JP2008312375A - 電線の配索構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】電線の配索経路がウェザーストリップを跨ぐ配索経路である場合にも、ウェザーストリップとこのウェザーストリップに密着する密着面との密着性を低下させることなく、コストアップを抑えることができる電線の配索構造を提供する。
【解決手段】電線の配索構造70は、自動車を構成する車体と、該車体にスライド自在に設けられたスライドドアのパネル本体14と、の間を配索される電線束16の配索構造である。パネル本体14には、スライドドアが車体の出入口を塞いだ状態で、車体の出入口の周りに取り付けられたウェザーストリップと密着する密着面51を有する凸部50が設けられている。この凸部50の電線束16と交差する部分には、密着面51からウェザーストリップと離れる方向に凹に形成された凹部54が設けられている。この凹部54には、内側に電線束16を通す第1クリップ17aが取り付けられる。
【選択図】図1
【解決手段】電線の配索構造70は、自動車を構成する車体と、該車体にスライド自在に設けられたスライドドアのパネル本体14と、の間を配索される電線束16の配索構造である。パネル本体14には、スライドドアが車体の出入口を塞いだ状態で、車体の出入口の周りに取り付けられたウェザーストリップと密着する密着面51を有する凸部50が設けられている。この凸部50の電線束16と交差する部分には、密着面51からウェザーストリップと離れる方向に凹に形成された凹部54が設けられている。この凹部54には、内側に電線束16を通す第1クリップ17aが取り付けられる。
【選択図】図1
Description
本発明は、自動車の出入口等の開口部を開閉するスライドドア等の開閉部材に常時給電を行うために配索される電線の配索構造に関するものである。
自動車のスライドドアに取り付けられた補機などに常時給電するために、従来から種々のスライドドア用の給電装置(以下、単に給電装置と呼び、特許文献1参照)が用いられてきた。
前述した特許文献1に示された給電装置は、車体と、該車体にスライド自在に設けられた前述したスライドドアとに亘って配索された電線と、スライドドアに取り付けられかつ前記電線の一部を収容する給電用ハーネスプロテクタ(以下、単にプロテクタと記す)とを有している。
上記プロテクタは、平面形状が略半円状に形成されているとともに、その一端と下端に前記電線を通す開口が設けられている。また、下端に設けられた開口は、スライドドアのスライド方向に沿って直線状に延在している。
上記給電装置は、スライドドアを閉めた状態では、電線をプロテクタの半円状に湾曲した湾曲面上に沿わせるとともに、スライドドアを開放した状態では、湾曲面から離して、プロテクタの下端に設けられた開口の前記一端に設けられた開口寄りの端部と、前記一端に設けられた開口とに前記電線を通す。このように、前述した特許文献1に示された給電装置は、プロテクタに電線の一部を出し入れすることで、スライドドアを閉めた際の余長を吸収するとともに、スライドドアを開いた際にも当該スライドドアに取り付けられた補機に給電を行うことを可能としている。
また、上述した自動車は、スライドドアを閉めた状態でこのスライドドアと車体との間から乗員室内に風や雨が入らないようにするため、車体の出入口の周りにウェザーストリップを取り付けている。
また、上述した給電装置の電線は、上記ウェザーストリップと上記スライドドアとの密着性を低下させないようにするため、このウェザーストリップの内側を通るように、即ち電線がウェザーストリップを跨がないように(ウェザーストリップに重ならないように)、車体とスライドドアとに亘って配索されている。
しかしながら、上述した特許文献1などに示された従来の給電装置は、電線の余長を吸収するための上述したプロテクタをスライドドアに取り付けるために、スライドドアへの設置に必要とされるスペースが非常に大きかった。このため、スライドドアに比較的大型のオーディオ用のスピーカを取り付けることが困難になるなどのスライドドアへの補機の取り付けに制約が生じる傾向であった。
このような問題を解決するため、本発明の出願人は、スライドドアのロアアームを支持・案内する車体側レール部の空間を利用したスライドドアの給電装置を提案している。前記車体側レール部とは、乗員室の床面と自動車のシャーシの底面との間に設けられ車体の側面から凹に形成された空間と、該空間内に位置付けられた前記ロアアームを自動車の前後方向に沿ってスライド自在に支持するレールと、を有するものである。また、この給電装置は、詳しくは、車体とスライドドアとに亘って配索された電線と、レール部に外接する様に配置されかつ電線の一端を固定する車体側プロテクタと、スライドドアの下端に配置されかつ電線の他端を固定するドア側プロテクタと、を有している。
