JP2008308627A - 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 難燃化をさらに向上させ、且つ、薄肉樹脂成形体とした場合でも優れた難燃性を示す、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 芳香族ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対し、有機酸アルカリ金属塩及び有機酸アルカリ土類金属塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の有機酸金属塩(B)0.001〜1重量部、炭酸金属塩(C)0.1〜10重量部、反応性官能基含有カップリング剤(D)0.0001〜1重量部、及びフルオロポリマー(E)0.05〜0.5重量部を含有し、炭酸金属塩(C)のBET比表面積S(m/g)と、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対する炭酸金属塩(C)の含有重量部Wとの積(SW値)が1〜60である芳香族ポリカーボネート樹脂組成物、及びこれを成形してなる樹脂成形体。
【選択図】 なし

Description

本発明は、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、薄肉樹脂成形体とした場合でも優れた難燃性を示す、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物及びこれを成形してなる樹脂成形体に関する。
芳香族ポリカーボネート樹脂は、優れた耐熱性、機械物性等を持った樹脂であり、自動車材料、電気・電子機器材料、住宅材料等に幅広く利用されている。特に、難燃化された芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、コンピューター、ノートブック型パソコン、携帯電話、プリンター、複写機等のOA・情報機器の部材として使用されているが、近年、小型化・軽量化を目的として、その製品肉厚は薄肉化の傾向にある。そのため、薄肉樹脂成形体とした場合にも難燃性に優れる芳香族ポリカーボネート樹脂組成物が強く望まれている。
難燃性を有する芳香族ポリカーボネート樹脂組成物としては、従来技術では、臭素系難燃剤やリン系難燃剤を利用する方法が広く用いられてきた。しかしながら、臭素系難燃剤を用いたポリカーボネート樹脂組成物は、顕著な難燃効果が得られるが、樹脂組成物の熱安定性を低下させる、成形時に成形機スクリューや成形金型等を腐食させる等の欠点があり、さらには燃焼時に有毒ガスを発生して機器の腐食や環境を汚染する懸念があるため不使用が望まれていた。
リン系難燃剤を使用したポリカーボネート樹脂組成物は優れた難燃性を示すとともに、可塑化効果により流動性が向上し薄肉品の成形に利点を生じるが、耐衝撃性や熱変形温度(DTUL)に代表される耐熱性が低下するという欠点を有する。また、近年の環境に対する配慮から、製品の廃棄、回収時に環境汚染を惹起することが問題となっており、臭素系難燃剤やリン系難燃剤を使用しない難燃性の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物が要求されている。
非ハロゲン・非リン系難燃剤としては、有機酸金属塩系の難燃剤、例えば炭素数4〜8のパーフルオロアルキルスルホン酸のアルカリ金属塩あるいは第4級アンモニウム塩を利用する方法(例えば特許文献1参照。)が提案されている。
また非ハロゲン系の有機金属塩化合物による芳香族ポリカーボネート樹脂の難燃化技術として、非ハロゲン系芳香族スルホン酸ナトリウム塩を添加する方法(例えば特許文献2参照。)や、非ハロゲン系芳香族スルホン酸カリウム塩を添加する方法(例えば特許文献3参照。)が、提案されている。
特開昭47−40445号公報 特開2000−169696号公報 特開2001−181493号公報
しかしこれら特許文献等に記載の方法では、用いる有機酸金属塩系難燃剤が比較的少量で済む反面、添加量の増加に見合う効果の向上が発現し難いとう問題があった。これは特に、薄肉状の樹脂成形体、とりわけ電気電子分野等で要求される薄肉状樹脂成形体の難燃性発現に於いて重要な問題であり、更なる難燃性の向上が求められていた。
本発明の目的は、上記実情に鑑みられたものであり、有機酸金属塩による難燃化をさらに向上させ、且つ、薄肉樹脂成形体とした場合でも優れた難燃性を示す、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、有機酸金属塩によるポリカーボネート樹脂の難燃化技術において、更に難燃性を向上させるべく、鋭意検討した。先ず、有機酸金属塩を含有する芳香族ポリカーボネート樹脂組成物が燃焼する際に、有機酸金属塩が芳香族ポリカーボネート樹脂の分岐化触媒として作用すること、そして更にチャー形成を促し、難燃性を向上させることに着目した。
一方で、芳香族ポリカーボネート樹脂は、アルカリ金属の存在下において、Kolbe−Schmitt反応様の反応過程を経て分岐化を起こすことが知られている。Kolbe−Schmitt反応は、フェノール性の芳香環に、アルカリ金属塩の触媒下、一酸化炭素や二酸化炭素等の炭酸源が基質となり、カルボキシル化を引き起こす反応である。
これをふまえて本発明者らは、有機酸金属塩の含有量が比較的少量でも芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の難燃性を向上させることから、有機酸金属塩がKolbe−Schmitt反応様の反応触媒として作用していると考えた。つまり、有機酸金属塩が触媒となり、燃焼過程において分解した芳香族ポリカーボネート樹脂の構造に含まれる炭酸結合が炭酸源となり、分岐化が生ずるとの考えから、本発明者らは、有機酸金属塩を含む芳香族ポリカーボネート樹脂組成物に、更に炭酸源となる化合物の例として炭酸金属塩を添加し、分岐化反応、及びチャー形成を促進させることを試みた。
そして炭酸金属塩について鋭意検討した結果、意外にも、炭酸金属塩の表面積、及びその添加量と難燃性の関係において、炭酸金属塩のBET比表面積S(m/g)と添加量W(芳香族ポリカーボネート樹脂に対する重量%。以下、wt%と記すことがある。)の積(添加総評面積SW値(m/g・wt%)が特定値を示し、且つ有機酸金属塩、反応性官能基含有カップリング剤、及びフルオロポリマーを各々特定量含有したポリカーボネート樹脂組成物が、著しい難燃性を示すことを見出した。そして特に、この芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、薄肉成形体とした場合においても高度な難燃性を有することを見出し、本発明を完成させた。
即ち本発明の要旨は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対し、有機酸アルカリ金属塩及び有機酸アルカリ土類金属塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の有機酸金属塩(B)0.001〜1重量部、炭酸金属塩(C)0.1〜10重量部、反応性官能基含有カップリング剤(D)0.0001〜1重量部、及びフルオロポリマー(E)0.05〜0.5重量部を含有し、炭酸金属塩(C)のBET比表面積S(m/g)と、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対する炭酸金属塩(C)の含有重量部Wとの積(SW値)が1〜60である芳香族ポリカーボネート樹脂組成物、及びこれを成形してなる樹脂成形体に関する。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、特に薄肉状樹脂成形体おける難燃性に優れる。この特長を生かして、幅広い分野への適応が期待できる。具体的には例えば、電気・電子機器やその部品、OA機器、情報端末機器、機械部品、家電製品、車輌部品、建築部材、各種容器、レジャー用品・雑貨類、照明機器などの各種用途に有用であり、特に電気・電子機器やOA機器、情報端末機器、家電製品のハウジング、カバー部材、車輌外装・外板部品、内装部品への適用が期待できる。
電気・電子機器やOA機器、情報端末機器、家電製品のハウジング、カバー部材としては、パソコン、ゲーム機、テレビなどのディスプレイ装置、プリンター、コピー機、スキャナー、ファックス、電子手帳やPDA、電子式卓上計算機、電子辞書、カメラ、ビデオカメラ、携帯電話、記録媒体のドライブや読み取り装置、マウス、テンキー、CDプレーヤー、MDプレーヤー、携帯ラジオ、携帯オーディオプレーヤーなどのハウジング、カバー、キーボード、ボタン、スイッチ部材が挙げられる。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。尚、本願明細書においては、各種化合物が有する「基」は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、置換基を有していてもよいことを示す。
芳香族ポリカーボネート樹脂(A)
本発明に用いる芳香族ポリカ−ボネ−ト樹脂(A)は、具体的には例えば、芳香族ジヒドロキシ化合物とカ−ボネ−ト前駆体とを、又はこれらに併せて少量のポリヒドロキシ化合物等を反応させてなる、直鎖又は分岐の熱可塑性芳香族ポリカ−ボネ−ト重合体、又は共重合体である。
本発明に用いる芳香族ポリカ−ボネ−ト樹脂(A)は、特に限定されるものではなく、従来公知の任意のものを使用できる。またその製造方法も任意であり、従来公知の任意の方法を採用できる。具体的には例えば、界面重合法、溶融エステル交換法、ピリジン法、環状カ−ボネ−ト化合物の開環重合法、プレポリマ−の固相エステル交換法等を挙げることができる。
