JP2008303734A - ベーンポンプ - Google Patents
ベーンポンプ Download PDFInfo
- Publication number
- JP2008303734A JP2008303734A JP2007149288A JP2007149288A JP2008303734A JP 2008303734 A JP2008303734 A JP 2008303734A JP 2007149288 A JP2007149288 A JP 2007149288A JP 2007149288 A JP2007149288 A JP 2007149288A JP 2008303734 A JP2008303734 A JP 2008303734A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- flow path
- cover
- vane pump
- suction
- side suction
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Images
Landscapes
- Rotary Pumps (AREA)
- Details And Applications Of Rotary Liquid Pumps (AREA)
Abstract
【課題】吸込流路の構造を改善することによりキャビテーションの発生が抑制されるとともに、製造コストの低減及び軽量化が達成されたベーンポンプを提供すること。
【解決手段】ベーンポンプ1の吸込側流路12とカバー側吸込流路22との間の屈曲部に、両流路を連通させる内部流路14aを有するパイプ体14を装着する。この内部流路14aは、上記屈曲部において、入口部14bをボデー側吸込流路12に、出口部14cをカバー側吸込流路22に跨いで連通している。また、このパイプ体の内部流路14aは、緩やかな曲率半径で形成されているとともに、内部流路14aの出口部14cが、カバー側吸込流路22の入口部14b内にまで積極的に延長して配置されている。
【選択図】図1
【解決手段】ベーンポンプ1の吸込側流路12とカバー側吸込流路22との間の屈曲部に、両流路を連通させる内部流路14aを有するパイプ体14を装着する。この内部流路14aは、上記屈曲部において、入口部14bをボデー側吸込流路12に、出口部14cをカバー側吸込流路22に跨いで連通している。また、このパイプ体の内部流路14aは、緩やかな曲率半径で形成されているとともに、内部流路14aの出口部14cが、カバー側吸込流路22の入口部14b内にまで積極的に延長して配置されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、ベーンポンプに関し、特に作動油の吸込側流路におけるキャビテーションの発生を抑制し、種々の油圧機器の油圧源として最適なベーンポンプに関する。
油圧ポンプの形式として、例えばギアポンプ、トロコイドポンプ、ベーンポンプ等があるが、これらの中でベーンポンプは、他のポンプに比べて、吐出量が多く、比較的安価であるため、自動車業界、建設業界等の広い分野で採用されている。
このような従来のベーンポンプとしては、例えば図6乃至図8に示す構造のベーンポンプ50及び図9に示す構造のベーンポンプ50Aが知られている。
このうち前者のベーンポンプ50は、図6のベーンポンプ50の縦断面図及びカバー57を取り外してX-X矢印方向から見た図である図7に示すように、ボデー51に形成された開口部52の内周面内にカムリング53を固定し、そのカムリング53の内部に、駆動軸54、ロータ55、ベーン56を同心状に回転自在に収装し、さらにロータ55とボデー51との間にサイドプレート58を介設し、カバー57で封止したものである。
そして、これらロータ55等に至る作動油流路として、ボデー51の上方に作動油の吸込ポート59と、この吸込ポート59と連通し、駆動軸54と並行してカバー57方向に向かう導入路60とが設けられ、これら両流路59、60でボデー側吸込流路61を構成している。
なお、符号62は、図示しない油圧機器からの作動油の還流路であり、図示しない流量制御弁を経て導入路60に合流するようになっているが、流量制御弁は必須のものではなく、ベーンポンプ50の回転数に比例して全量吐出する構造のものであれば必要のないものである。
