JP2008304059A

JP2008304059A - シールリング

Info

Publication number: JP2008304059A
Application number: JP2008138913A
Authority: JP
Inventors: Henry Bosch; ボッシュヘンリー; Roland Ruch; ルーフローラント; Lutz Steinert; シュタイネルトルッツ; Klaus Wintrich; ヴィントリヒクラウス
Original assignee: Mahle International GmbH
Current assignee: Mahle International GmbH
Priority date: 2007-06-01
Filing date: 2008-05-28
Publication date: 2008-12-18
Also published as: EP1997921A2; DE102007025758A1; EP1997921A3

Abstract

【課題】シールリングについて、特に先行技術から知られた欠点を克服する改善された一実施形態を提示する。
【解決手段】シールリング、特にターボチャージャ用のシャフトシールリングであって、鉄を基礎とする基礎材料又はニッケル基合金を基礎とする基礎材料を有し、かつホウ素処理されているシールリングによって解決される。
【選択図】なし

Description

本発明は、シールリング、特にターボチャージャ用のシャフトシールリングに関する。

ターボチャージャ中のシールリングの位置に応じて、シールリングの材料、特にシャフトシールリングの材料は、特にターボチャージャの全寿命にわたって封止機能を保証しうるために、種々の特性を有さねばならない。その際、封止機能は、主に、シールリングの耐摩耗性あるいはクリープ傾向によって影響を受けるので、特に新規で高負荷のターボチャージャの場合に、特にオットー機関については、高い耐摩耗性の他に、十分に高いクリープ抵抗も必要とされる。今までに係るシールリングのために使用されていた材料、特に工具鋼は、そのクリープ抵抗に関して十分でないが、一方で、オーステナイト系材料又はニッケル基合金は、しばしば十分な耐摩耗性を有さない。

本発明の課題は、シールリングについて、特に先行技術から知られた欠点を克服する改善された一実施形態を提示することである。

前記課題は、本発明によれば、独立請求項１の対象によって解決される。好ましい実施形態は、従属形式請求項の対象である。

前記独立請求項１の対象は、シールリング、特にターボチャージャ用のシャフトシールリングであって、鉄を基礎とする基礎材料又はニッケル基合金を基礎とする基礎材料を有し、かつホウ素処理されているシールリングである。

以下に、従属形式請求項に記載される好ましい実施形態を記載する。

前記のシールリングであって、
− 鉄を基礎とする基礎材料が、少なくとも部分的にオーステナイト系であること、又は
− 鉄を基礎とする基礎材料が、少なくとも部分的にフェライト系であること、又は
− 鉄を基礎とする基礎材料が、少なくとも部分的にパーライト系、ベイナイト系もしくはマルテンサイト系であること
を特徴とするシールリング。

前記のシールリングであって、基礎材料が、以下の元素の少なくとも１つを、以下に挙げられる濃度で有することを特徴とするシールリング：
− Ｃ０．０〜０．９質量％、
− Ｓｉ０．０〜３．０質量％、
− Ｍｎ０．０〜１９．０質量％、
− Ｐ、Ｓ、Ｂ０．０〜０．５質量％、
− Ｃｒ３．０〜２７．０質量％、
− Ｍｏ０．０〜６．０質量％、
− Ｎｉ０．０〜３７．０質量％、
− Ａｌ、Ｔｉ０．０〜６．０質量％、
− Ｎ０．０〜０．５質量％、
− Ｎｂ、Ｖ０．０〜２．５質量％、
− Ｗ、Ｃｕ０．０〜３．０質量％、
− Ｃｏ０．０〜１７．０質量％、
− Ｆｅ３５．０〜９７．０質量％、
並びに、
− 製造上の別の元素の不純物。

前記のシールリングであって、基礎材料が、以下の元素の少なくとも１つを、以下に挙げられる濃度で有することを特徴とするシールリング：
− Ｃ０．０〜０．２質量％、
− Ｓｉ０．０〜２．０質量％、
− Ｍｎ０．０〜２．０質量％、
− Ｐ、Ｓ、Ｂ０．０〜０．０５質量％、
− Ａｌ０．０〜０．４質量％、
− Ｃｒ１３．０〜１７．０質量％、
− Ｍｏ１．０〜２．０質量％、
− Ｎｉ２３．５〜２７．５質量％、
− Ｔｉ１．０〜３．０質量％、
− Ｖ０．０〜１．０質量％、
− Ｆｅ４５．０〜６２．５質量％、
並びに、
− 製造上の別の元素の不純物。

