JP2008305704A - 加熱調理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】複数の加熱源それぞれの設定条件等を加熱調理装置の本体の共通画面で簡単に確認することができ、またその共通の表示画面の組立性を向上させる。
【解決手段】
本体上面にトッププレートを設け、このトッププレートの下方に複数の加熱源を配置した加熱調理装置において、本体には各加熱源の加熱条件が本体のトッププレート上方から視認可能な統合表示手段と、各加熱源の通電を制御する通電制御回路と、この回路から加熱源への電源投入条件を制御する入力手段とを設け、通電制御回路は、前記入力手段からの操作指令信号で加熱条件を設定できるとともに調理の加熱条件や本体の動作状態を統合表示手段に表示し、その統合表示手段は、調理の加熱条件等を表示する表示画面基板と、加熱源の火力を表示する発光素子と、この発光素子及び表示画面基板を収容したケースとを備えた構成にし、表示画面基板と加熱源の火力を表示する発光素子とをケースに収容した。
【選択図】図1

Description

本発明は加熱調理装置、特に、電気加熱源や電磁誘導加熱源により調理を行う加熱調理装置に関するものである。
従来の加熱調理装置には、1つの本体(筐体)の上面部を、複数の電磁誘導加熱源で加熱
する電磁調理器や、電磁誘導加熱源に加えて電気ヒータ等の輻射型加熱源でも加熱できるというタイプの複合型調理器がある(例えば特許文献1〜3参照)。
特許第2681994号公報 特許第2712399号公報 実開平3−50790号公報
しかしながら、従来の加熱調理装置においては、加熱源が2個、多いものでは例えば5個もあるため、それらを個々に制御するにあたり、各熱源の入力スイッチや火力調節つまみなど複数の操作部を調整し、またその結果がランプや文字等によって加熱源毎に設けた表示部に表示されるので、それらの状態を別々に確認しなければならない。特に、多種類の調理に対応できる機能を持ったものになるほど、最初の調理メニューの選択や火力等の調理条件設定が煩わしいという問題点があった。また加熱調理装置の各種警報も調理装置のメーカが決めた英字記号や略号で表示され、調理器に付属している取扱説明書の中を調べて正確な意味を理解しなくてはならず、実際には一般の使用者にとって重要な警報であるかどうか直ぐに判断できないという問題点があった。
さらに最近では小火力で長時間の調理を行うことも求められる傾向にあり、調理装置の傍から主婦などの使用者が一時的に離れる場合が起こり得るが、そのような際に調理装置に何らかの重大な異常が発生した場合、離れている使用者に調理装置本体から知らせることが難しいという課題があった。
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、調理の加熱条件(火力や時間、温度等)をできるだけ共通の画面で確認できることを可能にした加熱調理装置を提供することを目的とする。
本発明に係る加熱調理装置は、
本体上面にトッププレートを設け、
このトッププレートの下方に複数の加熱源を配置した加熱調理装置において、
前記本体には、各加熱源の加熱条件が本体のトッププレート上方から視認可能な統合表示手段と、
各加熱源の通電を制御する通電制御回路と、
この回路から加熱源への電源投入条件を制御する入力手段とを設け、
前記通電制御回路は、前記入力手段からの操作指令信号で加熱条件を設定でき、
通電制御回路は、加熱源の通電条件や前記本体の動作状態を前記統合表示手段に表示し、
前記統合表示手段は、
加熱源の通電条件を表示する表示画面基板と、
前記加熱源の通電状態を光により表示する発光素子と、
この発光素子及び前記表示画面基板を収容したケースと、
を備えたことを特徴とする。
本発明は以上の構成であるから、各種の調理条件の設定状況が調理装置本体に設けられた共通の表示画面を見てその都度確認することができ、使い勝手を向上させることができるとともに、前記統合表示手段は、調理の加熱条件等を表示する表示画面基板と、前記加熱源の火力を表示する発光素子とがケースによって一体化されて設置されるので、このケースを中心にして統合表示手段を組み立てることが可能となり、生産性が向上する。
[実施の形態1]
図1〜図11は、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器を示すものであって、図1は加熱調理装置の設置状態における全体斜視図であり、図2は全体の平面図、図3は全体の横断面図、図4は図3の横断面の位置から更に下方位置における横断面図、図5は本体前方の上部縦断面図、図6は全体の電気回路図、図7は統合表示手段の平面図、図8は本体の上面操作部と中央表示・入力部周辺を示す要部平面図、図9は中央表示・入力部の画面を示す説明図、図10は上面操作部と中央表示・入力部を示す平面図(その1)、図11は上面操作部と中央表示・入力部を示す平面図(その2)である。なお、各図において同じ部分または相当する部分には同じ符号を付し、一部の説明を省略する。
(加熱調理器本体)
図1において、加熱調理装置本体(以下、「本体」と称す)1は平面形状が長方形であって、金属板から形成された箱形状の本体ケース2と、本体ケース2の上面開口を塞ぐ金属製板から形成された額縁状の天板3と、から構成されている。
本体1の内部には、天板3に載置された被加熱物を加熱するための電磁エネルギー又は熱エネルギーを発生する後記する加熱手段6L、6R、7と、該加熱手段の調理条件を制御する後記する制御手段200と、該制御手段に前記調理条件を入力する後記する入力手段20〜23と、該入力手段に入力された前記調理条件を表示する表示手段(統合表示部)80とを備えている。以下、それぞれについて詳細に説明する。
(天板)
天板3の上面は、非磁性ステンレス板又はアルミ板などから形成された額縁形状の枠体4によって縁取られ、その中央に設けられた大きな開口部は、耐熱強化ガラスや結晶化ガラス等の赤外線を透過させる材料からなる長方形状のトッププレート(上板に同じ)5によって密閉状態に覆われている。したがって、トッププレート5の上面から水滴などが枠体4を通じて本体1の内部に侵入しないようにしてある。
なお、トッププレート5の上面には、後記する加熱源6L、6R、7の位置を示す案内マーク6LM、6RM、7Mが、それぞれ表示されている。
(右加熱源)
本体1の内部であって、トッププレート5の右側位置の下面側に、右側電磁加熱コイル(以下、「右加熱源」と称す)6Rが配置されている。右加熱源6Rの上端部がトッププレート5に接触又は微小間隙を置いて近接しており、電磁誘導加熱源となる。例えば、最大消費電力(最大火力)3KWの能力を備えたものが使用される。右加熱源6Rは誘導加熱コイル(以下、「右加熱コイル」と称す)220Rを渦巻状に1本又は複数本巻き、外形形状が円形になるように円盤形に成形されている。右加熱コイル220Rの直径(最大外径寸法)は約180mmである。
なお、トッププレート5に右加熱源6Rの上方に対応する位置に表示された円(図1において破線、図2において実線)である案内マーク6RMは、右加熱源6Rの外形位置を示すものではなく、適正な誘導加熱領域を示すものであって、印刷などによって形成されている。
(左加熱源)
本体1の内部であって、トッププレート5の左側位置の下面側に、左側電磁加熱コイル(以下、「左加熱源」と称す)6Lが配置されている。左加熱源6Lの上端部がトッププレート5に接触又は微小間隙を置いて近接しており、電磁誘導加熱源となる。例えば、最大消費電力(最大火力)2.5KWの能力を備えたものが使用される。左加熱源6Lは誘導加熱コイル(以下、「左加熱コイル」と称す)220Lを渦巻状に1本又は複数本巻き、外形形状が円形になるように円盤形に成形されている。左加熱コイル220Lの直径(最大外径寸法)は約180mmであるが、右加熱コイル220Rの最大火力より小さいため、170mm程度に形成することができる。
なお、トッププレート5に左加熱源6Lの上方に対応する位置に表示された円(図1において破線、図2において実線)である案内マーク6LMは、右加熱源6RLの外形位置を示すものではなく、適正な誘導加熱領域を示すものであって、印刷などによって形成されている。
左加熱源6Lと右加熱源6Rとは、それぞれ独立して通電とその電力量が制御され、火力も別個に設定できるように後記する通電制御回路200に電気的に接続されている。
図3、図5および図6に示すように、左加熱源6Lおよび右加熱源6Rの何れも、通電時に渦電流を発生するように渦状に巻かれた左加熱コイル220Lおよび右加熱コイル220Rと、左加熱コイル220Lおよび右加熱コイル220Rを収容した左保持枠335Lおよび右保持枠335Rと、左保持枠335Lおよび右保持枠335Rの下面の全体やその一部を覆うフェライト製板の左磁束漏れ防止板331Lおよび右磁束漏れ防止板331R等によって構成されている。
なお、以下の説明において、左右に配置された部材について共有する内容については、名称における「左、右」および符号における「L、R」の記載を省略する場合がある。
そして、保持枠335は、円形で上面が開口した金属製の容器状であって、周囲壁面には、多数の通風孔330Pが設けられて、冷却風が通過するようになっている。保持枠335は、上面開口の縁が断熱材332を介してトッププレート5の下面に接触するように設置され、加熱コイル220の上面はトッププレート5の下面に対し一定の微小空隙を設けて対向するように設置されている。
(中央加熱源)
本体1の内部であって、トッププレート5の左右中心線(図2および図3において一点鎖線CLにて示す)上で、かつ、トッププレート5の後部寄りの位置に、中央加熱源7が配置されている。中央加熱源7は、輻射によって加熱するタイプの電気ヒータ231(例えばニクロム線やハロゲンヒータ、ラジエントヒータ)が使用され、トッププレート5を通してその上方に置かれた鍋等の加熱調理器具(図示せず)を加熱するものである。そして、例えば、最大消費電力(最大火力)1.2KWの能力を備えたものが使用されている。
電気ヒータ231は断熱性の断熱カバー7Aの内部に収納されている。断熱カバー7Aは上面全体が開口した円形の容器形状を有している。断熱カバー7Aは、直径(最大外径寸法)が約180mmで、板厚が5mmになっている。
なお、トッププレート5に中央加熱源7の上方に対応する位置に表示された円(図1において破線、図2において実線)である案内マーク7Mは、中央加熱源7の外形位置を示すものではなく、適正な誘導加熱領域を示すものであって、印刷などによって形成されている。
(前面操作部)
本体ケース2の右側前面に前面操作部10が設けられている。前面操作部10には、左加熱源6L、右加熱源6R、中央加熱源7及びオーブン調理やグリル調理用の電気ヒータ(図5参照、以下、「グリルヒータ」と称す)110Aの全ての電源を一斉に投入・遮断する主電源スイッチ201(図6参照)の操作ボタン11と、右加熱源6Rの通電とその通電量(火力)を制御する制御スイッチ(図示せず)の電気接点を開閉する右操作ダイアル12Rと、同じく左加熱源6Lの通電とその通電量(火力)を制御する左制御スイッチ12(図示せず)の左操作ダイアル12Lと、中央加熱源7の通電とその通電量(火力)を制御する制御スイッチ(図示せず)の中央操作ダイアル13と、が設けられている。
そして、前面操作部10には、左操作ダイアル12Lによって左加熱源6Lに通電が行われている状態でのみ点灯する左表示灯15と、右操作ダイアル12Rによって右加熱源6Rに通電が行われている状態でのみ点灯する右表示灯14とが設けられている。
なお、左操作ダイアル12L、右操作ダイアル12R、および中央操作ダイアル13は、使用しない状態では、図1に示されるように、前面操作部10の表面から突出しないように内側へ押し込まれており、使用する場合には、使用者が指で一度押すと前方にバネ力によって突出し、回せる状態になるものである。そして、この段階で左加熱源6Lおよび右加熱源6R及び中央加熱源7にはそれぞれ通電が開始される。
そこで、突出している左操作ダイアル12L、右操作ダイアル12R、または中央操作ダイアル13の何れかを左右に回せば、その回動の量に応じて当該加熱源の通電量が決まり、火力設定が行えるようになっている。
さらに、前面操作部の下部分には、タイマーダイアル16、17、18が設けられている。タイマーダイアル16、17、18は、それぞれ左加熱源6L、右加熱源6R、中央加熱源7を通電開始から所望の時間だけ通電し、該所望の時間を経過した後は自動的に電源を切るタイマースイッチ(図示せず)を操作するためのものである。
(グリル室)
本体1の内部の下半分には、区画形成されたグリル室(以下、「加熱室」と称す)19が設けられている。加熱室19は、金属板により左右、上下及び背面側の壁面が形成され、上部天井付近および底部付近に設置された電気ヒータ(図示せず)を同時又は個別に通電してロースト調理(例えば焼き魚)、グリル調理(例えばピザやグラタン)や加熱室19内の雰囲気温度を設定して調理するオーブン調理(例えば、ケーキや焼き野菜)が行えるようになっている。例えば、上部天井付近には最大消費電力(最大火力)1200Wのグリルヒータ110A(図5参照)と、底部付近には最大消費電力800Wの電気ヒータ(110B。図示せず)がそれぞれ設けられる。
加熱室19の前面開口71はドア70によって開閉自在に覆われ、ドア70は前後方向に移動自在になるよう加熱室19に支持機構(図示せず)によって保持されている。また、ドア70の中央開口部は耐熱ガラスによって形成されて窓72が設置され、加熱室19の内部が視認できるようになっている。さらに、ドア70には一体に形成された金属製の受皿73が設けられ、油の多い調理をする場合は通常受皿73の上には金属製の焼き網(図示せず)が置かれる。
枠体4の後部中心部上面に右排気口74が設けられ、表面は使用者の指や異物等が入らないようにパンチングメタルや網、細かい格子で覆われている。右排気口74は加熱室19の内部まで排気ダクト76を介して連通しており、加熱室19の内部に発生した高温空気(調理物から発生した油煙を含む)が右排気口74から本体1の外部に排出される。
また、枠体4の後部中央上面に左排気口75が設けられ、表面は使用者の指や異物等が入らないようにパンチングメタルや網、細かい格子で覆われている。左排気口75は、本体1の内部空間(後で述べる上方空間275)に連通している。
(上面操作部)
