JP2008301131A - 通話装置 - Google Patents

通話装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2008301131A
JP2008301131A JP2007144239A JP2007144239A JP2008301131A JP 2008301131 A JP2008301131 A JP 2008301131A JP 2007144239 A JP2007144239 A JP 2007144239A JP 2007144239 A JP2007144239 A JP 2007144239A JP 2008301131 A JP2008301131 A JP 2008301131A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
speaker
acoustic tube
sound
housing
microphone
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2007144239A
Other languages
English (en)
Inventor
Shinya Kimoto
進弥 木本
Kosaku Kitada
耕作 北田
Yasushi Arikawa
泰史 有川
恵一 ▲吉▼田
Keiichi Yoshida
Osamu Akasaka
修 赤坂
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Electric Works Co Ltd
Original Assignee
Panasonic Electric Works Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Panasonic Electric Works Co Ltd filed Critical Panasonic Electric Works Co Ltd
Priority to JP2007144239A priority Critical patent/JP2008301131A/ja
Publication of JP2008301131A publication Critical patent/JP2008301131A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Telephone Set Structure (AREA)
  • Interconnected Communication Systems, Intercoms, And Interphones (AREA)
  • Telephone Function (AREA)
  • Details Of Audible-Bandwidth Transducers (AREA)

Abstract

【課題】ハウリング防止、小型化、音質および効率の向上を実現可能な通話装置を提供する。
【解決手段】通話装置Aは、通話モジュールMJと、通話モジュールMJを収納する装置本体A2とを備える。通話モジュールMJは、樹脂成型品のボディA10およびカバーA11からなるハウジングA1と、ハウジングA1内に配置されたスピーカSPと、ハウジングA1内でスピーカSPの振動面側と反対側に形成される後気室Brと、マイクロホンM2と、マイクロホンM2よりもスピーカSPに近い位置に配置されたマイクロホンM1と、マイクロホンM2で集音された音声成分とマイクロホンM1で集音された音声成分とを用いてスピーカSPから回り込む音声成分を除去する音声処理を行う音声処理部10と、ハウジングA1とは別体に形成されて後気室Br内に配置され、少なくとも一部に可撓性を有し且つ一端が閉塞するとともに他端が開口した音響管40とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、通話装置に関するものである。
従来、インターホンシステム等で屋内に設置される通話装置があり、他の場所に設置された通話装置からの音声を出力するスピーカや、他の通話装置へ伝達する音声を入力するマイクロホン等を備えている。
そして、スピーカから発生した音声がマイクロホンに回り込むとハウリングが生じることになるから、様々なハウリング防止対策が採られている。例えば、第1の従来例として、スピーカとマイクロホンを含むループ回路が通話装置内で形成され、このループゲインが1を越えるとハウリングが発生するから、ループ回路内に設けた可変損失回路での損失量を調節することにより、ループゲインが1以下となるようにしてハウリングを防止するものがある。ここで、送話信号と受話信号とのうち信号レベルが小さいほうは重要ではないとみなし、信号レベルが小さいほうの伝送路に挿入された可変損失回路の伝送損失を大きくするようにしている。
しかし、上記第1の従来例では、マイクロホンとスピーカとの距離が近いと、スピーカからマイクロホンに回り込む受話音声のレベルが大きくなり、受話信号よりも送話信号が大きくなり、スピーカから音声が出ている受話状態であるにもかかわらず制御回路は送話状態に切り換えてしまい、スピーカから出るべき音が出なくなるという状態が発生していた。
そこで、第2の従来例として、一対のマイクロホンと、両マイクロホンとスピーカとの距離の差に相当する音波の遅延時間だけスピーカに近いほうのマイクロホンの出力を遅延させる遅延回路と、両マイクロホンとスピーカとの距離の差に相当するレベル調整を行なってスピーカからの音声に対する両マイクロホンの出力レベルを一致させるレベル調整増幅回路と、遅延回路とレベル調整増幅回路とを通った両マイクロホンの出力を両入力とする差動増幅回路とを設け、差動増幅回路の出力を送話信号とする通話装置が提案された。
この通話装置では、一対のマイクロホンでスピーカからの音声を拾った後、遅延およびレベル調整を行なって両マイクロホンに入力されるスピーカからの音声成分を差動増幅回路で相殺するようにしているから、スピーカからの音声成分のみを除去して受話ブロッキングが生じない状態で送話音声を伝送することができる。(例えば、特許文献1参照)
特許第2607257号公報(2頁左欄第13行〜右欄第3行,4頁右欄第26行〜第49行、第1図、第5図)
しかしながら、上記第2の従来例においても、一対のマイクロホンを設ける必要があり、さらにはハウリング防止のために、スピーカとマイクロホンとの距離をあまり小さくできず、装置のさらなる小型化が望まれていた。
