JP2008301671A - モータ一体型の磁気軸受装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】回転始動時から低速回転域においてモータ回転の急加速を抑制でき、軸受の異常発熱を抑制して寿命向上を図ることができるモータ一体型の磁気軸受装置を提供する。
【解決手段】このモータ一体型の磁気軸受装置におけるモータ28は、モータロータの位相を検出する位相検出器40を有する3相の無整流子モータである。位相検出器40の出力に基づいてモータステータ28bの各相のコイル28baに電流を印加するコイル電流印加タイミング信号を生成する演算部38と、この演算部38の出力するコイル電流印加タイミング信号に従ってモータステータ28bの各相のコイル28baに電流を印加するパワー回路39とを備える。パワー回路39は、モータコイル28baの線間電圧となるDCバス電圧を制御する電圧可変部41を有する。この電圧可変部41内に設けたチョッパ回路43のパワー素子のスイッチング周波数を可変とする。
【選択図】図4

Description

この発明は、空気サイクル冷凍冷却用タービンユニット等に用いられる磁気軸受装置に関し、特に、転がり軸受と磁気軸受を併用し、磁気軸受がアキシアル負荷と軸受予圧のどちらか一方または両方を支持するようにしたモータ一体型の磁気軸受装置に関する。
空気サイクル冷凍冷却システムは、冷媒として空気を用いるため、フロンやアンモニアガス等を用いる場合に比べてエネルギー効率が不足するが、環境保護の面では好ましい。また、冷凍倉庫等のように、冷媒空気を直接に吹き込むことができる施設では、庫内ファンやデフロストの省略等によってトータルコストを引下げられる可能性があり、このような用途で空気サイクル冷凍冷却システムが提案されている(例えば特許文献1)。
また、−30℃〜−60℃のディープ・コール領域では、空気冷却の理論効率は、フロンやアンモニアガスと同等以上になることが知られている。ただし、上記空気冷却の理論効率を得ることは、最適に設計された周辺装置があって、始めて成り立つとも述べられている。周辺装置は、圧縮機や膨張タービン等である。
圧縮機,膨張タービンとしては、コンプレッサ翼車および膨張タービン翼車を共通の主軸に取付けたタービンユニットが用いられている(特許文献1)。
なお、プロセスガスを処理するタービン・コンプレッサとしては、主軸の一端にタービン翼車、他端にコンプレッサ翼車を取付け、前記主軸を電磁石の電流で制御するジャーナルおよびスラスト軸受で支承した磁気軸受式タービン・コンプレッサが提案されている(特許文献2)。
また、ガスタービンエンジンにおける提案ではあるが、主軸支持用の転がり軸受に作用するスラスト荷重が軸受寿命の短縮を招くことを回避するため、転がり軸受に作用するスラスト荷重をスラスト磁気軸受により低減することが提案されている(特許文献3)。
特許第2623202号公報 特開平7−91760号公報 特開平8−261237公報
上記のように、空気サイクル冷凍冷却システムとして、ディープ・コール領域で高効率となる空気冷却の理論効率を得るためには、最適に設計された圧縮機や膨張タービンが必要となる。
圧縮機,膨張タービンとしては、上記のようにコンプレッサ翼車および膨張タービン翼車を共通の主軸に取付けたタービンユニットが用いられている。このタービンユニットは、膨張タービンの生じる動力によりコンプレッサ翼車を駆動できることで空気サイクル冷凍機の効率を向上させている。
しかし、実用的な効率を得るためには、各翼車とハウジングとの隙間を微小に保つ必要がある。この隙間の変動は、安定した高速回転の妨げとなり効率の低下を招く。
また、コンプレッサ翼車やタービン翼車に作用する空気により、主軸にスラスト力が作用し、主軸を支持する軸受にスラスト荷重が荷される。空気サイクル冷凍冷却システムにおけるタービンユニットの主軸の回転速度は、1分間に8万〜10万回転であり、一般的な用途の軸受に比べて非常に高速となる。そのため、上記のようなスラスト荷重は、主軸を支持する軸受の長期耐久性の低下、寿命低下を招き、空気サイクル冷凍冷却用タービンユニットの信頼性を低下させる。このような軸受の長期耐久性の課題を解消しなくては、空気サイクル冷凍冷却用タービンユニットの実用化が難しい。しかし、上記特許文献1に開示の技術は、この高速回転下におけるスラスト荷重の負荷に対する軸受の長期耐久性の低下については解決されるに至っていない。
特許文献2の磁気軸受式タービン・コンプレッサのように、主軸を磁気軸受からなるジャーナル軸受およびスラスト軸受で支承したものでは、ジャーナル軸受にアキシアル方向の規制機能がない。そのため、スラスト軸受の制御の不安定要因等があると、上記翼車とディフューザ間の微小隙間を保って安定した高速回転を行うことが難しい。磁気軸受の場合は、電源停止時における接触の問題もある。
そこで、本発明者等は、上記課題を解決するものとして、図11に示すようなモータ一体型の磁気軸受装置を開発した。このモータ一体型の磁気軸受装置は、主軸53の両端にコンプレッサ46のコンプレッサ翼車46aおよび膨張タービン47のタービン翼車47aを取付けた空気サイクル冷凍冷却用タービンユニットにおいて、主軸53のラジアル負荷を転がり軸受55,56で、アキシアル負荷を電磁石57でそれぞれ支持すると共に、主軸53に同軸に設けたモータ68による駆動力とタービン翼車47aの駆動力とでコンプレッサ翼車46aを回転駆動するようにしたものである。アキシアル負荷を支持する電磁石57は、主軸53に垂直かつ同軸に設けられたスラスト板53aに非接触で対向するように配置され、アキシアル方向の力を検出するセンサ58の出力に応じて磁気軸受用コントローラ59で制御される。モータ68はアキシアルギャップ型のものであって、主軸53に垂直かつ同軸に設けた別のスラスト板53bにモータロータ68aを形成すると共に、このモータロータ68aと軸方向に対向するようにモータステータ68bを配置して構成される。このモータ68は、電磁石57とは独立にモータ用コントローラ69で制御される。この場合、モータ用コントローラ69は、モータロータ68aの永久磁石68aaがモータステータ68bにおけるモータコイル68baに差しかかるタイミングで、モータコイル68baへ電圧を印加することにより、モータ効率を上げるように制御する。