天板3の上面、具体的には枠体4の前部に上面操作部20が配置されている。本体1の左右中心線CL(図1および図2参照)を挟んで、左側には左加熱源6Lの左火力設定用操作部22が、中央部には中央加熱源7及び加熱室に設置された電気ヒータ(図示せず)の中央操作部23が、右側には右加熱源6Rの右火力設定用操作部21が、それぞれ配置されている。上面操作部20は調理装置本体1が調理台(キッチンカウンターやワークトップとも呼ばれる家具と同じ意味)の開口部の中に落とし込まれて設置された場合、その調理台の開口部前縁の上方に位置する。つまり図5で額縁状の天板3が左側に大きく張り出しているが、この部分が調理台の開口部前縁に載置され、本体1を支持する部分となる。
(右火力設定用操作部)
図8において、右火力設定用操作部21には、使用者が1度押圧するだけで右加熱源6Rの火力を簡単に設定することができる右ワンタッチキー部24が設けられている。右ワンタッチキー部24は、弱火力キー25、中火力キー26、および強火力キー27の3つのワンタッチキーを備えている。例えば、弱火力キーは右加熱源6Rの火力を300Wに設定し、中火力キー26は750Wに設定し、強火力キーは2.5KWに設定する。
さらに、右ワンタッチキー部24の右端部に強火力キー(以下、「3KWキー」と称す)86が設けられ、右加熱源6Rの火力を強力(例えば、3KW)にしたい場合、これを押圧操作する。
(左火力設定用操作部)
なお、左加熱源6Lの火力設定のための左火力設定用操作部22には、右火力設定用操作部21(右ワンタッチキー部24が設置されている)と同様なワンタッチキーが設置されている。したがって、例えば、火力を300W、750W、または2.5KWの何れかに設定できるようになっている。
(中央操作部)
中央操作部23には、図8に示されるように、ロースト調理、オーブン調理及びグリル調理に用いられるグリルヒータ110A等の通電を開始する操作スイッチ(図示せず)の操作ボタン92と、その通電を停止する操作スイッチ(図示せず)の操作ボタン29が並べて設けられている。
また、中央操作部23には、グリルヒータ110A等によるグリル調理や左加熱源6L、右加熱源6Rによる電磁調理における制御温度を、1度ずつ加算的又は減算的に設定する温度調節スイッチ(図示せず)の操作ボタン300、310が横一列に設けられている。
さらに、中央操作部23には便利メニューキー93が設けられている。すなわち、揚げ物調理(左加熱源6L、右加熱源6Rを使用)、揚げ物予熱状態表示(左加熱源6L、右加熱源6Rを使用し、油を所定の予熱温度まで加熱)、タイマー調理(左加熱源6L、右加熱源6R、中央加熱源7、加熱室19の内部に設けた二つのグリルヒータ110A等をタイマーカウンターにて設定した時間中だけ通電して調理)を設定する際に押圧すれば、簡単に中央表示・入力部80に所望の入力画面や状態表示画面を読み出せる。
また、中央加熱源7の電源の入・切を操作するための制御スイッチ(図示せず)の操作ボタン94が設けられている。
さらに、操作ボタン29の右側には、ハードボタンからなる右IH便利メニューボタン93aが設けられており、これは右加熱源6Rについての各種の設定をするための設定ボタンである。同様な設定ボタンは左加熱源6Lについても設けられている(図示省略)。
34Rは、タイマーカウンター(図示せず)をスタートさせるスタートスイッチ(以下、「タイマースイッチ」と称す)であり、操作部21の右端部に設けてあり、使用者が1度押圧すると、その時点から時間が計測され、トッププレート5の右前方隅部に設けられた右液晶表示部35R(トッププレート5の下面近傍にあり、トッププレート5を介してその上方)に表示光を透過させて経過時間が「分」と「秒」単位で表示される。
同じく操作部21に右揚げ物選択スイッチ36Rが設けられ、使用者がこれを1度押圧すると、右加熱源6Rによる揚げ物(天ぷら)鍋の油の温度を180℃に初期設定することができ、その後使用者は右加熱源6Rの火力を、右操作ダイアル12Rを操作して揚げ物に適する任意の適温、例えば200℃に設定することができる。
左側の左火力設定用操作部22にも、右火力設定用操作部21と同様に、左タイマースイッチ34Lと、左液晶表示部35L(図1参照)と、左揚げ物選択スイッチ36Lと、の3つが設けられている。そして、左タイマースイッチ34Lと右タイマースイッチ34R、左液晶表示部35Lと右液晶表示部35R、左揚げ物選択スイッチ36Lと右揚げ物選択スイッチ36R、とは、それぞれ本体1の左右中心線CLを挟んで左右対象的位置に設けられている。
図8において、上記した6つの各種操作ボタン29、92、93、94、300、310、93a等は、表面が水や調理物の油などに耐える材質の薄い樹脂皮膜や金属皮膜で覆われており、使用者が指先で軽く押すことにより動作(内蔵した電気接点が導通し、入力信号発生)するように構成されている。
さらに、図8に示すように入力キー群91が設けられている。このキー群は6つの独立して操作可能な入力キー83、95、96、97、98、99を備えており、これらキーは、表面が調理物の油などに絶える材質の薄い樹脂皮膜や金属皮膜で覆われており、使用者が指先で軽く押すことにより動作(内蔵した電気接点が導通し、入力信号発生)するように構成されている。
上記のように、中央操作部23の各操作ボタンや入力キーを、接触式の入力キー(例えば特許第2712399号で紹介されている)を使用しなかった理由は、その種の接触式キーは静電容量の変化を検知して入力信号が発生するものであるため、調理中の水や油の飛散、また使用者が濡れた手で操作した場合などの状況を考えると、この種の加熱調理器では誤動作が起こる懸念があるためである。これにより、実施の態様1ではより高い信頼性を確保しているが、本発明は上記接触式のキーを採用しても実現することができ、必ずしも押圧式のキーを使用しなければならない訳ではない。
(火力表示ランプ)
トッププレート5の右前側で、右加熱源6Rと右火力設定用操作部21との間の位置に対応した位置に、右加熱源6Rの火力の大きさを表示する右火力表示ランプ40Rが設けられている。右火力表示ランプ40Rはトッププレート5を介して(透過させて)その下面から表示光を上面側に放つようにトッププレート5の下面近傍に設けられている。
同様に、左加熱源6Lの火力の大きさを表示する左火力表示ランプ40Lが、トッププレート5の左前側で、左加熱源6Lと左火力設定用操作部22との間の位置に対応した位置に設けられ、トッププレート5を介して(透過させて)その下面から表示光を上面側に放つようにトッププレート5の下面近傍に設けられている。
なお、右加熱源6R用の右火力表示ランプ40Rは、火力120Wから最大火力3KWまで12段階で表示できるようになっている。そして、これら12段階の火力を発光で示すために、右火力表示ランプ40Rは、図6に示す回路図の通り12個の発光ダイオード246〜257(発光素子)を直線的に配置してある。例えば、火力1である場合は、発光ダイオード1の246のみが点灯し、その赤い光を使用者はトッププレート5の表面上から容易に目視することができる。
同様に、左加熱源6L用の左火力表示ランプ40Lは、図示していないが、火力120Wから最大火力2.5KWまでの間を11段階で表示できるようになっている。
(主電源スイッチ)
主電源スイッチ201(図6参照)の操作ボタン11と、右加熱源6Rの通電とその通電量(火力)を制御する制御スイッチ(図示せず)の電気接点を開閉する右操作ダイアル12Rと、左加熱源6Lの通電とその通電量(火力)を制御する制御スイッチ(図示せず)の電気接点を開閉する左操作ダイアル12Lとにより、中央操作部23、右加熱源6Rの右火力設定用操作部21、左加熱源6Lの左火力設定用操作部22の電源が遮断される構成になっている。したがって、例えば主電源スイッチ201を開成(OFF)すれば、それ以後、右操作ダイアル12Rおよび左操作ダイアル12Lの操作は一斉に無効となる。
(表示手段)
統合表示手段(以下「中央表示・入力部」と称す)80が、トッププレート5の左右方向の中央部で、前後方向の前側に設けられている。中央表示・入力部80は、後述する正方形の液晶基板280(表示基板)を主体に構成させている。この液晶基板は、トッププレート5を介して(透過させて)その下面から表示光を上面側に放つようにトッププレート5の下面近傍に設けられている。
中央表示・入力部80は、左加熱源6L、右加熱源6R、中央加熱源7及び加熱室19の内部に設けたグリルヒータ110A等の通電状態(火力や時間等)を入力したり、確認したりすることができるものである。すなわち、(i)加熱源6の機能(調理動作中であるかどうか等)と、(ii)中央加熱源7の機能(調理中であるかどうか等)と、(iii)グリル調理の場合には、加熱室19内部でグリル調理を行う場合の操作手順や機能(例えば、現在ロースタ、グリル、オーブンの調理の何れが行われているかどうか)と、が文字やイラスト、グラフなどによって表示されるものである。具体的な構造と表示動作については以下に説明する。
図1において、60は本発明の加熱調理装置が設置された流し台64の設置空間である台所の壁65に取り付けられた液晶TV又は液晶モニター等の画像表示器であり、これはパソコンの画面として接続して使用されるような周知のものでも良い。61は画像表示器60の電源コード、62は画像表示器60に対して画像信号を送出する接続ケーブルで、後述する通電制御回路200に駆動回路244を介して接続される。
画像表示器60の使用は使用者の任意であり、接続ケーブル62の端部にある接続プラグ62Aを簡単に調理装置本体1の出力端子244H(図7参照)から取り外せるので、電源接続口63に接続しない状態で加熱調理装置を使用しても何ら調理動作には影響がなく、また中央表示・入力部80の動作にも影響はない。画像表示器60の上面、左右側面、下面及び前面の5面全体はカバー66によって覆われ、画像表示器60の前面、すなわち加熱調理器本体1に面する側は透明な材質で構成されているか、または透明な板で覆われた窓を設けており、画像表示器60に着脱自在に取り付けられている。
中央表示・入力部80の液晶基板280は、周知のドットマトリックス型液晶画面で構成されている。このため高精細(320×240ピクセルの解像度を備えているQVGAや640×480ドット、16色の表示が可能なVGA相当)の画面を実現でき、文字を表示する場合でも多数の文字を表示することができる。
図9はその一例を模式的に表示したものである。図9に記載のように、情報を表示する画面区域81は合計10個のエリアに割り当ててあり、
左加熱源6Lの対応エリアA1、A2と、
中央加熱源7の対応エリアB1、B2と、
右加熱源6Rの対応エリアC1、C2と、
グリルやオーブン調理用のグリルヒータ(加熱源に同じ)110A等の対応エリアDと、
使用者に各種調理における注意や参考情報を表示するガイドエリアEと、
上記入力キー群91の各入力キー83、95〜99に隣接し、そのキーで入力可能な機能を個別に表示する、互いに独立した6つの表示キー84、100、101、102、103、104を(仮想的に)表示するキー表示エリアFと、
Tips表示エリアGと、
をそれぞれ備えている。
上記の合計10個の各エリア(表示領域)は、中央表示・入力部80の液晶画面(液晶基板280)の上に実現されたものではあるが、画面自体が物理的に個別に形成され、又は区画されているものではない。すなわち、画面表示のソフトウエア(マイコンのプログラム)により確立されたものであるので、そのソフトウエアによりその都度面積や形、位置を変えることは可能であるが、使用者の使い勝手を考え、左加熱源6L、中央加熱源7、右加熱源6Rなど各加熱源の並び順序に合わせて常に同じ並び順序にしている。つまり、画面上では左側に左加熱源6L、真中に中央加熱源7、右側に右加熱源6Rについての情報が表示される。
左加熱源6Lに対応して、左加熱源6Lのための火力(加熱量)などの「第一条件」設定の正常状態を表示する第一の表示エリアA1と、左加熱源6Lのための調理時間、設定温度など(第一条件よりも多数の種類がある)「第二条件」の設定状態並びに「温度や電流、電圧などの物理量」異常状態を表示する第二の表示エリアA2と、の2つのエリアから構成されている。
同様に、中央加熱源7に対応して、中央加熱源7のための火力などの「第一条件」設定の正常状態を表示する第一の表示エリアB1と、中央加熱源7のための調理時間、設定温度など(第一条件よりも多数の種類がある)「第二条件」の設定状態並びに「温度や電流、電圧などの物理量」異常状態を表示する第二の表示エリアB2と、の2つのエリアから構成されている。
また、同様に、右加熱源6Rに対応して、右加熱源6Rのための火力などの「第一条件」設定の正常状態を表示する第一の対応エリアC1と、右加熱源6Rのための調理時間、設定温度など(第一条件より多数の種類がある)「第二条件」設定の正常状態並びに「温度や電流、電圧などの物理量」異常状態を表示する第二の表示エリアC2と、の2つのエリアから構成されている。
図8において、キー表示エリアFと、6つの入力キー83、95〜99との配置関係が示されている。キー表示エリア部分Fに設けた6つの各キー(以下、表示キー又はソフトキーともいう)84、100〜104は、場面によって機能が変わる液晶画面内での仮想キーであり、実際の操作は各表示キー84、100〜104に対応して近接配置されている入力キー(F1〜F6、ファンクションキーともいう)83、95〜99を操作することにより、各表示キー84、100〜104を操作したことに相当する操作信号が(後述する通電制御回路200に)入力されることになる。
入力キーを個別に表示する方法として、キー部分に文字を浮かび上がらせたり、発光ダイオード等により点灯させたり、キー部分の色彩や輝度を強調したり、色々な方法があるが、実施の態様1では、入力できる条件の前提となる各種パラメータ(対象となる加熱源、加熱温度や時間、通電量など)設定に必要な文字と記号(矢印など)を表示キー部分84、100〜104に表示するように構成している。
入力キー104の右側手前には、ハードキーからなるインフォーメーションキー(Tipsキー)85が設けられている。このキーは、キー104の上方のTips表示エリアGに対応しており、その表示エリアに特定の記号、例えば参考情報(インフォーメーション)を意味する「i」を丸で囲んだ記号(以下、「(i)」と称す)が表示された場合、このインフォーメーションキー85を押せば、調理に役立つ詳しい情報などを文字で中央入力・表示部80のガイドエリアEに表示させることができる。具体的には、つぎのような情報をガイドエリアEに表示する。