これらポリカーボネート樹脂の製造方法において原料として使用される芳香族ジヒドロキシ化合物としては、具体的には例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(=ビスフェノ−ルA)、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(=テトラブロモビスフェノ−ルA)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1−トリクロロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサクロロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン等のビス(ヒドロキシアリ−ル)アルカン類;
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等のビス(ヒドロキシアリ−ル)シクロアルカン類;
9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン等のカルド構造含有ビスフェノ−ル類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルエ−テル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルエ−テル等のジヒドロキシジアリ−ルエ−テル類;
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド等のジヒドロキシジアリ−ルスルフィド類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシド等のジヒドロキシジアリ−ルスルホキシド類;
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホン等のジヒドロキシジアリ−ルスルホン類;ハイドロキノン、レゾルシン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル等が挙げられる。
これらの中でもビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン類が好ましく、特に耐衝撃性の点から2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[=ビスフェノ−ルA]が好ましい。これらの芳香族ジヒドロキシ化合物は、一種又は任意の割合で二種以上を併用してもよい。
芳香族ジヒドロキシ化合物と反応させるカ−ボネ−ト前駆体としては、カルボニルハライド、カ−ボネ−トエステル、ハロホルメ−ト等が使用される。具体的には例えば、ホスゲン;ジフェニルカ−ボネ−ト、ジトリルカ−ボネ−ト等のジアリ−ルカ−ボネ−ト類;
ジメチルカ−ボネ−ト、ジエチルカ−ボネ−ト等のジアルキルカ−ボネ−ト類;二価フェノ−ルのジハロホルメ−ト等が挙げられる。これらのカ−ボネ−ト前駆体は一種又は任意の割合で二種以上を併用してもよい。
次に、本発明に用いる芳香族ポリカーボネート樹脂(A)の製造方法について説明する。芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法のうち、まず界面重合法について説明する。この製造方法における重合反応は、反応に不活性な有機溶媒、及びアルカリ水溶液の存在下で、通常pHを9以上に保ち、芳香族ジヒドロキシ化合物と、必要に応じて分子量調整剤(末端停止剤)及び芳香族ジヒドロキシ化合物の酸化防止のための酸化防止剤を用い、ホスゲンと反応させた後、第三級アミン又は第四級アンモニウム塩等の重合触媒を添加し、界面重合を行うことによってポリカ−ボネ−トを得る。
分子量調節剤の添加はホスゲン化時から重合反応開始時までの間であれば特に限定されない。なお、反応温度は、例えば、0〜40℃で、反応時間は、例えば、数分(例えば、10分)〜数時間(例えば、6時間)である。
反応に不活性な有機溶媒としては、具体的には例えば、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の塩素化炭化水素等;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等;が挙げられる。またアルカリ水溶液に用いられるアルカリ化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物が挙げられる。
分子量調節剤としては、例えば一価のフェノ−ル性水酸基を有する化合物が挙げられ、具体的には、m−メチルフェノ−ル、p−メチルフェノ−ル、m−プロピルフェノ−ル、p−プロピルフェノ−ル、p−tert−ブチルフェノ−ル、及びp−長鎖アルキル置換フェノ−ル等が挙げられる。分子量調節剤の使用量は、芳香族ジヒドロキシ化合物100モルに対して50〜0.5モルであることが好ましく、中でも30〜1モルであることが好ましい。
重合触媒としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリプロピルアミン、トリヘキシルアミン、ピリジン等の第三級アミン類;トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウム塩等;が挙げられる。
次に、溶融エステル交換法について説明する。この製造方法における重合反応は、例えば、炭酸ジエステルと芳香族ジヒドロキシ化合物とのエステル交換反応である。炭酸ジエステルとしては、具体的には例えば、ジメチルカ−ボネ−ト、ジエチルカ−ボネ−ト、ジ−tert−ブチルカ−ボネ−ト等の炭酸ジアルキル化合物、ジフェニルカ−ボネ−ト及びジトリルカ−ボネ−ト等の置換ジフェニルカ−ボネ−ト等が挙げられる。炭酸ジエステルは、中でもジフェニルカ−ボネ−ト又は置換ジフェニルカ−ボネ−トであることが好ましく、特にジフェニルカ−ボネ−トが好ましい。
また本発明に用いる芳香族ポリカーボネート樹脂は、その末端水酸基量が熱安定性、加水分解安定性、色調等に大きな影響を及ぼすので、従来公知の任意の方法によって適宜調整してもよい。溶融エステル交換反応においては、通常、炭酸ジエステルと芳香族ジヒドロキシ化合物との混合比率や、エステル交換反応時の減圧度を調整して、所望の分子量及び末端水酸基量を調整した芳香族ポリカーボネートを得ることができる。
通常、溶融エステル交換反応においては、芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対して、炭酸ジエステルを等モル量以上用い、中でも1.01〜1.30モルの量で用いることが好ましい。またより積極的な調整方法としては、反応時に別途、末端停止剤を添加する方法が挙げられ、この際の末端停止剤としては、一価フェノール類、一価カルボン酸類、炭酸ジエステル類が挙げられる。
溶融エステル交換法によりポリカーボネートを製造する際には、通常、エステル交換触媒が使用される。エステル交換触媒は従来公知の任意のものを使用でき、中でも具体的には例えば、アルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物が好ましい。また補助的に、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物又はアミン系化合物などの塩基性化合物を併用してもよい。
上記原料を用いたエステル交換反応は、通常、100〜320℃の温度で反応を行い、最終的には2mmHg以下の減圧下、芳香族ヒドロキシ化合物等の副生成物を除去しながら溶融重縮合反応を行えばよい。
溶融重縮合は、バッチ式、連続式の何れの方法でも行うことができる。中でも、本発明に用いる芳香族ポリカーボネート樹脂や、本発明の樹脂組成物の安定性等を考慮すると、連続式で行うことが好ましい。溶融エステル交換法に用いる触媒失活剤としては、該エステル交換反応触媒を中和する化合物、例えばイオウ含有酸性化合物又はそれより形成される誘導体を使用することが好ましい。
この様な、触媒を中和する化合物の添加量は、該触媒が含有するアルカリ金属に対して0.5〜10当量、中でも1〜5当量であることが好ましく、更にはポリカーボネートに対して、1〜100ppm、中でも1〜20ppmであることが好ましい。
本発明に用いる芳香族ポリカーボネート樹脂の分子量は任意であり、適宜選択して決定すればよいが、溶液粘度から換算した粘度平均分子量[Mv]で、10000〜40000のものが好ましい。この様に、粘度平均分子量を10000以上とすることで機械的強度がより向上する傾向にあり、機械的強度の要求の高い用途に用いる場合により好ましいものとなる。一方、40000以下とすることで流動性低下を、より抑制し改善する傾向にあり、成形加工性容易の観点からより好ましい。
粘度平均分子量は、中でも16000〜40000、特に18000〜30000であることが好ましい。また粘度平均分子量の異なる2種類以上の芳香族ポリカーボネート樹脂を混合してもよく、この際には、粘度平均分子量が上記好適範囲外である芳香族ポリカーボネート樹脂を混合してもよい。
ここで粘度平均分子量[Mv]とは、溶媒としてメチレンクロライドを使用し、ウベローデ粘度計を用いて温度20℃での極限粘度[η](単位dl/g)を求め、Schnellの粘度式、すなわち、η=1.23×10−40.83、から算出される値を意味する。また極限粘度[η]とは、各溶液濃度[C](g/dl)での比粘度[ηsp]を測定し、下記式により算出した値である。
Figure 2008308627
本発明に用いるポリカーボネート樹脂(A)として分岐ポリカーボネートを用いる際、その製造方法は特に制限はなく、従来公知の任意の製造方法を用いることが出来る。具体的には例えば、特開平8−259687号公報、特開平8−245782号公報等に記載の様に、溶融法(エステル交換法)により芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸のジエステルとを反応させる際、触媒の条件又は製造条件を選択することにより、分岐剤を添加することなく、構造粘性指数が高く、加水分解安定性に優れた芳香族ポリカーボネート樹脂を得ることができる。
