JP2008309772A - 金属状態検出装置及び金属状態検出方法 - Google Patents

金属状態検出装置及び金属状態検出方法 Download PDF

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和廣 山川
Tetsuo Kanda
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Abstract

【課題】第一共振回路(第一検出コイル)及び第二共振回路(第二検出コイル)を用いて金属の状態を高精度に検出するにあたり、相互干渉による検出精度の低下を回避する。
【解決手段】第一検出コイルL1及び第一コンデンサC1からなる第一共振回路2に対して駆動信号を出力し、該駆動信号の出力停止後に第一共振回路2から減衰状に出力される自由振動波の位相ズレ成分にもとづいて、第一方向の透磁率変化を検出すると共に、第二検出コイルL2及び第二コンデンサC2からなる第二共振回路3に対して駆動信号を出力し、該駆動信号の出力停止後に第二共振回路3から減衰状に出力される自由振動波の位相ズレ成分にもとづいて、第二方向の透磁率変化を検出し、第一方向の透磁率と第二方向の透磁率との差分を求めるにあたり、相互干渉を避けるために、第一共振回路2と第二共振回路3を交互に駆動させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、金属の状態を検出する金属状態検出装置及び金属状態検出方法に関し、特に、金属の応力、疲労、損傷、欠陥、材質などの状態検出に適した金属状態検出装置及び金属状態検出方法に関する。
金属の状態を、その金属の磁気的な特性変化(透磁率変化など)に基づいて検出する金属状態検出装置や金属状態検出方法が知られている。例えば、回転軸のトルク(捻り応力)を、磁歪の逆効果を利用して検出する磁歪式トルクセンサは、自動車の電動パワーステアリングシステムや電動アシスト自転車のトルクアシストシステムなどにおいて実用化されている。
従来の磁歪式トルクセンサは、回転軸の二つの外周領域に、それぞれ+45°と−45°の磁気異方性を付与すると共に、各外周領域に対向して一対の検出コイルを配置し、これらの検出コイル間に生じる差動電圧を出力するように構成される。つまり、回転軸にトルクを加えると、磁歪の逆効果により各外周領域の透磁率が背反的に変化するため、検出コイル間に差動電圧が生じ、トルクに比例した出力が得られる(例えば、特許文献1、2参照)。
特開平7−83769号公報 特開平11−37863号公報
しかしながら、従来の金属状態検出装置では、ブリッジ回路などを用いて、検出コイル間に生じる僅かな差動電圧を検出し、この差動電圧を増幅回路で増幅しているため、ノイズの影響を受けやすく、検出精度に限界があった。
また、従来の磁歪式トルクセンサでは、必要な検出精度を確保するために、軸表面に、溝、スリット、薄膜などで±45°の縞模様(磁気異方部)を加工する必要があるので、これらの加工が許容されない回転軸では適用が困難であった。
上記の如き実情に鑑み、これらの課題を解決することを目的として創作された本発明の金属状態検出装置は、金属の状態を検出する金属状態検出装置であって、金属に近接して配置される第一検出コイル及び第二検出コイルと、前記第一検出コイルに対して直列又は並列に接続される第一コンデンサと、前記第二検出コイルに対して直列又は並列に接続される第二コンデンサと、前記第一検出コイル及び前記第一コンデンサからなる第一共振回路に対して駆動信号を出力すると共に、該駆動信号の出力停止後に前記第一共振回路から減衰状に出力される自由振動波の数をカウントし、該カウント数が所定数に達したか否かを判断する自由振動波カウント処理を行い、該自由振動波カウント処理に要した時間測定にもとづいて自由振動波の位相ズレ成分を検出する第一位相ズレ検出手段と、前記第二検出コイル及び前記第二コンデンサからなる第二共振回路に対して駆動信号を出力すると共に、該駆動信号の出力停止後に前記第二共振回路から減衰状に出力される自由振動波の数をカウントし、該カウント数が所定数に達したか否かを判断する自由振動波カウント処理を行い、該自由振動波カウント処理に要した時間測定にもとづいて自由振動波の位相ズレ成分を検出する第二位相ズレ検出手段と、前記第一共振回路に係る測定時間と前記第一共振回路に係る測定時間との差分を求める差分検出手段とを備え、さらに、前記第一共振回路と前記第二共振回路は、相互干渉を避けるために、交互に駆動されることを特徴とする。このような金属状態検出装置によれば、金属の状態を高精度に検出することができる。すなわち、上記のような共振回路から減衰状に出力される自由振動波においては、金属の状態(透磁率変化など)が位相ズレとなって明確に現れ、しかも、自由振動波における位相ズレは、振動波の数だけ蓄積されるので、金属の状態に応じて変化する位相ズレを高精度に検出できる。また、自由振動波の位相ズレを、自由振動波カウント処理に要した時間として測定するので、安価なデジタル回路を用いて高分解能測定を行うことができる。つまり、本発明における金属状態検出の分解能は、時間測定用のカウンタ速度により決まり、共振回路の基準共振周波数に依存しないので、検出対象に応じて共振回路の基準共振周波数を最適化しつつ、高分解能の金属状態検出を行うことができる。また、第一共振回路に係る位相ズレと第二共振回路に係る位相ズレとの差分を検出するので、温度誤差や変位誤差を容易に排除することができる。さらに、第一共振回路と第二共振回路は、交互に駆動されるので、相互干渉による検出精度の低下を回避することができる。しかも、第一検出コイルの検出領域と第二検出コイルの検出領域を、相互干渉を考慮せずに任意に設定することができるので、使用条件に応じた検出領域の最適化が容易となる。
また、前記第一位相ズレ検出手段及び前記第二位相ズレ検出手段は、前記自由振動波カウント処理における自由振動波のカウント数が所定数に達したタイミングを基準として、前記自由振動波カウント処理を所定回数だけ繰り返すことにより、自由振動波の位相ズレ成分を増幅させることを特徴とする。このような金属状態検出装置によれば、回路構成を複雑にすることなく、自由振動波カウント処理の繰り返し回数を増やすだけで、自由振動波の位相ズレ成分を任意に増幅させることができるので、検出精度を飛躍的に向上させることができる。
