JP2008043084A - モータ一体型の磁気軸受装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】スラスト荷重の負荷に対する転がり軸受の長期耐久性を向上させることができ、かつモータ効率を向上させることができるモータ一体型の磁気軸受装置を提供する。
【解決手段】モータ一体型の磁気軸受装置は、転がり軸受15,16と併用し、転がり軸受15,16がラジアル負荷を支持し、磁気軸受がアキシアル負荷と軸受予圧のどちらか一方または両方を支持する。磁気軸受を構成する電磁石17は、スピンドルハウジング14に取付けられる。モータロータ28aとモータステータ28b間の角度位相を検出するセンサと、モータ駆動電流位相調整手段とが設けられ、モータロータ28aが前記設定回転数で回転する状態で、モータロータ28aの永久磁石28aaの中心がモータステータ28bの発生する磁束の中心を通過するときにモータコイル28baの電流値が最大となるように前記電流印加の開始のタイミングを決定する。
【選択図】図1
【解決手段】モータ一体型の磁気軸受装置は、転がり軸受15,16と併用し、転がり軸受15,16がラジアル負荷を支持し、磁気軸受がアキシアル負荷と軸受予圧のどちらか一方または両方を支持する。磁気軸受を構成する電磁石17は、スピンドルハウジング14に取付けられる。モータロータ28aとモータステータ28b間の角度位相を検出するセンサと、モータ駆動電流位相調整手段とが設けられ、モータロータ28aが前記設定回転数で回転する状態で、モータロータ28aの永久磁石28aaの中心がモータステータ28bの発生する磁束の中心を通過するときにモータコイル28baの電流値が最大となるように前記電流印加の開始のタイミングを決定する。
【選択図】図1
Description
この発明は、空気サイクル冷凍冷却用タービンユニット等に用いられる磁気軸受装置に関し、特に、転がり軸受と磁気軸受を併用し、磁気軸受がアキシアル負荷と軸受予圧のどちらか一方または両方を支持するようにしたモータ一体型の磁気軸受装置に関する。
空気サイクル冷凍冷却システムは、冷媒として空気を用いるため、フロンやアンモニアガス等を用いる場合に比べてエネルギー効率が不足するが、環境保護の面では好ましい。また、冷凍倉庫等のように、冷媒空気を直接に吹き込むことができる施設では、庫内ファンやデフロストの省略等によってトータルコストを引下げられる可能性があり、このような用途で空気サイクル冷凍冷却システムが提案されている(例えば特許文献1)。
また、−30℃〜−60℃のディープ・コール領域では、空気冷却の理論効率は、フロンやアンモニアガスと同等以上になることが知られている。ただし、上記空気冷却の理論効率を得ることは、最適に設計された周辺装置があって、始めて成り立つとも述べられている。周辺装置は、圧縮機や膨張タービン等である。
圧縮機,膨張タービンとしては、コンプレッサ翼車および膨張タービン翼車を共通の主軸に取付けたタービンユニットが用いられている(特許文献1)。
圧縮機,膨張タービンとしては、コンプレッサ翼車および膨張タービン翼車を共通の主軸に取付けたタービンユニットが用いられている(特許文献1)。
なお、プロセスガスを処理するタービン・コンプレッサとしては、主軸の一端にタービン翼車、他端にコンプレッサ翼車を取付け、前記主軸を電磁石の電流で制御するジャーナルおよびスラスト軸受で支承した磁気軸受式タービン・コンプレッサが提案されている(特許文献2)。
また、ガスタービンエンジンにおける提案ではあるが、主軸支持用の転がり軸受に作用するスラスト荷重が軸受寿命の短縮を招くことを回避するため、転がり軸受に作用するスラスト荷重をスラスト磁気軸受により低減することが提案されている(特許文献3)。
特許第2623202号公報
特開平7−91760号公報
特開平8−261237公報
また、ガスタービンエンジンにおける提案ではあるが、主軸支持用の転がり軸受に作用するスラスト荷重が軸受寿命の短縮を招くことを回避するため、転がり軸受に作用するスラスト荷重をスラスト磁気軸受により低減することが提案されている(特許文献3)。
上記のように、空気サイクル冷凍冷却システムとして、ディープ・コール領域で高効率となる空気冷却の理論効率を得るためには、最適に設計された圧縮機や膨張タービンが必要となる。
圧縮機,膨張タービンとしては、上記のようにコンプレッサ翼車および膨張タービン翼車を共通の主軸に取付けたタービンユニットが用いられている。このタービンユニットは、膨張タービンの生じる動力によりコンプレッサ翼車を駆動できることで空気サイクル冷凍機の効率を向上させている。
圧縮機,膨張タービンとしては、上記のようにコンプレッサ翼車および膨張タービン翼車を共通の主軸に取付けたタービンユニットが用いられている。このタービンユニットは、膨張タービンの生じる動力によりコンプレッサ翼車を駆動できることで空気サイクル冷凍機の効率を向上させている。
しかし、実用的な効率を得るためには、各翼車とハウジングとの隙間を微小に保つ必要がある。この隙間の変動は、安定した高速回転の妨げとなり効率の低下を招く。
また、コンプレッサ翼車やタービン翼車に作用する空気により、主軸にスラスト力が作用し、主軸を支持する軸受にスラスト荷重が荷される。空気サイクル冷凍冷却システムにおけるタービンユニットの主軸の回転速度は、1分間に8万〜10万回転であり、一般的な用途の軸受に比べて非常に高速となる。そのため、上記のようなスラスト荷重は、主軸を支持する軸受の長期耐久性の低下、寿命低下を招き、空気サイクル冷凍冷却用タービンユニットの信頼性を低下させる。このような軸受の長期耐久性の課題を解消しなくては、空気サイクル冷凍冷却用タービンユニットの実用化が難しい。しかし、上記特許文献1に開示の技術は、この高速回転下におけるスラスト荷重の負荷に対する軸受の長期耐久性の低下については解決されるに至っていない。
また、コンプレッサ翼車やタービン翼車に作用する空気により、主軸にスラスト力が作用し、主軸を支持する軸受にスラスト荷重が荷される。空気サイクル冷凍冷却システムにおけるタービンユニットの主軸の回転速度は、1分間に8万〜10万回転であり、一般的な用途の軸受に比べて非常に高速となる。そのため、上記のようなスラスト荷重は、主軸を支持する軸受の長期耐久性の低下、寿命低下を招き、空気サイクル冷凍冷却用タービンユニットの信頼性を低下させる。このような軸受の長期耐久性の課題を解消しなくては、空気サイクル冷凍冷却用タービンユニットの実用化が難しい。しかし、上記特許文献1に開示の技術は、この高速回転下におけるスラスト荷重の負荷に対する軸受の長期耐久性の低下については解決されるに至っていない。