上述した本発明の出願人が提案している給電装置は、スライドドアを閉めた状態では、車体側プロテクタに固定された一端よりもスライドドア側に位置付けられた電線の大部分が車体側レール部内に収容され、スライドドアを開放した状態では、車体側レール部から引き出された電線がドア側プロテクタ内に収容されてスライドドアの下端に直線状に沿わされる。このような給電装置は、自動車に元々設けられてきた車体側レール部に電線の余長部分を収容することから、給電装置の車体やスライドドアへの設置に必要とされる専用のスペースが全く必要なくなり、車体やスライドドアへの補機の取り付けに制約が生じることを防止できる。
特開2003−335188号公報
しかしながら、上述した本発明の出願人が提案している給電装置は、スライドドアの下端から上方に向かって電線を配索することになるので、この電線の配索経路が上述したウェザーストリップを跨ぐ(ウェザーストリップと重なる)配索経路となることが避けられない。そして、この場合は、上記ウェザーストリップとスライドドアとの密着性を低下させないようにするため、スライドドアのパネルに電線を通す貫通穴を設けてウェザーストリップと接触しないように電線を配索するなどの配索構造が必要になる。
しかしながら、スライドドアのパネルに電線を通す貫通穴を設けるためには、スライドドアの設計を大幅に変更する必要があり、このパネルを形成する金型を新たに作成する必要があることなどから、多大なコストがかかってしまうという問題があった。
したがって、本発明の目的は、電線の配索経路がウェザーストリップを跨ぐ配索経路である場合にも、ウェザーストリップと該ウェザーストリップに密着する密着面との密着性を低下させることなく、コストアップを抑えることができる電線の配索構造を提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明は、車体と、当該車体に設けられた開口部を開閉する開閉部材と、に亘って配索された電線の配索構造であって、前記車体と前記開閉部材とのうち一方が、前記開口部6を塞いだ状態で前記開口部を囲むように設けられたウェザーストリップを有しており、他方が、前記開口部を塞いだ状態で前記ウェザーストリップと密着する密着面を有しており、前記電線と、前記密着面から前記ウェザーストリップと離れる方向に凹に形成された凹部と、前記電線と固定されるとともに前記凹部に取り付けられて前記凹部の内面及び前記ウェザーストリップと密着するクリップと、を有していることを特徴とする電線の配索構造である。
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記クリップが、内側に前記電線を通す筒状部と、該筒状部と前記電線との間を埋めた止水部と、前記凹部内に係止される係止部と、を有していることを特徴とするものである。
請求項3に記載された発明は、請求項2に記載された発明において、前記筒状部が、前記電線を表面上に位置付ける基部と、前記基部の両端に連なりかつ互いの端部が重なって前記電線を囲む状態と前記端部が互いに離れる状態とに亘って変形自在な一対の連結部と、を有していることを特徴とするものである。
請求項1に記載された本発明によれば、電線の配索構造が、密着面からウェザーストリップと離れる方向に凹に形成された凹部と、電線と固定されるとともに前記凹部に取り付けられて前記凹部の内面及び前記ウェザーストリップと密着するクリップと、を有していることから、既存の車体または開閉部材の密着面に凹部を設ける簡単な変更により対応できるので、コストアップを抑えることができるとともにウェザーストリップと密着面との密着性を低下させることがない電線の配索構造を提供することができる。
請求項2に記載された本発明によれば、前記クリップが、内側に前記電線を通す筒状部と、該筒状部と前記電線との間を埋めた止水部と、前記凹部内に係止される係止部と、を有していることから、開口部を塞いだ状態で前記筒状部と前記電線との間から乗員室内に風や雨が入ることを確実に防止できる。
請求項3に記載された本発明によれば、前記筒状部が、前記電線を表面上に位置付ける基部と、前記基部の両端に連なりかつ互いの端部が重なって前記電線を囲む状態と前記端部が互いに離れる状態とに亘って変形自在な一対の連結部と、を有していることから、このクリップを容易に電線に取り付けることができる。また、コネクタが取り付けられた状態の電線にも容易に取り付けることができる。
本発明の一実施形態にかかる電線の配索構造を図1ないし図14を参照して説明する。図1及び図2などに示す本発明の電線の配索構造70は、図5及び図6などに示すスライドドア用の給電装置(以下、単に給電装置と呼ぶ)1に用いられる。また、この給電装置1は、図5に示す車体3と、該車体3にスライド自在に設けられた図6に示す開閉部材としてのスライドドア4とを有した自動車2に取り付けられる。
