JP2008501473A - 吸入可能な薬剤のドーズ品質の保証 - Google Patents

吸入可能な薬剤のドーズ品質の保証 Download PDF

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Abstract

ドーズ容器内に密閉された定量ドライパウダー薬剤ドーズを、周囲雰囲気への露出を最小限にした状態で、吸入のためにアクセス可能にするための方法及び装置である。本発明は、単回投与型の吸入器であって、移動可能な吸入器部材、いわゆるスライドが設けられた吸入器に関する。スライドは、選択されたタイプのドーズ容器を受け入れるように適合された少なくとも1つの適合するレセプタクルを有する。スライドは、第1の突出位置(この位置にて、ユーザがレセプタクルに、シールされたドーズ容器の装填のためにアクセス可能である)と、吸入器内部に引き込まれた第2の位置との間を移動可能である。

Description

本発明は、単回投与型のドライパウダー吸入器に適用される方法及び装置であってし、薬剤ドーズをドライパウダー吸入器内に、シールされたドーズ容器内に密閉されているドーズを吸入する準備として運び入れるための方法及び装置に関する。
現在の医療において、ドライパウダー薬剤をユーザの気道及び肺に直接配送するために、薬剤を吸入により投与することが、より一層一般的になっている。なぜなら、吸入は、特定の薬剤物質の、効率的で迅速な、且つユーザに好都合な送達(デリバリー)をもたらすからである。
様々なタイプの吸入器、例えば、定量吸入器(MDI)、ネブライザー、及び、ドライパウダー吸入器(DPI)が現在市販されている。MDIは、液体状の薬剤を用い、また、1回分の投与量(ドーズ)を放出するために加圧駆動ガスを用いることがある。概して、MDIは、1回の吸入にて有効量の作用物質を配送する能力が比較的低く、多くの装置が、環境面で容認される駆動ガスの使用に関する問題を有する。ネブライザーはかなり大きく、携帯可能でない装置である。ドライパウダー吸入器は、医療業界において、ますます受け入れられている。なぜなら、ドライパウダー吸入器は、有効投与量を1回の吸入で配送し、確実であり、概して寸法が非常に小さく、ユーザが操作し易いからである。2つのタイプのドライパウダー吸入器が一般的であり、これらは、複数回投与型のドライパウダー吸入器と、単回投与型のドライパウダー吸入器である。複数回投与型の装置は、多数回の投与に十分な量の薬剤パウダーが吸入器内部に保存され、この保存分から、一回分の投与量が、吸入が行われる直前に計量されるという利点を有する。単回投与型吸入器は、各投与後の再充填を必要とし、又は、限られた数の個別包装されたドーズが装填されることができ、各包装は、密閉されたドーズの吸入が行われようとする直前に開放される。
ゼラチン又はプラスチック製のカプセル、及び、アルミニウム若しくはプラスチック、又はアルミニウムとプラスチックのフォイルを含むラミネートからつくられたブリスターが、ドライパウダー薬剤の定量単回投与のための一般的な先行技術の容器である。一般に、ユーザは、吸入器を開け、少なくとも1つの容器を吸入器内に挿入し、吸入器を閉め、選択された容器に1以上の鋭利な器具を突き通すためにボタンを押す。こうして、ユーザが余裕をもってドーズを吸入しようと決めたときに、ドーズは、流動空気によりアクセスされ得る。吸入器内部で容器を破って開け、ドーズを最初にチャンバ内に注ぎ出す方法の他に、容器を開放する最も一般的な方法は、1以上の穴を、容器自体に、又は、容器をシールしているフォイルに開けることである。第1の場合、パウダーは、吸入器内部の面上に注ぎ込まれ、そこから吸入されることが可能である。第2の場合、ドーズが、容器内に通されている吸入空気によりエアロゾル化され、又は、ドーズが容器から振り出され、容器の外側の流動空気により直ちにエアロゾル化される。
