JP2008310130A - 制御ユニットおよびヘッドマウントディスプレイ - Google Patents

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Abstract

【課題】頭部装着ユニット100が制御ユニット4にデジタル信号を送信可能に構成される場合でも、ケーブルコストの増大を回避し、ユーザの使い勝手を良好に維持する。
【解決手段】頭部装着ユニット100から制御ユニット4にデジタル信号が送信されたとき、そのデジタル信号はアナログ音声信号を出力可能な接続端子49を介してLVDSレシーバ52にて受信される一方、FPGA/CPLD51により、頭部装着ユニット100に送信すべき音声信号がデジタル信号でLVDSトランスミッタ44に送られ、接続端子48およびHMDケーブル7bの信号線を介して頭部装着ユニット100に送信される。これにより、接続端子49およびそこに接続されているHMDケーブル7bの他の信号線を、上記のように頭部装着ユニット100から制御ユニット4へのデジタル信号の送信用として利用することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、観察者の頭部に装着される頭部装着ユニットを制御する制御ユニットと、頭部装着ユニットおよび制御ユニットをケーブルを介して通信可能に接続したヘッドマウントディスプレイ(以下、HMDとも称する)とに関するものである。
従来から、観察者の眼前に配置される表示ユニットと、その表示ユニットを制御する制御ユニットとをケーブルを介して接続したHMDが種々提案されている。例えば特許文献1のHMDでは、制御ユニットから表示ユニットにケーブルを介して映像信号および音声信号を送信する構成となっている。したがって、表示ユニットが映像信号に基づいて映像を表示し、音声信号に基づいて音声を出力することにより、観察者は音声を聞きながら表示映像を観察することが可能となる。
また、特許文献2のHMDでは、制御ユニットから表示ユニットへのデジタル信号(例えば映像信号)の送信をLVDS(Low Voltage Differential Signaling)方式で行っている。これにより、放射ノイズの低減が図られている。
さらに、近年では、特許文献3のように、シースルー型の表示ユニットに撮像ユニットを一体化したHMDも提案されている。このHMDでは、観察者の視線方向に位置する対象物(例えば動物や昆虫)を撮像ユニットで映像データとして捉え、取得した映像データに各種の映像処理を施して対象物の特定を行い、予めメモリに記録された対象物に関する各種の情報を図やテキスト形式で表示ユニットに表示させる。これにより、観察者が肉眼で実際に対象物を観察しながら、その対象物の関連情報を取得することが可能となる。したがって、上記HMDは、学習や遊戯等への活用が可能となっている。
特開平11−88800号公報 特開2003−172899号公報 特開2006−267887号公報
ところで、特許文献1のHMDのように、頭部装着ユニットが表示ユニットのみで構成される場合、表示ユニットと制御ユニットとを接続するケーブルは、一般的には、制御ユニットから表示ユニットにデジタル信号(例えば映像信号)を送信するための信号線、電源供給用の信号線、アナログ信号(例えば音声信号)を送信するための信号線を有して構成される。
一方、特許文献3のHMDのように、頭部装着ユニットが表示ユニットと撮像ユニットとを含んで構成される場合、例えば、撮像ユニットから制御ユニットにケーブルを介してデジタル信号(例えば撮像された映像の信号)を送信する一方、制御ユニットから表示ユニットにケーブルを介してデジタル信号(例えば表示すべき情報に関する信号)を送信するという、ケーブルを介しての双方向通信が可能なHMDを構築することが可能である。
このようなHMDを構築した場合、頭部装着ユニットから制御ユニットには上記のデジタル信号が送信されるため、その信号を送信するためのケーブルまたは信号線が必要となる。しかし、上記した一般的なケーブルに加えて上記デジタル信号の送信専用の別のケーブルを要求すること、および、上記デジタル信号の送信用の信号線を別途設けた特殊なケーブルを要求することは、どちらもトータルでのケーブルコストの増大を招く。また、ケーブルの信号線の本数が増大すると、ケーブルのしなやかさが損なわれ、HMDを使用するユーザの使い勝手も悪くなる。
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、頭部装着ユニットが制御ユニットにデジタル信号を送信可能に構成される場合でも、ケーブルコストの増大を回避できるとともに、ケーブルのしなやかさを維持してユーザの使い勝手を良好に維持できる制御ユニットと、その制御ユニットと頭部装着ユニットとをケーブルを介して通信可能に接続したHMDとを提供することにある。
本発明の制御ユニットは、観察者の頭部に装着される頭部装着ユニットとケーブルを介して通信可能な制御ユニットであって、ケーブルの信号線の1つが接続され、デジタル信号を出力する第1接続端子と、ケーブルの他の信号線が接続され、アナログ音声信号を出力可能な第2接続端子と、頭部装着ユニットに送信すべきデジタル信号を第1接続端子を介して頭部装着ユニットに送信する送信部と、頭部装着ユニットからデジタル信号が送信されたときに、そのデジタル信号を第2接続端子を介して受信する受信部と、頭部装着ユニットからデジタル信号が送信されたときに、頭部装着ユニットに送信すべき音声信号を、他の送信すべきデジタル信号とともにデジタル信号で送信部に送る制御部とを備えていることを特徴としている。
上記の構成によれば、頭部装着ユニットから制御ユニットにデジタル信号が送信されたとき、そのデジタル信号は、第2接続端子を介して受信部にて受信される。なお、上記のデジタル信号としては、例えば、頭部装着ユニットが撮像ユニットやマイクを含んで構成されている場合には、その撮像ユニットにて撮像された映像の信号や、マイクに入力された音声の信号を考えることができる。
また、頭部装着ユニットから制御ユニットにデジタル信号が送信されたとき、制御部により、頭部装着ユニットに送信すべき音声信号が、他の送信すべきデジタル信号(例えば制御信号)とともにデジタル信号で送信部に送られる。したがって、送信部からは、音声信号を含むデジタル信号が、第1接続端子およびケーブルの信号線を介して頭部装着ユニットに送信される。これにより、頭部装着ユニットでは、送信された音声信号に基づいて音声を出力することが可能となる。
上記構成においては、頭部装着ユニットから制御ユニットにデジタル信号が送信されたときに、制御ユニットから頭部装着ユニットに送信される音声信号は、第2接続端子を介してアナログ信号で送信されるのではなく、第1接続端子を介してデジタル信号で送信される。これにより、上記のように、第2接続端子およびそこに接続されているケーブルの信号線を別の目的で使用することが可能となる。つまり、頭部装着ユニットが制御ユニットにデジタル信号を送信可能に構成される場合には、第2接続端子に接続されている既存のケーブルの信号線を、頭部装着ユニットから制御ユニットへの上記デジタル信号の送信用として有効利用することができる。
したがって、頭部装着ユニットが制御ユニットにデジタル信号を送信可能に構成される場合でも、別のケーブルを追加したり、特殊なケーブル(信号線の本数の多いもの)を用いることが不要となり、ケーブルコストの増大を回避することができる。また、ケーブルの信号線の本数が増大しないので、ケーブルのしなやかさを保つことも可能となり、ユーザの使い勝手も良好に維持できる。
本発明の制御ユニットは、頭部装着ユニットから当該制御ユニットにデジタル信号が送信されたか否かを検知する検知部と、頭部装着ユニットに送信すべき音声信号をデジタル信号からアナログ信号に変換し、アナログ音声信号を第2接続端子を介して頭部装着ユニットに送信する変換部とをさらに備えていてもよい。そして、上記制御部は、頭部装着ユニットからのデジタル信号の送信有りを検知部が検知したときに、頭部装着ユニットに送信すべき音声信号をデジタル信号で送信部に送る一方、頭部装着ユニットからのデジタル信号の送信無しを検知部が検知したときに、頭部装着ユニットに送信すべき音声信号をデジタル信号で変換部に送る制御を行ってもよい。
頭部装着ユニットから制御ユニットへのデジタル信号の送信が有る場合(例えば頭部装着ユニットが表示ユニットと撮像ユニットとを含み、撮像ユニットにて撮像された映像の信号の送信が有る場合)、制御部により、頭部装着ユニットに送信すべき音声信号がデジタル信号で送信部に送られ、そこから第1接続端子およびケーブルの信号線を介して頭部装着ユニットに送信される。したがって、頭部装着ユニットへの信号送信に関与しなかった、第2接続端子に接続されている既存のケーブルの信号線を、上記のように頭部装着ユニットから制御ユニットへのデジタル信号の送信用として有効利用することができる。
