JP2008309099A - スクロール部材の製造方法 - Google Patents

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博 戸塚
Mitsuru Sho
充 章
Akihiko Ueda
明彦 上田
Yoshio Kimura
良男 木村
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Abstract

【課題】スクロール型流体機械のスクロール部材を製造するに際し、重力金型鋳造でありながら、渦巻体の中央部における機械特性を溶湯鍛造並のレベルまで向上可能なスクロール部材の製造方法を提供する。
【解決手段】渦巻体と底板とが一体成形されるスクロール型流体機械のスクロール部材の機械加工前の素形材を重力金型鋳造により製造する方法であって、金型のキャビティー内に注湯された溶湯の前記渦巻体の中央部に相当する部位を強制冷却することにより、渦巻体の中央部に相当する部位から渦巻体の外周部に相当する部位に向けて、溶湯に凝固指向性を持たせることを特徴とするスクロール部材の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、渦巻体と底板とが一体成形されるスクロール型流体機械(例えば、スクロール型圧縮機や膨張機など)のスクロール部材の機械加工前の素形材を製造する方法に関し、とくに重力金型鋳造によりスクロール部材を製造する方法に関する。
鋳型として金型を用い、重力下で金型に注湯する重力金型鋳造法が知られており、一般に大量生産に適しているとされている。しかし、金型は冷却速度が速く鋳造品を急冷するためチルド組織を生じる、金型が溶湯に曝されるため寿命が短い、また、金型製作費が高い等の欠点もあると言われている。そのため、鋳鉄では、急冷によりチル化して材質が硬くかつ脆くなり、金型寿命も短いので、限られた用途に適用されているが、アルミニウム合金などの低融点金属では、金型寿命も長くなるし、大量生産では金型製作費も割安になるので、古くから、各種自動車用部品や、圧縮機や膨張機などの流体機械の部品製造のために採用されている。
スクロール型流体機械のスクロール部材の製造には、古くは鋳造法が採用されていたが、現状では、主として溶湯鍛造法が採用されており、それによって従来の鋳造法では得られなかった優れた機械特性(例えば、引張強度や耐力、伸びなど)が確保されている。
スクロール型流体機械のスクロール部材には、現状では通常、軽量化のためにアルミニウム合金が使用されているので、スクロール部材の機械加工前の素形材の製造において、溶湯鍛造法並の機械特性が得られれば、金型寿命や製造コスト、製造のしやすさ等の観点から、金型鋳造の採用も考慮する価値があると考えられる。しかし、従来の金型鋳造法では、昨今のスクロール型圧縮機のスクロール部材に要求される機械特性を満足できるレベルには至っていない。とくにスクロール型圧縮機のスクロール部材においては、被圧縮流体の圧縮行程の最終過程の部位となる、スクロール部材の渦巻体の中央部、中でも、渦巻体の中央部における底板側の付け根部に、最も高い機械特性が要求されるが、従来の金型鋳造法では、溶湯鍛造法並の機械特性を実現するには至っていない。
スクロール型流体機械、とくにスクロール型圧縮機のアルミニウム合金製スクロール部材の金型鋳造に関して、渦巻体の先端部から根元部に向かって結晶粒サイズが徐々に大きくなる分布を持たせるようにした鋳造方法が知られているが(例えば、特許文献1)、この方法によって得られる渦巻体の強度特性は、上述の如き本来渦巻体に求められる強度特性とは逆の特性となる。すなわち、結晶粒サイズが大きいと組織が粗になって強度低下の原因となるので、渦巻体の付け根部側、つまり、渦巻体の底板との接続側には、特許文献1に記載の分布とは逆に、結晶粒サイズの小さい緻密な組織とすることにより、先端部側に比べてより高い強度特性となることが望まれる。
特公平3−58823号公報
本発明の課題は、上記のような従来技術の限界に鑑み、スクロール型流体機械のスクロール部材を製造するに際し、重力金型鋳造でありながら、とくに渦巻体の中央部における機械特性を溶湯鍛造並のレベルまで向上可能なスクロール部材の製造方法を提供し、現在の要求仕様に対しても、スクロール部材の製造において金型鋳造の採用を可能として金型鋳造の利点を最大限活かせるようにすることにある。