また、小型化のために通話装置がますます薄型になってきており、スピーカを収納するハウジングの容量が小さくなっている。特に、スピーカの裏面側の空間である後気室の容量が小さくなると、スピーカの放射音圧が低下し、スピーカの最低共振周波数が高周波数側にずれ、スピーカの音質、効率が悪化するという課題もあった。
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、ハウリング防止、小型化、音質および効率の向上を実現可能な通話装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、外部から伝達された音声情報を一方面側から出力するスピーカ、主マイク、主マイクよりもスピーカに近い位置に配置された副マイク、主マイクで集音された音声成分と副マイクで集音された音声成分とを用いてスピーカから回り込む音声成分を除去する音声処理を行う音声処理部をハウジングに備えて、ハウジング内でスピーカの他方面側に後気室を設け、ハウジングとは別体に形成されて後気室内に配置され、少なくとも一部に可撓性を有し且つ一端が閉塞するとともに他端が開口した音響管を備えることを特徴とする。
この発明によれば、副マイクは、主マイクに比べてスピーカに近い位置に配置されており、副マイクによりスピーカが発する音声を確実に集音できるので、音声処理部によるハウリング防止処理を確実に行うことができる。また後気室内に配置された音響管により、スピーカの最低共振周波数を低周波数側に移行させるとともに、スピーカの音圧レベルを増加させることができるので、スピーカの音質および効率を向上させることができる。さらに音響管をハウジングとは別体に形成しており、ハウジングの一部で音響管を構成する場合に比べて音響管の小型化、薄型化を図ることができるから、後気室の容量を大きくして音圧を向上させることもできる。また音響管の小型化、薄型化により、ハウジングの大きさを小型にできるから、ハウジングの接合部の長さを短くして、ハウジング内部を密閉する場合にシールが必要な部分の長さを短くでき、通話装置のコストダウンを図ることもできる。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、後気室内に配置された音響管を保持する保持手段をハウジングに設けたことを特徴とする。
この発明によれば、保持手段が後気室内で音響管を保持することによって、ハウジングの内壁と音響管との相対的な位置がずれたり、音響管の閉塞端が移動するのを防止でき、吸音効果が変化して所望の音響特性が得られなくなるのを防止することができる。
請求項3の発明は、請求項2の発明において、音響管は、可撓性を有する部位で曲げた状態でハウジング内に配置され、保持手段は音響管の曲がり部と押圧接触することを特徴とする。
この発明によれば、保持手段が音響管の曲がり部と押圧接触することで、必要最小限の保持手段により音響管を保持することができる。
請求項4の発明は、請求項2の発明において、保持手段は音響管の端部と押圧接触することを特徴とする。
この発明によれば、保持手段が音響管の端部と押圧接触することで、必要最小限の保持手段により音響管を保持することができる。
請求項5の発明は、請求項2乃至4の発明において、保持手段は、ハウジングの内壁との間で音響管を押圧した状態で挟持する挟持手段からなることを特徴とする。
この発明によれば、挟持手段がハウジングの内壁との間で音響管を挟持しているので、音響管の両側に配置した挟持手段で音響管を挟持する場合に比べて、少ない個数の挟持手段で音響管を挟持することができる。
請求項6の発明は、請求項1乃至5の発明において、音響管は、スピーカの出力の音圧レベルを上げる周波数の1/4波長に基づく長さに設定されることを特徴とする。
この発明によれば、スピーカの最低共振周波数を所望の周波数に設定でき、スピーカの音質および効率を任意に設定できる。
請求項7の発明は、請求項1乃至6の発明において、音響管は、ハウジングの内壁に沿うように曲げられた状態で後気室内に配置されたことを特徴とする。
この発明によれば、ハウジングの内壁に沿うように曲げた状態で音響管を配置しているので、後気室の内部最大幅に比べて音響管の長さを長くでき、放射音圧を向上させつつ、通話装置の小型化を図ることができる。
請求項8の発明は、請求項1乃至7の発明において、音響管の少なくとも一部に蛇腹状の可撓部を設けたことを特徴とする。
この発明によれば、可撓部で曲げられた状態で音響管を後気室内に配置できるので、後気室の内部最大幅に比べて音響管の長さを長くでき、放射音圧を向上させつつ、通話装置の小型化を図ることができる。
請求項9の発明は、請求項1乃至8の発明において、音響管は、断面形状が円形、楕円形又は多角形の何れかに形成された部位が少なくとも1つ以上連なって形成され、その断面積は連続もしくは不連続であることを特徴とする。
この発明によれば、所望の音響特性が得られる音響管を実現できるという効果がある。
請求項10の発明は、請求項1乃至9の発明において、音響管の共振周波数は、無限大の大きさを有するバッフル板に取り付けられたスピーカの最低共振周波数と、音響管を設けていないハウジングに取り付けられたスピーカの最低共振周波数との間に設定されることを特徴とする。
この発明によれば、スピーカの音質および効率の向上を容易に実現できる。
請求項11の発明は、請求項1乃至10の発明において、音響管の開口部に吸音材を取り付けたことを特徴とする。
この発明によれば、吸音材により、放射音圧を向上させた音量と、音圧が低下したディップ量とを調整でき、平坦な特性に近づけることができる。
本発明によれば、副マイクは、主マイクに比べてスピーカに近い位置に配置されており、副マイクによりスピーカが発する音声を確実に集音できるので、音声処理部によるハウリング防止処理を確実に行うことができる。また後気室内に配置された音響管により、スピーカの最低共振周波数を低周波数側に移行させるとともに、スピーカの音圧レベルを増加させることができるので、スピーカの音質および効率を向上させることができる。さらに音響管をハウジングとは別体に形成しており、ハウジングの一部で音響管を構成する場合に比べて音響管の小型化、薄型化を図ることができるから、後気室の容量を大きくして音圧を向上させることもできる。また音響管の小型化、薄型化により、ハウジングの大きさを小型にできるから、ハウジングの接合部の長さを短くして、ハウジング内部を密閉する場合にシールが必要な部分の長さを短くでき、通話装置のコストダウンを図ることもできる。
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(実施形態1)
本実施形態の通話装置Aは図1〜図6に示され、スピーカやマイクなどを収納した通話モジュールMJと、通話モジュールMJを内部に収納する装置本体A2とを備える。