特許文献2の磁気軸受式タービン・コンプレッサのように、主軸を磁気軸受からなるジャーナル軸受およびスラスト軸受で支承したものでは、ジャーナル軸受にアキシアル方向の規制機能がない。そのため、スラスト軸受の制御の不安定要因等があると、上記翼車とディフューザ間の微小隙間を保って安定した高速回転を行うことが難しい。磁気軸受の場合は、電源停止時における接触の問題もある。
そこで、本発明者等は、上記課題を解決するものとして、図9に示すようなモータ一体型の磁気軸受装置を開発した。このモータ一体型の磁気軸受装置は、主軸53の両端にコンプレッサ46のコンプレッサ翼車46aおよび膨張タービン47のタービン翼車47aを取付けた空気サイクル冷凍冷却用タービンユニットにおいて、主軸53のラジアル負荷を転がり軸受55,56で、アキシアル負荷を電磁石57でそれぞれ支持すると共に、主軸53に同軸に設けたモータ68による駆動力とタービン翼車47aの駆動力とでコンプレッサ翼車46aを回転駆動するようにしたものである。アキシアル負荷を支持する電磁石57は、主軸53に垂直かつ同軸に設けられたスラスト板53aに非接触で対向するように配置され、アキシアル方向の力を検出するセンサ58の出力に応じて磁気軸受用コントローラ59で制御される。モータ68はアキシアルギャップ型のものであって、主軸53に垂直かつ同軸に設けた別のスラスト板53bにモータロータ68aを形成すると共に、このモータロータ68aと軸方向に対向するようにモータステータ68bを配置して構成される。このモータ68は、電磁石57とは独立にモータ用コントローラ69で制御される。この場合、モータ用コントローラ69は、図10にタイミングチャートで示すように、モータロータ68aの永久磁石68aaがモータステータ68bにおけるモータコイル68baに差しかかるタイミングで、モータコイル68baへ電圧を印加することにより、モータ効率を上げるように制御する。
上記構成のモータ一体型の磁気軸受装置によると、主軸53にかかるスラスト力を電磁石57で支持するため、非接触でトルクの増大を抑えながら、転がり軸受55,56に作用するスラスト力を軽減することができる。その結果、各翼車46a,47aとハウジング46b,47bとの微小隙間を一定に保つことができ、スラスト荷重の負荷に対する転がり軸受55,56の長期耐久性を向上させることができる。
しかし、上記構成のモータ一体型の磁気軸受装置において、図10のように、モータロータ68aの永久磁石68aaの磁極切替り位置がモータステータ68bにおけるモータコイル68baの中心に差しかかるタイミングで、モータコイル68baへの電圧印加を開始するのでは、モータコイルのインダクタンスにより印加電圧に対し電流の立ち上がりに遅れが生じ、最大トルク発生点である永久磁石の磁極切替り位置がモータコイル中心となる位置でモータコイルの電流値が最大とならず、必ずしも最適なモータ効率が得られないという問題がある。
この発明の目的は、スラスト荷重の負荷に対する転がり軸受の長期耐久性を向上させることができ、かつモータ効率を向上させることができるモータ一体型の磁気軸受装置を提供することである。
この発明のモータ一体型の磁気軸受装置は、転がり軸受と磁気軸受を併用し、転がり軸受がラジアル負荷を支持し、磁気軸受がアキシアル負荷と軸受予圧のどちらか一方または両方を支持し、前記磁気軸受を構成する電磁石は主軸に設けられた強磁性体からなるフランジ状のスラスト板に非接触で対向するように、スピンドルハウジングに取付けられており、アキシアルギャップモータのモータロータが、前記スラスト板とこのスラスト板に周方向に等ピッチで設けられた複数個の永久磁石とで構成され、前記モータロータと対向してモータコイルを有するモータステータが前記スピンドルハウジングに設置され、前記モータロータと前記モータステータ間の角度位相を検出するセンサと、設定回転数に応じ、前記センサの出力によってモータコイルへの電圧印加のタイミングを決定して、前記モータロータの磁石がモータコイルを通過する毎にモータコイルへ電圧を印加するモータ駆動電流位相調整手段とを有し、前記モータ駆動電流位相調整手段は、モータロータが前記設定回転数で回転する状態で、モータロータの永久磁石の磁極切替り位置がモータステータの発生する磁束の中心を通過するときにモータコイルの電流値が最大となるように前記電流印加の開始のタイミングを決定するものとしている。前記設定回転数は、例えば定格回転数とされる。
この構成によると、転がり軸受と磁気軸受を併用し、転がり軸受がラジアル負荷を支持し、磁気軸受がアキシアル負荷と軸受予圧のどちらか一方または両方を支持するものであるため、アキシアル方向の精度の良い支持が行え、また転がり軸受の長期耐久性が確保でき、磁気軸受のみの支持の場合における電源停止時の損傷も回避される。
また、モータロータの永久磁石の磁極切替り位置がモータステータの発生する磁束の中心を通過するときに、モータコイルの電流値が最大となるように、モータ駆動電流位相調整手段がモータコイルへの電圧印加の開始タイミングを決定するようにしているので、モータの効率を向上させることができる。
この構成によると、転がり軸受と磁気軸受を併用し、転がり軸受がラジアル負荷を支持し、磁気軸受がアキシアル負荷と軸受予圧のどちらか一方または両方を支持するものであるため、アキシアル方向の精度の良い支持が行え、また転がり軸受の長期耐久性が確保でき、磁気軸受のみの支持の場合における電源停止時の損傷も回避される。
また、モータロータの永久磁石の磁極切替り位置がモータステータの発生する磁束の中心を通過するときに、モータコイルの電流値が最大となるように、モータ駆動電流位相調整手段がモータコイルへの電圧印加の開始タイミングを決定するようにしているので、モータの効率を向上させることができる。
この発明において、モータ駆動電流位相調整手段は、複数の設定回転数に切り換え可能とされ、切り換えられた各設定回転数毎に、モータロータの永久磁石の磁極切替り位置がモータステータの発生する磁束の中心を通過するときにモータコイルの電流値が最大となるように前記電流印加の開始のタイミングを決定可能なものとしても良い。この構成の場合、例えば複数の定格回転数において、モータ効率を向上させることができる。
