JP2008303416A - 有機薄膜の製造方法 - Google Patents

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Hirohisa Uchida
博久 内田
Koichi Yamaguchi
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Abstract

【課題】アセン系多環芳香族炭化水素の有機薄膜の製造方法であって、該薄膜をナノオーダーレベルの均一な膜厚で製造でき、得られる薄膜の膜厚を精密に制御することができる、低コストの製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明の製造方法は、アセン系多環芳香族炭化水素を含む有機溶質から有機薄膜を製造する方法であって、溶質溶解温度および溶質溶解圧力にて該有機溶質を超臨界二酸化炭素溶媒相に溶質溶解して超臨界溶質溶解相とする工程(1)、該超臨界溶質溶解相を膨張前温度の加熱ノズルに通して膨張させて減圧相とする工程(2)、該工程(2)で得られる減圧相を加熱基板上に噴霧して該有機溶質を析出させて有機薄膜を形成する工程(3)、を含む。
【選択図】なし

Description

本発明は、有機薄膜の製造方法に関する。詳細には、超臨界二酸化炭素を用いた溶体急速膨張法を利用した有機薄膜の製造方法に関する。
アントラセン、テトラセン、ペンタセンといったアセン系多環芳香族炭化水素の有機薄膜は、キャリア移動度が大きいので、有機半導体として期待されている(例えば、特許文献1〜4参照)。有機半導体は,無機半導体と比較してキャリア移動度が2〜3桁程度低いために高速動作や高集積化というデバイス特性面では利点は少ないが、軽量、大面積、フレキシブル、印刷が可能などのアプリケーション的要素では利点が多い。このような利点を活かすためには、低コストかつキャリア移動度の高い薄膜が製造可能なプロセスが必要不可欠となる。
すなわち、有機薄膜を有機半導体として用いる場合、ナノオーダーレベルの膜厚とすることが好ましく、その膜厚を精密に制御することが必要となる。
アセン系多環芳香族炭化水素の薄膜は、真空蒸着法によって製造することができる。しかし、真空蒸着法によって製造されたアセン系多環芳香族炭化水素の薄膜は、その構造が多結晶状態であり、結晶粒界が存在し、膜厚が均一でない。また、真空蒸着法では、得られる薄膜の膜厚を精密に制御することが難しい。さらに、真空蒸着法においては、大きな熱エネルギーや特殊な装置が必要とされるため、製造コストが高いという問題がある。
特開2003−86805号公報 特開2003−110110号公報 特開2003−282883号公報 特開2006−196856号公報
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、アセン系多環芳香族炭化水素の有機薄膜の製造方法であって、該薄膜をナノオーダーレベルの均一な膜厚で製造でき、得られる薄膜の膜厚を精密に制御することができる、低コストの製造方法を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を行った。その結果、超臨界二酸化炭素を用いた溶体急速膨張法を利用するとともに、該溶体急速膨張法における種々の操作パラメータを適切に制御することによって、上記課題が解決できることを見出した。
超臨界二酸化炭素は、溶媒特性を、温度・圧力のみの操作によって精密に制御できる。したがって、本発明者らは、超臨界二酸化炭素を利用すれば、薄膜形成において重要な過飽和度の制御を温度・圧力のみの操作によって行うことが可能になると考えた。また、超臨界二酸化炭素を用いた溶体急速膨張法を採用すれば、薄膜形成において重要な過飽和度が非常に短時間で大きく変化するので、ナノオーダーレベルの均一な膜厚が形成可能になると考えた。さらに、超臨界二酸化炭素を用いた溶体急速膨張法において、温度・圧力以外の種々の操作パラメータを適切に制御すると、より一層均一な膜厚でナノオーダーレベルの薄膜の形成が可能となり、得られる薄膜の膜厚をより一層精密に制御することが可能となると考えた。