上記構成のモータ一体型の磁気軸受装置によると、主軸53にかかるスラスト力を電磁石57で支持するため、非接触でトルクの増大を抑えながら、転がり軸受55,56に作用するスラスト力を軽減することができる。その結果、各翼車46a,47aとハウジング46b,47bとの微小隙間を一定に保つことができ、スラスト荷重の負荷に対する転がり軸受55,56の長期耐久性を向上させることができる。
ところで、電動機の駆動方式には、出力電圧または出力電流をコンバータ部あるいはインバータ部で制御する方式がある。コンバータ部で出力電圧または出力電流を制御する方式はPAM(Pulse Ampltude Modulation )と呼ばれる方式であり、電圧源の電圧または電流の振幅を変えることで電動機を制御するものである。これに対し、インバータ部で出力電圧または出力電流を制御する方式はPWM(Pulse Width Modulation)と呼ばれる方式であり、回転磁界用の電流指令波形に多数のパルス列を形成し、そのパルス幅を可変とすることで等価電圧を変え電動機を制御するものである。これら両方式とも、回路内の各素子は電気的損失、重量、寸法を考慮して決定されており、パワー素子のスイッチング周波数は固定で使用され、そのパルス列のデューティ比を変えることで電動機を制御する。
上記構成のモータ一体型の磁気軸受装置においては、アキシアルギャップ型のモータ68の駆動方式としてPAM方式が用いられる。PAM方式の場合、そのスイッチング周波数は、振動や騒音、電圧可変回路内のリアクトル,コンデンサのサイズといったところから総合的に決定される。そのスイッチング周波数を高めることは、電気的にスイッチング損失を増大させるが、その反面、前記リアクトル,コンデンサを小型化でき、低コスト、小型化といったメリットがある。PAM方式では、一般的に10〜20kHzのスイッチング周波数が使用される。
しかし、モータ一体型の磁気軸受装置に用いられるアキシアルギャップ型のモータ68では、回転始動時や低速時において機械損,誘起電圧が小さいため、回転始動時に瞬時に回転数が2万〜3万rpmまで上昇してしまう現象が発生する。このようなモータの急加速は軸受を異常発熱させるので、軸受を短寿命化させてしまうという問題がある。
本来、PAM方式による電動機の駆動制御では、チョッパ用パワー素子のゲート電圧VGEの幅をゼロから徐々に増加させることで出力電圧を制御できる。しかし、パワー素子のゲート部は図12に示すように容量を持っていて、一定電荷が供給されるまでパワー素子をオンすることができないため、図13(A)におけるパワー素子の特性を示す図13(B)のように、数μsec間では出力電流ic を印加する時間を制御することが困難である。このため、図14(A)に示すようにチョッパ用パワー素子のオン指令を電流が印加できる最小幅にしても、出力電圧であるDCバス電圧は図14(B)のようにゼロボルト付近では制御できず、図14(C)に示すように始動から低速域の制御が困難である。
例えば、使用する電源電圧がAC380〜460Vの場合においては、電圧可変回路の前段の電圧がDC540〜650Vにもなり、スイッチング周波数10kHzにおいてモータ始動時の電圧を10V程度に制御する場合には、チョッパ用パワー素子のゲートのオン時間は約1.5μsecと短く、パワー素子の特性から正確な制御は困難である。
この発明の目的は、回転始動時から低速回転域においてモータ回転の急加速を抑制でき、軸受の異常発熱を抑制して寿命向上を図ることができるモータ一体型の磁気軸受装置を提供することである。
この発明のモータ一体型の磁気軸受装置は、転がり軸受と磁気軸受を併用し、転がり軸受がラジアル負荷を支持し、磁気軸受がアキシアル負荷と軸受予圧のどちらか一方または両方を支持し、電磁石は主軸に設けられた強磁性体からなるフランジ状のスラスト板に非接触で対向するように、スピンドルハウジングに取り付けられており、モータのモータロータが前記スラスト板と共通の主軸に設けられ、前記モータロータと対向するようにモータステータが配置され、モータロータとモータステータ間の磁気力ないしはローレンツ力により、主軸を回転させるモータ一体型の磁気軸受装置であって、
前記モータが永久磁石のモータロータおよびこのモータロータの位相を検出する位相検出器を有する3相の無整流子モータであり、前記位相検出器の出力に基づいて前記モータステータの各相のコイルに電流を印加するコイル電流印加タイミング信号を生成する演算部と、この演算部の出力するコイル電流印加タイミング信号に従って前記モータステータの各相のコイルに電流を印加するパワー回路とを備え、前記パワー回路は、モータコイルの線間電圧となるDCバス電圧を制御する電圧可変部を有し、この電圧可変部内に設けたチョッパ回路のパワー素子のスイッチング周波数を可変としたものであることを特徴とする。
この構成によると、モータステータの各相のコイルに電流を印加するパワー回路が、モータコイルの線間電圧となるDCバス電圧を制御する電圧可変部を有し、この電圧可変部内に設けたチョッパ回路のパワー素子のスイッチング周波数を可変としている。このため、回転始動時から低速回転域においてチョッパ回路のスイッチング周波数を段階的に高めるように可変させることで、モータ回転の急加速を抑制することができ、軸受の異常発熱を抑制し寿命向上を図ることができる。
