型的には100HVN(Vickers硬度数)であって、さらには昇温することによって比較的軟らかい状態に戻すこともできる。US-A-4869757(Leach & Garner)の開示も同様である。この双方の事例においては、開示されている焼き鈍し温度が、Argentiumのそれよりも高くなっており、また、いずれの文献にも火焼けもしくは曇りに抵抗性を持つ合金は開示されていない。本発明者は、これらの特許に開示された方法が商業的な生産に使われている例を見たことが無く、また、繰り返しになるが、硬化を仕上げ間近の加工においてどうやって行うのかが開示されていないと考える。
Steraliteという名の銀合金が、US-A-05817195および5882441に含まれているとされており、これは高い耐曇性と耐腐蝕性を示すと言われている。US-A-5817195(Davitz)は、90〜92.5wt%のAgと、5.75〜5.5wt%のZnと、0.25wt%以上であって1wt%未満のCuと、0.25〜0.5wt%のNiと、0.1〜0.25wt%のSiと、0.0〜0.5wt%のInとを含む。US-A-5882441(Davitz)は、90〜94wt%のAgと、3.5〜7.35wt%のZnと、1〜3wt%のCuと、0.1〜2.5wt%のSiとを含む。同様の多量の亜鉛と少量の銅の合金がUS-A-4973446(Bernhard)に開示されており、この合金は火焼けを軽減し、空隙率(porosity)が少なく、且つ結晶粒径が小さいという特性を示すと言われている。これらの文献のいずれにおいても、焼き鈍しもしくは析出硬化法については考察されていない。
ここでわれわれは、焼き鈍し温度まで加熱したAg-Cu-Ge合金の加工物(workpieces)を、徐ろに冷却した後に徐ろに再加熱することで析出硬化の作用が得られ、こうした有用な硬度を持つ製品を得ることができる、ということを発見した。析出硬化を進行させるため
の再加熱に使用する温度は、例えば180〜350℃、好ましくは250〜300℃が典型である。重大なこととして、析出硬化の間のAg-Cu-Ge合金の過時効(over-aging)によって、得られた硬度が大幅に下落することは無いということがわかった。加工物を処理するための新規な方法は、例えば、メッシュベルトコンベア炉内またはインベストメント鋳造でのはんだづけもしくは焼き鈍しの一部として適用することができ、また、上述したようにAg-Cuスターリング銀では必要であって且つ上述したように製品に歪みもしくは損傷を与える可能性がある(例えば)水での焼き入れを行わずに済むため、仕上げ間近の加工にも使うことができる方法である。この方法は、GB-B-2255348に開示されているような類の一般的な合金にも適用することができる。また、比較的多量のゲルマニウム成分を含んだ合金、ならびに、少量のゲルマニウム成分と比較的多量の亜鉛成分および珪素成分を含んだ合金を含むような、US-A-6726877に開示された合金のうちのいくらかもしくはすべてについても、この方法を適用できると考えられる。
本発明は、銀合金の完成もしくは半完成の製品を製造するための方法であって、
77wt%以上の銀と、銅と、0.5wt%以上であって曇りおよび/もしくは火焼けを有効に軽減するゲルマニウムとを含む銀合金を準備するステップと、
前記銀合金の前記完成もしくは半完成の製品を、少なくとも焼き鈍し温度まで加熱することによって製造もしくは処理するステップと、
前記製品を外気温まで徐ろに冷却するステップと、
前記製品を再加熱して、前記製品を析出硬化させるようにするステップと
を含む方法を提供する。