上記課題を解決するために、本発明に係るスクロール部材の製造方法は、渦巻体と底板とが一体成形されるスクロール型流体機械のスクロール部材の機械加工前の素形材を重力金型鋳造により製造する方法であって、金型のキャビティー内に注湯された溶湯の前記渦巻体の中央部に相当する部位を強制冷却することにより、渦巻体の中央部に相当する部位から渦巻体の外周部に相当する部位に向けて、溶湯に凝固指向性を持たせることを特徴とする方法からなる。なお、本発明におけるスクロール型流体機械には、スクロール型圧縮機や膨張機など、スクロール部材を有する流体機械がすべて含まれる。
この方法においては、渦巻体の中央部に相当する部位を強制冷却して、渦巻体の中央部から外周部に向けての凝固指向性を持たせるので、渦巻体の中央部ではより速く凝固してより緻密な組織とされてより高い機械特性(とくに強度)を発現できるようになり、中央部ほどには高い機械特性が要求されない渦巻体の外周部側においては、中央部に比べてより低い機械特性とされる。すなわち、スクロール型流体機械におけるスクロール部材に要求される機械特性、例えば、スクロール型圧縮機の圧縮行程の過程からスクロール部材の渦巻体に要求される機械特性に合致した分布の機械特性が実現されることになる。この渦巻体の中央部に対する局部的な強制冷却により、後述の実施例の結果に示すように、この部分において溶湯鍛造並の高い機械特性レベルが達成される。
上記本発明に係るスクロール部材の製造方法においては、渦巻体の中央部に相当する部位において、底板の渦巻体とは反対側に相当する部位から冷却を加えることにより、渦巻体の中央部に相当する部位における底板への渦巻体の付け根部側から渦巻体の先端部側に向けても、溶湯に凝固指向性を持たせることが好ましい。このようにすれば、渦巻体の中央部において、渦巻体の先端部よりも付け根部側の機械特性(とくに強度)をより高めることができ、最も強度の要求される渦巻体の中央部の付け根部側部位の強度を、最も高くなるようにすることが可能になる。したがって、渦巻体の径方向のみならず、渦巻体の高さ方向についても、望ましい強度分布を持たせることができる。
また、上記製造方法においては、渦巻体の外周部に相当する部位側から、金型のキャビティー内に注湯することが好ましい。注湯過程においては、溶湯の流れ方向先端部側ほど凝固が進行しやすい傾向にあるので、渦巻体の外周部側から注湯することにより外周部側では冷えにくくかつ早期凝固しにくいようにし、渦巻体の中央部を溶湯の流れ方向先端部側に位置させて凝固がより進行しやすいようにすることで、上記強制冷却と併せて、渦巻体の中央部側をより速く冷却し、目標とする凝固指向性をより確実に付与できるようになる。
渦巻体の外周部に相当する部位側から注湯する場合、渦巻体の外周部に相当する部位側に複数の湯口を配置しておき、その複数の湯口から金型のキャビティー内に注湯するようにすることが好ましい。複数の湯口から注湯することにより、より均一で迅速な注湯が可能になるとともに、渦巻体の外周部において注湯中の溶湯によって高温をより保持しやすくなり、上記中央部側から外周部側に向けての、目標とする凝固指向性をより確実に持たせることが可能になる。
また、渦巻体の外周部に相当する部位側に配置した湯口において溶湯をオーバーフローさせるようにすることも好ましい。湯口において溶湯がオーバーフローされると、その湯口部分においてより温度が保持されやすくなり、やはり、上記中央部側から外周部側に向けての、目標とする凝固指向性をより確実に持たせることが可能になる。
また、渦巻体の外周部に相当する部位を強制加熱(例えば、ヒータやバーナーによる強制加熱)したり、渦巻体の外周部に相当する部位を保温したりすることも有効である。本発明による凝固指向性をより確実に持たせるためには、渦巻体の外周部側をより高温に保ち、渦巻体の中央部側をより速く冷却して凝固をより速く進行させることが望ましいが、このために、渦巻体の外周部側を強制加熱したり保温したりすることにより相対的に高温に保つことができるようにするのである。保温方法としては、例えば、渦巻体の外周部に相当する部位の周囲に断熱層を設けることにより、渦巻体の外周部に相当する部位を保温することが有効である。この断熱層は、例えば金型の渦巻体の外周部に相当する部位の周囲に適当な形状にて空気層を形成することにより実現できる。