この発明において、前記センサは、前記モータロータの前記永久磁石の通過を検出するものであり、前記モータ駆動電流位相調整手段は、前記センサが前記永久磁石の通過を検出してからセンサ信号を出力するまで時間を設定した出力早出し時間設定手段を有し、上記センサ信号に応答して電流印加を開始させるものとしても良い。この構成の場合、電子回路やその回路素子等で構成される出力早出し時間設定手段で時間を設定するため、センサ信号を出力するまで時間の変更が容易であり、複数の設定回転数に応じて、それぞれセンサ信号を出力するまで時間を設定し、モータ効率を向上させることが容易に行える。
この発明において、前記センサは、前記モータロータの前記永久磁石の通過を検出するものであり、前記モータ駆動電流位相調整手段は、前記センサの出力するセンサ信号に応答して電流印加を開始させるものとし、前記センサの取付位置を、回転により、モータロータの永久磁石の磁極切替り位置がモータステータの発生する磁束の中心を通過する位置に達するよりも手前で前記永久磁石を検出する位置としても良い。この構成の場合、センサの取付位置の調整だけで、モータ効率の向上に対応でき、構成が簡単である。
この発明のモータ一体型の磁気軸受装置は、コンプレッサ側翼車およびタービン側翼車が、前記主軸に取付けられ、モータ動力とタービン側翼車で発生した動力のどちらか一方または両方により、コンプレッサ側翼車を駆動させる、圧縮膨張テービンシステムに適用されたものであっても良い。
この発明のモータ一体型の磁気軸受装置は、転がり軸受と磁気軸受を併用し、転がり軸受がラジアル負荷を支持し、磁気軸受がアキシアル負荷と軸受予圧のどちらか一方または両方を支持し、前記磁気軸受を構成する電磁石は主軸に設けられた強磁性体からなるフランジ状のスラスト板に非接触で対向するように、スピンドルハウジングに取付けられており、アキシアルギャップモータのモータロータが、前記スラスト板とこのスラスト板に周方向に等ピッチで設けられた複数個の永久磁石とで構成され、前記モータロータと対向してモータコイルを有するモータステータが前記スピンドルハウジングに設置され、前記モータロータと前記モータステータ間の角度位相を検出するセンサと、設定回転数に応じ、前記センサの出力によってモータコイルへの電圧印加のタイミングを決定して、前記モータロータの磁石がモータコイルを通過する毎にモータコイルへ電圧を印加するモータ駆動電流位相調整手段とを有し、前記モータ駆動電流位相調整手段は、モータロータが前記設定回転数で回転する状態で、モータロータの永久磁石の磁極切替り位置がモータステータの発生する磁束の中心を通過するときにモータコイルの電流値が最大となるように前記電流印加の開始のタイミングを決定するものとしたため、スラスト荷重の負荷に対する転がり軸受の長期耐久性を向上させることができ、かつモータ効率を向上させることができる。
この発明の一実施形態を図1ないし図6と共に説明する。図1は、この実施形態のモータ一体型の磁気軸受装置を組み込んだタービンユニット5の断面図を示す。このタービンユニット5は圧縮膨張タービンシステムを構成するものであり、コンプレッサ6および膨張タービン7を有し、コンプレッサ6のコンプレッサ翼車6aおよび膨張タービン7のタービン翼車7aが主軸13の両端にそれぞれ嵌合している。主軸13の材料には、磁気特性の良好な低炭素鋼が使用される。
図1において、コンプレッサ6は、コンプレッサ翼車6aと微小の隙間d1を介して対向するコンプレッサハウジング6bを有し、中心部の吸込口6cから軸方向に吸入した空気を、コンプレッサ翼車6aで圧縮し、外周部の出口(図示せず)から矢印6dで示すように排出する。
膨張タービン7は、タービン翼車7aと微小の隙間d2を介して対向するタービンハウジング7bを有し、外周部から矢印7cで示すように吸い込んだ空気を、タービン翼車7aで断熱膨張させ、中心部の排出口7dから軸方向に排出する。
膨張タービン7は、タービン翼車7aと微小の隙間d2を介して対向するタービンハウジング7bを有し、外周部から矢印7cで示すように吸い込んだ空気を、タービン翼車7aで断熱膨張させ、中心部の排出口7dから軸方向に排出する。
このタービンユニット5におけるモータ一体型の磁気軸受装置は、主軸13をラジアル方向に対し複数の軸受15,16で支持し、主軸13にかかるアキシアル負荷と軸受予圧のどちらか一方または両方を磁気軸受である電磁石17により支持すると共に、主軸13を回転駆動するアキシアルギャップ型のモータ28を設けたものである。このタービンユニット5は、主軸13に作用するスラスト力を検出するセンサ18と、このセンサ18の出力に応じて前記電磁石17による支持力を制御する磁気軸受用コントローラ19と、電磁石17とは独立に前記モータ28を制御するモータ用コントローラ29とを有している。
電磁石17は、主軸13の軸方向中間部において軸方向に並ぶように主軸13に垂直かつ同軸に設けられた強磁性体からなるフランジ状の2つのスラスト板13a,13bの各片面に非接触で対向するように、一対のものがスピンドルハウジング14に設置されている。具体的には、磁気軸受ユニットを構成する一方の電磁石17は、膨張タービン7寄りに位置するスラスト板13aの膨張タービン7側に向く片面を電磁石ターゲットとして、この片面に非接触で対向するようにスピンドルハウジング14に設置される。また、磁気軸受ユニットを構成する他方の電磁石17は、コンプレッサ6寄りに位置するスラスト板13bのコンプレッサ6側に向く片面を電磁石ターゲットして、この片面に非接触で対向するようにスピンドルハウジング14に設置される。
電磁石17は、主軸13の軸方向中間部において軸方向に並ぶように主軸13に垂直かつ同軸に設けられた強磁性体からなるフランジ状の2つのスラスト板13a,13bの各片面に非接触で対向するように、一対のものがスピンドルハウジング14に設置されている。具体的には、磁気軸受ユニットを構成する一方の電磁石17は、膨張タービン7寄りに位置するスラスト板13aの膨張タービン7側に向く片面を電磁石ターゲットとして、この片面に非接触で対向するようにスピンドルハウジング14に設置される。また、磁気軸受ユニットを構成する他方の電磁石17は、コンプレッサ6寄りに位置するスラスト板13bのコンプレッサ6側に向く片面を電磁石ターゲットして、この片面に非接触で対向するようにスピンドルハウジング14に設置される。