また、図6のポンプ50のY−Y矢視図である図8に示すように、カバー57の接合面57aには、基端部57bと、これから分岐した二股状流路57cと、その先端部57dとからなる左右一対のカバー側吸込流路57eが凹設されており、上記ロータ55が矢印P方向(反時計方向)に回転することにより、図6の導入路60からカバー57の基端部57bに吸い込まれた作動油が一対の二股状流路57cで左右に分流され、先端部57dを経て、図7に示す、ベーン間容積が拡大する可変容積室である左右一対の吸込室64、64に吸い込まれる。
さらに、ロータ55が図7の矢印P方向に回転すると、作動油は今度はベーン間容積が縮小される左右一対の吐出室65、65に移動しつつ加圧されて、図6のサイドプレート58の高圧ポート63から吐出され、ボデー51の開口部52の最奥部に形成された高圧室66を経て、図示しない出口ポートから吐出されるようになっている。
一方、図9は、他例のベーンポンプ50Aの縦断面図であり、ベーンポンプ50A全体の外径を小さくするべく、カムリング53A、ロータ55A、ベーン56Aを一対のサイドプレート58A、58Bで挟持し、カバー57Aの接合面57Bに凹設されている二股状流路57fを中子形状に形成することにより、前述の従来ポンプ50よりも二股状流路57fを内径側に配置した形式のものもある。
他方、上記ベーンポンプに関連する先行技術としては、特許文献1に記載のベーンポンプが知られている。
説明図は省略するがこの特許文献1に記載のベーンポンプは、従来のベーンポンプの吸込側流路として、カバーに中子を用いて中空状通路を形成していたのを生産性の向上と製造コストの低減化の要請から、中子の使用を廃止し、前述の図8で説明したのと同様構成の二股状流路をボデーとカバーとの接合面に形成して吸込流路構造の簡略化を図ったものである。
特開平10−306781(段落0005、図11)
しかしながら、上記従来のベーンポンプ50は、図6に示したとおり、カバー57がボデー51の接合面51aに接合して固定されるという構造上、接合面51aを跨いで連続する折れ曲がり部を形成できず、その結果、カバー57側だけで折れ曲がり部の曲率を稼ぐこととなる。
その結果、ボデー51側の導入路60と、カバー57側のカバー側吸込流路57e(図6参照)とは、接合面51aを境に約90度(図の中心角α)急激に折れ曲がることとなり、ロータ55が高回転になるほどキャビテーションが急速に発生し易くなるという問題があった。
この問題は、図9で説明した従来のベーンポンプ50Aにおいても、流路構造がポンプ50と同様であるため生じていた。
また、当該急激に折れ曲がった流路の内径側(流路内壁のうち駆動軸側部分)は、流路構造上、どうしてもエッジ(角)形状となるため、上記キャビテーションの発生が助長されていた。
さらに、カバー57をボルト57hにてボデー51に締付固定しているが、カバー57のボルト孔57g(図8参照)は組立効率や加工精度を考慮してボルト径よりも若干大きな内径のものが設けられているため、ボデー51とカバー57との間で位置ずれが発生し易く、この導入路60とカバー側吸込流路57e間のずれによってもキャビテーションが発生することとなっていた。
一方、前述した特許文献1に記載のベーンポンプにおいては、改善されたのはカバーとボデー間の接合面に形成される吸込流路の構造的欠陥であるから、カバー側吸込流路の問題は解消されているが、ボデー側吸込流路とカバー吸込流路との間には依然として折れ曲がった屈曲部を有しており、これに起因するキャビテーション発生の問題は解決されていない。
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、従来の吸込流路の構造的欠陥を改善することにより、作動油の吸込側流路がカバーとボデーの2分割構造からなるベーンポンプにおいても、ボデーからカバーにかけての吸込流路内におけるキャビテーションの発生を抑制し、吐出流量が安定した高性能のベーンポンプを提供すること、及び製造コストの低減化及び軽量化が達成されたベーンポンプを提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するため、ロータ、ベーン及びカムリングを収装するボデーと、該ボデー内に収装された前記カムリング、ロータ、ベーン及びカムリングを封止するカバーと、作動油の吸込ポート及び吐出ポートとを備え、前記吸込ポートから前記ロータに至る前記作動油の吸込側流路が、前記吸込ポートに連通するボデー側吸込流路と、前記ロータに連通するカバー側吸込流路とで構成されるとともに、両流路間に、流路の向きを変える屈曲部が形成されて成るベーンポンプにおいて、前記屈曲部に、入口部を前記ボデー側吸込流路に、出口部を前記カバー側吸込流路に跨いで連通する内部流路が形成されたパイプ体を装着し、前記内部流路を緩やかな曲率半径で形成するとともに、該内部流路の前記出口部を前記カバー側吸込流路の入口部内にまで積極的に延長して配置したことを特徴とするベーンポンプである。