上述の方法は、従来技術に係るスターリング銀合金と、或るときは他のAg-Cu二元合金、また或るときはAg-Cu-Ge合金との驚くべき差異に基づくものであって、この差異というのは、一方では二元スターリング型の合金を徐ろに冷却したときには粗く析出されごく限られた析出硬化をしたという結果になり、他方ではAg-Cu-Ge合金を徐ろに冷却したとき(特に結晶微細化剤の有効量を含んでいるとき)には微細な析出をして有用な析出硬化が起ったという結果になった、ということである。徐冷却(gradual cooling)には、製品を水もしくは他の冷却用液体に浸す際などのあらゆる急冷ステップを回避することが含まれ、且つ、通常は、10秒よりも長い時間をかけて外気温まで冷却することを指し、好ましくは15秒よりも長い時間をかけることを指す。メッシュベルトコンベア炉で、鑞づけおよび/もしくは焼き鈍しにかける加工物を処理する間に、炉の出口へ向ってこの加工物を移動させることで、徐冷却による制御が可能である。また、インベストメント鋳造を行う間に、鋳造する加工物を大気中で放冷して外気温まで冷却することができる場合には、鋳型を低熱伝導率の物質にすることで熱の発散速度を調整して、制御を行うことが可能である。
US 6726877に開示された合金の完成もしくは半完成の製品に適用する場合には、本方法は下記のステップを含み、即ち、
86wt%以上のAgと、0.5〜7.5wt%のCuと、ZnおよびSiの混合物(ただし、前記Siは約0.02wt%〜約2.0wt%の範囲で存在する)を0.07〜6wt%と、約0.01wt%以上であって3.0wt%を超えないGe(好ましくは2.0wt%を超えないGe)とを含む銀合金を準備するステップと、
前記合金の前記完成もしくは半完成の製品を、少なくとも焼き鈍し温度まで加熱することによって製造または処理するステップと、
前記製品を徐ろに冷却するステップと、
前記製品を再加熱して、前記製品を析出硬化させるようにするステップと
を含む。
〔上述の方法において使用できる合金〕
本発明によって処理できる合金には、77wt%以上の銀の合金であって、銅と、火焼けお
よび/もしくは曇りを低減するために有効な量のゲルマニウムとを含んだ合金、が含まれる。本発明者は、0.5wt%のGeが好ましい下限であると考えており、また、実地での使用には1wt%未満は望ましくなく、1〜1.5wt%の量が好ましいと考えている。
本発明に係る方法で適切に処理できるような、Ag-Cu-Ge三元合金、およびAg-Cu-Zn-Ge四元合金は、好ましくは80wt%以上、より好ましくは92.5wt%以上であって上限が98wt%を超えず好ましくは97wt%を超えないような銀成分を有するものである。このAg-Cu-(Zn)-Ge合金のゲルマニウム成分は、合金の重量に対して0.5wt%以上、より好ましくは1.1wt%以上、最も好ましくは1.5wt%以上であって、その上限は好ましくは3wt%を超えないものとすべきである。銅に換えて用いることができる合金用の主な成分としては、亜鉛に加えて、Au、Pd、およびPtがある。他の合金用の成分を、Al、Ba、Be、Cd、Co、Cr、Er、Ga、In、Mg、Mn、Ni、Pb、Si、Sn、Ti、V、Y、Yb、およびZrから選択されたものから選択することができ、火焼けおよび曇りへの耐性に関するゲルマニウムの作用に対して、過度に不都合な影響を及ぼさないようにする。ゲルマニウムと、付随的な成分の元素との重量比は、100:0〜60:40の範囲、好ましくは100:0〜80:20の範囲とすることができる。現在市販されているAg-Cu-Ge合金(Argentiumなど)には、付随的な成分は添加されていない。
Ag-Cu-Ge三元合金の、不純物、付随的な成分、およびすべての結晶微細化剤を除いた残余分は銅であって、その量は合金の重量に対して0.5wt%以上、好ましくは1wt%以上、より好ましくは2wt%以上、最も好ましくは4wt%とすべきである。「品位800」の三元合金では、例えば、銅の含量を18.5%とするのが適切である。銅とゲルマニウムの双方が存在しないときには、再加熱による硬化はおそらく観られないということが発見されている。
Ag-Cu-Zn-Ge四元合金の、不純物、およびすべての結晶微細化剤を除いた残余分は銅と亜鉛であって、銅の量はここでも合金の重量に対して0.5wt%以上、好ましくは1wt%以上、より好ましくは2wt%以上、最も好ましくは4wt%とすべきであり、また、亜鉛は銅との重量比が1:1を超えないような量とするべきである。したがって、亜鉛は、この銀-銅合金中に銅成分の重量の0〜100%の量で任意に存在する。「品位800」の四元合金では、例えば、銅の含量を10.5%、亜鉛の含量を8%とするのが適切である。
