JP2008300781A - 有機薄膜の製造方法 - Google Patents

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博久 内田
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正和 杉山
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大 山本
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桃子 出浦
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Abstract

【課題】良好な生産性をもって、膜質や膜厚、結晶性を制御できる有機薄膜の製造方法を提供すること。
【解決手段】アントラセン、テトラセンおよびペンタセンなどのアセン系多環芳香族炭化水素を始めとした種々の有機半導体の有機薄膜を製造するにあたって、溶質溶解温度および溶質溶解圧力で前記有機溶質を超臨界二酸化炭素溶媒相に溶解させて超臨界溶質溶解相を得る溶質溶解工程と、当該超臨界溶質溶解相をノズルから基板上に噴射して当該基板上で前記有機溶質を析出させて有機薄膜を形成する噴射工程とを行う。溶質溶解温度は溶媒の臨界温度以上、溶質溶解圧力は10MPa以上であることが好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、急速膨張法を利用した有機薄膜の製造方法に関するものである。
トランジスタ素子、エレクトロルミネッセンス素子、メモリ素子などといった技術分野では、無機材料に代えて、機能性有機材料を用いることが積極的に検討されている。例えば、有機薄膜トランジスタに用いる有機半導体として、アントラセン、テトラセン、ペンタセンといったアセン系多環芳香族炭化水素系の有機半導体が注目を集めている。かかる有機半導体は、無機半導体と比較してキャリア移動度が2〜3桁程度低いため、高速動作や高集積化というデバイス特性面については改善の必要があるが、軽量化、大面積化、フレキシブル化、印刷可能であるなど、アプリケーション的要素での利点が多い。
有機半導体を用いて有機薄膜トランジスタを製造するには、基板上に有機半導体膜を形成する必要があり、アセン系多環芳香族炭化水素を真空蒸着法で成膜することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平5−55568号公報
しかしながら、真空蒸着法は、結晶成長を制御できる操作パラメータが少ないために、有機薄膜の形成に適用すると、膜質や膜厚の制御が困難である。また、真空蒸着は、多大な熱エネルギーを必要とし、かつ、特殊装置であるためのコストや真空排気にかかる時間、結晶成長速度の遅さに起因した生産性の悪さなどの問題点が挙げられる。
以上の問題点に鑑みて、本発明では、有機薄膜を良好な生産性をもって形成することのできる有機薄膜の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本願発明者は、超臨界二酸化炭素を用いた急速膨張法を利用することにより、有機薄膜を形成することを提案する。急速膨張法は、系の圧力を高圧から急激に減圧し、溶媒−溶質間の親和力を急激に変化させることにより、結晶を得る方法である。急速膨張法は、膨張前の相状態の違いにより、RESS(Rapid Expansion of Supercritical Solution)法と、PGSS(Particles from Gas Saturated Solution)法とに分けられる。RESS法では、膨張前の相状態が超臨界相であり、PGSS法では、膨張前の相状態が気液相である。このような急速膨張法のうち、RESS法では、超臨界流体に溶質を溶解し、ノズルを通して大気圧近くまで急激に膨張、低密度化すると、膨張に伴う溶解度差(過飽和度)が推進力となって結晶の核化、成長が起こり、微粒子が生成される。但し、有機半導体を有機薄膜トランジスタの能動層などとして用いるには、粒子ではなく、薄膜として形成する必要があるため、急速膨張法により、有機薄膜を形成するのは困難であるとされてきた。