ドーズ容器の装填及び開放を簡単にし、それにより、DPIのユーザが、容器内に密閉されているパウダードーズを容易に利用できるようにする改良された方法及び装置が必要である。
ドーズ容器内に密閉された定量ドライパウダー薬剤ドーズを、周囲雰囲気への露出を最小限にした状態で、吸入のためにアクセス可能にする方法と、この方法を実行するための手動式装置とを開示する。
本発明は、単回投与型の吸入器であって、移動可能な吸入器部材、いわゆるスライドが設けられた吸入器に関する。スライドは、選択されたタイプのドーズ容器を受け入れるように適合された少なくとも1つの適合するレセプタクルを有する。スライドは、第1の突出位置(この位置にて、ユーザがレセプタクルに、シールされたドーズ容器の装填のためにアクセス可能である)と、吸入器内部の第2の引き込み位置との間を移動可能である。
特定の実施形態において、未開封の、シールされたドーズ容器を保持しているスライドが、ユーザの手の力により第1位置から第2位置に押されるように配置される。スライドのこの運動中に、ドーズ容器のシールが、吸入器内部に設けられた開放部材により開放される。押す動作により容器が吸入器内に入り続けているとき、容器内のドーズは、吸入が誘導される流れ要素によりアクセスされ、例えば、ドーズに近接している吸引ノズルにより方向付けられ、このとき、吸引ノズルもスライドにより運ばれて吸入器内に移動している。
随意に、呼吸により作動されるラッチ機構が吸入器に設けられる。この機構は、レセプタクルにドーズ容器が装填されている場合、所定の最小の大きさを超えた吸引が、吸入器のマウスピースにて吸い込んでいるユーザによりもたらされなければ、スライドが第1位置から押されることを防止する。この呼吸による作動は、ユーザが、押す動作を吸入動作と同期させることを補助する。
以下に、本発明を、好ましく例示的な実施形態にて、添付図面を参照しつつ説明する。図面中、類似の参照番号は、類似の、又は対応する要素を示す。
本発明は、ドーズ容器内の定量ドライパウダー薬剤ドーズに、ドライパウダー吸入器(DPI)内部にてアクセスできるようにするための方法及び装置に関し、このアクセスは、密閉されているドーズの吸入に直接関連している。
本発明の開示によりもたらされる利点は、
・ドーズの品質(投与量分の薬剤の品質)を保証する
・簡単な吸入器設計
・必要な部品数が少ない
・低コスト
・吸入器の寸法が小さい
・使用が容易
・安全性
・ユーザのコンプライアンス(服用遵守)が高レベル
・ユーザにより滴定可能な投薬を可能にする、すなわち、異なるドーズサイズがユーザにより選択され得る
・全てのタイプの吸入可能なパウダー薬剤に利用され得る
である。
本発明の特定の態様において、本発明の方法は、薬剤の単回投与量(シングルドーズ)を保持しているシールされた容器を吸入器内に、移動可能な吸入器部材(いわゆるスライド)により運び入れることを含む。ユーザは、第1の突出位置にあるスライドにアクセスする。スライドは、特定のタイプのドーズ容器のために設計された少なくとも1つの適合するレセプタクル(受け器)を含む。本発明の利点は、ユーザがスライドにはアクセスするが、吸入器の内部にはアクセスせず、これにより、繊細な部品の偶発的な損傷又は汚染が回避されることである。スライドを吸入器本体の内側に押し込むと、スライドの動きは、引き込まれた第2の位置(格納位置)にて終了する。スライドを押すことは、好ましくは、手で行われ、又は、随意にモータにより行われる。こうして、ドーズ容器が吸入器内に運び込まれる。ユーザは、スライドを吸入器内に押し込み、同時に、吸入器のマウスピースを通して吸入を行う。ドーズ容器が吸入器に入っていくとき、容器シールは、吸入器と一体になっているオープナー装置により開かれ始め、これにより、周囲空気を容器内に、またドーズパウダー内に入れる。しかし、同時に、吸入器の1以上の流れ要素がドーズにアクセスし、吸入による空気流中へのドーズ(投与薬)の放出が並行して開始される。