銀、銅、およびゲルマニウム、ならびに任意である亜鉛といった成分に加えて、これらの合金には、合金を処理している間に結晶が成長することを防ぐための結晶微細化剤を含ませることが好ましい。適切な結晶微細化剤としては、硼素、イリジウム、鉄、およびニッケルが含まれ、特に硼素が好ましい。好ましくは硼素である結晶微細化剤は、Ag-Cu-(Zn)-Ge合金中に合金の重量に対して1ppm〜100ppm、好ましくは2ppm〜50ppm、より好ましくは4ppm〜20ppmの範囲で存在することができ、非常に典型的な場合には硼素が1〜10ppm(例えば4〜7ppm)存在する。
好ましい実施形態においては、合金は三元合金であって、不純物とすべての結晶微細化剤を除き、合金の重量に対して80wt%〜96wt%の銀と、0.1wt%〜5wt%のゲルマニウムと、1wt%〜19.9wt%の銅とを含む。より好ましい実施形態においては、合金は三元合金であって、不純物と結晶微細化剤を除き、合金の重量に対して92.5wt%〜98wt%の銀と、0.3wt%〜3wt%のゲルマニウムと、1wt%〜7.2wt%の銅とを含み、さらに結晶微細化剤として1ppm〜40ppmの硼素を含む。さらなる好ましい実施形態においては、合金は三元合金であって、不純物と結晶微細化剤を除き、合金の重量に対して92.5wt%〜96wt%の銀と、0.9wt%〜2wt%のゲルマニウムと、1wt%〜7wt%の銅とを含み、さらに結晶微細化剤として1ppm〜40ppmの硼素を含む。特に好ましい三元合金は、Argentiumという名で市販されており、92.5〜92.7wt%のAgと、6.1〜6.3wt%のCuと、約1.2wt%のGeとを含む。
上記で説明したように、US 6726877で開示されている合金は、86wt%以上のAgと、0.5〜
7.5wt%のCuと、ZnおよびSiの混合物(ただし、Siは約0.02〜約2.0wt%の範囲で存在する)を0.07〜6wt%と、約0.01wt%以上であって3.0wt%を超えないGe(好ましくは2.0wt%を超えないGe)とを含む。いくつかの実施形態においては、92.5wt%以上の銀が存在し、且つ、2〜4wt%のCuが存在してもよく、且つ、好ましくは2〜4wt%のZnが存在し、且つ、0.02〜2wt%のSiが存在し、且つ、0.04〜3.0wt%のGeが存在する。また、これらの合金には3.5wt%を上限として、In、B、ならびにInおよびBの混合物(例えば約2wt%を上限とするBと、1.5wt%を上限とするInとの混合物)から成る群から選択される少なくとも一種の添加物を含むことができ、さらには0.25〜6wt%のSnを含むこともできる。或る特定の種類の合金には、81〜95.409wt%のAgと、0.5〜6wt%のCuと、0.05〜5wt%のZnと、0.02〜2wt%のSiと、0.01〜2wt%のBと、0.01〜1.5wt%のInと、0.01〜3wt%のGeとが含まれる。もうひとつの種類の合金には、75〜99.159wt%のAgと、0.5〜6wt%のCuと、0.05〜5wt%のZnと、0.02〜2wt%のSiと、0.01〜2wt%のBと、0.01〜1.5wt%のInと、0.25〜6wt%のSnと、0.01〜3wt%のGeとが含まれる。
また、WO9622400(Eccles)に係る多量の銅を含む合金も使用することができ、これらは、2-5-19.5wt%のCuと、0.02〜2wt%のSiと、0.01〜3.3wt%のGeと、残余分として銀、付随的な成分、および不純物、に基づいたものである。こういった合金の例としては、(a) 92.5wt%のAg、7.0wt%のCu、0.2wt%のSi、および0.3wt%のGe、ならびに、(b)92.5wt%のAg、6.8wt%のCu、0.3wt%のSi、および0.2wt%のGe、および0.2wt%のSn、ならびに、(c) 83.0wt%のAg、16.5wt%のCu、0.2wt%のSi、および0.3wt%のGe、といったものが含まれる。これらの合金の場合には、焼き鈍し温度まで加熱し、大気中で徐ろに冷却し、析出硬化の効果が得られる穏やかな条件下で再加熱をした際に、ゲルマニウムと銅を併せた含有分によって、硬化する能力が向上していると考えられる。