この発明において、前記パワー回路は、前記電圧可変部に設けたチョッパ回路のパワー素子のオン時間を一定のままスイッチング周波数を可変とするものであっても良い。
この発明において、前記パワー回路は、モータ回転始動時から所定の回転速度までの範囲である低速回転範囲のみ、電圧可変部内に設けたチョッパ回路のパワー素子のスイッチング周波数を可変するものであっても良い。上記所定の回転速度は、低速回転範囲を通常回転範囲とを区分するために任意に設定する速度である。
この発明において、前記演算部は、前記位相検出器の出力状態の切り替わる間隔を計測して、電気角360°につき、30°毎に切り替わる12パターンのコイル電流印加タイミング信号を生成するものであっても良い。
この構成の場合、演算部が位相検出器の出力状態の切り替わる間隔を計測して、電気角360°につき、30°毎に切り替わる12パターンのコイル電流印加タイミング信号を生成し、パワー回路はコイルの線間電圧となるDCバス電圧を電流印加タイミング毎に可変可能としているので、モータステータの各相のコイルに印加される電流の波形を擬似的に正弦波に近づけることができる。そのため電流波形の高調波成分を低減することができて鉄損が低減され、モータロータの発熱を抑制し、モータ効率を向上させることができる。
この発明において、前記主軸には、コンプレッサ側翼車およびタービン側翼車が、前記スラスト板とモータロータと共通の主軸に嵌合し、モータ動力とタービン側翼車で発生した動力のどちらか一方または両方により、コンプレッサ側翼車を駆動させる、圧縮膨張タービンシステムに適用されたものであっても良い。この構成の場合、各翼車の適切な隙間を保って主軸の安定した高速回転が得られ、かつ、モータコイルの電流波形を正弦波に近づけ、モータロータの発熱制御およびモータ効率を向上させることができる。
この発明において、前記モータ一体型の磁気軸受装置を適用した圧縮膨張タービンシステムが、流入空気に対して、タービンユニットのコンプレッサによる圧縮、他の熱交換器による冷却、前記タービンユニットの膨張タービンによる断熱圧縮、を順次行う空気サイクル冷凍冷却システムに適用されるものであっても良い。
このような空気サイクル冷凍冷却システムに適用した場合、圧縮膨張タービンシステムにおいて、各翼車の適切な隙間を保って主軸の安定した高速回転が得られ、かつ軸受の長期耐久性が得られることから、圧縮膨張タービンシステムの全体として、しいては空気サイクル冷凍冷却システムとしても信頼性が向上する。また、空気サイクル冷凍冷却システムのネックとなっている圧縮膨張タービンシステムの主軸軸受の安定した高速回転、長期耐久性、信頼性が向上すると共に、モータコイルの電流波形を正弦波に近づけ、モータロータの発熱抑制およびモータ効率を向上させることができることから、空気サイクル冷凍冷却システムの実用化が可能になる。
この発明のモータ一体型の磁気軸受装置は、転がり軸受と磁気軸受を併用し、転がり軸受がラジアル負荷を支持し、磁気軸受がアキシアル負荷と軸受予圧のどちらか一方または両方を支持し、電磁石は主軸に設けられた強磁性体からなるフランジ状のスラスト板に非接触で対向するように、スピンドルハウジングに取り付けられており、モータのモータロータが前記スラスト板と共通の主軸に設けられ、前記モータロータと対向するようにモータステータが配置され、モータロータとモータステータ間の磁気力ないしはローレンツ力により、主軸を回転させるモータ一体型の磁気軸受装置であって、前記モータが永久磁石のモータロータおよびこのモータロータの位相を検出する位相検出器を有する3相の無整流子モータであり、前記位相検出器の出力に基づいて前記モータステータの各相のコイルに電流を印加するコイル電流印加タイミング信号を生成する演算部と、この演算部の出力するコイル電流印加タイミング信号に従って前記モータステータの各相のコイルに電流を印加するパワー回路とを備え、前記パワー回路は、モータコイルの線間電圧となるDCバス電圧を制御する電圧可変部を有し、この電圧可変部内に設けたチョッパ回路のパワー素子のスイッチング周波数を可変としたため、回転始動時から低速回転域においてモータ回転の急加速を抑制でき、軸受の異常発熱を抑制して寿命向上を図ることができる。
この発明の一実施形態を図1ないし図9と共に説明する。図1は、この実施形態のモータ一体型の磁気軸受装置を組み込んだタービンユニット5の断面図を示す。このタービンユニット5は圧縮膨張タービンシステムを構成するものであり、コンプレッサ6および膨張タービン7を有し、コンプレッサ6のコンプレッサ翼車6aおよび膨張タービン7のタービン翼車7aが主軸13の両端にそれぞれ嵌合して固定されている。主軸13の材料には、磁気特性の良好な低炭素鋼が使用される。
図1において、コンプレッサ6は、コンプレッサ翼車6aと微小の隙間d1を介して対向するコンプレッサハウジング6bを有し、中心部の吸込口6cから軸方向に吸入した空気を、コンプレッサ翼車6aで圧縮し、外周部の出口(図示せず)から矢印6dで示すように排出する。
膨張タービン7は、タービン翼車7aと微小の隙間d2を介して対向するタービンハウジング7bを有し、外周部から矢印7cで示すように吸い込んだ空気を、タービン翼車7aで断熱膨張させ、中心部の排出口7dから軸方向に排出する。
このタービンユニット5におけるモータ一体型の磁気軸受装置は、主軸13をラジアル方向に対し複数の軸受15,16で支持し、主軸13にかかるアキシアル負荷と軸受予圧のどちらか一方または両方を磁気軸受である電磁石17により支持すると共に、主軸13を回転駆動するアキシアルギャップ型のモータ28を設けたものである。このタービンユニット5は、主軸13に作用するスラスト力を検出するセンサ18と、このセンサ18の出力に応じて前記電磁石17による支持力を制御する磁気軸受用コントローラ19と、電磁石17とは独立に前記モータ28を制御するモータ用コントローラ29とを有している。