また、前記検出コイルは、前記金属における検出領域及び/又は検出方向を限定するために、金属との間で閉磁路を構成することを特徴とする。このような金属状態検出装置によれば、金属における検出領域や検出方向を限定し、検出精度をさらに向上させることができる。つまり、本発明の検出装置では、金属の状態に応じた自由振動波の位相ズレを、自由振動波の数だけ蓄積して検出するので、自由振動波の位相ズレに含まれる誤差成分も蓄積されてしまうことになるが、金属における検出領域や検出方向を限定することにより、SN比を高めることができるので、蓄積される誤差成分を抑制し、検出精度を向上させることができる。また、磁歪式トルクセンサなどを構成する場合、検出コイル側で検出方向を限定することができるので、軸表面に、溝、スリット、薄膜などで縞模様を加工する必要がない。
また、前記検出コイルは、高透磁率材料を用いて形成され、金属との間で閉磁路を構成するコアと、該コアに巻装されるコイルとを備えることを特徴とする。このような金属状態検出装置によれば、閉磁路に生じる磁束密度を高めて、金属の磁気的な特性変化を高精度に検出することができる。
また、一回の検出処理における前記自由振動波カウント処理の繰り返し回数、及び/又は、一回の自由振動波カウント処理における自由振動波のカウント数を変更する手段を備えることを特徴とする。このような金属状態検出装置によれば、使用条件に応じて自由振動波カウント数や繰り返し回数を変更し、検出精度や応答性能を調整することができる。
また、本発明の金属状態検出方法は、金属の状態を検出する金属状態検出方法であって、金属に近接して配置される第一検出コイル及び第二検出コイルと、前記第一検出コイルに対して直列又は並列に接続される第一コンデンサと、前記第二検出コイルに対して直列又は並列に接続される第二コンデンサとが用いられ、前記第一検出コイル及び前記第一コンデンサからなる第一共振回路に対して駆動信号を出力すると共に、該駆動信号の出力停止後に前記第一共振回路から減衰状に出力される自由振動波の数をカウントし、該カウント数が所定数に達したか否かを判断する自由振動波カウント処理を行い、該自由振動波カウント処理に要した時間測定にもとづいて自由振動波の位相ズレ成分を検出し、前記第二検出コイル及び前記第二コンデンサからなる第二共振回路に対して駆動信号を出力すると共に、該駆動信号の出力停止後に前記第二共振回路から減衰状に出力される自由振動波の数をカウントし、該カウント数が所定数に達したか否かを判断する自由振動波カウント処理を行い、該自由振動波カウント処理に要した時間測定にもとづいて自由振動波の位相ズレ成分を検出し、前記第一共振回路に係る測定時間と前記第一共振回路に係る測定時間との差分を求めるにあたり、前記第一共振回路と前記第二共振回路を、相互干渉を避けるために、交互に駆動させることを特徴とする。このような金属状態検出方法によれば、金属の状態を高精度に検出することができる。すなわち、上記のような共振回路から減衰状に出力される自由振動波においては、金属の状態(透磁率変化など)が位相ズレとなって明確に現れ、しかも、自由振動波における位相ズレは、振動波の数だけ蓄積されるので、金属の状態に応じて変化する位相ズレを高精度に検出できる。また、自由振動波の位相ズレを、自由振動波カウント処理に要した時間として測定するので、安価なデジタル回路を用いて高分解能測定を行うことができる。つまり、本発明における金属状態検出の分解能は、時間測定用のカウンタ速度により決まり、共振回路の基準共振周波数に依存しないので、検出対象に応じて共振回路の基準共振周波数を最適化しつつ、高分解能の金属状態検出を行うことができる。また、第一共振回路に係る位相ズレと第二共振回路に係る位相ズレとの差分を検出するので、温度誤差や変位誤差を容易に排除することができる。さらに、第一共振回路と第二共振回路は、交互に駆動されるので、相互干渉による検出精度の低下を回避することができる。しかも、第一検出コイルの検出領域と第二検出コイルの検出領域を、相互干渉を考慮せずに任意に設定することができるので、使用条件に応じた検出領域の最適化が容易となる。
また、前記自由振動波カウント処理における自由振動波のカウント数が所定数に達したタイミングを基準として、前記自由振動波カウント処理を所定回数だけ繰り返すことにより、自由振動波の位相ズレ成分を増幅させることを特徴とする。このような金属状態検出方法によれば、回路構成を複雑にすることなく、自由振動波カウント処理の繰り返し回数を増やすだけで、自由振動波の位相ズレ成分を任意に増幅させることができるので、検出精度を飛躍的に向上させることができる。
また、前記検出コイルは、前記金属における検出領域及び/又は検出方向を限定するために、金属との間で閉磁路を構成することを特徴とする。このような金属状態検出方法によれば、金属における検出領域や検出方向を限定し、検出精度をさらに向上させることができる。つまり、本発明の検出方法では、金属の状態に応じた自由振動波の位相ズレを、自由振動波の数だけ蓄積して検出するので、自由振動波の位相ズレに含まれる誤差成分も蓄積されてしまうことになるが、金属における検出領域や検出方向を限定することにより、SN比を高めることができるので、蓄積される誤差成分を抑制し、検出精度を向上させることができる。また、磁歪式トルクセンサなどを構成する場合、検出コイル側で検出方向を限定することができるので、軸表面に、溝、スリット、薄膜などで縞模様を加工する必要がない。
また、前記検出コイルは、高透磁率材料を用いて形成され、金属との間で閉磁路を構成するコアと、該コアに巻装されるコイルとを備えることを特徴とする。このような金属状態検出方法によれば、閉磁路に生じる磁束密度を高めて、金属の磁気的な特性変化を高精度に検出することができる。