本発明の有機薄膜の製造方法は、
アセン系多環芳香族炭化水素を含む有機溶質から有機薄膜を製造する方法であって、
溶質溶解温度および溶質溶解圧力にて該有機溶質を超臨界二酸化炭素溶媒相に溶質溶解して超臨界溶質溶解相とする工程(1)、
該超臨界溶質溶解相を膨張前温度の加熱ノズルに通して膨張させて減圧相とする工程(2)、
該工程(2)で得られる減圧相を加熱基板上に噴霧して該有機溶質を析出させて有機薄膜を形成する工程(3)、
を含む。
好ましい実施形態においては、上記アセン系多環芳香族炭化水素が、アントラセン、テトラセン、ペンタセンから選ばれる少なくとも1種である。
好ましい実施形態においては、上記溶質溶解温度が318K以上である。
好ましい実施形態においては、上記溶質溶解圧力が8〜50MPaである。
好ましい実施形態においては、上記膨張前温度が373K以上である。
好ましい実施形態においては、上記加熱ノズルの内径が5〜100μmである。
好ましい実施形態においては、上記加熱ノズルが複数備えられる。
好ましい実施形態においては、上記加熱基板の温度が300〜473Kである。
好ましい実施形態においては、上記加熱基板がSi基板である。
好ましい実施形態においては、上記加熱基板が、予めアセトン、SPM(Sulfaric acid/hydrogen Peroxide Mixture)、およびHFによって洗浄されたものである。
好ましい実施形態においては、上記加熱ノズルと上記加熱基板の距離が0.1〜5cmである。
好ましい実施形態においては、上記加熱ノズルから上記加熱基板への噴霧の時間が0.01〜20分である。
好ましい実施形態においては、形成される有機薄膜の厚みが0.01〜2μmである。
本発明によれば、アセン系多環芳香族炭化水素の有機薄膜の製造方法であって、該薄膜をナノオーダーレベルの均一な膜厚で製造でき、得られる薄膜の膜厚を精密に制御することができる、低コストの製造方法を提供することができる。
以下、本発明の好ましい実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
本発明の有機薄膜の製造方法は、アセン系多環芳香族炭化水素を含む有機溶質から有機薄膜を製造する方法である。
上記アセン系多環芳香族炭化水素としては、任意の適切なアセン系多環芳香族炭化水素を選択し得る。好ましくは、アントラセン、テトラセン、ペンタセンが挙げられる。取り扱い性や入手容易性が高く、また、キャリア移動度が大きいからである。本発明においては、上記アセン系多環芳香族炭化水素は1種のみを用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
上記有機溶質には、上記アセン系多環芳香族炭化水素の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なその他の有機化合物を含んでいても良い。
本発明の製造方法は、アセン系多環芳香族炭化水素を含む有機溶質から有機薄膜を製造する方法であって、溶質溶解温度および溶質溶解圧力にて該有機溶質を超臨界二酸化炭素溶媒相に溶質溶解して超臨界溶質溶解相とする工程(1)、該超臨界溶質溶解相を膨張前温度の加熱ノズルに通して膨張させて減圧相とする工程(2)、該工程(2)で得られる減圧相を加熱基板上に噴霧して該有機溶質を析出させて有機薄膜を形成する工程(3)、を含む。すなわち、上記アセン系多環芳香族炭化水素を含む有機溶質に対して、超臨界物に溶質を溶解した状態で急速膨張させる「RESS法」を適用し、本発明の目的を達成するために適切に設定した条件を採用することで、薄膜形成において重要な過飽和度の制御を温度・圧力のみの操作によって行うことが可能になり、薄膜形成において重要な過飽和度が非常に短時間で大きく変化するので、ナノオーダーレベルの均一な膜厚が形成可能になる。