モータ28は、前記電磁石17と並んで主軸13に設けられたモータロータ28aと、このモータロータ28aに対し軸方向に対向するモータステータ28bとでなるモータユニットである。具体的には、モータユニットの一部品を構成するモータロータ28aは、主軸13における前記各スラスト板13a,13bの電磁石17が対向する側とは反対側の各片面に、円周方向に等ピッチで並ぶ永久磁石28aaを配置することで左右一対のものが構成される。このように軸方向に対向配置される永久磁石28aaの間では、その磁極が互いに異極となるように設定される。主軸13には磁気特性の良好な低炭素鋼を使用しているので、主軸13と一体構造となるように設けられる前記各スラスト板13a,13bを、永久磁石28aaのバックヨークおよび電磁石ターゲットに兼用できる。
モータユニットの他の部品であるモータステータ28bは、前記左右一対のモータロータ28aに挟まれる軸方向中央の位置において、これら両モータロータ28aの各面に非接触で対向するようにコアの無い状態で配置したモータコイル28baを、スピンドルハウジング14に設置して構成される。このモータ28は、前記モータロータ28aとモータステータ28b間に作用するローレンツ力により、主軸13を回転させる。このように、このアキシアルギャップ型のモータ28はコアレスモータとされていることから、モータロータ28aとモータステータ28b間の磁気カップリングによる負の剛性はゼロとなっている。
モータユニットの他の部品であるモータステータ28bは、前記左右一対のモータロータ28aに挟まれる軸方向中央の位置において、これら両モータロータ28aの各面に非接触で対向するようにコアの無い状態で配置したモータコイル28baを、スピンドルハウジング14に設置して構成される。このモータ28は、前記モータロータ28aとモータステータ28b間に作用するローレンツ力により、主軸13を回転させる。このように、このアキシアルギャップ型のモータ28はコアレスモータとされていることから、モータロータ28aとモータステータ28b間の磁気カップリングによる負の剛性はゼロとなっている。
主軸13を支持する軸受15,16は転がり軸受であって、アキシアル方向位置の規制機能を有するものであり、例えば深溝玉軸受やアンギュラ玉軸受が用いられる。深溝玉軸受の場合、両方向のスラスト支持機能を有し、内外輪のアキシアル方向位置を中立位置に戻す作用を持つ。これら2個の軸受15,16は、それぞれスピンドルハウジング14におけるコンプレッサ翼車6aおよびタービン翼車7aの近傍に配置されている。
主軸13は、中間部の大径部13cと、両端部の小径部13dとを有する段付き軸とされている。両側の軸受15,16は、その内輪15a,16aが小径部13dに圧入状態に嵌合し、片方の幅面が大径部13cと小径部13d間の段差面に係合する。
スピンドルハウジング14における両側の軸受15,16よりも各翼車6a,7a側の部分は、内径面が主軸13に近接する径に形成され、この内径面に非接触シール21,22が形成されている。この実施形態では、非接触シール21,22は、スピドルハウジング14の内径面に複数の円周溝を軸方向に並べて形成したラビリンスシールとしているが、その他の非接触シール手段でも良い。
スピンドルハウジング14における両側の軸受15,16よりも各翼車6a,7a側の部分は、内径面が主軸13に近接する径に形成され、この内径面に非接触シール21,22が形成されている。この実施形態では、非接触シール21,22は、スピドルハウジング14の内径面に複数の円周溝を軸方向に並べて形成したラビリンスシールとしているが、その他の非接触シール手段でも良い。
前記センサ18は、タービン翼車7a側の軸受16の近傍における静止側、つまりスピンドルハウジング14側に設けられている。このセンサ18を近傍に設けた軸受16は、その外輪16bが軸受ハウジング23内に固定状態に嵌合している。軸受ハウジング23は、リング状に形成されて一端に軸受16の外輪16bの幅面に係合する内鍔23aを有しており、スピンドルハウジング14に設けられた内径面24にアキシアル方向に移動自在に嵌合している。内鍔23aは、アキシアル方向の中央側端に設けられている。
センサ18は主軸13の回りの円周方向複数箇所(例えば2箇所)に分配配置され、軸受ハウジング23の内鍔23a側の幅面と、スピンドルハウジング14に固定された部材である片方の電磁石17との間に介在させてある。また、センサ18は、センサ予圧ばね25により予圧が印加されている。センサ予圧ばね25は、スピンドルハウジング14に設けられた収容凹部内に収容されて軸受16の外輪16bをアキシアル方向に付勢するものとされ、外輪16bおよび軸受ハウジング23を介してセンサ18を予圧する。センサ予圧ばね25は、例えば主軸13の回りの円周方向複数箇所に設けられたコイルばね等からなる。
センサ予圧ばね25による予圧は、押し付け力によってスラスト力を検出するセンサ18が、主軸13のアキシアル方向のいずれの向きの移動に対しても検出できるようにするためであり、タービンユニット5の通常の運転状態で主軸13に作用する平均的なスラスト力以上の大きさとされる。
センサ18の非配置側の軸受15は、スピンドルハウジング14に対してアキシアル方向に移動自在に設置され、かつ軸受予圧ばね26によって弾性支持されている。この例では軸受15の外輪15bが、スピンドルハウジング14の内径面にアキシアル方向移動自在に嵌合していて、軸受予圧ばね26は、外輪15bとスピンドルハウジング14との間に介在している。軸受予圧ばね26は、内輪15aの幅面が係合した主軸13の段面に対向して外輪15bを付勢するものとされ、軸受15に予圧を与えている。軸受予圧ばね26は、主軸13回りの円周方向複数箇所に設けられたコイルばね等からなり、それぞれスピンドルハウジング14に設けられた収容凹部内に収容されている。軸受予圧ばね26は、センサ予圧ばね25よりもばね定数が小さいものとされる。