一方、頭部装着ユニットから制御ユニットへのデジタル信号の送信が無い場合(例えば頭部装着ユニットが表示ユニットのみで構成される場合)、制御部により、音声信号がデジタル信号で変換部に送られる。これにより、変換部にて音声信号がデジタル信号からアナログ信号に変換された後、アナログ音声信号が第2接続端子を介して頭部装着ユニットに送信される。したがって、この場合、第2接続端子に接続されているケーブルの信号線を、通常通り、制御ユニットから頭部装着ユニットへのアナログ音声信号の送信用として利用することができる。
つまり、上記構成によれば、頭部装着ユニットから制御ユニットに送信されるデジタル信号の有無に基づいて(頭部装着ユニットの構成に応じて)、第2接続端子に接続されるケーブルの信号線の利用の仕方を変えることにより、頭部装着ユニットの構成の違いに同じケーブルで対応することができる。つまり、頭部装着ユニットの構成が異なる場合でも、同じケーブルを用いてシステム(HMD)を構成することができる。
本発明の制御ユニットにおいて、頭部装着ユニットに送信すべき他のデジタル信号は、頭部装着ユニットに映像を表示させるための映像信号と、頭部装着ユニットを制御するための制御信号とを含んでいてもよい。この場合、頭部装着ユニットは、制御ユニットから送信されるデジタル信号(映像信号および制御信号)に基づいて映像を表示することが可能となる。
本発明の制御ユニットにおいて、上記送信部は、上記制御部から送られる各信号をパラレル−シリアル変換し、さらに一対の差動信号として第1接続端子を介して頭部装着ユニットに送信してもよい。
この場合、制御ユニットから頭部装着ユニットにシリアルで信号を送信するので、パラレルで送信する場合に比べて、使用するケーブルの信号線の本数を減らすことができる。つまり、信号線の本数の多い特殊なケーブルではなく、信号線の本数の少ない通常のケーブルを用いることができる。その結果、ケーブルのコスト増大を回避することができる。また、制御ユニットと頭部装着ユニットとの間の通信を、一対の差動信号を用いたLVDS方式で行うので、放射ノイズを低減することができる。
本発明の制御ユニットにおいて、上記送信部は、デジタル音声信号を頭部装着ユニットに送信する際に、頭部装着ユニットに送信する映像信号のデータ有効期間以外で送信することが望ましい。
この構成では、送信部は、音声信号と映像信号とのうち、どちらかを選択的に頭部装着ユニットに送信することが可能となり、用いる信号線の本数を減らすことができる(信号線の本数の少ない通常のケーブルを用いることができる)。また、音声と映像とを時分割で送るので、一度に送るビット数を減らすことが可能となる。これにより、信号周波数を低減することが可能となり、放射ノイズを低減することが可能となる。
本発明のヘッドマウントディスプレイは、上述した本発明の制御ユニットと、観察者の頭部に装着される頭部装着ユニットとがケーブルを介して通信可能に接続されてなることを特徴としている。
上述した本発明の制御ユニットの構成によれば、頭部装着ユニットが制御ユニットにデジタル信号を送信可能に構成される場合でも、信号線の本数の少ない一般的なケーブルを用いて制御ユニットと頭部装着ユニットとを通信可能に接続してHMDを構成することができる。したがって、そのような制御ユニットを用いてHMDを構成することで、安価で使い勝手の良いHMDを実現することができる。
本発明のヘッドマウントディスプレイにおいて、頭部装着ユニットは、映像を表示する表示ユニットと、外部を撮像する撮像ユニットとを含んで構成されていてもよい。ただし、表示ユニットは、制御ユニットから送信される映像信号に基づいて映像を表示し、撮像ユニットは、撮像した映像の信号を制御ユニットに送信する。この構成によれば、頭部装着ユニットが表示ユニットと撮像ユニットとを含んで構成されるHMDを実現することができる。
本発明のヘッドマウントディスプレイにおいて、頭部装着ユニットと制御ユニットとを接続する上記ケーブルを第1のケーブルとすると、表示ユニットおよび撮像ユニットは、両者とも、第1のケーブルと接続可能な接続端子を有しており、かつ、第2のケーブルを介して互いに通信可能に接続されていてもよい。
表示ユニットと撮像ユニットとを第2のケーブルを介して通信可能に接続した状態で、制御ユニットを第1のケーブルを介して表示ユニットおよび撮像ユニットの一方と通信可能に接続することが可能となる。このとき、例えば、表示ユニットと撮像ユニットとの相対的な位置関係に応じて、第1のケーブルの接続先を表示ユニットと撮像ユニットとで選択することが可能となるので、表示ユニットに対して撮像ユニットがどのような位置に配置されても、簡単にかつ最短距離でケーブル(第1のケーブル、第2のケーブル)を配線することができる。その結果、無駄なケーブル配線が無くなるので、ケーブルコストを低減することができ、ケーブルが邪魔になることも無くなる。
本発明によれば、頭部装着ユニットが制御ユニットにデジタル信号を送信可能に構成される場合には、第2接続端子に接続されている既存のケーブルの信号線を、頭部装着ユニットから制御ユニットへの上記デジタル信号の送信用として有効利用することができる。これにより、上記デジタル信号の制御ユニットへの送信用の信号線を別途設ける必要がなくなり、ケーブルコストの増大を回避することができる。また、ケーブルの信号線の本数が増大しないので、ケーブルのしなやかさが保たれ、ユーザの使い勝手を良好に維持することができる。
本発明の実施の一形態について、図面に基づいて説明すれば、以下の通りである。
(1.HMDの構成)
図2(a)は、本実施形態に係るHMDの全体の構成を示す平面図であり、図2(b)は、HMDの正面図である。HMDは、2個の映像表示装置1(1R・1L)と、支持手段2と、映像ソース3と、制御ユニット4と、撮像ユニット5と、マイク6とを有している。
映像ソース3と制御ユニット4とは、AVケーブル7aを介して接続されており、制御ユニット4と映像表示装置1Rとは、HMDケーブル7b(第1のケーブル)を介して接続されており、映像表示装置1Rと映像表示装置1Lとは、両眼拡張用ケーブル7cを介して接続されている。また、映像表示装置1Rと撮像ユニット5とは、ケーブル7d(第2のケーブル)を介して接続されている。
映像表示装置1R・1Lは、観察者に外界像をシースルーで観察させるとともに、制御ユニット4から送信される映像信号に基づいて映像を表示し、それを観察者に虚像として観察させるものであり、観察者の右眼の前および左眼の前にそれぞれ配置される。映像表示装置1R・1Lにおいて、眼鏡の右眼用レンズおよび左眼用レンズに相当する部分は、後述する接眼プリズム31(図3参照)と偏向プリズム32(図3参照)との貼り合わせによって構成されている。
支持手段2は、映像表示装置1R・1Lを観察者の右眼および左眼の前でそれぞれ支持するものであり、ブリッジ8と、フレーム9と、テンプル10と、鼻当て11と、イヤホン12とを有している。鼻当て11はブリッジ8に支持されており、イヤホン12は映像表示装置1とケーブルを介して接続されている。
なお、フレーム9、テンプル10、鼻当て11およびイヤホン12は、左右一対設けられているが、これらを左右で区別する場合は、右フレーム9R、左フレーム9L、右テンプル10R、左テンプル10L、右鼻当て11R、左鼻当て11L、右イヤホン12R、左イヤホン12Lのように表現するものとする。
映像表示装置1R・1Lは、ブリッジ8で連結されている。右テンプル10Rは、右フレーム9Rに回動可能に支持されており、この右フレーム9Rを介して映像表示装置1Rと連結されている。同様に、左テンプル10Lは、左フレーム9Lに回動可能に支持されており、この左フレーム9Lを介して映像表示装置1Lと連結されている。
映像ソース3は、AVケーブル7aを介して映像信号を外部に出力することが可能な機器であり、例えばDVDプレーヤーで構成されている。制御ユニット4は、映像ソース3から供給される映像信号を差動シリアル信号に変換し、HMDケーブル7bおよび両眼拡張用ケーブル7cを介して映像表示装置1R・1Lに供給するユニットである。制御ユニット4は、電源をON/OFFするための電源スイッチ4a、映像の表示の調整(例えば輝度やコントラストの調整)を指示するための映像調整用入力部4b、音声のボリュームを調整するための音声調整用入力部4cなどを備えている。
撮像ユニット5は、外部を撮像するとともに、撮像した映像の信号を制御ユニット4に送信するものであるが、その詳細については後述する。マイク6は、撮像ユニット5と電気的に接続されており、外部の音声が入力されたときに、その音声信号を撮像ユニット5に出力する。これらの撮像ユニット5およびマイク6は、例えばブリッジ8に設けられているが、右テンプル10Rなど他の場所に設けられてもよい。
観察者がHMDを使用するときは、右テンプル10Rおよび左テンプル10Lを観察者の右側頭部および左側頭部に接触させるとともに、鼻当て11を観察者の鼻に当て、一般の眼鏡をかけるようにHMDを観察者の頭部に装着する。この状態で、映像表示装置1R・1Lにて映像を表示すると、観察者は、映像表示装置1R・1Lの各表示映像を虚像として両眼でそれぞれ観察できるとともに、この映像表示装置1R・1Lを介して外界像をシースルーで観察することができる。