前記のシールリングであって、基礎材料が、以下の元素の少なくとも１つを、以下に挙げられる濃度で有することを特徴とするシールリング：
− Ｃ０．０〜０．７質量％、
− Ｓｉ０．０〜１．０質量％、
− Ｍｎ５．０〜１０．０質量％、
− Ｐ、Ｓ０．０〜０．５質量％、
− Ｃｒ１４．０〜２３．０質量％、
− Ｍｏ０．０〜５．０質量％、
− Ｎｉ０．０〜１５．０質量％、
− Ｔｉ０．０〜０．５質量％、
− Ｎ０．０〜０．５質量％、
− Ｎｂ０．０〜１．３質量％、
− Ｖ０．０〜１．２質量％、
− Ｗ０．０〜１．０質量％、
− Ｂ０．０〜０．１質量％、
− Ｃｏ０．０〜２．０質量％、
− Ｃｕ０．０〜２．０質量％、
− Ｆｅ４０．０〜８１．０質量％、
並びに、
− 製造上の別の元素の不純物。

前記のシールリングであって、基礎材料が、以下の元素の少なくとも１つを、以下に挙げられる濃度で有することを特徴とするシールリング：
− Ｃ０．５〜１．８質量％、
− Ｓｉ０．０〜１．０質量％、
− Ｍｎ０．０〜１．５質量％、
− Ｐ、Ｓ０．０〜０．５質量％、
− Ｃｒ、Ｍｏ２．０〜７．０質量％、
− Ｎｉ、Ｃｏ０．０〜１５．０質量％、
− Ｔｉ０．０〜０．５質量％、
− Ｃｕ０．０〜２．０質量％、
− Ｎ０．０〜０．３質量％、
− Ｎｂ０．０〜１．５質量％、
− Ｖ０．５〜３．０質量％、
− Ｗ２．０〜９．０質量％、
− Ｂ０．０〜０．１質量％、
− Ｆｅ４０．０〜９３．５質量％、
並びに、
− 製造上の別の元素の不純物。

前記のシールリングであって、基礎材料が、以下の元素の少なくとも１つを、以下に挙げられる濃度で有することを特徴とするシールリング：
− Ｃ０．０〜２．７質量％、
− Ｓｉ０．２〜２．３質量％、
− Ｍｎ０．０〜１．５質量％、
− Ｐ、Ｓ０．０〜０．５質量％、
− Ｃｒ２２．０〜３７．０質量％、
− Ｍｏ、Ｃｕ０．０〜３．０質量％、
− Ｎｉ０．０〜６．０質量％、
− Ｎ、Ｔｉ０．０〜０．５質量％、
− Ｖ、Ｎｂ０．０〜１．５質量％、
− Ｗ、Ｃｏ０．０〜２．０質量％、
− Ｂ０．０〜０．１質量％、
− Ｆｅ４０．０〜７７．９質量％、
並びに、
− 製造上の別の元素の不純物。

前記のシールリングであって、基礎材料が、以下の元素の少なくとも１つを、以下に挙げられる濃度で有することを特徴とするシールリング：
− Ｃ０．０〜０．２質量％、
− Ｓｉ０．０〜１．０質量％、
− Ｍｎ０．０〜１．０質量％、
− Ｐ、Ｓ、Ｂ０．０〜０．５質量％、
− Ｃｒ８．０〜３１．０質量％、
− Ｍｏ０．０〜１５．０質量％、
− Ｆｅ０．０〜３６．０質量％、
− Ｔｉ０．０〜５．０質量％、
− Ｎ、Ｌａ０．０〜０．５質量％、
− Ｎｂ０．０〜５．５質量％、
− Ｖ、Ｃｕ０．０〜２．０質量％、
− Ｈｆ、Ｚｒ０．０〜２．０質量％、
− Ｗ０．０〜１４．０質量％、
− Ｃｏ０．０〜２０．０質量％、
− Ｎｉ４０．０〜９２．０質量％、
並びに、
− 製造上の別の元素の不純物
前記のシールリングであって、ホウ素処理層の層厚が１〜５０μｍであることを特徴とするシールリング。