また、一回の検出処理における前記自由振動波カウント処理の繰り返し回数、及び/又は、一回の自由振動波カウント処理における自由振動波のカウント数を変更することを特徴とする。このような金属状態検出方法によれば、使用条件に応じて自由振動波カウント数や繰り返し回数を変更し、検出精度や応答性能を調整することができる。
次に、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。ただし、図面に示す波形には、実際の検出波形とシミュレーション波形が含まれる。
[第一実施形態]
図1は、本発明の第一実施形態に係る金属状態検出装置(磁歪式トルクセンサ)の構成を示すブロック図である。この図に示される金属状態検出装置は、軸表面に生じる磁歪の逆効果を利用して回転軸S(又は静止軸)のトルクを検出する磁歪式トルクセンサ1であって、第一共振回路2、第二共振回路3及び検出回路4を備えて構成されている。第一共振回路2は、軸表面において第一方向(例えば、+45°方向)の透磁率変化を検出すべく配置される第一検出コイルL1に、第一コンデンサC1を直列又は並列に接続して構成され、検出回路4から出力される駆動信号により駆動される。第二共振回路3は、軸表面において第二方向(例えば、−45°方向)の透磁率変化を検出すべく配置される第二検出コイルL2に、第二コンデンサC2を直列又は並列に接続して構成され、検出回路4から出力される駆動信号により駆動される。
本実施形態の検出コイルL1、L2は、軸表面における検出領域及び検出方向を限定するために、高透磁率材料を用いて形成されコアと、該コアに巻装されるコイルとを備えて構成されている。具体的には、フェライトからなるU字コア2a、3aに、コイルを巻装して構成されており、U字コア2a、3aの両端を軸表面に近接させることにより、軸表面との間で閉磁路を構成するようになっている。これにより、軸表面の限られた領域に第一方向及び第二方向の磁路を形成し、該磁路における透磁率変化を検出することが可能になる。
検出回路4は、例えば、CPU、ROM、RAM、I/O、比較器(コンパレータ)などが内蔵されたマイコン(1チップマイコン)を用いて構成され、ROMに書き込まれたプログラムに従って後述するトルク検出処理を行う。なお、検出回路4は、複数のマイコンで構成したり、一又は複数のICで構成することもできる。
検出回路4は、第一共振回路2に対して駆動信号を出力し、該駆動信号の出力停止後に第一共振回路2から減衰状に出力される自由振動波の位相ズレ成分にもとづいて、第一方向の透磁率変化を検出する第一方向透磁率検出手段(第一位相ズレ検出手段)と、第二共振回路3に対して駆動信号を出力し、該駆動信号の出力停止後に第二共振回路3から減衰状に出力される自由振動波の位相ズレ成分にもとづいて、第二方向の透磁率変化を検出する第二方向透磁率検出手段(第二位相ズレ検出手段)と、第一方向の透磁率と第二方向の透磁率との差分にもとづいて、回転軸Sのトルクを検出するトルク検出手段(差分検出手段)とを備えている。
このようにすると、金属の状態(トルク)を高精度に検出することができる。つまり、上記のように構成された第一共振回路2や第二共振回路3から減衰状に出力される自由振動波においては、軸表面の透磁率変化が位相ズレとなって明確に現れ、しかも、自由振動波における位相ズレは、振動波の数だけ蓄積されるので、第一方向及び第二方向の透磁率変化を高精度に検出できるだけでなく、その差分から回転軸Sのトルクを高精度に検出することが可能になる。
また、検出回路4は、共振回路2、3に対して所定数の駆動信号を出力すると共に、駆動信号出力停止後に共振回路2、3から減衰状に出力される自由振動波の数をカウントし、該カウント数が所定数に達したか否かを判断する自由振動波カウント処理を行い、該自由振動波カウント処理に要した時間測定にもとづいて自由振動波の位相ズレ成分を検出するようになっている。このようにすると、自由振動波の位相ズレ成分を安価なデジタル回路を用いて測定することができる。しかも、トルク検出の分解能は、時間測定用のカウンタ速度により決まり、共振回路2、3の基準共振周波数に依存しないので、検出対象に応じて共振回路2、3の基準共振周波数を最適化しつつ、高分解能のトルク検出を行うことができる。
また、検出回路4は、自由振動波カウント処理における自由振動波のカウント数が所定数に達したタイミングを基準として、自由振動波カウント処理を所定回数だけ繰り返すことにより、自由振動波の位相ズレ成分を増幅させるようになっている。このようにすると、回路構成を複雑にすることなく、自由振動波カウント処理の繰り返し回数を増やすだけで、自由振動波の位相ズレ成分を任意に増幅させることができるので、磁歪式トルクセンサ1の検出精度を飛躍的に向上させることができる。
また、検出回路4は、相互干渉を避けるために、第一共振回路2と第二共振回路3を交互に駆動させるようになっている。例えば、第一共振回路2に係る自由振動波カウント処理(M回)を実行した後、第二共振回路3に係る自由振動波カウント処理(M回)を実行し、その後、各自由振動波カウント処理に要した測定時間の差分を求めるようにする。このようにすると、相互干渉による検出精度の低下を回避することができる。しかも、第一検出コイルL1の検出領域と第二検出コイルL2の検出領域を、相互干渉を考慮することなく、任意に設定することができるので、使用条件に応じた検出領域の最適化が容易となる。なお、交互駆動とは、1回の駆動を交互に行うという意味だけでなく、上記の例に示すように、複数回(M回)の駆動を1セットとし、該1セットを交互に行うという意味が含まれる。
検出回路4には、一回の自由振動波カウント処理における自由振動波のカウント数Nや、一回の検出処理における自由振動波カウント処理の繰り返し回数Mを変更する設定数変更手段を設けることができる。このようにすると、使用条件に応じて自由振動波カウント数Nや繰り返し回数Mを変更し、検出精度や応答性能を調整することができる。例えば、検出精度が優先される状況では、一回の検出処理における合計カウント数(N×M)が多くなるように自由振動波カウント数Nや繰り返し回数Mを増やし、また、応答性能が優先される状況では、一回の検出処理における合計カウント数(N×M)が少なくなるように自由振動波カウント数Nや繰り返し回数Mを減らすことができる。また、自由振動波の減衰が大きく、自由振動波のカウント数Nを多くできない状況にあっては、自由振動波カウント数Nを減らし、かつ、繰り返し回数Mを増やすことにより、要求精度を満たすことができる。なお、自由振動波カウント数Nや繰り返し回数Mの変更は、検出回路4の内部判断で実行しても良いし、外部からの設定数変更信号にもとづいて実行するようにしても良い。