(1)ユーザーの操作・意図とは関係ない動作に対するお知らせ(切り忘れ防止/脱煙フィルター自動クリーニング等)。
(2)自動調理(揚げ物、自動グリル)を安全に、また上手に使いこなすために行ってもらいたい内容。
(3)調理全般に関して加熱調理器特有の癖(焼きムラ等)のお知らせ。
(4)加熱調理装置の安全面のお願いや・警報内容、警報に対する対応方法。
(動作説明)
図8および図10は、表示キー84、100〜104と入力キー(ファンクションキー)83、95〜99の表示例を示している。6つの表示キー84、100〜104はそれぞれその下方に個別にLEDがそれぞれ配置されており、操作場面毎に有効な入力用表示キーを点灯する。例えば、図10に示す表示キー100〜104は有効(アクティブ状態)になっている。図中、「AM」はアクティブ状況にあることを模式的に示したアクティブマークである。実際はこのような特定形状の点灯を行うだけではなく、表示キー84、100〜104の全域や輪郭だけを明るくし、又は色を変える等の方法で、アクティブ状況にあることを示しても良い。
表示キー84、100〜104の内、操作しても無効なキーについては、グレイアウト(コントラスト及び文字内容を薄く表示する)や非表示(キー外形形状のみを薄く表示する)により区別をするようにしている。図10では、1つの表示84だけが、グレイアウトや非表示になっている(実際には「初期画面」という文字さえ表示されない)。
また、ファンクションキー83、95〜99についても、その下方に個別に設けたLEDの点灯有無により、有効なファンクションキーが目視で区別できるようにしている。
図10において、表示キー84に対応するファンクションキー83は、LEDが点灯しておらず、このLEDが点灯していないファンクションキー83を押しても、後述する通電制御回路200の中には有効な操作信号が上面操作部20より取り込まれない(通電制御回路200の動作を定める制御プログラムに対し、有効な操作指令信号にならない)。
つまり、実施の態様1では、使用者が中央表示・入力部80を見た場合、所望の表示キーを少しでも早く、簡単に認識・理解できるよう不要な表示キーにはこのように何も選択する機能名や加熱源の名称を表示しないようにプログラムしてある。また、入力が有効な表示キーは文字や発光、色などで判別できるようにしている。さらに、その有効な表示キーに対応するファンクションキー83、95〜99も、それが有効な(アクティブ)状態であることを色や光等で表示している。
以上の通り、6つの表示キー84、100〜104のアクティブ状態と、6つのファンクションキー83、95〜99のアクティブ状態とは、入力の場面毎に変化するが、常に両者は対応している。例えば、図10において、表示キー100が有効である(アクティブマークAMが点灯してアクティブ状態であることが示されている)場面では、ファンクションキー95も有効(アクティブ状態)になっている。
図10では、中央表示・入力部80の画面区域81が初期状態を表示しているため、表示キー84に対応するファンクションキー83は非アクティブになっており、このキー83を押圧しても、これに対応する表示キー84では入力操作できないことを示している。
表示キー84には「初期画面」との説明文字が表示されているが、既に初期画面になっているので、表示キー84を操作する必要性がないからである(この初期画面という表示自体を表示キー84に表示させないこともできるが、実施の態様1の説明上、図10では表示させている)。
図8で、「戻る」という表示キー100は、調理条件の入力などを行っていく過程で一つ前の入力画面や表示画面に戻したい場合に押すものである。「初期画面」の表示キー84は、どのような段階でも一挙に初期画面に戻したい場合に操作する。
図11に、図10の状態から使用者が右IH便利メニューキー(図8参照、以下「キー」と称す)93aを押した場合の中央表示・入力部80とファンクションキー83、95〜99の表示例が示されている。すなわち、キー93aが押されると、中央表示・入力部80における、右加熱源6RのエリアC2は自動的に面積が拡大され、左側には各種の調理メニュー(例えば、揚げ物、煮込み等)が表示され、煮込みに適する火力として火力レベルが12段階中の5である625W(弱火力)に初期設定されることが分かる。
この火力は初期設定値以外に使用者が希望する火力に変更することができるので、火力を1段階落として563W以下にしたい場合は、(その場面は図で示していないが)表示キー102を操作すべく、ファンクションキー97を1回押せば、1段階さがり、2回押せば2段階(500W)に下げることができる。逆に火力を上げる場合は、ファンクションキー98を押せば良い。
また、通電時間は上下方向の矢印が示された表示キー101を操作すれば、入力される条件が「通電時間」になる。つまり、図11において「時間:0分」という部分の時間設定が可能になる。そこで調理時間を2分に設定したい場合、ファンクションキー98を2回押す。
図11は、このように時間を設定する段階にあるため、時間(0分)を下げる(短くする)ことはないから、表示キー102が対応するファンクションキー97は非アクティブ状態である(ファンクションキー97を押しても何も入力できない)。
時間設定を行わずに、また火力設定をやり直したい場合、図11の状態から表示キー101に対応したファンクションキー96を押せば、表示キー101の矢印表示の通り、入力対象を、「時間」からその上方位置に表示されている「火力」に移動させることができ、時間の欄から火力の欄に入力対象を変えることができる。
また、調理メニューの機能設定の段階で、「煮込み」から「切タイマー」に変更したい場合は、ファンクションキー96を押せば、煮込み→保温→揚げ物→切タイマーのように巡回するから、切タイマーのところに合わせれば良い。
切タイマーとは加熱源6の火力をレベル1(120W)、2(300W)、3(563W)〜8(1KW)の内から選び、1時間30分(90分)以内の連続調理をタイマーにより行うことができるようにした機能であり、例えば、火力「8」で29分間だけ右加熱源6Rを通電して調理を行なうという使用ができる。なお、切タイマー運転の場合の加熱源は、中央加熱源7でも使用可能である。
図8において、右加熱源6Rが通電され加熱中であることを点灯や点滅で示す通電マーク50が設けられている。通電マーク50は図8に示すように、各加熱源の名称を表示した右位置に現れる。
(制御回路)
図6は、この調理装置の制御回路の全体を示す図であり、該制御回路は、1つ又は複数のマイクロコンピュータを内蔵して構成されている通電制御回路200によって形成されている。通電制御回路200は、入力部と、出力部と、記憶部と、演算制御部と、の4つの部分から構成され、定電圧回路232を介して直流電源が供給されて、全ての加熱源(加熱手段)と中央表示・入力部80(表示手段)を制御する中心的な制御手段の役目を果たすものである。
図6において、主回路の母線202A、202Bに200V電圧の電力を供給する商用電源202が接続され、主回路の一方の母線202Aに主電源スイッチ201が設けられている。そして、商用電源202に対し、互いに並列に接続された右加熱源6R用の右加熱源回路206Rと、右加熱源回路206Rと同様に構成された左加熱源6L用の左加熱源回路206Lと、中央加熱源7用の中央回路207と、グリル・オーブン用加熱源用のグリル回路208と、が設けられている。
右加熱源回路206Rは、誘導加熱コイル220と、母線202A、202Bに入力側が接続された整流ブリッジ回路221と、この直流側出力端子に接続されたコイル222及び平滑化コンデンサ223からなる直流回路と、コイル222とコンデンサ223の接続点に1端が接続された加熱コイル220及び共振コンデンサ224の並列回路からなる共振回路と、この共振回路の他端にコレクタ側が接続されたスイッチング手段となるIGBT225と、を備えている。
IGBT225のエミッタは、平滑化コンデンサ223と整流ブリッジ回路221の共通接続点に接続されている。フライホイールダイオード226のアノードがエミッタ側になるようIGBT225のエミッタとコレクタ間に接続されている。
図6において、電流検出センサー227が、加熱コイル220と共振コンデンサ224の並列回路からなる共振回路225に流れる電流を検出する。電流検出センサー227の検出出力は通電制御回路200の入力部に供給され、誘導加熱に不適当な鍋などが用いられた場合や、何らかの事故などによって正規の電流値に比較して所定値以上の差の過少電流や過大電流が検出された場合は、通電制御回路200により駆動回路228を介してIGBT225が制御され、瞬時に誘導加熱コイル220の通電を停止するようになっている。
右加熱源回路206Rは、誘導加熱コイル220と、コイル222及び平滑化コンデンサ223からなる直流回路と、駆動回路228と、この駆動回路によりスイッチング制御される上記IGBT225と、共振回路220と、フライホイールダイオード226と、整流ブリッジ回路221と、から構成されている。
左加熱源回路206Lは、右加熱源回路206Rと同等の回路構成であるので説明は省略する。なお、左加熱源6Lの最大火力は、例えば、上記したように2.5KWであり、右加熱源6Rの最大火力設定3.0KWよりも小さく設計されている。また、左加熱源回路206Lおよび右加熱源回路206Rは、所謂フル・ブリッジ回路で構成しても良い。
電流検出センサー227は、図示していないが、左加熱源回路206Lやグリル回路208、中央回路207にもそれぞれ同様に設けられている。
中央回路207は、電磁リレー230と電気ヒータ231との直列回路を有し、この回路の両端が上記母線202A、202Bにそれぞれ接続されている。
通電制御回路200から出力される駆動信号に基づき、赤外線の光信号を発生させる赤外線駆動回路233は、その駆動出力側に複数個(図6では3個のみ描かれている)の赤外線LED234、235、236の直列接続回路が接続されている。この直列接続回路の他端には抵抗237を介してトランジスタ238のコレクタが接続され、トランジスタ238のベースは赤外線駆動回路233に接続されている。なお、トランジスタ238のエミッタはアース接続されている。
(トッププレート割れ検知)
図6において450は、ガラス製のトッププレート(上板に同じ)5が割れたことを電気的または機械的に検知して所定の割れ検知信号を通電制御回路200に入力する割れ検知手段であり、電気的に検出する手段としては、例えばトッププレート5の裏面に格子状又は網目状に貼付された導電性皮膜における電気抵抗値の変化を捉える方法があり、また機械的に検知する手段としては、例えば圧力スイッチがある。この圧力スイッチとは、トッププレート5の下面に、通常左加熱コイル220Lおよび右加熱コイル220R、その他これらを支える支持部材などの構造物が押し当てられているので、トッププレート5が割れた場合、その割れによってトッププレート5が局部的に上方に持ち上がり、これをトッププレート5に接触している圧力スイッチが検知し電気信号に変えるというものである。
(換気装置)
本発明になる加熱調理装置の構成の一部ではなく、本発明の加熱調理装置に必須の装置や部品でもない換気装置239が、例えば、設置空間の上方となる台所の壁65(図1参照)上部などに設置されている。換気装置239は、換気用の排気ファンを駆動するファンモータ243と、制御部に内蔵された赤外線受光素子となるフォトダイオード240と、受信回路241と、制御回路242と、を有している。すなわち、フォトダイオード240が赤外線LED234〜236の直列回路から赤外線信号を受けると受信回路241を通じて制御回路242に信号が伝達され、その信号によりファンモータ243が回転駆動される。
(表示手段の制御)
図6に示すように、中央表示・入力部80の液晶画面(表示基板280)を駆動する駆動回路244は、表示専用のマイクロコンピュータを内蔵して構成されており、通電制御回路200の出力部から駆動信号が入力される。また、画像表示器60にも画像信号を供給するように電気ケーブル62により接続されている。
右加熱源6Rの右火力表示ランプ40Rを点灯させる駆動回路245には、通電制御回路200から駆動信号が入力される。
右火力表示ランプ40Rは、図6に示すように、合計12個の発光ダイオード246〜257が互いに並列に接続されている回路を備えている。この並列回路の一端が駆動回路245に接続され、他端はそれぞれ抵抗258a〜258lを介して接地側接続点259に接続されている。また、左加熱源6L用の左火力表示ランプ40Lも同様に構成されているが、発光ダイオードの数は11個である。
右加熱源6R用の右火力表示ランプ40Rは、上記したように、火力120Wから最大火力3KWまでの間を12個の発光ダイオードにより12段階に表示できるようになっている。
左加熱源6L用の左火力表示ランプ40Lは、図示していないが、上記したように火力120Wから最大火力2.5KWまでの間を11個の発光ダイオードで11段階に表示できるようになっている。
(温度センサー)
図6において、本体1の内部空間を一定の温度範囲に保つための冷却用ファン駆動回路260が設けられている。温度検出回路311には、後述する合計12個の温度センサーS1〜S7Lの温度データが入力される。
各種温度センサーは次の通り各部分に配置されている。
S1は中央加熱源7用の中央回路207の電気ヒータ231近傍に設けた温度センサーである。
S2Aは右加熱源用回路206Rの誘導加熱コイル220Rの保持枠335底部外側に設けた温度センサーである。
S2Bは右加熱源用回路206Rの誘導加熱コイル220Rの内側中央空間部に設けた温度センサーで、主に鍋などの被加熱物Nからの輻射熱温度を検知する。
S3Aは中央表示・入力部80の液晶基板(表示基板280)の前部上面に設けた温度センサーである。
S3Bは同じく中央表示・入力部80の液晶基板(表示基板280)の後部上面に設けた温度センサーである。
S4Aは左加熱源用回路206Lの誘導加熱コイル220Lの保持枠335底部に設けた温度センサーである。
S4Bは左加熱源用回路206Lの誘導加熱コイル220Lの内側中央空間部に設けた温度センサーで、主に鍋などの被加熱物Nからの輻射熱温度を検知する。
S5は加熱室19の天井部に設けた温度センサーである。
S6Rは本体1内部の右空間部370Rに設けた複数の高電圧電気部品371Rを取り付けた冷却フィン372Rに固定した温度センサー(図4参照)である。