上記タービンユニット5におけるモータ一体型の磁気軸受装置の力学モデルは簡単なバネ系で構成することができる。すなわち、このバネ系は、軸受15,16とこれら軸受の支持系(センサ予圧ばね25、軸受予圧ばね26、軸受ハウジング23など)とで形成される合成バネと、モータ部(電磁石17とモータ28)で形成される合成バネとが並列となった構成である。このバネ系において、軸受15,16とこれら軸受の支持系とで形成される合成バネは、変位した方向と逆の方向に変位量に比例して作用する剛性となるのに対し、電磁石17とモータ28とで形成される合成バネは、変位した方向に変位量に比例して作用する負の剛性となる。
このため、上記した両合成バネの剛性の大小関係を、
軸受等による合成バネの剛性値<電磁石・モータによる合成バネの負の剛性値…(1)とした場合、機械システムの位相は180°遅れとなり不安定な系となることから、電磁石17を制御する磁気軸受用コントローラ19において、予め位相補償回路を付加する必要が生じ、コントローラ19の構成が複雑なものになる。
このため、上記した両合成バネの剛性の大小関係を、
軸受等による合成バネの剛性値<電磁石・モータによる合成バネの負の剛性値…(1)とした場合、機械システムの位相は180°遅れとなり不安定な系となることから、電磁石17を制御する磁気軸受用コントローラ19において、予め位相補償回路を付加する必要が生じ、コントローラ19の構成が複雑なものになる。
そこで、この実施形態のモータ一体型の磁気軸受装置では、上記した両合成バネの剛性の大小関係を、
軸受等による合成バネの剛性値>電磁石・モータによる合成バネの負の剛性値…(2)としている。とくに、このモータ一体型の磁気軸受装置では、上記したようにアキシアルギャップ型のモータ28をコアレスモータとしているので、モータ28に作用する負の剛性値をゼロとすることができ、モータ28が高負荷動作し過大なアキシアル荷重が作用した状態においても上記(2)式の大小関係を保つことができる。
その結果、制御帯域において、機械システムの位相が180°遅れとなることを防止できるので、モータ28が高負荷動作し過大なアキシアル荷重が作用した状態でも磁気軸受用コントローラ19の制御対象を安定なものとでき、コントローラ19の回路構成を図2のように比例もしくは比例積分を用いた簡単なものに構成できる。
軸受等による合成バネの剛性値>電磁石・モータによる合成バネの負の剛性値…(2)としている。とくに、このモータ一体型の磁気軸受装置では、上記したようにアキシアルギャップ型のモータ28をコアレスモータとしているので、モータ28に作用する負の剛性値をゼロとすることができ、モータ28が高負荷動作し過大なアキシアル荷重が作用した状態においても上記(2)式の大小関係を保つことができる。
その結果、制御帯域において、機械システムの位相が180°遅れとなることを防止できるので、モータ28が高負荷動作し過大なアキシアル荷重が作用した状態でも磁気軸受用コントローラ19の制御対象を安定なものとでき、コントローラ19の回路構成を図2のように比例もしくは比例積分を用いた簡単なものに構成できる。
ブロック図で示す図2の磁気軸受用コントローラ19では、各センサ18の検出出力P1,P2をセンサ出力演算回路30で加減算し、その演算結果を比較器31で基準値設定手段32の基準値と比較して偏差を演算し、さらに演算した偏差をPI補償回路(もしくはP補償回路)33によりタービンユニット5に応じて適宜設定される比例積分(もしくは比例)処理を行うことで、電磁石17の制御信号を演算するようにしている。PI補償回路(もしくはP補償回路)33の出力は、ダイオード34,35を介して各方向の電磁石171 ,172 を駆動するパワー回路36,37に入力される。電磁石171 ,172 は、図1に示したスラスト板13a,13bに対向する一対の電磁石17であり、吸引力しか作用しないため、予めダイオード34,35で電流の向きを決め、2個の電磁石171 ,172 を選択的に駆動するようにしている。
同じくブロック図で示す図3のモータ用コントローラ29では、位相調整回路38で演算されたモータロータ28aの回転角を基に位相調整回路38でモータ駆動電流の位相調整が行われ、その調整結果に応じたタイミングでモータ駆動電流をモータ駆動回路39からモータステータ28bに供給する。位相調整を行うことにより回転数に変動が生じるため、回転同期指令信号を基に、モータロータ28aの回転角をフィードバック信号として、モータ駆動電流の大きさを調整し、定回転制御が行われる。
前記位相調整回路38によるモータ駆動電流の位相調整の一つとして、具体的には、以下のような制御が行われる。位相調整回路38は、モータロータ28aとモータステータ28b間の角度位相を検出する図4の位相検出センサ40の出力によって、モータステータ28bのモータコイル28baへの電圧印加のタイミングを、モータ28の定格回転数に応じて決定する。このように決定されたタイミングで、モータ駆動回路39は、モータロータ28aの永久磁石28aaがモータステータ28bのモータコイル28baを通過する毎に、モータコイル28baへ電圧を印加する。
図4では、前記位相検出センサ40が、回転方向におけるモータコイル28baの中心相当位置に取付けられているので、図5(A)のようにモータロータ28aの永久磁石28aaがモータコイル28baを通過するとき、位相検出センサ40の検出信号は、図5(B)のように通過時間に一致したパルス幅の信号となる。
ところが、この検出信号に基づき、モータコイル28baへの電圧印加タイミングを決定すると、モータコイル28baの電流は図5(C)に示す波形となって、モータロータ28aの永久磁石28aaの磁極切替り位置がモータステータ28bの発生する磁束の中心(モータコイル28baの中心)を通過するときにモータコイル28baの電流値が最大とならない。
そこで、ここでは前記位相調整回路38が、前記位相検出センサ40の出力を所定角度だけ進み位相に変換する出力早出し時間設定手段41を有するものとされ、この出力早出し時間設定手段41の出力に応答してモータコイル28baへの電圧印加の開始を行うことにより、モータロータ28aの永久磁石28aaの磁極切替り位置がモータステータ28bの発生する磁束の中心(モータコイル28baの中心)を通過するときにモータコイル28baの電流値が最大となるようにされる。換言すると、出力早出し時間設定手段41は、位相検出センサ40が永久磁石28aaの通過を検出してから次回の永久磁石28aaの通過を検出するまでの経過時間よりも短い所定の遅れ時間後に、位相検出センサ40の前回の検出信号を出力する。図5(D)には、前記出力早出し時間設定手段41によって進み位相に変換された出力信号の波形を示し、図5(E)にはその出力タイミングでモータコイル28baへの電圧印加が開始されたときのモータコイル28baの電流の波形図を示す。前記出力早出し時間設定手段41により変換される出力信号の進み角度(出力早出し時間)は、測定または計算によって求められ、前記出力早出し時間設定手段41に予め設定される。なお、その設定値は、モータ28の各定格回転数に応じたものがそれぞれ用意される。