通話モジュールMJは、後面に開口を形成したボディA10と、ボディA10の開口に覆設した平面状のカバーA11とでハウジングA1を構成し、ハウジングA1に、外部から伝達された音声情報を一方面側から出力するスピーカSP、マイクロホン基板MB1、音声処理部10を備えるとともに、ハウジングA1とは別体に形成されて一端が閉塞するとともに他端が開口し、ハウジングA1内でスピーカSPの振動面側と反対側(他方面側)に形成される後気室Br内に配置された音響管40を備えている。ここで、ハウジングA1の内面とスピーカSPの他方面側とで囲まれる空間を後気室Brとしてある。
音声処理部10は、図6に示すように、通信部10a、エコーキャンセル部10b,10c、増幅部10d、信号処理部10eを備えたICで構成され、ハウジングA1内に配置される。他の部屋等に設置されている通話装置Aから情報線Lsを介して送信された音声信号は、通信部10aで受信され、エコーキャンセル部10bを介して増幅部10dで増幅された後、スピーカSPから出力される。また、通話スイッチSW1を操作することで通話可能状態となり、マイクロホン基板MB1上のマイクロホンM1(副マイク),マイクロホンM2(主マイク)から入力された各音声信号は信号処理部10eで後述する信号処理を施された後、エコーキャンセル部10cを通過し、通信部10aから情報線Lsを介して他の部屋等に設置されている通話装置Aへ送信される。すなわち、部屋間で双方向の通話が可能なインターホンとして機能するものである。なお、通話装置Aの電源は、設置場所の近傍に設けたコンセントから供給されるか、あるいは情報線Lsを介して供給されてもよい。また本実施形態では通話装置Aが情報線Lsを介して他の部屋等に設置されている通話装置Aとの間で信号を授受しているが、通話装置Aに無線通信機能を設け、通話装置Aと他所に設置された通話装置Aとの間で無線により信号を授受するようにしても良い。
スピーカSPは、図1に示すように、冷間圧延鋼板(SPCC,SPCEN)、電磁軟鉄(SUY)等の厚み0.8mm程度の鉄系材料で形成されて一端を開口した円筒状のヨーク20を具備し、ヨーク20の開口端から外側に向かって円形の支持体21が延設されている。
ヨーク20の筒内にはネオジウムで形成された円柱型永久磁石22(例えば、残留磁束密度1.39T〜1.43T)を配置し、ドーム型の振動板23の外周側の縁部が支持体21の縁端面に固定されている。
振動板23は、PET(PolyEthyleneTerephthalate)またはPEI(Polyetherimide)等の熱可塑性プラスチック(例えば、厚み12μm〜50μm)で形成される。振動板23の背面には筒状のボビン24が固定されており、このボビン24の後端にはクラフト紙の紙管にポリウレタン銅線(例えば、φ0.05mm)を巻回することによって形成されたボイスコイル25が設けられている。ボビン24およびボイスコイル25は、ボイスコイル25がヨーク20の開口端に位置するように設けられており、ヨーク20の開口端近傍を前後方向に自在に移動する。
ボイスコイル25のポリウレタン銅線に音声信号を入力すると、この音声信号の電流と永久磁石22の磁界とにより、ボイスコイル25に電磁力が発生するため、ボビン24が振動板23を伴なって前後方向に振動させられる。このとき、振動板23から音声信号に応じた音が発せられる。すなわち、動電型のスピーカSPが構成される。
そして、スピーカSPの振動板23が対向するハウジングA1の前壁(つまりボディA10の前面)内側には、リブ11が形成されており、スピーカSPの円形の支持体21の外周端部から前面側に突出した凸部21aの端面がリブ11に当接し、振動板23がハウジングA1の前面に内側から対向する状態でスピーカSPが固定される。
ハウジングA1内にスピーカSPが固定されると、ハウジングA1の前壁(つまりボディA10の前壁)内側とスピーカSPの表面側(振動板23側)とで囲まれた空間である前気室Bf、ハウジングA1の後壁(つまりカバーA11)の内側および側壁内側とスピーカSPの裏面側(ヨーク20側)とで囲まれた空間である後気室Brが形成される。前気室Bfは、ハウジングA1の前面に複数設けた音孔12を介して外部に連通している。後気室Brは、スピーカSPの支持体21の端部とボディA10の内面に突設されたリブ11とが密着することで、前気室Bfとは絶縁した(連通していない)空間となり、さらにカバーA11がボディA10の後面開口に密着することで、外部とも絶縁した密閉された空間となっている。
次に、マイクロホン基板MB1は、図7に示すように、マイクロホンのベアチップBC1とICKa1との対、マイクロホンのベアチップBC2とICKa2との対をモジュール基板2の一面2aに各々実装し、ベアチップBC1、ICKa1、モジュール基板2上の配線パターン(図示無し)の各間、およびベアチップBC2、ICKa2、モジュール基板2上の配線パターン(図示無し)の各間をワイヤWで各々接続(ワイヤボンティング)した後、ベアチップBC1とICKa1の対を覆うようにシールドケースSC1を実装し、ベアチップBC2とICKa2の対を覆うように、シールドケースSC2を実装することで、ベアチップBC1、ICKa1およびシールドケースSC1から構成されるマイクロホンM1と、ベアチップBC2、ICKa2およびシールドケースSC2で構成されるマイクロホンM2とを備えている。
ベアチップBC(ベアチップBC1またはBC2)は、図8に示すように、シリコン基板1bに穿設した孔1cを塞ぐようにシリコン基板1bの一面側にSi薄膜1dが形成され、このSi薄膜1dとの間にエアーギャップ1eを介して電極1fが形成され、さらに音声信号を出力するパッド1gが設けられており、コンデンサ型のシリコンマイクロホンを構成している。そして、外部からの音響信号がSi薄膜1dを振動させることで、Si薄膜1dと電極1fとの間の静電容量が変化して電荷量が変化し、この電荷量の変化に伴ってパッド1g,1gから音響信号に応じた電流が流れる。このベアチップBCは、シリコン基板1bをモジュール基板2上にダイボンディングし、特にベアチップBC2のSi薄膜1dは、モジュール基板2に穿設した音孔F2に対向している。
そして、マイクロホンM1は、音孔F1を穿設したシールドケースSC1の底面側を集音面とし、マイクロホンM2は、音孔F2を穿設したモジュール基板2への実装面側を集音面として、互いに逆方向となるモジュール基板2の両面方向に集音面を有するものになる。このように構成されたマイクロホン基板MB1は、モジュール基板2の一面2aにマイクロホンM1,M2の両方を実装しているので、マイクロホン基板MB1の厚さを薄くできる。