また他の方法として、上述のポリカーボネート樹脂の原料である、芳香族ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体の他に、三官能以上の多官能性芳香族化合物を用い、ホスゲン法、又は溶融法(エステル交換法)にて、これらを共重合する方法が挙げられる。
三官能以上の多官能性芳香族化合物としては、具体的には例えば、フロログルシン、4,6−ジメチルー2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−2,4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−3、1,3,5−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタン等のポリヒドロキシ化合物類;
3,3−ビス(4−ヒドロキシアリール)オキシインドール(=イサチンビスフェノール)、5−クロロイサチン、5,7−ジクロロイサチン、5−ブロムイサチン等が挙げられる。中でも1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタンが好ましい。
多官能性芳香族化合物は、前記芳香族ジヒドロキシ化合物の一部を置換して使用することができ、その使用量は芳香族ジヒドロキシ化合物に対して0.01〜10モル%、中でも0.1〜3モル%であることが好ましい。
溶融法(エステル交換法)によって得られた芳香族ポリカーボネート樹脂に含まれる分岐構造は、具体的には例えば、以下の一般式(1)〜(4)の構造が挙げられる。
Figure 2008308627
Figure 2008308627
Figure 2008308627
Figure 2008308627
(上述の一般式式(1)〜(4)において、Xは、単結合、炭素数1〜8のアルキレン基、炭素数2〜8のアルキリデン基、炭素数5〜15のシクロアルキレン基、炭素数5〜15のシクロアルキリデン基、又は、−O−、−S−、−CO−、−SO−、−SO−で示される2価の基からなる群より選ばれるものを示す。)
本発明に用いる分岐芳香族ポリカーボネート樹脂は、通常、構造粘性指数Nが1.2以上であり、この分岐芳香族ポリカーボネート樹脂を用いることで、滴下防止効果(燃焼時に火のついた溶融樹脂の滴下を防止する効果)が増すので好ましい。ここで構造粘性指数Nとは、例えば公知文献(小野木重治著「化学者のためのレオロジー」第15〜16頁)等に記載の値である。
本発明に用いる芳香族ポリカーボネート樹脂の末端水酸基濃度は任意であり、適宜選択して決定すればよいが、通常、1000ppm以下であり、中でも800ppm以下、特に600ppm以下であることが好ましい。またその下限は、特にエステル交換法で製造する芳香族ポリカーボネート樹脂では10ppm以上、中でも30ppm以上、特に40ppm以上であることが好ましい。
末端水酸基濃度を10ppm以上とすることで、分子量低下を抑制し、樹脂組成物の機械的特性が、より向上する傾向にあるので好ましい。また末端基水酸基濃度を1000ppm以下にすることで、樹脂組成物の滞留熱安定性や色調がより向上する傾向にあるので好ましい。
尚、末端水酸基濃度の単位は、芳香族ポリカーボネート樹脂重量に対する、末端水酸基の重量をppmで表示したものであり、測定方法は、四塩化チタン/酢酸法による比色定量(Macromol.Chem.88 215(1965)に記載の方法)である。
本発明に用いる芳香族ポリカーボネート樹脂(A)は、ポリカーボネート樹脂単独(ポリカーボネート樹脂単独とは、ポリカーボネート樹脂の1種のみを含む態様に限定されず、例えばモノマー組成や分子量が互いに異なる複数種のポリカーボネート樹脂を含む態様を含む意味で用いる。)や、ポリカーボネート樹脂と他の熱可塑性樹脂とのアロイ(混合物)や、例えば本発明の目的である難燃性を更に高める目的で、シロキサン構造を有するオリゴマー又はポリマーとの共重合体等の、ポリカーボネート樹脂を主体とする共重合体をも含むものである。
また、成形品外観の向上や流動性の向上を図るため、本発明に用いる芳香族ポリカーボネート樹脂は、芳香族ポリカーボネートオリゴマーを含有していてもよい。この芳香族ポリカーボネートオリゴマーの粘度平均分子量[Mv]は、中でも1500〜9500、特に2000〜9000であることが好ましい。芳香族ポリカーボネートオリゴマーは、芳香族ポリカーボネート樹脂の30重量%以下とすることが好ましい。
芳香族ポリカーボネート樹脂の、アロイや共重合体においては、本発明に用いる芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対する他の熱可塑性樹脂(共重合体の場合にはそのブロック部分)の含有量が、100重量部以下、中でも70重量部以下、更には60重量部以下、特に50重両部以下であることが好ましい。ポリカーボネート樹脂以外の、他の熱可塑性樹脂としては、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートのようなポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、HIPS樹脂あるいはABS樹脂等のスチレン系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂等が挙げられる。中でもスチレン系樹脂が好ましく、特にABS樹脂が好ましい。
更に本発明に用いる芳香族ポリカーボネート樹脂は、バージン原料だけでなく、使用済みの製品から再生された芳香族ポリカーボネート樹脂、いわゆるマテリアルリサイクルされた芳香族ポリカーボネート樹脂を使用してもよい。使用済みの製品としては、光学ディスク等の光記録媒体、導光板、自動車窓ガラス・自動車ヘッドランプレンズ・風防等の車両透明部材、水ボトル等の容器、メガネレンズ、防音壁・ガラス窓・波板等の建築部材等が好ましく挙げられる。また、製品の不適合品、スプルー、ランナー等から得られた粉砕品又はそれらを溶融して得たペレット等も使用可能である。再生された芳香族ポリカーボネート樹脂は、本発明に用いる芳香族ポリカーボネート樹脂のうち、80重量%以下であることが好ましく、中でも50重量%以下であることが好ましい。
有機酸金属塩(B)
本発明に用いる、有機酸アルカリ金属塩及び有機酸アルカリ土類金属塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の有機酸金属塩(B)(以下、単に「有機酸金属塩(B)」ということがある。)としては、従来から芳香族ポリカーボネート樹脂の難燃化剤等として用いられている、各種の有機酸金属塩を用いることが出来る。尚、本願明細書中における有機酸とは、酸性を示す有機化合物全般を示し、酸性を発現する官能基としてカルボキシル基(−COOH)のみを有する有機化合物に限らず、具体的には例えばラウリル硫酸エステル等のアルキル硫酸エステル類や、ベンゼンスルホン酸等の有機基を有する強酸化合物等をも含む。
中でも本発明に用いる有機酸金属塩(B)としては、有機スルホン酸のアルカリ(土類)金属塩、及び/又は硫酸エステルのアルカリ(土類)金属塩が好ましい(以下、これら各々を「有機スルホン酸金属塩」、「硫酸エステル金属塩」ということがある。)。これらは単独で、又は2種以上を任意の割合で併用してもよい。尚、本明細書中における「アルカリ(土類)金属塩」の表記は、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩のいずれも含むことを示す。
アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムが、またアルカリ土類金属としてはベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムが挙げられる。中でも本発明に用いる有機酸金属塩(B)においては、ナトリウム、カリウム、及びセシウムからなる群より選ばれるものであることが好ましい。
有機スルホン酸のアルカリ(土類)金属塩としては、具体的には例えば、脂肪族スルホン酸アルカリ(土類)金属塩、芳香族スルホン酸アルカリ(土類)金属塩等が挙げられる。脂肪族スルホン酸アルカリ(土類)金属塩としては、炭素数1〜8のアルカンスルホン酸アルカリ(土類)金属塩、又はこのアルカンスルホン酸アルカリ(土類)金属塩のアルキル基の一部がフッ素原子で置換されたスルホン酸アルカリ(土類)金属塩等が挙げられ、中でも炭素数1〜8のパーフルオロアルカンスルホン酸アルカリ(土類)金属塩が好ましく、具体的には、パーフルオロブタンスルホン酸カリウム塩等が、特に好ましい。
芳香族スルホン酸アルカリ(土類)金属塩としては、その芳香族スルホン酸部分として、モノマー状又はポリマー状の芳香族サルファイドのスルホン酸、芳香族カルボン酸及び/又はそのエステルのスルホン酸、モノマー状又はポリマー状の芳香族エーテルスルホン酸、芳香族スルホネートスルホン酸、モノマー状又はポリマー状の芳香族スルホン酸、モノマー状又はポリマー状の芳香族スルホンスルホン酸、芳香族ケトンスルホン酸、複素環式スルホン酸、芳香族スルホキサイドスルホン酸、芳香族スルホン酸のメチレン型結合による縮合体等が挙げられる。
芳香族スルホン酸部分としてモノマー状又はポリマー状の芳香族サルファイドスルホン酸を有する、芳香族スルホン酸アルカリ(土類)金属塩としては、具体的には例えば、ジフェニルサルファイド−4,4’−ジスルホン酸ジナトリウム、ジフェニルサルファイド−4,4’−ジスルホン酸ジカリウム等が挙げられる。また上記芳香族カルボン酸及びエステルのスルホン酸アルカリ(土類)金属塩としては、5−スルホイソフタル酸カリウム、5−スルホイソフタル酸ナトリウム、ポリエチレンテレフタル酸ポリスルホン酸ポリナトリウム等が好ましい。