S6Lは本体1内部の左空間部370Lに設けた複数の高電圧電気部品371Rを取り付けた冷却フィン372Lに固定した温度センサーである。
温度センサーS2と温度センサーS4とは、それぞれ1対の温度センサーから構成されている。すなわち、右加熱源6Rでは、金属製の容器状の右保持枠335R下面の覆うフェライト製板(磁束漏れ防止板)331Rの略中央部(円板形に巻いた誘導加熱コイル220Rの略中心直下)に一つの温度センサーS2Aを取り付け、保持枠330R内部で、かつ加熱コイル220Rの中央空間部にもう一方の温度センサーS2Bを配置している。
同様に、左加熱源6Lでは、本体1の左右中心線CLを挟んで右加熱源6Rの温度センサーS2A及びS2Bと対照的な位置に、温度センサーS4Aおよび温度センサーS4Bをそれぞれ備えている。
このように左加熱源6Lと右加熱源6Rに、それぞれ温度センサーを2個設けた目的は、保持枠335Lおよび保持枠335Rの内部と外部とで後記する冷却用ファン265および冷却用ファン266の冷却効果を検知させることにより、より正確に温度制御を実現しようとするものである。
1対の温度センサーS2A、S2B、および1対の温度センサーS4A、S4Bの個々の温度検出状態は異なり、異常温度と判定する基準温度も異なるが、左加熱源6Lおよび右加熱源6Rは主要な加熱源であり、かつ高温度になるので、温度センサーをそれぞれ一対設け、二重に監視することとしている。
S7Rは図3に示すように、パワーモジュール321Rが取り付けられたヒートシンクにそれぞれ取り付けられた温度センサーである。
S7Lは図3に示すように、パワーモジュール321Lが取り付けられたヒートシンクにそれぞれ取り付けられた温度センサーである。
温度センサーS7Lおよび温度センサーS7Rによる検出温度情報は温度検出回路311に入力される。
図6において、冷却用電動送風機(以下冷却用ファンと称する)261、262、263、264、265、266、267の運転開始、停止及び回転速度(送風能力)は、それぞれ冷却用ファン駆動回路260により制御される。
なお、冷却用ファン263の送風能力は、冷却用ファン264の送風能力より大きいものが選ばれている。この理由は、右側の右加熱コイル220Rの方が、最大火力が大きく、それだけ発生する熱量が大きくなるためである。
前記のように、12個の温度センサーS1、S2A、S2B、S3A、S3B、S4A、S4B、S5、S6R、S6L、S7R、S7Lからの温度データは、それぞれ温度検出回路311を介して全て通電制御回路200に入力する構成になっている。
冷却用ファン駆動回路260は、温度検出回路311からの温度測定状況に応じ、それぞれの温度測定部分が所定温度以上高温にならないように常に冷却用ファン261、262、263、264、265、266を運転して、風で冷却されている。
なお、前記風冷によっても所定の温度以上に上昇した場合は、通電制御回路200に温度検出回路311から異常温度信号が入力され、左加熱源6Lまたは右加熱源6Rや電気ヒータ231等の加熱源の電源が遮断されたり、制限されたり、安全動作のための保護信号が通電制御回路200から各加熱源に向けて出力されたりする。
つまり異常検出手段はこの通電制御回路200と温度検出回路311と電流検出センサー227、前記したトッププレート割れ検知手段450等と、から構成されている。
図6において、商用電源202から主電源スイッチ201により通電制御回路200を切り離す場合、その商用電源に代わり電源を供給する予備電源400が設けられている。例えば、充電池から構成されており、商用電源202から通電制御回路200の間で電気的に異常電流等の不具合が発生し、そのままでは危険な場合に通電制御回路200自身が主電源スイッチ201を開放する時に接続されて使用される。
通電制御回路200の内部には、図示していないが不揮発性半導体記憶メモリーが内蔵されており、加熱調理装置本体1に異常が発生してから商用電源が切れるまでの情報を記憶している。これは次に再度加熱調理装置が起動した際に、通電制御回路200が前回の故障や不具合を判断し、不用意に通電しないようにするためである。また、加熱調理装置の修理業者やメーカが上記メモリーの故障履歴を読み出し、修理に役立てるようにすることもできる。また、通電制御回路200は、下記場合に限り、上面操作部20の各種キーの入力を制限する構成になっている。
場合1:上面操作部20の操作を検知し、最後に使用された加熱源(例えば右加熱源6Rなど)の通電が停止してから所定時間(例えば2分)経過した場合。
場合2:何れの加熱源も通電されていない状態で、かつ上面操作部20における各種入力キー(6つのファンクションキー83、95〜99や、3KWキー86、6つの各種操作ボタン29、92、93、94、300、310、93a等)が操作されてから所定時間(例えば5分)経過した場合。
これにより使用者が加熱調理器の前から離れている間に、何らかの原因で加熱調理の入力指令がされ、加熱が不用意に開始されてしまうことを防止している。この機能は、左加熱源6L、右加熱源6R及び中央加熱源7を、通電開始から所望の時間だけ通電し、以後自動的に電源を切るタイマースイッチ(図示せず)のタイマーダイアル16、17、18とは別のものである。
一方、制限された状態から復帰させるには、以下の2つの方法に限られる。
方法1:本体ケース2の右側前面に設けられた前面操作部10にある左操作ダイアル12Lと、右操作ダイアル12Rと、中央操作ダイアル13などのいずれか一つを回動したり、前方に突出させたりする等の操作をする。
方法2:6つのファンクションキー83、95〜99の中で、通常の調理では使用することが有り得ない特殊な押し方(例えば6つの中の、離れている特定な2つを5秒間だけ押し続けること)をする。
(本体内部の構造)
本体1の内部は、図5の縦断面図に示すように、加熱室19を左右両側から挟むように、本体1の底面から天井面に至るような寸法を有する左仕切板290Lと右仕切板290Rとが設けられ、これら左仕切板290L、290Rと本体ケース2の左右側壁との間で左空間部370Lと右空間部370Rとが区画形成されている。
右空間部370Rに設けられた冷却フィン372Rはアルミ等熱伝導性の良い素材で形成されており、その後部側には前記冷却用ファン261がモータFMに支持されている。そしてこのモータFMの駆動時には、本体ケース2の背面右側位置に多数形成した吸気孔(図示せず)から外気が右空間部370Rに吸引されるようになっている。
同様に、左空間部370Lにも冷却用ファン263とモータFMが設置されており、そのモータFMの駆動時には、本体ケース2の背面左側位置に多数形成した吸気孔(図示せず)から外気が左空間部370L内に吸引される。
右空間部370Rの前方の天井面近くには、下面に吸い込み口265Aを有し、かつ一端に吹出口265Bを有するケーシングを持った冷却用ファン265が水平に配置されている。冷却用ファン265は、冷却用ファン261で吸い込まれ上昇してくる空気を吸い込み口265Aで吸い込み、これを加熱室19の上方において本体1の内部を上下に区画する金属製仕切板270(図5参照)の上方へ吹き出す。
仕切板270は、本体1の内部を加熱室19の上方において上下に区画する板であるため、仕切板270によって区画された上方空間275の右前方角部分から中央入力・表示部80の方向へ、冷却用ファン265からの冷却風が導入される(図3の矢印F1Rにて示す)。
同様に、左空間部370Lの前方の天井面近くには、下面に吸い込み口266Aを有し、かつ一端に吹出口266Bを有するケーシングを持った冷却用ファン266が水平に配置されている。冷却用ファン266は、冷却用ファン262で吸い込まれ上昇してくる空気を吸い込み口266Aで吸い込み、これを加熱室19の上方において本体1の内部を上下に区画する金属製仕切板270の上方空間275へ吹き出す(図3の矢印F1Lにて示す)。
仕切板270の左右前方部には、冷却用ファン266の吸い込み口266Aの直下位置と、冷却用ファン265の吸い込み口265Aの直下位置と、にそれぞれ連通口が開口し、それぞれ、左空間部370Lの内部の空気が冷却用ファン266により吸引される導入口と、右空間部370Rの内部の空気が冷却用ファン265により吸引される導入口と、になっている。
加熱室19の天井壁面273は、全体が断熱材272で覆われている。また、加熱室19は、仕切板270によってその下方に区画形成された下方空間274の中に位置している。
図5に示す通り、上方空間275の前部には、中央表示・入力部80の液晶画面を構成する正方形の液晶基板280が設けられている。液晶基板280はその底面側が断熱材281で覆われ、上面だけが開口した金属製のケース282(下ケース)の内部に格納され、トッププレート5の下面から所定の空隙283を保つようにケース282により仕切板270の上面に固定されている(固定部材は図示していない)。
なお、ケース282の上端には外側に広がったフランジ部282Aが形成されているが、図7ではこのフランジ部を省略して描いている。
図示していないが、下ケース282の上面開口をプラスチックやガラス(熱線吸収ガラスなら鍋Nからの熱線も吸収できて更に好ましい)等の断熱性材料で形成された蓋(上ケース)で覆っても良い。なお、その場合その蓋自体が、液晶画面280や後述する5個の発光素子510からの光や前記赤外線LED234〜236からの赤外線を遮ることの無いように注意する必要がある。
また液晶基板280の底面側を断熱材281で覆わず、その断熱材を省略して直接金属製のケース282の内部底面上に液晶画面280を設置しても良い。このようにすれば、ケース282を空冷することにより液晶基板280も効果的に冷却することが可能となる。271はケース282の全周に亘り形成された計4個の連通孔であり、この連通孔を通して液晶基板280の上方に空間に冷却用ファン265、266からの風の一部が通過することにより、液晶基板が高温度にならないようにしている。ケース282の底面には風の流れる方向(図2に破線で示している方向)に、数列の放熱フィン284が一体に形成され、ケース282の空冷性能が高まるようにしてある。
図5に示すように、天ぷらなどの揚げ物を調理した大型(大口径)の鍋Nがトッププレート5の上に長時間置かれた場合(一点鎖線にて示す)、特に、鍋Nの位置が正規の位置より中央入力・表示部80に接近し過ぎて置かれた場合、鍋Nからの熱が中央入力・表示部80に伝わりやすくなり、温度が異常に上がる原因になることが考えられるので、連通孔271を設けて冷却風の流れを良くしている。
同じく、図5において、赤外線LED234(〜236)(図6、図7参照)が、液晶基板280の後端と断熱材281の間に凹ませて設けた溝状空間291に配置されている。そしてトッププレート5を透過して換気装置239の方角へ赤外線駆動信号を放射するようになっている。
図7に示すように液晶基板281の後方の溝状空間291には、中央加熱源7の火力の大きさを5段階で示すように赤色の発光ダイオード(LED)510が5個並べて設置してある。これら発光ダイオードは前記発光ダイオード246〜257と同様に互いに並列に接続されている回路を備えており、火力が小さい場合は一番左だけが発光し、火力が所定のレベル(5段階)を超える毎に発光するダイオードが増え、その発光するダイオード510の数をトッププレート5の上方から使用者が目視で確認でき、中央加熱源7の設定火力を中央表示・入力部80で確認できることになる。例えば火力100W、300W、600W、1200W、1500Wの5段階表示とする。中央加熱源7は通電時は高温になるに伴い明るくなり、通電している状態が目視で確認できるので、通電の有無を発光ダイオード510で表示する必要は乏しく、この実施の態様1のように通電量の大きさである火力の表示に利用しているが、右加熱源6Rのように発熱有無が目視で確認できない熱源の場合は、発光ダイオード(LED)510を通電の有無の確認用に利用しても良い。つまり本発明は加熱源の通電有無や通電量の大小を表示するために発光素子を利用するという基本的な思想に基づいている。
511は各発光ダイオード510の間に設けた仕切板で、隣り合う発光ダイオード510の光が不必要に拡散し干渉しないように設けたものであり、発光ダイオードの頂上部よりも上まで(好ましくはトッププレート5の下面に微小間隙を置いて接近するまで)の高さを有している。
512は、温度センサーS3AやS3Bの検出温度から、トッププレート5の上面温度が所定温度よりも高い場合(使用者が触れると危険な温度)にあると通電制御回路200が推定した場合、危険防止の観点で点灯させる報知手段としての警報ランプ又は発光ダイオード(報知素子)であり、ケース282の中で液晶基板280の後方位置に設置してある。なお、温度センサーS3AとS3Bは図7に示すように液晶基板280の前方と後方に、それぞれ横に長く温度検出部分を設けてある。
本体1の上面操作部20の下方全体に亘って電気絶縁性取付基板(以下、「制御基板」と称す)292が水平に設けられている。制御基板292には、上面操作部20の各種入力スイッチ類、例えば操作ボタン92により操作される操作スイッチやファンクションキー97で操作される複数個のスイッチなど上面操作部20に関係のある電気部品群293が搭載されている。なお、これら電気部品群は比較的低圧・小電流が供給されるものに制限されている。
制御基板292の下方に一定の空隙295を置いて制御基板292と略平行に、電気絶縁性取付基板(以下、「制御基板」と称す)294が設置されている。制御基板294の一部は中央表示・入力部80の液晶基板280の下方にまで至る大きさを有し、中央表示・入力部80やその駆動回路244を構成する表示用のマイクロコンピュータ等の電気部品類298が搭載されている。
一定の間隔で複数個設けた取付脚296A、296Bが、制御基板292、294を本体1の内部に固定している。また、取付脚296A、296Bの一部は仕切板270に載置固定されている。
また、制御基板294の下方にも一定の空隙297が形成され、冷却用ファン265、266からの風が流通して雰囲気温度を下げるようになっている。これにより、トッププレート5自体やその上方から伝達される鍋N等の熱によって制御基板292、294上の電気部品類293、298が高温にならないようにしている。
図3に示す通り、液晶基板280周辺のケース282やその周辺のトッププレート5は、冷却用ファン265、266から送られて来る冷却風の流れF1R、F1Lに晒されるため、それらにより冷却される。また同時に電気部品類293、298も冷却される。