ところが、この検出信号に基づき、モータコイル28baへの電圧印加タイミングを決定すると、モータコイル28baの電流は図5(C)に示す波形となって、モータロータ28aの永久磁石28aaの磁極切替り位置がモータステータ28bの発生する磁束の中心(モータコイル28baの中心)を通過するときにモータコイル28baの電流値が最大とならない。
そこで、ここでは前記位相調整回路38が、前記位相検出センサ40の出力を所定角度だけ進み位相に変換する出力早出し時間設定手段41を有するものとされ、この出力早出し時間設定手段41の出力に応答してモータコイル28baへの電圧印加の開始を行うことにより、モータロータ28aの永久磁石28aaの磁極切替り位置がモータステータ28bの発生する磁束の中心(モータコイル28baの中心)を通過するときにモータコイル28baの電流値が最大となるようにされる。換言すると、出力早出し時間設定手段41は、位相検出センサ40が永久磁石28aaの通過を検出してから次回の永久磁石28aaの通過を検出するまでの経過時間よりも短い所定の遅れ時間後に、位相検出センサ40の前回の検出信号を出力する。図5(D)には、前記出力早出し時間設定手段41によって進み位相に変換された出力信号の波形を示し、図5(E)にはその出力タイミングでモータコイル28baへの電圧印加が開始されたときのモータコイル28baの電流の波形図を示す。前記出力早出し時間設定手段41により変換される出力信号の進み角度(出力早出し時間)は、測定または計算によって求められ、前記出力早出し時間設定手段41に予め設定される。なお、その設定値は、モータ28の各定格回転数に応じたものがそれぞれ用意される。
前記出力早出し時間設定手段41により進み位相に変換した信号でモータコイル28baへの電圧印加の開始タイミングを決定する位相調整回路38の動作は、モータ28の回転数が変動していないことが前提となるが、この種のモータ一体型の磁気軸受装置を用いるタービンユニット5は一定回転で運転するので何ら問題はない。
モータコイル28baへの電圧印加の開始タイミングを早めて、モータロータ28aの永久磁石28aaの中心がモータステータ28bの発生する磁束の中心(モータコイル28baの中心)を通過するときにモータコイル28baの電流値が最大となるようにする他の手段として、図4に破線で示すように、位相検出センサ40の取付位置を、回転により、モータロータ28aの永久磁石28aaの中心がモータステータ28bの発生する磁束の中心(モータコイル28baの中心)を通過する位置に達するよりも手前としても良い。この場合には、図3における位相調整回路38での出力早出し時間設定手段41は省略される。
この場合、図6(A)のようにモータロータ28aの永久磁石28aaがモータコイル28baを通過するとき、位相検出センサ40の検出信号は、図6(B)のように永久磁石28aaがモータコイル28baに差しかかる手前から立ち上がる進み位相となり、位相調整回路38はこの検出信号に基づき、モータコイル28baへの電圧印加の開始タイミングを決定する。これにより、モータコイル28baの電流は図6(C)に示す波形となって、モータロータ28aの永久磁石28aaの中心がモータステータ28bの発生する磁束の中心(モータコイル28baの中心)を通過するときにモータコイル28baの電流値が最大となる。
この構成のタービンユニット5は、例えば空気サイクル冷凍冷却システムに適用されて、冷却媒体となる空気を後段の熱交換器(ここでは図示せず)により効率良く熱交換できるように、コンプレッサ6で圧縮して温度上昇させ、さらに後段の前記熱交換器で冷却された空気を、膨張タービン7により、目標温度、例えば−30℃〜−60℃程度の極低温まで断熱膨張により冷却して排出するように使用される。
このような使用例において、このタービンユニット5は、コンプレッサ翼車6aおよびタービン翼車7aが、前記スラスト板13aとモータロータ28aと共通の主軸13に嵌合し、モータ28の動力とタービン翼車7aで発生した動力のどちらか一方または両方によりコンプレッサ翼車6aを駆動するものとしている。このため、各翼車6a,7aの適切な隙間d1,d2を保って主軸13の安定した高速回転が得られ、かつ軸受15,16の長期耐久性の向上、寿命の向上が得られる。
このような使用例において、このタービンユニット5は、コンプレッサ翼車6aおよびタービン翼車7aが、前記スラスト板13aとモータロータ28aと共通の主軸13に嵌合し、モータ28の動力とタービン翼車7aで発生した動力のどちらか一方または両方によりコンプレッサ翼車6aを駆動するものとしている。このため、各翼車6a,7aの適切な隙間d1,d2を保って主軸13の安定した高速回転が得られ、かつ軸受15,16の長期耐久性の向上、寿命の向上が得られる。
すなわち、タービンユニット5の圧縮,膨張の効率を確保するためには、各翼車6a,7aとハウジング6b,7bとの隙間d1,d2を微小に保つ必要がある。例えば、このタービンユニット5を空気サイクル冷凍冷却システムに適用する場合には、この効率確保が重要となる。これに対して、主軸13を転がり形式の軸受15,16により支持するため、転がり軸受の持つアキシアル方向位置の規制機能により、主軸13のアキシアル方向位置がある程度規制され、各翼車6a,7aとハウジング6b,7bとの微小隙間d1,d2を一定に保つことができる。
しかし、タービンユニット5の主軸13には、各翼車6a,7aに作用する空気の圧力でスラスト力がかかる。また、空気冷却システムで使用するタービンユニット5では、1分間に例えば8万〜10万回転程度の非常に高速の回転となる。そのため、主軸13を回転支持する転がり軸受15,16に上記スラスト力が作用すると、軸受15,16の長期耐久性が低下する。