上記車体3には、当該車体3内に設けられた乗員室内に乗員を出入りさせるための開口部としての出入口6が設けられている。また、車体3の出入口6の周りには、全周に亘ってゴムなどの弾性材料で構成されたウェザーストリップ7(図5、図13、図14に示す。)が取り付けられている。ウェザーストリップ7は、スライドドア4が後述する塞ぎ位置に位置付けられると、スライドドア4の外縁部に設けられた後述の凸部50の密着面51と密着して、車体3とスライドドア4との間を水密に保つ。
また、上記車体3の出入口6の下側には、レール部8(図13及び図14に示す)が設けられている。即ち、レール部8は、前述した乗員室の床面と自動車2のシャーシの底面との間に設けられている。レール部8は、自動車2の車体3の側面から凹に形成されて、自動車の前後方向に沿って直線状に延在している。
上記レール部8の上側に位置する天井面8aには、図13及び図14に示すように、案内レール9が取り付けられている。案内レール9は、直線状に延在しており、その長手方向が自動車の前後方向と平行に配置されている。案内レール9は、天井面8aに取り付けられる設置板部10と、当該設置板部10の幅方向の両縁から立設した側壁部11とを有して、断面コ字形に形成されている。
上記スライドドア4は、平板状に形成されている。スライドドア4は、図6などに示すドアパネル12と、後述のパネル本体14の内側に取り付けられる図6中一点鎖線で示すドアトリム45と、スピーカ13、モータやスイッチなどの各種の補機とを有している。
上記ドアパネル12は、板金で構成された平板状のパネル本体14と、当該パネル本体14の下縁から自動車の車体3の内側に向かって直線状に延在したロアアーム15とを有している。ロアアーム15は、直線状に延在した棒状に形成されており、パネル本体14の下端部の前方寄りの縁部から自動車の車体3の内側でかつ前方に向かって延在している。ロアアーム15の先端には、前記案内レール9に当該案内レール9の長手方向に沿ってスライド自在に設けられたスライダが取り付けられている。このため、ロアアーム15即ちスライドドア4は、案内レール9の長手方向即ち自動車の前後方向に沿って、スライド自在に案内レール9即ちレール部8に支持されている。即ち、レール部8の案内レール9は、スライドドア4のスライド方向を案内する。
また、上記パネル本体14の外縁部でかつドアトリム45の外側の部分には、図6に示すように、車体3の乗員室側に向かって突出するとともにパネル本体14の外縁部に沿って延びた凸部50が設けられている。この凸部50は、スライドドア4が後述する塞ぎ位置に位置付けられると、上述したウェザーストリップ7と密着する。この凸部50の構成は後述する。また、上述したロアアーム15及び後述するドア側プロテクタ21は、図6に示すように、パネル本体14の下端に位置する凸部50よりもさらに下方に取り付けられている。
上記ドアトリム45は、合成樹脂で構成されかつパネル本体14を覆い被せる様に該パネル本体14に取り付けられている。また、上記スピーカ13、モータやスイッチなどの各種の補機は、主にパネル本体14に取り付けられて、必要に応じて、ドアトリム45に設けられた開口穴を通して乗員室内に露出している。
前述したスライドドア4は、図示しない駆動機構によって、レール部8の案内レール9即ち自動車2の前後方向に沿ってスライド移動される。スライドドア4は、前述した駆動機構によって、前述した出入口6を閉じた状態である図10に示した塞ぎ位置と、前述した出入口6を完全に開放した図12に示した開放位置と、に亘ってスライドされる。このように、スライドドア4は、車体3の出入口6を開閉する。また、スライドドア4は、前述したレール部8の案内レール9によって、前記塞ぎ位置から開放位置に向かう際に、徐々に、自動車2の幅方向の外側に向かう方向に移動するとともに、自動車2の後方に向かって移動する。
上記給電装置1は、図4に示すように、前述した車体3とスライドドア4とに亘って配索されたワイヤハーネス5を有している。このワイヤハーネス5は、図4乃至図6に示すように、複数の電線16aが束ねられて構成された電線束16と、複数の配線用クリップ17と、車体側コネクタ18と、複数のドア側コネクタ19と、車体側プロテクタ20と、ドア側プロテクタ21と、コルゲートチューブ22と、を有している。
上記電線束16を構成する電線16a(図1及び図13などに示す。)は、導電性の芯線と該芯線を被覆した被覆部とを有した被覆電線である。電線束16は、複数の電線16aの外周にテープなどが巻き付けられて、構成されている。電線束16の一端部では、一本の束に複数の電線16aが集束されており、電線束16の他端部では、複数の束に分岐されて、各束毎に複数の電線16aが束ねられている。
上記配線用クリップ17は、主に、電線束16の他端部の適宜箇所に取り付けられている。配線用クリップ17は、パネル本体14に設けられた孔などに係止することで、当該パネル本体14などに電線束16即ちワイヤハーネス5の他端部を固定する。