上記加熱ノズルに通して膨張させた減圧相は、該減圧によって、例えば、(i)二酸化炭素を主成分とする気相と(ii)有機溶質を主成分とする相とを含む混合相や、(i)二酸化炭素を主成分とする気相と(iii)有機溶質の分子が凝集したクラスターを主成分とする相とを含む混合相や、(i)二酸化炭素を主成分とする気相と(iv)有機溶質と二酸化炭素との前駆体化合物を主成分とする相とを含む混合相、などが挙げられる。
本発明の製造方法においては、以下に述べる本発明の特徴的部分を除いて、上記「RESS法」を行うにあたって一般に用いられる装置を採用し得る。例えば、特開平8−113652号公報、国際公開01/038003、特表2004−524948号公報、特開2005−125246号公報、特開2006−130406号公報に記載の装置を援用し得る。
上記超臨界二酸化炭素溶媒相とは、二酸化炭素(炭酸ガス)を主成分とする媒体(好ましくは、全媒体中で二酸化炭素が50体積%以上、より好ましくは80体積%以上、さらに好ましくは90体積%以上、特に好ましくは95体積%以上、最も好ましくは100体積%)を超臨界状態とした溶媒相である。上記媒体中に二酸化炭素以外の媒体成分(その他の媒体成分と称する)を含む場合、その他の媒体成分としては、例えば、メタン、エタン、エチレン、プロパン、クロロトリフルオロメタン、モノフルオロメタン、アンモニアが挙げられる。これらは1種のみ含まれていても良いし、2種以上が含まれていても良い。
なお、上記超臨界二酸化炭素溶媒相を形成する溶媒自体のことを、本明細書では、超臨界二酸化炭素溶媒と称する。
上記超臨界二酸化炭素溶媒相は、臨界温度以上で、且つ、臨界圧力以上の状態にある。したがって、密度は液体に近く、粘度や拡散係数は気体に近い。密度が大きいので固体のような不揮発性物質でも溶解できる。また、大きな拡散係数によって、液体溶媒中よりも早い物質移動が可能となる。さらに、動粘度(粘度/密度)は液体や気体よりも小さいので、自然対流が起こり易い。
上記有機溶質を上記超臨界二酸化炭素溶媒相に溶質溶解する際の条件は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な条件を採用し得る。
上記溶質溶解温度は、好ましくは300K以上であり、より好ましくは318K以上であり、さらに好ましくは318〜473Kであり、特に好ましくは318〜400K、最も好ましくは318〜350Kである。上記溶質溶解温度を上記範囲内に制御することにより、溶質として上記アセン系多環芳香族炭化水素を含む有機溶質を用いた場合に、有機薄膜をナノオーダーレベルの均一な膜厚で製造でき、得られる有機薄膜の膜厚を精密に制御することができる。
上記溶質溶解圧力は、好ましくは8〜50MPaであり、より好ましくは8〜30MPaであり、さらに好ましくは8〜20MPaであり、特に好ましくは8〜15MPaである。上記溶質溶解圧力を上記範囲内に制御することにより、溶質として上記アセン系多環芳香族炭化水素を含む有機溶質を用いた場合に、有機薄膜をナノオーダーレベルの均一な膜厚で製造でき、得られる有機薄膜の膜厚を精密に制御することができる。上記溶質溶解の圧力が高くなりすぎると、薄膜形成とともに粒子が形成してしまい、本発明の目的が達成できないおそれがある。上記溶質溶解の圧力が低すぎると、薄膜が形成し難くなるおそれがある。
上記溶質溶解は、任意の適切な方法で行えば良い。例えば、上記有機溶質が導入されたセル中に、上記超臨界二酸化炭素溶媒を導入することで行う方法が挙げられる。
上記のように、上記有機溶質を上記超臨界二酸化炭素溶媒相に溶質溶解することによって、超臨界溶質溶解相が得られる。
本発明の製造方法においては、上記超臨界溶質溶解相を膨張前温度の加熱ノズルに通して膨張させた減圧過程の相が、二酸化炭素を主成分とする気相と該有機溶質を主成分とする液相とを含む気液相に変化する。