電磁石17は、主軸13の軸方向中間部において軸方向に並ぶように主軸13に垂直かつ同軸に設けられた強磁性体からなるフランジ状の2つのスラスト板13a,13bの各片面に非接触で対向するように、一対のものがスピンドルハウジング14に設置されている。具体的には、磁気軸受ユニットを構成する一方の電磁石17は、膨張タービン7寄りに位置するスラスト板13aの膨張タービン7側に向く片面を電磁石ターゲットとして、この片面に非接触で対向するようにスピンドルハウジング14に設置される。また、磁気軸受ユニットを構成する他方の電磁石17は、コンプレッサ6寄りに位置するスラスト板13bのコンプレッサ6側に向く片面を電磁石ターゲットして、この片面に非接触で対向するようにスピンドルハウジング14に設置される。
モータ28は、同期モータであって、前記電磁石17と並んで主軸13に設けられたモータロータ28aと、このモータロータ28aに対し軸方向に対向するモータステータ28bとでなる3相の無整流子モータである。モータロータ28aは、主軸13における前記各スラスト板13a,13bの電磁石17が対向する側とは反対側の各片面に、円周方向に等ピッチで並ぶ永久磁石28aaを配置することで左右一対のものが構成される。このように軸方向に対向配置される永久磁石28aaの間では、その磁極が互いに異極となるように設定される。主軸13には磁気特性の良好な低炭素鋼を使用しているので、主軸13と一体構造となるように設けられる前記各スラスト板13a,13bを、永久磁石28aaのバックヨークおよび電磁石ターゲットに兼用できる。
モータステータ28bは、前記左右一対のモータロータ28aに挟まれる軸方向中央の位置において、これら両モータロータ28aの各面に非接触で対向するようにコアの無い状態で配置したモータコイル28baを、スピンドルハウジング14に設置して構成される。このモータ28は、前記モータロータ28aとモータステータ28b間に作用するローレンツ力により、主軸13を回転させる。このように、このアキシアルギャップ型のモータ28はコアレスモータとされていることから、モータロータ28aとモータステータ28b間の磁気カップリングによる負の剛性はゼロとなっている。
主軸13を支持する軸受15,16は転がり軸受であって、アキシアル方向位置の規制機能を有するものであり、例えば深溝玉軸受やアンギュラ玉軸受が用いられる。深溝玉軸受の場合、両方向のスラスト支持機能を有し、内外輪のアキシアル方向位置を中立位置に戻す作用を持つ。これら2個の軸受15,16は、それぞれスピンドルハウジング14におけるコンプレッサ翼車6aおよびタービン翼車7aの近傍に配置されている。
主軸13は、中間部の大径部13cと、両端部の小径部13dとを有する段付き軸とされている。両側の軸受15,16は、その内輪15a,16aが小径部13dに圧入状態に嵌合し、片方の幅面が大径部13cと小径部13d間の段差面に係合する。
スピンドルハウジング14における両側の軸受15,16よりも各翼車6a,7a側の部分は、内径面が主軸13に近接する径に形成され、この内径面に非接触シール21,22が形成されている。この実施形態では、非接触シール21,22は、スピドルハウジング14の内径面に複数の円周溝を軸方向に並べて形成したラビリンスシールとしているが、その他の非接触シール手段でも良い。
前記センサ18は、タービン翼車7a側の軸受16の近傍における静止側、つまりスピンドルハウジング14側に設けられている。このセンサ18を近傍に設けた軸受16は、その外輪16bが軸受ハウジング23内に固定状態に嵌合している。軸受ハウジング23は、リング状に形成されて一端に軸受16の外輪16bの幅面に係合する内鍔23aを有しており、スピンドルハウジング14に設けられた内径面24にアキシアル方向に移動自在に嵌合している。内鍔23aは、アキシアル方向の中央側端に設けられている。
センサ18は主軸13の回りの円周方向複数箇所(例えば2箇所)に分配配置され、軸受ハウジング23の内鍔23a側の幅面と、スピンドルハウジング14に固定された部材である片方の電磁石17との間に介在させてある。また、センサ18は、センサ予圧ばね25により予圧が印加されている。センサ予圧ばね25は、スピンドルハウジング14に設けられた収容凹部内に収容されて軸受16の外輪16bをアキシアル方向に付勢するものとされ、外輪16bおよび軸受ハウジング23を介してセンサ18を予圧する。センサ予圧ばね25は、例えば主軸13の回りの円周方向複数箇所に設けられたコイルばね等からなる。
センサ予圧ばね25による予圧は、押し付け力によってスラスト力を検出するセンサ18が、主軸13のアキシアル方向のいずれの向きの移動に対しても検出できるようにするためであり、タービンユニット5の通常の運転状態で主軸13に作用する平均的なスラスト力以上の大きさとされる。
センサ18の非配置側の軸受15は、スピンドルハウジング14に対してアキシアル方向に移動自在に設置され、かつ軸受予圧ばね26によって弾性支持されている。この例では軸受15の外輪15bが、スピンドルハウジング14の内径面にアキシアル方向移動自在に嵌合していて、軸受予圧ばね26は、外輪15bとスピンドルハウジング14との間に介在している。軸受予圧ばね26は、内輪15aの幅面が係合した主軸13の段面に対向して外輪15bを付勢するものとされ、軸受15に予圧を与えている。軸受予圧ばね26は、主軸13回りの円周方向複数箇所に設けられたコイルばね等からなり、それぞれスピンドルハウジング14に設けられた収容凹部内に収容されている。軸受予圧ばね26は、センサ予圧ばね25よりもばね定数が小さいものとされる。