ここに、本願発明者は種々検討を行い、従来は微粒子の形成技術として注目されていた急速膨張法をより発展させれば有機薄膜を形成できると考え、本発明に到達した。すなわち、本願発明者は、超臨界二酸化炭素を用いた急速膨張法のメカニズムが、基板上への結晶粒の付着過程と、時間の経過に伴う成長過程とからなるという知見を得、かかる過程を、急速膨張法における操作パラメータを制御することによって最適化し、有機薄膜の形成を可能とした。より具体的には、超臨界二酸化炭素の溶媒特性は、温度、圧力によって精密に制御できるので、本願発明者は、超臨界二酸化炭素の温度、圧力を制御することにより、過飽和度の制御を行い、基板上への結晶粒の付着過程と、時間の経過に伴う成長過程とを最適化し、有機薄膜の形成を可能としたのである。
すなわち、本発明に係る有機薄膜の製造方法では、溶質溶解温度および溶質溶解圧力で有機溶質を超臨界二酸化炭素溶媒相に溶解させて超臨界溶質溶解相を得る溶質溶解工程と、当該超臨界溶質溶解相をノズルから基板上に噴射して当該基板上で前記有機溶質を析出させて有機薄膜を形成する噴射工程と、を含み、前記溶質溶解温度は溶媒の臨界温度以上であり、前記溶質溶解圧力は10MPa以上であることを特徴とする。
二酸化炭素の臨界温度は304K、臨界圧力は7.38MPaであるが、本発明では、溶質溶解圧力を臨界圧力に比して十分高く設定することにより、超臨界溶質溶解相における過飽和度および膨張前の相状態を制御し、それにより、有機薄膜の形成を可能にした。すなわち、溶質溶解圧力および溶質溶解温度は、ノズルに供給される超臨界溶質溶解相における過飽和度を制御する操作パラメータであり、これらのパラメータのうち、溶質溶解圧力は、溶質溶解温度に比して溶解度に対する影響が大きく、溶質溶解圧力の増加に伴い結晶粒が小さくなり基板の被覆率が大きくなる。
本発明において、前記溶質溶解温度の上限は、有機溶質が変質しない温度であり、例えば400K、好ましくは350Kに設定され、溶質溶解温度はその範囲で高いことが好ましい。
本発明において、前記有機溶質は、1種のみを用いる場合の他、2種以上を用いてもよい。また、超臨界二酸化炭素溶媒相では、二酸化炭素が全溶媒相の主要部分、すなわち、50体積%以上であればよく、二酸化炭素以外の媒体成分、例えば、ベンゼン、メタノール、エタノール、アセトン、ヘキサンなどの有機溶媒やメタン、エタン、プロパン、クロロトリフルオロメタン、モノフルオロメタンなどが1種あるいは2種以上含まれていてもよい。
本発明において、有機溶質は、有機薄膜の用途に応じて種々のものが用いられる。例えば、前記有機溶質は、有機半導体原料である。より具体的には、有機薄膜を有機エレクトロルミネッセンス素子に用いる場合、有機溶質としては、アントラセン、テトラセン、ペンタセン、ペリレン、フタロシアニン、ルブレン、キナクリドン、ポリ(パラフェニレンビニレン)、ポリアルキルチオフェン等、あるいはこれらの誘導体が用いられる。
特に、薄膜トランジスタの能動層などに用いる場合、前記有機溶質は、例えば、アントラセン、テトラセンおよびペンタセンから選ばれた少なくとも1種のアセン系多環芳香族炭化水素またはその誘導体(例えば、各種官能基やフッ素を導入したアセン系多環芳香族炭化水素など)を含むことになる。このようなアセン系多環芳香族炭化水素の薄膜は、他の有機薄膜に比してキャリア移動度が高いという利点がある。
本発明において、前記超臨界溶質溶解相が前記ノズルから噴射されて膨張する直前の温度(以下、膨張前温度という)は、超臨界状態を維持できて有機溶質が析出しない温度であればよいが、過飽和度の制御をより厳密に行うという観点からすれば、前記膨張前温度が前記溶質溶解温度より高いことが好ましい。例えば、前記超臨界溶質溶解相が前記ノズルから噴射されて膨張する直前の温度が373K以上であることが好ましい。当該膨張前温度の上限も、前記溶質溶解温度と同様、有機溶質が変質しない温度であるが、かかる膨張前温度に前記超臨界溶質溶解相が晒される時間は比較的短いので、前記溶質溶解温度の上限より高めであってもよい。膨張前温度は、ノズルから噴射される超臨界溶質溶解相の圧力、温度変化による相転移過程を制御する操作パラメータである。
本発明において、前記基板については、加熱しておくことが好ましい。有機薄膜を形成する際、基板への密着性や基板上での結晶の成長という観点から基板を加熱しておけば、有機薄膜を好適に形成することができる。