〔成形製品もしくは組立製品〕
或る実施形態においては、製品が、成形製品もしくは組立製品(例えば、宝飾品、編み上げメッシュ、または、引き抜き加工したワイヤーから編んだチェーンもしくはメッシュ、あるいは、上述の合金から製造した板金もしくは金属管から篦絞り加工した(spun)食器類など)であって、連続式メッシュベルトコンベアのはんだづけもしくは焼き鈍し用の炉内の経路中で、はんだづけ温度もしくは焼き鈍し温度まで加熱することによって処理される。上述したこのようなコンベアは、例えばLindberg, of Watertown, WI, USA、および、Dynalab of Rochester NYから入手可能である。一般的にはこうした製品は、二つ以上の部品をはんだづけもしくは鑞づけして組み立てたものである。
焼き鈍す際には、炉ガスは、保護ガスではあっても、ゲルマニウムの表層を消耗させないようなものとすべきであって、これが消耗してしまうと合金の耐曇性が減少してしまい、また合金の火焼け耐性も減少してしまうことになる。雰囲気は、窒素、クラッキング法で生成したアンモニア(窒素および水素)、もしくは水素、とすることができる。焼き鈍し温度は、好ましくは620〜650℃の範囲内とするべきである。最高温度が680℃を超えることは望ましくない。この温度範囲での焼き鈍し時間は、30〜45分間である。
鑞づけする際には、ゲルマニウムの添加分によって、合金の融点がスターリング銀に較べて華氏で59度分(15℃分)降下するということに注意されたい。"easy"もしくは"extra
easy"の品位のはんだを使うことを推奨する。鑞づけ温度は好ましくは680℃を超えないようにし、好ましくは600〜660℃の範囲とする。使用することができる低融点はんだ(BAg-7)には、56%の銀と、22%の銅と、17%の亜鉛と、5%の錫が含まれている。BAg-7 はんだ(国際標準)は、華氏1205度(652℃)で融ける。良好な耐曇性を与えるようなゲルマニウムを含んだはんだは、UK Patent Application 03 26927.1(2003年11月19日出願、この参照により本開示に含まれる)に開示されている。600〜650℃の範囲で融ける適切なはんだには、約58wt%のAgと、2wt%のGeと、2.5wt%のSnと、14.5wt%のZnと、0.1wt%のSiと、0.14wt%のBと、残余分としてCuとが含まれ、また、実地に使用したこのはんだの変形例には
、分析値で58.15wt%のAgと、1.51wt%のGeと、2.4wt%のSnと、15.1wt%のZnと、0.07wt%のSiと、0.14wt%のBと、残余分としてCuとが含まれる。
鑞づけ炉の経路で鑞づけされる製品は、当然ながら、同時に焼き鈍されることにもなる。炉内の下流の冷却領域において、大気中で制御して徐々に放冷することにより焼き入れステップを行わないようにすることで、析出硬化を進行させることができる、ということが発見されている。この目的のためには、200〜300℃の範囲の温度(析出硬化のために最も好ましい)に、材料を少なくとも10〜15分間に亘って曝すことが望ましい。このようなやりかたで炉内で鑞づけして、徐ろに冷却した後に300℃で45分間に亘り再加熱した製品は、110〜115Vickersの硬度を得られる。
スターリング銀にとって必要なことと較べて、Argentiumスターリング銀、およびゲルマニウムを含む他の銀合金に必要なことには、焼き入れの回避による処理ステップ数の低減と、析出硬化に要するだけの穏やかな再加熱とが含まれるということに留意されたい。
〔インベストメント鋳造製品〕