シールの開放とドーズの放出との間の時間が非常に短く、これが、吸入するユーザに配送されるときのドーズの品質を保証する。一般に、ドーズの粒子が、吸気中に取り込まれる前に大気に露出される時間はほんの一瞬である。スライドが、完全に引き込まれた第2の位置に達するとき、ドーズは既に配送されている。しかし、十分な強度の吸入が既に進行していなければ、スライドが第1位置から移動できないことが好ましい。こうして、容器の運び入れ、容器開放、及び、ドーズデリバリーが、ユーザにより開始される1回の行為により実行される。こうして、ドーズが大気に、最小限の時間(実際、ドーズデリバリーが完全に行われる時間のみ)露出される。ドーズの大気への露出は、一貫して常に短く、実際に、吸入時間自体よりも短い。
図2a、図2b及び図2cに示されている本発明のさらなる態様において、スライド15に、保護ケーシング41に入れられた選択されたタイプの単一のドーズ容器33のための、少なくとも1つの適合するレセプタクル16が設けられている。決められている、選択されたタイプのドーズ容器33+41だけがレセプタクル内に挿入されることができる。ドーズデリバリーが完了した後、スライドは、引き込まれた第2の位置に、ユーザがスライドを、吸入器12(この時点で、使用済の空の容器を保持している)から外に出るように動かすまで維持される。ユーザは、使用済の容器33+41を取り出して捨てる。容器を保持していないスライドを吸入器内に押し戻すことにより吸入器が閉じる。ユーザは、新しいドーズを投与するときがきたならば、必要に応じてスライドを動かすことができる。従って、ユーザが吸入器内部にアクセスする必要は全く無い。本発明に従えば、ドーズを保護し、マウスピース11を有する吸入器12内にドーズを運び込むこの新規の方法は、非常に効率的で高い品質のドーズデリバリーを可能にし、ドーズの劣化、及び、ユーザが異物を吸入器内に誤って導入する危険性を非常に小さくする。
スライドを移動させるためのエネルギーの供給、及び、ドーズを配送するための吸入作動力をユーザに依存することにより、非常に簡単で小型の頑丈な吸入器の設計が可能である。この結果、コストが低く複雑でない設計により、製造が簡単になり、ユーザの吸入器の使用中に不都合が生じる可能性が非常に少なくなる。
図1に示されたフローチャートで、特定の方法が説明されている。スライドを構成している移動可能な吸入器部材(吸入器本体内部の標準位置、すなわち、完全に引き込まれた位置にある)が、選択的なステップ100にて(例えば、吸入器上でアクセス可能なプッシュボタンにより)作動される。好ましくは、スライドは、ラッチ機構により、完全に引き込まれた位置に保持されており、従って、ラッチが、任意の適切な手段、例えばばね荷重式プッシュボタンにより解除されるまで移動することができない。好ましくは、スライドが解放されるとき、スライドは、自動的に、すなわち、ユーザによるさらなる補助なしに吸入器から出て、第1の、完全に突出した、ドーズ装填位置に達する(ステップ110)。この位置にて、スライドは、少なくとも1つのドーズ容器を受け入れる準備ができている。吸入器が以前に用いられたならば、使用済み容器が、スライド内の少なくとも1つのレセプタクルにまだ保持されている可能性があり、新しい容器を嵌め込む前にこの容器を取り出さなければならない。そして、適切なタイプの選択された新しい容器を、適合するレセプタクルに嵌め込むことができる(ステップ120)。好ましくは、容器は適切な位置に嵌まり込み、その位置にしっかりと保持され、スライドに対して移動する可能性がない。本発明の特定の実施形態において、ユーザが吸入を開始した状態において(ステップ130)、スライドは、この時点で吸入器内部に押し込まれ(ステップ140)、容器をスライドと共に運ぶ。容器が吸入器本体内に入るとき、容器が適切な開放手段により開放され(ステップ150)、空気流が、適合されている流れ要素(例えば、吸引ノズル)によりドーズに向けられる(ステップ160)。