基板としては、ガラス基板、石英基板、プラスチック基板などの絶縁基板を用いることができる他、シリコン基板などといった半導体基板を用いてもよく、さらには金属基板を用いてもよい。また、基板の表面に下地膜を形成しておき、かかる下地膜の表面に対して、本発明を適用して有機薄膜を形成してもよい。
本発明に係る有機薄膜の製造方法では、超臨界二酸化炭素を用いた急速膨張法を利用するため、良好な生産性をもって有機薄膜を形成できる。また、急速膨張法における操作パラメータを制御することによって、膜質や膜厚、膜の結晶性を制御できる。それ故、本発明によれば、好適な膜質や膜厚、結晶性を有する有機薄膜を高い生産性をもって製造することができ、有機薄膜トランジスタなどに用いることができる。
以下、本発明を適用した有機薄膜の製造方法を説明する。
本発明に係る有機薄膜の製造方法では、溶質溶解温度および溶質溶解圧力で、アントラセン、テトラセン、ペンタセンなどのアセン系多環芳香族炭化水素またはその誘導体などの有機溶質を超臨界二酸化炭素溶媒相に溶解させて超臨界溶質溶解相を得る溶質溶解工程と、当該超臨界溶質溶解相をノズルから基板上に噴射して当該基板上で前記有機溶質を析出させて有機薄膜を形成する噴射工程と、を含み、前記溶質溶解温度は溶媒の臨界温度以上であり、前記溶質溶解圧力は10MPa以上である。
かかる有機薄膜の製造方法において、超臨界溶質溶解相を加熱したノズルに通して膨張させると、減圧、膨張する過程の相が、二酸化炭素を主成分とする気相と、有機溶質を主成分とする固相あるいは液相とを含む気固相あるいは気液相に変化し、気固相あるいは気液相は、基板上において有機溶質を析出させて有機薄膜を形成する。本形態では、有機薄膜の形成に重要な過飽和度を温度、圧力で制御し、過飽和度を短時間で大きく変化させる。ここで、二酸化炭素の臨界温度は304K、臨界圧力は7.38MPaであるが、本発明では、溶質溶解圧力を臨界圧力に比して十分高く設定することにより、膨張前の相状態を好適に制御し、それにより、有機薄膜の形成が可能となった。
本発明において、前記溶質溶解温度についても溶媒の臨界温度に比して十分高く設定してもよいが、有機溶質が変質しない温度を上限とする。例えば、前記溶質溶解温度は400K、好ましくは350Kに設定され、溶質溶解温度はその範囲で高いことが好ましい。前記溶質溶解温度は、318K以上が好ましい。また、前記溶質溶解圧力の上限は特に限定されるものではないが、簡易な装置構成で有機薄膜を形成可能な溶質溶解圧力の範囲としては10〜50MPaであり、より好ましくは10〜30MPaである。このように条件設定すると、有機溶質としてアセン系多環芳香族炭化水素を用いた場合に、有機薄膜をナノオーダーレベルの均一な膜厚で良好な結晶性をもって製造できる。
本発明において、過飽和度の制御をより厳密に行うという観点からすれば、前記超臨界溶質溶解相が前記ノズルから噴射されて膨張する直前の温度(以下、膨張前温度という)が前記溶質溶解温度より高いことが好ましい。例えば、前記超臨界溶質溶解相が前記ノズルから噴射されて膨張する直前の温度が373K以上であることが好ましい。前記膨張前温度の上限も、前記溶質溶解温度と同様、有機溶質が変質しない温度であるが、かかる膨張前温度に前記超臨界溶質溶解相が晒される時間は比較的短いので、前記溶質溶解温度の上限より高めであってもよい。例えば、前記膨張前温度については、373〜450Kでもよく、373〜400Kが好ましい。このように条件設定すると、有機溶質としてアセン系多環芳香族炭化水素を用いた場合に、有機薄膜をナノオーダーレベルの均一な膜厚で良好な結晶性をもって製造できる。
本発明において、前記基板については、加熱しておくことが好ましい。例えば、基板の温度を323K以上に加熱しておくことが好ましい。有機薄膜を形成する際、基板への密着性や基板上での結晶の成長という観点から基板を加熱しておけば、有機薄膜を好適に形成することができる。この場合も、有機薄膜の熱劣化を防止するという観点からすると、基板の温度に上限を設定することが好ましく、基板の温度の上限は、例えば450K、好ましくは400K、さらに好ましくは350Kに設定することが好ましい。このように条件設定すると、有機溶質としてアセン系多環芳香族炭化水素を用いた場合に、有機薄膜をナノオーダーレベルの均一な膜厚で製造できる。