中央操作部23の操作スイッチ類と電気部品類293とは配線299によって連結され、同じくファンクションキー83、95〜99には配線299Bが連結されている。
また、6つのファンクションキー83、95〜99等と枠体4との間には密封用シールパッキン材333が設置されている。
(表示手段の配置)
中央表示・入力部80の液晶画面を構成する正方形の液晶基板280は、図2に示す縦寸法Hと横寸法Wがそれぞれ80mm程度であり、ケース282も正方形である。
ケース282は、左加熱源6Lと右加熱源6Rとの距離が略等しくなるように配置されている。すなわち、左加熱源6Lの加熱コイル220Lの最外周縁との距離(以下、「左右対向間隔」と称す)CBと、加熱コイル220Rの最外周縁との距離(以下、「左右対向間隔」と称す)SAと、は略同じに設定されている。
左右対向間隔SBおよび左右対向間隔SAは、左加熱源6Lおよび右加熱源6Rの上方に置かれる鍋Nからの距離、輻射熱の強さ等を考慮し、一定の限度以上になっている。なお、鍋Nが置かれる位置は使用の都度一定ではなく、ばらつきが出るので、色々な可能性を考慮して左右対向間隔SBおよび左右対向間隔SAを決めている。
なお、図8以降の図面において、中央表示・入力部80の液晶画面が各種表示機能の説明上、横長の長方形に描いてあるが、上記したように正方形であってもよい。
図3において、右加熱源6Rの加熱コイル220Rを収容した保持枠335Rの外周縁の最前の位置に接する直線を横方向直線RLとし、左加熱源6Lの加熱コイル220Lを収容した保持枠335L外周縁の最前の位置に接する直線を横方向直線LLとしている。このとき、横方向直線RLと横方向直線LLとが横方向の一直線上に一致している。
右加熱源6Rの右保持枠335Rの最後部と、左加熱源6Lの左保持枠335Lの最後部とを結ぶ直線を横方向直線BLにて示している(図2参照)。そうすると、前後方向を横方向直線RL(横方向直線LLに同じ)と横方向直線BLとによって挟まれ、左右方向を左加熱源6Lと右加熱源6Rとによって挟まれた範囲が、かかる加熱源が対向する空間(以下「対向空間」と称する)SSに相当している。
そして、中央表示・入力部80は、その最後部が対向空間SSの内部に入るように対向空間SS前方から対向空間SSの内側にまで設置されている。例えば、中央表示・入力部80は、液晶基板280の縦寸法(H)の三分の一以上の長さが対向空間SSに入っている。
さらに、中央加熱源7の断熱性断熱カバー7Aの外周縁とケース282の胴部の最後端面との距離(以下、「前後対向間隔」と称す)SCは、左右対向間隔SAおよび左右対向間隔SBと同等か、若しくはそれよりも大きく設定されている。
特に、実施の態様1では中央加熱源7が熱輻射形の電気ヒータであるから、輻射熱の影響を極力減らすためには、誘導加熱タイプの左加熱源6LR、右加熱源6Rの左右対向間隔SB、SAよりも、一定以上大きな前後対向間隔SCを確保している。
ケース282の胴部とはフランジ部282Aを除いた部分をいい、図3では直線XLが、ケース282の胴部の最後部を示す位置である。この実施の形態において、SAは20mm、SBは20mm、SCは100mmである。
図3において、仕切板270の後端部に吸気口320R、320Lがそれぞれ形成され、吸気口320R、320Lは左空間部370L、右空間部370Rにそれぞれダクト(図示せず)によって連結されている。なお、本体ケース2の背壁面に直接空気取り入れ口を開口させ、そこから外部の空気を取り入れるようにしても良い。
仕切板270の上方空間275の左右後部に、1対の電気絶縁性素材から成形された保護カバー324R、324Lが設置されている。保護カバー324R、324Lは、平面形状は左右対称的になっており、背面側324Aと前面側が開口した逆U字断面形状を有している。
放熱用フィンを有するヒートシンクに取り付けられたパワーモジュール321Rと、共振用コンデンサ224やコイル222等からなる高電圧・大電流が流れる電気回路部品群325Rと、によって高周波電力変換回路が構成されている。この高周波電力変換回路は保護カバー324Rで覆われた電気絶縁性の制御基板(図示せず)上に設置されている。
中央加熱源7側の保護カバー324の壁面には傾斜させた案内面324Bが設けられている。左側の保護カバー324Lの下側にも、同様にパワーモジュール321Lや共振用コンデンサ224などを備えた高電圧・大電流の電気回路部品群325Lが収容されている。
冷却用ファン263を囲むような形状を有したファンケース323は、背面側開口を吸込口323Aにし、前方には吹出口323Bを有している。なお、ファンケース323の内部には風を案内するガイド部材など風路の一部を構成する部材が設けてあるが、図示省略してある。また、冷却用ファン263はモータの回転軸263Aを具備している。
ファンケース323は保護カバー324Rの前方端面に吸込口323Aを接続し、冷却用ファン263の運転時には、矢印FRに示すように吸気口320Rから空気を導入し、右加熱源6Rの加熱コイル220Rへ向かうような、矢印F2Rに示す冷却風が吹き出される。また、中央加熱源7側のファンケース323の壁面には傾斜させた案内面323Cが設けられている。
冷却用ファン264を囲むような形状を有したファンケース325は、背面側開口を吸込口325Aにし、前方には吹出口325Bを有している。なお、このファンケース325の形状は、左右中心線CLを挟んでファンケース323と左右対称形になっている。また、冷却用ファン264はモータの回転軸264Aを具備している。
ファンケース325は、ファンケース323と同様に、その吸込口325Aを保護カバー324Lの前方端面に接続し、冷却用ファン264の運転時には、矢印FLに示すように吸気口320Lから空気を導入し、左加熱源6Lの加熱コイル220Lへ向かうような、矢印F2Lに示す冷却風が吹き出される。
図3に示すように、左加熱源6Lおよび右加熱源6Rを冷却した冷却風の風路は、中央表示・入力部80の液晶画面から後方の左排気口75に至る間で、次第にその風路の幅が狭くなる。
つまり、仕切板270の上方には、ファンケース323、325の案内面323C、325C同士、保護カバー324R、324Lの左右の案内面324B同士で、風路が区画形成されているが、その風路は幅を順次狭くしながら左排気口75の真下に至っているためである。すなわち、図3に示したように中央加熱源7の横幅W1と、二つの右排気口74および左排気口75の幅の合計(以下。「横幅寸法W2」と称す)と、保護カバー324R、324L同士の間隔(以下、「対向壁面間寸法W3」と称す)と、の関係は、「W3>W2>W1」となっている。
これにより図3に矢印F4で示したように、右排気口74に至る排気の風路の圧力損失を小さくしてスムーズに冷却風を本体1の外部へ放出することができる。なお、図3において326L、326Rは保護カバー324L、324Rの背面側324Aと本体ケース2背面との間を塞いだ板であり、これにより吸気口320L、320Rと左排気口75とが連通しないようにしている。
一方、加熱室19から右排気口74に至るまでは排気ダクト76により区画され、途中で上方空間275と交わることが無い。したがって、上方空間275を流れる冷却風は加熱室19から排気ダクト76を経由して排出される排気に干渉されず、本体1の外部に排出される。
仕切板270の下方空間で加熱室19の上方の雰囲気も、グリル調理時などグリルヒータ110Aの熱で温度が上昇する可能性がある。このため、図5に矢印F5で示すように強制的に対流を起こしたり、対流を促進したりする等の改良が適宜考えられる。なお、下方空間274の空気を最後はダクトで左排気口75の隣接位置(後方や横)に案内して、本体1の外部に排気するようにしても良い。
(加熱調理装置の動作)
次に、上記の構成からなる加熱調理器の動作の概要を説明する。なお、以下の説明では動作の段階順に符号STと連続番号の組合せで表す。例えばST−1、ST−2のように示す。電源投入から調理準備開始までの基本動作プログラムが、通電制御回路200の内部にあるマイコンに格納されている。
(通常ステップ1)電源プラグを200Vの商用電源に接続し、主電源スイッチ201を押す(ST−1)。
(通常ステップ2)すると定電圧回路232を介して所定の低い電源電圧が通電制御回路200に供給される(ST−2)。
(通常ステップ3)通電制御回路200が起動され、自身の制御プログラムを自己診断、チェックし、異常がない場合には冷却用ファンの駆動回路260、左加熱源6Lおよび右加熱源6Rの駆動回路228、中央入力・表示部80の液晶表示部の駆動回路244、をそれぞれ起動する(ST−3)。
(通常ステップ4)さらに通電制御回路200は、トッププレート5の割れ検知手段450からの信号をチェック(ステップST−4)する。
(通常ステップ5)
割れ検知手段450からの異常信号が無い場合、次に通電制御回路200は左右加熱源206R、206Lに小電力を流し、その電流の状態から回路構成に異常がないことをチェックする(ステップST−5)。
(通常ステップ6)さらに、冷却用ファン駆動回路260は冷却用ファン261、262、263、264、265、266、267を所定の定格電流で運転開始する(ST−6)。
(通常ステップ7)
温度検出回路311は合計12個所に設けた各温度センサーS1、S2A、S2B、S3A、S3B、S4A、S4B、S5、S6R、S6L、S7R、S7Lからの温度データを読み込み、そのデータを通電制御回路200に送る(ST−7)。
(通常ステップ8)
以上のようにして通電制御回路200には、主要な構成部分の回路電流や電圧、温度などのデータが集まるので、調理前の異常監視制御として、異常加熱判定を行なう。例えば、中央表示・入力部80の温度がその液晶表示部の耐熱温度(例えば70℃)よりも21℃以下低い(49℃以下)場合は、異常高温ではないと判定する。逆に言えば50℃以上になると異常高温と判定される(ST−8)。
(通常ステップ9)次に、電流検出センサー227は、加熱コイル220と共振コンデンサ224の並列回路からなる共振回路225に流れる電流を検出し、この検出出力は通電制御回路200の入力部に供給され、何らかの事故や導通不良などによって正規の電流値に比較して過少電流や過大電流が検出された場合は、通電制御回路200は異常と判定する(ST−9)。
以上の自己診断ステップによって異常判定が無かった場合は「調理開始準備完了」となる。しかし異常判定が行なわれた場合は、「異常時処理1」が行なわれる。図13に示すとおり、トッププレート5の割れ検知手段450から異常信号が検知された場合は、前記した通常ステップ5(ステップST−5)以下を行なわず、直ちに「異常時処理1」が行なわれる。
(調理前の異常時処理)
調理前の「異常時処理1」を説明する。
(異常処理ステップ1)調理前の異常時処理では、まず異常の内容からその異常状態を加熱調理器自身で是正できるかどうか判定する(ST−11)。例えば、中央表示・入力部80の温度がその液晶表示部の耐熱温度(例えば70℃)よりも21℃以上低くはなく、15℃低い(つまり55℃である)場合は、その液晶表示部を冷却用ファン262でより強力に冷却するか、または中央表示・入力部80の液晶表示部上方近傍のトッププレート5上に、高温の加熱調理器具(例えば天ぷらを行なった直後の鍋)が置かれている場合も考えられるので、その鍋を使用者に注意喚起して移動させてもらえば良いので、この例の場合は是正可能という場合に該当する。
(異常処理ステップ2)しかし、異常状態を加熱調理器自体で直接是正できないものと判断される異常データを受けた場合(上記のように、使用者に鍋の移動を促すことも含まれる)は、直ちに異常表示の動作に入る。なお、前記したトッププレート5の割れ検知手段450から異常信号が検知された場合は、直ちに異常表示の動作に入る。
(異常処理ステップ3)是正処理が可能であると判断された異常情報については「異常の是正処理」が実行される(ST−12)。具体的な例としては、上記したように、中央表示・入力部80の温度がその液晶表示部の耐熱温度(例えば70℃)よりも20℃以上低くはなく、15℃低い(つまり55℃である)場合は、その液晶表示部を冷却用ファン265、266でより強力に冷却するため、冷却用ファン265と266の双方の供給電力を平常時よりも5%増加させて運転継続する。同時に冷却用ファン263、264による送風量も増加させる。
(異常処理ステップ3)そして、次に異常有無の再判定処理を行なう(ST−13)。上記した異常高温の場合は、冷却用ファン265、266の強運転を開始した後、30秒間間隔で監視し、所定時間経過後(例えば3分後)に、再度中央表示・入力部80の温度を温度センサーS3A、S3Bにより測定した検出温度が、その液晶表示部の耐熱温度(例えば70℃)よりも15℃低い(つまり55℃である)状態よりも悪化し、60℃を超えている場合は、「危険状態」であると判断する。
(異常処理ステップ4)そして、中央表示・入力部80が異常高温になっているとの警報メッセージをその液晶表示部にて表示する。具体的には表示エリアEに文字で異常の内容を表示する(ST−14)。
(異常処理ステップ5)そして、この異常高温が例えば1分以内に解消されない場合には、通電制御回路200は49℃以下に低下するまで(但し、最長でも例えば5分間)冷却用ファン263、264、265、266を運転した後、予備電源400に接続を切り換え、主電源スイッチ201を強制的に開放し、商用電源202から切り離す。これにより中央表示・入力部80の液晶表示部が高温で変形したり焼損したりする事故を未然に防止することができる。なお、トッププレート5の割れ検知手段450から異常信号が検知された場合は、そのまま使用開始した場合、危険である可能性もあり、調理装置自体では割れを修復するような是正処理は出来ないので、直ちに異常表示(ST−14)を行なって電源200を遮断する(ST−15)。
(異常処理ステップ6)そして中央表示・入力部80に異常表示した時点から所定時間(例えば10分間)経過後、駆動回路244を介して中央表示・入力部80の通電を遮断する(ST−16)。
(異常処理ステップ7)そして、通電制御回路200の不揮発性メモリー(図示せず)に、異常発生後、通電遮断までの上記経緯、異常な温度データ等を記憶させる。以上で異常処理が終了する。
(調理モード)
次に、調理前異常監視処理を終えたあとに調理モードに移行した場合について、右加熱源6Rを使用した場合を例にして説明する。