これによりドーズの粒子が解放され、マウスピースから出ていく吸気による空気流中に取り込まれる(ステップ170)。本発明の好ましい実施形態において、容器は、吸入器内に運び込まれている間に開放される。別の実施形態において、容器は、スライドが、吸入器内部に完全に引き込まれた第2の位置、又はこの位置に近い位置に到達したときに開放され得る。図5を参照すると、吸入と同期された典型的な容器の開放が示されている。線図の曲線Yは、時間Xにわたりユーザによりもたらされる吸引力を、単位キロパスカル(kPa)で示す。曲線Zは、DPIにおける容器の移動(0%(開始位置)〜100%(終端位置))を示す。
しかし、本発明の開示に従う好ましい実施形態において、ドーズ容器を保持しているスライドを吸入器内に運び込むことが、開始された吸入と同期され、これにより、ドーズが周囲雰囲気に露出される時間が最小限にされことが有利である。空気流がドーズにアクセスできるには、容器が事前に開放されなければならないことは明らかである。好ましくは、容器は、スライドによるストロークに沿った予め決められた点にて開放され始める。吸気の流れが、容器が開かれているときに容器内に向けられ、これにより、吸気流が、封入されていたドーズにアクセスできる。
開示された方法は、特定の適合されたドライパウダー吸入器に挿入するために選択された、特定のタイプのドーズ容器に適合されなければならない。例えば、ドーズ容器をしっかりと保持するスライド内のレセプタクルは、容器タイプに適合し、容器にぴったりと嵌らなければならない。当然、吸入器内部の穿孔部材又は開放部材及び流れ要素も容器タイプに適合されなければならない。こうして、吸入により生じる空気流が、ドーズ容器内への適切な流路形成により方向づけられ、これは、好ましくは、容器が吸入器の穿孔又は開放部材により開放されるとすぐに行われる。これにより、空気流がドーズを解放して、ドーズをユーザの吸気に、不必要に遅れずに運び入れる。既に指摘したように、様々なタイプのドーズ容器が選択されることができ、本発明にて有利に用いられ得る。容器の例は、様々な寸法及び設計の、アルミニウム又はプラスチックのシングルドーズ(単回服用量)ブリスターであり、また、ゼラチン、セルロース又はプラスチック製のカプセルである。当業者には、スライド内のレセプタクル、吸入器内へのドーズ容器の挿入、穿孔部材又は切断部材を含む吸入器自体、及び空気流チャネルを、特定のタイプのドーズ容器に、どのように適合させるべきかが分かるであろう。
開示された方法は、ドーズの微粒子に及ぼされ得る何らかの悪影響、(例えば空気中の湿気が、ドーズ内の微細な粒子を纏って例えば粒子の凝集体を形成し、凝集体が、吸入器のユーザに吸い上げられてユーザに配送されるときに分解することをより困難にすること)を可能な限り排除する。大気へのドーズの露出を最小限にすることは、好ましくは、吸入器における、呼吸により作動される機構を実施することにより行われ得る。呼吸による作動は、スライド及び容器が吸入器内に運び込まれることを、ユーザが吸入器のマウスピースに少なくとも最小の吸引力を加えるまで阻止する。例えば、感圧フラップが、加えられる吸引が十分に強力であり、これにより、空気流を、マウスピースと流体連通している吸入器の空気流路に流入させるときに開くように配置され得る。フラップが開くとき、スライドのブロッキングが除去され、スライドは、進行中の吸入の初期段階にて吸入器内に押し込まれる。