また、本発明に係るスクロール部材の製造方法においては、渦巻体の外周部に相当する部位側から金型のキャビティー内に注湯するに際し、渦巻体の周方向両側から溶湯を回り込ませるようにすることが好ましい。前述したように、注湯過程においては、溶湯の流れ方向先端部側ほど凝固が進行しやすい傾向にあるので、渦巻体の外周部側から注湯する場合、渦巻体の周方向の一方向にのみ溶湯を回り込ませるように注湯するのでは、溶湯が周方向に約1周分回り込むのに時間を要し、その流れ方向先端部側に望ましくない凝固が生じるおそれがある。渦巻体の周方向両側から溶湯を回り込ませるように注湯することにより、このようなおそれを除去できるので、目標とする凝固指向性を確実に付与できるようになる。
また、本発明に係るスクロール部材の製造方法は、基本的に重力金型鋳造を前提としているので、低融点金属材料、とくにアルミニウム合金を材料として用いる場合に有効な方法である。
本発明に係るスクロール部材の製造方法によれば、製造コストや製造の容易性などの種々の利点を有する重力金型鋳造法を採用しながら、スクロール型流体機械のスクロール部材に求められる機械特性を、溶湯鍛造並のレベルまで向上することが可能になり、現在求められている高い要求仕様に対しても、十分に到達できるようになる。したがって、とくに大量生産が要求されるスクロール型流体機械、例えば、車両用空調装置に用いられるスクロール型圧縮機のスクロール部材の製造に適用して極めて有用な方法である。
以下に、本発明の望ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
図1、図2は、本発明の一実施態様に係るスクロール部材の製造方法を示しており、図1と図2は、互いに形状の異なるスクロール型流体機械としてのスクロール型圧縮機のスクロール部材のアルミニウム合金製素形材(機械加工前の素形材)を示している。図1、図2において、1、11は、注湯された溶湯によって形成されるスクロール部材の素形材を示しており、図における下側の空間部2、12がスクロール部材の渦巻体3、13およびスクロール部材の底板部4、14の渦巻体側を形成するための金型配置部、図における上側の空間部5、15がスクロール部材の底板部4、14の反渦巻体側を形成するための金型配置部を、それぞれ示している。したがって、図1、図2におけるスクロール部材の素形材1、11の存在部位が、鋳造用金型のキャビティーに相当する部分となっている。
この金型のキャビティー内に、溶湯6、16が注湯され、重力金型鋳造により、スクロール部材の機械加工前の素形材1、11が製造される。この製造においては、渦巻体3、13と底板4、14は一体成形される。この重力金型鋳造においては、金型のキャビティー内に注湯された溶湯の上記渦巻体3、13の中央部3a、13aに相当する部位が強制冷却され、その強制冷却により、渦巻体3、13の中央部3a、13aに相当する部位から渦巻体3、13の外周部3b、13bに相当する部位に向けて、溶湯に凝固指向性が付与される。強制冷却は、例えば、渦巻体3、13用キャビティーを形成する金型内に冷却手段7、17(例えば、水冷ジャケット)を配置しておくことにより、達成可能である。この冷却手段7、17を設け、渦巻体3、13の中央部3a、13aに相当する部位を強制冷却することにより、渦巻体3、13の中央部3a、13aに相当する部位から渦巻体3、13の外周部3b、13bに相当する部位に向けての凝固指向性の付与が可能となる。このような凝固指向性を付与することにより、渦巻体3、13の中央部3a、13aではより速く凝固してより緻密な組織とされ、より高い機械特性が発現される。また、渦巻体3、13の外周部3b、13b側では、中央部3a、13aに比べて凝固が遅れ、中央部3a、13aに比べ相対的により粗い組織とされて、中央部3a、13aほどには高い機械特性が要求されない外周部3b、13b側に適した機械特性とされる。その結果、とくに渦巻体3、13の中央部3a、13aにおいて、後述の実施例の結果に示すように、溶湯鍛造並の高い機械特性レベルが達成される。