上記膨張前温度は、好ましくは350K以上、より好ましくは373K以上、さらに好ましくは373〜473K、特に好ましくは373〜450K、最も好ましくは373〜400Kである。上記膨張前温度が上記範囲内にあることにより、有機薄膜をナノオーダーレベルの均一な膜厚で製造でき、得られる有機薄膜の膜厚を精密に制御することができる。
上記加熱ノズルは、本発明の目的を達成し得る範囲内で、任意の適切な形状を採用し得る。好ましくは略円筒状である。
上記加熱ノズルの内径は、好ましくは5〜100μm、より好ましくは10〜90μmである。加熱ノズルの内径が上記範囲内にあることにより、有機薄膜をナノオーダーレベルの均一な膜厚で製造でき、得られる有機薄膜の膜厚を精密に制御することができる。
本発明の製造方法においては、製造装置において、上記加熱ノズルが複数備えられていても良い。複数の加熱ノズルが備えられていることによって、より効率的に有機薄膜を形成し得る。
上記二酸化炭素を主成分とする気相中の該二酸化炭素の含有割合は、好ましくは50体積%以上、より好ましくは体積75%以上、さらに好ましくは90体積%以上、特に好ましくは95体積%以上、最も好ましくは100体積%である。
上記有機溶質を主成分とする液相中の該有機溶質の含有割合は、好ましくは10体積%以上、より好ましくは30体積%以上、さらに好ましくは50体積%以上、特に好ましくは75体積%以上、最も好ましくは90体積%以上である。
本発明の製造方法においては、上記気液相を加熱基板上に噴霧して該有機溶質を析出させて有機薄膜を形成する。加熱基板上に噴霧することによって、溶質として上記アセン系多環芳香族炭化水素を含む有機溶質を用いた場合に、有機薄膜をナノオーダーレベルの均一な膜厚で製造でき、得られる有機薄膜の膜厚を精密に制御することができる。
上記加熱基板の温度は、好ましくは300〜473Kであり、より好ましくは300〜450K、さらに好ましくは300〜400K、特に好ましくは300〜350Kである。上記加熱基板の温度を上記範囲内に制御することにより、溶質として上記アセン系多環芳香族炭化水素を含む有機溶質を用いた場合に、有機薄膜をナノオーダーレベルの均一な膜厚で製造でき、得られる有機薄膜の膜厚を精密に制御することができる。
上記加熱基板の材料としては、本発明の目的が達成される範囲内であれば、任意の適切な材料が採用され得る。好ましくは、Si基板である。上記加熱基板としてSi基板を用いると、溶質として上記アセン系多環芳香族炭化水素を含む有機溶質を用いた場合に、有機薄膜をナノオーダーレベルの均一な膜厚で製造でき、得られる有機薄膜の膜厚を精密に制御することができる。
上記加熱基板は、予めアセトン、SPM(Sulfaric acid/hydrogen Peroxide Mixture)、およびHFによって洗浄されたものであることが好ましい。具体的には、アセトンで洗浄(主として有機物を除去)した後、SPM洗浄(主として有機物を除去)し、その後、純水で1回以上リンスした後、HFで洗浄(主として酸化膜を除去)し、その後に純水(好ましくは超純水)で1回以上リンスし、乾燥を行うことが好ましい。
本発明の製造方法においては、上記加熱ノズルと上記加熱基板の距離が、好ましくは0.1〜10cmであり、より好ましくは0.1〜5cm、さらに好ましくは1〜5cm、特に好ましくは2〜4cmである。上記加熱ノズルと上記加熱基板の距離が短すぎると、加熱基板上に薄膜が形成できずに粒子が形成するおそれがある。上記加熱ノズルと上記加熱基板の距離が長すぎると、加熱基板上に薄膜が均一に形成できないおそれがある。
上記加熱基板上への噴霧時の間は、本発明の目的を達成できる範囲内であれば、任意の適切な時間を設定し得る。好ましくは0.01〜60分、より好ましくは0.05〜20分、さらに好ましくは0.1〜20分、特に好ましくは0.1〜15分、最も好ましくは0.1〜10分である。上記加熱基板上への噴霧時間が長すぎると、加熱基板上に薄膜とともに粒子が形成してしまい、本発明の目的が達成できないおそれがある。上記加熱基板上への噴霧時間が短すぎると、薄膜が形成し難くなるおそれがある。