本発明によれば、ボデー側吸込流路とカバー側吸込流路との間の屈曲部に、入口部をボデー側吸込流路に、出口部をカバー側吸込流路に跨いで連通させる流路が内部に形成されたパイプ体を装着し、このパイプ体の内部流路を緩やかな曲率半径で形成するとともに、内部流路の出口部をカバー側吸込流路の入口部内にまで積極的に延長して配置させたので、ボデー側吸込流路から吸い込まれる作動油をカバー側吸込流路にスムーズに導くことができる。
すなわち、上記屈曲部に装着したパイプ体は、パイプ体が通常有する構造的特徴としてその内壁面が滑らかであるうえ、作動油の流路を入口部から出口部に至るまでほぼ同一断面積を維持した状態で緩やかな曲率半径で方向転換するので、従来ポンプの如き曲げ角度が90度に近い急激な流路変更を強いる屈曲部が解消でき、この部位での流路抵抗を格段に減少させることができる。
したがって、本発明のポンプは、従来ポンプの吸込流路の構造的欠陥である屈曲部に起因するキャビテーションの発生を抑制することができ、吐出流量が安定した高性能のベーンポンプが得られる。
以下、本発明の最良の実施形態を一実施例の図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施例に係るベーンポンプ1の縦断面図、図2は、図1のベーンポンプ1からカバー9を取り除いた状態でA−A矢印方向から見た図、図3は、そのカバー9の右側面図で図1のベーンポンプ1のB−B矢視図である。
なお、本実施例のベーンポンプ1のポンプ自体の構造は、前述した従来のベーンポンプ50の構造とほぼ同様であるが、他の構成部材も有するので再度、詳細に説明する。
図1において、本実施例のベーンポンプ1は、主要構成部材として、図示しない本ポンプの駆動機器に固定されるボデー2と、ボデー2の略中央部を貫通し、その右端部において図示しないプーリ等により駆動される駆動軸3と、ボデー2の左端部の接合面2aに開口した開口部2b内に、駆動軸3と同軸状に収装されるロータ4、ベーン5及びカムリング6と、前記ロータ4等とボデー2との間に介設したサイドプレート7と、これら部材を開口部2b内に収装した状態で封止する上記カバー9とで構成される。
これら各部材について詳述すると、ボデー2内には、駆動軸3が貫通し、この駆動軸3は軸受メタル11により回転自在に軸支されている。
駆動軸3の左端部の外周面には、スプライン3aが形成されており、これにロータ4が嵌合して両者が同期回転する。
図2に示すように、ロータ4の外周には、さらに複数のスリット4aが所定間隔で放射状に形成されており、各スリット4a内には板状のベーン5が半径方向に出没自在に組み込まれている。
また、ベーン5の外周には、ベーン先端部がロータ4の回転に伴って摺接するための楕円形状の内周面6aを有するカムリング6が一対のピン17によりボデー2に固定されている。
このピン17は、図1のサイドプレート7に装着され、カムリング6を貫通してカバー9に設けられた固定穴30(図3参照)に固定又は挿入されており、カバー9をボデー2に固定することでカムリング6が回動しないように所定の位置関係を保持している。
サイドプレート7は、ベーンの5の回転に伴い、隣接ベーン5間で仕切られる容積が増減する領域である吐出室19(図2参照)をボデー2側から仕切るためのもので、ボデー2の開口部の最奥部にOリング7aを介して装着されている。
また、一対の吐出室19のサイドプレート7の対応位置には、高圧に昇圧された作動油を開口部2bの最奥部に形成された高圧室20に導くための高圧吐出孔21が形成されている。
このサイドプレート7と、前述のロータ4、ベーン5及びカムリング6とは、駆動軸3に貫通された状態で開口部2b内に収装される駆動軸3の端部において、駆動軸3は抜け止めとしてスナップリング31によりロータ4と固定される。
一方、図3及び図1に示すように、カバー9は、ボデー2の開口部2bをその接合面9aにおいて液密状態に封止するための蓋体であり、ボデー2の接合面2aに形成されたOリング溝32内に装着されたOリング33を介して、ボルト8をカバー9のボルト孔9c(図3参照)に貫通して、接合面9aに設けられた植込みボルト孔2c(図2参照)に捩じ込むことにより接合面9aに密着、固定される。
これらベーンポンプの構成部材に対する作動油の流路としては、以下のように構成される。
すなわち、図1に示すように、駆動軸3の上方に、駆動軸3と直交するように作動油の吸込ポート12aが設けられ、この吸込ポート12aは、吸込ポート12aの下方において図示しない流量制御弁からの作動油の還流路13と合流した後、導入路12bと連通している。