このように、本実施形態のHMDは、映像表示装置1R・1Lと、各映像表示装置1R・1Lを観察者の眼前で支持する支持手段2とを有しているので、観察者は映像表示装置1R・1Lから提供される映像をハンズフリーで観察することができる。以下、映像表示装置1R・1Lの詳細について説明する。
(2.映像表示装置の構成)
図3は、映像表示装置1(1R・1L)の概略の構成を示す断面図である。映像表示装置1は、光源21と、一方向拡散板22と、集光レンズ23と、表示素子24と、接眼光学系30とを有している。光源21、一方向拡散板22、集光レンズ23および表示素子24は、筐体25内に収容されている。また、接眼光学系30の後述する接眼プリズム31の一部も筐体25内に位置している。光源21、一方向拡散板22、集光レンズ23および表示素子24は、後述する表示ユニット61に含まれている。
ここで、以下での説明の便宜上、方向を以下のように定義しておく。まず、表示素子24の表示領域の中心と、接眼光学系30によって形成される光学瞳Eの中心とを光学的に結ぶ軸を光軸とする。そして、光源21から光学瞳Eまでの光路を展開したときの光軸方向をZ方向とする。また、接眼光学系30の後述するホログラム光学素子33への光軸の入射面に垂直な方向をX方向とし、ZX平面に垂直な方向をY方向とする。なお、ホログラム光学素子33への光軸の入射面とは、ホログラム光学素子33における入射光の光軸と反射光の光軸とを含む平面、すなわち、YZ平面を指す。以下、上記入射面を単に入射面または光軸入射面と称する。
光源21は、表示素子24を照明するものであり、例えば、光強度のピーク波長および光強度半値の波長幅で462±12nm(B光)、525±17nm(G光)、635±11nm(R光)となる3つの波長帯域の光を発するRGB一体型のLEDで構成されている。光源21の各色についてのピーク波長は、ホログラム光学素子33の後述する回折効率のピーク波長の近傍に設定されており、光利用効率の向上が図られている。なお、光源21は、RGBの3つの波長光を同時に出射してもよいし、時分割で出射してもよい。
光源21は、RGBの光を出射するLEDで構成されているので、光源21を安価に実現することができるとともに、表示素子24を照明したときに、表示素子24にてカラー映像を表示することが可能となり、そのカラー映像を観察者に提供することが可能となる。また、各LEDは、発光波長幅が狭いので、そのようなLEDを複数用いることにより、色再現性が高く、明るい映像表示が可能となる。
一方向拡散板22は、光源21からの出射光を拡散させるものであるが、その拡散度は方向によって異なっている。より具体的には、一方向拡散板22は、X方向には入射光を約40゜拡散させ、Y方向には入射光を約0.5゜拡散させる。
集光レンズ23は、一方向拡散板22にて拡散された光をY方向に集光するシリンダレンズで構成されており、その拡散光が効率よく光学瞳Eを形成するように配置されている。
表示素子24は、光源21からの出射光を画像データに応じて変調して映像を表示するものであり、光が透過する領域となる各画素をマトリクス状に有する透過型の液晶表示素子で構成されている。表示素子24は、矩形の表示領域の長辺方向がX方向となり、短辺方向がY方向となるように配置されている。なお、表示素子24は、反射型であってもよい。反射型の表示素子24としては、例えば反射型の液晶表示素子や、DMD(Digital Micromirror Device;米国テキサスインスツルメント社製)を用いることができる。
また、表示素子24は、RGBのいずれかの光を透過するカラーフィルタを各画素に配置して構成されてもよいし、そのようなカラーフィルタを配置せずに構成されてもよい。表示素子24がカラーフィルタを有する場合、光源21がRGBの光を同時に出射することにより、表示素子24にてカラー映像を表示することができる。一方、表示素子24がカラーフィルタを有していない場合、光源21からRGBの光を時分割で表示素子24に供給することにより、表示素子24にてRGBの個々の映像を時分割で表示して結果的にカラー映像を観察者に観察させることが可能となる。
接眼光学系30は、表示素子24の表示映像の拡大虚像を観察者に提供する拡大光学系であり、接眼プリズム31(第1の透明基板)と、偏向プリズム32(第2の透明基板)と、ホログラム光学素子33とを有して構成されている。
接眼プリズム31は、表示素子24からの映像光を、対向する2つの面で全反射させ、ホログラム光学素子33を介して観察者の瞳に導く一方、外光を透過させて観察者の瞳に導くものであり、偏向プリズム32とともに、例えばアクリル系樹脂で構成されている。この接眼プリズム31は、平行平板の下端部を下端に近くなるほど薄くして楔状にし、その上端部を上端に近くなるほど厚くした形状で構成されている。また、接眼プリズム31は、その下端部に配置されるホログラム光学素子33を挟むように、偏向プリズム32と接着剤で接合されている。
偏向プリズム32は、平面視で略U字型の平行平板で構成されており、接眼プリズム31の下端部および両側面部(左右の各端面)と貼り合わされたときに、接眼プリズム31と一体となって略平行平板となるものである。この偏向プリズム32を接眼プリズム31に接合することにより、観察者が接眼光学系30を介して観察する外界像に歪みが生じるのを防止することができる。
つまり、例えば、接眼プリズム31に偏向プリズム32を接合させない場合、外光は接眼プリズム31の楔状の下端部を透過するときに屈折するので、接眼プリズム31を介して観察される外界像に歪みが生じる。しかし、接眼プリズム31に偏向プリズム32を接合させて一体的な略平行平板を形成することで、外光が接眼プリズム31の楔状の下端部を透過するときの屈折を偏向プリズム32でキャンセルすることができる。その結果、シースルーで観察される外界像に歪みが生じるのを防止することができる。
なお、接眼プリズム31および偏向プリズム32の各面は、平面であってもよいし、曲面であってもよい。接眼プリズム31および偏向プリズム32の各面を曲面とすれば、接眼光学系30に矯正眼鏡レンズとしての機能を持たせることもできる。
ホログラム光学素子33は、表示素子24から出射される映像光(3原色に対応した波長の光)を回折反射し、表示素子24にて表示される映像を拡大して観察者の瞳に虚像として導く体積位相型の反射型ホログラムである。このホログラム光学素子33は、例えば、回折効率のピーク波長および回折効率半値の波長幅で465±5nm(B光)、521±5nm(G光)、634±5nm(R光)の3つの波長域の光を回折(反射)させるように作製されている。ここで、回折効率のピーク波長とは、回折効率がピークとなるときの波長のことであり、回折効率半値の波長幅とは、回折効率が回折効率ピークの半値となるときの波長幅のことである。
反射型のホログラム光学素子33は、高い波長選択性を有しており、上記波長域(露光波長近辺)の波長の光しか回折反射しないので、回折反射される波長以外の波長を含む外光はホログラム光学素子33を透過することになり、高い外光透過率を実現することができる。
また、ホログラム光学素子33は、軸非対称な正の光学パワーを有している。つまり、ホログラム光学素子33は、正のパワーを持つ非球面凹面ミラーと同様の機能を持っている。これにより、装置を構成する各光学部材の配置の自由度を高めて装置を容易に小型化することができるとともに、良好に収差補正された映像を観察者に提供することができる。
(3.映像表示装置の動作)
次に、上記構成の映像表示装置1の動作について説明する。光源21から出射された光は、一方向拡散板22にて拡散され、集光レンズ23にて集光されて表示素子24に入射する。表示素子24に入射した光は、画像データに基づいて各画素ごとに変調され、映像光として出射される。つまり、表示素子24には、カラー映像が表示される。
表示素子24からの映像光は、接眼光学系30の接眼プリズム31の内部にその上端面から入射し、対向する2つの面で複数回全反射されて、ホログラム光学素子33に入射する。ホログラム光学素子33に入射した光は、そこで反射されて光学瞳Eに達する。光学瞳Eの位置では、観察者は、表示素子24に表示された映像の拡大虚像を観察することができる。
一方、接眼プリズム31、偏向プリズム32およびホログラム光学素子33は、外光をほとんど全て透過させるので、観察者はこれらを介して外界像を観察することができる。したがって、表示素子24に表示された映像の虚像は、外界像の一部に重なって観察されることになる。
このように、映像表示装置1では、表示素子24から出射される映像光を接眼プリズム31内での全反射によって導光し、ホログラム光学素子33を介して観察者の瞳に導くので、通常の眼鏡レンズと同様に、接眼プリズム31および偏向プリズム32の厚さを3mm程度にすることができ、映像表示装置1を小型化、軽量化することができる。また、表示素子24からの映像光を内部で全反射させる接眼プリズム31を用いることにより、高い外光の透過率を確保して、明るい外界像を観察者に提供することができる。