第一検出コイルL1及び第二検出コイルL2は、軸表面における検出領域及び検出方向を限定するために、軸表面との間で閉磁路を構成することが好ましい。つまり、本発明の磁歪式トルクセンサ1では、トルクに応じた自由振動波の位相ズレを、自由振動波の数だけ蓄積して検出するので、自由振動波の位相ズレに含まれる誤差成分も蓄積されてしまうことになるが、軸表面における検出領域や検出方向を限定することにより、SN比を高めることができるので、蓄積される誤差成分を抑制し、検出精度を向上させることができる。また、検出コイルL1、L2側で検出方向を限定することができるので、軸表面に、溝、スリット、薄膜などで縞模様を加工する必要がない。その結果、これらの加工が許容されない回転軸Sであっても、本発明によるトルク検出の適用が可能となる。
磁歪式トルクセンサ1でトルクを検出する回転軸Sの軸表面は、メッキ法により成膜された磁歪膜5であることが好ましい。例えば、回転軸Sの一部又は全体の領域に、ニッケル合金からなる磁歪膜5を全周に亘ってメッキする。このようにすると、トルクに応じた磁歪膜5における磁歪の逆効果にもとづいて、トルクを高精度に検出できるだけでなく、トルク検出におけるヒステリシスを抑えることができる。しかも、本発明の磁歪式トルクセンサ1では、メッキ法により成膜された磁歪膜5であっても、十分な検出精度が得られるので、接着法、スパッタ法、真空蒸着法などでアモルファスなどの磁歪膜を形成する場合に比べ、大幅なコストダウンが図れるだけでなく、ニッケルメッキなどが施された既存の部材(樹脂を含む)を対象として、高精度なトルク検出を行うことができる。
次に、磁歪式トルクセンサ1の具体的な構成について説明する。
共振回路2、3は、検出コイルL1、L2にコンデンサC1、C2を並列に接続した並列共振回路であってもよいが、検出コイルL1、L2にコンデンサC1、C2を直列に接続した直列共振回路であることが好ましい。このようにすると、直列共振回路の作用によって、最大でソース電圧(例えば5V)のQ倍(例えば8倍)の電圧を検出コイルL1、L2に印加できるので、共振回路2、3から振幅の大きい自由振動波を出力することができる。これにより、自由振動波カウント数を多くし、測定精度を更に高めることができるだけでなく、ノイズにも強いものとできる。しかも、振幅の大きい自由振動波は、増幅器を介さずに検出回路4に直接入力できるので、回路構成がよりシンプルになり、更なるコストダウンが可能になる。
なお、検出コイルL1、L2に印加される最大電圧VLMAXは、以下に示す式で求めることができる。ただし、ωは共振角周波数、Lは検出コイルL1、L2のインダクタンス、Rは検出コイルL1、L2の抵抗、CはコンデンサC1、C2のキャパシタンス、Vはソース電圧、Qは共振回路の良好度である。
Figure 2008309772
検出回路4は、駆動パルス信号によって共振回路2、3を強制振動させるにあたり、複数の駆動パルス信号により共振回路2、3を強制振動させた後、駆動信号出力を停止させることができる。このようにすると、単発の駆動パルス信号で共振回路2、3を強制振動させる場合に比べ、強制振動波の振幅を大きくできる。特に、強制振動波の振幅が最大になるように所定の共振周波数で数発(例えば6発)の駆動パルス信号を出力すれば、駆動信号出力停止後に共振回路2、3から出力される自由振動波の振幅をより大きくし、測定精度を更に高めることが可能になる。
ちなみに、共振回路2、3を強制振動させる共振周波数fは、以下に示す式で求めることができる。
Figure 2008309772
次に、自由振動波における位相ズレの蓄積作用(増幅作用)について、図2〜図10を参照して説明する。
図2は、駆動パルス信号波形(a点)及び共振回路の振動波形(b点)を示す説明図である。この図に示すように、検出回路4は、所定電圧(例えば5V)の駆動パルス信号を出力し、共振回路2、3を強制振動させる。このとき、所定の共振周波数で数発(例えば6発)の駆動パルス信号を出力することにより、検出コイルL1、L2に最大電圧(例えば40V)を印加させることができる。そして、駆動パルス信号の出力を停止した後は、共振回路2、3から複数の自由振動波が減衰状に出力される。
図3は、十数個目の自由振動波を拡大した説明図、図4は、回転軸に大きなトルクを加えたときの位相ズレを示す説明図、図5は、回転軸に小さなトルクを加えたときの位相ズレを示す説明図である。これらの図に示すように、共振回路2、3から出力される自由振動波は、十数個目であっても検出に十分な振幅を保っている。ここで、回転軸Sにトルクを加えると、軸表面の透磁率変化に応じて、検出コイルL1、L2のインダクタンスが変化し、自由振動波に位相ズレが生じる。この自由振動波の位相ズレは、強制振動波に比べて明確に現れるだけでなく、自由振動波の個数分だけ蓄積されるので、低速なカウンタでも高精度に位相ズレを測定することが可能になる。また、図4及び図5に示すように、自由振動波の位相ズレは、回転軸Sに作用するトルクに比例して大きくなるので、自由振動波の位相ズレにもとづいて、回転軸Sに作用するトルクを高精度に測定することが可能になる。また、各共振回路2、3から出力される自由振動波の位相ズレは、磁歪の逆効果にもとづいて背反方向に現れるので、その差分にもとづいて回転軸Sのトルク量及びトルク極性を検出できるだけでなく、温度誤差や変位誤差が相殺された検出値を得ることができる。