(調理ステップ1)まず、前面操作部10の右操作ダイアル12Rを右か左へ回す(回した量に応じて火力が設定される)(ST−17)。
(調理ステップ2)前面操作部10からの操作信号が通電制御回路200に入力され、また上面操作部20からの各種入力キー(95など)操作信号が通電制御回路200に入力され、火力レベルや加熱時間などの調理条件が設定される(ST−18)。
(調理ステップ3)通電制御回路200が駆動回路228を駆動し、右加熱源回路206Rを駆動する。また中央表示・入力部80が駆動回路244に駆動されるので、その表示エリアC1、C2には火力や調理時間などの調理条件が表示される(ST−19)。
(調理ステップ4)駆動回路228はIGBT225のゲートに駆動電圧を印加するので、加熱コイル220に高周波電流が流れる(ST−20)。これにより加熱コイル220からの高周波磁束により鍋が高温になる(ST−21)。これ以後は電磁誘導過熱調理動作(調理モード)に入る(ST−22)。
(調理中の異常監視)
この加熱調理器における調理中の異常監視制御は、トッププレート5の割れ検知処理(ST−23)、異常加熱監視処理(ST−24)、異常電圧監視処理(ST−25)、異常電流監視処理(ST−26)の4つの監視段階を有している。
調理中の異常加熱監視処理は、上記した調理前の異常監視制御における異常高温ではないかどうかの判定処理と同様であるが、加熱調理を開始した後であるから、過熱の原因としては左加熱源6Lおよび右加熱源6R、中央加熱源7などが加わる(ここでの説明では、右加熱源6Rを使用していた場合であるので、左加熱源6Lおよび中央加熱源7は加熱原因にはならない)。
また、調理中の異常電流監視処理は、上記したように誘導加熱に不適当な鍋などが用いられた場合や何らかの事故などによって正規の電流値に比較して過少電流や過大電流が検出された場合を監視するものであり、この異常の対処方法のひとつは、通電制御回路200により駆動回路228を介してIGBT225を制御し、瞬時に誘導加熱コイル220の通電を停止することである。
調理中の異常監視制御は、各種加熱源の調理中における異常監視制御の段階と、加熱調理器本体1の異常監視制御(トッププレート5の割れ検知含む)の2段階から構成されている。
調理中の加熱源異常監視は、右加熱源6Rの異常監視、左加熱源6Lの異常監視、中央加熱源7の異常監視、グリル調理等を行なう加熱室19の異常監視からなる。
調理中における加熱調理器本体1の異常監視制御の内、異常な温度の監視制御としては、本体1の左空間部370Lと右空間部370Rとの電気部品の異常温度監視、保護カバー324R、324L内部の高周波電力変換回路の異常温度監視、左加熱源6Lおよび右加熱源6Rの異常温度監視、中央表示・入力部80の温度異常監視から成る。
実際の調理過程において、温度センサーS3Aの検出温度が、中央表示・入力部80の液晶表示部の耐熱温度(例えば70℃)よりも21℃以下低い(49℃以下)を超えて50℃になった場合は、異常高温と判定される。
異常が是正可能なものであると判断され、しかも例えば右加熱源6Rが異常発生元であると判定判断された場合は、中央表示・入力部80において当該異常な加熱源6Rの表示エリアが拡大処理される。そして、表示エリアC2が拡大された状態を使用者が十分認識できる時間維持した後(例えば1分〜数分後)に、自動的に元のエリア面積の画面表示に戻るが、異常が発生している右加熱源6Rの名称の下に「高温異常」という警告表示が赤い文字などで表示される。
なお、通常画面に自動的に復帰せず、使用者が十分異常内容を確認し、確認のキー操作を行なった場合にのみ画面が元の状態に戻るようにしても良い。
このような異常状態警告表示を行い、使用者に異常状態を是正するための注意喚起や協力、確認を求めるメッセージを表示エリアEで行なうことができる。
次に、異常是正可能と判断された異常に対しては、異常是正処理が実行される。例えば右加熱源6Rが異常高温になっていると判定された場合は、次の順序で通電制御回路200が是正指令を発する。
(是正指令1)右加熱源6Rの右加熱コイル220Rを空冷している冷却用ファン263と、その上流側にある冷却用ファン261の回転数を増加させるため、その通電量を平常運転時に比較して(例えば5%)増大させ、冷却風量を増加させる。この状態を1分間継続しても改善の効果が現れない場合は、次に
(是正指令2)右加熱源の火力(電力)を(使用者が設定したものから)下げる。例えば、1段階下の火力、300W下の火力、又は10%の火力、の3者の内で、最大の火力までダウンさせる(3KW火力で使用していた場合は、2.7KWに下げる)。この場合表示エリアC2では火力を自動的に下げることを予告表示する。
右加熱源6Rで異常が発生し、表示エリアC2が拡大された時点から所定の短時間(例えば1分〜3分)以内に高温異常状態が解消したかどうかを確認するため、通電制御回路200は異常の有無を再度判定する。但し、トッププレート5の割れ検知手段450から異常信号が検知された場合は、そのまま使用継続した場合、危険である可能性もあり、調理装置自体では割れを修復するような是正処理は出来ないので、直ちにトッププレート5の下方に熱源がある右加熱源6Rは通電が停止される(左加熱源6L、中央加熱源7を使用していた場合にはそれらも通電停止される)。
温度検出自体が数秒おきに行なわれており、通電制御回路200はその都度異常の有無を再判定しているので、1分以内でも、右加熱源6Rの温度センサーS2の検出温度が所定温度(例えば、300℃に)、あるいは液晶表示部の温度センサーの検出温度が所定温度(例えば70℃)になった場合、通電制御回路200はその異常の有無の再判定処理で、「危険状態」と判定する。
異常状態の判定がされた場合は、右加熱源6Rの通電を停止する。そのため使用者が液晶画面表示を見れば、温度異常上昇で自動停止したことが容易に理解できる状態になる。
上記再判定処理で、異常と判定された判定基準値以下(例えば右加熱源6Rの温度が280度未満に、また中央表示・入力部80の温度が49℃以下)に戻っていない限り、正常な加熱調理動作(正常調理モード)には復帰させず、再判定処理のステップに処理を戻すことを繰り返す。このように加熱源異常監視と本体1の異常監視が調理中に反復・継続して行なわれる。なお、是正が可能と判断された異常に対しては、上記したように異常是正処理が実行されるが、通電制御回路200が是正指令を発して、是正結果を判断するまでの間、上記した各種加熱源の調理中における異常監視制御と加熱調理装置本体1の異常監視制御(トッププレート5の割れ検知含む)を中断することは好ましくないので、実際には是正指令が出されたあと、次の監視処理ステップに進む。例えば、異常加熱監視処理のステップ(ST−24)で、是正指令が出された後、瞬時に次の異常電圧監視処理(ST−25)に進む。このように是正結果が出るまでに時間を要するものは、制御を先に進めて、数秒以内に調理中の異常監視制御全て(ST−23からST−26)が実行できるようにする。
なお、右加熱源6Rの通電停止指令を出し、右加熱源6Rの通電は停止されるが、その加熱源の加熱コイル220Rを冷却している冷却用ファン263は、前記通電停止後も2分間〜5分間運転継続する。
但し、冷却用ファン263からの異常電流が検出される等、冷却用ファン自体の故障であることが判明した場合は、その冷却用ファンへの通電も同時に停止する。また、この運転継続時間は、通電停止までの温度上昇の様子や室内気温、加熱源の運転火力大小等の条件に対応して通電制御回路200が予め決められた算式や数値テーブルから決定する。
これにより、冷却用ファン262からの送風停止直後から右加熱源6Rの温度が急激に上昇するというオーバーシュート問題も未然に防ぐことができる。また、中央表示・入力部80の温度が高くなるという弊害も防ぐことができる。なお、トッププレート5の割れ検知手段450から異常信号が検知された場合は、冷却用ファン262、263の通電が直ちに停止される。これはそのまま継続運転した場合、トッププレート5の割れの程度によってはその下方、つまり調理装置本体1の内部に調理物の液体等が滴下、浸入して電気通電部分等に触れる危険があるからである。
冷却用ファン263が運転されている間は、冷却用ファン261は運転される。冷却用ファン261は冷却用ファン265に対する冷気供給の役目もあるので、右加熱源6Rの異常で冷却用ファン263が停止しても、冷却用ファン261は運転継続される。
一方、右加熱源6Rの使用中に、中央加熱源7も使用されていた場合、冷却用ファン263の運転と同時に冷却用ファン264も運転されているので、この場合は右加熱源6Rの通電を停止しても、冷却用ファン263は運転を継続させる。
何故ならば、中央加熱源7はラジアントヒータ等が使用され通電開始後短時間で高温になることが特長であるので、その加熱源7の周囲の空気を冷却していないと、上方空間275の後部やトッププレート5が高温になるからである。
右加熱源6Rが火力強(例えば3KW)で使用されている状況と異なり、しかも右加熱源6Rは発熱を停止するので、冷却用ファン263、264の運転は弱運転に切り換えて継続される場合もある。また、この冷却用ファン264と同期して運転される冷却用ファン262も右加熱源6Rが通電停止され、その電源部分を構成する電気部品371Rは自己発熱しない状況にあるので、弱運転に自動的に切り換えられる場合もある。
冷却用ファン263、264の運転能力切り換え制御は、中央加熱源7の温度センサーS1からの温度情報や、右加熱源6Rの加熱コイル220Rの温度センサーS2A、S2B、左加熱源6Lの加熱コイル220Lの温度センサーS4A、S4B、中央表示・入力部80の温度センサーS3A、S3B等の温度情報を見て通電制御回路200が最適値を決めるようになっている。
異常状態で停止した加熱源の表示エリアにはその旨表示が行われ、表示面積が拡大された表示エリアC2に異常高温停止した旨が文字で示され、この状態で所定時間に渡って表示を継続したあと、表示エリアC2の面積は、他の加熱源6Lの表示エリアA2と同等の程度に戻り、他の加熱源の調理進捗状態や設定条件の確認が平常時と同様にできるようになる。
中央表示・入力部80の液晶基板280は、左加熱源6L、右加熱源6R、右加熱源6Rの通電時には加熱された鍋Nの底部からの反射熱やトッププレート5からの輻射熱で加熱される。
また、使用した高温のてんぷら鍋がそのままトッププレート5上に置かれている場合もその高温の鍋(200℃近くある)からの熱を受ける。また、中央加熱源7の通電時には、その温度は300℃以上にもなる。断熱カバー7Aがあるものの、真上のトッププレート5が高温度になることやその上に置かれる鍋底からの反射熱を液晶基板280は受ける。
実施の態様1では、中央表示・入力部80の液晶基板280の温度上昇を抑制するため、冷却用ファン263、265により右側から空冷し、また左側からは冷却用ファン264、266で空冷するようにしている。
中央加熱源7、左加熱源6L、右加熱源6Rの何れかが通電された場合、冷却用ファン263、264、265、266の4つが運転され、中央表示・入力部80の液晶基板280に向けて図3に示す矢印F1R、F1L、F2R、F2Lのように冷却用の空気を送る。このため、その空気の一部は液晶基板の底面側を通り、ケース282の底面と側面外側を冷却する。また、その空気の一部はケース282の全周に亘り計4個形成した連通孔271から液晶基板280の上方空間に入り、液晶基板280の上面温度が異常高温にならないように冷却する。
冷却用ファン265、266から吹き出された風は、制御基板292と制御基板294との上下両面に沿っても流れるため、それら制御基板292、294に搭載された電気部品群293、298の温度上昇も抑制される。
トッププレート5の温度が上昇すると、制御基板292、294や電気部品群293、298も熱的影響を受けることになるが、上記したように冷却用ファン265、266から吹き出された風が流れ、周囲の雰囲気が停滞しないから異常温度上昇が防止される。
液晶基板280の周辺を冷却する風の一部は、ケース282の底面に形成された数列の放熱フィン284に沿って後方に案内される。そして、冷却用ファン265、266から吹き出された風は冷却用ファン263、264からの冷却風と合流し、図3に示す矢印F3、F4のように本体1後方へ流れる向きを変え、中央加熱源7の周囲を冷却する。
当然ながらこのような一連の空気の流れにより、トッププレート5はその下面が冷却されるので、トッププレート5の上面(表面)の温度上昇も抑制され、使用者がトッププレート5に触れても火傷などの事故が防止される。
既存のテレビや液晶モニター等の画像表示器60を加熱調理器本体1に接続していた場合、中央表示・入力部80の液晶基板280の表示画面に表示されるのと同じ情報が画像表示器60に表示される。従って、使用者は加熱調理器本体1が設置された台所の壁方向に向いて大きな画面で加熱調理器の運転状況を確認できる。
なお、画像表示器60が一般のテレビ放送を受信して放映している場合には、例えば、スーパーインポーズ回路手段を経由して通電制御回路200や駆動回路244からの表示情報を画像表示器60に送れば、テレビ番組を視聴しながら、その画面の一部に加熱調理器の調理条件情報や調理進捗情報、異常警報等を報知することが可能となる。
調理装置本体1の液晶表示部の温度センサーの検出温度が所定温度(例えば70℃)になった場合、通電制御回路200はその異常の有無の再判定処理で、「危険状態」と判定すると説明した。このような状態になった場合はトッププレート5の上面温度も相当高い温度になっていることが考えられるので、通電制御回路200は報知素子512を駆動し、トッププレート5の下方から赤い光を放射させて使用者に調理装置本体1が高温であると知らせる。
なお、温度センサーS3AやS3Bの検出温度から、トッププレート5の上面温度が高いことを報知するのは異常高温の場合だけではなく、正常に使用された場合であっても、その調理内容によっては(例えば天ぷら料理などを行った場合)、右加熱源6Rや左加熱源6L又は中央加熱源7の通電を停止した後でもトッププレート5の一部分には、使用者が触れると危険な温度以上あるので、この危険防止の観点で報知素子512を点灯させるようにしている。
以上のように本発明の実施の形態1においては、
本体上面にトッププレートを設け、
このトッププレートの下方に複数の加熱源を配置した加熱調理装置において、
前記本体には、各加熱源の加熱条件が本体のトッププレート上方から視認可能な統合表示手段と、