Argentium鋳造用結晶(casting grain)を、従来技術に係る方法を使って融かし(固相線766℃、液相線877℃)、さらに、950〜980℃の温度、且つ、676℃を超えない鋳型温度で、保護雰囲気下、もしくは保護用の硼酸フラックスと共にして、鋳造を行った。インベストメント鋳造中の鋳型温度は例えば500〜700℃とすることができ、また、瑕疵の無い鋳造物(sound castings)は、鋳型温度に比較的鈍感であることが発見されている。比較的小さい熱伝導度を持つインベストメント材料によって、鋳造物をゆっくりと冷却することができる。
大気中で15〜20分間放冷してインベストメント鋳造を行った後に、15〜20分後にインベストメント鋳型を水中で急冷(クエンチ)することによって、Vickers硬度が約70の鋳造物が得られ、これはスターリング銀とほぼ同等の硬度である。驚くべきことに、鋳型を室温になるまで大気中で放冷することによって、さらに硬度の高い鋳造物を得ることができることが発見されており、鋳型を除いた後の鋳造物のVickers硬度は約110である。最も標準的なインベストメント除去具と、さらにはインベストメントを粉砕できる振動をする空気ハンマーを使って、インベストメントパウダーをうまく除去することができる。また、ウォーターナイフもインベストメントを除去するために使うことができる。この程度の硬度と、火焼け耐性および耐曇性とを併せ持つような鋳造物の生産については、これまでに報告された例は無い。
さらに一層驚くべきことに、スターリング銀での経験とは対照的に、必要であれば析出硬化によってさらに硬度を高めることができる。この析出硬化は、例えば鋳造物もしくは鋳造ツリー全体(whole tree)を、約300℃に設定したオーブン中に45分間置くことで行うことができ、得られた熱処理済鋳造物は125Vickersに迫る硬度を持つ。
特に、Fischer-Buhner(上述)のp.41で説明されているように、従来技術に係るスターリング銀を鋳造した後に単に鋳型をゆっくりと放冷すると、Cuリッチな粗い析出が成長し、後続する時効処理の間に析出硬化作用を得られる可能性が失われてしまう。水を使った焼き入れは、鋳造後の短い重要な範囲の時間内(典型的には鋳造後の4分間)に行うことが必要であって、焼き入れが早すぎても遅すぎても硬化作用は減少してしまう。鋳造物を鋳造ツリー(tree)上で鋳造する場合には、焼き入れに先立って、ツリー上の異なる場所で異なる冷却条件下を用いると、後続の析出硬化ステップ中にそれぞれの鋳造物の硬化特性が異なってきてしまう。これらの付加的な処理ステップと制御の困難さについての問題のすべては、本明細書中に記載したAg-Cu-Ge合金を使うことによって回避可能である。
下記の実施例を参照しながら本発明をさらに記載してゆく。
〔実施例1〜8〕
以下の表に示した合金を、列挙した成分を共に熔解させて調製し、以下に示した検査にかけた。硼素の存在が示された組成物については、約4ppmの硼素を含むものであるとして考え、改めての分析は行わなかった。銅成分を含まなかった場合を除き、ゲルマニウムを含んだ合金で非常に著しい硬度の増大が観られたことに留意されたい。銅成分を含まなかった場合には、硬化は観察されなかった。実施例4の当初は非常に軟らかいallowを、有用に硬化できたのは驚くべきことである。
Figure 2008501857
* 冷却法1: 赤熱する温度(約600℃)で焼き鈍し、大気中で放冷した後、300℃で45分間加熱した試料

冷却法2: 赤熱する温度(約600℃)で焼き鈍し、水中で焼き入れした後、300℃で45分間加熱した試料

焼き鈍し硬度: 赤熱する温度(約600℃)で焼き鈍し、大気中で放冷した後、さらなる加熱処理は行わなかった試料

** 最終的な分析結果は得られていない。表には熔融前の合金の構成を示した。
〔実施例9〜10〕
実施例9および10の合金を、下記の組成を共に熔融して調製した。

実施例9 実施例10
Ag 92.5 92.5
Cu 2.35 3.0
Zn 2.82 3.14
Si 0.19 0.15
B 0.01 0.01
In 0.23 0.2
Ge 1.9 1.0