この実施形態は、上記スラスト力を電磁石17で支持するため、非接触でトルクの増大を抑えながら、主軸13の支持用の転がり軸受15,16に作用するスラスト力を軽減することができる。この場合に、主軸13に作用するスラスト力を検出するセンサ18と、このセンサ18の出力に応じて前記電磁石17による支持力を制御する磁気軸受用コントローラ19とを設けたため、転がり軸受15,16を、その軸受仕様に応じてスラスト力に対し最適な状態で使用することができる。
特に、軸方向に並べて主軸13に設けられた2つのスラスト板13a,13bの軸方向外側に2つの電磁石17を配置して磁気軸受ユニットを構成すると共に、前記両スラスト板13a,13bで挟まれる位置にアキシアルギャップ型のモータ28を配置してモータユニットを構成することにより、磁気軸受ユニットとモータユニットをコンパクトな一体構造としているため、主軸53の軸長を短くでき、それだけ主軸13の固有振動数が高くなって、主軸13を高速回転させることができる。
この実施形態は、上記スラスト力を電磁石17で支持するため、非接触でトルクの増大を抑えながら、主軸13の支持用の転がり軸受15,16に作用するスラスト力を軽減することができる。この場合に、主軸13に作用するスラスト力を検出するセンサ18と、このセンサ18の出力に応じて前記電磁石17による支持力を制御する磁気軸受用コントローラ19とを設けたため、転がり軸受15,16を、その軸受仕様に応じてスラスト力に対し最適な状態で使用することができる。
特に、軸方向に並べて主軸13に設けられた2つのスラスト板13a,13bの軸方向外側に2つの電磁石17を配置して磁気軸受ユニットを構成すると共に、前記両スラスト板13a,13bで挟まれる位置にアキシアルギャップ型のモータ28を配置してモータユニットを構成することにより、磁気軸受ユニットとモータユニットをコンパクトな一体構造としているため、主軸53の軸長を短くでき、それだけ主軸13の固有振動数が高くなって、主軸13を高速回転させることができる。
また、このモータ一体型の磁気軸受装置では、モータ用コントローラ29において、モータロータ28aの永久磁石28aaの中心がモータステータ28bの発生する磁束の中心(モータコイル28baの中心)を通過するときに、モータコイル28baの電流値が最大となるように、位相調整回路38がモータコイル28baへの電圧印加の開始タイミングを決定するようにしているので、モータ28の効率を向上させることができる。
図7はタービンユニット5の他の実施形態を示す。このタービンユニット5は、図1に示す実施形態において、主軸13に垂直かつ同軸に設けられた強磁性体からなるフランジ状のスラスト板を1つだけとして、このスラスト板13aを電磁石ターゲットとして、その両面に非接触で対向するように、左右一対の電磁石17,17がスピンドルハウジング14に設置されている。
モータ28は、主軸13に設けられたモータロータ28aと、このモータロータ28aに対し軸方向に対向するモータステータ28bとでなる。モータロータ28aは、前記スラスト板13aの両面における前記電磁石17の対向位置よりも外径側に、円周方向に等ピッチで並ぶ永久磁石28aaを配置することで左右一対のものが構成される。このように軸方向に対向配置される永久磁石28aaの間では、その磁極が互いに異極となるように設定される。スラスト板13aは永久磁石28aaのバックヨークを兼ねる。
モータステータ28bは、前記スラスト板13aの両面のモータロータ28aに非接触で対向するように、スピンドルハウジング14に設置される強磁性体(例えば低炭素鋼およびケイ素鋼板)からなる一対のステータヨーク28bbに、それぞれモータコイルbaを巻回することで左右一対のものが構成される。このようにして前記スラスト板13aを挟んで構成される左右2個のモータ28は、前記モータロータ28aとモータステータ28b間に作用する磁気力により、主軸13を回転させる。この場合、スラスト板13aにおけるモータロータ28bの位置を、電磁石17の対向位置よりも外径側としているので、少ないモータ駆動電流でより大きいトルクを得ることができる。その他の構成は図1の実施形態の場合と同様であり、ここではその説明を省略する。
モータステータ28bは、前記スラスト板13aの両面のモータロータ28aに非接触で対向するように、スピンドルハウジング14に設置される強磁性体(例えば低炭素鋼およびケイ素鋼板)からなる一対のステータヨーク28bbに、それぞれモータコイルbaを巻回することで左右一対のものが構成される。このようにして前記スラスト板13aを挟んで構成される左右2個のモータ28は、前記モータロータ28aとモータステータ28b間に作用する磁気力により、主軸13を回転させる。この場合、スラスト板13aにおけるモータロータ28bの位置を、電磁石17の対向位置よりも外径側としているので、少ないモータ駆動電流でより大きいトルクを得ることができる。その他の構成は図1の実施形態の場合と同様であり、ここではその説明を省略する。
図8は、図1に示すタービンユニット5を用いた空気サイクル冷凍冷却システムの全体の構成を示す。この空気サイクル冷凍冷却システムは、冷凍倉庫等の被冷却空間10の空気を直接に冷媒として冷却するシステムであり、被冷却空間10にそれぞれ開口した空気の取入口1aから排出口1bに至る空気循環経路1を有している。この空気循環経路1に、予圧縮手段2、第1の熱交換器3、空気サイクル冷凍冷却用タービンユニット5のコンプレッサ6、第2の熱交換器3、中間熱交換器9、および前記タービンユニット5の膨張タービン7が順に設けられている。中間熱交換器9は、同じ空気循環経路1内で取入口1aの付近の流入空気と、後段の圧縮で昇温し、冷却された空気との間で熱交換を行うものであり、取入口1aの付近の空気は熱交換器9a内を通る。
予圧縮手段2はブロア等からなり、モータ2aにより駆動される。第1の熱交換器3および第2の熱交換器8は、冷却媒体を循環させる熱交換器3a,8aをそれぞれ有し、熱交換器3a,8a内の水等の冷却媒体と空気循環経路1の空気との間で熱交換を行う。各熱交換器3a,8aは、冷却塔11に配管接続されており、熱交換で昇温した冷却媒体が冷却塔11で冷却される。なお、前記予圧縮手段2を含まない構成の空気サイクル冷凍冷却システムでもよい。