この導入路12bは、駆動軸3と並行して接合面2a方向に延び、その先端部は、接合面2aに圧入、固定され、後に詳述するパイプ体14の内部流路14aの入口部14bに連通している。したがって、これら吸込ポート12aと、導入路12bとでボデー側吸込流路12を形成している。
なお、本実施例においても上記流量制御弁は、必須の構成部材ではなく、当該ベーンポンプの1の回転数に比例して全量吐出する構造のものであれば設ける必要はない。
一方、図3に示すように、カバー9の接合面9aには、従来ポンプ同様、作動油の入口部である基端部22aと、この基端部22aから二股状に分岐された二股状流路22bと、その先端部22cとが互いに連通状態で凹設されており、これら流路の開口面側は、上記ボデー2の接合面、カムリング、ロータ等で閉塞され、これら流路でカバー側吸込流路22を構成している。
そして、基端部22a位置には、ボデー2側に圧入、固定された二点鎖線で示す上記パイプ体14の出口部14cが位置するとともに、その出口部14cが上記一対の先端部22cのうち右側方向の先端部22cに臨むように中心線Cに対し、傾斜角θで傾斜された状態で固定されている。
ここで、本発明の特徴であるパイプ体14について、図4を参照してさらに詳述する。
前述したように本発明のパイプ体14は、吸込流路内におけるキャビテーションの発生を抑制するために、ボデー側吸込流路12と、カバー側吸込流路22間に位置するほぼ90度近い屈曲部を解消し、ボデー側吸込流路12から流入する作動油をカバー側吸込流路22方向に緩やかな曲率半径で方向転換するものである。
したがって、パイプ体14の内部流路14aの曲率半径R及びその断面積は、上記屈曲部における物理的条件が許す限り、大きな曲率半径と断面積が確保できるように設定するのが良い。なお、本発明でいう「曲率半径R」とは、同一半径Rで内部流路14aを方向転換させる通常の曲率半径の他、流路の方向転換とともに前記曲率半径Rから多少、半径方向に前後する半径も含まれる広い概念のものである。
内部流路14aの断面形状としては、入口部14bは、カバー側吸込流路22の導入路12bが通常、円形断面であることから、パイプ体14の装着の都合上、同様に円形断面であるのが好ましいが、については、出口部14cにおけるカバー側吸込流路22の基端部22aの流路軸直交断面における形状が必ずしも円形断面ではないことから円形断面にする必要はなく、上記基端部22aの流路軸直交断面に準じた形状出口部14cの断面形状にするのが良い。
例えば、出口部14cを、カバー側吸込流路22の基端部22aに臨ませるともに、その断面形状を前述したロータの駆動軸の軸線方向に対して、直角となる方向に次第につぶれた楕円形状のものにしたり、或いは流体力学的配慮からカバー9側の断面積を大きくし、ボデー2側の断面積が小さくなるようにした非円形断面の断面形状を採用しても良い。なお、内部流路14aの入口部14bと出口部14cとをいずれも同一内径の円形断面に形成できる場合は、同一断面積を維持した状態でその方向転換をすることができるので、この部位でのキャビテーションが発生しにくい流路断面設計ができる。
図4に示すように、本実施例のパイプ体14は、入口部14bの内径がd1で軸方向長さがLの円筒体に対し、中心の曲率半径がRで、かつ中心角θ1が90度よりもやや大なる角度まで曲げたエルボ状パイプ体が接続されてなるものである。
したがって、パイプ体14の出口部14cにおいて、パイプ体14の外周面とカバー側吸込流路22の基端部22aの内壁面との間には、図示の通り若干の隙間Sができる。しかし、この隙間Sは、パイプ体14の出口部14cからの作動油の流出方向と対向するものではないので問題となるものではないが、必要な場合はパイプ体14の出口部14cを傾斜角度θに設定後、適当な充填材で埋めても良い。
上記断面形状のパイプ体14の製造方法としては、絞り、切削加工方法等如何なる方法を採用しても良いが、通常は内径がd1で長さがカバー側内壁面の全長に等しい長さのパイプ素材に対し、通常の絞り加工、曲げ加工の塑性変形加工を施した後、両端部に適当な切断加工を加えることにより、容易かつ安価に製造することができる。前述した出口部14cの断面形状が非円形断面を有するパイプ体14についても同様である。
なお、パイプ体14の材質は、いかなるものでも良いが、例えば押出アルミ材、引抜アルミ材等の素材を用いると加工が容易である上、ベーンポンプ全体の軽量化が達成できる。ボデー2とカバー9の材質についても同様である。