前記のシールリングの製造方法において、
− ホウ素処理のために、固体の、液体の、特にペースト状の、もしくは気体状のホウ素供与物（Ｂｏｒｓｐｅｎｄｅｒ）を使用すること、
及び／又は
− シールリングの基礎材料を焼成又は鋳造すること
を特徴とする方法。

前記の方法において、
− 棒状中実材料又は管状半製品からシールリングを旋削加工により作成すること、
又は
− ワイヤからシールリングを巻き付けにより作成すること
を特徴とする方法。

本発明は、シールリングのために、特にターボチャージャのシャフトシールリングのために、鉄もしくはニッケル基合金を基礎とする基礎材料を使用し、該シールリングをホウ素処理するという一般的思想に基づくものである。ホウ素処理とは、加工品上に耐摩耗性の表面を作成するための熱化学的な表層硬化法を表し、その際、当該ホウ素処理に際して、化学元素であるホウ素は、材料の表面層中に、ここではシールリングの表面層中に、８５０〜９５０℃の温度で導入される。ここで、約２５０μｍの深さにまでホウ化物層が形成され、該層は、シールリングの基礎材料に対しての、驚くべき良好な係留をもたらす。原則的に、当該ホウ素処理によって、一方で、高い耐摩耗性が得られ、他方では、材料の高いクリープ抵抗が得られる。更に、当該ホウ素処理は、８５０℃までの温度での高い機械的負荷及び摩擦学的負荷に際してのシールリングの使用を可能にする。例えばＰＶＤ法によって施与された摩耗保護層とは異なり、当該ホウ素処理によって、摩耗保護層とシールリングの基礎材料との明らかに改善された係留がもたらされる。前記の驚くべき良好な基礎材料と摩耗保護層（ホウ化物層）との間の結合は、特に、シャフトシールリングを通常折り曲げねばならない関連シャフト上にシャフトシールリングを取り付ける際に、前記結合の剥離を防ぐ。

引き続き硬化される、通常は非常に脆性で、そのため取り付けに際して破損傾向にあるシャフトシールリングと比較して、本発明によるホウ素処理を用いると、硬度が低下し、それにより脆性破壊の傾向が低減されるので、取り付けに際しての明らかに少ない破損品が期待でき、それにより明らかに改善された経済性が期待できる。当然のように、取り付けられた状態での緩みを制限するために、ホウ素処理されたシャフトシールリングを硬化させることができ／硬化させねばならない。しかし、ホウ素処理されたシャフトシールリングでの硬度は、例えば６０ＨＲＣ未満であってよく、有利には約４５ＨＲＣであってよい。

そのような驚くべき良好な摩耗保護層と基礎材料との間の結合は、別の表層硬化法によっては、例えば窒化によっては達成できない。窒化に際して、窒化物層と基礎材料との間のより劣悪な接合／結合に基づき、シャフトシールリングを折り曲げた場合に、窒化物層と基礎材料との間の拡散境界に沿って走る亀裂が生じ、その亀裂は、窒化物層の剥離をもたらし、更に摩耗保護層の破壊をもたらす。当然のように、ホウ素処理されたシャフトシールリングを折り曲げた場合にも、ホウ化物層の亀裂が生じることがある。しかしながらこの場合に、良好なホウ化物層と基礎材料との間の接合によって、生ずる亀裂は、方向変化をすることなく拡散境界を超えて延びるので、特に、摩耗保護層の剥離の原因となる拡散境界に沿って走る亀裂は生じない。折り曲げた場合に生ずる亀裂は、シャフトシールリングの取り付け後に、摩耗保護層について危険を伴わずに再び閉じることができる。

従って、本発明によるホウ素処理されたシャフトシールリングによって多くの実質的な利点：
− シャフトシールリングの改善された耐摩耗性と、それによる長期の寿命、
− 低減された脆性破壊傾向と、それによる取り付けに際してのより低い破損品割合、
− 改善された経済性
を実現できる。

適切には、鉄を基礎とする基礎材料は、少なくとも部分的にオーステナイト系である。オーステナイトとしては、鉄のγ型混晶を指し、その際、オーステナイトは、通常は、面心立方構造を有する。その組織自体は低い硬度を有するが、硬度は、例えば冷間加工によって高めることができる。