上記タービンユニット5におけるモータ一体型の磁気軸受装置の力学モデルは簡単なバネ系で構成することができる。すなわち、このバネ系は、軸受15,16とこれら軸受の支持系(センサ予圧ばね25、軸受予圧ばね26、軸受ハウジング23など)とで形成される合成バネと、モータ部(電磁石17とモータ28)で形成される合成バネとが並列となった構成である。このバネ系において、軸受15,16とこれら軸受の支持系とで形成される合成バネは、変位した方向と逆の方向に変位量に比例して作用する剛性となるのに対し、電磁石17とモータ28とで形成される合成バネは、変位した方向に変位量に比例して作用する負の剛性となる。
このため、上記した両合成バネの剛性の大小関係を、
軸受等による合成バネの剛性値<電磁石・モータによる合成バネの負の剛性値…(1)とした場合、機械システムの位相は180°遅れとなり不安定な系となることから、電磁石17を制御する磁気軸受用コントローラ19において、予め位相補償回路を付加する必要が生じ、コントローラ19の構成が複雑なものになる。
そこで、この実施形態のモータ一体型の磁気軸受装置では、上記した両合成バネの剛性の大小関係を、
軸受等による合成バネの剛性値>電磁石・モータによる合成バネの負の剛性値…(2)としている。とくに、このモータ一体型の磁気軸受装置では、上記したようにアキシアルギャップ型のモータ28をコアレスモータとしているので、モータ28に作用する負の剛性値をゼロとすることができ、モータ28が高負荷動作し過大なアキシアル荷重が作用した状態においても上記(2)式の大小関係を保つことができる。
その結果、制御帯域において、機械システムの位相が180°遅れとなることを防止できるので、モータ28が高負荷動作し過大なアキシアル荷重が作用した状態でも磁気軸受用コントローラ19の制御対象を安定なものとでき、コントローラ19の回路構成を図2のように比例もしくは比例積分を用いた簡単なものに構成できる。
ブロック図で示す図2の磁気軸受用コントローラ19では、各センサ18の検出出力P1,P2をセンサ出力演算回路30で加減算し、その演算結果を比較器31で基準値設定手段32の基準値と比較して偏差を演算し、さらに演算した偏差をPI補償回路(もしくはP補償回路)33によりタービンユニット5に応じて適宜設定される比例積分(もしくは比例)処理を行うことで、電磁石17の制御信号を演算するようにしている。PI補償回路(もしくはP補償回路)33の出力は、ダイオード34,35を介して各方向の電磁石171 ,172 を駆動するパワー回路36,37に入力される。電磁石171 ,172 は、図1に示したスラスト板13a,13bに対向する一対の電磁石17であり、吸引力しか作用しないため、予めダイオード34,35で電流の向きを決め、2個の電磁石171 ,172 を選択的に駆動するようにしている。
同じくブロック図で示す図3のモータ用コントローラ29では、モータロータ28aの回転位相を基に、モータコイル28baが回転磁界を発生するためのコイル電流印加タイミングがモータ駆動電流位相調整手段である演算部38で演算され、この演算部38の出力するコイル電流印加タイミングの信号に従ってパワー回路39から各相のモータコイル28baにコイル電流が印加される。モータロータ28aの回転位相は位相検出器40で検出され、その検出信号が前記演算部38に入力される。
前記演算部38によるコイル電流印加タイミング信号の生成では、電気角360°につき、30°毎に切り替わる12パターンのコイル電流印加タイミング信号を生成する。この場合の12パターンのコイル電流印加タイミング信号は、6ステップ120°通電と、6ステップ180°通電の電流印加を交互に繰り返すパターンの信号とされる。
図4には、この実施形態における3相の無整流子モータ28と、前記演算部38と、前記パワー回路39と、位相検出器40の接続構成の概略図を示す。図5には位相検出器40の検出出力の信号波形(図5(A))と、演算部38から出力される電流指令であるコイル電流印加タイミングの信号波形(図5(B))とを示す。この場合の3相の無整流子モータ28では、駆動用3相電流の切替のために1個の位相検出器40が用いられ、図5(A)に示す位相検出出力から得られる周期T1を計測し、その時間(電気角360°)を演算部38で12の区間に分割することで、図5(B)に示すように6パターン(電気角360°)の電流指令を生成する。また、位相検出器の個数は1個に限ったものではなく、1ないし6個の位相検出器から図5(B)に示すように6パターン(電気角360°)の電流指令を生成しても良い。複数個の位相検出器を用いる場合は(図4にはその一部の位相検出器の結線を鎖線で示す)、電気角120°での配置(1〜3個)とその位相検出器からそれぞれ電気角30°ずらした配置(1〜3個)の位相検出器出力の組合せから、図5(B)に示すような6パターン(電気角360°)の電流指令を生成することができる。前記パワー回路39はPAM方式でモータ28を駆動するものであり、コンバータ部39Aとインバータ部39Bとでなる。コンバータ部39Aは、前記モータコイル28baの線間電圧となるDCバス電圧を電流印加タイミング毎に変更可能とした電圧可変部41を有する。この電圧可変部41からモータコイル28baの線間への電流印加は、パワー回路39におけるインバータ部39Bを構成する各パワー素子42のスイッチング動作で行われる。
