JP2008306133A - 電子装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】互いの電極端子の間を金属電極を介して接続した一対の誘電体基板を有する電子装置であって、インピーダンスを従来よりも広い範囲で調節でき、これによって金属電極の付近とそれ以外の部分との間でインピーダンスを効果的に整合できる電子装置を提供する。
【解決手段】電子装置10は、それぞれに信号伝送線路を構成する信号層21,23,31,33が形成された一対の配線基板11,12を有する。双方の配線基板11,12の信号層23,33が、配線基板11,12の表面に形成されたはんだボール13を介して互いに接続されている。はんだボール13の近傍の配線基板11,12間に、所定の透磁率を有する磁性体材料15が充填されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、電子装置に関し、更に詳しくは、互いの電極端子の間を金属電極を介して接続した一対の誘電体基板を有する電子装置に関する。
通信装置等の電子装置には、マザーボードと、マザーボード上に配設されICチップを搭載するインターポーザ基板とを有するものが知られている。マザーボード及びインターポーザ基板の表面には、それぞれ電極端子と、この電極端子に接続する信号線とが形成されている。双方の基板の電極端子は金属電極を介して相互に接続されている。
特許文献1は、マザーボードと、マザーボード上に配設されICチップを搭載するインターポーザ基板とを有する電子装置を記載している。
特開2007−109790号公報(図1)
ところで、上記従来の電子装置では一般に、金属電極の付近とそれ以外の部分との間で、インピーダンスが大きく異なる。このインピーダンス不整合に起因して、信号伝送に際して損失が生じ伝送特性が低下する。通信装置やレーダ装置、計測装置といった電子装置では、近年、特にGHzを超える高周波数帯で動作する電子装置が求められており、そのような電子装置ではインピーダンス不整合による伝送損失が顕著に生じる。このため、金属電極の付近とそれ以外の部分との間でのインピーダンスを整合させることが強く求められている。
電子装置におけるインピーダンスを整合させるために、従来、例えば配線の寸法やはんだボールの大きさを調節してインピーダンスを調節する手法が知られている。しかし、これらの手法では、構造上又は製造上の制約が大きく、インピーダンスを調節可能な範囲が限られている。このため、インピーダンスを従来よりも広い範囲で調節でき、インピーダンスを効果的に整合できる技術が望まれている。
本発明は、上記に鑑み、互いの電極端子の間を金属電極を介して接続した一対の誘電体基板を有する電子装置であって、インピーダンスを従来よりも広い範囲で調節でき、これによって金属電極の付近とそれ以外の部分との間でインピーダンスを効果的に整合できる電子装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の電子装置は、
それぞれに信号伝送線路が形成された一対の誘電体基板を有し、双方の誘電体基板の信号伝送線路が、誘電体基板の表面に形成された金属電極を介して互いに接続された電子装置であって、
前記金属電極の近傍の誘電体基板間に、所定の透磁率を有する磁性体材料が充填されていることを特徴とする。
本発明の電子装置によれば、金属電極の近傍の誘電体基板間に、所定の透磁率を有する磁性体材料を形成したことによって、金属電極の付近のインピーダンスを従来よりも広い範囲で調整できる。これによって、金属電極の付近とそれ以外の部分とのインピーダンスを効果的に整合させ、伝送損失を効果的に抑制できる。
以下に、添付図面を参照し、本発明の実施例を詳しく説明する。図1は、本発明の第1実施例に係る電子装置の断面図である。電子装置10は、2つの配線基板(誘電体基板)11,12を有する。配線基板11は、例えばインターポーザ基板であって、絶縁層24を介して順次に積層された、信号層21、グランド層22、及び、信号層23を有する。絶縁層24を貫通してビア25が形成され、信号層21と信号層23とを接続している。配線基板11上には、図示しないICパッケージが接続されている。