本発明の製造方法で得られる有機薄膜は、ナノオーダーレベルの均一な膜厚で形成され、その膜厚は、好ましくは0.01〜10μm、より好ましくは0.01〜5μm、さらに好ましくは0.01〜2μm、特に好ましくは0.01〜1μmである。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例には限定されない。なお、特に示さない限り、実施例中の部およびパーセントは重量基準である。
<実験装置>
半回分式流通法に基づくRESS実験装置として図1に示す装置を用いた。加熱基板としてSi基板を用いた。
Si基板は、アセトン、SPM(Sulfaric acid/hydrogen Peroxide Mixture)、およびHFによって洗浄したものを用いた。具体的には、アセトン洗浄によって有機物を除去した後、SPM洗浄によって有機物を除去し、純水で2回リンスを行った後、HF洗浄によって酸化膜を除去し、超純水で1回リンスを行った後、乾燥したものを用いた。
超臨界二酸化炭素を用いた溶体急速膨張法は,超臨界二酸化炭素中に溶質が溶解した溶体(Solution)、もしくは固体溶質中に超臨界二酸化炭素が溶解することにより得られる溶体を、微細ノズルを通して大気圧近くまで急激に膨張させ、その際の大きな溶解度低下に起因した分子自己集積(結晶化)現象により発生する結晶粒を基板結晶上に噴霧させることにより薄膜を創製する技術である。
図1において、ガスボンベ1から供給される二酸化炭素は、加圧ポンプ5により加圧され、予熱器6を通り、超臨界二酸化炭素となる。溶質溶解セル8を通過して超臨界二酸化炭素中に溶質が溶解した溶体は、溶体の凝縮を防ぐために加熱された噴射ノズル10(長さ1cm,内径50μm)を通して大気圧下に噴出し、気体状態の二酸化炭素と結晶粒に分かれる。結晶粒はSi基板上に噴霧され、薄膜が生成される。得られた薄膜は、走査型電子顕微鏡(SEM)(キーエンス社製、VE−9800)により観察し、テープテストにより薄膜の基板への密着性を確認した。
〔実施例1−1〕
図1に示す装置を用い、溶質溶解セルにアントラセンを入れ、二酸化炭素を加圧・加熱して得られた超臨界二酸化炭素を該溶質溶解セルに導入し、溶質を飽和溶解させて得られた超臨界溶質溶解相を加熱ノズルに通して膨張させて大気圧まで減圧し、加熱基板上に噴霧して、有機薄膜を形成した。得られた有機薄膜について、走査型電子顕微鏡(SEM)により表面を観察した。
各種条件は以下の通りであった。
溶質溶解温度:318.2K
溶質溶解圧力:10MPa
膨張前温度:373.2K
基板温度:323.2K
ノズル径:50μm
ノズル−基板距離:3cm
噴霧時間:1時間
SEMでの観察結果を図2(倍率:200倍)、図3(倍率:5000倍)に示す。
〔実施例1−2〕
溶質溶解圧力を15MPaとした以外は実施例1−1と同様に行った。
SEMでの観察結果を図4(倍率:200倍)、図5(倍率:5000倍)に示す。
〔実施例1−3〕
溶質溶解圧力を20MPaとした以外は実施例1−1と同様に行った。
SEMでの観察結果を図6(倍率:200倍)、図7(倍率:5000倍)に示す。
〔評価結果:実施例1−1〜1−3について〕
実施例1−1(溶質溶解圧力:10MPa)では、Si基板上に数μm〜数十μmのアントラセンの微粒子が析出し、点在した状態となっており、十分な薄膜形成が達成されているとは言い難かった。
実施例1−2(溶質溶解圧力:15MPa)および実施例1−3(溶質溶解圧力:20MPa)では、Si基板上に数μm〜数十μmのアントラセンの微粒子が多数析出して堆積しており、十分に均一な膜厚が得られていないものの、薄膜形成はある程度達成されているものと考えられる。
〔実施例2−1〕
図1に示す装置を用い、溶質溶解セルにアントラセンを入れ、二酸化炭素を加圧・加熱して得られた超臨界二酸化炭素を該溶質溶解セルに導入し、溶質を飽和溶解させて得られた超臨界溶質溶解相を加熱ノズルに通して膨張させて大気圧まで減圧し、加熱基板上に噴霧して、有機薄膜を形成した。得られた有機薄膜について、走査型電子顕微鏡(SEM)により表面を観察した。