基板としては、ガラス基板、石英基板、プラスチック基板などの絶縁基板を用いることができる他、シリコン基板などといった半導体基板を用いてもよく、さらには金属基板を用いてもよい。また、基板の表面に下地膜を形成しておき、かかる下地膜の表面に対して、本発明を適用して有機薄膜を形成してもよい。
本発明においては、前記ノズルのノズル開口の内径や、前記ノズルと前記基板との距離については、温度条件やノズルからの噴出速度により最適な値に設定されるが、ノズルの内径は、通常1〜100μm、例えば、50μm程度に設定される。また、前記ノズルと前記基板との距離については、距離の増大に伴い結晶粒が大きくなり基板の被覆率が減少する傾向にあることから、0.1〜10cm、例えば1〜5cmに設定されることが好ましい。さらに、前記ノズルについては、ノズル開口が1つのものに限らず、インクジェット方式のヘッドのように、1つのノズルに複数の開口が形成されたものを用いることもできる。さらにまた、成膜装置においては、ノズルが1つ配置されている構成の他、複数のノズルが配置されている構成、ノズルと基板が相対的に移動する構成を採用することができる。
本発明においては、前記ノズルから前記基板への超臨界溶質溶解相の噴出時間(成膜時間)についても制御することが好ましい。例えば、前記ノズルから前記基板への超臨界溶質溶解相の噴出時間については通常1〜60分、例えば5〜30分に設定されることが好ましい。成膜時間が短すぎると、十分な厚さの有機薄膜を形成できない場合や、基板表面を十分に被覆できない事態が発生する一方、成膜時間が長すぎると、基板上に形成された有機薄膜の上に粒子が形成してしまうおそれがある。
本発明においては、形成する有機薄膜の厚みについても所定の範囲に制御することが好ましい。例えば、形成する有機薄膜の厚みについては、用途に応じて10nm〜10μm程度に設定される。
[成膜装置の構成例]
図1は、本発明を適用した成膜装置(半回分式流通法に基づくRESS装置)の概略構成図である。超臨界二酸化炭素を用いた溶体急速膨張法では、超臨界二酸化炭素中に溶質が溶解した溶体(Solution)、もしくは固体溶質中に超臨界二酸化炭素が溶解することにより得られる溶体を、ノズルを通して大気圧近くまで急激に膨張させ、その際の大きな溶解度低下に起因した分子自己集積(結晶化)現象により発生する溶質分子のクラスターを基板結晶上に噴射させることにより薄膜を創製する技術である。
従って、図1に示す成膜装置においては、ガスボンベ1から供給される二酸化炭素は、乾燥管2、フィルター3、および冷却器4を通過した後、加圧ポンプ5により加圧され、予熱器6を通り、超臨界二酸化炭素となる。溶質溶解セル8には有機溶質が配置されており、超臨界二酸化炭素が溶質溶解セル8を通過する際、所定の溶質溶解温度および溶質溶解圧力で溶質が超臨界二酸化炭素中に溶解し、超臨界溶質溶解相(溶体)となる(溶質溶解工程)。予熱器6と溶質溶解セル8との間には逆止弁7が介挿され、予熱器6、逆止弁7および溶質溶解セル8などは恒温槽13内に配置されている。
次に、超臨界溶質溶解相は、凝縮を防ぐために膨張前温度にまで加熱されたノズル10(長さ1cm、内径50μm)を通して大気圧下に噴出され、気体状態の二酸化炭素と溶質分子のクラスターに分かれる。溶質分子のクラスターは基板11上に噴射され、薄膜が生成される(噴射工程)。かかる操作を行う際、ストップバルブV2〜V5は所定のタイミングで開閉され、その間、溶質溶解圧力、および溶質溶解温度(膨張前温度)は各々、圧力計PIおよび温度計TIで監視される。また、加圧ポンプ5に対して並列に背圧弁7が配置されている。
溶質溶解セル8とノズル10との間にはフィルター9が介挿され、ノズル10および基板11などはクリーンブース14内に配置されている。また、基板11は、ホットプレート12上に配置されており、所定の温度に加熱される。
以下、実施例に基づいて、本発明をより具体的に説明する。以下に説明する実施例は、いずれも図1を参照して説明した成膜装置を用いて行われ、基板11としてシリコン基板(シリコンウエーハ)が用いられる。基板11は、アセトン、SPM(Sulfaric acid/hydrogen Peroxide Mixture)、およびHF(フッ化水素)水によって洗浄したものを用いた。具体的には、アセトン洗浄によって有機物を除去した後、SPM洗浄によって有機物を除去し、純水で2回リンスを行った後、HF洗浄によって酸化膜を除去し、超純水で1回リンスを行った後、乾燥したものを用いた。また、各実施例で形成した薄膜については、走査型電子顕微鏡(SEM)により観察し、テープテストにより薄膜の基板への密着性を確認した。