本実施態様では、渦巻体3、13の中央部3a、13aに相当する部位において、底板4、14の渦巻体3、13とは反対側に相当する部位からも、冷却手段8、18によって冷却が加えられている。つまり、上下から冷却が加えられている。この冷却手段8、18による冷却により、渦巻体3、13の中央部3a、13aに相当する部位における、底板4、14への渦巻体3、13の付け根部側から渦巻体3、13の先端部側に向けても、溶湯に凝固指向性を持たせることが可能になる。このようにすれば、渦巻体3、13の中央部3a、13aにおいて、渦巻体3、13の先端部よりも付け根部側の機械特性をより高めることが可能となり、最も強度の要求される渦巻体3、13の中央部3a、13aの付け根部側部位の強度が、最も高くなるように鋳造される。その結果、最も望ましい強度分布、つまり、渦巻体3、13の径方向のみならず、渦巻体3、13の高さ方向(付け根部側/先端部側の高さ方向)についても、望ましい強度分布を持たせることができる。
また、渦巻体3、13の中央部3a、13aに相当する部位において、底板4、14への渦巻体3、13の付け根部側から渦巻体3、13の先端部側に向けて、より確実に凝固指向性を持たせるために、例えば図1の形態に対応させて示した図3に示すように、冷却手段7の表面に対し渦巻体先端部側に断熱層7aを設けた形態を採用することもできる。断熱層7aとしては、断熱材からなる層でも空気層でもよく、冷却手段7と一体的に配設してもよく、別体に形成してもよい。このような断熱層7aを設けることで、渦巻体3の付け根部側と先端部側との間に冷却の強弱あるいは冷却の速度差を付与でき、それによって、目標とする渦巻体高さ方向の凝固指向性、つまり、渦巻体3の付け根部側から先端部側に向けての凝固指向性を、より確実に付与できるようになる。
上記のような製造方法においては、例えば図4に示すように、渦巻体3の外周部3bに相当する部位側から、溶湯6を金型21(金型の渦巻体形成用部分)のキャビティー22内に注湯することが好ましい。なお、図4においては、金型21の渦巻体形成用部分と渦巻体形成用キャビティー22部分との区分けを明示するために、断面ではないが部分的にハッチングを施してある(以下の図においても同様)。図示例では、湯口ランナー23を通して給湯されてきた溶湯6は、渦巻体3の外周部3b周囲において(つまり、渦巻体3を形成するためのキャビティー22の外周部側において)両方向に流れが分岐され、周方向両側から回り込むように流され、しかる後に周方向に複数配置された湯口24からキャビティー22内に注湯されるようになっている。溶湯6を周方向両側から回り込ませることにより、注湯時間が短縮されて溶湯流れの先端側で不都合な凝固が発生しにくくされており、複数の湯口24からの注湯により、より均一で迅速な注湯が可能とされるとともに、渦巻体3の外周部3b側において注湯中の溶湯によって高温状態に保持されるようになる。渦巻体3の外周部3b側が凝固しにくく高温状態に保持され、溶湯流れの先端部側となる渦巻体3の中央部3a側が前記の如く強制冷却されることにより、確実に中央部側から外周部側に向けての目標とする凝固指向性が付与されることになる。
また、例えば図5に示すように、渦巻体3の外周部3bに相当する部位側に(つまり、渦巻体3を形成するためのキャビティー22の外周部側に)配置された湯口24にて、溶湯がオーバーフロー(オーバーフローを矢印25で示す)されるようにすれば、湯口24部分においてより温度が保持されやすくなり、やはり、渦巻体3の中央部3a側から外周部3b側に向けての、目標とする凝固指向性がより確実に付与されるようになる。
また、例えば図6(A)、(B)、図7(A)、(B)に示すように、金型31、41の、渦巻体3の外周部3bに相当する部位(つまり、渦巻体3を形成するためのキャビティー22の外周部側部位)に、例えば空気層を形成する空間部32、42を形成しておき、その空気層によってキャビティー22内を(つまり、キャビティー22内に注湯された溶湯を)外部に対して断熱できるようにすれば、渦巻体3の外周部3bに相当する部位を高温に保温できるようになる。その結果、前述の中央部における強制冷却と併せて、本発明における目標とする凝固指向性をより確実に持たせることが可能になる。なお、図6(A)、図7(A)において、底板部は、例えば、図示した金型に合わせられる合わせ型によって画成され、渦巻体3部分と一体に成形される。