この二種の合金を鋳造して、鋳造時のVickers硬度と、赤熱する温度(約600℃)で焼き鈍し、大気中で放冷した後、300℃で45分間加熱したときのVickers硬度とを検査した。上述した焼き鈍し法および焼き入れしない後処理をした後には硬度が上昇しており、100Vickersを超えた。
〔実施例11〜12〕
実施例11および12の合金を、下記の組成を共に熔融して調製した。

実施例11 実施例12
Ag 92.5 92.5
Cu 3.25 4.78
Zn 3.75 2.25
Si 0.2 0.2
B 0.01 0.01
In 0.25 0.075
Ge 0.04 0.125
Sn - 0.075

上記の合金を鋳造して、鋳造時のVickers硬度と、赤熱する温度(約600℃)で焼き鈍し、大気中で放冷した後、300℃で45分間加熱したときのVickers硬度とを検査した。上述した焼き鈍し法および焼き入れしない後処理をした後には硬度が著しく上昇した。
特許 GB-B-2255348(Rateau, Albert and Johns; Metaleurop Recherche)では、Ag-Cu合金に固有の硬度と光沢を維持しつつ、銅成分の酸化傾向により生じる問題を低減するような新規な銀合金を開示している。この合金はAg-Cu-Geの三元合金であり、92.5wt%以上のAgと、0.5〜3wt%のGeと、不純物を除いた残余分として銅を含む。この合金は、従来技術に係る製造、変形、および仕上げの加工をしている間に外気中で錆びることが無く、また、冷却時に容易に変形させることができ、また、容易に鑞づけでき、また、鋳造時に大きく収縮することが無い。さらに、この合金は優れた延性と引っ張り強度も示す。ゲルマニウムがこの新規な合金が呈する特性の有用な組み合わせによる保護機能を与えていたことが示され、銀の相と銅の相の双方に固溶していた。この合金の微細構造は、銀中のゲルマニウム=銅固溶体が、少量の金属内CuGe相分散質を含んだ銅中の繊維状ゲルマニウム=銀固溶体に取り囲まれているという二相構造であったと述べられている。この銅リッチ相中のゲルマニウムが、 GeO および/もしくは GeO2 の保護薄膜を形成することによってその相の表面酸化を阻害し、鑞づけおよび火炎焼き鈍しの作業中に外観が火焼け(firestain)することを抑制した、と述べられている。さらにまた、ゲルマニウムを添加することによって、曇りの進行を大幅に遅らせることができ、表面が黒よりも若干黄みがかったようになって、曇りを普通の水道水で容易に除去できた。硬度が向上することについては、伸展性の減少(de-tensioning)のためであると説明されており、例えばこの合金を500℃で加熱して、その後にこの合金を400℃以下(例えば200)の「低温焼き鈍し」温度("low annealing" temperature)で2時間に亘って加熱することで、Vickers硬度を約140にすることができると言われている。しかしながら、焼き鈍し温度まで加熱した後に焼き入れするステップを省きつつこのような硬度をどうやって得ているのかについての示唆が無く、また、仕上げ間近の加工でどうやって硬度を増強するのかについての示唆も無い。
背景技術として、US-A-4810308(Leach & Garner)は、硬化可能な銀合金を開示しており、これには90%以上の銀と、2.0%以上の銅と、リチウム、錫、およびアンチモンから成る群から選択される少なくともひとつの金属とを含む。また、この銀合金は、0.5wt%を上限としてビスマスも含む。好ましくは、この合金に含まれる金属を組み合わせて、華氏1250〜1400度(676〜760℃)以上の温度まで、例えば2時間に亘り加熱して合金を焼き鈍して固溶体とする。実施例で使われていた温度は華氏1350(732℃)であった。その後、焼き鈍した合金を外気温(周囲温度)まで素早く冷却して焼き入れを行う。その後に、華氏300〜700度(149〜371℃)まで所定の時間に亘り再加熱して時効硬化を行った後、時効硬化させた合金を外気温まで冷却することもできる。この時効硬化させた合金の硬度は、従来技術に係るスターリング銀のそれよりも実質的に高く、典型的には100HVN(Vickers硬度数)であって、さらには昇温することによって比較的軟らかい状態に戻すこともできる。US-A-4869757(Leach & Garner)の開示も同様である。この双方の事例においては、開示されている焼き鈍し温度が、Argentiumのそれよりも高くなっており、また、いずれの文献にも火焼けもしくは曇りに抵抗性を持つ合金は開示されていない。本発明者は、これらの特許に開示された方法が商業的な生産に使われている例を見たことが無く、また、繰り返しになるが、硬化を仕上げ間近の加工においてどうやって行うのかが開示されていないと考える。