芳香族スルホン酸部分としてモノマー状又はポリマー状の芳香族エーテルスルホン酸を有する、芳香族スルホン酸アルカリ(土類)金属塩としては、具体的には例えば、1−メトキシナフタレン−4−スルホン酸カルシウム、4−ドデシルフェニルエーテルジスルホン酸ジナトリウム、ポリ(2,6−ジメチルフェニレンオキシド)ポリスルホン酸ポリナトリウム、ポリ(1,3−フェニレンオキシド)ポリスルホン酸ポリナトリウム、ポリ(1,4−フェニレンオキシド)ポリスルホン酸ポリナトリウム、ポリ(2,6−ジフェニルフェニレンオキシド)ポリスルホン酸ポリカリウム、ポリ(2−フルオロ−6−ブチルフェニレンオキシド)ポリスルホン酸リチウム等が挙げられる。
芳香族スルホネートスルホン酸アルカリ(土類)金属塩としては、具体的には例えば、ベンゼンスルホネートスルホン酸の、ナトリウム、カリウム、セシウム塩等が、好ましい例として挙げられる。また上記モノマー状又はポリマー状の芳香族スルホン酸アルカリ(土類)金属塩は、具体的には例えば、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、ベンゼンスルホン酸カリウム、ベンゼンスルホン酸セシウム、ベンゼンスルホン酸ルビジウム、ベンゼンスルホン酸ストロンチウム、ベンゼンスルホン酸マグネシウム、p−トルエンスルホン酸ナトリウム、p−トルエンスルホン酸カリウム、p−トルエンスルホン酸セシウム、p−トルエンスルホン酸ルビジウム、p−トルエンスルホン酸ストロンチウム、p−トルエンスルホン酸マグネシウム、m−ベンゼンジスルホン酸ジカリウム、p−ベンゼンジスルホン酸ジカリウム、ナフタレン−2,6−ジスルホン酸ジカリウム、ビフェニル−3,3’−ジスルホン酸カルシウム等が、好ましい例として挙げられる。
芳香族スルホン酸部分としてモノマー状又はポリマー状の芳香族スルホンスルホン酸を有する、芳香族スルホン酸アルカリ(土類)金属塩としては、具体的には例えば、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸ナトリウム、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸カリウム、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸ジカリウム、ジフェニルスルホン−3,4’−ジスルホン酸ジカリウム等が、好まし例として挙げられる。そして芳香族ケトンのスルホン酸アルカリ(土類)金属塩としては、具体的には例えば、α,α,α−トリフルオロアセトフェノン−4−スルホン酸ナトリウム、ベンゾフェノ ン−3,3’−ジスルホン酸ジカリウム等が、好ましい例として挙げられる。
複素環式スルホン酸アルカリ(土類)金属塩としては、具体的には例えば、チオフェン−2,5−ジスルホン酸ジナトリウム、チオフェン−2,5−ジスルホン酸ジカリウム、チオフェン−2,5−ジスルホン酸カルシウム、ベンゾチオフェンスルホン酸ナトリウム等が、好まし例として挙げられる。芳香族スルホキサイドのスルホン酸アルカリ(土類)金属塩としては、具体的には例えば、ジフェニルスルホキサイド−4−スルホン酸カリウム等が、好まし例として挙げられる。また芳香族スルホン酸アルカリ(土類)金属塩のメチレン型結合による縮合体としては、ナフタレンスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物、アントラセンスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物等が、好まし例として挙げられる。
硫酸エステルのアルカリ(土類)金属塩としては、一価及び/又は多価アルコール類の硫酸エステルのアルカリ(土類)金属塩が挙げられる。一価及び/又は多価アルコール類の硫酸エステルとしては、具体的には例えば、メチル硫酸エステル、エチル硫酸エステル、ラウリル硫酸エステル、ヘキサデシル硫酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルの硫酸エステル、ペンタエリスリトールのモノ、ジ、トリ、テトラ硫酸エステル、ラウリン酸モノグリセライドの硫酸エステル、パルミチン酸モノグリセライドの硫酸エステル、ステアリン酸モノグリセライドの硫酸エステル等が挙げられる。中でもラウリル硫酸エステルのアルカリ(土類)金属塩が好ましい。
また、本発明に用いる有機酸金属塩において、上述したスルホン酸金属塩や硫酸エステル金属塩以外の、その他のアルカリ(土類)金属塩としては、芳香族スルホンアミドのアルカリ(土類)金属塩が挙げられる。具体的には例えば、サッカリン、N−(p−トリルスルホニル)−p−トルエンスルホイミド、N−(N’−ベンジルアミノカルボニル)スルファニルイミド、及びN−(フェニルカルボキシル)スルファニルイミドのアルカリ(土類)金属塩等が挙げられる。
本発明に用いる有機酸金属塩(B)としては、中でも、芳香族スルホン酸のアルカリ(土類)金属塩や、パーフルオロアルカンスルホン酸のアルカリ(土類)金属塩が好ましい。
本発明における有機酸金属塩(B)の使用量は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対して、0.001〜1重量部である。有機酸金属塩(B)の使用量が少なすぎると、得られる芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の難燃性が不十分となり、逆に多すぎても、その溶融安定性が著しく低下する場合がある。よってその使用量は、中でも0.01〜0.5重量部、更には0.05〜0.3重量部、特に0.075〜0.2重量部であることが好ましい。
炭酸金属塩(C)
本発明に用いる炭酸金属塩(C)は、炭酸金属塩(C)のBET比表面積S(m/g)と、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対する炭酸金属塩(C)の含有重量部Wとの積(SW値)が1〜60であることが重要である。SW値が1未満であると、得られる芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の難燃性が不十分となり、逆に60を超えると、炭酸金属塩(C)による芳香族ポリカーボネート樹脂の分解が著しく進行し、溶融安定性や難燃性が低下してしまう。よってSW値は、中でも1.5〜25、特に2〜20であることが好ましい。
本発明に用いる炭酸金属塩(C)は、炭酸成分を含有または構造中に含む塩化合物であれば、特に限定されず、従来公知の任意のものを使用でき、炭酸カルシウム等の炭酸金属塩自体の他、炭酸イオンを含む金属塩、具体的には例えば、一般式:MgAl(CO)(OH)16・4HOで表されるハイドロタルサイト等の炭酸塩鉱物(炭酸塩錯体、または鉱物系炭酸金属塩という場合がある。)や、更には有機基を含む炭酸金属塩等が挙げられる。
本発明に用いる炭酸金属塩(C)として、無機系炭酸金属塩化合物としては、具体的には例えば、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸マグネシウム、炭酸マグネシウムカルシウム、炭酸バリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、過炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウムナトリウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウム、炭酸ニッケル、炭酸亜鉛、炭酸鉛、炭酸鉄、炭酸コバルト、炭酸カドミウム、炭酸銀、炭酸マンガン、炭酸ランタン、炭酸セリウム等が挙げられる。
鉱物系炭酸金属塩としては、具体的には例えば、ハイドロタルサイト、カルサイト、アラゴナイト、ドロマイト、アンケル石、藍銅鉱、ドーソン石、水亜鉛土、クトナホラ石、孔雀石、あられ石、方解石、アンケライト、苦灰石 クトナホライト、ストロチアナイト、炭酸ソーダ石、毒重石、白鉛鉱、バストネサイト、ハンタイト、ファテライト、菱亜鉛鉱、菱苦土鉱、菱コバルト鉱、菱鉄鉱、菱ニッケル鉱、菱マンガン鉱、イットリウムシンキサイト、セリウムシンキサイト、リーベサイト、亜鉛孔雀石、アルチナイト、アルモヒドロカルサイト、アンダーソナイト、イカアイト、一水方解石、灰泡蒼鉛土、カルキンサイト、木村石、スコータイト、水亜鉛銅鉱、水苦土石、水白鉛鉱、ダイピンジャイト、デソーテルサイト、テンゲライト−Y、ニッケル孔雀石、ネオジム弘三石、ネスケホナイト、ハイドロキルシルバストナサイト−Ce、パイロオーライト、バーケアイト、布賀石、ブライアンヤンジャイト、ブルニャテライト、泡蒼鉛、マックギネサイト、ランタナイト−La、ランタナイト−Nd、レッドヒライト、ロッカイト−Y等が挙げられる。
本発明に用いる炭酸金属塩(C)としては、中でも炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、ハイドロタルサイトが好ましく、更には炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウムが、特に炭酸カルシウムが好ましい。
本発明に用いる炭酸金属塩(C)の製造方法、そして鉱物系炭酸金属塩の場合にはその産地等は特に制限はなく、適宜選択して決定すればよい。具体例として、炭酸カルシウムを例にして説明する。炭酸カルシウムとしては、その結晶構造や製造方法等に制限はなく、従来公知の任意のものを使用できる。炭酸カルシウムとしては、具体的には例えば重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、膠質(コロイダル)炭酸カルシウム)等が挙げられる。
炭酸カルシウムの製造方法としては、具体的には例えば、(1)天然由来の炭酸カルシウムを湿式又は乾式粉砕する方法、(2)塩化カルシウムと炭酸塩(炭酸ナトリウム等)又は炭酸水素塩とを反応させる方法、(3)水酸化カルシウムと炭酸塩又は炭酸水素塩とを反応させる方法、(4)水酸化カルシウムと炭酸ガスとを反応させる方法等が挙げられる。