本発明のさらなる態様において、ダンパー機構がスライドに取り付けられる。特定の実施形態において、ダンパー装置は、スライドが作動されてスライドの完全な引込み位置から解放された後の、吸入器本体から出るスライド運動に対向して作用する第1の反力をもたらす。吸入器から出るスライド運動は、随意に、しかし、好ましくは、適切に一定であるばね力をもたらすばね機構により制御され、且つ動力を与えられ得る。ばね駆動による運動は、スライドの第2の完全な引き込み位置から第1の完全な突出位置までのストローク全体又はその一部にわたり、ダンパー装置により均衡を保たれる。このようにして、スライドが吸入器から出る速度が一定に保たれる。これと同じダンパー、又は異なるダンパーが、第2の反力(第1の反力と同じ大きさであっても、同じ大きさでなくてもよい)をもたらし得る。第2の反力は、スライドを吸入器本体に押し戻すために加えられる力に対向する。加えられる押し力は、吸入器のユーザによりもたらされる手動力であってもよく、又は、独立した動力源によりもたらされてもよい(例えば、スライドが電気モータ装置により制御及び動力供給される特定の実施形態において)。このダンパーは、吸入器に入るスライド運動の速度を、ダンパーにより形成される適切な第2の対向力をもたらすことにより制御するように働き、これにより、スライドが吸入器に入る速度が適切に一定であるように保たれる。
コスト面を無視すれば、電動式駆動システムをばね機構の代わりに用い、また、ダンパー、及び/又は、ユーザによりもたらされる手動の押し力の代わりに随意に用いてもよい。スライドを移動させることに関するこの別の形態は、例えば、ユーザに身体的ハンディキャップがあり、それが装置の手操作での使用を制限または除外する場合に用いられ得る。当業者により理解されるように、スライドを吸入器から出し入れさせる相対運動に必要な駆動力は、任意のタイプの動力源、例えば、電気、油圧、空気圧、ばね、機械、又はユーザによる手動によりもたらされ得る。しかし、通常は、ユーザによる手操作が好ましい。なぜなら、ユーザによる手操作は、吸入可能なドライパウダー薬剤のいずれのタイプにも、低コストの簡単で安全な投与をもたらすからである。
しかし、別の実施形態において、容器の運び入れ、開放及びドーズデリバリーが並行して行われることに適さないドーズ容器が選択される場合、開示された前記方法及び装置は、容器を吸入器内の或る位置に運ぶことを含むように調節されることができ、この位置において、容器は、後のデリバリーのために準備された、未開放状態に保持され得る。好ましくは、移動可能な吸入器部材、例えばスライドが、容器をこの位置に運び、またこの位置に保持するために用いられる。この保持は、容器が、吸入器に組み込まれた適切な手段、例えばオープナー又は1以上の鋭利な穿孔器具により開放されるまで続く。好ましくは、開放は吸入動作により始動され、従って、容器が開放されるとすぐに、封入されていたドーズが容器から直接に吸気中に取り込まれ得る。この場合も、ユーザが吸入器の内部にアクセスすることはない。しかし、このような別の実施形態は、ドーズの解放を少しずつ且つ選択的に持続して行うことを妨げる可能性がある。このような解放は、好ましい実施形態において得られる重要な特徴である。別の実施形態における対応する機能(すなわち、ドーズ容器を保持しているスライドが、吸入開始前に装置内部に静止している)が、この実施形態をより複雑にして、適合する特定の吸入器の設計をより高価にするであろう。
本発明の別の態様において、選択されたドーズ容器の開放から、封入されたドーズを吸入するまでの時間は、ほぼ一瞬であり、この時間は、無視できるほど非常に短い。先行技術の吸入器においては、選択されたドーズを周囲雰囲気に露出させることと、実際にドーズ吸入が行われることとの間の時間を、これよりずっと長くさせている。先行技術の吸入器の幾つかは、ドーズ容器を破って開けることと、次いで行われる吸入との間の時間経過に関して制御をしない。いずれの場合においても、周囲雰囲気、特に湿気の影響により、ドーズは急速に分解することがあり、従って、ユーザがいよいよドーズ吸入を開始しようとするときには深刻に劣化していることがある。すると、ユーザが得る治療効果は知らないうちに、意図しているよりも少なくなるであろう。