各加熱源の通電を制御する通電制御回路と、
この回路から加熱源への電源投入条件を制御する入力手段とを設け、
前記通電制御回路は、前記入力手段からの操作指令信号で加熱条件を設定でき、
通電制御回路は、加熱源の通電条件や前記本体の動作状態を前記統合表示手段に表示し、
前記統合表示手段は、
加熱源の通電条件を表示する表示画面基板と、
前記加熱源の通電状態を光により表示する発光素子と、
この発光素子及び前記表示画面基板を収容したケースと、
を備えたので、多種類の調理に対応できる加熱調理装置において、煩わしい調理条件の確認や調理実行の状況が本体1に設けた共通の液晶画面280を見ながら実行できる。
しかも、前記共通の表示手段80に各加熱源の調理条件や異常発生状態も表示されるので、使用者が調理の途中においても異常の発生を迅速、かつ容易に認識することができ、安全性が向上する。
また、加熱調理装置が異常加熱等の状況にあることを、前記した共通の表示画面において使用者に報知し、異常状態での使用を避け、無用な混乱を招かないようにすることができる。
加熱調理器の上面部(トッププレートの下方含む)に液晶表示面等の表示手段を設けると、使用者が調理の途中でもそれを視認しやすいが、加熱調理器の上面は複数の加熱源による加熱スペース(鍋を置くスペースなど)が必要であり、表示の情報量を増やすために単純に表示手段を大型化し、表示面積を広くするという手法が採用できない。しかし、上記した実施の態様1では、一つの共通な表示手段である中央表示・入力部80を複数の加熱源の設置空間スペースを有効に活用しているので、上記のような加熱スペースの制約がある中でも、表示手段としての機能を十分に発揮させることが可能になる。
また、中央表示・入力部80には、特定の加熱源だけの調理条件を表示させた場合、当該調理の特有の注意事項、又は被加熱物の種類等の参考情報が自動的に表示されるガイドエリア81Eを設け、このガイドエリアに異常時の情報やその対処に関する情報等も異常時に表示させるようにしたので、調理条件の入力操作や調理の手助けをすることができ、利便性が向上するとともに、異常時での対処方法や異常運転しない使用方法等の注意喚起も出来、使用者がより安心して、より安全に使用できる環境を提供できる。
さらに本発明の実施の形態1によれば、統合表示手段としての中央表示・入力部80には、調理の加熱条件等を表示す液晶基板(表示基板)280と、前記加熱源の火力を表示する発光素子510とがケース282によって一体化されて設置されるので、このケースを中心にして組み立てることが可能となり、生産性が向上する。
また調理装置本体1の温度が所定値より高いことを使用者に知らせるランプや発光ダイオード等の報知素子512、温度センサーS3A、S3Bなども一緒に組み込むことができるので、中央表示・入力部80として必要な機能部品を集約、集積できるという効果も期待でき、また電気絶縁性の確保や温度上昇保護の対策を行う場合にも有利である。
なお、実施の態様1においては、上記した特別な構成により、以下のような効果も同時に期待できる。
(1)トッププレート5の下方空間274に左加熱源6Lおよび右加熱源6Rを配し、この間に別の中央加熱源(中央ラジエントヒータ等)7を配置し、下方空間274において左加熱源6Lおよび右加熱源6Rを冷却した冷却風が、中央加熱源7を冷却して本体1後部の右排気口74から排気されるように構成し、中央加熱源7の両側には、ファンケース323、325の案内面323C、325C同士、保護カバー324R、324Lの左右の案内面324B同士で、風路が区画形成されているので、それぞれの加熱源6L、6R、7を冷却した後の排気流をスムーズに左排気口75まで案内することができる。
(2)上記風路は、左排気口75に近づくにその間隔が狭くなるように形成しているので、本体1の下方空間274を流れる冷却用空気をスムーズに排出することができる。
(3)風路を区画形成する手段として、左右両側に設けた保護カバー324R、324Lや一対のファンケース323、325という構造物を利用しているので、新たな専用部品を設ける必要がなく、部品点数の増加を抑えたまま、排気流をスムーズにすることができる。
(4)排気口の横幅(W2)は、ダクトの間隔W3と同等か、それより小さい寸法関係になっているので、上流から流れて来た排気流をスムーズに本体1の外部へ出すことができる。
(5)中央表示・入力部80の液晶基板280周囲には、左加熱源6Lおよび右加熱源6Rを冷却した冷却用ファン263、264からの冷却風が供給されるので、本体1の下方空間274において液晶基板280が異常な高温雰囲気に晒されることを防止することができる。
(6)中央表示・入力部80の液晶基板280周囲には、冷却用ファン263、264からの冷却風に加え、左加熱源6Lおよび右加熱源6Rを経由していない冷却風も冷却用ファン265、266で供給されるので、液晶基板280が異常高温に晒されることを確実に防止することができる。
(7)冷却用ファン265、266からの冷却風は、トッププレート5の前方下部に供給されるので、上面操作部20やその下方の制御基板292、294周囲の温度上昇が抑制され、各種電気部品群293や298の温度劣化を防止することができると共に、上面操作部20の各入力キー郡91、93、24、枠体4などの温度上昇も抑制することができ、使用者がそれらに触れた場合の火傷等の危険性を無くすことができる。
中央表示・入力部80の表示画面(液晶画面)280を正方形にし、その後端の位置が右加熱源6Rの加熱コイル220R外周縁の最前位置RLおよび左加熱源6Lの加熱コイル220L周縁の最前位置LLの何れの位置よりも後ろの直線XLの位置にまで入り込む形にした。言い換えると対向空間SSの内側にまで液晶基板280が入り込む配置としているので、調理装置本体1の上方から、その液晶画面280によって左加熱源6L、右加熱源6R、中央加熱源7の加熱条件の確認や調理進捗状態、異常発生状態等を集中して把握することができる。すなわち、使用者が加熱源毎に個々の設置された画面を確認する負担に比べれば、大幅に負担を軽減することができる。
以上のように、本発明の実施の形態1においては、多種類の調理に対応できる加熱調理器において、各種の調理条件設定状況が調理装置本体に設けた共通の表示画面を見てその都度確認することができると共に、中央表示・入力部80には、調理の加熱条件等を表示す液晶基板(表示基板)280と、前記加熱源の火力を表示する発光素子510とがケース282によって一体化されて設置されるので、このケースを中心にして組み立てることが可能となり、生産性が向上する。
また調理装置本体1の温度が所定値より高いことを使用者に知らせるランプや発光ダイオード等の報知素子512、温度センサーS3A、S3Bなども一緒に組み込むことができるので、中央表示・入力部80として必要な機能部品、センサーを集約又は集積できるという効果も期待できる。
[実施の形態2]
図12は、本発明の実施の形態2に係る加熱調理装置を示すものであって、本体の中央表示・入力部と上面操作部の構造を示す平面図、図13は図12に示す加熱調理装置本体の上面操作部と中央表示・入力部周辺を示す要部平面図である。
実施の形態2に係る加熱調理装置では、実施の形態1の中央操作部23に設けていた入力キー群91を省略し、各種調理条件の入力等は中央表示・入力部80に設けた入力キーで行うようにしている。なお、実施の形態1と同じ部分にはこれと同じ符号を付し、一部の説明を省略する。
中央表示・入力部80は、実施の形態1と同様にドットマトリックス型液晶画面で構成されている。図18に記載のように、情報を表示する画面区域81は合計10個のエリアに割り当ててある。具体的には、
加熱源6Lの対応エリアA1、A2と、
中央加熱源7の対応エリアB1、B2と、
右加熱源6Rの対応エリアC1、C2と、
グリルやオーブン調理用の加熱源110A、110Bの対応エリアDと、
使用者に各種調理における注意や参考情報を表示するガイドエリアEと、
各種調理条件等を直接入力可能な機能を有する、互いに独立した6つの表示キー84、100、101、102、103、104を表示するキー表示エリアFと、
Tips表示エリアGと、
をそれぞれ備えている。
中央表示・入力部80の液晶画面の最も上面を覆う透明なガラス製表面板の上には、上記6つの表示キー84、100、101、102、103、104の位置とそれぞれ対応した位置に、通電制御回路200に指令を与える上面操作部20の6つの入力キー484、500、501、502、503、504がそれぞれ独立して形成されている。
これらの入力キー484、500、501、502、503、504は、使用者が指などを触れることで静電容量が変化する接触式キーを採用しており、使用者がキー表面に軽く触れることで入力信号が発生するものである。
その入力キーの部分(区域)を構成するガラス板上には、キーの入力機能を示す文字や図形、記号(図17のような矢印含む)を印刷や刻印等で何ら表示していないが、これらキーの下方の液晶画面(キー表示エリアF)には、入力キー484、500、501、502、503、504の操作場面毎にキーの入力機能を示す文字や図形、記号(図17のような矢印含む)を表示する構成になっている。
そして入力キー484、500〜504の表面上方から使用者は、表示キー84、100〜104が表示した所定の入力機能文字(例えば、「初期画面」や「戻る」等の文字や矢印などの記号含む)を視覚で確認できる。
しかも、アクティブ状況(キー操作すれば、通電制御回路200の動作を定める制御プログラムに対し、有効な操作指令信号になること)にあるキーを区別することができる。
また、入力キー484、500〜504の内、操作しても無効なキーについては、図18の入力キー502に対応した表示キー102のように、表示キー84、100〜104自体が入力機能文字を液晶画面上で表示しないようにし、非アクティブ状態にあることを示すため、使用者はタッチ方式で入力可能な入力キー484、500〜504を、その操作の場面毎に容易に特定できるようになっている。なお、図12では入力キー500に「戻る」という表示、501と503にそれぞれ矢印記号、504に「決定」の文字がそれぞれ表示されているように描いてあるが、異常状態で停止している場合は、そのような各キーの表示は行われない。初期画面に戻ることさえ可能であれば良いので、入力キー484だけをアクティブにして「初期画面」と表示している。
調理装置本体1の調理動作中、例えば右加熱源6Rに異常な高温状態が検知された場合、実施の態様1の通電制御回路200とは、駆動回路244を介して中央表示・入力部80に対し「表示エリアC2」の面積拡大指令信号を出して表示エリアC2の表示面積が最大限に拡大される。この時、警報を重視するため、他の加熱源のことは一切表示しない。つもり例えば左加熱源6Lが同時に通電されて調理実行中であってもそのことは表示されない。
表示エリアC2に異常状態の警報が表示されるのと同時に、ガイドエリアEには、例えば図18に示すように異常内容に応じた文字表示が出る。
図13において、515は額縁状に形成された天板3の前側1辺の上を覆った1枚の飾り板で、本体1の上面操作部20、右火力設定用操作部21、左火力設定用操作部22、中央操作部23、ワンタッチキー部24の各部分を全て覆うような幅と長さを有した帯状に形成されている。
この飾り板515は、図13に示すように電気絶縁性及び所定の弾力性を有する透明又は半透明で薄い樹脂製シート516と、このシートの裏面に施された印刷層517とから構成させている。そして各種操作ボタン25、26、27、29、92、93、94、300、310、93a等の文字とその位置を示す輪郭線などは上記印刷層517によって形成され、使用者が上方から見た場合には、そのシート516に印刷や刻印などで形成されているように見える。そして飾り板516には、上記各種操作ボタン25、26、27、29、92、93、94、300、310、93a等の部分が予め上方へ2〜3mm突出した成形を施しており、その突出した部分518を使用者が指で押せば、その突出部518の下方に配置したスイッチ素子の電気的接点部が閉じられ、通電制御回路200に対する入力信号を発生させる。図13では操作ボタン94の突出部518が緩やかな山状になっていることが分かる。
樹脂製シート516において、各種操作ボタン25、26、27、29、92、93、94、300、310、93a等に対応した部分には窓(図示せず)がそれぞれ形成されている。その窓の下方には、使用者が指先で突出部518を押すことにより下方に押されて電気接点を導通させる前記スイッチ素子がそれぞれ設けられている。またその押圧を止めれば突出部518はそれ自身の弾性復帰力で下の形状に復帰し、またスイッチ素子もその接点が開放されるように復帰する。なお樹脂製シートは、メンブレンシートという名称で呼ばれたシートを採用し、その下方に設けたプリント配線基板の上に設けた電気接点をメンブレンシートを押圧して閉じるようにしたものでも良い。この種の先行技術文献としては、例えば特開2005−265208号公報がある。
516は印刷層517を設けない空白部で、この空白部はシート516を上方から見た場合に、四角な窓として見えるものであり、シート516の中央部と左右両端部にそれぞれ1箇所ずつ設けている。言い換えると空白部516は、本体1の上面にある右火力設定用操作部21、左火力設定用操作部22、及び中央操作部23の各部分に1個ずつ形成されているので、本体1の前方において中央部と左右両端部に位置していることになる。
519は天板3において、前記3つの空白部516の直下にそれぞれ1個ずつ形成した透孔、234は図6に示したような赤外線LEDである。図示していないが赤外線LED235が右火力設定用操作部21に、また赤外線LED236が左火力設定用操作部22に形成した透孔519に対応してそれぞれ設けられている。
赤外線LED234〜236は、その赤外線放射部となる上端部が、天板3の下面と間隙SDを隔てて対向するように制御基板292の上面に固定されている。制御基板292は図6に示したものと同様に、本体1の上面操作部20の下方全体に亘って水平に設けられている。その制御基板292には、上面操作部20の各種入力スイッチ類、例えば操作ボタン94により操作される操作スイッチが搭載されている。
以上のような構成であるから、調理装置本体1の上面操作部20の中央部と左右両端部の計3箇所から換気装置239の換気用の排気ファンを駆動するファンモータ243受信回路241に対して赤外線LED234〜236から駆動信号を発信することができる。そのため使用者がその3箇所の何れかの部分に、赤外線を遮蔽する物を不注意で置いてしまった場合でも、残りに2箇所からの赤外線信号で換気装置239の運転を制御することができる。