また、体積位相型の反射型のホログラム光学素子33は、回折効率半値の波長幅が狭く、回折効率が高いので、このようなホログラム光学素子33を用いることにより、色純度が高く、明るい映像を提供することができるとともに、外光の透過率が高くなるので、観察者は明るい外界像を観察することができる。また、光源21と光学瞳Eとの共役関係が変更されないので、映像光の波長が変化せず、色再現性の高い映像を提供することができる。
また、上記の説明からもわかるように、ホログラム光学素子33は、表示素子24からの映像光と外光とを同時に観察者の瞳に導くコンバイナとして機能している。これにより、観察者は、ホログラム光学素子33を介して、表示素子24から提供される映像と外界像とを同時に観察することができる。
(4.本発明の前提となるHMDについて)
次に、本発明のHMDについての理解をしやすくするため、本発明の前提となるHMDの電気的な構成について説明する。図4および図5は、本発明の前提となるHMDの制御ユニット4の主要部、および観察者の頭部に装着される頭部装着ユニット100を構成する表示ユニット61の主要部の電気的な構成を模式的に示すブロック図であり、図4は両眼式のHMDを、図5は単眼式のHMDを示している。なお、図5では、イヤホン12R・12Lの代わりにヘッドフォン13を用いた例を示している。
なお、以下での説明の便宜上、観察者の両眼に対応して配置される2つの表示ユニット61を左右で特に区別したい場合には、観察者の右眼の前に配置される表示ユニット61を表示ユニット61R(第1の表示ユニット)と称し、観察者の左眼の前に配置される表示ユニットを表示ユニット61L(第2の表示ユニット)と称することとする。また、図4および図5中の太線の矢印は、パラレルで信号が流れていることを示しているが、このような表記の仕方は、他の図面でも同様とする。
(4−1.制御ユニットについて)
制御ユニット4は、図2(a)に示した電源スイッチ4a、映像調整用入力部4b、音声調整用入力部4cのほかに、電池41、電源回路42、VIDEOデコーダ43、LVDSトランスミッタ44、μプロセッサ45、アンプ・音量調整部46および接続端子47・48・49を有している。接続端子47・48・49には、HMDケーブル7bの互いに異なる信号線が接続されている。なお、接続端子48はデジタル信号を出力する第1接続端子を構成しており、接続端子49はアナログ音声信号を出力可能な第2接続端子を構成している。
電池41は、制御ユニット4の各部および頭部装着ユニット100の各部を駆動するために、所定の電圧(例えば3.7V、GND)を電源回路42に出力するものである。電源回路42は、電源スイッチ4aがONされたときに、電池41の出力電圧から所望の電圧(例えば6V、3.3V、GND×2)を生成し、制御ユニット4の各部に供給するとともに、接続端子47を介して頭部装着ユニット100(例えば表示ユニット61R)に出力する。
VIDEOデコーダ43は、映像ソース3(図2(a)参照)から供給されるアナログの映像信号(VIDEO信号)をデジタル信号(例えば8ビット)に変換するとともに、クロックおよび同期信号(水平同期信号、垂直同期信号)を生成する。これらの各信号は、VIDEOデコーダ43からパラレルでLVDSトランスミッタ44に出力される。
LVDSトランスミッタ44は、VIDEOデコーダ43からパラレルで入力される信号をシリアルの信号に変換する。このパラレル/シリアル変換により、LVDSトランスミッタ44から1または0の信号が一対の差動信号として接続端子48を介して頭部装着ユニット100(例えば表示ユニット61R)に出力される。
μプロセッサ45は、頭部装着ユニット100の各部の動作を制御するための制御信号(シリアル信号)をLVDSトランスミッタ44に出力する。なお、この制御信号には、シリアルクロックSCLK、シリアルデータSDAT、シリアルイネーブルSENが含まれている。また、シリアルイネーブルSENには、シリアルイネーブルSEN1〜4が含まれている。シリアルイネーブルSEN1〜3は、表示ユニット61の後述する表示部70、光源電流調整回路71およびEEPROM72をそれぞれ選択するための制御信号である。シリアルイネーブルSEN4は、頭部装着ユニット100が表示ユニット61と撮像ユニット5とを含んで構成される場合に、撮像ユニット5のFPGA/CPLD89(図1参照)を選択するための制御信号である。
また、μプロセッサ45は、映像調整用入力部4bによる入力に基づいた信号をLVDSトランスミッタ44に出力し、その調整内容をLVDSトランスミッタ44からの出力信号に反映させるとともに、音声調整用入力部4cによる入力に基づいた信号をアンプ・音量調整部46に送る。
アンプ・音量調整部46は、μプロセッサ45からの入力信号に基づいて左右のアナログ音声信号(AUDIO/R、AUDIO/L)を増幅し、音声のボリュームを調整する。アンプ・音量調整部46にて調整されたアナログ音声信号は、接続端子49を介して頭部装着ユニット100(例えば表示ユニット61R)に出力される。
(4−2.表示ユニットについて)
次に、表示ユニット61R・61Lの詳細な構成について説明する。なお、表示ユニット61R・61Lは全く同様の構成であるため、以下では、表示ユニット61Rについて説明することとし、これで表示ユニット61Lの説明も兼ねることとする。
表示ユニット61Rは、上述した光源21等の他に、接続端子62〜67と、電源回路68と、LVDSレシーバ69と、表示部70と、光源電流調整回路71と、EEPROM72とを含んで構成されている。
接続端子62・63・64は、制御ユニット4の接続端子47・48・49とHMDケーブル7bの各信号線を介してそれぞれ接続される端子であり、ユニット内で接続端子65・67と導通している。
接続端子65は、外部ユニット(例えば撮像ユニット5)とケーブル7dの複数の信号線を介して接続可能な端子である。したがって、表示ユニット61Rに例えば撮像ユニット5が接続されたときには、制御ユニット4から接続端子47、HMDケーブル7bおよび接続端子62を介して入力される各種の電圧を、接続端子65を介して撮像ユニット5に出力することが可能である。
接続端子66は、外部ユニット(例えば撮像ユニット5)とケーブル7dの別の信号線を介して接続可能な端子である。したがって、表示ユニット61Rに例えば撮像ユニット5が接続されたときには、LVDSレシーバ69からの制御信号を接続端子66を介して撮像ユニット5に出力することが可能である。
接続端子67は、他の表示ユニット61(例えば表示ユニット61L)の接続端子65と両眼拡張用ケーブル7cを介して接続可能な端子である。したがって、表示ユニット61Rの接続端子67と表示ユニット61Lの接続端子65とが両眼拡張用ケーブル7cを介して接続されている場合には、接続端子62・63・64を介して表示ユニット61Rに入力された各種の電圧、差動シリアル信号、アナログ音声信号が、両眼拡張用ケーブル7cを介して表示ユニット61Lに出力される。これにより、表示ユニット61Lの各部を駆動して映像を表示することができるとともに、表示ユニット61R・61Lの接続端子65・67のいずれかにイヤホン12R・12L(図4参照)またはヘッドフォン13(図5参照)の端子を接続することで、イヤホン12R・12Lまたはヘッドフォン13から出力される音声を聞くことが可能となる。
電源回路68は、制御ユニット4から接続端子47、HMDケーブル7bおよび接続端子62を介して入力される各種の電圧を、表示ユニット61Rにおける各部の駆動に好適な所望の電圧(例えば5V、2.5V)に変換し、表示ユニット61Rの各部に供給する。
LVDSレシーバ69は、制御ユニット4から接続端子48、HMDケーブル7bおよび接続端子63を介して入力される差動シリアル信号をパラレルの信号に変換する。LVDSレシーバ69からパラレルで出力される信号のうち、映像信号、クロック、同期信号は、表示部70に入力される。また、LVDSレシーバ69から出力される信号に含まれる制御信号(SCLK、SDAT、SEN)は、表示部70、光源電流調整回路71およびEEPROM72に入力される。なお、シリアルイネーブルSEN1〜3は、それぞれ表示部70、光源電流調整回路71、EEPROM72に入力される。また、接続端子66が撮像ユニット5と接続される場合には、制御信号(SCLK、SDAT、SEN4)が接続端子66を介して撮像ユニット5に出力される。
表示部70は、上述した表示素子24と、LVDSレシーバ69からパラレルで出力される信号に基づいて表示素子24を駆動する駆動回路とを含むモジュールである。