それに代わって、鉄を基礎とする基礎材料は少なくとも部分的にマルテンサイト系であることが可能である。マルテンサイトは、拡散を伴わずかつ無熱的に出発組織から共同的な剪断移動によって生ずる固体の準安定な組織である。例えば、オーステナイト中に固溶された炭素を、非常に急速な冷却によって、例えば焼き入れに際して強制固溶することができ、それにより非常に硬質な組織が生成する。フェライト、パーライト及びベイナイト以外のマルテンサイトの第一部分が生成する冷却速度は、その際、下限臨界冷却速度と呼ばれる。一般に、マルテンサイトは、鋼鉄の場合に、硬度上昇を達成するために使用される。その際、マルテンサイトの炭素含有率が高ければ高いほど、その硬度も高くなる。

更なる選択肢として、鉄を基礎とする基礎材料は少なくとも部分的にベイナイト系であることが可能である。ベイナイトは、パーライトあるいはマルテンサイトの形成のための温度の間の温度で形成する。純粋なマルテンサイト形成の場合とは異なり、ここでは、結晶格子中の反転過程と拡散過程とが連関し、それにより種々の変態機構が可能となる。

明細書と特許請求の範囲に示される全ての特徴は、単独でも、任意の形態で互いに組み合わせても発明性がある。

Claims

シールリング、特にターボチャージャ用のシャフトシールリングであって、鉄を基礎とする基礎材料又はニッケル基合金を基礎とする基礎材料を有し、かつホウ素処理されているシールリング。
請求項１に記載のシールリングであって、
− 鉄を基礎とする基礎材料が、少なくとも部分的にオーステナイト系であること、又は
− 鉄を基礎とする基礎材料が、少なくとも部分的にフェライト系であること、又は
− 鉄を基礎とする基礎材料が、少なくとも部分的にパーライト系、ベイナイト系もしくはマルテンサイト系であること
を特徴とするシールリング。
請求項１又は２に記載のシールリングであって、基礎材料が、以下の元素の少なくとも１つを、以下に挙げられる濃度で有することを特徴とするシールリング：
− Ｃ０．０〜０．９質量％、
− Ｓｉ０．０〜３．０質量％、
− Ｍｎ０．０〜１９．０質量％、
− Ｐ、Ｓ、Ｂ０．０〜０．５質量％、
− Ｃｒ３．０〜２７．０質量％、
− Ｍｏ０．０〜６．０質量％、
− Ｎｉ０．０〜３７．０質量％、
− Ａｌ、Ｔｉ０．０〜６．０質量％、
− Ｎ０．０〜０．５質量％、
− Ｎｂ、Ｖ０．０〜２．５質量％、
− Ｗ、Ｃｕ０．０〜３．０質量％、
− Ｃｏ０．０〜１７．０質量％、
− Ｆｅ３５．０〜９７．０質量％、
並びに、
− 製造上の別の元素の不純物。
請求項１又は２に記載のシールリングであって、基礎材料が、以下の元素の少なくとも１つを、以下に挙げられる濃度で有することを特徴とするシールリング：
− Ｃ０．０〜０．２質量％、
− Ｓｉ０．０〜２．０質量％、
− Ｍｎ０．０〜２．０質量％、
− Ｐ、Ｓ、Ｂ０．０〜０．０５質量％、
− Ａｌ０．０〜０．４質量％、
− Ｃｒ１３．０〜１７．０質量％、
− Ｍｏ１．０〜２．０質量％、
− Ｎｉ２３．５〜２７．５質量％、
− Ｔｉ１．０〜３．０質量％、
− Ｖ０．０〜１．０質量％、
− Ｆｅ４５．０〜６２．５質量％、
並びに、
− 製造上の別の元素の不純物。
請求項１又は２に記載のシールリングであって、基礎材料が、以下の元素の少なくとも１つを、以下に挙げられる濃度で有することを特徴とするシールリング：
− Ｃ０．０〜０．７質量％、
− Ｓｉ０．０〜１．０質量％、