そして、本実施例のパイプ体14は、図3の二点鎖線で示すように、内部流路14aの出口部14cをカバー側吸込流路22の入口部である基端部22a内にまで積極的に延長して配置するとともに、傾斜角θだけ一対の先端部22cのうち作動油の流路内圧力が低くなる図3の右側の先端部22c方向に振り向けた状態で固定したものである。
固定方法としては、パイプ体14の入口部14bを、ボデー側吸込流路12に同心状に設けた深さがLで、かつその内径Dがボデー側吸込流路12の導入路12bの内径よりもパイプ肉厚のほぼ二倍分だけ大なる内径のパイプ体装着穴15に圧入、固定している。
このような圧入、固定方法としては、パイプ体14が完全に緩まないようにするために焼き嵌め程度の寸法関係となるようにパイプ体装着穴15に強固に圧入、固定しても良いが、パイプ体14の出口部14cの上記傾斜角θを最適化するために、ポンプ使用時に緩まないことを条件に、パイプ体の内部流路14aの入口部14bがボデー側吸込流路12の導入路軸を中心として回動できる程度の寸法関係で圧入するのが良い。
なお、ポンプ使用時において、図3の右側の先端部22cの流路内圧力が左側よりも小さくなる理由は、図2に示すように、ロータ4が図の矢印P方向(反時計方向)に回転した場合、カバー側吸い込み流路22がロータ4の両側に位置するのに対し、その間に位置するベーン5の回転方向は矢印P方向のみと方向性があるために、本図2の場合では一般に図2の左側の吸込室18の圧力が右側の吸込室18よりも低圧となるからである。
したがって、図2の右側の吸込室18位置に対応するカバー側吸込流路22の一対の先端部22cのうち、左側の先端部22c側の内圧が右側の先端部22cよりも低圧となり、キャビテーションが発生し易くなる。
しかし、前述したように、本実施例のパイプ体14は、内部流路14aの出口部14cが図3に示すカバー3の接合面9aに形成されている一対の先端部22cのうち、流路内圧力が低くなる方の左側の先端部22c方向に、中心線Cに対して傾斜角度θ分だけ振り向けて固定されているので、ボデー側吸込流路12からパイプ体14を経てカバー側吸込流路22の基端部22aに流入した作動油を左側の先端部22cよりもより多く振り向けることができる(いわばチューニング)。
その結果、先端部22c内の吸込み圧力のバランスを取れるとともに、低いほうの圧力を高めることでキャビテーションの発生を抑制することができる。
以上の説明のうち、内部流路14aの曲率半径Rや断面形状等については、主として曲率半径が最大となるカバー9側の内壁面を意識して説明したが、曲率半径が最小となるボデー2側の内壁面形状についても同様であり、なるべく大なる曲率半径で、ボデー側吸込流路12からカバー側吸込流路22にスムーズに移行できる形状を採用する。
次に、本実施例のベーンポンプの作用、効果を説明する。
図1及び図2において、まず駆動軸3が図示しないモータにより駆動され、ロータ4がベーン5とともに矢印P方向(図2)に回転すると、図示しない油圧機器から作動油が吸込ポート12aから吸い込まれ、導入路12bを経て、パイプ体14の入口部14bに流入する。
入口部14bに流入した作動油は、内部流路14aの曲率半径が緩やかな曲率半径で形成されているので、この分だけ曲率半径Rがパイプ体14を設けなかった場合に比べて緩やかな曲率半径にてスムーズにカバー側吸込流路22方向に方向転換される。
そして、出口部14cに到達した作動油は、当該出口部14cがカバー側吸込流路22の入口部である基端部22a内にまで積極的に延長されて配置されているので、偏流を起すことなく、確実に基端部22a内に導かれる。
基端部22aに導かれた作動油は、二股状流路22bで左右に分流され、出口部である先端部22cに至るが、パイプ体14の出口部14cが流路内圧力が小さい方の図3の右側の先端部22c方向に傾斜角度θで振り向けられているので、この流路側に作動油が多く流れる。
その結果、両先端部22c内の作動油圧力のバランスを取るとともに、低い方の圧力を高めることで、この流路内でのキャビテーションの発生が抑制される。
先端部22cに到達した作動油は、図2に示すベーン間容積が拡大する領域である左右一対の吸込室18、18に吸い込まれる。
さらにロータの回転が進むと作動油は、吐出室19、19に至り、ここで昇圧され、サイドプレート7の高圧吐出孔21を経て、ボデー2の高圧室20に吐出され、図示しない吐出ポートから図示しない油圧機器に高圧作動油として供給される。
このように、本実施例のベーンポンプ1によれば、従来のボデー側吸込流路12とカバー側吸込流路22間の屈曲部に、内部流路14aの曲率半径が緩やかな曲率半径を有するパイプ体14を装着したので、従来ポンプの曲げ角度が90度の屈曲部が解消され、作動油がスムーズにカバー側吸込流路22方向に方向転換されることとなり、作動油の吸込流路内におけるキャビテーションの発生が格段に抑制される。