図9(a)は、マイクロホン基板MB1を、モジュール基板2の一面2a側から見た平面図であり、モジュール基板2は、マイクロホンM1を配置する矩形部2fと、マイクロホンM2を配置する矩形部2gと、矩形部2f,2g間を連結する連結部2hとで構成され、矩形部2gは矩形部2fより大きく形成される。そして、矩形部2gの縁部に沿って、負電源パッドP1,正電源パッドP2,出力1パッドP3,出力2パッドP4が設けられている。
そして、図9(b)に示すように、負電源パッドP1には外部から供給される電源電圧の負側、正電源パッドP2には電源電圧の正側が接続されて、モジュール基板2上の配線パターンを介してマイクロホンM1,M2に電源を供給している。また、出力1パッドP3からは、マイクロホンM1が集音した音声信号がモジュール基板2上の配線パターンを介して出力され、出力2パッドP4からは、マイクロホンM2が集音した音声信号がモジュール基板2上の配線パターンを介して出力される。なお、出力パッドP3,P4から出力される音声信号のグランドは、負電源パッドP1で兼用される。
このように、マイクロホンM1,M2の電源を共通の負電源パッドP1、正電源パッドP2から供給し、さらにマイクロホンM1,M2の各出力のグランドを負電源パッドP1で兼用することで、パッドの数を減らすことができ、構成が簡単になる。
そして、本実施形態の通話装置Aでは、図1および図2に示すようにスピーカSPの裏面側の後気室Br内に音響管40が配設されている。この音響管40はハウジングA1は別体であって、可撓性を有する材料(例えばウレタン樹脂など)により断面形状が略長方形状の管状に形成されており、一方の端部40aを開口させるとともに、他方の端部40bを閉塞させている。
この音響管40は、図2(a)に示すようにハウジングA1の後気室Br内で、後気室Brの内壁(ボディA10の内壁)に沿うように、略C形に折り曲げた状態で収納されており、右側辺の下側部から上側辺および左側辺を通って下側辺の左側部まで配置されている。そして、ボディA10の前壁後面には、図2(a)及び図3(a)に示すように、3つの角部(上側の左右の角と左下側の角)の近傍に、ボディA10の内壁との間で音響管40を挟持する円柱状のリブ15が突設されるとともに、音響管40の開口側の端部40aを右側壁との間で挟持する円柱状のリブ15が突設されている。またボディA10の下側壁からは、音響管40の閉塞された端部40bと当接する平面視L形のリブ16が突設されている。
而して、音響管40を後気室Br内に収納する際には、音響管40の閉塞された端部40bをリブ16に当接させて位置決めした後、音響管40を後気室Brの内壁に沿って曲げながら、後気室Brの内壁と、保持手段たるリブ15との間に挿入することで、リブ16が音響管40の曲がり部および端部40aと押圧接触した状態で、音響管40がリブ15と後気室Brの内壁との間に挟持されるのである。ここで、音響管40の内部を平面波として音波が伝搬し、剛壁(閉塞された端部40b)で反射することが理想的であり、音響管40の吸音効果が最も高くなるのであるが、音響管40の管壁が動いたり、閉じた端部40bの端面が動いた場合、振動により発生する音波に影響を与え、本来の吸音効果が得られなくなる場合がある。
本実施形態では音響管40を曲げた状態で後気室Br内に配置するとともに、音響管40の曲がり部にリブ15を押圧接触させており、リブ15によって音響管40を保持させ、音響管40の移動を規制しているので、音響管40による吸音効果を確実に得ることができる。また本実施形態では音響管40の端部40a,40bをリブ15,16で保持させており、端部40a,40bの移動をリブ15,16により規制しているので、音響管40による吸音効果を確実に得ることができる。ここにおいて、本実施形態ではリブ15によりハウジングA1の内壁との間で音響管40を押圧した状態で挟持する挟持手段が構成されており、音響管40の両側に配置した挟持手段で音響管40を挟持する場合に比べて、少ない個数の挟持手段で音響管40を挟持することができる。なお本実施形態では音響管40の曲がり部を保持するリブ15と、音響管40の端部40a,40bを保持するリブ15,16とを両方共に設けているが、音響管40の曲がり部を保持するリブ、又は、音響管40の端部40a,40bを保持するリブ15,16の何れか一方のみを設けても良く、より少ない個数の保持手段で音響管40を保持して、音響管40の移動を規制することで、吸音効果を高める効果を得ることができる。また本実施形態ではリブ15とハウジングA1の内壁との間に音響管40を挿入して、リブ15を音響管40に押圧接触させているが、図3(b)に示すようにボディA10の前壁裏面に弾性接触片17を突設して、弾性接触片17とハウジングA1の内壁との間に音響管40を挿入し、弾性接触片17の先端に設けた爪17aを音響管40に係止させることで、音響管40の抜けを防止するようにしても良い。
さらに、音響管40は可撓性を有する材料により形成されているので、後気室Br内に後気室Brの内壁に沿って曲げた状態で収納することができ、したがって後気室Brの内部最大幅に比べて音響管40の長さを長く形成でき、また音響管40の長さが長い場合でも、音響管40を曲げた状態で収納することにより、ハウジングA1の小型化を図ることができる。なお、図2(b)は音響管40を後気室Brの内壁に沿って曲げた状態を示している。
一方、装置本体A2は、例えば2つに分割された樹脂成型品の半割体を接合して形成され、通話モジュールMJを内部に収納した後、各半割体を嵌合手段または接着剤等によって接合する。この装置本体A2には、通話モジュールMJのハウジングA1に設けた音孔12に連通する音孔60が設けられ、スピーカSPの振動板23側の前気室Bfが音孔12,60を介して外部に連通している。また装置本体A2には、モジュール基板2に設けた音孔F2に連通する音孔61とが設けられており、マイクロホンM2の集音面が音孔F2,61を介して外部と連通する。
次に、マイクロホン基板MB1の動作について説明する。
まず、集音した音響信号に応じてベアチップBC1,BC2から流れる各電流は、ICKa1,Ka2によってインピーダンス変換されるとともに電圧信号に変換され、音声信号として出力1パッドP3、出力2パッドP4から各々出力される。