光源電流調整回路71は、LVDSレシーバ69から供給される制御信号に基づいて、光源21を構成するRGBの各LEDに流す電流を調整し、RGBの光度(輝度、光強度)を調整するものであり、例えばDAC(D/Aコンバータ)や定電流回路を含んで構成される。また、表示素子24がカラーフィルタを有しておらず、時分割で駆動される場合(フィールドシーケンシャル方式)、光源21からRGBの光を出力するタイミングを示す信号(LED_R/G/B)が表示部70から光源電流調整回路71に出力され、表示素子24の駆動と光源21からのRGBの光の出射との同期が図られる。
このように表示素子24が駆動され、光源電流調整回路71によって光源21におけるRGBの光度が調整されることにより、光源21からの光で表示素子24を照明したときに、表示素子24にてホワイトバランスの良好な映像を表示することができる。
EEPROM72は、映像の表示の調整に用いる調整データを記憶する記憶手段である。上記の調整データとしては、例えば、光源21の光度(出射光の明るさ、光強度)を調整するためのデータや、表示素子24のレジスタ設定のためのデータ(表示素子24におけるコントラストや輝度などを調整するためのデータ)を想定することができる。このような調整データに基づいて光源電流調整回路71が光源電流を調整したり、駆動回路が表示素子24を駆動することにより、映像の明るさ(輝度)やコントラストが調整された状態で表示素子24に映像を表示させることができる。EEPROM72に対する調整データの書き込みおよび読み出しについては、シリアルイネーブルSEN3を含む制御信号に基づいて行われる。
上記したHMDの構成では、制御ユニット4は、表示ユニット61に対して、映像信号や制御信号を接続端子48を介してデジタルで送信し、音声信号を接続端子49を介してアナログで送信する。このように、頭部装着ユニット100が撮像ユニット5を含まないHMDにおいては、デジタルの通信は制御ユニット4から表示ユニット61への片方向となる。
また、表示ユニット61の構成は、左右で同じであるので、同じ表示ユニット61で片眼タイプ、両眼タイプの両者に対応できるとともに、両眼タイプのHMDを構成する場合でも、左右で区別することなく表示ユニット61を用いることができる。
また、図6は、図5のHMDの変形例を示すブロック図である。このHMDでは、制御ユニット4において、アンプ・音量調整部46の代わりに、A/D変換機能およびD/A変換機能を持つCodec(coder-decoder )50が設けられている。この構成では、制御ユニット4に外部から入力されるアナログ音声信号がCodec50にてデジタル音声信号に変換され、μプロセッサ45およびLVDSトランスミッタ44を介して接続端子48から表示ユニット61Rに出力される。
したがって、制御ユニット4のアナログ信号出力用の接続端子49およびそこに接続されているHMDケーブル7bの信号線が不要(無駄)となり、それらの有効利用が図れない。しかも、表示ユニット61R側には、音声信号をデジタルからアナログに変換してヘッドフォン13に出力するための音声回路(例えば同図に示すFPGA(Field Programmable Gate Array)/CPLD(Complex Programmable Logic Device)73、Codec74)が必要となり、表示ユニット61Rが大型化する。
しかし、図5のHMDでは、制御ユニット4の接続端子49およびそこに接続されているHMDケーブル7bの信号線を介して、表示ユニット61Rに音声信号を送信しているので、接続端子49および上記信号線を無駄にすることがない。しかも、図7に示すように、表示ユニット61R側に上記した音声回路を設けることが不要となり、表示ユニット61Rを小型化することが可能となる。
(5.本発明のHMDについて)
次に、本発明のHMDの電気的な構成について説明する。なお、上記した図4および図5のHMDでは、映像ソース3から制御ユニット4に映像信号および音声信号がともにアナログ信号で入力される例について説明したが、以下では、制御ユニット4がEthernet(登録商標)などの通信回線に接続されており、その通信回線を介して外部から映像信号および音声信号がともにデジタル信号で制御ユニット4に入力される例について説明する。このようなシステムとしては、例えば、複数のHMDを通信回線を介して接続したテレビ会議システムや、現場(HMDの装着者)に対して作業の指示や助言を遠方から有線または無線で伝える遠隔補助システムなどを想定することができる。
図1は、本発明のHMDの電気的な構成を模式的に示すブロック図である。本発明のHMDは、上述した表示ユニット61(61R・61L)と、撮像ユニット5と、マイク6と、ヘッドフォン13と、制御ユニット4とを有して構成されている。表示ユニット61、撮像ユニット5、マイク6およびヘッドフォン13は、観察者の頭部に装着される頭部装着ユニット100を構成している。まず、頭部到着ユニット100の表示ユニット61および撮像ユニット5について説明する。
(5−1.表示ユニットについて)
表示ユニット61の構成は、図4および図5と全く同様であるため、その詳細な説明については省略する。ただし、後述するように制御ユニット4からの音声信号がデジタル信号で表示ユニット61に入力される場合、表示ユニット61のLVDSレシーバ69は、接続端子66を介して撮像ユニット5に出力するデジタル信号に上記のデジタル音声信号を含めている。これにより、撮像ユニット5にヘッドフォン13の端子を接続して音声を聞くことが可能となる。なお、LVDSレシーバ69から出力されるデジタル音声信号は、撮像ユニット5に出力する制御信号(特にSDAT)に含められているが、この点については後述する。
(5−2.撮像ユニットについて)
撮像ユニット5は、接続端子81〜86と、電源回路87と、カメラモジュール88と、FPGA/CPLD89と、Codec90と、LVDSトランスミッタ91とを有している。
接続端子81〜83は、それぞれ、表示ユニット61の接続端子62〜64に対応する端子であり、制御ユニット4の接続端子47〜49とHMDケーブル7bの各信号線を介して接続可能な端子である。したがって、制御ユニット4は、図1に示すように表示ユニット61と接続することもできるし、図8に示すように撮像ユニット5と接続することもできる。
接続端子84は、接続端子81・85のGND端子と同電位の端子、Codec90から出力されるアナログ音声信号の出力端子であってヘッドフォン13との接続端子、マイク6との接続端子を含んでいる。
接続端子85は、表示ユニット61の接続端子65とケーブル7dを介して接続可能な端子である。制御ユニット4から表示ユニット61の接続端子62に入力される各種の電圧(例えば3.3V、GND)は、接続端子65およびケーブル7dを介して撮像ユニット5の接続端子85に入力され、電源回路87に供給される。また、撮像ユニット5のLVDSトランスミッタ91から出力される後述するデジタル信号は、接続端子85およびケーブル7dを介して表示ユニット61の接続端子65に入力され、接続端子64およびHMDケーブル7bを介して制御ユニット4に出力される。
接続端子86は、表示ユニット61の接続端子66とケーブル7dを介して接続可能な端子である。表示ユニット61からの制御信号(SCLK、SDAT、SEN4)やデジタル音声信号が接続端子66およびケーブル7dを介して撮像ユニット5の接続端子86に入力されると、これらの信号はFPGA/CPLD89に送られる。
電源回路87は、制御ユニット4から接続端子81を介して直接入力される各種の電圧、または制御ユニット4から表示ユニット61を介して撮像ユニット5の接続端子85に入力される各種の電圧を、撮像ユニット5における各部の駆動に好適な所望の電圧(例えば2.5V、1.6V、1.2V)に変換し、撮像ユニット5の各部に供給する。
カメラモジュール88は、外部を撮像する撮像素子(例えばCCD)やその駆動回路(周辺回路)を含むモジュールである。このカメラモジュール88は、FPGA/CPLD89からの制御信号に基づいて駆動され、また、撮像した外部の映像の信号をFPGA/CPLD89に送る。
FPGA/CPLD89は、表示ユニット61から出力される制御信号に基づいて、カメラモジュール88、Codec90およびLVDSトランスミッタ91を制御するための信号を出力する。つまり、FPGA/CPLD89は、表示ユニット61から送られてくる制御信号(カメラモジュール88やCodec90のレジスタ設定用データ)や音声信号をデコードし、それぞれのモジュールに必要な信号を生成する。
例えば、制御信号としてカメラモジュール88のレジスタ設定用データが表示ユニット61から送信された場合、FPGA/CPLD89は、カメラモジュール88のレジスタ設定に必要な信号を生成し、カメラモジュール88のレジスタ設定を行う。また、表示ユニット61からデジタル音声信号が送られてきた場合、FPGA/CPLD89は、その音声信号からCodec90の入力に合った信号を生成し、Codec90に出力する。
また、FPGA/CPLD89は、カメラモジュール88にて撮像された映像の信号や、Codec90から出力される音声信号(マイク入力によって得られるもの)を合わせてLVDSの一対の信号線で送信するための信号を生成し、LVDSトランスミッタ91に送る。