概して、ドライパウダー薬剤ドーズは、保管中だけでなく、吸入器に挿入されているとき、すなわち、ドーズ及びその包囲物が、ユーザにより決定される時点での吸入におけるデリバリーの準備状態に維持されるときも、包囲物により保護される必要がある。新しいタイプの、特に全身治療のためのドライパウダー薬剤は、使用期限がかなり短く、概して、周囲状況、特に、保管中及び使用中の湿気に対して非常に敏感である。従って、敏感なドーズの取り扱いにおけるドーズの保護及び吸入装置に対する要求は、先行技術の装置、例えば、呼吸疾患のための伝統的な薬剤の投与に用いられている装置に対する要求よりも非常に高い。例えば、吸入器用のドライパウダー薬剤のための先行技術のブリスターパッケージは、非常に薄いポリマーシールを用いることが多く、これは、ドーズが吸入されようとする前に容易に引裂又は穿孔されて開放されることがある。別の一般的なシールは、剥離可能なブリスターであり、封入されたドーズ吸入の前にブリスターが剥がされて開けられる。さらに別のタイプの先行技術のドーズ容器はカプセルである。カプセルはゼラチンからつくられることが多いが、ポリマー及びセルロース並びに他の材料も用いられる。吸入のためのドライパウダードーズに用いられる先行技術のブリスター及びカプセルに関する一般的な問題は、主要なパッケージが、湿気に敏感な物質を保管中及び使用中に湿気から十分に保護しないことである。従って、主要パッケージが大気に露出される時間を最小限にすること、及び、容器の開放後にドーズが周囲雰囲気に露出される時間を最小にすることが、吸入器及びドーズ容器の設計の重要な点である。
もちろん、シールされたドーズ容器の特定の実施形態として、新しいタイプのブリスターパック、いわゆるポッドを用いることが、本発明が用いられる用途において好ましいであろう。図3を参照すると、シールされたドーズ容器33が保護ケーシング41内にある様子が示されている。ドーズはシール31の下に配置されているが、図面を見る人が分かり易いように、容器がドーズ23を包囲している様子が図示されている。高品質のハイバリアシールをもたらす容器、例えばポッドが、本発明に使用するのに特に適している。ハイバリアシールは、シールを開放させるための、かなり強い押す力を必要とする。手動式スライドは、多くの先行技術の吸入器とは異なり、シールからの抵抗を克服するための十分な力をもたらす。図4を参照すると、シールされた容器を保持しているポッドの斜視図が示されている。図4aは、シールされた容器33(シール31)が、ドライパウダー吸入器内に挿入されるように適合された保護ケーシング41内に配置されている様子を示す。図4bは、キャリア/容器の上面図であり、ドライパウダーが堆積して容器33内部のシール31下で定量ドーズを形成している様子を、図面を見る人に都合が良いように示している。図4cは、図4bにおけるキャリア/容器の前面図である。
しかし、本発明は、有利なことに、慣用のブリスターパック及びカプセルにも適用され得る。好ましくは、当業者は、本発明の開示を利用し得る。これは、例えば、容器シールが開放されるときを、容器を開始位置から終端位置に移動させている間に合わせることにより行われ、また、容器の開放の仕方を使用のために選択された特定のタイプの容器に適合させることにより行われる。このような適合も、なお本発明の範囲内にある。本発明の目的は、容器の開放と容器内のドーズのデリバリーとの間の時間を可能な限り短くし、また、ユーザが吸入を開始しない状態で容器を開けることを不可能にすることである。何らかの理由により、早すぎる時点で吸入が中断された場合、ユーザは、少なくとも、全投薬量がまだ配送されていないことに気づくであろう。
薬剤投与量がユーザにより管理される場合、単回投与型のドライパウダー吸入器が好ましい。なぜなら、ユーザは、投与量を、予め計量された投与量の範囲で選択することができ、これは、ユーザがおかれた状況及び状態に対して良好に適応するからである。