また、パイプ体14の出口部14cがカバー側吸込流路22の入口部である基端部22a内にまで積極的に延長されて配置されているので、作動油は偏流を起すことなく、確実にカバー側吸込流路22内にまで導かれる。
また、ロータ回転方向の方向性により、カバー側吸込流路22内の一対の先端部22c内において、いずれか一方の流路に作動油が偏流する場合は、パイプ体14を傾斜角度θで回動させて傾斜させるだけで左右の先端部22cに作動油をバランス良くさらに低い方の圧力を高めて供給でき、簡単な調整でキャビテーションの発生を容易、かつ効果的に抑制することができる。
さらに、パイプ体14は、容易に入手でき、かつ容易に曲げ、もしくは絞り加工ができるものであり、しかもその装着はパイプ体14以外に特別な部品を必要とするものではなく、ボデー側吸込流路12の導入路にパイプ体14が圧入固定できる程度のパイプ体装着穴15を同心状に設けるだけで済むので、製造コストの低減化を図ることができる。また、パイプ体14を固定する際は、パイプ体14をボデー2側に圧入した後、これにカバー9を被せるので、カバー9をボデー2に固定する際の位置決めにもなる。
この場合、ポンプ形式が異なっても、口径、流量等のポンプ仕様に応じた最適のパイプ体をベーンポンプ形式ごとに予め準備しておき、パイプ体の装着に際しては、ボデー側吸込流路の出口部に設けたパイプ体装着穴に圧入、固定するだけでよいから、大幅な改造コストを要しない簡単な作業で既存のベーンポンプをキャビテーションの発生しにくいものに容易に調整することができる。
図5に示すベーンポンプ1Aは、図9において前述した実施例1とは異なるタイプの従来のベーンポンプにおいて、その吸込流路の屈曲部に本発明の特徴であるパイプ体14Aを装着したことにより、キャビテーションの発生が抑制された例を示す縦断面図である。
図において、本実施例に係るベーンポンプ1Aは、カムリング53A、ロータ55A、ベーン56A等の基本的構造自体は前述の従来のベーンポンプ50Aと同様構造であるが、異なっている点は、カバープレートがボデー2A側のみならず、カバー9A側にも存在してロータ55A等を挟持する如く両側に配置されていること、入口ポート12Aと、導入路12Bとからなるボデー側吸込流路12Cが、実施例1のポンプ1では駆動軸3の上部に配置されていたのに対し、本実施例では駆動軸3Aの下部に配置されていること、及びベーンポンプ1A全体の外径を小さく抑制すべく、カバー9Aの接合面9Bに凹設されている二股状流路22Fを中子状に形成するとともに、二股状流路22Fをより内径側に配置した点にある。
しかし、本実施例のベーンポンプ1Aにおいても、図1乃至図4において前述した実施例1のパイプ体14と同様構成のパイプ体14Aを、同様の装着方法にて上記ボデー側吸込流路12Cとカバー側吸込流路22Aとの間の屈曲部に装着したものであり、本実施例のベーンポンプ1Aにおいても、実施例1のベーンポンプ1が奏する作用、効果と全く同じ作用、効果を奏することができる。
このように、本実施例は、たとえベーンポンプの形式が変わっても、吸込流路に屈曲部を有するものであれば、本発明の特徴であるパイプ体14Aを容易に装着でき、実施例1と同様の優れた作用、効果が得られることを示したものである。
なお、本実施例2及び前述の実施例1では、説明の都合上、パイプ体14、14Aの出口端の形状は円形断面のものにしたが、これを前述したように、例えば楕円形などの駆動軸の軸線方向に対して直角となる方向につぶれた形状のものにすると作動油が二股状流路に流れ込み易くなるという効果がある。
以上に説明した本発明のベーンポンプは、従来のベーンポンプの吸込側流路における構造的欠陥を解消し、その改善を図ることにより、キャビテーションの発生を抑制するものであるから、吸い込み流路を備えるポンプならばベーンポンプに限らず、あらゆる形式のポンプに広く適用することができる。
1、1A ベーンポンプ(本発明)
2 ボデー
2a ボデー側接合面
3 駆動軸
4 ロータ
5 ベーン
6 カムリング
7 サイドプレート
8 ボルト
9 カバー
9a カバー側接合面
12、12C ボデー側吸込流路
12a 吸込ポート
12b 導入路
14、14A パイプ体
14a 内部流路
14b 入口部
14c 出口部
15 パイプ体装着穴
22、22A カバー側吸込流路
22a 基端部
22b 二股状流路
22c 先端部
R、α 曲率半径
θ 傾斜角
θ1 中心角
2 ボデー
2a ボデー側接合面