上記車体側コネクタ18は、電線束16の一端部の複数の電線16aの端末に取り付けられ、自動車2の車体3のステップ部の近傍でかつ出入口6の自動車2の後方寄りの縁部に配置されている。車体側コネクタ18は、前述した自動車2のバッテリや制御用ユニットなどの車体3に取り付けられる補機と接続している。
上記複数のドア側コネクタ19は、それぞれ、電線束16の他端部の各束の電線16aの端末に取り付けられて、パネル本体14に取り付けられたスイッチ、モータ、スピーカ13などの補機と接続する。こうして、電線束16即ちワイヤハーネス5は、車体3と、スライドドア4とに亘って配索されて、車体3に取り付けられた補機とスライドドア4に取り付けられた補機とを電気的に接続する。
上記車体側プロテクタ20は、硬質な絶縁性を有する合成樹脂で構成されて、屈曲した筒状の本体部23と、一対の平行部24とを有している。本体部23は、内側に電線束16を通して当該電線束16を保護するとともに、車体3のレール部8の自動車2の後方寄りの縁部内に位置付けられて、当該車体3に取り付けられる。
上記本体部23は、車体3に取り付けられると、電線束16の他端部寄りに位置付けられる前後延在部25と、当該前後延在部25の電線束16の一端部側から鉛直方向に沿って上方に延在した上方延在部26と、前記上方延在部26の上端から車体3の乗員室側に向かって延在した内側延在部27とを一体に有している。前後延在部25は、本体部23即ち車体側プロテクタ20が車体3に取り付けられると、レール部8に外接する様に取り付けられるとともに、その長手方向がレール部8の長手方向即ち自動車2の前後方向と平行になる。
上記一対の平行部24は、それぞれ、平板状に形成されている。平行部24は、それぞれ、本体部23の前後延在部25の電線束16の他端部側から互いに平行に延在しており、互いに鉛直方向に間隔をあけて配置されている。それぞれの平行部24は、自動車2の前後方向即ちスライドドア4のスライド方向に沿って延在している。一対の平行部24は、スライドドア4が塞ぎ位置に位置付けられると、互いの間に電線束16の外周を覆うコルゲートチューブ22即ち後述する渡り部32を位置付ける。
上記ドア側プロテクタ21は、硬質な絶縁性を有する合成樹脂で構成されて、直線状に延在した筒状の本体部28と、当該本体部28と直列に連なったコ字形部29とを一体に有している。ドア側プロテクタ21は、スライドドア4のパネル本体14の乗員室側の自動車の前方寄りの端部でかつレール部8と同じ高さとなる位置に取り付けられる。さらに、ドア側プロテクタ21は、図6に示すように、ロアアーム15の下方に配置されている。本体部28は、内側に電線束16を通して当該電線束16を保護するとともに、当該電線束16と固定される。
上記本体部28及び上記コ字形部29は、ドア側プロテクタ21がスライドドア4のパネル本体14に取り付けられると、その長手方向が自動車の前後方向即ちスライドドア4のスライド方向と平行になる。コ字形部29は、本体部28よりも自動車の前方寄りに配置されている。コ字形部29は、本体部28に連なり且つ鉛直方向に沿って平坦に形成された底板部30と一対の第2平行部31とを有している。
上記一対の第2平行部31は、それぞれ、平板状に形成されている。第2平行部31は、勿論、本体部28に連なりかつ底板部30の両縁から立設している。第2平行部31は、互いに鉛直方向に間隔をあけて、互いに平行に配置されている。それぞれの第2平行部31は、自動車の前後方向即ちスライドドア4のスライド方向に沿って延在している。一対の第2平行部31は、スライドドア4が塞ぎ位置及び開放位置に位置付けられると、互いの間に電線束16を覆うコルゲートチューブ22即ち後述する渡り部32を位置付ける。
上記コルゲートチューブ22は、断面の外形が小判形の筒状に形成されており、その内側に前述した電線束16即ち少なくとも一本の電線16aを収容する。コルゲートチューブ22は、その断面の長手方向が前述した自動車の鉛直方向と平行な状態に配置されている。コルゲートチューブ22は、ポリプロピレン、ポリプロピレンなどを含んだ混和物、ラバー系、エチレン系などの合成樹脂で構成されており、曲げ(弾性変形)自在となっている。コルゲートチューブ22は、曲げられると、ある程度の弾性復元力を生じる。
また、上記コルゲートチューブ22は、一端部22aが車体側プロテクタ20の本体部23に固定され、他端部22bがドア側プロテクタ21の本体部28に固定されている。このため、コルゲートチューブ22は、一端が車体3に取り付けられ、他端がスライドドア4に取り付けられて、車体3とスライドドア4との間に配置された格好となっている。また、コルゲートチューブ22内には、異音対策や水密性が要求される場合、発泡EPDMやウレタンフォームなどが充填される場合がある。