また、以下に説明する実施例においては、図1に示す成膜装置において、溶質溶解セル8に有機溶質としてアントラセンを入れるとともに、二酸化炭素を加圧、加熱して得られた超臨界二酸化炭素を溶質溶解セル8に導入し、有機溶質を飽和溶解させてなる超臨界溶質溶解相をノズル10に通して大気圧まで減圧、膨張させて、基板11上に噴出し、有機薄膜を形成した。
[実施例1−1、2、3、4/噴射時間の検討]
実施例1−1、2、3、4では、条件を以下のように設定し、
溶質溶解温度:318.2K
溶質溶解圧力:15MPa
膨張前温度:373.2K
基板温度:323.2K
ノズル径:50μm
ノズル−基板距離:3cm
各実施例において噴射時間のみを以下のように、
実施例1−1:噴射時間=10秒
実施例1−2:噴射時間=30秒
実施例1−3:噴射時間=1分
実施例1−4:噴射時間=5分
に変化させた。
(実施例1−1、2、3、4の評価結果)
図2は、本発明の実施例1−1、2、3、4に係る条件で成膜した有機薄膜の表面をSEMで観察した結果を示す図面代用写真であり、図2(a)、(b)は各々、実施例1−1での倍率1000倍および倍率5000倍での観察結果であり、図2(c)、(d)は各々、実施例1−2での倍率1000倍および倍率5000倍での観察結果であり、図2(e)、(f)は各々、実施例1−3での倍率1000倍および倍率5000倍での観察結果であり、図2(g)、(h)は各々、実施例1−4での倍率1000倍および倍率5000倍での観察結果である。
図2に示すように、噴射時間が10秒の条件(実施例1−1)、噴射時間が30秒の条件(実施例1−2)、噴射時間が1分の条件(実施例1−3)、および噴射時間が5分の条件(実施例1−4)では、基板上に数μm〜数十μmのアントラセンの結晶粒が析出し、この結晶粒が成長し薄膜が形成していることが分かる。また、アントラセンの結晶粒による基板の被覆率は、噴射時間が長くなるに伴って増大している。
これらの結果より、超臨界二酸化炭素を用いた溶体急速膨張法によれば、アントラセンの薄膜の創製が可能であり、その薄膜形成は、基板上への溶質分子のクラスターの付着と、基板上での結晶核発生、ならびに時間経過に伴う結晶成長によるものであることが示唆される。すなわち、アントラセンの薄膜形成のメカニズムは、二酸化炭素−アントラセン混合溶体が噴射ノズルから噴射されると、減圧効果によりアントラセンが核化・成長して溶質分子のクラスターが形成され、それが基板上に付着・結晶核発生・結晶成長することにより薄膜が形成されると考えられる。
[実施例2−1、2/ノズル−基板間の距離の検討]
実施例1で得たアントラセンの薄膜形成のメカニズムの妥当性を検討するために、ノズル−基板間の距離を変化させて薄膜形成を試みた。すなわち、上記のメカニズムが妥当であれば、基板間距離が短くなるにつれ結晶粒が小さくなり、緻密な膜が形成されることになる。
実施例2−1、2では、条件を以下のように設定し、
溶質溶解温度:318.2K
溶質溶解圧力:15MPa
膨張前温度:378.2K(±5K)
基板温度:323.2K
ノズル径:50μm
噴射時間:1分
各実施例においてノズル−基板距離のみを以下のように、
実施例2−1:ノズル−基板距離=1cm
実施例2−2:ノズル−基板距離=3cm
に変化させた。
(実施例2−1、2の評価結果)
図3は、本発明の実施例2−1、2に係る条件で成膜した有機薄膜の表面をSEMで観察した結果を示す図面代用写真であり、図3(a)、(b)は各々、実施例2−1での倍率1000倍および倍率5000倍での観察結果であり、図3(c)、(d)は各々、実施例2−2での倍率1000倍および倍率5000倍での観察結果である。
図3において、ノズル−基板距離が1cmの条件(実施例2−1)、およびノズル−基板距離が3cmの条件(実施例2−2)を比較すると分かるように、ノズル−基板距離が長くなるに従って、アントラセンの結晶粒が大きくなり、基板への被覆率が低くなっていることが判る。この結果から、超臨界二酸化炭素を用いた溶体急速膨張法によるアントラセンの薄膜形成は、基板上への溶質分子のクラスターの付着と、結晶核の発生、ならびに時間の経過に伴う結晶成長によるものであるというメカニズムの妥当性が検証された。なお、噴射ノズル−基板間距離が長くなるに従い基板の被覆率が低くなるのは、距離の増加に伴って噴射面積が大きくなるためであると考えられる。