Codec90は、FPGA/CPLD89から送られる音声信号をデジタルからアナログに変換し、接続端子84を介してヘッドフォン13に出力したり、マイク6から接続端子84を介して入力される音声信号をアナログからデジタルに変換してFPGA/CPLD89に出力する電子回路であり、A/DコンバータおよびD/Aコンバータを内蔵する音声処理ICの一種である。
LVDSトランスミッタ91は、FPGA/CPLD89からパラレルで入力される信号をシリアルの信号に変換する。このパラレル/シリアル変換により、LVDSトランスミッタ91から一対の差動信号が接続端子85、ケーブル7d、表示ユニット61の接続端子65および接続端子64を介して制御ユニット4に出力される。
(5−3.制御ユニットについて)
次に、制御ユニット4について説明する。制御ユニット4は、Ethernetを介して入力されるストリームデータ(デジタル映像信号およびデジタル音声信号)をμプロセッサ45に入力する構成とし、FPGA/CPLD51およびLVDSレシーバ52を追加して設けた以外は、図4および図5の制御ユニット4と同様の構成である。なお、図1では、VIDEOデコーダ43およびアンプ・音量調整部46の図示を省略しているが、これらを削除して制御ユニット4を構成してもよい。
μプロセッサ45は、Ethernetを介して入力される映像信号や音声信号が圧縮されている場合には、それらを伸張してFPGA/CPLD51に出力し、逆に、FPGA/CPLD51から出力される映像信号や音声信号(頭部装着ユニット100から送信されるもの)を圧縮してEthernetを介して外部に送信する。
FPGA/CPLD51は、頭部装着ユニット100から制御ユニット4にデジタル信号(例えば撮像された映像の信号、マイク入力による音声信号)が送信されたときに、制御ユニット4から頭部装着ユニット100に送信すべき音声信号を、他の送信すべきデジタル信号(例えば映像信号、制御信号)とともにデジタル信号でLVDSトランスミッタ44に送る制御部である。特に、FPGA/CPLD51は、頭部装着ユニット100に送信すべき音声信号を、映像信号のデータがないタイミングでLVDSトランスミッタ44に送る。これにより、LVDSトランスミッタ44は、映像信号のデータ有効期間以外でデジタル音声信号を頭部装着ユニット100に送信することが可能となる。なお、頭部装着ユニット100へのデータ送信時のシーケンスについては後述する。
また、LVDSトランスミッタ44は、FPGA/CPLD51から送られる各信号をパラレル−シリアル変換し、さらに一対の差動信号として接続端子48を介して頭部装着ユニット100に送信する。したがって、LVDSトランスミッタ44は、頭部装着ユニット100に送信すべきデジタル信号を、第1接続端子(接続端子48)を介して頭部装着ユニット100に送信する送信部を構成している。
LVDSレシーバ52は、頭部装着ユニット100から制御ユニット4にデジタル信号が送信されたときに、そのデジタル信号を第2接続端子(接続端子49)を介して受信する受信部である。LVDSレシーバ52は、デジタル信号を受信した後、そのデジタル信号をシリアルからパラレルに変換し、FPGA/CPLD51に出力する。
(5−4.動作について)
次に、本発明のHMDの動作について説明する。
撮像ユニット5にて撮像された映像の信号は、FPGA/CPLD89に入力される。一方、マイク6に入力された音声信号はCodec90に入力され、そこでアナログからデジタルに変換されてFPGA/CPLD89に入力される。これらの信号は、FPGA/CPLD89からLVDSトランスミッタ91に送られ、そこでパラレルからシリアルに変換され、差動信号として接続端子85、ケーブル7d、表示ユニット61の接続端子65、接続端子64、HMDケーブル7b、制御ユニット4の接続端子49を順に介してLVDSレシーバ52にて受信される。
LVDSレシーバ52では、受信した差動信号がシリアルからパラレルに変換され、FPGA/CPLD51に送られる。パラレルに変換された各種の信号は、FPGA/CPLD51にて分離され、μプロセッサ45で圧縮された後、Ethernetを介して外部に送信される。
一方、頭部装着ユニット100に送信すべき映像信号や音声信号が圧縮された状態でEthernetを介して制御ユニット4に送信されると、制御ユニット4のμプロセッサ45ではそれらの信号を伸張し、FPGA/CPLD51に出力する。上記のように、頭部装着ユニット100から制御ユニット4にはデジタル信号が送信され、LVDSレシーバ52にて受信されているので、FPGA/CPLD51は、制御ユニット4から頭部装着ユニット100に送信すべき音声信号を他のデジタル信号(映像信号、制御信号)とともにLVDSトランスミッタ44に送る。これにより、LVDSトランスミッタ44からは、音声信号等を含むデジタル信号が、接続端子48およびHMDケーブル7bを介して頭部装着ユニット100の表示ユニット61に送信される。
制御ユニット4からの上記のデジタル信号は、表示ユニット61の接続端子63を介してLVDSレシーバ69にて受信され、そこでパラレルの信号に変換される。LVDSレシーバ69から映像信号や制御信号が表示部70等に入力されると、表示部70では、その映像信号に基づいて映像が表示される。
一方、LVDSレシーバ69からの制御信号や音声信号は、接続端子66、ケーブル7dおよび撮像ユニット5の接続端子86を介してFPGA/CPLD89に送信される。Codec90では、FPGA/CPLD89から入力される音声信号がデジタルからアナログに変換されて接続端子84に出力される。したがって、ヘッドフォン13の端子を接続端子84に接続することで、ヘッドフォン13にて音声を聞くことが可能となる。
なお、外部から制御ユニット4に入力される信号がデジタル信号ではなく、アナログ信号の場合には、μプロセッサ45の前段にA/D変換機能およびD/A変換機能を有するCodecを追加することで対応可能である。
なお、以上では、FPGA/CPLDとLVDS(トランスミッタ、レシーバ)とを分けた構成としたが、LVDSの機能をFPGA/CPLD側に持たせてHMDを構成することも勿論可能である。
(5−5.効果について)
以上のように、本発明のHMDにおいては、頭部装着ユニット100から制御ユニット4にデジタル信号が送信されたときに、制御ユニット4から頭部装着ユニット100に送信される音声信号は、元々アナログ音声信号出力用として設けられている接続端子49を介してアナログ信号で送信されるのではなく、デジタル信号出力用の接続端子48を介して他の送信すべき信号とともにデジタル信号で送信される。これにより、接続端子49およびそこに接続されているHMDケーブル7bの信号線を、頭部装着ユニット100から制御ユニット4へのデジタル信号の送信用として有効利用することができる。
したがって、頭部装着ユニット100が表示ユニット61の他に撮像ユニット5やマイク6を含んで構成される場合でも、言い換えれば、頭部装着ユニット100が制御ユニット4にデジタル信号を送信可能に構成される場合でも、比較例1を示す図9のように、HMDケーブル7bの他に、LVDSレシーバ52と接続端子49’を介して接続される別のケーブル7eを追加したり、信号線の本数の多い特殊なケーブルを用いることが不要となり、ケーブルコストの増大を回避することができる。また、信号線の本数の少ない既存のHMDケーブル7bを利用できるので、HMDケーブル7bのしなやかさが損なわれず、ユーザの使い勝手を良好に維持することが可能となる。
なお、頭部装着ユニット100が撮像ユニット5やマイク6を含まない場合、すなわち、頭部装着ユニット100から制御ユニット4にデジタル信号が送信されない場合には、例えば、制御ユニット4のμプロセッサ45が、Ethernetを介して入力されるデジタル信号を、D/A変換機能を有するCodec(図示せず)に入力し、そこから出力されるアナログ音声信号をアンプ・音量調整部46、接続端子49およびHMDケーブル7bを介して表示ユニット61に送信するようにすれば、接続端子49およびそこに接続されたHMDケーブル7bの信号線を、アナログ音声信号の送信用として通常通り用いることができる。
また、制御ユニット4から表示ユニット61に送信される音声信号はデジタル信号であるが、比較例2を示す図10のように、その音声信号を処理する音声回路(例えばFPGA/CPLD89およびCodec90に対応するFPGA/CPLD73およびCodec74)を表示ユニット61側に設ける構成とすると、表示ユニット61が大型化する。また、音声回路は頭部装着ユニット100全体で1つあれば足りるところ、同じ構成の表示ユニット61を2つ用いる両眼式の場合には音声回路が2個設けられることになり、無駄である。しかし、図1の構成では、音声回路を撮像ユニット5側に設ける構成としているので、表示ユニット61を小型化することができるとともに、設ける音声回路の数を1つにしてその無駄を無くすことができる。