また、前述したコルゲートチューブ22と、電線束16即ち電線16aのコルゲートチューブ22内に収容された部分とは、上記渡り部32を構成している。渡り部32は、車体側プロテクタ20が車体3に取り付けられかつドア側プロテクタ21がスライドドア4に取り付けられていることから、一端が車体3に取り付けられかつ他端がスライドドア4に取り付けられて、車体3とスライドドア4との間に配索された格好となっている。
また、渡り部32は、車体側プロテクタ20がレール部8に外接する様に配置されることで、車体側プロテクタ20から出たハーネスの一端がレール部8内に配置されているとともに、ドア側プロテクタ21がレール部8と同じ高さとなる位置に配置されることで、その他端が前記渡り部32の一端と同じ高さとなる位置に配置されている。さらに、渡り部32は、プロテクタ20,21が前述した位置に取り付けられかつ各プロテクタ20,21の本体部23,28及び平行部24,31が前述した位置に配置されているので、スライドドア4が前述した塞ぎ位置に位置付けられると、その平面形がU字状をなす位置にその両端が配置されている。このように、本実施形態では、渡り部32は、パネル本体14に取り付けられるワイヤハーネス5に一体に形成されている。即ち、渡り部32は、ワイヤハーネス5の一部である。
さらに、スライドドア4が塞ぎ位置から開放位置に向かって自動車の後方に移動し、かつ、ロアアーム15がパネル本体14の下端部の前方寄りの縁部に設けられ、ドア側プロテクタ21がパネル本体14の自動車の前方寄りの端部でかつロアアーム15の下方に配置されているので、スライドドア4が開放位置に位置付けられると、図12に示すように、コルゲートチューブ22即ち渡り部32がロアアーム15の下方に位置付けられる。このように、スライドドア4が開放位置に位置付けられると、コルゲートチューブ22即ち渡り部32がロアアーム15の下方に位置付けられる位置に、前述したロアアーム15及びドア側プロテクタ21などが配置されている。
次に、本発明の電線の配索構造について、図1〜3、及び図6を参照しながら説明する。本実施形態の電線の配索構造70は、上述した電線束16と、上述した凸部50と、上述した複数の配線用クリップ17のうちの一つである第1クリップ17aと、を有している。
上記電線束16は、図6に示すように、ドア側プロテクタ21の本体部28から露出した他端部側の部分が、凸部50を跨いで、ドア側プロテクタ21の長手方向と直交する方向に沿ってスライドドア4の上方に向かって配索されている。即ち、電線束16は、凸部50と交差する経路を配索されている。また、この電線束16の本体部28から露出した他端部側の部分は、第1クリップ17aを含む複数の配線用クリップ17により、パネル本体14に取り付けられている。
上記凸部50は、上述したように、上記パネル本体14の外縁部でかつドアトリム45の外側の部分に設けられ、車体3の乗員室側に向かって突出するとともにパネル本体14の外縁部に沿って延びている。即ち凸部50はパネル本体14の一部をなしている。また、凸部50は、図1に示すように、スライドドア4が塞ぎ位置に位置付けられた状態でウェザーストリップ7と密着する平らに形成された密着面51を有している。
また、凸部50は、図2に示すように、上述した電線束16と交差する部分に、第1クリップ17aが取り付けられる凹部54が設けられている。この凹部54は、密着面51からウェザーストリップ7と離れる側に凹に形成されている。また、この凹部54の内面には、パネル本体14を貫通した係止穴55が設けられている。
上記第1クリップ17aは、ポリプロピレン等の合成樹脂やゴムなどの弾性材料で構成されており、内側に電線束16を通す筒状部71と、筒状部71と電線束16との間を埋めた止水部77と、上記係止穴55に係止される係止部72と、を有している。
上記筒状部71は、図3に示すように、電線束16を表面上に位置付ける基部73と、基部73の両端に連なりかつ互いの端部74a,75aが重なって電線束16を囲むことが可能な状態(図3中実線で示す。)と端部74a,75aが互いに離れる状態(図3中一点鎖線で示す。)とに亘って変形自在な一対の連結部74,75と、を有している。
上記基部73は、第1クリップ17aが凹部54に取り付けられた状態で、凹部54の係止穴55と重なる第1基部73aと、第1基部73aの両端に連なりかつ互いに離れる方向に延びた一対の第2基部73bと、を有した略コ字形に形成されている。このような基部73は、第1クリップ17aが凹部54に取り付けられた状態で、その外表面が凹部54の内面に密着する。