当業者は、様々な変更及び修正が本発明に対して、本発明の範囲から逸脱せずに行われ得ることを理解するであろう。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲により画定される。
図1は、本発明の特定の方法を示すフローチャートである。 図2は、単回投与型のドライパウダー吸入器にスライドが用いられている様子の上面図であり、図2aにおいてはスライドが突出位置にあり、図2bにおいてはスライドが引き込み位置にあり、図2cは、スライド及び吸入器の側面図である。 図3は、図2のスライドに適合されている密閉されたドーズを保持しているシールされたドーズ容器を示す。 図4は、本発明のために適合されたシールされたドーズ容器の特定の実施形態の斜視図(図4a)上面図(図4b)、正面図(図4C)である。 図5は、本発明をドライパウダー吸入器に適用したときの典型的な2つの吸入シーケンス(図5a及び図5b)を示す。

Claims (17)

  1. シールされたドーズ容器中に密閉された薬剤ドライパウダードーズの、単回投与型ドライパウダー吸入器を用いた前記ドーズの吸入に関して周囲雰囲気に露出される時間を低減する方法であって、
    移動可能な吸入器部材、すなわちスライドの適合するレセプタクル内に、前記スライドが第1の突出位置にある状態にてドーズ容器を嵌め込むステップと、
    吸入動作と、スライドを吸入器内へ、スライドの第1位置から第2の引き込み位置に押し戻すこととを同期させるステップと、
    ドーズ容器をスライド運動により吸入器内部に徐々に運ぶステップであって、ドーズ容器シールがスライド運動中に開放され、この開放と並行して、吸入器の1以上の流れ要素が、スライドが前記第2位置に到達する前にドーズにアクセスし、且つドーズを放出し、これにより、シールの開放とドーズの放出との間の時間経過、すなわち、周囲雰囲気への露出が非常に短いステップと、
    により特徴づけられる方法。
  2. ドーズ容器を、容器に適合したレセプタクル内に、容器がスライドに対して移動できないように解除可能にロックするさらなるステップにより特徴づけられる、請求項1に記載の方法。
  3. 密閉された定量薬剤ドーズの質を、周囲雰囲気へのドーズの露出時間を最小限にすることにより保証するさらなるステップにより特徴づけられる、請求項1に記載の方法。
  4. 時間経過、すなわち、スライドを第1位置から第2位置に移動させるための時間を、5秒未満に、好ましくは2秒未満に制限するさらなるステップにより特徴づけられる、請求項1に記載の方法。
  5. スライドを、スライドが吸入器本体内部の第2の引き込み位置にあるときに作動させ、それにより、スライドが解放され、吸入器本体から出て第1の突出位置に延在することが可能になるさらなるステップであって、吸入器から出る前記運動が、選択的に、ユーザによる補助を必要としないステップにより特徴づけられる、請求項1に記載の方法。
  6. スライドの、第1位置から吸入器内に入る運動を、吸入器の、呼吸により作動される機構にラッチ止めするさらなるステップであって、前記機構が、吸入器のマウスピースに吸引が加えられることを必要とし、これにより、移動可能な吸入器部材の運動が開始できる前に所定の最小吸引圧力を超えた吸引が行われなければないステップにより特徴づけられる、請求項1に記載の方法。
  7. スライドの第1位置から第2位置への運動に、押す力に均衡する制御された反力を加えることにより抵抗し、これにより、前記運動の速度が、第1位置から第2位置までほぼ一定に保たれる、さらなるステップにより特徴づけられる、請求項1に記載の方法。
  8. スライドが第2位置から第1位置への吸入器本体から出る運動の動力を与えるためにばねを用いるさらなるステップにより特徴づけられる、請求項1に記載の方法。
  9. 移動可能な部材の速度を、移動可能な部材を第1位置から第2位置に押すための時間が0.2秒以上2秒以下であるように調節するさらなるステップにより特徴づけられる、請求項1に記載の方法。