3 駆動軸
4 ロータ
5 ベーン
6 カムリング
7 サイドプレート
8 ボルト
9 カバー
9a カバー側接合面
12、12C ボデー側吸込流路
12a 吸込ポート
12b 導入路
14、14A パイプ体
14a 内部流路
14b 入口部
14c 出口部
15 パイプ体装着穴
22、22A カバー側吸込流路
22a 基端部
22b 二股状流路
22c 先端部
R、α 曲率半径
θ 傾斜角
θ1 中心角
Claims (4)
- ロータ、ベーン及びカムリングを収装するボデーと、該ボデー内に収装された前記カムリング、ロータ、ベーン及びカムリングを封止するカバーと、作動油の吸込ポート及び吐出ポートとを備え、
前記吸込ポートから前記ロータに至る前記作動油の吸込側流路が、前記吸込ポートに連通するボデー側吸込流路と、前記ロータに連通するカバー側吸込流路とで構成されるとともに、両流路間に、流路の向きを変える屈曲部が形成されて成るベーンポンプにおいて、
前記屈曲部に、
入口部を前記ボデー側吸込流路に、出口部を前記カバー側吸込流路に跨いで連通する内部流路が形成されたパイプ体を装着し、前記内部流路を緩やかな曲率半径で形成するとともに、該内部流路の前記出口部を前記カバー側吸込流路の入口部内にまで積極的に延長して配置したことを特徴とするベーンポンプ。 - 前記カバー側吸込流路は、該カバー側吸込流路の入口部である基端部と、該基端部から二股状に分岐された二股状流路及び先端部とからなるとともに、これら流路が前記カバーの接合面に凹設され、
前記パイプ体の内部流路の入口部は、前記ボデー側吸込流路の流路軸を中心として回動可能であり、一方、出口部は、前記吸込側流路内におけるキャビテーションの発生を抑制すべく、前記先端部のうちの吸込圧力の低い方の流路側に所定の傾斜角(θ)で振り向けて固定したことを特徴とする請求項1に記載のベーンポンプ。 - 前記パイプ体の内部流路の入口部を、前記ボデー側吸込流路の出口部に設けたパイプ体装着穴に圧入して固定したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のベーンポンプ。
- 前記パイプ体の内部流路の出口部は、前記カバー側吸込流路の入口部に臨むとともに、その断面形状は前記ロータの駆動軸の軸線方向に対して直角となる方向につぶれた形状のものであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のベーンポンプ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007149288A JP2008303734A (ja) | 2007-06-05 | 2007-06-05 | ベーンポンプ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007149288A JP2008303734A (ja) | 2007-06-05 | 2007-06-05 | ベーンポンプ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2008303734A true JP2008303734A (ja) | 2008-12-18 |
Family
ID=40232685
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2007149288A Withdrawn JP2008303734A (ja) | 2007-06-05 | 2007-06-05 | ベーンポンプ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2008303734A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2010123556A2 (en) * | 2009-04-21 | 2010-10-28 | Slw Automotive Inc. | Vane pump with improved rotor and vane extension ring |
CN102425548A (zh) * | 2011-12-22 | 2012-04-25 | 上海成峰流体设备有限公司 | 叶片泵的叶片结构 |
-
2007
- 2007-06-05 JP JP2007149288A patent/JP2008303734A/ja not_active Withdrawn