図6は、自由振動波形(b点)と比較器出力(c点)の関係を示す説明図、図7は、回転軸にトルクが加えられていないときの比較器出力を示す拡大図、図8は、回転軸に小さなトルクが加えられたときの比較器出力を示す説明図、図9は、回転軸に大きなトルクが加えられたときの比較器出力を示す説明図である。これらの図に示すように、共振回路2、3から出力される自由振動波は、十数個目であっても検出に十分な振幅を保っているので、比較器によって明確な矩形波に変換することができる。ここで、回転軸Sにトルクを加えると、比較器出力波形の位相が進む。図8及び図9から明らかなように、この位相ズレは、自由振動波の個数が増えるほど蓄積され、測定が容易になる。
次に、自由振動波カウント処理の繰り返しによる位相ズレの増幅作用(蓄積作用)について、図10を参照して説明する。
図10は、自由振動波カウント数を5、その繰り返し回数を10とした場合における位相ズレの増幅作用を示す説明図である。この図に示す波形は、一回の検出処理における共振回路2、3の出力波形であって、2発の駆動パルス信号を出力して、共振回路2、3を強制振動させた後、共振回路2、3から減衰状に出力される自由振動波の数をカウントし、カウント数が所定数5に達したか否かを判断する自由振動波カウント処理を行い、該自由振動波カウント処理に要した時間測定にもとづいて自由振動波の位相ズレ成分を検出するにあたり、自由振動波カウント処理における自由振動波のカウント数が所定数5に達したタイミングを基準として、自由振動波カウント処理を10回繰り返した場合の波形であり、上側の波形は、下側の波形よりも大きなトルクを回転軸Sに加えた場合を示している。この図から明らかなように、自由振動波カウント処理における自由振動波のカウント数が所定数に達したタイミングを基準として、自由振動波カウント処理を所定回数繰り返すと、自由振動波の位相ズレが増幅される。これにより、回路構成を複雑にすることなく、自由振動波カウント処理の繰り返し回数を増やすだけで、位相ズレの測定精度を飛躍的に向上させることができる。
次に、自由振動波カウント数及びその繰り返し回数を変更した場合における位相ズレの増幅作用(蓄積作用)について、図11及び図12を参照して説明する。
図11は、自由振動波カウント数を1、その繰り返し回数を100とした場合における位相ズレの増幅作用(検出波形始端部を拡大)を示す説明図、図12は、自由振動波カウント数を1、その繰り返し回数を100とした場合における位相ズレの増幅作用(検出波形終端部を拡大)を示す説明図である。これらの図に示す波形は、一回の検出処理における共振回路2、3の出力波形であって、1発の駆動パルス信号を出力して、共振回路2、3を強制振動させた後、共振回路2、3から減衰状に出力される自由振動波の数をカウントし、カウント数が所定数1に達したか否かを判断する自由振動波カウント処理を行い、該自由振動波カウント処理に要した時間測定にもとづいて自由振動波の位相ズレ成分を検出するにあたり、自由振動波カウント処理における自由振動波のカウント数が所定数1に達したタイミングを基準として、自由振動波カウント処理を100回繰り返した場合の波形であり、上側の波形は、回転軸Sにトルクを加えない場合を示し、下側の波形は、回転軸Sにトルクを加えた場合を示している。これらの図から明らかなように、検出波形の始端部、つまり自由振動波カウント処理の繰り返し回数が少ない段階では、位相ズレがあまり増幅されていないが(図11参照)、自由振動波カウント処理の繰り返し回数が多くなると、自由振動波の位相ズレが増幅され、その検出が容易になることがわかる(図12参照)。
次に、検出回路4の具体的な検出処理手順について、図13〜図16を参照して説明する。
図13に示すトルク検出処理(差分検出手段、トルク検出手段)では、まず、初期設定(S11:比較器の基準電圧設定、自由振動波カウント数N及び繰り返し回数Mの初期値設定を含む)を行った後、設定数変更処理(S12)、第一方向透磁率検出処理(S13:第一位相ズレ検出手段、第一方向透磁率検出手段)及び第二方向透磁率検出処理(S14:第二位相ズレ検出手段、第二方向透磁率検出手段)を順番に実行する。そして、透磁率検出処理(S13、S14)で得られた第一方向透磁率検出値と第二方向透磁率検出値の差分を演算すると共に(S15)、演算した差分(トルク検出値)を所定の検出信号形式に変換して出力することにより(S16)、一回のトルク検出処理が終了する。
図14に示す設定数変更処理では、まず、設定数変更信号の入力を判断し(S21)、該判断結果がYESの場合は、設定数変更信号に含まれる自由振動波カウント数及び繰り返し回数を読み取り(S22)、これに従って自由振動波カウント数N及び繰り返し回数Mを変更する(S23)。
図15に示す第一方向透磁率検出処理では、カウンタクリア処理(S31)と、第一共振回路2に係る自由振動波カウント処理(S32〜S34)と、第一共振回路2に係る自由振動波カウント処理の繰り返し処理(S35、S36)と、時間測定処理(S37)を実行する。
カウンタクリア処理は、繰り返し回数カウンタ及び時間計測カウンタをクリアする処理である(S31)。また、自由振動波カウント処理は、第一共振回路2に対して所定数の駆動パルス信号を出力した後(S32)、自由振動波カウンタをクリアし(S33)、第一共振回路2から減衰状に出力される自由振動波の数をカウントすると共に、カウント数が所定数Nに達したか否かを判断する処理である(S34)。また、繰り返し処理は、自由振動波のカウント数が所定数Nに達したタイミングで、繰り返し回数カウンタをインクリメントすると共に(S35)、繰り返し回数カウンタが所定数Mに達したか否かを判断し(S36)、該判断結果がYESになるまで、自由振動波カウント処理(S32〜S34)を繰り返す処理である。また、時間測定処理は、自由振動波カウント処理の繰り返し回数が所定数Mになったら、時間計測カウンタ値(第一方向透磁率検出値)を読み込む処理である(S37)。
図16に示す第二方向透磁率検出処理では、カウンタクリア処理(S41)と、第二共振回路3に係る自由振動波カウント処理(S42〜S44)と、第二共振回路3に係る自由振動波カウント処理の繰り返し処理(S45、S46)と、時間測定処理(S47)を実行する。