上記連結部74,75は、上記第2基部73bに連なりかつ互いに近づく方向に延びている。これら連結部74,75は、第2基部73bから離れた端部74a,75a同士が互いに重なることにより互いに係合する係合穴74bと係合突起75bとを有している。そして、これら係合穴74bと係合突起75bとが互いに係合することにより、端部74a,75a同士が重なった状態が維持される。また、第1クリップ17aが凹部54に取り付けられかつ端部74a,75a同士が重なった状態で、これら連結部74,75の外表面は凸部50の密着面51と同一平面状に位置付けられる。また、これら連結部74,75の外表面はスライドドア4が塞ぎ位置に位置付けられた状態でウェザーストリップ7と密着する。
上記止水部77は、図2に示すように、上述した筒状部71の端部74a,75a同士が重なった状態で基部73と連結部74,75とに囲まれて形成される電線収容空間76に、電線束16に取り付けられた状態の止水栓60が押し込まれることにより形成されている。即ち、本実施形態の止水部77は、止水栓60により形成されている。この止水栓60は、発泡EPDMやウレタンフォームなどの弾性変形自在な防水性を有する材料で構成されているとともに、電線束16を通す穴62を有した筒状に形成されている。また、この止水栓60は電線収容空間76に押し込まれると、この電線収容空間76の形状に合わせて弾性変形し、即ち基部73と連結部74,75との内面に沿って弾性変形し、筒状部71と電線束16との間を水密に保つ。
また、上記止水栓60には、前記穴62からその外表面63までを切り欠いたスリット61が設けられている。このような止水栓60の穴62に電線束16を通す際には、スリット61を拡げるようにして止水栓60を弾性変形させ、拡げられたスリット61即ち隙間から穴62に電線束16を挿入する。
また、この止水栓60を上記電線収容空間76に位置付ける際には、上述した手順で予め止水栓60を電線束16に取り付けておき、連結部74,75の端部74a,75a同士を互いに離れた位置に位置付けて、電線束16に取り付けられた状態の止水栓60を連結部74と連結部75との間から筒状部71内即ち電線収容空間76に押し込む。そして、連結部74,75の端部74a,75a同士を重ねて係合穴74bと係合突起75bとを係合させることにより、端部74a,75a同士が重なった状態が維持されて止水栓60が電線収容空間76に位置付けられる。この状態で、止水栓60は、筒状部71と電線束16との間を水密に保つとともに、電線束16を筒状部71に固定する。
上記係止部72は、図3に示すように、第1基部73aから連結部74,75と反対側に立設した板状の立設部72aと、この立設部72aの第1基部73aから離れた側の先端部に連なった一対の係止片72bと、を有している。
上記一対の係止片72bは、立設部72aと連なった一端部から他端部に向かうにしたがって互いに徐々に離れるとともに、徐々に第1基部73aに近づく方向に延びており、側方からみて山形に形成されている。また、一対の係止片72bの前記他端部は、互いに間隔をあけているとともに立設部72aと間隔をあけている。このような一対の係止片72bは、前記他端部が互いに近づく方向に弾性変形可能である。
上記係止部72は、立設部72aの前記先端部側から上記凸部50の係止穴55内に圧入されることにより、この係止穴55に係止される。そして、係止部72が係止穴55に係止されることにより、第1クリップ17aが凹部54に取り付けられる。
以上の構成により、上述した自動車2は、図7及び図10に示す塞ぎ位置と、図8及び図11に示す中間位置と、図9及び図12に示す開放位置とに順にスライドドア4をスライドさせて出入口6を開閉する。そして、スライドドア4が塞ぎ位置に位置付けられた状態では、ウェザーストリップ7と凸部50の密着面51とが密着するとともにウェザーストリップ7と第1クリップ17aの連結部74,75とが密着して車体3とスライドドア4との間が水密に保たれる。
本実施形態によれば、電線束16の配索経路がウェザーストリップ7と密着する凸部50を跨ぐ配索経路であっても、上述した電線の配索構造70を用いることにより、ウェザーストリップ7と凸部50との密着性を低下させることがなく、既存のパネル本体14の一部に凹部54を設けることにより、簡単な変更で対応できるので、自動車2のコストアップを抑えることができる。
また、第1クリップ17aの止水部77が、止水栓60を第1クリップ17aの筒状部71内に押し込むことにより形成されるので、容易に電線束16と筒状部71との間の止水処理を行うことができる。このため、凸部50の凹部54、即ち電線束16と筒状部71との間、から乗員室内に風や雨が入ることを確実に防止できる。
また、この第1クリップ17aは、連結部74,75の端部74a,75a同士が互いに重なった状態と互いに離れた状態とに亘って変形自在に形成されているので、ドア側コネクタ19,車体側コネクタ18が取り付けられた状態の線長の長い電線束16及び止水栓60を容易に筒状部71の内側即ち電線収容空間76に通すことができる。