前記電圧可変部41にはチョッパ回路43が設けられ、このチョッパ回路43の構成素子であるパワー素子Tr(図6)のスイッチング周波数は可変とされる。図6は、前記電圧可変部41として採用可能な各種方式の回路構成例を示したものであり、定電圧源E、リアクトルL、チョッパ用パワー素子Tr、ダイオードD1,D2、コンデンサCなどで構成される。図6(A)は昇圧方式を、図6(B)は降圧方式を、図6(C)は昇降圧方式をそれぞれ示す。
前記チョッパ回路43のパワー素子Trのスイッチング周波数は、モータ回転始動時から所定の回転速度までの低速回転範囲でのみ可変とされ、その低速回転範囲を脱すると、本来のPAM方式によるモータ駆動とされる。具体的には、図7(A)ないし図7(D)に示すように、モータ回転始動時から所定の低速回転範囲では、パワー素子Trのオン指令パルスは、パワー素子Trのオン時間が最小になるデューティ比に設定され、そのオン時間をおおよそ一定に保持した状態でスイッチング周波数を段階的に高くするように制御される。スイッチング周波数が設定周波数に到達した後は、図7(E)に示すようにスイッチング周波数は一定でオン指令パルスのデューティ比を増加させる。
図8(A),(B)は、上記駆動方式によるDCバス電圧の変化およびモータ回転数の変化をグラフで示したものである。なお、図8(A)のグラフにおいて、符号(A)〜(E)は、図7(A)ないし図7(E)に示すパワー素子Trのオン指令パルスに対応している。このように、上記駆動方式によると、モータ回転始動時から所定の低速回転範囲において、DCバス電圧およびモータ回転数が段階的に上昇するので、モータ28の急加速を抑制することができる。
図9(A),(B)には前記6ステップ120°通電方式の電流印加パターンおよび前記6ステップ180°通電方式の電流印加パターンをそれぞれ示す。120°通電では常に2つのコイルに電流を印加し、180°通電では常に3つのコイルに電流を印加する。 図9(C)には、この実施形態で採用される12ステップ120°,180°通電切替方式の電流印加パターンを示す。この電流印加パターンの12ステップの電流の通電方向は、次のとおりである。
ステップ1:端子U−中性点N−端子Vへの流れ、および端子W−中性点N−端子Vへの流れとなるように、3つのコイルに通電。
ステップ2:端子U−中性点N−端子Vへの流れとなるように、2つのコイルに通電。 ステップ3:端子U−中性点N−端子Vへの流れ、および端子U−中性点N−端子Wへの流れとなるように、3つのコイルに通電。
ステップ4:端子U−中性点N−端子Wへの流れとなるように、2つのコイルに通電。 ステップ5:端子U−中性点N−端子Wへの流れ、および端子V−中性点N−端子Wへの流れとなるように、3つのコイルに通電。
ステップ6:端子V−中性点N−端子Wへの流れとなるように、2つのコイルに通電。 ステップ7:端子V−中性点N−端子Uへの流れ、および端子V−中性点N−端子Wへの流れとなるように、3つのコイルに通電。
ステップ8:端子V−中性点N−端子Uへの流れとなるように、2つのコイルに通電。 ステップ9:端子V−中性点N−端子Uへの流れ、および端子W−中性点N−端子Uへの流れとなるように、3つのコイルに通電。
ステップ10:端子W−中性点N−端子Uへの流れとなるように2つのコイルに通電。 ステップ11:端子W−中性点N−端子Vへの流れ、および端子W−中性点N−端子Uへの流れとなるように、3つのコイルに通電。
ステップ12:端子W−中性点N−端子Vへの流れとなるように2つのコイルに通電。
この12ステップ120°,180°通電切替方式では、図9(C)のように電流を印加するコイル数を2つと3つで交互に切り替えることで、中性点−端子間の電圧を4パターン(開放状態を含む)に切り替えることができ、相電流波形を擬似的に正弦波に近づけることができる。これににより、6ステップ120°通電方式と比較して、第5次高調波成分を1/4に、第7次高調波を1/2に低減できる。
とくに、この実施形態では、電圧可変部41により、DCバス電圧を6ステップ120°通電時と6ステップ180°通電時とで異ならせているので、相電流波形をより一層正弦波に近づけることができる。これにより、モータロータ28aの発熱抑制およびモータ効率を向上させることができる。
この構成のタービンユニット5は、例えば空気サイクル冷凍冷却システムに適用されて、冷却媒体となる空気を後段の熱交換器(ここでは図示せず)により効率良く熱交換できるように、コンプレッサ6で圧縮して温度上昇させ、さらに後段の前記熱交換器で冷却された空気を、膨張タービン7により、目標温度、例えば−30℃〜−60℃程度の極低温まで断熱膨張により冷却して排出するように使用される。
このような使用例において、このタービンユニット5は、コンプレッサ翼車6aおよびタービン翼車7aが、前記スラスト板13aとモータロータ28aと共通の主軸13に嵌合し、モータ28の動力とタービン翼車7aで発生した動力のどちらか一方または両方によりコンプレッサ翼車6aを駆動するものとしている。このため、各翼車6a,7aの適切な隙間d1,d2を保って主軸13の安定した高速回転が得られ、かつ軸受15,16の長期耐久性の向上、寿命の向上が得られる。
すなわち、タービンユニット5の圧縮,膨張の効率を確保するためには、各翼車6a,7aとハウジング6b,7bとの隙間d1,d2を微小に保つ必要がある。例えば、このタービンユニット5を空気サイクル冷凍冷却システムに適用する場合には、この効率確保が重要となる。これに対して、主軸13を転がり形式の軸受15,16により支持するため、転がり軸受の持つアキシアル方向位置の規制機能により、主軸13のアキシアル方向位置がある程度規制され、各翼車6a,7aとハウジング6b,7bとの微小隙間d1,d2を一定に保つことができる。