− Ｍｎ５．０〜１０．０質量％、
− Ｐ、Ｓ０．０〜０．５質量％、
− Ｃｒ１４．０〜２３．０質量％、
− Ｍｏ０．０〜５．０質量％、
− Ｎｉ０．０〜１５．０質量％、
− Ｔｉ０．０〜０．５質量％、
− Ｎ０．０〜０．５質量％、
− Ｎｂ０．０〜１．３質量％、
− Ｖ０．０〜１．２質量％、
− Ｗ０．０〜１．０質量％、
− Ｂ０．０〜０．１質量％、
− Ｃｏ０．０〜２．０質量％、
− Ｃｕ０．０〜２．０質量％、
− Ｆｅ４０．０〜８１．０質量％、
並びに、
− 製造上の別の元素の不純物。
請求項１又は２に記載のシールリングであって、基礎材料が、以下の元素の少なくとも１つを、以下に挙げられる濃度で有することを特徴とするシールリング：
− Ｃ０．５〜１．８質量％、
− Ｓｉ０．０〜１．０質量％、
− Ｍｎ０．０〜１．５質量％、
− Ｐ、Ｓ０．０〜０．５質量％、
− Ｃｒ、Ｍｏ２．０〜７．０質量％、
− Ｎｉ、Ｃｏ０．０〜１５．０質量％、
− Ｔｉ０．０〜０．５質量％、
− Ｃｕ０．０〜２．０質量％、
− Ｎ０．０〜０．３質量％、
− Ｎｂ０．０〜１．５質量％、
− Ｖ０．５〜３．０質量％、
− Ｗ２．０〜９．０質量％、
− Ｂ０．０〜０．１質量％、
− Ｆｅ４０．０〜９３．５質量％、
並びに、
− 製造上の別の元素の不純物。
請求項１又は２に記載のシールリングであって、基礎材料が、以下の元素の少なくとも１つを、以下に挙げられる濃度で有することを特徴とするシールリング：
− Ｃ０．０〜２．７質量％、
− Ｓｉ０．２〜２．３質量％、
− Ｍｎ０．０〜１．５質量％、
− Ｐ、Ｓ０．０〜０．５質量％、
− Ｃｒ２２．０〜３７．０質量％、
− Ｍｏ、Ｃｕ０．０〜３．０質量％、
− Ｎｉ０．０〜６．０質量％、
− Ｎ、Ｔｉ０．０〜０．５質量％、
− Ｖ、Ｎｂ０．０〜１．５質量％、
− Ｗ、Ｃｏ０．０〜２．０質量％、
− Ｂ０．０〜０．１質量％、
− Ｆｅ４０．０〜７７．９質量％、
並びに、
− 製造上の別の元素の不純物。
請求項１に記載のシールリングであって、基礎材料が、以下の元素の少なくとも１つを、以下に挙げられる濃度で有することを特徴とするシールリング：
− Ｃ０．０〜０．２質量％、
− Ｓｉ０．０〜１．０質量％、
− Ｍｎ０．０〜１．０質量％、
− Ｐ、Ｓ、Ｂ０．０〜０．５質量％、
− Ｃｒ８．０〜３１．０質量％、
− Ｍｏ０．０〜１５．０質量％、
− Ｆｅ０．０〜３６．０質量％、
− Ｔｉ０．０〜５．０質量％、
− Ｎ、Ｌａ０．０〜０．５質量％、
− Ｎｂ０．０〜５．５質量％、
− Ｖ、Ｃｕ０．０〜２．０質量％、
− Ｈｆ、Ｚｒ０．０〜２．０質量％、
− Ｗ０．０〜１４．０質量％、
− Ｃｏ０．０〜２０．０質量％、
− Ｎｉ４０．０〜９２．０質量％、
並びに、
− 製造上の別の元素の不純物
請求項１から８までのいずれか１項に記載のシールリングであって、ホウ素処理層の層厚が１〜５０μｍであることを特徴とするシールリング。
請求項１から９までのいずれか１項に記載のシールリングの製造方法において、
− ホウ素処理のために、固体の、液体の、特にペースト状の、もしくは気体状のホウ素供与物を使用すること、
及び／又は
− シールリングの基礎材料を焼成又は鋳造すること
を特徴とする方法。
請求項１０に記載の方法において、
− 棒状中実材料又は管状半製品からシールリングを旋削加工により作成すること、
又は
− ワイヤからシールリングを巻き付けにより作成すること
を特徴とする方法。