配線基板12は、例えばマザーボードであって、絶縁層34を介して順次に積層された、信号層31、グランド層32、及び、信号層33を有する。絶縁層34を貫通してビア35が形成され、信号層31と信号層33とを接続している。信号層21,23,31,33は、本発明における信号伝送線路を構成する。
配線基板11の信号層21と配線基板12の信号層31との間は、はんだボール13を介して互いに接続されている。また、配線基板11のグランド層22と配線基板12のグランド層32との間も、別のはんだボールを介して互いに接続されている。配線基板11及び配線基板12は、これらはんだボールによって互いに機械的に固定されている。配線基板12は、はんだボール14を介して、例えば図示しないICパッケージに接続されている。
配線基板11の寸法は50×50mm程度である。絶縁層24,34はFR4(Flame Retardant Type 4)からなる。はんだボール13の近傍には、配線基板11,12の間に磁性体材料15が充填されている。磁性体材料15は、エポキシ系樹脂材料に六方晶フェライト粉末を分散した複合材料からなり、比透磁率は50程度である。磁性体材料15がエポキシ系樹脂材料を含むため、はんだボール13付近を強固に固定できる。
電子装置10の製造に際しては、先ず、はんだボール13の近傍の配線基板11上に磁性体材料15を塗布する。次いで、配線基板11と配線基板12とをはんだボールを介して互いに貼り合わせる。配線基板11,12の貼合せに際して、磁性体材料15は、毛細管現象によって、はんだボール13の付近の配線基板11,12の間に均一に充填される。
本実施例の電子装置10によれば、はんだボール13の近傍の配線基板11,12間に所定の透磁率を有する磁性体材料15を充填することによって、はんだボール13の付近のインピーダンスを従来よりも広い範囲で調整できる。これによって、はんだボール13の付近とそれ以外の部分との間でインピーダンスを効果的に整合させ、伝送損失を効果的に抑制できる。電子装置10では、DC(直流)からGHzまでの周波数帯域で伝送損失を抑制できるが、特に高周波伝送における伝送損失を効果的に抑制し、その伝送特性を高めることが出来る。
本実施例の電子装置10によれば、はんだボール13の付近のインピーダンスを従来よりも広い範囲で調整できるので、信号伝送の遅延時間を所定の時間に設定でき、良好な遅延特性を得ることが出来る。
なお、磁性体材料15は、上記の材料に限定されず、所定の透磁率を有する材料を用いることによって、同様の効果を得ることが出来る。また、磁性体材料15は、必ずしも配線基板11,12の間に充填する必要はなく、例えばはんだボール13の近傍の一方の配線基板11,12上に塗布してもよい。この場合、量産に際して磁性体材料15の形成プロセスを簡素化し、製造コストを低減できる。
磁性体材料15には、外部磁界により透磁率が変化する材料を用いてもよい。この場合、電子装置10を実装した後に、磁性体材料15に対して外部磁界をその強度を調節して印加する。これによって、磁性体材料15の透磁率を所望の値に変化させることが出来る。そのような材料として、ハードフェライト系材料であって、比較的小さな外部磁界で透磁率が変化する材料を好適に利用できる。
図2は、本発明の第2実施例に係る電子装置の断面図である。電子装置16では、はんだボール13の近傍に、インダクタ素子17が信号層23,33と直列に接続されている。電子装置16は、この点を除いては、図1の電子装置10と同様の構造を有している。インダクタ素子17は、例えば0.1nHのインダクタンスを有する。
本実施例の電子装置16では、インダクタ素子17を有することによって、図1の電子装置10に比して、インピーダンス虚部のパラメータ数を増やすことができる。従って、インピーダンス設計の自由度を更に高め、より広い周波数帯域に渡ってインピーダンスを調整できる。
なお、インダクタ素子17には、電子装置16を実装した後にインダクタンスの調整が可能な可変素子を用いてもよい。そのようなインダクタ素子17として、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を用いた圧電材料や、強相関材料がある。圧電材料からなるインダクタ素子17を用いる場合には、電圧の印加によってインダクタンスを機械的に調節できる。強相関材料からなるインダクタ素子17を用いる場合には、磁界又は電界の印加によって、透磁率を調節できる。