しかし、タービンユニット5の主軸13には、各翼車6a,7aに作用する空気の圧力でスラスト力がかかる。また、空気冷却システムで使用するタービンユニット5では、1分間に例えば8万〜10万回転程度の非常に高速の回転となる。そのため、主軸13を回転支持する転がり軸受15,16に上記スラスト力が作用すると、軸受15,16の長期耐久性が低下する。
この実施形態は、上記スラスト力を電磁石17で支持するため、非接触でトルクの増大を抑えながら、主軸13の支持用の転がり軸受15,16に作用するスラスト力を軽減することができる。この場合に、主軸13に作用するスラスト力を検出するセンサ18と、このセンサ18の出力に応じて前記電磁石17による支持力を制御する磁気軸受用コントローラ19とを設けたため、転がり軸受15,16を、その軸受仕様に応じてスラスト力に対し最適な状態で使用することができる。
また、軸方向に並べて主軸13に設けられた2つのスラスト板13a,13bの軸方向外側に2つの電磁石17を配置して磁気軸受ユニットを構成すると共に、前記両スラスト板13a,13bで挟まれる位置にアキシアルギャップ型のモータ28を配置してモータユニットを構成することにより、磁気軸受ユニットとモータユニットをコンパクトな一体構造としているため、主軸53の軸長を短くでき、それだけ主軸13の固有振動数が高くなって、主軸13を高速回転させることができる。
また、このモータ一体型の磁気軸受装置では、モータ28が永久磁石28aaのモータロータ28aおよびこのモータロータ28aの位相を検出する位相検出器40を有する3相の無整流子モータであり、位相検出器40の出力に基づいてモータステータ28bの各相のコイル28baに電流を印加するコイル電流印加タイミング信号を生成する演算部38と、この演算部38の出力するコイル電流印加タイミング信号に従ってモータステータ28bの各相のコイル28baに電流を印加するパワー回路39とを備え、前記パワー回路39は、モータコイル28baの線間電圧となるDCバス電圧を制御する電圧可変部41を有し、この電圧可変部41内に設けたチョッパ回路43のパワー素子Trのスイッチング周波数を可変としたため、モータ回転始動時から低速回転範囲のみ前記パワー素子Trのスイッチング周波数を段階的に高くすることにより、DCバス電圧およびモータ回転数を段階的に上昇させることで、モータ28の急加速を抑制することができ、軸受の異常発熱を抑制して寿命向上を図ることができる。
また,この実施形態の場合、前記演算部38は、前記位相検出器40の出力状態の切り替わる間隔を計測して、電気角360°につき、30°毎に切り替わる12パターンのコイル電流印加タイミング信号を生成するものであり、前記パワー回路39は、前記コイル28baの線間電圧となるDCバス電圧を電流印加タイミング毎に可変可能とした電圧可変部41を有するものとしたため、モータステータ28bの各相のコイル28baに印加される電流の波形を正弦波に近づけることができる。その結果、電流波形の高調波成分を低減することができて鉄損が低減されるので、モータロータ28aの発熱を抑制でき、モータ効率を向上させることができる。
図10は、図1に示すタービンユニット5を用いた空気サイクル冷凍冷却システムの全体の構成を示す。この空気サイクル冷凍冷却システムは、冷凍倉庫等の被冷却空間10の空気を直接に冷媒として冷却するシステムであり、被冷却空間10にそれぞれ開口した空気の取入口1aから排出口1bに至る空気循環経路1を有している。この空気循環経路1に、予圧縮手段2、第1の熱交換器3、空気サイクル冷凍冷却用タービンユニット5のコンプレッサ6、第2の熱交換器8、中間熱交換器9、および前記タービンユニット5の膨張タービン7が順に設けられている。中間熱交換器9は、同じ空気循環経路1内で取入口1aの付近の流入空気と、後段の圧縮で昇温し、冷却された空気との間で熱交換を行うものであり、取入口1aの付近の空気は熱交換器9a内を通る。
予圧縮手段2はブロア等からなり、モータ2aにより駆動される。第1の熱交換器3および第2の熱交換器8は、冷却媒体を循環させる熱交換器3a,8aをそれぞれ有し、熱交換器3a,8a内の水等の冷却媒体と空気循環経路1の空気との間で熱交換を行う。各熱交換器3a,8aは、冷却塔11に配管接続されており、熱交換で昇温した冷却媒体が冷却塔11で冷却される。なお、前記予圧縮手段2を含まない構成の空気サイクル冷凍冷却システムでもよい。
この空気サイクル冷凍冷却システムは、被冷却空間10を0℃〜−60℃程度に保つシステムであり、被冷却空間10から空気循環経路1の取入口1aに0℃〜−60℃程度で1気圧の空気が流入する。なお、以下に示す温度および気圧の数値は、一応の目安となる一例である。取入口1aに流入した空気は、中間熱交換器9により、空気循環経路1中の後段の空気の冷却に使用され、30℃まで昇温する。この昇温した空気は1気圧のままであるが、予圧縮手段2により1.4気圧に圧縮させられ、その圧縮により、70℃まで昇温する。第1の熱交換器3は、昇温した70℃の空気を冷却すれば良いため、常温程度の冷水であっても効率良く冷却することができ、40℃に冷却する。
熱交換により冷却された40℃,1.4気圧の空気が、タービンユニット5のコンプレッサ6により、1.8気圧まで圧縮され、この圧縮により70℃程度に昇温した状態で、第2の熱交換器8により40℃に冷却される。この40℃の空気は、中間熱交換器9で−30℃の空気により−20℃まで冷却される。気圧はコンプレッサ6から排出された1.8気圧が維持される。
中間熱交換器9で−20℃まで冷却された空気は、タービンユニット5の膨張タービン7により断熱膨張され、−55℃まで冷却されて排出口1bから被冷却空間10に排出される。この空気サイクル冷凍冷却システムは、このような冷凍サイクルを行う。