ICKa(ICKa1またはKa2)は、図10に示す回路構成を備えており、電源パッドP1,P2から供給される電源電圧+V(例えば5V)を定電圧Vr(例えば12V)に変換するチップICからなる定電圧回路Kbを備えており、抵抗R11とベアチップBCとの直列回路に定電圧Vrが印加され、抵抗R11とベアチップBCとの接続中点はコンデンサC11を介してジャンクション型のJ−FET素子S11のゲート端子に接続される。J−FET素子S11のドレイン端子は動作電源+Vに接続され、ソース端子は抵抗R12を介して電源電圧の負側に接続される。ここで、J−FET素子S11は電気インピーダンスの変換用であり、このJ−FET素子S11のソース端子の電圧が音声信号として出力される。なお、ICKaのインピーダンスの変換回路は、上記構成に限定されるものではなく、例えばオペアンプによるソースフォロワ回路の機能を有する回路であってもよく、または必要に応じてICKa内に音声信号の増幅回路を設けてもよい。
そして、マイクロホン基板MB1は、上記のようにモジュール基板2上の配線パターンを介して信号伝達、給電を行うことで、信号線、給電線を効率よく構成できるとともに、ハウジングA1の外面に取付可能となる。本実施形態では、モジュール基板2の一面2aをハウジングA1の前面外側に沿って配置し、マイクロホンM1はハウジングA1前面の開口13を挿通して集音面を前気室Bfに向けており、シールドケースSC1の底面に穿設したマイクロホンM1の音孔F1はスピーカSPの振動板23に対向して、音孔F1を介して伝達されるスピーカSPからの音声に対して高い指向性を有するので、スピーカSPが発する音声を確実に集音することができる。また、マイクロホンM2は、ハウジングA1の前面に設けた凹部14に嵌合し、モジュール基板2に穿設したマイクロホンM2の音孔F2はスピーカSPの出力方向に向かってハウジングA1の外部(前方)に面している。この音孔F2は装置本体A2の前面に穿設した音孔61に連通し、外部の音は音孔61,F2を介してマイクロホンM2に伝達されるので、マイクロホンM2は通話装置Aの前方に位置する話者からの音声に対して高い指向性を有している。なお、スピーカSPの中心から各マイクロホンM1,M2の中心までの距離をそれぞれX1,X2とすると、X1<X2となっており、マイクロホンM1(副マイク)は、マイクロホンM2(主マイク)よりもスピーカSPに近い位置に配置されている。
また、スピーカSPの裏面が面する後気室Brは、ハウジングA1内で密閉されるので、スピーカSPの裏面から放射される音声は後気室Brから漏れ難くなり、スピーカSPとマイクロホンM2との音響結合を低減させている。さらにスピーカSPの裏面(振動板23の裏面)から放射される音は、スピーカSPの表面(振動板23の表面)から放射される音と位相が反転しており、このスピーカSPの裏面から放射される音が前方に回り込むと、スピーカSPの表面から放射される音と互いに打ち消しあって、スピーカSPの放射音圧が低下し、前方にいる話者にはスピーカSPが発する音声が聞こえ難いものとなるが、上記のようにスピーカSPの裏面から放射される音はハウジングA1の外部に漏れ難いので、上記回り込みによるスピーカSPの放射音圧の低下を防いでいる。
また、マイクロホンM2を収納した凹部14は後気室Brと連通していない分離された空間であるので、マイクロホンM2はスピーカSPの発する音声をさらに集音し難くなり、スピーカSPとマイクロホンM2との音響結合をさらに低減させている。すなわち、上記構成によって、スピーカSPが発する音声と話者の発する音声とをマイクロホンM1,M2で分離して集音しているのである。
また、マイクロホン基板MB1をハウジングA1内に配置すると前気室Bfと後気室Brとの間の空間的な絶縁を維持することが困難であるが、本実施形態のようにマイクロホン基板MB1をハウジングA1の外面に取り付けることで、前気室Bfと後気室Brとの間の空間的な絶縁を維持することができる。
そして、本実施形態では、スピーカSPの音声出力をマイクロホンM1,M2が拾うことで発生するハウリングを防止するために、以下の構成を備えている。
まず、音声処理部10に収納されている信号処理部10eは、図11に示すように、マイクロホンM1の出力を非反転増幅する増幅回路30と、増幅回路30の出力から音声帯域(300〜4000Hz)以外の周波数のノイズを除去するバンドパスフィルター31と、バンドパスフィルター31の出力を遅延させる遅延回路32と、マイクロホンM2の出力を反転増幅する増幅回路33と、増幅回路33の出力から音声帯域(300〜4000Hz)以外の周波数のノイズを除去するバンドパスフィルター34と、バンドパスフィルター34の出力を遅延させる遅延回路35と、遅延回路32の出力と遅延回路35の出力を加算する加算回路36とを備えている。
図12〜図15は、スピーカからの音声をマイクロホンM1,M2で各々集音した場合における信号処理部10eの各部の音声信号波形を示す。スピーカSPの中心から各マイクロホンM1,M2の中心までの距離X1,X2はX1<X2なる関係を有しているので、スピーカSPからの音声をマイクロホンM1,M2で拾った場合、スピーカSPとマイクロホンM1,M2との距離、およびマイクロホンM1,M2の指向性によってマイクロホンM2の出力Y21のほうがマイクロホンM1の出力Y11よりも振幅が小さく、さらに両マイクロホンM1,M2とスピーカSPとの距離の差(X2−X1)に相当する音波の遅延時間[Td=(X2−X1)/Vs](Vsは音速)だけマイクロホンM2の出力Y21の位相が遅れている(図12(a)(b)参照)。
そして、増幅回路30が出力Y11を非反転増幅した出力Y12を生成し、増幅回路33が出力Y21を反転増幅して位相を180°反転させた出力Y22を生成する。このとき、両マイクロホンM1,M2とスピーカSPとの距離の差(X2−X1)に相当するレベル調整を行ない、スピーカSPからの音声に対する両マイクロホンM1,M2の出力レベルを一致させる(図13(a)(b)参照)。なお、本実施形態において非反転増幅する増幅回路30の増幅率を1とすれば、増幅回路30は省略してもよい。
そして、バンドパスフィルター31,34は、出力Y12,Y22から音声帯域以外の周波数のノイズを除去した出力Y13,Y23を生成する(図14(a)(b)参照)。
次に、遅延回路32,35は、時間遅延素子またはCR位相遅延回路で構成されており、遅延回路32,35の出力Y14,Y24の位相が一致するように、スピーカSPから遠い方のマイクロホンM2の出力に対して、スピーカSPに近い方のマイクロホンM1の出力を上記遅延時間Tdだけ相対的に遅延させるように、両遅延回路32,35による遅延時間を設定してある(図15(a)(b)参照)。