この空気サイクル冷凍冷却システムは、被冷却空間10を0℃〜−60℃程度に保つシステムであり、被冷却空間10から空気循環経路1の取入口1aに0℃〜−60℃程度で1気圧の空気が流入する。なお、以下に示す温度および気圧の数値は、一応の目安となる一例である。取入口1aに流入した空気は、中間熱交換器9により、空気循環経路1中の後段の空気の冷却に使用され、30℃まで昇温する。この昇温した空気は1気圧のままであるが、予圧縮手段2により1.4気圧に圧縮させられ、その圧縮により、70℃まで昇温する。第1の熱交換器3は、昇温した70℃の空気を冷却すれば良いため、常温程度の冷水であっても効率良く冷却することができ、40℃に冷却する。
熱交換により冷却された40℃,1.4気圧の空気が、タービンユニット5のコンプレッサ6により、1.8気圧まで圧縮され、この圧縮により70℃程度に昇温した状態で、第2の熱交換器8により40℃に冷却される。この40℃の空気は、中間熱交換器9で−30℃の空気により−20℃まで冷却される。気圧はコンプレッサ6から排出された1.8気圧が維持される。
中間熱交換器9で−20℃まで冷却された空気は、タービンユニット5の膨張タービン7により断熱膨張され、−55℃まで冷却されて排出口1bから被冷却空間10に排出される。この空気サイクル冷凍冷却システムは、このような冷凍サイクルを行う。
中間熱交換器9で−20℃まで冷却された空気は、タービンユニット5の膨張タービン7により断熱膨張され、−55℃まで冷却されて排出口1bから被冷却空間10に排出される。この空気サイクル冷凍冷却システムは、このような冷凍サイクルを行う。
この空気サイクル冷凍冷却システムでは、タービンユニット5において、各翼車6a,7aの適切な隙間d1,d2を保って主軸13の安定した高速回転が得られ、かつ軸受15,16の長期耐久性の向上、寿命の向上が得られることで、軸受15,16の長期耐久性が向上することから、タービンユニット5の全体として、しいては空気サイクル冷凍冷却システムの全体としての信頼性が向上する。このように、空気サイクル冷凍冷却システムのネックとなっているタービンユニット5の主軸軸受15,16の安定した高速回転、長期耐久性、信頼性が向上するため、空気サイクル冷凍冷却システムの実用化が可能となる。
13…主軸
13a,13b…スラスト板
14…スピンドルハウジング
15,16…転がり軸受
17…電磁石
28…アキシアルギャップモータ
28a…モータロータ
28aa…永久磁石
28b…モータステータ
28ba…モータコイル
38…位相調整回路
40…位相検出センサ
41…出力早出し時間設定手段
13a,13b…スラスト板
14…スピンドルハウジング
15,16…転がり軸受
17…電磁石
28…アキシアルギャップモータ
28a…モータロータ
28aa…永久磁石
28b…モータステータ
28ba…モータコイル
38…位相調整回路
40…位相検出センサ
41…出力早出し時間設定手段
Claims (5)
- 転がり軸受と磁気軸受を併用し、転がり軸受がラジアル負荷を支持し、磁気軸受がアキシアル負荷と軸受予圧のどちらか一方または両方を支持し、
前記磁気軸受を構成する電磁石は主軸に設けられた強磁性体からなるフランジ状のスラスト板に非接触で対向するように、スピンドルハウジングに取付けられており、
アキシアルギャップモータのモータロータが、前記スラスト板とこのスラスト板に周方向に等ピッチで設けられた複数個の永久磁石とで構成され、前記モータロータと対向してモータコイルを有するモータステータが前記スピンドルハウジングに設置され、
前記モータロータと前記モータステータ間の角度位相を検出するセンサと、設定回転数に応じ、前記センサの出力によってモータコイルへの電圧印加のタイミングを決定して、前記モータロータの磁石がモータコイルを通過する毎にモータコイルへ電圧を印加するモータ駆動電流位相調整手段とを有し、
前記モータ駆動電流位相調整手段は、モータロータが前記設定回転数で回転する状態で、モータロータの永久磁石の磁極切替り位置がモータステータの発生する磁束の中心を通過するときにモータコイルの電流値が最大となるように前記電圧印加の開始のタイミングを決定するものとしたモータ一体型の磁気軸受装置。 - 請求項1において、モータ駆動電流位相調整手段は、複数の設定回転数に切り換え可能とされ、切り換えられた各設定回転数毎に、モータロータの永久磁石の磁極切替り位置がモータステータの発生する磁束の中心を通過するときにモータコイルの電流値が最大となるように前記電流印加の開始のタイミングを決定可能なものとしたモータ一体型の磁気軸受装置。
- 請求項1または請求項2において、前記センサは、前記モータロータの前記永久磁石の通過を検出するものであり、前記モータ駆動電流位相調整手段は、前記センサが前記永久磁石の通過を検出してからセンサ信号を出力するまでの時間を設定した出力早出し時間設定手段を有し、上記センサ信号に応答して電流印加を開始させるものとしたモータ一体型の磁気軸受装置。
- 請求項1または請求項2において、前記センサは、前記モータロータの前記永久磁石の通過を検出するものであり、前記モータ駆動電流位相調整手段は、前記センサの出力するセンサ信号に応答して電流印加を開始させるものとし、前記センサの取付位置を、回転により、モータロータの永久磁石の磁極切替り位置がモータステータの発生する磁束の中心を通過する位置に達するよりも手前で前記永久磁石を検出する位置としたモータ一体型の磁気軸受装置。
- 請求項1ないし請求項4のいずれか1項において、コンプレッサ側翼車およびタービン側翼車が、前記主軸に取付けられ、モータ動力とタービン側翼車で発生した動力のどちらか一方または両方により、コンプレッサ側翼車を駆動させる、圧縮膨張テービンシステムに適用されたものであるモータ一体型の磁気軸受装置。
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Cited By (2)
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CN105422620A (zh) * | 2015-11-02 | 2016-03-23 | 中山市金马科技娱乐设备股份有限公司 | 一种摩天轮主轴支撑结构 |
-
2006
- 2006-08-08 JP JP2006215376A patent/JP2008043084A/ja active Pending
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