この空気サイクル冷凍冷却システムでは、タービンユニット5において、各翼車6a,7aの適切な隙間d1,d2を保って主軸13の安定した高速回転が得られ、かつ軸受15,16の長期耐久性の向上、寿命の向上が得られることで、軸受15,16の長期耐久性が向上することから、タービンユニット5の全体として、しいては空気サイクル冷凍冷却システムの全体としての信頼性が向上する。このように、空気サイクル冷凍冷却システムのネックとなっているタービンユニット5の主軸軸受15,16の安定した高速回転、長期耐久性、信頼性が向上するため、空気サイクル冷凍冷却システムの実用化が可能となる。
この発明の一実施形態にかかるモータ一体型の磁気軸受装置が組み込まれたタービンユニットの断面図である。 モータ一体型の磁気軸受装置に用いられる磁気軸受用コントローラの一例を示すブロック図である。 モータ一体型の磁気軸受装置に用いられるモータ用コントローラの一例を示すブロック図である。 モータ一体型の磁気軸受装置におけるモータと演算部とパワー回路と位相検出器の接続構成の概略図である。 (A)は図4の接続構成における位相検出器の検出出力の信号波形、(B)は演算部から出力されるコイル電流印加タイミングの信号波形である。 パワー回路における電圧可変部の各種方式の回路構成例である。 チョッパ用パワー素子のオン指令パルスの周波数変化の説明図である。 (A)はDCバス電圧の変化を示すグラフ、(B)はモータ回転数の変化を示すグラフである。 (A)は6ステップ120°通電方式の電流印加パターン、(B)は6ステップ180°通電方式の電流印加パターン、(C)は12ステップ120°,180°通電切替方式の電流印加パターンである。 図1のタービンユニットを適用した空気サイクル冷凍冷却システムの系統図である。 提案例の断面図である。 チョッパ用パワー素子のゲート部での容量特性を示すグラフである。 (A)はチョッパ用パワー素子の駆動回路の概略図、(B)は同パワー素子の出力特性を示すグラフである。 (A)チョッパ用パワー素子のオン指令パルスの波形図、(B)は同パルスに対応したDCバス電圧の波形図、(C)はモータ回転数の変化を示すグラフである。
符号の説明
2…予圧縮手段
3…第1の熱交換器
5…タービンユニット
6…コンプレッサ
6a…コンプレッサ翼車
7…膨張タービン
7a…タービン翼車
8…第2の熱交換器
13…主軸
13a,13b…スラスト板
14…スピンドルハウジング
15,16…転がり軸受
17…電磁石(磁気軸受)
28…モータ
28a…モータロータ
28aa…永久磁石
28b…モータステータ
28ba…モータコイル
38…演算部(モータ駆動電流位相調整手段)
39…パワー回路
40…位相検出器
41…電圧可変部
43…チョッパ回路
Tr…チョッパ用パワー素子

Claims (6)

  1. 転がり軸受と磁気軸受を併用し、転がり軸受がラジアル負荷を支持し、磁気軸受がアキシアル負荷と軸受予圧のどちらか一方または両方を支持し、電磁石は主軸に設けられた強磁性体からなるフランジ状のスラスト板に非接触で対向するように、スピンドルハウジングに取り付けられており、モータのモータロータが前記スラスト板と共通の主軸に設けられ、前記モータロータと対向するようにモータステータが配置され、モータロータとモータステータ間の磁気力ないしはローレンツ力により、主軸を回転させるモータ一体型の磁気軸受装置であって、
    前記モータが永久磁石のモータロータおよびこのモータロータの位相を検出する位相検出器を有する3相の無整流子モータであり、前記位相検出器の出力に基づいて前記モータステータの各相のコイルに電流を印加するコイル電流印加タイミング信号を生成する演算部と、この演算部の出力するコイル電流印加タイミング信号に従って前記モータステータの各相のコイルに電流を印加するパワー回路とを備え、
    前記パワー回路は、モータコイルの線間電圧となるDCバス電圧を制御する電圧可変部を有し、この電圧可変部内に設けたチョッパ回路のパワー素子のスイッチング周波数を可変としたものであることを特徴とするモータ一体型の磁気軸受装置。
  2. 請求項1において、前記パワー回路は、前記電圧可変部に設けたチョッパ回路のパワー素子のオン時間を一定のままスイッチング周波数を可変とするものであることを特徴とするモータ一体型の磁気軸受装置。
  3. 請求項1において、前記パワー回路は、モータ回転始動時から所定の回転速度までの範囲である低速回転範囲のみ、電圧可変部内に設けたチョッパ回路のパワー素子のスイッチング周波数を可変するものであることを特徴とするモータ一体型の磁気軸受装置。
  4. 請求項1において、前記演算部は、前記位相検出器の出力状態の切り替わる間隔を計測して、電気角360°につき、30°毎に切り替わる12パターンのコイル電流印加タイミング信号を生成するものであることを特徴とするモータ一体型の磁気軸受装置。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか1項において、前記主軸には、コンプレッサ側翼車およびタービン側翼車が、前記スラスト板とモータロータと共通の主軸に嵌合し、モータ動力とタービン側翼車で発生した動力のどちらか一方または両方により、コンプレッサ側翼車を駆動させる、圧縮膨張タービンシステムに適用されたものであるモータ一体型の磁気軸受装置。
  6. 請求項5において、前記モータ一体型の磁気軸受装置を適用した圧縮膨張タービンシステムが、流入空気に対して、タービンユニットのコンプレッサによる圧縮、他の熱交換器による冷却、前記タービンユニットの膨張タービンによる断熱圧縮、を順次行う空気サイクル冷凍冷却システムに適用されることを特徴としたモータ一体型の磁気軸受装置。

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