また、上記第1、第2実施例において、配線基板11をICチップやICパッケージに置き換えてもよい。この場合、配線基板12がインターポーザ基板であってもよい。これらの場合にも、第1、第2実施例と同様に、はんだボール13の付近とそれ以外の部分との間でインピーダンスを効果的に整合させ、伝送損失を効果的に抑制できる。
図3は、第1実施例、第2実施例、及び、従来の電子装置について測定した伝送損失と周波数との関係を示すグラフである。従来の電子装置は、第1実施例の電子装置10において、磁性体材料15が形成されていない電子装置である。同図より、従来の電子装置では特定の周波数の付近で大きな伝送損失が生じているのに対して、第1実施例の電子装置10及び第2実施例の電子装置16ではそのような伝送損失が殆ど生じていない。
また、インダクタ素子17を接続した第2実施例の電子装置16では、第1実施例の電子装置10に比して、約1GHz以上の高周波数帯で、伝送損失をより効果的に抑制できている。このように、測定によって、第1実施例及び第2実施例の電子装置では、従来の電子装置に比して、伝送損失を効果的に抑制できることが判った。なお、同図において、伝送損失は、インピーダンスの不整合に起因した損失だけでなく、電気抵抗による損失や、インピーダンスの不整合により生じた共振による放射損失等も含まれる。
以上、本発明をその好適な実施例に基づいて説明したが、本発明に係る電子装置は、上記実施例の構成にのみ限定されるものではなく、上記実施例の構成から種々の修正及び変更を施したものも、本発明の範囲に含まれる。本発明で、誘電体基板は、マザーボード、インターポーザ基板といった配線基板や、半導体チップ、半導体パッケージといった、半導体基板上に絶縁膜を介して形成された配線を有する半導体装置などを含む。また、本発明で、所定の透磁率を有する磁性体材料は、金属電極の近傍の誘電体基板間に完全に充填されている必要は無い。例えば金属電極の近傍の一方の誘電体基板上に、塗布などによって形成されていてもよい。
本発明で、バイアス磁界の強度が可変に設定されているとは、電子装置の実装前の状態で調節可能な磁界強度が、電子装置の実装後に所定の値に設定されていることを意味する。また、インダクタ素子のインダクタンスが可変に設定されているとは、電子装置の実装前の状態で調節可能なインダクタンスが、電子装置の実装後に所定の値に設定されていることを意味する。本発明で、金属電極は、はんだボールや、金などのスタッドバンプを含む。本発明は、GHzを超える高周波帯で動作する電子装置や、Gbpsを超える高速伝送を行う電子装置に特に好適に利用できる。
本発明の第1実施例に係る電子装置の断面図である。 本発明の第2実施例に係る電子装置の断面図である。 第1実施例、第2実施例、及び、従来の電子装置について、伝送損失と周波数との関係を示すグラフである。
符号の説明
10:電子装置
11:配線基板
12:配線基板
13:はんだボール
14:はんだボール
15:磁性体材料
16:電子装置
17:インダクタ素子
21:信号層
22:グランド層
23:信号層
24:絶縁層
25:ビア
31:信号層
32:グランド層
33:信号層
34:絶縁層
35:ビア

Claims (7)

  1. それぞれに信号伝送線路が形成された一対の誘電体基板を有し、双方の誘電体基板の信号伝送線路が、誘電体基板の表面に形成された金属電極を介して互いに接続された電子装置であって、
    前記金属電極の近傍の誘電体基板間に、所定の透磁率を有する磁性体材料が充填されていることを特徴とする電子装置。
  2. 前記磁性体材料にバイアス磁界が印加されていることを特徴とする、請求項1に記載の電子装置。
  3. 前記バイアス磁界の強度が可変に設定されていることを特徴とする、請求項2に記載の電子装置。
  4. 前記磁性体材料が、絶縁性樹脂材料に粉末状磁性材を分散させてなることを特徴とする、請求項1〜3の何れか一に記載の電子装置。
  5. 前記粉末磁性材がフェライトである、請求項4に記載の電子装置。
  6. 前記金属電極の近傍に、前記信号伝送線路と直列に接続されるインダクタ素子を配設したことを特徴とする、請求項1〜5の何れか一に記載の電子装置。
  7. 前記インダクタ素子のインダクタンスが可変に設定されていることを特徴とする、請求項6に記載の電子装置。
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