カウンタクリア処理は、繰り返し回数カウンタ及び時間計測カウンタをクリアする処理である(S41)。また、自由振動波カウント処理は、第二共振回路3に対して所定数の駆動パルス信号を出力した後(S42)、自由振動波カウンタをクリアし(S43)、第二共振回路3から減衰状に出力される自由振動波の数をカウントすると共に、カウント数が所定数Nに達したか否かを判断する処理である(S44)。また、繰り返し処理は、自由振動波のカウント数が所定数Nに達したタイミングで、繰り返し回数カウンタをインクリメントすると共に(S45)、繰り返し回数カウンタが所定数Mに達したか否かを判断し(S46)、該判断結果がYESになるまで、自由振動波カウント処理(S42〜S44)を繰り返す処理である。また、時間測定処理は、自由振動波カウント処理の繰り返し回数が所定数Mになったら、時間計測カウンタ値(第二方向透磁率検出値)を読み込む処理である(S47)。
叙述の如く構成された本実施形態によれば、軸表面に生じる磁歪の逆効果を利用して回転軸Sのトルクを検出する磁歪式トルクセンサ1であって、軸表面において第一方向の透磁率変化を検出すべく配置される第一検出コイルL1と、軸表面において第一方向と交差する第二方向の透磁率変化を検出すべく配置される第二検出コイルL2と、第一検出コイルL1に対して直列又は並列に接続される第一コンデンサC1と、第二検出コイルL2に対して直列又は並列に接続される第二コンデンサC2と、第一検出コイルL1及び第一コンデンサC1からなる第一共振回路2に対して駆動信号を出力し、該駆動信号の出力停止後に第一共振回路2から減衰状に出力される自由振動波の位相ズレ成分にもとづいて、第一方向の透磁率変化を検出する第一方向透磁率検出手段と、第二検出コイルL2及び第二コンデンサC2からなる第二共振回路3に対して駆動信号を出力し、該駆動信号の出力停止後に第二共振回路3から減衰状に出力される自由振動波の位相ズレ成分にもとづいて、第二方向の透磁率変化を検出する第二方向透磁率検出手段と、第一方向の透磁率と第二方向の透磁率との差分にもとづいて、回転軸Sのトルクを検出するトルク検出手段とを備えるので、従来の磁歪式トルクセンサに比べ、回転軸Sのトルクを高精度に検出することができる。つまり、上記のように構成された第一共振回路2や第二共振回路3から減衰状に出力される自由振動波においては、軸表面の透磁率変化が位相ズレとなって明確に現れ、しかも、自由振動波における位相ズレは、振動波の数だけ蓄積されるので、第一方向及び第二方向の透磁率変化を高精度に検出できるだけでなく、その差分から回転軸Sのトルクを高精度に検出することが可能になる。
また、第一共振回路2と第二共振回路3は、相互干渉を避けるために、交互に駆動されるので、相互干渉による検出精度の低下を回避することができる。しかも、第一検出コイルL1の検出領域と第二検出コイルL2の検出領域を、相互干渉を考慮することなく、任意に設定することができるので、使用条件に応じた検出領域の最適化が容易となる。
また、第一方向透磁率検出手段や第二方向透磁率検出手段は、共振回路2、3に対して所定数の駆動信号を出力すると共に、駆動信号出力停止後に共振回路2、3から減衰状に出力される自由振動波の数をカウントし、該カウント数が所定数に達したか否かを判断する自由振動波カウント処理を行い、該自由振動波カウント処理に要した時間測定にもとづいて自由振動波の位相ズレ成分を検出するので、自由振動波の位相ズレ成分を安価なデジタル回路を用いて測定することができる。しかも、トルク検出の分解能は、時間測定用のカウンタ速度により決まり、共振回路2、3の基準共振周波数に依存しないので、検出対象に応じて共振回路2、3の基準共振周波数を最適化しつつ、高分解能のトルク検出を行うことができる。
また、第一方向透磁率検出手段や第二方向透磁率検出手段は、自由振動波カウント処理における自由振動波のカウント数が所定数に達したタイミングを基準として、自由振動波カウント処理を所定回数だけ繰り返すことにより、自由振動波の位相ズレ成分を増幅させるので、回路構成を複雑にすることなく、自由振動波カウント処理の繰り返し回数を増やすだけで、自由振動波の位相ズレ成分を任意に増幅させることができ、その結果、磁歪式トルクセンサ1の検出精度を飛躍的に向上させることが可能になる。
また、一回の検出処理における前記自由振動波カウント処理の繰り返し回数や、一回の自由振動波カウント処理における自由振動波のカウント数を変更できるようにしたので、使用条件に応じて自由振動波カウント数や繰り返し回数を変更し、トルク検出の検出精度や応答性能を調整することができる。
また、第一検出コイルL1及び第二検出コイルL2は、軸表面における検出領域や検出方向を限定するために、軸表面との間で閉磁路を構成するので、トルクの検出精度をさらに向上させることができる。つまり、本発明の磁歪式トルクセンサ1では、トルクに応じた自由振動波の位相ズレを、自由振動波の数だけ蓄積して検出するので、自由振動波の位相ズレに含まれる誤差成分も蓄積されてしまうことになるが、軸表面における検出領域や検出方向を限定することにより、SN比を高めることができるので、蓄積される誤差成分を抑制し、検出精度を向上させることができる。また、検出コイルL1、L2側で検出方向を限定することができるので、軸表面に、溝、スリット、薄膜などで縞模様を加工する必要がない。その結果、これらの加工が許容されない回転軸Sであっても、本発明によるトルク検出の適用が可能となる。
また、第一検出コイルL1及び第二検出コイルL2は、高透磁率材料を用いて形成され、軸表面との間で閉磁路を構成するコアと、該コアに巻装されるコイルとを備えて構成されるので、閉磁路に生じる磁束密度を高めて、軸表面の透磁率変化を高精度に検出することができる。
また、軸表面は、メッキ法により成膜された磁歪膜5であるため、トルクに応じた磁歪膜5における磁歪の逆効果にもとづいて、トルクを高精度に検出できるだけでなく、トルク検出におけるヒステリシスを抑えることができる。しかも、本発明の磁歪式トルクセンサ1では、メッキ法により成膜された磁歪膜(例えば、ニッケルメッキ)であっても、十分な検出精度が得られるので、接着法、スパッタ法、真空蒸着法などでアモルファスなどの磁歪膜を形成する場合に比べ、大幅なコストダウンが図れるだけでなく、ニッケルメッキなどが施された既存の部材(樹脂を含む)を対象として、高精度なトルク検出を行うことができる。