また、ワイヤハーネス5の渡り部32の一端がレール部8内に配置され、他端がスライドドア4の前述した一端と同じ高さとなる位置に配置されて、渡り部32がU字状に配置されていることから、スライドドア4を閉じた際の渡り部32即ちワイヤハーネス5の余長部分がその弾性復元力によってレール部8の奥に押し付けられて、当該レール部8内に収容されることとなる。
このため、前述した余長部分を収容するために従来から設けられているレール部8を用いることができるので、専用のスペースを設ける必要がない。したがって、給電装置1の車体3やスライドドア4への設置に必要とされる専用のスペースが全く必要なくなり、車体3やスライドドア4への補機の取り付けに制約が生じることを確実に防止できる。
また、渡り部32の電線束16を収容するコルゲートチューブ22が、その断面の長手方向が鉛直方向と平行となるように配置されているので、スライドドア4をスライドさせる際に、コルゲートチューブ22即ち渡り部32が垂れ下がることを防止できる。このため、スライドドア4をスライドさせる際に、コルゲートチューブ22即ち渡り部32をレール部8に確実に出し入れすることができ、スライドドア4を車体3に対して確実にスライドさせることができる。
また、車体側プロテクタ20がスライドドア4のスライド方向に延在しかつ鉛直方向に間隔をあけて互いの間に渡り部32を位置付ける一対の平行部24を有している。これらの平行部24によって、スライドドア4をスライドさせる際に、コルゲートチューブ22即ち渡り部32が垂れ下がることを防止できる。したがって、スライドドア4をスライドさせる際に、コルゲートチューブ22即ち渡り部32をレール部8に確実に出し入れすることができ、渡り部32即ちワイヤハーネス5を破損させることなく、スライドドア4を車体3に対してより確実にスライドさせることができる。
また、ドア側プロテクタ21がスライドドア4のスライド方向に延在しかつ鉛直方向に間隔をあけて互いの間に渡り部32を位置付ける一対の第2平行部31を有しているので、これら第2平行部31によって、スライドドア4をスライドさせる際に、コルゲートチューブ22即ち渡り部32が垂れ下がることを防止できる。したがって、スライドドア4をスライドさせる際に、コルゲートチューブ22即ち渡り部32をレール部8に確実に出し入れすることができ、渡り部32即ちワイヤハーネス5を破損させることなく、スライドドア4を車体3に対してより確実にスライドさせることができる。
また、本実施形態では、スライドドア4が出入口6を開放すると、渡り部32がロアアーム15の下方に位置付けられるので、出入口6を通る乗員などが渡り部32を踏みつけることを防止できる。したがって、乗員の出入りや荷物の出し入れ時などに、渡り部32即ちワイヤハーネス5が破損することを防止できる。
また、本実施形態では、自動車に元々設けられてきたレール部8にワイヤハーネス5の渡り部32などの余長部分を収容するので、当該余長部分を収容する専用のスペースを設ける必要が無いので、乗員室の床面を上昇させる必要が全くなく、乗員室の低床設計を容易に実現可能とすることができる。
また、上述した実施形態では、車体3と開閉部材としてのスライドドア4とに亘って電線束16が配索される電線の配索構造70を例に挙げて説明したが、本発明の電線の配索構造は、車体3と、ヒンジを中心に開閉するドアとに亘って電線束16が配索される車両に用いることも可能である。また、本発明の開閉部材はスライド式・ヒンジ式のドアのみに限らず、開閉式のルーフやトランクの蓋なども含む。
また、上述した実施形態では、第1クリップ17aの筒状部71内に止水栓60を押し込むことにより止水部77を形成していたが、本発明では、外周に帯状の弾性部材を巻き付けた電線束16を筒状部71内に押し込むことにより止水部を形成するようにしても良く、時間を置くことにより固化する液体タイプの止水剤を筒状部71内に注入するなどして止水部を形成するようにしても良い。また、止水栓60などの弾性部材が筒状部71と一体化した構成であっても良い。さらに、筒状部の内面と電線束16の外周とに隙間が生じない寸法で筒状部を形成するようにしても良い。
また、上述した実施形態では、車体3にウェザーストリップ7が取り付けられ、スライドドア4にこのウェザーストリップ7に密着する密着面51を有する凸部50が設けられていたが、本発明では、スライドドア4にウェザーストリップ7が取り付けられ、車体3にこのウェザーストリップ7に密着する密着面が設けられていても良い。その場合は、車体3に前記密着面から凹に形成された凹部を設けるようにする。また、車体3とスライドドア4との双方にウェザーストリップ7が取り付けられていても良い。その場合は、車体3とスライドドア4とのうち一方に、第1クリップ17aを取り付けることが可能な、密着面から凹に形成された凹部を設け、第1のウェザーストリップ7をこの密着面及び凹部に取り付けられた第1クリップ17aに密着した状態で前記一方に取り付ける。そして、車体3とスライドドア4とのうち他方に、前記一方に取り付けられた第1のウェザーストリップ7と密着するように第2のウェザーストリップ7を取り付けるようにする。