炭酸カルシウムの結晶構造としては、六方晶系(菱面体)のカルサイト形、斜方晶系(針状体)のアラゴナイト形及び擬六方晶系(球状体)のバテライト形等が挙げられる。
本発明に用いる炭酸金属塩(C)は、上述したSW値が1〜60であれば、その形状(球状、燐片状、紡錘状、棒状、針状、板状、不定形状等)、粒子径、表面積、吸油量、水分、嵩密度に特に制限はなく、適宜選択して決定すればよい。例えば平均粒子径が小さすぎるものは製造が困難で、加えて、樹脂組成物への分散性が劣る場合がある。
逆に大きすぎても、樹脂組成物を成形してなる樹脂成形体の平面平滑性が低下し、外観不良を引き起こす場合がある。よって本発明に用いる炭酸金属塩(C)の平均粒子径は0.01〜10μm、中でも0.04〜6μm、特に0.15〜4μmであることが好ましい。尚、本発明に用いる炭酸金属塩(C)の平均粒子径は、例えば走査型電子顕微鏡(SEM)を用い、無作為に抽出した炭酸カルシウム一次粒子30個の粒子径を測定して得られる平均として求めることができる。
本発明に用いる炭酸金属塩(C)の表面積は、BET吸着法によって求められるBET比表面積を示す。本発明に用いる炭酸金属塩(C)の比表面積は、適宜選択して決定すればよいが、小さすぎると、必然的に粒径が著しく大きくなり、樹脂組成物中での分散性が低下するために十分な難燃性が得られず、また耐衝撃性も低下する場合がある。
逆に大きすぎても表面の活性が高すぎてしまい、芳香族ポリカーボネート樹脂の分解が著しく上昇する場合がある。よって本発明に用いる炭酸金属塩(C)の比表面積は、一般的に3〜100m/gであり、中でも4〜60m/g、更には5〜30m/g、特に7〜25m/gであることが好ましい。
本発明に用いる炭酸金属塩(C)は、予め表面処理が施されたものも、用いることが出来る。表面処理剤としては、具体的には例えば、脂肪酸や、シランカップリング剤等のシリコーン等が挙げられ、表面処理剤は、単独で、又は2種以上を任意の割合で併用したり、または逐次、処理してもよい。そしてこの様な表面処理剤で処理された炭酸金属塩(C)としては、具体的には例えば、脂肪酸処理炭酸カルシウム、ロジン酸処理炭酸カルシウム、シランカップリング剤等で処理されたシリコーン処理炭酸カルシウム等が挙げられる。中でも脂肪酸処理炭酸カルシウムや、シリコーン処理炭酸カルシウムが好ましく、特にシランカップリング剤処理された炭酸カルシウムが好ましい。
炭酸カルシウムの製造に用いるシランカップリング剤としては、具体的には例えば、硅素原子の置換基にアルキル基を有するもの(アルキル系)としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン等;ビニル系としては、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン等;
エポキシ系としては、2−(3,4 エポキシシクロヘキシル) エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等;スチリル系としては、p−スチリルトリメトキシシラン等、メタクリロキシ系としては、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等;
アクリロキシ系としては、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン等、アミノ系としては、N−2( アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−( 1,3−ジメチル−ブチリデン) プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等;
一般式HNCONH−で表される、(アミノカルボニル)アミノ(以下、「ウレイド」という。)を硅素原子の置換基に有するもの(ウレイド系)としては、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等、クロロプロピル系としては、3−クロロプロピルトリメトキシシラン等;メルカプト系としては、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等;スルフィド系としては、ビス−( 3−〔トリエトキシシリル〕−プロピル)−テトラサルファン等;イソシアネート系としては、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等;が挙げられる。
これらのシランカップリング剤としては、結合の一部が加水分解、脱水縮合して生じる2個以上の重縮合体であってもよい。また2 種類以上のものを併用、重縮合させて用いても差し支えない。また、予め脂肪酸処理を施した脂肪酸処理炭酸カルシウムをシランカップリング剤で処理したシリコーン処理炭酸カルシウムも有効である。
例えば、本発明で好ましく使用できるシランカップリング剤処理炭酸カルシウムとして、太陽化学工業社製SL−151、SL−101等、白石工業社製 パルシエン500、STパウダー50等が挙げられる。
本発明において、炭酸金属塩(C)の含有量は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対して0.1〜10重量部であり、中でも0.3〜6重量部、更には0.4〜3重量部、特に0.5〜1.0重量部であることが好ましい。0.1重量部未満の際には難燃性が不十分となり、逆に10重量部を超えると芳香族ポリカーボネートの分解が著しくなり、樹脂組成物の溶融安定性が低下する場合がある。
反応性官能基含有カップリング剤(D)
本発明に用いる反応性官能基含有カップリング剤(D)は、公知のカップリング剤であれば特に限定されることはなく、適宜選択して決定すればよい。中でもシリカ系、チタン系カップリング剤が好ましく、特にシリカ系カップリング剤が好ましい。このシリカ系カップリング剤の中でも、ポリオルガノ水素シロキサンが特に好ましい。
シリカ系カップリング剤としては下記一般式(5)で表される化合物、及びこの重縮合体が挙げられる。
(A)SiR (5)
(式中、X+Y+Z=4であり、X、Y及びZは0〜4を示し、AはRO、又はハロゲン元素を示し、R、R、Rは水素又は、飽和もしくは不飽和の炭化水素基を示し、この炭化水素基は官能基を有していてもよい。
前炭化水素基としては炭素数1〜10、中でも炭素数1〜6であることが好ましい。特にR、Rとしてはメチル基、エチル基、フェニル基等が好ましく、Rとしてはビニル基、エポキシ基、メタクリル基、アミノ基、メルカプト基等の置換基を有する、炭素数1〜10のアルキル基が好ましい。
より具体的には、ポリオルガノ水素シロキサン系としては、ポリ(ジハイドロジェンシロキサン)、ポリ(メチルハイドロジェンシロキサン)、ポリシクロ(メチルハイドロジェンシロキサン)、ポリ(エチルハイドロジェンシロキサン)、ポリ(フェニルハイドロジェンシロキサン)、ポリ[(メチルハイドロジェンシロキサン)(ジメチルシロキサン)]コポリマー、ポリ[(メチルハイドロジェンシロキサン)(エチルメチルシロキサン)]コポリマー、ポリ[(メチルハイドロジェンシロキサン)(ジエチルシロキサン)]コポリマー、ポリ[(メチルハイドロジェンシロキサン)(ヘキシルメチルシロキサン)]コポリマー、ポリ[(メチルハイドロジェンシロキサン)(オクチルメチルシロキサン)]コポリマー、ポリ[(メチルハイドロジェンシロキサン)(フェニルメチルシロキサン)]コポリマー、ポリ[(メチルハイドロジェンシロキサン)(ジエトキシシロキサン)]コポリマー、ポリ[(メチルハイドロジェンシロキサン)(ジメトキシシロキサン)]コポリマー、ポリ[(メチルハイドロジェンシロキサン)(3,3,3−トリフルルオロプロピルメチルシロキサン)]コポリマー、ポリ[(ジハイドロジェンシロキサン)((2−メトキシエトキシ)メチルシロキサン)]コポリマー、ポリ[(ジハイドロジェンシロキサン)(フェノキシメチルシロキサン)]コポリマー等が挙げられる。
本発明で好ましく使用できるポリオルガノ水素シロキサンとして、東レ・ダウコーニング社製SH1107、信越化学工業社製KF99等が挙げられる。
またアルキル系としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン等、ビニル系としては、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス( 2−メトキシエトキシ) シラン等、エポキシ系としては、2−( 3,4 エポキシシクロヘキシル) エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等、;
スチリル系としては、p−スチリルトリメトキシシラン等、メタクリロキシ系としては、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、アクリロキシ系としては、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン等、アミノ系としては、N−2 ( アミノエチル) 3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2 ( アミノエチル) 3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2 ( アミノエチル) 3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−( 1,3−ジメチル−ブチリデン) プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等;