各種条件は以下の通りであった。
溶質溶解温度:318.2K
溶質溶解圧力:15MPa
膨張前温度:373.2K
基板温度:323.2K
ノズル径:50μm
ノズル−基板距離:3cm
噴霧時間:5分
SEMでの観察結果を図8(倍率:200倍)、図9(倍率:5000倍)に示す。
〔実施例2−2〕
噴霧時間を10分とした以外は実施例2−1と同様に行った。
SEMでの観察結果を図10(倍率:200倍)、図11(倍率:5000倍)に示す。
〔実施例2−3〕
噴霧時間を15分とした以外は実施例2−1と同様に行った。
SEMでの観察結果を図12(倍率:200倍)、図13(倍率:5000倍)に示す。
〔実施例2−4〕
噴霧時間を30分とした以外は実施例2−1と同様に行った。
SEMでの観察結果を図14(倍率:200倍)、図15(倍率:5000倍)に示す。
〔評価結果:実施例2−1〜2−4について〕
実施例2−1(噴霧時間:5分)、実施例2−2(噴霧時間:10分)、および実施例2−3(噴霧時間:15分)では、Si基板上に数μm〜数十μmのアントラセンの結晶粒が被覆し、薄膜が形成していることが判る。また、被覆率は、噴霧時間が長くなるほど増加する傾向が見られる。
実施例2−4(噴霧時間:30分)では、Si基板上に数μm〜数十μmのアントラセンの結晶粒が被覆し、薄膜が形成しているが、さらに該薄膜上にアントラセンの結晶粒が析出・堆積していることが判る。
これらの結果より、超臨界二酸化炭素を用いた溶体急速膨張法によりアントラセン薄膜の創製が可能であり、その薄膜形成は基板上への結晶粒の付着と時間の経過に伴う成長によるものであることが示唆される。
〔実施例3−1〕
図1に示す装置を用い、溶質溶解セルにアントラセンを入れ、二酸化炭素を加圧・加熱して得られた超臨界二酸化炭素を該溶質溶解セルに導入し、溶質を飽和溶解させて得られた超臨界溶質溶解相を加熱ノズルに通して膨張させて大気圧まで減圧し、加熱基板上に噴霧して、有機薄膜を形成した。得られた有機薄膜について、走査型電子顕微鏡(SEM)により表面を観察した。
各種条件は以下の通りであった。
溶質溶解温度:318.2K
溶質溶解圧力:15MPa
膨張前温度:378.2K(±5K)
基板温度:323.2K
ノズル径:50μm
ノズル−基板距離:1cm
噴霧時間:10分
SEMでの観察結果を図16(倍率:1000倍)に示す。
〔実施例3−2〕
ノズル−基板距離を2cmとした以外は実施例3−1と同様に行った。
SEMでの観察結果を図17(倍率:1000倍)に示す。
〔実施例3−3〕
ノズル−基板距離を3cmとした以外は実施例3−1と同様に行った。
SEMでの観察結果を図18(倍率:1000倍)に示す。
〔実施例3−4〕
ノズル−基板距離を5cmとした以外は実施例3−1と同様に行った。
SEMでの観察結果を図19(倍率:1000倍)に示す。
〔評価結果:実施例3−1〜3−4について〕
実施例3−1(ノズル−基板距離:1cm)、実施例3−2(ノズル−基板距離:2cm)、実施例3−3(ノズル−基板距離:3cm)、および実施例3−4(ノズル−基板距離:5cm)の結果より、ノズル−基板距離が長くなるにつれて、アントラセンの結晶粒が大きくなり、Si基板への被覆率が低くなっていることが判る。
これらの結果より,噴射ノズル−基板間距離が長くなるに従って結晶粒が大きくなり,かつ基板の被覆率が低くなることがわかる。噴射ノズル−基板間距離が長くなるに従って結晶粒が大きくなることから、超臨界二酸化炭素を用いた溶体急速膨張法によるアントラセン薄膜形成は、基板上への結晶粒の付着と時間の経過に伴う成長によるものであると考えられる。
本発明の製造方法で得られる有機薄膜は、例えば、有機半導体として利用し得る。