[第二実施形態]
つぎに、本発明の第二実施形態に係る金属状態検出装置(磁歪式トルクセンサ)について、図17〜図19を参照して説明する。ただし、第一実施形態と共通の部分については、第一実施形態と同一符号を付し、第一実施形態の説明を援用する。
図17に示すように、第二実施形態に係る磁歪式トルクセンサ11は、各共振回路2、3がそれぞれ複数の検出コイルL1、L2を備える点が第一実施形態と相違している。具体的に説明すると、第一共振回路2は、直列(又は並列)に接続された複数(例えば、4つ)の第一検出コイルL1を備え、第二共振回路3は、直列(又は並列)に接続された複数(例えば、4つ)の第二検出コイルL2を備える。このようにすると、第一検出コイルL1及び第二検出コイルL2を、軸表面にそれぞれ複数配置することにより、軸表面に存在する温度や材質のばらつき、さらには、検出コイルL1、L2と軸表面との間のギャップ変動などを平均化することができるので、これらの誤差要因による検出精度の低下を回避できる。
図18及び図19に示すように、複数の第一検出コイルL1と複数の第二検出コイルL2は、回転軸Sの同一円周上に並ぶように配置することが好ましい。このようにすると、軸表面の円周方向に存在する温度や材質のばらつき、さらには、検出コイルL1、L2と軸表面との間のギャップ変動などを平均化することができるのだけでなく、軸方向に存在する温度勾配の影響を最小化し、これらの誤差要因による検出精度の低下を回避できる。なお、複数の第一検出コイルL1及び複数の第二検出コイルL2は、環状のボビンBで所定の位置に保持される。ボビンBは、一体型でも良いし、分割型であっても良い。
複数の第一検出コイルL1と複数の第二検出コイルL2を、回転軸Sの同一円周上に並ぶように配置する場合、図18に示すように、第一検出コイルL1の検出領域と第二検出コイルL2の検出領域とが交互になるような配置構成とすることができる。このようにすると、第一検出コイルL1の検出領域と第二検出コイルL2の検出領域とのズレに起因する誤差の発生を抑制できるだけでなく、この誤差を回転軸Sの回転にもとづいて排除することができる。
また、複数の第一検出コイルL1と複数の第二検出コイルL2を、回転軸Sの同一円周上に並ぶように配置する場合、図19に示すように、第一検出コイルL1の検出領域と第二検出コイルL2の検出領域とが重なるような配置構成としてもよい。例えば、第一検出コイルL1と第二検出コイルL2の高さ寸法を相違させ、平面視で交差するように配置する。このようにすると、第一検出コイルL1の検出領域と第二検出コイルL2の検出領域とのズレに起因する誤差の発生を防止することができる。
[第三実施形態]
つぎに、本発明の第三実施形態に係る金属状態検出装置(引張・圧縮応力センサ)について、図20を参照して説明する。ただし、第一実施形態と共通の部分については、第一実施形態と同一符号を付し、第一実施形態の説明を援用する。
図20に示される引張・圧縮応力センサ21は、第一実施形態の磁歪式トルクセンサ1と略同じ構成であるが、第一検出コイルL1及び第二検出コイルL2の配置方向が第二実施形態の磁歪式トルクセンサ1と相違している。具体的に説明すると、引張・圧縮応力センサ21は、軸表面に生じる磁歪の逆効果を利用して静止軸Sの引張応力及び圧縮応力を検出する金属状態検出装置であって、第一検出コイルL1は、軸表面において軸方向の透磁率変化を検出するように配置され、第二検出コイルL2は、軸表面において周方向の透磁率変化を検出するように配置されている。つまり、軸方向の透磁率は、引張応力及び圧縮応力に応じて背反的に変化するため、第一検出コイルL1によって引張応力及び圧縮応力を良好に検出することができる。また、周方向の透磁率は、引張応力及び圧縮応力に応じて殆ど変化しないため、第二検出コイルL2によって温度変化を検出し、第一検出コイル1の温度補償を行うことができる。
なお、本発明は、前記実施形態に限定されないことは勿論であって、金属の状態を検出する金属状態検出装置や金属状態検出方法であれば、磁歪式トルクセンサや引張・圧縮応力センサに限らず、金属の疲労、損傷、欠陥、材質などの状態検出にも適用することができる。また、前記実施形態では、検出回路から出力される駆動信号で共振回路を直接駆動しているが、検出コイルとは別個に設けられる励磁コイルを介して共振回路を間接的に駆動させる金属状態検出装置や金属状態検出方法でも実施することができる。また、前記実施形態では、一回の検出処理において自由振動波カウント処理をM回繰り返すが、本発明は、一回の検出処理において自由振動波カウント処理を繰り返さない金属状態検出装置や金属状態検出方法としても実施することができる。
本発明の第一実施形態に係る金属状態検出装置(磁歪式トルクセンサ)の構成を示すブロック図である。 駆動パルス信号波形(a点)及び共振回路の振動波形(b点)を示す説明図である。 十数個目の自由振動波を拡大した説明図である。 回転軸に大きなトルクを加えたときの位相ズレを示す説明図である。 回転軸に小さなトルクを加えたときの位相ズレを示す説明図である。 自由振動波形(b点)と比較器出力(c点)の関係を示す説明図である。 回転軸にトルクが加えられていないときの比較器出力を示す拡大図である。 回転軸に小さなトルクが加えられたときの比較器出力を示す説明図である。 回転軸に大きなトルクが加えられたときの比較器出力を示す説明図である。 自由振動波カウント数を5、その繰り返し回数を10とした場合における位相ズレの増幅作用を示す説明図である。 自由振動波カウント数を1、その繰り返し回数を100とした場合における位相ズレの増幅作用(検出波形始端部を拡大)を示す説明図である。 自由振動波カウント数を1、その繰り返し回数を100とした場合における位相ズレの増幅作用(検出波形終端部を拡大)を示す説明図である。 検出回路におけるトルク検出処理の処理手順を示すフローチャートである。 検出回路における設定数変更処理の処理手順を示すフローチャートである。 検出回路における第一方向透磁率検出処理の処理手順を示すフローチャートである。 検出回路における第二方向透磁率検出処理の処理手順を示すフローチャートである。 本発明の第二実施形態に係る金属状態検出装置(磁歪式トルクセンサ)の構成を示すブロック図である。 (A)は検出コイルの第一の配置例を示す展開平面図、(B)は検出コイルの第一の配置例を示す側面図である。 (A)は検出コイルの第二の配置例を示す展開平面図、(B)は検出コイルの第二の配置例を示す側面図である。 本発明の第三実施形態に係る金属状態検出装置(引張・圧縮応力センサ)の構成を示すブロック図である。