ウレイド系としては、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等、クロロプロピル系としては、3−クロロプロピルトリメトキシシラン等、メルカプト系としては、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等、スルフィド系としては、ビス−( 3−〔トリエトキシシリル〕−プロピル)−テトラサルファン等、イソシアネート系としては、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
これらのシランカップリング剤としては、結合の一部が加水分解、脱水縮合して生じる2個以上の重縮合体であってもよく、これらは一種または任意の割合で二種以上を併用、重縮合させて用いてもよい。
チタン系カップリング剤としては、下記一般式で表される化合物、及びこの重縮合体が挙げられる。
(RO)TiR (6)
(式中、x+y+z=4であり、x、y及びzは0から4の数であり、R、R、Rは水素又は、飽和、不飽和の炭化水素基であり、炭化水素基には官能基が導入されていもよい。)
前記炭化水素基としては、炭素数1〜10を有すものが好ましく、炭素数1〜6を有するものがより好ましい。特に好ましくは、例えばRとしては、イソプロポキシル、n−ブトキシ基が挙げられる。またR、Rはビニル基、エポキシ基、メタクリル基、アミノ基、メルカプト基を有するアセトナト、アミナト基等が挙げられる。
具体的には例えば、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラn−ブトキシチタン、イソプロポキシチタントリイソステアレート、イソプロポキシチタンジメタクリレートイソステアレート、イソプロポキシチタントリドデシルベンゼンスルホネート、イソプロポキシチタントリスジオクチルフォスフェート、イソプロポキシチタントリN−エチルアミノエチルアミナト、チタニウムビスジオクチルピロフォスフェートオキシアセテート、ビスジオクチルフォスフェートエチレングリコラトチタン、テトライソプロポキシチタンビスジオクチルフォスファイト、ジn−ブトキシビストリエタノールアミナトチタン等が挙げられる。
これらのシランカップリング剤は、結合の一部が加水分解、脱水縮合して生じる2個以上の重縮合体でもよい。またこれらは単独で、又は2種以上を任意の割合で併用し、重縮合させてもよい。
フルオロポリマー(E)
本発明に用いるフルオロポリマー(E)としては、従来公知の任意のものを使用できる。中でもフィブリル形成能力を有するフルオロポリマーとして、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン・プロピレン共重合体等のテトラフルオロエチレンポリマーが好ましく、特にポリテトラフルオロエチレンが好ましい。またこれらフルオロポリマー(E)は、ファインパウダー状のフルオロポリマーや、フルオロポリマーの水性ディスパージョン、更にASやPMMA等の第2の樹脂との粉体状混合物等、その形態は任意であり適宜選択して決定すればよい。
本発明に用いるフルオロポリマー(E)としては、具体的には例えば三井デュポンフロロケミカル社製 テフロン(登録商標)6J、ダイキン工業社製 ポリフロンF−201(登録商標)等が挙げられる。またフルオロポリマーの水性ディスパージョンとしては、三井デュポンフロロケミカル社製 テフロン(登録商標)30J、ダイキン工業社製 ポリフロンD−1(登録商標)、ポリフロンD−2(登録商標)、ポリフロンD−2C(登録商標)、ポリフロンD−2CE(登録商標)、ASやPMMA等の第2の樹脂との粉体状混合物として、GEスペシャリティケミカルズ社製 Blendex 449(登録商標)、三菱レイヨン社製 メタブレンA−3800(登録商標)等が挙げられる。
本発明におけるフルオロポリマー(E)の含有量は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対して0.01〜1重量部であり、中でも滴下防止効果等の観点から、0.05〜0.5重量部、更には0.1〜0.5重量部、特に0.2〜0.4重量部であることが好ましい。
その他の成分
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲において、他の樹脂や各種樹脂添加剤を含有していてもよい。
他の樹脂としては、具体的には例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート樹脂などの熱可塑性ポリエステル樹脂;ポリスチレン樹脂、高衝撃ポリスチレン樹脂(HIPS)、アクリロニトリルースチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリルーブタジエンースチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリルースチレンーアクリルゴム共重合体(ASA樹脂)、アクリロニトリルーエチレンプロピレン系ゴムースチレン共重合体(AES樹脂)などのスチレン系樹脂;ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂;ポリアミド樹脂;ポリイミド樹脂;ポリエーテルイミド樹脂;ポリウレタン樹脂;ポリフェニレンエーテル樹脂;ポリフェニレンサルファイド樹脂;ポリスルホン樹脂;ポリメタクリレート樹脂等が挙げられる。これらは単独で、又は2種以上を任意の割合で併用してもよい。
また各種樹脂添加剤としては、熱安定剤、酸化防止剤、離型剤、紫外線吸収剤、染顔料、難燃剤、帯電防止剤、防曇剤、滑剤・アンチブロッキング剤、流動性改良剤、可塑剤、分散剤、防菌剤等が挙げられる。これらは2種以上を併用してもよい。以下、本発明の熱可塑性樹脂組成物に好適な添加剤の一例について具体的に説明する。
熱安定剤としては、具体的には例えばリン系化合物が挙げられる。リン系化合物としては、従来公知の任意のものを使用でき、例えばリン酸、ホスホン酸、亜燐酸、ホスフィン酸、ポリリン酸などのリンのオキソ酸、酸性ピロリン酸ナトリウム、酸性ピロリン酸カリウム、酸性ピロリン酸カルシウムなどの酸性ピロリン酸金属塩、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸セシウム、リン酸亜鉛など第1族又は第2B族金属のリン酸塩、有機ホスフェート化合物、有機ホスファイト化合物、有機ホスホナイト化合物などを挙げることができる。これらの中で、下記一般式(7)で表される有機ホスフェート化合物及び/又は下記一般式(7)で表される有機ホスファイト化合物が好ましい。
O=P(OH)(OR)3ーm (7)
(一般式(7)中、Rはアルキル基又はアリール基であり、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。mは0〜2の整数である。)
Figure 2008308627
(式中、R’はアルキル基又はアリール基であり、各々同一でも異なっていてもよい。)
一般式(8)中、Rは、好ましくは、炭素原子数1〜30のアルキル基又は炭素原子数6〜30のアリール基であり、より好ましくは、炭素原子数2〜25のアルキル基である。またmは、好ましくは1及び/又は2である。また、上記一般式(10)中、R’は、好ましくは、炭素原子数1〜30のアルキル基又は炭素原子数6〜30のアリール基である。上記一般式(10)で表される亜リン酸エステルの好ましい具体例としては、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4ージーtertーブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6ージーtertーブチルー4ーメチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトを挙げることできる。
これらリン系化合物の含有量は、芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対して0.001〜1重量部であることが好ましく、中でも0.01〜0.7重量部、特に0.03〜0.5重量部であることが好ましい。
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤が挙げられる。その具体例としては、ペンタエリスリトールテトラキス[3ー(3,5ージーtertーブチルー4ーヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシルー3ー(3,5ージーtertーブチルー4ーヒドロキシフェニル)プロピオネート、チオジエチレンビス[3ー(3,5ージーtertーブチルー4ーヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’ーヘキサンー1,6ージイルビス[3ー(3,5ージーtertーブチルー4ーヒドロキシフェニルプロピオナミド)、2,4ージメチルー6ー(1ーメチルペンタデシル)フェノール、ジエチル[[3,5ービス(1,1ージメチルエチル)ー4ーヒドロキシフェニル]メチル]ホスフォエート、3,3’,3’’,5,5’,5’’ーヘキサーtertーブチルーa,a’,a’’ー(メシチレンー2,4,6ートリイル)トリーpークレゾール、4,6ービス(オクチルチオメチル)ーoークレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3ー(5ーtertーブチルー4ーヒドロキシーmートリル)プロピオネート]、ヘキサメチレンビス[3ー(3,5ージーtertーブチルー4ーヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5ートリス(3,5ージーtertーブチルー4ーヒドロキシベンジル)ー1,3,5ートリアジンー2,4,6(1H,3H,5H)ートリオン,2,6ージーtertーブチルー4ー(4,6ービス(オクチルチオ)ー1,3,5ートリアジンー2ーイルアミノ)フェノール等が挙げられる。これらは単独で、又は2種以上を任意の割合で併用してもよい。