本発明で用いるRESS実験装置の概略図である。 実施例1−1におけるSEMでの観察結果(倍率:200倍)である。 実施例1−1におけるSEMでの観察結果(倍率:5000倍)である。 実施例1−2におけるSEMでの観察結果(倍率:200倍)である。 実施例1−2におけるSEMでの観察結果(倍率:5000倍)である。 実施例1−3におけるSEMでの観察結果(倍率:200倍)である。 実施例1−3におけるSEMでの観察結果(倍率:5000倍)である。 実施例2−1におけるSEMでの観察結果(倍率:200倍)である。 実施例2−1におけるSEMでの観察結果(倍率:5000倍)である。 実施例2−2におけるSEMでの観察結果(倍率:200倍)である。 実施例2−2におけるSEMでの観察結果(倍率:5000倍)である。 実施例2−3におけるSEMでの観察結果(倍率:200倍)である。 実施例2−3におけるSEMでの観察結果(倍率:5000倍)である。 実施例2−4におけるSEMでの観察結果(倍率:200倍)である。 実施例2−4におけるSEMでの観察結果(倍率:5000倍)である。 実施例3−1におけるSEMでの観察結果(倍率:1000倍)である。 実施例3−2におけるSEMでの観察結果(倍率:1000倍)である。 実施例3−3におけるSEMでの観察結果(倍率:1000倍)である。 実施例3−4におけるSEMでの観察結果(倍率:1000倍)である。
符号の説明
1 ガスボンベ
2 乾燥管
3 フィルター
4 冷却器
5 加圧ポンプ
6 予熱器
7 逆止弁
8 溶質溶解セル
9 フィルター
10 噴射ノズル
11 基板
12 ホットプレート
13 空気恒温槽
14 簡易型クリーンブース
V1 背圧弁
V2 ストップバルブ
V3 ストップバルブ
V4 ストップバルブ
V5 ストップバルブ
PI デジタル圧力計
TI デジタル温度計

Claims (13)

  1. アセン系多環芳香族炭化水素を含む有機溶質から有機薄膜を製造する方法であって、
    溶質溶解温度および溶質溶解圧力にて該有機溶質を超臨界二酸化炭素溶媒相に溶質溶解して超臨界溶質溶解相とする工程(1)、
    該超臨界溶質溶解相を膨張前温度の加熱ノズルに通して膨張させて減圧相とする工程(2)、
    該工程(2)で得られる減圧相を加熱基板上に噴霧して該有機溶質を析出させて有機薄膜を形成する工程(3)、
    を含む、有機薄膜の製造方法。
  2. 前記アセン系多環芳香族炭化水素が、アントラセン、テトラセン、ペンタセンから選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記溶質溶解温度が318K以上である、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記溶質溶解圧力が8〜50MPaである、請求項1から3までのいずれかに記載の製造方法。
  5. 前記膨張前温度が373K以上である、請求項1から4までのいずれかに記載の製造方法。
  6. 前記加熱ノズルの内径が5〜100μmである、請求項1から5までのいずれかに記載の製造方法。
  7. 前記加熱ノズルが複数備えられる、請求項1から6までのいずれかに記載の製造方法。
  8. 前記加熱基板の温度が300〜473Kである、請求項1から7までのいずれかに記載の製造方法。
  9. 前記加熱基板がSi基板である、請求項1から8までのいずれかに記載の製造方法。
  10. 前記加熱基板が、予めアセトン、SPM(Sulfaric acid/hydrogen Peroxide Mixture)、およびHFによって洗浄されたものである、請求項1から9までのいずれかに記載の製造方法。
  11. 前記加熱ノズルと前記加熱基板の距離が0.1〜5cmである、請求項1から10までのいずれかに記載の製造方法。
  12. 前記加熱ノズルから前記加熱基板への噴霧の時間が0.01〜20分である、請求項1から11までのいずれかに記載の製造方法。
  13. 形成される有機薄膜の厚みが0.01〜2μmである、請求項1から12までのいずれかに記載の製造方法。
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