符号の説明
1、11 磁歪式トルクセンサ
2 第一共振回路
3 第二共振回路
4 検出回路
L1 第一検出コイル
L2 第二検出コイル
C1 第一コンデンサ
C2 第二コンデンサ
S 回転軸
21 引張・圧縮応力センサ

Claims (10)

  1. 金属の状態を検出する金属状態検出装置であって、
    金属に近接して配置される第一検出コイル及び第二検出コイルと、
    前記第一検出コイルに対して直列又は並列に接続される第一コンデンサと、
    前記第二検出コイルに対して直列又は並列に接続される第二コンデンサと、
    前記第一検出コイル及び前記第一コンデンサからなる第一共振回路に対して駆動信号を出力すると共に、該駆動信号の出力停止後に前記第一共振回路から減衰状に出力される自由振動波の数をカウントし、該カウント数が所定数に達したか否かを判断する自由振動波カウント処理を行い、該自由振動波カウント処理に要した時間測定にもとづいて自由振動波の位相ズレ成分を検出する第一位相ズレ検出手段と、
    前記第二検出コイル及び前記第二コンデンサからなる第二共振回路に対して駆動信号を出力すると共に、該駆動信号の出力停止後に前記第二共振回路から減衰状に出力される自由振動波の数をカウントし、該カウント数が所定数に達したか否かを判断する自由振動波カウント処理を行い、該自由振動波カウント処理に要した時間測定にもとづいて自由振動波の位相ズレ成分を検出する第二位相ズレ検出手段と、
    前記第一共振回路に係る測定時間と前記第一共振回路に係る測定時間との差分を求める差分検出手段とを備え、
    さらに、前記第一共振回路と前記第二共振回路は、相互干渉を避けるために、交互に駆動される
    ことを特徴とする金属状態検出装置。
  2. 前記第一位相ズレ検出手段及び前記第二位相ズレ検出手段は、前記自由振動波カウント処理における自由振動波のカウント数が所定数に達したタイミングを基準として、前記自由振動波カウント処理を所定回数だけ繰り返すことにより、自由振動波の位相ズレ成分を増幅させることを特徴とする請求項1記載の金属状態検出装置。
  3. 前記検出コイルは、前記金属における検出領域及び/又は検出方向を限定するために、金属との間で閉磁路を構成することを特徴とする請求項1又は2記載の金属状態検出装置。
  4. 前記検出コイルは、高透磁率材料を用いて形成され、金属との間で閉磁路を構成するコアと、該コアに巻装されるコイルとを備えることを特徴とする請求項3記載の金属状態検出装置。
  5. 一回の検出処理における前記自由振動波カウント処理の繰り返し回数、及び/又は、一回の自由振動波カウント処理における自由振動波のカウント数を変更する手段を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の金属状態検出装置。
  6. 金属の状態を検出する金属状態検出方法であって、
    金属に近接して配置される第一検出コイル及び第二検出コイルと、
    前記第一検出コイルに対して直列又は並列に接続される第一コンデンサと、
    前記第二検出コイルに対して直列又は並列に接続される第二コンデンサとが用いられ、
    前記第一検出コイル及び前記第一コンデンサからなる第一共振回路に対して駆動信号を出力すると共に、該駆動信号の出力停止後に前記第一共振回路から減衰状に出力される自由振動波の数をカウントし、該カウント数が所定数に達したか否かを判断する自由振動波カウント処理を行い、該自由振動波カウント処理に要した時間測定にもとづいて自由振動波の位相ズレ成分を検出し、
    前記第二検出コイル及び前記第二コンデンサからなる第二共振回路に対して駆動信号を出力すると共に、該駆動信号の出力停止後に前記第二共振回路から減衰状に出力される自由振動波の数をカウントし、該カウント数が所定数に達したか否かを判断する自由振動波カウント処理を行い、該自由振動波カウント処理に要した時間測定にもとづいて自由振動波の位相ズレ成分を検出し、
    前記第一共振回路に係る測定時間と前記第一共振回路に係る測定時間との差分を求めるにあたり、
    前記第一共振回路と前記第二共振回路を、相互干渉を避けるために、交互に駆動させる
    ことを特徴とする金属状態検出方法。
  7. 前記自由振動波カウント処理における自由振動波のカウント数が所定数に達したタイミングを基準として、前記自由振動波カウント処理を所定回数だけ繰り返すことにより、自由振動波の位相ズレ成分を増幅させることを特徴とする請求項6記載の金属状態検出方法。
  8. 前記検出コイルは、前記金属における検出領域及び/又は検出方向を限定するために、金属との間で閉磁路を構成することを特徴とする請求項6又は7記載の金属状態検出方法。
  9. 前記検出コイルは、高透磁率材料を用いて形成され、金属との間で閉磁路を構成するコアと、該コアに巻装されるコイルとを備えることを特徴とする請求項8記載の金属状態検出方法。
  10. 一回の検出処理における前記自由振動波カウント処理の繰り返し回数、及び/又は、一回の自由振動波カウント処理における自由振動波のカウント数を変更することを特徴とする請求項6〜9のいずれかに記載の金属状態検出方法。
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