〔実施例1〜8〕
以下の表に示した合金を、列挙した成分を共に熔解させて調製し、以下に示した検査にかけた。硼素の存在が示された組成物については、約4ppmの硼素を含むものであるとして考え、改めての分析は行わなかった。銅成分を含まなかった場合を除き、ゲルマニウムを含んだ合金で非常に著しい硬度の増大が観られたことに留意されたい。銅成分を含まなかった場合には、硬化は観察されなかった。実施例4の当初は非常に軟らかい合金を、有用に硬化できたのは驚くべきことである。

Claims (27)

  1. 銀合金の完成もしくは半完成の製品を製造するための方法であって、
    77wt%以上の銀と、銅と、0.5wt%以上であって曇りおよび/もしくは火焼けを有効に軽減するゲルマニウムとを含む銀合金を準備するステップと、
    前記銀合金の前記完成もしくは半完成の製品を、少なくとも焼き鈍し温度まで加熱することによって製造もしくは処理するステップと、
    前記製品を徐ろに冷却するステップと、
    前記製品を再加熱して、前記製品を析出硬化させるようにするステップと
    を含むことを特徴とする、方法。
  2. 前記製品が、銀、銅、およびゲルマニウムの三元合金であることを特徴とする、請求項1記載の方法。
  3. 前記三元合金が、不純物、付随的な成分、およびすべての結晶微細化剤を除いて、前記合金の重量に対して80〜98%の銀と、0.5〜3%のゲルマニウムと、1〜19.9%の銅とを含むことを特徴とする、請求項2記載の方法。
  4. 前記三元合金が、不純物、付随的な成分、および結晶微細化剤を除いて、前記合金の重量に対して92.5〜98%の銀と、0.5〜3%のゲルマニウムと、1〜7.2%の銅とを含み、さらに結晶微細化剤として1〜40ppmの硼素を共に含むことを特徴とする、請求項2記載の方法。
  5. 前記三元合金が、不純物、付随的な成分、および結晶微細化剤を除いて、前記合金の重量に対して92.5〜96%の銀と、1〜2%のゲルマニウムと、1〜7%の銅とを含み、さらに結晶微細化剤として1〜20ppmの硼素を共に含むことを特徴とする、請求項2記載の方法。
  6. 前記三元合金が、92.5〜92.7wt%のAgと、6.1〜6.3wt%のCuと、約1.2wt%のGeと、結晶微細化剤としての1〜15ppmの硼素とを含むことを特徴とする、請求項2記載の方法。
  7. 前記製品を炉内で鑞づけしている間に焼き鈍しを行い、続いて大気中で放冷することを特徴とする、上述の請求項のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記合金を、600〜680℃の炉内で加熱することによって焼き鈍しもしくは鑞づけを行うことを特徴とする、請求項7記載の方法。
  9. 前記合金を、600〜660℃の炉内で加熱することによって焼き鈍しもしくは鑞づけを行うことを特徴とする、請求項7記載の方法。
  10. 56%の銀と、22%の銅と、17%の亜鉛と、5%の錫を含んだはんだを用いて、前記合金を鑞づけすることを特徴とする、請求項7、8、もしくは9に記載の方法。
  11. 58wt%のAgと、2wt%のGeと、2.5wt%のSnと、14.5wt%のZnと、0.1wt%のSiと、0.14wt%のBと、残余分としてCuとを含んだはんだを用いて、前記合金を鑞づけすることを特徴とする、請求項7、8、もしくは9に記載の方法。