上記の中では、ペンタエリスリトールテトラキス[3ー(3,5ージーtertーブチルー4ーヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシルー3ー(3,5ージーtertーブチルー4ーヒドロキシフェニル)プロピオネートが好ましい。これら2つのフェノール系酸化防止剤は,チバ・スペシャルテイ・ケミカルズ社より、「イルガノックス1010」及び「イルガノックス1076」の名称で市販されている。
酸化防止剤の含有量は、芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、通常0.001〜1重量部、好ましくは0.01〜0.5重量部である。酸化防止剤の含有量が0.001重量部未満の場合は抗酸化剤としての効果が不十分であり、1重量部を超える場合は効果が頭打ちとなり経済的ではない。
離型剤としては、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステル、数平均分子量200〜15000の脂肪族炭化水素化合物、ポリシロキサン系シリコーンオイルの群から選ばれる少なくとも1種の化合物が挙げられる。
脂肪族カルボン酸としては、飽和又は不飽和の脂肪族1価、2価又は3価カルボン酸を挙げることが出来る。ここで脂肪族カルボン酸とは、脂環式のカルボン酸も包含する。これらの中では、好ましい脂肪族カルボン酸は、炭素数6〜36の1価又は2価カルボン酸であり、炭素数6〜36の脂肪族飽和1価カルボン酸がさらに好ましい。かかる脂肪族カルボン酸の具体例としては、パルミチン酸、ステアリン酸、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、メリシン酸、テトラリアコンタン酸、モンタン酸、アジピン酸、アゼライン酸などが挙げられる。
脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステルにおける脂肪族カルボン酸としては、前記脂肪族カルボン酸と同じものが使用できる。一方、アルコールとしては、飽和又は不飽和の1価又は多価アルコールを挙げることが出来る。これらのアルコールは、フッ素原子、アリール基などの置換基を有していてもよい。これらの中では、炭素数30以下の1価又は多価の飽和アルコールが好ましく、炭素数30以下の脂肪族飽和1価アルコール又は多価アルコールがさらに好ましい。
ここで脂肪族とは、脂環式化合物も含有する。かかるアルコールの具体例としては、オクタノール、デカノール、ドデカノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、2,2ージヒドロキシペルフルオロプロパノール、ネオペンチレングリコール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。
なお、上記のエステル化合物は、不純物として脂肪族カルボン酸及び/又はアルコールを含有していてもよく、複数の化合物の混合物であってもよい。
脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステルの具体例としては、蜜ロウ(ミリシルパルミテートを主成分とする混合物)、ステアリン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニル、ベヘン酸ステアリル、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリントリステアレート、ペンタエリスリトールモノパルミテート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート等が挙げられる。
数平均分子量200〜15000の脂肪族炭化水素としては、流動パラフィン、パラフィンワックス、マイクロワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、炭素数3〜12のαーオレフィンオリゴマー等が挙げられる。ここで、脂肪族炭化水素としては、脂環式炭化水素も含まれる。また、これらの炭化水素化合物は部分酸化されていてもよい。これらの中では、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス又はポリエチレンワックスの部分酸化物が好ましく、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスがさらに好ましい。数平均分子量は、好ましくは200〜5000である。これらの脂肪族炭化水素は単一物質であっても、構成成分や分子量が様々なものの混合物であっても、主成分が上記の範囲内であればよい。
ポリシロキサン系シリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルシリコーンオイル、フェニルメチルシリコーンオイル、ジフェニルシリコーンオイル、フッ素化アルキルシリコーン等が挙げられる。これらは2種類以上を併用してもよい。
離型剤の含有量は、芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、通常0.001〜2重量部、好ましくは0.01〜1重量部である。離型剤の含有量が0.001重量部未満の場合は離型性の効果が十分でない場合があり、2重量部を超える場合は、耐加水分解性の低下、射出成形時の金型汚染などの問題がある。
紫外線吸収剤の具体例としては、酸化セリウム、酸化亜鉛などの無機紫外線吸収剤の他、ベンゾトリアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、トリアジン化合物などの有機紫外線吸収剤が挙げられる。これらの中では有機紫外線吸収剤が好ましい。特に、ベンゾトリアゾール化合物、2ー(4,6ージフェニルー1,3,5ートリアジンー2ーイル)ー5ー[(ヘキシル)オキシ]ーフェノール、2ー[4,6ービス(2,4ージメチルフェニル)ー1,3,5ートリアジンー2ーイル]ー5ー(オクチロキシ)フェノール、2,2’ー(1,4ーフェニレン)ビス[4Hー3,1ーベンゾキサジンー4ーオン]、[(4ーメトキシフェニル)ーメチレン]ープロパンジオイックアシッドージメチルエステルの群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
ベンゾトリアゾール化合物の具体例としては、メチル−3−〔3−tert−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル〕プロピオネートーポリエチレングリコールとの縮合物が挙げられる。また、その他のベンゾトリアゾール化合物の具体例としては、2−ビス(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−tert−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレン−ビス〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2N−ベンゾトリアゾール2−イル)フェノール〕[メチル−3−〔3−tert−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル〕プロピオネートーポリエチレングリコール]縮合物などが挙げられる。これらは2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(4,6−ジフェニルー1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチロキシ)フェノール、2,2’−メチレン−ビス〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2N−ベンゾトリアゾール2−イル)フェノール〕等がこのまいである。
紫外線吸収剤の含有量は、芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、通常0.01〜3重量部、好ましくは0.1〜1重量部である。紫外線吸収剤の含有量が0.01重量部未満の場合は耐候性の改良効果が不十分の場合があり、3重量部を超える場合はモールドデボジット等の問題が生じる場合がある。
染顔料としては、無機顔料、有機顔料、有機染料等が挙げられる。無機顔料としては、具体的には例えばカーボンブラック、カドミウムレッド、カドミウムイエロー等の硫化物系顔料;群青などの珪酸塩系顔料;酸化チタン、亜鉛華、弁柄、酸化クロム、鉄黒、チタンイエロー、亜鉛ー鉄系ブラウン、チタンコバルト系グリーン、コバルトグリーン、コバルトブルー、銅ークロム系ブラック、銅ー鉄系ブラック等の酸化物系顔料;黄鉛、モリブデートオレンジ等のクロム酸系顔料;紺青などのフェロシアン系顔料が挙げられる。
有機顔料及び有機染料としては、具体的には例えば銅フタロシアニンブルー、銅フタロシアニングリーン等のフタロシアニン系染顔料;ニッケルアゾイエロー等のアゾ系染顔料;チオインジゴ系、ペリノン系、ペリレン系、キナクリドン系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、キノフタロン系などの縮合多環染顔料;アンスラキノン系、複素環系、メチル系の染顔料などが挙げられる。これらは一種または任意の割合で二種以上を併用してもよい。中でも熱安定性の点から、酸化チタン、カーボンブラック、シアニン系、キノリン系、アンスラキノン系、フタロシアニン系化合物などが好ましい。
染顔料の含有量は、芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、通常5重量部以下、好ましくは3重量部以下、さらに好ましくは2重量部以下である。染顔料の含有量が5重量部を超える場合は耐衝撃性が十分でない場合がある。