しかも、赤外線LED234〜236を天板3の下面に接近させて設置しているので、透孔519から放射される赤外線の放射範囲(角度)を赤外線LED固有の放射範囲にすることができる。
このように赤外線LED234〜236の赤外線放射範囲を広く、かつ本体1の中央、左右の3箇所にしているので、換気装置239の設置位置が調理装置本体1の真上から左右や前後にある程度ずれた位置にあったとしても、その換気装置239に所定の駆動用赤外線信号を伝達することができる。
また赤外線LED234〜236は、実施の態様1(図5参照)のように、トッププレート5の下方に設置されているのではなく、本体1の上面操作部20に設けられているので、トッププレート5の上に鍋等が置かれて赤外線LED234〜236からの赤外線信号が遮られるというケースも殆ど減らすことができる。つまり本体1の上面にある右火力設定用操作部21、左火力設定用操作部22、及び中央操作部23には各種入力スイッチ類の操作ボタンがあるので、使用者がこの上に鍋を置くことは考えられないことから、赤外線LED234〜236の赤外線信号が遮られることはない。
さらに、赤外線LED234〜236のための放射窓となる部分を、樹脂製シート516に印刷層517を設けないで簡単に形成できる。つまりシート516には上面操作部20の各種入力スイッチ類、例えば操作ボタン94により操作される操作スイッチのための窓を形成する際に、赤外線LED234〜236のための放射窓も同時に形成することができる。
しかも、赤外線LED234〜236はトッププレート5の下方に設置されておらず、本体1の天板3の下方に位置しているので、トッププレート5の上面に置かれた高温の鍋Nや中央加熱源7からの熱によるトッププレート5の高温化の影響も受けないので、高温環境に弱い赤外線LEDを高温に晒すことがないという利点もある。つまり、上面操作部20の部分における天板3の下方には、調理装置本体1を調理台の開口部前縁が位置しており、その調理台から高温に加熱されることはないため、上面操作部20に赤外線LED234〜236を設置している構成によれば、その赤外線LED234〜236の熱的な劣化を防止できる。
シート516は表面が水や調理物の油などに耐える材質の薄い樹脂や金属薄板でも良いが、金属薄板にした場合には赤外線LED234〜236からの赤外線を通過させる透孔を設ける必要がある。
以上のように本発明の実施の形態2においても、各種の調理条件設定状況が共通の表示画面80を見てその都度確認することができるとともに、中央表示・入力部80には、調理の加熱条件等を表示す液晶基板(表示基板)280と、前記加熱源の火力を表示する発光素子510とがケース282によって一体化されて設置されるので、このケースを中心にして組み立てることが可能となり、生産性が向上する。
また調理装置本体1の温度が所定値より高いことを使用者に知らせるランプや発光ダイオード等の報知素子502、温度センサーS3A、S3Bなども一緒に組み込むことができるので、中央表示・入力部80として必要な機能部品等をこのケースに集約又は集積できるという効果も期待できる。なお、ケース282は必ずしも全体が一部品で構成される必要はなく、左右又は前後対照的形状のものを組み合わせて形成したり、その他形状に形成したりする変形が考えられる。
以上より、本発明の加熱調理装置は、複数の加熱源それぞれの調理条件の設定状況が調理装置本体に設けられた統合表示手段の表示画面を見てその都度確認することができ、使い勝手を向上させることができるとともに、統合表示手段は、調理の加熱条件等を表示する表示画面基板と、前記加熱源の火力を表示する発光素子とがケースによって一体化されて設置されるので、このケースを中心にして統合表示手段を組み立てることが可能となり、生産性が向上し、様々な複数の加熱源を具備する各種加熱調理装置に広く利用することができる。
本発明の実施の形態1に係る加熱調理装置本体を示す全体斜視図。 図1に示す加熱調理装置本体の平面図。 図2に示す加熱調理装置本体の横断面図(その1)。 図2に示す加熱調理装置本体の横断面図(その2)。 図1に示す加熱調理装置本体の中央表示・入力部周辺を示す要部縦断面図。 図1に示す加熱調理装置本体における電気回路構成図。 図1に示す加熱調理装置本体の中央表示・入力部を示す平面図。 図1に示す加熱調理装置本体の上面操作部と中央表示・入力部周辺を示す要部平面図。 図1に示す加熱調理装置本体の中央表示・入力部の表示エリア区分を示す説明図。 図1に示す加熱調理装置本体の上面操作部と中央表示・入力部を示す平面図(その1)。 図1に示す加熱調理装置本体の上面操作部と中央表示・入力部を示す平面図(その2)。 本発明の実施の形態2に係る加熱調理装置本体の上面操作部と中央表示・入力部を示す平面図。 図12に示す加熱調理装置本体の上面操作部と中央表示・入力部周辺を示す要部平面図。
符号の説明
1:加熱調理器本体(本体)、2:本体ケース、3:天板、4:枠体、5:トッププレート、6:加熱源、6LM:案内マーク、6R:右加熱源、6L:左加熱源、6RM:案内マーク、6LM:案内マーク、7:中央加熱源、7A:断熱カバー、7M:案内マーク、10:前面操作部、11:操作ボタン、12:左制御スイッチ、12L:左操作ダイアル、12R:右操作ダイアル、13:中央操作ダイアル、14:右表示灯、15:左表示灯、16:タイマーダイアル、19:加熱室、20:上面操作部、21:右火力設定用操作部、22:左火力設定用操作部、23:中央操作部、24:ワンタッチキー部、25:弱火力キー、26:中火力キー、27:強火力キー、29:操作ボタン、34L:左タイマースイッチ、34R:右タイマースイッチ、35L:左液晶表示部、35R:右液晶表示部、36L:左揚げ物選択スイッチ、36R:右揚げ物選択スイッチ、40L:左火力表示ランプ、40R:右火力表示ランプ、50:通電マーク、60:画像表示器、62:電気ケーブル、64:流し台、65:壁、70:ドア、71:前面開口、72:窓、73:受皿、74:右排気口、75:左排気口、76:排気ダクト、80:統合表示部(中央表示・入力部)、81:画面区域、81E:ガイドエリア、83:入力キー(ファンクションキー)、84:表示キー、85:インフォーメーションキー、86:強火力キー(3KWキー)、91:入力キー群、92:操作ボタン、93:IH便利メニューボタン、93a:右IH便利メニューボタン(キー)、94:操作ボタン、95〜99:入力キー(ファンクションキー)、100〜104:表示キー、110A:グリルヒータ(加熱源)、200:通電制御回路(制御手段)、201:主電源スイッチ、202:商用電源、202A:母線、206L:左加熱源回路、206R:右加熱源回路、207:中央回路、208:グリル回路、220:共振回路、220L:左加熱コイル(誘導加熱コイル)、220R:右加熱コイル(誘導加熱コイル)、221:整流ブリッジ回路、225:共振回路、226:フライホイールダイオード、227:電流検出センサー、228:駆動回路、230:電磁リレー、231:電気ヒータ、232:定電圧回路、233:赤外線駆動回路、241:受信回路、242:制御回路、243:ファンモータ、244:駆動回路、245:駆動回路、246〜257:発光ダイオード、258a〜258l:抵抗、259:接地側接続点、260:冷却用ファン駆動回路、261〜267:冷却用ファン、263A:回転軸、264A:回転軸、265A:吸い込み口、265B:吹出口、266A:吸い込み口、266B:吹出口、270:仕切板、271:連通孔、272:断熱材、273:天井壁面、274:下方空間、275:上方空間、280:液晶基板(表示基板)、281:断熱材、282:ケース、282A:フランジ部、283:空隙、284:放熱フィン、290L:仕切板、290R:右仕切板、291:溝状空間、292:制御基板(電気絶縁性取付基板)、293:電気部品群、294:制御基板(電気絶縁性取付基板)、298:電気部品類、300:操作ボタン、311:温度検出回路、320L:吸気口、320R:吸気口、321L:パワーモジュール、321R:パワーモジュール、323:ファンケース、323A:吸込口、323B:吹出口、323C:案内面、324A:背面側、324B:案内面、324L:保護カバー、324R:保護カバー、325:ファンケース、325A:吸込口、325B:吹出口、325L:電気回路部品群、325R:電気回路部品群、330P:通風孔、330R:保持枠、331L:左磁束漏れ防止板、331R:右磁束漏れ防止板、332:断熱材、333:密封用シールパッキン材、335L:左保持枠、335R:右保持枠、370L:左空間部、370R:右空間部、371R:高電圧電気部品、372L:冷却フィン、372R:冷却フィン、400:予備電源、484:入力キー、502:入力キー、510:発光ダイオード、511:仕切板、512:報知素子、A1:第一の表示エリア(対応エリア)、A2:第二の表示エリア、AM:アクティブマーク、B1:第一の表示エリア(対応エリア)、B2:第二の表示エリア、C1:第一の表示エリア(対応エリア)、C2:第二の表示エリア(対応エリア)、D:対応エリア、E:ガイドエリア(表示エリア)、F:キー表示エリア、G:表示エリア、N:鍋(被加熱物)、BL:横方向直線、CL:左右中心線、LL:横方向直線(最前位置)、RL:横方向直線(最前位置)、S1〜S7L:温度センサー、SA:左右対向間隔、SB:左右対向間隔、SC:前後対向間隔、SS:対向空間。

Claims (14)

  1. 本体上面にトッププレートを設け、
    このトッププレートの下方に複数の加熱源を配置した加熱調理装置において、
    前記本体には、各加熱源の加熱条件が本体のトッププレート上方から視認可能な統合表示手段と、
    各加熱源の通電を制御する通電制御回路と、
    この回路から加熱源への電源投入条件を制御する入力手段とを設け、
    前記通電制御回路は、前記入力手段からの操作指令信号で加熱条件を設定でき、
    通電制御回路は、加熱源の通電条件や前記本体の動作状態を前記統合表示手段に表示し、
    前記統合表示手段は、
    加熱源の通電条件を表示する表示画面基板と、
    前記加熱源の通電状態を光により表示する発光素子と、
    この発光素子及び前記表示画面基板を収容したケースと、
    を備えてなる加熱調理装置。
  2. 前記ケースは熱伝導性材料から形成された下ケースと、この下ケースの上面開口を塞ぐ断熱性材料から形成された上ケースとを備え、かつケースの外側には冷却用の風が流れる風路が形成されていることを特徴とする請求項1記載の加熱調理装置。
  3. 調理の加熱条件等を表示する表示画面は液晶表示基板から形成されていることを特徴とする請求項1記載の加熱調理装置。
  4. 前記統合表示手段は、前記ケース内の温度を検出し、所定温度に達した場合、前記加熱源の加熱出力を低減又は停止させ、統合表示手段自身の過熱を防止する温度センサーを備えたことを特徴とする請求項1記載の加熱調理装置。
  5. 前記発光素子が本体前方から見て前記表示画面基板の後方位置に配置されるとともに、当該発光素子の近傍に前記温度センサーを設けていることを特徴とする請求項4記載の加熱調理装置。
  6. 通電制御回路は、加熱源の通電が停止されてから、加熱源と統合表示手段の温度が所定値以下になった場合、統合表示手段の電源を遮断することを特徴とする請求項1記載の加熱調理装置。
  7. 通電制御回路は、加熱源の通電が停止されてから、加熱源、統合表示手段及びその他の電気部品の温度がそれぞれの所定値以下になった場合、統合表示手段の電源を遮断することを特徴とする請求項1記載の加熱調理装置。
  8. 前記加熱源は、トッププレートの右側下方に設置した加熱源と、
    トッププレートの左側下方に設置した加熱源と、
    トッププレートの左右中央部下方に設置した加熱源と、
    を備え、
    前記発光素子は、中央加熱源の火力を表示するものであり、
    前記左右の各加熱源の火力は前記表示画面基板で表示させるように構成したことを特徴とする請求項1記載の加熱調理装置。
  9. 本体上面にトッププレートを設け、
    このトッププレートの下方に複数の加熱源を配置した加熱調理装置において、
    前記本体には、各加熱源の加熱条件が本体のトッププレート上方から視認可能な統合表示手段と、
    各加熱源の通電を制御する通電制御回路と、
    この回路から加熱源への電源投入条件を制御する入力手段とを設け、
    前記通電制御回路は、前記入力手段からの操作指令信号で加熱条件を設定でき、
    通電制御回路は、加熱源の通電条件や前記本体の動作状態を前記統合表示手段に表示し、
    前記統合表示手段は、
    加熱源の通電条件を表示する表示画面基板と、
    前記加熱源の通電状態を光により表示する発光素子と、
    前記本体の温度や動作の異常状態を知らせる報知素子と、
    この報知素子、前記発光素子及び前記表示画面基板を収容したケースと、
    を備えてなる加熱調理装置。
  10. 前記ケースは熱伝導性材料から形成された下ケースと、この下ケースの上面開口を塞ぐ断熱性材料から形成された上ケースとを備え、かつケースの外側には冷却用の風が流れる風路が形成されていることを特徴とする請求項9記載の加熱調理装置。
  11. 調理の加熱条件等を表示する表示画面基盤は液晶表示基板から形成されていることを特徴とする請求項9記載の加熱調理装置。
  12. 前記統合表示手段は、前記ケース内の温度を検出し、所定温度に達した場合、前記加熱源の加熱出力を低減又は停止させ、統合表示手段自身の過熱を防止する温度センサーを備えたことを特徴とする請求項9記載の加熱調理装置。
  13. 前記発光素子が本体前方から見て前記表示画面基板の後方位置に配置されるとともに、当該発光素子の近傍に前記温度センサーを設けていることを特徴とする請求項12記載の加熱調理装置。
  14. 前記通電制御回路は、前記温度センサー子からの異常信号を受けた場合、前記表示画面基盤に文字や記号などの手段で異常発生を表示することを特徴とする請求項12記載の加熱調理装置。
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