  12. 600〜650℃の温度で焼き鈍しおよび/もしくは鑞づけを行うことを特徴とする、請求項7〜11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記製品が、インベストメント鋳造され、大気中で放冷されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  14. 前記製品が、宝飾品もしくは贈答品であることを特徴とする、請求項13記載の方法。
  15. 180〜350℃で再加熱することを特徴とする、上述の請求項のいずれか一項に記載の方法。
  16. 200〜300℃で再加熱することを特徴とする、上述の請求項のいずれか一項に記載の方法。
  17. 銀合金の完成もしくは半完成の製品を製造するための方法であって、
    86wt%以上のAgと、0.5〜7.5wt%のCuと、ZnおよびSiの混合物(ただし、前記Siは約0.02〜約2.0wt%の範囲で存在する)を0.07〜6wt%と、約0.01wt%以上であって3.0wt%を超えないGe(好ましくは2.0wt%を超えないGe)とを含む銀合金を準備するステップと、
    前記合金の前記完成もしくは半完成の製品を、少なくとも焼き鈍し温度まで加熱することによって製造または処理するステップと、
    前記製品を徐ろに冷却するステップと、
    前記製品を再加熱して、前記製品を析出硬化させるようにするステップと
    を含むことを特徴とする、方法。
  18. 92.5wt%以上の銀が存在していることを特徴とする、請求項17記載の方法。
  19. 2〜4wt%のCuが存在していることを特徴とする、請求項17もしくは18に記載の方法。
  20. 2〜4wt%のZnが存在していることを特徴とする、請求項17、18、もしくは19に記載の方法。
  21. 0.04〜3.0wt%のGeが存在していることを特徴とする、請求項17〜20のいずれか一項に記載の方法。
  22. In、B、ならびに、InとBとの混合物から成る群から選択される少なくともひとつの添加物が、3.5wt%を上限として存在していることを特徴とする、請求項17〜21のいずれか一項に記載の方法。
  23. 前記混合物が、約2wt%を上限とするBと、約1.5wt%を上限とするInとを含むことを特徴とする、請求項17〜22のいずれか一項に記載の方法。
  24. 0.25〜6wt%のSnが存在していることを特徴とする、請求項17〜24のいずれか一項に記載の方法。
  25. 前記合金が、81〜95.409wt%のAgと、0.5〜6wt%のCuと、0.05〜5wt%のZnと、0.02〜2wt%のSiと、0.01〜2wt%のBと、0.01〜1.5wt%のInと、0.01〜3wt%のGeとを含むことを特徴とする、請求項17記載の方法。
  26. 前記合金が、75〜99.159wt%のAgと、0.5〜6wt%のCuと、0.05〜5wt%のZnと、0.02〜2wt%のSiと、0.01〜2wt%のBと、0.01〜1.5wt%のInと、0.25〜6wt%のSnと、0.01〜3wt%のGeとを含むことを特徴とする、請求項17記載の方法。
  27. 銀合金の完成もしくは半完成の製品を製造するための方法であって、
    (a) 92.5wt%のAg、7.0wt%のCu、0.2wt%のSi、および0.3wt%のGe、ならびに、(b
    ) 92.5wt%のAg、6.8wt%のCu、0.3wt%のSi、および0.2wt%のGe、および0.2wt%のSn、ならびに、(c)83.0wt%のAg、16.5wt%のCu、0.2wt%のSi、および0.3wt%のGe、の合金のうちのいずれかを含む銀合金を準備するステップと、
    前記合金の前記完成もしくは半完成の製品を、少なくとも焼き鈍し温度まで加熱することによって製造または処理するステップと、
    前記製品を徐ろに冷却するステップと、
    前記製品を再加熱して、前記製品を析出硬化させるようにするステップと
    を含むことを特徴とする、方法。
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