難燃剤としては、従来公知の任意のものを使用できる。具体的には例えば、ハロゲン化ビスフェノールAのポリカーボネート、ブロム化ビスフェノール系エポキシ樹脂、ブロム化ビスフェノール系フェノキシ樹脂、ブロム化ポリスチレンなどのハロゲン系難燃剤、リン酸エステル系難燃剤、有機金属塩系難燃剤、シリコーン系難燃剤、無機化合物系難燃(助)剤などが挙げられる。
これらは単独で、又は2種以上を任意の割合で併用してもよい。中でも、環境汚染の可能性が極めて低い有機金属塩系難燃剤や、シリコーン系難燃剤、無機化合物系難燃(助)剤が好ましい。
リン酸エステル系難燃剤の具体例としては、トリフェニルホスフェート、レゾルシノールビス(ジキシレニルホスフェート)、ハイドロキノンビス(ジキシレニルホスフェート)、4,4’ービフェノールビス(ジキシレニルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジキシレニルホスフェート)、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、ハイドロキノンビス(ジフェニルホスフェート)、4,4’ービフェノールビス(ジフェニルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)等が挙げられる。これらは2種以上を併用してもよい。これらの中では、レゾルシノールビス(ジキシレニルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)が好ましい。
有機金属塩系難燃剤としては、例えばジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸ジカリウム、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸カリウム、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、(ポリ)スチレンスルホン酸ナトリウム、パラトルエンスルホン酸ナトリウム、(分岐)ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ベンゼンスルホン酸カリウム、スチレンスルホン酸カリウム、(ポリ)スチレンスルホン酸カリウム、パラトルエンスルホン酸カリウム、(分岐)ドデシルベンゼンスルホン酸カリウム、パ−フルオロブタンスルホン酸カリウムが挙げられる。
無機化合物系難燃(助)剤としては、タルク、マイカ、カオリン、クレー、シリカ粉末、ヒュームドシリカ、ガラスフレークが挙げられる。
本発明における難燃剤の含有量は、芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、通常0.0001〜30重量部であり、中でも0.01〜25重量部、特に0.1〜20重量部であることが好ましい。難燃剤の含有量が少なすぎると、難燃効果が不十分となり、逆に多すぎても耐衝撃性や耐熱性が著しく低下する場合がある。
芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、上述の各原料である、芳香族ポリカーボネート、有機酸金属塩、炭酸金属塩、フルオロポリマー等を特定量用い、従来公知の任意の樹脂組成物製造方法により得ることが出来る。具体的には例えば、公知の熱可塑性樹脂組成物の製造方法として、芳香族ポリカーボネートや他の成分を、タンブラーやヘンシェルミキサーなどの各種混合機を用い予め混合した後、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、単軸混練押出機、二軸混練押出機、ニーダーなどで溶融混練することによって樹脂組成物を製造することができる。
また、各成分を予め混合せずに、又は、一部の成分のみ予め混合してフィーダーを用いて押出機に供給して溶融混練して樹脂組成物を製造することもできる。
樹脂成形体、およびその製造方法
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂成形体は、本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を用いて、従来公知の任意の熱可塑性樹脂成形体の製造方法により得ることが出来る。 本発明の樹脂成形体は、難燃性に優れ、とりわけ薄肉樹脂成形体とした場合でも優れた難燃性を示すことを特徴とする。具体的には厚み2mm以下、好ましくは1.5mm以下の、薄肉状樹脂成形体とした際においても、ポリカーボネート樹脂の特性を維持しつつ、且つ優れた難燃性を示すものである。
本発明の樹脂成形体の製造方法は、従来公知の任意の、熱可塑性樹脂について一般に採用されている成形法を用いることが出来る。具体的には例えば射出成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、二色成形法、ガスアシスト等の中空成形法、断熱金型を使用した成形法、急速加熱金型を使用した成形法、発泡成形(超臨界流体も含む)、インサート成形、IMC(インモールドコーティング成形)成形法、押出成形法、シート成形法、熱成形法、回転成形法、積層成形法、プレス成形法等が挙げられる。またホットランナー方式を使用した成形法を採用することも出来る。
また本発明においては、廃棄物低減などの環境負荷低減やコスト低減の観点から、樹脂組成物から樹脂成形体を製造する際に、製品の不適合品、スプルー、ランナー、使用済みの製品などのリサイクル原料を、バージン材料と混合してリサイクル化(所謂マテリアルリサイクル化)してもよい。この際、リサイクル原料は、粉砕して使用することが成形品を製造する際に不具合を少なく出来るので好ましい。リサイクル原料の含有比率は、リサイクル原料とバージン原料の合計量に対し、通常70重量%以下、好ましくは50重量%以下、更に好ましくは30重量%以下である。
以下に実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、これらの実施例に限定されるものではない。尚、「部」は「重量部」を示す。
樹脂ペレット製造
表2に記した各成分を、表3に記した割合(重量比)で配合し、タンブラーにて20分混合後、1ベントを備えた田辺精機社製の40mm単軸押出機(VS−40)に供給し、280℃で混練、ストランド状に押出された溶融樹脂を水槽にて急冷し、ペレタイザーを用いてペレット化した。
UL試験用試験片の作成
上述の製造方法で得られたペレットを120℃、5時間乾燥後、日本製鋼所製のJ50−EP型射出成形機を用いて、シリンダー温度280℃、金型温度80℃、成形サイクル30秒の条件で射出成形し、長さ125mm、幅13mm、厚さ1.2mmの試験片を成形した。
次に、各芳香族ポリカーボネート樹脂の評価方法について説明する。
燃焼性試験
UL試験用サンプルを温度23℃、湿度50%の恒温室の中で48時間調湿し、ULが定めているUL94試験(機器の部品用プラスチック材料の燃焼試験)に準拠して難燃性の評価を行った。UL94Vとは、鉛直に保持した所定の大きさの試験片にバーナーの炎を10秒間接炎した後の残炎時間やドリップ性から難燃性を評価する方法であり、V−2の難燃性を有するためには、以下の表1に示す基準を満たすことが必要となる。
Figure 2008308627
ここで残炎時間とは、着火源を遠ざけた後の、試験片の有炎燃焼を続ける時間の長さであり、ドリップによる綿着火とは、試験片の下端から約300mm下にある標識用の綿が、試験片からの滴下(ドリップ)物によって着火されるかどうかによって決定される。また5試料のうち、1つでも上記基準を満たさないものがある場合、V−2を満足しないとしてNR(not rated)と評価した。
Figure 2008308627
Figure 2008308627
Figure 2008308627

Claims (7)

  1. 芳香族ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対し、有機酸アルカリ金属塩及び有機酸アルカリ土類金属塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の有機酸金属塩(B)0.001〜1重量部、炭酸金属塩(C)0.1〜10重量部、反応性官能基含有カップリング剤(D)0.0001〜1重量部、及びフルオロポリマー(E)0.05〜0.5重量部を含有し、炭酸金属塩(C)のBET比表面積S(m/g)と、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対する炭酸金属塩(C)の含有重量部Wとの積(SW値)が1〜60である芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
  2. SW値が1.5〜25であることを特徴とする請求項1に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
  3. 反応性官能基含有カップリング剤(D)が、ポリオルガノ水素シロキサンであることを特徴とする請求項1又は2に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
  4. 炭酸金属塩(C)があらかじめ反応性官能基含有カップリング剤(D)で処理されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
  5. 有機酸金属塩(B)が、パーフルオロブタンスルホン酸カリウムであることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
  6. 炭酸金属塩(C)が、炭酸カルシウム及び炭酸ストロンチウムからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
  7. 請求項1乃至6のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる樹脂成形体。
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