そして、出力Y14に含まれるスピーカSPからの音声成分と、出力Y24に含まれるスピーカSPからの音声成分とは、上記増幅処理および遅延処理によって同一振幅、同一位相であって、極性が反転しているので、加算回路36において出力Y14とY24とを加算することで、スピーカSPからの音声に対応する音声信号が打ち消された出力Yaが生成される(図15(a)〜(c)参照)。すなわち、出力Yaでは、スピーカSPからの音声成分が低減しているのである。
一方、マイクロホンM1,M2の前方にいる話者Hが発する音声に対しては、話者Hが発する音声に対して高い指向性を有するマイクロホンM2の出力Y21の振幅が、マイクロホンM1の出力Y11の振幅よりも大きくなる。さらに、増幅回路33の増幅率は増幅回路30の増幅率より大きいので、出力Y23に含まれる話者Hからの音声成分は、出力Y14に含まれる話者Hからの音声成分よりさらに大きくなる。すなわち、出力Y14に含まれる話者Hからの音声成分と、出力Y24に含まれる話者Hからの音声成分との振幅差は大きくなり、加算回路36で上記加算処理を施しても、出力Yaには、話者Hが発する音声に応じた信号が十分な振幅を維持した状態で残る。
以上のようにして加算回路36の出力YaではスピーカSPからの音声成分が低減されて、通話装置A前方の話者Hからマイクロホン基板MB1に向って発した音声成分は残っており、出力Yaでは、残したい話者Hからの音声成分と、低減したいスピーカSPからの音声成分との相対的な差が大きくなる。すなわち、話者Hからの音声とスピーカSPからの音声とが同時に発生している場合でも、話者Hからの音声成分は十分な振幅を維持しながらスピーカSPからの音声成分のみが低減されるので、スピーカSPの音声出力をマイクロホンM1,M2が拾うことで発生するハウリングを防止することができるのである。
そして、上述のようにスピーカSPの裏面から後気室Brへ放射される逆位相の音はハウジングA1外へ漏れ難いので、マイクロホンM1,M2はスピーカSPの表面から発せられる正位相の音をおもに集音し、ハウジングA1から漏れる逆位相のスピーカ音を拾うことなく、信号処理部10eによるハウリング防止処理を確実に行うことができる。
さらにマイクロホンM2は集音面をハウジングA1外部に向けるとともに、スピーカSPの出力方向とマイクロホンM2の指向性とを略同一方向にするので、スピーカSPとマイクロホンM2との音響結合は低減し、マイクロホンM2はスピーカSPの発する音声を集音し難くなって、マイクロホンM2をスピーカSPの近傍に隣接して配置でき、通話装置Aの小型化が可能となる。
次に、加算回路36が出力する音声信号はエコーキャンセル部10cに出力され、エコーキャンセル部10b,10c(図6参照)では、以下の処理を行うことでさらなるハウリング防止を図っている。
まず、エコーキャンセル部10cは、エコーキャンセル部10bの出力を参照信号として取り込み、信号処理部10eの出力に対して演算を施すことにより、スピーカSPからマイクロホンM1,M2に回り込んだ音声信号をさらにキャンセリングする。一方、エコーキャンセル部10bも、エコーキャンセル部10cの出力を参照信号として取り込み、通信部10aの出力に対して演算を施すことにより、通話先の相手側でのスピーカからマイクロホンへの音声信号の回り込みをキャンセリングする。
具体的には、エコーキャンセル部10b,10cは、スピーカSP−マイクロホンM1,M2−信号処理部10e−エコーキャンセル部10c−通信部10a−エコーキャンセル部10b−増幅部10d−スピーカSPで構成されるループ回路内に設けた可変損失手段(図示無し)での損失量を調節することにより、ループゲインが1以下となるようにしてハウリングを防止するのである。ここで、送話信号と受話信号との信号レベルを比較し、音声レベルが小さい方に大きな損失を与えるように、音声レベルが小さい方の伝送路に挿入された可変損失回路の伝送損失を大きくしている。
ここで、本実施形態の通話装置Aでは、一端が閉塞され且つ他端が開口した音響管40を後気室Br内に配置しており、この音響管40の共振周波数を適宜設定することで、スピーカSPの最低共振周波数が低周波数側に移行し、さらにはスピーカSPの音圧レベルが増加するので、スピーカSPの音質および効率が向上する。
なお、スピーカの最低共振周波数foは、一般に、スピーカの振動系の等価質量(振動板、コイル、空気付加質量)Moと、それを支持するエッジ等のスティフネスSoと、後気室Br内の空気のスティフネスScとによって決まり、以下の式(1)で示される。
Figure 2008301131
図16は、信号処理部10eによるスピーカSPの音声成分キャンセル量の周波数特性を示し、図17はスピーカSPの前方における放射音圧の周波数特性を示しており、音響管40を用いない場合と、ハウジングとして理想的なバッフル板を用いた場合との両方の場合について各結果を示す。
まず、理想的なバッフル板とは、図18に示すように無限大の大きさを有するバッフル板Cのことであり、スピーカSPおよびマイクロホン基板MB1をバッフル板Cに取り付けた場合のキャンセル量(図16の特性Y1a)は、周波数帯域100Hz〜10000Hzにおいて10dB以上を維持し、放射音圧特性(図17の特性Y2a)は、スピーカSPの最低共振周波数fo1=600Hzとなり、最低共振周波数はスピーカSP単体での特性と同じ理想的な特性を示している。バッフル板Cを用いるとこのように優れた特性を備えるが、これはバッフル板Cが無限大の大きさを有して、スピーカSPの裏面(振動板23の裏面)から放射された音がバッフル板Cで遮断されて前方に回り込まないとした場合の結果であり、現実的ではない。
次に、音響管40を用いない場合のキャンセル量(図16の特性Y1b)も、周波数帯域100Hz〜10000Hzにおいて10dB以上を維持しており、バッフル板Cを用いた場合と略同様のキャンセル量を得ることができる。しかし、後気室Brを密閉した場合の放射音圧特性については、後気室Brの容量が十分に大きければバッフル板Cと同様の特性を得ることができるが、後気室Brの容量が小さいと、後気室Brの機械等価スティフネスが大きくなり、スピーカSPの最低共振周波数は高くなり、放射音圧が低下して、通話音質および効率が悪化する。例えば、ハウジングA1の後気室Brと同容量且つ音響管40を省略したハウジングを用いた場合の放射音圧特性(図17の特性Y2b)は、スピーカSPの最低共振周波数fo2=1200Hzとなり、バッフル板Cを用いた場合に比べて最低共振周波数が高周波数側にずれ、さらには800Hz以下の周波数帯域でバッフル板Cを用いた場合に比べて音圧レベルが5〜20dB程度減少しており、スピーカSPの音質および効率が悪化している。ハウジングA1の後気室Brの3倍の容量且つ音響管40を省略したハウジングを用いた場合の放射音圧特性(図17の特性Y2c)は、スピーカSPの最低共振周波数fo3=800Hzとなり、後気室Brの容量が小さい場合に比べてスピーカSPの音質は改善されている。しかし、後気室Brの容量を大きくするとハウジングも大型化し、通話装置の小型化が困難になる。そこで、本実施形態では、小容量の後気室Br内に音響管40を配置することで、通話装置の小型化を図りながら、スピーカSPの音質および効率を向上させている。