また、例えば図8、図9に示すように、金型51、61の、渦巻体3の外周部3bに相当する部位(つまり、渦巻体3を形成するためのキャビティー22の外周部側部位)に、積極的に加熱可能な加熱手段52、62(例えば、ヒータやバーナー)を配置しておけば、渦巻体3の外周部3bに相当する部位を高温にすることが可能になる。その結果、前述の中央部における強制冷却と併せて、本発明における目標とする凝固指向性をより確実に持たせることが可能になる。
本発明において給湯の形態はとくに限定されず、例えば図10に示すように、給湯口71からメインランナー72を介して給湯し、そこから湯口ランナー73を介して溶湯を前述の如く金型の渦巻体形成用キャビティー74内に注湯すればよい。図10に示す例では、メインランナー72からは左右に分岐され、左右の金型のキャビティー74内に注湯されるようになっている。
なお、本発明に係る方法においても、従来周知の方法におけるのと同様に、金型のキャビティー内に注湯された溶湯に対して、適宜押し湯を施し、局部的な溶湯不足の発生防止をはかることができる。
次に、本発明に係る方法の効果を確認するために、同一の材料(アルミニウム合金:AC2B−T6)から、本発明に係る方法により製造したスクロール部材と、従来の一般的な鋳造により製造したスクロール部材とを比較した結果について説明する。
図11は、本発明に係る方法にて、スクロール部材の機械加工前の素形材を重力金型鋳造により、スクロール部材の渦巻体の中央部に相当する部位を強制冷却することによって、渦巻体の中央部に相当する部位から渦巻体の外周部に相当する部位に向けて溶湯に凝固指向性を持たせて製造したスクロール部材の中央部(図の四角で囲んだ部分)のマイクロ組織を観察した結果と、従来の鋳造方法(上記のような凝固指向性を付与しない方法)により押し湯を施して製造したスクロール部材の中央部(図の四角で囲んだ部分)のマイクロ組織を観察した結果とを、比較して示したものである。マイクロ組織は同一の倍率にて観察したが、比較図から明らかなように、本発明品81では、従来品82に比べ、はるかに細かい緻密な組織を実現できている。したがって、渦巻体の中央部に相当する部位ほど高い機械特性が要求されるスクロール部材として望ましい特性が達成されていることが分かる。
また、図12は、本発明に係る方法で製造されたスクロール部材の素形材91について、所定の凝固指向性を持たせた結果、渦巻体の中央部に相当する部位(図のB部)と外周部に相当する部位(図のA、C部)でどのような結果となったかを示している。なお、注湯の際のゲート部92は、C部側に位置している。アルミニウム合金のマイクロ組織を評価するための手法として知られているデンドライトアームスペーシング測定方法(交線法)(日本軽金属学会、鋳造・凝固部会より測定方法が紹介、発行されている)により測定した結果を図11に示す。デンドライトアームスペーシング(DAS)は、その値が小さいほど緻密な組織であることを示している。図12に示す評価結果から明らかなように、渦巻体の中央部に相当する部位(B部)では、渦巻体の外周部に相当する部位(A、C部)に比べ、はるかに細かい緻密な組織を実現できている。したがって、渦巻体の中央部に相当する部位ほど高い機械特性が要求されるスクロール部材として望ましい特性が達成されていることが分かる。
図11に示した本発明品81と従来品82について、機械特性(引張強度と破断伸度)を測定、比較した結果を表1に示す、。ただし、従来品82に関しては、JIS規格に記載されている値を比較値として採用した。表1から明らかなように、本発明品では極めて優れた引張強度と破断伸度が得られ、とくに溶湯鍛造並の引張強度(420MPa)を達成できた。この値は、スクロール部材に対する現状の厳しい要求仕様を十分に満たすことのできる値である。また、優れた破断伸度が得られることから、高い引張強度と併せて、優れた耐久性が期待できる。
Figure 2008309099
本発明に係るスクロール部材の製造方法は、とくにアルミニウム合金製スクロール部材の素形材の製造、中でも、大量生産される自動車用空調装置等に用いられるスクロール型圧縮機のスクロール部材の製造に好適である。