また、制御ユニット4から頭部装着ユニット100に送信すべき、音声信号以外の他のデジタル信号は、頭部装着ユニット100(特に表示ユニット61)に映像を表示させるための映像信号と、頭部装着ユニット100を制御するための制御信号とを含んでいる。これにより、頭部装着ユニット100(特に表示ユニット61)は、制御ユニット4から送信される映像信号および制御信号に基づいて映像を表示することが可能となる。
また、制御ユニット4のLVDSトランスミッタ44は、FPGA/CPLD51から送られる各信号をパラレル−シリアル変換し、さらに一対の差動信号として接続端子48を介して頭部装着ユニット100に送信している。このように、制御ユニット4から頭部装着ユニット100にシリアルで信号を送信するので、信号線の本数の多い特殊なケーブルではなく、信号線の本数の少ない通常のHMDケーブル7bを用いることができる。その結果、ケーブルのコスト増大を回避することができる。また、制御ユニット4と頭部装着ユニット100との間の通信を、一対の差動信号を用いたLVDS方式で行うので、放射ノイズを低減することができる。
また、音声回路を撮像ユニット5側に設けて、観察者の目に近い位置に配置される表示ユニット61を小型化することができるので、目の視界を妨げることない。したがって、表示映像の観察と外界像の観察とを同時に行うことができるシースルー型のHMDの最大の特徴を損なうことがない。また、表示ユニット61の構成を変更することなく、表示ユニット61に撮像ユニット5を接続することができるので、HMDシステムの拡張性に優れたものとなる。
(6.HMDの他の構成について)
ところで、本発明のHMDは、以下のように構成することもできる。図11は、本発明のHMDの他の電気的な構成を模式的に示すブロック図である。このHMDは、制御ユニット4において、さらに信号判別回路53および音声Codec54を追加した以外は、図1と全く同様の構成である。
信号判別回路53は、頭部装着ユニット100から制御ユニット4(接続端子49)にデジタル信号が送信されたか否かを検知する検知部である。また、音声Codec54は、制御ユニット4から頭部装着ユニット100に送信すべき音声信号をデジタル信号からアナログ信号に変換する変換部であり、変換したアナログ音声信号を接続端子49を介して頭部装着ユニット100に送信する。
この構成では、頭部装着ユニット100から接続端子64およびHMDケーブル7bを介して制御ユニット4(接続端子49)にデジタル信号が送信されると、信号判別回路53は、頭部装着ユニット100からのデジタル信号の送信有りに対応する検知信号(例えばハイレベル)をFPGA/CPLD51に出力する。すると、FPGA/CPLD51は、制御ユニット4から頭部装着ユニット100に送信すべき音声信号をデジタル信号でLVDSトランスミッタ44に送る。これにより、LVDSトランスミッタ44から接続端子48およびHMDケーブル7bを介して音声信号がデジタルで頭部装着ユニット100に送信される。したがって、頭部装着ユニット100への信号送信に関与しなかった、制御ユニット4の接続端子49に接続されている既存のHMDケーブル7bの信号線を、上記のように頭部装着ユニット100から制御ユニット4へのデジタル信号の送信用として有効利用することができる。
一方、頭部装着ユニット100から制御ユニット4にデジタル信号が送信されていない場合には、信号判別回路53は、頭部装着ユニット100からのデジタル信号の送信無しに対応する検知信号(例えばローレベル)をFPGA/CPLD51に出力する。なお、頭部装着ユニット100から制御ユニット4にデジタル信号が送信されない例としては、例えば図12に示すように、頭部装着ユニット100が表示ユニット61のみからなる場合である。
FPGA/CPLD51は、信号判別回路53からのローレベルの検知信号を受信すると、制御ユニット4から頭部装着ユニット100に送信すべき音声信号をデジタル信号で音声Codec54に出力する。この場合、音声信号は音声Codec54にてデジタルからアナログに変換された後、接続端子49を介して頭部装着ユニット100に送信される。したがって、この場合、接続端子49に接続されているHMDケーブル7bの信号線を、通常通り、制御ユニット4から頭部装着ユニット100へのアナログ音声信号の送信用として利用することができる。
このように、図11および図12のHMDの構成によれば、頭部装着ユニット100から制御ユニット4に送信されるデジタル信号の有無に基づいて、言い換えれば、頭部装着ユニット100の構成に応じて、接続端子49に接続されるHMDケーブル7bの信号線の利用の仕方を変えることができる。これにより、同じHMDケーブル7bで頭部装着ユニット100の構成の違いに対応することができる。つまり、頭部装着ユニット100の構成が異なる場合でも、同じHMDケーブル7bを用いてHMDを構成することができる。
(7.データ送信シーケンスについて)
次に、制御ユニット4から頭部装着ユニット100へのデータ送信シーケンスについて説明する。
図13は、制御ユニット4のLVDSトランスミッタ44に入力される各種信号のタイミングチャートである。同図中、CLKは、表示素子24(例えばLCD)への入力クロックであり、HSYNCは水平同期信号であり、D_DATA[0:17]は、18ビットの映像信号(画像データ)である。また、DE_INは、LVDSトランスミッタ44からD_DATA[0:17]を出力するタイミングを制御する信号である。C_DATA[0:7]は、8ビットの制御信号(コントロールデータ)であり、これには、VSYNC(垂直同期信号)、HSYNC、LCDリセット、SCLK、SEN1〜4、SDATが含まれる。なお、同図中の「×」印は、そこに何らかのデータ(画像データ、音声データ)がのっていることを示している。
LVDSデバイス(パラレル/シリアル変換機能)を搭載した本発明のHMDでは、LVDSトランスミッタ44に入力されるDE_INを制御することにより、LVDSトランスミッタ44から頭部装着ユニット100にD_DATA[0:17]を送るか、C_DATA[0:7]を送るかを選択することができる。したがって、同図に示すように、デジタル化した音声データをコントロールデータC_DATA[0:7]に含め、LVDSトランスミッタ44から頭部装着ユニット100にD_DATA[0:17]を送らない間にC_DATA[0:7]を送る、つまり、頭部装着ユニット100に送信する映像信号のデータ有効期間以外でデジタル音声信号を送信ことにより、信号線の本数の少ない通常のHMDケーブル7bを用いて、制御ユニット4から頭部装着ユニット100に映像信号や音声信号を送ることが可能となる。その結果、頭部装着ユニット100にて映像を表示させながら音声を聞くことが可能となる。また、LVDSトランスミッタ44は、音声と映像とを時分割で送るので、一度に送るビット数を減らすことが可能となる。これにより、信号周波数を低減することが可能となり、放射ノイズを低減することが可能となる。
また、制御ユニット4から頭部装着ユニット100に音声信号を制御信号に含めてシリアルで送ることにより、表示ユニット61から撮像ユニット5への音声信号の送信に関与するケーブル7dの信号線の本数が、SCLK、SDAT、SEN4の3本と少なくなり、少ない信号線の本数で表示ユニット61と撮像ユニット5とを接続することが可能となる。
なお、ケーブル7dの信号線の本数が多くてもよい場合には、勿論、映像信号と同様に音声信号を他の制御信号とパラレルでLVDSトランスミッタ44に入力し、頭部装着ユニット100に送信してもよい。ただし、この場合には、音声信号の送信に関与するケーブル7dの信号線は、音声信号が16ビットの場合は16本必要となる。
なお、表示素子24のレジスタ設定を制御したい場合には、コントロールデータ(C_DATA[0:7])に含まれるSEN1をアクティブにし、光源電流調整回路71(特にDAC)を制御したい場合には、SEN2をアクティブにし、EEPROM72にアクセスしたい場合には、SEN3をアクティブにし、撮像ユニット5のFPGA/CPLD89にアクセスしたい場合には、SEN4をアクティブにすればよい。また、このとき、SCLKおよびSDATのラインを共通化できることは言うまでもない。
さらに、撮像ユニット5のFPGA/CPLD89にアクセスする場合において、SDATの例えば先頭ビットに判別用のデータを付与することにより、送信されたデータが例えば音声の右チャンネルデータ、音声の左チャンネルデータ、カメラモジュール88やCodec90への制御データ(I2C)であるか否かを判別することができる。
(8.ケーブル配線の手法について)
次に、本発明のHMDにおいて、表示ユニット61と撮像ユニット5との相対的な位置関係に応じたケーブル配線の手法について説明する。