また上記音響管40の全長Lは、音圧レベルを増大させたい周波数fの略1/4波長に基づく長さに設定される。詳細には、音響管40の開口端補正を行うので、音速をVs、開口端補正値をσ(=0.8d、但しdは音響管40の開口径)とすると、以下の式(2)で表される。
Figure 2008301131
本実施形態では、音響管40の全長Lは95.2mm、音響管40の断面積は4.2mm(φ2.3相当)である。また、音響管40を後気室Brの内側壁に沿って形成することで、音響管40による後気室Brの容量低減を抑えることができる。
また音響管40は、閉管の共振周波数(管の全長が1/4波長の奇数倍に一致する周波数)で入力インピーダンスが極めて小さくなることを利用して、スピーカSPの裏面から放射された音波をスピーカSPの裏面側に反射することによって、後気室Brから外部に漏れる音を低減させている。
そして、音響管40の共振周波数が、音響管40を備えていないハウジングA1を用いた場合の最低共振周波数fo4(=1200Hz)と、図18に示す上記バッフル板Cを用いた場合の最低共振周波数fo1(=600Hz)との間に位置するように、音響管40の全長Lを設定することで、音響管40を備えたハウジングA1を用いた場合のスピーカSPの最低共振周波数fo5(=700Hz付近)が、fo1とfo4との間に設定されており、音響管40を設けることでスピーカSPの音質および効率の向上を容易に実現できる。
図19は、上記音響管40を備えた通話装置Aと、音響管40を備えていない通話装置Aとの各放射音圧特性を示しており、音響管40を備えた特性Y3aは、音響管40を備えていない特性Y3bに比べて、800Hz以下の周波数帯域で音圧レベルが5〜10dB程度増大し、最低共振周波数はfo4=1200Hzからfo5=700Hz付近にまで低下しており、スピーカ効率が向上するとともに、音質が向上している。例えば、700Hz付近では音圧レベルが10dB程度増大しており、この音圧レベルの増大によるスピーカ効率の向上は、スピーカSPの入力電流:70%減、入力電力:90%減に相当する。このように、スピーカSPの最低共振周波数近傍でスピーカSPの音圧レベルは増大するので、音響管40の全長を適宜設定して、スピーカSPの最低共振周波数を低周波数側に移行させれば、スピーカSPの音質および効率の向上を実現できる。
また、図2(a)に破線で示すように、音響管40の開口側の端部40aまたはこの端部40aの近傍に、不織布等の吸音材43を配設しても良く、吸音材43により、放射音圧を向上させた音量と、音圧が低下したディップ量とを調整でき、平坦な特性に近づけることができる。
なお本実施形態では音響管40の断面形状を矩形状としているが、図4(a)(b)に示すように断面形状が略円形の音響管41を用いても良く、音響管41の長手方向中間部に蛇腹状の可撓部41c,41cを形成することで、部分的に可撓性を持たせても良く、内部最大幅に比べて音響管41の長さを長くできる。また図4(c)(d)に示すように断面形状が細長の矩形状に形成された音響管41において、長手方向中間部に蛇腹状の可撓部41c,41cを形成することで、部分的に可撓性を持たせるようにしても良いことは言うまでもなく、蛇腹状の可撓部41cを曲がることで音響管41の収納スペースを小さくでき、さらに内部最大幅に比べて音響管41の長さを長くできる。
また本実施形態では、各音響管40,41,42の断面形状は長手方向の全長にわたって同じ形状であり、また断面積も同一の断面積に形成されているが、所望の音響効果が得られるように、断面形状が円形、楕円形又は多角形の何れかに形成された部位が少なくとも1つ以上連なって形成された音響管であって、その断面積が連続もしくは不連続となるように形成したものを用いても良い。
(実施形態2)
実施形態1では、装置本体A2内に通話モジュールMJを収納する構成であるが、本実施形態では、図20および図21に示すように通話モジュールMJのハウジングA1を装置本体として用いており、ハウジングA1に通話スイッチSW1を設けることで、実施形態1に示した装置本体A2を不要としている。
なお他の構成は、実施形態1と同様であり、説明は省略する。
実施形態1の通話装置の構成を示す側面断面図である。 (a)は同上のカバーを外した状態を後方から見た図、(b)は後気室内に収納するために音響管を曲げた状態の説明図である。 (a)(b)は同上の要部拡大断面図である。 (a)〜(d)は同上に用いる音響管の他の例を示す説明図である。 (a)は同上の外観斜視図、(b)は同上に用いる通話モジュールの斜視図である。 同上の音声処理部の構成を示す回路図である。 同上のマイクロホン基板の構成を示す側面断面図である。 同上のベアチップの構成を示す側面断面図である。 同上のマイクロホン基板の構成を示す(a)簡略化した平面図、(b)簡略化した回路図である。 同上のインピーダンス変換回路の回路図である。 同上の信号処理部の回路構成図である。 (a)(b)同上の信号処理部の信号波形図である。 (a)(b)同上の信号処理部の信号波形図である。 (a)(b)同上の信号処理部の信号波形図である。 (a)〜(c)同上の信号処理部の信号波形図である。 信号処理部によるキャンセル量を示す図である。 スピーカの放射音圧特性を示す図である。 理想的なバッフル板を用いた場合の構成を示す一部側面断面図である。 同上のハウジングを用いた場合のキャンセル量を示す図である。 実施形態2の通話装置の構成を示す側面断面図である。 同上の外観斜視図である。
符号の説明
A 通話装置
A1 ハウジング
A2 装置本体
A10 ボディ
A11 カバー
Bf 前気室
Br 後気室
M1,M2 マイクロホン
MB1 マイクロホン基板
MJ 通話モジュール
SP スピーカ
10 音声処理部
40 音響管

Claims (11)

  1. 外部から伝達された音声情報を一方面側から出力するスピーカ、主マイク、主マイクよりもスピーカに近い位置に配置された副マイク、主マイクで集音された音声成分と副マイクで集音された音声成分とを用いてスピーカから回り込む音声成分を除去する音声処理を行う音声処理部をハウジングに備えて、ハウジング内でスピーカの他方面側に後気室を設け、ハウジングとは別体に形成されて後気室内に配置され、少なくとも一部に可撓性を有し且つ一端が閉塞するとともに他端が開口した音響管を備えることを特徴とする通話装置。