本発明の一実施態様に係るスクロール部材の製造方法を示す、スクロール部材の素形材の概略断面図である。 本発明の一実施態様に係るスクロール部材の製造方法を示す、別の形状のスクロール部材の素形材の概略断面図である。 図1に示したスクロール部材の製造方法において、冷却手段に断熱層を設けた場合を示すスクロール部材の素形材と冷却手段の概略拡大断面図である。 本発明に係るスクロール部材の製造方法における、複数の湯口から注湯する状態を示す金型の概略平面図である。 本発明に係るスクロール部材の製造方法における、湯口でオーバーフローさせる状態を示す金型の概略平面図である。 本発明に係るスクロール部材の製造方法における、空気断熱層を設けた金型を示しており、(A)は金型の斜視図、(B)は金型の平面図である。 本発明に係るスクロール部材の製造方法における、空気断熱層を設けた別の形状の金型を示しており、(A)は金型の斜視図、(B)は金型の平面図である。 本発明に係るスクロール部材の製造方法における、加熱手段を設ける場合の金型の概略平面図である。 本発明に係るスクロール部材の製造方法における、加熱手段を設ける場合の別の形状の金型の概略平面図である。 本発明に係るスクロール部材の製造方法における、給湯から注湯に至るまでの溶湯の経路の一例を示す製造装置の概略平面図である。 本発明品と従来品とのマイクロ組織の比較図である。 本発明品の各部位のマイクロ組織を観察した結果を示す図である。
符号の説明
1、11 スクロール部材の素形材
2、12 金型配置部に相当する下側の空間部
3、13 渦巻体
3a、13a 渦巻体の中央部
3b、13b 渦巻体の外周部
4、14 底板部
5、15 金型配置部に相当する上側の空間部
6、16 溶湯
7、8、17、18 冷却手段
7a 断熱層
21 金型
22 キャビティー
23 湯口ランナー
24 湯口
25 オーバーフロー
31、41 金型
32、42 空気層を形成する空間部
51、61 金型
52、62 加熱手段
71 給湯口
72 メインランナー
73 湯口ランナー
74 渦巻体形成用キャビティー
81 本発明品
82 従来品

Claims (11)

  1. 渦巻体と底板とが一体成形されるスクロール型流体機械のスクロール部材の機械加工前の素形材を重力金型鋳造により製造する方法であって、金型のキャビティー内に注湯された溶湯の前記渦巻体の中央部に相当する部位を強制冷却することにより、渦巻体の中央部に相当する部位から渦巻体の外周部に相当する部位に向けて、溶湯に凝固指向性を持たせることを特徴とする、スクロール部材の製造方法。
  2. 渦巻体の中央部に相当する部位において、底板の渦巻体とは反対側に相当する部位から冷却を加えることにより、渦巻体の中央部に相当する部位における底板への渦巻体の付け根部側から渦巻体の先端部側に向けても、溶湯に凝固指向性を持たせる、請求項1に記載のスクロール部材の製造方法。
  3. 渦巻体の外周部に相当する部位側から、金型のキャビティー内に注湯する、請求項1または2に記載のスクロール部材の製造方法。
  4. 渦巻体の外周部に相当する部位側に配置した複数の湯口から金型のキャビティー内に注湯する、請求項3に記載のスクロール部材の製造方法。
  5. 渦巻体の外周部に相当する部位側に配置した湯口において溶湯をオーバーフローさせる、請求項3または4に記載のスクロール部材の製造方法。
  6. 渦巻体の外周部に相当する部位を強制加熱する、請求項1〜5のいずれかに記載のスクロール部材の製造方法。
  7. 渦巻体の外周部に相当する部位を保温する、請求項1〜5のいずれかに記載のスクロール部材の製造方法。
  8. 渦巻体の外周部に相当する部位の周囲に断熱層を設けることにより、渦巻体の外周部に相当する部位を保温する、請求項7に記載のスクロール部材の製造方法。
  9. 断熱層を空気層で形成する、請求項8に記載のスクロール部材の製造方法。
  10. 渦巻体の外周部に相当する部位側から金型のキャビティー内に注湯するに際し、渦巻体の周方向両側から溶湯を回り込ませる、請求項3〜9のいずれかに記載のスクロール部材の製造方法。
  11. 材料としてアルミニウム合金を用いる、請求項1〜10のいずれかに記載のスクロール部材の製造方法。
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