また、上述した実施形態では、渡り部32をパネル本体14に取り付けられるワイヤハーネス5と一体に形成している。しかしながら、本発明では、ワイヤハーネス5を、渡り部32とパネル本体14に取り付けられるワイヤハーネスとに分割しても良い。この場合、渡り部32を構成する電線16aの両端末にコネクタを取り付けて、当該コネクタにより、渡り部32は、車体3に配索されるワイヤハーネス及びスライドドア4に配索されるワイヤハーネスと接続される。
また、本発明では、コルゲートチューブ22を種々の形状に形成しても良く、勿論、コルゲートチューブ22を断面円環状の筒状に形成しても良く、コルゲートチューブ22の他のチューブを用いても良い。勿論、コルゲートチューブ22に電線束16を収容しやすくためのスリットを全長に亘って形成したり、水抜き用の孔を複数設けても良い。
なお、前述した実施形態は、本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
3 車体
4 スライドドア(開閉部材)
6 出入口(開口部)
7 ウェザーストリップ
16a 電線
17a 第1クリップ(クリップ)
50 凸部
51 密着面
54 凹部
70 電線の配索構造
71 筒状部
72 係止部
73 基部
74,75 連結部
77 止水部
4 スライドドア(開閉部材)
6 出入口(開口部)
7 ウェザーストリップ
16a 電線
17a 第1クリップ(クリップ)
50 凸部
51 密着面
54 凹部
70 電線の配索構造
71 筒状部
72 係止部
73 基部
74,75 連結部
77 止水部
Claims (3)
- 車体と、当該車体に設けられた開口部を開閉する開閉部材と、に亘って配索された電線の配索構造であって、
前記車体と前記開閉部材とのうち一方が、前記開口部を塞いだ状態で前記開口部を囲むように設けられたウェザーストリップを有しており、他方が、前記開口部を塞いだ状態で前記ウェザーストリップと密着する密着面を有しており、
前記電線と、
前記密着面から前記ウェザーストリップと離れる方向に凹に形成された凹部と、
前記電線と固定されるとともに前記凹部に取り付けられて前記凹部の内面及び前記ウェザーストリップと密着するクリップと、
を有していることを特徴とする電線の配索構造。 - 前記クリップが、内側に前記電線を通す筒状部と、該筒状部と前記電線との間を埋めた止水部と、前記凹部内に係止される係止部と、
を有していることを特徴とする請求項1に記載の電線の配索構造。 - 前記筒状部が、前記電線を表面上に位置付ける基部と、前記基部の両端に連なりかつ互いの端部が重なって前記電線を囲む状態と前記端部が互いに離れる状態とに亘って変形自在な一対の連結部と、
を有していることを特徴とする請求項2に記載の電線の配索構造。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007158627A JP2008312375A (ja) | 2007-06-15 | 2007-06-15 | 電線の配索構造 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2007158627A JP2008312375A (ja) | 2007-06-15 | 2007-06-15 | 電線の配索構造 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2008312375A true JP2008312375A (ja) | 2008-12-25 |
Family
ID=40239448
Family Applications (1)
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JP2007158627A Withdrawn JP2008312375A (ja) | 2007-06-15 | 2007-06-15 | 電線の配索構造 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2008312375A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP7444044B2 (ja) | 2020-12-16 | 2024-03-06 | トヨタ車体株式会社 | スライドドア用給電装置 |
-
2007
- 2007-06-15 JP JP2007158627A patent/JP2008312375A/ja not_active Withdrawn
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