また、以下に説明する実施例においては、図1に示す成膜装置において、溶質溶解セル8に有機溶質としてペンタセンを入れるとともに、二酸化炭素を加圧、加熱して得られた超臨界二酸化炭素を溶質溶解セル8に導入し、有機溶質を飽和溶解させてなる超臨界溶質溶解相をノズル10に通して大気圧まで減圧、膨張させて、基板11上に噴出し、有機薄膜を形成した。
[実施例3/ペンタセンの成膜]
実施例3では、条件を以下のように設定した。
溶質溶解温度:373.2K
溶質溶解圧力:10MPa
膨張前温度:393.2K
基板温度:348.2K
ノズル径:100μm
ノズル−基板距離:1cm
噴射時間:60分
(実施例3の評価結果)
図4は、本発明の実施例3に係る条件で成膜した有機薄膜の表面をSEMで観察した結果を示す図面代用写真であり、倍率2000倍での観察結果である。
図4より、超臨界二酸化炭素を用いた溶体急速膨張法によれば、ペンタセンの薄膜の創製が可能であることが分かる。
また、以下に説明する実施例においては、図1に示す成膜装置において、溶質溶解セル8に有機溶質としてルブレンを入れるとともに、二酸化炭素を加圧、加熱して得られた超臨界二酸化炭素を溶質溶解セル8に導入し、有機溶質を飽和溶解させてなる超臨界溶質溶解相をノズル10に通して大気圧まで減圧、膨張させて、基板11上に噴出し、有機薄膜を形成した。
[実施例4/ルブレンの成膜]
実施例4では、条件を以下のように設定した。
溶質溶解温度:318.2K
溶質溶解圧力:15MPa
膨張前温度:373.2K
基板温度:323.2K
ノズル径:50μm
ノズル−基板距離:3cm
噴射時間:5分
(実施例4の評価結果)
図5は、本発明の実施例4に係る条件で成膜した有機薄膜の表面をSEMで観察した結果を示す図面代用写真であり、倍率1000倍での観察結果である。
図5より、超臨界二酸化炭素を用いた溶体急速膨張法によれば、ルブレンの薄膜の創製が可能であることが分かる。
[その他の実施例]
本発明の技術範囲は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能であり、実施形態で挙げた具体的な材料や構成などは一例に過ぎず、適宜変更が可能である。
本発明を適用した成膜装置の概略構成図である。 本発明の実施例1−1、2、3、4に係る条件で成膜した有機薄膜の表面をSEMで観察した結果を示す図面代用写真である。 本発明の実施例2−1、2に係る条件で成膜した有機薄膜の表面をSEMで観察した結果を示す図面代用写真である。 本発明の実施例3に係る条件で成膜した有機薄膜の表面をSEMで観察した結果を示す図面代用写真である。 本発明の実施例4に係る条件で成膜した有機薄膜の表面をSEMで観察した結果を示す図面代用写真である。
符号の説明
1 ガスボンベ
4 冷却器
5 加圧ポンプ
6 予熱器
8 溶質溶解セル
10 ノズル
11 基板
12 ホットプレート
13 恒温槽

Claims (4)

  1. 溶質溶解温度および溶質溶解圧力で有機溶質を超臨界二酸化炭素溶媒相に溶解させて超臨界溶質溶解相を得る溶質溶解工程と、
    当該超臨界溶質溶解相をノズルから基板上に噴射して当該基板上で前記有機溶質を析出させて有機薄膜を形成する噴射工程と、を含み、
    前記溶質溶解温度は溶媒の臨界温度以上であり、
    前記溶質溶解圧力は10MPa以上であることを特徴とする有機薄膜の製造方法。
  2. 前記有機溶質は、有機半導体原料であることを特徴とする請求項1に記載の有機薄膜の製造方法。
  3. 前記有機溶質は、アントラセン、テトラセンおよびペンタセンから選ばれた少なくとも1種のアセン系多環芳香族炭化水素またはその誘導体であることを特徴とする請求項1に記載の有機薄膜の製造方法。
  4. 前記基板を加熱しておくことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の有機薄膜の製造方法。
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