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2010123556A2 (en) * | 2009-04-21 | 2010-10-28 | Slw Automotive Inc. | Vane pump with improved rotor and vane extension ring |
WO2010123556A3 (en) * | 2009-04-21 | 2011-01-20 | Slw Automotive Inc. | Vane pump with improved rotor and vane extension ring |
CN102459815A (zh) * | 2009-04-21 | 2012-05-16 | Slw汽车公司 | 具有改进的转子和叶片延伸环的叶片泵 |
US8672658B2 (en) | 2009-04-21 | 2014-03-18 | Slw Automotive Inc. | Vane pump with improved rotor and vane extension ring |
CN102459815B (zh) * | 2009-04-21 | 2014-09-24 | Slw汽车公司 | 具有改进的转子和叶片延伸环的叶片泵 |
CN102425548A (zh) * | 2011-12-22 | 2012-04-25 | 上海成峰流体设备有限公司 | 叶片泵的叶片结构 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR101304075B1 (ko) | 개선된 유입 포트를 가진 기어 펌프 | |
US10550840B2 (en) | Vane pump device | |
EP2464872B1 (en) | Balanced pressure, variable displacement, dual lobe, single ring, vane pump | |
US20170370359A1 (en) | Gear pump and manufacturing method of the same | |
US10202977B2 (en) | Vane pump device having different discharging pressures | |
US10767645B2 (en) | Fuel pump | |
US20180172000A1 (en) | Gear pump | |
JP2008303734A (ja) | ベーンポンプ | |
US10302084B2 (en) | Supplying pressurized fluid to the vane groove for a vane pump device | |
EP3828415B1 (en) | Internal gear pump | |
US20200392847A1 (en) | Vane pump | |
US20040071543A1 (en) | Impeller pumps | |
JPH11343996A (ja) | 流体機械のラビリンスシール構造 | |
US10731646B2 (en) | Vane pump device having two different discharge amounts | |
KR102042809B1 (ko) | 연료펌프 | |
WO2019054139A1 (ja) | ポンプ装置 | |
JP2008303724A (ja) | ベーンポンプ | |
US10662944B2 (en) | Vane pump device having multiple discharge pressures | |
US10655624B2 (en) | Vane pump device for controlling deviation of a force applied to the vanes | |
EP3256730B1 (en) | A liquid ring pump port member having anti-cavitation constructions | |
WO2023243665A1 (ja) | 内接ギヤポンプ | |
JPH08232892A (ja) | クローズド型ポンプ | |
JPH09242679A (ja) | ベーンポンプ | |
US20230417243A1 (en) | Pump device | |
JP2009052525A (ja) | ベーンポンプ |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20100907 |