  10. 移動可能な部材が引き込み位置にあるときに、又は、引き込み位置に近接しているときにドーズ容器を開放するさらなるステップにより特徴づけられる、請求項1に記載の方法。
  11. 密閉された定量ドライパウダー薬剤ドーズを外包しているドーズ容器を、薬剤ドーズの品質を保証するための単回投与型ドライパウダー吸入器内に運び込むためのスライド装置において、
    スライド装置が、吸入器の、ユーザにより作動される部材を構成し、当該部材が、第1の突出位置と、吸入器内の第2の引き込み位置との間を可逆的に移動可能であり、スライド装置が、
    選択されたタイプのドーズ容器のための少なくとも1つの適合するレセプタクルと、
    第1位置から第2位置までのスライド運動の速度を制限するブレーキ手段と、
    を含むことを特徴とするスライド装置。
  12. スライド装置が、スライド装置の第1位置から吸入器内への運動を防止するためのラッチを含み、当該ラッチが、吸入器の、呼吸により作動する機構に連結されており、ラッチを解除する前に、呼吸により作動する機構が、吸入器のマウスピースに吸引を加えるユーザが所定の最小吸引圧力を超えた吸引圧力を加えることを必要とし、これによりスライド装置の運動が開始されることができることを特徴とする、請求項11に記載のスライド装置。
  13. 駆動ばねが、スライドを、第2の引き込み位置から吸入器本体の外側に出して第1の突出位置まで駆動するために配置されており、前記ばねが、前記運動の速度を制限するためのブレーキ手段と随意に組み合せられることを特徴とする、請求項11に記載のスライド装置。
  14. ダンパーユニットが、駆動ばねによる押す力に均衡する制御された反力をもたらすブレーキ手段として用いられ、これにより、前記運動の速度がほぼ一定に保たれることを特徴とする、請求項13に記載のスライド装置。
  15. スライド装置が吸入器本体から出る運動及び吸入器本体に入る運動の動力を与えるために、駆動ばね、及びユーザが押すことの代わりにモータが用いられることを特徴とする、請求項11に記載のスライド装置。
  16. 密閉された定量ドライパウダー薬剤ドーズを保持しているドーズ容器を、吸入のための一連の動作の準備として単回投与型ドライパウダー吸入器内に運び入れる方法であって、
    移動可能吸入器部材を、吸入器本体内の第2の引き込み位置にて作動させ、それにより、移動可能部材が解放されて、吸入器本体から出て第1の突出位置まで運動し、移動可能部材の前記運動が、選択的に、ユーザによる補助を必要としないステップと、
    ドーズ容器を、移動可能部材の、容器に適合するレセプタクルに嵌め込むステップであって、容器が、選択的に、移動可能部材に対して移動できないように容器のレセプタクル内にロックされるステップと、
    移動可能部材を、前記突出位置から吸入器内の引き込み位置に押し戻し、それにより、容器を吸入器内に運び入れるステップと、
    スライドが吸入器内の引き込み位置に静止しているときにドーズ容器内の定量ドーズのデリバリーが生じるようにデリバリーを構成するステップであって、この構成により、ドーズ容器が、吸入器内部の専用の開放要素、吸入器の流路及びエアロゾル化要素によりアクセスされるステップとにより特徴づけられる方法。
  17. 吸入器の、呼吸により作動される機構を用いてドーズ容器の開放を選択的にラッチ止めするさらなるステップであって、これにより、ドーズ容器が吸入器内部の開放要素により開放され得る前に、所定の最小吸引圧力が、吸入しているユーザにより超えられなければならず、次いでドーズが、吸入により誘導される空気流によりアクセス及び解放されるさらなるステップにより特徴づけられる、請求項16に記載の方法。
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