  2. 前記後気室内に配置された前記音響管を保持する保持手段を前記ハウジングに設けたことを特徴とする請求項1記載の通話装置。
  3. 前記音響管は、可撓性を有する部位で曲げた状態でハウジング内に配置され、前記保持手段は音響管の曲がり部と押圧接触することを特徴とする請求項2記載の通話装置。
  4. 前記保持手段は前記音響管の端部と押圧接触することを特徴とする請求項2記載の通話装置。
  5. 前記保持手段は、前記ハウジングの内壁との間で前記音響管を押圧した状態で挟持する挟持手段からなることを特徴とする請求項2乃至4の何れか1項に記載の通話装置。
  6. 前記音響管は、スピーカの出力の音圧レベルを上げる周波数の1/4波長に基づく長さに設定されることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の通話装置。
  7. 前記音響管は、前記ハウジングの内壁に沿うように曲げられた状態で後気室内に配置されたことを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の通話装置。
  8. 前記音響管の少なくとも一部に蛇腹状の可撓部を設けたことを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の通話装置。
  9. 前記音響管は、断面形状が円形、楕円形又は多角形の何れかに形成された部位が少なくとも1つ以上連なって形成され、その断面積は連続もしくは不連続であることを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載の通話装置。
  10. 前記音響管の共振周波数は、無限大の大きさを有するバッフル板に取り付けられたスピーカの最低共振周波数と、音響管を設けていない前記ハウジングに取り付けられたスピーカの最低共振周波数との間に設定されることを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項に記載の通話装置。
  11. 前記音響管の開口部に吸音材を取り付けたことを特徴とする請求項1乃至10の何れか1項に記載の通話装置。
JP2007144239A 2007-05-30 2007-05-30 通話装置 Withdrawn JP2008301131A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007144239A JP2008301131A (ja) 2007-05-30 2007-05-30 通話装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007144239A JP2008301131A (ja) 2007-05-30 2007-05-30 通話装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2008301131A true JP2008301131A (ja) 2008-12-11

Family

ID=40174233

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007144239A Withdrawn JP2008301131A (ja) 2007-05-30 2007-05-30 通話装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2008301131A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE102010004667B4 (de) * 2010-01-14 2016-08-11 Austriamicrosystems Ag Gehäuse und Lautsprechermodul

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE102010004667B4 (de) * 2010-01-14 2016-08-11 Austriamicrosystems Ag Gehäuse und Lautsprechermodul
US9781238B2 (en) 2010-01-14 2017-10-03 Ams Ag Housing and loudspeaker module

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7647077B2 (en) Method for echo control of a wireless headset
US7263196B2 (en) Mobile communications terminal with flat loudspeaker disposed in the terminal housing
WO2007032100A1 (ja) 音響装置及び通話装置
JP2008135864A (ja) 通話装置
JP6379239B2 (ja) 聴取器用スピーカモジュールおよび聴取器
JP2007300513A (ja) マイクロフォン装置
JP2007281711A (ja) イヤーモールド型送受話器及び無線通信装置
JP2008301129A (ja) 通話装置
JP3976079B1 (ja) 通話装置
JP4893230B2 (ja) 通話装置
KR102453587B1 (ko) 마이크 일체형 리시버 모듈 및 이를 구비하는 이어폰
JP4862611B2 (ja) 通話装置
JP2008301131A (ja) 通話装置
JP2019121896A (ja) 首掛け型スピーカー装置
JP3976076B1 (ja) 通話装置
JP4853382B2 (ja) 通話装置
JP4966098B2 (ja) 通話装置
JP2000175285A (ja) 送話受話などの信号を、一体化したイヤホ―ンとスピ―カの構成方法装置
JP4976921B2 (ja) 通話装置
JP2009055483A (ja) 通話装置
JP3976078B1 (ja) 通話装置
JP5010237B2 (ja) 通話装置
JP2019121897A (ja) 首掛け型スピーカー装置
JP2008301133A (ja) 通話装置
JP2008135860A (ja) 通話装置

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20100803