図1等で示したように、本発明のHMDにおいて、表示ユニット61は、HMDケーブル7bと接続可能な接続端子62〜64と、ケーブル7dと接続可能な接続端子65・66とを有している。また、撮像ユニット5は、HMDケーブル7bと接続可能な接続端子81〜83と、ケーブル7dと接続可能な接続端子85・86とを有している。これにより、表示ユニット61と撮像ユニット5とをケーブル7dを介して通信可能に接続した状態で、制御ユニット4を表示ユニット61および撮像ユニット5の一方とHMDケーブル7bを介して通信可能に接続することが可能となる。
しかも、表示ユニット61と撮像ユニット5との相対的な位置関係に応じて、HMDケーブル7bの接続先を表示ユニット61と撮像ユニット5とで選択することが可能となり、表示ユニット61に対して撮像ユニット5がどのような位置に配置されても、簡単にかつ最短距離でケーブル(HMDケーブル7b、ケーブル7d)を配線することが可能となる。
例えば、図2で示したように、撮像ユニット5が支持手段2のブリッジ8の中央部分に設けられるHMDでは、制御ユニット4と、表示ユニット61Rを含む映像表示装置1RとをHMDケーブル7bで接続し、その映像表示装置1Rと、表示ユニット61Lを含む映像表示装置1Lとを両眼拡張用ケーブル7cで接続し、撮像ユニット5と映像表示装置1Rとをケーブル7dで接続するほうが、スムーズなケーブル配線が可能となり、配線された各ケーブルがユーザの邪魔になることもない。なお、図2は、図1の構成に対応している。
また、図14(a)(b)に示すように、撮像ユニット5が支持手段2のテンプル10Rに設けられるHMDでは、制御ユニット4と撮像ユニット5とをHMDケーブル7bで接続し、撮像ユニット5と表示ユニット61Rを含む映像表示装置1Rとをケーブル7dで接続し、その映像表示装置1Rと、表示ユニット61Lを含む映像表示装置1Lとを両眼拡張用ケーブル7cで接続するほうが、スムーズなケーブル配線が可能となり、配線された各ケーブルがユーザの邪魔になることもない。なお、図14は、図8の構成に対応している。
これに対して、図15(a)(b)は、撮像ユニット5が支持手段2のテンプル10Rに設けられるHMDにおける他のケーブル配線の例を示している。このHMDでは、制御ユニット4と映像表示装置1RとをHMDケーブル7bで接続し、映像表示装置1Rと撮像ユニット5とをケーブル7dで接続し、映像表示装置1Rと映像表示装置1Lとを両眼拡張用ケーブル7cで接続している。
この例では、撮像ユニット5と映像表示装置1Rとの間でケーブル配線が重複しており(HMDケーブル7bとケーブル7dとの2種類のケーブルが存在し)、制御ユニット4から撮像ユニット5に送信される信号が、映像表示装置1Rで折り返されて送信されるようなケーブル配線となっているため、ケーブルが重複している分だけ無駄が生じる。また、このようなケーブルの重複を避けようとすると、新たなケーブルの試作が必要となり、コストがかかってしまう。
しかし、本発明のHMDでは、表示ユニット61と撮像ユニット5との相対的な位置関係に応じて、HMDケーブル7bの接続先を表示ユニット61と撮像ユニット5とで選択することができるので、無駄なケーブル配線が無くなるとともに、撮像ユニット5がどのような位置に配置されても同じHMDケーブル7bを利用したケーブル配線が可能となり、ケーブルコストを低減することができる。
本発明は、頭部装着ユニットが表示ユニットの他に外部ユニット(例えば撮像ユニット、マイク)を含んで構成され、頭部装着ユニットと制御ユニットとで双方向の通信を行うHMDに適用可能である。
本発明の実施の一形態に係るHMDの電気的な構成を模式的に示すブロック図である。 (a)は、上記HMDの全体の構成を示す平面図であり、図2(b)は、HMDの正面図である。 上記HMDに適用される映像表示装置の概略の構成を示す断面図である。 本発明の前提となる両眼式のHMDの制御ユニットの主要部および表示ユニットの主要部の電気的な構成を模式的に示すブロック図である。 本発明の前提となる単眼式のHMDの制御ユニットの主要部および表示ユニットの主要部の電気的な構成を模式的に示すブロック図である。 図5のHMDの変形例を示すブロック図である。 図5のHMDの他の変形例を示すブロック図である。 本発明のHMDにおいて、図1とは異なるケーブル配線の例を模式的に示すブロック図である。 比較例1のHMDの電気的な構成を模式的に示すブロック図である。 比較例2のHMDの電気的な構成を模式的に示すブロック図である。 本発明のHMDの他の電気的な構成を示すブロック図であって、頭部装着ユニットが表示ユニットと撮像ユニットとを含むHMDのブロック図である。 本発明のHMDの他の電気的な構成を示すブロック図であって、頭部装着ユニットが表示ユニットのみからなるHMDのブロック図である。 制御ユニットのLVDSトランスミッタに入力される各種信号のタイミングチャートである。 (a)は、撮像ユニットがテンプルに設けられるHMDにおけるケーブル配線の一例を示す平面図であり、(b)は、上記HMDの正面図である。 (a)は、撮像ユニットがテンプルに設けられるHMDにおけるケーブル配線の他の例を示す平面図であり、(b)は、上記HMDの正面図である。
符号の説明
4 制御ユニット
5 撮像ユニット
7b HMDケーブル(第1のケーブル)
7c 両眼拡張用ケーブル
7d ケーブル(第2のケーブル)
44 LVDSトランスミッタ(送信部)
48 接続端子(第1接続端子)
49 接続端子(第2接続端子)
51 FPGA/CPLD(制御部)
52 LVDSレシーバ(受信部)
53 信号判別回路(検知部)
54 音声Codec(変換部)
61 表示ユニット
61R 表示ユニット
61L 表示ユニット
62 接続端子
63 接続端子
64 接続端子
81 接続端子
82 接続端子
83 接続端子
100 頭部装着ユニット

Claims (8)

  1. 観察者の頭部に装着される頭部装着ユニットとケーブルを介して通信可能な制御ユニットであって、
    ケーブルの信号線の1つが接続され、デジタル信号を出力する第1接続端子と、
    ケーブルの他の信号線が接続され、アナログ音声信号を出力可能な第2接続端子と、
    頭部装着ユニットに送信すべきデジタル信号を第1接続端子を介して頭部装着ユニットに送信する送信部と、
    頭部装着ユニットからデジタル信号が送信されたときに、そのデジタル信号を第2接続端子を介して受信する受信部と、
    頭部装着ユニットからデジタル信号が送信されたときに、頭部装着ユニットに送信すべき音声信号を、他の送信すべきデジタル信号とともにデジタル信号で送信部に送る制御部とを備えていることを特徴とする制御ユニット。
  2. 頭部装着ユニットから当該制御ユニットにデジタル信号が送信されたか否かを検知する検知部と、
    頭部装着ユニットに送信すべき音声信号をデジタル信号からアナログ信号に変換し、アナログ音声信号を第2接続端子を介して頭部装着ユニットに送信する変換部とをさらに備え、
    上記制御部は、頭部装着ユニットからのデジタル信号の送信有りを検知部が検知したときに、頭部装着ユニットに送信すべき音声信号をデジタル信号で送信部に送る一方、頭部装着ユニットからのデジタル信号の送信無しを検知部が検知したときに、頭部装着ユニットに送信すべき音声信号をデジタル信号で変換部に送ることを特徴とする請求項1に記載の制御ユニット。
  3. 頭部装着ユニットに送信すべき他のデジタル信号は、頭部装着ユニットに映像を表示させるための映像信号と、頭部装着ユニットを制御するための制御信号とを含んでいることを特徴とする請求項1または2に記載の制御ユニット。
  4. 上記送信部は、上記制御部から送られる各信号をパラレル−シリアル変換し、さらに一対の差動信号として第1接続端子を介して頭部装着ユニットに送信することを特徴とする請求項3に記載の制御ユニット。
  5. 上記送信部は、デジタル音声信号を頭部装着ユニットに送信する際に、頭部装着ユニットに送信する映像信号のデータ有効期間以外で送信することを特徴とする請求項3または4に記載の制御ユニット。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載の制御ユニットと、観察者の頭部に装着される頭部装着ユニットとがケーブルを介して通信可能に接続されてなることを特徴とするヘッドマウントディスプレイ。
  7. 頭部装着ユニットは、映像を表示する表示ユニットと、外部を撮像する撮像ユニットとを含んで構成されており、
    表示ユニットは、制御ユニットから送信される映像信号に基づいて映像を表示し、
    撮像ユニットは、撮像した映像の信号を制御ユニットに送信することを特徴とする請求項6に記載のヘッドマウントディスプレイ。
  8. 頭部装着ユニットと制御ユニットとを接続する上記ケーブルを第1のケーブルとすると、
    表示ユニットおよび撮像ユニットは、両者とも、第1のケーブルと接続可能な接続端子を有しており、かつ、第2のケーブルを介して互いに通信可能に接続されていることを特徴とする請求項7に記載のヘッドマウントディスプレイ。
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